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特許7511923メモリー様NK細胞の大規模治療的製造方法および組成物
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  • 特許-メモリー様NK細胞の大規模治療的製造方法および組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】メモリー様NK細胞の大規模治療的製造方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20240701BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240701BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240701BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180661
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2019523674の分割
【原出願日】2017-11-08
(65)【公開番号】P2023025033
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】15/345,965
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510170730
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ セントラル フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】コピク,アリシャ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】イガラシ,ロバート ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】オイヤー,ジェレミア エル.
(72)【発明者】
【氏名】アルトメア,デボラ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/069607(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0190471(US,A1)
【文献】特表2011-529341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0059379(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0258143(US,A1)
【文献】Scientifica,2014年,Article ID 205796 (pp.1-18)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus (JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのNK細胞を、IL-12、IL-15、およびIL-18少なくとも48時間、洗浄ステップを含まずに接触させることによってNK細胞を予備活性化することと、
b)ステップaの予備活性化NK細胞を、膜結合型IL-21を有する形質膜(PM)粒子(PM21粒子と接触させることにより増殖させることと、
を含む、インビトロまたはエキソビボでメモリー様NK細胞の数を増加させるための方法。
【請求項2】
前記NK細胞が末梢血単核球の非選択集団から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NK細胞が、前記IL-12、IL-15、およびIL-18と48時間~7日間接触される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記NK細胞を、4-1BBL、IL-2、IL-21、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択される1つ以上のサイトカインと接触させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のサイトカインが4-1BBLおよびIL-21を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記PM21粒子の膜結合型IL-21が、膜挿入ペプチドに連結したIL-21を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
膜挿入ペプチドがヒトFc、GPI、膜貫通T細胞受容体、またはpHLIPを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
膜挿入ペプチドに連結した前記IL-21が、組換えDNAによりコードされた融合タンパク質である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記膜挿入ペプチドが、ヒトFcを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ステップaの前記予備活性化NK細胞を、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、45、または60日間、前記PM21粒子と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップbの後に増殖されたメモリー様NK細胞を休止させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記増殖されたメモリー様NK細胞が、1、2、3、4、または5日間休される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
NK細胞の供給源がNK細胞前駆体供給源であり、前記NK細胞前駆体供給源が臍帯血、誘導多能性幹細胞、および胚性幹細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
遺伝子型的にHLA適合同胞からの造血幹細胞移植(HSCT)は、血液癌悪性腫瘍お
よび骨髄不全症候群の患者における長期生存率を改善している。毎年、1万人以上の米国
人が生命に関わる病気に罹患しており、治癒の唯一の希望は、血縁関係のないドナーまた
は臍帯血の単位からの骨髄移植である。しかし、同種幹細胞移植により恩恵を受け得る患
者の70%超が、適合同胞ドナーを有していない。こうした状況が、治療を遅らせ、部分
的に不適合ドナーの最適使用に満たない適合に頼る必要があり、このため、最終的に、移
植片対宿主病(GVHD)、移植片不全、および再発の発生率の上昇につながり、これら
のすべてが患者の生存率を劇的に低下させる。
【0002】
移植プロセスの期間、費用面での財政的、精神的および健康的な負担により、さらなる
制限が課される。したがって、血縁関係のないドナーからのHSCTの適用は、このプロ
セスに耐えることができる適切な社会経済的支援を受けた若く健康的な患者に限られてい
る。残存する癌細胞を根絶することができないために、再発率が高いことから、さらなる
課題が提起されている。HSCTは治療効果があると考えられているが、癌の再発率は驚
くほどである。従って、好ましくは適合ドナーを必要とせずに、より効果的であると考え
られる新規の、より標的化された免疫療法が必要とされている。1990年代には、HS
CT後の急性骨髄性白血病(AML)の再発を治療するためのドナーリンパ球注入(DL
I)が導入された。このアプローチは、元のドナーのリンパ球を、再発性疾患を有するA
ML患者へ投与することから構成されたものであった。しかし、臨床上の利益は、限られ
ており、腫瘍負荷がより少ない少数の患者で観察されたのみであり、多くの場合、T細胞
媒介GVHDにより結果がさらに悪化した。
【0003】
ドナーリンパ球注入による移植片対腫瘍(GVT)作用の大部分は、ナチュラルキラー
(NK)細胞に起因し得る。ドナー血液から単離したNK細胞を注入することで、GVH
Dを引き起こすことなく有益なGVT作用を生み出すことができた。前臨床および臨床デ
ータにより、いかなるGVHDも伴わずに完全寛解に至るNK細胞の注入の有効性が示さ
れている。このように、自家移植と組み合わせて、または独立した治療としてのNK細胞
の注入は、適合ドナーを有さず、再発を経験しているか、または移植の資格がない患者に
とって革新的であり、かつ潜在的に非常に効果的な代替法となる。しかしながら、これら
のNK細胞治療は、治療的治療を提供するのに十分な数のNK細胞の増殖に対する需要を
生み出す。したがって、メモリー様NK細胞数を増加させることを目的とした新規であり
、かつ改良された方法論に対する大きな必要性がある。
【0004】
開示された方法および組成物のさらなる利点は、部分的には以下の説明に示され、部分
的にはその説明から理解されるか、または開示された方法および組成物の実施によって習
得され得る。開示された方法および組成物の利点は、添付の特許請求の範囲において特に
指摘された要素および組み合わせによって実現され、達成されるであろう。前述の一般的
な説明および以下の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求さ
れる本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、一般に、メモリーナチュラルキラー(NK)細胞を含む組成物および方法に
関する。より具体的には、本出願は、癌細胞、ウイルス感染細胞、および特定の免疫細胞
を攻撃および死滅させることができるメモリーナチュラルキラー(NK)細胞のインビボ
、エクスビボ、またはインビトロでの刺激および増殖に関する。
【0006】
本明細書に開示されているのは、a)少なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上
の刺激性サイトカインと接触させることによってNK細胞を予備活性化することと、b)
ステップa)の予備活性化NK細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む小胞と接触させる
(例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触
させること)ことによって、ステップa)の予備活性化NK細胞を増殖させることと、を
含む、メモリー様NK細胞の数を増加させるための方法である。いくつかの態様では、予
備活性化ステップa)および/または増殖ステップb)後に洗浄すること、および/また
は増殖ステップb)後にメモリー様NK細胞を休止することをさらに含む、メモリー様N
K細胞の数を増加させるための方法である。さらに他の態様では、本明細書に開示される
のは、増殖ステップおよび予備活性化ステップを逆転させる方法であって、この方法は、
NK細胞エフェクター剤を含む小胞と細胞を接触させること(例えば、PM21粒子、E
X21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させること)によってNK細
胞を増殖させること、およびその後、細胞を少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインと
接触させることにより、増殖NK細胞を予備活性化することを含む。
【0007】
本明細書に開示されている一態様は、メモリー様NK細胞の数を増加させるための方法
であって、この方法では、開示されている方法において使用するためのNK細胞が末梢血
単核細胞の選択されていない集団から得られる。
【0008】
少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインが、IL-12、IL-15、およびIL-
18からなる群から選択される、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示されている。
一態様では、本方法は、NK細胞を3つの刺激性サイトカインと接触させることを含み得
る。
【0009】
また、NK細胞をインビトロ、インビボ、またはエキソビボでIL-12、IL-15
、またはIL-18と接触させる、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示される。
【0010】
NK細胞を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、60、ま
たは72時間、1つ以上の刺激性サイトカインと接触させる、前述の態様のいずれかに記
載の方法も開示される。
【0011】
NK細胞を4-1BBL、IL-2、IL-21、IL-7、MICA/B、ULBP
2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、CCR
7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択されるサイトカインと接触させる
ことをさらに含む、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示される。
【0012】
一態様では、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞が
、膜挿入ペプチドに連結した1つ以上の刺激性ペプチドを含む方法が本明細書に開示され
ている。
【0013】
膜挿入サイトカインが脂質二重層に対して親和性を有する膜挿入が可能な融合ペプチド
を含み、この融合ペプチドがIG4、CD4、またはそれらの組み合わせのセグメントを
含む、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示される。
【0014】
膜挿入ペプチドが、ヒトFc、GPI、膜貫通T細胞受容体、またはpHLIPを含む
、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示されている。
【0015】
1つ以上の刺激性ペプチドが、4-1BBL、IL-2、IL-12、IL-18、I
L-21、IL-7、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/S
LAMF2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(
Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNE
R、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、
TSP2、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群
から選択される、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示される。
【0016】
膜挿入ペプチドに連結した1つ以上の刺激性サイトカインが、組換えDNAによってコ
ードされる融合タンパク質である、前述の態様のいずれかに記載の方法も開示される。
【0017】
NK細胞をインビトロ、インビボ、またはエキソビボでPM21粒子、EX21エキソ
ソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させる、前述の態様のいずれかに記載の方
法も開示される。
【0018】
ステップa)のNK細胞を、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フ
ィーダー細胞と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、2
8、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41
、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、
55、56、57、58、59、または60日間接触させる、前述の態様のいずれかに記
載の方法も開示される。
【0019】
一態様では、本明細書に開示されるのは、細胞が少なくとも1、2、3、4、または5
日間休止されたメモリー様NK細胞である方法である。
【0020】
一態様では、本明細書に開示されるのは、1つ以上のサイトカインおよびNK細胞エフ
ェクター剤を含む1つ以上の小胞を含むメモリー様NK細胞の数を増加させるためのキッ
トである。
【0021】
1つ以上のサイトカインが、IL-12、IL-15、およびIL-18からなる群か
ら選択される、前述の態様のいずれかに記載のキットも開示される。
【0022】
NK細胞エフェクター剤を含む1つ以上の小胞が、PM21粒子、EX21エキソソー
ム、またはFC21フィーダー細胞である、前述の態様のいずれかに記載のキットも開示
される。
【0023】
NK細胞エフェクター剤が、4-1BBL、IL-2、IL-15、IL-21、IL
-7、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、C
D155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デ
ルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、
SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB
-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択される
、前述の態様のいずれかに記載のキットも開示される。
【0024】
本明細書に組み込まれてその一部を構成している添付の図面は、いくつかの実施形態を
示しており、その説明と共に開示された組成物および方法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】PM21粒子、K562-mb21フィーダー細胞(FC21細胞)との接触、ならびにIL12、IL15、およびIL18による予備活性化、およびその後のPM21粒子との接触後のメモリーNK細胞の増殖の増加を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の化合物、組成物、物品、装置、および/もしくは方法が開示および記載される
前に、それらは、他に特定されない限り、特定の合成方法もしくは特定の組換えバイオテ
クノロジー方法、または他に特定されない限り、特定の試薬に限定されず、当然のことな
がら変化し得ることが理解される。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態
を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないこともまた
理解されるべきである。
【0027】
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」お
よび「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を
含む。したがって、例えば、「医薬担体」への言及は、2つ以上のそのような担体の混合
物などを含む。
【0028】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の
値までとして表現することができる。このような範囲が表されるとき、別の実施形態は、
1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使
用して値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理
解されよう。範囲の各々の終点は、他の終点と関係があっても、他の終点とは無関係であ
っても、重要であることがさらに理解されよう。本明細書に開示された複数の値があり、
各値がまた、その値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書に開示されることも
また理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。当業
者によって適切に理解されるように、ある値が開示される場合、その値「以下」、「その
値以上」およびそれらの値の間の可能な範囲もまた開示されることも理解される。例えば
、値「10」が開示される場合、「10以下」および「10以上」も開示される。本出願
全体において、データは複数の異なる形式で提供され、このデータは終点および開始点、
データ点の任意の組み合わせの範囲を表すこともまた理解される。例えば、特定のデータ
点「10」および特定のデータ点15が開示されている場合、10超および15超、10
以上および15以上、10未満および15未満、10以下および15以下ならびに10お
よび15は、10から15の間と同様に開示されているとみなされることが理解される。
2つの特定の単位間の各単位もまた開示されていることも理解される。例えば、10およ
び15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義されるべきいく
つかの用語に言及する:
【0030】
「任意の」または「任意により」は、後に記載される事象または状況が発生しても発生
しなくてもよいこと、およびその説明がその事象または状況が発生している場合と発生し
ていない場合を含むことを意味する。
【0031】
以下の実施例は、本明細書に請求される化合物、組成物、物品、装置および/または方
法がどのようにして製造および評価されるか、完全な開示および説明を当業者に提供する
ために記載され、これらは、純粋に例示的であることを意図しており、本開示を限定する
ことを意図するものではない。数(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にする
ための努力がなされてきたが、いくらかの誤差および偏差が考慮されるべきである。特に
別に示さない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか、または周囲温度であり、圧力
は大気圧または大気圧付近である。
【0032】
本出願を通して、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物の全体の開示は、こ
れが関連する最新技術をより完全に記載するために、参照により本明細書に組み込まれる
。開示された参考文献はまた、その参考文献が依拠している文章中で論じられている、そ
れらに含まれる材料について、本明細書中で参考として個々にかつ具体的に組み込まれる
【0033】
B.メモリー様NK細胞を増殖させる方法
ヒトNK細胞は、CD56またはCD16の発現およびT細胞受容体(CD3)が存在
しないことによって定義される末梢血リンパ球のサブセットである。NK細胞は、主要組
織適合遺伝子複合体(MHC)-クラスI分子を欠く標的細胞を感知して、死滅させる。
NK細胞活性化受容体としては、とりわけ、天然の細胞傷害性受容体(NKp30、NK
p44およびNKp46)、ならびにレクチン様受容体NKG2DおよびDNAM-1が
挙げられる。これらのリガンドは、ストレスを受けた、形質転換された、または感染した
細胞上で発現するが、正常細胞上には発現せず、正常細胞をNK細胞の殺傷に対して抵抗
性にするものである。NK細胞の活性化は、キラー免疫グロブリン(Ig)様受容体(K
IR)、NKG2A/CD94、白血球Ig様受容体-1(LIR-1)などの阻害受容
体を介して負に調節される。1つの阻害受容体の関与は、標的の溶解を妨げるのに十分で
あり得る。そのため、NK細胞は、多くのストレス誘導リガンド、および少数のMHCク
ラスIリガンドを発現する細胞を効率的に標的とする。
【0034】
NK細胞の注入は、血液癌(急性骨髄性白血病または多発性骨髄腫など)ならびにいく
つかの固形腫瘍(例えば、脳腫瘍、ユーイング肉腫および横紋筋肉腫)など、NK細胞の
溶解に感受性の高い癌を有する患者に対する治療選択肢である。また、機能性NK細胞の
数が増加することで、とりわけリンパ腫、結腸直腸癌、肺癌、および乳癌など、いくつか
の癌の治療に使用される治療用抗体の有効性を著しく高め得る。しかしながら、これらの
タイプの個別化治療は、非常に費用を要し、典型的な抗体含有レジメンは数万ドルの費用
を要する。さらに、既存の方法の予想される有効性は、免疫不全の癌患者においては、免
疫細胞の関与が欠如するために、多くの場合、達成されることはない。
【0035】
治療方法として有効であるためには、有効な治療用量に達するNK細胞の増殖度を達成
することが望ましい。しかし、これまでの研究では、NK細胞の増殖は、いくつかの分裂
、および老化に達し、増殖を停止している細胞に限定されていることが示されており、こ
のことは、テロメア短縮の観察結果と一致している。これらの方法により、効率的なイン
ビトロNK細胞増殖が可能になるが、生存しているフィーダー細胞を必要とするために、
この方法論を大規模のGMP設備および能力を有さない臨床設定に移すことは困難になる
。また、患者に注入されたNK細胞は、フィーダーによる継続的な刺激がないために分裂
を停止する可能性が高い。さらに、患者に再注入したときに意図したとおりに機能するイ
ンビトロ培養NK細胞の能力に関する情報は、依然として不足している。現在、IL-2
の投与は、インビボにおいてNK細胞を増殖させる唯一のFDA承認方法である。しかし
ながら、この研究で使用されたリンパ枯渇および高用量のIL-2に必要とされる集中的
なコンディショニングレジメンは、結果として、有意な毒性および長期の入院をもたらし
、また多くの場合、NK細胞におけるインビボ増殖が低下した。さらに、IL-2を全身
投与することにより、NK細胞の数および機能を抑制する制御性T細胞の増殖をもたらし
、それによって患者におけるそれらの持続性および効率が制限される。そのため、NK細
胞のインビボまたはエクスビボにおける増殖のための代替的アプローチが必要とされてい
る。IL-15は現在、IL-2投与の代替アプローチとして第I相臨床試験で試験され
ているが、前臨床所見に基づいて、体系的に投与された場合に、有意な毒性を有すること
が依然として予想される。従って、これらの方法は両方とも、患者に対して有意な毒性を
有し、また制御性T細胞などのT細胞の増殖を誘導し、NK細胞の持続性が短くなる(平
均して21日未満)。
【0036】
上記のように、NK細胞免疫療法の有効性は、患者に投与された、またはインビボ増殖
による注入後に到達したNK細胞の用量に依存する。現在利用可能な技術は、患者におい
て治療効果を達成するのに必要とされるレベルのNK細胞の増殖を達成することができな
いことによって制限されている。より単純な臨床増殖プロトコルが存在していないことは
、NK細胞をベースとした免疫療法の進歩および広範な普及に対する大きな障壁である。
現在のエクスビボ増殖プロトコルでは、白血病由来のフィーダー/刺激細胞株上に発現す
る活性化リガンドと高用量のサイトカインとの組み合わせを使用しており、これは、ほと
んどの施設における臨床設定への移行に重大な不利益をもたらし、直接インビボ増殖には
適していない。本明細書に記載のエキソソームなどの粒子技術の使用では、刺激細胞を必
要とせず、そのため方法論が単純化され、直接的かつ選択的なインビボ増殖が可能になる
。さらに、本明細書に開示される方法により、メモリー様NK細胞の数が増大する。本明
細書中で使用される場合、「メモリー様NK細胞」は、サイトカインまたは腫瘍の再刺激
の際に再活性化され得るという特徴を有するNK細胞に関する。したがって、一態様では
、本明細書に開示されているのは、a)少なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上
の刺激性サイトカインと接触させることによってNK細胞を予備活性化することと、b)
細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む1つ以上の小胞と接触させることによって、ステ
ップa)の予備活性化NK細胞を増殖させることと、を含む、メモリー様NK細胞の数を
増加させるための方法である。
【0037】
NK細胞の増殖が起こる必要がある、または活性化の前にこの増殖が起こることが望ま
れる状況があり得ることが理解され、本明細書において企図される。従って、本明細書に
開示されているのは、増殖ステップと予備活性化ステップとを逆転させる方法であって、
これにより、この方法は、NK細胞エフェクター剤を含む小胞と細胞を接触させること(
例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触さ
せること)により、NK細胞を増殖させること、および細胞を少なくとも1つ以上の刺激
性サイトカインと接触させることにより、増殖したNK細胞を予備活性化することを含む
ようになる。要するに、本明細書に開示されているのは、メモリー様NK細胞の数を増加
させるための方法であって、この方法は、a)細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む1
つ以上の小胞と接触させることによりNK細胞を増殖させることと、b)NK細胞を少な
くとも1つ以上の刺激性サイトカインと接触させることにより、ステップa)の増殖NK
細胞を予備活性化することと、を含む。
【0038】
開示された方法は、少なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上の刺激性サイトカ
イン(例えば、IL-12、IL-15、および/またはIL-18)と接触させること
によってNK細胞の予備活性化を得る。したがって、一態様では、本明細書では、1つ以
上のNK細胞を2つまたは3つの刺激性サイトカインと接触させることなど、1つ以上の
NK細胞をIL-12、IL-15および/またはIL-18、またはこれらの任意の組
み合わせを含む群から選択される1つ以上の刺激性サイトカインと接触させることによっ
て、NK細胞を予備活性化することを含むメモリー様NK細胞の数を増加させる方法が開
示される。例えば、本明細書に具体的に開示されているのは、予備活性化ステップがNK
細胞をIL-12;IL-15、IL-18、IL-12およびIL-15;IL-12
およびIL-18;IL-15およびIL-18;またはIL-12、IL-15、およ
びIL-18と接触させることを含む方法である。一態様では、NK細胞の数を増加させ
る開示された方法は、NK細胞を、4-1BBL、IL-2、IL-21、IL-7、M
ICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155
、ノッチリガンド(例えばCD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(
Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNE
R、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、
TSP2、YB-1、およびEGFL7など)、CCR7、DAP12、ならびに/また
はDAP10からなる群から選択される1つ以上のサイトカインと接触させることをさら
に含み得る。
【0039】
予備活性化期間(すなわち、NK細胞と刺激性サイトカイン(例えば、IL-12、I
L-15、および/またはIL-18)との間の接触期間)は、所望のNK細胞の予備活
性化を達成するのに必要な任意の時間長であり得ると理解され、本明細書において企図さ
れる。例えば、接触は、短くて1分、長くて7日間ほどでもよい(例えば、NK細胞をI
L-12、IL-15、および/またはIL-18の存在下で7日間培養する)。一態様
では、本明細書に開示されているのは、1つ以上のNK細胞をIL-12、IL-15、
および/またはIL-18と5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、または48時間接触
させることによってNK細胞を予備活性化することを含む、メモリー様NK細胞の数を増
加させる方法である。培養物中のサイトカインの半減期は、所望の接触時間より短くても
よいことが理解され、本明細書において企図される。したがって、本明細書に開示するの
は、1つ以上のNK細胞を、接触時間以内に各々、1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、11、または12時間ごと(例えば、各々、24時間の接触時間以内に1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12時間ごと)、IL-12、IL-
15、および/またはIL-18と接触させる方法である。
【0040】
NK細胞を接触および活性化および/または増殖するための、1つ以上のNK細胞エフ
ェクター剤(すなわち、刺激性ペプチド、サイトカイン、および/または接着分子)を含
む原形質膜(PM)粒子、エキソソーム(EX)、またはフィーダー細胞(FC)の使用
により、サイトカインの毒性に関連する多くの障害を克服している。NK細胞活性化剤お
よび刺激性ペプチドの例としては、41BBL、IL-2、IL-12、IL-21、I
L-18、MICA、LFA-1、2B4、BCM/SLAMF2、CCR7および/ま
たは他のホーミング受容体が挙げられるが、これらに限定されない。サイトカインの例と
しては、IL-2、IL-12、IL-21、およびIL-18が挙げられるが、これら
に限定されない。接着分子の例としては、LFA-1、MICA、BCM/SLAMF2
が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、原形質膜(PM)粒子、フィーダー細
胞(FC)、またはエキソソーム(EX)は、膜結合IL-21を発現するフィーダー細
胞(それぞれFC21細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム)から調製され
た。膜結合IL-21発現FC21細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソームは
、これらに限定されないが、41BBL、IL-2、IL-12、IL-15、IL-1
8、MICA、LFA-1、2B4、BCM/SLAMF2、CCR7(例えば、PM2
1粒子、EX21エキソソーム、または41BBLおよび膜結合インターロイキン-21
を発現するFC細胞)が挙げられるが、これらに限定されない追加の1つ以上の活性化剤
、刺激性ペプチド、サイトカイン、および/または接着分子をさらに含み得る。したがっ
て、一態様では、本明細書に開示されているのは、a)少なくとも1つのNK細胞を少な
くとも1つ以上の刺激性サイトカインと接触させることによってNK細胞を予備活性化す
ることと、b)細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む少なくとも1つの小胞と接触させ
ることによって、ステップa)の予備活性化NK細胞を増殖させることとを含み、NK細
胞エフェクター剤を含む小胞は、PM21粒子、EX21粒子、および/またはFC21
フィーダー細胞のうちの1つ以上の任意の組み合わせである、メモリー様NK細胞の数を
増加させる方法である。例えば、本明細書に開示されているのは、他のステップの中でも
特に、ステップa)の予備活性化NK細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む少なくとも
1つの小胞と細胞を接触させることによって増大させることを含み、NK細胞エフェクタ
ー剤を含む小胞は、PM21粒子;EX21エキソソーム;FC21フィーダー細胞;P
M21粒子およびEX21エキソソーム;PM21粒子およびFC21フィーダー細胞;
EX21エキソソームおよびFC21フィーダー細胞;またはPM21粒子、EX21エ
キソソーム、およびFC21フィーダー細胞を含む、メモリーNK細胞の数を増加させる
方法である。
【0041】
いくつかの態様では、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダ
ー細胞のエフェクター剤は、膜挿入ペプチド(例えば、Fc、GPI、膜貫通T細胞受容
体、またはpHLIP)に連結した1つ以上の刺激性ペプチドを含む。膜挿入ペプチドは
、膜への挿入を促進する分子であり得る。膜挿入ペプチドは、脂質二重層に対して親和性
を有するCD4またはIgGのセグメントを含み得る。さらに、代替的膜挿入ペプチドは
、ヒトFc、GPI、膜貫通T細胞受容体、またはpHLIPを含み得る。膜自己挿入ペ
プチドは、細胞膜に挿入することが知られている任意のペプチドであり得る。膜自己挿入
ペプチドコンジュゲートの使用に応じて、特定の膜自己挿入ペプチドが他のものよりも優
れた選択となり得る。当業者であれば、異なる状況下で、どのような膜自己挿入ペプチド
が理想的であるかを理解するであろう。例えば、インビボでの使用のためには、pHLI
P膜自己挿入ペプチドが好適であり得る。pHLIP膜自己挿入ペプチドは、低pH条件
下においてのみ膜に挿入される。したがって、pHLIPコンジュゲートは、通常の生理
的条件下において細胞膜に挿入されることはない。しかし、腫瘍環境は、通常の生理学的
条件よりも酸性であることから、pHLIPコンジュゲートは、腫瘍環境への注入時に、
腫瘍細胞の細胞膜に挿入することができる。腫瘍環境にこのように挿入することで、腫瘍
領域においてNK細胞の活性化が可能になる。したがって、pHLIPを使用することで
、ランダムな細胞膜への望ましくない挿入を防ぐ。
【0042】
膜挿入ペプチドは、様々な方法で1つ以上の刺激性ペプチドに連結させることができ、
ペプチドを連結させるための技術は、当技術分野において周知である。刺激性ペプチドに
連結した膜挿入ペプチドはまた、膜挿入ペプチドコンジュゲートとも呼ばれ得る。いくつ
かの態様では、膜挿入ペプチドに連結した1つ以上の刺激性ペプチドは、組換えDNAに
よってコードされている融合タンパク質を含み得、このような融合タンパク質は細菌細胞
中で産生され得る。ある実施形態では、融合タンパク質は、リポソームまたは細胞膜に固
定するための疎水性ペプチド、GPI、またはヒトFcなどの親油性分子にコンジュゲー
トまたは連結した1つ以上の刺激性ペプチドからなることができる。これらの融合タンパ
ク質のためのcDNAベクターは、細菌(大腸菌)、昆虫、または哺乳動物細胞における
発現を可能にする発現プラスミドにライゲートされ得る。ある実施形態では、cDNAベ
クターは、FLAGまたはHISタグ化されていてもよい。細菌細胞は、Sambroo
kら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual
.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)に記載されているものなどの標準的なCaClトランスフェクション方法を
用いてトランスフェクトしてもよい。細菌細胞もLB培地中で培養することができ、細胞
を採取し、French Pressを用いて溶解させ得る。目的のタンパク質は、アフ
ィニティークロマトグラフィーによって溶解物から精製することができる。パルミチン酸
コンジュゲートプロテインAおよび精製Fc融合タンパク質は、4℃で1:2(w/w)
を混合することによって文献に記載されているようにコンジュゲートすることができる。
次いで、コンジュゲートを腫瘍内に直接注射してもよく、またはリポソームに組み込んで
もよい。
【0043】
連結の種類および連結方法は、当業者に公知である。本明細書中で使用される場合、用
語「連結する」とは、ペプチドまたはタンパク質などの別の分子実体にコンジュゲート、
結合、またはそうでなければ連携されている膜自己挿入ペプチドを指す。例えば、刺激性
ペプチドに連結した膜挿入ペプチドは、膜挿入ペプチドがジスルフィド結合を介して別の
タンパク質に連結している融合タンパク質であり得る。連結またはコンジュゲートは、膜
自己挿入ペプチドとNK細胞エフェクター剤との間に化学的連携があることを意味し得る
【0044】
いくつかの態様では、インサイチュ自己集合のために、1つ以上の刺激性ペプチドが膜
自己挿入ペプチドまたはGPIアンカーに連結され得る。例えば、41-BBLおよびI
L-21は、酸性条件下でそれ自身を細胞膜に挿入するpHLIPペプチドに連結され得
、それによって腫瘍の近位にある細胞への刺激リガンドの固定が可能になる。刺激性ペプ
チド41BBL、IL-2、IL-12、IL-21、BCM/SLAMF2、CCR7
および/または他のホーミング受容体は、細菌細胞中で産生され得るか、または市販の供
給源から購入されてもよく、これらのタンパク質のcDNAベクターは、細菌(大腸菌)
、昆虫、または哺乳動物細胞での発現が可能になるpTriEX発現プラスミドに任意に
よりライゲートされ得る。cDNAベクターは、FLAGまたはHISタグの発現をコー
ドしてもよい。細菌細胞は、標準的なCaClトランスフェクション方法を用いてトラン
スフェクトすることができ、またLB培地上で培養することができる。細胞は、採取し、
フレンチプレスを用いて溶解することができ、次いで目的のタンパク質をアフィニティー
クロマトグラフィーによって溶解物から精製してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、pHLIPは、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル化
学を用いた固相ペプチド合成によって調製することができ、生成物は逆相クロマトグラフ
ィーによってC18カラムで精製することができる。次いで、pHLIPは、ベンゾフェ
ノン-4-ヨードアセトアミドなどの架橋剤と共にインキュベートすることによって、刺
激性ヒトタンパク質リガンドにコンジュゲートさせることができる。数回洗浄後、コンジ
ュゲートさせたpHLIPタンパク質を培地(例えば、食塩水)に再懸濁し、腫瘍内また
は静脈内に注射することができる。前述の文献のエビデンスに基づき、かつ実験結果に示
されているように、そのような改変腫瘍細胞の表面上における、NK細胞とIL-21お
よび41-BBLなどの刺激性リガンドとの相互作用は、インサイチュNK細胞の増殖を
刺激し、かつ癌に対する細胞傷害応答を誘発し得る。この種類の刺激アプローチは、酸性
pH下で腫瘍細胞にインサイチュで挿入するNK刺激性リガンドを低用量のIL-2を単
独で、またはNK細胞と一緒に、患者の腹腔内に注射することができる卵巣癌などの固形
腫瘍の治療に使用できる。NK細胞などの高レベルのFCγlII R(CD16)を発
現する細胞傷害性リンパ球が、治療用抗体による癌治療の有効性にとって極めて重要であ
るという強力なエビデンスが存在する。したがって、このアプローチは、治療用抗体と組
み合わせて使用することもできる。
【0046】
予備活性化NK細胞(すなわち、IL-12、IL-15、および/またはIL-18
などのサイトカインと接触したNK細胞)とNK細胞エフェクター剤を含む小胞(すなわ
ち、PM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞)と
の間の接触時間が、メモリー様NK細胞の所望の増殖を達成するのに必要な任意の時間長
であってもよいことが理解され、本明細書において企図される。例えば、接触は、短くて
1分、長くて60日間ほどでもよい(例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム、お
よび/またはFC21フィーダー細胞の存在下で7日間NK細胞を培養する)。一態様で
は、予備活性化NK細胞とNK細胞エフェクター剤を含む小胞との間の接触は、約6日~
約60日であってもよく、より好ましくは接触は約6日~約40日であってもよい。また
、本明細書には、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、1
4日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、2
4日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、3
4日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、4
4日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、5
4日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、61日、62日、63日、6
4日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、または72日間、予
備活性化NK細胞をPM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フィ
ーダー細胞と接触させることを含む、メモリー様NK細胞の数を増加させる方法も開示さ
れる。いくつかの例において、予備活性化NK細胞とPM21粒子、EX21エキソソー
ム、および/またはFC21フィーダー細胞との複数回の接触が望まれ得、また使用され
得ることが理解され、本明細書において企図される。例えば、予備活性化NK細胞は、1
時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、
11時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日
、9日、0日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、1
8日、19日、20日、または21日ごとに1回、PM21粒子、EX21エキソソーム
、および/またはFC21フィーダー細胞と接触させることができる。したがって、一態
様において、本明細書に開示されているのは、予備活性化NK細胞を、PM21粒子、E
X21エキソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞と2回以上接触させること
を含む、メモリー様NK細胞の数を増加させる方法であって、接触は、1時間、2時間、
3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12
時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、0日、
10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、
20日、または21日ごとに生じる。
【0047】
一態様では、原形質膜粒子、フィーダー細胞、またはエキソソームは、NK細胞を刺激
するフィーダー細胞から精製することができる。本明細書に開示される、原形質膜粒子ま
たはエキソソームを作製する際に使用するための、請求される発明において使用するため
のNK細胞刺激フィーダー細胞は、照射された自己もしくは同種末梢血単核細胞(PBM
C)または非照射自己またはPBMC、RPMI8866、HFWT、K562、膜結合
型IL-15および41BBLでトランスフェクトしたK562細胞、膜結合型IL-2
1および41BBLでトランスフェクトしたK562細胞、または膜結合型IL-21お
よび41BBLでトランスフェクトしたK562細胞、またはEBV-LCLのいずれか
であり得る。いくつかの態様において、NK細胞フィーダー細胞は、膜結合型IL-21
および41BBLでトランスフェクトされたK562細胞、または膜結合型IL-15お
よび41BBLでトランスフェクトされたK562細胞であり得る。
【0048】
予備活性化ステップにおける特定の刺激性サイトカインの使用は、予備活性化NK細胞
を増殖させるために使用されるNK細胞エフェクター剤を含む小胞に影響を与えるもので
はないことが理解され、本明細書において企図される。したがって、サイトカインおよび
小胞の任意の組み合わせは、開示された方法において使用され得る。例えば、本明細書に
特に開示されるのは、メモリー様NK細胞の数を増加させるための方法であって、a)少
なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインと接触させることに
よってNK細胞を予備活性化することと、b)細胞を、NK細胞エフェクター剤を含む1
つ以上の小胞と接触させることによって(例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム
、またはFC21フィーダー細胞と接触させる)、ステップa)の予備活性化NK細胞を
増殖させるステップと、を含み、1つ以上の刺激性サイトカインは、IL-12、IL-
15、および/またはIL-18であり、1つ以上の小胞は、PM21粒子、EX21エ
キソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞である。例えば、本明細書において
開示されるのは、IL-12およびPM21粒子;IL-15およびPM21粒子;IL
-18およびPM21粒子;IL-12およびEX21エキソソーム、IL-15および
EX21エキソソーム;IL-18およびEX21エキソソーム;IL-12およびFC
21フィーダー細胞;IL-15およびFC21フィーダー細胞;IL-18およびFC
21フィーダー細胞;IL-12、IL15、およびPM21粒子;IL-12、IL-
18、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、およびPM21粒子;IL-12
、IL-15、IL-18、およびPM21粒子;IL-12、IL15、およびEX2
1エキソソーム;IL-12、IL-18、およびEX21エキソソーム;IL-15、
IL-18、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL-15、IL-18、およ
びEX21エキソソーム;IL-12、IL15、およびFC21フィーダー細胞;IL
-12、IL-18、およびFC21フィーダー細胞;IL-15、IL-18、および
FC21フィーダー細胞;IL-12、IL-15、IL-18、およびFC21フィー
ダー細胞;IL-12、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-15、EX
21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-18、EX21エキソソーム、およびP
M21粒子;IL-12、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、
FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-18、FC21フィーダー細胞、
およびPM21粒子;IL-12、FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソソー
ム;IL-15、FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソソーム;IL-18、
FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソソーム;IL-12、FC21フィーダ
ー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-15、FC21フィーダー
細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-18、FC21フィーダー細
胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL15、EX21エキ
ソソーム、およびPM21粒子;IL-12、IL-18、EX21エキソソーム、およ
びPM21粒子;IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、およびPM21粒子
;IL-12、IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;
IL-12、IL15、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、I
L-18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、F
C21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL-15、IL-18、F
C21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL15、EX21エキソソ
ーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-18、EX21エキソソーム
、およびFC21フィーダー細胞;IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、お
よびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-15、IL-18、EX21エキソソ
ーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、EX21エキソソーム、FC21フ
ィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、EX21エキソソーム、FC21フィ
ーダー細胞、およびPM21粒子;IL-18、EX21エキソソーム、FC21フィー
ダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL15、EX21エキソソーム、FC2
1フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL-18、EX21エキソソー
ム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、EX21
エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;ならびにIL-12、I
L-15、IL-18、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM2
1粒子を含む方法である。
【0049】
メモリーNK細胞の数を増加させる開示された方法の各ステップは、インビトロ、イン
ビボ、またはエキソビボで起こり得ることが理解され、本明細書において企図される。す
なわち、1つ以上のサイトカインによるNK細胞の予備活性化は、インビトロ、インビボ
、またはエキソビボで起こり得る。同様に、予備活性化NK細胞とPM21粒子、EX2
1エキソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞との接触は、インビトロ、イン
ビボ、またはエキソビボで起こり得る。また、メモリー様NK細胞の休止は、PM21粒
子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞の存在下で起こり得
る。追加的に、ステップがインビトロ、エクスビボ、またはインビボのいずれで起こるか
は、特定のステップの前後のステップとは完全に無関係であることが理解される。例えば
、予備活性化はインビトロまたはエクスビボで起こり得るが、予備活性化NK細胞とPM
21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フィーダー細胞との接触はイ
ンビボで起こる。代替的には、予備活性化、PM21粒子、EX21エキソソーム、およ
び/またはFC21フィーダー細胞との接触、および休止は、すべてインビトロまたはエ
クスビボで起こり得る。追加的に、予備活性化NK細胞は、同種移植手順、半合致移植手
順またはインビボ免疫療法手順において、PM21粒子、EX21エキソソーム、および
/またはFC21フィーダー細胞と接触させることができる。いくつかの態様では、同種
移植、半合致移植またはインビボ免疫療法におけるNK刺激エキソソームの使用が、移植
片対宿主病(GVHD)を引き起こすことはない
【0050】
一態様では、開示された方法は、選択されていない末梢血単核球の集団から得られたN
K細胞など、任意のドナー供給源から得られたNK細胞と共に使用され得ることが本明細
書において企図される。いくつかの例において、メモリー様NK細胞の数を増加させるた
めの開示されたキットにおいて使用されるNK細胞のためのドナー源はまた、NK細胞の
ためのレシピエントであり得る。したがって、NK細胞は、自己由来のものであってもよ
い。他の例において、NK細胞のためのドナー供給源は、半合致または同種ドナーの供給
源であってもよい。一態様では、NK細胞の供給源は、NK細胞前駆細胞が見出され得る
任意の供給源(これらに限定されないが、誘導多能性幹細胞および胚性幹細胞などの臍帯
血もしくは幹細胞供給源、またはあらゆる初期段階のNK細胞前駆細胞など)であり得る
【0051】
休止期間は、NK細胞が腫瘍に再導入されるか、または腫瘍部位でサイトカインによっ
て再刺激されるときに、迅速かつ活発なIFN-γの産生が可能になることによって、結
果として生じるメモリー様NK細胞に利益をもたらし得ることが理解される。サイトカイ
ンの再刺激時または腫瘍に導入された後の腫瘍部位での迅速かつ活発なIFN-γの産生
を有する値は3倍であり、1)NK細胞が、エフェクター分子を使い果たすことはない(
IFN-γおよびグランザイムの両方)、2)NK細胞は循環中においてより長く持続す
る、および3)IFN-γの増加による抗腫瘍作用が腫瘍を標的とし、全身性炎症が少な
い。したがって、一態様において、本明細書で開示されるのは、増殖ステップb)の後に
、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、
13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、または21日間メ
モリー様NK細胞を休止させることをさらに含む、メモリー様NK細胞の数を増加させる
方法である。
【0052】
一態様では、ステップ間またはステップ後に細胞を洗浄することによって、サイトカイ
ンおよび/またはNK細胞エフェクター剤粒子への曝露をより正確に制御すること、また
は開示される方法の後続ステップの汚染もしくはメモリー様NK細胞の使用を防ぐことが
できることは理解されよう。洗浄は、これに限定されないが、遠心分離し、許容される洗
浄液に再懸濁し、その後最後に培地に再懸濁し、培養液を簡単に流し出した後、許容可能
な媒体で1回以上すすぐサイクルなど、当技術分野において許容される任意の様式で起こ
り得、洗浄は、培養温度、室温、または冷洗浄(例えば、氷上または冷蔵遠心分離機)で
行われる。洗浄は、血清(例えば、ウシ胎児血清)の有無にかかわらず、リン酸緩衝生理
食塩水(PBS)またはNK細胞を培養するための任意の適切な培地(例えば、CELL
GRO(登録商標)GMP培地、Roswell Park Memorial Ins
titute(RPMI)institute、最小必須培地(MEM)、イーグルME
M(EMEM))、X-VIVO 20(商標)など)で達成され得る。したがって、一
態様では、本明細書において開示されるのは、NK細胞の数を増加させる方法であって、
a)少なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインと接触させる
ことによってNK細胞を予備活性化することと、b)細胞を、PM21粒子、EX21エ
キソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させることによって、ステップa)の
予備活性化NK細胞を増殖させることと、を含み、IL-12、IL-15、およびIL
-18による予備活性化後にNK細胞を洗浄すること、および/またはNK細胞エフェク
ター剤を含む1つ以上の小胞(すなわち、PM21粒子、EX21エキソソーム、および
/またはFC21フィーダー細胞)による増殖後NK細胞を洗浄することをさらに含む。
【0053】
開示された方法は、代替的方法によって達成された数を著しく超えて、メモリー様NK
細胞の数の驚くべき増加をもたらす。図1に示すように、刺激性サイトカインによる予備
活性化とそれに続くPM21粒子との接触による予備活性化細胞の増殖は、15日間で1
0,000倍を超えてNK細胞の数を増大させた。これは、K562-mb21フィーダ
ー細胞による増殖に対して8倍の増加、またはPM21粒子単独による増殖に対して10
0倍の増加である。したがって、一態様では、本明細書において開示されているのは、メ
モリー様NKセルの数を増加させる方法であり、この方法は、少なくとも7、8、9、1
0、11、12、13、14、15、16、17、または18日以内に、NK細胞の少な
くとも5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、
12000、13000、14000、または15000倍の増加をもたらす。一態様で
は、増加は、フィーダー細胞の増殖またはPM21粒子単独に対するものであり得る。し
たがって、開示された方法は、単独でのK562フィーダー細胞刺激増殖に対して、少な
くとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15倍の増加をもた
らし得、単独でのPM21粒子刺激増殖に対して、少なくとも50、60、70、75、
80、90、100、110、120、125、130、140、150、175、また
は200倍の増加をもたらし得ることが理解され、本明細書において企図される。
【0054】
C.組成物
開示された組成物を調製するために使用される成分、ならびに本明細書に開示された方
法において使用される組成物自体が開示される。これらおよび他の材料は本明細書に開示
されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されてい
る場合、これらの化合物の各々の多様な個々および集団の組み合わせおよび順列の具体的
参照は、明示的に開示されていないことがあり、それぞれが本明細書において具体的に企
図され、記載されていることが理解される。例えば、特定のサイトカイン(例えば、IL
-12、IL-15、またはIL-18)、PM21粒子、EX21エキソソーム、また
はFC21フィーダー細胞が開示され、論じられている場合、およびサイトカイン(例え
ば、IL-12、IL-15、またはIL-18)、PM21粒子、EX21エキソソー
ム、またはFC21フィーダー細胞などの複数の分子に対してなされ得るいくつかの修飾
が論じられている場合、特に企図されるのは、サイトカイン(例えば、IL-12、IL
-15、またはIL-18)、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フ
ィーダー細胞の各々およびあらゆる組み合わせおよび順列、ならびに具体的に逆であるこ
とが示されない限り可能な修飾である。したがって、あるクラスの分子A、B、およびC
が開示されている場合、ならびにあるクラスの分子D、E、およびFならびに組み合わせ
分子A~Dの例が開示されている場合、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞ
れは個別にかつ集合的にA~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~E、お
よびC~Fの組み合わせが開示されていると見なされることを意味することが企図される
。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた開示されている。したがっ
て、例えば、A~E、B~F、およびC~Eのサブグループは開示されていると見なされ
る。この概念は、開示された組成物を製造および使用する方法におけるステップを含むが
これらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実行すること
ができる様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップの各々は、開示
された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを用いて実行され得るこ
とが理解される。
【0055】
メモリー様NK細胞の数を増加させる開示された方法は、例えば、PM21粒子、FC
21フィーダー細胞、および/またはEX21エキソソームなど、NK細胞エフェクター
剤を含む小胞と組み合わせて1つ以上のサイトカイン(例えば、IL-12、IL-15
、および/またはIL-18)を利用する。開示された方法で利用される構成要素を、開
示された方法を容易に実行できるパッケージで提供することが有利であることが理解され
、本明細書において企図される。
【0056】
したがって、一態様では、本明細書に開示されるのは、1つ以上のサイトカイン(例え
ば、IL-12、IL-15および/またはIL-18)およびNK細胞エフェクター剤
を含む1つ以上の小胞を含むメモリー様NK細胞の数を増加させるためのキットである。
一態様では、小胞は、PM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フ
ィーダー細胞であり得る。例えば、開示されたキットは、IL-12およびPM21粒子
;IL-15およびPM21粒子;IL-18およびPM21粒子;IL-12およびE
X21エキソソーム、IL-15およびEX21エキソソーム;IL-18およびEX2
1エキソソーム;IL-12およびFC21フィーダー細胞;IL-15およびFC21
フィーダー細胞;IL-18およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL15、お
よびPM21粒子;IL-12、IL-18、およびPM21粒子;IL-15、IL-
18、およびPM21粒子;IL-12、IL-15、IL-18、およびPM21粒子
;IL-12、IL15、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL-18、およ
びEX21エキソソーム;IL-15、IL-18、およびEX21エキソソーム;IL
-12、IL-15、IL-18、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL15
、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-18、およびFC21フィーダー
細胞;IL-15、IL-18、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-1
5、IL-18、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、EX21エキソソーム、
およびPM21粒子;IL-15、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-
18、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-12、FC21フィーダー細
胞、およびPM21粒子;IL-15、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;
IL-18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、FC21フィ
ーダー細胞、およびEX21エキソソーム;IL-15、FC21フィーダー細胞、およ
びEX21エキソソーム;IL-18、FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソ
ソーム;IL-12、FC21フィーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソ
ーム;IL-15、FC21フィーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソー
ム;IL-18、FC21フィーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム
;IL-12、IL15、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-12、I
L-18、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、EX
21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-12、IL-15、IL-18、EX2
1エキソソーム、およびPM21粒子;IL-12、IL15、FC21フィーダー細胞
、およびPM21粒子;IL-12、IL-18、FC21フィーダー細胞、およびPM
21粒子;IL-15、IL-18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;I
L-12、IL-15、IL-18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;I
L-12、IL15、EX21エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-1
2、IL-18、EX21エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-15、
IL-18、EX21エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL
-15、IL-18、EX21エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-1
2、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15
、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-18、
EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、I
L15、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-
12、IL-18、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒
子;IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、および
PM21粒子;またはIL-12、IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、F
C21フィーダー細胞、およびPM21粒子を含み得る。
【0057】
小胞(例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFC21フィー
ダー細胞)に含まれるNK細胞エフェクター剤は、4-1BBL、IL-2、IL-21
、IL-7、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF
2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1
)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Je
di、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2
、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなるNK細胞エ
フェクター剤の群から選択され得ることが理解され、本明細書において企図される。
【0058】
開示されたキットは、IL-12、IL-15、および/またはIL-18に加えてサ
イトカインを含み得ることが理解され、本明細書において企図される。したがって、一態
様においては、4-1BBL、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-
7、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD
155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デル
タ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、S
OM-11、wingless、CCN 3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB
-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10をさらに含むNK細胞の数
を増加させるためのキットである。
【0059】
一態様において、開示されたキットは、末梢血単核細胞の非選択集団から得られたNK
細胞など、ドナー供給源から得られたNK細胞と共に使用され得ることが本明細書におい
て企図される。いくつかの例において、メモリー様NK細胞の数を増加させるための開示
されたキットにおいて使用されるNK細胞のためのドナー源はまた、NK細胞のためのレ
シピエントであり得る。したがって、NK細胞は、自己由来のものであってもよい。他の
例において、NK細胞のためのドナー供給源は、半合致または同種ドナーの供給源であっ
てもよい。
【0060】
キット中にNK細胞を提供することが有益である例が存在することが本明細書においてさらに企図される。したがって、一態様では、NK細胞またはNK細胞株をさらに含むメモリー様NK細胞の数を増加させるためのキットが本明細書に開示されている。

本出願は例えば以下の発明も提供する。
[1] a)少なくとも1つのNK細胞を少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインと接触させることによってNK細胞を予備活性化することと、b)ステップa)の予備活性化NK細胞を、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させることにより増殖させることと、を含む、メモリー様NK細胞の数を増加させるための方法。
[2] 前記NK細胞が末梢血単核球の非選択集団から得られる、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記少なくとも1つ以上の刺激性サイトカインが、IL-12、IL-15、およびIL-18からなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[4] 前記NK細胞を3つの刺激性サイトカインと接触させることを含む、上記[3]に記載の方法。
[5] 前記NK細胞を4-1BBL、IL-2、IL-21、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択されるサイトカインと接触させることをさらに含む、上記[3]に記載の方法。
[6] 前記NK細胞を、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで前記IL-12、IL-15、またはIL-18と接触させる、上記[1]に記載の方法。
[7] 前記NK細胞を、約6~約24時間の間、前記1つ以上の刺激性サイトカインと接触させる、上記[1]に記載の方法。
[8] 前記PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞が、膜挿入ペプチドに連結した1つ以上の刺激性ペプチドを含む、上記[1]に記載の方法。
[9] 前記膜挿入サイトカインが、脂質二重層に対して親和性を有する膜挿入が可能な融合ペプチドを含み、前記融合ペプチドがIG4、CD4、またはそれらの組み合わせのセグメントを含む、上記[8]に記載の方法。
[10] 膜挿入ペプチドに連結した前記1つ以上の刺激性サイトカインが、組換えDNAによりコードされた融合タンパク質である、上記[8]に記載の方法。
[11] 前記膜挿入ペプチドが、ヒトFc、GPI、膜貫通T細胞受容体、またはpHLIPを含む、上記[8]に記載の方法。
[12] 前記1つ以上の刺激性ペプチドが、4-1BBL、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択される、上記[8]に記載の方法。
[13] 前記NK細胞を、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで前記PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させる、上記[1]に記載の方法。
[14] ステップaの前記NK細胞を、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、45、または60日間、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞と接触させる、上記[1]に記載の方法。
[15] ステップb)の後に前記増殖メモリー様NK細胞を休止させることをさらに含む、上記[1]に記載の方法。
[16] 前記細胞がメモリー様NK細胞であり、少なくとも1、2、3、4、5日間/1、2、3、4、5日以下の間休止している、上記[15]に記載の方法。
[17] NK細胞の供給源がNK細胞前駆体供給源であり、前記NK細胞前駆体供給源が臍帯血、誘導多能性幹細胞、および胚性幹細胞からなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[18] 1つ以上のサイトカインおよびNK細胞エフェクター剤を含む1つ以上の小胞を含むメモリー様NK細胞の数を増加させるためのキット。
[19] 前記1つ以上のサイトカインが、IL-12、IL-15、およびIL-18からなる群から選択される、上記[18]に記載のキット。
[20] NK細胞エフェクター剤を含む前記1つ以上の小胞が、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC21フィーダー細胞である、上記[18]に記載のキット。
[21] 前記NK細胞エフェクター剤が、-1BBL、IL-2、IL-15、IL-21、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、Jagged1、Jagged2、デルタ様1(Dll1)、デルタ様3(Dll3)、デルタ様4(Dll4)、Pref-1、DNER、Jedi、SOM-11、wingless、CCN3、MAGP2、MAGP1、TSP2、YB-1、EGFL7、CCR7、DAP12、およびDAP10からなる群から選択される、上記[20]に記載のキット。
図1