(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20240701BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240701BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240701BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240701BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240701BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240701BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240701BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20240701BHJP
【FI】
F21S8/04 100
F21S8/04 130
F21V5/00 510
F21V17/00 200
F21V19/00 450
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y113:13
F21Y105:18
(21)【出願番号】P 2020174424
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】高土 秀和
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129102(JP,A)
【文献】特開2019-129103(JP,A)
【文献】特開2016-039044(JP,A)
【文献】特開2016-027583(JP,A)
【文献】特開2017-228436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 5/00
F21V 17/00
F21V 19/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 113/13
F21Y 105/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に開口を有する本体と
、
基板に
表面実装された複数の発光素子を有する
光源と、
前記光源の光出射面側を覆う光拡散カバーと、
前記本体の縁部に取り付けられる
複数の取付具と、
前記本体の前面を覆うカバー部材と、
を備えた照明器具であって
、
前記光拡散カバーは、光出射面側に、複数の光変換部
及び複数の小光変換部を有し、
前記複数の小光変換部はそれぞれ、前記複数の光変換部に近接し、前記光変換部
及び小光変換部の裏面に前記発光素子を収納する凹部を有するとともに、前記光拡散カバーの裏面が前記基板の実装面と接しており、
前記取付具は、前記光源と前記光拡散カバーと前記カバー部材とを一体的に保持し、
前記カバー部材は
、前記光源と前記光拡散カバーと前記取付具の光出射面側の全面を隈なく覆う、
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記光拡散カバーは裏面から突出する複数の突起部を有し、
前記突起部は前記基板に穿設された小孔に嵌入する、
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記
複数の光変換部
及び前記複数の小光変換部は
、前記光拡散カバーの表面から突出した凸部である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記光源の外周部の隅部が前記取付具に設けられた保持部によって保持されている、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散カバーを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの省電力及び長寿命に着目して、LEDを用いた照明器具が複数提案されている。例えば、特許文献1には、光源と、光源に電力を供給する電源部と、光源及び電源部を保持する保持体とを備えた薄型の照明器具が開示されている。また特許文献2には、光源と、光拡散カバー及びカバー部材を一体的に保持する取付具を備えた薄型の照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-117809号公報
【文献】特開2019-129102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明器具は、照明器具の薄型化を目的としたものであり、基板が本体に取り付けられ、基板に実装された複数のLEDが、LED毎に拡散レンズで覆われて、LEDの出射光が拡散するように構成されている。しかし、特許文献1の照明器具の態様では、本体にLEDが実装された基板を取り付けるための加工が必要となり、かつ、LED毎に拡散レンズで覆われているため、照明器具の構成が複雑になるという欠点があった。
また、特許文献2の照明器具は、光源と、光拡散カバー及びカバー部材を一体的に保持する取付具を備えるものであるが、LED素子毎に拡散レンズで覆うものでなく、一つの拡散レンズでLED素子全体を覆うものであるため、LED素子の光拡散性が均一でなく防眩性に欠けるという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、光拡散性及び防眩性が優れるとともに構成が簡素化された照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の照明器具は、
中央に開口を有する本体と、
前記開口に設置され配線器具と機械的及び電気的に接続されるアダプタと、
基板に実装された複数の発光素子を有する略四角形状の光源と、
前記光源の光出射面側を覆う光拡散カバーと、
前記本体の縁部に取り付けられる取付具と、
前記本体の前面を覆うカバー部材と、
を備えた照明器具であって、
前記発光素子は前記基板の外縁部に沿って列状に表面実装されており、
前記光拡散カバーは光出射面側に複数の光変換部を有し、前記光変換部の内面に前記発光素子が収納される凹部を有するとともに、前記光拡散カバーの裏面が前記基板の実装面と接しており、
前記取付具は前記光源と前記光拡散カバーと前記カバー部材を一体的に保持し、
前記カバー部材は乳白色を有し前記光源と前記光拡散カバーと前記取付具の光出射面側の全面を隈なく覆う、
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光拡散カバーは、本発明の照明器具に使用されるものであり、光拡散カバーの表面に、LED等の発光素子に対向する光変換部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光拡散カバー、光源及びカバー部材を有する照明器具において、光変換部を備えた光拡散カバーを用いることによって、光拡散性及び防眩性が優れるとともに薄型で構成がシンプルな照明器具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態の照明器具の分解斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態の照明器具のカバー部材を外した状態を示す概略側面図である。
【
図5】
図5は実施形態の照明器具の本体と光拡散カバーと光源の取付状態を示す一部断面図である。
【
図6】
図6は実施形態の照明器具のカバー部材を外した状態における概略断面図である。
【
図7】
図7は実施形態の照明器具の取付具を示す概略斜視図である。
【
図9】
図9は
図7のA-A′線の断面を上から見たカバー部材の取付具への取付状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。また、以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。本発明の照明器具及び光拡散カバーは、天井に配置された引掛シーリングローゼット等の配線器具に取り付けられるタイプのシーリングライトや天井から吊り下げられるタイプのペンダントのほか、街路灯等、各種照明器具に適用することができる。
【0011】
一般家庭用の住宅では、天井に、シーリングライト等を取り付けるための引掛シーリングローゼット、引掛シーリングボディ、引掛シーリング、引掛ローゼット等と呼称される配線器具3が取り付けられている。
図6に示すように、住宅内の天井2に設置された配線器具3にアダプタ80を介して照明器具1が取り付けられる。
【0012】
また、一般家庭用の住宅には、商用電源からAC電力が供給される。天井2に設置された配線器具3に照明器具1用のアダプタ80が取り付けられることで、配線器具3とアダプタ80とが機械的及び電気的に接続され、住宅内電力線から配線器具3を通してアダプタ80から照明器具1にAC電力が供給される。
【0013】
ここで、本発明の実施形態に係る照明器具を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一具体例を示すものであるから、実施形態に記載されている構成部品の配置、機能、数値等は、あくまで一例であって、これらによって本発明の範囲が限定解釈されるものではない。
【0014】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の照明器具1の分解斜視図である。同図に示すように、実施形態の照明器具1は、本体10、光拡散カバー30、光源50及びカバー部材60から構成されており、本体10に配置された取付具90により、光拡散カバー30、光源50及びカバー部材60が一体的に設置される。なお、図面において、配線、ネジ等の構成要素は省略している(以下、同じ)。
【0015】
本体10は、別称「シャーシ」ともいわれる部材であり、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に成形され、中央に、円形の開口13が形成されている。本体10の開口13には、照明器具1を天井2に配置された配線器具3に取り付けるためのアダプタ80が取り付けられる(
図6参照)。アダプタ80を挿通するため、本体10の開口13は本体10、光源50、光拡散カバー30の中央にも共通して設けられている。
【0016】
光源50は、中央に略円形の開口13が形成された略四角形の基板51上にLED等の複数の発光素子52が実装されたものである。基板51は、1枚の平板に限らず、複数枚の基板の連結により全体が略四角形とされていてもよい。
【0017】
発光素子52は、表面実装型のLEDパッケージであり、基板51上に所定間隔をあけて複数個が実装されている。また、発光素子52は、発光色が昼白色のものと電球色のものを用い、これらを交互に並べて、各列の隣接する発光素子52と所定間隔をあけて配置してもよい。昼白色と電球色の発光素子52を流れる電流等を調整することにより、調色が可能となる。また、発光素子52は発光色が昼白色、電球色以外の発光色を有する発光素子52を用いてもよい。発光素子52の個数及びその配列は、所望の出力等に応じて、適宜設定できる。また、LEDに代えて有機EL素子を用いてもよい。
【0018】
発光素子52は基板51上に実装された発光素子52全体を減光することにより、常夜灯として機能させることができるが、発光素子52の1つまたは複数の発光素子52を常夜灯用の発光素子52とし、輝度調整をすることにより、一般家庭において夜間安心して睡眠できる環境を形成することができる。この場合の発光素子52は電球色が望ましい。
【0019】
基板51は、中央に開口13を有し隅部56が面取りされた略四角形状の平板である。基板51の表面には、実装された複数の発光素子52と、常夜灯用の発光素子52と接続端子55が配置されている。
図1では接続端子55は略四角形状の基板51の外周縁部の中央付近の発光素子52の列間に配置されているが、これに限らず、開口13周辺や発光素子52の列の間等に配置してもよい。また、電源装置20には受信部(図示省略)が配置されている。受信部は外部のリモートコントローラ(図示省略)から送信される赤外線等の指令信号を受信して電源装置20に送信し、電源装置20はリモートコントローラからの指令信号にしたがって、光源50の調光及び調色等の制御をする。リモートコントローラからの指令信号は赤外線信号のほか、Wi-Fi(登録商標)信号、Bluetooth(登録商標)信号、移動体通信信号(例えば、第3世代移動通信(3G)、第5世代移動通信(5G)、LTE(Long Term Evolution)通信、LPWA(Low Power、Wide Area)通信等の信号)等を用いてもよい。
【0020】
基板51は、絶縁材であるガラスエポキシ樹脂(FR-4)の平板からなり、発光素子52が実装された表面側に銀箔によって配線パターンが形成されたものを用いる。なお、配線パターンはこれに限らず、基板51の裏面や内部に形成されていてもよい。また、配線パターンの上部、すなわち、基板51の表面には、反射層として作用する白色のレジスト層が施されている。基板51の材料としては、絶縁材とする場合には、ガラスエポキシ樹脂(FR-4)以外に、セラミックス材料、合成樹脂材料等を適用できる。また、基板51を金属製とする場合には、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたベース板の一面に絶縁層が積層されたベース基板等を適用できる。
【0021】
光拡散カバー30は、光源50の光照射面を隈なく覆うように配置され、発光素子52の直線的な出射光を拡散して全方位的に光を照射できるように作用する。光拡散カバー30の表面には、基板51に実装された発光素子52に逐一対向して光出射面側に光変換部31として、光拡散カバー30の表面から突出する凸部31が設けられている。凸部31のレンズ効果により、発光素子52から出射された光は、均等に周囲に拡散され、LED等の発光素子52の眩しさが軽減されるとともに効率よく光照射される。なお、凸部31は半球状の凸レンズであることが好ましいが、用途に応じて楕円形状、三角錐、四角錐等の多角錐形状とする等、適宜の形状を採用してもよい。また、光拡散カバー30の裏面と基板51との間に発光素子52が収容される空間を凹レンズ状の凹部33に形成することで、凸部31との相乗効果により光拡散効果を得ることができる。そして、光拡散カバー30の光出射面側を平面とし、光拡散カバー30の裏面と基板51との間に発光素子52が収容される空間を凹レンズ状の凹部33に形成することで、光拡散性を持たせるようにしてもよい。
【0022】
光拡散カバー30は、光拡散性を有する透明の樹脂から形成され、例えば、ポリカーボネート(PC)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル、PS(ポリスチレン)等が用いられる。
【0023】
カバー部材60は、別名「グローブ」とも称されるものであり、照明器具1の光照射面の全面を覆っている。カバー部材60は略円盤形状をなし、透光性を有する材料で形成され、光拡散性と防眩性を付与するため乳白色の材料が用いられる。カバー部材60は光源50と光拡散カバー30と取付具90の光出射面側の全面を隈なく覆っている。また、カバー部材60の開口を有する底辺部の内側には縁部の周方向に添って内側に突出する内側凸部61が設けられている(
図9参照)。また、カバー部材60の材質はPMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル樹脂を用いるが、これに限定されず、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂を用いてもよい。なお、カバー部材60の表面を磨りガラス状やスリット状の模様に加工することで、光拡散性や防眩性を付与してもよい。
【0024】
図2は実施形態の照明器具1において、カバー部材60を取り外した状態を示す概略側面図である。本体10は、下に凸の凹部14とその周辺に平板部11を備えている。取付具90は、本体10の平板部11に位置決めされて配置され、光源50と、光源50に密着して発光素子52の光照射面を隈なく覆う光拡散カバー30を保持する。
【0025】
図3は実施形態の照明器具1の
図2の平面図である。略円形状の本体10は外周部に円周方向に沿って平坦部11を有する。取付具90は所定間隔を保って平板部11の4カ所に配置されている。略円形の光拡散カバー30は最外周部の円周方向に細幅の縁部37を有している。縁部37には小孔54が穿設されており、小孔54は取付具90の小孔95と連通し本体10に固定される。また、光拡散カバー30の内側に光源50(点線部分)が収納されている。
【0026】
光拡散カバー30の表面には、基板51上に設置された接続端子55を収納する収納凸部40が、光照射面側に突出するように設けられている。接続端子55は光拡散カバー30の収納凸部40に設けられた凹部33内に収納される。また、
図3には、光拡散カバー30は77個の発光素子52を覆う光変換部としての凸部31と、26個の発光素子52を覆う小光変換部としての小凸部32を備えていることが示されているが、発光素子の個数及びその基板51上の配置は必要な光量等によって適宜変更可能である。凸部31のすぐ近くに設けられた小凸部32は、凸部31に配置された発光素子52の光照射を補助することで、拡散性と防眩性の向上に寄与する。
【0027】
図3は凸部31のパターンを表わす平面図であるが、基板51に実装された発光素子52は、凸部31の内部にそれぞれ収納されているので、発光素子52の実装位置は凸部31のパターンと同じである。そこで、平面視上、凸部31の位置は基板51上における発光素子52の位置と同じである。
図3の実施形態では、発光素子52を収納する凸部31は、基板51の外縁部に沿って列状に表面実装され、中央の開口13を囲むように3列の円周上にほぼ均等間隔で配置されている。最外縁部の凸部31の列の間隔は最も狭く、最内縁部の凸部31の列の間隔が最も広くなっている。中間に位置する凸部31の列は略四角形の基板51の各辺付近では最外周の列に近接し、隅部56で離れた位置となるように構成されている。そのほか、基板51の隅部56付近に複数の凸部31に発光素子52を配置することにより、光量の調整をすることが可能である。
【0028】
図4は実施形態の照明器具の
図2及び
図3の概略斜視図である。光拡散カバー30と、光源50が、取付具90に取り付けられており、開口13の周囲の光拡散カバー30の開口13の内周部にアダプタ80を固定するための係止部44が設けられている。
【0029】
図5は実施形態の照明器具1の本体10と光拡散カバー30と光源50の取付状態を示す一部断面図である。同図は取付具90を省略し、本体10、光拡散カバー30と光源50との構成が模式的に示されている。本体10は、中央の開口13の周囲に形成された円環状の凹部14と、本体10の開口13の周縁と外周部にそれぞれ円環状に形成された内周部16と平板部11を有する。さらに本体10は、平板部11の外側に平板部11から光照射方向にほぼ垂直に立ち上がる壁部15を有する。壁部15はカバー部材60を本体10に取り付けるときに位置決め部材として用いられる。また、小孔36は光拡散カバー30を本体10に固定するためのネジ孔である。
【0030】
光拡散カバー30は、開口13の周りに形成された円環状の拡散部45と、拡散部45の内周側と外周側にそれぞれテーパ状に形成された壁部42、43を備えている。さらに、壁部42の本体10との接触部において、壁部42とほぼ直角をなし、本体10の内周部16に接するように設けられた縁部38と、縁部38の内周端から逆L字状に立ち上がる係止部44を有している。縁部38は本体とネジ止めするための小孔36を備えている。また、拡散カバー30の外周部に位置する縁部37は、本体10の外周部に形成された平板部11に接し、壁部43と鈍角をなすように形成されている。
【0031】
光拡散カバー30の水平状の拡散部45には、光出射方向に突出する凸部31と基板51側に突出する突起部34が形成されている。基板51の表面に実装された複数の発光素子52は、拡散部45の凸部31の内部空間である凹部33内に配置される。拡散部45の内面と基板51の実装面は、拡散部45の凸部31以外においては隙間が生じないように接している。また、拡散部45に形成された凸部31と凹部33は、全体として光を照射方向に均一に拡散する拡散レンズとなるように構成されている。
【0032】
また、光拡散カバー30の拡散部45の裏面(内面)に設けられた突起部34は基板51に穿設された小孔54に嵌入し、基板51における発光素子52と凸部31との位置決めをする。突起部34は拡散部45の内面に適宜数設けられる。これにより、光拡散カバー30と光源50との位置が正確に決められ、発光素子52から出射される光が凸部31から適切に拡散できる。
【0033】
図6は実施形態の照明器具1のカバー部材60を外した状態における概略断面図である。アダプタ80は、従来公知のものを利用できる。このようなアダプタ80の代表例として、
図6に示すような扁平な円柱形状をなし、上面側に天井2に配置された既存の引掛シーリングローゼット等の配線器具3の引掛刃係合穴(図示省略)に係合する引掛刃85を有するものがあげられる。アダプタ80は、照明器具1内の電源装置20に接続するコネクタ84を有する。配線器具3とアダプタ80は、引掛刃係合穴と引掛刃85を係合させることで、機械的及び電気的に接続する。
【0034】
照明器具1を天井2に取り付ける方法は、次のとおりである。まずアダプタ80の引掛刃85を配線器具3の引掛刃係合穴に係合させ、アダプタ80を配線器具3に固定する。次に、本体10を持ち上げ、本体10の中央の開口13にアダプタ80を通し、アダプタ80の一対の爪部81が本体10の内周部16を乗り越えるまで押し上げる。アダプタ80の一対の爪部81は外側の両方向にバネで付勢されているので、本体10を爪部81を乗り越えるように持ち上げると、爪部81が本体10の内周部16と光拡散カバー30の係止部44との間の間隙(取付部82)に嵌入し、照明器具1が取付部82を介してアダプタ80に固定される。その後、カバー部材60を取付具90の間の溝にあわせ、回転させることによりカバー部材60を本体10に固定する。そして、アダプタ80のコネクタ84を、開口13の付近に設けられた電源端子41に差し込む。
また、照明器具1を天井2からアダプタ80から取り外すには、カバー部材60を取り外した後、アダプタ80の下面にある一対のレバー83を内側に引き寄せることにより、爪部81がアダプタ80の内側に引き寄せられ、爪部81と係止部44との係合が外れ、本体10を取り外すことができる。
【0035】
図6に示すように、電源装置20は、本体10の開口13を囲む凹部14と光源50の間の空間に配置されている。これにより、カバー部材60を取り外した場合でも、光拡散カバー30により、電源装置20が外部に露出しない構成となっており、手指等の接触による感電等を防ぐことができ、安全性に優れた照明器具を提供できる。
【0036】
電源装置20は、交流100V等の外部電源から供給された電流を整流する整流回路、整流された電圧を所定の電圧に変換するトランス、一定電流を光源50に供給する定電流供給回路、外部のリモートコントローラ(図示省略)からの指令信号を受ける受信部、受信部からの送信信号を受けて、光源50等の調光、調色をする制御部等を備えている。そして、電源装置20は、天井に配置された配線器具3、アダプタ80のコネクタ84、電源端子41を通して、外部電源と接続している。また、電源装置20と光源50は、基板51に配置された接続端子55を通して電気的に接続され、電源装置20から供給される電力が光源50の発光素子52に供給される。
【0037】
図7は実施形態の照明器具の取付具90を示す概略斜視図、
図8は
図7の取付具90の平面図、
図9は
図7のA-A′線の断面を上から見たカバー部材60の取付具90への取付状態を示す一部断面図である。
図7に示す取付具90は、保持部91及び係合部92を有している。保持部91は、略六角形の板状部材で形成されており、この板状部材の上側の面に、光源50の少なくとも一部を保持する。板状の保持部91は、上側の面の2辺の縁部に凸状ガイド部96を備えている。また、板状の保持部91は、左右両方向端部で垂直方向の板状の支持部材94と結合することで下から支持される。そして、支持部材94と側壁部102は、下端部で結合部材93と連結している。結合部材93は、取付具90を照明器具1の本体10に固定する固定部として機能するが、これに限定されず、結合部材93以外で照明器具1の本体10に結合してもよい。係合部92は、板状の天井部101、側壁部102を有し、これらが逆L字状に結合している。また、天井部101と側壁部102の間には、収容空間103が形成されている。また、
図8に示すように、取付具90の天井部101に、カーブ状の切り込みを入れることにより板バネ部107を設け、板バネ部107の裏面に突起部100を設けることにより、取付具90にカバー部材60を確実に固定することができる。
【0038】
図8は、
図7における取付具90を上面側からみた平面図である。取付具90には、係合部92の側壁部102の収容空間103内に、円弧を有する板バネ状の弾性突起部105が形成されている。保持部91には光源50の隅部56をネジ等の手段により固定するための小孔97が穿設されている。また、結合部材93には、取付具90を本体10に締結するための小孔95が穿設されている。
【0039】
図9は、
図7に示す取付具90において、カバー部材60の内側凸部61を嵌入した状態におけるA-A′の水平面でカットした面を上面側からみた断面図である。
図7の斜視図、
図8の平面図に示すように、取付具90には、係合部92の側壁部102の収容空間103側に、板バネ状の弾性突起部105が形成されている。また、弾性突起部105に隣接して、内側凸部61の回動を停止させる停止壁108が突出している。
図9に示すように、カバー部材60の内側凸部61からさらに突起したストッパー突起部109が形成されている場合、カバー部材60の取付時に、カバー部材60の内側凸部61を係合部92の収容空間103に配置して回動(同図において上矢印方向)させると、弾性突起部105がストッパー突起部109と接触し、弾性突起部105が変形してストッパー突起部109が弾性突起部105を乗り越えるようにカバー部材60の回動を可能とし、ストッパー突起部109がその先の停止壁108に突き当たることで、カバー部材の回動が停止する。なお、本実施形態には、カバー部材の内側凸部61とストッパー突起部109とを別個に構成した例を示したが、内側凸部61とストッパー突起部109とを一体化して、一つの凸部として構成することも可能である。このような形態であれば、カバー部材60の構成をさらに単純化できる。
【0040】
取付具90の材質は、例えば、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。このような金属の材質としては、例えば、カラー鋼板、亜鉛メッキ鋼板、バネ用ステンレス鋼板等があげられ、樹脂の材質としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等があげられる。
【0041】
取付具90は、光拡散カバー30及びカバー部材60と隙間なく密に接しているため、防虫部材を別途用いることなく、簡単な構成で、外部からの虫、粉塵等の光拡散カバー30やカバー部材60の内部への侵入を防ぐことができる。さらに、カバー部材60の内側凸部61の個数や位置については、それぞれ任意に設定可能である。
また、光源50から発生した熱は、取付具90、本体10を通して外部に放熱される。また、一部の熱はカバー部材60を介して外部に放熱される。
【0042】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、照明器具において、光拡散性及び防眩性を向上させるとともに構成を簡素化することができるため、天井に配置された引掛シーリングローゼット等の配線器具に取り付けられるタイプのシーリングライトや天井から吊り下げられるタイプのペンダントのほか、街路灯等、各種照明器具に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 照明器具
2 天井
3 配線器具
10 本体
11 平板部
13 開口
14 凹部(底部)
15 壁部
16 内周部
20 電源装置
30 光拡散カバー
31 光変換部(凸部)
32 小光変換部(小凸部)
33 凹部
34 突起部
36 小孔
37 縁部
38 縁部
40 収納凸部
41 電源端子
42 壁部(内周側)
43 壁部(外周側)
44 係止部
45 拡散部
50 光源
51 基板
52 発光素子
54 小孔
55 接続端子
56 隅部
60 カバー部材
61 内側凸部
80 アダプタ
81 爪部
82 取付部
83 レバー
84 コネクタ
85 引掛刃
90 取付具
91 保持部
92 係合部
93 結合部材
94 支持部材
95 小孔
96 凸状ガイド部
97 小孔
100 突起部
101 天井部
102 側壁部
103 収容空間
105 弾性突起部
107 板バネ部
108 停止壁
109 ストッパー突起部