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  • 特許-マグネット式データ転送ケーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】マグネット式データ転送ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/00 20060101AFI20240701BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240701BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240701BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01B11/00 B
H01B11/00 Z
H01B7/18 Z
B32B1/08
H01B7/40 307B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023177866
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】202310377554.2
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520308499
【氏名又は名称】岳 文勇
【氏名又は名称原語表記】WENYONG YUE
【住所又は居所原語表記】NO. 10,GAOXIN SOUTH FOURTH ROAD,NANSHAN DISTRICT,SHENZHEN,GUANGDONG,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】岳 文勇
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115352012(CN,A)
【文献】中国実用新案第206532997(CN,U)
【文献】実開昭60-075916(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170798(US,A1)
【文献】中国実用新案第216053973(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/00
H01B 7/18
B32B 1/08
H01B 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル本体と、前記ケーブル本体の端部に接続されたデータ転送コネクタとを備え、前記ケーブル本体は線心と、前記線心外部を覆う外皮層とを備えるマグネット式データ転送ケーブルであって、前記外皮層のうちの少なくとも一層はマグネット材料層であり、
前記外皮層は、内部保護層と外部保護層とをさらに備え、前記内部保護層は前記線心外部を覆い、前記マグネット材料層は前記内部保護層の外部を覆い、前記外部保護層は前記マグネット材料層の外部を覆い、前記マグネット材料層はプラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形される
ことを特徴とする、マグネット式データ転送ケーブル。
【請求項2】
前記外部保護層は、編組により形成されたメッシュ層であることを特徴とする、請求項1に記載のマグネット式データ転送ケーブル。
【請求項3】
前記データ転送コネクタは、USB type-cコネクタであることを特徴とする、請求項1に記載のマグネット式データ転送ケーブル。
【請求項4】
前記データ転送コネクタは、lightning(登録商標)コネクタであることを特徴とする、請求項1に記載のマグネット式データ転送ケーブル。
【請求項5】
前記データ転送コネクタは、オーディオコネクタであることを特徴とする、請求項1に記載のマグネット式データ転送ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル製品の技術分野に関し、特にマグネット式データ転送ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
データ転送ケーブルは、電子機器に常用されている充電コンポーネントであり、データ転送ケーブルの長さは長く、通常、持ち運びの際に通常、束ねたり絡んだりするため、使用時に線材をほどかなければならないことが多く、非常に面倒で見た目も悪く、スペースも取ってしまう。市販されている既存のデータ転送ケーブルは、一般に保管が不便であるという欠点があり、データ転送ケーブルが使用されていないとき、データ転送ケーブルの柔軟性の特性により、保管時にデータ転送ケーブルが乱雑に見え、特にハンドバッグ、ポケット、リュックサックなどの狭いスペースにデータ転送ケーブルを保管する必要がある応用シナリオでは、乱雑なデータ転送ケーブルはより大きな保管スペースを取るだけでなく、使用者が同じスペースにある他の物品を取ることに著しく影響を与え、使用するのに不便で、見た目が非常に乱雑で、ユーザーエクスペリエンスも悪かった。
【0003】
データ転送ケーブルの収納を容易にするため、マグネット式収納のデータ転送ケーブルが登場した。
【0004】
例えば特許文献1では、線材にマグネットブロックを嵌め込み、データ転送ケーブルを折り曲げる時、マグネットブロック同士の磁気吸着を通じて収納するマグネット収納データ転送ケーブルが開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、線材本体に1つ以上の磁気吸引部が設けられ、前記線材本体が円形に巻いて積み重ねて一緒に収納され、巻かれた後上下層間の磁気吸引部が互いに吸着し、巻かれた線材本体を固定するマグネット収納式データ転送ケーブルが開示されている。
【0006】
さらに、例えば特許文献3では、データ転送ケーブル本体に磁気リングを嵌め込み、データ転送ケーブルを収納しようとした時、磁気リングを通じてデータ転送ケーブルをすっきりと収納できる収納に便利なマグネット式データ転送ケーブルが開示されている。
【0007】
しかしながら、上記の先行特許に開示された技術的手段では、データ転送ケーブルを折り曲げて収納する場合、磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)を使用して、巻かれた後上下層間のデータ転送ケーブルを吸着して巻きを固定する。巻取りの際、上下層のデータ転送ケーブル間の磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)を位置合わせして吸着する必要があるため、巻き取り時の操作が煩雑となり、磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)の距離制限を受け、巻いた後のコイル径を制御することが困難になる。
【0008】
なお、従来技術では磁気リングを使用するため、磁気リングの強度を確保するには磁気リングの肉厚が1.5mm以上必要となり、全体の直径は3mm以上増え、同じ導電性パラメータの下では、ケーブルの直径が大幅に増加し、重量が大幅に増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許公告第CN212392445U号公報
【文献】中国特許公告第CN211655236U号公報
【文献】中国特許公告第CN213717212U号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するため、マグネット式データ転送ケーブルを提供するものとした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、ケーブル本体と、ケーブル本体の端部に接続されたデータ転送コネクタとを備えたマグネット式データ転送ケーブルを提供し、前記ケーブル本体は線心と、線心外部を覆う外皮層とを備え、前記外皮層のうちの少なくとも一層はマグネット材料層である。
【0012】
好ましくは、前記マグネット材料層は、前記線心外部を直接覆い、プラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形され、前記外皮層は前記マグネット材料層の外部を覆う外部保護層をさらに備える。
【0013】
好ましくは、前記外部保護層は、編組により形成されたメッシュ層である。
【0014】
好ましくは、前記外皮層は、内部保護層と、外部保護層とをさらに備え、前記内部保護層は前記線心外部を覆い、前記マグネット材料層は前記内部保護層の外部を覆い、前記外部保護層は前記マグネット材料層の外部を覆い、前記マグネット材料層はプラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形される。
【0015】
好ましくは、前記データ転送コネクタは、USB type-cコネクタである。
【0016】
代替的に、前記データ転送コネクタは、lightningコネクタである。
【0017】
代替的に、前記データ転送コネクタは、オーディオコネクタである。
【発明の効果】
【0018】
上記の技術的手段を採用するため、本発明は、次の有利な効果を有する。
【0019】
(1)本発明の実施形態において、従来のマグネット収納式データ転送ケーブと比較して、本実施形態におけるマグネット式データ転送ケーブルの線心の外皮のうちの少なくとも一層は、マグネット材料層であり、データ転送ケーブルが巻かれる時、上下層のデータ転送ケーブル又は隣り合うデータ転送ケーブルの間はマグネット材料層を使用して互いに磁気吸着する。マグネット材料層は、外皮層内に連続的に分布するため、巻いた後のコイル径の大きさを自由自在に調整することができ、磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)の距離制限を受けず、巻いた後のコイル径を調整しやすく、保管もしやすい。
【0020】
(2)従来のマグネット収納式データ転送ケーブルは、使用時、データ転送ケーブル上の磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)の1つに損傷が生じた場合、データ転送ケーブル収納が困難になる。本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルは、マグネット材料層が外皮内に連続的に分布されるため、マグネット材料層が損傷しにくく、データ転送ケーブルが巻かれた後、上下層の磁気吸引効果を確保するのに有利である。
【0021】
(3)従来のマグネット収納式データ転送ケーブルは、複数の磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)をデータ転送ケーブル上に間隔を置いて配置しているため、データ転送ケーブルの全体性が悪く、一体成形するのが不便である。本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルは、マグネット材料層が外皮内に連続的に分布されるため、一体成形の製造に便利である。
【0022】
(4)本発明において、マグネット材料層は、プラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形され、磁性粉末材料が伸線成形に必要な厚さ0.5mmのみを必要とするため、データ転送ケーブルの直径及データ転送ケーブルの重量を減らすのに有利となる。
【0023】
以下、本出願の実施形態又は従来技術内の技術的手段を明確に説明するため、実施形態又は従来技術の描写に使用する必要がある添付図面を簡単に説明する。以下に描写する添付図面は、本出願のいくつかの実施例というのみであり、当業者にとって創造性の活動をしない前提で、これら添付属図面に基づいてその他の添付属図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1で提供されるマグネット式データ転送ケーブル内のケーブル本体の概略断面図である。
図2】本発明の実施例2で提供されるマグネット式データ転送ケーブル内のケーブル本体の概略断面図である。
図3】巻かれた後の本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルの第1の概略図である。
図4】巻かれた後の本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルの第2の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例中の図面を参照して、本発明の実施例中の技術的手段を詳細に説明するが、説明する実施形態は本発明の一部の実施例であり、全ての実施形態でないことは言うまでもない。本発明中の実施形態に基づいて、当業者は創造性の活動をしない前提で得られた全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0026】
本明細書で言及される「実施形態」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって本明細書全体の様々な場所で示される句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではなく、他の実施形態と相互に排他的な独立した又は代替の実施形態でもない。当業者は、本明細書に記載の実施形態が他の実施形態と組み合わせることができることを明示的かつ暗黙的に理解しているものとする。
【実施例1】
【0027】
図1に示すように、本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルの実施例1の該マグネット式データ転送ケーブルは、ケーブル本体100と、ケーブル本体100の端部に接続されたデータ転送コネクタ6とを備え、前記ケーブル本体は線心1と、線心1外部を覆う外皮層2とを備え、前記外皮層2のうちの少なくとも一層はマグネット材料層3である。
【0028】
本実施例において、前記マグネット材料層3は、前記線心1外部を直接覆い、プラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形され、前記外皮層2は前記マグネット材料層3の外部を覆う外部保護層5をさらに備える。
【0029】
本実施例において、前記外部保護層5は、編組により形成されたメッシュ層である。編組により形成されたメッシュ層は、データ転送ケーブル全体の靭性を高め、データ転送ケーブルが引っ張られて切断されるのを防止する。
【0030】
本実施例において、前記データ転送コネクタ6は、USB type-cコネクタ、又はlightningコネクタ、或いはオーディオコネクタである。
【実施例2】
【0031】
上記実施例1に基づいて、図2は本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルの実施例2を示す。ケーブル本体100の外皮層2は、内部保護層4と、外部保護層5とをさらに備え、前記内部保護層4は前記線心1外部を覆い、前記マグネット材料層3は前記内部保護層4の外部を覆い、前記外部保護層5は前記マグネット材料層3の外部を覆い、前記マグネット材料層3はプラスチックと磁性粉末の混合物から押出成形される。線心1とマグネット材料層3との間に内部保護層4を設けることにより、データ転送ケーブルが曲がったとき、線心1を保護するだけではなく、線心1とマグネット材料層3との間の直接接触を避けることができ、相互摩擦を避け、マグネット材料層3に損傷が生じるのを防ぐ。同時に、前記マグネット材料層3の外部を覆う外部保護層5を設け、マグネット材料層3を保護しながらデータ転送ケーブル全体の靱性を高めることができ、データ転送ケーブルが引っ張られて切断されるのを防ぐ。
【0032】
本実施例において、前記データ転送コネクタ6は、USB type-cコネクタ、又はlightningコネクタ、或いはオーディオコネクタである。
【0033】
本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルが巻かれる時の状態を図3図4に示す。データ転送ケーブルが巻かれる時、上下層のデータ転送ケーブル又は隣り合う層のデータ転送ケーブルの間はマグネット材料層3を使用して互いに磁気吸着する。マグネット材料層3は、外皮層2内に連続的に分布するため、巻いた後のコイル径の大きさを自由自在に調整することができ、磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)の距離制限を受けず、巻いた後のコイル径を調整しやすく、保管もしやすい。
【0034】
実際に使用するとき、本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルは、直筒状コイル(図3)に積み重ねることができるだけでなく、扁平状(図4)に巻くこともでき、これにより体積を減らし、バッグに入れて保管するとき、バッグから取られるスぺースを節約できる。
【要約】
【課題】 マグネット式データ転送ケーブルを提供することを課題とする。
【解決手段】 マグネット式データ転送ケーブルであって、ケーブル本体と、ケーブル本体の端部に接続されたデータ転送コネクタとを備え、前記ケーブル本体は線心と、線心外部を覆う外皮層とを備え、前記外皮層のうちの少なくとも一層はマグネット材料層である。本発明により提供されるマグネット式データ転送ケーブルにおいて、線心の外皮のうちの少なくとも一層は、マグネット材料層であり、データ転送ケーブルが巻かれる時、上下層のデータ転送ケーブル又は隣り合うデータ転送ケーブルの間はマグネット材料層を使用して互いに磁気吸着する。マグネット材料層は、外皮層内に連続的に分布するため、巻いた後のコイル径の大きさを自由自在に調整することができ、磁気吸引部(又はマグネットブロック、或いは磁気リング)の距離制限を受けず、巻いた後のコイル径を調整しやすく、保管もしやすい。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4