(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240701BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240701BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N23/04
G01N21/89 Z
(21)【出願番号】P 2020095669
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 実
(72)【発明者】
【氏名】池田 倫秋
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-077685(JP,A)
【文献】特開2009-098053(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110687134(CN,A)
【文献】特開2004-340631(JP,A)
【文献】特開2001-124702(JP,A)
【文献】特開2010-151479(JP,A)
【文献】特開2009-063576(JP,A)
【文献】米国特許第05991046(US,A)
【文献】特開平04-069511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0104315(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2110192(KR,B1)
【文献】特開平03-122556(JP,A)
【文献】特開2004-226127(JP,A)
【文献】特開2001-041900(JP,A)
【文献】特開2018-200185(JP,A)
【文献】特開平6-242018(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を
所定の一軸方向に所定の速度で搬送する
搬送機構である搬送部と、
前記搬送部を挟んで一方の側から前記検査対象物に光を照射する第1照明部と、
前記搬送部を挟んで他方の側から前記検査対象物に光を照射する第2照明部と、
前記第1照明部から前記検査対象物に照射された光のうち、前記検査対象物を透過して前記他方の側に到達した光である透過光、及び前記第2照明部から前記検査対象物に照射され反射された光である反射光を検出可能な前記他方の側に配置され、到達した前記透過光及び前記反射光を検出して検出データを出力する撮像部と、
前記検出データに基づき前記検査対象物の検査を行う検査部と、
入力された情報に基づき、前記第1照明部及び前記第2照明部のうち少なくとも一方の発光の有無を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、透過光検査
と反射光検査
のいずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、これにより特定された検査に応じて前記第1照明部及び前記第2照明部のそれぞれの発光の有無を制御し、前記検査部に、前記特定された検査を実行させ、
前記制御部は、前記特定された検査が透過光検査である場合には、前記第1照明部を発光させる一方、前記第2照明部を発光させず、反射光検査である場合には、前記第2照明部を発光させる
とともに、
前記第2照明部より低い発光強度で前記第1照明部を発光させ
る制御を行う
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、透過光検査、反射光検査、又は前記透過光検査と前記反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、これにより特定された検査に応じて前記第1照明部及び前記第2照明部のそれぞれの発光の有無を制御し、前記検査部に、前記特定された検査を実行させ、
前記制御部は、前記特定された検査が
両方検査である場合には、前記反射光検査の場合とは異なる発光強度で、前記第1照明部と前記第2照明部の双方を同時に発光させる制御を行う
ことを特徴とする
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1照明部と前記第2照明部は、互いに異なる色の光を同時に発光し、
前記撮像部は、カラーカメラであり、
前記制御部は、前記特定された検査が透過光検査を含む場合には、前記撮像部が出力した検出データに含まれる前記第1照明部の発光色の検出データに基づき前記検査部に検査を実行させ、前記特定された検査が反射光検査を含む場合には、前記撮像部が出力した検出データに含まれる前記第2照明部の発光色の検出データに基づき前記検査部に検査を実行させる
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査対象物にX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から前記検査対象物に照射されたX線のうち、前記検査対象物を透過したX線である透過X線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記透過光検査、前記反射光検査、前記両方検査、これらいずれかの検査と透過X線検査の両方、又は前記透過X線検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定された検査に応じて前記第1照明部、前記第2照明部及び前記X線照射部のそれぞれの発光の有無を制御するとともに、前記特定された検査を前記検査部に実行させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記他方の側に、更に、前記第2照明部が発光した光を集光及び反射して前記検査対象物に照射し、かつ、前記透過光及び前記反射光の光路、並びに前記X線照射部から前記X線検出部に向かうX線の光路を避けて配置される凹面状の反射板を備えることを特徴とする請求項
4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記透過光及び前記反射光の光路上に配置され、前記透過光及び前記反射光の向きを変えて前記撮像部に入射させる光学部材を更に備えることを特徴とする請求項
5に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に電磁波を照射し、透過量や反射量に基づき検査対象物内外の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物に光やX線を照射し透過量を検出すると、検査対象物内の異物の有無や異物の材質等に起因する透過量の強弱の分布が得られる。この強弱の分布がそれぞれの画素の色調(色彩の明暗・濃淡・強弱などの調子)により表現された二次元画像を生成することで、外観からは知りえない検査対象物内部の状態を可視化することができる。
【0003】
また、検査対象物に光を照射し、反射量を検出すると、検査対象物の外観の状態(異物の付着、傷、欠けなどの有無)に起因する反射量の強弱の分布が得られる。この強弱の分布がそれぞれの画素の色調(色彩の明暗・濃淡・強弱などの調子)により表現された二次元画像を生成することで、目視では捉えきれない検査対象物表面の状態を可視化することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前述のように透過量の強弱は、検査対象物内の異物の有無や異物の材質等に起因するが、異物と非異物との組み合わせによっては、両者の透過量の差異が非常に小さく、生成された二次元画像からの両者の識別が難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工場などにおいて、透過光による検査と反射光による検査を行うために、透過光による検査用のラインと反射光による検査用のラインを設けると、2ライン分のスペースが占有されることになる。しかし、双方又はいずれか一方のラインの稼働率が高くない場合に2ライン分のスペースを占有することは、空間的に非効率である。また、1ライン分のスペースのみを確保し、必要に応じてラインを入れ替えることも一応は考えられるが、入れ替えの手間や使用していないラインの退避場所の確保の必要などから、非現実的である。更に、透過光に基づく画像と反射光に基づく画像の両方の画像に基づく検査を行う場合、それぞれのラインから画像を出力した上で、別装置において両画像の合成などを行う必要があり、その分の手間が生じる。
【0007】
本発明の目的は、従来の装置と比べて小さい占有面積で、透過光検査と反射光検査を実行可能な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の検査装置は、所定の方向に検査対象物を搬送する搬送部と、搬送部を挟んで一方の側から検査対象物に光を照射する第1照明部と、搬送部を挟んで他方の側から検査対象物に光を照射する第2照明部と、第1照明部から検査対象物に照射された光のうち、検査対象物を透過して他方の側に到達した光である透過光、及び第2照明部から検査対象物に照射され反射された光である反射光を検出可能な当該他方の側に配置され、到達した光を検出して検出データを出力する撮像部と、検出データに基づき検査対象物の検査を行う検査部と、を備え、第1照明部及び第2照明部のうち少なくとも一方は、発光の有無を、入力された情報に基づき切り替え可能とされていることを特徴とする。
【0009】
入力された情報に基づき、第1照明部及び第2照明部のうち少なくとも一方の発光の有無を制御する制御部を更に備えてもよい。
【0010】
制御部は、第1照明部と第2照明部のいずれか一方を発光させるとともに、入力された情報に基づき、他方の発光の有無を制御してもよい。
【0011】
制御部は、透過光検査、反射光検査、又は透過光検査と反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、これにより特定された検査に応じて第1照明部及び第2照明部のそれぞれの発光の有無を制御し、検査部に、当該特定された検査を実行させてもよい。
【0012】
制御部は、特定された検査が透過光検査である場合には、第1照明部を発光させる一方、第2照明部を発光させず、反射光検査である場合には、第2照明部を発光させる一方、第1照明部を発光させない制御を行ってもよい。
【0013】
制御部は、特定された検査が透過光検査である場合には、第1照明部を発光させる一方、第2照明部を発光させず、特定された検査が反射光検査である場合には、第1照明部と第2照明部の両方を発光させる制御を行ってもよい。
【0014】
撮像部は、透過光を検出可能に配置され、到達した光を検出して検出データを出力する第1撮像部と、反射光を検出可能に配置され、到達した光を検出して検出データを出力する第2撮像部と、を備え、制御部は、特定された検査が透過光検査である場合には、第1撮像部が出力した検出データに基づき検査部に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査である場合には、第2撮像部が出力した検出データに基づき検査部に検査を実行させてもよい。
【0015】
第1照明部と第2照明部が、互いに異なる色の光を発光し、撮像部を、カラーカメラとし、制御部が、特定された検査が透過光検査である場合には、撮像部が出力した検出データに含まれる第1照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査である場合には、撮像部が出力した検出データに含まれる第2照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させてもよい。
【0016】
第1照明部と第2照明部が、互いに異なる色の光を同時に発光し、撮像部を、カラーカメラとし、制御部が、特定された検査が透過光検査を含む場合には、撮像部が出力した検出データに含まれる第1照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には、撮像部が出力した検出データに含まれる第2照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させてもよい。
【0017】
撮像部が、透過光を検出可能に配置され到達した第1照明部が発光した色の光を検出して検出データを出力する第1撮像部と、反射光を検出可能に配置され到達した第2照明部が発光した色の光を検出して検出データを出力する第2撮像部と、を備え、制御部が、特定された検査が透過光検査を含む場合には、第1撮像部が出力した第1照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には、第2撮像部が出力した第2照明部の発光色の検出データに基づき検査部に検査を実行させてもよい。
【0018】
制御部は、第1照明部と第2照明部に交互に発光させ、検査部に、特定された検査が透過光検査を含む場合には第1照明部の発光時における検出データに基づき透過光検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には第2照明部の発光時における検出データに基づき反射光検査を実行させてもよい。
【0019】
検査対象物にX線を照射するX線照射部と、X線照射部から検査対象物に照射されたX線のうち、検査対象物を透過したX線である透過X線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、を更に備え、検査部を、X線検出データに基づき生成された画像である透過X線画像を用いた透過X線検査を更に実行可能に構成し、制御部が、透過光検査、反射光検査、両方検査、これらいずれかの検査と透過X線検査の両方、又は透過X線検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定された検査に応じて第1照明部、第2照明部及びX線照射部のそれぞれの発光の有無を制御するとともに、特定された検査を検査部に実行させてもよい。
【0020】
搬送部の他方の側に、更に、第2照明部が発光した光を集光及び反射して検査対象物に照射し、かつ、透過光及び反射光の光路、並びにX線照射部からX線検出部に向かうX線の光路を避けて配置される凹面状の反射板を備えてもよい。
【0021】
透過光及び反射光の光路上に配置され、透過光及び反射光の向きを変えて撮像部に入射させる光学部材を更に備えてもよい。
【0022】
検査対象物にX線を照射するX線照射部と、X線照射部から検査対象物に照射されたX線のうち、検査対象物を透過したX線である透過X線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、を更に備え、検査部は、検出データ及びX線検出データに基づき検査対象物の検査を行ってもよい。
【0023】
透過光検査、反射光検査、前記透過光検査と前記反射光検査の両方を行う両方検査、これらいずれかの検査と透過X線検査の両方、又は前記透過X線検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定された検査に応じて前記第1照明部、前記第2照明部及び前記X線照射部のそれぞれの発光の有無を制御するとともに、前記特定された検査を前記検査部に実行させる制御部を更に備えてもよい。
【0024】
搬送部の他方の側に、更に、第2照明部が発光した光を集光及び反射して検査対象物に照射し、かつ、透過光及び反射光の光路、並びにX線照射部からX線検出部に向かうX線の光路を避けて配置される凹面状の反射板を備えてもよい。
【0025】
透過光及び反射光の光路上に配置され、透過光及び反射光の向きを変えて撮像部に入射させる光学部材を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、透過光検査と反射光検査を実行可能な検査装置を、従来と比べ小さい占有面積で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】検査装置10の変形例の一例を示す図である。
【
図4】反射板23の上面形状の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明及び図面では、同一の機能部には同一の符号を付し、一度説明した機能部については説明を省略するか、必要な範囲で説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の検査装置10の構成例を示す図である。検査装置10は、搬送部11、第1照明部12、第2照明部13、撮像部14、及び検査部16を備える。制御部17を更に備えてもよい。
【0030】
搬送部11は、3次元直交座標系においてXY平面をなす搬送面に載置された検査対象物Wを、Y軸方向に所定の速度で搬送する任意の搬送機構である。搬送部11には、例えばベルトコンベアを採用してもよい。ベルトコンベアを採用する場合、
図1に示すように、2台のベルトコンベアを、検査に使用される電磁波が通過する隙間を開けてY軸方向に並べて配置してもよいし、1台のベルトコンベアを採用してもよい。1台のベルトコンベアを採用する場合、検査に使用される電磁波が極力減衰しないよう、検査に使用される電磁波の透過性が高いものであることが望ましい。
【0031】
第1照明部12は、搬送部11を挟んで一方の側から、搬送部11に載置されてY軸方向に搬送される検査対象物Wに光を照射する光源である。第1照明部12は、透過光検査に用いる光を発生する。透過光検査は、検査対象物の外形や、包装が透明である検査対象物のシール部及び包材の状態などを、包装や包材などが光を透過する程度の相違に基づき検査するものである。そのため、第1照明部12には、所望の具体的な検査内容に応じた可視光、赤外線又は紫外線を発生可能な光源を適用する。光源の種別は任意である。
【0032】
第2照明部13は、搬送部11を挟んで他方の側から、搬送部11に載置されてY軸方向に搬送される検査対象物Wに光を照射する光源である。第2照明部13は、反射光検査に用いる光を発生する。反射光検査は、検査対象物の表面の傷や刻印の状態などを、包装や包材などが光を反射する程度の相違に基づき検査するものである。そのため、第2照明部13には、所望の具体的な検査内容に応じた可視光、赤外線又は紫外線を発生可能な光源を適用する。光源の種別は任意である。
【0033】
第1照明部及び第2照明部のうち少なくとも一方は、発光の有無を、入力された情報に基づき切り替え可能とされている。
【0034】
具体的には例えば、第1照明部12及び第2照明部13のうち少なくとも一方が、発光の有無を切り替えるハードウェアスイッチを備え、これをオペレータが切り替えることにより切り替え可能としてもよい。
【0035】
また、制御部17を更に備え、制御部17により第1照明部12及び第2照明部13のうち少なくとも一方の発光の有無を制御してもよい。例えば、制御部17は、第1照明部12及び第2照明部13のうち少なくとも一方の発光の有無を特定する情報の入力を受け付け、これに基づき発光の有無を制御してもよい。また例えば、制御部17は、透過光検査、反射光検査、又は透過光検査と反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定された検査に応じて予め定められた第1照明部12及び第2照明部13のそれぞれの発光の有無を制御してもよい。
【0036】
撮像部14は、搬送部11を挟んで一方の側に配置された第1照明部12から検査対象物Wに照射された光のうち、検査対象物Wを透過して他方の側に到達した光である透過光、及び第2照明部13から検査対象物Wに照射され反射された光である反射光を検出可能な他方の側、すなわち第2照明部13と同じ側に配置され、到達した光を検出して検出データを出力する。撮像部14は、搬送部11を停止させずに検査対象物Wを撮像可能なものであり、例えば、撮像素子がX軸方向に複数配列されたラインカメラなどが挙げられる。撮像素子の種類は任意である。
【0037】
検査部16は、撮像部14における検出データに基づき検査対象物Wの検査を行う。具体的には、例えば撮像部がラインカメラである場合、まず、搬送部11に載置されて移動する検査対象物Wから到達した光を所定の周期で撮像し、出力された線状の検出データを順次配列していくことにより検査対象物Wの画像を生成する。そして、このように生成した画像を解析することにより検査対象物Wの検査を行う。解析の具体的な方法、良否の判定方法及び結果の出力方法は任意である。
【0038】
検査部16においては、オペレータにより入力された情報に基づき、透過光の検出データに基づく透過光検査、反射光の検出データに基づく反射光検査、又は透過光検査と反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれかの検査を実行する。実行する検査の選択は、例えば、検査部16が、実行する検査を切り替えるハードウェアスイッチを備え、これをオペレータが切り替えることにより選択してもよい。
【0039】
また、制御部17を更に備え、制御部17が、透過光検査、反射光検査、又は透過光検査と反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定した検査を検査部16に実行させる制御を行ってもよい。
【0040】
制御部17が、透過光検査、反射光検査、又は透過光検査と反射光検査の両方を行う両方検査のうち、いずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、これにより特定された検査に応じて予め定められた第1照明部12及び第2照明部13のそれぞれの発光の有無を制御する場合、具体的には次のように制御する。
【0041】
例えば、特定された検査が、透過光検査である場合には、第1照明部12に発光させる一方、第2照明部13に発光させず、反射光検査である場合には、第2照明部13に発光させる一方、第1照明部12に発光させず、透過光検査と反射光検査の双方である場合には、第1照明部12と第2照明部13の双方を発光させる制御を行ってもよい。
【0042】
これにより、所望の検査に応じた検出データを得ることができる。
【0043】
また例えば、特定された検査が反射光検査である場合に、第1照明部12と第2照明部13の双方を発光させる制御を行ってもよい。このとき更に、第1照明部12の発光強度を第2照明部より低くする制御を行ってもよい。
【0044】
このように、反射光検査の際に反射光に加え透過光が存在していることで、反射光をより明瞭に検出することができる。
【0045】
また例えば、特定された検査が透過光検査である場合に、第1照明部12と第2照明部13の双方を発光させる制御を行ってもよい。このとき更に、第2照明部13の発光強度を第1照明部12より低くする制御を行ってもよい。
【0046】
このように、透過光検査の際に反射光に加え透過光が存在していることで、反射光をより明瞭に検出することができる。
【0047】
実行する検査を特定する情報の制御部17への入力の実現方法は任意である。例えば、検査装置10において、キーボードやポインティングデバイスなどの入力手段及び各種ディスプレイなどの表示手段を備え、制御部17が、実行する検査を入力手段から手入力又は選択入力することが可能な入力画面を表示手段に表示させるなどの方法が挙げられる。より具体的には、例えば、複数の異なる検査対象物Wのリストを表示させ、選択した検査対象物Wに応じて実行する検査を特定する方法が挙げられる。
【0048】
検査部16及び制御部17の機能は、各機能の実現に必要な処理内容をプログラムに記述し、コンピュータで実行することにより実現してもよい。この場合、例えば検査装置10において、CPU、及び各機能の処理内容が記述されたプログラムを予め記憶する任意の記憶手段を備え、必要時に記憶手段から実現したい機能が記述されたプログラムを読み出してCPUに実行させることで当該機能を実現することができる。
【0049】
以上のように構成された検査装置10によれば、従来と比べ装置の占有スペースを小さくすることができ、透過光検査、反射光検査及びこれら双方の検査を切り替えて実行することが可能になる。
【0050】
〔変形例1〕
制御部17が、第1照明部12と第2照明部13に互いに異なる色の光を発光させ、撮像部14をカラーカメラとし、制御部17が、特定された検査が透過光検査である場合には、撮像部14が出力した検出データに含まれる第1照明部12の発光色の検出データを用いて検査部16に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査である場合には、撮像部14が出力した検出データに含まれる第2照明部13の発光色のデータを用いて検査部16に検査を実行させてもよい。
【0051】
互いに異なる色として、透過光の検出と反射光の検出のそれぞれに適した色を選択することで、より精度よく検査を行うことができる。例えば可視光を用いる場合、第1照明部12が発光する光として波長が長く透過性の高い赤色光を、第2照明部13が発光する光として波長が短く微細形状の表現力が高い青色光を選択することによって、検査精度を一層高めることができる。
【0052】
〔変形例2〕
第1照明部12と第2照明部13が、互いに異なる色の光を同時に発光し、撮像部14をカラーカメラとし、制御部17が、特定された検査が透過光検査を含む場合には、撮像部14が出力した検出データに含まれる第1照明部12の発光色の検出データに基づき検査部16に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には、撮像部14が出力した検出データに含まれる第2照明部13の発光色の検出データに基づき検査部16に検査を実行させてもよい。
【0053】
このように、各照明部の発光色が異なることで、両者が同時に発光した場合においても、検出データに含まれる第1照明部12の発光色の検出データと第2照明部13の発光色の検出データをそれぞれ容易に抽出できるため、これらを用いて透過光検査と反射光検査の双方を行うことができる。
【0054】
〔変形例3〕
撮像部14を、
図2に示すように、透過光を検出可能に配置され検出データを出力する第1撮像部14aと、反射光を検出可能に配置され検出データを出力する第2撮像部14bと、に分割してもよい。このとき、制御部17が、特定された検査が透過光検査である場合には、第1撮像部14aが出力した検出データに基づき検査部16に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査である場合には、第2撮像部14bが出力した検出データに基づき検査部16に検査を実行させる。
【0055】
このように撮像部14を分割することで、第1撮像部14aを透過光の受光に最適な位置に配置し、第2撮像部14bを反射光の受光に最適な位置に配置することができ、より効率的に検出データを収集することができる。
【0056】
〔変形例4〕
撮像部14を、透過光を検出可能に配置され第1照明部12が発光する色の光のみを検出して検出データを出力するカラーカメラである第1撮像部14aと、反射光を検出可能に配置され第2照明部13が発光する色の光のみを検出して検出データを出力するカラーカメラである第2撮像部14bとに分割し、第1照明部12と第2照明部13が互いに異なる色の光を同時に発光し、制御部17が、特定された検査が透過光検査を含む場合には、第1撮像部14aが出力した第1照明部12の発光色の検出データに基づき検査部16に検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には、第2撮像部14bが出力した第2照明部13の発光色の検出データに基づき検査部16に検査を実行させてもよい。
【0057】
このように、各照明部の発光色が異なることで、両者が同時に発光した場合においても、検出データに含まれる第1照明部12の発光色の検出データと第2照明部13の発光色の検出データをそれぞれ容易に抽出できるため、これらを用いて透過光検査と反射光検査の双方を行うことができる。また、検出する光の色ごとの撮像部を備えることで、変形例2では必要とされた、検査部16における色成分の抽出処理が不要になり、処理を速めることができる。
【0058】
〔変形例5〕
制御部17が、第1照明部12と第2照明部13に交互に発光させ、検査部16に、特定された検査が透過光検査を含む場合には第1照明部12の発光時における検出データに基づき透過光検査を実行させ、特定された検査が反射光検査を含む場合には第2照明部13の発光時における検出データに基づき反射光検査を実行させてもよい。
【0059】
これにより、透過光の検出データと反射光の検出データを時分割で取得して、透過光検査と反射光検査の双方を実行することができる。
【0060】
<第2実施形態>
図3は、本発明の検査装置20の構成例を示す図である。検査装置20は、搬送部11、第1照明部12、第2照明部13、撮像部14、検査部16、制御部17、X線照射部21及びX線検出部22を備える。
【0061】
X線照射部21は、検査対象物WにX線を照射する。X線の光源の種別は任意である。
【0062】
X線検出部22は、X線照射部21から検査対象物Wに照射されたX線のうち、検査対象物Wを透過したX線である透過X線を検出し、X線検出データを出力する。X線検出部22は、搬送部11を停止させずに検査対象物Wを透過したX線を検出可能なものであり、例えば、X線検出素子がX軸方向に複数配列されたラインセンサなどが挙げられる。検出素子の種類は任意である。
【0063】
なお、
図3では、X線照射部21が第2照明部13及び撮像部14の側に、X線検出部22が第1照明部12の側に、それぞれ配置された例を示しているが、配置を逆にしても構わない。
【0064】
検査部16は、X線検出部22において検出された検出データに基づき検査対象物Wの検査を行う。具体的には、例えば撮像部がラインカメラである場合、まず、搬送部11に載置されて移動する検査対象物Wから到達したX線を所定の周期で検出し、出力された線状の検出データを順次配列していくことにより検査対象物Wの画像である透過X線画像を生成する。そして、このように生成した透過X線画像を解析することにより検査対象物Wの状態を検査する透過X線検査を更に実行可能に構成される。
【0065】
制御部17は、透過光検査、反射光検査、両方検査、これらいずれかの検査と透過X線検査の両方、又は透過X線検査のいずれを実行するかを特定する情報の入力を受け付け、特定された検査に応じて第1照明部12、第2照明部13及びX線照射部21のそれぞれの発光の有無を制御するとともに、特定された検査を検査部16に実行させる。
【0066】
以上のように構成された検査装置20によれば、従来と比べ装置の占有面積を小さくすることができ、透過電磁波による検査、反射電磁波による検査、透過X線検査、及びこれらを組み合わせた検査を切り替えて実行することが可能になる。
【0067】
なお、第2照明部13が配置された側に、第2照明部13が発光した光を集光及び反射して検査対象物Wに照射し、かつ、透過光及び反射光の光路、並びにX線照射部21からX線検出部22に向かうX線の光路を避けて配置される凹面状の反射板23を更に備えてもよい。
【0068】
図3では、このような反射板23の形状の一例を示している。
図3で示す形状は正面から見たものであり、
図4で上面から見た形状を示している。この例において反射板23は、
図3及び
図4からわかるように半円筒状であり、Z軸方向の頂部に、X線並びに検査対象物Wからの透過光及び反射光を通過させる間隙25(又は孔)がX軸方向に延伸して設けられるとともに、下側両端部に、X軸方向に延伸された第2照明部13が配置される。これにより、第2照明部13が発生し拡散した光が反射板23で反射され、X軸方向に線状の光が検査対象物Wに照射される。なお、反射板23は、間隙25を設ける場合には図面上左右対称の2つの部分から構成されるが、間隙25の代わりに孔を設けてもよく、この場合には一体的に構成される。また、第2照明部13は、線状の1本の発光体により構成してもよいし、複数の発光素子を1列に配列することにより構成してもよい。
【0069】
このように、反射板23を備えることで第2照明部13が発生させた光を効率的に集光して検査対象物Wに照射できるため、反射光の検出データに基づき生成される画像をより明瞭化することができ、よって、反射光検査の精度を高めることができる。
【0070】
また、反射板23に加え、透過光及び反射光の光路上に配置され、透過光及び反射光の向きを変えて撮像部14に入射させる光学部材24を更に備えてもよい。光学部材24は、所望の光路変化を与えられるものであれば、任意の種別の部材を採用してよい。
【0071】
図3では、このような光学部材24を設ける構成の一例を示している。この例で示す構成では、もし光学部材24を設けないと、撮像部14とX線照射部21とを概ね同じ位置に配置しなければならず、物理的な困難が生じる。そこで、光学部材24を設けることでこのような問題の発生を回避することができる。また、光学部材24からの光の出射方向に撮像部14を適切に配置することで、撮像部14において透過光及び反射光を効率的に受光可能となる。
【0072】
このように、光学部材24を設けることで、撮像部14が透過光及び反射光を効率的に受光できるとともに、撮像部14を他の構成部との関係で無理の無い位置に配置することができる。
【0073】
〔変形例〕
第1実施形態と同様に、撮像部14を、
図5に示すように、透過光を受光可能に配置され透過光の受光時に検出データを出力する第1撮像部14aと、反射光を受光可能に配置され反射光の受光時に検出データを出力する第2撮像部14bと、に分割し、制御部17が、第1照明部12の発光時に第1撮像部14aに透過光を受光させ、第2照明部13の発光時に第2撮像部14bに反射光を受光させる制御を行ってもよい。
【0074】
第1撮像部14aを透過光の受光に最適な位置に配置し、第2撮像部14bを反射光の受光に最適な位置に配置することで、より効率的に検出データを収集することができる。
【0075】
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではない。上記の各実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0076】
10、20…検査装置
11…搬送部
12…第1照明部
13…第2照明部
14…撮像部
14a…第1撮像部
14b…第2撮像部
16…検査部
17…制御部
21…X線照射部
22…X線検出部
23…反射板
24…光学部材
25…間隙
W…検査対象物