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特許7511949脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法{Apparatus and method for extracting vascular function from brain-related information}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法{Apparatus and method for extracting vascular function from brain-related information}
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240701BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240701BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240701BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/03 560T
A61B6/50 500B
A61B6/50 500D
G06T7/00 350C
G06T7/00 616
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023150858
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0086205
(32)【優先日】2023-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520110216
【氏名又は名称】ヒューロン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ギュ ハ
(72)【発明者】
【氏名】ドヒョン キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スファ
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08837800(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0038150(US,A1)
【文献】国際公開第2017/192629(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112450961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
A61B 5/055
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受信する脳と関連した情報から原本CTイメージを抽出する情報受信部;
前記原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させて時間シークエンス(Time sequence)データを獲得するNIFTIイメージ変換部;
前記時間シークエンスデータを通じて前記原本CTイメージに時間補間(time interpolation)を適用して、前記原本CTイメージを各時間別3次元CTイメージに変換させる時間補間部;
前記各時間別3次元CTイメージをディープラーニング基盤血管分割ディープラーニングモデル141に通過させて血管分割マスクを予測し、時間(time)軸を基準に前記3次元CTイメージをスタッキング(Stacking)することで、4次元血管マスクイメージを生成する血管分割部;および
前記4次元血管マスクイメージの血管領域から血管関数として動脈関数を抽出し、前記動脈関数を利用して血流パラメーターを計算する血管関数抽出部;を含むことを特徴とする、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項2】
前記血管分割部が血管分割マスクを予測する過程と前記4次元血管マスクイメージを生成する過程との間で、Rigid変換を基盤に前記各時間別3次元CTイメージのモーションを補正するモーション補正部;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項3】
前記血管分割部は、
前記血管分割ディープラーニングモデルが予測するマスクがボーンマスク(bone Mask)、ブレーンマスク(Brain Mask)、組織マスク(tissue Mask)、静脈マスク(vein Mask)、動脈マスク(artery Mask)のうち少なくとも2つ以上含む前記4次元の血管マスクイメージの血管分割マスクを獲得することを特徴とする、請求項1に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項4】
前記動脈マスクは、
前記血管関数抽出部が前記動脈関数を抽出するとき使用されることを特徴とする、請求項3に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項5】
前記静脈マスクは、
前記血管関数抽出部が血管関数として静脈関数をさらに抽出するとき使用されることを特徴とする、請求項3に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項6】
前記血管関数抽出部は、
前記4次元血管マスクイメージの血管領域でSlice座標、Height座標、Width座標に該当する各血管のピクセルポイントに該当する時間別位相で最も高い強度(Intensity)の値を基盤に第1グラフを生成することを特徴とする、請求項1に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項7】
前記血管関数抽出部は、
前記第1グラフを生成する過程でスパイクノイズ(spike noise)を除去することを特徴とする、請求項6に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項8】
前記血管関数抽出部は、
前記第1グラフのうち強度が頂点(peak)に最も早く到達する順序に基盤して前記第1グラフのIntensityを整列(sorting)させて第2グラフを生成することを特徴とする、請求項6に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項9】
前記第2グラフは、
前記第1グラフのうち強度が頂点(peak)に最も早く到達する順序を基準に上位70~90%のグラフであることを特徴とする、請求項8に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項10】
前記血管関数抽出部は、
前記第2グラフから頂点箇所の強度値が大きい順序に基盤して第3グラフを生成することを特徴とする、請求項8に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項11】
前記第3グラフは、
前記第2グラフのうち頂点箇所の強度値が大きい順序を基準に上位10~20%のグラフであることを特徴とする、請求項10に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項12】
前記血管関数抽出部は、
前記第3グラフの時系列ポイント(Time point)ごとに強度の変化量の和に基盤して第4グラフを生成することを特徴とする、請求項10に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項13】
前記第4グラフは、
前記第3グラフのうち時系列ポイントごとに強度の変化量の和が大きい順序を基準に下位20~40%のグラフであることを特徴とする、請求項12に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項14】
前記血管関数抽出部は、
前記第4グラフで時間軸を基準にIntensityの平均を算出し、特定範囲外のポイント(point)は外れ値と仮定して除去して、第5グラフを生成することを特徴とする、請求項12に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項15】
前記第5グラフは、
前記第4グラフで平均±1~3σ範囲外のポイントが外れ値として除去されたグラフであることを特徴とする、請求項14に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項16】
前記血管関数抽出部は、
前記第5グラフの残ったポイントに対してガウシアンフィッティング(Gaussian Fitting)を遂行することで、第6グラフを生成することを特徴とする、請求項14に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項17】
前記血管関数抽出部は、
前記ガウシアンフィッティングの過程と同時に前記第4グラフのうちから前記第6グラフと距離(distance)が最も近い複数個のグラフを抽出し、
前記複数個のグラフと前記第6グラフを基盤に候補グラフを生成することを特徴とする、請求項16に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項18】
前記候補グラフは、
使用者によってグラフが追加されるか削除されることを特徴とする、請求項17に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項19】
前記血管関数抽出部は、
前記第1グラフから前記候補グラフを生成するまでの過程に基盤して動脈関数基盤の動脈関数グラフを抽出し、
前記動脈関数グラフは、
前記候補グラフのグラフ追加または削除過程に基盤して前記動脈関数が補正されることを特徴とする、請求項18に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項20】
前記血管関数抽出部は、
前記補正された動脈関数を基盤に血流パラメーターであるCBV(erebral blood volume)、MTT(mean transit time)、CBF(capillary blood flow)を計算することを特徴とする、請求項19に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項21】
前記時間補間部は、
前記原本CTイメージに1秒単位の時間補間を適用して、前記原本CTイメージを1秒単位の各時間別3次元CTイメージに変換させることを特徴とする、請求項1に記載の脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【請求項22】
(a)情報受信部が外部から受信する脳と関連した情報から原本CTイメージを抽出するステップ;
(b)NIFTIイメージ変換部が前記原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させて時間シークエンス(Time sequence)データを獲得するステップ;
(c)時間補間部が前記時間シークエンスデータを通じて前記原本CTイメージに時間補間(time interpolation)を適用して、前記原本CTイメージを各時間別3次元CTイメージに変換させるステップ;
(d)血管分割部が各時間別前記3次元CTイメージをディープラーニング基盤血管分割ディープラーニングモデル141に通過させて血管分割マスクを予測し、時間(time)軸を基準に前記3次元CTイメージをスタッキング(Stacking)することで、4次元血管マスクイメージを生成するステップ;および
(e)血管関数抽出部が前記4次元血管マスクイメージの血管領域から血管関数として動脈関数を抽出し、前記動脈関数を利用して血流パラメーターを計算するステップ;を含むことを特徴とする、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法に関し、脳と関連した情報から血管関数を正確に抽出することができる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血流のような人体内の流体流れを非浸湿的に測定する方法においては、磁気共鳴映像機を利用した位相対照磁気共鳴映像技法が広く使用されている。前記の技法は、心電図のR-wave直後血流速度の映像を0にする傾斜磁界パルスを使用して速度を反映しないリファレンス映像が撮影され、速度符号化傾斜磁界を利用して血流速度が反映された速度符号化映像が撮影される。以後、リファレンス映像と速度符号化映像が撮影される。これを連続的に心電図の一周期の間対をなして撮影し、位相符号化のサイズを異にしてk-空間を全て満たすまで撮影する。以後、撮影された映像を速度映像で再構成して、心電図の一周期間の血流速度を測定するようになる。
【0003】
しかし、このような技法は、血流を分析するのに当たり、血流速度のみが分かり、高い時間解像度および正確な血流の流れを表現するのに不足である問題点が指摘されてきた。
【0004】
このために、米国登録特許公報8,837,800号などにおいては、動脈および静脈の流れを分析するために、医療映像を利用して動脈および静脈関数を導き出すために映像を構成するピクセルのうち一部を選択し、各ピクセルの信号を一般化およびガウシアントランスフォームを利用して各ピクセルが構成する血管に対する動脈関数および静脈関数を導き出す技法を提示している。
【0005】
しかし、このような従来の方法によっても、動脈関数および静脈関数を正確に導き出すことができず、エラーが発生する問題点が存在しており、特に、不正確な動脈関数によって医療映像から認識された血管から血流を正確に分析することができない問題点が指摘されてきた。
【0006】
したがって、本発明においては、血管から血流を正確に分析することができるように血管関数を正確に抽出することができる装置および方法を使用者に提供しようとする。
【0007】
具体的に、本発明は、Cerebral blood flow(CBF)、Cerebral blood volume(CBV)、Mean Transit Time(MTT)などのような血流パラメーターを正確に計算するために、原本CTイメージに基づいて生成される脳と関連した情報から血管関数を抽出した後、不正確な動脈関数を補正して正確な動脈関数を獲得することができる脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許公報第10-1992057号(2019.06.24公告)
【文献】韓国登録特許公報第10-1754291号(2017.07.06公告)
【文献】米国登録特許公報8,837,800号(2014.09.16登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供することである。
【0010】
具体的に、本発明は、CBV、MTT、CBFのような血流パラメーターを正確に計算するために、原本CTイメージに基づいて生成される脳と関連した情報から血管関数を抽出した後、不正確な動脈関数を補正して正確な動脈関数を獲得することができる脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供しようとする。
【0011】
一方、本発明において成そうとする技術的課題は、以上において言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の技術的課題を達成するための本発明の一態様である血管関数抽出装置は、外部から受信する脳と関連した情報から原本CTイメージを抽出する情報受信部;前記原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させて時間シークエンス(Time sequence)データを獲得するNIFTIイメージ変換部;前記時間シークエンスデータを通じて前記原本CTイメージに時間補間(time interpolation)を適用して、前記原本CTイメージを各時間別3次元CTイメージに変換させる時間補間部;前記各時間別3次元CTイメージをディープラーニング基盤血管分割ディープラーニングモデル141に通過させて血管分割マスクを予測し、時間(time)軸を基準に前記3次元CTイメージをスタッキング(Stacking)することで、4次元血管マスクイメージを生成する血管分割部;および前記4次元血管マスクイメージの血管領域から血管関数を抽出し、前記血管関数のうち一つである動脈関数を利用して血流パラメーターを計算する血管関数抽出部;を含むことができる。
【0013】
また、血管関数抽出装置は、前記血管分割部が血管分割マスクを予測する過程と前記4次元血管マスクイメージを生成する過程との間で、Rigid変換を基盤に前記各時間別3次元CTイメージのモーションを補正するモーション補正部;をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記血管分割部は、前記血管分割ディープラーニングモデルが予測するマスクがボーンマスク(bone Mask)、ブレーンマスク(Brain Mask)、組織マスク(tissue Mask)、静脈マスク(vein Mask)、動脈マスク(artery Mask)をのうち少なくとも2つ以上含む前記4次元の血管マスクイメージの血管分割マスクを獲得することができる。
【0015】
また、前記動脈マスクは、前記血管関数抽出部が前記動脈関数を抽出するとき使用されることができる。
【0016】
また、前記静脈マスクは、前記血管関数抽出部が前記静脈関数を抽出するとき使用されることができる。
【0017】
また、前記血管関数抽出部は、前記4次元血管マスクイメージの血管領域でSlice座標、Height座標、Width座標に該当する各血管のピクセルポイントに該当する時間別位相で最も高い強度(Intensity)の値を基盤に第1グラフを生成することができる。
【0018】
また、前記血管関数抽出部は、前記第1グラフを生成する過程でスパイクノイズ(spike noise)を除去することができる。
【0019】
また、前記血管関数抽出部は、前記第1グラフのうち強度が頂点(peak)に最も早く到達する順序に基盤して前記第1グラフのIntensityを整列(sorting)させて第2グラフを生成することができる。
【0020】
また、前記第2グラフは、前記第1グラフのうち強度が頂点(peak)に最も早く到達する順序を基準に上位70~90%のグラフであってよい。
【0021】
また、前記血管関数抽出部は、前記第2グラフから頂点箇所の強度値が大きい順序に基盤して第3グラフを生成することができる。
【0022】
また、前記第3グラフは、前記第2グラフのうち頂点箇所の強度値が大きい順序を基準に上位10~20%のグラフであってよい。
【0023】
また、前記血管関数抽出部は、前記第3グラフの時系列ポイント(Time point)ごとに強度の変化量の和に基盤して第4グラフを生成することができる。
【0024】
また、前記第4グラフは、前記第3グラフのうち時系列ポイントごとに強度の変化量の和が大きい順序を基準に下位20~40%のグラフであってよい。
【0025】
また、前記血管関数抽出部は、前記第4グラフで時間軸を基準にIntensityの平均を算出し、特定範囲外のポイント(point)は外れ値と仮定して除去して、第5グラフを生成することができる。
【0026】
また、前記第5グラフは、前記第4グラフで平均±1~3σ範囲外のポイントが外れ値として除去されたグラフであってよい。
【0027】
また、前記血管関数抽出部は、前記第5グラフの残ったポイントに対してガウシアンフィッティング(Gaussian Fitting)を遂行することで、第6グラフを生成することができる。
【0028】
また、前記血管関数抽出部は、前記ガウシアンフィッティングの過程と同時に前記第4グラフのうちから前記第6グラフと距離(distance)が最も近い複数個のグラフを抽出し、前記複数個のグラフと前記第6グラフを基盤に候補グラフを生成することができる。
【0029】
また、前記候補グラフは、使用者によってグラフが追加されるか削除されることができる。
【0030】
また、前記血管関数抽出部は、前記第1グラフから前記候補グラフを生成するまでの過程に基盤して動脈関数基盤の動脈関数グラフを抽出し、前記動脈関数グラフは、前記候補グラフのグラフ追加または削除過程に基盤して前記動脈関数が補正されることができる。
【0031】
また、前記血管関数抽出部は、前記補正された動脈関数を基盤に血流パラメーターであるCBV(erebral blood volume)、MTT(mean transit time)、CBF(capillary blood flow)を計算することができる。
【0032】
また、前記時間補間部は、前記原本CTイメージに1秒単位の時間補間を適用して、前記原本CTイメージを1秒単位の各時間別3次元CTイメージに変換させることを特徴とする、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置。
【0033】
一方、前記の技術的課題を達成するための本発明の他の一態様である血管関数抽出方法は、(a)情報受信部が外部から受信する脳と関連した情報から原本CTイメージを抽出するステップ;(b)NIFTIイメージ変換部が前記原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させて時間シークエンス(Time sequence)データを獲得するステップ;(c)時間補間部が前記時間シークエンスデータを通じて前記原本CTイメージに時間補間(time interpolation)を適用して、前記原本CTイメージを各時間別3次元CTイメージに変換させるステップ;(d)血管分割部が各時間別前記3次元CTイメージをディープラーニング基盤血管分割ディープラーニングモデル141に通過させて血管分割マスクを予測し、時間(time)軸を基準に前記3次元CTイメージをスタッキング(Stacking)することで、4次元血管マスクイメージを生成するステップ;および(e)血管関数抽出部が前記4次元血管マスクイメージの血管領域から血管関数を抽出し、前記血管関数のうち一つである動脈関数を利用して血流パラメーターを計算するステップ;を含むことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供することができる。
【0035】
具体的に、本発明は、CBV、MTT、CBFのような血流パラメーターを正確に計算するために、原本CTイメージに基づいて生成される脳と関連した情報から血管関数を抽出した後、不正確な動脈関数を補正して正確な動脈関数を獲得することができる脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供することができる。
【0036】
一方、本発明において得られる効果は、以上において言及した効果に制限されず、言及していないまた他の効果は、下記の記載から本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施例に係る脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置のブロック構成度の一例を図示したものである。
図2図1で説明した血管関数装置によって遂行される血管関数抽出方法の一例を図示したものである。
図3図2で説明した血管分割ステップで血管分割方式を説明する図面である。
図4】本発明の一実施例に係るモーション補正部のモーション補正概念を説明する図面である。
図5図2で説明したモーション補正ステップの一例を図示したものである。
図6a図2で説明した動脈および静脈関数抽出ステップで動脈および静脈関数抽出方式を説明する図面である。
図6b図2で説明した動脈および静脈関数抽出ステップで動脈および静脈関数抽出方式を説明する図面である。
図6c図2で説明した動脈および静脈関数抽出ステップで動脈および静脈関数抽出方式を説明する図面である。
図7図6で説明した候補グラフと対応されるポイントおよびイメージの一例を図示したものである。
図8図6で説明した血管関数抽出ステップにおけるグラフ抽出方法に基盤して抽出された動脈および静脈関数の一例を図示したものである。
図9】ヘッド分割部のブロック構成度の一例を図示したものである。
図10図9で説明したヘッド分割部の動作を時間の流れによって表示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい一実施例について説明する。また、以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定せず、本実施形態で説明される構成全体が本発明の解決手段として必須とはいえない。
【0039】
以下、本発明の好ましい実施例に係る装置および方法を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
従来技術の問題点
血流のような人体内の流体流れを非浸湿的に測定する方法においては、磁気共鳴映像機を利用した位相対照磁気共鳴映像技法が広く使用されている。前記の技法は、心電図のR-wave直後、血流速度の映像を0にする傾斜磁界パルスを使用して速度を反映しないリファレンス映像が撮影され、速度符号化傾斜磁界を利用して血流速度が反映された速度符号化映像が撮影される。以後、リファレンス映像と速度符号化映像が撮影される。これを連続的に心電図の一周期の間対をなして撮影し、位相符号化のサイズを異にしてk-空間を全て満たすまで撮影する。以後、撮影された映像を速度映像で再構成して、心電図の一周期間の血流速度を測定するようになる。
【0041】
しかし、このような技法は、血流を分析するのに当たり、血流速度のみが分かり、高い時間解像度および正確な血流の流れを表現するのに不足である問題点が指摘されてきた。
【0042】
このために、米国登録特許公報8,837,800号などにおいては、動脈および静脈の流れを分析するために、医療映像を利用して動脈および静脈関数を導き出すために映像を構成するピクセルのうち一部を選択し、各ピクセルの信号を一般化およびガウシアントランスフォームを利用して各ピクセルが構成する血管に対する動脈関数および静脈関数を導き出す技法を提示している。
【0043】
しかし、このような従来の方法によっても、動脈関数および静脈関数を正確に導き出すことができず、エラーが発生する問題点が存在しており、特に、不正確な動脈関数によって医療映像から認識された血管から血流を正確に分析することができない問題点が指摘されてきた。
【0044】
したがって、本発明においては、血管から血流を正確に分析することができるように血管関数を正確に抽出することができる装置および方法を使用者に提供しようとする。
【0045】
具体的に、本発明は、CBV、MTT、CBFのような血流パラメーターを正確に計算するために、原本CTイメージに基づいて生成される脳と関連した情報から血管関数を抽出した後、不正確な動脈関数を補正して正確な動脈関数を獲得することができる脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供しようとする。
【0046】
血管関数抽出装置および方法
血管関数抽出装置100は、CTイメージおよび脳血管地図に基づいて生成された脳と関連した情報を基盤に血管関数を正確に抽出するが、このための構成要素は、図1に図示されたとおりである。
【0047】
図1は、本発明の一実施例に係る脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置のブロック構成度の一例を図示したものである。
【0048】
図1を参照すると、本発明で提案する血管関数抽出装置100は、血管関数を抽出するために情報受信部110、NIFTIイメージ変換部120、時間補間部130、血管分割部140、モーション補正部150および血管関数抽出部160を含むことができる。
【0049】
本明細書においては、血管関数抽出装置100によって遂行される血管関数抽出方法S100の過程を通じて血管関数抽出装置100の構成要素について詳細に説明するようにする。
【0050】
このような血管関数抽出装置100を利用して血管関数を正確に抽出するための方法である血管関数抽出方法S100の過程は、図2に図示されたとおりである。
【0051】
図2は、図1で説明した血管関数装置によって遂行される血管関数抽出方法の一例を図示したものである。
【0052】
図2を参照すると、情報受信部110は、外部から脳と関連した情報を受信することができる(S110)。
【0053】
このとき、情報受信部110が受信する脳と関連した情報は、医学映像分野の標準形式(Digital Imaging and Communications in Medicine、DICOM)に合わせたデータとして、CTイメージおよび脳血管地図を含むことができる。
【0054】
本明細書において、脳と関連した情報とDicom dataは混用して使用されることができ、2個の用語が指称する意味は同一である。
【0055】
また、情報受信部110が受信したDicom dataに含まれたCTイメージは、ヘッド分割部10が受信する3次元形態の原本(Raw)CTイメージであってよい。
【0056】
情報受信部110は、受信したDicom dataから原本CTイメージと脳血管地図をそれぞれ抽出することができ、原本CTイメージを除いた脳血管地図などの情報は、使用者に提供することができる。
【0057】
すなわち、情報受信部110は、原本CTイメージを抽出することが目的であるので、外部から脳と関連した情報を受信する過程が後述されるヘッド分割部10と同一に外部装備からCTイメージを受信する過程に代替されることもできる。
【0058】
図2を参照すると、NIFTIイメージ変換部120は、情報受信部110から原本CTイメージを受信するとき、受信した原本CTイメージをNIFTI(Neuroimaging Informatics Technology Initiative)ファイル形式のイメージに変換させることができる(S120)。
【0059】
また、NIFTIイメージ変換部120は、原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させることで、時間シークエンス(Time sequence)を獲得するようになる。
【0060】
図2を参照すると、時間補間部130は、NIFTIイメージ変換部120からNIFTIファイル形式のイメージに変換された原本CTイメージと時間シークエンスのデータを受信するとき、受信したNIFTIファイル形式のイメージに変換された原本CTイメージに時間補間(time interpolation)を適用することができる(S130)。
【0061】
このとき、原本CTイメージは、時間補間部130から1秒単位の時間補間を適用されることができ、これを通じて1秒単位の各時間別3次元CTイメージ(D)に変換されることができる。
【0062】
本明細書において、3次元CTイメージ(D)は、Slice×Height×Widthの3Dイメージであってよい。
【0063】
図2を参照すると、血管分割部140は、時間補間部130から3次元イメージ(D)を受信するとき、受信した3次元CTイメージ(D)を4次元のCTP(CT Perfusion)イメージに変換させ、4次元のCTPイメージの血管分割マスク(segmentation Mask)を獲得することができる。
【0064】
このような血管分割部140が4次元のCTPイメージの血管分割マスクを獲得するためのステップは、図3を通じて詳細に説明するようにする。
【0065】
図3は、図2で説明した血管分割ステップで血管分割方式を説明する図面である。
【0066】
図3を参照すると、血管分割部140は、4次元のCTP(CT Perfusion)イメージから血管分割マスク(segmentation Mask)を獲得するために、時間補間部130から3次元CTイメージ(D)を受信するとき、各時間(time)別3次元CTイメージ(D)をディープラーニング基盤の血管分割ディープラーニングモデル141に通過させて血管分割マスク(Mask)を予測(または獲得)することができる(S140)。
【0067】
このとき、ディープラーニング基盤血管分割ディープラーニングモデル141は、図面符号のみが異なるだけであって、後述されるヘッド分割部10に構成されたHead Segmentation Networkと同一の方式で学習および検証が完了したディープラーニングモデルであってよい。
【0068】
また、血管分割ディープラーニングモデル141が予測するMaskは、ボーンマスク(bone Mask)、ブレーンマスク(Brain Mask)、組織マスク(tissue Mask)、静脈マスク(vein Mask)、動脈マスク(artery Mask)などを少なくとも2つ以上含む血管分割マスク(segmentation mask)であってよい。
【0069】
血管分割ディープラーニングモデル141が予測した動脈マスク(artery Mask)は、動脈関数を抽出するために使用されることができ、静脈マスク(vein Mask)は、静脈関数を抽出するために使用されることができる。
【0070】
血管分割部140は、血管分割マスクを予測(または獲得)した後、時間(time)軸を基準に3次元CTイメージ(D)をスタッキング(stacking)することで、4次元血管マスクイメージを生成することができる(S150)。
【0071】
本明細書において、4次元血管マスクイメージと4次元のCTPイメージは、混用して使用されることができ、2個の用語が指称する意味は同一である。
【0072】
本明細書において、4次元血管マスクイメージは、3次元CTイメージ(D)のスタック(stack)を通じて生成されることによって、time×Slice×Height×Widthの4Dイメージであってよい。
【0073】
また、血管分割部140は、上述したように4次元CTPイメージの各時間軸に対してBone、Brain、tissue、vein、arteryなどを分割させた後、全体Phaseにブレーン(brain)領域の関心領域(interest)を設定してブレーンに対する一つの関心ボリューム(Volume of Interest、VOI)を設定することができる。
【0074】
また図2を参照すると、モーション補正部150は、血管分割部140の各時間(time)別3次元CTイメージ(D)をディープラーニング基盤の血管分割ディープラーニングモデル141に通過させてマスク(Mask)を予測するステップ(S140)と、時間(time)軸を基準に3次元CTイメージ(D)をスタッキング(stacking)するステップ(S150)との間で、3次元CTイメージ(D)のモーション補正を進行することができる(S145)。
【0075】
このようなモーション補正部150のモーション補正ステップ(S145)は、必ずしも進行されることに限定されるものではなく、装置100の使用者が設定することによって過程が省略されることもできる。
【0076】
一実施例において、モーション補正部150のモーション補正ステップ(S145)を説明するための図面は、図4および図5に図示されたとおりである。
【0077】
図4は、本発明の一実施例に係るモーション補正部のモーション補正概念を説明する図面である。
【0078】
患者の3次元CTイメージ(D)を時間軸を基準に撮影する間、患者の頭部が微細にでも動くようになれば、正確な動脈および静脈関数を検出し難くなり、これにより、血流パラメーターも正確に計算し難くなる。
【0079】
このとき、0番目フレーム(frame)の3次元CTイメージ(D)を基準に見ると、患者の動きによってずれた特定フレームの3次元CTイメージ(D)は、図4に図示されたように0番目フレームの3次元CTイメージ(D)にRigid変換145bが適用される必要がある。
【0080】
ここで、Rigid変換は、ユークリッド変換(Euclidean transformation)というが、形態とサイズを維持した状態で位置と方向のみ変更される変換を意味する。
【0081】
本明細書において、モーション補正部150は、0番目フレーム外のフレームの3次元CTイメージ(D)に対して0番目フレームの3次元CTイメージ(D)に対するRigid変換145bを予測した後、逆変換(Inverse transform)を適用することで、0番目フレームの3次元CTイメージ(D)に残りフレームの3次元CTイメージ(D)を合わせて前記3次元CTイメージ(D)のモーションを補正することができ、このように3次元CTイメージ(D)のモーションを補正するモーション補正ステップ(S145)の一例は、図5に図示されたとおりである。
【0082】
図5は、図2で説明したモーション補正ステップの一例を図示したものである。
【0083】
図5を参照すると、モーション補正部150は、モーション補正ステップ(S145)で、0番目フレームの3次元CTイメージ(D)とともにそれぞれ1~Nフレームの3次元CTイメージ(D)を人工知能モデルであるRigidNet(145a)に入力し、これを通じてRigid transform145bを獲得して逆変換を計算した後、空間変換レイヤー145c上で逆変換を1~Nフレームの3次元CTイメージ(D)に適用することで、モーション補正が適用されて0番目フレームの3次元CTイメージ(D)に合わせられた1~N補正フレームの3次元CTイメージ(D’)を獲得することができる。
【0084】
一実施例において、血管分割部140は、スタッキングステップ(S150)で、0番目フレームの3次元CTイメージ(D)と~N補正フレームの3次元CTイメージ(D’)をスタッキングすることで、4次元血管マスクイメージを生成することができる。
【0085】
さらに図2を参照すると、血管関数抽出部160は、血管分割部140から4次元血管マスクイメージを受信するとき、受信した4次元血管マスクイメージの血管領域から抽出したグラフから血管関数を抽出した後、血管関数に含まれた不正確な動脈関数を補正することで血管関数を正確に抽出することができる(S160)。
【0086】
このような血管関数抽出部160の動脈および静脈関数抽出ステップ(S160)は、図6ないし図8を通じて詳細に説明するようにする。
【0087】
図6aないし図6cは、図2で説明した動脈および静脈関数抽出ステップで動脈および静脈関数抽出方式を説明する図面であり、図7は、図6で説明した候補グラフと対応されるポイントおよびイメージの一例を図示したものであり、図8は、図6で説明した動脈および静脈関数抽出ステップにおけるグラフ抽出方法に基盤して抽出された動脈および静脈関数の一例を図示したものである。
【0088】
図6aを参照すると、血管関数抽出部160は、血管分割部140から4次元血管マスクイメージを受信するとき、受信した4次元血管マスクイメージの血管領域で各血管のピクセルポイント(Slice、Height、Width座標)に相当する時間別位相で最も高い強度(Intensity)の値を基盤とした第1グラフ161で生成することができる。
【0089】
このとき、血管関数抽出部160は、第1グラフ161を生成する過程で輝度が正常なピクセルと異なるノイズであるスパイクノイズ(spike noise)を除去することができる。
【0090】
第1グラフ161の生成後、血管関数抽出部160は、第1グラフ161のIntensityを整列(sorting)させて第2グラフ162を生成することができる。
【0091】
このとき、第2グラフ162の生成基準は限定しないが、本明細書において、第2グラフ162は、第1グラフ161のうちIntensityが頂点(peak)に最も早く到達する順序を基準に上位70~90%(好ましくは、80%)のグラフであってよい。
【0092】
図6bを参照すると、血管関数抽出部160は、第2グラフ162の生成後、第2グラフ162からpeak箇所のIntensity値が大きい順序に基盤して第3グラフ163を生成することができる。
【0093】
このとき、第3グラフ163の生成基準は限定しないが、本明細書において、第3グラフ163は、第2グラフ162のうちpeak箇所のIntensity値が大きい順序を基準に上位10~20%(好ましくは、10%)のグラフであってよい。
【0094】
第3グラフ163の生成後、血管関数抽出部160は、第3グラフ163の時系列ポイント(Time point)ごとにIntensityの変化量の和に基盤して第4グラフ164を生成することができる。
【0095】
このとき、第4グラフ164の生成基準は限定しないが、本明細書において、第4グラフ164は、第3グラフ163のうちTime pointごとにIntensityの変化量の和が大きい順序を基準に下位20~40%(好ましくは、30%)のグラフであってよい。
【0096】
図6cを参照すると、血管関数抽出部160は、第4グラフ164の生成後、第4グラフ164で時間軸を基準にIntensityの平均を算出し、一例として、平均±1~3σ(好ましくは、1.5σ)範囲外のポイント(point)は外れ値(outlier)と仮定して除去して、第5グラフ165を生成することができる。
【0097】
第5グラフ165の生成後、血管関数抽出部160は、第5グラフ165の残ったpointに対してガウシアンフィッティング(Gaussian Fitting)を遂行することで、第6グラフ166を生成することができる。
【0098】
このとき、血管関数抽出部160がガウシアンフィッティングを遂行するための方法は限定しないが、本明細書においては、複数個(例:5個)のガウシアン関数(Gaussian function)を基盤にガウシアンフィッティングが遂行されることができる。
【0099】
血管関数抽出部160は、上述したガウシアンフィッティングの過程と同時に、第4グラフ164の中から第6グラフ166と距離(distance)が最も近い複数個のグラフを抽出することができる。
【0100】
その後、血管関数抽出部160は、ガウシアンフィッティングを基盤に獲得された第6グラフ166と第4グラフ164の中から第6グラフ166と距離(distance)が最も近い複数個のグラフを基盤に候補グラフ167を生成することができる。
【0101】
このとき、候補グラフ167を生成することは、装置100の使用者が血管関数抽出部160から生成された候補グラフ167の中から除去しようとするグラフを削除するか、候補グラフ167に含まれていないグラフを追加で含ませることができるようにするためである。
【0102】
血管関数抽出部160から生成された候補グラフ167のグラフとそれぞれ対応される第1、2、3、4ポイント(167a、167b、167c、167d)およびこれとそれぞれ対応される第1、2、3、4イメージ(168a、168b、168c、168d)の一例は、図6に図示されたとおりである。
【0103】
このように、図7に図示されたポイント(167a~167d)は、Slice座標、Height座標、Width座標を含むことができる。
【0104】
一方、動脈関数グラフ169aと静脈関数グラフ169bは、図8に図示されたように、それぞれ上述した第1グラフ161から候補グラフ167を生成するまでの過程が同一に適用されることで、血管関数抽出部160から生成されることができる。
【0105】
このとき、血管関数抽出部160が第1グラフ161から候補グラフ167を生成するまでの過程を基盤に動脈関数グラフ169aを生成することは、候補グラフ167を生成するためのグラフの追加または削除過程に基づいて不正確な動脈関数を補正するためである。
【0106】
このように、血管関数抽出部160は、動脈関数グラフ169aの追加または削除を通じて不正確な動脈関数を補正することが可能であり、不正確な動脈関数を補正することで正確に補正された動脈関数を変数を基盤に計算されるCBV、MTT、CBFのような血流パラメーターを正確に計算することができる。
【0107】
一実施例において、血管関数抽出部160は、血流パラメーターを正確に計算するための血流パラメーターモデルが構成され得る。
【0108】
血流パラメーターモデル
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルを具現するための方法は、次のとおりである。
【0109】
先に、血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、行列分解方式のうち一つとして、高次元行列を低次元行列に分離する技法であるSVD(Singular Value Decomposition)基盤接近法を通じて血流パラメーターを計算するように学習されることができる。
【0110】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、血流パラメーターのうち一つであるCBV(cerebral blood volume)を以下の[数1]を通じて計算することができる。
【数1】
【0111】
前記[数1]で、CはVOI Tissueの濃度変化、Cは動脈関数159aであってよい。
【0112】
このように、血流パラメーターのうち一つであるCBVを計算するためには、変数として動脈関数159aが適用され、CBVを正確に計算するためには、不正確な動脈関数159aを補正する過程が必要である。
【0113】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、血流パラメーターのうち一つであるMTT(mean transit time)を以下の[数2]を通じて計算することができる。
【数2】
【0114】
前記[数2]において、Fは他の血流パラメーターであるCBF(capillary blood flow)であってよい。
【0115】
一方、血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルが特異値分解を遂行するための数式の一例は、以下の[数3]のとおりである。
【数3】
【0116】
前記[数3]において、Rは残余関数(Residue Function)であり、CとCはt=0で値が0にNormalizeされることができる。
【0117】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルが前記[数3]の数式に基づいてSVD基盤接近法を通じて行列を分解する数式は、以下の[数4]~[数8]のとおりである。
【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】
【0118】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、長方対角行列(Diagonal Matrix)である前記[数7]のW項に閾値を適用する方式でノイズに強靭な基底を見出すことが可能である。
【0119】
血流パラメーター計算
SVD基盤接近法を通じて学習された血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、血流パラメーターであるCBF、CBV、MTTを計算することができるが、血流パラメーター間の関係は、以下の[数9]~[数11]のとおりである。
【数9】

【数10】

【数11】
【0120】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、血流パラメーターCBF、CBV、MTTは相互間の関係が成立するように近似したr’値を基盤に血流パラメーターCBF、CBV、MTTを計算することができる。
【0121】
このとき、血流パラメーターCBF、CBV、MTTを計算するための条件は、平均脳密度の場合、1.04g/ml、CBFの単位は#ml/100g/min、CBVの単位はml/100gであってよい。
【0122】
また、4次元のCTPイメージは、1mmの等方性ボクセル(isotropic voxel)で再構成(reconstruction)されることができる。
【0123】
血管関数抽出部160の血流パラメーターモデルは、前記条件のように単位を合わせる場合、1/p値で100g/1.04を適用し、CBFをplotするときは、分(min)基準であるので、60sを掛けて計算された血流パラメーターを表示することができる。
【0124】
血管関数抽出装置の前端構成
本発明の血管関数抽出装置100の前端には、ヘッド分割部10が備えられ得る。
【0125】
ヘッド分割部10は、CTイメージを受信し、CTイメージを頭蓋骨と脳を分離できるヘッド分割ネットワーク(Head Segmentation Network)を通過させて頭蓋骨のボーンマスク(Bone Mask)、脳のブレーンマスク(Brain Mask)および脳と関連する血管マスク(Vessel Mask)を予測することができる。
【0126】
また、ヘッド分割部10は、予測されたブレーンマスクと血管マスクを組み合わせて、CTイメージから脳領域のみを含むブレーンイメージを抽出することができる。
【0127】
ヘッド分割部
図9は、ヘッド分割部のブロック構成度の一例を図示したものである。
【0128】
図9を参照すると、ヘッド分割部10は、イメージ受信部11、ヘッド前処理部12、事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13、ヘッド後処理部14および予測結果算出部15を含むことができる。
【0129】
本発明が分析しようとする関心領域は脳(Brain)であり、skullの厚さと形態は人によって異なるので、ヘッド分割部10を通じて、頭蓋骨と脳領域を分離できるディープラーニング基盤Head Segmentation Networkを通過してそれぞれのBone、Brain、Vessel Maskを予測した後、Brain MaskとVessel Maskを組み合わせて原本CT imageから完全なBrain領域を抽出する作業を遂行するようになる。
【0130】
先に、イメージ受信部11は、外部装備からCTイメージを受信する。
【0131】
次に、ヘッド前処理部12は、Raw CT imageの3次元映像を2D Axial sliceで分割した後、segmentationしようとするsliceの隣接スライスをconcatenateしてinputデータを構成するようになる。
【0132】
具体的に、inputデータは、ヘッド前処理部12のPre-processingを経て事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13に入力される。
【0133】
ヘッド前処理部12は、(1)Resize、(2)HU Windowing、(3)Normalizeなどの作業を遂行することができる。
【0134】
(1)リサイジング(Resizing)作業は、ヘッド分割ネットワークが要求するサイズに映像を縮小および/または拡大する作業である。
【0135】
次に、(2)HUウィンドウィング(Windowing)作業は、Hounsfield unit(HU)の上限および下限を設定する作業である。
【0136】
また、ノーマライジング(Normalizing)作業は、設定された下限から上限までのHU Levelを決定し、HU Levelを決定された[0、1]間隔でマッピング(mapping)する作業である。代表的に、HUウィンドウィング(Windowing)の下限から上限のHU Levelを[0、1]間隔でマッピング(mapping)する方式が適用され得る。
【0137】
前処理されたCTイメージが事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13を通過し、ヘッド分割ネットワーク13を通過したCTイメージに対して、ヘッド後処理部14がブレーンVOIクロップ(Brain VOI Crop)作業および特異値クラスタ(Outlier Cluster)除去作業のうち少なくとも一つの後処理(Post-processing)を遂行するようになる。
【0138】
事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13は、関心領域である脳(brain)領域を抽出することができるように、頭蓋骨と脳領域に対して予め学習されたディープラーニング基盤Segmentation Networkである。
【0139】
ここで、ブレーンVOIクロップ(Brain VOI Crop)作業は、ブレーンに対する関心ボリューム(Volume of Interest)領域以外の領域を除去した後、サイズを再調整する作業である。
【0140】
また、Outlier Cluster除去作業は、3次元上で連結されずに、離れている小さなoutlier clusterを除去する作業である。
【0141】
以後、予測結果算出部15は、後処理されたCTイメージを基盤に前記ボーンマスク(Bone Mask)、ブレーンマスク(Brain Mask)および血管マスク(Vessel Mask)を予測するようになる。
【0142】
すなわち、頭蓋骨のボーンマスク(Bone Mask)、脳のブレーンマスク(Brain Mask)および脳と関連する血管マスク(Vessel Mask)を予測し、予測されたブレーンマスクと血管マスクを組み合わせて、最初入力されたCTイメージから脳領域のみを含むブレーンイメージを抽出することができる。
【0143】
ヘッド分割部の動作
図10は、図9で説明したヘッド分割部の動作を時間の流れによって表示したものである。
【0144】
図10を参照すると、イメージ受信部11は、外部装備からCTイメージを受信する。
【0145】
次に、ヘッド前処理部12は、Raw CT imageの3次元映像を2D Axial sliceで分割した後、segmentationしようとするsliceの隣接スライスをconcatenateしてinputデータを構成するようになる。
【0146】
具体的に、inputデータは、ヘッド前処理部12のPre-processingを経て事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13に入力される。
【0147】
ヘッド前処理部12は、前述した(1)Resize(2)HU Windowing(3)Normalizeなどの作業を遂行することができる。
【0148】
前処理されたCTイメージが事前学習されたヘッド分割ネットワーク部13を通過し、ヘッド分割ネットワーク13を通過したCTイメージに対して、ヘッド後処理部14がブレーンVOIクロップ(Brain VOI Crop)作業および特異値クラスタ(Outlier Cluster)除去作業のうち少なくとも一つの後処理(Post-processing)を遂行するようになる。
【0149】
以後、予測結果算出部15は、後処理されたCTイメージを基盤に前記ボーンマスク(Bone Mask、17)、ブレーンマスク(Brain Mask、18)および血管マスク(Vessel Mask、19)を含む情報15予測するようになる。
【0150】
すなわち、頭蓋骨のボーンマスク(Bone Mask、17)、脳のブレーンマスク(Brain Mask、18)および脳と関連する血管マスク(Vessel Mask、19)を予測し、予測されたブレーンマスク18と血管マスク19を組み合わせて、最初入力されたCTイメージから脳領域のみを含むブレーンイメージ(K)を抽出することができる。
【0151】
本発明が提供する効果
本発明によれば、脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供することができる。
【0152】
具体的に、本発明は、CBV、MTT、CBFのような血流パラメーターを正確に計算するために、原本CTイメージに基づいて生成される脳と関連した情報から血管関数を抽出した後、不正確な動脈関数を補正して正確な動脈関数を獲得することができる脳と関連した情報からの血管関数を抽出するための装置および方法を使用者に提供することができる。
【0153】
一方、本発明において得られる効果は、以上において言及した効果に制限されず、言及していないまた他の効果は、下記の記載から本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【0154】
上述した本発明の実施例は、多様な手段を通して具現され得る。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア、またはそれらの結合等により具現され得る。
【0155】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つまたはそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現され得る。
【0156】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上において説明された機能または動作を遂行するモジュール、手順または関数などの形態で具現され得る。ソフトウェアコードは、メモリユニットに格納されてプロセッサにより駆動され得る。前記メモリユニットは、前記プロセッサ内部または外部に位置して、既に公知になった多様な手段により前記プロセッサとデータをやり取りすることができる。
【0157】
上述したように開示された本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現し、実施できるように提供された。前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術の分野の熟練した当業者は、本発明の領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正および変更させ得ることが理解できるだろう。例えば、当業者は、上述した実施例に記載の各構成を互いに組み合わせる方式で利用できる。従って、本発明は、ここに示された実施形態に制限されるためのものではなく、ここで開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与するためのものである。
【0158】
本発明は、本発明の精神および必須特徴を外れない範囲で他の特定の形態に具体化されることができる。したがって、前記の詳細な説明は、全ての面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものと考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的解析により決定されるべきであり、本発明の等価的範囲内での全ての変更は、本発明の範囲に含まれる。本発明は、ここに示された実施形態に制限されるためのものではなく、ここで開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与するためのものである。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係がない請求項を結合して実施例を構成するか出願後の補正により新たな請求項として含むことができる。
【要約】
【課題】脳と関連した情報から血管関数を抽出するための装置および方法を提供する。
【解決手段】血管関数抽出装置は、脳と関連した情報から原本CTイメージを抽出する情報受信部;原本CTイメージをNIFTIファイル形式のイメージに変換させて時間シークエンスデータを獲得するNIFTIイメージ変換部;時間シークエンスデータを通じて原本CTイメージに時間補間を適用して、原本CTイメージを3次元CTイメージに変換させる時間補間部;3次元CTイメージをディープラーニングモデルに通過させて血管分割マスクを予測し、3次元CTイメージをスタッキングすることで、4次元血管マスクイメージを生成する血管分割部;および4次元血管マスクイメージの血管領域から血管関数を抽出し、血管関数のうち一つである動脈関数を利用して血流パラメーターを計算する血管関数抽出部;を含むことができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10