(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】グリストラップの管理装置、管理方法、及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240701BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20240701BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240701BHJP
H04M 11/00 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/12
G08B21/24
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2020021827
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(73)【特許権者】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 賢一
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 隆行
(72)【発明者】
【氏名】浅木 清史
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152064(JP,A)
【文献】特開2019-109835(JP,A)
【文献】特開2005-122447(JP,A)
【文献】特開平07-059718(JP,A)
【文献】特開2019-053401(JP,A)
【文献】特開2008-082661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08B 21/24
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得する取得部と、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得する推移取得部と、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力する出力制御部と、
前記推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を前記店舗毎に推定する推定部と、
複数の前記店舗のうち、前記汚れの程度が第一の閾値を超えた前記店舗を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が所定の上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定するスケジューリング部と、を備え
、
前記出力制御部が、前記スケジュールを含む前記清掃情報を清掃業者の情報処理装置に送信する管理装置。
【請求項2】
前記グリストラップから排出される排水の濁度を検出する濁度検出部と、
前記推移情報に基づいて前記汚れの程度が低減した場合に清掃が行われたことを検出し、当該清掃時に前記排水の濁度が第三の閾値以上となった場合に、不正な清掃が行われたと判定する清掃判定部と、
を備える請求項
1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記グリストラップから排出される排水の濁度を検出する濁度検出部と、
前記排水中にコーヒーの粉が懸濁している状態で前記濁度検出部で検出した結果を規定値として予め定め、実際の前記排水の濁度を前記濁度検出部で検出した結果が、前記規定値と一致した場合に、コーヒーの粉が排出されていることを検出するコーヒー粉検出部と、
を備える請求項
1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記汚れの程度に基づいて、前記清掃の料金を算出する料金算出部を備える請求項1~3の何れか一項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記料金算出部は、前記汚れの程度
が上限値に達した時点で清掃を行う場合の料金を標準料金とし、前記汚れの程度が第二の閾値を越え、上限値よりも低い時点で清掃を行った場合に標準料金よりも割安な料金として前記清掃の料金を算出する請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
店舗に備えられた店舗側端末と、ネットワークを介して前記店舗側端末と接続する管理装置とを有する管理システムであって、
前記店舗側端末が、当該店舗に設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を前記管理装置へ送信する汚濁情報送信部を備え、
前記管理装置が、
前記店舗側端末から前記汚濁度情報を取得する取得部と、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得する推移取得部と、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力する出力制御部と、
前記推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を前記店舗毎に推定する推定部と、
複数の前記店舗のうち、前記汚れの程度が第一の閾値を超えた前記店舗を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が所定の上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定するスケジューリング部と、を備え、
前記出力制御部が、前記スケジュールを含む前記清掃情報を清掃業者の情報処理装置に送信する
管理システム。
【請求項7】
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得するステップと、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得するステップと、
前記推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を前記店舗毎に推定するステップと、
複数の前記店舗のうち、前記汚れの程度が第一の閾値を超えた前記店舗を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が所定の上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定するステップと、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報であって
前記スケジュールを含む前記清掃情報を清掃業者の情報処理装置に送信するステップと、
をコンピュータが実行する管理方法。
【請求項8】
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得するステップと、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得するステップと、
前記推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を前記店舗毎に推定するステップと、
複数の前記店舗のうち、前記汚れの程度が第一の閾値を超えた前記店舗を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が所定の上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定するステップと、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報であって
前記スケジュールを含む前記清掃情報を清掃業者の情報処理装置に送信するステップと、
をコンピュータに実行させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリストラップの管理装置、管理方法、及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲食物を提供する店舗(飲食店)において、情報集積装置がグリストラップ内の油塵の堆積量を検出してサーバに送信し、サーバがユーザのスマートフォンにメンテナンス情報を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、メンテナンス情報をユーザに送信することでユーザに清掃を促すようにしているが、ユーザが適切に清掃するとは限らないという問題があった。グリストラップの清掃を怠り、グリストラップが詰まると、排水できなくなるため、適切にグリストラップを清掃する必要があるが、頻繁に清掃すると、店舗の負担が大きくなるため、詰まらない程度に最低限の清掃しか行われないことがあった。
【0005】
また、フードコートのように、複数の店舗(飲食店)が同一の施設内に設けられている場合、何れかの店舗でグリストラップが詰まって、共有部分に漏水すると、他の店舗にも被害が及ぶので、他の店舗のことであっても清掃の懈怠を看過できない。また、グリストラップまでを店舗側の責任で清掃し、グリストラップ以降の排水管を施設側の責任で清掃する場合、店舗側でグリストラップを適切に清掃せず、スプレーガン等を用いて、グリストラップに堆積した油塵を下流側の排水管へ強制的に排出し、施設側に清掃の責任を押し付けるといった不正な清掃も行われていた。この場合、本来グリストラップで取り除かれるべき油塵が下流側の排水管へ大量に流れ込むので、埋設された排水管が詰まる等の甚大な被害が生じることがある。
【0006】
また、グリストラップの清掃は、店舗の営業時間外に行うことになるため、深夜に行われることが多い。更に、店舗側は、グリストラップが詰まりそうになってから清掃を依頼することが多いため、清掃業者は、急に呼び出されて深夜に作業することになり、作業効率が悪く、手抜き等の不正な清掃が行われる要因となっていた。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、グリストラップの清掃が適切に行われるように管理する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の管理装置は、
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得する取得部と、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得する推移取得部と、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力する出力制御部と、を備えた。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の管理システムは、
店舗に備えられた店舗側端末と、ネットワークを介して前記店舗側端末と接続する管理装置とを有し、
前記店舗側端末が、当該店舗に設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を前記管理装置へ送信する汚濁情報送信部を備え、
前記管理装置が、
前記店舗側端末から前記汚濁度情報を取得する取得部と、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得する推移取得部と、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力する出力制御部と、を備えた。
【0010】
前記管理装置は、前記推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を前記店舗毎に推定する推定部と、
複数の前記店舗のうち、前記汚れの程度が第一の閾値を超えた前記店舗を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が所定の上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定するスケジューリング部と、を備え、
前記出力制御部が、前記スケジュールを含む前記清掃情報を清掃業者の情報処理装置に送信してもよい。
前記管理装置は、
前記グリストラップから排出される排水の濁度を検出する濁度検出部と、
前記推移情報に基づいて前記汚れの程度が低減した場合に清掃が行われたことを検出し、当該清掃時に前記排水の濁度が第三の閾値以上となった場合に、不正な清掃が行われたと判定する清掃判定部と、を備えてもよい。
前記管理装置は、
前記グリストラップから排出される排水の濁度を検出する濁度検出部と、
前記排水中にコーヒーの粉が懸濁している状態で前記濁度検出部で検出した結果を規定値として予め定め、実際の前記排水の濁度を前記濁度検出部で検出した結果が、前記規定値と一致した場合に、コーヒーの粉が排出されていることを検出するコーヒー粉検出部と、
を備えてもよい。
【0011】
前記管理装置は、前記汚れの程度に基づいて、前記清掃の料金を算出する料金算出部を備えてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の管理方法は、
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得するステップと、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示す推移情報を取得するステップと、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力するステップと、
をコンピュータが実行する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の管理プログラムは、
店舗にそれぞれ設けられたグリストラップに係る汚れの程度を示す汚濁度情報を取得するステップと、
取得した前記汚濁度情報に基づいて前記店舗毎に前記グリストラップの汚れの推移を示
す推移情報を取得するステップと、
前記推移情報に基づいて、前記グリストラップの清掃に関する清掃情報を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、グリストラップの清掃が適切に行われるように管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】汚濁度情報を店舗毎に記憶したデータテーブルの一例を示す図である。
【
図7】コンピュータの装置構成の一例を示す図である。
【
図8】管理サーバが、管理プログラムに基づいて実行する管理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈システム構成〉
本発明の実施形態について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係るグリストラップの管理システム1は、管理サーバ11、店舗側端末12を有している。管理サーバ11は、ネットワークNを介して、店舗側端末12や、ユーザ端末13、清掃業者サーバ14と接続して通信する。なお、本実施形態では、管理システム1が、ユーザ端末13や、清掃業者サーバ14を含まない構成としたが、これに限らず、管理システム1が、ユーザ端末13や、清掃業者サーバ14を含んでもよい。
【0017】
店舗側端末12は、店舗2に備えられた情報処理装置である。店舗2は、飲食物を提供する店(飲食店)である。店舗2の種類は、特に限定されるものではないが、例えばラーメン屋、ステーキ屋、カレー屋、パン屋、喫茶店、コーヒーショップ等である。本実施形態では、複数の店舗が、同一の商業施設20内に設けられ、所謂フードコートを構成している。各店舗2は、厨房を有し、厨房の排水から油塵を取り除くためのグリストラップ21を備えている。各店舗2のグリストラップから排出された排水は、複数の店舗2で共通の排水管29を通って、不図示の排水本管に導かれる。
【0018】
本実施形態の管理システム1は、各店舗に設けられたグリストラップ21について管理する。そして、各店舗2のグリストラップにおける汚れの程度に応じ、グリストラップの清掃が必要と判断した場合は、複数の店舗2のグリストラップ21をまとめて清掃するスケジュールを立てて、清掃業者に連絡する。このように複数の店舗のグリストラップ21をまとめて清掃できるようにスケジューリングすることにより、効率良くグリストラップ21の清掃を行えるようにすることで、不正な清掃が行われることを防止する。
〈構成要素の説明〉
図2は、グリストラップ21の概略構成図である。グリストラップ21は、厨房から排出される排水から油分を取り除くことで、排水の水質基準を満たすための祖集器である。
図2に示すように、グリストラップ21は、水槽本体210内に、バスケット211、仕切板212~214、トラップ管215、センサ22を有している。
【0019】
仕切板212,214は、水槽本体210の上部から下方に向けて途中部まで設けられ、水槽本体210の底面219との間に空隙を設けて排水の流路としている。また、仕切板213は、水槽本体210の底面219に立設され、水槽本体210内に溜まる排水290の水面29Aよりも低い位置を仕切り、その上端から水面までの間を排水の流路としている。
【0020】
本実施形態のグリストラップ21は、水槽本体210の側壁217と仕切板212で仕切られる部分を第一槽201、仕切板212と仕切板214で仕切られる部分を第二槽202、仕切板214と水槽本体210の側壁218で仕切られる部分を第三槽203とした、三槽式となっている。
【0021】
第一槽201の側壁217には、厨房からの排水が流れ込む流入口216が設けられ、流入口216の下方にバスケット211が配置されている。また、第三槽203の側壁にはトラップ管215が設けられている。トラップ管215は、下流側の排水管291と接続する横行管25Aを有し、横行管25Aの側壁218と反対側の端部には、下方に向けて延設された下向管25Bを有している。下向管25Bは、下端に開口(排出口)25Cを有し、上端に蓋25Dを有している。
【0022】
流入口216から流入した排水は、バスケット211を介して第一槽201に入り、バスケット211を通過する際に残飯や楊枝等の比較的大きな固形物が濾しとられ、砂や泥等の細かな沈下物は、汚泥として第一槽201の底部に堆積する。
【0023】
排水が第一槽201から第二槽202へ流れ、仕切板213を越えて更に仕切板214の下端と底面219との間を通り第三槽203へ流れる過程で、当該排水中に含まれる油分が、比重差によって水分と分離して浮上し、主に第二槽202の上部に積層する。第二槽202で分離しきれなかった油分は、第三槽の上部にも溜まるが、第三槽203において排水が排出されるトラップ管下端の排出口25Cが、水面よりも充分に下側に設けられているため、比重差によって油分が分離した排水がトラップ管215を通って排水管291へ排出される。
【0024】
グリストラップ21が適切に清掃された状態であれば、上記のように排水が仕切板212~214の間を流れる際に油分が分離し、グリストラップ21から排出される排水の水質基準が満たされる。しかしながら、清掃を怠り、油分や汚泥が堆積し過ぎると、グリストラップ21に入る排水の量が減り、比重差が働きにくくなって、油分が分離しきれずに排水が下流側排水管291へ排出されてしまう。このためグリストラップ21内にセンサ22を設けて、汚れの程度を管理している。
【0025】
図2において、複数のセンサ221は、第一槽201において側壁217の下端から高さ方向に配列され、第一槽201の底部に堆積する汚泥の量を検出する。複数のセンサ222は、第三槽203において仕切板214の上部から高さ方向の中間部にかけて配列され、第三槽203の上部に積層する油分の量を検出する。センサ223は、トラップ管215内に設けられ、トラップ管215を通って排出される排水の濁度を検出する。
【0026】
図3は、センサ221,222の一例を示す図である。センサ221,222は、筐体22Aの検出面側に電極22Bが設けられ、電極22Bに発振回路22C、検出回路22D、出力回路22Eを備えた静電容量型のセンサである。
【0027】
発振回路22Cは、センサ221,222の検出面に誘電体が近接する又は離脱することで、発振又は発振を停止するように電極22Bに電圧を印加するRC発振型の回路である。検出回路22Dは、発振回路22Cが発振しているか否かを検出し、この検出結果を
出力回路22Eが出力する。検出面に排水が接している場合と、汚泥や油塵が接している場合とで、静電容量が異なるため、これに応じて汚泥や油塵が接しているか否かを検出する。また、センサ221,222は、高さを変えて複数配列されているため、どの位置のセンサ221,222で汚泥や油塵を検出したのかによって、汚泥や油塵の量、即ち汚れの程度を検出する。なお、
図3では、静電容量式のセンサの例を示したが、センサ221,222は、静電容量式に限らず、汚泥や油塵の有無を検出できる方式のセンサであればよい。
【0028】
図4は、濁度センサ223の一例を示す図である。濁度センサ223は、光源23Aや、受光部23B,23Cを有している。受光部23Bは、被測定部23Dを透過した光を測定し、受光部23Cは、被測定部23Dに存在する物質によって散乱した光を測定する。被測定部23Dを通る排水の汚れの程度が高く、被測定部23Dに存在する物質が多ければ受光部23Bで受光する透過光は少なくなり、受光部23Cで受光する散乱光は多くなる。一方、被測定部23Dを通る排水の汚れの程度が低く、被測定部23Dに存在する物質が少なければ受光部23Bで受光する透過光は多くなり、受光部23Cで受光する散乱光は少なくなる。これにより、濁度センサ223は、グリストラップ21から排出される排水の汚れの程度を検出する。
【0029】
図1に示すように、店舗側端末12は、グリストラップ21に取り付けられたセンサ22と接続され、汚れの程度を検出する。店舗側端末12は、グリストラップ21における汚れの程度をセンサ22で検出し、この検出結果を汚濁度情報として管理サーバ11へ送信する汚濁情報送信部121を備えている。
【0030】
図5は、管理サーバ11の機能ブロック図である。管理サーバ11は、取得部111や、推移取得部112、推定部113、スケジューリング部114、清掃判定部115、料金算出部116、出力制御部117を備えている。
【0031】
取得部111は、各店舗の店舗側端末12から汚濁度情報を取得し、記憶部に記憶する。
図6は、汚濁度情報を店舗毎に記憶したデータテーブルの一例を示す図である。
図6に示すデータテーブルは、店舗IDや、検出日時、汚濁度情報を有している。店舗IDは、店舗を一意に識別するための識別情報である。検出日時は、汚濁度情報を検出した日時を示す情報である。なお、
図6の例では、店舗毎に一つのグリストラップ21ついて汚濁度情報を記憶したが、店舗に複数のグリストラップ21が備えられている場合、例えば、複数のグリストラップ21のうち、最も高い汚濁度を記憶するようにしてもよいし、グリストラップ毎に汚濁度を記憶してもよい。
【0032】
推移取得部112は、取得した汚濁度情報に基づいて店舗毎にグリストラップ21の汚れの推移を示す推移情報を取得する。
【0033】
推定部113は、推移取得部112で取得した推移情報に基づいて現時点以後に進行する汚れの程度を店舗毎に推定する。
【0034】
スケジューリング部114は、清掃が必要な汚れの程度(上限値)を予め定めておき、各店舗2について推定部113で推定した汚れいの程度が、清掃が必要な汚れの程度に達する日に当該店舗2のグリストラップ21を清掃するようにスケジュールを決定する。また、スケジューリング部114は、複数の前記店舗のうち、汚れの程度が第一の閾値を超えた店舗2を第一の店舗とし、当該第一の店舗の汚れの程度が前記上限値に達すると推定される時点で前記汚れの程度が第二の閾値を超えると推定される前記店舗を第二の店舗とし、前記第一の店舗及び前記第二の店舗に設けられた前記グリストラップをまとめて清掃するスケジュールを決定する。なお、第一の閾値は、例えば、一週間以内に汚れの程度が
上限に達する推定される程度の値とすることが挙げられる。第二の閾値は、第一の閾値と同じ値であってもよいし、第一の閾値よりも低い値であってもよく、例えば、一か月以内に汚れの程度が上限に達する推定される程度の値とすることが挙げられる。
【0035】
清掃判定部115は、推移取得部112で取得した推移情報に基づき、汚れの程度が低減した場合に清掃が行われたことを検出し、当該清掃時に排水の濁度が第三の閾値以上となった場合に、不正な清掃が行われたと判定する。
【0036】
料金算出部116は、清掃を行う店舗について、清掃を行う時点のグリストラップ21の汚れの程度に基づいて、清掃の料金を算出する。例えば、汚れの程度が上限値に達した時点で清掃を行う場合の料金を標準料金とし、汚れの程度が第二の閾値を越え、上限値よりも低い時点で清掃を行った場合に標準料金よりも割安な料金とする。
【0037】
出力制御部117は、推移情報に基づいて、グリストラップ21の清掃に関する清掃情報を出力する。清掃情報は、例えば、清掃のスケジュールや、清掃の料金、不正な清掃が行われた場合の警告などを含んでもよい。
図7は、コンピュータの装置構成の一例を示す図である。管理サーバ11、店舗側端末12、ユーザ端末13、及び清掃業者サーバ14は、
図7に示すような情報処理装置(コンピュータ)1000である。コンピュータ1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バス
1007を備えている。CPU1001は、プログラムを実行することにより本実施の形態で説明する処理を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を展開したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。通信IF1004は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ又はタッチパネル等である。ドライブ装置1006は、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の記録媒体に記録されたデータを読み出したり、記録媒体にデータを書き込んだりする。以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素は複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、ドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい。コンピュータ1000は、CPU1001が、補助記憶装置1003に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。例えば、店舗側端末12であれば、CPU1001は、汚濁情報送信部121の機能を実現する。また、管理サーバ11であれば、CPU1001は、取得部111や、推移取得部112、推定部113、スケジューリング部114、清掃判定部115、料金算出部116、出力制御部117の機能を実現する。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管理サーバ11は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
<管理方法>
図8は、管理サーバ11が、管理プログラムに基づいて実行する管理方法を示す図である。管理サーバ11は、電源が投入されると、
図8の処理を開始し、電源が切断されるま
で周期的に実行する。
【0038】
ステップS10にて、管理サーバ11は、店舗にそれぞれ設けられたグリストラップ21に係る汚れの程度を示す汚濁度情報を店舗側端末12から取得する。
【0039】
ステップS20にて、管理サーバ11は、ステップS10で取得した汚濁度情報を補助記憶装置1003に格納されたデータテーブルに記憶させる。
【0040】
ステップS30にて、管理サーバ11は、汚濁度情報のデータテーブルを参照し、所定期間に変化した汚濁度を推移情報(汚れの推移)として求める。例えば、単位期間(例えば一週間)あたりの汚濁度の変化量を所定期間(例えば三週間)に渡って求めて推移情報とする。
【0041】
ステップS40にて、管理サーバ11は、各店舗2におけるグリストラップの汚れの程度(汚濁度)が第一の閾値を越えたか否かを判定する。
【0042】
ステップS40で肯定判定の場合、管理サーバ11は、ステップS50へ移行し、ステップS40で汚濁度が第一の閾値を越えたと判定した店舗を抽出し、当該店舗の汚濁度がステップS30で求めた推移情報と同様に推移(増加)するとして、汚濁度が上限値に達する日を清掃日として求める。なお、複数の店舗の汚濁度が第一の閾値を越えている場合、このうち最も早く汚濁度が上限値に達する日を清掃日とする。
【0043】
ステップS60にて、管理サーバ11は、ステップS50で求めた清掃日までに、汚濁度が第二の閾値を越えると推定される店舗2を抽出する。
【0044】
ステップS70にて、管理サーバ11は、ステップS40で抽出した第一の店舗2とステップS50で抽出した第二の店舗のグリストラップをまとめて前記清掃日に清掃するスケジュールを決定する。
【0045】
ステップS80にて、管理サーバ11は、ステップS70で決定したスケジュールを含む清掃情報を清掃業者サーバ14へ送信する。
【0046】
ステップS80の後、又はステップ40で否定判定の場合に、管理サーバ11は、ステップS90へ移行し、各店舗について、所定期間(例えば、直近の24時間)内に、清掃が行われたか否か、例えば汚濁度が所定値以上低下したか否かを判定する。
【0047】
ステップS90で肯定判定の場合、管理サーバ11は、清掃時における濁度センサ223の検出結果が、第三の閾値以上か否かを判定する。
【0048】
ステップS90で肯定判定の場合、管理サーバ11は、ステップS100へ移行し、店舗側端末12や、清掃業者サーバ14、管理サーバ11の担当者の端末(不図示)に、不正な清掃が行われたことを示す警告を清掃情報として送信する。
【0049】
ステップS110にて、管理サーバ11は、清掃を行う店舗について、ステップS40で求めた清掃日の汚濁度を推定し、当該汚濁度に基づいて店舗2毎の清掃料金を算出する。
【0050】
ステップS120にて、管理サーバ11は、ステップS70で決定したスケジュールや、ステップS110で算出した清掃料金を含む清掃情報を求め、清掃を行う店舗2の店舗側端末12へ送信する。
【0051】
このように本実施形態によれば、複数の店舗2のグリストラップをまとめて清掃するようにスケジューリングするので、効率良くグリストラップ21の清掃を行うことができるようにし、不正な清掃が行われることを抑制できる。
【0052】
また、複数の店舗のグリーストラップをまとめて清掃する際、汚れの程度が上限値に達していない場合、汚れの程度に応じて標準料金よりも割安な清掃料金となるため、早めに清掃を行ってもコストの増加を抑えることができる。
【0053】
また、汚濁度が低下した場合に清掃が行われたことを検出し、この清掃時にトラップ管215を通る排水の濁度が第三の閾値を越えた場合、汚泥や油塵を取り除かずに下流側の排水管へ流すといった不正な清掃が行われたものとして警告を発する。これにより、不正な清掃が行われないように注意喚起でき、適切な清掃を促すことができる。
〈変形例〉
図9は、管理サーバ11の変形例を示す図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、コーヒーの粉が大量に流されたことを検出する構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略している。
【0054】
コーヒーの粉は、バスケット211で取り除くことができず、大量に流されると沈殿しきれずに下流側の排水管へ流入し、排水管を詰まらせてしまう。このため、コーヒーショップ等でコーヒーの粉が排水管へ流されるのを防止することが重要である。
【0055】
図9に示すように、本変形例の管理サーバ11は、コーヒー粉検出部118を備えている。コーヒー粉検出部118は、排水中にコーヒーの粉を懸濁させた状態で当該排水の濁度を濁度センサ223によって検出し、検出した結果を規定値として予め定める。例えば所定量(例えば1L)の排出中に、許容できる量のコーヒー粉を懸濁させた状態から最大限懸濁させた状態まで、コーヒー粉の量を変え、この懸濁したコーヒー粉の量毎に、受光部23Bで測定した透過光と受光部23Cで測定した散乱光の割合を求め、この割合を規定値とし、実際の排水で検出した透過光と散乱光の割合と、透過光の値が同じ規定値の割合とが一致した場合に、コーヒーの粉が排出されているとを検出する。なお、本例において一致するとは、厳密に同じ値になることに限らず、所定の許容範囲内に近づいた場合に一致したと判定してよい。
【0056】
図10は、本変形例に係る管理方法の説明図である。管理サーバ11は、電源が投入されると、
図10の処理を開始し、電源が切断されるまで周期的に実行する。
【0057】
図10において、ステップS10~S100,S110,S120は前述の
図8と同じである。
【0058】
ステップS100の後、管理サーバ11は、ステップ103にて、濁度センサ223の検出結果を取得し、規定値を比較して一致するか否かを判定する。
【0059】
ステップS103で肯定判定であれば、管理サーバ11は、ステップS105にてコーヒー粉が流されたことを示す警告を店舗側端末12や管理サーバ11の担当者の端末(不図示)に送信する。
【0060】
このように、本変形例では、コーヒー粉が排水に流されたことを検出し、警告を発するので、コーヒー粉を排水に流さないように注意喚起でき、次回清掃を繰り上げるなど適切な清掃を促すことができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :管理システム
11 :管理サーバ
12 :店舗側端末
13 :ユーザ端末
14 :清掃業者サーバ
20 :商業施設
21 :グリストラップ