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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】茹で麺調理支援装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20240701BHJP
【FI】
A23L7/109 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020024801
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126100
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591052125
【氏名又は名称】日本洗浄機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】中田 吉則
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟史
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261491(JP,A)
【文献】登録実用新案第3019516(JP,U)
【文献】特開2005-110625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0184694(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茹でた麺の仕上げ調理の前処理を操作者が行う茹で麺調理支援装置(A、B)であって、
麺カゴ(52)に入った茹で上がった麺(51)に水をかける粗熱取りユニット(10)と、
その麺を冷水に浸ける麺締めユニット(20)と、その麺に付着した水を取り除く水切りユニット(30)と、
これらのユニット(10,20,30)を制御して麺の調理の前処理をする制御部と、
操作表示パネル(41,42)とを備え、
前記操作表示パネルは、操作者の操作により粗熱取りユニット(10)に流水を注ぐ手動粗熱取りスイッチ(428a、428b)と、操作者の操作により麺締めユニット(20)の冷水タンク(21)内の冷水にエアーを吹き込む手動麺締めスイッチ(428c)とを備え、
前記制御部(40)は、前処理開始の準備が整うことを条件に、
1-1)前記粗熱取りユニット(10)に麺カゴ(52)が装着されると、前記粗熱取りユニット(10)に前記茹でた麺の粗熱取り処理(S800)を行わせ、
1-2)次いで、前記麺カゴ(52)が前記粗熱取りユニット(10)から脱着されて前記麺締めユニット(20)の処理準備が整うと、前記麺締めユニット(20)に前記麺の麺締め処理(S1000)を行わせ、
1-3)さらに、前記麺カゴ(52)が前記麺締めユニット(20)から脱着されて前記水切りユニット(30)に装着されると、前記水切りユニット(30)に水切り処理(S1100)を行わせ、終了するとこれを報知して、
茹でた麺の前処理を一連で行う機能を有するとともに、
1-4)操作者の選択により、前記手動粗熱取りスイッチ又は手動麺締めスイッチを入れることを契機としてそれぞれ粗熱取り処理又は麺締め処理を単独で行う処理に切り替わる(S1300,S1400)、茹で麺調理支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の茹で麺調理支援装置(A、B)であって、
前記操作表示パネルは、
麺締めユニット(20)の冷水タンク(21)内の冷水を水温センサー(S3)で測定した温度を表示する冷水温度表示部(423)と、
前記冷水が適温であることを表示する冷水温度適正ランプ(41c)と、
前記冷水が適温でないことを表示する冷水温度警告ランプ(41d)と、を備え
前記制御部(40)は、さらに、
待機時に麺締めユニット(20)に冷水の攪拌を行わせるとともに、
前記水温センサー(S3)の情報に基づき、前記冷水タンク内の水温の適否を管理温度と比較し、その適否と水温をそれぞれ冷水温度適正ランプ(41c)、冷水温度警告ランプ(41d)、冷水温度表示部(423)に表示して操作者に報知する、
茹で麺調理支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の茹で麺調理支援装置(A)であって、
前記粗熱取りユニット(10)及び麺締めユニット(20)は、複数の麺カゴ52(52)を同時に取り扱うことができる麺カゴホルダー(12a1、12a2、26a1、26a2)をそれぞれ備える、茹で麺調理支援装置。
【請求項4】
茹で麺の調理の前処理を行う茹で麺調理支援装置(A、B)の制御方法あって、
前記茹で麺支援装置は、
麺カゴ(52)に入った茹で上がった麺(51)に水をかける粗熱取りユニット(10)と、
その麺を冷水に浸ける麺締めユニット(20)と、その麺に付着した水を取り除く水切りユニット(30)と、
これらのユニット(10,20,30)を制御して麺の調理の前処理をする制御部(40)と、 操作表示パネル(41,42)とを備え、
前記操作表示パネルは、操作者の操作により粗熱取りユニット(10)に流水を注ぐ手動粗熱取りスイッチ(428a、428b)と、操作者の操作により麺締めユニット(20)の冷水タンク(21)内の冷水にエアーを吹き込む手動麺締めスイッチ(428c)とを備え、
前記制御部(40)は、前処理開始の準備が整うことを条件に、
4-1)前記粗熱取りユニット(10)に麺カゴ(52)が装着されると、前記粗熱取りユニット(10)に前記茹でた麺の粗熱取り処理を行わせるステップと、
4-2)次いで、前記麺カゴ(52)が前記粗熱取りユニット(10)から脱着されて前記麺締めユニット(20)の処理準備が整うと、前記麺締めユニット(20)に前記麺の麺締め処理を行わせるステップと、
4-3)さらに、前記麺カゴ(52)が前記麺締めユニット(20)から脱着されて前記水切りユニット(30)に装着されると、前記水切りユニット(30)に水切り処理を行わせ、終了すると報知するステップとを備えるとともに、
4-4)操作者の選択により、前記手動粗熱取りスイッチ又は手動麺締めスイッチを入れることを契機としてそれぞれ粗熱取り処理又は麺締め処理を単独で行う処理に切り替わる(S1300,S1400)ステップを備える、茹で麺調理支援装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の茹で麺調理支援装置(A、B)の制御方法であって、
前記操作表示パネルは、
麺締めユニット(20)の冷水タンク(21)内の冷水を水温センサー(S3)で測定した温度を表示する冷水温度表示部(423)と、
前記冷水が適温であることを表示する冷水温度適正ランプ(41c)と、
前記冷水が適温でないことを表示する冷水温度警告ランプ(41d)と、を備え
前記制御部(40)は、さらに、
待機時に麺締めユニット(20)に冷水の攪拌を行わせるステップを備えるとともに、
前記水温センサー(S3)の情報に基づき、前記冷水タンク内の水温の適否を管理温度と比較し、その適否と水温をそれぞれ冷水温度適正ランプ(41c)、冷水温度警告ランプ(41d)、冷水温度表示部(423)に表示して操作者に報知するステップを備える、茹で麺調理支援装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹で上がった麺の仕上げ調理の前処理を行うことによりその調理を支援する茹で麺調理支援装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、ラーメン、うどん、蕎麦などの茹で上がった麺の調理の前処理として、粗熱取り、麺締め、水切りの各作業をすべて手作業で行っていた。茹で上がった麺を暖かいつゆに浸して麺の調理を仕上げるのは、麺が伸びないようにするため迅速さが要求され、いわば時間との戦いでもある。加えて、特に水切りの手作業は、麺の入ったステンレス製の麺カゴを強く振ることが求められ、肉体的な作業強度が高かった。しかも、前処理の巧拙で、味に大きな影響が出るため、品質をそろえる要請があった。
【0003】
このため、次第にこれらの作業を部分的に機械で行うようになってきた。たとえば、粗熱取り作業では、茹で終わった麺の入った麺カゴを水槽に入れ、ポンプの作る噴流により粗熱を取るとともに麺に付着した糊化した成分を落とす装置があった。
また、水切り作業では、カゴに収められている麺に真空吸引力を及ぼして麺の水を吸引する装置(特許文献1)や、減圧室で負圧を発生して麺類の水分を水槽に吸引して落とすものがあった(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、近年は、少子化などにより熟練労働力が不足し、なるべく手数をかけずに一連の処理を迅速に品質のばらつきを少なくして前処理を行いたいというニーズが加わるようになってきた。加えて、衛生上、調理者が麺に触れることがないことが望ましい。
一方、このような機械が設置される厨房の多くは空間の制約があり、できるだけ装置をコンパクトにして、他の装置などと余計な干渉がなく、調理者にとって麺の前処理がしやすいように支援をしてほしいという要請がある。
【0005】
そこで、このようなニーズや要請を背景に、茹で麺を用いて調理する際に、仕上げ調理の前処理作業が一連で行われる装置の開発が望まれた。
【0006】
茹で麺の前処理は、基本的に「粗熱を取る工程」と「麺を締める工程」「水切りをする工程」によって行われる。「麺を締める工程」は茹でた麺を暖かい汁に浸けて調理する場合は、省略されることがある。そこで、「暖かい汁」「冷たい汁」が混在しても、調理者が簡単に対応できることが望まれた。
【0007】
このため、いずれのケースであっても対応に煩雑な作業を含まずに一連の前処理作業をスムーズに行うことができる装置を開発した。一連の作業がスムーズに進行するように、複数の作業を並列処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公昭62-003034
【文献】特開2012-170388
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、茹で麺の仕上げ調理の前処理の一連の工程を茹で麺のハンドリングはユーザである調理者に委ねながら調理者の負担を軽減するとともに、一定の品質で衛生的に迅速に前処理が完了できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<解決手段1>
本例の発明は、茹でた麺の仕上げ調理の前処理を行う茹で麺調理支援装置であって、麺カゴに入った茹で上がった麺に水をかける粗熱取りユニットと、その麺を冷水に浸ける麺締めユニットと、その麺に付着した水を取り除く水切りユニットと、これらのユニットを制御して麺の調理の前処理をする制御部と、を備え、前記制御部は、前処理開始の準備が整うことを条件に、
1-1)前記粗熱取りユニットに麺カゴが装着されると、前記粗熱取りユニットに前記茹でた麺の粗熱取り処理を行わせ、
1-2)次いで、前記麺カゴが前記粗熱取りユニットから脱着されて前記麺締めユニットの処理準備が整うと、前記麺締めユニットに前記麺の麺締め処理を行わせ、
1-3)さらに、前記麺カゴが前記麺締めユニットから脱着されて前記水切りユニットに装着されると、前記水切りユニットに水切り処理を行わせ、終了するとこれを報知して、茹でた麺の前処理を一連で行う。
【0011】
このため、茹で麺を調理する調理者の負担を軽減するとともに、一定の品質で衛生的かつ迅速に前処理を完了することができる。加えて、これらの3つの工程をひとつの装置でコンパクトに実現することができる。
【0012】
<解決手段2>
前記制御部は、さらに、待機時に麺締めユニットに冷水の攪拌を行わせることが望ましい。
【0013】
このため、冷水の温度管理が容易になる。
【0014】
<解決手段3>
前記粗熱取りユニット及び麺締めユニットは、複数の麺カゴ52を同時に取り扱うことができる麺カゴホルダーをそれぞれ備えることが望ましい。
【0015】
このため、複数の麺カゴの麺を同時に粗熱取り及び麺締めをすることができ、狭いキッチンでも能率的に前処理を行うことができる。また、一方が故障した時など、バックアップをすることができる。
【0016】
<解決手段4>
本例の発明は茹で麺の調理の前処理を行う茹で麺調理支援装置の制御方法あって、前記茹で麺支援装置は、麺カゴに入った茹で上がった麺に水をかける粗熱取りユニットと、その麺を冷水に浸ける麺締めユニットと、その麺に付着した水を取り除く水切りユニットと、これらのユニットを制御して麺の調理の前処理をする制御部と、を備え、前記制御部は、前処理開始の準備が整うことを条件に、
4-1)前記粗熱取りユニットに麺カゴが装着されると、前記粗熱取りユニットに前記茹でた麺の粗熱取り処理を行わせるステップと、
4-2)次いで、前記麺カゴが前記粗熱取りユニットから脱着されて前記麺締めユニットの処理準備が整うと、前記麺締めユニットに前記麺の麺締め処理を行わせるステップと、
4-3)さらに、前記麺カゴが前記麺締めユニットから脱着されて前記水切りユニットに装着されると、前記水切りユニットに水切り処理を行わせ、終了すると報知するステップと、を備える。
【0017】
茹で麺を調理する調理者の負担を軽減するとともに、一定の品質で衛生的かつ迅速に前処理を完了することができる。
【0018】
<解決手段5>
前記記載の茹で麺調理支援装置の制御方法であって、前記制御部は、さらに、待機時に麺締めユニットに冷水の攪拌を行わせるステップを備えることが望ましい。
【0019】
このため、冷水の温度管理が容易にできる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような構成により、茹で麺の仕上げ調理の前処理の一連の工程を茹で麺のハンドリングは調理者に委ねながら調理者の負担を軽減するとともに、一定の品質で衛生的に迅速に前処理が完了できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本例の茹で麺調理支援装置Aの模式平面図である。
図2】本例の茹で麺調理支援装置Aの模式正面図である。
図3】本例の茹で麺調理支援装置Aの模式側面図である。
図4】本例の茹で麺調理支援装置Aの概略システム構成図である。
図5】本例の茹で麺調理支援装置Aの概略斜視図である。
図6】本例の茹で麺調理支援装置Aの第2操作表示パネルの説明図である。
図7】本例の茹で麺調理支援装置Aの麺カゴ及びバケットの概略斜視図である。
図8】本例の制御部の粗熱取り処理のフローチャートである。
図9】本例の制御部の麺締めタイマーリセット処理である。
図10】本例の制御部の麺締め処理のフローチャートである。
図11】本例の制御部の水切り処理のフローチャートである。
図12】本例の制御部の待機時自動冷水攪拌処理のフローチャートである。
図13】本例の制御部の手動粗熱取り処理のフローチャートである。
図14】本例の制御部の手動麺締め処理のフローチャートである。
図15】本例の制御部の一連の調理支援処理のフローチャートである。
図16】他例の茹で麺調理支援装置Bの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施の態様を図に基づいて説明する。
図1は、模式平面図、図2は、模式正面図、図3は、模式側面図であり、内部の様子が見えるように側面のパネルを取り去った状態のものである。図5は、全体概略斜視図である。
【0023】
<全体概要>
図1及び図5に示すように、本例の茹で麺調理支援装置Aは、ハウジング1の後部から、粗熱取りユニット10、麺締めユニット20、及び水切りユニット30が設けられている。
ハウジング1の後部は、背面板1bとその左右に飛沫ガード3、3が粗熱取りユニット10の粗熱取りタンク12の周囲を囲むように立ち上がって設けられ、粗熱取りユニット10で麺カゴ52にかけられる水が装置外に飛散しないようにガードされている。
図1及び図2に示すように、本例の装置Aの粗熱取りユニット10及び麺締めユニット20は、2つの麺カゴ52を同時に処理できる。
ハウジング1後部の飛沫ガード3の上面には、上部ボックス2が配置され、その前面には、第1操作表示パネル41が設けられている。また、ハウジング1前面の正面パネル1aには、第2操作表示パネル42、主電源スイッチ5が設けられている。
ハウジング1の下部には、脚部4が設けられ、本例の装置Aを移動可能にしている。
図2に示すようにハウジング1の底部には、排水口25、35と給水口6が設けられている。
【0024】
(麺カゴ)
図7に本例で用いる麺カゴ52を示す。同図(a)に示すように、麺カゴ52は、ステンレス製のワイヤを組み合わせて金網を構成し、同図(b)に示すように、そのカゴ状の箇所に麺類51を収めるとともに、把手53が上部に延びている。調理者は麺51をカゴ状の箇所に入れ、把手53をつかんでハンドリングを行う。麺カゴ52に入った麺51を熱湯につけて茹でる「麺茹で」の調理プロセスで使用される器具であるが、本例の装置Aでも同じ麺カゴ52を用いて、粗熱取り、麺締め、水切りが行われる。このため、ユーザである調理者は、最初に麺茹でをする際に麺51を麺カゴ54に投入すれば、それ以降全く麺に触れずに調理が可能であり、衛生的である。
なお、本例の粗熱取りユニット10の使用の際は、粗熱取りタンク12のカゴホルダー12a1、12a2に、同図(c)で示すように、底面に孔54bの空いたバケット54が置かれており、このバケット本体54aに、麺カゴ52に入れた麺51が収容されるように形成されている。
【0025】
<操作表示部>
(第1操作表示パネル)
ハウジング1の上部には、上部ボックス2が設けられ、その正面側に第1操作表示パネル41が設けられている。
第1操作表示パネル41は4つの表示ランプが設けられ、装置Aの状態を操作者に報知する。すなわち、粗熱取りユニット10の第1カゴホルダー12a1に麺カゴ52がセットされているかどうかを表示する第1麺カゴ検出ランプ41a、同様に、第2カゴホルダー12a2に麺カゴ52がセットされているかどうかを表示する第2麺カゴ検出ランプ41b、麺締めユニット20の冷水が適温であることを表示する冷水温度適正ランプ41c、冷水が適温でないことを表示する冷水温度警告ランプ41dである。
【0026】
説明の便宜上、第1カゴホルダー12a1は、装置の前から後に対して向かって右側のカゴホルダーをいい、第2カゴホルダー12a2は、左側のカゴホルダーをいう。第1麺カゴ検出ランプ41a及び第2麺カゴ検出ランプ42aなど、本明細書でいう2つのカゴに関するカゴホルダー、検出センサ、検出ランプ、検知ランプ、手動スイッチなどの記述も特に断りがない限り、同様である。したがって、第1麺カゴ検出ランプ41aは右カゴ検知ランプなどという場合がある。
【0027】
なお、粗熱取りタンク12がハウジング41に装着されているかどうか、すなわち、設定されているかどうかについては、これを表示するランプは第1操作表示パネル41にはないが、たとえば、第1麺カゴ検出ランプ41a及び第2麺カゴ検出ランプ41bの点滅によって行うことができる。
また、各検出ランプ41a、41b、41c、41dは、その点灯時の色は、任意に選ぶことができる。たとえば、第1麺カゴ検出ランプ41aと第2麺カゴ検出ランプ41bは検出していれば白色、冷水温度適正表示ランプ41cは青色、冷水温度警告ランプ41dは赤色、とすることができる。
【0028】
(第2操作表示パネル)
図1、2、5に示すように、ハウジング1の正面パネル1aには、第2操作表示パネル42が設けられている。図6にその拡大図を示す。
図6に示すように、第2操作表示パネル42はその上部に3つの手動作動をさせるためのスイッチが設けられている。すなわち、粗熱取りユニット10の第1カゴホルダー12a1の麺カゴ52に入っている麺51に流水を注ぐ第1手動粗熱取りスイッチ428a、同じく第2カゴホルダー12a2の麺カゴ52に入っている麺51に流水を注ぐ第2手動粗熱取りスイッチ428b、麺締めユニット20のエアーポンプ22を動作させて冷水タンク21内の冷水にエアーを吹き込む手動麺締めスイッチ428cである。
【0029】
手動スイッチ428a、428b、428cの下方には、冷水タンク21内の冷水を水温センサーS3で測定した温度を表示する冷水温度表示部423が設けられている。さらにその下には、本装置Aのいろいろな設定値をプリセットするための操作ボタン及び表示部が設けられている。すなわち、設定数値表示部427、粗熱取り(流水)、麺締め(エアー)、水切りの動作時間などの設定値を設定中であることを表示するための選択中表示ランプ426、どの設定項目の設定値を設定するかを定める設定選択ボタン424、設定値を増加させるための設定値変更ボタン(+側)425a、及び減少させるための設定値変更ボタン(-側)425b、そして、制御電源を入り切りするための電源ボタン422である。
なお、第1操作表示パネル41と第2操作表示パネル42は、制御部40と接続され、各センサーから得た情報に基づき、制御部40の制御の下、操作及び表示が行われる。
【0030】
<粗熱取りユニット>
粗熱取りユニット10は、麺カゴ54に入った茹で上がり直後の麺51に室温の流水を注いで麺51の粗熱を除去するとともに、その表面についた付着物を洗い落とすものである。茹で上がった直後の麺51は、熱湯に浸かっていたため、これを冷やして茹で過ぎを防止するとともに、食味をよくするためにその表面に残っている麺から溶け出したでんぷん質のぬめりを落とす。
【0031】
図1、2、5に示す模式図は、粗熱取りユニット10の概要を示している。粗熱取りユニット10は、ハウジング1の後部に配置されている。ハウジング1後部には上部ボックス2を支える背面板1bが配置され、その背面板1bと飛沫ガード板3で囲まれる領域に、ハウジング1の上面に開口を有する冷水タンク21がハウジング11の内部に配置されている。この背面板1bに、粗熱取りタンク12が脱着自在に支持されている。粗熱取りタンク12が装着されているかどうか、すなわち、設定されているかどうかは、粗熱取りタンク設置センサーS3検知する。粗熱取りタンク12は、後述の麺カゴ検知センサーS1a、S1bと同様な方法で、近接スイッチにより検知される。
【0032】
(粗熱取りタンク)
図1、2、5に示すように、粗熱取りタンク12は、第1カゴホルダー12a1と第2カゴホルダー12bからなり、それぞれ麺カゴ52を収容できる。使用の際は、第1カゴホルダー12a1と第2カゴホルダー12bの中にそれぞれバケット54が配置される。
【0033】
(バケット)
バケット54は、図7(c)に示すように、底面に孔が形成されて、流水を一時的にためるステンレス製の容器である。図7(b)に示すように、バケット54は,各カゴホルダー12a1、12a2の中にあらかじめ配置されており、麺カゴ52が各カゴホルダー12a1、12a2に装着される際は、図7(b)に示すように、バケット54内に麺カゴ52の下部が収容される。
そうすると、各カゴホルダー12a1、12a2の上部に配置された各流水ノズル16a1、16a2から流水が各カゴホルダー12a1、12a2に注がれてバケット54に一時的にたまる。たまった水は、バケット54の孔54bから流れ落ちて、粗熱取りタンク12の底面から排水管14を通って排水口25から装置Aの外に排水される。このように、一時的にバケット54に水をためるので、麺51に十分に流水を行き渡させることができ、粗熱取りが効率的にできる。
なお、本例では、孔54bは、4つ開けているが、これに限定するものではない。また、2つの麺カゴホルダー12a1、12a2は、装置Aの処理能力の向上を図るとともに、1系統が故障した際のバックアップとすることができる。
【0034】
(検知機構)
図2に示すように、第1カゴホルダー12a1と第2カゴホルダー12bの上部には、カゴ検知片13a1、13a2が備えられている。
麺カゴ52が各カゴホルダー12a1,12a2に装着されると、麺カゴ検知センサS1a、S1bがこれを検出する。この場合、カゴホルダー12a1、12a2に対する麺カゴ52の載置動作に応じて金属製の検知片13a1、13a2が押されて回動しこれに連動するように接続された金属製の検出片13b1、13b2が回転し、近接センサである麺カゴ検知センサS1a、S1bがこれを検出する。
この検出片13b1、13b2は、自重により通常は検知センサS1a、S1bから遠い位置にあるが、麺カゴ52がカゴホルダー26に載置される際に検知片13a1、13a2が麺カゴ52に接触して押され、連動してカゴ検知センサS1に近接して検知させるものである。
近接センサであるカゴ検知センサS1は、電磁誘導を利用した高周波発振型、磁石を用いた磁気型、静電容量の変化を利用した静電容量型など、どの方式のものを用いても差し支えない。カゴ検知センサS1は、検出片13bの近接によって出力を変化させ、カゴホルダー31に麺カゴ52が置かれて装着されたことを検出する。これと逆の脱着した場合も脱着されたことを検出する。粗熱取りタンク設定センサS2も同様である。
【0035】
(給水ノズル)
粗熱取りユニット10では、カゴホルダー12a1、12a2に入った麺51に対し、流水Wを注ぐため、カゴホルダー12a1、12a2の上部に流水ノズル16a1、16a2がそれぞれ設けられている。流水ノズル16a1、16a2は、それぞれ給水電磁弁15a1、15a2を介し、給水口6を経由して水道栓に接続することができる。
【0036】
(作用)
このような粗熱取りユニット10の構成において、麺類51の粗熱を除去するには、茹で上がり直後の麺類51を収めた麺カゴ52を粗熱取りタンク12の各麺カゴホルダー12a1、12a2に装着する。そうすると、麺カゴ検知センサS1が麺カゴ52を検出する。後述の制御部40は、これをトリガとして給水電磁弁15を予め設定されている所定時間だけ開く。これにより、各流水ノズル16a1、16a2は、各麺カゴホルダー12a1、12a2に装着された麺カゴ52に収められている麺類51に注水するので、麺類51の粗熱が除去される。
【0037】
<麺締めユニット>
麺締めユニット20は、粗熱取りの終了した麺51を冷水に浸して麺を冷やすものである。図1、2、5に示す模式図は、麺締めユニット20の概要を示している。麺締めユニット20は、ハウジング1の中央部に配置されている。ハウジング1後部の背面板1bの上部前面には、先述の麺締めユニット10の粗熱取りタンク12が脱着自在に支持されて配置されている。この背面板1bと飛沫ガード板3、3で囲まれる領域に、ハウジング1の上面に開口を有する冷水タンク21が配置されている。
【0038】
(冷水タンク)
図3に示すように、冷水タンク21は、粗熱取りタンク12の下部に配置されている。冷水タンク21は、金属製の板を箱状に形成したもので、その上部にカゴホルダー26が配置されている。カゴホルダー26は、第1カゴホルダー26a1と第2カゴホルダー26a2からなり、それぞれ麺カゴ52を収容することができる。
冷水タンク21の底部には、エアレーションのためのエアー吐出部27が3カ所に脱着自在にエアー吐出口ホルダー22bに固定されて配置されている。各エアー吐出部27は、エアーチューブ(不図示)により、上部ボックス2aに設けられたエアー接続口2aにそれぞれ接続されて、エアーが供給される。
【0039】
(冷水管理)
麺締めユニット20は、カゴホルダー26に装着された麺カゴ52に入った麺51を冷水タンク21内の冷水で冷やすのであるが、冷水は給水ノズル(不図示)から給水弁(不図示)を介して室温の水、例えば水道水を供給し、これに氷(不図示)を加えて管理温度、例えば5℃以下、になるように管理する。また、水面の高さは、排水口25に接続されるオーバーフロー配水管24が冷水タンク21内に設けられており、これを越えるものは、排水を行って水面高さの管理を行っている。加えて、本例の装置Aは、後述のように、待機時にエアレーションを行って冷水タンク21内の冷水を攪拌し、その温度差を緩和する制御を行っている。
【0040】
冷水を冷水タンク21に満たした状態で、カゴホルダー26に麺51の入った麺カゴ52を装着すると、カゴホルダー26は冷水に浸るため、同時に麺51も冷水に浸る。冷水を管理温度5℃以下とすると、氷を冷水タンク21に適時に投入して冷水の温度を維持する必要がある。このため、冷水タンク21内には、水温センサS3(不図示)が設けられ、制御部40がその温度の適否を第1操作表示パネル41に表示するとともに、第2操作表示パネル42にその温度表示をしている。
【0041】
(エアレーション)
先述のように、冷水タンク21内の冷水温度の温度分布がなるべく均一になるように、温度分布を緩和するエアレーション(空気吹込み)制御を行っている。このため、エアーポンプ22により吐出されるエアーを、冷水タンク21の底部に設けたエアー吐出口22aからエアーを冷水中に吹き出している。エアーポンプ22は、ハウジング1内部の気水分離器34の下部に配置されている。エアーポンプ22の吐出口22aからエアチューブ(不図示)を介して上部ボックス2内のディストリビュータ(不図示)に接続され、ディストリビュータ内で分配され、上部ボックス2aの下面に設けた各エアー接続口2aから、エアチューブ(不図示)を介して、冷水タンク21内の各エアー吐出部27のエアーノズル27aの吐出口27bから冷水にエアーが吹き込まれ、冷水タンク21内の氷と水を攪拌して温度分布をなるべく均一化するようにしている。
【0042】
(作用)
このような麺締めユニット20の構成において、麺類51の冷水による冷却である麺締めを行うには、粗熱取りが終了した麺カゴ52をカゴホルダー12a1、12a2から脱着する。そうすると、麺カゴ検知センサS1が麺カゴ52の脱着を検出する。後述の制御部40は、これをトリガとしてタイマー管理を行い、エアレーションを行うため、予め設定されている所定時間だけエアーポンプ22を作動させる。これにより、エアーがエアー吐出部27の吐出ノズル27aの吐出口27bから冷水に所定時間吹き込まれ、カゴホルダー26に装着された麺カゴ52に収められている麺類51に攪拌された冷水が流れていき、麺類51の麺締めが効率的に行われる。
【0043】
<水切りユニット>
水切りユニット30は、麺カゴ52に収められた麺類51から付着している余分な水分を取り除くものである。水切りは、麺類51から余分な水分を取り除くための作業であり、この作業の巧拙が、最終的に完成した麺料理の味に大きな影響を与える。
【0044】
図3に示す模式図は、水切りユニット30の概要を示している。水切りユニット30は、ハウジング1の前部上面の開口にカゴホルダー31を配置し、ハウジング1の内部に、気水分離器34と分離のために負圧を作る吸引モーター32を内蔵する。
【0045】
(カゴホルダー)
カゴホルダー31は、麺類51を収めた麺カゴ52を載せると塞がれる開口34cを有するパッキン34aの上に載置される。開口34cは、気水分離器34に気密に接続されている。吸引モーター32は、気水分離器34内の空気を吸引して、気水分離器34内に負圧を作り出し、開口34cに載せられた麺カゴ52内の麺類51から水分を吸引して、排水口35から排水する。
【0046】
カゴホルダー31とパッキン34aの開口34cは、麺カゴ52をカゴホルダー31に装着すると、ちょうど麺カゴ52の下部がその開口34cにはまり込むように形成されている。これにより、麺51の入った麺カゴ52は、気水分離器34の上面開口34cを気密に閉じている。
【0047】
(気水分離器)
気水分離器34はその内部に空洞を有し、空洞の上部と下部をフィルター34bが分離している。空洞の上部は、パッキン34aを介して麺カゴ52及び麺51によって閉じられるとともに、吸引モーター32と吸引管33を介して接続され、吸引モーター32の作動により空洞内に負圧が生じる。麺51に付着した余分な水分は、この負圧により空洞内に吸い込まれ、フィルター34bを通って下部の空洞に導かれる。下部の空洞の底面から、下方に向けて排水菅が延びている。麺から落ちる水分は、この排水菅を通って排水口35から装置A外に排水される。
【0048】
制御部40は、吸引モーター32を駆動制御する。水切りユニット30は、カゴホルダー31に麺カゴ52が載せられたことを検出する近接スイッチである麺カゴ検知センサS4を備えている。制御部40は、麺カゴ検知センサS4が麺カゴ52の載置を検出すると、これをトリガとして吸引モーター32を所定時間だけ駆動する。
【0049】
(麺カゴセンサー)
麺カゴ52がカゴホルダー31に装着されると、近接スイッチである麺カゴセンサS4(不図示)がこれを検出する。この場合、粗熱取りユニット10のカゴ検知センサーS1a、S1bと同様に、カゴホルダー31に対する麺カゴ52の載置動作に応じて金属製の検出片37が回動する。この検出片37を麺カゴセンサーS4が検出する。
【0050】
検出片37は、自重により通常は検知センサS4から遠い位置にあるが、麺カゴ52がカゴホルダー31に載置される際に麺カゴ52と接触して押され、近接センサーである麺カゴセンサーS4に近接して検知させるものである。近接センサは、先述の粗熱取りユニット10のものと同様に、どの方式のものを用いても差し支えない。同様に、麺カゴセンサーS4は、装着したことを検出するが、逆の脱着したことも検出する。
【0051】
(吸引モーター)
吸引モーター32は、気水分離器34で必要な負圧を作るものである。気水分離器34に吸引管33を介して接続される。
【0052】
(作用)
このような水切りユニット30の構成において、麺類51の水切りをするには、茹で上がり直後又は麺締め処理後の麺類51を収めた麺カゴ52をカゴホルダー31に装着する。そうすると、麺カゴ検知センサS4が麺カゴ52を検出する。制御部40は、これをトリガとして吸引モーター32を予め設定されている所定時間だけ駆動する。これにより、気水分離器34内は、開口34cが水分を含む麺類51により気密に塞がれて気密空間となっているので、減圧されて負圧状態となる。このため、麺カゴ52に収められている麺類51から水分が吸引され、麺類51が水切りされる。
【0053】
<まとめ>
このように、3つのユニット10、20、30は、ハウジング1の下部に、吸引モーター32とエアーポンプ22を配置し、上部に麺カゴ54をハウジング1の上面で扱うことができるように配置している。これにより、間口の狭いコンパクトな装置構成を実現することができる。
【0054】
<制御部>
制御部40は、一連の前処理をするために、センサーによる状態把握と温度測定とタイマー回路を組み合わせたプログラム制御の機能を持つものであり、その主体は、マイクロコンピュータによる制御装置である。
以下、前処理の内容について説明する。
【0055】
<前処理>
麺類51を調理する場合、たとえば、冷やし中華、つけ麺、冷やしうどんや冷やし蕎麦、ざる蕎麦や盛り蕎麦等を調理するには、まず麺51を茹でる。麺を茹でるには、把手付きの麺カゴ52に一人前の麺を入れて熱湯に浸し、茹で上がりの頃合を見計らって熱湯から取り上げる。
本例の装置Aは、この麺カゴ52に入った茹で上がった麺の仕上げ調理の前処理を行う。粗熱取り処理、麺締め処理、水切り処理の順で行う。
【0056】
(粗熱取り処理)
図8に本例の制御部40が行う粗熱取り処理S800のフローを示す。
まず、電源を導入して、装置Aが立ち上がると、粗熱取りタンク21が設置されているか、すなわち粗熱取りタンクセンサS2がONかどうかを確認する(S802)。YESであれば、麺カゴセンサーが反応したか、すなわち麺カゴセンサーS1が、麺カゴが装着されたことを検出したかどうかを確認する(S804)。検出していれば、給水弁15を開けて注水し(S806)、粗熱取りタイマーのカウントを開始する(S808)。あらかじめ設定していた設定時間、たとえば、4秒とすると、4秒カウントするまで待機する(S810)。設定時間を経過すると、給水弁15を閉じ(S812)、麺カゴセンサーS1反応しなくなった、すなわち、麺カゴが脱着されたことが検出されると粗熱取りタイマーをリセットし(S816)、給水弁の閉止を確認して(S818)、次の麺カゴセンサーの検出を待機する(S802,S804)。
なお、本装置Aは、2系統の粗熱処理が可能であるため、それぞれのカゴホルダー12a1、12a2について、以上の処理が独立して行われる。
【0057】
(麺締め処理)
茹で上がった麺類51を冷水に晒して冷ます処理である。
図10に本例の制御部40が行う麺締め処理S1000のフローを示す。
まず、右または左の麺カゴが検出されているかを確認する。すなわち、第1麺カゴセンサーS1a又は第2麺カゴセンサーS1bがONになったかを確認する(S1002)。この場合、NOであれば、待機する。YESであれば、その後検出がされなくなったかを確認する(S1004)。この場合、NOであれば、待機する。YESであれば、エアー吐出のためのエアーポンプ22をONにして(S1006)、麺締めタイマーのカウントを開始する(S1008)。あらかじめ設定していた設定時間、たとえば、6秒とすると、6秒カウントするまで待機する(S1010)。設定時間を経過すると、エアーポンプ22をOFFにし(S1012)、次の麺カゴを待機する(S1002)。
【0058】
(麺締めタイマーリセット)
なお、本例Aでは、麺締め処理は2系統行うことができる。このため、麺締めタイマーのリセットは、図9に示す処理で行われる。すなわち、各ホルダー12a1、12a2に対応した麺カゴ52、52の検出を第1麺カゴセンサーS1a、第2麺カゴセンサーS1bのいずれかが検出された(S902)のちに検出されなくなったら(S904)、タイマーをリセットすることとした(S906)。
これにより、ほぼ同時に麺締め処理している場合は、遅い方の処理が終了するまではリセットされず、遅れて開始された遅い方についても所定の麺処理時間は確保できる。
【0059】
(水切り処理)
図11に本例の制御部40が行う水切り処理S1100のフローを示す。
まず、麺カゴセンサーがONになったかを確認する。すなわち、麺カゴセンサーS4がONになったかを確認する(S1102)。この場合、NOであれば、吸引モーターをおffにして(S1116)、吸引タイマーをリセットして(S1118)待機する(S1002)。YESであれば、吸引して水切りをするために吸引モーター32をONにして(S1004)、吸引タイマーのカウントを開始する(S1106)。あらかじめ設定していた設定時間、たとえば、2秒とすると、2秒カウントするまで待機する(S11080)。設定時間を経過すると、吸引モーター32をOFFにし(S1110)、終了ブザーを鳴動し(S1112)、麺カゴセンサーS4がOFFになったか、すなわち、麺カゴ52が脱着されるまで待機して、脱着されると次の麺カゴを待機する(S1102)。
【0060】
<待機時自動冷水攪拌処理>
本例の装置Aは、麺締めユニット20の冷水タンクで麺カゴに入った麺を氷を含む冷水で冷却する。この際、冷水タンク21の底部に設けられたエアー吐出部27からエアーを噴出して冷水を攪拌し冷水タンク21内の冷水の温度分布を均一に保持する。麺締め処理以外の待機時においても温度分布を均一に保持するため、待機時に自動で冷水攪拌処理を行う。このエアーの噴出は、図12に示すフローで行われる(S1200)。
まず、麺締め処理でエアーポンプが動作したが確認する(S1202)。YESの場合は、待機時間タイマーをリセットする(S1228)。NOの場合は、待機時間タイマーのカウントを開始する(S1204)。あらかじめ設定していた設定時間、たとえば、3分とすると、3分カウントするまで待機する(S1206)。設定時間を経過すると、エアーポンプ22をONにし(S1208)、エアーポンプ動作時間タイマーのカウントを開始する(S1210)。設定時間を経過すると、エアーポンプ22をOFFにし(S1214)、エアーポンプ動作時間タイマーのカウントをリセットする(S1216)。続けて、待機時間タイマーをリセットし(S1228)、次の麺カゴを待機する(S1202)。
【0061】
<手動処理>
(手動粗熱取り処理)
本例の装置Aは、粗熱取り処理と麺締め処理について一連の処理のほかに、それぞれ単独で使用できるように手動スイッチを備える。なお、水切り処理については、一連の処理を使用する場合と水切り処理のみをする場合に混在しても差し支えない。
【0062】
(手動粗熱取り処理)
手動粗熱取り処理S1300は、図13に示すように行われる。
まず、手動粗熱取りスイッチ428a、428bが押されたかどうかを確認する(S1302)。NOであれば、待機する。YESであれば、粗熱取りタイマーをリセットする(S1304)。そして、給水弁15a1、15a2をONにして(S1306)、粗熱取りタイマーのカウントを開始する(S1308)。あらかじめ設定していた設定時間カウントするまで待機する(S1310)。設定時間を経過すると、給水弁15a1、15a2をOFFにし(S1312)、次のスイッチ428a、428bが押されるタイミングを待機する(S1302)。
このように手動スイッチにより、粗熱取りユニット10について単体で使用をすることができ、フレキシブルな機能をひとつの装置で実現できるため、狭い厨房で役に立つ。
【0063】
(手動麺締め処理)
手動麺締め処理S1400は、図14に示すように行われる。
まず、手動麺締めスイッチ428cが押されたかどうかを確認する(S1402)。NOであれば、待機する。YESであれば、麺締めタイマーをリセットする(S1404)。そして、給水弁をONにして(S1406)、麺締めタイマーのカウントを開始する(S1408)。あらかじめ設定していた設定時間カウントするまで待機する(S1410)。設定時間を経過すると、エアーポンプ22をOFFにし(S1412)、次のスイッチ428cが押されるタイミングを待機する(S1402)。
このように手動スイッチにより、麺締めユニット20について単体で使用をすることができ、フレキシブルな機能をひとつの装置で実現できるため、狭い厨房で役に立つ。
【0064】
<一連処理>
本例の装置Aの一連での前処理のフロー(S1500)を図15に示す。
粗熱取り・麺締め・水切り処理をスタートする(S1500)と、まず麺を茹でる装置から茹で上がった麺51が入った麺カゴ52を取り出し、粗熱取りユニット10の粗熱取りタンク12に入れる。すなわち、装着する(S1502)。
そうすると、粗熱取り処理(S800)、麺締め処理(S1000)、水切り処理(S1100)が順次実行される。すなわち、粗熱取り処理は、給水弁15が開いて流水が設定時間麺カゴ52を通して麺にかかる(S1504)。続いて、粗熱取りタンク12から麺カゴ52を引き抜いて脱着させると、エアーポンプによりエアーが噴出して麺締め処理(S1000)が行われる(S1506、S1508)。その後、麺カゴ52を引き抜いて、水切り吸引部である水切りユニット30のカゴホルダー31に装着すると、吸引モーター32により麺51についている余計な水分が吸引され、水切り処理が行われる。
水切り処理が終了すると、ブザー431が鳴動し、前処理の終了を報知する(S1510)。麺カゴ52を取り出すと、前処理は終了し、麺51を器に移すと調理が仕上がる(S1512)。
【0065】
<変形例>
本発明の第2の実施の態様を図に基づいて説明する。
図16は、第2の実施の態様の茹で麺調理支援装置Bの全体斜視図である。この実施の態様は、粗熱取り処理ユニット510の処理できる麺カゴ54が一つの場合の変形例である。したがって、第1の実施の態様と共通する点も多く、共通する点は、原則として図面の参照符号も同一のものを用いる。
【0066】
<全体概要>
図16に示すように、本例の茹で麺調理支援装置Bは、ハウジング1の後部から、粗熱取りユニット510、麺締めユニット520、及び水切りユニット30が設けられている。
ハウジング1の後部は、背面板1bとその左右に飛沫ガード503、503が粗熱取りユニット510の粗熱取りタンク512の周囲を囲むように立ち上がって設けられ、粗熱取りユニット10で麺カゴ52にかけられる水が装置外に飛散しないようにガードされている。
図16に示すように、本例の装置Bの粗熱取りユニット510は、1つの麺カゴ52を処理し、この点、装置Aのものとは異なる。また、麺締めユニット520は、カゴホルダー26の位置が前後に並ぶようになっている。さらに、給水ノズル528は給水栓となっており、手動のバルブ529で開閉する。
ハウジング1後部の飛沫ガード3の上面には、上部ボックス502が配置され、その前面には、第1操作表示パネル541が設けられている。ここでは、麺カゴ検出ランプが1つとなっている。また、ハウジング1前面の正面パネル1aには、第2操作表示パネル542、主電源スイッチ5が設けられている。ここでは、第2操作表示パネル542の手動粗熱取りスイッチも1つとなっている。
そのほかは、図5で示す第1の態様と同様である。
【0067】
制御部40の働きは同様である。粗熱取り処理と麺締め処理においては、本例の装置Bの場合は、装置Aの場合の第1及び第2(又は、右及び左)の2つのカゴ52に対応する制御を行っていたが、これが一つだけとなる点が異なる。その他は、基本的に同様である。
【符号の説明】
【0068】
A、B…茹で麺調理支援装置
1…筐体(ハウジング)
1a…正面パネル 1b…背面板
2…上部ボックス
2a…エアー接続口 2a1、2a2、2a3…エアー接続口
3、503…飛沫ガード
4…脚部
5…主電源スイッチ
6…給水口
10、510…粗熱取りユニット
12…粗熱取りタンク
12a1…第1カゴホルダー
12a2…第2カゴホルダー
13…カゴ検知片
13a1…第1カゴ検知片
13a2…第2カゴ検知片
13b1…第1カゴ検出片
13b2…第2カゴ検出片
14…排水管
15…電磁給水弁(不図示)
15a1…第1電磁給水弁、給水電磁弁右
15a2…第2電磁給水弁、給水電磁弁左
16…流水ノズル
16a1…第1流水ノズル
16a2…第2流水ノズル
20、520…麺締めユニット
21…冷水タンク
22…エアーポンプ
22a…エアー吐出口
22b…エアー吐出口固定具
23…エアチューブ(不図示)
23a1…第1エアチューブ
23a2…第2エアチューブ
23a3…第3エアチューブ
24…オーバーフロー排水管
25…排水口
26…カゴホルダー
26a1…第1カゴホルダー
26a2…第2カゴホルダー
27…エアー吐出部
27a…吐出ノズル
27b…吐出口
28、528…給水ノズル
29、529…給水弁
30…水切り部、水切りユニット
31…カゴホルダー
32…吸引モーター
33…吸引管
34…気水分離器
34a…パッキン
34b…フィルター
34c…開口
34d…空洞
35…排水口
36…カゴ支持部
37…検出片
40…制御部
41、541…第1操作表示パネル
41a…第1麺カゴ検出ランプ、右麺カゴ検知ランプ
41b…第2麺カゴ検出ランプ、左麺カゴ検知ランプ
41c…冷水温度適正ランプ
41d…冷水温度警告ランプ
42、542…第2操作表示パネル
422…電源ボタン
423…冷水温度表示部
424…設定選択ボタン
425a…設定値変更ボタン(+側)
425b…設定値変更ボタン(-側)
426…選択中表示ランプ
426a…流水設定選択中ランプ
426b…エアー設定選択中ランプ
426c…水切り設定選択中ランプ
427…設定数値表示部
428…手動作動スイッチ
428a…第1手動粗熱取りスイッチ、手動粗熱取りスイッチ(右)
428b…第2手動粗熱取りスイッチ、手動粗熱取りスイッチ(左)
428c…手動麺締めスイッチ
431…ブザー
51…麺類、麺
52…麺カゴ
53…把手
54…バケット
54a…本体
54b…孔
S1…麺カゴセンサ
S1a…第1麺カゴセンサー、右麺カゴ検知センサー
S1b…第2麺カゴセンサー、左麺カゴ検知センサー(左)
S2…粗熱取りタンク設定センサー
S3…水温センサー、
S4…麺カゴセンサ、近接スイッチ
W…流水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16