(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20240701BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2021180730
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅田 正義
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-196695(JP,A)
【文献】特開2002-260054(JP,A)
【文献】特開2007-267887(JP,A)
【文献】特開2004-129831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/10
G07D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、
前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、
前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、
前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、
前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出
し、
前記ケースの内部には、所定の位置に係合孔を有するベースが備わり、前記ベース上を前記コインホッパーが摺動可能であり、
前記ベースには、本体側コネクタを備える立設部が前記ベースの前記扉に対向する側に配置されており、
前記コインホッパーは、前記係合孔に係合するストッパーと、前記本体側コネクタに接続されるホッパー側コネクタと、を有し、前記ストッパーは、前記ベースに対向する面から突没可能であり、
前記ベース上を摺動する前記コインホッパーは、前記ストッパーが前記ベースと対向する位置では前記コインホッパーの前記ベースに対向する面から前記ストッパーが没して前記コインホッパーが前記ベース上を摺動可能となり、前記ストッパーが前記係合孔の位置では前記ベースに対向する面から前記ストッパーが突出して前記係合孔に係合し、
前記ケースに前記コインホッパーを格納する場合、前記扉が開いた状態で前記コインホッパーの端部が前記ベースに載置された後に、前記コインホッパーが前記立設部の方向に押されることで前記ベース上を摺動し、前記ホッパー側コネクタが前記本体側コネクタに接続された後に前記ストッパーが前記係合孔に係合し、
前記コインホッパーは、前記ストッパーが前記係合孔に係合することで前記ベース上での前記一方側への摺動が規制されることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、
前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、
前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、
前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、
前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出し、
前記扉は前記ケースに接続された第1の扉と、前記第1の扉に接続された第2の扉を有し、
前記第1の扉を閉めた場合、前記第1の扉は前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分し、
前記第1の扉と前記第2の扉を閉めた場合、前記第1の扉と前記第2の扉の間に前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路が形成されることを特徴とす
る硬貨処理装置。
【請求項3】
前記第1の扉には、それぞれの前記コインホッパーに対応して配置され、前記コインホッパーから排出される前記硬貨を通過させる排出口と、それぞれの前記排出口に対応して配置され、前記第2の扉に向かい突出し、前記排出口を通過した前記硬貨を斜め下方に案内する傾斜部と、を有し、
前記第2の扉は、前記第1の扉に対向して配置され、前記傾斜部と接し、前記第1の扉と共に前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を形成することを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記第2の扉は、前記傾斜部に対応する位置に凹部を有し、前記第2の扉を閉めた場合に前記傾斜部が前記凹部に嵌まることを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記コインホッパーは、少なくとも上段と下段を含む2段以上の複数の段のそれぞれに一列に複数台配置されており、
前記上段に配置された前記コインホッパーに対応する前記傾斜部の鉛直方向に、前記下段に配置された前記コインホッパーに対応する前記排出口が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記コインホッパーよりも下方に配置され、前記コインホッパーから排出された前記硬貨を搬送する第1ベルトと、
前記第1ベルトから前記硬貨を受け取り、前記第1ベルトが配置されている高さよりも高い位置に前記硬貨を搬送する傾斜して配置された第2ベルトと、
前記第2ベルトから受け渡された前記硬貨を出金する出金口と、を有することを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記ケースの内部に前記コインホッパーを着脱可能に固定するベースが備わり、
前記ベースは、前記扉に対向する側に立設部を有し、
前記コインホッパーは、前記立設部を付勢するバネと、裏面側に配置され、進退するストッパーを有し、
前記ベースは前記ストッパーに対応する位置に係合部を有し、
前記バネによって前記コインホッパーが前記立設部から離れる方向に付勢され、前記係合部に挿入された前記ストッパーが前記係合部の前記扉側の面に当接した状態で前記コインホッパーが前記ベースに固定されることを特徴とする請求項
2から請求項6の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、
前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、
前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、
前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、
前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出し、
前記ケースの内部に前記コインホッパーを着脱可能に固定するベースが備わり、
前記ベースは、前記扉に対向する側に立設部を有し、
前記コインホッパーは、前記立設部を付勢するバネと、裏面側に配置され、進退するストッパーを有し、
前記ベースは前記ストッパーに対応する位置に係合部を有し、
前記バネによって前記コインホッパーが前記立設部から離れる方向に付勢され、前記係合部に挿入された前記ストッパーが前記係合部の前記扉側の面に当接した状態で前記コインホッパーが前記ベースに固定されることを特徴とする硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を入出金する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、国家によって発行する流通貨幣は、複数の金種の硬貨を含む。硬貨は、金種毎に直径、厚み、材質、デザインが異なるので、誰にでも容易に金種が識別できる。また、硬貨は、金種毎に異なる特徴を有するので、機械により金種の識別ができる。硬貨処理装置は、硬貨を金種毎に格納部に格納し、格納部から所望の枚数の硬貨を排出できる。
【0003】
例えば、特許第6934678号公報には、硬貨処理装置が開示されている。硬貨は、入金口に入れられた後、金種が識別され、金種毎にコインホッパーに格納される。コインホッパーは、制御部の制御によって、所望の枚数のコインを1枚ずつ排出する。
【0004】
硬貨処理装置は、上段に4台、下段に4台のコインホッパーが配置されている。金種が識別された硬貨の搬送路の途中には、通過する金種に応じて開閉するゲートが配置されている。各ゲートには、対応する金種のコインホッパーに接続される分配通路が接続されている。また、硬貨処理装置には、コインホッパーの排出口から硬貨処理装置の出金口に硬貨を案内する出金通路が備わる。分配通路と出金通路は、コインホッパーの排出口側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
硬貨処理装置は、硬貨の詰まりが出金通路で生じる場合があり、出金通路のメンテナンスが容易な硬貨処理装置が望まれていた。
【0007】
硬貨処理装置は、コインホッパーから硬貨を排出する排出側である一方側に、分配通路及び出金通路が配置されている場合、硬貨の詰まりの解消、コインホッパーの着脱、硬貨の補充や取出しなどのメンテナンスを行うときに一方側の外装および一方側に対向する他方側の外装を外す必要がある。そのため、一方側と他方側の両側に作業エリアが必要となり、狭い場所に硬貨処理装置が設置できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の硬貨処理装置は、硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出し、前記ケースの内部には、所定の位置に係合孔を有するベースが備わり、前記ベース上を前記コインホッパーが摺動可能であり、前記ベースには、本体側コネクタを備える立設部が前記ベースの前記扉に対向する側に配置されており、前記コインホッパーは、前記係合孔に係合するストッパーと、前記本体側コネクタに接続されるホッパー側コネクタと、を有し、前記ストッパーは、前記ベースに対向する面から突没可能であり、前記ベース上を摺動する前記コインホッパーは、前記ストッパーが前記ベースと対向する位置では前記コインホッパーの前記ベースに対向する面から前記ストッパーが没して前記コインホッパーが前記ベース上を摺動可能となり、前記ストッパーが前記係合孔の位置では前記ベースに対向する面から前記ストッパーが突出して前記係合孔に係合し、前記ケースに前記コインホッパーを格納する場合、前記扉が開いた状態で前記コインホッパーの端部が前記ベースに載置された後に、前記コインホッパーが前記立設部の方向に押されることで前記ベース上を摺動し、前記ホッパー側コネクタが前記本体側コネクタに接続された後に前記ストッパーが前記係合孔に係合し、前記コインホッパーは、前記ストッパーが前記係合孔に係合することで前記ベース上での前記一方側への摺動が規制されることを特徴とする。
また、本発明の硬貨処理装置は、硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出し、前記扉は前記ケースに接続された第1の扉と、前記第1の扉に接続された第2の扉を有し、前記第1の扉を閉めた場合、前記第1の扉は前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分し、前記第1の扉と前記第2の扉を閉めた場合、前記第1の扉と前記第2の扉の間に前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路が形成されることを特徴とする。
また、本発明の硬貨処理装置は、硬貨を格納すると共に、格納された前記硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーと、前記コインホッパーが格納さている空間と、前記コインホッパーから排出される前記硬貨の通路を区分する仕切板と、前記コインホッパーを格納するケースと、を有する硬貨処理装置において、前記仕切板は、前記ケースの一方側の側面に備えられた扉であり、前記扉を開けることで前記コインホッパーが露出し、前記ケースの内部に前記コインホッパーを着脱可能に固定するベースが備わり、前記ベースは、前記扉に対向する側に立設部を有し、前記コインホッパーは、前記立設部を付勢するバネと、裏面側に配置され、進退するストッパーを有し、前記ベースは前記ストッパーに対応する位置に係合部を有し、前記バネによって前記コインホッパーが前記立設部から離れる方向に付勢され、前記係合部に挿入された前記ストッパーが前記係合部の前記扉側の面に当接した状態で前記コインホッパーが前記ベースに固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬貨処理装置のメンテナンスの作業エリアを小さくし、収納されているコインホッパーを容易にメンテナンスすることができる硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、硬貨処理装置の扉側の側面図である。
【
図3】
図3は、硬貨処理装置の扉側の構造を説明する第1の図である。
【
図4】
図4は、硬貨処理装置の扉側の構造を説明する第2の図である。
【
図5】
図5は、硬貨処理装置の硬貨の排出通路を説明する図である。
【
図6】
図6は、硬貨処理装置の硬貨の振分通路を説明する図である。
【
図7】
図7は、コインホッパーの裏面側を説明する図である。
【
図8】
図8は、コインホッパーの例を説明する図である。
【
図9】
図9は、コインホッパーの着脱を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1から
図9の図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。また、「硬貨」とは、所定の厚み、及び、直径を有する硬貨やトークン等の円板形状のものの他、八角形等の多角形状のものも含む。
【0012】
まず、硬貨処理装置1の外観について
図1と
図2を用いて説明する。
図1は、硬貨処理装置の斜視図である。
図2は、硬貨処理装置の扉側の側面図である。
【0013】
硬貨処理装置1は、硬貨を入金し、入金された硬貨の金種を識別し、識別の結果に基づいて金種毎にコインホッパーに格納する。硬貨処理装置1から硬貨を出金する場合は、所望の金種のコインホッパーから硬貨を一枚ずつ排出する。硬貨処理装置1は外装ケースに覆われ、コインホッパー等の装置を内蔵する。
【0014】
硬貨処理装置1の上面には、硬貨を入金する入金口2が備わる。硬貨処理装置1の正面には、硬貨を出金する出金口3が備わる。
【0015】
硬貨処理装置1の一方側の側面には、第2の扉4と第1の扉7が備わる。第1の扉7には、第2の扉4が備わる。第2の扉4の上部は、第2の蝶番5によって第1の扉7に接続されている。第2の扉4は、第2の蝶番5を回動中心として開閉する。第2の扉4は、第2の取手6によって開閉することができる。
【0016】
第1の扉7の上部は、第1の蝶番8によって硬貨処理装置1の本体に接続されている。第1の扉7は、第1の蝶番8を回動中心として開閉する。第1の扉7は、第1の取手9によって開閉することができる。
【0017】
係合部10は、第2の扉4の表面から突出している。第2の扉4の係合部10の裏面側には凹部が配置されている。係合部10の裏面側の凹部に、第1の扉7に配置された突起が嵌まる。第2の扉4を閉めた場合、第1の扉7と第2の扉4とによって、第1の扉7と第2の扉4の間に硬貨の通路が形成される。
【0018】
次に、第2の扉4を開いた場合を説明する。
図3は、硬貨処理装置の扉側の構造を説明する第1の図である。本来ならば、第2の扉4は、第2の蝶番5を回動の中心として第2の扉4の下方側が開かれる。
図3は、説明しやすいように、第2の扉4を取り外した状態を示した図である。
【0019】
第1の扉7には、後述する貫通孔が備わる。貫通孔は、硬貨処理装置1の各コインホッパーに対応して第1の扉7に配置されている。コインホッパーから排出される硬貨が第1の扉7の貫通孔を通り抜け、下方に配置されているベルトの上に落とされる。第1の扉7の貫通孔は、第1の扉7の上部に一列に配置された第1排出口20、第2排出口21、第3排出口22、第4排出口23と、第1の扉7の下部に一列に配置された第5排出口24、第6排出口25、第7排出口26、第8排出口27である。第1の扉7の上部に配置された排出口列と下部に配置された排出口列は、水平方向にずれて配置されている。
【0020】
第1の扉7の第1排出口20の下方には、第1傾斜部28が配置されている。第1傾斜部28は、第1排出口20から送出される硬貨を受け、傾斜に沿って滑り落とす。同様に、第1の扉7の第2排出口21の下方には第2傾斜部29が、第3排出口22の下方には第3傾斜部30が、第4排出口23の下方には第4傾斜部31が、第5排出口24の下方には第5傾斜部32が、第6排出口25の下方には第6傾斜部33が、第7排出口26の下方には第7傾斜部34が、第8排出口27の下方には第8傾斜部35が、それぞれ備わる。リジェクト傾斜部36は、金種が識別できない硬貨を返却するための通路である。
【0021】
第1傾斜部28~第8傾斜部35おおびリジェクト傾斜部36は、第1の扉7の表面から立設する突起である。第2の扉4を閉めた場合に、第2の扉4の裏面側に配置された凹部に突起の先端側が嵌まる。
【0022】
第1の扉7は、コインホッパーから排出される硬貨の通路の一部を形成すると共に、硬貨処理装置1の内部のコインホッパーを収納する空間と硬貨の通路とを分ける仕切り板でもある。
【0023】
リジェクト傾斜部36は、第5排出口24の上方に配置されている。同様に、第2傾斜部29は第6排出口25の上方に、第3傾斜部30は第7排出口26の上方に、第4傾斜部31は第8排出口27の上方に配置されている。第1の扉7の下部に配置された第5~第8排出口24、25、26、27は、上部から排出された硬貨が排出口の前を通らないように、傾斜部に上方を覆われている。傾斜部の鉛直方向側に各排出口が配置されている。この様にすることで、上方から落ちてくる硬貨によって、下方の排出口からの硬貨の排出が阻害されることを防止できる。
【0024】
第1の扉7は、各コインホッパーに対応する硬貨の排出口と、排出された硬貨を滑らす傾斜部を備えている。傾斜部は、硬貨の落下スピードを抑制し、また、硬貨を特定の落下位置に案内する。また、第1の扉7は、コインホッパーの格納されている空間と、硬貨の出金側の通路とを区分けしている。コインホッパーには硬貨が格納されているので、容易に触れられないようにする必要がある。コインホッパーの格納されている空間と、硬貨の出金側の通路とを区分けすることで、硬貨の通路に不具合があった場合に、コインホッパーに触れずに、硬貨の通路だけを対象にメンテナンス作業ができる。
【0025】
第1の扉7の各傾斜部に対応する位置に第2の扉4の係合部10が配置されている。第2の扉4を閉じた場合、第1の扉7と第2の扉4とによって、筒状の硬貨の通路が形成される。また、第2の扉4は、透明な樹脂製であることが好ましい。第2の扉4を透明にすることでで、第2の扉4を閉じた状態で通路内を視認できる。
【0026】
次に、第1の扉7を開いた場合を説明する。
図4は、硬貨処理装置の扉側の構造を説明する第2の図である。本来ならば、第1の扉7は、第1の蝶番8を回動の中心として第1の扉7の下方側が開かれる。
図4では、説明しやすいように、第1の扉7を取り外した状態を示した図である。
【0027】
第1ホッパー40、第2ホッパー41、第3ホッパー42、第4ホッパー43は、上段に一列に配置されたコインホッパーである。第5ホッパー44、第6ホッパー45、第7ホッパー46、第8ホッパー47は、下段に一列に配置されたコインホッパーである。コインホッパーは、上段と下段の2段に分けられて配置されている。硬貨処理装置1には、8台のコインホッパーが配置されているので、8金種の硬貨に対応できる。オーバーフロー容器48は、コインホッパーがフル状態で格納できない場合に、硬貨を格納する。各コインホッパーは、ベース上に載置されている。各コインホッパーには、把持部49が備わる。把持部49には、後述する係合機構が備わる。係合機構はコインホッパーとベースを係合する。
【0028】
各コインホッパーには、硬貨を排出する排出部37が備わる。各コインホッパーがベースに装着された状態では、排出部37は、第1の扉7の各排出口に対応する。オーバーフロー容器48の幅は、コインホッパーの幅の大凡半分の幅である。下段には、オーバーフロー容器48が配置されているので、下段のコインホッパーの列は、上段のコインホッパーの列に対する水平方向の位置が、オーバーフロー容器48の幅分異なる。
【0029】
第1の扉7を開けた場合、内蔵されている全てのコインホッパーが露出し、挿抜可能となる。コインホッパーの硬貨の排出側が露出し、把持部49を操作することができる。コインホッパーは、硬貨処理装置1に配置されたベース上に載置され、固定されている。コインホッパーは、把持部49を操作することで、係合機構を外し、水平方向に移動できる。コインホッパーは、ベース上を水平方向に摺動させながら引き出すことができる。またコインホッパーを装着する場合は、コインホッパーの端をベースに載せ、水平方向に押し入れる。コインホッパーは、コネクタが結合し、係合機構が動作し、ベースに固定される。また、第1の扉7の開閉が可能な場所であれば、コインホッパーの着脱が容易にできる。
【0030】
次に、排出された硬貨の移動経路について説明する。
図5は、硬貨処理装置の硬貨の排出通路を説明する図である。説明しやすいように、
図5は、第2の扉4を取り外し、硬貨処理装置1の側面の外装の一部を外した状態を示した図である。
【0031】
硬貨は、第1排出口20から第8排出口27の何れかから排出される。排出された硬貨は、各傾斜部を滑り落ち、第1ベルト50の上に載置される。第1ベルト50は、第1駆動プーリー52と第1従動プーリー53に掛け回され、第1駆動プーリー52の駆動によって回転する。第1ベルト50の上に載置された硬貨は、第2ベルト51の方向に搬送される。第1ベルト50に載置された硬貨は、第1ベルト50の端から第2ベルト51の上に落とされる。第1駆動プーリー52は不図示のモーターによって駆動される。第1ベルト50は、第2ベルト51の方向に向かい下方に傾斜している。
【0032】
第2ベルト51は、第2駆動プーリー54と第2従動プーリー55に掛け回され、第2駆動プーリー54の駆動によって回転する。第2ベルト51の上に載置された硬貨は、出金口3の方向に搬送される。第2駆動プーリー54は不図示のモーターによって駆動される。
【0033】
第2ベルト51の上には、第1ベルト50から搬送される硬貨60と、リジェクト傾斜部36から滑り落ちる硬貨60が供給される。
【0034】
第2ベルト51は、傾斜して配置され、硬貨60を下方から上方に搬送する。硬貨60は、第2ベルト51の上方の端から出金口3の方向に落とされる。
【0035】
第2ベルト51は、硬貨60が下方に滑り落ちないように支持するベルト押動体56が備わる。ベルト押動体56は、第2ベルト51の表面に複数備わる。例えば、ベルト押動体56の高さは、使用される硬貨60の厚みよりも小さく設定されている。ベルト押動体56は硬貨を一枚ずつ支持し、搬送する。硬貨が二枚重なった場合は、上側の硬貨がベルト押動体56を通り越して滑り落ちる。
【0036】
硬貨60の通路には、第2ベルト51に沿って複数箇所に逆止レバー57が備わる。逆止レバー57はレバー軸58に支持される。逆止レバー57は、硬貨60の下方への落下を止める。例えば、一度に複数の硬貨60が、第2ベルト51の上に供給された場合に、ベルト押動体56によって全ての硬貨60を一度に搬送することができない。逆止レバー57は、搬送されない硬貨60が下方に滑り落ちないように、止める。逆止レバー57は、第2ベルト51に対して略垂直の角度の位置で止まり、その位置から硬貨60の搬送方向側に揺動する。逆止レバー57は、下方から移動してくるベルト押動体56によって押し上げられ、ベルト押動体56を通過させる。逆止レバー57は、ベルト押動体56の通過後に、元の第2ベルト51に対して略垂直の角度の位置に戻り、止まる。
【0037】
テンションローラー59は、第2ベルト51の方向に押圧され、第2ベルト51を張った状態にする。
【0038】
フラップ61は、第2ベルト51の硬貨60の搬送方向の先端と、出金口3との硬貨の通路の途中に配置されている。フラップ61は、第2ベルト51から供給される硬貨60を、出金口3に案内するか、金庫通路64に案内する。フラップ61は、フラップ軸63によって軸支され、点線で示されているフラップ解放位置62に不図示の駆動手段で移動できる。
【0039】
金庫通路64は、不図示の金庫に接続されている。フラップ61をフラップ解放位置62に駆動した場合、出金口3から硬貨60を排出せずに金庫に収納できる。また、フラップ61をフラップ解放位置62に駆動した場合、出金口3を塞ぐことができ、不正操作を防止できる。また、第2ベルト51を傾斜して配置することで、出金口3を高い位置に配置可能とすると共に、金庫及び金庫通路64を配置することができる。
【0040】
図6は、硬貨処理装置の硬貨の振分通路を説明する図である。
【0041】
入金口2に入れられた硬貨60は、一枚ずつに分離され、一枚ずつ搬送され、金種を識別される。識別された硬貨60は、振分部75に搬送される。振分部75では、押動ピン70によって硬貨60が搬送される。硬貨60の搬送経路の途中に、振分バー71と振分フラップ72が配置されている。振分バー71と振分フラップ72は各コインホッパーに対応して配置されている。
【0042】
振分バー71はバー側通路73に硬貨60を案内するか否を制御する。振分フラップ72はフラップ側通路74に硬貨60を案内するか否かを制御する。振分バー71を閉じている場合は、搬送される硬貨60はバー側通路73を通過し、開いている場合は、搬送される硬貨60はバー側通路73に案内される。振分フラップ72を閉じている場合は、搬送される硬貨60はフラップ側通路74を通過し、開いている場合は、搬送される硬貨60はフラップ側通路74に案内される。バー側通路73は下段に配置されたコインホッパーに接続され、フラップ側通路74は、上段に配置されたコインホッパーに接続されている。また、リジェクト傾斜部36、オーバーフロー容器48にも対応する振分バー71または振分フラップ72が配置されている。
【0043】
図7は、コインホッパーの裏面側を説明する図である。振分部75からコインホッパーまでの硬貨の移動経路について説明する。
【0044】
振分部75に配置された各振分バー71によって、各バー側通路73に案内された硬貨は、下段に配置された各コインホッパーに案内される。第1通路76は第5ホッパー44に、第2通路77は、第6ホッパー45に、第3通路78は第7ホッパー46に、第4通路79は第8ホッパー47に接続されている。また、オーバーフロー通路80は、オーバーフロー容器48に接続されている。
【0045】
振分部75に配置された各振分フラップ72によって、各フラップ側通路74に案内された硬貨は、上段に配置された各コインホッパーに案内される。
【0046】
金種の識別された硬貨は、金種毎に各通路に案内され、金種毎に配置されたコインホッパーに格納される。
【0047】
図7では、下段のコインホッパーが見えるように、コインホッパーを載置するベースを外した状態を示している。各コインホッパーには、第1バネ81と、コネクタ82が硬貨の排出側に対向する側に備わる。
【0048】
次に、コインホッパーについて
図8、
図9を用いて説明する。
図8は、コインホッパーの例を説明する図である。
図9は、コインホッパーの着脱を説明する図である。
【0049】
コインホッパー93は、硬貨を一時的に保留するホッパー容器83と、ホッパー容器83に格納されている硬貨を一枚ずつ排出するホッパー本体84を備える。ホッパー本体84には、硬貨を一枚ずつ排出する排出部37と、排出部37から排出される硬貨を検出するセンサー85を備える。センサー85によって排出される硬貨を検出し、検出結果を不図示の制御回路に出力し、制御回路によって各種制御に検出結果を利用する。
【0050】
コインホッパー93の排出部37側には、把持部49が備わる。また、コインホッパー93の排出部37側に対向する側には、コネクタ82、第1バネ81が備わる。
【0051】
硬貨処理装置1は、第1の扉7を開けた状態のときに、コインホッパー93を着脱できる。コインホッパー93は、ベース87の上に載置される。ベース87には、ベース87から垂直に立設する立設部がある。この立設部は、ベース87の第1の扉7とは反対側である奥側に配置された壁部とも言える。ベース87の立設部には本体側コネクタ92が備わる。コインホッパー93には、ホッパー側コネクタ91が備わる。本体側コネクタ92とホッパー側コネクタ91が接続される。本体側コネクタ92とホッパー側コネクタ91の接点を長くすることで、挿抜のストロークの長短に関係なく電気的な接続を確保することができる。また第1バネ81は、立設部に当接し、立設部を押す。コインホッパー93は、立設部からの反力によって硬貨の排出方向に付勢される。
【0052】
ベース87のコインホッパー93の載置面には、係合孔88が備わる。係合孔88は、ベース87に設けられた穴または溝である。ストッパー86が係合孔88に係合する。ストッパー86は、把持部49に連動する。把持部49を操作し、ストッパー86を持ち上げることで、ストッパー86を係合孔88から外すことができる。コインホッパー93は第2バネ89を備える。ストッパー86は、第2バネ89によって係合孔88の方向に付勢される。ストッパー86は、係合孔88に対して進退する。
【0053】
コインホッパー93をベース87に装着する場合、第1の扉7側からベース87の上にコインホッパー93を載置し、奥の方向に摺動させる。ストッパー86の先端は傾斜しており、ストッパー86が上方に退き、ベース87に乗り上げる。さらに、ストッパー86が係合孔88に係合するまで、コインホッパー93を奥の方向に摺動させる。ストッパー86が係合孔88の位置に到達すると、ストッパー86が第2バネ89に付勢され、係合孔88に挿入される。また、コインホッパー93は、第1バネ81の付勢によって、ストッパー86が係合孔88の縁に当接するまで押し返される。コインホッパー93は、破線で示されるコインホッパー93の最前位置90まで第1バネ81によって押され固定される。
【0054】
例えば、第1の扉7に歪みが生じ、第1の扉7がコインホッパー93に当接する場合、第1バネ81が縮み、コインホッパー93は移動する。コインホッパー93は、外力が加わっても移動することができるので、破損を防ぐことができる。
【0055】
硬貨処理装置1の一方側の側面を開閉することで、出金側の硬貨の通路と、コインホッパーのメンテナンス作業ができる。また、第1の扉7側を全面開放することができるので、コインホッパーの挿抜が容易にでき、また、メンテナンスも容易にできる。
【符号の説明】
【0056】
1 硬貨処理装置
2 入金口
3 出金口
4 第2の扉
5 第2の蝶番
6 第2の取手
7 第1の扉
8 第1の蝶番
9 第1の取手
10 係合部
20 第1排出口
21 第2排出口
22 第3排出口
23 第4排出口
24 第5排出口
25 第6排出口
26 第7排出口
27 第8排出口
28 第1傾斜部
29 第2傾斜部
30 第3傾斜部
31 第4傾斜部
32 第5傾斜部
33 第6傾斜部
34 第7傾斜部
35 第8傾斜部
36 リジェクト傾斜部
37 排出部
40 第1ホッパー
41 第2ホッパー
42 第3ホッパー
43 第4ホッパー
44 第5ホッパー
45 第6ホッパー
46 第7ホッパー
47 第8ホッパー
48 オーバーフロー容器
49 把持部
50 第1ベルト
51 第2ベルト
52 第1駆動プーリー
53 第1従動プーリー
54 第2駆動プーリー
55 第2従動プーリー
56 ベルト押動体
57 逆止レバー
58 レバー軸
59 テンションローラー
60 硬貨
61 フラップ
62 フラップ解放位置
63 フラップ軸
64 金庫通路
70 押動ピン
71 振分バー
72 振分フラップ
73 バー側通路
74 フラップ側通路
75 振分部
76 第1通路
77 第2通路
78 第3通路
79 第4通路
80 オーバーフロー通路
81 第1バネ
82 コネクタ
83 ホッパー容器
84 ホッパー本体
85 センサー
86 ストッパー
87 ベース
88 係合孔
89 第2バネ
90 最前位置
91 ホッパー側コネクタ
92 本体側コネクタ