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特許7511932使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法
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  • 特許-使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20240701BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240701BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240701BHJP
   B09B 101/16 20220101ALN20240701BHJP
【FI】
H01M10/54
B09B3/35 ZAB
B09B5/00 Z
B09B101:16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022568550
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021122034
(87)【国際公開番号】W WO2022068916
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】202011067024.0
(32)【優先日】2020-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518458056
【氏名又は名称】湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】劉訓兵
(72)【発明者】
【氏名】欧陽剣君
(72)【発明者】
【氏名】張超文
(72)【発明者】
【氏名】王子
(72)【発明者】
【氏名】周群成
(72)【発明者】
【氏名】陳賛
(72)【発明者】
【氏名】呉山木
(72)【発明者】
【氏名】董雄武
(72)【発明者】
【氏名】劉暢
(72)【発明者】
【氏名】劉席巻
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108461855(CN,A)
【文献】中国実用新案第210079631(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110120560(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102637921(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105789724(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106391267(CN,A)
【文献】特開2017-174517(JP,A)
【文献】特開2015-002107(JP,A)
【文献】国際公開第00/019557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/54
B09B 3/35
B09B 5/00
B09B 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、
使用済みリチウムイオン電池についてケースを除去した電圧36ボルト以内の電池パック又はセルを、物理・化学的手段により電圧を低下又は解消せずに、質量比1~10倍の水の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、荷電したまま引き裂き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、2段磁気選別により鉄を除去した後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを得ることを特徴とする使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項2】
質量比2~9倍の水の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にすることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項3】
前記第1湿式篩分けにおいては、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メッシュスクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙を含む破片混合物を得ることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項4】
前記電解液の収集においては、前記第1湿式篩分け、前記第2湿式篩分けおよび前記第3湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽質液として電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレームプレスフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き裂き用水として本作業段階に戻し、電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、電解液として資格のある機関に送って処理させることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項5】
前記2段磁気選別による除鉄においては、前記第1湿式篩分け、前記第2湿式篩分けおよび前記第3湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選別にかけ、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、
2段磁気選別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送られて水の作用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とすることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項6】
前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容器内で接着剤除去剤を5~15%体積比加えて、5~60分間撹拌して浸漬し、正負極材料や銅箔、アルミ箔を離脱し又はこれらの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にすることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項7】
前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤を添加してリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙を含む破片混合物を一次粉砕、篩分けに供することを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項8】
前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を本作業段階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末やプラスチック粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末を得ることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項9】
前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別重力選別を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれプレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として本作業段階の粉砕工程に戻してリサイクルすることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用済みリチウムイオン電池の回収処理プロセス、特に使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みリチウムイオン電池の回収・総合的利用の分野において、使用済みリチウムイオン電池の解体に一般的に採用される手段は、使用済みリチウムイオン電池-番号付け・登録-ケース除去-放電-粉砕-ベーク-篩分けである。例えば新材産業(NO.092017、P43-46、朱国才、何向明、清華大学原子力・新エネルギー研究院、使用済みリチウムイオンパワー電池の解体及び段階的な利用)は以下の技術:「現在、主に破砕選別方法を用いて分解を行っている成熟した分解技術があり、そのプロセスのフローは放電、高温熱分解、機械破砕、粒径選別、密度選別などである」を開示した。また、開示番号CN201510823758.×(20151124)に記載の高圧液体切断システム及びその用途、使用済みリチウムイオン電池の解体方法である発明特許の明細書段落[0047]で開示された技術では、ステップ1:前記使用済みリチウムイオン電池に対して放電処理を行い、指定された電圧範囲にし、切断対象の使用済みリチウムイオン電池を得る。さらに、開示番号CN202010294915.3(20200415)に開示された技術は、使用済みリチウムイオン電池の回収方法であり、この方法は、使用済みリチウムイオン電池を希塩水に7~14日間浸漬し、毎日1回撹拌する浸漬放電のステップ1と、浸漬放電後の使用済みリチウムイオン電池を低温でベークしてから解体し、ケースを分離し、使用済みリチウムイオン電池の電極捲回体を得る解体のステップ2と、ステップ2で得られた電極捲回体を密閉反応容器に入れ、適量の有機溶剤を入れて撹拌及び低温加熱を行い、集電体から活物質を剥離した後、物理選別を行い、銅箔、アルミ箔及びセパレータを得、固液分離して、正負極粉体材料を得、分離後の有機溶剤系を処理してリサイクルする活物質分離のステップ3と、ステップ3で得られた正負極粉体材料を低温乾燥した後に破砕し、浸出用の原料を得る乾燥・粉砕のステップ4と、酸浸漬方法を採用し、浸出剤を添加し、ステップ4で得られた原料中の金属元素を液相に浸出し、固液分離し、炭素負極粉末と金属元素を含む浸出液を得て、炭素負極粉末を焼結してリチウムイオン電池用負極材料にする浸出のステップ5と、ステップ5の浸出液を精製し、不純物を除去した後、浸出液中の遷移金属元素の割合と遷移金属イオン濃度を調整し、沈殿剤と錯化剤を加えて、リチウムイオン電池正極材料用前駆体を得る沈殿のステップ6と、ステップ6の廃水についてアンモニアを予備蒸発して濃縮させ、得られたアンモニア水をステップ6に送ってリサイクルするアンモニア予備蒸発のステップ7と、アンモニア予備蒸発後の廃水から膜電解により酸とアルカリを生成し、得られた酸をステップ5に送ってリサイクルし、得られたアルカリをステップ6に送ってリサイクルする電解のステップ8と、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の従来技術では、分解前に放電を行う必要がある。抵抗法放電を採用すると量産を実現することができず、湿式放電は時間がかかり、しかも、両方ともに残留電圧は2.5V程度であり、粉砕前に放電するので、一定量の水分を持つようになり、粉砕する前にベークしなければならず、ベークするときにテルミット反応の可能性もあり、テルミット反応が発生すると、火災の危険がある。粉砕後でも、分解後の各成分の分離と各要素の収率の問題が存在する。粉砕後の材料が粗すぎたり細すぎたりすると、各成分の分離が不十分であるという問題がある。機械的な篩分けでは、同一粒度の各成分を十分に分離できず、アルミ中に銅が含まれたり、銅中にアルミが含まれたり、正負極材料に銅とアルミが混じっていたりするため、各成分の収率が低下し、各成分の品質も影響を受ける。
【0004】
本発明の目的は、解体過程で放電や乾燥を必要とし、しかも、解体においては火災のリスクが存在したり、十分に分離できなかったりするという従来技術の技術的難問を解決し、放電や乾燥を必要とせずに、各成分を十分に分離できる使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである。使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、使用済みリチウムイオン電池についてケースを除去した電池パック又はセルを放電せずに、荷電したまま湿式で引き裂き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、磁気選別により鉄を除去した後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを得ることを特徴とする。
【0006】
さらに、前記「放電せずに」とは、セル又は電池パックの電圧が36ボルト以下であり、物理・化学的手段により電圧を低下又は解消しないことを意味する。
【0007】
さらに、前記「荷電したまま湿式で引き裂く」とは、ケースを除去した使用済みリチウムイオン電池パック又はセルを、放電せずに、質量比1~10倍、好ましくは2~9倍、3~8倍、4~7倍、5~6倍の水の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にする。このような破片は正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔、鉄片、プラスチックシート、セパレータ紙片などと水との混合物である。
【0008】
さらに、前記第1湿式篩分けにおいて、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メッシュスクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得る。
【0009】
さらに、前記電解液の収集においては、前記湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽質液として電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレームプレスフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き裂き用水として本作業段階に戻す。電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、使用済み電解液として資格のある機関に送って処理させる。
【0010】
さらに、前記磁気選別による除鉄においては、前記湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選別にかけ、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、2段磁気選別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送られて水の作用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とする。
【0011】
さらに、前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容器内で接着剤除去剤にて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料や銅箔、アルミ箔を離脱し又はこれらの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にする。
【0012】
またさらに、前記接着剤湿式除去においては、磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を接着剤除去容器に入れて、所定の濃度の接着剤除去剤を加えて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料を銅箔、アルミ箔から離脱し、又は正負極接着剤層を層間剥離し、接着剤を除去する。
【0013】
またさらに、前記接着剤除去剤は、有機溶剤として、アセトン、テトラヒドロフラン、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの1種又は複数種の混合物である。
【0014】
またさらに、前記接着剤除去剤は有機溶剤としてテトラヒドロフランである。
【0015】
またさらに、前記接着剤湿式除去ステップにおいて、所定濃度は1~20体積%、好ましくは5~15体積%、10体積%である。
【0016】
またさらに、接着剤湿式除去ステップにおいて、前記所定時間の浸漬撹拌は、時間5~60分間、好ましくは10~50分間、20~40分間、30分間、撹拌速度15~60回転/分、好ましくは20~55回転/分、25~50回転/分、35~45回転/分である。
【0017】
さらに、前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤を添加してリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を一次粉砕、篩分けに供する。
【0018】
さらに、前記第1湿式粉砕においては、第2湿式篩分けによる篩上物に、質量比3~5倍、好ましくは4倍の水を加えて、200メッシュ以下に粉砕する。
【0019】
さらに、前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を本作業段階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末やプラスチック粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末などを得る。
【0020】
さらに、前記第2湿式粉砕においては、第3湿式篩分けによる篩上物にさらに水を加えて、200メッシュ以下に粉砕する。
【0021】
さらに、前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別重力選別を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれプレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として本作業段階の粉砕工程に戻してリサイクルする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、以上の技術手段を用いることにより、使用済みリチウムイオン電池の解体においては、放電や乾燥を必要とせず、各部品を十分に分離することができ、解体過程で放電や乾燥を必要とし、しかも、解体においては火災のリスクが存在したり、十分に分離できなかったりするという従来技術の技術的難問を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:型番18650の使用済みリチウムイオン電池について、重量を量った結果、20kgであり、全体として水に入れて、2本ロールによって引き裂き、15×15mmの破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1150mLの電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は325.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物について、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は4792.1gであった。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m反応容器に入れ、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、15分間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、1425.8gであり、篩上物(水32.7%含有)は正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:ステップfの第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物14833.3g(水16.2%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を量った結果、4028.7g(水25.65%含有)であり、篩上物に水をさらに加えて200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末1612.4g、アルミ粉末3004.9g、正負極材料6412.1gやプラスチック粉末、セパレータパルプ4172.6gがそれぞれ得られた。
発明の実施例
【0025】
本発明をより明確に理解するために、以下、図1を参照して特定実施例により本発明についてさらに説明する。
【0026】
実施形態1:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、使用済みリチウムイオン電池についてケースを除去した電池パック又はセルを放電せずに、荷電したまま湿式で引き裂き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、磁気選別により鉄を除去した後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを得る。前記「放電せずに」とは、セル又は電池パックの電圧が36ボルト以下であり、物理・化学的手段により電圧を低下又は解消しないことを意味する。つまり、従来技術では放電せずに解体できない電池は、本発明では、放電せずに、そのまま解体可能になる。前記「荷電したまま湿式で引き裂く」とは、ケースを除去した使用済みリチウムイオン電池パック又はセルを、放電せずに、噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にする。このような破片は正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔、鉄片、プラスチックシート、セパレータ紙片などと水との混合物である。前記第1湿式篩分けにおいては、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メッシュスクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得る。前記電解液の収集においては、前記湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽質液として電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレームプレスフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き裂き用水として本作業段階に戻す。電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、使用済み電解液として資格のある機関に送って処理させる。前記磁気選別による除鉄においては、前記湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選別にかけ、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、2段磁気選別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送られて水の作用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とする。前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容器内で接着剤除去剤にて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料や銅箔、アルミ箔を離脱し又はこれらの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にする。またさらに、前記接着剤湿式除去においては、磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を接着剤除去容器に入れて、所定の濃度の接着剤除去剤を加えて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料を銅箔、アルミ箔から離脱し、又は正負極接着剤層を層間剥離し、接着剤を除去する。前記接着剤除去剤は、有機溶剤として、アセトン、テトラヒドロフラン、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの1種又は複数種の混合物、最も好ましくはテトラヒドロフランである。前記接着剤湿式除去ステップにおいて、所定濃度は1体積%~20体積%、好ましくは5~15体積%、10体積%である。接着剤湿式除去ステップにおいて、前記所定時間の浸漬撹拌は、時間5~60分間、好ましくは10~50分間、20~40分間、30分間、撹拌速度15~60回転/分、好ましくは20~55回転/分、25~50回転/分、35~45回転/分である。前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤を添加してリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を一次粉砕、篩分けに供する。前記第1湿式粉砕においては、第2湿式篩分けによる篩上物に、質量比3~5倍の水を加えて、200メッシュ以下に粉砕する。前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を本作業段階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末やプラスチック粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末などを得る。前記第2湿式粉砕においては、第3湿式篩分けによる篩上物にさらに水を加えて、200メッシュ以下に粉砕する。前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別重力選別を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれプレートフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として本作業段階の粉砕工程に戻してリサイクルする。
【0027】
実施例1:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.ケース除去:電池番号H-52201の電池からケースを除去し、7つの電池パックのうちの1つを取り出し、その重量を量った結果、1958.0gであった。
c.荷電したまま湿式で引き裂くこと:放電せずに、全体として水に入れて、ブレードを用いて割って、15×15mmよりも小さい破片に切った。
d.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片に対して、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
e.電解液の収集:ステップdの湿式篩分けによる篩下物を分液漏斗で油水分離し、軽質液としてメスシリンダにより測定した結果体積120mLの電解液、、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は47.46gであった。
f.磁気選別による除鉄:ステップdの湿式篩分け用のトロンメルスクリーンの篩上物について、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、この鉄を0.0gにした。
g.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を得て、5000mLビーカーに入れ、水3000mLを加え、テトラヒドロフラン150mLを加えて30分間撹拌し、正極材料がアルミ箔から離脱下ことが認められ、それとともに、正極材料の明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、324.25g(水41.4%含有)であり、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を、湿式粉砕操作に供した。
h.湿式粉砕・篩分け:ステップgにおいて第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物2060.2g(水21%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシートによって第3湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を量った結果、536.91g(水38.5%含有)であり、篩上物1944.2gに水10kgをさらに加え、200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末228.60g、アルミ粉末428.44、正負極材料943.10gやプラスチック粉末、セパレータパルプ251.40gがそれぞれ得られた。
【0028】
実施例2:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:番号H-52187の使用済みリチウムイオン電池からケースを除去し、計7つの電池パックを取り出し、これらの重量を量った結果、13867gであり、全体として水に入れて、ディスクカッタを用いて引き裂き、15×15mmよりも小さい破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、用150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽質液としてメスシリンダにより測定した結果体積835mLの電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は355.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物について、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、この鉄を0.0gにした。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.1m反応容器に入れて、水0.5mを加え、テトラヒドロフランとN-ジメチルアセトアミドをそれぞれ12.5kg加え、10分間撹拌し、正極材料の表面の明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、1075.3gであり、篩上物は含水率38.1%であり、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:接着剤湿式除去ステップの第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物21150g(15%水含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシート付によって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を量った結果、2701.8g(水32.6%含有)であり、篩上物15840.1g(水15%含有)に水10kgをさらに含み、200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、選別物を乾燥させると、銅粉末1596.3g、アルミ粉末2993.5g、正負極材料6580.4gやプラスチック粉末、セパレータパルプ1861.5gがそれぞれ得られた。
【0029】
実施例3:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:番号H-50321、H-57106の使用済みリチウムイオン電池について、重量を量った結果、68.6kgであり、ケースごとに全体として水に入れて、2本ロールによって引き裂き、15×15mmよりも小さい破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1600mLの電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は710.4gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物について、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は41.88kgであった。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m反応容器内に入れて、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、30分間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、2112.3gであり、篩上物は含水率35.4%であり、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:接着剤湿式除去ステップにおいて第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物(水14.1%含有)40915.4gに水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を量った結果、8287.6g(水31.5%含有)であり、篩上物に水10kgをさらに加え、200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末3192.8g、アルミ粉末6008.1g、正負極材料13155.4gやプラスチック粉末、セパレータパルプ3720.9gがそれぞれ得られた。
【0030】
実施例4:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:型番18650の使用済みリチウムイオン電池について、重量を量った結果、20kgであり、全体として水に入れて、2本ロールによって引き裂き、15×15mmの破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチックケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1150mLの電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は325.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物について、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は4792.1gであった。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m反応容器に入れ、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、15分間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、1425.8gであり、篩上物(水32.7%含有)は正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:ステップfの第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチック、セパレータ紙などの破片混合物14833.3g(水16.2%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を量った結果、4028.7g(水25.65%含有)であり、篩上物に水をさらに加えて200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチック粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチック粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末1612.4g、アルミ粉末3004.9g、正負極材料6412.1gやプラスチック粉末、セパレータパルプ4172.6gがそれぞれ得られた。本発明の実施例で使用される2本ロール、トロンメルスクリーンは全て河南鄭鉱機器有限公司製の市販品であり、2本ロールの型番は2PG0425、トロンメルスクリーンの型番はGTS-0608である。
【0031】
【0032】
【0033】
以上は本発明を説明する実施例に過ぎず、本発明を何ら形式的か実質的に限定するものではなく、なお、当業者であれば、本発明の方法を逸脱することなく行われるいくつかの改良や補充も本発明の特許範囲とみなすべきである。当業者であれば、本発明の主旨や範囲を逸脱することなく、上記した技術内容に基づいて行われるいくつかの変更、修飾や変化という等同変化は全て本発明の等価実施例であり、また、本発明の実質的な技術に基づいて上記の実施例について行われる等同の変更、修飾や変化も本発明の特許範囲に属する。
図1