(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】商品包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 65/10 20060101AFI20240701BHJP
B65D 65/32 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65D65/10 B
B65D65/32 ZAB
(21)【出願番号】P 2023018134
(22)【出願日】2023-02-09
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】523046109
【氏名又は名称】株式会社ジェイビーエフサプライ
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 篤
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴則
(72)【発明者】
【氏名】戌亥 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】上杉 晃
(72)【発明者】
【氏名】大野 圭一
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-178838(JP,A)
【文献】登録実用新案第3236945(JP,U)
【文献】特開2020-158190(JP,A)
【文献】特開2001-130663(JP,A)
【文献】実開平03-072648(JP,U)
【文献】特開2000-247343(JP,A)
【文献】実開昭60-013342(JP,U)
【文献】実開昭59-150742(JP,U)
【文献】実開昭59-165357(JP,U)
【文献】特開2003-246363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/10
B65D 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シートと表シートとの間に商品を収容する袋部が形成された商品包装材であって、
表シートが透明樹脂フィルムであり、
本体シートが非ラミネートの紙で形成された紙シートであり、
本体シートと表シートとの貼り合わせに水糊が使用され、
商品包装材全体に対する紙の重量比が50%
超となる構成とし
、
本体シートと表シートとは、同幅の長方形形状を有し、
袋部は、本体シートと表シートとを重ね合わせて互いの対向した両側辺の縁を水糊で貼り合わせて本体シートと表シートとの間に形成されており、
袋部の上部には、ヘッダ部が設けられており、
ヘッダ部は、本体シートの上部の表面側に、非ラミネートの紙で形成されたヘッダシートを貼り合わせて形成され、且つ、ヘッダシートが表シートの上部の表面にも貼り合わされており、
本体シートと表シートとを水糊で貼り合わせた両側辺の縁において、ヘッダシートの下端位置周辺における水糊の貼り合わせ部分は、表シートのシワ抑制部として側辺側に凹んだ細幅に形成されている、商品包装材。
【請求項2】
請求項1に記載の商品包装材において、
袋部には、商品を動かないように配置させる商品係止部が設けられており、
商品係止部は、袋部に収容する商品の形状に応じて所定箇所に水糊を塗布して本体シートと表シートとを貼り合わせて形成されている、商品包装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の商品包装材において、
袋部は、本体シートと表シートとを重ね合わせて互いの対向した両側辺の縁を水糊で貼り合わせて側辺以外の一辺に開口部を有する袋部として構成されており、
開口部には、本体シートと表シートとの両側辺の縁を貼り合わせない非接着部が設けられ、袋部内に商品を入れる際に開口部の辺縁を起こして開口部を広げることが可能に構成されている、商品包装材。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の商品包装材において、
袋部の上部には、商品包装材を吊り下げるための吊り下げ孔を有するヘッダ部が設けられており、
ヘッダ部は、少なくとも本体シートの上部により形成され、且つ、吊り下げ孔を含む範囲には表シートの上部が配設されている、商品包装材。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の商品包装材において、
袋部は、下部に開口部を有し、
袋部の下部には、フッタ部が設けられており、
フッタ部は、本体シートを表シートの下辺よりも下方に延ばした下部延長片を表側に折り返して表シートの下部の外側面と貼り合わせ、商品を収容した袋部の下部の開口部を塞ぐように構成されている、商品包装材。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の商品包装材において、
表シートは、透明樹脂フィルムに代えてセロハンとする、商品包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体シートと表シートとの間に商品を収容する袋部が形成された商品包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記具等の商品を収容して店頭に陳列するための商品包装材は、一般的には、表裏に配置した透明樹脂フィルムを貼り合わせて袋部を形成して商品が外から見えるように構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球環境問題の意識の高まり、SDGs(Sustainable Development Goals)の取り組み等から各種商品において減プラ、脱プラすることが注目されている。前記商品包装材のような使い捨てを前提とするものにあっては、プラスチック素材から紙素材への転換が検討されるが、商品包装材の全部を紙で形成した場合、外から中身の商品が見えなくなってしまう。そのため、商品包装材全体に対する紙の重量比を如何にして高めるかが検討される。例えば、商品包装材の裏面側には、紙シートの表面に合成樹脂をラミネートした複合紙シート(例えば、片艶晒紙)を用い、この複合紙シートと透明樹脂フィルムとをヒートシールで溶着させて商品包装材を形成することが考えられる。このような商品包装材によれば、透明樹脂フィルムを通して外部からの商品の視認性を確保しながら、合成樹脂の使用量を低減できる。また、商品包装材全体に対する紙の重量比が50%超となると、紙マーク(資源有効利用促進法)の表示を行うことで、紙としての廃棄処分が可能であることが明確となり、地球環境問題の取り組みも明確にできる。一方、前記複合紙シートは、合成樹脂をラミネートしたものであるため、材料費のコストアップとなり、また、さらなる合成樹脂の使用量を削減するには限界がある。また、複合紙シートと透明樹脂フィルムとをヒートシールで貼り合わせる際に熱板の温度、圧力、加圧時間等の制御に労力を要しコスト高となる。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、商品包装材の透明性を確保しながら、低コストに、商品包装材全体に対する紙の重量比を高めることを可能とする、商品包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る商品包装材は、
本体シートと表シートとの間に商品を収容する袋部が形成された商品包装材であって、
表シートが透明樹脂フィルムであり、
本体シートが非ラミネートの紙で形成された紙シートであり、
本体シートと表シートとの貼り合わせに水糊が使用され、
商品包装材全体に対する紙の重量比が50%超となる構成としたものである。また、表シートは、透明樹脂フィルムに代えてセロハンを使用してもよい。
前記商品包装材の形態において、
本体シートと表シートとは、同幅の長方形形状を有し、
袋部は、本体シートと表シートとを重ね合わせて互いの対向した両側辺の縁を水糊で貼り合わせて本体シートと表シートとの間に形成されており、
袋部の上部には、ヘッダ部が設けられており、
ヘッダ部は、本体シートの上部の表面側に、非ラミネートの紙で形成されたヘッダシートを貼り合わせて形成され、且つ、ヘッダシートが表シートの上部の表面にも貼り合わされており、
本体シートと表シートとを水糊で貼り合わせた両側辺の縁において、ヘッダシートの下端位置周辺における水糊の貼り合わせ部分は、表シートのシワ抑制部として側辺側に凹んだ細幅に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る商品包装材によれば、中身の商品が外から見えるように表シートに透明樹脂フィルム等を使用しつつも、低コストに、商品包装材全体に対する紙の重量比を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の商品包装材を示す正面図である。
【
図2】実施形態1の商品包装材を示す断面図である。
【
図3】実施形態1の商品包装材における本体シートと表シートとを重ね合わせて貼り合わせた状態を示す正面図である。
【
図4】実施形態2の商品包装材を示す正面図である。
【
図5】実施形態2の商品包装材を示す断面図である。
【
図6】実施形態2の商品包装材における本体シートと表シートとを重ね合わせて貼り合わせた状態を示す正面図である。
【
図7】実施形態3、4を説明するための商品包装材を示す正面図である。
【
図8】実施形態5の商品包装材を示す正面図である。
【
図9】実施形態6の商品包装材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1、
図2(a)(b)、
図3に示すように、実施形態1の商品包装材1Aは、商品4を収容する袋部2と、袋部2の上部に設けられたヘッダ部3とを有する。この商品包装材1Aは、本体シート5と表シート6とで形成されており、表シート6は透明樹脂フィルムであるが、本体シート5は非ラミネートの紙で形成された紙シートであり、且つ、本体シート5と表シート6との貼り合わせに水糊7が使用され、商品包装材1A全体に対する紙の重量比が70%以上に構成されている。ここで商品包装材全体に対する紙の重量比が50%超のものでは、紙製の包装材として紙マーク(資源有効利用促進法)の表示を行うこととなり、本実施形態1では、ヘッダ部3に紙マーク8の表示が印刷されている。なお、ヘッダ部3には、紙マーク8の他にも、商品4の説明文等の様々な印刷が施されていてもよい。
【0010】
実施形態1の商品包装材1Aでは、商品4として筆記具(ボールペン)を包装した商品包装材の一例であり、全体形状は、縦長の長方形形状を有する。本明細書では、商品包装材において、長方形形状の長辺側を左右の側辺とし、短辺側を上辺及び下辺とする。なお、商品4は、筆記具に限らず各種の商品を包装物とすることができる。商品包装材の形状は、包装する商品4の形状、大きさ等に応じて様々な形状とすることができる。
【0011】
本体シート5と表シート6とは、正面視で縦長の長方形形状を有し、透明樹脂フィルムの表シート6は、紙シートの本体シート5よりも短く形成されている。袋部2は、本体シート5と表シート6とを重ね合わせて互いの対向した下辺5b,6bの縁及び両側辺5c,6c,5d,6dの縁を水糊7で貼り合わせ、本体シート5と表シート6との間に、上部に開口部9を有する矩形状の袋部2として構成されている。実施形態1では、本体シート6の表面に水糊7を塗布して表シート6を貼り合わせている。なお、袋部2内の本体シート5の表面には、紙マーク8や商品4の説明文等の様々な印刷が施されていてもよい。
【0012】
表シート6の上辺6aに沿った上縁部の位置では水糊7を塗布しないようにして、開口部9には、本体シート5と表シート6との両側辺5c,6c,5d,6dの縁を貼り合わせない非接着部10が設けられている。これにより、
図2(b)に示すように、袋部2内に商品4を入れる際、開口部9の辺縁となる表シート6の上辺6aに沿う上縁部を起こして開口部9を広げることで袋部2内に商品4を入れ易くすることができる。また、袋部2内に商品4を入れる際の開口部9への応力集中を抑制して開口部9で本体シート5と表シート6とが剥がれたり破損したり等することを抑制できる。
【0013】
ヘッダ部3は、本体シート5において表シート6の上辺6aよりも上方に延ばした上部延長片11の表面側に、ヘッダシート12を水糊7で貼り合わせて形成されている(
図3を参照)。ヘッダシート12は、非ラミネートの紙で形成された紙シートである。また、ヘッダシート12の下縁部には、内側面に接着剤層13が形成されており、このヘッダシート12の下縁部を接着剤層13によって表シート6の上縁部の外側面に接着させることで、商品4を収容した袋部2の開口部9を塞ぐように構成されている。なお、袋部2に商品4を入れる前は、接着剤層13には剥離紙14(
図2(b)、
図3を参照)が貼り付けられており、袋部2に商品4を収容した後、剥離紙14を剥がして、このヘッダシート12の下縁部を表シート6に接着させる。接着剤層13は、両面テープ等が使用されるが、水糊を使用してもよい。また、ヘッダ部3は、ヘッダシート12を使用せず、本体シート5の上部延長片11を長く延ばして表側に折り返して二つ折りにして形成してもよい。
【0014】
ヘッダ部3の上下方向中間位置には、ミシン目15が形成されている。ヘッダ部3において、ミシン目15から袋部2の開口部9までの間は、上部延長片11とヘッダシート12とは接着されていない。従って、ミシン目15を破断させてヘッダ部3の上部を切り取ることで、袋部2の開口部9が開放され、袋部2内の商品4を取り出すことができる。ヘッダ部3には、ミシン目15よりも上部の位置に吊り下げ孔16が設けられている。ミシン目15を下端とするヘッダ部3の上部は、上部延長片11とヘッダシート12とが水糊7により貼り合わされている。これにより、ヘッダ部3の上部の強度を高くでき、且つ、そこに設けた吊り下げ孔16の強度が高まり吊り下げ孔16の破損が抑制される。従って、ヘッダ部3には、例えば合成樹脂のシートや板を使用することなくヘッダ部3の強度を高く確保でき、ひいては合成樹脂の使用を抑制できる。なお、吊り下げ孔16やミシン目15は、本体シート5の上部延長片11にヘッダシート12を貼り合わせた後に、2次加工により形成されるが、ヘッダシート12を貼り合わせる前に形成してもよい。
【0015】
本体シート5及びヘッダシート12は、非ラミネートの紙からなる紙シートで形成されている。非ラミネートの紙とは、表面に合成樹脂をラミネートしていない紙のことである。本実施形態1では、本体シート5及びヘッダシート12を形成する紙シートは、上質紙55kg(厚さ約0.08mm)が使用される。紙シートに上質紙を使用することで、本体シート5が破損し難くなり、袋部2の強度を確保することができる。なお、本体シート5及びヘッダシート12に使用する上質紙は、任意の厚さの上質紙を使用でき、また、本体シート5とヘッダシート12とでは、厚さが異なる上質紙(例えば、本体シート5が上質紙90kg、ヘッダシート12が上質紙70kg)を使用してもよい。また、紙シートとしては、上質紙以外に、コート紙、クラフト紙など様々な紙を使用してもよく、また、紙の厚さも任意に設定することができる。
【0016】
表シート6は、透明樹脂フィルムで形成されている。本実施形態1では、透明樹脂フィルムは、OPP50μの延伸ポリプロピレンフィルムが使用される。透明樹脂フィルムに延伸ポリプロピレンフィルムを使用することで、表シート6の透明度を高くでき、また、薄くても丈夫な表シート6を形成できるので、表シート6をできるだけ薄くして合成樹脂の使用量を低減することができる。表シート6の透明樹脂フィルムは、表裏両面にコロナ処理(表面処理)を施したものが使用される。これにより、表シート6は、表裏両面とも水糊7や接着剤層13によって貼り合わせる本体シート5及びヘッダシート12との貼り合わせ特性に優れたものとなる。なお、透明樹脂フィルムとしては、延伸ポリプロピレンフィルム以外に、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなど商品包装に適した様々な透明樹脂フィルムを使用することができる。また、透明樹脂フィルムの厚さも商品包装材全体に対する樹脂の重量比が50%未満の範囲内で任意に設定することができ、例えば、厚さ30μ~60μのOPPを使用してもよい。また、表シート6は、セロハンで形成した透明フィルムを使用してもよい。例えば、厚さ20μのセロハンを表シート6として使用することができる。セロハンは、パルプを原材料とするビスコースを薄膜状に成形した透明フィルムである。従って、セロハンで表シート6を形成することにより透明樹脂フィルムを使用することなく透明性を確保でき、且つ、商品包装材全体に対する紙の重量比を大幅に高めることができる。
【0017】
表シート6は、商品4を外から見えるようにする窓となり、袋部2の形成範囲で使用される。そのため、表シート6は、本体シート5と同幅で且つ本体シート5の縦長さよりも短く形成されている。従って、商品包装材1A全体に対して、表シート6となる透明樹脂フィルムの使用量を大幅に削減できる。
【0018】
本体シート5と表シート6との下辺5b,6b及び左右の側辺5c,6c,5d,6dの三辺での貼り合わせには、水糊7が使用される。水糊7は、主成分が水とPVA(ポリビニルアルコール)のものが使用される。水糊7は、成分中に水を多く含むことから、水の使用割合に応じて合成樹脂の使用量を抑えることができる。なお、水糊7は、PVAを成分とするもの以外の水系の糊を使用してもよく、例えば、PVP(ポリビニルピロリドン)を成分とする水系糊、でんぷんを成分とする天然のり等を使用してもよい。
【0019】
以上より、実施形態1の商品包装材1Aによれば、本体シート5及びヘッダシート12を非ラミネートの紙で形成された紙シートとすることにより、合成樹脂の使用量を大幅に削減できる。非ラミネートの紙シートは、合成樹脂をラミネートした複合紙シートよりも材料費を低減できる。透明樹脂フィルムである表シート6の使用は、袋部2の表面となる範囲程度に限定することで、商品包装材1A全体に対する透明樹脂フィルムの使用量を削減できる。また、本体シート5と表シート6との貼り合わせに水糊7を使用することで、成分中の水の使用割合に応じて合成樹脂の使用量が最小限に抑えられる。また、二枚のシートの貼り合わせをヒートシールする場合では、熱板の温度、圧力、加圧時間等の制御に労力を要しコスト高となるが、本実施形態1では、本体シート5と表シート6とは、水糊7を塗布して貼り合わせている。従って、ヒートシールよりも低コストに容易に製造できる。水糊7によって紙シートの本体シート5と透明樹脂フィルムの表シート6との接着強度も確保できる。よって、商品包装材1Aにおいて、中身の商品4が外から見えるように表シート6に透明樹脂フィルムを使用しつつも、低コストに、商品包装材1A全体に対する紙の重量比を高めることができる。本実施形態1では、商品包装材1A全体に対する紙の重量比が70%以上に構成されており、大幅な減プラスチックを実現した商品包装材が提供される。商品包装材全体に対する紙の重量比が50%超となることで紙製の包装材として紙マーク(資源有効利用促進法)の表示を行うこととなるため、本実施形態1では、ヘッダ部3に紙マーク8の表示が印刷されている。これにより、紙としての廃棄処分が可能であることが明確となり、地球環境問題に配慮した取り組みの実行も明確にできる。
【0020】
(実施形態2)
図4、
図5(a)(b)、
図6に示すように、実施形態2の商品包装材1Bは、袋部2の開口部9を下部に設けたものである。この実施形態2の商品包装材1Bでは、本体シート5と表シート6とを重ね合わせて対向した互いの左右の側辺5c,6c,5d,6dの縁を水糊7で貼り合わせ、下部に開口部9を有する矩形状の袋部2が本体シート5と表シート6との間に形成されている。本体シート5は、実施形態1と同じく上質紙55kgの非ラミネートの紙シートで形成されている。表シート6も実施形態1と同じくOPP50μの延伸ポリプロピレン製の透明樹脂フィルムで形成されている。
【0021】
ヘッダ部3は、本体シート5の上部延長片11にヘッダシート12を水糊7で貼り合わせて形成され、上部には吊り下げ孔16が設けられている。ヘッダシート12は、実施形態1と同じく上質紙55kgの非ラミネートの紙シートで形成されている。このヘッダ部3の上部では、上部延長片11とヘッダシート12とが全体的に水糊7で貼り合わせられ、ヘッダ部3の下部では、上部延長片11とヘッダシート12とは両側辺5c,6c,5d,6dの縁の部分だけ水糊7で貼り合わされている。また、表シート6の上縁部の外側面には、ヘッダシート12の下縁部が水糊7で貼り合わされている。なお、表シート6の上縁部は、ヘッダシート11の下縁部の外側面に水糊7で貼り合わせるようにしてもよい。この場合、表シート6の裏面側(一面側)だけに本体シート5及びヘッダシート12が貼り合わせられる。そのため、表シート6の透明樹脂フィルムは、一面側だけにコロナ処理を施して貼り合わせ特性を向上させたものを使用でき、表シート6のコストを低減できる。
【0022】
実施形態2の商品包装材1Bでは、表シート6は、本体シート5の下辺5bよりも下方に延ばした下部延長片17が形成されており、この下部延長片17を本体シート5の下辺5b位置で裏側に折り返して本体シート5の下部の外側面に接着剤層18によって接着させることで、商品4を収容した袋部2の開口部9を塞ぐように構成している。接着剤層18は、両面テープが使用され、本体シート5側に形成されているが、表シート6の下部延長片17に形成されてもよい。袋部2に商品4を入れる前は、接着剤層18には剥離紙19(
図5(b)を参照)が貼り付けられており、袋部2に商品4を収容した後、剥離紙19を剥がして、表シート6の下部延長片17を本体シート5の外側面に接着させる。袋部2に収容された商品4を取り出す際は、表シート6の下部延長片17を本体シート5から剥がすことで、袋部2の下部の開口部9が開放され、袋部2内から商品4を取り出すことができる。
【0023】
本体シート5の下辺5bに沿った下縁部の位置では水糊7を塗布しないようにして、開口部9には、本体シート5と表シート6との両側辺5c,6c,5d,6dの縁を貼り合わせない非接着部10(
図6を参照)が設けられている。これにより、
図5(b)に示すように、袋部2内に商品4を入れる際、開口部9の辺縁となる本体シート5の下辺5bに沿う下縁部を起こして開口部9を広げることで袋部2内に商品4を入れ易くすることができる。また、袋部2内に商品4を入れる際の開口部9への応力集中を抑制して開口部9で本体シート5と表シート6とが剥がれたり破損したり等することを抑制できる。
【0024】
袋部2の下部の開口部9を塞ぐ下部延長片17は、表シート6の透明樹脂フィルムであるため破損しにくく、且つ、この下部延長片17は、接着剤層18で本体シート5と強接着されているので、袋部2内から商品4が落下することを防止できる。なお、この実施形態2では、表シート6の両側辺6c,6dの上縁部には、実施形態1のような非接着部10は設けられず、水糊7が上部延長片11まで塗布されている(
図3及び
図6を参照)。ヘッダ部3には、実施形態1のようなミシン目15は形成されていないが、ミシン目15を形成してヘッダ部3の上部を切り取ることで袋部2の上部からも商品4を取り出せるようにしてもよい。
【0025】
実施形態2では、表シート6において下部延長片17に相当する透明樹脂フィルムの使用量が増加し得るが、表シート6以外の本体シート5及びヘッダシート12を非ラミネートの紙で形成された紙シートが使用される。これにより、樹脂の使用量が抑えられ、商品包装材1B全体に対する紙の重量比を70%以上に構成できる。実施形態2において、前記以外の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。
【0026】
(実施形態3)
図7に示すように、実施形態3の商品包装材1Cは、実施形態1の変形例であり、袋部2には、商品4を動かないように配置させる商品係止部20が設けられたものである。商品係止部20は、袋部2に収容する商品4の輪郭形状に沿った所定箇所に水糊7を塗布して本体シート5と表シート6とを接着させて形成されている。実施形態3では、商品係止部20は、側辺5c,6c,5d,6dの縁に塗布する水糊7と一体のパターンで中央側に出張った台形状、半円形状等に形成されているが、縁の水糊7とは分離して独立に任意の形状で形成されてあってもよい。
【0027】
前記構成より、商品係止部20によって商品4を袋部2内で動かないように配置させ、また、商品4における印刷を施した面等の特定面を表向きとなるように保持することができる。従って、袋部2内の本体シート5の表面に印刷した表示や説明文等が商品4によって隠されることなく表シート6を通して外から確実に見えるようにすることができる。また、収容した商品4の特定面を表シート6を通して外から見えるようにすることができる。また、商品係止部20は、水糊7で本体シート5と表シート6とを接着させて形成することで、本体シート5と表シート6との貼り合わせと同時に効率よく形成することができる。実施形態3において、前記以外の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。なお、商品係止部20は、実施形態2の商品包装材1Bや他の様々な形態にも適用できる。
【0028】
(実施形態4)
図7に示すように、実施形態4の商品包装材1Dは、実施形態1の変形例であり、本体シート5と表シート6とを水糊7で貼り合わせた両側辺5c,6c,5d,6dの縁において、ヘッダシート12の下端位置周辺における水糊7の貼り合わせ部分は、表シート6のシワ抑制部21として、他の位置での縁の水糊7の幅よりも側辺5c,6c,5d,6d側に凹んだ細幅に形成された形態である。紙シートであるヘッダシート12及び上部延長片11を貼り合わせた水糊7の乾燥過程等で収縮が起こりヘッダシート12の下端位置周辺で透明樹脂フィルムの表シート6にシワが生じることが懸念される。これに対して、実施形態4によれば、シワ抑制部21として水糊7が細幅に形成されているので、前記収縮が抑制されるため、ヘッダシート12の下端位置周辺で表シート6にシワが生じることを抑制でき、商品包装材1Dの見栄えを損なうことがない。実施形態4において、前記以外の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。なお、実施形態4のシワ抑制部21は、実施形態2の商品包装材1Bや他の様々な形態にも適用できる。
【0029】
(実施形態5)
図8に示すように、実施形態5の商品包装材1Eは、実施形態2の変形例であり、表シート6がヘッダ部3の吊り下げ孔16を含む範囲まで上方に延長した延長部60が形成されたものである。表シート6の透明樹脂フィルムは、表裏両面にコロナ処理(表面処理)が施され、両面ともに貼り合わせ特性に優れたものが使用される。この表シート6の延長部60は、本体シート5の上部延長片11とヘッダシート12との間に挟むように配置され、延長部60の表裏両面とも水糊7で貼り合わされている。延長部60は、吊り下げ孔16の部分では貫通されている。なお、この延長部60は、本体シート6の上辺5aまで形成されているが、吊り下げ孔16を含む範囲で本体シート6の上辺5aよりも下の位置に形成したものでもよい。
【0030】
前記構成より、表シート6の延長部60によって吊り下げ孔16まわりの強度をさらに高めて吊り下げ孔16の破損を抑制できる。表シート6の延長部60に相当する透明樹脂フィルムの使用量が増えるものの、合成樹脂のシートや板を使用する場合に比べて合成樹脂の使用量を必要最小限にしながら吊り下げ孔16の強化を有効的に図ることができる。なお、表シート6の延長部60は、ヘッダシート12の外側面(ヘッダ部3の表面)に水糊7で貼り合わせた形態であってもよい。これによれば、さらに、ヘッダ部3の表面の汚れやキズ等に対して保護できる。この形態では、表シート6の透明樹脂フィルムは、本体シート5と水糊7で貼り合わせる一面側だけコロナ処理したものを使用でき、表シート6のコストを低減できる。実施形態5において、前記以外の構成及び作用効果は、実施形態2と同様である。なお、前記ヘッダ部3の構成は、実施形態1の商品包装材1Aや他の様々な形態にも適用できる。
【0031】
(実施形態6)
図9に示すように、実施形態6の商品包装材1Fは、実施形態5の変形例として、袋部2の下側部にフッタ部31を設けたものである。このフッタ部31は、本体シート5を表シート6の下辺6bよりも下方に延ばした下部延長片51を表側に折り返して表シート6の表面(外側面)に接着剤層18によって貼り合わせて形成される。この商品包装材1Fでは、袋部2の下部に開口部9が設けられており、フッタ部31の形成によって商品4を収容した袋部2の開口部9が塞がれる。接着剤層18は、両面テープが使用され、本体シート5の下部延長片51に形成されているが、表シート6の下部の表面に形成されてもよい。袋部2に商品4を入れる前は、接着剤層18には剥離紙(不図示)が貼り付けられており、袋部2に商品4を収容した後、剥離紙を剥がして下部延長片51を表シート6の表面に接着させる。袋部2から商品4を取り出す際は、フッタ部31となった下部延長片51を表シート6から剥がすことで、袋部2の下部の開口部9が開放され、袋部2から商品4を取り出すことができる。
【0032】
図9に示したフッタ部31は、本体シート5の下部延長片51を表シート6の下辺6bに沿った下縁部とともに折り返して形成されるが、表シート6の下辺6bの位置や下辺6bよりも下方位置で下部延長片51を折り返して形成した形態であってもよい。このフッタ部31の表面には様々な印刷を施すことができる。フッタ部31を設けることで袋部2の下部の強度を高くでき、袋部2からの商品4の落下防止や収容物の商品4によって袋部2の下部に孔が開く等の破損を抑制できる。実施形態6において、前記以外の構成及び作用効果は、実施形態5と同様である。なお、実施形態6のフッタ部31の構成は、他の様々な形態にも適用できる。
【0033】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。例えば、商品包装材は、ヘッダ部3を有しない構成であってもよい。また、商品包装材は、商品包装材全体に対する紙の重量比が50%超となる構成であってもよい。袋部2には、開口部9近傍に開口部9を開閉可能とする樹脂製のチャックを設けてもよい。袋部2の底部や側部には、マチを形成してもよい。マチは、本体シート5及び/又は表シート6を延ばして形成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1A,1B,1C,1D,1E,1F 商品包装材
2 袋部
3 ヘッダ部
4 商品
5 本体シート
5c,5d 本体シートの側辺
5a 本体シートの上辺
5b 本体シートの下辺
6 表シート
6c,6d 表シートの側辺
6a 表シートの上辺
6b 表シートの下辺
7 水糊
8 紙マーク
9 開口部
10 非接着部
11 本体シートの上部延長片
12 ヘッダシート
13 接着剤層
14 剥離紙
15 ミシン目
16 吊り下げ孔
17 表シートの下部延長片
18 接着剤層
19 剥離紙
20 商品係止部
21 シワ抑制部
31 フッタ部
51 本体シートの下部延長片
60 表シートの延長部
【要約】
【課題】商品包装材の透明性を確保しながら、低コストに、商品包装材全体に対する紙の重量比を高めることを可能とする商品包装材を提供する。
【解決手段】商品包装材1Aは、本体シート5と表シート6との間に商品4を収容する袋部2が形成されたものである。表シート6が透明樹脂フィルムであり、本体シート5が非ラミネートの紙で形成された紙シートであり、本体シート5と表シート6との貼り合わせに水糊7が使用され、商品包装材1A全体に対する紙の重量比が50%超又は60%以上となる構成とする。
【選択図】
図1