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特許7511821医薬品検索サーバおよび医薬品検索プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】医薬品検索サーバおよび医薬品検索プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240701BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020064459
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163227
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501233226
【氏名又は名称】日本ユースウェアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【弁理士】
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】馬場 秀二
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-310603(JP,A)
【文献】特開2004-021622(JP,A)
【文献】特開平11-143932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関端末にネットワーク接続された医薬品検索サーバにおいて、
医薬品に関する情報を医薬品毎に管理し、かつ、医薬品の薬効、病名および成分のうちの少なくとも一つの特性が同一である複数の医薬品をグループ化して管理する医薬品データベースと、
前記医薬品データベースの検索条件として、前記医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されており、前記医療機関端末側による前記検索条件の見直しを許容しながら、前記医療機関端末によって指定された前記検索条件に合致するものとして前記医薬品データベースより抽出された医薬品に関する情報を前記医療機関端末に送信することを、価格取得の対象となる医薬品が確定するまで繰り返す検索処理部と、
前記価格取得の対象となる医薬品が確定した旨の前記医療機関端末からの応答に基づいて、前記価格取得の対象となる医薬品の見積もりを外部システムに依頼し、前記外部システムより取得した見積価格を前記医療機関端末に送信する価格取得部と
を有することを特徴とする医薬品検索サーバ。
【請求項2】
前記検索条件は、前記医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを絞り込むための検索項目として、医薬品の投与経路、剤形および規格の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載された医薬品検索サーバ。
【請求項3】
前記検索処理部は、前記医薬品に関する情報として、前記医薬品データベースより抽出された、医薬品の薬効、病名、成分、投与経路、剤形および規格を前記医療機関端末に送信することを特徴とする請求項2に記載された医薬品検索サーバ。
【請求項4】
前記価格取得部は、前記外部システムより取得した前記見積価格に基づいて、前記価格取得の対象となる複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成し、前記価格画面を前記医療機関に送信することを特徴とする請求項1に記載された医薬品検索サーバ。
【請求項5】
医薬品検索プログラムにおいて、
医薬品に関する情報を医薬品毎に管理し、かつ、医薬品の薬効、病名および成分のうちの少なくとも一つの特性が同一である複数の医薬品をグループ化して管理する医薬品データベースの検索条件として、前記医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されており、検索者によって指定された前記検索条件に合致するものとして前記医薬品データベースより抽出された医薬品に関する情報を前記検索者に提示する第1のステップと、
前記検索者による前記検索条件の見直しを許容しながら、前記価格取得の対象となる医薬品が確定するまで前記第1のステップの処理を繰り返す第2のステップと、
前記価格取得の対象となる医薬品が確定した旨の前記検索者からの応答に基づいて、前記価格取得の対象となる医薬品の見積もりを外部システムに依頼する第3のステップと、
前記外部システムより取得した見積価格を前記検索者に提示する第4のステップと
を有する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする医薬品検索プログラム。
【請求項6】
前記検索条件は、前記医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを絞り込むための検索項目として、医薬品の投与経路、剤形および規格の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項5に記載された医薬品検索プログラム。
【請求項7】
前記第1のステップは、前記医薬品に関する情報として、前記医薬品データベースより抽出された、医薬品の薬効、病名、成分、投与経路、剤形および規格を前記検索者に提示することを特徴とする請求項6に記載された医薬品検索プログラム。
【請求項8】
前記第4のステップは、前記外部システムより取得した前記見積価格に基づいて、前記価格取得の対象となる複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成し、前記価格画面を前記検索者に提示することを特徴とする請求項5に記載された医薬品検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品検索サーバおよび医薬品検索プログラムに係り、特に、医薬品の価格情報の提示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品を取り扱う医療機関の利便性を高めるためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、医療機関が医薬品を安価に購入するための見積購入決定システムが開示されている。このシステムは、医療機関側の端末と、見積価を提示する複数の業者側の端末とを有し、これらは医療品受発注ネットワークに接続されている。医療機関側の端末は、見積依頼データを医薬品毎に個別に作成し、これを電子メールで特定の業者側の端末に個別に送信する。そして、医療機関側の端末は、それぞれの業者側の端末から受信した見積価データを比較して、最も安価な見積を行った卸業者を医薬品の発注先として決定する。
【0003】
特許文献2には、医療機関にとっては安価な医薬品を簡便に購入でき、医薬品卸販売企業にとっては効率的な医薬品の販売と新規顧客獲得の機会を期待できる医薬品販売仲介システムが開示されている。このシステムが備える管理サーバには、複数の医薬品のそれぞれについて、所定の医薬品卸販売企業での販売価格と医薬品購入用ウェブサイトのURLとを少なくとも含む複数の医薬品情報が登録されている。管理サーバは、各医薬品毎に各医薬品情報を販売価格の低いものから順にソートして表示する医薬品情報提示用ウェブサイトを提供する。管理サーバは、何れかの医薬品情報が選択された場合、医療機関が具備するクライアントコンピュータを医薬品購入用ウェブサイトにアクセスさせ、クライアントコンピュータによって医薬品の購入手続が実行された場合、その旨を医薬品購入用ウェブサイトから受信する。
【0004】
特許文献3には、安価な後発医薬品の利用を促進させるための後発医薬品情報提供システムが開示されている。このシステムは、医薬品情報を提供するセンターのサーバー装置と、医療機関の端末装置とを有し、これらはネットワーク接続されている。このサーバー装置は、特定の医薬品について問い合わせを受けると、それに応じてその医薬品の後発医薬品を医薬品データベースから検索し、検索した医薬品それぞれの少なくとも使用頻度、先発後発の区別、薬価、および、品名の情報を表示するための実績表データを作成して端末装置に送信する。端末装置は、処方データに含まれる特定の医薬品に係る後発医薬品の情報をサーバー装置に問い合わせ、サーバー装置から送信された実績表データを受信して表示装置に出力する。
【0005】
特許文献4には、ユーザの嗜好に十分に適合した代替医薬品や取扱薬局に関する情報をユーザに対して提示する代替医薬品検索装置が開示されている。この装置は、データベースと、処方箋データ取得部と、嗜好情報取得部と、検索部と、情報提示部と、監査情報取得部とを有する。データベースは、医薬品の属性情報を含む医薬品情報を記憶する。処方箋データ取得部は、処方箋データを取得する。嗜好情報取得部は、医薬品の属性情報に関するユーザの嗜好情報を取得する。検索部は、処方箋データと、医薬品情報と、ユーザの嗜好情報とを参照して、代替医薬品を検索する。情報提示部は、代替医薬品情報と、処方医薬品を取り扱う薬局および検索された代替医薬品を取り扱う薬局に関する薬局情報とをユーザに提示する。監査情報取得部は、薬局での医薬品監査情報を取得する。ここで、データベースの属性情報は、医薬品監査情報の取得に応じて更新される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3999317号公報
【文献】特開2006-318415号公報
【文献】特開2006-277453号公報
【文献】特開2017-194741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、医療業界において、フォーミュラリーといった概念が注目されている。フォーミュラリーとは、患者に対して最も有効かつ経済的な医薬品の使用指針をいい、医療機関や地域を単位に作成・導入が進みつつある。フォーミュラリーとしては、例えば、エビデンスや経済性をベースとして、第1選択薬、第2選択薬といったように同一の用途に供される複数の医薬品に優先順位を付けて、第1選択薬には後発医薬品を採用することが挙げられる。フォーミュラリーの目的は、最適な薬物治療を安価に提供することである。エビデンスに基づく質の高い薬物治療を行うのはもちろん、先行医薬品よりも安価な後発医薬品を優先的に使用することで、コスト削減効果が期待される。
【0008】
しかしながら、医療機関などがフォーミュラリーを作成する際、同一成分または同一薬効の医薬品を見つけることはできても、医薬品の代替によって、どの程度のコスト削減効果が見込めるのかまで把握することは容易ではない。なぜなら、購入を検討している代替品のすべてについて、多数の卸売業者に対して見積依頼を個別に送付して見積金額を個別に取得することは、医療機関にとって多大な負担となるからである。
【0009】
同様のことは、病院が個別に行う医薬品の定期的な検証作業についても該当する。現在、日本において医師から処方されなければ投薬できない医薬品は18000品目ほど存在する。病院は、その中から自院が処方する医薬品として1300~2500品目ほど選定し、毎月、数品目について入れ替えのための検証作業を行っている。この月毎の作業も大変だが、病院にとって最も負担が大きいのは、全ての採用薬を対象とした年に一度の価格総点検であり、その作業量は膨大なものとなる。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フォーミュラリー等が目的とする最適かつ安価な医薬品の代替によるコスト削減効果の度合いを医療機関に負担を掛けることなく提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、医薬品データベースと、検索処理部と、価格取得部とを有し、医療機関端末にネットワーク接続された医薬品検索サーバを提供する。医薬品データベースは、医薬品に関する情報を医薬品毎に管理し、かつ、医薬品の薬効、病名および成分のうちの少なくとも一つの特性が同一である複数の医薬品をグループ化して管理する。この医薬品データベースの検索条件としては、医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されており、検索処理部は、医療機関端末側による検索条件の見直しを許容しながら、医療機関端末によって指定された検索条件に合致するものとして医薬品データベースより抽出された医薬品に関する情報を医療機関端末に送信することを、価格取得の対象となる医薬品が確定するまで繰り返す。価格取得部は、価格取得の対象となる医薬品が確定した旨の医療機関端末からの応答に基づいて、価格取得の対象となる医薬品に関する見積もりを外部システムに依頼し、外部システムより取得した見積価格を医療機関端末に送信する。
【0012】
ここで、第1の発明において、上記検索条件は、医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを絞り込むための検索項目として、医薬品の投与経路、剤形および規格の少なくとも一つを有することが好ましい。
【0013】
第1の発明において、上記検索処理部は、上記医薬品に関する情報として、医薬品データベースより抽出された、医薬品の薬効、病名、成分、投与経路、剤形および規格を前記医療機関端末に送信してもよい。
【0014】
第1の発明において、上記価格取得部は、外部システムより取得した見積価格に基づいて、価格取得の対象となる複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成し、この価格画面を医療機関に送信することが好ましい。
【0015】
第2の発明は、以下のステップをコンピュータに実行させる医薬品検索プログラムを提供する。第1のステップでは、医薬品データベースの検索条件として、医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されており、検索者によって指定された検索条件に合致するものとして医薬品データベースより抽出された医薬品に関する情報を検索者に提示する。この医薬品データベースは、医薬品に関する情報を医薬品毎に管理し、かつ、医薬品の薬効、病名および成分のうちの少なくとも一つの特性が同一である複数の医薬品をグループ化して管理する。第2のステップでは、検索者による検索条件の見直しを許容しながら、価格取得の対象となる医薬品が確定するまで上記第1のステップの処理を繰り返す。第3のステップでは、価格取得の対象となる医薬品が確定した旨の検索者からの応答に基づいて、価格取得の対象となる医薬品に関する見積もりを外部システムに依頼する。第4のステップでは、外部システムより取得した見積価格を検索者に提示する。
【0016】
ここで、第2の発明において、上記検索条件は、医薬品データベースにおける同一特性の医薬品グループを絞り込むための検索項目として、医薬品の投与経路、剤形および規格の少なくとも一つを有することが好ましい。
【0017】
第2の発明において、上記第1のステップは、上記医薬品に関する情報として、医薬品データベースより抽出された、医薬品の薬効、病名、成分、投与経路、剤形および規格を検索者に提示してもよい。
【0018】
第2の発明において、上記価格取得部は、外部システムより取得した見積価格に基づいて、価格取得の対象となる複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成し、この価格画面を検索者に提示することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、医薬品データベースの検索条件として、このデータベースにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されており、医療機関(検索者)によって指定された検索条件に合致するものとして医薬品データベースより抽出された医薬品に関する情報が医療機関に提示される。この情報の提示は、医療機関による検索条件の見直しを許容しながら、医療機関が価格取得の対象となる医薬品を確定するまで繰り返される。そして、価格取得の対象として確定した医薬品については、外部システムに見積もりを依頼し、外部システムより取得した見積価格が医療機関に提示される。これにより、フォーミュラリー等が目的とする最適かつ安価な医薬品の代替によるコスト削減効果の度合いを医療機関に負担を掛けることなく、かつ、信頼性の高い見積価格に基づいて提示できると共に、医療機関にとっては、最適および安価といった視点で代替すべき医薬品の検討を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】医薬品検索システムの全体構成図
図2】医薬品検索サーバのブロック構成図
図3】医薬品データベースの論理構成を示す図
図4】医薬品データベースにおける医薬品グループの説明図
図5】医薬品検索の手順を示すフローチャート
図6】複数の医薬品に関する情報(検索結果画面)の表示例を示す図
図7】価格画面の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本実施形態に係る医薬品検索システムの全体構成図である。この医薬品検索システム1は、医薬品検索サーバ2と、複数の医療機関端末3と、医薬品見積システム4とを有し、医薬品検索サーバ2および医療機関端末3はインターネットなどのネットワークを介して接続されている。医療品検索サーバ2は、病院や薬局などの医療機関に従事する者が操作する医療機関端末3から受信した医薬品の検索依頼に応じて、医薬品の価格情報を含む検索結果を医療機関端末3に送信する。医薬品検索サーバ2は、バックグラウンドにおいて医薬品見積システム4と連携しており、医薬品の価格情報を医薬品見積システム4から取得する。
【0022】
医薬品見積システム4としては、以下のような形態が想定される。第1に、医薬品の卸売業者が個別にサーバを運用する形態である。この場合、医薬品検索サーバ2は、卸売業者側のサーバとの間でデータの送受信を行うことによって、必要な価格情報を取得する。第2に、ネットワーク上で提供されるクラウドサービス(医薬品見積サービス)に卸売業者が加入している形態である。この場合、医薬品検索サーバ2は、クラウドサービスと連携してデータの授受を行うことによって、あるいは、医薬品に関する過去の見積実績を蓄積した実績データベースを共有することによって、必要な価格情報を取得する。
【0023】
図2は、医薬品検索サーバ2のブロック構成図である。この医薬品検索サーバ2は、検索処理部2aと、価格取得部2bとを主体に構成されており、必要な情報を管理するための記憶手段として、医薬品データベース2c、医療機関データベース2d、卸売業者データベース2e、および、実績データベース2fを備える。
【0024】
検索処理部2aは、医療機関端末3によって指定された医薬品の検索条件を入力として、医薬品データベース2cを検索し、これによって抽出された医薬品に関する情報(医薬品抽出)を医療機関端末3に送信する。本実施形態の特徴の一つは、医薬品管理サーバ2によって管理される多数の医薬品は、その薬効、病名および成分のうちの少なくとも一つの特性の観点より予め分類(グループ化)されており、医薬品データベース2cの検索結果として、同一グループに属する複数の医薬品が抽出されることにある。
【0025】
価格取得部2bは、複数の医薬品に関する情報を受信した医療機関端末3からの応答(医薬品選択)に基づいて、医療機関端末3によって選択された複数の医薬品に関する価格情報を取得する。上述したように、この価格情報の取得は、医薬品見積システム4と連携することによって、あるいは、医薬品見積システム4と共有された実績データベース2fを参照することによって行われる。また、価格取得部2bは、取得された価格情報に基づいて、複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成して、これを医療機関端末3に表示させる。
【0026】
医薬品データベース2cは、先行医薬品および後発医薬品を含む様々な医薬品に関する情報を医薬品毎に管理する。図3は、医薬品データベース2cの論理構成を示す図である。医薬品データベース2cは、個々の医薬品に対応した多数のレコードによって構成されており、一つのレコードは、「薬効」、「病名」、「成分」、「投与経路」、「剤形」、「規格」、「商品名」、「製造会社」、「販売包装単位」および「薬価」といったフィールドで構成されている。「薬効」は、医薬品のききめであり、予め体系的に分類された多数の薬効表記(薬効コードを含む。)の内のいずれかが割り当てられる。「病名」は、病気の名称であり、予め体系的に分類された多数の病名表記(病名コードを含む。)の内のいずれかが割り当てられる。「成分」は、医薬品に含まれる成分であり、予め体系的に分類された多数の成分表記(成分コードを含む。)の内のいずれかが割り当てられる。「投与経路」は、例えば、内服薬(内用)、外用剤、注射薬といった如く、医薬品を体内に送り込むための経路である。「剤形」は、例えば、錠剤、カプセルといった如く、患者に使用するために加工が施されている薬の形である。「規格」は、例えば、10mg1瓶、5mg1錠といった如く、医薬品の規格単位である。「商品名」は、医薬品の商品名であり、「製造会社」は、その製造元である。「販売包装単位」は、医薬品を包装する最小の包装単位である。「薬価」は、医薬品の公定価格である。
【0027】
また、医薬品データベース2cは、医薬品の薬効、病名、成分といった特性の観点より、同一特性である複数の医薬品をグループ化して管理する。図4は、医薬品データベース2cにおける医薬品グループの説明図である。例えば、薬効の観点では、「薬効1」に分類される医薬品A,Bは同一グループに属する。また、病名の観点では、「病名2」に分類される医薬品A,Cは同一グループに属する。さらに、成分の観点では、「成分3」に分類される医薬品A,Dは同一グループに属する。なお、本実施形態では、薬効、病名、成分といった3つの特性のそれぞれについて、医薬品をグループ化しているが、これら3つのうちの少なくとも一つの特性についてグループ化されていれば足りる。
【0028】
医療機関データベース2dは、医療機関に関する情報を医療機関毎に管理する。医療機関に関する情報としては、医療機関の名称(医療機関コードを含む。)、規模(病院/診療所の区別、病床数)、地域(医療機関の所在地)などが挙げられる。また、卸売業者データベース2eは、医薬品の卸売業者に関する情報を卸売業者毎に管理する。卸売業者に関する情報としては、卸売業者の会社名(卸売業者コードを含む。)、取扱商品名、販売包装単位、標準提示価格などが上げられる。さらに、実績データベース2fは、医薬品に関する過去の見積りに関する実績を蓄積しており、その内容を見積案件毎に管理する。実績データベース2fは、常に最新の内容になるように、医療品見積システム4との連携によって随時更新される。なお、実績データベース2fの蓄積内容は、過去の見積りに関する実績に代えて、過去の取引に関する実績であってもよい。
【0029】
図5は、医薬品検索サーバ2において実行される医薬品検索の手順を示すフローチャートである。まず、ステップ1において、検索者が操作する医療機関端末3によって指定された医薬品の検索条件が受信・取得される。この検索条件には、メイン検索条件と、サブ検索条件の2種類が存在する。メイン検索条件には、医薬品の薬効、病名、成分の3つが存在し、これらのうちの少なくとも一つが検索者によって任意に指定される。一方、サブ検索条件は、メイン検索条件に合致した医薬品を絞り込むためのもので、投与経路、剤形、規格の3つが存在し、これらのうちの少なくとも一つが検索者によって任意に指定される。
【0030】
ステップ2において、検索処理部2aは、ステップ1で取得された検索条件を入力として医薬品データベース2cを検索する。これによって、同一のグループに属する複数の医薬品が抽出される。そして、ステップ3において、検索処理部2aは、ステップ2で抽出された複数の医薬品に関する情報(検索結果)を医療機関端末3に送信され、検索者に提示される。医薬品に関する情報としては、医薬品データベース2cより抽出された、医薬品の薬効、病名、成分、投与経路、剤形および規格が含まれる。
【0031】
図6は、医療機関端末3における複数の医薬品に関する情報(検索結果画面)の表示例を示す図である。同図の例は、メイン検索条件の病名として「頭痛」を指定した場合を示す。頭痛に効くものとしては「成分A」~「成分C」が3つの存在し、「+」、「-」の表示をクリックすることで、それぞれに関する詳細情報の表示/非表示が切り替わる。「成分A」については、投与経路として「内用」および「注射」が存在し、その内の「内用」については、剤形として「錠剤」および「カプセル」が存在し、さらに、その内の「錠剤」については、規格として「規格1」および「規格2」が存在する。そして、「規格1」については、「商品a」および「商品b」が存在する。検索者は、各項目に対応したチェック記号を追加または削除することで、価格取得の対象となる医薬品を見直していく。
【0032】
ステップ4において、価格取得の対象となる医薬品が見直されたか否かが判定される。上述したチェック記号の追加または削除によって医薬品が見直された場合、検索処理部2aは、見直された検索条件に従って医薬品データベース2cを検索し、検索者に検索結果を再度提示する(ステップ1~3)。
【0033】
一方、医療機関端末3からの応答に基づいて、価格取得の対象となる医薬品が確定した場合、ステップ5に進む。ステップ5において、価格取得部2bは、検索者によって選択された複数の医薬品に関する価格情報を取得する。価格情報は、以下の取得方法によって取得される。
【0034】
すなわち、複数の医薬品見積システム4に対して、複数の医薬品の見積りを一斉に依頼する方法である。具体的には、まず、検索者によって選択された複数の医薬品のそれぞれについて、卸売業者データベース2eを参照することによって、これを取り扱っている卸売業者が個別に特定される。つぎに、卸売業者が管理する医薬品見積システム4のそれぞれに対して、特定の医薬品に関する見積りが依頼される。そして、それぞれの医薬品見積システム4から見積価格を随時受け取り、これらの見積価格が複数の医薬品の価格情報として採用される。この方法は、見積りの依頼から回答までにタイムラグが生じるものの、信頼性の高い価格情報を取得できるというメリットがある。
【0037】
ステップ6において、価格取得部2bは、ステップ5で取得された価格情報に基づいて、複数の医薬品の薬価差益を対比可能な価格画面を生成する。そして、ステップ7において、この価格画面が医療機関端末3に送信され、検索者に提示されることによって、一連の処理が終了する。
【0038】
図7は、医療機関端末3における価格画面の表示例を示す図である。同図に示すように、規格に表示する差益額(薬価差益)は、その規格に該当する商品のうち、最大の差益額となるものが表示される。具体的には、「規格1」には、差益額が100円の商品aと、差益額が95円の商品bとが存在し、前者の方が差益額が大きいので、「規格1」の差益額は100円と表示されることになる。なお、検索者の利便性をたかるために、表示リストにおける商品の表示順序は、差益額順で並べ替えることができる。また、価格画面の薬価差益は、上記のような差益額として表記してもよいが、差益率(例えば○%)で表記してもよい。
【0039】
このように、本実施形態によれば、医薬品検索サーバ2が備える医薬品データベース2cの検索条件として、このデータベース2cにおける同一特性の医薬品グループを抽出するための検索項目を含む複数種類の検索項目が予め用意されている。医療機関サーバ2は、医療機関端末3(検索者)によって指定された検索条件に合致するものとして医薬品データベース2cより抽出された医薬品に関する情報を医療機関端末3に送信する。医薬品に関する情報の送信は、医療機関端末3側による検索条件の見直しを許容しながら、医療機関端末3側が価格取得の対象となる医薬品を確定するまで繰り返される。そして、価格取得の対象となる医薬品が確定した旨の医療機関端末3からの応答に基づいて、医薬品検索サーバ2は、医薬品見積システム4に見積もりを依頼し、この医薬品見積システム4より取得した見積価格を医療機関端末3に送信する。これにより、フォーミュラリー等が目的とする最適かつ安価な医薬品の代替によるコスト削減効果の度合いを医療機関に負担を掛けることなく、かつ、信頼性の高い見積価格に基づいて提示できると共に、医療機関にとっては、最適および安価といった視点で代替すべき医薬品の検討を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 医薬品検索システム
2 医薬品検索サーバ
2a 検索処理部
2b 価格取得部
2c 医療品データベース
2d 医療機関データベース
2e 卸売業者データベース
2f 実績データベース
3 医療機関端末
4 医薬品見積システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7