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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023136032
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 眞介
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0343215(US,A1)
【文献】特開2020-74384(JP,A)
【文献】特開平8-114810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447-H01L 21/449
H01L 21/48 -H01L 21/607
H01L 21/98
H05K 3/30 -H05K 3/34
H05K 13/00 -H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、
電力及び冷却空気が供給される複数の実装ヘッドと、1の実装ヘッドの下部に取付けられるヒータと、を備え、
前記ヒータと各前記実装ヘッドとを接続する電力ケーブルと、前記ヒータと各前記実装ヘッドとを接続する冷却空気配管と、を備えること、
を特徴とする実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の実装装置であって、
前記1の実装ヘッド以外の他の実装ヘッドは、前記1の実装ヘッドの近傍に配置され、前記1の実装ヘッドに追従して移動すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の実装装置であって、
前記1の実装ヘッドが前記半導体チップを前記被実装体に押圧する際に、前記他の実装ヘッドが前記ヒータの上から前記半導体チップを押圧すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の実装装置であって、
前記被実装体は、ウェーハ又は基板又は他の半導体チップであること、
を特徴とする実装装置。
【請求項5】
被実装体に半導体チップを実装する実装方法であって、
電力及び冷却空気が供給される複数の実装ヘッドを備える実装装置を準備し、
1の実装ヘッドの下部にヒータを取り付け、
前記ヒータと各前記実装ヘッドとを電力ケーブルで接続するとともに、前記ヒータと各前記実装ヘッドとを冷却空気配管で接続し、
各前記電力ケーブルを通して各前記実装ヘッドから前記ヒータに電力を供給して前記半導体チップを加熱しつつ、前記1の実装ヘッドによって前記半導体チップを前記被実装体に押圧し、その後、各前記冷却空気配管を通して各前記実装ヘッドから前記ヒータに冷却空気を供給して前記ヒータを冷却すること、
を特徴とする実装方法。
【請求項6】
請求項5に記載の実装方法であって、
前記1の実装ヘッド以外の他の実装ヘッドを、前記1の実装ヘッドの近傍に配置し、前記1の実装ヘッドに追従して移動させること、
を特徴とする実装方法。
【請求項7】
請求項6に記載の実装方法であって、
前記1の実装ヘッドが前記半導体チップを前記被実装体に押圧する際に、前記他の実装ヘッドが前記ヒータの上から前記半導体チップを押圧すること、
を特徴とする実装方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の実装方法であって、
前記被実装体は、ウェーハ又は基板又は他の半導体チップであること、
を特徴とする実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップをウェーハや基板に実装する実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップが大型化している。このため、特許文献1には、1つのモータベースに2つのチャックを取り付け、2つのチャックで大型のコレットを吸着保持し、大型の半導体チップをピックアップする実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7228932号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体チップをウェーハや基板の上に実装する際には、ヒータによって半導体チップを急速加熱してボンディングツールによってウェーハ等に押圧、実装した後、次の半導体チップの実装のためにヒータやボンディングツールを急速冷却する必要がある。このため、ヒータには、高速加熱の可能なセラミックヒータが用いられ、ヒータには冷却空気が供給されるように構成される場合が多い。
【0005】
ところが、半導体チップが大型化するとヒータも大型化する。すると、ヒータの熱容量が大きくなり、高速加熱に必要な電力が大きくなる。また、冷却に必要な冷却空気の流量も多くなる。このため、ヒータに大きな電力と多量の冷却空気を供給することが求められている。
【0006】
そこで、本開示は、簡便な構成で、ヒータに大きな電力と多量の冷却空気を供給可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実装装置は、被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、電力及び冷却空気が供給される複数の実装ヘッドと、1の実装ヘッドの下部に取付けられるヒータと、を備え、ヒータと各実装ヘッドとを接続する電力ケーブルと、ヒータと各実装ヘッドとを接続する冷却空気配管と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
このように、1の実装ヘッドと他の実装ヘッドから電力ケーブルと冷却空気管を通して電力と冷却空気をヒータに供給できるので、簡便な構成でヒータに大きな電力と多量の冷却空気を供給できる。これにより、ヒータの急速加熱、急速冷却を行うことができ、半導体チップを短時間に実装することができる。
【0009】
本開示の実装装置において、1の実装ヘッド以外の他の実装ヘッドは、1の実装ヘッドの近傍に配置され、1の実装ヘッドに追従して移動してもよい。
【0010】
これにより、他の実装ヘッドに取付けられた電力ケーブル及び冷却空気配管と、ヒータとの接続ケーブル、接続配管を短くすることができる。
【0011】
本開示の実装装置において、1の実装ヘッドが半導体チップを被実装体に押圧する際に、他の実装ヘッドがヒータの上から半導体チップを押圧してもよい。
【0012】
これにより、1の実装ヘッドでは押圧力が不足するような半導体チップを被実装体に実装することができる。
【0013】
本開示の実装装置において、被実装体は、ウェーハ又は基板又は他の半導体チップとしてもよい。
【0014】
本開示の実装方法は、被実装体に半導体チップを実装する実装方法であって、電力及び冷却空気が供給される複数の実装ヘッドを備える実装装置を準備し、1の実装ヘッドの下部にヒータを取り付け、ヒータと各実装ヘッドとを電力ケーブルでそれぞれ接続するとともに、ヒータと各実装ヘッドとを冷却空気配管で接続し、各電力ケーブルを通して各実装ヘッドからヒータに電力を供給して半導体チップを加熱しつつ、1の実装ヘッドによって半導体チップを被実装体に押圧し、その後、各冷却空気配管を通して各実装ヘッドからヒータに冷却空気を供給してヒータを冷却すること、を特徴とする。
【0015】
本開示の実装方法において、1の実装ヘッド以外の他の実装ヘッドを、1の実装ヘッドの近傍に配置し、1の実装ヘッドに追従して移動させてもよい。
【0016】
本開示の実装方法において、1の実装ヘッドが半導体チップを被実装体に押圧する際に、他の実装ヘッドがヒータの上から半導体チップを押圧してもよい。
【0017】
本開示の実装方法において、被実装体は、ウェーハ又は基板又は他の半導体チップとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示の実装装置は、簡便な構成で、ヒータに大きな電力と多量の冷却空気を供給できる。これにより、ヒータの急速加熱、急速冷却を行うことができ、半導体チップを短時間に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】参考例のボンディング装置の構成を示す立面図である。
図2】実施形態のボンディング装置を示す立面図である。
図3】実施形態のボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
図4】実施形態のボンディング装置の動作を示す説明図であって、大型ヒータで大型半導体チップを加熱しながら第1ノズルを下降させて大型半導体チップを基板に押圧した状態を示す図である。
図5】実施形態のボンディング装置の動作を示す説明図であって、第1ノズルを上昇させて、大型ヒータに冷却空気を通流させて大型ヒータを冷却する状態を示す図である。
図6】他の実施形態のボンディング装置の構成を示す立面図である。
図7図6に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、大型ヒータで大型半導体チップを加熱しながら第1ノズルを下降させて大型半導体チップを基板に押圧すると共に、第2ノズルで大型ヒータの上から大型半導体チップを押圧した状態を示す図である。
図8】他の実施形態のボンディング装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施形態の実装装置であるボンディング装置200について説明する。実施形態のボンディング装置200について説明する前に、参考例のボンディング装置100について説明する。尚、以下の説明では、図1に示すように、ボンディングステージ40に平行で、ガイドレール30の延びる方向をY方向、水平面内でY方向と直交する方向をX方向、上下方向をZ方向として説明する。
【0021】
図1に示すように、ボンディング装置100は、ボンディングステージ40と、1つのガイドレール30と、X方向駆動部31と、第1、第2ボンディングヘッド10、20と、第1、第2小型ヒータ15、25と、第1、第2小型ボンディングツール16、26と、第1、第2冷却空気供給管17A、27Aと、第1、第2冷却空気接続管17B、27Bと、第1、第2電力供給ケーブル18A、28Aと、第1、第2接続ケーブル18B、28Bと、制御部50とを含んでいる。ボンディング装置100は、第1、第2ボンディングヘッド10、20で同時に2つの小型半導体チップ110、120を基板41の上に実装可能である。
【0022】
図1に示すように、ボンディングステージ40は、上面に被実装体である基板41を真空吸着する。また、基板41は、上面に小型半導体チップ110、120をボンディングしたものでもよい。この場合、被実装体は、基板41の上にボンディングしてある他の小型半導体チップ110、120である。また、ボンディングステージ40は、上面に他の被実装体であるウェーハを真空吸着できる。
【0023】
ガイドレール30は、ボンディングステージ40の上部でY方向に延びる長手部材である。ガイドレール30は、例えば、ガントリークレーンのY方向レールでもよい。ガイドレール30は、X方向駆動部31によりY方向と直交するX方向に駆動される。
【0024】
第1ボンディングヘッド10は、第1本体11と、第1Y方向駆動部14と、第1ノズル12とを含んでいる。第1ボンディングヘッド10は、1の実装ヘッドである。第1Y方向駆動部14は、ガイドレール30にガイドされ、内部に収容しているY方向駆動モータによりY方向に移動する。
【0025】
第1本体11は、第1Y方向駆動部14の下側に接続され、第1Y方向駆動部14と一体となってY方向に移動する。第1本体11は、内部に第1ノズル12をZ方向に駆動する第1ボイスコイルモータ13を収容している。
【0026】
第1ノズル12は、第1ボイスコイルモータ13によって上下方向に移動する第1スライダ部12Aと、下面に第1小型ヒータ15を真空吸着する第1ノズル部12Bとで構成される。第1ノズル12には、外部から冷却空気と電力を供給する第1冷却空気供給管17Aと第1電力供給ケーブル18Aとが接続されている。
【0027】
第1小型ヒータ15は、第1ノズル部12Bの下面にボルトで固定されている。実施形態のボンディング装置100では、第1小型ヒータ15の平面形状は、第1ノズル部12Bの平面形状と略同一であり、第1小型ヒータ15は第1ノズル部12Bの下面に外周縁が一致するようにボルトで固定されている。第1小型ヒータ15は、急速加熱が可能なセラミックヒータである。
【0028】
第1小型ヒータ15の下面には、第1小型ボンディングツール16が真空吸着されている。第1小型ボンディングツール16の下面には、小型半導体チップ110が真空吸着される。
【0029】
第1ノズル12と第1小型ヒータ15との間は第1冷却空気接続管17Bと、第1接続ケーブル18Bとで接続されている。第1小型ヒータ15には、第1冷却空気接続管17Bを通して第1ノズル12から冷却空気が供給される。また、第1小型ヒータ15には、第1接続ケーブル18Bを通して第1ノズル12から電力が供給される。
【0030】
第2ボンディングヘッド20は、第1ボンディングヘッド10と同様、第2本体21と、第2Y方向駆動部24と、第2ノズル22とを含んでいる。第2本体21、第2Y方向駆動部24は、先に説明した第1ボンディングヘッド10の第1本体11、第1Y方向駆動部14の構成と同一の構成である。第2ノズル22は、第1ノズル12と同様、第2スライダ部22Aと、第2ノズル部22Bとで構成され、第2ノズル部22Bの下面には、第2小型ヒータ25がボルトで固定されている。第2小型ヒータ25の下面には、第2小型ボンディングツール26と小型半導体チップ120が真空吸着される。第2ノズル22には、第2冷却空気供給管27Aと第2電力供給ケーブル28Aとが接続され、第2ノズル22と第2小型ヒータ25とは第2冷却空気接続管27Bと、第2接続ケーブル28Bで接続されている。尚、第2ボンディングヘッド20は、他の実装ヘッドである。
【0031】
制御部50は、内部にCPU51と、制御プログラムや制御データを格納するメモリ52とを含むコンピュータである。第1、第2Y方向駆動部14、24と、X方向駆動部31と、第1、第2ボイスコイルモータ13、23と、第1、第2小型ヒータ15、25とは制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作する。制御部50は、第1、第2Y方向駆動部14、24とX方向駆動部31とにより第1、第2ボンディングヘッド10、20をXY方向に駆動し、第1、第2ボイスコイルモータ13、23によって第1、第2ノズル12、22を上下方向に移動させて同時に2つの小型半導体チップ110、120を基板41の上に実装する。
【0032】
次に図2を参照しながら実施形態の実装装置であるボンディング装置200について説明する。ボンディング装置200は、先に説明したボンディング装置100と同様、ボンディングステージ40と、1つのガイドレール30と、X方向駆動部31と、第1、第2ボンディングヘッド10、20と、第1、第2冷却空気供給管17A、27Aと、第1、第2電力供給ケーブル18A、28Aと、制御部50とを含んでいる。これらの構成は、先に図1を参照して説明したボンディング装置100の各部の構成と同一であるから、説明は省略する。
【0033】
図2に示すように、ボンディング装置200は、ボンディング装置100の第1、第2ノズル12、22の下面にボルトで固定されていた第1、第2小型ヒータ15、25を取り外し、第1ノズル12の下面の中央に大型ヒータ60をボルトで固定したものである。大型ヒータ60の平面サイズは大型半導体チップ130の平面サイズと同一であり、第1ノズル12の下面の平面サイズよりも大きい。従って、大型ヒータ60を第1ノズル12の下面に固定すると、大型ヒータ60の外周部分は、第1ノズル12より外側に突出する。そして、大型ヒータ60の下面には、大型ボンディングツール65が真空吸着されている。大型ボンディングツール65の下面には、大型半導体チップ130が真空吸着される。
【0034】
なお、大型ヒータ60は、先に説明した第1、第2小型ヒータ15、25と区別するために「大型」としているが、必ず第1、第2小型ヒータ15、25よりも大型である必要はない。例えば、従来のヒータよりも電力もしくは冷却空気の流量が必要となるプロセスの場合は、ヒータの大きさに関わらず本発明を適用することが可能である。同様に、大型ボンディングール65、大型半導体チップ130も、それぞれ小型ボンディングツール16、26、小型半導体チップ110、120よりも必ず大型である必要はない。
【0035】
第1ノズル12と大型ヒータ60との間は冷却空気配管である第1大型ヒータ冷却空気接続管17Cと、電力ケーブルである第1大型ヒータ接続ケーブル18Cとで接続されている。また、第2ノズル22と大型ヒータ60との間は冷却空気配管である第2大型ヒータ冷却空気接続管27Cと、電力ケーブルである第2大型ヒータ接続ケーブル28Cとで接続されている。そして、大型ヒータ60には第1、第2大型ヒータ冷却空気接続管17C、27Cを通して第1、第2ノズル12、22から冷却空気が供給される。また、大型ヒータ60には、第1、第2大型ヒータ接続ケーブル18C、28Cを通して第1、第2ノズル12、22から電力が供給される。また、大型ヒータ60は、制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作する。
【0036】
第2ボンディングヘッド20は、第2ノズル22が第1ボンディングヘッド10の第1ノズル12の近傍に第1ノズル12と離間する位置に配置される。また、第2ノズル22は第1ノズル12よりも少し上方に位置しており、第2ノズル22の下面と大型ヒータ60の上面との間には隙間が空いている。
【0037】
第1ボンディングヘッド10は、制御部50の指令によって大型半導体チップ130をボンディングするボンディング位置に移動させるマスタボンディングヘッドである。また、第1ボンディングヘッド10は、1の実装ヘッドである。第2ボンディングヘッド20は、第1ボンディングヘッド10の近傍に配置され、第1ボンディングヘッド10に追従して移動するスレーブボンディングヘッドである。第2ボンディングヘッド20は、他の実装ヘッドである。先に説明したように、第2ボンディングヘッド20の第2ノズル22の下面と大型ヒータ60の上面との間には隙間が空いており、第2ノズル22は大型ヒータ60を押圧しない。
【0038】
次に、図3から図5を参照しながらボンディング装置200の動作について説明する。ボンディング装置200の動作は、制御部50のCPU51がメモリ52に格納された制御プログラムを実行することにより実現される。ボンディング装置200としての動作を行う前に、図1に示すボンディング装置100の第1、第2小型ヒータ15、25を取り外し、第1ノズル12の下面に大型ヒータ60をボルトで固定しておく。そして、大型ボンディングツール65を大型ヒータ60の下面に真空吸着させて、図2に示すボンディング装置200を構成しておく。
【0039】
図3のステップS101に示すように、制御部50は、第1、第2Y方向駆動部14、24と、X方向駆動部31とにより、第1、第2ボンディングヘッド10、20をピックアップステージ(図示せず)の上に移動させる。この際、制御部50は、第1ボンディングヘッド10の第1ノズル12の中心がピックアップステージの上に載置されている大型半導体チップ130の中心に重なるように、第1Y方向駆動部14とX方向駆動部31を動作させて第1ボンディングヘッド10をXY方向に移動させる。また、制御部50は、第2Y方向駆動部24によって第2ボンディングヘッド20を第1ボンディングヘッド10に追従させてXY方向に移動させる。
【0040】
そして、制御部50は、第1ノズル12の中心が大型半導体チップ130の中心位置となったら、第1ボイスコイルモータ13を動作させて第1ノズル12を下降させ、大型ボンディングツール65の下面に大型半導体チップ130を真空吸着する。そして、制御部50は、第1ボイスコイルモータ13を動作させて第1ノズル12を上昇させ、大型半導体チップ130をピックアップステージからピックアップする。この際、制御部50は、第2ノズル22を下降させず、下面が大型半導体チップ130の上面よりも少し上の位置となる高さに第2ノズル22を保持する。この第2ノズル22の位置を待機位置という。
【0041】
次に、制御部50は、図3のステップS102に示すように、第1、第2Y方向駆動部14、24と、X方向駆動部31とにより第1、第2ボンディングヘッド10、20をボンディングステージ40の上に移動させる。そして、制御部50は、図3のステップS103に示すように、第1Y方向駆動部14とX方向駆動部31を動作させて第1ノズル12の中心をボンディング位置の中心に移動させる。また、制御部50は、第2ボンディングヘッド20を第1ボンディングヘッド10に追従移動させ、第2ノズル22を待機位置に配置する。
【0042】
次に、制御部50は、図3のステップS104、図4に示すように、第1、第2大型ヒータ接続ケーブル18C、28Cを通して第1、第2ノズル12、22から大型ヒータ60に電力を供給し、大型ヒータ60を動作させて大型半導体チップ130を急速加熱する。そして、制御部50は、第1ボイスコイルモータ13を動作させ、図4中の矢印91に示すように、第1ノズル12を下降させて、大型半導体チップ130を基板41のボンディング位置に加熱しながら押圧し、大型半導体チップ130を基板41に実装する。この際、制御部50は、第2ボイスコイルモータ23を動作させず、第2ノズル22を待機位置に保持する。
【0043】
次に、制御部50は、大型半導体チップ130の真空吸着を解除した後、図3のステップS105、図5中の矢印92に示すように、第1ボイスコイルモータ13を動作させて第1ノズル12を上昇させる。そして、制御部50は、第1、第2大型ヒータ冷却空気接続管17C、27Cを通して第1、第2ノズル12、22から冷却空気を大型ヒータ60に供給し、大型ヒータ60と大型ボンディングツール65を急速冷却する。
【0044】
制御部50は、大型ヒータ60と大型ボンディングツール65の冷却が終わったら、図3のステップS106に進む。制御部50は、図3のステップS106で全てのボンディング位置に大型半導体チップ130を実装したかどうか判断する。そして、制御部50は、図3のステップS106でNOと判断した場合には、図3のステップS101に戻って次の大型半導体チップ130をピックアップし、次のボンディング位置に次の大型半導体チップ130をボンディングする。一方、図3のステップS106でYESと判断した場合には、制御部50は、実装動作を終了する。
【0045】
以上説明したように、実施形態のボンディング装置200は、第1、第2大型ヒータ接続ケーブル18C、28Cを通して第1、第2ノズル12、22から大型ヒータ60に電力を供給するので、一度に大型ヒータ60に大電力を供給することができる。これにより、大型ヒータ60を急速に加熱することができる。また、実施形態のボンディング装置200は、第1、第2大型ヒータ冷却空気接続管17C、27Cを通して第1、第2ノズル12、22から大型ヒータ60に冷却空気を供給するので、一度に大型ヒータ60に多量の冷却空気を通流させることができる。これにより、大型ヒータ60を急速に冷却することができる。このため、簡便な構成で大型ヒータ60の急速加熱、急速冷却を行うことができ、大型半導体チップ130を短時間に実装することができる。
【0046】
また、第2ボンディングヘッド20を第1ボンディングヘッド10に追従して移動するように構成しているので、第1、第2大型ヒータ接続ケーブル18C、28C、第1、第2大型ヒータ冷却空気接続管17C、27Cの長さを短くすることができ、構成を簡便にすることができる。
【0047】
尚、以上の実施形態では、基板41の上に大型半導体チップ130を実装することとして説明したが、ボンディング装置200は、ボンディングステージ40の上にウェーハを真空吸着し、ウェーハの上に大型半導体チップ130を実装することもできる。また、基板41又はウェーハの上に大型半導体チップ130を実装した基板41又はウェーハをボンディングステージ40の上に真空吸着し、大型半導体チップ130の上に二段目の大型半導体チップ130を積層して実装してもよい。
【0048】
また、以上の説明では、第1、第2冷却空気供給管17A、27Aと、第1、第2電力供給ケーブル18A、28Aはそれぞれ第1、第2ノズル12、22に接続されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、第1、第2冷却空気供給管17A、27Aと、第1、第2電力供給ケーブル18A、28Aはそれぞれ第1、第2本体11、21に接続されてもよい。この場合、第1大型ヒータ冷却空気接続管17Cと、第1大型ヒータ接続ケーブル18Cとは第1本体11と大型ヒータ60との間を接続し、第2大型ヒータ冷却空気接続管27Cと、第2大型ヒータ接続ケーブル28Cとは、第2本体21と大型ヒータ60との間を接続するように構成してもよい。
【0049】
次に図6を参照しながら他の実施形態のボンディング装置300について説明する。先に図1図2を参照して説明したボンディング装置100、200と同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0050】
ボンディング装置300は、大型ヒータ61の第1ノズル12へのボルト固定位置がオフセット配置されたものである。図6に示すように、大型ヒータ61を第1ノズル12の下面に固定すると、第2ノズル22の待機位置を大型ヒータ61の右の上面に重ね合わせることができる。
【0051】
そして、制御部50は、図7中の矢印93に示すように、第1ノズル12を下降させて大型半導体チップ130を基板41のボンディング位置押圧する際に、図7中の矢印94に示すように、第2ノズル22を第1ノズル12と協調して下降させ、第2ノズル22の下面で大型ヒータ60の上面を押圧する。これにより、第2ノズル22は、大型ヒータ60の上から大型半導体チップ130を基板41に押圧する。このように、ボンディング装置300では、第1ノズル12と第2ノズル22とで大型半導体チップ130を基板41に押圧する。
【0052】
図6、7に記載のボンディング装置300によれば、第1ノズル12のみでは押圧力が不足するような大型半導体チップ130を基板41に実装することができる。
【0053】
次に、図8を参照しながら他の実施形態のボンディング装置400について説明する。
【0054】
図8に示すように、ボンディング装置400は、第1、第2ボンディングヘッド10、20に加え、第3、第4ボンディングヘッド70、80を備えている。大型ヒータ62は、中央部が第1ノズル12の下面にボルトで固定されている。第1ボンディングヘッド10はマスタボンディングヘッドであり、第2~第4ボンディングヘッド20、70、80は、第1ボンディングヘッド10に追従して移動するスレーブボンディングヘッドである。
【0055】
第3、第4ボンディングヘッド70、80の第3ノズル72、第4ノズル82と大型ヒータ62との間は、冷却空気配管である第3、第4大型ヒータ冷却空気接続管77C、87Cと、電力ケーブルである第3、第4大型ヒータ接続ケーブル78C、88Cとで接続されている。そして、大型ヒータ62には第1~第4大型ヒータ冷却空気接続管17C、27C、77C、87Cを通して第1~第4ノズル12、22、72、82から冷却空気が供給される。また、大型ヒータ62には、第1~第4大型ヒータ接続ケーブル18C、28C、78C、88Cを通して第1~第4ノズル12、22、72、82から電力が供給される。
【0056】
ボンディング装置400は4つの大型ヒータ接続ケーブル18C、28C、78C、88Cと、4つの大型ヒータ冷却空気接続管17C、27C、77C、87Cとから電力と冷却空気が大型ヒータ62にそれぞれ供給されるので、先に説明したボンディング装置200の場合よりも多量の冷却空気と大きな電力を大型ヒータ62に供給することができる。これにより、大型ヒータ62を更に急速に加熱し、更に急速に冷却することができる。このため、大型半導体チップ130を更に短時間に実装することができる。
【0057】
以上の説明では、ボンディング装置400は、第1~第4ボンディングヘッド10、20、70、80の4つのボンディングヘッドを備えることとして説明したがこれに限定されない。例えば、3のボンディングヘッドを備えるように構成してもよいし、4つ以上のボンディングヘッドを備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10、20、70、80 ボンディングヘッド、12、22、72、82 ノズル、13、23 ボイスコイルモータ、14、24 Y方向駆動部、15、25 小型ヒータ、16、26 小型ボンディングツール、17A、27A 冷却空気供給管、17B、27B 冷却空気接続管、17C、27C、77C、87C 大型ヒータ冷却空気接続管、18A、28A 電力供給ケーブル、18B、28B 接続ケーブル、18C、28C、78C、88C 大型ヒータ接続ケーブル、30 ガイドレール、31 X方向駆動部、40 ボンディングステージ、41 基板、50 制御部、51 CPU、52 メモリ、60、61、62 大型ヒータ、65 大型ボンディングツール、100、200、300、400 ボンディング装置、110、120 小型半導体チップ、130 大型半導体チップ。
【要約】
【課題】簡便な構成で、ヒータに大きな電力と多量の冷却空気を供給する。
【解決手段】基板41に大型半導体チップ130を実装するボンディング装置200であって、電力及び冷却空気がそれぞれ供給される第1、第2ボンディングヘッド10、20と、第1ボンディングヘッド10の下部に取付けられた大型ヒータ60と、を備え、大型ヒータ60と第1ボンディングヘッド10及び第2ボンディングヘッド20とをそれぞれ接続する第1、第2大型ヒータ接続ケーブル18C、28Cと、大型ヒータ60と第1ボンディングヘッド10及び第2ボンディングヘッド20とをそれぞれ接続する第1、第2大型ヒータ冷却空気接続管17C、27Cと、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8