(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】画像データの自動レイアウト方法、自動レイアウトシステム及びこれを用いたレーザ加工機
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240701BHJP
B41K 1/02 20060101ALI20240701BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240701BHJP
【FI】
H04N1/387 110
B41K1/02 B
B41K1/02 Z
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2020090530
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 順也
(72)【発明者】
【氏名】高林 駿
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-010905(JP,A)
【文献】特開2007-313688(JP,A)
【文献】特開2015-196334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
B41K 1/02
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像データを加工プレート画面上に自動レイアウトする方法であって、
複数の画像データを選択するステップと、
加工プレート画面上の画像データが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索して原点座標とする原点座標探索ステップと、
この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア幅を取得するエリア幅取得ステップと、
この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア高さを取得するエリア高さ取得ステップと、
取得された上記エリア幅及びエリア高さに基づいて、加工プレート上に配置エリアを決定するステップと、
選択された
複数の画像データの
うち1つの画像データの幅及び高さを配置エリアの幅及び高さと比較して、配置の可否を判定する配置可否判定ステップと、
配置可能と判定されたとき、
前記1つの画像データを加工プレート画面上に配置するステップと、
前記1つの画像データが全ての配置エリアに配置不能と判定されたとき、次の画像データに対して配置可否の判定を行うステップと、
からなることを特徴とする画像データの自動レイアウト方法。
【請求項2】
前記1つの画像データの配置が完了した後に、次の画像データについて自動レイアウトを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像データの自動レイアウト方法。
【請求項3】
複数の画像データを加工プレート画面上に自動レイアウトするシステムであって、
複数の画像データが登録された画像データリストの記憶手段と、画像配置演算手段とを備え、
この画像配置演算手段は、画像データの選択手段と、加工プレート画面上の画像データが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索して原点座標とする原点座標探索手段と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア幅を取得するエリア幅取得手段と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア高さを取得するエリア高さ取得手段と、取得された上記エリア幅及びエリア高さに基づいて、加工プレート上に配置エリアを決定する手段と、選択された
複数の画像データの
うち1つの画像データの幅及び高さを配置エリアの幅及び高さと比較して、配置の可否を判定する配置可否判定手段と、配置可能と判定されたとき、
前記1つの画像データを加工プレート画面上に配置するジョブ配置手段と、
前記1つの画像データが全ての配置エリアに配置不能と判定されたとき、次の画像データに対して配置可否の判定を行う手段と、を含むことを特徴とする画像データの自動レイアウトシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像データの自動レイアウトシステムを用いて、加工プレート画面上に配置された画像データの印面をレーザ加工することを特徴とするレーザ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印判を作成するための版下となる加工プレート画面上に、複数の印面ジョブを自動的にレイアウトする場合などに用いられる、画像データの自動レイアウト方法、自動レイアウトシステム及びこれを用いたレーザ加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印面を形成した印字体をホルダーに組み込んで印判を製造する場合、個々の印面毎にネガフィルムとしての版下を作成し、それに基づいて印字体を製造する方法では多くの時間と手数がかかり、製造コストが増大する。そこで印面の画像データである印面ジョブを予め作成しておき、同じく画像データである加工プレート画面上に多数の印面ジョブをレイアウトして版下となる画像データを作成し、得られた画像データをレーザ加工機などのサーマル加工機に入力して多数の印字体を製造する技術が開発されている。
【0003】
印面ジョブには製造しようとする印面に対応してサイズが異なる多くの種類があり、できるだけスペースの無駄が生じないように印面ジョブを加工プレート画面上にレイアウトすることが好ましい。そこで従来は特許文献1の
図22に示されるように、作業者が印面ジョブを画面上で選択してドラッグアンドドロップする方法で加工プレート画面上にレイアウトしていたため、この作業に多くの手数がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、サイズの異なる多数の印面ジョブ等の画像データを加工プレート画面上に自動的にレイアウトすることができる画像データの自動レイアウト方法、自動レイアウトシステム及びこれを用いたレーザ加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の画像データの自動レイアウト方法は、複数の画像データを加工プレート画面上に自動レイアウトする方法であって、複数の画像データを選択するステップと、加工プレート画面上の画像データが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索して原点座標とする原点座標探索ステップと、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア幅を取得するエリア幅取得ステップと、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア高さを取得するエリア高さ取得ステップと、取得された上記エリア幅及びエリア高さに基づいて、加工プレート上に配置エリアを決定するステップと、選択された複数の画像データのうち1つの画像データの幅及び高さを配置エリアの幅及び高さと比較して、配置の可否を判定する配置可否判定ステップと、配置可能と判定されたとき、前記1つの画像データを加工プレート画面上に配置するステップと、前記1つの画像データが全ての配置エリアに配置不能と判定されたとき、次の画像データに対して配置可否の判定を行うステップと、からなることを特徴とするものである。なお、前記1つの画像データの配置が完了した後に、次の画像データについて自動レイアウトを行う。
【0007】
また上記の課題を解決するためになされた本発明の画像データの自動レイアウトシステムは、複数の画像データを加工プレート画面上に自動レイアウトするシステムであって、複数の画像データが登録された画像データリストの記憶手段と、画像配置演算手段とを備え、この画像配置演算手段は、画像データの選択手段と、加工プレート画面上の画像データが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索して原点座標とする原点座標探索手段と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア幅を取得するエリア幅取得手段と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の画像データが配置されていないエリア高さを取得するエリア高さ取得手段と、取得された上記エリア幅及びエリア高さに基づいて、加工プレート上に配置エリアを決定する手段と、選択された複数の画像データのうち1つの画像データの幅及び高さを配置エリアの幅及び高さと比較して、配置の可否を判定する配置可否判定手段と、配置可能と判定されたとき、前記1つの画像データを加工プレート画面上に配置するジョブ配置手段と、前記1つの画像データが全ての配置エリアに配置不能と判定されたとき、次の画像データに対して配置可否の判定を行う手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0008】
さらに上記の課題を解決するためになされた本発明の印判のレーザ加工機は、上記の画像データの自動レイアウトシステムを用いて、加工プレート画面上に配置された画像データの印面をレーザ加工することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印面の画像データを作成してジョブリストに登録しておけば、自動レイアウトシステムが加工プレート画面上に画像データを自動的にレイアウトしてくれるので人手が不要となり、レイアウト作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の自動レイアウトシステムの構成図である。
【
図4】本発明の自動レイアウト方法のフロー図である。
【
図5】単一の印面ジョブを選択した画面を示す図である。
【
図6】複数の印面ジョブを選択した画面を示す図である。
【
図13】10個の印面ジョブを自動配置した加工プレート画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
以下に、画像データとして印面ジョブを用いた実施形態を説明するが、画像データはこれに限定されるものではなく、例えばマーキング用の画像データなどとすることもできる。印面ジョブとは、
図1に示すように作成しようとする印面を示す画像データであり、
図1の例では「長久保」「春日井」「祖父江」の3つの印面を加工するための画像データである。印面の画像は下部に示されており、その上部には加工精度を確認するための複数のサンプル画像が配置されている。
図1の印面ジョブには同一の画像が8列に配置されており、この印面ジョブを実行すると上記した3つの印面が8組製作されることとなる。しかし印面の種類は様々であり、例えば住所印などでは
図1に示される小型の印面よりもサイズが大きくなる。このため印面ジョブに同一の画像が複数配置されているとは限らず、印面ジョブの構成は印面の種類やサイズに応じて様々である。
【0012】
本発明では、印面ジョブのサイズは作成しようとする印面の大きさに対応するように設定されている。そして以下に詳細に説明するように、加工プレート画面上にこれらの印面ジョブをレイアウトして加工用の画像データとする。この画像データを例えばレーザ加工機に入力すれば、レーザ加工機は入力された画像データに従って印面を加工し、印字体を製作することができる。得られた印字体は分離され、ホルダーに組み込まれて、印判となる。
【0013】
図2に本発明の画像データの自動レイアウトシステムを示す。このシステムは、印面ジョブが登録された画像データの記憶手段10と、画像配置演算手段11とを備える。ジョブリストは
図3に示すように、多数の印面ジョブを集めて登録した画像データリストであり、
図3の例では15個の印面ジョブが登録されている。各印面ジョブには名称が付されており、ここではTEXT1からTEXT15と記載されている。このほか、データ形式、解像度、日付の各データが含まれる。前記システムはレーザ加工機に接続されたPC(図示なし)に搭載されており、PC上で自動レイアウトした画像データはレーザ加工機に転送することができる。
【0014】
図2に示すように、画像配置演算手段11には、画像データの選択手段12と、加工プレート画面上の印面ジョブが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索して原点座標とする原点座標探索手段13と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の印面ジョブが配置されていないエリア幅を取得するエリア幅取得手段14と、この原点座標を起点として加工プレート画面上の印面ジョブが配置されていないエリア高さを取得するエリア高さ取得手段15と、取得された上記エリア幅及びエリア高さと選択された印面ジョブの幅及び高さを比較して、配置の可否を判定する配置可否判定手段16と、選択された印面ジョブを加工プレート画面上に配置する画像データ配置手段17が含まれる。以下に、上記した各手段の機能を、
図4に示すフローに従って説明する。
【0015】
本発明の自動レイアウトシステムをスタートさせる際には、画像データの記憶手段10に記憶されているジョブリストを画面に表示させ、画像データの選択手段12により対象とする印面ジョブを選択する。
図5のように単一の印面ジョブを選択してもよく、
図6のように複数の印面ジョブを選択してもよい。
図5の場合には、以下に説明する自動レイアウトが印面ジョブごとに順次実行される。これらの図に示される20は加工プレート画面である。
【0016】
先ず、原点座標探索手段13により、ステップ1の原点座標の探索が行われる。これは、加工プレート画面20上の印面ジョブが配置されていない空白領域のコーナー座標を探索するステップである。
図7の「検出例1」に示されるように、加工プレート画面20上に印面ジョブが全く配置されていない初期状態においては、加工プレート画面20の左上隅を原点座標とする。
【0017】
図7の「検出例2」に示されるように、加工プレート画面20上に横幅一杯に印面ジョブが既に配置されている場合には、空白領域の左上隅を原点座標とする。しかし
図7の「検出例3」に示されるように、加工プレート画面20上に印面ジョブが配置されているが側方に空白領域がある場合には、その空白領域の左上隅を原点座標とする。
【0018】
次に、エリア幅取得手段14により、ステップ2のエリア幅取得が行われる。これはステップ1で取得された原点座標を起点として、加工プレート画面20上の印面ジョブが配置されていないエリア幅を取得するステップであり、原点座標を起点として右方向にスキャンし、加工プレート画面20の右端または、加工プレート画面20に既に配置されている印面ジョブの左端までの幅を取得する。その例を
図8に示した。
【0019】
次に、エリア高さ取得手段15により、ステップ3のエリア高さ取得が行われる。これは、エリア幅取得手段14により取得したエリア幅に対して、原点座標から加工プレート画面20の下端までの高さ、または既に配置されている印面ジョブの上端までの高さを取得するステップである。
図9はスキャンする範囲を示す。
【0020】
このようにして、ステップ4の配置エリアが決定される。その例を
図10に示した。なお、
図10の例3に示されるように、原点座標が同一であっても複数の配置エリアが存在することがある。
【0021】
次に、配置可否判定手段16によりステップ5の配置可否判定が行われる。これは取得された上記エリア幅及びエリア高さと選択された印面ジョブの幅及び高さを比較して、選択された印面ジョブの配置の可否を判定するステップである。
図11のように選択された印面ジョブよりも配置エリアの幅及び高さが大きい場合には、配置可能と判定する。
図12の上段の場合も同様に配置可能である。この場合には選択された印面ジョブを配置エリアに配置し、終了する。なお複数の印面ジョブが選択されている場合には、次の印面ジョブについて同様の工程をステップ1から繰り返す。
【0022】
図12の中段の左図の場合には、選択された印面ジョブが縦長であるため、配置エリア1には収まらない。この場合には配置不可と判定され、配置可否判定手段16は次の配置エリアにつき、選択された印面ジョブが収納可能か否かを判定する。この例では2番目の配置エリア2には配置可能と判定される。
図12の下段のように選択された印面ジョブのサイズが大きく、配置エリア1にも配置エリア2にも収納できない場合には、配置可否判定手段16は配置不可と判定する。この場合ステップ1に戻り、同様の操作で配置エリアを決定し配置判定が行われる。この操作を全エリアにおいて実施し、全エリアについて配置不可と判定された場合には、選択された印面ジョブを配置することなく戻し、次の印面ジョブについてステップ1からの工程を繰り返す。選択された全ての印面ジョブの配置が完了するまで、上記の工程が繰り返される。
【0023】
図13に、本発明の自動レイアウトシステムにより、加工プレート画面20上に10個の印面ジョブを自動配置した例を示す。この図に示されるように、サイズの異なる多数の印面ジョブが大きな隙間なく配置されている。このようにして得られた印面ジョブの配置データを印判のレーザ加工機に入力すれば、
図13に示された通りの印面加工が行われる。
【0024】
また本発明の画像データの自動レイアウトシステムを印判のレーザ加工機に搭載しておけば、加工プレート画面上に配置された画像データの印面をレーザ加工することができるので、印面ジョブのレイアウトと印面のレーザ加工を連続的に行うことができる。
【0025】
以上に説明したように、本発明によれば、自動レイアウトシステムが加工プレート画面上に画像データを自動的にレイアウトしてくれるので人手が不要となり、レイアウト作業を効率化することができる利点がある。またこのシステムを搭載した印判のレーザ加工機は、印面ジョブ等の画像データのレイアウトとレーザ加工を一挙に行うことができる利点がある。
【符号の説明】
【0026】
10 画像データリストの記憶手段
11 画像配置演算手段
12 画像データの選択手段
13 原点座標探索手段
14 エリア幅取得手段
15 エリア高さ取得手段
16 配置可否判定手段
17 画像データ配置手段
20 加工プレート画面