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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】配送管理システムおよび配送管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240701BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240701BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q10/083
G06Q50/40
B65G61/00 542
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020092160
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021189586
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】508049329
【氏名又は名称】シーオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】松島 聡
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚文
(72)【発明者】
【氏名】西村 順
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-161391(JP,A)
【文献】特開2002-128226(JP,A)
【文献】特開2017-091409(JP,A)
【文献】特開2016-095752(JP,A)
【文献】特開2018-081704(JP,A)
【文献】特開2012-020839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物を受取場所から引渡場所までトラックを含む配送手段により多数の配送物を配送する行程を管理する配送管理システムであって、
受取場所を巡回して配送物を一次保管場所まで配送する指示を生成する集荷処理管理手段と、
前記一次保管場所から二次保管場所まで配送物を幹線輸送する指示を生成する幹線輸送処理管理手段と、
前記二次保管場所から引渡場所まで配送する指示を生成する配達処理管理手段と、を備え、
前記配達処理管理手段は、前記受取場所において配送物が受け取られた際に、当該配送物の配送期限日まで5日以上ある場合に、配送手段の積載率の向上を優先して、前記二次保管場所から前記引渡場所への配送物の出荷期限日を前記配送物の配送期限日の前日または当日に設定し、
前記幹線輸送処理管理手段は、設定された前記二次保管場所からの配送物の出荷期限日に基づいて、前記一次保管場所から前記二次保管場所までの配送予定を生成する、配送管理システム。
【請求項2】
前記配達処理管理手段は、配送物を前記二次保管場所から前記引渡場所に配送するために必要な日数である配達所要日数を取得し、前記二次保管場所から前記引渡場所への配送物の出荷期限日を前記配送物の配送期限日の前記配達所定日数前の日に設定する、請求項1に記載の配送管理システム。
【請求項3】
前記配達処理管理手段は、予め決められた出荷期限日における、前記引渡場所に配達する配送物の総容量が所定値以下である場合に、当該配送物の前記出荷期限日を繰り上げて配送を行う、請求項1または2に記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記集荷処理管理手段は、巡回する前記受取場所のうち、保管されている前記配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または基準重量を超える受取場所を巡回場所として特定し、配送手段が集荷する配送物の容量または重量が最大化されるように、前記配送手段が前記巡回場所を巡回する集荷ルートを決定する、請求項1ないし3のいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記幹線輸送処理管理手段は、前記幹線輸送において、配送物が前記一次保管場所に入荷される入荷期限日と、前記二次保管場所から出荷される出荷期限日とに基づいて、前記一次保管場所から前記二次保管場所までの配送において許容される配送許容日数を算出し、前記配送許容日数内に前記一次保管場所から前記二次保管場所まで配送可能なルートのうち、配送に係るコストが最も安価なルートを、幹線輸送ルートとして作成する、請求項1ないしのいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項6】
各二次保管場所から配送物を配達可能な複数の前記引渡場所が、二次保管場所ごとに配達エリアとして設定されており、
前記幹線輸送処理管理手段は、前記引渡場所が複数の配達エリアに跨る場合には、配送コストが最も安価となる二次保管場所から配送されるように、前記二次保管場所を決定する、請求項1ないしのいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項7】
各一次保管場所まで配送物を配送可能な複数の前記受取場所が、一次保管場所ごとに集荷エリアとして設定されており、
前記集荷処理管理手段は、前記受取場所が複数の集荷エリアに跨る場合には、配送コストが最も安価となる一次保管場所に配送されるように、前記一次保管場所を決定する、請求項1ないし6のいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項8】
前記受取場所または前記引渡場所を、アクセスの容易さに応じて分類し、分類した受取場所または引渡場所ごとに、配送可能な配送物の大きさ、または、利用可能な配送手段を限定する、請求項1ないし7のいずれかに記載の配送管理システム。
【請求項9】
前記受取場所において配送物を受け取った場合に、配送物の識別番号と当該配送物を収容する配送用ケースの識別番号とを関連付けて、サーバに記憶させる受取処理管理手段をさらに有し、
前記幹線輸送処理管理手段は、前記サーバを参照し、同一の配送用ケースに、異なる引渡場所に引き渡す配送物、または、異なる拠点間ルートで配送する配送物が混在する場合には、同一の配送用ケースに同じ引渡場所に引き渡す配送物、または、同じ拠点間ルートで配送される配送物が収容されるように、幹線輸送における配送拠点の管理端末に指示を出力する、請求項1ないし8のいずれかに記載の配送管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理システムおよび配送管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小口の宅配荷物を発送する場合には、コンビニエンスストアや宅配業者の営業所に利用者が荷物を持参したり、宅配業者に集荷を依頼したりすることが行われている。たとえば、特許文献1では、宅配業者が荷物を受け取る場所で、運搬車両の積載量をオーバーしていないことを確認でき、荷物受取場所まで携行しても宅配業者の負担にならず、さらに受注荷物の送料を計算することができる宅配荷物集荷管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-225313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、需要者の中には、配送に日数がかかっても、配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズがある。しかしながら、従来の配送サービスでは、配送期間が比較的短期間(たとえば1~3日)に設定され配送スピードを重視しているため、トラックなどの積載率に関わらず順次配送を行っており、その分、配送料金が高くなってしまい、このようなニーズに応えることができなかった。
【0005】
本発明は、配送に日数がかかっても、配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えることができる、配送管理システムおよび配送管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配送管理システムは、配送物を受取場所から引渡場所までトラックを含む配送手段により多数の配送物を配送する行程を管理する配送管理システムであって、受取場所を巡回して配送物を一次保管場所まで配送する指示を生成する集荷処理管理手段と、前記一次保管場所から二次保管場所まで配送物を幹線輸送する指示を生成する幹線輸送処理管理手段と、前記二次保管場所から引渡場所まで配送する指示を生成する配達処理管理手段と、を備え、前記配達処理管理手段は、前記受取場所において配送物が受け取られた際に、当該配送物の配送期限日まで5日以上ある場合、配送手段の積載率の向上を優先して、前記二次保管場所から前記引渡場所への配送物の出荷期限日を前記配送物の配送期限日の前日または当日に設定し、前記幹線輸送処理管理手段は、設定された前記二次保管場所からの配送物の出荷期限日に基づいて、前記一次保管場所から前記二次保管場所までの配送予定を生成する。
上記配送管理システムにおいて、前記配達処理管理手段は、配送物を前記二次保管場所から前記引渡場所に配送するために必要な日数である配達所要日数を取得し、前記二次保管場所から前記引渡場所への配送物の出荷期限日を前記配送物の配送期限日の前記配達所定日数前の日に設定するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記配達処理管理手段は、予め決められた出荷期限日における、前記引渡場所に配達する配送物の総容量が所定値以下である場合に、当該配送物の前記出荷期限日を繰り上げて配送を行うように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記集荷処理管理手段は、巡回する前記受取場所のうち、保管されている前記配送物の総容量または総重量が所定の基準容量または基準重量を超える受取場所を巡回場所として特定し、配送手段が集荷する配送物の容量または重量が最大化されるように、前記配送手段が前記巡回場所を巡回する集荷ルートを決定するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記幹線輸送処理管理手段は、前記幹線輸送において、配送物が前記一次保管場所に入荷される入荷期限日と、前記二次保管場所から出荷される出荷期限日とに基づいて、前記一次保管場所から前記二次保管場所までの配送において許容される配送許容日数を算出し、前記配送許容日数内に前記一次保管場所から前記二次保管場所まで配送可能なルートのうち、配送に係るコストが最も安価なルートを、幹線輸送ルートとして作成するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、各二次保管場所から配送物を配達可能な複数の前記引渡場所が、二次保管場所ごとに配達エリアとして設定されており、前記幹線輸送処理管理手段は、前記引渡場所が複数の配達エリアに跨る場合には、配送コストが最も安価となる二次保管場所から配送されるように、前記二次保管場所を決定するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、各一次保管場所まで配送物を配送可能な複数の前記受取場所が、一次保管場所ごとに集荷エリアとして設定されており、前記集荷処理管理手段は、前記受取場所が複数の集荷エリアに跨る場合には、配送コストが最も安価となる一次保管場所に配送されるように、前記一次保管場所を決定するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記受取場所または前記引渡場所を、アクセスの容易さに応じて分類し、分類した受取場所または引渡場所ごとに、配送可能な配送物の大きさ、または、利用可能な配送手段を限定するように構成することができる。
上記配送管理システムにおいて、前記受取場所において配送物を受け取った場合に、配送物の識別番号と当該配送物を収容する配送用ケースの識別番号とを関連付けて、サーバに記憶させる受取処理管理手段をさらに有し、前記幹線輸送処理管理手段は、前記サーバを参照し、同一の配送用ケースに、異なる引渡場所に引き渡す配送物、または、異なる拠点間ルートで配送する配送物が混在する場合には、同一の配送用ケースに同じ引渡場所に引き渡す配送物、または、同じ拠点間ルートで配送される配送物が収容されるように、幹線輸送における配送拠点の管理端末に指示を出力するように構成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとの需要者のニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る配送管理方法の概念図である。
図2】本実施形態に係る配送管理システムの構成図である。
図3】本実施形態に係る配送情報テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る拠点間ルート別配送時間テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る配送拠点別保管日数テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る配送手段テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る配送行程テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る配送運賃単価テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図9】本実施形態に係る保管場所保管単価テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る受取場所テーブルに記憶されるデータの一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る配送用ケースの概要を示す斜視図である。
図12】本実施形態に係る配送用ケースのバリエーションを示す図である。
図13】本実施形態に係る受取処理を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る配送管理処理を示すフローチャートである。
図15】本実施形態に係る配達管理処理を示すフローチャートである。
図16】本実施形態に係る集荷管理処理を示すフローチャートである。
図17】本実施形態に係る幹線輸送管理処理(その1)を示すフローチャートである。
図18】本実施形態に係る幹線輸送管理処理(その2)を示すフローチャートである。
図19】本実施形態に係る幹線輸送管理処理(その3)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る配送管理方法の概念図である。本実施形態に係る配送管理システム1は、図1に示すように、送付人から配送物を受け取る受取場所2を巡回して配送物を集荷する「集荷処理」を管理する集荷管理処理と、物流センター間などで幹線輸送を行う「幹線輸送処理」を管理する幹線輸送管理処理と、配送物を受取人に引き渡す引渡場所6まで、配送物を配達する「配達処理」を管理する配達管理処理とを行う。
【0010】
「集荷処理」は、トラックなどの配送手段が所定のエリア(集荷エリア)における複数の受取場所2を巡回して配送物を集荷し、集荷した配送物を、幹線輸送の配送拠点となる物流センターなどの一次保管場所3まで配送する処理である。なお、受取場所2は、送付人から配送物を受け取る配送拠点であり、たとえば、新聞販売店、ガソリンスタンド、JA(農協)の支店などである。また、レンタカー店、カーシェアの駐車場、自動車販売店、携帯電話販売店、自動車整備店、スポーツクラブ、コインパーキング、ビルなどの駐車場、さらには量販店など、配送手段が配送物を配送した後に荷台に余裕スペースができる店舗なども含まれ、物流センターや物流倉庫も受取場所2として設定することが可能である(後述する引渡場所6も同様)。カーシェアの駐車場、コインパーキング、ビルなどの駐車場は、通常無人であるが、宅配ロッカーを配置することで、受取場所2(または引渡場所6)として使用することができる。なお、集荷エリアは、特に限定されないが、たとえば同一または近隣の市区町村程度の範囲とすることができる。
【0011】
また、「幹線輸送処理」は、物流センター間などの比較的遠距離にある一次保管場所3から二次保管場所5まで配送物の幹線輸送を行う処理である。なお、本実施形態では、受取場所2から集荷された配送物が最初に保管される、幹線輸送における最初の配送拠点を一次保管場所3と称し、引渡場所6に配送物が出荷される、幹線輸送における最後の配送拠点を二次保管場所5と称す。また、幹線輸送において、一次保管場所3から二次保管場所5までの中継拠点とされる配送拠点を中継保管場所4と称す。一次保管場所3、二次保管場所5、および中継保管場所4は、物流倉庫など保管スペースが比較的大きく、大型トラックなどの大型の配送手段により配送物を搬入/搬出することができる、物流センターや物流倉庫などの幹線輸送の配送拠点であり、たとえば複数のエリアから配送物が配送される配送拠点が該当する。なお、一次保管場所3が、中継保管場所4または二次保管場所5を兼ねる構成とすることもできる。また、物流倉庫ではないコインパーキング、ビルの地下駐車場なども、一次保管場所3、中間保管場所4、または二次保管場所5として利用することができる。
【0012】
さらに、「配達処理」は、幹線輸送の配送拠点である二次保管場所5から配送物を出荷し、所定のエリア(配達エリア)内にある複数の引渡場所6を巡回して配送物を各引渡場所6に配達する処理である。なお、引渡場所6は、配送物を受取人に引き渡す配送拠点であり、たとえば、受取場所2と同様に、新聞販売店、ガソリンスタンド、JA(農協)の支店などである。また、配達エリアは、特に限定されないが、たとえば同一または近隣の市区町村程度の範囲とすることができる。
【0013】
本発明においては、配送物を二次保管場所5から出荷するタイミングを、配送物の配送期限の前日に設定し、配送物の配送行程(配送スケジュールや配送ルート)を設定することで、各配送拠点(受取場所2、一次保管場所3、中継保管場所4、二次保管場所5、引渡場所6)において、配送物をできるだけ蓄積し、トラックなどの配送手段の積載率を高めることで、その分、安価な配送サービスを提供することを可能とする。
また、本発明においては、配送拠点2~5間において配送物を配送するトラックなどの配送手段は、配送業者が専用に手配したトラックだけではなく、印刷所から新聞配達所への新聞を配送した後のトラックの荷台、JAに食料などを納入した後のトラックの荷台、あるいは、ガソリンスタンドに灯油などを配達した後の、いわゆる帰り便のトラックの荷台など、配送物の配送を専門としていない会社が手配したトラックなどの空きスペース(空き容量)も利用することで、輸送コストをより低く抑えることを可能としている。また、トラックだけではなく、稼働していないカーゴトレーラーやワンボックスカーなどの輸送車両も活用することで、輸送コストをさらに低く抑えることを可能としている。一次保管場所3から二次保管場所5への配送を行う配送手段は、トラック、カーゴトレーラー、ワンボックスカーなどの自動車に限られず、二輪車、自転車、貨物列車、船舶などが用いられる場合もある。
【0014】
《システム構成》
本実施形態に係る配送管理システム1について説明する。図2は、本実施形態に係る配送管理システム1の構成図である。本実施形態に係る配送管理システム1は、図2に示すように、配送管理サーバ10と、WMS(Warehouse Management System、倉庫管理)サーバ20と、TMS(Transport Management System、輸配送管理)サーバ30と、各配送拠点2~5に配備された管理端末41および読取端末42と、ユーザが所有するユーザ端末50と、配送物を収容する配送用ケース60から構成される。以下に、各構成について説明する。
【0015】
配送管理サーバ10は、図2に示すように、データベース11と、演算装置12と、記憶装置13と、通信装置14とを有する。
【0016】
データベース11は、本実施形態に係る配送管理処理に必要な情報を記憶した各種テーブルを格納する。本実施形態において、データベース11には、配送情報テーブル111、拠点間ルート別配送時間テーブル112、配送拠点別保管日数テーブル113、配送手段テーブル114、配送行程テーブル115、配送運賃単価テーブル116、保管場所保管単価テーブル117および受取場所テーブル118が格納されている。
【0017】
図3は、配送情報テーブル111に格納される情報の一例を示す図である。図3に示すように、配送情報テーブル111には、配送物の識別情報(識別番号)、配送物の重量、配送物の大きさ、送付人の氏名や連絡先、受取人の氏名や連絡先、引渡場所など、配送物の配送に関する各種情報が記憶される。本実施形態において、配送物の大きさは、配送物が収容された配送用ケース60の大きさとすることができ、後述するように、最小の配送用ケース60を単位とした個数で定義される。また、配送情報テーブル111には、配送物がどの配送拠点2~5に保管されているか、あるいは、どの拠点間ルートD1~D10を配送されているかを表す配送状態(あるいは配送物の位置情報)も記憶される。さらに、配送物が収容されている配送用ケース60の識別情報(識別番号)も、各配送物に関連付けて、配送情報テーブル111に記憶される。
【0018】
図4は、拠点間ルート別配送時間テーブル112に格納される情報の一例を示す図である。図4に示すように、拠点間ルート別配送時間テーブル112には、各拠点間ルートにおける配送時間が記憶される。拠点間ルートとは、幹線輸送処理における一次保管場所3、中継保管場所4および二次保管場所5の間のルートであり、図1に示す例では、D1~D10の拠点間ルートを例示している。たとえば1つの一次保管場所3bから配送される拠点間ルートでも、配送先が中継保管場所4b、二次保管場所5b、中継保管場所4cと異なれば、拠点間ルートはD6,D8,D9と複数となる。また、配送時間とは配送手段(トラックなどの車両、船舶、鉄道など)が各拠点間ルートD1~D10を経由して配送物を配送するために必要な時間であり、各配送拠点での滞留時間は含まれない。たとえば、拠点間ルートD9においてトラックT1が配送物を配送するために1時間かかる場合には、図4に示すように、拠点間ルート別配送時間テーブル112には、拠点間ルートD9の配送時間が「1時間」と記憶される。本実施形態では、各拠点間ルートD1~D10の配送時間を予め調べておくことで、拠点間ルート別配送時間テーブル112に、各拠点間ルートD1~D10の配送時間が予め記憶されている。なお、配送時間は、各拠点間ルートD1~D10の距離や各拠点間ルートD1~D10を配送する配送手段の平均的な移動速度などに基づいて算出することもできる。
【0019】
また、図5は、配送拠点別保管日数テーブル113に格納される情報の一例を示す図である。図5に示すように、配送拠点別保管日数テーブル113には、幹線輸送処理における配送拠点3~5ごと、拠点間ルートD1~D10ごとの配送物の保管日数(平均保管日数)が記憶されている。たとえば、図5に示すように、一次保管場所3bからの拠点間ルートD6で配送される配送物の平均保管日数が「4日」、拠点間ルートD8で配送される配送物の平均保管日数が「3日」などのように、拠点間ルートごとに配送物の保管日数が記憶されている。本実施形態では、拠点間ルートD1~D10ごとに、配送物の保管日数の実績データを統計化し、保管日数の平均値、頻出値、中央値などを保管日数として算出し、配送拠点別保管日数テーブル113に予め記憶している。なお、配送拠点別保管日数テーブル113は、周期的に、最新の実績データを用いて保管日数が更新される構成とすることができる。
【0020】
図6は、配送手段テーブル114に格納される情報の一例を示す図である。図6に示すように、配送手段テーブル114には、各拠点間ルートD1~D10において配送物を配送可能な配送手段(たとえばトラックなどの車両、船舶、鉄道など)の情報が記憶される。なお、本実施形態に係る配送管理システム1では、図6に示すように、1つの拠点間ルートにおいて複数の配送手段が存在する場合もある。
【0021】
また、配送手段テーブル114には、配送手段の位置情報や、配送手段の荷台の空き容量などのリアルタイムで変動する情報も記憶することができる。たとえば、配送手段が配送拠点で入荷手続または出荷手続を行っている場合は、その配送拠点の位置を配送手段の位置情報とし、配送手段が出荷手続を完了し配送拠点間の拠点間ルートを移動している場合は、拠点間ルートを走行中などのように配送手段が走行する配送拠点間を示す位置を配送手段の位置情報として、配送手段テーブル114に記憶することができる。あるいは、配送管理サーバ10は、TMSサーバ30を介して、配送手段に設置された情報端末や配送手段の運転者が携帯する携帯端末から、配送手段のGPS位置情報(緯度経度情報)を取得することで、図6に示すように、配送手段テーブル114における配送手段の位置情報をリアルタイムで更新することもできる。また、配送手段の荷物の空き容量は、たとえば最小の配送用ケース60で6個分、12個分、18個分の容量などの配送手段が配送可能な配送物の大きさ(容量)の情報である。本実施形態では、TMSサーバ30が配送手段の配送状況を把握しており、当該配送状況から、配送手段の荷台の空き容量を推測し、配送管理サーバ10に送信することで、配送手段テーブル114における配送物の荷台の空き容量の情報をリアルタイムで更新することができる。
【0022】
図7は、配送行程テーブル115に格納される情報の一例を示す図である。配送行程テーブル115には、図7に示すように、配送物ごと、配送用ケース60ごとに、配送期限日、一次保管場所3への入荷期限日、二次保管場所5からの出荷期限日が記憶される。なお、配送期限日は、配送人が受取処理において設定したものを取得することで記憶することができ、配送期限日に代えて、配送期限日数と受取日時とを記憶する構成としてもよい。また、本実施形態では、後述する配達管理処理および集荷管理処理において、配送物の一次保管場所3への入荷期限日、および、二次保管場所5からの出荷期限日が決定され、配送行程テーブル115に記憶される。
【0023】
図8は、配送運賃単価テーブル116に格納される情報の一例を示す図である。図8に示すように、配送運賃単価テーブル116では、車格別、配送地帯別に、単位容量当たり、かつ、単位時間当たり(たとえば1時間当たり)の基準配送運賃単価および実際配送運賃単価が格納されている。ここで、車格とは、たとえば自動車であれば、軽トラック、軽カーゴトレーラー、ワンボックスカー、1tトラック、2tトラック、4tトラックなどが挙げられる。また、配送地帯としては、たとえば、関東地区、東海地方、近畿地方などが挙げられる。また、「単位容量」とは、上述したように、最小の配送用ケース60を単位した容量であり、本実施形態では、80サイズの配送用ケース60を最小の配送用ケース60として用いているため、80サイズの配送用ケース80の容量が単位容量となる。このように、本実施形態では、配送会社に関わらず、車格および配送地帯に基づいて、基準配送運賃単価および実際配送運賃単価を決定している。また、基準配送運賃単価とは、一定期間(たとえば一月)における配送実績に基づいて算出された配送運賃単価であり、予め配送運賃単価テーブル116に格納され、一定期間ごとに(たとえば一月に一度)更新される。また、本実施形態においては、配送管理サーバ10が、配送物の配送実績を逐次取得しており、直近(たとえば1週間)の配送実績データから、配送地帯別の単位容量当たりの実際配送運賃単価を算出し、実際配送費用単価として逐次更新する。
【0024】
図9は、保管場所保管単価テーブル117に格納される情報の一例を示す図である。図9に示すように、保管場所保管単価テーブル117では、幹線輸送処理における配送拠点である、一次保管場所3、中継保管場所4、二次保管場所5ごとに、単位容量当たり、かつ、単位時間当たり(たとえば1日当たり)の配送運賃の情報が格納されている。
【0025】
図10は、受取場所テーブル118に格納される情報の一例を示す図である。図10に示すように、受取場所テーブル118には、受取場所2ごとの保管余裕容量が記憶されている。保管余裕容量とは、受取場所2における配送物の保管スペースの容量であり、当該保管余裕容量を参照することで、保管余裕容量が所定値以下となる受取場所2において配送物を集荷するように集荷管理処理が行われる。本実施形態では、受取場所2において配送物の受取処理が行われると、図2に示す演算装置12は、受取場所テーブル118の保管余裕容量を、新たに保管された配送物の容量の分だけ減算し、また、受取場所2から配送物が出荷されると、演算装置12は、当該受取場所2の保管余裕容量を新たに出荷された配送物の容量の分だけ加算する。これにより、受取場所テーブル118において、保管余裕容量がリアルタイムで更新されることとなる。また、受取場所2では宅配ロッカーを利用することができ、宅配ロッカーを利用した場合は、宅配ロッカーの間口毎にサイズが異なるため、宅配ロッカー毎かつ間口サイズ毎に保管容量が管理される。
【0026】
演算装置12は、本実施形態に係る配送管理処理を行うため、記憶装置13に記憶されている配送管理プログラムを実行することで、受取管理機能、配達管理機能、集荷管理機能、幹線輸送管理機能の各機能を実行する。以下に、これらの機能について説明する。
【0027】
図2に示す演算装置12の受取管理機能は、受取場所2において送付人から配送物を受け取る場合に、配送物に関する情報をデータベース11に登録する。具体的には、受取管理機能は、送付人がユーザ端末50から入力した配送物の配送情報を、配送情報テーブル111に記憶する。本実施形態では、送付人が配送物を配送する場合、まず、ユーザ端末50の専用プログラムを起動して、配送物の識別番号、送付人の氏名や連絡先、受取人の氏名や連絡先、引渡場所6などの配送物の配送情報を入力し、配送管理サーバ10に配送物の配送情報を送信する。これにより、受取管理機能は、配送物の識別番号、送付人の氏名や連絡先、受取人の氏名や連絡先、引渡場所6などの配送情報を、ユーザ端末50から通信装置14を介して受信し、データベース11の配送情報テーブル111に記憶する。また、本実施形態では、後述するように、受取場所2において、配送物の大きさや重量に基づいて、当該配送物を収容する配送用ケース60が決定され、配送物が対応する配送用ケース60に収容される。そのため、配送管理サーバ10は、配送物を収容した配送用ケース60の識別情報を管理端末41から受信した場合に、当該配送用ケース60のサイズに基づいて、配送物の重量(当該配送用ケース60の重量上限値とする)や配送物の大きさ(最小の配送用ケース60単位で何個分であるか)の配送情報を、データベース11の配送情報テーブル111に記憶することができる。
【0028】
また、本実施形態では、各配送拠点2~6における入荷手続または出荷手続において、配送物を収容する配送用ケース60のQRコード61(登録商標)またはRFタグ62の読み取りが読取端末42により行われると、配送物の配送状態を更新するための配送情報が、各配送拠点2~6の管理端末41から配送管理サーバ10へと送信される。受取管理機能は、配送物の配送状態を示す配送情報を各配送拠点2~6の管理端末41から受信した場合に、配送情報テーブル111における配送物の配送状態を、各配送拠点
2~6の管理端末41から受信した配送物の配送状態に更新する。
【0029】
演算装置12の配達管理機能は、幹線輸送の最後の配送拠点である二次保管場所5から配送物を出荷し、所定のエリア内にある複数の引渡場所6を巡回して配送物を各引渡場所6に配達する「配達処理」を管理する配達管理処理を行う。具体的には、配達管理機能は、各配送物の配送期限日の前日を二次保管場所5からの出荷期限日と設定し、配達を行う配送手段の配送物の積載量が最大化するように、配送物を配達する引渡場所6を配達場所6’(たとえば図1に示す引渡場所6a~6hのうち、白抜きで示す6a~6c,6e~6g,6i,6j)として決定する。そして、配達管理機能は、決定した配達場所6’を巡回するルートを配達ルートとして作成し、配送業者への配達指示、二次保管場所5への出荷指示、および、配達場所6’への入荷指示を行う。なお、配達管理機能による配達管理処理の詳細は後述する。
【0030】
演算装置12の集荷管理機能は、トラックなどの配送手段が所定のエリアにおける複数の受取場所2を巡回して配送物を集荷し、集荷した配送物を幹線輸送の配送拠点となる一次保管場所3まで配送する「集荷処理」を管理する集荷管理処理を行う。具体的には、集荷管理機能は、保管している配送物の総容量が所定の容量以上である受取場所2を巡回場所2’ (たとえば図1に示す受取場所2a~2mのうち、白抜きで示す2c,2d,2f~2h,2j~2l)として特定する。そして、集荷管理機能は、巡回場所2’を巡回する配送手段の積載量が最大化するように、各配送物の配送期限に基づいて、配送物を巡回する集荷ルートを決定し、配送業者への集荷指示、受取場所2への出荷指示、一次保管場所3への入荷指示を行う。なお、集荷管理機能による集荷管理処理の詳細は後述する。
【0031】
演算装置12の幹線輸送管理機能は、配送物を比較的遠距離にある一次保管場所3から二次保管場所5まで幹線輸送を行う「幹線輸送処理」を管理する幹線輸送管理処理を行う。具体的には、幹線輸送管理機能は、配送物の一次保管場所3への出荷期限日と二次保管場所5の出荷期限日から、幹線輸送における配送許容日数を算出する。そして、幹線輸送管理機能は、配送許容日数内において、中継保管場所4での保管コストと拠点間ルートにおける輸送コストとの合計である配送コストの単価が最も安くなる配送ルートを基幹輸送ルートとして決定し、配送業者への幹線輸送指示、一次保管場所3や中継保管場所4への出荷指示、中継保管場所4や二次保管場所5への入荷指示を行う。なお、上記「配送コストの単価が最も安くなる配送ルート」は、予め決められた、各配送拠点間の拠点間ルートにおける輸送コストに基づいて、経路ごとの輸送コストと管理コストの合計金額を配送コストとして算出する方法とすることもできるが、本実施形態では、拠点間ルートにおける荷量の実績データに基づいて、直近(たとえば1週間など、業種によって異なる(たとえばBtoBは1週間よりも長くしてもよい))において最も荷量が多い(一個当たりの輸送コストが安い)ルートを選択する構成を例示して説明する。なお、幹線輸送管理機能による幹線輸送管理処理の詳細は後述する。
【0032】
次に、WMSサーバ20について説明する。WMSサーバ20は、図2に示すように、演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを有し、記憶装置22に記憶した倉庫管理プログラムを演算装置21により実行することで、以下に説明する倉庫管理処理を実行する。
【0033】
たとえば、配送管理サーバ10は、配達管理処理、集荷管理処理、および幹線輸送管理処理において、出荷する配送物の情報と、出荷元の配送拠点の情報と、出荷先の配送拠点の情報とを含めた、出荷指示および入荷指示を、WMSサーバ20に送信する。WMSサーバ20は、通信装置23を介して、出荷元の配送拠点の出荷指示と、出荷先の配送拠点の入荷指示とを配送管理サーバ10から受信し、図2に示すように、出荷元の配送拠点に配備された管理端末41に出荷指示を送信し、また、出荷先の配送拠点に配備された管理端末41に入荷指示を送信する。これにより、出荷元の配送拠点において配送物の出荷手続が行われ、出荷先の配送拠点において配送物の入荷手続が行われる。
【0034】
次に、TMSサーバ30について説明する。TMSサーバ30は、図2に示すように、演算装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを有する。TMSサーバ30も、記憶装置32に記憶した輸配送管理プログラムを演算装置31で実行することで、以下に説明する輸配送管理処理を実行する。
【0035】
たとえば、配送管理サーバ10は、配達管理処理、集荷管理処理、および幹線輸送管理処理において、出荷する配送物の情報、出荷元の配送拠点の情報、出荷先の配送拠点の情報、配送物を配送する配送ルートの情報、あるいは、配送物を配送可能な配送手段の情報を含む配送物の配送指示(配達指示、集荷指示、または幹線輸送指示)を、TMSサーバ30に送信する。TMSサーバ30は、配送管理サーバ10から配送指示を受信すると、当該配送指示に基づいて、配送物を配送可能な配送手段を特定し、当該配送手段が配送物を配送するように、配送手段に配送指示を行う。なお、本実施形態では、配送手段に情報端末が設置されており、または、配送手段の運転者が携帯端末を有しており、TMSサーバ30から、配送手段の情報端末や運転者の携帯端末に輸配送情報を送信することで、各配送手段に輸配送手続(出荷元の配送拠点での配送物の引き取り、拠点間ルートにおける配送物の配送、出荷先の配送拠点での配送物の引き渡し)を行わせることができる。また、TMSサーバ30により、配送予定日と配送する配送物の総量などの情報を配送業者のサーバやコンピュータに送信することで、配送のマッチングを実行させることもできる。配送のマッチングでは、車両に安全運転度や納期遵守度などの優先順位をつけ、優先順位が高い車両がから優先的にルートを割り振る構成とすることができる。
【0036】
次に、本実施形態に係る管理端末41および読取端末42について説明する。配送管理システム1では、各配送拠点2~6に、管理端末41および読取端末42が配備されている。管理端末41と読取端末42とは、有線または無線により接続されており、読取端末42で読み取った情報は管理端末41に送信される。また、管理端末41は、電気通信回線を介して、配送管理サーバ10と接続しており、配送管理サーバ10と情報の授受が可能となっている。たとえば、送付人が配送物を受取場所2に持ち込むと、受取場所2の読取端末42により、配送物の識別情報(たとえば識別番号)が読み取られ、管理端末41へと送信される。これにより、管理端末41は、配送物の識別情報と、配送物の配送状態を示す「受取場所2で保管中」との情報を、配送管理サーバ10に送信する。その結果、配送管理サーバ10の配送情報テーブル111において、配送物の配送状態が「受取場所2で保管中」に更新される。なお、読取端末42で読み取った情報を、配送管理サーバ10に直接送信する構成とすることもできる。
【0037】
また、受取場所2においては、配送物が配送用ケース60に収容される。この配送用ケース60には、図11に示すように、当該配送用ケース60の識別情報を記憶したQRコード61およびRFタグ62が取り付けられており、配送物Bと配送用ケース60とを対応付けることができる。すなわち、管理端末41は、QRコード61またはRFタグ62に記憶された、配送物を収容した配送用ケース60の識別情報と、当該配送物の識別情報とを関連付けて配送管理サーバ10に送信することができ、これにより、配送情報テーブル111において、配送物を収容した配送用ケース60の識別情報も、当該配送物の配送情報として記憶される。なお、図11は、本実施形態に係る配送用ケース60の概要を示す斜視図である。また、上述したように、受取場所2においては、宅配ボックスを設置して、宅配ボックスで配送物の受け取りを行う構成としてもよい。
【0038】
読取端末42は、QRコード61および/またはRFタグ62を読み取るための装置であり、QRコード61および/またはRFタグ62を非接触にて読み取ることができる。読取端末42の読取範囲を数~十数メートルとすることで、読取端末42は、一度に複数の配送用ケース60の識別情報を読み取ることができる。本実施形態においては、読取端末42として、QRコード61およびRFタグ62の両方を1台で読取可能な端末を例示しているが、この構成に限定されず、QRコード61読み取り用の読取端末42と、RFタグ62読み取り用の読取端末42とをそれぞれ用いる構成としてもよい。また、スマートフォンを用いて読取端末42を構成してもよい。たとえば、カメラによりQRコード61を読み取り可能なスマートフォンに、RFタグ62を読取可能とするためのアタッチメントを取り付けることで、スマートフォンをQRコード61およびRFタグ62を読取可能な読取端末42として利用することができる。また、読取端末42は、ハンディタイプの端末装置であってもよいし、たとえば配送用ケース60が搬送されるコンベア上部などに固定された端末装置であってもよい。
【0039】
また、各配送拠点2~6の管理端末41は、配送物の入荷指示や出荷指示を、WMSサーバ20から受信する。各配送拠点2~5では、受信した入荷指示や出荷指示に基づいて、配送手段により配送された配送物を配送拠点に入荷する入荷手続や、配送手段に配送物を引き渡す出荷手続が行われる。また、本実施形態では、入荷手続を行う際に、入荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が読取端末42により一斉に読み取られる。管理端末41は、取得した配送用ケース60の識別情報に基づいて、各配送物の配送情報を配送管理サーバ10から受信することで、入荷した配送物を拠点間ルートごとに仕分けさせることができる。また、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10へと送信することで、配送情報テーブル111において記憶される配送物の配送状態を、たとえば「拠点間ルートD8を移動中」から「二次保管場所5bで保管中」などに更新することができる。同様に、出荷手続を行う際に、出荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が読取端末42により一斉に読み取られる。これにより、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10へと送信することで、配送情報テーブル111において記憶される配送物の配送状態を、たとえば「一次保管場所3bで保管中」から「拠点間D8を移動中」などに更新することができる。
【0040】
次に、本実施形態に係るユーザ端末50について説明する。ユーザ端末50は、送付人や受取人がそれぞれ所有する情報端末であり、たとえばスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピューターなどが挙げられる。ユーザ端末50は、電気通信回線を介して配送管理サーバ10と通信が可能であり、ユーザ端末50で配送物の配送情報を入力することで、配送物の配送情報を配送管理サーバ10に送信することができる。また、ユーザ端末50は、配送物の受取通知、配送物の引渡場所への出荷通知や到達通知などを、配送管理サーバ10から受信することもできる。なお、ユーザ端末50に、配送管理処理専用のプログラムをインストールし、当該プログラムを起動することで、配送物の配送情報を入力し、配送管理サーバ10に送信する構成とすることもできるし、ユーザ端末50でウェブブラウザを起動することで、ウェブブラウザ上で配送物の配送情報を入力し、配送物の配送情報を配送管理サーバ10に送信する構成とすることでもきる。また、ユーザ端末50は、本実施形態に係る配送管理システム1による配送に関する費用を支払う機能を有することもできる。
【0041】
配送用ケース60は、配送物の配送に際して、配送物を収容するための専用の梱包材であり、繰り返し利用される。図11に示すように、配送用ケース60の外側表面には、QRコード61が描画されており、QRコード61を読取端末42で読取可能となっている。また、図11に示すように、配送用ケース60には、RFタグ62も取り付けられており、RFタグ62に記憶された情報を読取端末42で読取可能となっている。QRコード61およびRFタグ62には、配送用ケース60の識別情報が記憶されており、読取端末42は、QRコード61およびRFタグ62を読み取ることで、配送用ケース60の識別情報を取得することができる。そのため、配送用ケース60に配送物を収容することで、配送物を配送用ケース60で識別することが可能となる。なお、読取端末42で読み取られた配送用ケース60の識別情報は、管理端末41を介して配送管理サーバ10に送信され、その配送用ケース60に収容された配送物の配送情報と関連付けて配送情報テーブル111に記憶される。
【0042】
また、本実施形態では、図12に示すように、異なる複数のサイズの配送用ケース60が使用される。ここで、図12(A)は、本実施形態に係る配送用ケース60のうち最も小さい80サイズの配送用ケースであり、高さ、幅、奥行きの合計が約80cmとなっている。また、図12において、(B)は100サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約100cm)の配送用ケース60であり、80サイズの配送用ケース60が2つ入る大きさとなっている。同様に、(C)は120サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約120cm)で80サイズの配送用ケース60が4つ入る大きさの配送用ケース60であり、(D)は140サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約140cm)で80サイズの配送用ケース60が8つ入る大きさの配送用ケース60であり、(E)は160サイズ(高さ、幅、奥行きの合計が約160cm)であり、80サイズの配送用ケース60が16個入る大きさの配送用ケース60である。本実施形態においては、図12(A)に示す80サイズの配送用ケース60の容量が、最もサイズの小さい単位容量基準となる。なお、80サイズの配送用ケース60は内部において間仕切り可能となっており、サイズが小さい商品などを複数収容することが可能となっている。
【0043】
本実施形態では、原則として、60サイズの配送用ケース60に入れられる配送物は、60サイズの配送用ケース60に収容して配送され、60サイズの配送用ケース60に収容できない大きさの配送物は、その配送物が収容できる最も容量の小さい配送用ケース60に収容されることとなる。また、本実施形態では、配送用ケース60ごとに、収容可能な配送物の重量上限値が設けられている。たとえば、60サイズの配送用ケース60では2kg、80サイズの配送用ケース60では5kg、100サイズの配送用ケース60では10kgなどである。これにより、60サイズの配送用ケース60に収容可能な容量の配送物でも、その重量が3kgである場合、60サイズの配送用ケース60の重量上限値を超えるため、その配送物は80サイズの配送用ケース60に収容されることとなる。このように配送用ケース60のサイズごとに、収容可能な配送物の重量の上限値を設けることで、配送物を搬送する配送手段が過重積載となることを有効に防止することができる。
【0044】
次に、本実施形態に係る配送管理システム1の処理を、図13図19に基づいて説明する。図13は配送物の受取処理を示すフローチャートであり、図14図19は配送管理処理を示すフローチャートである。
【0045】
まず、図13に示す受取処理について説明する。図13に示す受取処理は、受取場所2において配送物を送付人から受け取る場合に実行される。まず、ステップS101では、ユーザ端末50により、配送物の配送情報が入力される。たとえば、送付人は、ユーザ端末50に専用プログラムを予めインストールしておき、当該専用プログラムを起動することで、ユーザ端末50から、配送物の配送に必要な配送情報を入力することができる。ユーザ端末50において入力される配送情報には、配送物の識別番号、受取場所2、引渡場所6、送付人の氏名や連絡先、受取人の氏名や連絡先などが含まれる。ユーザ端末50において入力された配送物の配送情報は、電気通信回線を介して配送管理サーバ10に送信され、データベース11の配送情報テーブル111に格納される。また、本実施形態においては、受取場所2での配送物の受取処理を促進するために、配送管理サーバ10に格納された配送物の配送情報を識別するための、配送物の識別番号がユーザ端末50に記憶される。さらに、本実施形態において、配送物の配送情報には、配送期限日、配送期限日数、受取場所2で配送物を受け取った受取日時などの配送情報を含むことができ、配送行程テーブル115にこれら配送情報を記憶することもできる。そして、配送物の配送情報がデータベース11に登録された後に、配送人が配送物を最寄りの受取場所2に持ち込むことで、ステップS102に進む。なお、配送期限日数(当初の配送期限日数)は、特に限定されないが、本実施形態に係る配送管理システム1は配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えるものであるため、3日以上、好ましくは5日以上、より好ましくは10日以上の日数とされる。
【0046】
ステップS102では、受取場所2の読取端末42により、配送物の配送情報の読み取りが行われる。たとえば、本実施形態では、送付人のユーザ端末50に配送物の識別情報が記憶されており、たとえばQRコードなどの形態で、配送物の識別情報をユーザ端末50のディスプレイに表示することができる。この場合、読取端末42は、ユーザ端末50のディスプレイに表示されたQRコードをスキャンすることで、配送物の識別情報を取得し、管理端末41に送信する。管理端末41は、配送管理サーバ10にアクセスすることで、配送物の識別情報に基づいて、配送物の配送情報を取得することができる。また、受取場所2では、配送物の重量や大きさに基づいて、配送物を収容する配送用ケース60が決定される。具体的には、配送物を収容できる容量であり、かつ、配送物の重量が重量上限値を超えない配送用ケース60のうち最も小さいサイズの配送用ケース60が、当該配送物に対応する配送用ケース60として決定される。これにより、管理端末41は、配送物を収容する配送用ケース60の識別情報を配送管理サーバ10に送信することで、配送管理サーバ10において、配送用ケース60のサイズに基づいて、配送物の重量や配送物の大きさ(最小の配送用ケース60単位で何個分であるか)の配送情報が、配送情報テーブル111に記憶される。
【0047】
ステップS103では、配送管理サーバ10の受取管理機能により、配送物の識別情報と当該配送物を収容する配送用ケース60の識別情報との関連付けが行われる。配送用ケース60には、QRコード61が取り付けられており、読取端末42を用いて、配送物を収容した配送用ケース60に取り付けたQRコード61を読み取ることで、管理端末41は、配送用ケース60の識別情報も取得することができる。そして、管理端末41は、ステップS102で取得した配送物の識別情報と、このステップS103で取得した配送用ケース60の識別情報とを関連付けて、配送管理サーバ10に送信する。これにより、配送管理サーバ10では、配送物の配送情報に、当該配送物を収容する配送用ケース60の識別情報を関連づけて、配送情報テーブル111に記憶する。また、続くステップS104では、配送管理サーバ10により、配送情報テーブル111の配送物の配送状態が「受取場所2で保管中」に更新される。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る受取処理が行われる。次に、図14に基づいて、本実施形態に係る配送管理処理について説明する。図14に示すように、本実施形態に係る配送管理処理は、配送物を引渡場所6まで配達する「配達処理」を管理する配達管理処理と、配送物を受取場所2から集荷する「集荷処理」を管理する集荷管理処理と、一次保管場所3から二次保管場所5まで配送物を幹線輸送する「幹線輸送処理」を管理する幹線輸送管理処理とを実行する。なお、本実施形態では、配達管理処理、集荷管理処理、幹線輸送管理処理の順に処理を行うが、配達管理処理と集荷管理処理とは順序が入れ替わってもよい。また、本実施形態に係る配送管理処理は、一定時間ごと(たとえば1日ごと)に繰り返し行うことができる。
【0049】
図14に示すように、本実施形態に係る配送管理処理では、まず、配送物を引渡場所6まで配達する「配達処理」を管理するための配達管理処理(ステップS2)が行われる。ここで、図15は、ステップS2に示す配達管理処理を示すフローチャートである。
【0050】
図15に示すように、まず、ステップS201では、配送管理サーバ10の配達管理機能により、各配送物の配送期限日の取得が行われる。たとえば、図13に示す受取処理において、配送物の配送情報として配送期限日が配送行程テーブル115に記憶されている場合には、配達管理機能は、配送情報テーブル111を参照して、各配送物の配送期限日を取得することができる。また、配送物の配送情報として配送期限日数と、受取場所2で配送物を送付人から受け取った受取日時が、配送情報テーブル111に記憶されている場合には、配達管理機能は、各配送物の配達期限日数と受取日時とに基づいて、各配送物の配送期限日を算出して取得することができる。
【0051】
ステップS202では、配達管理機能により、各配送物の配送期限日の前日を二次保管場所5からの配送物の出荷期限日に設定する処理が行われる。たとえば、配達管理機能は、ステップS201で取得した配送物の配送期限日が12月10日である場合、その前日の12月9日を、当該配送物を二次保管場所5から出荷する出荷期限日として設定する。また、本実施形態では、配送期限日の前日を二次保管場所5からの配送物の出荷期限日に設定する構成を例示するが、二次保管場所5から引渡場所6への配達に必要な配達所要日数を予め求めておき、配送期限日から配達所要日数前の日を二次保管場所5からの出荷期限日として設定する構成とすることもできる。
【0052】
そして、ステップS203では、配達管理機能により、ステップS202において設定された各配送物の二次保管場所5からの出荷期限日に基づいて、二次保管場所5から引渡場所6までの各配送物の配達ルートが出荷期限日ごとに作成される。具体的には、配達管理機能は、出荷期限日ごとに、出荷期限日において配送物を配達する引渡場所6を配達場所6’として特定する。なお、図1に示す例では、配達場所6’として設定された引渡場所6を白抜きで、配達場所6’として設定されなかった引渡場所6をグレーで表示している。そして、配達管理機能は、出荷期限日ごとに、配送手段の積載率が最大化されるように、配達場所6’を巡回する配送ルートを配達ルートとして設定する。たとえば12月10日の配達ルートを作成する場合、まず、配達管理機能は、ステップS202において二次保管場所5からの出荷期限日として12月10日が設定された配送物が配達される引渡場所6を配達場所6’として特定する。そして、配達管理機能は、たとえば特開2017-091409号で開示された基本配送パターンの設定とダイナミックルーティングによる基本配送ルートの組み換えにより、配送手段の積載率が最大化されるように、配達場所6’を巡回する配達ルートを設定することができる。
【0053】
また、本実施形態では、二次保管場所5a,5bごとに、各引渡場所6a~6kに配送物を配達する二次保管場所6a,6bが特定されている。たとえば、図1に示す例では、二次保管場所5aから配送物が配達される複数の引渡場所6a~6eが二次保管場所6aの配達エリアとして特定され、二次保管場所5bから配送物が配送される複数の引渡場所6e~6kが二次保管場所5bの配達エリアとして特定される。また、図1に示す引渡場所6eのように、引渡場所6が2つの配達エリアに跨って設定される場合もある。そこで、ステップS204では、配達管理機能により、配達エリアが重複する配達場所6’があるか否かの判断が行われる。配達エリアが重複する配達場所6’が存在しなければ、ステップS203で決定した配達ルートで配達するためにステップS206に進む。一方、配達エリアが重複する配達場所6’が存在する場合は、ステップS205に進む。
【0054】
ステップS205では、配達管理機能により、配達エリアが重複する配達場所6’について、どの二次保管場所5から配達するかを決定するための処理が行われる。たとえば、図1に示す例において、引渡場所6eが配達場所6’として特定された場合、配達管理機能は、二次保管場所5aから引渡場所6eへ配送物を配送するか、二次保管場所5bから引渡場所6eへ配送物を配送するかを、輸送コストおよび保管コストの合計である配送コスト(総コスト)に基づいて判断する。すなわち、配達管理機能は、配送物を二次保管場所5aから引渡場所6eに配送する方が、配送コストが安い場合には、二次保管場所5aを当該配送物の配送元である二次保管場所5として設定し、配送物を二次保管場所5bから引渡場所6eに配送する方が、配送コストが安い場合には、二次保管場所5bを当該配送物の配送元である二次保管場所5として設定する。なお、配送コスト(並びに輸送コストおよび管理コスト)の求め方は、後述する幹線輸送管理処理(ステップS408)における配送コストの算出と同様に求めることができ、たとえば、配送運賃単価テーブル116と保管場所保管単価テーブル117とを参照し、二次保管場所5ごとの保管コストと、二次保管場所5ごとの輸送コストとを求めることで、二次保管場所5ごとの配送コストを算出することができる。
【0055】
ステップS206では、配達管理機能により、ステップS203またはステップS205で設定された配送物の出荷期限日が、配送行程テーブル115に記憶される。これにより、後述する幹線輸送管理処理において、配送物の幹線輸送ルートを設定する場合に、当該配送物の二次保管場所5からの出荷期限日を取得することが可能となる。
【0056】
ステップS207では、配達管理機能により、配送業者に対する配達指示が行われる。具体的には、配達管理機能は、出荷期限日ごとの配達ルート、当該配達ルートで配達される配送物の総容量、各配送物を引き渡す配達場所6’などの配達情報を、TMSサーバ30に送信する。また、TMSサーバ30は、トラックなどの配送手段を運用している配送業者(たとえば、本実施形態に係る配送管理システム1に参加する配送専用業者や、新聞配達所、JA、ガソリンスタンドなどに物資を配送する業者)に対して、これら配達情報を送信する。これにより、各配送業者は、受信した配達情報に基づいて、出荷期限日ごとに、どの配達ルートで、どの程度の容量の配送物を配達すればよいかを把握することができ、配送物の配達に必要な配送手段などの配車準備を行うことができる。なお、配送管理システム1は、本日や翌日の配達のみについて配達指示を行う構成とすることもできるが、本実施形態に係る配送管理処理では、受取場所2で配送物を受け取った時点で、当該配送物が二次保管場所5から出荷される出荷期限日や配達ルートをある程度決定することができるため、各配送業者における配車準備期間を考慮して、3日以上、より好ましくは5日以上後の配達についての配達情報も配達業者に提供することで、配送業者に余裕を持って配車準備をしてもらう構成とすることが好ましい。
【0057】
また、ステップS208では、配達管理機能により、二次保管場所5に対する配送物の出荷指示が行われる。具体的には、配達管理機能は、各配送物の出荷期限日、各配送物を引き渡す配達場所6’などの配達情報を、WMSサーバ20を介して、二次保管場所5の管理端末41に送信する。これにより、二次保管場所5において、出荷期限日に配送物を出荷できるように配送物の出荷準備が行われる。同様に、ステップS209では、配達管理機能により、配達場所6’で引き渡される配送物の情報、配達場所6’に配達される日時などの配達情報を、WMSサーバ20を介して、引渡場所6に配備された管理端末41に送信する。これにより、配達場所6’において、配送物の配達予定日に配送物を入荷できるように配送物の入荷手続が行われる。このように、図15に示すステップS2の配達管理処理が行われる。
【0058】
次いで、配送物を受取場所2から集荷する「集荷処理」を管理する集荷管理処理(図14のステップS3)について説明する。図16は、ステップS3に示す集荷配送管理処理を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS301では、まず、集荷管理機能により、受取場所2ごとの保管余裕容量(受取場所2において配送物を保管することができる余裕量)の取得が行われる。本実施形態では、図13に示す受取処理において配送物の配送状態が受取場所2で保管中に更新されると、受取場所テーブル118において、当該受取場所2の保管余裕容量が新たに保管された配送物の容量の分だけ減算し、また、後述する出荷指示に基づいて受取場所2から配送物が出荷されると、当該受取場所2の保管余裕容量が新たに出荷された配送物の容量の分だけ加算される。これにより、集荷管理機能は、受取場所テーブル118を参照することで、各受取場所2における最新の保管余裕容量を取得することができる。
【0060】
ステップS302では、集荷管理機能により、ステップS301により取得された各受取場所2の保管余裕容量に基づいて、保管余裕容量が所定値以下である受取場所2が巡回場所2’として特定される。ここで、上記所定値とは、一定の容量(たとえば60サイズの配送用ケース60で4個分など)としてもよいし、受取場所2の保管可能容量(何も保管していない場合に保管可能な容量)に対して所定の割合(たとえば20%)の容量とすることもできる。保管余裕容量が所定値以下である受取場所2では、配送物を一次保管場所3に出荷しないと新たな配送物を受け取れなくなるおそれがあるため、配送物を集荷するために配送手段が巡回する巡回場所2’として設定される。なお、図2に示す例では、巡回場所2’として設定された受取場所2を白抜きで、巡回場所2’として設定されなかった受取場所2をグレーで表示している。
【0061】
ステップS303では、集荷管理機能により、ステップS302で設定された巡回場所2’を巡回する集荷ルートの設定が行われる。本実施形態では、図2に示すように、比較的距離が近い受取場所2がエリアごとにグループ化されており、集荷管理機能は、ステップS302で設定された巡回場所2’のうち、同じエリア内に所属する巡回場所2’を巡回するルートを集荷ルートとして設定することができる。なお、同じエリア内における巡回場所を巡回するためのルートの設定方法は、特に限定されないが、たとえば配達処理と同様に、特開2017-091409号で開示された基本配送パターンの設定とダイナミックルーティングにより集荷ルートを設定することができる。これにより、配送業者は、集荷ルートに基づいて配送物を集荷することができる。なお、有人の受取場所2においては、受取場所2の従業員により、配送物が配送用ケース60に収容されるが、受取場所2が宅配ロッカーを利用した無人の配送拠点である場合には、配送業者が、配送用ケース60を持ち込み、配送物を配送用ケース60に収容することができる。この場合、使用された宅配ロッカーの間口の大きさの情報が、予め配送物の情報として配送業者に送信され、配送業者は、宅配ロッカーの間口の大きさに応じた配送用ケース60を持ち込むことができる。
【0062】
また、本実施形態では、一次保管場所3a,3bごとに、各受取場所2a~2mで集荷された配送物が配送される一次保管場所3a,3bが特定されている。たとえば、図1に示す例では、一次保管場所3aに配送物が配送される複数の受取場所2a~2fが一次保管場所3aの集荷エリアとして特定され、一次保管場所3bに配送物が配送される複数の受取場所2f~2mが一次保管場所3bの集荷エリアとして特定される。また、図1に示す受取拠点2fのように、受取拠点2が2つの集荷エリアに跨って設定される場合もある。そこで、ステップS304では、集荷管理機能により、集荷エリアが重複する巡回場所2’があるか否かの判断が行われる。集荷エリアが重複する巡回場所2’が存在しなければ、ステップS303で決定した集荷ルートで集荷するためにステップS306に進む。一方、集荷エリアが重複する集荷場所2’が存在する場合は、ステップS305に進む。
【0063】
ステップS305では、集荷管理機能により、集荷エリアが重複する巡回場所2’について、どの一次保管場所3へ配送するかを決定するための処理が行われる。たとえば、図1に示す例において、受取場所2fが巡回場所2’として特定された場合、集荷管理機能は、受取場所2fから一次保管場所3aに配送物を配送するか、受取場所2fから一次保管場所3bに配送物を配送するかを、輸送コストおよび保管コストの合計である配送コスト(総コスト)に基づいて判断する。すなわち、配達管理機能は、配送物を受取場所2fから一次保管場所3aに配送する方が配送コストが安い場合には、一次保管場所3aを当該配送物の配送元である一次保管場所3として設定し、配送物を受取場所2fから一次保管場所3bに配送する方が配送コストが安い場合には、一次保管場所3bを当該配送物の配送元である一次管場所3として設定する。なお、配送コスト(並びに輸送コストおよび管理コスト)の求め方は、後述する幹線輸送管理処理(ステップS408)における配送コストの算出と同様に求めることができ、たとえば、配送運賃単価テーブル116と保管場所保管単価テーブル117とを参照し、一次保管場所3ごとの保管コストと、一次保管場所3ごとの輸送コストとを求めることで、一次保管場所3ごとの配送コストを算出することができる。
【0064】
また、集荷管理機能は、配送手段テーブル114を参照し、巡回場所2’を巡回可能な配送手段の台数、各配送手段が集荷可能な配送物の容量(各配送物の荷台の空き容量)、および各配送手段が集荷可能な時間(稼働時間)に基づいて、巡回場所2’を巡回する集荷ルートを設定することができる。たとえば、配送手段の荷台の空き容量が、エリア内の全ての巡回場所2’で集荷する配送物の総容量に対して少ない場合、1台の配送手段で全ての巡回場所の配送物を集荷することはできない。そのため、このような場合、同じエリアに複数台の配送手段を配車するものとして、各配送手段が集荷する集荷ルートをそれぞれ設定する構成とすることが好ましい。また、集荷管理機能は、集荷を依頼する配送業者に通知するために、設定した集荷ルートにおいて集荷する配送物の総容量や集荷にかかる時間(稼働時間)を算出することもできる。
【0065】
ステップS306では、集荷管理機能により、配送物の一次保管場所3への入荷期限日が、配送行程テーブル115に記憶される。ステップS303で集荷ルートが設定されると、各配送物が一次保管場所3に入荷される入荷期限日が決定される。集荷管理機能は、決定した入荷期限日を、配送行程テーブル115に記憶する。これにより、後述する幹線輸送管理処理において、配送物の幹線輸送ルートを設定する場合に、当該配送物の一次保管場所3への入荷期限日を取得することが可能となる。
【0066】
ステップS307では、集荷管理機能により、ステップS303で設定した集荷ルートで配送物を集荷するように、配送業者に対する集荷指示が行われる。具体的には、集荷管理機能は、各エリアの巡回場所2’を巡回して配送物を集荷するための配送手段の台数、各配送手段の集荷ルート、集荷する配送物の個数(容量)、集荷にかかる時間などの情報を、TMSサーバ30に送信する。これにより、TMSサーバ30は、配車手段を運用している配送業者(たとえば、本実施形態に係る配送管理システム1に参加する配達専用業者や、新聞配達所、JA、ガソリンスタンドなどに物資を配送する配送業者)に対して、これら情報を送信することで、各配送業者において必要な配車手段などの準備が行われる。なお、本実施形態において、配送管理システム1は、当日の集荷についての集荷指示を行う構成とすることもできるが、各配送業者における配車準備期間を考慮して1~3日後の集荷についての情報も提供する構成とすることが好ましい。
【0067】
また、ステップS308では、集荷管理機能により、受取場所2に対する配送物の出荷指示が行われる。具体的には、集荷管理機能は、各配送物の集荷予定日、各配送物を引き受ける巡回場所2’などの集荷情報を、WMSサーバ20を介して、受取場所2の管理端末41に送信する。これにより、受取場所2において、集荷予定日に配送物を出荷できるように配送物の出荷準備が行われる。同様に、ステップS309では、集荷管理機能により、一次保管場所3へ入荷する配送物の情報、一次保管場所3に入荷される入荷期限日などの情報を、WMSサーバ20を介して、一次保管場所3に配備された管理端末41に送信する。これにより、一次保管場所3において、配送物の入荷期限日に配送物を入荷できるように配送物の入荷手続が行われる。このように、図16に示すステップS3の集荷管理処理が行われる。
【0068】
次いで、配送物を一次保管場所3から二次保管場所5まで幹線輸送する「幹線輸送処理」を管理する幹線輸送管理処理(図14のステップS4)について説明する。図17は、ステップS4に示す幹線輸送管理処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップS401では、配送管理サーバ10の幹線輸送管理機能により、幹線輸送における配送拠点3~5ごと、拠点間ルートD1~D10ごとの配送物の総容量が算出される。たとえば、幹線輸送管理機能は、配送情報テーブル111に記憶した受取場所、引渡場所、配送状態(配送物が保管されている配送拠点)などの配送情報に基づいて、配送物が幹線輸送において経由する拠点間ルートを特定する。そして、幹線輸送管理機能は、配送物を拠点間ルートごとに分け、各配送物の容量などの配送情報に基づいて、各拠点間ルートにおける配送物の総容量を算出する。
【0070】
ここで、図2において、配送物を受取場所2kから引渡場所6jへと配送する場合、一次保管場所3bから二次保管場所5bまで幹線輸送が行われる。この場合において、配送物が通過する幹線輸送ルートしては、(1)一次保管場所3bから二次保管場所5bまで直接に移動する、拠点間ルートD8のみを通過するルート、(2)中継保管場所4bを経由して一次保管場所3bから二次保管場所5bまで移動する、拠点間ルートD6,D7を通過するルート、(3)中継保管場所4cを経由して一次保管場所3bから二次保管場所5bまで移動する、拠点間ルートD9,D10を通過するルートがある。この場合、幹線輸送管理機能は、配送物がいずれの幹線輸送ルートでも配送されるものとして、各拠点間ルートD1~D10における配送物の総容量を算出する。また、配送物の配送状態から、配送物が中継保管場所4cに保管されている場合には、当該配送物が経由する拠点間ルートは、拠点間ルートD10だけと特定される。
【0071】
ステップS402では、幹線輸送管理機能により、各拠点間ルートにおける配送時間が取得される。本実施形態において、幹線輸送管理機能は、拠点間ルート別配送時間テーブル112を参照することで、各拠点間ルートにおける配送時間を取得することができる。また、ステップS403では、幹線輸送管理機能により、各配送拠点での保管日数が取得される。幹線輸送管理機能は、配送拠点別保管日数テーブル113を参照することで、幹線輸送の各配送拠点における保管日数を取得することができる。
【0072】
ステップS404では、幹線輸送管理機能により、拠点間ルートごとの配送手段の配送運賃(チャーター費)が取得される。本実施形態では、図8に示すように、配送運賃単価テーブル116に、車格別、配送地帯別の実績配送運賃単価(単位容量当たり、かつ、単位時間当たりのチャーター費)が、拠点間ルートごとに予め記憶されており、幹線輸送管理機能は、配送運賃単価テーブル116を参照することで、各配送手段の各拠点間ルートにおける直近の実際配送運賃単価を取得することができる。
【0073】
ステップS405では、幹線輸送管理機能により、拠点間ルートごとの配送物の単位容量当たりの輸送コストの算出が行われる。具体的には、幹線輸送管理機能は、ステップS404で取得した各拠点間ルートにおける各配送手段の直近の実際配送運賃単価に、各拠点間ルートにおける配送時間(走行時間)を乗じることで、拠点間ルートごとの配送物の単位容量当たりの輸送コストを算出することができる。なお、各拠点間ルートにおける配送時間は、予め調べておき、データベース11などに記憶しておくことができる。たとえば、図1および図4に示す例において、拠点間ルートD8の輸送コストを求める場合、幹線輸送管理機能は、まず、図6の配送手段114を参照し、拠点間ルートD8において配送可能な配送手段を検出する。たとえば、拠点間ルートD8において4tトラックが利用可能であり、拠点間ルートD8が関東地域である場合、幹線輸送管理機能は、次に、図8の配送運賃単価テーブル116を参照することで、拠点間ルートD8における4tトラックでの実際配送運賃単価が18円であると特定する。さらに、拠点間ルードD8における配送時間が5時間である場合、幹線輸送管理機能は、拠点間ルートD8の配送物の単位容量当たりの輸送コストを90円(5時間×18円)として算出することができる。同様に、幹線輸送管理機能は、他の配送手段についても単位容量当たりの輸送コストを算出する。拠点間ルートにおいて異なる車種の配送手段があり車種により実際配送運賃単価が変わる場合には、幹線輸送管理機能は、実際配送運賃単価が最も安い車種を優先的に使用する構成とすることができる。
【0074】
また、ステップS406では、幹線輸送管理機能により、中継保管場所4ごとの配送物の単位容量当たりの保管コストの算出が行われる。たとえば、データベース11に、中継保管場所4ごとの単位時間当たり(たとえば1日当たり)、かつ、単位容量当たりの保管単価を予め記憶した保管場所保管単価テーブル117を用意しておくことで、幹線輸送管理機能は、中継保管場所4の1日当たり、かつ、単位容量当たりの保管単価を取得することができる。
【0075】
そして、ステップS407では、幹線輸送管理機能により、幹線輸送ルートの候補となる候補ルートが抽出される。たとえば、図1に示す例において、幹線輸送管理機能は、一次保管場所3bから二次保管場所5bまでの幹線輸送ルートの候補ルートとして、一次保管場所3bから二次保管場所5bへと直接配送する幹線輸送ルート(拠点間ルートD8を経由する幹線輸送ルート)と、中継保管場所4bを経由する幹線輸送ルート(拠点間ルートD6,D7を経由する幹線輸送ルート)と、中継保管場所4cを経由する幹線輸送ルート(拠点間ルートD9,D10を経由する幹線輸送ルート)の3つのルートを、幹線輸送ルートの候補ルートとして抽出することができる。
【0076】
ステップS408では、幹線輸送管理機能により、ステップS407で抽出した各候補ルートにおける総コストの算出が行われる。具体的には、幹線輸送管理機能は、ステップS405で算出した拠点間ルートごとの単位容量当たりの輸送コストと、ステップS406で算出した拠点間ルートごとの単位容量当たりの保管コストとを、候補ルートで経由する拠点間ルート全体で合計する。たとえば、図1および図9に示す例において、一次保管場所3bから中継保管場所4cを経由して二次保管場所5bへと配送する候補ルートでは、拠点間ルートD9,D10の輸送コストの合計T1と、中間保管場所4cの管理コストT2(図9に示す例では5円)とを合算した金額T3(T1+T2)が、当該候補ルートの配送コストとして算出される。
【0077】
ステップS409では、幹線輸送管理機能により、候補ルートにおける配送所要日数の算出が行われる。具体的には、幹線輸送管理機能は、ステップS402で取得した、候補ルートが経由する各拠点間ルートにおける配送時間と、ステップS403で取得した候補ルートで経由する保管期間との合計日数を、配送所要日数として算出する。たとえば、図1に示す例において、一次保管場所3bから中継保管場所4cを経由して二次保管場所5bへと配送する候補ルートでは、一次保管場所3bの保管日数、拠点間ルートD9の配送時間、中継保管場所4cの保管日数、拠点間ルートD10の配送時間、および二次保管場所5bの保管日数を合計した日数が、当該候補ルートの配送所要日数として算出される。たとえば、一次保管場所3bの保管日数が3日、拠点間ルートD9の配送日数が1日、中継保管場所4cの保管日数が2日、拠点間ルートD10の配送時間が2時間、および二次保管場所5bの保管日数が3日である場合、幹線輸送管理機能は、配送時間については短時間であるため配送所要日数に算入せず、保管日数の合計である3+2+3=8日を、配送所要日数として算出することができる。なお、幹線輸送管理機能は、配送時間の合計がたとえば6時間を超えるごとに、配送所要日数として1日を追加する構成とすることができる。
【0078】
ステップS410では、幹線輸送管理機能により、各配送物の一次保管場所3への入荷期限日と、二次保管場所5からの出荷期限日の情報が取得される。具体的には、幹線輸送管理機能は、配送行程テーブル115を参照して、図15のステップS206で記憶した配送物の二次保管場所5からの出荷期限日と、図16のステップS306で記憶した配送物の一次保管場所3への入荷期限日を取得する。
【0079】
そして、図18のステップS411に進む。ステップS411~S416は、配送物ごとに処理が行われるとともに、ステップS412~S414では、幹線輸送ルートの候補である候補ルートごとに処理が行われる。なお、以下においては、ステップS411~S416の処理が行われる配送物を対象配送物と称し、ステップS412~S414の処理が行われる候補ルートを対象候補ルートと称して説明する。
【0080】
まず、ステップS411では、幹線輸送管理機能により、対象配送物の配送許容日数が算出される。具体的には、幹線輸送管理機能は、ステップS407で取得した対象配送物の一次保管場所3への入荷期限日から、対象配送物の二次保管場所5からの出荷期限日までの日数を、対象配送物の配送許容日数として算出する。たとえば、幹線輸送管理機能は、対象配送物の一次保管場所3への入荷期限日が12月3日であり、二次保管場所5からの出荷期限日が12月27日である場合には、「24日」を対象配送物の配送許容日数として算出することができる。
【0081】
ステップS412では、幹線輸送管理機能により、ステップS407で抽出された候補ルートのうち、対象配送物を配送可能なルートが、対象候補ルートとして選択される。たとえば、対象配送物が一次保管場所3bから二次保管場所5bまでの配送される配送物である場合、幹線輸送管理機能は、一次保管場所3bから二次保管場所5bへと直接配送するルート(拠点間ルートD8を経由するルート)と、中継保管場所4bを経由するルート(拠点間ルートD6,D7を経由するルート)と、中継保管場所4cを経由するルート(拠点間ルートD9,D10を経由するルート)の3つのルートを、対象候補ルートとして選択する。
【0082】
ステップS413では、幹線輸送管理機能により、ステップS409で算出した対象候補ルートの配送所要日数が、ステップS411で算出した対象配送物の配送許容日数を超えるか否かの判断が行われる。対象候補ルートにおける配送所要日数が対象配送物の配送許容日数を超える場合は、対象候補ルートで対象配送物を配送することができないため、ステップS414に進み、当該対象候補ルートが幹線輸送ルートの候補ルートから除外される。一方、対象候補ルートの配送所要日数が対象配送物の配送許容日数を超えない場合は、そのままステップS415に進む。
【0083】
そして、ステップS415では、幹線輸送管理機能により、全ての対象候補ルートについて、ステップS413,S414の処理を行ったか否かの判断が行われる。ステップS413,S414の処理を行っていない対象候補ルートがある場合には、ステップS413に戻り、処理が行われていない対象候補ルートについて、ステップS413,S414の処理が行われる。一方、全ての対象候補ルートについて、ステップS413,S414の処理が行われた場合は、ステップS416に進む。
【0084】
ステップS416では、幹線輸送管理機能により、対象配送物の対象候補ルートのうち、ステップS408で算出した総コストが最も低い対象候補ルートが、対象配送物の幹線輸送ルートとして設定される。
【0085】
ステップS417では、幹線輸送管理機能により、対象配送物の滞留余裕日数が算出される。具体的には、幹線輸送管理機能は、まず、対象配送物の配送残り日数を算出する。配送残り日数は、たとえば、対象配送物を二次保管場所5まで配送するために利用できる日数であり、たとえば、現時点が12月3日であり、二次保管場所5からの出荷期限日が12月23日である場合、「20日」を配送残り日数として算出することができる。そして、幹線輸送管理機能は、算出した対象配送物の配送残り日数と、ステップS416で設定された幹線輸送ルートで二次保管場所5まで対象配送物を配送するためにかかる配送所要日数との差(配送残り日数-配送所要日数)を、滞留余裕日数として算出する。たとえば、幹線輸送管理機能は、一次保管場所3bに保管されている対象配送物を拠点間ルートD9,D10を経由して二次保管場所5bに配送るための配送所要日数が10日であり、対象配送物が二次保管場所5bから出荷されるまでの配送残り日数が20日である場合には、配送残余日数の20日-配送所要日数の10日=10日を、滞留余裕日数として算出する。なお、幹線輸送管理機能は、現時点から対象配送物の配送期限日の1日前の日までの日数を配送残り日数として算出することもできる。
【0086】
ステップS418では、幹線輸送管理機能により、全ての配送物について、ステップS411~S417の処理を行ったか否かの判断が行われる。ステップS411~S417の処理を行っていない配送物がある場合には、ステップS411に戻り、処理が行われていない配送物について、ステップS411~S417の処理が行われる。一方、全ての配送物について、ステップS411~S417の処理が行われた場合は、図19に示すステップS419に進む。
【0087】
ステップS419では、全ての配送物について幹線輸送ルートが設定されたため、設定された幹線輸送ルートを前提として、拠点間ルートごとの配送物の総容量が算出される。なお、ステップS401では、幹線輸送における1つの配送拠点から複数の拠点間ルートがある場合には、配送物がいずれの幹線輸送ルートでも配送されるものとして、各拠点間ルートにおける配送物の総容量を算出した。これに対して、ステップS419では、全ての配送物は、ステップS406で設定した幹線輸送ルートにおける拠点間ルートを経由するものとして、拠点間ルートごとの配送物の総容量が算出される。
【0088】
ステップS420~S424では、拠点間ルートごとに処理が行われる。以下においては、ステップS420~S424の処理が行われる拠点間ルートを対象拠点間ルートと称して説明する。
【0089】
まず、ステップS420では、幹線輸送管理機能により、ステップS419で算出した対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が、配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えるか否かの判断が行われる。たとえば、本実施形態において、幹線輸送管理機能は、配送手段テーブル114を参照して、対象拠点間ルートにおいて配送が可能な配送手段を特定する。また、幹線輸送管理機能は、配送手段テーブル114に記憶された各配送手段の空き容量の情報に基づいて、対象拠点間ルートにおいて配送が可能な配送手段ごとに、基準容量を設定する。たとえば、幹線輸送管理機能は、配送手段の空きスペース(空き容量)に対して8割の容量を基準容量として設定することができる。また、配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送物を配送可能な配送手段が複数ある場合には、幹線輸送管理機能は、各配送手段について、各配送手段の空きスペースに基づいた基準容量を設定することができる。
【0090】
そして、幹線輸送管理機能は、対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が、設定した所定の基準容量を超える場合には、対象拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する。たとえば、一次保管場所3bから二次保管場所5bに拠点間ルートD8を経由して配送物を配送する場合、拠点間ルートD8を配送可能な配送手段がトラックT1のみであり、このトラックT1の空き容量に基づいて設定された基準容量が配送用ケース60で80個分の容量であった場合、幹線輸送管理機能は、一次保管場所3bから二次保管場所5bまでの拠点間ルートD8において配送される配送物が、配送用ケース60で80個分を超えるか否かを判断する。そして、拠点間ルートD8において配送される配送物が配送用ケース60で80個分を超える容量である場合には、幹線輸送管理機能は、トラックT1により拠点間ルートD8での配送物の配送を許可する。一方、拠点間ルートD8において配送される配送物が配送用ケース60で80個以下である場合には、配送可否判断機能は、トラックT1による拠点間ルートD8の配送は許可せず、配送物を一次保管場所3dでそのまま保管するように判断する。幹線輸送管理機能により配送物の配送が許可された場合、処理はステップS422に進む。一方、対象拠点間ルートにおける配送物の総容量が所定の基準容量以下である場合には、処理はステップS421に進む。
【0091】
なお、本実施形態においては、上述したように、異なる複数のサイズの配送用ケース60が利用される(図11参照)。複数のサイズの配送用ケース60を用いる場合、最もサイズが小さい配送用ケース60を単位として、配送物の容量、配送手段の空き容量、および基準容量が設定される。たとえば、一次保管場所3bから拠点間ルートD8を経由して二次保管場所5bに配送物を配送する場合、拠点間ルートD8を配送可能な配送手段の空き容量に基づいて設定された基準容量が、最もサイズが小さい60サイズの配送用ケース60で80個分の容量であった場合、幹線輸送管理機能は、一次保管場所3bから二次保管場所5bまでの拠点間ルートD8において配送される配送物が、60サイズの配送用ケース60で80個分を超えるか否かを判断する。そして、拠点間ルートD8において配送される配送物が、60サイズの配送用ケース60で80個分の容量を超える場合には、配送可否判断機能は、トラックT1により拠点間ルートD8の配送物を配送することを許可することとなる。なお、この場合、幹線輸送管理機能は、配送拠点に60サイズの配送用ケース60が2つ入る80サイズ(詳細は後述する)の配送用ケース60が1個存在する場合には、2個の60サイズの配送用ケース60が配送拠点に存在するものとして、配送判断を行う。
【0092】
さらに、幹線輸送管理機能は、1つの拠点間ルートを配送可能な配送手段が複数ある場合には、各配送手段の空き容量に基づいて基準容量を配送手段ごとに設定し、配送物の総容量が基準容量を超えた配送手段に対して配送物を配送することを許可する構成とすることができる。また、幹線輸送管理機能は、複数の配送手段について配送物の配送が許可されている場合には、そのうち、荷台の空き容量が最も多い配送手段に配送を許可してもよいし、現在の配送拠点Nから最も近い配送手段により配送を許可する構成としてもよい。また、本実施形態において、幹線輸送管理機能は、TMSサーバ30からリアルタイムで各配送手段の荷台の空き容量の情報を取得することで、配送手段ごとに基準容量を設定する構成としたが、この構成に限定されず、たとえば、配送手段ごとに配送物を配送するための空き容量を予め確保しておく構成とすることができる。この場合、予め確保された空き容量に基づいて各配送手段の基準容量を予め配送手段テーブル114に記憶させておくことができ、配送手段テーブル114から配送手段ごとの基準容量を取得することで、配送物の配送を許可する配送手段を選択することができる。
【0093】
ステップS421では、幹線輸送管理機能により、対象拠点間ルートにおいて、ステップS417で算出した滞留余裕日数が、所定の基準日数未満である配送物が存在するか否かの判断が行われる。滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合には、対象拠点間ルートについて配送物を配送するため、ステップS422に進む。一方、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在しない場合には、ステップS425に進む。これにより、現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートにおいて配送される配送物の総容量が、各配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えていない場合でも、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合には、その配送物が配送される拠点間ルートについては、配送物の配送が許可される。一方、配送可否判断機能は、滞留余裕日数が所定の基準日数未満の配送物がない拠点間ルートについては、現在の配送拠点Nから次の配送拠点N+1までの拠点間ルートにおいて配送される配送物の総容量が、各配送手段の空き容量に基づいて設定された所定の基準容量を超えていない限り、配送物を現在の配送拠点Nで保管した状態のままとする。
【0094】
たとえば、一次保管場所3bに保管されている配送物のうち、拠点間ルートD8で配送される1つの配送物B1について、滞留余裕日数が2日であり、所定の基準日数が3日であるとする。この場合、配送可否判断機能は、配送物B1について、滞留余裕日数の2日が基準日数の3日未満であると判断し、配送物B1だけではなく、一次保管場所3bに保管され拠点間ルートD8で配送される配送物の配送を許可する。なお、所定の基準日数は、配送管理方法に合わせて適宜設定することができる。
【0095】
ステップS422では、幹線輸送管理機能により、対象拠点間ルートにおける配送物の輸配送指示が行われる。具体的には、幹線輸送管理機能は、対象拠点間ルートにおいて配送物を配送させるための幹線輸送指示を、TMSサーバ30に送信する。TMSサーバ30は、幹線輸送指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置33を介して、配送業者に配送物の幹線輸送指示を送信する。たとえば、幹線輸送管理機能は、配送物の総容量が配送手段の基準容量を超えた拠点間ルートがある場合(ステップS420=Yes)、当該拠点間ルートを配送する配送手段に対して配送物を配送するように、TMSサーバ30に幹線輸送指示を送信することができる。また、幹線輸送管理機能は、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する拠点間ルートがある場合(ステップS421=Yes)、当該拠点間ルートを配送する配送手段に対して配送物を配送するように、TMSサーバ30に幹線輸送指示を送信することができる。その結果、配送業者により必要な配送手段が配車され、配車された配送手段により対象拠点間ルートにおける配送物の幹線輸送が行われる。なお、1つの拠点間ルートに配送物を配送可能な配送手段が複数存在する場合には、予め定めた優先順位などに基づいて、1つの配送手段に幹線輸送指示を行うように構成することもできる。
【0096】
また、ステップS423およびステップS424では、幹線輸送管理機能により、対象拠点間ルートにおける配送物の入荷指示および出荷指示が、WMSサーバ20に送信される。WMSサーバ20は、入荷指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置23を介して、出荷元の配送拠点に配備された管理端末41に、配送物の出荷指示を送信する。これにより、出荷元の配送拠点において、受信した出荷指示に基づいて、配送物の仕分けや荷積みなどの出荷手続が行われる。また、WMSサーバ20は、入荷指示を配送管理サーバ10から受信すると、通信装置23を介して、出荷先の配送拠点に配備された管理端末41に、配送物の入荷指示を送信する。これにより、出荷先の配送拠点において、受信した入荷指示に基づいて、保管場所の確保、配送物の積み降ろし、配送物の保管などの入荷手続が行われる。その後、処理はステップS425に進む。
【0097】
なお、出荷元の配送拠点における出荷手続では、出荷する配送物を収容した配送用ケース60に取り付けられたRFタグ62を、出荷元の配送拠点に配備された読取端末42で一斉に読み取ることで、出荷する配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が、管理端末41を介して配送管理サーバ10へと送信される。これにより、配送管理サーバ10において、受信した配送用ケース60の識別情報に基づいて出荷される配送物を特定することができ、出荷する配送物の配送状態が「次の拠点間ルートを移動中」などに更新される。たとえば、図1に示す例において、配送物が一次保管場所3bから二次保管場所5bに出荷された場合、配送物の配送状態は「拠点間ルートD8を移動中」などに更新される。また、出荷先の配送拠点における入荷手続では、入荷した配送物を収容した配送用ケース60に取り付けられたRFタグ62を、出荷先の配送拠点に配備された読取端末42で一斉に読み取ることで、入荷した配送物を収容する配送用ケース60の識別情報が、管理端末41を介して配送管理サーバ10に送信される。これにより、配送管理サーバ10において、受信した配送用ケース60の識別情報に基づいて入荷した配送物を特定することができ、入荷した配送物の配送状態が「出荷先の配送拠点で保管中」などに更新される。たとえば、図1に示す例において、配送物Bが二次保管場所5bに入荷された場合、配送物の配送状態は「二次保管場所5bで保管中」などに更新される。
【0098】
ステップS425では、幹線輸送管理機能により、全ての拠点間ルートについてステップS420~S424の処理を行ったか否かの判断が行われる。全ての拠点間ルートについてステップS420~S424の処理を行っていない場合には、処理が行われていない拠点間ルートを対象拠点間ルートとして、ステップS420~S424の処理が行われる。また、全ての拠点間ルートについて、ステップS420~S424の処理が行われた場合には、図17図19に示す幹線輸送管理処理を終了する。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る配送管理システム1では、受取場所6において配送物が受け取られた際に当該配送物の配送期限日まで5日以上ある場合でも、配送手段の積載率の向上を優先して、二次保管場所5bの出荷期限日を配送物の配送期限日の前日(または引渡場所6への配達にかかる配達所要日数前)として、集荷処理、幹線輸送処理、および/または配達処理における配送行程(配送スケジュールや配送ルート)を設定する。このように、配送物の配送日数に十分な余裕がある場合でも、順次配送物を配送するのではなく、配送手段の積載率が向上するように、配送物の配送期限日の1日前に二次保管場所5bから配達するように配送行程を組むことで、各配送拠点における配送物をできるだけ蓄積し、配送手段の積載率を高めることができ、コストを抑えた配送サービスを提供することができる。
【0100】
すなわち、本実施形態に配送管理システム1では、配達処理において、配送物の配送期限日の前日に二次保管場所5から配送物を配達するとして配達ルートを設定することで、二次保管場所5にできる限り配送物を集めておくことができ、配達ルートで配達する配送手段の積載率を高めることができる。また、集荷処理においては、受取場所2のうち、保管されている配送物の総容量が所定の基準容量を超える受取場所2を巡回場所として特定し、巡回場所2’を巡回するルートを集荷ルートとして設定することで、配送物が多い受取場所を優先的に巡回することができ、集荷ルートを巡回する配送手段の積載率を高めることができる。さらに、幹線輸送処理においては、配送物の一次保管場所への入荷日時と、配送物の二次保管場所5からの出荷日時とに基づいて、幹線輸送ルートにおける配送許容日数を算出するとともに、幹線輸送ルートの候補ごとに輸送コストと保管コストとの合計を配送コストとして算出する。そして、配送所要日数が配送許容日数を超えず、かつ、配送コストが最も低い幹線輸送ルートの候補を、幹線輸送ルートとして設定する。これにより、配送期限日数内において、最も低コストで配送できるルートを幹線輸送ルートとして設定することができる。
【0101】
また、本実施形態では、幹線輸送処理において、拠点間ルートごとに、配送物の総容量が配送手段の基準容量を超えるか(条件1)、または、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在するか(条件2)のいずれか一方の条件でも満たす場合には、当該拠点間ルートにおいて配送物を配送することを許可し、いずれの条件も満たさない場合には、当該拠点間ルートにおいて配送物を配送することができないと判断して、当該拠点間ルートで配送する配送物を現在の配送拠点Nに保管したままとする。このように、配送物の総容量が配送手段の基準容量を超える場合(条件1を満たす場合)に配送物の配送を許可することで、配送手段の積載率を高めることができ、配送に日数がかかっても配送料金が安いサービスを利用したいとのニーズに応えることができる。また、滞留余裕日数が所定の基準日数未満である配送物が存在する場合(条件2を満たす場合)には、配送物の総容量が所定の基準容量を超えていない場合でも、当該拠点間ルートにおいて配送物の配送を許可することで、配送物が当初定められた配送期限日数を超えて配送されてしまうことを有効に防止することができる。
【0102】
さらに、本実施形態に係る配送管理システム1では、送付人Sが受取場所2まで配送物Bを持ち込み、また、受取人が引渡場所6に配送物を引き取りに行く構成であるため、配送業務の全体的な業務量を低減させることができ、配送業に従事する人の数が減少している近年の状況に対応することができるとともに、安いサービスを利用したいとの顧客のニーズに応えることもできる。
【0103】
また、本実施形態に係る配送管理システム1では、配送業者は専門の配送業者に限定されず、他社が手配したトラックなどの空き積載スペースも利用することができ、輸送コストを低く抑えることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る配送管理システム1では、専門の配送業者の配送手段の他に、新聞配達所、JA、ガソリンスタンドなどに定期的に配送する配送手段を管理して、これら配送手段にも輸配送指示を行うことができるため、印刷所から新聞配達所への新聞を配送した後のトラックの荷台、JAに食料などを納入した後のトラックの荷台、あるいは、ガソリンスタンドに灯油などを配達した後のトラックの荷台などを利用して、配送物を配送することができる。このように、今まで活用されていなかった配送手段の荷台の空き容量を活用することで、より低コストで配送サービスを提供することが可能となる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
たとえば、上述した実施形態では、二次保管場所からの出荷期限日を配送物の配送期限日の前日に設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、二次保管場所からの出荷期限日を配送物の配送期限日の当日(たとえば、引渡場所6に配達可能な日時を含む)に設定する構成としてもよい。
【0106】
また、上述した実施形態では、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総容量が所定の基準容量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、配送物の総容量が所定の基準容量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する構成を例示したが、この構成に限定されず、各配送拠点Nから次の配送拠点N+1に配送する予定の配送物の総重量が所定の基準重量を超えるまで当該配送拠点Nにおいて配送物を保管し、配送物の総重量が所定の基準重量を超えた場合に当該配送拠点Nから次の配送拠点N+1への配送物の配送を許可する構成としてもよい。さらに、配送拠点Nと次の配送拠点N+1とを結ぶ拠点間ルートごとに、配送物の総重量が所定の基準重量を超えるか否かを判断し、拠点間ルートにおける配送物の総重量が所定の基準重量を超える場合に、前記拠点間ルートにおける配送物の配送を許可する構成としてもよいし。なお、この場合、配送物の総重量は、配送物と当該配送物を収容する配送用ケース60の重量の合計とすることが好ましい。また、このような場合に、たとえば、配送物を搬送するコンベアに重量計を設けるなどし、配送物の重量を実際に測定する構成とすることもできるが、配送物の重さを配送用ケース60に収容できる配送物の重量の上限値として、各配送用ケース60の重量を求める構成とすることが好ましい。たとえば、60サイズの配送用ケース60において、配送物の重量の上限値が2kgであり、配送用ケース60の重量が2kgである場合、この配送用ケース60に収容した配送物の重量が1kgであっても、配送物(配送用ケース60を含む)の重量を4kgとして求め、このように求めた配送物の総重量に基づいて、配送物を配送するか否かを判断する構成とすることができる。同様に、上述した実施形態では、受取場所2のうち、保管されている配送物の総容量が所定の基準容量を超える受取場所2を巡回場所として特定し、巡回場所2’を巡回するルートを、集荷ルートとして設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、受取場所2のうち、保管されている配送物の総重量が所定の基準重量を超える受取場所2を巡回場所2’として特定し、巡回場所2’を巡回するルートを、集荷ルートとして設定する構成とすることができる。
【0107】
また、図1に示す例では、一次保管場所3から二次保管場所5への配送のみにおいて、配送物を配送してよいか否かを判断する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、受取場所2から一次保管場所3へ配送する場合、または、二次保管場所5から引渡場所6に配送する場合にも、配送物の総容量が、トラックなどの配送手段の空き容量に基づいて定められた所定の基準容量(たとえばトラックの荷台の空き容量の80%の容量など)を超えているか(条件1)、または、配送物の配送期限日数と配送所要日数との差である滞留余裕日数が、所定の基準日数未満である配送物が存在するか(条件2)を判断し、いずれかの条件を満たした場合に、次の配送拠点に配送物を配送する構成とすることができる。
【0108】
さらに、上述した実施形態では、配送管理サーバ10は、配送物の配送が行える拠点間ルートを、TMSサーバ30を介して配送業者に送信することで、配送業者において当該拠点間ルートで配送物を配送する配送手段を配車し、当該配送手段に配送させる構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、配送管理サーバ10またはTMSサーバ30が、拠点間ルートで配送物を配送する配送手段を特定し、拠点間ルートと配送手段とを幹線輸送指示に含めて配送手段に送信することで、配送業者において幹線輸送指示に含まれる配送手段に配送させる構成としてもよい。
【0109】
また、上述した実施形態においては、配送管理サーバ10を、WMSサーバ20およびTMSサーバ30から独立に設ける構成を例示したが、WMSサーバ20が配送管理サーバ10の機能を有する構成としてもよいし、あるいは、TMSサーバ30が配送管理サーバ10の機能を有する構成としてもよい。また、WMSサーバ20およびTMSサーバを一体に設ける構成としてもよいし、配送管理サーバ10、WMSサーバ20およびTMSサーバを一体に設ける構成としてもよい。
【0110】
また、上述した実施形態では、滞留余裕日数を日単位で求める構成を例示したが、滞留余裕時間として時間単位で求める構成とすることができる。すなわち、本発明において、「滞留余裕時間」とは、滞留余裕日数を含むものとすることができる。滞留余裕時間として時間単位で求める場合、データベース11には、拠点間ルートD1~D10ごとの配送時間を記憶する拠点間ルート別配送時間テーブル112と、配送拠点2~5ごと、拠点間ルートD1~D10ごとの配送物の保管時間を取得する配送拠点別保管時間テーブル113とが記憶される。そして、滞留余裕日数算出機能(滞留余裕時間算出機能)は、拠点間ルート別配送時間テーブル112から拠点間ルートD1~D10ごとの配送時間を取得するとともに、配送拠点別保管時間テーブル113から配送拠点2~5ごと、拠点間ルートD1~D10ごとの配送物の保管時間を取得する。そして、配送物ごとに、配送物が現在保管されている配送拠点から引渡場所6までの間に経由する1または複数の拠点間ルートにおける配送時間の合計と、当該配送物が経由する1または複数の配送拠点における保管時間の合計とを足した時間が、配送所要時間として算出される。そして、予め設定されている配送物の配送期限時間と、配送所要時間との差(配送期限時間-配送所要時間)が滞留余裕時間として算出される。配送可否判断機能は、配送物ごとに、配送物の滞留余裕時間が所定の基準時間未満であるか否かを判断し、滞留余裕時間が所定の基準時間未満である配送物が存在する場合には、その配送物が配送される拠点間ルートについて配送物の配送を許可することができる。
【0111】
また、上述した実施形態では、配送管理システム1は、集荷処理、幹線輸送処理および配達処理を行う構成を例示したが、集荷処理、幹線輸送処理および配達処理のうちいずれかを行う構成とすることもできる。
【0112】
さらに、上述した実施形態に加えて、受取場所2や引渡場所6となる店舗や営業所をフロント拠点とミドル拠点とに分けて、集荷処理または配送処理を行う構成とすることができる。ここで、フロント拠点とは商店街の店舗など周辺に駐車場がなく、送付人や受取人は徒歩や自転車でアクセスするような配送拠点であり、ミドル拠点とは、周辺に駐車場があり自動車によりアクセス可能な配送拠点である。たとえば、配送管理サーバ10の演算装置は、送付人が送付を希望した配送物が、自動車ではないと配送が困難な大きさ(たとえば80サイズよりも大きいサイズ)である場合には、フロント拠点を除外した配送拠点を受取場所2として提示する。これにより、自動車ではないと配送が困難な大きさの配送物を、徒歩や自転車などの二輪車で集荷しなければならないことを防止することができる。なお、ミドル拠点で受け取られた配送物は、自動車により集荷され一次保管場所3へと配送される。一方、フロント拠点で受け取られた配送物は、自動車で集荷するのが困難なため、自転車やバイクなどの二輪車を用いて集荷される。また、フロント拠点からミドル拠点までは自転車やバイクなどの二輪車を用いて集荷し、ミドル拠点からは自動車を用いて一次保管場所3まで配送する構成としてもよい。さらに、配送拠点によっては、軽自動車だけが駐車できる場合や近くにコインパーキングが存在する場合もある。このような拠点では、軽自動車(軽カーゴトレーラーや軽トラック)で集荷を行うが、80サイズ以下の配送物のみを受け取り、ミドル拠点や一次保管場所3へ配送物を配送する構成とすることもできる。同様に、引渡場所6についても、フロント拠点とミドル拠点に分けて、取り扱える配送物のサイズや配達可能な配送手段を特定する構成とすることができる。また、フロント拠点およびミドル拠点との分類の他に、ユーザ(送付者および受取人)が利用可能な駐車場もなく、配送事業者も駐車することができない配送拠点(タイプA)と、ユーザが利用可能な駐車場はないが配送事業者は駐車することができる(近くのパーキング含む)配送拠点(タイプB)と、ユーザと配送事業者の両方が駐車することができる配送拠点(タイプC)とに分類してもよい。この場合も、タイプA,B,Cのそれぞれで取り扱える配送物のサイズや配送手段を特定する構成とすることができる。
【0113】
加えて、上述した実施形態に加えて、配達管理機能は、ある出荷期限日において、ある配達場所6’に配達する配送物の総容量が少ない場合には、その配送物の出荷期限日を繰り上げることで、繰り上げた出荷期限日における配送物の積載率を向上させる処理を行うことができる。たとえば、二次保管場所5に2月16日が出荷期限日の前日となる配送物B1と、2月17日が出荷期限日の前日となる配送物B2がある場合、上述した実施形態では、2月16日に配送物B1を配達し、2月17日に配送物B2を配達するが、2月16日の配送物B1だけではトラックの荷台に余裕がある場合には、2月17日に配送する配送物B2も、2月16日に配送する構成とすることができる。このような処理を行うために、(1)幹線輸送の結果、前日に配送すべき配送物B2が、前々日までに二次保管場所5に到着しており、(2)前々日の配送ルートの積載荷量にまだ余裕があり、前日に配送すべき配送物B2を一部積載する余裕があり、(3)引渡場所6の保管スペースに一定基準を設けており、保管スペースに余裕があるため、前日に配送すべき配送物B2と前々日に配送すべき配送物B1とをあわせて配送しても保管が可能である場合に、このような処理を行うことができる。
【0114】
さらに、上述した実施形態に加えて、一次保管場所3、中継保管場所4、または二次保管場所5において、以下のように荷分け作業を行う構成としてもよい。すなわち、本実施形態に係る配送用ケース60は間仕切りにより収容スペースを仕切ることができ、受取場所2において配送物を受け取った作業員は、異なる送付人から受け取った配送物を、同じ配送用ケース60であって間仕切りを隔てた別の収容スペースに収容することができる。この場合、一次保管場所3、中継保管場所4、または二次保管場所5において、異なる引渡場所6に送付すべき(あるいは異なる拠点間ルートで配送すべき)配送物が同じ配送用ケース60に混在しているか否かが判断される。すなわち、本実施形態では、一次保管場所3、中継保管場所4、または二次保管場所5において読取端末42を有しており、配送用ケース60のQRコード61やRFタグ62を読み取ることで、異なる引渡場所6に送付すべき(あるいは異なる拠点間ルートで配送すべき)配送物が同じ配送用ケース60に混在しているか否かを判断することができる。そのため、配送管理サーバ10の幹線輸送管理機能は、異なる引渡場所6に送付すべき(あるいは拠点間ルートで配送すべき)配送物が同じ配送用ケース60に混在している場合には、管理端末41に指示を送付することで、同じ引渡場所6に送付すべき(あるいは同じ拠点間ルートで配送すべき)配送物が同じ配送用ケース60に纏めさせることができる。
【0115】
さらに、上述した実施形態では、二次保管場所5から引渡場所6への配送物の出荷期限日に基づいて、一次保管場所3から二次保管場所5までの配送予定を生成する構成を例示したが、本発明の配送物の「出荷期限日」として、二次保管場所5から引渡場所6への配送物の「出荷予定日」を用いてもよい。同様に、上述した実施形態では、一次保管場所3への配送物の入荷期限日に基づいて、一次保管場所3から二次保管場所5までの配送予定を生成する構成を例示したが、本発明の配送物の「入荷期限日」として、一次保管場所3への配送物の「入荷予定日」を用いてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、配送物を二次保管場所5から出荷するタイミングを、配送物の配送期限の前日に設定し、配送物の配送行程(配送スケジュールや配送ルート)を設定することで、各配送拠点(受取場所2、一次保管場所3、中継保管場所4、二次保管場所5、引渡場所6)において、配送物をできるだけ蓄積し、トラックなどの配送手段の積載率を高めることで、その分、安価な配送サービスを提供することを可能とする点を説明したが、比較的近距離のエリア間での輸送においては、配送期限の前日を待たずに、配送物を二次保管場所6まで配送する場合もある。その場合は、その他の配送期限に到着した配送物と一緒に配送ルート設定することも可能とする。
【符号の説明】
【0117】
1…配送管理システム
10…配送管理サーバ
11…データベース
12…演算装置
13…記憶装置
14…通信装置
20…WMSサーバ
21…演算装置
22…記憶装置
23…通信装置
30…TMSサーバ
31…演算装置
32…記憶装置
33…通信装置
41…管理端末
42…読取端末
50…ユーザ端末
60…配送用ケース
61…QRコード
62…RFタグ
2…受取場所
3…一次保管場所
4…中継保管場所
5…二次保管場所
6…引渡場所
S…送付人
R…受取人
B…配送物
図1
図2
図3
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