(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】回転式電子部品
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G01D5/347 110X
(21)【出願番号】P 2020218702
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】趙 雲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-55431(JP,U)
【文献】特開2009-9865(JP,A)
【文献】特開2007-48620(JP,A)
【文献】特開平11-65761(JP,A)
【文献】特開2020-76700(JP,A)
【文献】特開昭63-151817(JP,A)
【文献】実開平5-50315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
G01P 3/00-3/80
H01H 25/00-25/06
G06F 3/01、3/03-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に設置されるケースと、
前記ケースの上部に設置される回転つまみと、
前記ケース内に収納され、前記回転つまみの回転状態を検知する検知部と、
を有する回転式電子部品において、
前記検知部は、
前記基台上に設置される光電センサと、
前記回転つまみと一体に回転し前記光電センサから出射された光を透過するスリットを設けた遮蔽板とを有して構成され、
前記遮蔽板は、
前記ケースを挟んで前記回転つまみ
と一体に回転するように
当該回転つまみに固定されることで、当該回転つまみの当該ケースからの抜け止め機構を兼用し
、
且つ前記遮蔽板の下面から下方向に向けて前記スリットを形成したスリット形成部が突設され、さらに前記遮蔽板のスリット形成部を設けた部分の半径方向内側の部分の下面よりも半径方向外側の部分の下面を下側に下げて厚みを増すと共に、当該下面を下側に下げて厚みを増した部分の上面側に溝部が設けられて当該溝部内にグリスが充填され、
前記ケースの下面から突出する凸部が前記溝部内に挿入されることで前記回転つまみの回転に所望の粘性抵抗が付与されていることを特徴とする回転式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式電子部品であって、
前記光電センサの発光部と受光部は前記遮蔽板のスリットを挟んでその左右に対向して位置していることを特徴とする回転式電子部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転式電子部品であって、
前記遮蔽板の下面側に、前記回転つまみの回転にクリック感触を与えるクリック機構が設けられていることを特徴とする回転式電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式エンコーダなどに用いて好適な回転式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転つまみの回転量や回転角度や回転方向などを光によって検出する光学式エンコーダが利用されている。光学式エンコーダは、例えば特許文献1に示すように、ケース(2)と、ケース(2)上に回転自在に設置される回転体(3)と、ケース(2)に対して回転体(3)を回転自在に取り付ける取付金具(4)と、ケース(2)に取り付けられ回転体(3)の回転量を検知する回路ブロック(5)と、ケース(2)と取付金具(4)とで挟み込まれて固定されると共に回転体(3)の凹凸面(30)に弾接してクリック感触を得る突起(60)を有するばね部材(6)と、回転体(3)上に取り付けられるつまみ(7)とを具備して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来の光学式エンコーダにおいては、回転体(3)の抜け止めのために取付金具(4)を設置しており、その分部品点数が増大してしまう虞があった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、部品点数の削減化を図ることができる回転式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基台と、前記基台上に設置されるケースと、前記ケースの上部に設置される回転つまみと、前記ケース内に収納され、前記回転つまみの回転状態を検知する検知部と、を有する回転式電子部品において、前記検知部は、前記基台上に設置される光電センサと、前記回転つまみと一体に回転し前記光電センサから出射された光を透過するスリットを設けた遮蔽板とを有して構成され、前記遮蔽板は、前記ケースを挟んで前記回転つまみと一体に回転するように当該回転つまみに固定されることで、当該回転つまみの当該ケースからの抜け止め機構を兼用し、且つ前記遮蔽板の下面から下方向に向けて前記スリットを形成したスリット形成部が突設され、さらに前記遮蔽板のスリット形成部を設けた部分の半径方向内側の部分の下面よりも半径方向外側の部分の下面を下側に下げて厚みを増すと共に、当該下面を下側に下げて厚みを増した部分の上面側に溝部が設けられて当該溝部内にグリスが充填され、前記ケースの下面から突出する凸部が前記溝部内に挿入されることで前記回転つまみの回転に所望の粘性抵抗が付与されていることを特徴としている。
本発明によれば、遮蔽板に、検知部としての機能の他に、回転つまみのケースからの抜け止め機構としての機能を兼用させたので、当該抜け止め機構用の部品を別途用いる必要がなくなり、部品点数の削減化を図ることができる。また、部品点数の削減に伴って、製品コストの低廉化、製品の高さ寸法の薄型化を図ることも可能になる。
【0006】
また本発明は、上記特徴に加え、前記光電センサの発光部と受光部は前記遮蔽板のスリットを挟んでその左右に対向して位置していることを特徴としている。
即ち、発光部と受光部は、回転つまみの回転軸から見て半径方向に近い位置と遠い位置に位置している。スリットは、例えば遮蔽板に設けた円筒状の部分の下辺または上辺に櫛歯状に凹凸を設けることで構成しても良いし、当該円筒状の部分に貫通孔を設けることで構成しても良い。また発光部と受光部はスリットの左右何れ側に設置しても良い。
本発明によれば、遮蔽板の左右に遮蔽板を挟むように光電センサを設置するので、構造を簡素化できる。
【0007】
また本発明は、上記特徴に加え、前記遮蔽板の下面側に、前記回転つまみの回転にクリック感触を与えるクリック機構が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、回転つまみの回転にクリック感触を与えることができる。
また遮蔽板の下側に光電センサを設置した場合は、当該光電センサを設置した円周上のスペース内にクリック機構を設置することができるので、その分、回転式電子部品の薄型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転式電子部品の部品点数の削減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】回転式電子部品1を上側から見た斜視図である。
【
図2】回転式電子部品1を下側から見た斜視図である。
【
図3】回転式電子部品1を上側から見た分解斜視図である。
【
図4】回転式電子部品1を下側から見た分解斜視図である。
【
図5】基台10とクリック機構部120と回路基板160と光電センサ170を上側から見た分解斜視図である。
【
図6】基台10とクリック機構部120を下側から見た分解斜視図である。
【
図7】回転式電子部品1の
図1に示すA-A断面拡大図である。
【
図8】回転式電子部品1の
図1に示すB-B断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の1実施形態にかかる回転式電子部品1を上側から見た斜視図、
図2は回転式電子部品1を下側から見た斜視図、
図3は回転式電子部品1を上側から見た分解斜視図、
図4は回転式電子部品1を下側から見た分解斜視図である。これらの図に示すように、回転式電子部品1は、基台10上に、遮蔽板40と、ケース60と、回転つまみ90とを設置して構成されている。なお、基台10には、一対のクリック機構部120と、回転つまみ90の回転状態を検知する検知部180を構成する光電センサ170を取り付けた回路基板160が取り付けられている。なお以下の説明において、「上」とは基台10から遮蔽板40を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとするが、これは、回転式電子部品1を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。
【0011】
図5は、基台10と、クリック機構部120と、回路基板160と、光電センサ170を上側から見た分解斜視図である。また
図6は、基台10と、クリック機構部120とを
下側から見た分解斜視図である。これらの図及び
図3,
図4に示すように、基台10は合成樹脂の成形品であり、略円板状で中央に円形の貫通孔からなる挿通孔11を形成して構成されている。基台10の上面の前記回路基板160を載置する面は、基板載置面13となっており、その中央付近には小突起状の基板固定部15が突設されている。また基台10の基板載置面13の下面側には、下記する回路基板160の出力引出部161を挿入してガイドする基板ガイド部17が突出するように設けられている。基板ガイド部17には、上下に貫通するガイド孔19が形成されている。
【0012】
また基台10の前記一対のクリック機構部120を設ける部分は、当該部分を面状に上方向に盛り上げた一対のクリック支持部21と、当該クリック支持部21の下面側に形成された凹面状のクリック収納部23と、クリック収納部23の底面の挿通孔11側の辺中央位置から半径方向外方に向かって延びる横断面半円形の溝からなる弾発部材収納凹部25とが形成されている。また基台10の外周近傍部分には、複数(8つ)の小孔からなる取付部27が設けられている。
【0013】
前記一対のクリック機構部120は、前記基台10に形成したクリック収納部23などと、
図5,
図6に示す弾発手段125と、球体からなる弾接体127と、覆い部材129とを具備して構成されている。弾発手段125はコイルスプリングによって構成されている。弾接体127は例えば金属球によって構成されている。覆い部材129は、合成樹脂を略矩形平板状であって、前記基台10のクリック収納部23に挿入されてこれを塞ぐ寸法形状に成形されている。覆い部材129の前記基台10のクリック収納部23内に形成した一対の取付部27に対向する位置には小孔からなる取付部131が形成されている。
【0014】
回路基板160は、
図5に示すように、略T字状に形成され、中央の上下方向に長尺な部分を出力引出部161、当該出力引出部161の上端から左右に水平に延びる部分をセンサ取付部163としている。なお回路基板160を回転式電子部品1内に装着していない場合は、出力引出部161はセンサ取付部163の接続部分で折り曲げられておらず、1つの平面となっている。センサ取付部163の両端と中央位置には、それぞれ小孔からなる取付部165が形成されている。センサ取付部163の上面には光電センサ170の下面に形成した図示しない端子部を接続する端子部接続パターン167が形成されている。また出力引出部161には前記端子部接続パターン167へ接続されて引き出される入出力用の配線パターン(図示せず)が形成されている。
【0015】
光電センサ170は、略箱型矩形状であって、上面に矩形状の凹部からなる遮蔽板挿入部171を設け、またその下面に図示しない端子部を設けて構成されている。遮蔽板挿入部171内の対向する左右の面には、下記する
図7に示すように、光を発する発光部173と当該発光部173から発射された光を受光する受光部175とが形成されている。そして一対の光電センサ170は、それらの下面の端子部を、回路基板160の上記端子部接続パターン167に導電性接着剤などによって接続することで、
図3に示すように一体化される。
【0016】
遮蔽板40は、合成樹脂の成形品であり、円板の中央に円形の開口41を設けて構成されている。遮蔽板40の下面には、下方向に向けて略円筒状に突出しその下辺を等間隔に櫛歯状に切り欠いたスリット45を形成してなるスリット形成部43が設けられている。遮蔽板40のスリット形成部43よりも半径方向内側の面には、同一円周上に等間隔に複数個(6個)の小孔からなるつまみ取付部47が形成されている。また遮蔽板40の上面の外周近傍には、全周にわたってリング状の凹部からなる溝部49(
図7,
図8も参照)が形成されている。
【0017】
ケース60は、合成樹脂の成形品であり、下面が開放された円形の箱型に形成され、中央に円形の挿通孔61を形成して構成されている。即ちケース60は、円形リング状の上面部63と、円筒状の側壁部65とを有し、その内部を収納部62として構成されている。上面部63下面の挿通孔61の周囲には、挿通孔61を囲むようにリング状に突出する凸部67(
図7,
図8も参照)が形成されている。凸部67は、前記遮蔽板40の溝部49に挿入される寸法形状に形成されている。側壁部65の下端からは、前記基台10に設けた複数(8つ)の取付部27に対向する位置に、各取付部27に挿入される小突起状の基台取付部69を突出している。
【0018】
回転つまみ90は、合成樹脂をリング状に形成した成型品であり、中央に円形の貫通孔91を形成して構成されている。回転つまみ90のリング状になっている部分の断面は、略逆U字状であり、天面93と内側側面95と外側側面97とを有している。外側側面97の内径寸法は、ケース60の外径寸法よりも大きく形成されている。天面93下面の内側側面95側の部分には、下方向に向かってリング状に突出するリング状突部99が形成され、その下面が遮蔽板当接面101となっている。遮蔽板当接面101には、下方向に向かって突出する小突起状の遮蔽板取付部103が円周上に等間隔に複数個(6個)形成されている。各遮蔽板取付部103は、前記遮蔽板40のつまみ取付部47に対向する位置に設けられている。
【0019】
リング状突部99の外周面は、前記ケース60の挿通孔61の内周面に回動自在に挿入される軸支部105(
図7,
図8も参照)となっている。また内側側面95の下部の外周面には、全周にわたって凹凸を繰り返すクリック弾接面107が形成されている。
【0020】
回転式電子部品1を組み立てるには、まず、回転つまみ90の下面側にケース60を収納し、その際回転つまみ90の軸支部105にケース60の挿通孔61を回動自在に挿入する。
【0021】
次に、前記遮蔽板40の溝部49内に所定量のグリスを充填した上で、当該遮蔽板40を、前記ケース60の収納部62内に収納する。その際、遮蔽板40の上面を回転つまみ90の遮蔽板当接面101に当接し、同時に回転つまみ90の各遮蔽板取付部103を遮蔽板40の各つまみ取付部47に挿入する。そして前記各遮蔽板取付部103の先端を熱カシメすることで、ケース60を挟んで回転つまみ90と遮蔽板40を回転自在に固定する。このとき遮蔽板40の溝部49内にケース60の凸部67が挿入されている。
【0022】
次に、光電センサ170を取り付けた回路基板160を
図3に示すように基台10に取り付ける。即ち
図5において前述のように一対の光電センサ170を取り付けた回路基板160の出力引出部161を、基台10のガイド孔19に挿入し、回路基板160のセンサ取付部163を基台10の基板載置面13上に載置する。このとき基台10の基板固定部15をセンサ取付部163の中央の取付部165に挿入し、その先端を熱カシメして固定する。
【0023】
次に、前記回転つまみ90と遮蔽板40を取り付けたケース60の下側に、前記回路基板160を取り付けた基台10を設置し、その際、ケース60の各基台取付部69を基台10の各取付部27に挿入し、基台10の下面側に突出する各基台取付部69(クリック収納部23内に突出しているものを除く)の先端を熱カシメして固定する。
【0024】
次に、
図6に示すように、基台10の一対の弾発部材収納凹部25内に、それぞれ弾発手段125と弾接体127を収納し、その下側から覆い部材129をクリック収納部23内に挿入する。このときクリック収納部23内に突出しているケース60の各基台取付部69が、覆い部材129に設けた各取付部131に挿入されるので、覆い部材129の下面側に突出する各基台取付部69の先端を熱カシメして固定する。これによって、回転式電子部品1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0025】
図7は以上のようにして組み立てられた回転式電子部品1の
図1に示すA-A断面拡大図、
図8は当該回転式電子部品1の
図1に示すB-B断面拡大図である。
図7に示すように、遮蔽板40に設けたスリット形成部43は、一対の光電センサ170の遮蔽板挿入部171内に位置する。また
図7,
図8に示すように、遮蔽板40のグリスを充填した溝部49にケース60の凸部67が挿入されている。また
図8に示すように、クリック機構部120の弾接体127が、弾発手段125の弾発力によって、回転つまみ90のクリック弾接面107に弾接している。
【0026】
そして、回転つまみ90を回転すると、ケース60及び基台10に対して回転つまみ90と遮蔽板40が回転し、
図7に示すように遮蔽板40のスリット45が光電センサ170の発光部173と受光部175の間を移動し、スリット45が発光部173と受光部175の間に位置するときは発光部173から発射された光が受光部175に受光され、一方当該スリット45が発光部173と受光部175の間に位置しないときは発光部173から発射された光が受光部175に受光されない。これによって、回転つまみ90の回転位置や、回転速度を検出することができる。また一対ある光電センサ170の位置を調整することで、回転つまみ90の回転方向も検出することができる。回転つまみ90を回転するときは、
図8に示すようにクリック機構部120の弾接体127が回転つまみ90のクリック弾接面107の凹凸への弾接を繰り返し、クリック感触が与えられる。また回転つまみ90を回転する際、ケース60の凸部67がグリスを充填した遮蔽板40の溝部49内を移動することで、所望の粘性抵抗(ねっとり感)が得られると同時に、消音効果も得られる。
【0027】
ところで、遮蔽板40は、光電センサ170と共に検知部180を構成する(
図7参照)。同時に遮蔽板40は、ケース60を挟んで回転つまみ90に一体に回転するように固定されることで、回転つまみ90のケース60からの抜け止め機構を構成する。また、回転つまみ90に設けたクリック弾接面107とクリック機構部120によって、クリック機構190が構成される(
図8参照)。
【0028】
以上説明したように、回転式電子部品1は、基台10と、基台10上に設置されるケース60と、ケース60の上部に設置される回転つまみ90と、回転つまみ90の回転状態を検知する検知部180とを有し、検知部180は、光電センサ170と、光電センサ170から出射された光を透過するスリット45を設けた遮蔽板40とを有して構成され、さらに遮蔽板40は、ケース60内に収納されると共にケース60を挟んで回転つまみ90に一体に回転するように固定されることで、回転つまみ90のケース60からの抜け止め機構を兼用している。
【0029】
このように遮蔽板40に、検知部180としての機能の他に、回転つまみ90のケース60からの抜け止め機構としての機能を兼用させたので、当該抜け止め機構用の部品を別途用いる必要がなくなり、部品点数の削減化を図ることができる。また、部品点数の削減に伴って、製品コストの低廉化、製品の高さ寸法の薄型化を図ることも可能になる。
【0030】
また上記回転式電子部品1においては、光電センサ170の発光部1735と受光部175が遮蔽板40のスリット45を挟んでその左右(回転つまみ90の回転軸に近い側の位置と遠い側の位置)に対向して位置しているので、その構造の簡素化を図ることができる。
【0031】
また上記回転式電子部品1においては、遮蔽板40の下面側に、回転つまみ90の回転にクリック感触を与えるクリック機構190を設けたので、回転つまみ90の回転に、容易にクリック感触を与えることができる。
【0032】
また上記回転式電子部品1では、遮蔽板40の下側に光電センサ170を設置しているので、光電センサ170を設置した円周上のスペースS1(
図7,
図8参照)内にクリック機構190を設置することができ、その分、回転式電子部品1の薄型化を図ることができる。
【0033】
また上記回転式電子部品1において、遮蔽板40の上面にグリスを充填するための溝部49を設けることができるのは、
図7に示すように、遮蔽板40の上面に溝部49を設けることで遮蔽板40の肉厚が薄くなることを防止するため、遮蔽板40の溝部49を設けた部分の下面を下側に下げても、光電センサ170に干渉しない空間があるためである。即ちこの遮蔽板40においては、
図7,
図8に示すように、遮蔽板40のスリット形成部43を設けた部分の半径方向内側の下面よりも、半径方向外側の下面を下側に下げることで、溝部49を形成した部分の肉厚が薄くなることを防止している。
【0034】
上記回転式電子部品1に設けた粘性付与機構の他の構成として、ケース60の天面にグリスを充填するための溝部を設けてグリスを充填し、当該ケース60の溝部に、回転つまみ90の天面の裏面に設けた凸部を挿入する構成とすることも可能である。この場合、ケース60の溝部によって肉厚が薄くなることを防止するため、当該ケース60の溝部を設けた部分の裏面を下側へ下降させることが必要になる。ケース60の裏面を下側に下降させると、それに伴って、その下側に位置する遮蔽板40の天面を下降させて両者の干渉を防止する必要が生じる。結果として、上記
図7,
図8に示す粘性付与機構と同様に、遮蔽板40の下面を下方向に下降させる必要が生じる。従って、上記何れの粘性付与機構においても、製品高さは変わらない。従って、上記
図7,
図8に示す粘性付与機構のように、遮蔽板40の上面にグリスを充填するための溝部49を設ける構成にした方が、少なくとも回転つまみ90の裏面にケース60天面の溝部と係合などをさせるための加工が不要になるため、回転つまみ90の金型製作費用を下げることができる。
【0035】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では遮蔽板40に設けるスリット45を櫛歯状の凹部としたが、スリット形成部43を貫通する貫通孔で構成しても良い。また上記実施形態では光電センサ170の発光部173を内側、受光部175を外側に設置したが、これらは逆であっても良い。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1 回転式電子部品
10 基台
40 遮蔽板(検知部)
45 スリット
60 ケース
90 回転つまみ
107 クリック弾接面(クリック機構)
120 クリック機構部(クリック機構)
170 光電センサ(検知部)
173 発光部
175 受光部
180 検知部
190 クリック機構