(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2022194058
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2023-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】下田 諒
【合議体】
【審判長】▲吉▼川 康史
【審判官】稲荷 宗良
【審判官】北川 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-171088(JP,A)
【文献】特開2020-18415(JP,A)
【文献】「[真・花の慶次3]最速実践!主要演出信頼度を大公開!」,YouTube[online][video],2021年12月24日,https://www.youtube.com/watch?v=sKEVc_7YhH8,2:18-2:58及び26:20-26:35参照,[2023年4月19日検索]
【文献】「Pジューシーハニー3てんこ盛り連写RUSH」,[online],DMM,2022年07月20日,https://p-town.dmm.com/machines/4155,「てんこ盛りモード中違和感演出」の欄参照,[2023年4月19日検索]
【文献】「パチスロ うしおととら 雷槍一閃 スロット新台機種情報」,[online],株式会社サミーネットワークス,2021年10月26日,https://p-gabu.jp/guideworks/machinecontents/detail/5912,「白面バトルの注目ポイント」の「○戦目表示」の欄参照,[2023年5月23日検索]
【文献】「パチスロ トータル・イクリプス」,パチスロ攻略マガジンドラゴン2016年7月号,株式会社プラントピア,2016年05月21日,p.113
【文献】「P大工の源さん 超韋駄天 BLACK パチンコ新台機種情報」,[online],株式会社サミーネットワークス,2022年05月14日,https://p-gabu.jp/guideworks/machinecontents/detail/6045,「超源RUSH(電サポ3回転+残保留1回転)」の「大当り濃厚パターン」の欄参照,[2023年5月23日検索]
【文献】「[うしおととら超獣の演出信頼度まとめ!]混ぜるな危険予告・白熱予告について完全網羅」,[online],DMM,2022年11月21日,https://p-town.dmm.com/specials/2797#report-index-45746,「●最強RUSH」の「最強RUSH中 超激アツパターン」の欄参照,[2023年5月23日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態が設けられた遊技機であって、
前記特別遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることで終了する遊技状態であり、
規定条件の成立の度に減少
する演出数値が表示され、前記規定条件の成立時点からT1時間後である通常時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合よりも、前記規定条件の成立時点からT2時間後である特殊時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合の方が、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする遊技機。
ただし、
T1≠T2であり、
前記演出数値は、前記特別遊技状態にて当否抽選結果がはずれとなる度に減少する数値であり、
前記規定条件の成立時点は、前記特別遊技状態にて当否抽選結果を報知する装飾図柄の変動が開始される変動開始時点である。
【請求項2】
前記通常時点にて到達することを契機として表示される前記演出数値と、前記特殊時点にて到達することを契機として表示される前記演出数値とは、表す数値が同じであっても態様が異なることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるように、規定条件の成立の度に減少または増加する演出数値(例えば、残りのST回数)が表示される遊技機が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、演出数値を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、規定条件の成立の度に減少または増加する演出数値が表示される遊技機であって、前記規定条件の成立時点からT1時間後である通常時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合よりも、前記規定条件の成立時点からT2時間後である特殊時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合の方が、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする。ただし、T1≠T2であるとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、演出数値を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】遊技状態(遊技状態の移行)を説明するための図である。
【
図6】非変化パターンの特定演出(
図5の続き)を説明するための図である。
【
図7】特殊変化パターンの特定演出(
図5の続き)を説明するための図である。
【
図8】挿入画像が表示、消去されるタイミングを説明するための図である。
【
図13】保留図柄の態様を説明するための図である。
【
図14】特定リーチ演出の一例(変動中保留図柄が特殊態様にあるケース)を示した図である。
【
図15】強制格下制御を説明するための図(
図14(d-2)の続き)である。
【
図21】演出様式(ステージ)および様式画像を説明するための図である。
【
図22】様式画像変化演出を説明するための図である。
【
図26】具体例3-3(
図25とは別の例)を説明するための図である。
【
図33】カウントダウン演出を説明するための図である。
【
図34】数値演出(通常パターン、特殊パターン)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、メインの表示装置である表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始されることとなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報(厳密には後述する変動前保留情報)として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下単に「変動」や「回転」と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示されるが、両者の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。なお、変動中保留図柄71(変動中保留図柄)は、厳密には「保留」(保留情報)ではないが、一般的に「当該変動保留」等と称される(保留の一種と認識されている)ため「保留」の概念に含まれるものとする。また、変動前保留図柄72に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(
図2参照)。変動前保留図柄72は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特
図1保留)が変動前保留図柄72として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特別遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特
図2保留)が変動前保留図柄72として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄72が表示される(最大八つの変動前保留図柄72が表示される)構成としてもよい。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80(左から並ぶ左装飾図柄80L、中装飾図柄80C、右装飾図柄80R)の組み合わせは所定の組み合わせ(本実施形態では、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
なお、表示領域911の外縁近傍に、目立たないように各種情報を示す画像(いわゆる「小図柄」等)が表示されるようにしてもよい(各図においては当該画像の図示を省略する)。遊技者は、この種の画像を意識せずに遊技を楽しむことが可能となっている。つまり、基本的には、装飾図柄80を見て当否抽選結果を把握することが可能である。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている(
図3参照)。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
本実施形態では、全ての大当たり遊技終了後に特別遊技状態に移行する。特別遊技状態は、所定回数(本実施形態では100回)連続して当否抽選結果がはずれとなることをもって終了する。特別遊技状態が終了した場合には通常遊技状態に移行する。特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選した場合には再び特別遊技状態に移行する(所定回数のカウントがリセットされる)ことになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選することが連チャンの条件となるいわゆるST機である。なお、以下の説明において特に明示した場合を除き、当該遊技性(スペック)とすることはあくまで一例である。例えば、いわゆる確変ループ機であってもよい。また、V確変機であってもよい。また、いわゆる小当たりが搭載され、当該小当たり当選時に所定の領域に遊技球が進入することで大当たりが獲得できる遊技機(一種・二種混合機)であってもよい。また、上記通常遊技状態や特別遊技状態とは異なる遊技状態、例えば、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)とされる遊技状態が設定された構成としてもよい。
【0020】
当否抽選結果が大当たりとなったときには大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定の閉鎖条件成立まで大入賞領域906(
図1参照;大入賞領域906は常態において閉鎖されたものである)が開放される単位遊技を一または複数回繰り返すものである。閉鎖条件は、大入賞領域906が開放されてから所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞すること(入賞条件)および大入賞領域906が開放されてから所定時間経過すること(時間条件)のいずれか一方の成立をもって成立するものとされる。本実施形態では、大当たり遊技にて継続的に大入賞領域906に向かって遊技球を発射していれば、時間条件が成立する前に入賞条件が成立するものとされている。すなわち、一の単位遊技にて10個の遊技球が大入賞領域906に入賞する。単位遊技は、ラウンド(遊技)等とも称される。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)は適宜設定することができる。本実施形態では、全ての大当たりが10ラウンド大当たりとされている。
【0021】
2)以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な演出等(演出の内容や制御)について説明する。なお、以下で説明する演出等の一部のみが実行可能な構成としてもよい。また、当該演出等を説明する図面の一部において、保留図柄70や装飾図柄80の図示を省略することがある。
【0022】
2-1)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として、特定演出(
図5~7参照)を実行することが可能である。以下の特定演出の説明において、特定演出を含む変動中演出を対象変動中演出(対象変動)と、対象変動に対応する当否抽選結果(対象変動により報知される当否抽選結果)を対象当否抽選結果と称する。本実施形態における特定演出は、リーチ演出(スーパーリーチ演出)の一種であり、当該演出専用の映像(演出映像)が出力された後、遊技者に有利な状況に至ったことを示す映像が表示される有利結末(
図6(b-1)、
図7(d-1)参照)または有利結末に至らなかったことを示す映像が表示される不利結末(
図6(b-2)、
図7(d-2)参照)に至るものである(なお、特定演出の有利結末には、一旦不利結末に至ったと見せかけてそれが覆されるいわゆる逆転パターンとなる場合を含むものとする)。遊技者に対し押ボタン等の操作手段(
図1参照)の操作が促され、当該操作を契機として結末に移行する構成としてもよい。特定演出は、対象当否抽選結果が大当たりである場合には有利結末に、はずれである場合には不利結末に至る。本実施形態における特定演出は、遊技者側のキャラクタである味方キャラクタ(図面においては「味」を付して示す)と敵キャラクタ(図面においては「敵」を付して示す)が戦ういわゆるバトル演出であり、味方キャラクタが勝利すること(敵キャラクタが敗北すること)が有利結末とされ、味方キャラクタが敗北すること(敵キャラクタが勝利すること)が不利結末とされている。特定リーチ演出が結末に至るまでに出力される演出映像は、味方キャラクタと敵キャラクタが戦っている映像である。換言すれば、演出映像は、特定演出が結末に向かって進行していることを示す映像であるといえる。いわゆるチャンスアップの発生を示す部分を除けば、毎回同じ演出映像が出力される。特定演出中においても保留図柄70や装飾図柄80が表示されるものとする場合、当該保留図柄70や装飾図柄80は演出映像に重ねて表示される。
【0023】
特定演出では、結末に至るよりも前の途中段階にて、複数種の挿入画像15(
図4参照)のうちのいずれかが表示されることがある。本実施形態では、特定演出ではもれなく複数種の挿入画像15のいずれかが表示される。ただし、挿入画像15が表示されない特定演出が発生しうる構成としてもよい。本実施形態では、複数種の挿入画像15として、互いに異なる態様である、第一挿入画像151(
図4(a)参照)、第二挿入画像152(
図4(b)参照)、第三挿入画像153(
図4(c)参照)の三種が設けられている。各挿入画像15の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、各種挿入画像15は、味方キャラクタが拡大表示された画像であって、当該味方キャラクタの背景の色が互いに異なるものとされる。具体的には、第一挿入画像151は背景「緑」、第二挿入画像152は背景「紫」、第三挿入画像153は背景「赤」とされたものである。詳細は後述するが、特定演出が有利結末に至る蓋然性、すなわち対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる(大当たり)信頼度)は、基本的にはこの順で高くなる(第三挿入画像153が最も高い)。表示された場合には大当たりが確定する種類の挿入画像15が設けられた構成としてもよい。
【0024】
本実施形態では、特定演出が結末に至る直前に複数種の挿入画像15のいずれかが表示される。この挿入画像15の種類を見て、遊技者は有利結末に至ることにどの程度期待がもてるかを感じ取りつつ、結末に移行することになる。本実施形態では、挿入画像15は、演出映像の手前に重なるようにして、表示領域911の一部に表示されるものである。したがって、挿入画像15が表示されても、当該挿入画像15が重ならない範囲(表示領域911における挿入画像15が表示されていない領域)には、演出映像の一部が表示された状態にある(
図5(c)等参照)。換言すれば、挿入画像15が表示された状態にあっても、演出映像の一部は視認可能である。
【0025】
特定演出における挿入画像15の表示パターンとして、非変化パターンおよび特殊変化パターンが生じうる。以下、各パターンについて説明する。挿入画像15が表示されずに演出映像が表示された状態を基本状態とする。非変化パターンは、基本状態(
図5(b)参照)からある種の挿入画像15が表示された状態(以下、挿入画像15が表示された状態を「挿入状態」と称する)となる(
図5(c)参照)。挿入状態後、基本状態に戻った(
図5(d)、
図6(a)参照)上で結末(有利結末(
図6(b-1)参照)または不利結末(
図6(b-2)参照))に移行する。このように、非変化パターンは、一連の特定演出を通じて挿入画像15が一度だけ(一種だけ)表示される(
図5(c)のタイミングで一度だけ表示される)ものである。ここで表示される挿入画像15の種類に応じ、有利結末に至る蓋然性(対象当否抽選結果の大当たり信頼度)は異なる。第一挿入画像151よりも第二挿入画像152が表示された場合の方が、第二挿入画像152が表示された場合よりも第三挿入画像153が表示された場合の方が、有利結末に至る蓋然性は高い。
【0026】
一方、特殊変化パターンは、次のように進行するものである。まず、基本状態(
図5(b)参照)からある種の挿入画像15が表示された挿入状態(
図5(c)参照)に移行する。当該挿入状態後、基本状態に戻る(
図5(d)、
図7(a)参照)。ここまでは上記非変化パターンと同じ流れである。換言すれば、特殊変化パターンとなる場合であっても、この時点までは、遊技者には、非変化パターンと同様にある種の挿入画像15が表示されることによる信頼度示唆(
図5(c)の時点で表示される挿入画像15による信頼度示唆)がなされているように見える。
【0027】
特殊変化パターンでは、基本状態に戻った後、再度挿入画像15が表示される(
図7(b)参照)。つまり、基本状態に戻った後、再び挿入状態に移行する。そして、当該挿入状態の後、基本状態に戻った(
図6(c)参照)上で結末(有利結末(
図7(d-1)参照)または不利結末(
図7(d-2)参照))に移行する。先に表示された挿入画像15(規定タイミングで表示される挿入画像15)を先の挿入画像15aと、後に表示された挿入画像15を後の挿入画像15bとするとともに、先の挿入画像15aが表示された状態を先の挿入状態と、後の挿入画像15bが表示された状態を後の挿入状態とすると、特殊変化パターンは、基本状態(
図5(b)参照)→先の挿入画像15aが表示された先の挿入状態(
図5(c)参照)→基本状態(
図5(d)、
図7(a)参照)→後の挿入画像15bが表示された後の挿入状態(
図7(b)参照)→基本状態(
図7(c)参照)→結末(
図7(d-1)、(d-2)参照)というように推移する。なお、非変化パターンは、基本状態(
図5(b)参照)→挿入画像15が表示された挿入状態(
図5(c)参照)→基本状態(
図5(d)、
図6(a)参照)→結末(
図6(b-1)、(b-2)参照)というように推移するものである(非変化パターンには、先の挿入状態や後の挿入状態、先の挿入画像15aや後の挿入画像15bといった概念は無い)。
【0028】
ここで、特殊変化パターンにおいて、先の挿入画像15a(
図5(c)参照)と後の挿入画像15b(
図7(b)参照)の種類は異なる。本実施形態では、先の挿入画像15aよりも後の挿入画像15bの方が、高信頼度のものとなるようにされる。よって、本実施形態においては、特殊変化パターンとなる場合に先の挿入画像15a(
図5(c)参照)として表示されうるのは、第一挿入画像151および第二挿入画像152のいずれかであって第三挿入画像153が表示されることはない(第三挿入画像153が最高信頼度であるから)。別の見方をすれば、第三挿入画像153よりも高信頼度の挿入画像15が設けられた構成とするのであれば、先の挿入画像15aとして第三挿入画像153が表示されうるということである。
【0029】
特殊変化パターンとなる場合に後の挿入画像15b(
図7(b)参照)として表示されうるのは、第二挿入画像152および第三挿入画像153のいずれかであって第一挿入画像151が表示されることはない(第一挿入画像151が最低信頼度であるから)。後の挿入画像15bとして表示される挿入画像15の種類が、有利結末に至る蓋然性(対象当否抽選結果の大当たり信頼度)を示唆する。後の挿入画像15bとして第二挿入画像152が表示された場合よりも第三挿入画像153が表示された場合の方が、有利結末に至る蓋然性は高い。本実施形態においては、特殊変化パターンにおいて表示される先の挿入画像15aは、「仮」のもの(「見せかけ」のもの)であって、その後表示される後の挿入画像15bの種類により信頼度が示唆されることになる。
【0030】
なお、非変化パターンにおいては信頼度を示唆する挿入画像15(一度表示される挿入画像15)として第一挿入画像151~第三挿入画像153のいずれも表示されうることに鑑みれば、信頼度を示唆する後の挿入画像15bとして第一挿入画像151が表示されることがない特殊変化パターンはいわゆるチャンスアップパターンである(非変化パターンが「デフォルト」であり、特殊変化パターンが「チャンスアップ」である)といえる。特定演出が発生した場合、それが「デフォルト」である非変化パターンとなる確率の方が、「チャンスアップ」である特殊変化パターンとなる確率よりも高い設定とすることが好ましい。本実施形態では、特定演出が発生した場合、それが非変化パターンとされる確率は90%以上とされる。よって、特定演出が発生した場合、そのほとんどは非変化パターンとなり、遊技者が特殊変化パターンに接することはまれである。
【0031】
このように、本実施形態における特定演出は、挿入画像15の種類により有利結末に至る蓋然性(対象当否抽選結果の大当たり信頼度)が示唆されるものである。信頼度を示唆する画像が変化して信頼度が高まったことを示唆するような演出は周知であるところ、本実施形態における特殊変化パターンは、ある種の挿入画像15(先の挿入画像15a)が表示された状態(先の挿入状態)(
図5(c)参照)の後、一旦は基本状態に戻るのである(
図5(d)、
図7(a)参照)から、その時点で挿入画像15の種類が変化することはないように遊技者は感じる。つまり、遊技者は、基本状態に戻った以上、挿入画像15の表示は終了し、挿入画像15の種類は変化しない(先の挿入画像15aが最終的な信頼度示唆である)と感じる蓋然性が高いから、その後別種の挿入画像15(後の挿入画像15b)が表示された状態(後の挿入状態)に移行することが(変化を予測していない)遊技者にとって驚きのある演出形態とすることができる。
【0032】
非変化パターンおよび特殊変化パターンにおける挿入画像15が表示されるタイミングや消去されるタイミングは次のように設定されるとよい。いずれのパターンにおいても、これらのタイミングは演出映像を基準に制御する。つまり、遊技者が同じ状態であると認識される演出映像の一コマ(演出映像の同じ個所)が出力されている時点は同じタイミングであるとする(
図8(a)参照)。換言すれば、演出映像の進行の程度が同じである時点は同じタイミングであるとする。
【0033】
非変化パターンにて挿入画像15が表示される(基本状態から挿入状態に移行する)タイミングと、特殊変化パターンにて先の挿入画像15aが表示される(基本状態から先の挿入状態に移行する)タイミングは一致する(
図8のタイミングT1)。つまり、非変化パターンとなる場合(
図8(b-1)参照)、特殊変化パターンとなる場合(
図8(b-2)参照)のいずれであっても演出映像がある時点まで進行することを契機として挿入画像15が表示される。つまり、当該挿入画像15の表示タイミングにより、非変化パターンおよび特殊変化パターンのいずれであるのか見分けはつかない。
【0034】
また、非変化パターンにて挿入画像15が消去される(挿入状態から基本状態に戻る)タイミングと、特殊変化パターンにて先の挿入画像15aが消去される(先の挿入状態から基本状態に戻る)タイミングは一致する(
図8のタイミングT2)。換言すれば、非変化パターンにて挿入状態が終了した時点にて表示されている演出映像の箇所(一コマ)と、特殊変化パターンにて先の挿入状態が終了した時点にて表示されている演出映像の箇所(一コマ)は同じである(同じ場面を表した画像(一コマ)が表示された状態にある)。このように構成されているため、特殊変化パターンとなる場合であっても、先の挿入画像15aが消去された時点(タイミングT2)では、非変化パターンとは見分けがつかないことになる。例えば、非変化パターンには接したことがあるが、特殊変化パターンには接したことがない遊技者であれば、特殊変化パターンとなる場合であっても挿入画像15(先の挿入画像15a)が消去されて基本状態に戻った後は、そのまま結末に向かうと予測するはずであろうから、再び挿入画像15(後の挿入画像15b)が表示された状態(後の挿入状態)に移行することは遊技者が予測していない驚きのある事象となる。
【0035】
非変化パターンとなる場合には、挿入画像15が消去された後(
図8のタイミングT2の到達後)は、基本状態のまま結末を迎える(
図8(a)、(b-1)参照)。特殊変化パターンとなる場合には、先の挿入画像15aが消去された後(
図8のタイミングT2の到達後)、タイミングT3に到達することを契機として後の挿入画像15bが表示され、タイミングT4に到達することを契機として後の挿入画像15bが消去される。消去された後は、基本状態となって結末を迎える(
図8(a)、(b-2)参照)
【0036】
以下、上記特定演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0037】
〇具体例1-1
特定演出における挿入画像15の表示パターンとして、直接変化パターンが生じうる構成とする。直接変化パターンは、一旦表示された挿入画像15の種類が変化する(先の挿入画像15aから後の挿入画像15bに変化する)という点においては特殊変化パターンと共通する。一連の特定演出において挿入画像15の種類が変化しないものを非変化パターンと、変化するものを変化パターンとすれば、変化パターンに含まれる概念として上記実施形態にて説明した特殊変化パターンと、本例にて説明する直接変化パターンがあるということになる。
【0038】
直接変化パターンは、基本状態(
図9(a)参照)から先の挿入画像15aが表示された先の挿入状態に移行する(
図9(b)参照)。その後、基本状態に戻らずに、後の挿入画像15bが表示された後の挿入状態に移行する(
図9(c)参照)ものである。特殊変化パターンと直接変化パターンは、先の挿入状態と後の挿入状態との間に、基本状態が存在するか否かで相違するものである。直接変化パターンが発生する確率(一回の特定演出にて当該パターンとなる確率)は、特殊変化パターンが発生する確率よりも高くされていることが好ましい。すなわち、特殊変化パターンよりも直接変化パターンの方が接する確率が高い設定とすることが好ましい。
【0039】
このような直接変化パターンが発生しうるようにすることで、直接変化パターンに接した遊技者は、特定演出にて挿入画像15の種類が変化する場合、ある種の挿入画像15から別種の挿入画像15への変化は直接的に発生する(間を置かずに発生する)のであろうと捉える蓋然性が高い。そのような状況で別の特定演出にて特殊変化パターンが発生した場合、ある種の挿入画像15(先の挿入画像15a)が表示された状態(先の挿入状態)から基本状態に戻ったことで、挿入画像15の変化は発生しないと遊技者は感じる蓋然性が高いところ、そこから別種の挿入画像15(後の挿入画像15b)が表示された状態(後の挿入状態)となるから、遊技者の予測を大きく裏切ることになる。つまり、直接変化パターンの存在が、特殊変化パターンが発生したときの遊技者の驚きをより一層大きくすることに資する遊技性とすることができる。
【0040】
〇具体例1-2
上記実施形態における特殊変化パターンは、後の挿入画像15bが表示される後の挿入状態後、基本状態に戻った上で結末に移行することを説明したが、後の挿入状態の後、基本状態に戻らずに結末に移行する構成としてもよい。後の挿入画像15bが表示されることによって挿入画像15の変化は遊技者に示されたのであるから、基本状態に戻す必要はないとしてそのまま結末に移行するようにしてもよい。
【0041】
〇具体例1-3
非変化パターンにて表示された挿入画像15の種類と、特殊変化パターンにて表示された後の挿入画像15bの種類とが同じであるケースどうしを比較した場合、前者よりも後者の方が高信頼度である設定とする。非変化パターンにて第二挿入画像152が表示された場合と、特殊変化パターンにて第一挿入画像151が第二挿入画像152(後の挿入画像15b)に変化した場合とでは、最終的に表示された挿入画像15は第二挿入画像152という点で同じであるが、非変化パターンよりも特殊変化パターンの方が高信頼度である設定とする(
図10に示した例は、前者が信頼度20%、後者が信頼度35%である)。また、非変化パターンにて第三挿入画像153が表示された場合と、特殊変化パターンにて第一挿入画像151または第二挿入画像152(先の挿入画像15a)が第三挿入画像153(後の挿入画像15b)に変化した場合とでは、最終的に表示された挿入画像15は第三挿入画像153という点で同じであるが、非変化パターンよりも特殊変化パターンの方が高信頼度である設定とする(
図10に示した例は、前者が信頼度50%、後者が信頼度75%である)。
【0042】
このようにすることで、挿入画像15の変化が発生した結果としてある種の挿入画像15が表示された場合(特殊変化パターン)の方が、最初からある種の挿入画像15が表示された場合(非変化パターン)よりも、遊技者にとって有利であるという演出形態となる。
【0043】
〇具体例1-4
特殊変化パターンにおいて、後の挿入画像15bの種類が同じであったとしても、先の挿入画像15aの種類が異なる場合には、信頼度が異なる設定とする。例えば、上記実施形態のように挿入画像15として第一挿入画像151~第三挿入画像153の三種が設けられている構成において、先の挿入画像15aが第一挿入画像151であり、後の挿入画像15bが第三挿入画像153である特殊変化パターンが発生した場合と、先の挿入画像15aが第二挿入画像152であり、後の挿入画像15bが第三挿入画像153である特殊変化パターンが発生した場合とでは信頼度が異なる設定とする(
図11参照)。つまり、両者は、後の挿入画像15bとして第三挿入画像153が表示される点では同じではあるが、先の挿入画像15aとして表示されるものが異なるから、信頼度が相違するという構成である。
【0044】
本例のようにする場合、先の挿入画像15aと後の挿入画像15bの信頼度の差(非変化パターン時に表示されたときの信頼度の差)が大きいほど高信頼度であるようにするとよい。上記の例でいえば、先の挿入画像15aが第一挿入画像151であり、後の挿入画像15bが第三挿入画像153である特殊変化パターンが発生した場合の方が、先の挿入画像15aが第二挿入画像152であり、後の挿入画像15bが第三挿入画像153である特殊変化パターンが発生した場合よりも、高信頼度である設定とする(
図11に示した例は、前者が信頼度80%、後者が信頼度50%である)。このようにすることで、先の挿入画像15aから後の挿入画像15bに変化することで高まった信頼度の度合が大きいほど、遊技者にとって有利であるという演出形態となる。
【0045】
〇具体例1-5
上記実施形態では、特殊変化パターンにて後の挿入画像15bとして表示されうる挿入画像15(第二挿入画像152、第三挿入画像153)は、非変化パターンにおいても表示されうるものであることを説明したが、特殊変化パターンにて後の挿入画像15bとして表示されるのは非変化パターンにて表示されることがない「専用の特殊画像」である(以下、当該画像を特殊挿入画像15Sと称する)構成とする。例えば、上記実施形態では、第一挿入画像151「緑」、第二挿入画像152は「紫」、第三挿入画像153は「赤」とされたものであることを説明したが、これらの挿入画像15のいずれとも態様が異なる「金」の特殊挿入画像15Sが後の挿入画像15bとして表示される(
図12(d)参照)構成とする。このようにすることで、特殊変化パターンが発生したときには、非変化パターンにて表示されることがない特殊挿入画像15Sが表示されることになるから、特殊変化パターンの発生がより明確に遊技者に示されることとなる。なお、本例のようにする場合には、先の挿入画像15a(
図12(b)参照)として第三挿入画像153(非変化パターンにて表示されうる挿入画像15のうち最も高信頼度の画像)が表示されうる構成とすることができる。先の挿入画像15aとして第三挿入画像153が表示されても、当該第三挿入画像153から特殊挿入画像15Sへ変化する演出態様とすることができるからである。
【0046】
本例のようにする場合、非変化パターンにて表示される挿入画像15の種類にかかわらず、非変化パターンよりも特殊変化パターンの方が高信頼度とすることが好ましい。上記の通り、特殊変化パターンは、非変化パターンでは表示されることがない特別な画像(特殊挿入画像15S)が表示されるのであるから、非変化パターンよりも高信頼度とした方が分かりやすい遊技性となる(特殊挿入画像15Sが、第一挿入画像151~第三挿入画像153のいずれよりも高信頼度であることを示唆する特別な画像として機能するようにする)。なお、特殊変化パターンが発生した場合には、大当たりが確定する設定としてもよい。すなわち、特殊挿入画像15Sは、大当たり確定のプレミア画像として機能する設定としてもよい。
【0047】
2-2)強制格下制御
本実施形態では、保留図柄70の態様により、当該保留図柄70に対応する当否抽選結果の信頼度が示唆される。当該保留図柄70がなりうる態様として、一または複数種の通常態様70nと、一または複数種の特殊態様70sが設定されている(
図13参照)。なお、このような保留図柄70の態様による信頼度示唆がなされる構成自体は周知であるから以下簡単に説明する。通常態様70nは、保留図柄70の常態である。すなわち、保留図柄70は通常態様70nとされる確率が最も高い。特殊態様70sは、通常態様70nにあるときよりも対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高い(信頼度が高い)ことを示唆する態様である。本実施形態では、特殊態様70sとして、第一特殊態様71s、第二特殊態様72s、第三特殊態様73sの三つが設けられており、この順で信頼度が高くなる(第三特殊態様73sが最も高い)。対応する当否抽選結果が大当たりとなることが確定する大当たり確定の特殊態様70sが設けられていてもよい。ただし、このような大当たり確定の特殊態様70sが設けられているとした場合において、変動中保留図柄71が当該大当たり確定の特殊態様70sとなった場合には、詳細を後述する強制格下制御は実行されることがない。いわゆるステージ(モード)に応じて、通常態様70nや特殊態様70sの具体的態様が変化する構成としてもよい(ステージ(モード)に応じた通常態様70n、特殊態様70sが設けられた構成としてもよい)。本実施形態では、通常態様70nは「白色」、第一特殊態様71sは「青色」、第二特殊態様72sは「緑色」、第三特殊態様73sは「赤色」を呈する(図面においては、特殊態様70sの色を文字で示し、通常態様70nは無印としている)。保留図柄70の態様が、信頼度が高まる方向に変化する公知の保留変化演出も発生しうる(なお、詳細を後述する強制格下制御は、いわば信頼度が低まる方向への変化であるから、当該保留変化演出に含まれるものではない)。本実施形態では、変動中保留図柄71および変動前保留図柄72のいずれも、上記通常態様70nおよび特殊態様70sとなりうる。
【0048】
変動中演出を構成する演出として、特定リーチ演出が発生しうる。以下の強制格下制御の説明においては、特定リーチ演出を含む変動中演出を対象変動中演出と、対象変動中演出に対応する当否抽選結果を対象当否抽選結果と称する。なお、当該特定リーチ演出として複数種の演出が発生しうるようにしてもよい。特定リーチ演出は、遊技者に有利な状況となったことを示す画像が表示される有利結末(
図14(c-1)参照)または当該有利結末に至らない場合の結末であって遊技者に不利な状況となったことを示す画像が表示される不利結末(
図14(c-2)参照)に至るものである。特定リーチ演出が有利結末に至った場合には、対象当否抽選結果が大当たりであることが確定する(
図14(d-1)参照)。特定リーチ演出が不利結末に至った場合には、後述する逆転演出が発生するような場合を除き、対象当否抽選結果がはずれであることが確定する(
図15(b)参照)。なお、以下の説明において、特に明示した場合を除き、単に不利結末というときは逆転演出が発生しないケース(対象当否抽選結果がはずれであるケース)をいうものとする。特定リーチ演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態における特定リーチ演出は、所定のキャラクタがミッションに挑戦し(
図14(a)(b)参照)、成功することが有利結末(
図14(c-1)参照)と、失敗することが不利結末(
図14(c-2)参照)とされたものである。その他、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦うバトル演出を特定リーチ演出とすることも考えられる。
【0049】
当該特定リーチ演出が実行される際、変動中保留図柄71について強制格下制御が実行されることがある。以下、当該強制格下制御について説明する。強制格下制御は、
(1)特定リーチ演出が結末に至る前(有利結末/不利結末が判明する前)に、変動中保留図柄71が特殊態様70s(本実施形態では、第一特殊態様71s~第三特殊態様73sのいずれか)となっていること
(2)特定リーチ演出が不利結末に至ること
の二つの条件を満たした場合に実行されうる。すなわち、特定リーチ演出が結末に至る前に変動中保留図柄71が特殊態様70sにない(通常態様70n)である場合には実行されない(そもそも変動中保留図柄71を「格下」することはできない)し、特定リーチ演出が有利結末に至る場合には実行されない。
【0050】
保留図柄70の態様を変化させる保留変化演出(保留格下制御とは異なる)は、信頼度が高まる方向への変化しか発生しないから、特定リーチ演出が開始される時点で特殊態様70sにある場合には、特定リーチ演出が結末に至るよりも前に変動中保留図柄71が特殊態様70sにあるとする条件(上記(1)の条件)を満たすことになる。また、図示しないが、本実施形態では、特定リーチ演出中においても保留変化演出が発生しうる。したがって、特定リーチ演出の開始時には変動中保留図柄71が通常態様70nにあっても、特定リーチ演出の途中(結末に至るよりも前)に変動中保留図柄71についての保留変化演出が発生した結果、変動中保留図柄71が特殊態様70sとなること(特定リーチ演出の途中で上記(1)の条件を途中で満たすこと)もある。
【0051】
対象当否抽選結果がはずれである場合には、特定リーチ演出は不利結末に至ることになる。つまり、変動中保留図柄71が特殊態様70sにある状態(
図14(b)参照)で不利結末に至ったことを示す画像が表示された不利結末に至る(
図14(c-2)参照)ことになる。なお、本実施形態では、当該不利結末に至ったことを示す画像が表示された状態においても特殊態様70sにある変動中保留図柄71が表示される(。
【0052】
その後、表示領域911に場面切替画像20が表示される(
図14(d-2)参照)。場面切替画像20が表示された状態においては、変動中保留図柄71が表示されない状態となる。本実施形態では、場面切替画像20が表示された状態においては、変動前保留図柄72も表示されない状態となる。なお、場面切替画像20が表示されている状態で表示領域911の外縁近傍に小さく保留数等が表示されることは、保留図柄70の表示にあたらないものとする。すなわち、ここでいう保留図柄70(変動中保留図柄71、変動中保留図柄71)が表示されないとは、保留変化演出の対象となるような保留図柄70が表示されないことを指し、遊技者に目立たないように小さく表示されるようなものについての表示・非表示をいうものではない(以下、保留図柄70の表示・非表示についていうときは同じ)。場面切替画像20の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では黒一色の画像が場面切替画像20として表示領域911全体に表示される。場面切替画像20が表示される時間は1秒程度である。
【0053】
場面切替画像20が消去された後は、対象当否抽選結果がはずれであることを示す組み合わせを構成する三つの装飾図柄80が擬似停止した状態にある(
図15(a)参照)。なお、擬似停止とは、完全には停止していないものの遊技者には停止したように見える状態をいう(例えば、わずかに揺れ動いている状態とする)。本実施形態では、特定リーチ演出はリーチ演出であるから、リーチはずれ組み合わせ(三つのうちの二つが同種の装飾図柄80で、一つが異なる装飾図柄80である組み合わせ)で三つの装飾図柄80が擬似停止した状態にある。この後、当該三つの装飾図柄80が完全に停止する(
図15(b)参照)。当該「完全な停止」をもって対象変動中演出が終了するということである。変動前保留情報(変動前保留図柄72)が存在する場合には、対象変動中演出(対象変動)が終了した後、続けざまに次の変動中演出(次変動)が開始されることになる(
図15(c)参照)。図示しないが、変動前保留情報(変動前保留図柄72)が存在しない場合には、次の始動入賞を契機として次の変動中演出(次変動)が開始されることになる。このように、場面切替画像20が消去された後、対象変動が終了するまでの期間は、次の変動の開始に備えた待機期間であるといえる(当該待機期間は、対象変動中演出の終了時点を含む最後の期間(終末期間)でもある)。よって、待機期間においては、三つの装飾図柄80(リーチはずれ組み合わせを構成する装飾図柄80)の背景として変動開始時に表示される背景画像29と同種の画像(遊技者に同一される画像)が表示される(なお、一部の図面においては当該背景画像29の図示を省略している)。本実施形態では、当該待機期間の長さも1秒程度とされる。
【0054】
ここで、待機期間においては、変動中保留図柄71の態様は通常態様70nとされる(
図15(a)参照)。すなわち、場面切替画像20が表示される前の状態においては特殊態様70sであった変動中保留図柄71が、場面切替画像20が消去された後の待機期間においては通常態様70nに「格下」される(信頼度が低下する方向に変化している)ということである。換言すれば、特定リーチ演出が結末に至るよりも前には変動中保留図柄71は特殊態様70sにあったものの、対象変動中演出の終了時点(変動中保留図柄71が消去される時点)において、変動中保留図柄71が通常態様70nにある(
図15(b)参照)ように制御される。これが強制格下制御である。
【0055】
このような強制格下制御がなされる理由は以下の通りである。変動中保留図柄71が特殊態様70sとなることは、通常態様70nにあるとき(常態であるとき)よりも対象当否抽選結果が大当たりとなることに期待がもてるということであるから、遊技者は特定リーチ演出が有利結末に至ることに期待する。しかし、その期待に反して特定リーチ演出が不利結末に至った場合には遊技者は落胆することになるところ、仮に、失敗結末に至った後も特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示されているようにする(
図15(a)の状態で特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示されているようにする)とそれを見た遊技者はさらに落ち込んでしまう(苛立ってしまう)おそれがある(せっかく特殊態様70sの保留が表示されたのに大当たりにならなかったことを改めて認識し(思い出してしまい)、悔しさが増大してしまうおそれがある)。このような状況になるのを防止するため、失敗結末に至った後は、強制格下制御により変動中保留図柄71を強制的に通常態様70nに格下して、特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示されていたことを遊技者に思い出させないようにしている。
【0056】
また、本実施形態では、強制格下制御がなされる場合であっても、特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示された状態と、通常態様70nの変動中保留図柄71が表示された状態との間には変動中保留図柄71が表示されない状態(場面切替画像20が表示された状態)が存在する(
図14(d-2)参照)。そのため、変動中保留図柄71が特殊態様70sから通常態様70nに直接変化することが示される制御(演出)ではない。すなわち、目立たないように変動中保留図柄71が通常態様70nとされる制御である。
【0057】
以下、上記強制格下制御に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0058】
〇具体例2-1
上記実施形態にて説明した、
(1)特定リーチ演出が結末に至る前に、変動中保留図柄71が特殊態様70sとなっていること
(2)特定リーチ演出が不利結末に至ること
の二つの条件を満たしたとしても、強制格下制御が実行されない場合がある構成とする。具体的には、対象当否抽選結果が大当たりである場合には、強制格下制御が実行されない構成とする。
【0059】
特定リーチ演出は、有利結末に至った場合には、対象当否抽選結果が大当たりであることが確定するものとする。一方、不利結末に至った場合には、基本的には(ほとんどのケースにおいては)対象当否抽選結果がはずれであるものの、不利結末に至ったことが覆される逆転演出が発生して対象当否抽選結果が大当たりであることが報知されるに至る場合がある(
図16(d)参照)ものとする。端的にいえば、逆転演出無しの不利結末(通常の不利結末)は「はずれ」であり、逆転演出有りの不利結末(特殊な不利結末)は「大当たり」である設定とする。なお、この種の逆転演出自体は公知であるし、種々の態様の逆転演出が提案されているから詳細な説明を省略する。逆転演出は、場面切替画像20(
図16(b)参照)が消去された後、擬似停止した状態にあるリーチはずれ組み合わせが変動中保留図柄71とともに表示された状態(
図16(c)参照)を経て発生する(
図16(d)参照)ものとする。当該逆転演出が開始された後、対象当否抽選結果が大当たりであることを示す当たり組み合わせが確定表示(完全に停止した状態で表示)されて対象変動中演出が終了する。
【0060】
上記(1)および(2)の条件を満たすものの、対象当否抽選結果が大当たりである場合(すなわち逆転演出が発生する場合)には、強制格下制御が実行されないようにする(
図16(a)(c)参照)。上述した通り、強制格下制御は、対象当否抽選結果がはずれとなったことについて特殊態様70sの変動中保留図柄71を見て遊技者がさらに落胆してしまうことを防止するために実行するものであるから、逆転演出が発生して対象当否抽選結果が大当たりとなる場合にまで強制格下制御を実行する必要はないといえる。また、このようにした場合には、特定リーチ演出が結末に至る前に変動中保留図柄71が特殊態様70sとなっており(上記(1)の条件を満たし)、特定リーチ演出が失敗結末に至ったとき(上記(2)の条件を満たしたとき)において、場面切替画像20(
図16(b)参照)が消去された後、変動中保留図柄71が通常態様70nではなく特殊態様70sにあれば(
図16(c)のような状態であれば)、逆転演出が発生する(
図16(d)参照)という演出形態となる。つまり、かかる「法則」を知っている遊技者であれば、場面切替画像20が消去された後、変動中保留図柄71の態様に注目することで、逆転演出が発生するかどうかを先に知ることができるという演出形態となる。
【0061】
なお、強制格下制御が実行された場合でも逆転演出が発生しうる構成としてもよい。このようにした場合には、場面切替画像20が消去された後、変動中保留図柄71が通常態様70nにある場合であっても、逆転演出が発生して対象当否抽選結果が大当たりであることが報知されるに至る可能性に期待がもてることになる。
【0062】
〇具体例2-2
複数種の特殊態様70sの全部ではなく、一部が強制格下制御の対象となる(他の一部は強制格下制御の対象とならない)構成とする。具体的には、複数種の特殊態様70sのうち、高信頼度のものから数えた一部は強制格下制御の対象となる特殊態様70s(以下、対象特殊態様と称する)であるが、それ以外は強制格下制御の対象とはならない特殊態様70s(以下、非対象特殊態様と称する)である構成とする。
【0063】
例えば、上記実施形態のように、特殊態様70sとして第一特殊態様71s~第三特殊態様73sの三種が設けられている場合において、第三特殊態様73sは対象特殊態様であるが、第一特殊態様71s、第二特殊態様72sは非対象特殊態様である構成とする。このようにした場合、変動中保留図柄71が第三特殊態様73sであるときには、当該特定リーチ演出が不利結末に至った場合には強制格下制御が実行される(対象変動の終了時点で変動中保留図柄71は通常態様70nにある)(
図17(a)→(b)→(c-2)参照)が、変動中保留図柄71が第一特殊態様71sまたは第二特殊態様72sであるときには、当該特定リーチ演出が不利結末に至った場合でも強制格下制御が実行されない(対象変動の終了時点で変動中保留図柄71は第一特殊態様71sまたは第二特殊態様72sにある)(
図17(a)→(b)→(c-1)参照)ことになる。
【0064】
強制格下制御は、対象当否抽選結果がはずれとなった(特定リーチ演出が不利結末に至った)ことに伴う遊技者のさらなる落胆を防止するためのものであるところ、比較的信頼度が低い特殊態様70sが表示されていた場合にはそこまで遊技者が落胆しない(あくまで比較的信頼度が高い特殊態様70sが表示されていた場合に遊技者が大きく落胆する)ものであると捉え、本例のようにすることも考えられる。この観点からいえば、はずれとなった(不利結末に至った)ときに遊技者が大きく落胆するのがどの特殊態様70sなのかを各種特殊態様70sの信頼度とともに十分に検討する必要がある。第二特殊態様72s(緑)であっても遊技者が大きく落胆するおそれがあると考えるのであれば、第三特殊態様73sのみならず、第二特殊態様72sも対象特殊態様である構成とすればよい。
【0065】
〇具体例2-3
上記実施形態にて説明した、
(1)特定リーチ演出が結末に至る前に、変動中保留図柄71が特殊態様70sとなっていること
(2)特定リーチ演出が不利結末に至ること
の二つの条件を満たした場合には、不利結末に至った(
図18(a)参照)後、変動中保留図柄71が表示されない(
図18(c)参照)構成とする。すなわち、上記実施形態の強制格下制御のように、特殊態様70sから通常態様70nへの強制的な格下が変動中保留図柄71に生じるようにするわけではなく、特殊態様70sであった変動中保留図柄71が失敗結末に至った後、対象変動が終了するまでは表示されない(本来であれば変動中保留図柄71が表示されている位置に変動中保留図柄71が表示されない)構成とする。変動中保留図柄71が表示されなければ、失敗結末に至った後、変動中保留図柄71が特殊態様70sであったことを遊技者が改めて認識する状況には至らないから、遊技者の悔しさが増大してしまうのを防止することができる。
【0066】
ただし、本例のようにすると、変動中保留図柄71が表示されないという状況に遊技者が違和感を覚え、変動中保留図柄71が特殊態様70sであったことを思い出すといったおそれはある。一方、上記強制格下制御は、失敗結末に至った後は通常態様70nの変動中保留図柄71が表示されるのであるから、変動中保留図柄71が表示されていないことに遊技者が違和感を覚えることはなく、その点において本例よりも優れるといえる。
【0067】
〇具体例2-4
特定リーチ中は、変動中保留図柄71が表示されない構成とする(
図19(b)(c)参照)。変動中保留図柄71だけでなく、変動前保留図柄72も表示されないように(すなわち、保留図柄70が表示されないように)するとよい。そして、強制格下制御は、特定リーチ演出が開始される時点で変動中保留図柄71が特殊態様70sである場合(特定リーチ演出に発展(移行する)直前の変動中保留図柄71が特殊態様70sである場合)(
図19(a)参照)に実行されうるものとする。つまり、対象変動において、特定リーチ演出が結末に至るよりも前の段階で、変動中保留図柄71が表示されている最後の時点は特定リーチ演出が開始される時点(開始直前)であるから、その時点での変動中保留図柄71の態様が特殊態様70sである場合に強制格下制御が実行されうるようにする。そして、特定リーチ演出が失敗結末に至った(
図19(c)参照)後、次の変動開始に備えて待機している待機期間にて、変動中保留図柄71が通常態様70nとされる(
図19(d)参照)ものとする。
【0068】
このように、特定リーチ演出中に変動中保留図柄71が表示されないのであれば、対象変動における変動中保留図柄71が表示されている最終時点において変動中保留図柄71が特殊態様70sにある場合に強制格下制御が実行されうる構成とすればよい。また、本例のようにした場合には、特定リーチ演出中は変動中保留図柄71が表示されないのであるから、上記実施形態のような場面切替画像20が表示された状態を設けなくてもよいという利点がある。すなわち、不利結末に至った画像が表示された状態の後、直接、待機期間に移行するようにしても、特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示された状態(
図19(a)参照)と、通常態様70nの変動中保留図柄71が表示された状態(
図19(d)参照)との間には特定リーチ演出が実行されている状態(変動中保留図柄71が非表示の状態)(
図19(b)(c)参照)が存在することになるから、変動中保留図柄71が特殊態様70sから通常態様70nに直接変化する演出形態にはならない。つまり、特定リーチ演出が、特殊態様70sと通常態様70nとの間に介在される状態(一時的に変動中保留図柄71を非表示とする状態)としても機能することになる。
【0069】
〇具体例2-5
上記実施形態では、不利結末に至った状態(不利結末に至ったことを示す画像が表示された状態)でも変動中保留図柄71が表示されていることを説明したが、不利結末に至った状態では変動中保留図柄71が表示されないようにする。変動中保留図柄71だけではなく、変動前保留図柄72も表示されないようにするとよい。つまり、特定リーチ演出は、結末に至る前までは変動中保留図柄71が表示される(
図20(a)参照)が、結末に至ることを契機として変動中保留図柄71が非表示となる(
図20(b)参照)構成とする。この場合、変動中保留図柄71が表示されている最終時点にて当該変動中保留図柄71が特殊態様70sにあり、不利結末に至った場合には強制格下制御が実行される(
図20(c)参照)ようにする。
【0070】
本例のようにした場合には、不利結末に至った状態(不利結末に至ったことを示す画像が表示された状態)にて変動中保留図柄71が表示されない状態となるのであるから、上記実施形態のような場面切替画像20が表示された状態を設けなくてもよいという利点がある。すなわち、不利結末に至った画像が表示された状態の後、直接、待機期間に移行するようにしても、特殊態様70sの変動中保留図柄71が表示された状態(
図20(a)参照)と、通常態様70nの変動中保留図柄71が表示された状態(
図20(c)参照)との間には変動中保留図柄71が表示されない状態(不利結末に至ったことを示す画像が表示された状態)(
図20(b)参照)が存在することになるから、変動中保留図柄71が特殊態様70sから通常態様70nに直接変化する演出形態にはならない。つまり、不利結末が、特殊態様70sと通常態様70nとの間に介在される状態(一時的に変動中保留図柄71を非表示とする状態)としても機能することになる。
【0071】
2-3)様式画像変化演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として、様式画像変化演出を実行することが可能である。様式画像変化演出は、常態において表示領域911に表示される様式画像30を利用した演出である。通常遊技状態中における変動中演出は、複数種の演出様式(
図21(a)参照)のいずれが設定されているかに応じて基本的態様が異なる。当該演出様式は、一般には、ステージやモード等と称されるものである(このようなステージやモードといった概念自体は公知である)。本実施形態では、複数種の演出様式として、Aステージ(
図21(a-1)参照)、Bステージ(
図21(a-2)参照)、Cステージ(
図21(a-3)参照)の三種が設けられている。各ステージが設定されているときにおける変動中演出の基本的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、AステージはキャラクタAを、BステージはキャラクタBを、CステージはキャラクタCをモチーフとしたものである(A、B、Cは、各キャラクタの名称(名前)である)。あるステージが設定されている状態においては、当該ステージに対応する専用の背景画像(装飾図柄80の背景として表示される画像)が表示されたり、対応するキャラクタが頻繁に登場したりするような変動中演出の基本的態様とされる。その他、ステージは、場所(都市、国等)に対応づけられたものとすることや、時間(朝、昼、夜等)に対応づけられたものとすることが考えられる。
【0072】
様式画像30は、現在設定されている演出様式(ステージ)を示すために常態にて表示領域911に表示される画像(
図21参照)である。本実施形態では、対応するステージの名称である「○○ステージ」の文字を含む様式画像30とされている。すなわち、Aステージが設定されている変動中演出中は「Aステージ」の文字を含む様式画像30(
図21(a-1)参照)が、Bステージが設定されている変動中演出中は「Bステージ」の文字を含む様式画像30(
図21(a-2)参照)が、Cステージが設定されている変動中演出中は「Cステージ」の文字を含む様式画像30(
図21(a-3)参照)が表示領域911に表示される。当該複数種の様式画像30は、互いに異なる固有部31および互いに共通する共通部32を有するものであるといえる。固有部31は、各種演出様式(ステージ)固有の名前を表す部分、すなわち「A」、「B」、「C」の部分であり、共通部32は「ステージ」の部分である(
図21(b)参照)。遊技者は、固有部31により、現在の演出様式を把握することができる。また、共通部32により、各様式画像30が「ステージ」の名称を表しているものであると認識する。
【0073】
なお、当然ではあるが、ある種の様式画像30が、当該ある種の様式画像30に対応しないステージが設定されている状態にて表示されることはない(例えば、Aステージが設定されている状態において、「Bステージ」や「Cステージ」の様式画像30が表示されることはない)。本実施形態では、表示領域911の外縁近傍に様式画像30が表示される。様式画像30は、変動中演出の開始から最後まで表示されていることが好ましいが、一時的に表示されない状態となることは許容されるものとする。本実施形態では、スーパーリーチ演出中は様式画像30が表示されず(スーパーリーチに発展した場合には様式画像30が消去され)、それ以外の状態においては様式画像30が表示される。すなわち、少なくともリーチ(当否抽選結果を示す三つの装飾図柄80のうちの二つが同種となること)が成立するか否かが判明していないような状態においては様式画像30が表示される。
【0074】
様式画像変化演出は、上記様式画像30を示唆画像35に変化させる演出である(
図22参照)。示唆画像35は、様式画像変化演出を含む変動中演出(以下、対象変動中演出(対象変動)と称する)に対応する当否抽選結果(以下、対象当否抽選結果と称する)が大当たりとなる蓋然性((大当たり)信頼度)が高まったこと(様式画像変化演出が発生しない場合と比較して信頼度が高いこと)を示唆する、いわゆるチャンスアップ演出である。本実施形態における示唆画像35は、「チャンスステージ」の文字を含む画像である。上述した通り、様式画像30は「A」~「C」の固有部31と、「ステージ」の共通部32を含む画像である。示唆画像35は、様式画像30の共通部32を維持しつつ、固有部31の「A」~「C」のいずれかを「チャンス」(対象当否抽選結果を示唆する文字)に変化させたものであるといえる(
図22(c)参照)。
【0075】
本実施形態では、様式画像変化演出の開始は、対象変動中演出の開始と略同時とされる。すなわち、対象変動中演出の開始を契機として様式画像30が示唆画像35に変化する。ただし、対象変動中演出と、その一つ前の変動中演出(以下、先の変動中演出(先の変動)と称する)とでは、演出様式の変化は発生しないものとされる。すなわち、先の変動から対象変動にかけてはステージチェンジが発生しないことを前提とし、先の変動と対象変動の境界時点で様式画像変化演出が発生することがある。すなわち、ステージチェンジが発生していないにもかかわらず、様式画像30が(示唆画像35に)変化するという事象が発生する(
図22(b)→(c)参照)ことになる。なお、本実施形態のように変動間(先の変動と対象変動の間)ではなく、変動途中で様式画像変化演出が開始されうる構成としてもよい。
【0076】
このように、本実施形態における遊技機1は、常態においては現在の演出様式を示す様式画像30が示唆画像35に変化する(
図22(b)(c)参照)ことにより、対象当否抽選結果に期待がもてるという面白みのある演出(様式画像変化演出)を実行することができる。
【0077】
特に、本実施形態における様式画像変化演出は、様式画像30の共通部32を維持しつつ固有部31を変化させたものが示唆画像35となる構成であるから、当該変化が生じていること(示唆画像35が表示されていること)に遊技者が気付きにくい。つまり、誰しもが発生していることに気付くわけではない(特定の遊技者のみが発生に気付く)という演出形態である。また、複数種の様式画像30のうちのいずれが表示されている状況においても演出を実行することができる(様式画像30の共通部32を維持しつつ固有部31を変化させたものが示唆画像35となる構成である(
図21(b)、
図22(b)(c)参照)から、複数種の様式画像30のいずれであっても示唆画像35に変化させることができる)。
【0078】
また、本実施形態における様式画像変化演出は、先の変動から演出様式の変化が生じない場合における対象変動の開始を契機として発生する(
図22(b)(c)参照)。つまり、演出様式が維持される状況にて変動開始とともに様式画像30が示唆画像35に変化することになるから、当該示唆画像35の変化に遊技者が気付きにくい(特定の遊技者のみが発生に気付く)という演出形態となる。
【0079】
以下、上記様式画像変化演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0080】
〇具体例3-1
示唆画像35として、複数種の示唆画像35が設けられた構成とする。例えば、第一示唆画像351(
図23(b-1)参照)および当該第一示唆画像351とは異なる態様の第二示唆画像352(
図23(b-2)参照)が設けられた構成とする。複数種の示唆画像35は、いずれも、様式画像30の共通部32と同じ部分を有するものであり、様式画像30の固有部31が変化してなる部分の態様が互いに異なるものとする。例えば、上記実施形態のように様式画像30として「Aステージ」、「Bステージ」、「Cステージ」の画像が表示されるのであれば、共通部32である「ステージ」を維持しつつ、固有部31(「A」~「C」のいずれか)を「チャンス」に変化させたものを第一示唆画像351と、固有部31を「激熱」に変化させたものを第二示唆画像352とする。
【0081】
様式画像変化演出が発生した場合、表示される示唆画像35の種類により対象当否抽選結果の信頼度が異なるものとする。例えば、第一示唆画像351が表示された場合(
図23(b-1)参照)よりも、第二示唆画像352が表示された場合(
図23(b-2)参照)の方が信頼度が高い設定とする。このようにすることで、様式画像変化演出の発生に気付いた遊技者は、どの種の示唆画像35が表示されているかにも注目するであろう演出形態となる。
【0082】
〇具体例3-2
様式画像30は、上記実施形態にて説明した演出様式を表す文字部分30a(「Aステージ」といった文字)と、当該文字部分30aの背景として表示される本体部分30bを有するものとする(
図24(a)参照)。なお、文字部分30aは、上述した固有部31および共通部32を含むものであるといえる。このようにすることで、様式画像30は、ベースとなる本体部分30b上に、演出様式を表す文字部分30aが描かれたかのように見える形態となる。例えば、本体部分30bを「看板」(看板本体)のような態様とすれば、「看板」にステージを表す文字が描かれたように見える構成となる。なお、別の見方をすれば、本体部分30bは、演出様式を表す文字部分30aが表示される範囲を示すものであるともいえる。本体部分30bの態様は、演出様式が変化しても(ステージチェンジが発生しても)維持されることが好ましい。すなわち、演出様式が変化した場合には、本体部分30bが維持されつつも、当該本体部分30bに描かれる文字部分30aが変化するような演出形態とする。
【0083】
示唆画像35も同様に、チャンスアップであることを表す文字部分35a(「チャンスステージ」といった文字)と、当該文字部分35aの背景として表示される本体部分35bを有するものとする(
図24(b)参照)。ここで、示唆画像35の本体部分35bの態様は、様式画像30の本体部分30bの態様と同じとされる。上述したように様式画像30の本体部分30bを「看板」のような態様とするのであれば、示唆画像35の本体部分35bの態様も同じとされる。
【0084】
このように構成されているため、様式画像変化演出が発生した際(様式画像30から示唆画像35の変化が生じた際)には、本体部分30b、35bの態様は維持されるものの、当該本体部分30b、35bに描かれた文字が変化する(様式画像30としての文字部分30aから示唆画像35としての文字部分35bに変化する)という演出形態となる。示唆画像35への変化が発生したとしても示唆画像35の本体部分35bの態様は様式画像30の本体部分30bの態様と同じであるため、様式画像30から示唆画像35の変化が生じていることに遊技者が気付きにくい演出形態とすることができる。
【0085】
〇具体例3-3
様式画像変化演出の発生時に、様式画像30に作用する画像(以下、作用画像38)が表示されるようにする。すなわち、様式画像30に作用画像38が作用した結果、当該様式画像30が示唆画像35に変化したかのように見える演出形態とする。例えば、様式画像30に向かって変位する物体が作用画像38として表示され、当該物体が衝突した(
図25(a)参照)結果、様式画像30が示唆画像35に変化した(
図25(b)参照)かのように見える演出形態とする。このような作用画像38が表示されるようにすることで、様式画像変化演出の発生に遊技者が気付きやすくなる。すなわち、様式画像変化演出の発生に遊技者が気付きやすくするのであれば本例のように作用画像38が表示された上で示唆画像35への変化が発生するようにすればよいし、様式画像変化演出の発生に遊技者が気付きにくくする(特定の遊技者しか気づかないようにする)のであれば上記実施形態のように前触れなく示唆画像35への変化が発生するようにすればよい。
【0086】
別例として、文字を「書き換える」キャラクタが作用画像38として表示される演出形態とすることも考えられる。すなわち、様式画像30から示唆画像35への変化は、文字の変化である(様式画像30の固有部31の変化である)から、当該文字を「書き換える」ような動作を行うキャラクタが表示される(
図26(b)参照)ようにする。上記具体例3-2にて説明したように本体部分30b、35b(例えば「看板」)が表示される構成とするのであれば、当該本体部分30b、35bに描かれている文字を当該キャラクタが書き換えている(「看板」の文字を書き換えている)ように見える演出形態となる(
図26参照)。このようにすることで、文字が変化しているということを遊技者に分かりやすく伝えることができる。
【0087】
〇具体例3-4
上記実施形態では、示唆画像35と様式画像30は同じ文字(上記実施形態では「ステージ」の文字)を有するものであることを説明したが、このような同じ文字を有するものとしなくてもよい。例えば、示唆画像35として「チャンスが来たぞ」の文字を含む画像が表示されるようにしてもよい。このように、示唆画像35と様式画像30が同じ文字を有するものとしなくても、様式画像変化演出が発生した際に示唆画像35が常態において様式画像30が表示されている位置に表示されるのであれば、示唆画像35は様式画像30が変化してなるものであることを遊技者は把握することができる。
【0088】
特に、上記具体例3-2にて説明したように本体部分30b、35b(例えば「看板」)が表示される構成とするのであれば、様式画像30の文字および示唆画像35の文字はいずれも本体部分30b、35bを背景として描かれるのであるから、示唆画像35は様式画像30が変化してなるものであることを遊技者は容易に把握することができる。
【0089】
〇具体例3-5
様式画像変化演出が発生する際に設定されている演出様式に応じて示唆画像35の態様が異なるものとする。上記実施形態のようにAステージ、Bステージ、Cステージという三種の演出様式(ステージ)が設けられているのであれば、当該三種の演出様式のそれぞれに対応づけられた互いに異なる態様の示唆画像35が設けられた構成とする。Aステージに対応するものとして示唆画像Aが、Bステージに対応するものとして示唆画像Bが、Cステージに対応するものとして示唆画像Cが設けられているものとする(
図27参照)。このようにすることで、現在の演出様式に応じた態様の様式画像変化演出が発生することになる。
【0090】
本例のようにする場合には、様式画像30の共通部32を別の文字(対象当否抽選結果を示唆する文字)に変化させてなるものが各種示唆画像35である構成とすることができる。例えば、上記実施形態のように「Aステージ」、「Bステージ」、「Cステージ」という文字を含む様式画像30が表示されるのであれば、示唆画像Aは「Aチャンス」、示唆画像Bは「Bチャンス」、示唆画像Cは「Cチャンス」という文字を含む態様とするができる(
図27参照)。
【0091】
2-4)対象画像演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として対象画像演出が実行されうる。以下の対象画像演出の説明においては、対象画像演出を含む変動中演出を対象変動中演出(対象変動)と、対象変動中演出に対応する当否抽選結果を対象当否抽選結果と称することとする。
【0092】
対象画像演出は、表示領域911に所定の演出対象を表した演出画像40が表示される演出である(
図28(a)参照)。本実施形態における演出画像40は、所定のキャラクタ(以下、対象キャラクタと称する)およびその背景を含むものとされる。後述するように対象画像演出は演出画像40の態様が経時的に変化する演出ではあるが、演出を通じて当該演出画像40が所定の演出対象(本実施形態では対象キャラクタおよびその背景)を表したものであると遊技者が認識できる状態は保たれる。
【0093】
演出画像40は、第一画像部41、第二画像部42、および境界部43を含む(
図28(a)参照)。本実施形態における対象画像演出は、結末に至る前の段階(状態)である事前段階と、結末に至った後の段階(状態)である結末段階とに区分けされるところ、当該演出画像40は事前段階にて表示される。換言すれば、第一画像部41、第二画像部42、境界部43を有する演出画像40が表示された状態は未だ結末に至っていない事前段階であるということである。
【0094】
本実施形態では、事前段階においては、演出画像40は表示領域911の全体に表示される。ただし、表示領域911の一部に演出画像40が表示される構成とすることを否定するわけではない。演出画像40の一部が第一画像部41であり、他の一部が第二画像部42である。すなわち、第一画像部41と第二画像部42は、表示領域911の異なる箇所に表示されるものである。後述するように第一画像部41と第二画像部42は、一方が大きくなると他方が小さくなる関係にあるため、両者が表示領域911における同じ個所に表示されることはない。
【0095】
第一画像部41と第二画像部42の間には線状の画像である境界部43が存在する(
図28(a)参照)。すなわち、境界部43は、第一画像部41と第二画像部42を区切る画像であるといえる。所定の演出対象を表した画像を境界部43(線状の画像)により区切り、その一方側を第一画像部41と、他方側を第二画像部42としたものが演出画像40であるといえる。第一画像部41と第二画像部42はいずれも上記所定の対象を表したものではあるが、色彩が異なる。本実施形態では、第一画像部41は「青色」を呈するものとされ、第二画像部42は「赤色」を呈するものとされる。なお、当該「色」を付す部分は適宜選択可能である。前者が青色であり、後者が赤色であるということを、遊技者がおおよそ把握できる程度に当該「色」が付されていればよい。なお、図面においては、第一画像部41(青色)を点線で、第二画像部42(赤色)を実線で示す。
【0096】
本実施形態における境界部43は「環状」である(
図28(a)参照)。したがって、境界部43は、その内側の領域と外側の領域に区分けするものであるといえる。すなわち、境界部43の内側および外側の一方が第一画像部41とされ、他方が第二画像部42とされている。本実施形態では、境界部43の内側が第一画像部41とされ、外側が第二画像部42とされる。したがって、事前段階においては、表示領域911の中央側が「青色」を呈し、その外側が「赤色」を呈する画像であって、全体として演出対象を表したものである。
【0097】
対象画像演出の事前段階においては、演出画像40の境界部43が変位させられる。本実施形態における境界部43は環状であるところ、当該「環」の大きさを大きくしたり(
図28(a-1)→(a-2)のような変化が発生するようにしたり)、小さくしたり(
図28(a-2)→(a-1)のような変化が発生するようにしたり)するように境界部43が変位する。境界部43(環)が大きくなると、その内側の第一画像部41が大きくなりつつ、その外側の第二画像部42は小さくなる変化が生じる。一方、境界部43(環)が小さくなると、その内側の第一画像部41が小さくなりつつ、その内側の第二画像部42は大きくなる変化が生じる。このように境界部43(環)の大きさが変化しても、第一画像部41および第二画像部42により演出対象を表した状態は維持される。本実施形態のように、第一画像部41と第二画像部42の色彩を異ならせるのであれば、各画像部の色が付された範囲の大きさが変化するものの、境界部43の大きさがどのようなものになっても、これら画像部により演出対象(対象キャラクタ)を表していることが遊技者に認識可能な状態は維持されるものとする。別の見方をすれば、一つのキャラクタ(対象キャラクタ)が、境界部43により区分けされる第一画像部41と第二画像部42により表された状態が維持されるということである。
【0098】
このように、「第一画像部41が大きくなる・第二画像部42が小さくなる」という変化と、「第一画像部41が小さくなる・第二画像部42が大きくなる」という変化が繰り返されるのが事前段階である(
図28(a)参照)。後述するように、結末段階は、第一画像部41および第二画像部42の一方が演出画像40の全体を構成するような態様となるまで大きくされるものであるところ、事前段階は第一画像部41および第二画像部42のどちらかが大きくなるということを遊技者に対し事前に「煽る」段階(煽り演出)であるということがいえる。
【0099】
当該事前段階の後、境界部43が消える結末段階(
図28(b)参照)に至る。結末段階は、第一結末(
図28(b-1)参照)または第二結末(
図28(b-2)参照)とされるものである。第一結末と第二結末は、境界部43が消去されるまでに至る態様が異なるものである。第一結末は、境界部43が次第に大きくなることで表示領域911外まで境界部43が移動してしまったかのように見える変化を経て至る結末である。境界部43が大きくなるということは、境界部43の内側の第一画像部41が大きくなるということであるから、第一画像部41が表示領域911の全域に広げられたかのように見える変化が生じるということである。本実施形態における第一画像部41は青色であるため、演出対象が青色で表された画像が表示された状態に至るのが第一結末であるともいえる。
【0100】
一方、第二結末は、境界部43が次第に小さくなることで消滅してしまったかのように見える変化を経て至る結末である。境界部43が小さくなるということは、境界部43の外側の第二画像部42が大きくなるということであるから、第二画像部42が表示領域911の全域に広げられたかのように見える変化が生じるということである。本実施形態における第二画像部42は赤色であるため、演出対象が赤色で表された画像が表示された状態に至るのが第二結末であるともいえる。
【0101】
このように、第一結末は、境界部43が大きくなることで事前段階における第一画像部41に相当する画像が広げられて(残存して)当該画像により演出対象が表された状態に至る結末であり、第二結末は、境界部43が小さくなることで事前段階における第二画像部42に相当する画像が広げられて(残存して)当該画像により演出対象が表された状態に至る結末である。本実施形態のように、第一画像部41と第二画像部42は色彩が異なるようにすることで、いずれの結末も境界部43が消去されて演出対象が表された画像が表示された状態に至るという点では共通するが、当該演出対象を表す画像の色彩が異なることになるため、両者が異なる結末であるということは遊技者が明確に区別できるものである。
【0102】
第一結末と第二結末は、一方よりも他方の方が、遊技者にとって有利な事象とされている。本実施形態では、第一結末に至った場合よりも、第二結末に至った場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(信頼度)が高くなるように設定されている(
図28(b)参照)。すなわち、演出対象を表す「青色」の画像が表示される結末に至った場合よりも、演出対象を表す「赤色」の画像が表示される結末に至った場合の方が、大当たりに期待がもてるという演出形態とされている。第一結末に至った場合にははずれが確定するといった設定としてもよい。また、第二結末に至った場合には大当たりが確定するといった設定としてもよい。
【0103】
このように、本実施形態における対象画像演出(事前段階)は、演出対象(対象キャラクタ)を表した演出画像40を境界部43により第一画像部41と第二画像部42に区分けし、当該境界部43が変位することによって第一画像部41と第二画像部42の一方が大きくなりつつ他方が小さくなる変化が生じるようにした面白みのある演出である。
【0104】
特に、本実施形態では、境界部43が環状とされているから、内側の部分(第一画像部41)が大きくなると外側の部分(第二画像部42)が小さくなり、外側の部分(第二画像部42)が大きくなると内側の部分(第一画像部41)が小さくなるという面白みのある演出となる。
【0105】
以下、上記対象画像演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0106】
〇具体例4-1
上記実施形態では、第一画像部41と第二画像部42は色彩が異なるものであることを説明したが、第一画像部41と第二画像部42の違いを強調する手法はこれに限られるものではない。例えば、演出対象を表す線(演出対象を象る線)が、第一画像部41よりも第二画像部42の方が太い、といった態様とすることが考えられる(
図29参照)。図示しないが、第一画像部41を薄い画像(半透明に見える画像)とし、第二画像部42を濃い画像とする、といった態様とすることも考えられる。
【0107】
〇具体例4-2
上記実施形態では、境界部43は環状であることを説明したが、これとは異なる態様としてもよい。例えば、表示領域911を二分するような境界部43(表示領域911のある外縁から別の外縁まで延びる境界部43)とし、当該境界部43の一方側に第一画像部41が、他方側に第二画像部42が設けられる構成としてもよい。ただし、上記実施形態のように境界部43を環状とした場合には、当該境界部43を変位させたときに第一画像部41や第二画像部42が広がっている(第一画像部41や第二画像部42が狭まっている)ことがより分かりやすい(より強調される)といえるから、その点において境界部43を環状とすることは有利であるといえる。
【0108】
〇具体例4-3
上記実施形態では、境界部43が消去されて、第一画像部41に相当する画像が表示された状態となることや、第二画像部42に相当する画像が表示された状態となることが結末段階であることを説明したが、このような状態に至らずに終了することがある構成としてもよい。例えば、第一画像部41、第二画像部42および境界部43を含む演出画像40が突発的に消去されて対象画像演出が終了する(突発終了する)ことがある構成としてもよい。
【0109】
境界部43が消去された状態となることが遊技者にとって有利な結末であり、突発終了することが遊技者にとって不利な結末である構成とすることもできる。例えば、第二画像部42(赤)に相当する画像が表示された状態に至ることが遊技者にとって有利な結末とされる一方、当該有利な結末に至らない場合には演出画像40(第一画像部41、第二画像部42および境界部43)が突発的に消去されて演出が終了する不利結末となる構成としてもよい。
【0110】
〇具体例4-4
境界部43の態様として複数種の態様が設けられている構成とする。例えば、第一境界部431が表示されることもあれば、(第一境界部431とは態様が異なる)第二境界部432が表示されることもある演出形態とする。そして、第一境界部431および第二境界部432の一方が表示された場合よりも、他方が表示された場合の方が、遊技者に有利な結末(上記実施形態でいう第二結末)に至る蓋然性が高い設定とする。このようにすることで、境界部43の態様にも遊技者が注目するであろう演出形態となる。
【0111】
第一境界部431と第二境界部432の態様の違いを設定する手法は種々考えられる。図示しないが、例えば、第一境界部431と第二境界部432の色彩を異ならせることが考えられる。また、境界部43特有の形態(第一画像部41と第二画像部42を「区切る」ための「線状」の画像であるという形態)を利用して態様の差を設定することも考えられる。具体的には、第一境界部431と第二境界部432の太さが異なるといった構成とする(
図30参照)。
【0112】
〇具体例4-5
対象画像演出が有利な結末に至る蓋然性が高まったことを示唆する画像(以下、好機画像48と称する)が表示されうる構成とする。事前段階にて、好機画像48が表示されない場合(
図31(a)参照)よりも、好機画像48が表示される場合(
図31(b)参照)の方が、遊技者に有利な結末に至る蓋然性が高い設定とする。
【0113】
好機画像48は、有利な結末となる方向への境界部43の変位を促す態様の画像とするとよい。上記実施形態のように、境界部43が小さくなって消滅する第二結末に至ることの方が、境界部43が大きくなって消滅する第一結末に至ることよりも遊技者に有利な結末とされているのであれば、境界部43を小さくなる方向に変位させようとしていることを示す好機画像48が表示されるようにすればよい(
図31(b)参照)。図示しないが、上記実施形態とは逆に境界部43が大きく消滅する第一結末に至ることの方が、境界部43が小さくなって消滅する第二結末に至ることよりも遊技者に有利な結末とされているのであれば、境界部43を大きくなる方向に変位させようとしていることを示す好機画像48が表示されるようにすればよい。
【0114】
〇具体例4-6
境界部43を含む演出画像40が表示される事前段階(
図32(b)参照)の前に、境界部43が表示されない導入段階(
図32(a)参照)が設けられた構成とする。具体的には、導入画像49は、演出対象を表した画像であって境界部43を含まない画像(導入画像49)が表示されるものであるとする(
図32(a)参照)。このようにすることで、導入段階から事前段階に移行することが、演出対象を表した画像が境界部43で分割された結果、第一画像部41と第二画像部42に分かれたかのように見える演出形態となる。
【0115】
導入画像49は、結末段階にて表示される画像と同態様(遊技者から同一視される態様)としてもよい。例えば、導入画像49(
図32(a)参照)を第一結末に至ったときに表示される画像(第一画像部41に相当する演出対象を表した青色の画像)(
図32(c-1)参照)と同態様とすることが考えられる。このようにすることで、演出対象が、青色(導入画像49)(
図32(a)参照)から赤色に変化する(
図32(c-2)参照)ことが遊技者にとって有利な結末であり、青色の画像に戻る(
図32(c-1)参照)ことが遊技者にとって不利な結末とされた演出形態となる。図示しないが、これとは逆の構成、すなわち、導入画像49を第二結末に至ったときに表示される画像(第二画像部42に相当する演出対象を表した赤色の画像)と同態様とすることが考えられる。このようにすることで、導入画像49により、遊技者にとって有利な結末となる画像(目標となる画像)が前もって示されるという演出形態となる。
【0116】
2-5)数値演出
上述した通り、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるST機であって、特別遊技状態(高確率・高ベース状態)は所定回数連続してはずれとなることで終了するものである。本実施形態では、当該所定回数(いわゆるST回数)=100回である。以下の説明においては、特別遊技状態の残り回数を残回数と称することもある。すなわち、残回数は、特別遊技状態にて当否抽選結果がはずれとなる度に減少する値であり、それが0となることで特別遊技状態が終了することになる。
【0117】
特別遊技状態においては、残回数が規定値まで到達することを契機として残り回数が少ないことを強調する「カウントダウン演出」が実行される。本実施形態では、残り回数が10回からカウントダウン演出が実行される(「10」からカウントダウンが始まる)。具体的には、新たな変動中演出が開始されることを契機として、表示領域911の中央側に大きく残回数(残回数画像)が表示される(
図33(b)、(d)参照)。当該残回数を表す数値を演出数値50とすれば、新たな変動が開始されるという規定条件の成立の度に減少する演出数値50が表示されるということである。なお、特別遊技状態においては、カウントダウン演出が開始される前から、表示領域911の外縁近傍に残回数が小さく表示される(
図33(a)参照)。このようなカウントダウン演出が開始される前から表示されている残回数は演出数値50に相当するものではないものとする。
【0118】
本実施形態にかかる遊技機1は、当該残回数(演出数値50)を利用して当否抽選結果(対象当否抽選結果)を示唆する演出(以下、数値演出と称する)を実行することが可能である。数値演出は、通常パターン(デフォルトの態様)と特殊パターン(特殊な態様)に区分けされる。特殊パターンの発生が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆するいわゆるチャンスアップとされている。本実施形態では、特殊パターンの数値演出が発生した場合、当該数値演出を含む変動中演出を経て報知される対象当否抽選結果が大当たりとなることが確定する。つまり、数値演出が特殊パターンとなることは、いわゆるプレミア演出とされている。ただし、通常パターンとなった場合よりも、特殊パターンとなった場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高いという設定に留まり、特殊パターンとなった場合に大当たりが確定するわけではない設定としてもよい。また、数値演出が通常パターンとなった場合であっても対象当否抽選結果が大当たりとなる可能性はある(はずれが確定するわけではない)。本実施形態では、カウントダウン演出の対象となる変動の当否抽選結果が大当たりとなる場合でも、90%以上が通常パターンとなるように設定されており、特殊パターンとなるのは極めてまれである。
【0119】
カウントダウン演出が発生する場合(残回数10回以下の場合)の変動中演出が開始される時点を規定条件の成立時点とする。つまり、残回数が1減少する条件の成立を規定条件とすれば、当該規定条件の成立時点は変動開始時点ということになる。数値演出は、当該変動開始時点を基準として残回数の表示タイミング(表示が開始される時点)を制御するものである。
【0120】
通常パターンは、変動開始時点からT1時間経過した時点である通常時点に到達することを契機として残回数の表示が開始されるものである(
図34(a)参照)。特殊パターンは、変動開始時点からT2時間(T1≠T2である)経過した時点である特殊時点に到達することを契機として残回数の表示が開始されるものである(
図34(b)参照)。本実施形態では、T1<T2である。要するに、残回数が表示されるタイミングが、通常パターンよりも遅れるのが特殊パターンである。T1とT2の差は、1秒以下とすることが好ましい。つまり、残回数の表示タイミングに遊技者が違和感を覚える程度の遅れ(遊技者誰しもが気付くわけではない程度の遅れ)が生じることが特殊パターンとされる。本実施形態では、T1=0.1秒、T2=0.6秒とされている。つまり、残回数の表示タイミングがいつも(通常パターン)よりも0.5秒(T2-T1秒)遅れることが特殊パターンとされている。この程度の遅れであるため、特殊パターンとなる変動でも、前変動の当否抽選結果(はずれ)を報知する三つの装飾図柄80(
図34(b-1)参照)が変動を開始して表示領域911外に移動するよりも前の状態(三つの装飾図柄80を遊技者が把握できる状態)にて残回数が表示される(
図34(b-2)参照)ことになる。なお、残回数(演出数値50)が表示されている時間の長さは、通常パターンと特殊パターンとで違いはない(本実施形態では、通常パターンおよび特殊パターンいずれの場合でも残回数(演出数値50)は表示開始から1秒で消去される)。すなわち、通常パターンと特殊パターンは残回数(演出数値50)の表示が開始される時点と、消去される時点のいずれもが、T2-T1秒(本実施形態では0.5秒)のギャップ(遅れ)があるということである。
【0121】
なお、T1=0、すなわち変動開始時点と同時に残回数(演出数値50)の表示が開始されるものとしてもよい。このようにした場合には、通常パターンは変動開始と同時に残回数(演出数値50)が表示され、特殊パターンは変動開始から遅れて残回数(演出数値50)が表示されるという構成となるため、本実施形態のようにT1≠0とした場合よりも通常パターンと特殊パターンの差が明確になるという特性がある。
【0122】
本実施形態では、残回数(演出数値50)は、表す数値が同じであれば、通常パターンとなる場合(通常時点で表示される場合)でも、特殊パターンとなる場合(特殊時点で表示される場合)でも、態様(数値を表す文字のフォント、大きさ、色、表示領域911における表示位置)は同じである。すなわち、
図34(a-2)の状態と
図34(b-2)の状態とでは、残回数(演出数値50)の表示態様自体には相違はないから、残回数(演出数値50)の表示態様からは通常パターンと特殊パターンのいずれが発生したのか分からない。別の見方をすれば、カウントダウン演出が実行されるある変動(残回数がNである変動)において、通常パターンであるか特殊パターンであるかを遊技者が区別する要素(両パターンの違い)は、基本的には残回数(演出数値50)が表示されるタイミングしかないということである。
【0123】
このように、本実施形態では、規定条件の成立時点を基準として、T1時間経過後に演出数値50(残回数)が表示される(通常パターンとされる)こともあれば、T2時間経過後に演出数値50(残回数)が表示される(特殊パターンとされる)こともあるという面白みのある演出(数値演出)を実行することができる。
【0124】
また、本実施形態における数値演出は、変動開始時点が規定条件の成立時典(基準時点)とされているから、(その他の時点を基準時点とした場合に比して)特殊パターンの発生に遊技者が気付きやすい。
【0125】
また、本実施形態における数値演出は、演出数値50(残回数)は、表す数値が同じであれば態様が同じであるから、通常パターンであるか特殊パターンであるかを区別するのは、基本的には演出数値50(残回数)の表示タイミングによるしかないという演出形態である。
【0126】
以下、上記数値演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0127】
〇具体例5-1
上記実施形態では、特別遊技状態(ST)の残回数が10未満となってカウントダウン演出が実行される際に数値演出が発生することを説明したが、残回数によらず数値演出が発生しうる構成としてもよい。
【0128】
〇具体例5-2
上記実施形態における演出数値50は、STの残回数であることを説明したが、ある条件(規定条件)成立の度に減少する数値であれば、その他の数値を演出数値50とした数値演出を実行することができる。例えば、ある事象が発生するタイミングまでカウントダウンされる数値が表示されるような演出において、当該カウントダウンされる数値を利用した数値演出が発生するようにしてもよい。
【0129】
また、カウントダウンではなく、カウントアップされる数値が表示される演出において、当該カウントアップされる数値を利用した数値演出が実行されるようにしてもよい。例えば、所定のリセット条件(前回の大当たりや電源ON)の成立後、現在までの変動回数を表す数値を利用した数値演出が実行されるようにしてもよい。
【0130】
〇具体例5-3
演出数値50は連続して表示されるものでなくてもよい。あらかじめ定められた「区切り回数」に到達した際に演出数値50が表示されるようにしてもよい。例えば、上記実施形態のように演出数値50として特別遊技状態の残回数が表示される構成とするのであれば、特別遊技状態の残回数が予め定められた「区切り回数」となったとき(例えば、90回、80回、70回・・・といったように、一の位が0である残回数となった変動(区切変動)にて)残回数(演出数値50)が表示されるようにする。このような構成において、区切変動に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆するチャンスアップ演出(上記実施形態のようにプレミア演出としてもよい)として、特殊パターンが発生しうるものとする。ただし、このようにした場合には、区切変動においてしか数値演出による信頼度示唆を行うことができないことにはなる。
【0131】
〇具体例5-4
上記実施形態では、T1<T2であることを説明したが、T1>T2(T1≠0)とされた構成としてもよい。このようにした場合には、特殊パターン(
図35(b)参照)は、通常パターン(
図35(a)参照)よりも、残回数が表示されるタイミングが「早い」という構成となる。すなわち、残回数が表示されるタイミングが通常よりも早いことがチャンスアップ(プレミア)とされた演出形態となる。なお、上記実施形態と同様に、T1とT2の差は1秒以下とすることが好ましい。
【0132】
〇具体例5-5
上記実施形態では、演出数値50(残回数)は、表す数値が同じであれば、通常パターンおよび特殊パターンのいずれであっても態様が同じであることを説明したが、通常パターンと特殊パターンとでは態様が異なる構成としてもよい。例えば、残回数「N」を表示する場合において、通常パターンであれば当該「N」の数値を表す文字色が黒である(
図36(a-2)参照)一方、特殊パターンであれば当該「N」の数値を表す文字色が赤である(
図36(b-2)参照)構成とする。
【0133】
本例のようにすることで通常パターンおよび特殊パターンの違いが、演出数値50(残回数)の表示タイミングの違いとしてだけでなく、その態様の違いとしても表れる演出形態となるから、上記実施形態よりも特殊パターンの発生に遊技者が気付きやすいといえる。特定の遊技者のみが特殊パターンの発生に気付く(あまり多くの遊技者が特殊パターンの発生に気付くわけではない)演出形態としたいのであれば、上記実施形態のように、演出数値50(残回数)は、表す数値が同じであれば、通常パターンおよび特殊パターンのいずれであっても態様が同じである構成とすればよい。
【0134】
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0135】
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0136】
上記実施形態では、当否抽選結果の態様として大当たりおよびはずれが設定され、大当たりとなることで大当たりが獲得される(大当たり遊技が実行される)ものであるが、いわゆる小当たり経由により大当たりが獲得できるものとしてもよい。このように小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性(いわゆる「二種遊技機」の遊技性)を備えたもの自体は周知であるため詳細な説明を省略するが、例えば小当たりに当選した場合、(遊技機の故障や遊技者が指示通り遊技を行わない等のイレギュラーな事象が発生した場合を除き)それが大当たりの獲得に繋がるという設定(実質的に小当たり当選と大当たり当選が同一視できる設定)である設定とするのであれば、上記実施形態にて説明した大当たりの当選とは、小当たりに当選することを含むものとする。
【0137】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0138】
・手段1-1
表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に所定の演出映像が表示された後、遊技者に有利な有利結末または当該有利結末に至らない場合の結末である不利結末に至る特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定演出は、結末に至る前の途中にて、複数種の挿入画像のうちのいずれかが表示されて前記有利結末に至る蓋然性が示唆されることがあり、前記特定演出における前記挿入画像の表示パターンとして、複数種の前記挿入画像のいずれも表示されず前記演出映像が表示された状態である基本状態から、ある種の前記挿入画像が表示された挿入状態となった後、前記基本状態に戻り、その後結末に至る非変化パターンと、前記基本状態から、ある種の前記挿入画像が先の挿入画像として表示された先の挿入状態となった後、前記基本状態に戻り、前記先の挿入画像とは異なる種類の前記挿入画像が後の挿入画像として表示された後の挿入状態となり、その後結末に至る特殊変化パターンと、が設けられていることを特徴とする遊技機。
ある種の挿入画像が表示された後、基本状態に戻った場合、当該ある種の挿入画像が変化することを遊技者は予測しない蓋然性が高い。上記特殊変化パターンは、挿入画像の変化を予測していない蓋然性が高い遊技者に対して後の挿入画像が表示されるという面白みのある演出形態である。
【0139】
・手段1-2
前記非変化パターンの前記挿入状態が終了した時点と、前記特殊変化パターンの前記先の挿入状態が終了した時点とは、前記演出映像の同じ個所が表示された状態にあることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊変化パターンとなる場合であっても、先の挿入状態が終了した時点(先の挿入画像が消去された時点)では、非変化パターンと見分けがつかない(見分けがつきにくい)。
【0140】
・手段1-3
前記特定演出における前記挿入画像の表示パターンとして、前記基本状態から、ある種の前記挿入画像が先の挿入画像として表示された先の挿入状態となった後、前記基本状態に戻らずに、前記先の挿入画像とは異なる種類の前記挿入画像が後の挿入画像として表示された後の挿入状態となり、その後結末に至る直接変化パターンが設けられていることを特徴とする手段1-1または手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、直接変化パターンに接した遊技者は、挿入画像の種類の変化は直接的に発生する(基本状態に戻らずに発生する)と認識する蓋然性が高い。特殊変化パターンは、このような認識をもった遊技者の予測を裏切る態様となるから、遊技者が受ける驚きがさらに大きなものとなることに期待できる。
【0141】
・手段2-1
遊技球が所定領域に進入することを契機として取得される当否抽選情報に基づき当否抽選を実行する当否抽選手段と、装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、対応する当否抽選結果についての前記変動中演出は開始されているものの、未だ終了していない前記当否抽選情報の存在を変動中保留図柄として表示する表示手段と、を備え、前記変動中保留図柄の態様として、一または複数種の通常態様および当該通常態様にあるときよりも対応する当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が高いことを示唆する一または複数種の特殊態様が設定されており、前記変動中演出を構成する演出として、有利結末または当該有利結末に至らない場合の結末である不利結末に至る演出であって、有利結末に至った場合には当否抽選結果が当たりとなることが確定する特定リーチ演出を実行することが可能であり、前記特定リーチ演出が発生する前記変動中演出にて、前記特定リーチ演出が結末に至るよりも前に前記変動中保留図柄が前記特殊態様とされた場合に、前記特定リーチ演出が前記不利結末に至った後、前記変動中保留図柄を前記通常態様で表示する強制格下制御が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記強制格下制御が実行されるようにすることで、特定リーチ演出が失敗結末に至った後は変動中保留図柄が通常態様で表示されるから、変動中保留図柄が特殊態様であったのに不利結末に至ったことが強調され、遊技者が苛立ってしまう(悔しさが増大してしまう)おそれを低減することができる。
【0142】
・手段2-2
当否抽選結果が当たりとなる場合に発生しうる演出として、前記特定リーチ演出が不利結末に至った後、それが覆される逆転演出が実行可能であり、前記特定リーチ演出が結末に至るよりも前に前記変動中保留図柄が前記特殊態様とされた場合に、前記特定リーチ演出が前記不利結末に至った後、前記強制格下制御が実行されていないときには、前記逆転演出が発生することを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、強制格下制御が実行されないこと(失敗結末に至った後、変動中保留図柄が通常態様とされていないこと)が、逆転演出の示唆(予告)として機能するという面白みのある遊技性が実現できる。
【0143】
・手段3-1
表示領域を有する表示手段と、装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記変動中演出は、複数種の演出様式のいずれが設定されているかに応じ、基本的態様が異なるものであり、現在設定されている前記演出様式を示す様式画像を示唆画像に変化させることで当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆する様式画像変化演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、演出様式を示す画像である様式画像を利用した面白みのある演出(様式画像変化演出)を実行することができる。
【0144】
・手段3-2
複数種の前記演出様式のそれぞれに対応する前記様式画像は、互いに異なる固有部および共通する共通部を有し、前記示唆画像は、前記様式画像の固有部を変化させたものであることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、様式画像変化演出の発生(様式画像が示唆画像に変化したこと)に遊技者が気付きにくい演出形態(特定の遊技者のみが発生に気付く演出形態)とすることができる。
【0145】
・手段3-3
ある前記変動中演出が終了し、前記演出様式が変化しないまま次の前記変動中演出が開始される場合において、次の前記変動中演出の開始を契機として前記様式画像が前記示唆画像に変化しうることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、演出様式が維持される状況にて変動開始とともに様式画像が示唆画像に変化することになるから、様式画像変化演出の発生に遊技者が気付きにくい演出形態(特定の遊技者のみが発生に気付く演出形態)とすることができる。
【0146】
・手段4-1
表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に、所定の演出対象を表した演出画像が表示される対象画像演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記演出画像は、第一画像部、第二画像部、および当該第一画像部と第二画像部の間に存在する境界部とを含み、前記対象画像演出は、前記第一画像部および前記第二画像部により前記演出対象を表した状態を維持しつつ前記境界部を変位させる態様を含む演出であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、演出対象を表す第一画像部と第二画像部について、一方が大きくなりつつ他方が小さくなるという面白みのある演出を実行することが可能である。
【0147】
・手段4-2
前記境界部は環状とされ、前記第一画像部および前記第二画像部の一方は前記境界部の内側であり、他方は前記境界部の外側であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このようにすることで、内側の部分(第一画像部)が大きくなると外側の部分(第二画像部)が小さくなり、外側の部分(第二画像部)が大きくなると内側の部分(第一画像部)が小さくなるという面白みのある演出形態となる。
【0148】
・手段4-3
前記対象画像演出は、前記第一画像部および前記第二画像部により前記演出対象を表した状態を維持しつつ前記境界部を変位させる事前段階の後、前記境界部が消去される結末段階に至るものであり、前記第一画像部が広げられることで前記境界部が消去されて前記結末段階に至ることの方が、前記第二画像部が広げられることで前記境界部が消去されて前記結末段階に至ることよりも、遊技者にとって有利な事象とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
このようにすることで、第一画像部と第二画像部のどちらが広がるかに遊技者が注目するであろう演出形態となる。
【0149】
・手段5-1
規定条件の成立の度に減少または増加する演出数値が表示される遊技機であって、前記規定条件の成立時点からT1時間後である通常時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合よりも、前記規定条件の成立時点からT2時間後である特殊時点に到達することを契機として前記演出数値が表示された場合の方が、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする遊技機。ただし、T1≠T2であるとする。
上記遊技機によれば、演出数値が表示されるタイミングにより遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるという面白みのある遊技性が実現できる。
【0150】
・手段5-2
当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態が設けられており、前記特別遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることで終了する遊技状態であり、前記演出数値は、前記特別遊技状態にて当否抽選結果がはずれとなる度に減少する数値であり、前記規定条件の成立時点は、前記特別遊技状態にて当否抽選結果を報知する装飾図柄の変動が開始される変動開始時点であることを特徴とする手段5-1に記載の遊技機。
このように変動開始時点が規定条件の成立時点とされることで、演出数値の表示タイミングの遅早を把握することが容易になる。
【0151】
・手段5-3
前記通常時点にて到達することを契機として表示される前記演出数値と、前記特殊時点にて到達することを契機として表示される前記演出数値とは、表す数値が同じであれば態様が同じであることを特徴とする手段5-1または手段5-2に記載の遊技機。
このようにすることで、演出数値の態様の違いにより、当該演出数値が通常時点および特殊時点のいずれで表示されたのかを判別することができなくなる。)
【符号の説明】
【0152】
1 遊技機
10 演出映像
15 挿入画像(15a 先の挿入画像 15b 後の挿入画像)
20 場面切替画像
30 様式画像
31 固有部
32 共通部
35 示唆画像
40 演出画像
41 第一画像部
42 第二画像部
43 境界部
50 演出数値
70 保留図柄(71 変動中保留図柄 72 変動前保留図柄)
70n 通常態様
70s 特殊態様(71s~73s 第一特殊態様~第三特殊態様)
80 装飾図柄
91 表示装置
911 表示領域