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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】リフティング機能付き車いす
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20240701BHJP
   A61G 5/08 20060101ALI20240701BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240701BHJP
   A61G 5/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61G5/14 711
A61G5/08 701
A61G5/12 701
A61G5/02 707
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022555834
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2021003003
(87)【国際公開番号】W WO2021210784
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0044989
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519417311
【氏名又は名称】ソン,スン ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スン ヨン
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006239(JP,A)
【文献】特開2011-024689(JP,A)
【文献】特開2007-098009(JP,A)
【文献】国際公開第2019/045184(WO,A1)
【文献】特開2019-166215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00-5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車いすであって、
使用者が着座可能な構造を有するが、可動となるように取り付けられる着座ブロックと、
前記着座ブロックの両側の下部にそれぞれ連結されるが、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きとのうちの少なくとも一方の動きを有するように作動させる一対のリフティングブロックと、
前記各リフティングブロックに結合されて車いすの移動を可能にする一対の車輪組と、
前記各リフティングブロックの後尾の上部に結合されて車いすの移動を操作可能にする一対の移動操作手段と、
前記一対のリフティングブロックを互いに連結する連結ブロックと、
を備えて構成され、
前記着座ブロックは、前記各リフティングブロックに連結される一対の連結棒、前記一対の連結棒に締結されて支持される載置棒及び前記載置棒の両側部にそれぞれ締結されて上方向に延びて形成される一対の安全バーを備えてなり、
前記それぞれの安全バーは、前記載置棒の側部の上側に配置される水平竿、前記水平竿の下端と前記載置棒の側部とを互いに連結する一対の垂直竿及び前記水平竿の前端または前方側の垂直竿の上端と連結されるが、前方の上側に傾くように延びて配置されるつかみ部を備えて構成され、
前記リフティングブロックは、
ケースと、前記ケースの内部に取り付けられる駆動器と、前記連結棒が連結される作動フレームに結合されて前記駆動器の駆動につれて前記作動フレームを動作させて前記着座ブロックの昇降動きと回動動きを生じさせるリンク組立体と、を備えてなり、
前記リンク組立体は、
前記ケースの内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレームに他方の端が回動可能に連結される第1のリンクと、前記第1のリンクの上側に配置されるが、前記ケースの内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレームに他方の端が回動可能に連結される第2のリンクと、を備えてなり、
前記駆動器は、前記ケースの内部において回動可能に連結され、前記駆動器の駆動軸は、駆動器によって前後進駆動されるが、前記第1のリンクまたは前記第2のリンクに回動可能に連結され、
前記連結ブロックは、前記一対のリフティングブロックを直接的に連結する前側連結体と、前記一対の移動操作手段を互いに連結して前記一対のリフティングブロックを間接的に連結する後側連結体と、から構成され、前記前側連結体と前記後側連結体は、それぞれ取り外し可能に形成され、
前記前側連結体の両側には前側回動部が形成され、前記前側連結体の中央部に前側継ぎ部が形成され、前記前側回動部は前記前側連結体が前後方向に回動可能な構造に形成され、前記前側継ぎ部は取り外された状態で締結具により締結可能な構造に形成され、
前記後側連結体の両側には後側回動部が形成され、前記後側連結体の中央部に後側継ぎ部が形成され、前記後側回動部は前記後側連結体が前後方向に回動可能な構造に形成され、前記後側継ぎ部は取り外された状態で締結具により締結可能な構造に形成され、
前記ケース内部の下側には、前記作動フレームの下端を支持し、停止動作を行うことができる支持ストッパーを備えることを特徴とするリフティング機能付き車いす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすに係り、特に、簡単な構造を通して車いすの使用者が着座している着座ブロックを自動的に動かせるように構成し、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きを有せるように構成することにより、構造を単純化することができ、車いすの使用者が安全に立ち上がれるように補助するリフティング機能付き車いすに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の高齢人口の持続的な増加には目を見張るものがあり、これに伴い、高齢化社会が急激に進むことにより、車いすのニーズが増えつつある。ここで、車いすとは、動きが不便な老弱者、身体の不自由な者及び患者が移動できるように車輪、肘掛け及び背もたれが付いているいすのことをいう。
【0003】
韓国登録特許第10-1648667号公報(以下、「先行技術文献」と称する。)は、使用者が横たわったり立ったりした状態を保持できるベッド及びスタンドモードに切り替え可能な電動車いすを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録特許第10-1648667号公報
【0005】
しかしながら、上記の先行技術文献は、横たわっている使用者の背の部分をリフティングして座っている状態を保持できるようにする車いすを開示していることに留まっており、車いすに座っている使用者が床面に立つ過程において起立を補助する動作を行うことができず、使用者が着座する部分が使用者に便宜性及び安定性を与えることができないという不都合を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来の技術における不都合を解消するために案出されたものであって、簡単な構造を通して車いすの使用者が着座している着座ブロックを自動的に動かせるように構成し、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きを有せるように構成することにより、構造を単純化することができ、車いすの使用者が安全に立ち上がれるように補助するリフティング機能付き車いすを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために提案された本発明であるリフティング機能付き車いすをなす構成手段は、車いすにおいて、使用者が着座可能な構造を有するが、可動となるように取り付けられる着座ブロックと、前記着座ブロックの両側の下部にそれぞれ連結されるが、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きとのうちの少なくとも一方の動きを有するように作動させる一対のリフティングブロックと、前記各リフティングブロックに結合されて車いすの移動を可能にする一対の車輪組と、前記各リフティングブロックの後尾の上部に結合されて車いすの移動を操作可能にする一対の移動操作手段と、前記一対のリフティングブロックを互いに連結する連結ブロックを備えてなることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記着座ブロックは、前記各リフティングブロックに連結される一対の連結棒、前記一対の連結棒に締結されて支持される載置棒及び前記載置棒の両側部にそれぞれ締結されて上方向に延びて形成される一対の安全バーを備えており、前記安全バーは、前記載置棒の側部の上側に配置される水平竿、前記水平竿の下端と前記載置棒の側部とを互いに連結する一対の垂直竿及び前記水平竿の前端または前方側の垂直竿の上端と連結されるが、前方の上側に傾くように延びて配置されるつかみ部を備えてなることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記リフティングブロックは、ケースと、前記ケースの内部に取り付けられる駆動器と、前記連結棒が連結される作動フレームに結合されて前記駆動器の駆動につれて前記作動フレームを動作させて前記着座ブロックの昇降動きと回動動きを生じさせるリンク組立体を備えてなり、前記リンク組立体は、前記ケースの内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレームに他方の端が回動可能に連結される第1のリンクと、前記第1のリンクの上側に配置されるが、前記ケースの内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレームに他方の端が回動可能に連結される第2のリンクを備えており、前記駆動器は、前記ケースの内部において回動可能に連結され、前記駆動器の駆動軸は、駆動器によって前後進駆動されるが、前記第1のリンクまたは前記第2のリンクに回動可能に連結されることを特徴とする。
【0010】
また、前記連結ブロックは、前記一対のリフティングブロックを直接的に連結する前側連結体と、前記一対の移動操作手段を互いに連結して前記一対のリフティングブロックを間接的に連結する後側連結体と、から構成され、前記前側連結体と前記後側連結体は、それぞれ取り外しまたはフォルディング可能に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のような課題及び解決手段を有する本発明であるリフティング機能付き車いすによれば、簡単な構造を通して車いすの使用者が着座している着座ブロックを自動的に動かせるように構成し、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きを有するように構成することから、構造を単純化することができ、車いすの使用者が安全に立ち上がれるように補助することができるというメリットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすの側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすの正面図である。
図3】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすの背面図である。
図4】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすの平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすが折り畳まれた状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすが折り畳まれた状態を示す正面図である。
図8】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすが折り畳まれた状態を示す背面図である。
図9】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすに便器が結合された状態の斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすのリフティング前の状態の内部を示す側面図である。
図11】本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすのリフティング後の状態の内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、上記のような課題、解決手段及び効果を有する本発明であるリフティング機能付き車いすに関する好適な実施形態について詳しく説明する。
【0014】
図1から図8に示すように、本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いす100は、使用者が着座可能な構造を有する着座ブロック60と、前記着座ブロック60の動きを作動させる一対のリフティングブロック50と、前記各リフティングブロックに結合される一対の車輪組70と、前記各リフティングブロックの後尾の上部に結合される一対の移動操作手段90及び前記一対のリフティングブロックを互いに連結する連結ブロック80を備えてなる。
【0015】
前記着座ブロック60は、車いすを使用する使用者が着座可能な構造を有するが、可動となるように取り付けられる。すなわち、前記着座ブロック60は、使用者が安定的に着座可能な構造を有しながら、前記一対のリフティングブロック50により可動となるように取り付けられる。
【0016】
このために、前記着座ブロック60は、前記各リフティングブロック50に連結される一対の連結棒69と、前記一対の連結棒69に締結されて支持される載置棒67及び前記載置棒67の両側部にそれぞれ締結されて上方向に延びて形成される一対の安全バー65を備えている。
【0017】
前記一対の連結棒69は、前記一対のリフティングブロック50に一つずつ対応して連結される。具体的に、前記それぞれの連結棒69は、前記それぞれのリフティングブロック50を構成する作動フレーム50の上端に着脱可能に連結される。例示的に、前記各連結棒69は、各対応するリフティングブロック50を構成する作動フレーム50の上端に形成される連結孔41に嵌入する形態で着脱可能に連結される。結果的に、使用者または利用補助者(使用者である年よりまたは患者の利用補助者など)は、前記一対の連結棒69を前記リフティングブロック40を構成する作動フレーム50の連結孔41に嵌入させたり上側に抜脱したりする過程を通して前記着座ブロック60を前記一対のリフティングブロック50に着脱することができる。
【0018】
前記載置棒67は、前記一対の連結棒69に締結されて支持される。具体的に、前記載置棒67は、前記一対の連結棒69に締結・支持されて水平な状態で配置される。したがって、使用者は、前記載置棒67に直ちに着座したり、前記載置棒67の上に取り付けられる補助いすまたは補助着座プレートに着座したりすることができる。
【0019】
前記一対の安全バー65は、前記載置棒67の両側部にそれぞれ締結されて上方向に延びて形成される。したがって、使用者は、前記載置棒67または前記載置棒67の上に取り付けられる補助いすまたは補助着座プレートに着座した状態で前記一対の安全バー65にもたせ掛けたり把持したりして安定した状態を保持することができ、前記載置棒67または前記載置棒67の上に取り付けられる補助いすまたは補助着座プレートに着座したり着座状態で起立したりする過程において前記一対の安全バー65を用いて安全を保持することができる。
【0020】
前記安全バー65は、一対から構成される。具体的に、前記安全バー65は、前記載置棒67の一側部に締結形成される一側部の安全バー65と、前記載置棒67の他側部に締結形成される他側部の安全バー65から構成され、前記一側部の安全バー65と前記他側部の安全バー65は、前方の終端の部分が互いに着脱可能に結合されてもよい。
【0021】
前記両側部の安全バー65は、全体的に同じ構造を有する。したがって、以下において説明する安全バー65の構成及び特徴は、両側部の安全バー65に同様に適用される。前記それぞれの安全バー65は、前記載置棒67の側部の上側に配置される水平竿61、前記水平竿61の下端と前記載置棒67の側部とを互いに連結する一対の垂直竿62及び前記水平竿61の前端または前方側の垂直竿62の上端と連結されるが、前方の上側に傾くように延びて配置されるつかみ部63を備えている。
【0022】
前記水平竿61は、使用者が使用する過程において使用者の肘掛け(アームサポート)として活用できる構造を有することが好ましく、前記一対の垂直竿62は、前記水平竿61を安定的にかつ強固に支持できるように、後方側の垂直竿62は、前記水平竿61の一側の下端と前記載置棒67の側部の後側とを連結し、前方側の垂直竿62は、前記水平竿61の他側の下端と前記載置棒67の側部の前側とを連結する。
【0023】
前記つかみ部63は、前記水平竿61と平行な方向に延設されるわけではなく、前記水平竿61と鈍角θをなすように前方の上側に傾くように延設される。このように、前記つかみ部63が前記水平竿61に対して前方の上側に傾くように延設されるので、使用者が前記載置棒67に着座する過程または起立する過程においてさらなる便利さを与えることができる。
【0024】
このように構成される両側部の安全バー65は、前記載置棒67の両側部にそれぞれ一本ずつ結合されれば、強固かつ安定的な姿勢を保持し、使用の最中に変形されない。したがって、使用者は、使用する過程において前記水平竿61に腕を掛けて楽な姿勢を保持することができる。
【0025】
このように、前記安全バー65は、前記載置棒67の上に締結され、前記載置棒67は、前記連結棒69に支持されるように締結される。このために、前記安全バー65、載置棒67及び連結棒69は、一体に連結された状態で形成されてもよいが、製作及び取り扱いが決して容易ではないため、別途に製作されて締結部68によって互いに締結されることが好ましい。
【0026】
具体的に、前記連結棒69は、前記締結部68の下側の部分に締結され、前記載置棒67は、前記締結部68の途中の部分に締結され、前記安全バー65は、前記締結部68の上側の部分に締結される。ここで、前記安全バー65は、前記締結部68に締結できるように補助棒64をさらに備えている。前記補助棒64は、前記締結部68の上側の部分に締結されて水平に配置され、前側が前記前方側の垂直竿62の下端と一体に連結され、後側が前記後方側の垂直竿62の下端と一体に連結される。
【0027】
上述した着座ブロック60は、下部の両側に配置される一対のリフティングブロック50に連結されて可動となるように取り付けられる。前記一対のリフティングブロック50は、前記着座ブロック60の両側の下部にそれぞれ連結されるが、前記着座ブロック60が昇降動きと回動動きとのうちの少なくとも一方の動きを有するように作動させる動作を行う。
【0028】
本発明に適用される前記一対のリフティングブロック50は、基本的に、内部空間を形成するケース10と、前記ケース10の内部に取り付けられる駆動器20と、前記連結棒69が連結される作動フレーム40に結合されて前記駆動器20の駆動につれて前記作動フレーム40を動作させて前記着座ブロック60の昇降動きと回動動きを生じさせるリンク組立体30を備えている。
【0029】
このように構成される前記各リフティングブロック50は、見栄えをよくし、前記構成要素を守るためにケース10によって外部から守られる。すなわち、上述した駆動器20及びリンク組立体30は、前記ケース10の内部に形成される。前記駆動器20及びリンク組立体30は、基本的に、前記ケース10の内部に配置されるフレーム組立体13に連結される。
【0030】
本発明によれば、前記着座ブロック60を動作させるリフティングブロック50を両側にそれぞれ配置して一対から構成することから、使用者の体重を問わずに円滑に動作できるようにし、過剰な負荷による故障の発生を防げるようにするというメリットが得られる。
【0031】
上述したように、本発明に係るリフティングブロック50は、両側のそれぞれに配置され、同一の構成及び動作を有する。したがって、以下では、一方のリフティングブロック50、すなわち、前記一対のリフティングブロック50のうち、一側に配置される一方のリフティングブロック50の構成及び動作についてのみ説明し、関連する説明は、残りの他方のリフティングブロック50の構成及び動作に同様に適用可能である。
【0032】
以下では、本発明に適用される前記リフティングブロック50の構成及び動作について詳しく説明する。図10は、本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすのリフティング前の状態の内部を示す側面図であり、図11は、本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いすのリフティング後の状態の内部を示す側面図である。
【0033】
前記ケース10は、前記駆動器20及び前記リンク組立体60がその内部において強固かつ安定的な構造に回動可能に配置されるようにする。すなわち、前記ケース10の内部には、前記駆動器20及び前記リンク組立体60のそれぞれの一方の端が回動可能に連結できるようにするフレーム組立体13が配置されることが好ましい。
【0034】
前記フレーム組立体13は、複数の横フレーム15と、この横フレーム15に連結される複数の縦フレーム17と、から構成される。前記複数の横フレーム15と縦フレーム17は、フレーム組立体13が強固に構成できるように互いに結合され、前記駆動器20及び前記リンク組立体60が連結できるように配置される。
【0035】
前記駆動器20は、前記ケース10の内部に安定的に取り付けられて前記リンク組立体30を動作させて、前記リンク組立体30によって前記着座ブロック60を構成する連結棒69に連結される作動フレーム40が昇降動きと回動動きを有するようにする。
【0036】
前記リンク組立体30は、前記駆動器20の駆動につれて稼働されて前記着座ブロック60の連結棒69に結合される前記作動フレーム40を動作させる。前記リンク組立体30は、前記作動フレーム40に連結され、前記作動フレーム40は、前記着座ブロック60の下部に形成される連結棒69に着脱可能に結合され、結果的に、前記作動フレーム40の動作に応じて、前記着座ブロック60は、昇降動きと回動動きを有することができる。
【0037】
まとめると、前記リンク組立体30は、前記着座ブロック60の下部に形成される連結棒69に着脱可能に結合される前記作動フレーム40に連結されて前記駆動器20の駆動につれて前記作動フレーム40を動作させて、前記着座ブロック60の昇降動きと回動動きを生じさせる。
【0038】
前記作動フレーム40は、前記連結棒69に着脱可能な状態で連結され、前記連結棒69は、前記着座ブロック60の下部に強固に結合されるので、前記リンク組立体30の動作に応じて、前記着座ブロック60は、昇降動きと回動動きを有することができる。前記作動フレーム40の動きを生じさせる前記リンク組立体30は、前記駆動器20の駆動につれて前記作動フレーム40に前記着座ブロック60の昇降動きと回動動きを加えられる限り、種々の構成に形成可能である。
【0039】
本発明に係る前記着座ブロック60は、前記作動フレーム40に着脱可能に結合される。具体的に、前記着座ブロック60は、下部に形成される連結棒99を介して前記作動フレーム40に着脱可能に連結される。結果的に、前記着座ブロック60は、前記作動フレーム40と着脱し易く、これを通して、リフティング機能付き車いすを手軽に折り畳むことができ、その組立及び解体、さらにはメンテナンスのための時間、手間及びコストを節減することができる。本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、図5から図8に示すように、前記着座ブロック60を前記リフティングブロック50から抜脱した後に折り畳めるように構成される。
【0040】
本発明に係る前記リンク組立体30は、前記ケース10の内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレーム40に他方の端が回動可能に連結される第1のリンク31と、前記第1のリンク31の上側に配置されるが、前記ケース10の内部において一方の端が回動可能に連結され、前記作動フレーム40に他方の端が回動可能に連結される第2のリンク33と、を備えてなる。
【0041】
前記第1のリンク31は、一方の端が前記ケース10の内部において、特に、前記フレーム組立体13の縦フレーム17に回動可能に結合され、他方の端は、前記作動フレーム40に回動可能に結合される。また、前記第2のリンク33もまた、一方の端が前記ケース10の内部において、特に、前記フレーム組立体13の縦フレーム17に回動可能に結合され、他方の端は前記作動フレーム40に回動可能に結合される。但し、前記第2のリンク33は、前記第1のリンク31よりも上側に配置される。
【0042】
このように、前記第1のリンク31と前記第2のリンク33の各一方の端は、前記ケース10の内部において、特に、前記フレーム組立体13の縦フレーム17に回動可能に結合され、他方の端は、前記作動フレーム40に回動可能に結合されるので、前記駆動器20が前記第1のリンク31または前記第2のリンク33に駆動力を加えると、前記作動フレーム40は作動されることができ、これにより、前記作動フレーム40に前記連結棒69を介して結合される前記着座ブロック60は、昇降動きと回動動きを有するように動作されることができる。
【0043】
前記駆動器20の駆動軸21は、前記第1のリンク31または前記第2のリンク33に回動可能に連結されるが、前記駆動器20の駆動負荷を最小化させ、駆動安定性を向上させるために、前記作動フレーム40と回動可能に連結される個所と隣り合う部分、すなわち、前記第1のリンク31または前記第2のリンク33の他方の端と隣り合う個所に連結されることが好ましい。
【0044】
前記第1のリンク31及び前記第2のリンク33は、昇降動きだけではなく、回動動きもまた併せ持つため、前記第1のリンク31または前記第2のリンク33に連結される前記駆動器20もまた、回動可能に連結される。具体的に、前記駆動器20は、前記ケース10の内部において、特に、前記フレーム組立体13の縦フレーム17に回動可能に連結され、前記駆動器20の駆動軸21は、駆動器20によって前後進駆動されるが、前記第1のリンク31または前記第2のリンク33に回動可能に連結される。
【0045】
前記駆動器20の駆動軸21が前記第1のリンク31または前記第2のリンク33と回動可能に結合されるので、前記駆動軸21の前後進駆動につれて、前記第1のリンク31と前記第2のリンク33の他方の端に連結される前記作動フレーム40は、昇降動きと回動動きを有するように動作されることができる。
【0046】
一方、前記駆動器20の駆動につれて、前記第1のリンク31及び前記第2のリンク33が回動動きを有するため、前記第1のリンク31または前記第2のリンク33に連結される前記駆動器20もまた、前記ケース10の内部において、特に、前記フレーム組立体13の縦フレーム17に直接的に回動可能に結合される。
【0047】
前記駆動器20としては、油圧シリンダー、空圧シリンダーなど様々な形態の駆動器を採択・適用することができる。なお、前記駆動器20は、構造的な安定性及び干渉のない動作を考慮して、下側に配置される前記第1のリンク31に回動可能に結合されることがさらに好ましい。
【0048】
一方、前記着座ブロック60が上昇する前の状態、すなわち、下降した状態(図10の状態)で前記作動フレーム40を安定的に支持し、使用者の体重に応じて前記着座ブロック60が過剰に下降することを防ぐ必要がある。このために、前記ケース10の内部の下側には、前記作動フレーム70の下端を支持し、止め動作が行える支持ストッパー11が配備されることが好ましい。これを通して、前記作動フレーム40及びリンク組立体30に過剰な負荷が働くことを防いで、破損を防ぎ、寿命を延ばすことができる。
【0049】
本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、移動のために一対の車輪組70を備える。前記一対の車輪組70は、前記各リフティングブロック50に結合されて車いすの移動を可能にする。具体的に、前記それぞれの車輪組70は、各リフティングブロック50の前側に結合されるキャスター(前輪)71と後側に結合される駆動輪(後輪)73とから構成される。
【0050】
前記キャスター71としては、回転可能な構造に形成され、駆動輪73に比べて直径の小さな車輪が適用される。前記駆動輪73としては、前後方向に転動できるだけであり、回転できない構造に強固に結合され、キャスター71に比べて直径の大きな車輪が適用される。
【0051】
前記駆動輪73は、車いすが停止した状態で転動することが防がれる必要がある。このために、前記各リフティングブロック50の外側面には、前記駆動輪73の移動が抑えられるようにする車輪止め手段77が形成される。前記車輪止め手段77は、使用者または利用補助者の操作に応じて前後方向に移動させられる止めハンドル76及び前記止めハンドル76に連結されて前記止めハンドルの移動につれて前記駆動輪73を密着したり前記駆動輪73から離れたりする止めレバー75を備えている。
【0052】
例えば、使用者などが前記止めハンドル76を前方に押すと、前記止めレバー75が連動して前記駆動輪73を密着することにより、前記駆動輪73は、転動することが抑えられる。この状態で、使用者などが前記止めハンドル76を後方に引っ張ると、前記止めレバー75が連動して前記駆動輪73から離れることにより、前記駆動輪73は、再び転動することができる。
【0053】
本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、患者、年よりなどの使用者を介助する介助者などの利用補助者が移動を操作することができる。このために、本発明に係るリフティング機能付き車いすは、一対の移動操作手段90を備える。
【0054】
前記一対の移動操作手段90は、前記各リフティングブロック50の後尾の上部に結合されて車いすの移動を操作可能にする。すなわち、利用補助者は、前記各リフティングブロック50の後尾の上部に結合されて上方向に延びて形成される前記一対の移動操作手段90を把持して車いすを前後方向に移動させることもでき、移動方向を変更することもできる。
【0055】
前記各移動操作手段90は、対応するリフティングブロック50の後尾の上部に嵌合されて上方向に延びて形成されるポールロッド91と、前記ポールロッド91の上端から後方へと水平に延びて利用補助者が把持可能な部分を形成するグリップ部(握り部)93と、を備える。
【0056】
前記各移動操作手段90は、車いすを折り畳んで運ぶ過程において、空間及び体積を最小化させるために折り畳み構造を有することが好ましい。このために、前記ポールロッド91は、折り畳み部92を備える。前記折り畳み部92は、折り畳まれたり拡されたりできる構造であれば、種々の構造を採択・適用することができる。
【0057】
一方、前記駆動輪73は、前記グリップ部93を把持して操作する利用補助者により直ちに止められることが好ましい。このために、前記移動操作手段90は、前記グリップ部93の下側に形成されるブレーキレバー95をさらに備えることが好ましい。利用補助者が前記ブレーキレバー95を引っ張ると、前記ポールロッド91の内側に形成されるブレーキングラインが同様に引っ張られながら、前記駆動輪97の軸と隣り合うように配置されるブレーキングブロックによって前記駆動輪97はブレーキングされることが可能になる。
【0058】
本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、使用される過程において強固かつ安定した姿勢を保持する必要がある。このために、本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、前記一対のリフティングブロック50を互いに連結する連結ブロック80を備える。
【0059】
前記連結ブロック80は、前記一対のリフティングブロック50を互いに連結するが、強固かつ安定的に連結するとともに、車いすの運搬、運送、保管などのために折り畳む必要がある場合に、車いすのフォルディングに邪魔にならないような構造を有することが好ましい。
【0060】
このために、前記連結ブロック80は、前記一対のリフティングブロック50を直接的に連結する前側連結体81と、前記一対の移動操作手段90を互いに連結して前記一対のリフティングブロック50を間接的に連結する後側連結体86から構成され、前記前側連結体81と前記後側連結体86は、それぞれ取り外しまたはフォルディング可能に形成される。
【0061】
前記前側連結体81は、一対のリフティングブロック50の各内側面を互いに連結するが、取り外しまたはフォルディング可能な構造を有する。このために、前記前側連結体81の両側には前側回動部82が形成され、真ん中の部分には前側継ぎ部83が形成される。前記前側回動部82は、前記前側連結体81が前後方向に回動可能な構造に形成され、前記前側継ぎ部83は、フォルディング可能な構造に形成されるか、あるいは、取り外された状態で締結具(図示せず)により締結可能な構造に形成される。このような構造を通して、前記前側連結体81は、前方または後方にフォルディングされることが可能になる。
【0062】
前記後側連結体86は、一対の移動操作手段90の各ポールロッド91を互いに連結するが、取り外しまたはフォルディング可能な構造を有する。このために、前記後側連結体86の両側には後側回動部87が形成され、真ん中の部分には後側継ぎ部88が形成される。前記後側回動部87は、前記後側連結体86が前後方向に回動可能な構造に形成され、前記後側継ぎ部88は、フォルディング可能な構造に形成されるか、あるいは、取り外された状態で締結具(図示せず)により締結可能な構造に形成される。このような構造を通して、前記後側連結体86は、前方または後方にフォルディングされることが可能になる。
【0063】
本発明の実施形態に係るリフティング機能付き車いす100は、動きが不便な患者または年よりなどが使用することができる。このような使用者が屋内または屋外において前記着座ブロック60に着座した状態で本発明に係るリフティング機能付き車いす100を使用する場合、緊急な生理活動(大便または小便)により困難さを経る恐れがある。
【0064】
このために、本発明に係るリフティング機能付き車いす100は、図9に示すように、前記着座ブロック60に便器99を備えていてもよい。この場合、前記着座ブロック60を構成する載置棒67としては、前記便器99が採択・適用される。前記便器99は、使用者が着座可能な構造を有するということは言うまでもない。
【0065】
以上において本発明に係る実施形態が説明されたが、これらは、単なる例示のためのものに過ぎず、当該分野において通常の知識を有する者であれば、これより種々の変形及び均等な範囲の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は、下記の特許請求の範囲により定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るリフティング機能付き車いすは、簡単な構造を通して車いすの使用者が着座している着座ブロックを自動的に動かせるように構成し、前記着座ブロックが昇降動きと回動動きを有せるように構成することにより、構造を単純化することができ、車いすの使用者が安全に立ち上がれるように補助できるようにする産業上の利用可能性がある。
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