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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】自己参照分光器
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/45 20060101AFI20240701BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01J3/45
G01J3/02 S
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020551408
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019025021
(87)【国際公開番号】W WO2019191698
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】16/368,771
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/651,016
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511248294
【氏名又は名称】シーウェア システムズ
【氏名又は名称原語表記】SI-WARE SYSTEMS
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】メディハット,モスタファ
(72)【発明者】
【氏名】モアタダ,バッセム
(72)【発明者】
【氏名】サブリー,ヤッセル,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホッサム,モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】アンワー,モーメン
(72)【発明者】
【氏名】シェビル,アハメッド
(72)【発明者】
【氏名】ハッダラ,ヒシャム
(72)【発明者】
【氏名】サーダニー,バッサム,エイ.
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-538266(JP,A)
【文献】特開2001-272279(JP,A)
【文献】特開昭61-031928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192365(US,A1)
【文献】特開2005-043079(JP,A)
【文献】特開2012-083331(JP,A)
【文献】米国特許第04999010(US,A)
【文献】特開2010-261890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0086217(US,A1)
【文献】特表2015-535939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01B 9/02
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01J 9/00 - G01J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己参照分光器であって、当該自己参照分光器が、
入力部、出力部、及び少なくとも1つの光学部品を備える干渉計であって、前記入力部が、入力ビームを受光して、前記入力ビームを第1の光路に沿って導いて第1の干渉ビームを生成するとともに、第2の光路に沿って導いて第2の干渉ビームを生成するように光学的に結合され、前記第1の干渉ビームおよび前記第2の干渉ビームが、前記出力部より前に生成され、前記少なくとも1つの光学部品の同じ光学部品を介して前記干渉計の前記出力部から出る、干渉計と、
前記干渉計において、前記第1の干渉ビームを前記第2の干渉ビームから分離するよう構成された分離部品と、
前記第1の干渉ビームから生成された第1の干渉信号と、前記第2の干渉ビームから生成された第2の干渉信号とを同時に検出するように光学的に結合された検出器であって、前記第1の干渉信号および前記第2の干渉信号が、前記干渉計の外部の異なるそれぞれの媒体を通過する光のそれぞれの吸収を表し、前記光が、前記第1の干渉ビームおよび前記第2の干渉ビームに関連付けられる、検出器と、
前記検出器に結合されたプロセッサであって、前記第1の干渉信号および前記第2の干渉信号を処理するとともに、前記第1の干渉信号を処理する際に前記第2の干渉信号を基準信号として利用するように構成されたプロセッサと
を備えることを特徴とする自己参照分光器。
【請求項2】
請求項1に記載の分光器において、
前記干渉計がさらに、
前記入力ビームを受光して、前記入力ビームを第1の入射ビームと第2の入射ビームとに分割するように光学的に結合されたビームスプリッタと、
前記第1の入射ビームを受光して、前記第1の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第1の反射ビームを生成するように光学的に結合された固定反射器と、
前記第2の入射ビームを受光して、前記第2の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第2の反射ビームを生成するように光学的に結合された可動反射器と、
前記可動反射器に結合されて前記可動反射器に変位を生じさせるアクチュエータとを備え、前記変位が、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームとの間に光路長差を生じさせることを特徴とする分光器。
【請求項3】
請求項2に記載の分光器において、
前記ビームスプリッタが、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームとの間の干渉から第1の干渉ビームを生成して、前記第1の光路に沿って前記第1の干渉ビームを導くように、さらに光学的に結合され、
前記ビームスプリッタが、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームとの間の干渉から第2の干渉ビームを生成して、前記第2の光路に沿って前記第2の干渉ビームを導くように、さらに光学的に結合されており、
前記検出器が、前記第1の干渉信号を検出するように光学的に結合された第1の検出器と、前記第2の干渉信号を検出するように光学的に結合された第2の検出器とを備えることを特徴とする分光器。
【請求項4】
請求項3に記載の分光器において、
前記固定反射器が、固定再帰反射器を含み、
前記可動反射器が、可動再帰反射器を含むことを特徴とする分光器。
【請求項5】
請求項4に記載の分光器において、
前記干渉計が、マッハツェンダー干渉計を含み、
前記ビームスプリッタが、第1のビームスプリッタおよび第2のビームスプリッタを含み、
前記固定反射器がさらに、前記第1のビームスプリッタから前記第1の入射ビームを受光し、前記第1の入射ビームを前記固定再帰反射器に向け直すように光学的に結合された第1の平面ミラーを含み、
前記固定再帰反射器が、前記第1の反射ビームを前記第2のビームスプリッタに向けるように光学的に結合され、
前記可動再帰反射器が、前記第1のビームスプリッタから前記第2の入射ビームを受光するように光学的に結合され、
前記可動反射器がさらに、前記可動再帰反射器から第2の反射ビームを受光して、前記第2の反射ビームを前記第2のビームスプリッタに向け直すように光学的に結合された第2の平面ミラーを含み、
前記第2のビームスプリッタが、前記第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受光して、前記第1の干渉ビームおよび前記第2の干渉ビームを生成するように光学的に結合されていることを特徴とする分光器。
【請求項6】
請求項3に記載の分光器において、
前記入力ビームが、第1のスペクトル範囲を含む第1の入力ビームと、前記第1のスペクトル範囲とは異なる第2のスペクトル範囲を含む第2の入力ビームとを含み、
前記ビームスプリッタが、前記第1の入力ビームを受光して、前記第1の入力ビームを第1の副入射ビームと第2の副入射ビームとに分割するように光学的に結合され、
前記ビームスプリッタが、前記第2の入力ビームを受光して、前記第2の入力ビームを第3の副入射ビームと第4の副入射ビームとに分割するようにさらに光学的に結合され、
前記固定反射器が、前記第1の副入射ビームを受光して、前記第1の副入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して、第1の副反射ビームを生成するように光学的に結合され、
前記固定反射器が、前記第3の副入射ビームを受光して、前記第3の副入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して、第3の副反射ビームを生成するようにさらに光学的に結合され、
前記可動反射器が、前記第2の副入射ビームを受光して、前記第2の副入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して、第2の副反射ビームを生成するように光学的に結合され、
前記可動反射器が、前記第4の副入射ビームを受光して、前記第4の副入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して、第4の副反射ビームを生成するようにさらに光学的に結合され、
前記ビームスプリッタが、前記第1の副反射ビームおよび前記第3の副反射ビームを受光して、前記第1の副反射ビームと前記第3の副反射ビームとの間の干渉から前記第1の干渉ビームを生成するようにさらに光学的に結合され、
前記ビームスプリッタが、前記第2の副反射ビームおよび前記第4の副反射ビームを受光して、前記第2の副反射ビームと前記第4の副反射ビームとの間の干渉から前記第2の干渉ビームを生成するようにさらに光学的に結合されていることを特徴とする分光器。
【請求項7】
請求項1に記載の分光器において、
前記第1の光路がサンプルアームを含み、前記第2の光路が基準アームを含み、前記サンプルアームが被試験サンプル(SUT)を含むことを特徴とする分光器。
【請求項8】
請求項7に記載の分光器において、
前記基準アームが基準物質を含むことを特徴とする分光器。
【請求項9】
請求項8に記載の分光器において、
前記基準物質が拡散反射面を含むことを特徴とする分光器。
【請求項10】
請求項9に記載の分光器において、
前記干渉計を含む微小電気機械システム(MEMS)チップをさらに備えることを特徴とする分光器。
【請求項11】
請求項10に記載の分光器において、
前記拡散反射面を含む基準物質が、MEMSチップ内に作製されていることを特徴とする分光器。
【請求項12】
請求項9に記載の分光器において、
前記基準物質が黒色シリコン反射器を含むことを特徴とする分光器。
【請求項13】
請求項9に記載の分光器において、
前記拡散反射面を含む基準物質が MEMSチップにウェハレベルで接合されていることを特徴とする分光器。
【請求項14】
請求項13に記載の分光器において、
前記基準物質がサンドブラスト加工ガラスを含むことを特徴とする分光器。
【請求項15】
請求項7に記載の分光器において、
前記プロセッサが、前記第1の干渉信号と前記第2の干渉信号との比に基づいて、SUTの吸光度を計算するようにさらに構成されていることを特徴とする分光器。
【請求項16】
請求項1に記載の分光器において、
前記第2の光路が基準アームを含み、前記基準アームが基準物質または基準フィルタを含み、
前記プロセッサが、前記第2の干渉信号を利用して、前記第1の干渉信号に適用される波長補正量を決定するようにさらに構成されていることを特徴とする分光器。
【請求項17】
請求項16に記載の分光器において、
前記干渉計を含む微小電気機械システム(MEMS)チップをさらに備え、MEMSチップが、基準物質を含む微小流体チャネルを含むことを特徴とする分光器。
【請求項18】
請求項1に記載の分光器において、
光源ビームを被試験サンプル(SUT)および基準物質に向けるように構成された光源をさらに備え、
SUTが、前記光源ビームを反射して第1の入力ビームを生成するように光学的に結合され、前記基準物質が、前記光源ビームを反射して第2の入力ビームを生成するように光学的に結合され、前記入力ビームが、前記第1の入力ビームおよび前記第2の入力ビームを含み、
前記干渉計が、SUTから反射された前記第1の入力ビームと、前記基準物質から反射された前記第2の入力ビームとを受光して、前記第1の入力ビームから前記第1の干渉ビームを生成するとともに、前記第2の入力ビームから前記第2の干渉ビームを生成するように光学的に結合されていることを特徴とする分光器。
【請求項19】
請求項18に記載の分光器において、
前記干渉計が、マイケルソン干渉計またはファブリーペロー干渉計を含むことを特徴とする分光器。
【請求項20】
請求項18に記載の分光器において、
前記干渉計がさらに、
前記第1の入力ビームおよび前記第2の入力ビームを受光して、前記第1の入力ビームを第1の入射ビームと第2の入射ビームとに分割するとともに、前記第2の入力ビームを第3の入射ビームと第4の入射ビームとに分割するように光学的に結合されたビームスプリッタと、
前記第1の入射ビームおよび前記第3の入射ビームを受光して、前記第1の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第1の反射ビームを生成するとともに、前記第3の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第3の反射ビームを生成するように光学的に結合された固定反射器と、
前記第2の入射ビームおよび前記第4の入射ビームを受光して、前記第2の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第2の反射ビームを生成するとともに、前記第4の入射ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して第4の反射ビームを生成するように光学的に結合された可動反射器とを備え、
前記ビームスプリッタが、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームとの間の干渉から前記第1の干渉ビームを生成して、前記第1の干渉ビームを前記検出器に向けるようにさらに光学的に結合され、
前記ビームスプリッタが、前記第3の反射ビームと前記第4の反射ビームとの間の干渉から前記第2の干渉ビームを生成して、前記第2の干渉ビームを前記検出器に向けるようにさらに光学的に結合され、
前記第1の光路が、前記第1の入射ビーム、前記第2の入射ビーム、前記第1の反射ビーム、前記第2の反射ビームおよび前記第1の干渉ビームを含み、
前記第2の光路が、前記第3の入射ビーム、前記第4の入射ビーム、前記第3の反射ビーム、前記第4の反射ビームおよび前記第2の干渉ビームを含むことを特徴とする分光器。
【請求項21】
請求項20に記載の分光器において、
前記固定反射器が、前記第1の入射ビームを受光するように光学的に結合された第1の固定反射器と、前記第3の入射ビームを受光するように光学的に結合された第2の固定反射器とを含み、
前記第1の固定反射器は、前記第1の固定反射器および前記第2の固定反射器が前記分離部品を形成するように、前記第1の干渉信号と前記第2の干渉信号との間のクロスカップリングを回避するように選択された距離だけ、前記ビームスプリッタに対して前記第2の固定反射器から空間的にオフセットされており、
前記検出器が、前記第1の干渉信号および前記第2の干渉信号を含む複合干渉信号を検出するように光学的に結合された単一の検出器を備え、
前記第1の干渉信号から得られたサンプルインターフェログラムのサンプルインターフェログラムのバーストが、前記距離に基づいて前記第2の干渉信号から得られた基準インターフェログラムの基準インターフェログラムのバーストから、空間的に分離されている
ことを特徴とする分光器。
【請求項22】
請求項20に記載の分光器において、
前記干渉計がさらに、前記第2の入力ビームを受光して、前記第2の入力ビームを前記ビームスプリッタに提供するように光学的に結合された薄膜ファブリペロースラブを含み、前記分離部品が、前記薄膜ファブリペロースラブを含むことを特徴とする分光器。
【請求項23】
請求項18に記載の分光器において、前記分離部品が、
前記SUTから反射した前記第1の入力ビームを受光するように光学的に結合された第1の平面ミラーと、
前記基準物質から反射した前記第2の入力ビームを受光するように光学的に結合された第2の平面ミラーと、
前記第1の入力ビームを前記第1の平面ミラーから前記干渉計へと反射させ、前記第2の入力ビームを前記第2の平面ミラーから前記干渉計へと反射させるよう、光学的に結合された反射要素と
を備えることを特徴とする分光器。
【請求項24】
請求項23に記載の分光器において、前記分離部品が、広帯域光源から前記入力ビームを受光して、前記入力ビームを、前記SUTに導かれる前記第1の入力ビームと、前記基準物質に導かれる前記第2の入力ビームとに分割するように、光学的に結合されたスプリッタをさらに備えることを特徴とする分光器。
【請求項25】
請求項24に記載の分光器において、前記分離部品が、
前記スプリッタから前記第1の入力ビームを受光して、前記第1の入力ビームを前記SUTに導くように光学的に結合された第1の反射面と、
前記スプリッタから前記第2の入力ビームを受光して、前記第2の入力ビームを前記基準物質に導くように光学的に結合された第2の反射面と
をさらに備えることを特徴とする分光器。
【請求項26】
請求項1に記載の分光器において、
被試験サンプル(SUT)を含むウィンドウと、
前記ウィンドウに結合された反射面と、
光源ビームを放出して、前記光源ビームを前記ウィンドウおよび前記反射面に導くように光学的に結合された光源とをさらに備え、
SUTが、前記光源ビームの第1のスペクトル範囲を拡散反射して第1の入力ビームを生成するように光学的に結合され、
前記反射面が、前記光源ビームの第2のスペクトル範囲を反射して第2の入力ビームを生成するように光学的に結合され、
前記入力ビームが、前記第1の入力ビームおよび前記第2の入力ビームを含み、
前記第1の干渉信号が第1のスペクトル範囲を含み、前記第2の干渉信号が第2のスペクトル範囲を含み、
前記検出器が、前記第1の干渉信号および前記第2の干渉信号を含む複合干渉信号を受光するように光学的に結合されており、
前記プロセッサが、前記第1の干渉信号および記憶された較正測定値に基づいてバックグラウンド信号を推定するようにさらに構成されていることを特徴とする分光器。
【請求項27】
請求項26に記載の分光器において、
前記ウィンドウが反射面を含み、前記反射面が前記ウィンドウ上に反射防止コーティングを含むことを特徴とする分光器。
【請求項28】
請求項26に記載の分光器において、
前記光源が、第1のセットの発光器と第2のセットの発光器を含み、
前記分光器がさらに、前記プロセッサによって制御されるスイッチを備え、前記スイッチが、前記第1のセットの発光器および前記第2のセットの発光器に結合されて、前記第1のセットの発光器および前記第2のセットの発光器を交互にオンにするように構成されていることを特徴とする分光器。
【請求項29】
請求項28に記載の分光器において、
前記検出器が、前記第1のセットの発光器がオンにされたときに、前記第1の干渉信号の第1の部分および前記第2の干渉信号の第1の部分を含む第1の複合干渉信号を受信するように光学的に結合され、
前記検出器が、前記第2のセットの発光器がオンにされたときに、前記第1の干渉信号の第2の部分および前記第2の干渉信号の第2の部分を含む第2の複合干渉信号を受信するように光学的に結合されており、
前記プロセッサが、前記第1の複合干渉信号および前記第2の複合干渉信号から前記第1の干渉信号および前記第2の干渉信号を抽出するようにさらに構成されていることを特徴とする分光器。
【請求項30】
請求項28に記載の分光器において、
前記反射面が、基準拡散反射物質を含むことを特徴とする分光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に述べる技術は、概して分光器、特に、バックグラウンドまたは基準スペクトル密度とサンプルスペクトル密度とを同時に捕捉するための分光器に関する。
【0002】
優先権主張
本出願は、2018年3月30日に米国特許商標庁に出願された米国仮出願第62/651,016号、並びに、2019年3月28日に米国特許商標庁に出願された米国実用新案出願第16/368,771号の優先権およびその利益を主張するものであり、それらの内容の全体は、その全体が以下に完全に記載されているかのように、また適用されるすべての目的のために、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
フーリエ変換赤外(FT-IR)分光器は、単一のビームスペクトル(パワースペクトル密度(PSD))を測定するもので、単一のビームスペクトルの強度が、検出器に到達する放射線のパワーに比例する。サンプルの吸光度を測定するには、先ず、バックグラウンドスペクトル(すなわち、サンプルが存在しない場合の単一のビームスペクトル)を測定して、機器の伝達関数を補償する必要がある。その後、サンプルを透過または反射した光の単一のビームスペクトルを測定することができる。また、サンプルの透過率または反射率からサンプルの吸光度を算出することができる。例えば、サンプルの吸光度は、サンプルからの透過光または反射光のスペクトルとバックグラウンドスペクトルとの比として算出することができる。
【0004】
透過測定の場合、バックグラウンドスペクトルは、光路に如何なる物質も置かずに(例えば、空のキュベット)、機器の入力部でビームのスペクトルを測定することによって得ることができる。反射測定の場合、バックグラウンドスペクトルは、サンプルの代わりに、95%を超える反射率を有する、対象のスペクトル範囲にわたってほぼ平坦なスペクトル応答を有する基準物質を配置することによって、得ることができる。バックグラウンド測定は、一般に、サンプル測定が行われるのと同じ条件で実行する必要がある。
【0005】
正確な吸光度スペクトルの測定を継続するには、バックグラウンド測定を頻繁に、または各サンプル測定の前に行う必要があり、それには追加の時間がかかる。分光分析者は、バックグラウンド測定の頻度と、スペクトルが温度および時間とともにどのように変化するのかを研究し、それらの影響をシミュレートするためのモデルを導き出し、それらを補償する方法を求めようとしてきた。測定プロセスの時間を短縮しつつ、PSDドリフトの影響を補償するためにオンラインの基準/バックグラウンド測定を維持するために、分光器の設計をさらに強化することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
以下では、本開示の1または複数の態様の基本的理解を提供するために、そのような態様の簡略化された概要を提供する。この概要は、本開示の全ての考えられる特徴の広範囲な概要でなく、かつ本開示の全ての態様の主要な又は重要な要素を識別するようにも、本開示のいずれかまたは全ての態様の範囲を描写するようにも意図されていない。その唯一の目的は、後で提示される一層詳細な説明の前置きとして、簡略化された形式で本開示の1または複数の態様の幾つかの概念を提示することである。
【0007】
本開示の様々な態様は、バックグラウンドまたは基準スペクトル密度とサンプルまたは他のスペクトル密度との同時測定を提供して、オンラインのバックグラウンド/基準測定を維持し、PSDドリフトの影響を補償し、バックグラウンド/基準測定を取得してPSD補償を実行するのに必要な時間を最小限に抑える。本開示の一態様では、自己参照分光器(self-referenced spectrometer)が、入力ビームを受光して、その入力ビームを第1の光路に沿って導いて第1の干渉ビームを生成するとともに、第2の光路に沿って導いて第2の干渉ビームを生成するように光学的に結合された干渉計を備え、第1の干渉ビームおよび第2の干渉ビームが、干渉計の出力に先立って生成される。分光器はさらに、第1の干渉ビームから生成された第1の干渉信号と第2の干渉ビームから生成された第2の干渉信号とを同時に検出するように光学的に結合された検出器と、この検出器に結合されたプロセッサであって、第1の干渉信号および第2の干渉信号を処理するとともに、第1の干渉信号を処理する際に第2の干渉信号を基準信号として利用するように構成されたプロセッサとを備える。
【0008】
一例では、干渉計が、マイケルソン干渉計、マッハツェンダー干渉計またはファブリーペロー干渉計を含むことができ、それらは、MEMSアクチュエータによって作動される可動ミラーを含む微小電気機械システム(MEMS)チップ内に実装することができる。いくつかの例では、干渉計が、再帰反射器(retro-reflectors)と2つの出力とを含むことができ、一方の出力が、第1の光路を形成するサンプルアームを通過し、他方の出力が、第2の光路を形成する基準アームを通過する。他の例では、マイケルソン干渉計の入力部の近傍にカプラを実装して、反射された第2の干渉ビームを、第2の光路に対応する入力ポートに向けることができる。さらに他の例では、被試験サンプル(SUT)と拡散反射基準物質または他の反射面を同時に照明することができ、SUTおよび基準からの反射光を干渉計に向けることができる。更なる例では、第2の光路が、第1の干渉信号の連続的な波長補正および/またはオンラインミラーの位置決めのための狭帯域光学フィルタ、または基準吸収ピークを有する基準物質を含むことができる。更なる例では、各光路が、異なるスペクトル範囲または分解能を同時に測定することができる。
【0009】
本発明のこれらや他の態様は、後に続く詳細な説明の検討により、一層完全に理解されるであろう。本発明の他の態様、特徴及び実施形態は、添付の図面と共に、本発明の特定の例示的な実施形態の以下の説明の検討により、当業者に明らかになろう。本発明の特徴は、以下の或る実施形態及び図面に関連して説明され得るが、本発明の全ての実施形態は、本明細書で説明される有利な特徴の1または複数を含むことができる。換言すれば、1または複数の実施形態はまた、或る有利な特徴を有するように説明され得るが、かかる特徴の1または複数はまた、本明細書で説明される本発明の様々な実施形態に従って用いられてもよい。同様の方式で、例示的な実施形態は、デバイス、システム又は方法の実施形態として以下で説明され得るが、かかる例示的な実施形態が、様々なデバイス、システム及び方法において実施され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、バックグラウンドまたは基準パワースペクトル密度(PSD)とサンプルまたは他のPSDとを同時に測定するように構成された干渉計を含む自己参照分光器の一例を示す図である。
図2図2は、再帰反射器を含むマイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図である。
図3図3は、再帰反射器を含むマッハツェンダー干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図である。
図4図4は、カプラを含むマイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図である。
図5図5は、マイケルソン干渉計およびスプリッタに基づく自己参照分光器の一例を示す図である。
図6図6は、ファブリーペロー干渉計およびスプリッタに基づく自己参照分光器の一例を示す図である。
図7図7は、自己参照分光器および統合された拡散反射基準物質を含む微小電気機械システム(MEMS)チップの側面の一例を示す図である。
図8図8は、自己参照分光器とウェハレベルで結合された拡散反射基準物質を含むMEMSチップの側面の一例を示す図である。
図9図9は、基準物質またはフィルタを含む自己参照分光器の一例を示す図である。
図10図10は、微小流体チャネル内に統合された液体または気体基準物質を含むMEMS干渉計チップの上面の一例を示す図である。
図11図11は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図であり、基準物質と被試験サンプル(SUT)を同時に照明し、反射光を干渉計に向けるように設計された光学部品を含む。
図12図12は、ファブリーペロー干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図であり、基準物質と被試験サンプル(SUT)を同時に照射し、反射光を干渉計に向けるように設計された光学部品を含む。
図13図13Aおよび図13Bは、基準物質および被試験サンプル(SUT)を同時に照明し、反射光を干渉計に向けるように設計された単一の検出器および光学部品を含む自己参照分光器の他の例を示す図である。
図14図14は、基準物質および被試験サンプル(SUT)を同時に照射し、反射光を干渉計に向けるように設計された単一の検出器および光学部品を含む自己参照分光器の別の例を示す図である。
図15図15Aは、バックグラウンド光源とSUTからの光を同時に反射するように設計された光学部品を含む自己参照分光器の一例を示す図である。図15Bは、バックグラウンド光源からの反射光と保存された較正測定値に基づくバックグラウンド信号の推定を例示するグラフである。
図16図16は、本開示のいくつかの態様に係る光方向転換構造の一例を示す図である。図16Aおよび図16Bは、バックグラウンド光源または基準物質およびSUTからの光を同時に反射するように設計された光学部品を含む自己参照分光器の他の例を示す図である。
図17図17は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図であり、それぞれが異なるスペクトル範囲に最適化された2つの光源を含む。
図18図18は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の別の例を示す図であり、それぞれが異なるスペクトル範囲に最適化された2つの光源を含む。
図19図19は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図であり、2つの異なる分解能を同時に測定するように構成されている。
図20図20は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の別の例を示す図であり、2つの異なる分解能を測定するように構成されている。
図21図21は、マイケルソン干渉計に基づく自己参照分光器の一例を示す図であり、干渉計の入力部にタップスプリッタを備えている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、且つ本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すようには意図されていない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供するための特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念が、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。幾つかの事例において、周知の構造及びコンポーネントが、かかる概念を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示されている。
【0012】
図1は、バックグラウンドまたは基準パワースペクトル密度(PSD)とサンプルまたは他のPSDを同時に測定するための自己参照分光器100の一例を示している。分光器100は、光源102、干渉計104、検出器106およびプロセッサ108を含む。光源102は、入力ビーム110を放射するように構成されており、1または複数の広帯域熱放射源、または対象の波長範囲をカバーする発光素子のアレイを有する量子源を含むことができる。
【0013】
干渉計104は、入力ビーム110を受光して、入力ビームを1または複数の光路に沿って導き、その出力部で2つの干渉ビーム112a、112b(例えば、干渉パターン)を生成するように光学的に結合されている。いくつかの例では、干渉ビーム112a、112bが、その出力に先立って干渉計104内で生成される。干渉ビーム112aの一方は、サンプルまたは他のスペクトルを示し、他方の干渉ビーム112bは、バックグラウンドまたは基準スペクトルを示す。すなわち、干渉ビーム112a、112bの各々は、干渉計104の外部の異なるそれぞれの媒体(例えば、サンプル/その他またはバックグラウンド/基準)を通過する。干渉計104は、1または複数のマイケルソン干渉計、マッハツェンダー(MZ)干渉計および/またはファブリーペロー(FP)干渉計を含むことができる。
【0014】
さらに、干渉計104は、微小電気機械システム(MEMS)チップ上に実装されてもよい。本明細書において、MEMSという用語は、微細加工技術による共通のシリコン基板上への機械的要素、センサ、アクチュエータおよび電子機器の統合を指している。例えば、微小電気機械は、典型的には集積回路(IC)プロセスを用いて作製され、一方、微小電気機械的部品は、シリコンウェハの一部を選択的にエッチングするか、または新しい構造層を追加して機械的および電気機械的部品を形成する互換性のある微細加工プロセスを用いて作製される。MEMS素子の一例は、反射モードまたは屈折モードで動作する誘電体または金属化表面を有する微小光学部品である。MEMS素子の他の例としては、アクチュエータ、検出器溝およびファイバ溝が挙げられる。
【0015】
本開示の様々な態様において、MEMS干渉計104は、MEMSアクチュエータによって移動可能に制御することができる1または複数の微小光学部品(例えば、1または複数の反射器またはミラー)を含むことができる。いくつかの例では、MEMS干渉計104が、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板に平行に伝搬する自由空間光ビームを処理することができる微小光学部品および他のMEMS要素を製造するために、SOIウェハ上で深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを使用して、作製されるものであってもよい。
【0016】
検出器106は、干渉計104から干渉ビーム112a、112bを受光し、第1の干渉ビーム112aから生成された第1の干渉信号114aと、第2の干渉ビーム112bから生成された第2の干渉信号114bとを同時に検出するように光学的に結合されている。例えば、干渉信号114a、114bの各々は、インターフェログラムに対応し得る。
【0017】
プロセッサ108は、第1の干渉信号114aおよび第2の干渉信号114bを受信し、第1の干渉信号114aを処理する際に第2の干渉信号114bを基準信号として使用するように構成されている。例えば、プロセッサ108は、干渉信号114a、114bのそれぞれにフーリエ変換を適用してそれぞれのスペクトルを取得し、その後、第1の干渉信号114aから取得したスペクトルをさらに処理する際に、第2の干渉信号114bから取得したスペクトルを使用するように構成されるものであってもよい。いくつかの例では、プロセッサ108は、第1の干渉信号114aから得られたスペクトルと第2の干渉信号114bから得られたスペクトルとの比として、被試験サンプル(SUT)の吸光度を計算することができる。
【0018】
プロセッサ108は、単一の処理装置であってもよいし、複数の処理装置であってもよい。そのような処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、および/または回路のハードコーディングおよび/または動作命令に基づいて信号(アナログおよび/またはデジタル)を操作する任意の装置であってもよい。プロセッサ108は、関連するメモリおよび/またはメモリ要素を有することができ、それは、単一のメモリデバイス、複数のメモリデバイス、および/またはプロセッサの埋め込み回路であってもよい。そのようなメモリデバイスは、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、および/またはデジタル情報を格納する任意のデバイスであってもよい。
【0019】
図2は、自己参照分光器200の一例を示す図である。分光器200は、光源202、干渉計204、検出器206a、206b、電子インターフェース210およびデジタル信号プロセッサ(DSP)208を含む。光源202は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。さらに、干渉計204、検出器206a、206bおよびDSP208は、それぞれ、図1に示す干渉計104、検出器106およびプロセッサ108に対応していてもよい。
【0020】
干渉計204は、ビームスプリッタ212、固定反射器214、可動反射器216、および可動反射器216に結合されたMEMSアクチュエータ218を含む、MEMSチップ上に作製されたマイケルソン干渉計である。固定反射器214および可動反射器216は、それぞれ再帰反射器である。ビームスプリッタ212は、例えば、空気伝播ベースの空間スプリッタ(例えば、中空導波路スプリッタ)または空気/シリコンビームスプリッタ(例えば、シリコンと空気との間の界面に形成されたビームスプリッタ)を含むことができる。干渉計204は、2つの出力部238、240を含み、各々が、干渉計204内の2つの光路のうちの1つに光学的に結合され、各々が、干渉計204の外部のそれぞれの検出器206a、206bにさらに光学的に結合されている。例えば、第1の光路は、ビームスプリッタ212と第1の出力部238との間に形成され、その後、第1の出力部238でサンプル220(例えば、SUT)を通過して第1の検出器206aに向かう。第2の光路は、ビームスプリッタ212と第2の出力部240との間に形成され、その後、第2の出力部240で基準222を通過して第2の検出器206bに向かう。
【0021】
図2に示す例では、光源202からの入力ビーム224は、ビームスプリッタ212によって2つの入射ビーム226、228に分割される。固定再帰反射器214は、第1の入射ビーム226を受光して、この第1の入射ビーム226をビームスプリッタ212に向けて反射して第1の反射ビーム230を生成するように光学的に結合されている。可動再帰反射器216は、第2の入射ビーム228を受け取り、この第2の入射ビーム228をビームスプリッタ212に向けて反射して第2の反射ビーム232を生成するように光学的に結合されている。可動再帰反射器216は、MEMSアクチュエータ218に結合され、それにより第1の反射ビーム230と第2の反射ビーム232の間に所望の光路差(OPD)を生成する。
【0022】
一例では、MEMSアクチュエータ218が、櫛形駆動部およびバネで形成されている。櫛形駆動部に電圧を印加することにより、アクチュエータ218に電位差が生じて、アクチュエータ内に静電容量が誘導され、それにより駆動力とバネからの復元力が生じて、その結果、入射ビーム228の反射のための所望の位置への可動再帰反射器216の変位を引き起こす。その後、反射ビーム230、232の間に、可動再帰反射器216の変位量の2倍に実質的に等しいOPDが生じる。
【0023】
反射ビーム230、232は、ビームスプリッタ212で干渉し、光の時間的コヒーレンスが、可動再帰反射器216によって生成されるそれぞれの異なるOPDにおいて、測定できるようにする。ビームスプリッタ212は、第1の反射ビーム230と第2の反射ビーム232との間の干渉から生じる干渉ビームを分割して、第1の干渉ビーム234と第2の干渉ビーム236とを生成するようにさらに光学的に結合されている。ビームスプリッタ212は、第1の光路(例えば、干渉計204のサンプルアームに対応し得る)に沿って第1の干渉ビーム234を導き、第2の光路(例えば、干渉計204の基準アームに対応し得る)に沿って第2の干渉ビーム236を導くようにさらに光学的に結合されている。
【0024】
サンプルアームおよび基準アームは、それぞれ透過構成または反射構成(例えば、拡散反射構成)の何れかで動作することができる。透過構成では、干渉ビーム(例えば、ビーム234または236)は、サンプル220または基準222を通って、それぞれの検出器206aまたは206bに向かって伝播する。反射構成では、干渉ビーム(例えば、ビーム234または236)は、サンプル220または基準222からそれぞれの検出器206aまたは206bに向かって反射される。基準アームについては、透過構成の場合に、基準222は空のキュベットであってもよく、一方、反射構成の場合には、基準222は、Spectralonまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)標準反射器を含むようにしてもよい。サンプルアームについては、透過構成の場合に、干渉ビーム234はサンプル220を通って伝播する一方、反射構成の場合に、干渉ビーム234はサンプル220から検出器206aに向かって反射する。
【0025】
各検出器206a、206bは、それぞれの干渉ビーム234、236(例えば、サンプル220/基準222を通って伝播した後、またはそれらを反射した後)を受光し、それぞれの干渉信号242、244を検出するように光学的に結合されている。電子インターフェース210は、検出器206a、206bに結合されて、干渉信号242、244を受信し、それら干渉信号242、244の各々を処理して、それぞれのインターフェログラムを抽出するように構成されている。DSP208は、電子インターフェース210に結合されて、インターフェログラムを受信し、以下のようにサンプル吸光度Aを計算するように構成されている。
ここで、Id1は検出器206aからの検出されたインターフェログラム信号であり、Id2は検出器206bからの検出されたインターフェログラム信号である。なお、サンプル吸光度の精度に影響を与える可能性のある2つの検出器206a、206b間のあらゆる差は、最終的な計算において較正および補償され得ることを理解されたい。
【0026】
図3は、自己参照分光器300の別の例を示す図である。分光器300は、光源302、干渉計304および検出器306a、306bを含む。光源302は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計304および検出器306a、306bは、それぞれ、図1に示す干渉計104および検出器106に対応していてもよい。さらに、分光器300は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のため図示省略)をさらに含むことができる。
【0027】
干渉計304は、第1のビームスプリッタ308と、可動反射器310と、可動反射器310に結合されたMEMSアクチュエータ312と、第1の平面ミラー314と、第2の平面ミラー316と、固定反射器318と、第2のビームスプリッタ320とを含む、MEMSチップ上に作製されたMZ干渉計である。固定反射器318および可動反射器310は、それぞれ再帰反射器である。干渉計304は、2つの出力を含み、一方は、第1の出力部で検出器306aに向かってサンプル322(例えば、SUT)を通過し、もう一方は、第2の出力部で検出器306bに向かって基準324を通過する。第1の光路は、第2のビームスプリッタ320とサンプル322における干渉計304の第1の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、第2のビームスプリッタ320と基準324における干渉計304の第2の出力部との間に形成されている。
【0028】
図3に示す例では、光源302からの入力ビーム326は、第1のビームスプリッタ308によって2つの入射ビーム328、330に分割される。可動再帰反射器310は、第1の入射ビーム328を受光して、この第1の入射ビーム328を第1の平面ミラー314を介して第2のビームスプリッタ320に向けて反射し、第1の反射ビーム332を生成するように光学的に結合されている。第2の平面ミラー316は、第2の入射ビーム330を固定再帰反射器318に向けて導いて、第2のビームスプリッタ320に向けて反射させ、第2の反射ビーム334を生成するように光学的に結合されている。可動再帰反射器310は、MEMSアクチュエータ312に結合され、それにより第1の反射ビーム332と第2の反射ビーム332、334の間に所望の光路差(OPD)を生成する。
【0029】
反射ビーム332、334は、第2のビームスプリッタ320において干渉し、それにより可動再帰反射器310によって生成されるそれぞれの異なるOPDにおいて、光の時間的コヒーレンスを測定することを可能にする。第2のビームスプリッタ320は、第1の反射ビーム332と第2の反射ビーム334との間の干渉から生じる干渉ビームを分割して、第1の干渉ビーム336と第2の干渉ビーム338とを生成するように、さらに光学的に結合されている。第2のビームスプリッタ320は、第1の光路に沿って第1の干渉ビーム336を導き、第2の光路に沿って第2の干渉ビーム338を導くようにさらに光学的に結合されている。
【0030】
各検出器306a、306bは、それぞれの干渉ビーム336、338を受光し(例えば、サンプル322/基準324を通って伝播した後、またはそれらを反射した後)、それぞれの干渉信号を検出するように光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器306aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器306bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。
【0031】
図4は、自己参照分光器400の別の例を示す図である。分光器400は、光源402、干渉計404および2つの検出器406a、406bを含む。光源402は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計404および検出器406a、406bは、それぞれ、図1に示す干渉計104および検出器106に対応していてもよい。さらに、分光器400は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0032】
干渉計404は、ビームスプリッタ408、固定反射器410(例えば、固定ミラー)、可動反射器412(例えば、可動ミラー)、可動反射器412に結合されたMEMSアクチュエータ414、およびカプラ420を含む、MEMSチップ上に作製されたマイケルソン干渉計である。固定反射器410および可動反射器412は、それぞれ平面ミラーである。カプラ420は、干渉計404の入力部に配置されている。干渉計404は、2つの出力を含み、一方は、検出器406aに向かってサンプル416(例えば、SUT)を通過し、もう一方は、カプラ420に戻って、検出器406bに向かって基準418を通過する。第1の光路は、ビームスプリッタ408とサンプル416における干渉計404の第1の出力部との間に形成され、第2の光路は、ビームスプリッタ408とカプラ420/基準418における干渉計404の第2の出力部との間に形成されている。
【0033】
図4に示す例では、光源402からの入力ビームが、カプラ420によってビームスプリッタ408に結合され、そこで入力ビームが2つの入射ビームに分割される。固定ミラー410は、入射ビームのうちの一方を受光し、受光した入射ビームをビームスプリッタ408に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー412は、ビームスプリッタ408からの他方の入射ビームを受光し、受光した入射ビームをビームスプリッタ408に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー412は、MEMSアクチュエータ414に結合され、それによりビームスプリッタ408に反射して戻ってくるビームの間に所望の光路差(OPD)を生成する。
【0034】
反射ビームは、ビームスプリッタ408で干渉し、それにより可動ミラー412によって生成されるそれぞれ異なるOPDで、光の時間的コヒーレンスを測定することが可能になる。ビームスプリッタ408は、反射ビーム間の干渉から生じる干渉ビームを分割して、第1の光路または第2の光路の一方に沿ってそれぞれが導かれる2つの干渉ビームを生成するようにさらに光学的に結合されている。各検出器406a、406bは、2つの干渉ビームのそれぞれの1つを受光し(例えば、サンプル416/基準418を通って伝播した後、またはそれらから反射した後)、それぞれの干渉信号を検出するように光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器406aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器406bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。
【0035】
図5は、自己参照分光器の別の例を示す図である。分光器500は、光源502、干渉計504および2つの検出器506a、506bを含む。光源502は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計504および検出器506a、506bは、それぞれ、図1に示す干渉計104および検出器106に対応していてもよい。さらに、分光器500は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0036】
干渉計504は、ビームスプリッタ508、固定反射器510(例えば、固定ミラー)、可動反射器512(例えば、可動ミラー)、および可動反射器512に結合されたMEMSアクチュエータ514を含む、MEMSチップ上に作製されたマイケルソン干渉計である。固定反射器510および可動反射器512は、それぞれ平面ミラーである。図5に示す例では、干渉計504が、単一の出力を含む。分光器500は、追加のビームスプリッタ516をさらに含み、このビームスプリッタが、干渉計504の出力(例えば、干渉ビーム)を受光し、その出力を、2つの干渉ビームに分割して、各々がサンプル518または基準520のうちの一方に向かうように、光学的に結合されている。各検出器506a、506bは、2つの干渉ビームのそれぞれの1つを受光し(例えば、サンプル518/基準520を通って伝播した後、またはそれらから反射した後)、それぞれの干渉信号を検出するように光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器506aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器506bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。
【0037】
図6は、自己参照分光器の別の例を示す図である。分光器600は、光源602、干渉計604および2つの検出器606a、606bを含む。光源602は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計604および検出器606a、606bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器600は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0038】
干渉計604は、MEMSアクチュエータ610に結合された調整可能なFPフィルタ608を含むMEMSチップ上に作製されたFP干渉計である。調整可能なFPフィルタ608は、2つのスラブを含み、その一方がMEMSアクチュエータ610に結合されており。例示的な動作では、光源602からの入力ビームが、調整可能なFPフィルタ608の上部スラブを透過して、スラブ間のFP空気キャビティに入り、そこで入力ビームが、スラブの各内部反射面で複数回反射される。MEMSアクチュエータ610は、底部スラブの変位を引き起こし、それによってキャビティの幅を変化させ、その結果、FP空気キャビティ内で互いに干渉する複数のオフセットビームを生じさせる。反射光の一部(干渉ビーム)は、光がスラブに到達する度に底部スラブを透過し、干渉計604によって出力される。
【0039】
図6に示す例では、干渉計604は、単一の出力を含む。分光器600は、追加のビームスプリッタ612をさらに含み、このビームスプリッタが、干渉計604の出力(例えば、干渉ビーム)を受光し、その出力を、2つの干渉ビームに分割して、各々がサンプル614または基準616のうちの一方に向かうように、光学的に結合されている。各検出器606a、606bは、2つの干渉ビームのそれぞれの1つを受光し(例えば、サンプル614/基準616を通って伝播した後、またはそれらから反射した後)、それぞれの干渉信号を検出するように光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器606aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器606bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。
【0040】
図7は、自己参照分光器の様々な部品を含む微小電気機械システム(MEMS)チップ700の側面の一例を示す図である。MEMSチップ700は、デバイス層708、ハンドル層704、およびデバイス層708とハンドル層704との間に挟まれた埋め込み酸化物(BOX)層706を含むシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ702において、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)などの深掘りエッチング技術を用いて作製することができる。ビームスプリッタ712などのMEMS干渉計の様々な部品および他の微小光学部品(例えば、ミラー、MEMSアクチュエータなど)は、単一のリソグラフィステップを使用して規定され、エッチングストップ(BOX)層706に達するまで、高い異方性を持つプロセスを使用してデバイス層708内にエッチングされるものであってもよい。可動反射器およびMEMSアクチュエータなどの任意の可動部品は、可動部品の下にあるBOX層706を選択的に除去することによって、解放することができる。MEMSチップ700は、パッケージなどの別の基板710にウェハレベルでさらに接合されるものであってもよい。
【0041】
MEMSチップ700は、MEMS干渉計のための基準物質を形成する拡散反射面714と、集積反射器716とをさらに含むことができ、各々がMEMSチップ内にモノリシックに作製されている。図7に示す例では、拡散反射面714が無秩序シリコン(例えば、黒色シリコン)を含むことができる。黒色シリコンは、針状の表面構造であり、その構造の表面には、単結晶シリコンからなる複数の針が含まれている。いくつかの例では、針の直径が1マイクロメートルより小さく、針の高さが10マイクロメートルより大きく、それらのパラメータが、黒色シリコンの領域にわたってランダムに変化する。針は、フォトリソグラフィマスクを使用せずにエッチングすることにより、スパイク、円柱、円錐、ピラミッドなどの様々な形状に形成することができる。拡散反射面714は、高フラックス基準として機能するように金属でコーティングされてもよいし、あるいは低フラックス基準として機能するように誘電体でコーティングされてもよい。
【0042】
例えば、上述した図2図6に示す自己参照分光器の構成の何れかを使用して、ビームスプリッタ712からの干渉ビームを、拡散反射面714に向けて、その出力を、統合反射器716(例えば、湾曲反射器であってもよい)によって検出器チップ718に向けて反射することができる。検出器チップ718によって検出された結果として生じる干渉信号は、上述したように、サンプル干渉信号を処理する際の基準信号として使用することができる。
【0043】
図8は、自己参照分光器の様々な部品を含むMEMSチップ800の側面の一例を示す図である。MEMSチップ800は、デバイス層808、ハンドル層804、およびデバイス層808とハンドル層804との間に挟まれた埋め込み酸化物(BOX)層806を含むシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ802において、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)などの深掘りエッチング技術を用いて作製することができる。
ビームスプリッタ812などのMEMS干渉計の様々な部品および他の微小光学部品(例えば、ミラー、MEMSアクチュエータなど)は、単一のリソグラフィステップを使用して規定され、エッチングストップ(BOX)層806に達するまで、高い異方性を持つプロセスを使用してデバイス層808内にエッチングされるものであってもよい。可動反射器およびMEMSアクチュエータなどの任意の可動部品は、可動部品の下にあるBOX層806を選択的に除去することによって、解放することができる。MEMSチップ800は、パッケージなどの別の基板810にウェハレベルでさらに接合されるものであってもよい。
【0044】
MEMSチップ800は、MEMSチップ内にモノリシックに作製された統合反射器816をさらに含むことができる。さらに、拡散反射面814は、MEMSチップ700にウェハレベルで接合されるものであってもよい。図8に示す例では、拡散反射面814が、サンドブラストされた表面(例えば、ガラス)を含むことができる。拡散反射面814は、高フラックス基準として機能するように金属でコーティングすることができ、あるいは低フラックス基準として機能するように誘電体でコーティングすることができる。
【0045】
例えば、上述した図2図6に示す自己参照分光器の構成の何れかを使用して、ビームスプリッタ812からの干渉ビームを、統合反射器816(例えば、湾曲反射器であってもよい)を介して拡散反射面814に向けて、その拡散反射面814からの反射ビームを、検出器チップ818に向けて反射させることができる。検出器チップ818によって検出された結果として生じる干渉信号は、上述したように、サンプル干渉信号を処理する際の基準信号として使用することができる。
【0046】
図9は、自己参照分光器900の別の例を示す図である。この分光器900は、光源902と、マイケルソン干渉計904(ビームスプリッタ908、固定再帰反射器910、可動再帰反射器912、および可動再帰反射器912に結合されたMEMSアクチュエータ914を含む)と、2つの検出器906a、906bとを含むという点で、図2に示す分光器と類似している。干渉計904はさらに、2つの出力を含み、一方は検出器906aに直接向かい、もう一方は、出力部で基準物質または光学フィルタ916を通って検出器906bに向かう。すなわち、第1の光路は、第1の検出器906aに向かってビームスプリッタ908と干渉計904の第1の出力部との間に形成され、第2の光路は、ビームスプリッタ908と基準物質または光学フィルタ916における干渉計904の第2の出力部との間に形成されている。
【0047】
いくつかの例では、検出器906bによって検出された基準吸収ピークを有する基準物質または光学フィルタ916からの干渉信号は、検出器906aによって検出された干渉信号の連続的な波長補正のためにプロセッサ(図示省略)によって利用されるようにしてもよい。さらに、狭帯域光学フィルタ916が分光器900に組み込まれている例では、狭帯域光学フィルタ916が、可動反射器912のオンラインのミラー位置決めのために利用されるようにしてもよい。例えば、検出器906bからの検出されたインターフェログラムは、フィルタ916の中心波長λに対応する周期の正弦波信号の形態であってもよい。より具体的には、検出されたインターフェログラム信号の1周期は、可動再帰反射器912の変位に起因する、固定再帰反射器910および可動再帰反射器912からスプリッタ908に戻って反射された反射ビーム間のOPD(λに等しい)に対応し得る。
【0048】
図10は、MEMS干渉計チップ1000の上面の一例を示す図である。MEMS干渉計チップ1000は、例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ内でDRIEを用いて作製されるものであってもよい。MEMS干渉計チップ1000は、固定ミラー1002と、MEMSアクチュエータ1006に結合された可動ミラー1004と、シリコンと空気の界面に形成されたビームスプリッタ1008と、MEMS干渉計チップ1000内に統合された微小流体チャネルまたはコネクタ1010とを含む。微小流体チャネル1010は、液体または気体で形成された基準物質1012を含むことができる。特定の吸収ピークの基準波長位置の知識を用いて、MEMS干渉計チップ1000の出力の波長軸を補正することができる。
【0049】
この例では、干渉計の出力部で生成される干渉ビームが、ミラー1002、1004およびビームスプリッタ1008(例えば、第1の光路)を通過した結果として生成される第1の干渉ビームと、ミラー1002/1004、ビームスプリッタ1008および基準物質1012(例えば、第2の光路)を通過した結果として生成される第2の干渉ビームとの両方を含む複合干渉ビームを含む。したがって、単一の検出器を利用して、第1の干渉信号(例えば、サンプルまたは他の信号)と第2の干渉信号(例えば、基準信号)の両方を含む単一の干渉信号を検出することができる。図10の例では、光が、干渉計の出力部で基準液体または気体を透過する。しかしながら、他の例では、光が、干渉計の入力部で基準液体または気体を透過するものであってもよい。
【0050】
図11は、自己参照分光器1100の別の例を示す図である。分光器1100は、光源1102、干渉計1104および2つの検出器1106a、1106bを含む。光源1102は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計1104および検出器1106a、1106bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1100は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0051】
分光器1100は、サンプル(例えば、SUT)1110および基準(例えば、拡散反射面)1112を同時に照明するように設計された光学部品をさらに含む。図11に示す例では、分光器1100がスプリッタ1108を含み、このスプリッタが、光源1102から放出された元の光源ビーム1105を、サンプル1110に向かって第1の反射面1114によって反射された第1の光源ビームと、基準1112に向かって第2の反射面1116によって反射された第2の光源ビームとに分割するように光学的に結合されている。サンプル1110および基準1112から反射された光は、例えば、1または複数の導波路1128a、1128bおよび/または他の追加の光学部品1118を介して、第1の入力ビーム1136および第2の入力ビーム1138として、それぞれ干渉計1104のそれぞれの入力部に向けることができる。例えば、追加の光学部品1118は、サンプル1110から反射された第1の入力ビーム1136を受け取るように光学的に結合された第1の平面ミラー1130と、基準1112から反射された第2の入力ビーム1138を受け取るように光学的に結合された第2の平面ミラー1132とを含むことができる。その後、平面ミラー1130、1132で反射した第1の入力ビーム1136および第2の入力ビーム1138は、それら第1および第2の入力ビームをそれぞれ干渉計1104に向けるように光学的に結合された反射要素1134に導くことができる。
【0052】
干渉計1104は、ビームスプリッタ1120と、固定反射器1122(例えば、固定ミラー)と、可動反射器1124(例えば、可動ミラー)と、可動反射器1124に結合されたMEMSアクチュエータ1126とを含む、マイケルソン干渉計である。固定ミラー1122および可動ミラー1124は、それぞれ平面ミラーである。図11に示す例では、第1の入力ビーム1136および第2の入力ビーム1138は、ビームスプリッタ1120にそれぞれ入力され、このビームスプリッタは、各入力ビームをそれぞれの入射ビームに分割するように光学的に結合されている。例えば、ビームスプリッタ1120は、サンプル1110から反射された第1の入力ビーム1136を第1の入射ビーム1140と第2の入射ビーム1142に分割して、第1の入射ビーム1140を固定ミラー1122に向け、第2の入射ビーム1142を可動ミラー1124に向けることができる。さらに、ビームスプリッタ1120は、基準1112から反射された第2の入力ビーム1138を第3の入射ビーム1144と第4の入射ビーム1146に分割して、第3の入射ビーム1144を固定ミラー1122に向け、第4の入射ビーム1146を可動ミラー1124に向けることができる。
【0053】
固定ミラー1122は、受光した第1の入射ビーム1140および第3の入射ビーム1144を、それぞれ第1の反射ビーム1148および第3の反射ビーム1152としてビームスプリッタ1120に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー1124は、受光した第2の入射ビーム1142および第4の入射ビーム1146をそれぞれ第2の反射ビーム1150および第4の反射ビーム1154としてビームスプリッタ1120に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー1124は、MEMSアクチュエータ1126に結合され、それにより第1および第3の反射ビームと第2および第4の反射ビームとの間に所望のそれぞれの光路差(OPD)を生じさせる。
【0054】
第1の反射ビーム1148および第2の反射ビーム1150は、それぞれビームスプリッタ1120で干渉して第1の干渉ビーム1156を生成し、第3の反射ビーム1152および第4の反射ビーム1154は、それぞれビームスプリッタ1120で干渉して第2の干渉ビーム1158を生成する。ビームスプリッタ1120は、第1の干渉ビーム1156を検出器1106aに向けて第1の干渉信号を検出し、第2の干渉ビーム1158を検出器1106bに向けて第2の干渉信号を検出するように、さらに光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器1106aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器1106bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。この例では、第1の光路は、サンプル1110から反射された第1の入力ビーム1136を受光するように光学的に結合された干渉計1104の第1の入力部と、第1の干渉ビーム1156を第1の検出器1106aに向けて導くその第1の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、基準1112から反射された第2の入力ビーム1138を受光するように光学的に結合された干渉計1104の第2の入力部と、第2の干渉ビーム1158を第2の検出器1106bに向けて導くその第2の出力部との間に形成されている。
【0055】
いくつかの例では、干渉計1104、スプリッタ1108、反射面1114、1116および追加の光学部品1118を、MEMSチップ上にモノリシックに作製することができる。さらに、元の入力ビームをサンプル1110および基準1112に向けるために、かつサンプル1110および基準1112で反射した入力ビームを干渉計1104に向けるために、他の光学部品を利用できることを理解されたい。
【0056】
図12は、自己参照分光器の別の例を示す図である。分光器1200は、光源1202、干渉計1204および2つの検出器1206a、1206bを含む。光源1202は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計1204および検出器1206a、1206bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1200は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0057】
分光器1200は、サンプル(例えば、SUT)1210および基準(例えば、拡散反射面)1212を同時に照明するように構成されている。図12に示す例では、光源1202から出力された光源ビーム1235が、サンプル1210と基準1212の両方に向けられている。サンプル1210および基準1212から反射された光は、例えば追加の光学部品1218を介して、入力ビーム1236、1238として、干渉計1204のそれぞれの入力部に向けることができる。例えば、追加の光学部品1218は、サンプル1210から反射された第1の入力ビームを受け取るように光学的に結合された第1の平面ミラー1230と、基準1212から反射された第2の入力ビームを受け取るように光学的に結合された第2の平面ミラー1232とを含むことができる。平面ミラー1230、1232から反射された第1および第2の入力ビームは、その後、第1の入力ビーム1236および第2の入力ビーム1238を干渉計1204にそれぞれ向けるように光学的に結合された反射要素1234に向けることができる。
【0058】
干渉計1204は、MEMSアクチュエータ1222に結合された調整可能なFPフィルタ1220を含むFP干渉計である。調整可能なFPフィルタ1220は、2つのスラブを含み、その一方がMEMSアクチュエータ1222に結合されている。例示的な動作では、サンプル1210および基準1212から反射された第1の入力ビーム1236および第2の入力ビーム1238が、調整可能なFPフィルタ1220の上部スラブを透過して、スラブ間のFP空気キャビティに入り、そこで入力ビームが、スラブの各内部反射面で複数回反射される。MEMSアクチュエータ1222は、底部スラブの変位を引き起こし、それによってキャビティの幅を変化させ、その結果、FP空気キャビティ内で互いに干渉する複数のオフセットビームを生じさせる。第1の干渉ビーム1240および第2の干渉ビーム1242の各々に関連する反射光の一部は、光がスラブに到達する度にそれぞれの検出器1206a、1206bに向かって底部スラブを透過する。
【0059】
その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器1206aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器1206bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。この例では、第1の光路が、サンプル1210から反射された入力ビーム1236を受光するように光学的に結合された干渉計1204の第1の入力部と、第1の干渉ビーム1240を第1の検出器1206aに提供するように結合された干渉計1204の第1の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、基準1212から反射された入力ビーム1238を受光するように光学的に結合された干渉計1204の第2の入力部と、第2の干渉ビーム1242を第2の検出器1206bに提供するように結合された干渉計1204の第2の出力部との間に形成されている。
【0060】
なお、図12に示す光学部品は単なる例示であり、光源1202からの光をサンプル1210および基準1212に向け、かつサンプル1210および基準1212で反射した入力ビームを干渉計1204に向けるために、他の光学部品(例えば、図11に示す光学部品など)を利用できることを理解されたい。
【0061】
図13Aおよび図13Bは、自己参照分光器1300の別の例を示す図である。分光器1300は、光源1302、干渉計1304および単一の検出器1306を含む。光源1302は、例えば、図1に示す光源102に対応してもよい。さらに、干渉計1304および検出器1306は、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1300は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0062】
分光器1300は、サンプル(例えば、SUT)1310および基準(例えば、拡散反射面)1312を同時に照明するように設計された光学部品をさらに含む。図13に示す例では、分光器1300はスプリッタ1308を含み、このスプリッタが、光源1302からの元の光源ビーム1305を、第1の反射面1314により反射されてサンプル1310に向かう第1の光源ビームと、第2の反射面1316により反射されて基準1312に向かう第2の光源ビームとに分割するように光学的に結合されている。第1の入力ビーム1336および第2の入力ビーム1338としてサンプル1310および基準1312からそれぞれ反射された光は、図11に関連して上述したように、例えば、1または複数の導波路および/または他の追加の光学部品1318を介して、干渉計1304のそれぞれの入力部に向けることができる。
【0063】
図13Aに示す例では、干渉計1304が、ビームスプリッタ1320、固定反射器1322a、1322b(例えば、固定ミラー)、可動反射器1324(例えば、可動ミラー)、可動反射器1324に結合されたMEMSアクチュエータ1326、および集束反射器1328(例えば、湾曲反射器)を含むマイケルソン干渉計である。固定ミラー1322a、1322bおよび可動ミラー1324は、それぞれ平面ミラーである。図13に示す例では、サンプル1310および基準1312から反射された第1の入力ビーム1336および第2の入力ビーム1338は、それぞれビームスプリッタ1320に入力される。このビームスプリッタは、各入力ビームをそれぞれの入射ビームに分割するように光学的に結合されている。例えば、ビームスプリッタ1320は、サンプル1310から反射された第1の入力ビームを、第1の固定ミラー1322aに向けられた第1の入射ビームと、可動ミラー1324に向けられた第2の入射ビームとに分割することができる。ビームスプリッタ1320は、さらに、基準1312から反射された第2の入力ビームを、第2の固定ミラー1322bに向けられた第3の入射ビームと、可動ミラー1324に向けられた第4の入射ビームとに分割することができる。
【0064】
第1の固定ミラー1322aおよび第2の固定ミラー1322bは、それぞれ受光した第1および第3の入射ビームを第1および第3の反射ビームとしてビームスプリッタ1320に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー1324は、受光した第2および第4の入射ビームを第2および第4の反射ビームとしてビームスプリッタ1320に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー1324は、MEMSアクチュエータ1326に結合され、それにより第1および第3の反射ビームと第2および第4の反射ビームとの間に所望のそれぞれの光路差(OPD)を生じさせる。
【0065】
第1および第2の反射ビームは、ビームスプリッタ1320で干渉して第1の干渉ビーム1340を生成し、一方、第3および第4の反射ビームは、ビームスプリッタ1320で干渉して第2の干渉ビーム1342を生成する。ビームスプリッタ1320は、第1の干渉ビーム1340および第2の干渉ビーム1342を集束反射器1328に向けて導くようにさらに光学的に結合され、集束反射器は、第1の干渉ビーム1340および第2の干渉ビーム1342の各々を単一の検出器1306にそれぞれ集束させ、単一の検出器は、第1の干渉ビームから生成される第1の干渉信号と第2の干渉ビームから生成される第2の干渉信号との両方を含む複合干渉信号を検出する。この例では、第1の光路は、サンプル1310から反射された第1の入力ビームを受光するように光学的に結合された干渉計1304の第1の入力部と、集束反射器1328における干渉計1304の単一の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、基準1112から反射された第2の入力ビームを受光するように光学的に結合された干渉計1304の第2の入力部と、集束反射器1328における干渉計1304の単一の出力部との間に形成されている。
【0066】
単一の検出器1306を使用するために、第1の干渉信号から得られるサンプルインターフェログラム(図13Aに示される)と、第2の干渉信号から得られる基準インターフェログラム(同じく図13Aに示される)とは、固定ミラーの一方を他方に対して相対的にシフトさせることにより、空間的に分離される。図13Aに示す例では、第1の干渉信号と第2の干渉信号との間のクロスカップリングを避けるために、予め定められたマージン内の目標分解能に対応する距離dだけ、サンプル光路内の第1の固定ミラー1322aが、基準光路内の第2の固定ミラー1322bから空間的にオフセットされている(例えば、第1のミラーと第2のミラーが、ビームスプリッタ1320に対して互いに空間的にオフセットされている)。その結果、2つのインターフェログラム(例えば、サンプルおよび基準)も、距離dだけ互いにシフトされている。
【0067】
この例では、サンプル吸光度Aは、以下のように、測定された複合インターフェログラムIから抽出することができる。
ここで、WおよびWは、サンプルインターフェログラムおよび基準インターフェログラムをそれぞれ検出するための窓関数である。いくつかの例では WおよびWは、可動ミラー1324のミラー変位xの同じ窓関数Wのシフトバージョンである。
【0068】
いくつかの例では、干渉計1304が、単一の固定ミラーと、互いに空間的にオフセットされた2つの可動ミラーとを含み、上述したように処理される同じ組み合わされたインターフェログラムを生成できることを理解されたい。
【0069】
図13Bに示す例では、2つの固定ミラー1322a、1322bを含む代わりに、単一の固定ミラー1322が、薄膜FPスラブ1330とともに利用されている。FPスラブ1330は、図示のように、ビームスプリッタ1320の前の第2の光路(例えば、基準光路に対応する)内に実装されている。FPスラブ1330は、厚さdを有し、よって、2dに等しい量だけ互いに遅延した基準光(例えば、第2の入力ビーム)の複数のインスタンスを生成する。これにより、基準光に対するαとβのパワー比が2dだけ離れている基準インターフェログラム(図13Bに示すように)の2つのインスタンスが生成され、メインインスタンス(バースト)がサンプルのインターフェログラムと整列する。その後、プロセッサ(図示省略)は、インターフェログラムの右半分から基準パワースペクトル密度(PSD)を抽出し、インターフェログラムの左半分からサンプルPSDを抽出するために基準PSDを利用することができる(これは、サンプルのインターフェログラムと基準インターフェログラムのβ部分の両方の和を含む)。
【0070】
図14は、自己参照分光器1400の別の例を示す図である。分光器1400は、光源1402、干渉計1404および単一の検出器1406を含む。光源1402は、例えば、図1に示す光源102に対応してもよい。さらに、干渉計1404および検出器1406は、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1400は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0071】
分光器1400は、サンプル(例えば、SUT)1410および基準(例えば、拡散反射面)1412を同時に照明するように設計された光学部品をさらに含む。図14に示す例では、分光器1400は、光源1402からの元の光源ビームを、第1の反射面1414により反射されてサンプル1410に向かう第1の光源ビームと、第2の反射面1416により反射されて基準1412に向かう第2の光源ビームとに分割するように光学的に結合されたスプリッタ1408を含む。サンプル1410および基準1412から反射された光は、図11に関連して上述したように、例えば1または複数の導波路および/または他の追加の光学部品1418を介して、干渉計1404のそれぞれの入力部に向けられる。
【0072】
図14Aに示す例では、干渉計1404が、調整可能なFPフィルタ1420および集束レンズ1430を含むFP干渉計である。調整可能なFPフィルタ1420は、MEMSアクチュエータ1422に結合された可動スラブ1424と、2つの固定スラブ1426、1428とを含み、固定スラブの各々が、可動スラブ1424の別々の側に配置されている。第1の固定スラブ1426は、検出器1406に向かう干渉計1404の出力部に最も近い可動スラブ1424の第1の側に配置され、第2の固定スラブ1428は、第1の側とは反対側の、干渉計1404の入力部に最も近い可動スラブ1424の第2の側に配置されている。第1の固定スラブ1426および第2の固定スラブ1428はそれぞれ、可動スラブ1424の長さの約半分の長さを有し、第1の固定スラブ1426が可動スラブ1424の長さの第1の半分に対応する可動スラブ1424の第1の部分に近接し、第2の固定スラブ1428が可動スラブ1426の長さの第2の半分(例えば、長さの他の半分)に対応する可動スラブ1424の第2の部分に近接するように配置されている。
【0073】
このように、第1の固定スラブ1426は、サンプル1410からの反射入力ビームを受け取るように光学的に結合された干渉計1404の第1の入力部と集束レンズ1430との間の第1の光路(例えば、サンプルアーム)内に含まれ、一方、第2の固定スラブ1428は、基準1412からの反射入力ビームを受け取るように光学的に結合された干渉計1404の第2の入力部と集束レンズ1430との間の第2の光路(例えば、基準アーム)内に含まれている。
【0074】
MEMSアクチュエータ1422は、調整可能なFPフィルタ1420の可動スラブ1424を変位させて、可動スラブ1424と第1の固定スラブ1426との間のサンプルギャップgを変化させ、それによりサンプルギャップを増加させるように構成されている(例えば、g+Δ)。MEMSアクチュエータ1422は、可動スラブ1424を変位させて、可動スラブ1424と第2の固定スラブ1426との間の基準ギャップgを変化させ、それにより基準ギャップを減少させるように構成されている(例えば、g-Δ)。可動スラブ1424の変位により、2つの異なる分離されたスペクトル帯域が、集光レンズ1430を介して検出器1406に結合される結果となり、第1の帯域λが、検出器1406によって検出されたサンプル干渉信号に対応し、第2の帯域λが、検出器1406によって検出された基準干渉信号に対応する。スペクトル範囲は、調整可能なFPフィルタ1420のギャップを変化させることによってスキャンすることができる。両方のギャップが等しい場合、サンプル干渉信号と基準干渉信号がオーバーラップすることがある。しかしながら、プロセッサ(図示省略)は、各信号(サンプルおよび基準)を分離するために、オーバーラップした帯域を予測するように構成することができる。
【0075】
図15Aは、自己参照分光器1500の別の例を示す図である。分光器1500は、光源1502a、1502bと、干渉計1504とを含む。干渉計1504は、単一の検出器(図示省略)に結合された出力部を含むことができる。光源1502a、1502bは、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。さらに、干渉計1504は、図1に示す干渉計104に対応してもよい。分光器1500は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0076】
分光器1500は、光源1502a、1502bを含み、サンプル(例えば、SUT)1510が置かれるウィンドウ1506を含むハウジング1512をさらに含むことができる。ハウジング1512は、干渉計1504への入力部または結合アパーチャを形成する開口部1514をさらに含む。いくつかの例では、干渉計が、マイケルソン干渉計、MZ干渉計またはFP干渉計を含むことができる。いくつかの例では、干渉計1504を、MEMSチップ上に実装することができ、ハウジング1512を、MEMSチップに結合することができる。
【0077】
図15Aに示す例では、光源1502a、1502bは、それぞれの光源ビームを放出して、ウィンドウ1506上のサンプル1510を照明するように光学的に結合されている。その後、サンプル1510からの拡散反射光は、開口部1514を介して干渉計1504の入力部に第1の入力ビームとして結合されてもよく、これはサンプル信号(例えば、第1の干渉信号)として測定されてもよい。干渉計1504への第2の入力ビームは、ウィンドウ1506から後方反射された光を含むようにしてもよく、この光は、その後、干渉計1504に入力されて、バックグラウンド基準信号(例えば、第2の干渉信号)として測定されてもよい。この例では、ウィンドウ1506が、サンプル1510の下およびその周りに延び、ハウジング1512のそれぞれの面に結合されている。サンプル1510とバックグラウンド(例えば、ウィンドウ1506からの後方反射光)との同時測定を可能にするために、ウィンドウ1506は、所望の範囲のスペクトルを完全に反射し、残りの範囲のスペクトルをサンプル1510へと通してサンプル1510から反射されるように選択された反射防止コーティング1508を含むことができる。
【0078】
ウィンドウ1506から反射された波長範囲は、図15Bのグラフに示すように、バックグラウンド信号全体を推定するために使用することができる。図15Bに示す例では、分光器は、サンプルスペクトルにわたるサンプル干渉信号と、バックグラウンドスペクトルにわたるバックグラウンド干渉信号の両方を同時に測定することができる。サンプルスペクトルは、1400~2500nmの波長範囲を有し、バックグラウンドスペクトルは、1300nm~1400nmの波長範囲および2500nm~2600nmの波長範囲を有する。測定されたバックグラウンド(BG)スペクトル(例えば、1300nm~1400nm、および2500nm~2600nm)は、バックグラウンド(BG)信号の残りの部分(例えば、1500nm~2500nm)を推定するために利用することができる。
【0079】
いくつかの例では、バックグラウンド信号の残りの部分は、測定したBGスペクトルと、基準拡散反射標準がウィンドウ1506上に置かれたときに取得したバックグラウンド信号の較正読取値との両方を使用して、推定することができる。較正読取値は、分光器の変化を補償するために定期的に更新することができる。また、温度センサ(図示省略)からの読取値も、温度変化による検出器応答の任意の変化を補償するために利用することができる。他の例では、ウィンドウ1506上に反射防止コーティング1508を提供する代わりに、ウィンドウ1506からの後方反射(例えば、SUTまたは基準拡散反射基準が存在しない)をバックグラウンド信号として利用することができる。しかしながら、この例では、バックグラウンド信号はサンプル信号と同時に測定されない。
【0080】
図16Aおよび図16Bは、自己参照分光器1600の他の例を示す図である。分光器1600は、第1のセットの発光器1602a、1602bと、第2のセットの発光器1602c、1602dと、干渉計1604とを含む。干渉計1604は、単一の検出器(図示省略)に結合された出力部を含むことができる。発光器1602a~1602dは、例えば、図1に示す光源102に対応してもよい。さらに、干渉計1604は、図1に示す干渉計104に対応してもよい。分光器1600は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0081】
分光器1600は、発光器1602a~1602dを収容するハウジング1616をさらに含み、このハウジングは、サンプル(例えば、SUT)1610を置くことができるウィンドウ1606を含む。ハウジング1616は、干渉計1604への入力部または結合アパーチャを形成する開口部1618をさらに含む。いくつかの例では、干渉計は、マイケルソン干渉計、MZ干渉計またはFP干渉計を含むことができる。いくつかの例では、干渉計1604をMEMSチップ上に実装することができ、ハウジング1616をMEMSチップに結合することができる。
【0082】
図16Aに示す例では、発光器の各セット(例えば、第1のセットの発光器1602a、1602bおよび第2のセットの発光器1602c、1602d)は、それぞれ光源ビームを放出して、サンプル1610およびウィンドウ1606の両方を同時に照明するように光学的に結合することができる。しかしながら、第2のセットの発光器1602c、1602dは、ハウジング1616の縁の近くに配置され、それにより第1のセットの発光器1602a、1602bよりも、開口部1618に向かうウィンドウ1606からの多くの後方反射を生じさせることができる。このため、各セットの発光器1602a/1602bおよび1602c/1602dに由来する光から生じる反射スペクトルは、異なり得る。
【0083】
サンプルスペクトルおよびバックグラウンドスペクトルを抽出するために、発光器1602a~1602dは、第1のセットの発光器1602a、1602bと第2のセットの発光器1602c、1602dとを交互にオンにするように構成されたスイッチ1614に結合することができる。例えば、スイッチ1614は、干渉計1604が第1の複合干渉信号Sを測定することを可能にするために、第1の時刻(t)において、第1のセットの発光器1602a、1602bをオンにし、第2のセットの発光器1602c、1602dをオフにすることができる。その後、第2の時刻(t)において、スイッチ1614は、干渉計が第2の複合干渉信号Sを測定することを可能にするために、第1のセットの発光器1602a、1602bをオフにし、第2のセットの発光器1602c、1602dをオンにすることができる。複合干渉信号S、Sは、次のように表すことができる。
ここで、Sはサンプル干渉信号の寄与であり、Sはバックグラウンド干渉信号の寄与であり、a、b、c、dは、サンプル干渉信号をバックグラウンド干渉信号に加える比率を表す定数である。その結果、信号S、Sは、異なる光源に由来するものと考えられ、よって、プロセッサ(図示省略)は、ブラインド信号源分離(BSS)アルゴリズムを利用して、SおよびSを抽出することができる。いくつかの例では、スイッチ1614をプロセッサによってさらに制御することができる。
【0084】
いくつかの例では、ウィンドウ1606が任意選択的なブロッキング材料1608を含むことができ、このブロッキング材料が、ウィンドウ1606の上面に沿って延びるとともに、サンプル1610を取り囲むウィンドウ1606の下にさらに延びている。ブロッキング材料1608は、第2のセットの発光器1602c、1602dから放出された光がサンプル1610に到達するのを防止し、第1のセットの発光器1602a、1602bから放出された光がサンプル1610を取り囲むウィンドウ1606に到達するのをさらに防止するように設計されるものであってもよい。この例では、S=S、S=Sである。しかしながら、この例では、サンプル干渉信号Sおよびバックグラウンド干渉信号Sは、別々に(例えば、それぞれ時刻tおよびtに)測定される。
【0085】
図16Bに示す例では、ウィンドウ1606からの後方反射に起因するバックグラウンド干渉信号を使用してサンプル干渉信号を処理する代わりに、基準拡散反射物質1612が、ハウジング1616のそれぞれの面とウィンドウ1606との間に結合されている。例えば、基準拡散反射物質1612は、その中央に開口部を有するとともに、ウィンドウ1606を受け入れるために開口部を取り囲むリップを含むことができる。いくつかの例では、ウィンドウ1606を定位置に固定するために、ウィンドウ1606を基準拡散反射物質1612のリップに結合することができる。この例では、(バックグラウンド干渉信号の代わりに)複合干渉信号S、Sから基準干渉信号を抽出することができる。サンプル干渉信号および基準干渉信号は、上述したように、例えばBSSアルゴリズムを用いて抽出することができる。
【0086】
いくつかの例では、ブロッキング材料1608が基準拡散反射物質1612の上面に沿って、かつウィンドウ1606を取り囲むようにさらに含まれるものであってもよく、それにより、第2のセットの発光器1602c、1602dから放出された光が基準拡散反射物質1612によって反射され、干渉計1604に結合されてバックグラウンド干渉信号を生成することができ、一方、第1のセットの発光器1602a、1602bから放出された光がサンプル1610によって反射され、干渉計に結合されてサンプル干渉信号を生成することができる。したがって、第1のセットの発光器1602a、1602bから出射された光は、Sのみに寄与し、第2のセットの発光器1602c、1602cから出射された光は、Sのみに寄与する。しかしながら、この例では、サンプル干渉信号Sとバックグラウンド干渉信号Sは別々に(例えば、それぞれ時刻tおよびtに)測定される。
【0087】
図17は、自己参照分光器1700の別の例を示す図である。分光器1700は、2つの光源1702a、1702bと、干渉計1704と、2つの検出器1706a、1706bとを含む。光源1702a、1702bの各々は、異なるスペクトル(波長)範囲に最適化されていてもよい。例えば、光源1702aは、第1のスペクトル範囲(例えば、λ~λ)で第1の入力ビーム1716を放出するように構成され、第2の光源1702bは、第2のスペクトル範囲(例えば、λ~λ)で第2の入力ビーム1718を放出するように構成することができる。光源1702a、1702bは、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計1704および検出器1706a、1706bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1700は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0088】
干渉計1704は、ビームスプリッタ1708と、固定反射器1710(例えば、固定ミラー)と、可動反射器1712(例えば、可動ミラー)と、可動反射器1712に結合されたMEMSアクチュエータ1714とを含む、マイケルソン干渉計である。固定ミラー1710および可動ミラー1712は、それぞれ平面ミラーである。図17に示す例では、第1の入力ビーム1716および第2の入力ビーム1718が、それぞれビームスプリッタ17108に入力される。このビームスプリッタは、各入力ビームをそれぞれの入射ビームに分割するように光学的に結合されている。例えば、ビームスプリッタ1708は、第1の入力ビーム1716を第1の入射ビーム1720と第2の入射ビーム1722とに分割し、第1の入射ビーム1720を固定ミラー1710に向け、第2の入射ビーム1722を可動ミラー1712に向けることができる。さらに、ビームスプリッタ1708は、第2の入力ビーム1718を第3の入射ビーム1724と第4の入射ビーム1726とに分割し、第3の入射ビーム1724を固定ミラー1710に向け、第4の入射ビーム1726を可動ミラー1712に向けることができる。
【0089】
固定ミラー1710は、受光した第1の入射ビーム1720および第3の入射ビーム1724をそれぞれ第1の反射ビーム1728および第3の反射ビーム1732としてビームスプリッタ1708に向けて反射させるように光学的に結合されている。可動ミラー1712は、受光した第2の入射ビーム1722および第4の入射ビーム1726をそれぞれ第2の反射ビーム1730および第4の反射ビーム1734としてビームスプリッタ1708に向けて反射するように光学的に結合されている。可動ミラー1712は、MEMSアクチュエータ1714に結合され、それにより第1および第3の反射ビームと第2および第4の反射ビームとの間に所望のそれぞれの光路差(OPD)を生じさせる。
【0090】
第1の反射ビーム1728および第2の反射ビーム1730は、それぞれビームスプリッタ1708で干渉して第1の干渉ビーム1736を生成し、一方、第3の反射ビーム1732および第4の反射ビーム1734は、それぞれビームスプリッタ1708で干渉して第2の干渉ビーム1738を生成する。ビームスプリッタ1708は、第1の干渉信号を検出するために第1の干渉ビーム1736を検出器1706aに向け、第2の干渉信号を検出するために第2の干渉ビーム1738を検出器1706bに向けるように、さらに光学的に結合されている。その後、プロセッサ(図示省略)は、検出器1706aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器1706bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。例えば、検出器1706bによって検出された第2のスペクトル範囲に対応する干渉信号は、検出器1706aによって検出された第1のスペクトル範囲に対応する干渉信号のエラーを補償または較正するために使用することができる。この例では、第1の光路は、第1の入力ビーム1716を受光するように光学的に結合された干渉計1704の第1の入力部と、第1の干渉ビーム1736を第1の検出器1706aに向けて導くその第1の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、第2の入力ビーム1718を受光するように光学的に結合された干渉計1704の第2の入力部と、第2の干渉ビーム1738を第2の検出器1706bに向けて導くその第2の出力部との間に形成されている。いくつかの例では、異なるスペクトル範囲のサンプルおよび基準干渉信号を生成するために、図2に示すように、サンプルおよび基準が干渉計のそれぞれの出力部に存在していてもよい。
【0091】
図18は、自己参照分光器1800の別の例を示す図である。図17と同様に、分光器1800は、2つの光源1802a、1802bと、干渉計1804と、2つの検出器1806a、1806bとを含む。光源1802a、1802bの各々は、異なるスペクトル(波長)範囲に最適化することができる。例えば、光源1802aは、第1のスペクトル範囲(例えば、λ~λ)で第1の入力ビームを放出するように構成され、第2の光源1802bは、第2のスペクトル範囲(例えば、λ~λ)で第2の入力ビームを放出するように構成することができる。光源1802a、1802bは、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。さらに、干渉計1804および検出器1806a、1806bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1800は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0092】
干渉計1804は、2つのビームスプリッタ1808a、1808bと、2つの固定反射器1810a、1810b(例えば、固定ミラー)と、2つの可動反射器1812a、1812b(例えば、可動ミラー)と、可動反射器1812a、1812bに結合されたMEMSアクチュエータ1814とを含む、マイケルソン干渉計である。いくつかの例では、各ビームスプリッタ1808a、1808bは、対応する光源1802a、1802bによって生成される特定の波長範囲に対して最適化されている。例えば、ビームスプリッタ1808aの一方は空気/シリコンビームスプリッタであり、他方のビームスプリッタ1808bは中空導波路スプリッタであり、よって紫外/可視スペクトルにまで波長範囲を拡大することができ、シリコン内部での伝播は損失が多い。ビームスプリッタ1808a、1808bの各々は、図18に示すように、同じMEMSアクチュエータ1814とモノリシックに統合することができる。
【0093】
図18に示す例では、それぞれの光源1802a、1802bからの各入力ビームは、それぞれのビームスプリッタ1808a、1808bに入力される。それらビームスプリッタは、各入力ビームをそれぞれの入射ビームに分割するように光学的に結合されている。例えば、ビームスプリッタ1808aは、第1の光源1802aからの第1の入力ビームを第1の入射ビームと第2の入射ビームとに分割し、第1の入射ビームを第1の固定ミラー1810aに向け、第2の入射ビームを第1の可動ミラー1812aに向けることができる。さらに、第2ビームスプリッタ1808bは、第2の光源1802bからの第2の入力ビームを第3の入射ビームと第4の入射ビームとに分割し、第3の入射ビームを第2の固定ミラー1810bに向け、第4の入射ビームを第2の可動ミラー1812bに向けることができる。
【0094】
第1の固定ミラー1810aは、受光した第1の入射ビームを、第1の反射ビームとして第1のビームスプリッタ1808aに向けて反射するように光学的に結合されている。また、第1の可動ミラー1812aは、受光した第2の入射ビームを、第2の反射ビームとして第1のビームスプリッタ1808aに向けて反射するように光学的に結合されている。さらに、第2の固定ミラー1810bは、受光した第3の入射ビームを、第3の反射ビームとして第2のビームスプリッタ1808bに向けて反射するように光学的に結合されている。第2の可動ミラー1812bは、さらに、受光した第4の入射ビームを、第2の反射ビームとして第2のビームスプリッタ1808bに向けて反射するように光学的に結合されている。各可動ミラー1812a、1812bは、MEMSアクチュエータ1814に結合され、それにより第1および第3の反射ビームと第2および第4の反射ビームとの間に所望のそれぞれの光路差(OPD)を生じさせる。
【0095】
第1および第2の反射ビームは、第1のビームスプリッタ1808aで干渉して、第1の検出器1806aに向かう第1の干渉ビームを生成し、一方、第3および第4の反射ビームは、第2のビームスプリッタ1808bで干渉して、第2の検出器1806bに向かう第2の干渉ビームを生成する。その後、プロセッサ(図示省略)は、上述したように、検出器1806aによって検出された干渉信号を処理する際に、検出器1806bによって検出された干渉信号を基準信号として利用することができる。この例では、第1の光路は、第1の入力ビームを受光するように光学的に結合された干渉計1804の第1の入力部と、第1の干渉ビームを第1の検出器1806aに向けて導くその第1の出力部との間に形成され、一方、第2の光路は、第2の入力ビームを受光するように光学的に結合された干渉計1804の第2の入力部と、第2の干渉ビームを第2の検出器1806bに向けて導くその第2の出力部との間に形成されている。いくつかの例では、異なるスペクトル範囲のサンプルおよび基準干渉信号を生成するために、図2に示すように、サンプルおよび基準が干渉計のそれぞれの出力部に存在していてもよい。
【0096】
図19は、自己参照分光器1900の別の例を示す図である。分光器1900は、光源1902と、干渉計1904と、2つの検出器1906a、1906bとを含む。光源1902は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計1904および2つの検出器1906a、1906bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器1900は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0097】
干渉計1904は、ビームスプリッタ1908と、固定反射器1910(例えば、固定ミラー)と、2つの可動反射器1912a、1912bと、可動反射器1912a、1912bに結合されたMEMSアクチュエータ1914とを含む、マイケルソン干渉計である。第1の可動反射器1912aは光路差(OPD)増倍コーナーミラーであり、第2の可動反射器1912bは平面ミラーである。2つの異なる可動反射器1912a、1912bにより、光源1902からの入力ビームのPSDを2つの異なる分解能で同時に測定することが可能となる。
【0098】
例えば、第1の光路は、可動平面ミラー1912bを通して形成することができ、第2の光路は、可動OPD増倍コーナー反射器を通して形成することができる。平面可動ミラー1912bを通る第2の光路は、分解能Rを提供し、一方、OPD増倍コーナー反射器1912aを通る第2の光路は、分解能R/nを提供し、図19に示すOPD増倍コーナー反射器1912aの場合、n=2である。一例では、可動OPD増倍コーナー反射器1912aを通る第1の光路の信号対雑音比(SNR)がSである場合、平面ミラー1910を通る第2の光路のSNRは2Sである(例えば、検出器1906aで測定されたインターフェログラムがRoの分解能を生成するために切り捨てられる場合)。
【0099】
図20は、自己参照分光器2000の別の例を示す図である。分光器2000は、光源2002と、干渉計2004と、単一の検出器2006とを含む。光源2002は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。さらに、干渉計2004および検出器2006は、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器2000は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0100】
干渉計2004は、ビームスプリッタ2008と、固定反射器2010(例えば、固定ミラー)と、2つの可動反射器2012a、2012bと、可動反射器2012a、2012bに結合されたMEMSアクチュエータ2014とを含む、マイケルソン干渉計である。第1の可動反射器2012aは、光路差(OPD)増倍コーナーミラーであり、第2の可動反射器2012bは、平面ミラーである。図19に示す例と同様に、2つの異なる可動反射器2012a、2012bは、光源2002からの入力ビームのPSDを2つの異なる分解能で測定することを可能にする。しかしながら、図20に示す例では、平面ミラー2018に結合されたMEMSスイッチ2016を、可動OPD増倍コーナーミラー1912aを通る第1の光路と、可動平面ミラー1912bを通る第2の光路とを切り替えるために使用することができる。例えば、MEMSスイッチ2016は、第1の光路が検出器2006に結合される第1の位置2020と、第2の光路が検出器2006に結合される第2の位置2022との間で、平面ミラー2018をシフトさせるように結合することができる。
【0101】
図21は、自己参照分光器2100の別の例を示す図である。分光器2100は、光源2102と、干渉計2104と、2つの検出器2106a、2106bとを含む。光源2102は、例えば、図1に示す光源102に対応していてもよい。また、干渉計2104および検出器2106a、2106bは、図1に示す干渉計104および検出器106にそれぞれ対応していてもよい。さらに、分光器2100は、プロセッサおよび/または他の回路(簡略化のために図示省略)をさらに含むことができる。
【0102】
干渉計2104は、ビームスプリッタ2108、固定反射器2110(例えば、固定ミラー)、可動反射器2112(例えば、可動ミラー)、および可動反射器2112に結合されたMEMSアクチュエータ2114を含む、マイケルソン干渉計である。固定ミラー2110および可動ミラー2112は、ともに平面ミラーである。干渉計2104はさらに干渉計2104の入力部にタップスプリッタまたはカプラ2116を含み、このタップスプリッタまたはカプラが、光源2102からの入力ビームを受光するとともに、干渉計に入る際に光源パワーをサンプリングするために、入力ビームの一部を第2の検出器2106bに方向転換するように光学的に結合されている。タップスプリッタまたはカプラ2116はさらに、入力ビームの残りの部分を干渉計2104に向けて、その出力を第1の検出器2106aに結合することができる。第2の検出器2106bで測定されたPSDは、第1の検出器2106aで測定された干渉信号の光源パワー変動または光源ノイズを補償するために利用することができる。
【0103】
本開示内において、「例示的な」という単語は、「例、事例または実例として働く」ことを意味するために用いられる。「例示的な」として本明細書で説明されるどんな実装形態または態様も、本開示の他の態様よりも好ましいかまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示の全ての態様が、説明された特徴、利点、または動作モードを含むことを必要とするわけではない。「結合される」という用語は、2つの対象間の直接または間接的結合を指すために本明細書で用いられる。例えば、対象Aが、対象Bに物理的に接触し、かつ対象Bが、対象Cに接触する場合に、対象AおよびCは、たとえそれらが、互いに直接に物理的に接触していない場合であっても、やはり互いに結合されていると見なされてもよい。例えば、たとえ第1の対象が、第2の対象に直接に物理的に接触していなくても、第1の対象は、第2の対象に結合され得る。「回路」および「回路構成要素」という用語は、広く用いられ、かつ接続され構成された場合に、電子回路のタイプに関する制限なしに、本開示で説明される機能の遂行を可能にする電気デバイスのハードウェア実装形態およびコンダクタの両方と同様に、プロセッサによって実行された場合に、本開示で説明される機能の遂行を可能にする情報および命令のソフトウェア実装形態を含むように意図されている。
【0104】
図1図21に示されているコンポーネント、ステップ、特徴および/または機能のうちの1または複数は、単一のコンポーネント、ステップ、特徴または機能に再配置され、かつ/または組み合わされるか、または幾つかのコンポーネント、ステップまたは機能で具体化されてもよい。追加の素子、コンポーネント、ステップおよび/または機能がまた、本明細書で開示される新規の特徴から逸脱せずに追加され得る。図1図21に示されている機器、デバイスおよび/またはコンポーネントは、本明細書で説明される方法、特徴またはステップの1または複数を実行するように構成されてもよい。本明細書で説明される新規のアルゴリズムはまた、ソフトウェアにおいて効率的に実施され、かつ/またはハードウェアに埋め込まれてもよい。
【0105】
開示される方法のステップにおける特定の順序または階層が、例示的なプロセスの実例であることを理解されたい。設計の優先度に基づいて、方法のステップにおける特定の順序または階層が、再配置されてもよいことが理解される。添付の方法クレームは、見本の順序で様々なステップの要素を提示し、かつ特許請求の範囲において特に挙げられない限り、提示される特定の順序または階層に限定されるようには意図されていない。
【0106】
前述の説明は、いずれかの当業者が、本明細書で説明される様々な態様を実施できるようにするために提供される。これらの態様に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかになるであろうし、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用されてもよい。従って、クレームは、本明細書で示された態様に限定されるようには意図されず、クレームの言語と一致する完全な範囲を与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、特に単数と言明されていない限り、「1つだけ」を意味するように意図されず、むしろ「1または複数」である。特に別段の言明がない限り、「幾つか」という用語は、1または複数を指す。用語リスト「の少なくとも1つ」は、単一のメンバーを含む、それら用語の任意の組み合わせを指す。例として、「a、bまたはcの少なくとも1つ」は、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、並びにaとbとcをカバーするように意図されている。当業者に周知かまたは後で周知になる、この開示の全体にわたって説明された様々な態様の要素に対する全ての構造的および機能的な等価物は、参照によって本明細書に明示的に援用され、かつクレームによって包含されるように意図されている。更に、本明細書で開示される何ものも、かかる開示が、クレームで明示的に挙げられているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることを意図されていない。請求要素のどれも、要素が、「~のための手段(means for)」という句を用いて明示的に挙げられるか、または方法クレームの場合に、要素が、「~のためのステップ(step for)」という句を用いて挙げられていない限り、米国特許法第112条(f)の条項下で解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21