(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び有機粒子状UVフィルターを含む効果的な日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20240701BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240701BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240701BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240701BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/49
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021555186
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2020056942
(87)【国際公開番号】W WO2020187779
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-13
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,マーセル
(72)【発明者】
【氏名】クルス,シュタニスロー
(72)【発明者】
【氏名】アッカー,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ソーン,ミリアム
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517489(JP,A)
【文献】Sun Care Cream for Body SPF50+, Clarins, 2019年2月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.12.26], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:6344725
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)
2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
及びサリチル酸エチルへキシルをいずれも含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項2】
2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まない、請求項1に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項3】
パラベンを含まない、請求項1又は2に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項4】
30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の軟化剤が、C
12~C
15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸フェネチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル及びクエン酸トリブチルからなる群から選択される、請求項
4に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項6】
組成物の総重量に対して3重量%~8重量%の
量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項7】
組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の
量の少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項8】
組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の
量のトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の香料を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項10】
フェノキシエタノールを含まない、請求項1から
9のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項11】
日焼け止め組成物のサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御を有する、請求項1から
10のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項12】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の布の汚染を低減するための、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用であって、組成物が、
(i)
組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)
2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)
4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択される、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
及びサリチル酸エチルへキシルをいずれも含まない、使用。
【請求項13】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性を促進するための、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用であって、組成物が、
(i)
組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)
2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)
,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択される、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター;
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
及びサリチル酸エチルへキシルをいずれも含まない、使用。
【請求項14】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の布の汚染を低減するための組成物であって、
(i)
組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル;及び
(ii)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;及び
(iii)エチルヘキシルトリアゾン;及び
(iv)メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及び/又はトリビフェニルトリアジン
を含む日焼け止め組成物であって、in vitroにおけるBoots評価のUVA:UVB比が、17.5J/cm
2のUV照射前に少なくとも0.9、UV照射後に0.86であ
り、
エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)及びサリチル酸エチルへキシルをいずれも含まない、日焼け止め組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター及びトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、オクトクリレンを含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。さらに本発明は、布の汚染を低減するため、及び日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性を促進するための前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
UV放射はヒトの皮膚に有害な作用を引き起こす。皮膚の日焼けの急性作用の他、UV放射はまた、皮膚がんのリスクを増加させることが公知である。さらに、UV-A及びUV-B光への長時間曝露は、皮膚での光毒性及び光アレルギー性反応を引き起こすことがあり、皮膚の老化を加速させ得る。
【0003】
ヒトの皮膚をUV放射から保護するために、UV-Aフィルター、UV-Bフィルター及び広域フィルターを含む種々の紫外線防御UVフィルター(UV吸収剤とも呼ばれる)が存在する。これらのフィルターは日焼け止め又は化粧品組成物に添加される。UVフィルターは、有機又は無機、粒子状又は非粒子状化合物のいずれであってもよく、そのすべてがUV光範囲において高い吸収効果を有する。一般に、UV光は、UV-A放射及びUV-B放射に分けることができる。吸収最大の位置に応じて、UVフィルターは、UV-Aフィルター及びUV-Bフィルターに分けることができる。UVフィルターがUV-A光及びUV-B光の両方を吸収する場合、広域吸収剤と呼ばれる。
【0004】
2006年以来、すべての日焼け止め又は化粧品組成物は、表示されるサンプロテクションファクター(SPF)の少なくとも3分の1であるUV-A防御因子を有するべきであることがEU欧州委員会によって推奨されており、ここでのサンプロテクションファクターは、主にUV-B防御を指す。
【0005】
しかしながら、日焼け止め又は化粧品組成物に使用される従来技術で公知のUVフィルターは、一定の欠点を有する。特に、特定のUVフィルターの欠点が言及され、それらは日焼け止め又は化粧品組成物における使用が承認されているにも関わらず、健康及び環境への懸念に起因してしばしば議論の対象となる。議論対象のUVフィルターは、例えば、オクトクリレン、ホモサレート又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシルである。
【0006】
したがって、UV-B及びUV-A範囲の紫外線防御に効果的であるが、議論対象のUVフィルターを含まない日用の日焼け止め又は化粧品組成物への必要性が存在する。
【0007】
EP2837407A2は、トリアジン誘導体から選択される1種以上のUVフィルター、二酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又はジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含み、オクトクリレンを含まない香気安定な化粧品組成物であって、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ホモメンチルサリチレート及びメトキシケイ皮酸エチルヘキシルを含まない、組成物を開示している。
【0008】
EP3093008A1は、オクトクリレンを含まず、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、並びにサリチル酸エチルヘキシル及びホモサレートから選択される1種以上のサリチレートを含む日焼け止め組成物に関する。
【0009】
EP3093007A1は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、並びにサリチル酸エチルヘキシル及びホモサレートから選択される1種以上のサリチレートのUVフィルターの組合せを含む化粧品組成物であって、さらにオキシベンゾン、オクトクリレン及び4-メチルベンジリデンカンファーを含まなくてもよい、組成物を開示している。
【0010】
EP3093006は、アルコールを含有し、オクトクリレンを含まない日焼け止め組成物に関する。化粧品組成物は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン及びビス-エチルヘキシルフェノールメトキシフェニルトリアジンのUVフィルターの組合せを含み、組成物は、1種以上のアルコールを含む。
【0011】
EP3195853A1は、オクトクリレンを含まない日焼け止め組成物であって、化粧品組成物が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジエチルブタミドトリアゾン及びエチルヘキシルトリアゾンのUVフィルター組合せを含む、日焼け止め組成物を開示している。
【0012】
EP3351236A1は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びポリグリセロール脂肪酸エステルのUVフィルター組合せを含む化粧品組成物であって、4-メチルベンジリデンカンファー、オキシベンゾン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、p-メトキシケイヒ酸イソアミル及びオクトクリレンを含まない、化粧品組成物に関する。
【0013】
EP3354253A2は、布の汚染を低減するための、化粧品配合物におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの使用を記載している。
【0014】
US2003/0161793A1は、p-メチルベンジリデンカンファーを含まないが、少なくとも1種のUV遮蔽ジベンゾイルメタン化合物及び少なくとも1種の構造式(I)のUV遮蔽アミノ置換2-ヒドロキシベンゾフェノン化合物を含有する局所適用可能な化粧品/皮膚科用日焼け止め組成物を開示している。
【0015】
US2003/0152532A1は、少なくとも1種の不溶性有機UV遮蔽剤及び少なくとも1種のUV遮蔽アミノ置換2-ヒドロキシベンゾフェノン化合物の粒子を含む局所適用可能な化粧品/皮膚科用日焼け止め組成物に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、効果的な日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することである。本発明の別の目的は、製品の適用後の性能及び利便性に関して消費者の需要を完全に満たす、効果的な日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することである。これに関連して、本発明の別の目的は、議論対象のUVフィルターを含まない日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することである。本発明の別の目的は、布の汚染を低減し、布地の洗浄性を促進するための、日焼け止め又はデイリーケア組成物における使用に好適な組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、これらの目的の少なくとも1つが、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物によって実現され得ることが見出された。
【0018】
特に、本出願の発明者らは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物が、議論対象の特定のUVフィルター、すなわちオクトクリレンを含まないにも関わらず、効果的なUV-A及びUV-B防御をもたらすことを見出した。さらに驚くべきことに、本出願の発明者らは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物が、布の汚染を低減し、布地からの日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性を促進するために使用できることを見出した。
【0019】
したがって、一実施形態によると、本発明は、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0020】
第2の実施形態では、本発明は、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0021】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まない。
【0022】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、パラベンを含まない。
【0023】
第1の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターは、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)及びその組合せからなる群から選択される。
【0024】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターは、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される。
【0025】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、組成物は、30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む。
【0026】
第1及び第2の実施形態による前記組成物のより好ましい実施形態では、少なくとも1種の軟化剤は、C12~C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸フェネチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル及びクエン酸トリブチルからなる群から選択される。
【0027】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して3重量%~8重量%の量、好ましくは4重量%~7重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0028】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量、好ましくは1重量%~5重量%の量の少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む。
【0029】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の量、好ましくは0.8重量%~3重量%の量のトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む。
【0030】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の香料を含む。
【0031】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、フェノキシエタノールを含まない。
【0032】
第1及び第2の実施形態による前記組成物の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め組成物のサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御を有する。
【0033】
別の態様では、本発明は、布の汚染を低減するための、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用であって、組成物が、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、使用に関する。
【0034】
第3の態様では、本発明は、布地からの洗浄性を促進するための、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用であって、組成物が、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、使用に関する。
【0035】
前記使用の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まない。
【0036】
前記使用の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、パラベンを含まない。
【0037】
前記使用の別の好ましい実施形態では、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターは、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)及びその組合せからなる群から選択される。
【0038】
前記使用の別の好ましい実施形態では、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターは、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される。
【0039】
前記使用の別の好ましい実施形態では、組成物は、30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む。
【0040】
前記使用のより好ましい実施形態では、少なくとも1種の軟化剤は、C12~C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸フェネチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル及びクエン酸トリブチルからなる群から選択される。
【0041】
前記使用の別の好ましい実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0042】
前記使用の別の好ましい実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量、好ましくは1重量%~5重量%の量の少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む。
【0043】
前記使用の別の好ましい実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の量、好ましくは0.8重量%~3重量%の量のトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む。
【0044】
前記使用の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の香料を含む。
【0045】
前記使用の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、フェノキシエタノールを含まない。
【0046】
前記使用の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め組成物のサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御を有する。
【0047】
別の態様では、本発明は、
(i)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル;及び
(ii)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;及び
(iii)エチルヘキシルトリアゾン;及び
(iv)メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及び/又はトリビフェニルトリアジン
を含む日焼け止め組成物であって、in vitroにおけるBoots評価のUVA:UVB比が、17.5J/cm2のUV照射前に少なくとも0.9、UV照射後に0.86である、日焼け止め組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】組成物2のUV照射前及びUV照射後のスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の好ましい実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。
【0050】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」及び「1つの(an)」はまた、文脈により別途明らかに述べられない限り、それぞれの複数を含む。本発明の文脈において、「約」及び「およそ」という用語は、当業者が問題の特徴の技術的効果がなお保証されると理解する精度の間隔を記述する。この用語は、典型的には、示される数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の偏差を示す。「含む」という用語は限定ではないことが理解される。本発明の目的のために、「からなる」という用語は、「を含む」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。本明細書の以下である群が少なくともある特定数の実施形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を包含することを意味する。
【0051】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、「(iv)」等の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも順番又は時系列を記載するために使用されるとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であること、及び本明細書で記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示されるものではない他の順序で操作することが可能であることが理解される。
【0052】
本明細書で使用される場合、本発明の組成物が集合名で組み合わせられてもよい特定の化合物又は化合物の群を含まないという文脈における「含まない(free of)」という用語は、組成物が、組成物の総重量に対して0.8重量%を超える量の前記化合物又は化合物の群を含まないことを意味する。さらに、本発明による組成物は0.5重量%を超える量の前記化合物又は化合物の群を含まないことが好ましく、好ましくは、組成物は前記化合物又は化合物の群をまったく含まない。同じ定義が、「含まない(does not comprise)」に当てはまる。
【0053】
「日焼け止め組成物」という用語は、UV放射の特定の部分を反射及び/又は吸収する任意の局所用製品を指す。したがって、「日焼け止め組成物」という用語は、日焼け止め組成物だけでなく、UV防御をもたらす任意の化粧品組成物も含むことが理解される。「局所用製品」という用語は、皮膚に適用される製品を指し、例えば、スプレー、ローション、クリーム、オイル又はゲルを指し得る。日焼け止め組成物は、1種以上の活性剤、例えば、有機又は無機UVフィルター、及び他の成分又は添加剤、例えば、乳化剤、軟化剤、粘度調整剤、安定剤、保存剤又は芳香剤を含んでもよい。
【0054】
「デイリーケア組成物」という用語は、UV放射の特定の部分を反射及び/又は吸収し、ヒト身体、例えば、顔、体又は毛髪用の毎日のケア製品として使用される任意の局所用製品を指す。デイリーケア組成物は、1種以上の活性剤、例えば、有機又は無機UVフィルター、及び他の成分又は添加剤、例えば、乳化剤、軟化剤、粘度調整剤、安定剤、保存剤又は芳香剤を含んでもよい。
【0055】
「エマルジョン」という用語は、エマルジョンの形態で存在する組成物、特に、日焼け止め又はデイリーケア組成物を指す。したがって、「エマルジョン」という用語は、通常非混和性である2種以上の液体の混合物を指す。エマルジョンは2相系を表し、一方の液体(分散相)は他方の液体(連続相)中に分散される。本出願の好ましいエマルジョンの例は、W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョンである。
【0056】
本明細書で使用される場合、「サンプロテクションファクター(SPF)」という用語は、皮膚が日焼け止め組成物によって主にUV-B放射からどの程度良好に保護されるかを示す。特に、この指数は、未処置の皮膚と比較して保護された皮膚が、どれくらい長く、日焼けすることなく太陽に曝露され得るかを示す。例えば、SPFが15の日焼け止め組成物が、日なたで通常10分後に日焼けする人の皮膚に均一に適用された場合、この日焼け止めにより、当業者は日なたに15倍長く留まることが可能になる。言い換えると、SPF15は、日焼け止めが1平方センチメートル当たり2ミリグラム(mg/cm2)の投薬量で均一な厚さで適用されると仮定すると、皮膚に達する日焼けさせるUV放射が1/15になることを意味する。
【0057】
「UVフィルター」という用語は、本明細書で使用される場合、太陽光によって引き起こされるUV放射を吸収及び/又は反射できる有機又は無機化合物を指す。UVフィルターは、UV-A、UV-B又は広域フィルターとしてのそのUV防御曲線に基づいて分類できる。本出願の文脈において、広域フィルターはUV-A防御ももたらすため、UV-Aフィルターとして列挙されることがある。言い換えると、好ましいUV-Aフィルターは広域フィルターも含む。
【0058】
粒子状UVフィルターは、有機粒子状UVフィルター及び無機粒子状UVフィルターにさらに分けることができる。有機粒子状UVフィルターは有機化合物に基づく一方、無機粒子状UVフィルターは無機化合物、例えば二酸化チタンに基づく。日焼け止め組成物中の粒子状UVフィルターは、日焼け止め組成物、すなわちその中に含有される水及び化粧用油へのその溶解度が0.01重量%未満、好ましくは0.05重量%未満であるため、粒子状形態で存在する。好ましくは、粒子状UVフィルターは、2000nm未満、好ましくは1000nm未満の光散乱によって決定される粒径DN50を有し、DN50は、集団の半分がその値未満であり、集団の半分がその値を超える粒径値、すなわち、粒径体積分布のメジアン値を指す。
【0059】
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)は、354nmにおいて吸収最大を有する油溶性UV-Aフィルターである。ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、皮膚の長期間保護のための優れた光安定性を有し、UV-A I及びUV-A II放射に対して効果的なシールドをもたらす。これは、BASFによって商品名Uvinul(登録商標)A Plusで販売されている。
【0060】
4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)は、低濃度でも高い有効性を有するUV-B吸収剤である。これは高度に安定なUV-Bフィルターである。エチルヘキシルトリアジンは、BASFによって商品名Uvinul(登録商標)T 150で販売されている。
【0061】
4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)は、280nm~320nmの範囲で吸収する可溶性有機UV-Bフィルターである。これは310nmにおいて吸収最大を有する。ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンは、3V Sigmaによって商品名Uvasorb HEBで販売されている。
【0062】
2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)は、UV-B光及びUV-A光を吸収する広域UVフィルターである。さらに、これはハイブリッドUVフィルターであり、有機化合物としてUV光を吸収するが、これはまた、典型的には微細有機粒子の形態で存在する粒子状UVフィルターであるため、光の一部を散乱する。光散乱によって決定される粒径DN50は、好ましくは60nmよりも大きく、DN90は、好ましくは110nmよりも大きい。メチレン-ビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBTとも呼ばれる)は、ベンゾトリアゾール誘導体の群に属するUVフィルターである。これは、BASFによってTinosorb(登録商標)Mで販売されている。
【0063】
TBPTとも呼ばれる2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリス-ビフェニルトリアジン)は、トリアジン誘導体の群に属する粒子状有機UVフィルターである。これは、BASFによって商品名Tinosorb(登録商標)A2Bで販売されている。これは310nmにおける最大吸収でUV-A II及びUV-B範囲の防御をもたらす。好ましくは、粒子は、80nmよりも大きいDN50及び120nmよりも大きいDN90を示す。
【0064】
BEMTとも呼ばれる2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)は、トリアジン誘導体の群に属するUVフィルターである。これは、BASFによって商品名Tinosorb Sで販売されている。これは広範囲スペクトルのUVフィルターである。BEMTは、油溶性UVフィルターとして提供されるか、又は水に分散性になるようにポリアクリレートマトリックスに溶解されるかのいずれかであり得る。後者の場合、これはTinosorb(登録商標)S Aqua又はTinosorb S Lite Aquaと呼ばれる。
【0065】
「に分散性」という用語は、本明細書で使用される場合、ある特定の化合物が、それぞれ水又は油相に可溶性ではないが、それぞれの相に微細に分散されることを示す。
【0066】
「ポリマーマトリックス」という用語は、本明細書で使用される場合、分子、例えば異なる有機化合物を捕捉、封入又はまた溶解するようにグループ化された複数のポリマー鎖からなるマトリックスを対象とする。
【0067】
エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)は、302nmにおいて吸収最大を有する油溶性有機UV-Bフィルターである。広範囲UV-B吸光度をもたらし、光不安定なUVフィルターのための効果的な安定剤であることが公知である。オクトクリレンは、BASFによって商品名Uvinul(登録商標)N 539 Tで販売されている。
【0068】
2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)は、310nmにおいて吸収最大を有する無臭かつ無色のUV-Bフィルターである。これは他の結晶UVフィルターの良溶媒である。メトキシケイ皮酸エチルヘキシルは、BASFによって商品名Uvinul(登録商標)MC 80で販売されている。
【0069】
「パラベン」という用語は、化粧用及び医薬組成物に使用される保存剤の類を指す。それらは殺菌及び殺真菌特性に起因して、一般に使用される。パラベンの化学構造は、パラヒドロキシベンゾエート又はパラヒドロキシ安息香酸のエステル、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン又はヘプチルパラベンに基づく。
【0070】
「軟化剤」という用語は、皮膚を保護、保湿及び潤滑するために使用される化粧用配合物に関する。軟化剤という語は、軟化するという意味のラテン語mollireに由来する。一般に、軟化剤は、密閉コーティングを形成することによって皮膚からの水の蒸発を防ぐ。それらは、それらの極性指数に応じて異なる群に分けることができる。
【0071】
「極性指数」という用語は、非極性又は極性油を指す。非極性油は主に炭化水素に基づき、電気陰性元素、例えば酸素を含まない。これとは対照的に、極性油は、電気陰性度の異なるヘテロ原子を含有し、その結果双極子モーメントが生じる。しかしながら、そのような油はなお水不溶性、すなわち、疎水性である。極性指数は、それぞれの油と水の間の界面張力を測定することによって決定できる。
【0072】
「C12~C15アルキルベンゾエート」は、安息香酸とC12~C15アルキル鎖を含有する脂肪アルコールとのエステルを指す。C12~C15アルキル鎖は、C12、C13、C14又はC15鎖長のアルキル鎖として定義される。
【0073】
「広域」防御(広範囲スペクトル又は広範囲防御とも呼ばれる)の定義は、「臨界波長」に基づく。広域有効範囲のために、UV-B及びUV-A防御が提供されなくてはならない。US要件によると、広範囲スペクトル防御を達成するためには、少なくとも370nmの臨界波長が必要である。さらに、すべての日焼け止め又は化粧品組成物は、表示されるサンプロテクションファクター(SPF)の少なくとも3分の1のUVA防御指数を有するべきであり、例えば、日焼け止め組成物が30のSPFを有する場合、UVA防御指数は少なくとも10でなくてはならないことが欧州委員会によって推奨されている。
【0074】
「布の汚染」という用語は、本明細書で使用される場合、日焼け止め組成物、特に良好なUV-A防御をもたらすものにより布地に黄色の染みが残るという観察を指す。日焼け止め組成物は多くの場合、ヒトの皮膚への適用の間又はその後に布地と接触して、布地で染みが観察されることになるため、これは望ましくない。布の汚染は、以下に詳細に概説される通り、L*a*bによって測定できる。
【0075】
「洗浄性」という用語は、本明細書で使用される場合、日焼け止め組成物によって引き起こされる布地の染みが、ある特定の回数の洗浄サイクル後にどの程度布地から除去され得るかを記載する。洗浄性を評価するために、布の汚染は、1回以上の洗浄サイクルの前及び後に測定される。洗浄サイクルは市販の液体洗浄ゲルを用いて30℃~50℃の温度で実施される。典型的には、1~3回の洗浄サイクルの後の布の汚染に関する差が決定される。
【0076】
本出願による、特に第1及び第2の実施形態による日焼け止め又はデイリーケア組成物並びに前記組成物の使用に関する好ましい実施形態が、本明細書の以下で記載される。本発明の好ましい実施形態は、単独でも又は互いに組み合わせても好ましいことが理解される。
【0077】
上で示される通り、本発明は一実施形態において、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0078】
上で示される通り、本発明は第2の実施形態において、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0079】
上記の実施形態に関連して、驚くべきことに、本出願の発明者らは、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物が、UVフィルターであるオクトクリレンを含まないにも関わらず効果的な紫外線防御をもたらすことを見出した。
【0080】
本発明に関連して、特に第1及び第2の実施形態に関連して、日焼け止め組成物に関する以下の選好が適切である。
【0081】
本発明の一実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない。
【0082】
第2の実施形態では、本発明は、エマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0083】
本発明の別の実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まない。
【0084】
本発明のなお別の実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、パラベンを含まない。これに関連して、パラベンは、同義語であるパラヒドロキシベンゾエート、オキシベンゾエート、オキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシベンゾエートでも公知であり、これらもまた、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物から除外されることが理解される。
【0085】
本発明のなお別の実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、フェノキシエタノールを含まない。
【0086】
本発明のなお別の実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、(RS)-2-エチルヘキシル-2-ヒドロキシベンゾエート(INCIサリチル酸エチルヘキシル)を含まない。
【0087】
上記の実施形態に関連して、含まない(free of)ことは、組成物が上で定義される化合物又は物質を含まない(does not comprise)ことを意味することが理解される。特に、組成物は、組成物の総重量に対してそれぞれ0.8重量%を超える量の上で定義される化合物又は物質を含まないことが理解される。さらに、組成物は、それぞれ0.5重量%を超える量の上で定義される化合物又は物質を含まないことが理解される。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、上で定義される通りの化合物又は物質の各々をまったく含まない。
【0089】
上記の実施形態に関連して、本発明による上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、上で定義される通りの物質又は以下で定義される通りの組合せを含まないことが理解される。
【0090】
したがって、本発明の好ましい一実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、及び
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)
を含まない。
【0091】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、及び
- パラベン
を含まない。
【0092】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、及び
- フェノキシエタノール
を含まない。
【0093】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、及び
- サリチル酸エチルヘキシル
を含まない。
【0094】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、及び
- パラベン
を含まない。
【0095】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、及び
- フェノキシエタノール
を含まない。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、及び
- サリチル酸エチルヘキシル
を含まない。
【0097】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- パラベン、
- フェノキシエタノール、及び
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
を含まない。
【0098】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- パラベン、
- サリチル酸エチルヘキシル、及び
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
を含まない。
【0099】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- サリチル酸エチルヘキシル、
- フェノキシエタノール、及び
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)
を含まない。
【0100】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、
- パラベン、及び
- フェノキシエタノール
を含まない。
【0101】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、
- パラベン、及び
- サリチル酸エチルヘキシル
を含まない。
【0102】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、
- フェノキシエタノール、及び
- サリチル酸エチルヘキシルを含まない。
【0103】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- パラベン、
- フェノキシエタノール、及び
- サリチル酸エチルヘキシル
を含まない。
【0104】
本発明のより好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)、
- 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、
- パラベン、
- フェノキシエタノール、及び
- サリチル酸エチルヘキシル
を含まない。
【0105】
上記の好ましい実施形態に関連して、含まない(free of)ことは、組成物が上で定義される物質又はその組合せを含まない(does not comprise)ことを意味することが理解される。特に、組成物は、組成物の総重量に対して0.8重量%を超える全量の上で定義される物質又はその組合せを含まないことが理解される。さらに、組成物は、0.5重量%を超える全量の上で定義される物質又はその組合せを含まないことが理解される。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、上で定義される物質又はその組合せをまったく含まない。
【0107】
本発明の一実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む。
【0108】
本発明の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
- 直鎖又は分枝脂肪酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル;
- 芳香族カルボン酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル;
- 直鎖又は分枝アルコールとのジ及びトリカルボン酸エステル;
- ヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル;
- 直鎖又は分枝脂肪酸と多価アルコールとのエステル;
- C6~C18脂肪酸に基づくモノ、ジ、トリグリセリド;
- ゲルベアルコール
から選択される30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む。
【0109】
本発明のより好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、C12~C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸フェネチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリエチル及びクエン酸トリブチルからなる群から選択される、30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む。
【0110】
好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して1重量%~20重量%の量、好ましくは2重量%~15重量%の量の少なくとも1種の軟化剤を含む。これらの量は、日焼け止め又はデイリーケア組成物中の各個々の軟化剤を指すことが理解される。したがって、日焼け止め又はデイリーケア組成物中の各個々の軟化剤は、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して1重量%~20重量%の量、好ましくは2重量%~15重量%の量で存在する。日焼け止め又はデイリーケア組成物中に2種以上の軟化剤が存在する場合、軟化剤の全量は、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して1重量%~35重量%、好ましくは2重量%~25重量%の範囲であってよい。
【0111】
30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤の添加に関する上記の好ましい実施形態に関連して、驚くべきことに、本発明の発明者らは、上で定義される通りの少なくとも1種の軟化剤の添加によりオクトクリレンを含まない日焼け止め又はデイリーケア組成物中の上で定義される通りのUVフィルターの溶解度特性及び性能が強化されることを見出した。これに関連して、最大吸光度(λmax)の波長は、UVフィルター分子の性能を説明する指標であることが理解される。それは吸光度が最大である波長を示す。
【0112】
本発明の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、上で定義される通りのサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御を有する。例えば、日焼け止め組成物のサンプロテクションファクターが30である場合、所与の日焼け止め組成物のUV-A防御は少なくとも10である。特に、UVA防御に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、MBBT)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン、TBPT);及び
(iii)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン、EHT)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BEMT)
を含み、組成物は、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない。
【0113】
上で定義される通りのサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御に関する上記の好ましい実施形態に関連して、驚くべきことに、本発明の発明者らは、上で定義される通りの日焼け止め組成物中の有機粒子状UVフィルターである2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン、TBPT)の存在によりサンプロテクションファクターが強化される一方、同時に、サンプロテクションファクター(SPF)の少なくとも3分の1であるUV-A防御がもたらされることを見出した。言い換えると、これは、有機粒子状UVフィルターであるトリスビフェニルトリアジンの存在により、UV-A領域における吸光度のバランスを損ねることなくSPFが強化され、したがって、サンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御がもたらされる。
【0114】
さらに、UVA防御に関する上記の好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物によるUVA防御は、いわゆるBoots Star評価システムを使用することによってさらに決定できることが理解される。方法は、固定線量の模擬太陽光UVへの曝露の前及び後に、日焼け止め製品を通した紫外線(UV)放射の透過を地球のUV範囲全体を通して測定することを要する。各日焼け止め製品試験について、2つの別個のUVA:UVB比を計算する必要がある。初期UVA:UVB吸光度比の測定は、基材への日焼け止め試料の適用の少なくとも15分後かつ30分以内での日焼け止め試料を通した透過測定が必要である。第2のUVA:UVB吸光度比の測定は、日焼け止め試料のUVフィルターの光分解を考慮する後吸光度測定である。したがって、初期UVA:UVB比の日焼け止め試料は、17.5J/cm2の固定線量のUV放射に曝露される。全照射量(290~400nm)は、45~90W/m2に含まれ;UVA(320~400nm)照射量は全照射量の90~97%を構成する。この線量は近似的に、真夏、真昼の日光に1時間曝露されたときに陰のない水平面に入ると考えられる太陽光UV線量を指す。日焼け止め製品の光安定性は、当初のUVA:UVB比の少なくとも95%を維持することとしてさらに定義される。5%未満の分解が観察される場合、日焼け止め製品は十分に光安定であり、初期UVA:UVB比で表示される。これとは対照的に、UVA:UVB比が5%を超えて減少する場合、製品は曝露後のUVA:UVB比で表示される。star評価の等級は、初期及び曝露後UVA:UVB比に基づいてさらに割当てられ、3~5つ星の範囲である。
【0115】
したがって、特に好ましい実施形態では、本発明は、
(i)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル;及び
(ii)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;及び
(iii)エチルヘキシルトリアゾン;及び
(iv)メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及び/又はトリビフェニルトリアジン
を含む日焼け止め組成物であって、in vitroにおけるBoots評価のUVA:UVB比が、17.5J/cm2のUV照射前に少なくとも0.9、UV照射後に0.86である、日焼け止め組成物に関する。
【0116】
本発明に関連して、特に第1及び第2の実施形態に関連して、UVフィルターに関する以下の選好が本発明の上に列挙される実施形態に関連して適切である。
【0117】
本発明の一実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、組成物は、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含み、「少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター」は、好ましくは、1~3種の有機粒子状UVフィルターを指し得る。
【0119】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、MBBT)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン、TBPT)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン、BDBP)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン、PBT)、微粒子化1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2'-イル)ベンゼン及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む。
【0120】
本発明のより好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、MBBT)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン、TBPT)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン、PBT)及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む。上記の好ましい実施形態に関連して、2種以上の有機粒子状UVフィルターが存在する場合、有機粒子状UVフィルターの組合せ、例えば、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及びトリスビフェニルトリアジンの組合せもまた可能であることが理解される。
【0121】
2種の有機粒子状UVフィルターの組合せが存在する場合、以下の組合せが個々に好ましい:
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)及びトリスビフェニルトリアジン(TBPT);
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)及びフェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT);
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)及びビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP);
- トリスビフェニルトリアジン(TBPT)及びフェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT);
- トリスビフェニルトリアジン(TBPT)及びビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP);
- フェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT)及びビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP)。
【0122】
3種の有機粒子状UVフィルターの組合せが存在する場合、以下の組合せが個々に好ましい:
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)、トリスビフェニルトリアジン(TBPT)及びビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP);
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)、トリスビフェニルトリアジン(TBPT)及びフェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT);
- メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)、ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP)及びフェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT);
- トリスビフェニルトリアジン(TBPT)、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン(PBT)及びビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン(BDBP)。
【0123】
好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量、好ましくは1重量%~5重量%の量の少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む。これらの量は、日焼け止め又はデイリーケア組成物中の各個々の有機粒子状UVフィルターを指すことが理解される。したがって、日焼け止め又はデイリーケア組成物中の各個々の有機粒子状UVフィルターは、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量、好ましくは1重量%~5重量%の量で存在する。日焼け止め又はデイリーケア組成物中に2種以上の有機粒子状UVフィルターが存在する場合、有機粒子状UVフィルターの全量は、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して1重量%~30重量%、好ましくは3重量%~30重量%の範囲であってもよい。
【0124】
上記の好ましい実施形態は、日焼け止め又はデイリーケア組成物中に、ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及びトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターに加えて存在する、少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを指すことが理解される。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含み、「トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター」は、好ましくは、トリアジン誘導体から選択される1~3種のUVフィルターを指し得る。
【0126】
本発明のより好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン、EHT)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン、DBT)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BEMT)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む。上記の好ましい実施形態に関連して、トリアジン誘導体から選択される2種以上のUVフィルターが存在する場合、トリアジン誘導体から選択されるUVフィルターの組合せ、例えば、エチルヘキシルトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの組合せもまた可能であることが理解される。
【0127】
トリアジン誘導体から選択される2種のUVフィルターの組合せが存在する場合、以下の組合せが個々に好ましい:
- エチルヘキシルトリアゾン(EHT)及びジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン(DBT);
- エチルヘキシルトリアゾン(EHT)及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT);並びに
- ジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン(DBT)及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)。
【0128】
トリアジン誘導体から選択される3種のUVフィルターの組合せが存在する場合、エチルヘキシルトリアゾン(EHT)、ジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン(DBT)及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)の組合せが好ましい。
【0129】
本発明の特に好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)及びその組合せからなる群から選択されるトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む。
【0130】
本発明の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の量、好ましくは0.8重量%~3重量%の量のトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む。これらの量は、日焼け止め又はデイリーケア組成物中のトリアジン誘導体から選択される各個々のUVフィルターを指すことが理解される。したがって、日焼け止め又はデイリーケア組成物中のトリアジン誘導体から選択される各個々のUVフィルターは、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の量、好ましくは0.8重量%~3重量%の量で存在する。日焼け止め又はデイリーケア組成物中にトリアジン誘導体から選択される2種以上のUVフィルターが存在する場合、トリアジン誘導体から選択されるUVフィルターの全量は、好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量に対して1重量%~10重量%、好ましくは2.5重量%~10重量%の範囲であってもよい。
【0131】
上記の好ましい実施形態は、日焼け止め又はデイリーケア組成物中に、ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターに加えて存在する、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを指すことが理解される。
【0132】
UVフィルターに関する上記の好ましい実施形態に関連して、ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)に加えて、1種以上の有機粒子状UVフィルターとトリアジン誘導体から選択される1種以上UVフィルターの組合せとの組合せもまた本発明の一部であることが理解される。
【0133】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0134】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して2.5重量%~9重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0135】
本発明の別の好ましい実施形態では、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して3重量%~8重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0136】
本発明の別の好ましい実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、組成物の総重量に対して4重量%~7重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む。
【0137】
上記の好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量は、上で定義される通りの日焼け止め又はデイリーケア組成物を指し、日焼け止め組成物は、少なくとも1種の添加剤を含み得ることが理解される。
【0138】
一実施形態では、少なくとも1種の添加剤は、乳化剤、粘度調整剤(増粘剤)、感触改良剤、アジュバント、保存剤及びその組合せからなる群から選択される。
【0139】
好ましい乳化剤としては、
- グルコース誘導体、例えば、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、ラウリルグルコシド、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、セスキステアリン酸メチルグルコース;
- スクロース誘導体、例えば、ポリステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース;
- ソルビトール誘導体、例えば、ポリソルベート-n、PEG-10ソルビタンラウレート;
- 脂肪アルコールポリグリコールエーテル及び脂肪酸ポリグリコールエーテル、例えば、セテアレス-20、ベヘネス-25、ステアレス-2、PEG-100ステアレート;
- 脂肪酸のグリセリド、例えば、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル;
- グルタミン酸誘導体、例えば、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム;
- スルホコハク酸誘導体、例えば、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム;
- リン酸誘導体、例えば、セチルリン酸カリウム;
- ポリグリセリルの脂肪酸エステル、例えば、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート;
- オキシアルケニル化有機変性シリコーン/ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマー及び誘導体
が挙げられる。
【0140】
好ましい増粘剤としては、
- 脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール;
- 脂肪酸、例えば、ステアリン酸;
- 脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸ミリスチル;
- ワックス、例えば、ビーズワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト;
- 多糖又は誘導体、例えば、キサンタンガム、グアーガム、アガーガム、アルギネート、ジェランガム、カラゲナン;
- 網目状アクリル酸又はポリアクリルアミドのポリアクリレート又はホモポリマー例えば、カルボマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー;
- シリケート誘導体、例えば、ケイ酸マグネシウム;
- セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース
が挙げられる。
【0141】
好ましい感触改良剤としては、
- ポリアミド誘導体、例えば、ナイロン-12;
- ポリメチルメタクリレート;
- シリカ;
- マイカ;
- ポリメチルシルセスキオキサン;
- ポチエチレン;
- デンプン誘導体、例えば、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム;
- ジメチコン誘導体;
- 窒化ホウ素;
- HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー
が挙げられる。
【0142】
好ましいアジュバントとしては、
- トコフェロール誘導体;
- レチノール誘導体;
- アスコルビン酸誘導体;
- ビサボロール;
- アラントイン;
- ペンテノール;
- キレート剤(EDTA、EDDS、EGTA、フィチン酸、ピロクトンオラミン);
- エチルヘキシルグリセリン;
- カプリリルグリコール;
- ヒドロキシアセトフェノン;
- カプリルヒドロキサム酸;
- プロペラント、例えば、プロパン、ブタン、イソブテン、ジメチルエーテル;
- スチレン/PVP又はスチレンアクリルアミドコポリマー;
- 虫除けスプレー、例えば、ブチルアセチルアミノプロピオネート
が挙げられる。
【0143】
好ましい保存剤としては、
- ベンジルアルコール;
- ジンゲロン
が挙げられる。
【0144】
本発明の別の実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の香料を含む。
【0145】
好ましい香料は、リモネン、シトラル、リナロール、アルファ-イソメチルイオノン、ゲラニオール、シトロネロール、2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチルテトラリン、アジピン酸ジエステル、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-メチルイオノン、アミルCブチルフェニルメチルプロピオナルシンナマル、サリチル酸アミル、アミルシンナミルアルコール、アニスアルコール、ベンゾイン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ベルガモット油、ビターオレンジ油、ブチルフェニルメチルプロピオナール、カルダモン油、セドロール、シンナマル、シンナミルアルコール、メチルクロトン酸シトロネリル、レモン油、クマリン、コハク酸ジエチル、エチルリナロール、オイゲノール、エベルニアフルフラセア(evernia furfuracea)抽出物、ツノマタゴケ(evernia prunastri)抽出物、ファルネソール、ユソウボク木油、ヘキシルシンナマル、サリチル酸ヘキシル、ヒドロキシシトロネラール、ラベンダー油、レモン油、酢酸リナリル、マンダリン油、メンチルPCA、メチルへプテノン、ナツメグ油、ローズマリー油、スイートオレンジ油、テルピネオール、トンカマメ油、トリエチルシトレート、バニリン及びその組合せからなる群から選択される。
【0146】
日焼け止め又はデイリーケア組成物中に存在する少なくとも1種の香料に関連して、驚くべきことに、組成物が香料と組み合わせてUVフィルターを含む場合、酸化的分解が低減されることが見出された。特に、驚くべきことに、少なくとも1種の香料の存在下、UVフィルターDHHBは酸化的分解を低減することが見出された。
【0147】
上記の好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物が2種以上の添加剤を含む場合、上で定義される通りの添加剤の組合せもまた本発明の一部であることが理解される。
【0148】
上記の好ましい及び特に好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、その最終製剤において、多種多様な提示形態で存在してもよく、これには、
- W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョン及びすべての種類のマイクロエマルジョンとしての液体配合物;
- ゲル;
- オイル、クリーム、ミルク又はローション;
- 粉末、ラッカー、錠剤又は化粧;
- スティック;
- スプレー(プロペラントガスによるスプレー若しくはポンプ式スプレー)又はエアロゾル;
- 泡;
- ペースト
が含まれることが理解される。
【0149】
上記の好ましい及び特に好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、その最終製剤において、好ましくはエマルジョンの形態で存在することが理解される。本出願による好ましいエマルジョンとしては、W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョンが挙げられる。
【0150】
本発明に関連して、布の汚染を低減する及び/又は布地からの日焼け止め若しくはデイリーケア組成物の洗浄性を促進するための、上で定義される通りの実施形態による日焼け止め組成物の使用に関する以下の選好が適切である。
【0151】
上で示される通り、本発明は一実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物の布の汚染を低減するための、上で定義される通り、特に第1及び第2の実施形態に関して定義される通りのエマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用に関する。
【0152】
日焼け止め組成物によって引き起こされる布の汚染は、好ましくは、いわゆるL*a*b方法によって測定される。この方法により、2つの試料間の色差を、数値に基づいて特定することができる。この方法の利点は、色を測定するのに使用されるデバイスに依存しないことである。代わりに、色差は、異なる色についての数値に基づいて決定できる。本明細書で使用される場合、日焼け止め組成物の布の汚染を決定するために、布地上の日焼け止め組成物の染み及び布地単独の間の色差が決定される。したがって、様々な日焼け止め組成物及びその布の汚染特性は、布地上のその染みの色を布地単独の色と比較することによって測定できる。色差が小さいほど、少ない布の汚染が観察される。同様に、1回以上の洗浄サイクル後の布地上の日焼け止め組成物の染み及び布地単独の間の色差を決定して、洗浄後の布の汚染の低減可能性、すなわち洗浄性を決定できる。色差は絶対色座標で示され、デルタΔと呼ばれ得る。最初に、2つの試料の色が測定される。次いで、得られた比色分析値であるCIE L*a*b座標を使用して差が計算できる。国際照明委員会(CIE)によって定義されるL*a*b色空間は、反対色説にならってモデリングされた。この理論は、2色が同時に赤色及び緑色、又は同時に黄色及び青色ではあり得ないことを述べる。以下の式を使用して、2つの試料間の全色差が決定される。
ΔE* = [ΔL*2 + Δa*2 + Δb*2]1/2
【0153】
この点について、L*は明度を示し、a*は赤/緑座標であり、b*は黄/青座標である。L*(ΔL*)、a*(Δa*)及びb*(Δb*)についてのデルタ値は、正又は負であり得る。ΔE*で示される全差は常に正である。
ΔL*(L*試料1 - L*試料2) = 明度及び暗度の差(+はより明るく、-はより暗い)。
Δa*(a*試料1 - a*試料2) = 赤及び緑の差(+は赤寄り、-は緑寄り)。
Δb*(b*試料1 - b*試料2) = 黄及び緑の差(+は黄寄り、-は緑寄り)。
ΔE*=総色差。
【0154】
本発明による布の汚染を決定するために、布地上の染みの色を布地単独の色と比較する。好ましくは、白色布地が使用される。染みが黄色のみである場合、ΔE*≒Δb*であり、日焼け止め組成物の染みの可視性はΔb*で表される。日焼け止め組成物の染みの色は典型的には黄色であるため、本発明の目的のためにΔE*はΔb*と同一であると考えられる。
【0155】
別の実施形態では、本発明は、布地からの日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性を促進するための、上で定義される通り、特に第1及び第2の実施形態に関して定義される通りのエマルジョンの形態の日焼け止め又はデイリーケア組成物の使用に関する。
【0156】
本明細書で使用される場合、洗浄性は、布地上の日焼け止め組成物の染みが洗浄によって除去され得る程度を指す。日焼け止め組成物の染みの洗浄性、すなわち除去性は、1回以上の洗浄サイクルの前及び後の、上記のL*a*b*法による染みの色差を決定することによって決定できる。
【0157】
上記の実施形態に関連して、以下の日焼け止め又はデイリーケア組成物は、布の汚染の低減、及び布地からの日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性の促進に関して好ましいことが理解される。
【0158】
本発明の使用の一実施形態では、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、
(i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)好ましくは2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)である少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、組成物は、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない。
【0159】
これに関連して、トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種UVフィルターは上で定義される通りであることが理解される。さらに、上で定義される通りの組成物は、好ましくは、2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まず、パラベンを含まないことが理解される。
【実施例】
【0160】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。
【0161】
例
日焼け止め組成物の製造方法
各被験日焼け止め組成物について、以下の表1.1及び1.2に示される通りの部Aの成分及び部Bの成分を合わせ、撹拌しながらそれぞれ75~80℃に加熱し、ここで、部Aを撹拌しながら部Bに添加し、さらに均質化させた。続いて、日焼け止め組成物を撹拌しながら室温に冷却し、存在する場合は部Cを添加した。
【0162】
以下の表で言及されるすべての量は、組成物の総重量に対するそれぞれの量を重量%で指す。
【0163】
【0164】
【0165】
SPF及びUV-A測定:
ベース組成物、比較組成物及び組成物1のSPF及びUVA防御を、標準手順(ISO 24444、ISO 24443)に従って決定した。
【0166】
【0167】
Boots Star評価システムに従うUVA防御の測定
日焼け止め組成物の製造方法
以下の表3に示される通りの部Aの成分及び部Bの成分を合わせ、撹拌しながらそれぞれ75~80℃に加熱し、ここで、部Aを撹拌しながら部Bに添加し、さらに均質化させた。続いて、日焼け止め組成物を室温に冷却し、部Cを添加した。
【0168】
【0169】
各日焼け止め組成物について、UVA:UVB比を、17.5J/cm
2の固定線量のUV照射の前及び後に測定する。初期UVA:UVB吸光度比の測定は、基材への日焼け止め試料の適用の少なくとも15分後かつ30分以内の日焼け止め試料を通した透過測定が必要である。第2のUVA:UVB吸光度比の測定は、日焼け止め試料のUVフィルターの光分解を考慮する後吸光度測定である。したがって、初期UVA:UVB比の日焼け止め試料は、17.5J/cm
2の固定線量のUV照射に曝露される。照射前及び後のUVA:UVB比が、以下及び
図1に示される。
照射前の組成物2のUVA:UVB比: 0.90
照射後の組成物2のUVA:UVB比: 0.91
【0170】
布の汚染測定
日焼け止め組成物の製造方法
各被験日焼け止め組成物について、以下の表4に示される通りの部Aの成分及び部Bの成分を合わせ、撹拌下でそれぞれ80℃に加熱し、ここで、部Aを撹拌しながら部Aを部Bに添加し、さらに均質化させた。部Cを添加し、撹拌し、日焼け止め組成物を室温に冷却した。次いで、部Dを添加し、撹拌した。
【0171】
【0172】
組成物3及び比較組成物1eの布の汚染を、上記の通りに測定した。結果を表5に示す。
【0173】
【0174】
上記の結果から分かる通り、比較組成物1eは、組成物3よりも強い布の汚染を示す。しかしながら、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの代わりにメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ナノ)を含有する本発明の組成物3は、大幅な布の汚染の低減を示す。
【0175】
界面張力の測定(極性指数)
以下に列挙される通りのそれぞれの軟化剤の界面張力を、Tensimat Densimat TD2000を使用して測定した。
【0176】
【0177】
UVフィルター性能
最大吸光度(λmax)の波長は、UVフィルター分子の性能を説明する指標である。これは吸光度が最大である波長を示す。UVAフィルターについて、最大吸光度の波長は359nmに近いはずであり、これは、PPD(持続型即時黒化)有効スペクトルに対応する。PPD有効スペクトルは、PPD(持続型即時黒化)作用スペクトルと光強度との積に対応する(ISO 24443を参照されたい)。
【0178】
各DHHB-軟化剤混合物のUV透過スペクトルを、UV/Vis分光光度計Perkin Elmer Lambda 25を使用して290から400nmまで測定した。DHHBの濃度1mMの3つのストック溶液を、各混合物について調製した。さらに、各ストック溶液の3つの希釈物を調製し、DHHB-軟化剤溶液当たり全部で9つの測定値を得た。次いで、UV透過測定のために、すべての溶液を1cmの光路長を有するUV透過石英キュベットに充填した。
【0179】
DHHBのλmax値
【0180】
【0181】
溶解度測定
事前に20mlの蓋付バイアルに充填した以下に示される通りのそれぞれの軟化剤2mlに、0.02gのUVフィルターを添加する。バイアルを恒温水浴(25℃)に入れ、ブレンドを7日間撹拌する。被験UVフィルターが完全に溶解した場合、沈殿が観察されるまで追加のフィルターを添加する。7日後、試料を13000rpmで30分間遠心分離する。上清が濁った場合、0.2μm非滅菌Membrex 25 PETフィルターを通してろ過する。測定の前に試料を好適な溶媒で希釈するか、又はより低濃度の場合はさらなる希釈なしに1cmの光路長を有する光石英キュベットを用いて測定する。次いで、UVフィルターの濃度をPerkin Elmer Lambda 20デバイスを使用してUV/Vis-分光により決定する(Herzog B.、Giesinger J.、Schnyder M.、SOFW Journal、2013、139(7)、7~14頁の方法Aに従う)。
【0182】
【0183】
特に好ましい実施形態では、本発明は、以下のさらなる項目に関する。
1. (i)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);及び
(ii)少なくとも1種の有機粒子状UVフィルター;及び
(iii)トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター
を含み、エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート(INCIオクトクリレン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
2. 2-エチルヘキシル-(2E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリレート(INCIメトキシケイ皮酸エチルヘキシル)を含まない、項目1に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
3. パラベンを含まない、項目1又は2に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
4. トリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターが、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、4,4'-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIジエチルヘキシル-ブタミドトリアゾン)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)及びその組合せからなる群から選択される、項目1~3のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
5. 少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターが、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCIメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCIトリスビフェニルトリアジン)、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(INCIビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン)、5,6,5',6'-テトラフェニル-3-3'-(1,4-フェニレン)ビス(1,2,4-トリアジン)(INCIフェニレンビス-ジフェニルトリアジン)及びその組合せからなる群から選択される、項目1~4のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
6. 30mN/m未満の極性指数を有する少なくとも1種の軟化剤をさらに含む、項目1~5のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
7. 少なくとも1種の軟化剤が、C12~C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸フェネチル、アジピン酸ジブチル及びアジピン酸ジイソプロピルからなる群から選択される、項目6に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
8. 組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量のヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含む、項目1~7のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
9. 組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%の量、好ましくは1重量%~5重量%の量の少なくとも1種の有機粒子状UVフィルターを含む、項目1~8のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
10. 組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%の量、好ましくは0.8重量%~3重量%の量のトリアジン誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターを含む、項目1~9のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
11. 香料を含む、項目1~10のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
12. フェノキシエタノールを含まない、項目1~11のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
13. 日焼け止め組成物のサンプロテクションファクターの少なくとも3分の1であるUV-A防御を有する、項目1~12のいずれか1つに記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
14. 日焼け止め又はデイリーケア組成物の布の汚染を低減するための、項目1~13のいずれか1つに定義される通りの組成物の使用。
15. 日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄性を促進するための、項目1~13のいずれか1つに定義される通りの組成物の使用。