(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】リチウムフリー電池用負極集電体、それを含む電極組立体およびリチウムフリー電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20240701BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240701BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2022521705
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 KR2021005756
(87)【国際公開番号】W WO2021225417
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0055159
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0016113
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンウン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ピル・イ
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065550(JP,A)
【文献】特表2019-537226(JP,A)
【文献】特開2013-073846(JP,A)
【文献】特開2007-265852(JP,A)
【文献】特開2015-026595(JP,A)
【文献】特表2014-523089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/10/0587;10/36-10/39
H01M4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムフリー電池用負極集電体であって、
前記負極集電体は、金属集電基材と、前記金属集電基材の少なくとも一面に形成されて伝導性物質を含む伝導性層と;前記伝導性層上に形成された金属または
シリコンもしくは焼成炭素の層とを含み、
前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素の層は、金属または
シリコンもしくは焼成炭素の粉末を含む金属または
シリコンもしくは焼成炭素の粉末層、金属または
シリコンもしくは焼成炭素のワイヤを含む金属または
シリコンもしくは焼成炭素のワイヤ層、またはこれらが混合された混合層を含む、リチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項2】
前記金属集電基材は銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン
、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項3】
前記金属集電基材は銅を含む金属である、請求項1に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項4】
前記伝導性層はプライマー層、伝導性高分子層、または伝導性エポキシ層である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項5】
前記プライマー層は伝導性物質と結着材を含み、
前記伝導性物質は天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバ、カーボンナノファイバ、アルミニウム、ニッケル、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項4に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項6】
前記伝導性高分子層はポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、およびポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選ばれる1種以上の伝導性高分子を含む、請求項4または5に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項7】
前記伝導性エポキシ層は伝導性充填剤とバインダを含み、
前記伝導性充填剤は金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛、および複合粉末からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項8】
前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素の層は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウム-カドミウム合金、Mg、Ca、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、P、およびHgからなる群より選ばれる1種以上の物質がグレインバウンダリーを有する形態であり、
前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素の粉末層の金属または
シリコンもしくは焼成炭素の粉末または前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素のワイヤ層の金属または
シリコンもしくは焼成炭素のワイヤの直径は、0.01μm~30μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項9】
前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素のワイヤのアスペクト比(ワイヤの長さ/ワイヤの直径)は3以上である、請求項8に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項10】
前記混合層は銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン
、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属または
焼成炭素の粉末と、Mg、Ca、Al
、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属または
シリコンのワイヤを含む、請求項8または9に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項11】
前記混合層はMg、Ca、Al
、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属または
シリコンの粉末と、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン
、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属または
焼成炭素のワイヤを含む、請求項8または9に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項12】
前記伝導性層および前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素の層の総厚さが0.1μm~60μmの範囲である、請求項1から11のいずれか一項に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項13】
前記伝導性層は0.1μm~20μmの厚さを有する、請求項12に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項14】
前記金属または
シリコンもしくは焼成炭素の層は0.1μm~40μmの厚さを有する、請求項12または13に記載のリチウムフリー電池用負極集電体。
【請求項15】
請求項1による負極集電体;
正極集電体の少なくとも一面に活物質を含む正極合剤が塗布されている構造の正極;
前記負極集電体と前記正極の間に介在する分離膜;
を含む、電極組立体。
【請求項16】
正極、負極、分離膜、およびリチウム非水系電解質を含むリチウムフリー電池であって、
前記負極は、請求項1による負極集電
体を含む、リチウムフリー電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年5月8日付韓国特許出願第10-2020-0055159号および2021年2月4日付韓国特許出願第10-2021-0016113号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はリチウムフリー電池用負極集電体およびそれを含む電極組立体とリチウムフリー電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加によって代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が高まっており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を利用した発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられ、その使用領域がますます拡大する傾向にある。
【0005】
最近では携帯用コンピュータ、携帯電話、カメラなどの携帯用機器に対する技術開発と需要の増加に伴ってエネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、このような二次電池の中で、高い充放電特性と寿命特性を示して環境にやさしいリチウム二次電池について多くの研究が進められており、また商用化されて広く使用されている。
【0006】
一般にリチウム二次電池は、正極と負極および多孔性分離膜からなる電極組立体に非水系電解液が含浸されている構造からなっている。また、一般に、前記正極は正極活物質を含む正極合剤をアルミニウム箔にコートして製造され、負極は負極活物質を含む負極合剤を銅箔にコートして製造される。
【0007】
通常正極活物質はリチウム遷移金属酸化物であり、負極活物質はカーボン系物質を使用する。
【0008】
しかし、最近負極活物質として、リチウム金属自体を使用するリチウム金属電池が商用化されており、ひいては電極の製造時には集電体のみを負極とし、放電によって正極からリチウムの提供を受け、リチウム金属を負極活物質として使用するリチウムフリー(free)電池に係る研究も活発に進められている。リチウムフリー電池は高エネルギー密度の観点から最も高いエネルギー密度を達成できるという電池コンセプトであると考えられている。
【0009】
しかし、集電体のみからなる負極には充電により電着によるリチウム層が形成されるが、このとき集電体上に電着密度が低いリチウム層が形成されることにより電解液副反応が激しくなり、はやい寿命特性の退化を発生させる。
【0010】
したがって、かかる問題を解決してリチウムフリー電池に使用できる負極集電体の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような従来技術の問題と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0012】
具体的には、本発明の目的は、より簡単な方法で、電着密度が高いリチウム層が形成できる負極集電体を提供することにある。
【0013】
また、そのため、これを使用するリチウムフリー電池の電解液副反応を防止して寿命特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明の一実施例によるリチウムフリー電池用負極集電体は、リチウムフリー電池用負極集電体であって、前記負極集電体は、金属集電基材と、前記金属集電基材の少なくとも一面に形成されて伝導性物質を含む伝導性層と;前記伝導性層上に形成され、グレインバウンダリー(grain boundary)を有する金属層とを含み、前記金属層は、金属粉末層、金属ワイヤ層、またはこれらが混合された混合層を含む。
【0015】
前記金属集電基材は銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上であり得る。
【0016】
前記金属集電基材は銅を含む金属であり得る。
【0017】
前記伝導性層はプライマー層、伝導性高分子層、または伝導性エポキシ層であり得る。
【0018】
前記プライマー層は伝導性物質と結着材を含み、前記伝導性物質は天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバ、カーボンナノファイバ、アルミニウム、ニッケル、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含み得る。
【0019】
前記伝導性高分子層はポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、およびポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選ばれる1種以上の伝導性高分子を含み得る。
【0020】
前記伝導性エポキシ層は伝導性充填剤とバインダを含み、前記伝導性充填剤は金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛、および複合粉末からなる群より選ばれる1種以上を含み得る。
【0021】
前記金属層は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウム-カドミウム合金、Mg、Ca、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の物質がグレインバウンダリーを有する形態であり、前記金属粉末層の金属粉末または前記金属ワイヤ層の金属ワイヤの直径は、0.01μm~30μmであり得る。
【0022】
前記金属ワイヤのアスペクト比(ワイヤの長さ/ワイヤの直径)は3以上であり得る。
【0023】
前記混合層は銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属粉末と、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属ワイヤを含み得る。
【0024】
前記混合層は、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属粉末と、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属ワイヤを含み得る。
【0025】
前記伝導性層と前記金属層の総厚さが0.1μm~60μmの範囲であり得る。
【0026】
前記伝導性層は0.1μm~20μmの厚さを有し得る。
【0027】
前記金属層は0.1μm~40μmの厚さを有し得る。
【0028】
本発明の他の一実施例による電極組立体は、前述した負極集電体;正極集電体の少なくとも一面に活物質を含む正極合剤が塗布されている構造の正極;前記負極集電体と前記正極の間に介在する分離膜を含み得る。
【0029】
本発明のまた他の一実施例によるリチウムフリー電池は、正極、負極、分離膜、およびリチウム非水系電解質を含むリチウムフリー電池であって、前記負極は、請求項1による負極集電体と、前記負極集電体上に形成されたリチウム層を含む。この時、前記リチウム層は、リチウムフリー電池の充電によって形成され得る。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る理解を助けるために本発明をより詳細に説明する。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的または辞典的な意味に限定して解釈すべきではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に則して本発明の本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0032】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。
【0033】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、リチウムフリー電池用負極集電体であって、前記負極集電体は、金属集電基材と、前記金属集電基材の少なくとも一面に形成されて伝導性物質を含む伝導性層と;前記伝導性層上に形成され、グレインバウンダリー(grain boundary)を有する金属層とを含む。この時、金属層は、金属粉末層、金属ワイヤ層、またはこれらが混合された混合層を含み得る。
【0035】
前記金属集電基材は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上であり得る。前記銅は、異種金属で表面処理された銅であり得、前記ステンレススチールは、異種金属で表面処理されたステンレススチールであり得る。
【0036】
詳細には、電気伝導度と、費用、安定性などを理由から、前記金属集電基材は銅を含む金属であり得、より詳細には銅からなる。
【0037】
このような金属集電基材は従来のリチウムフリー電池で使用される負極集電体の厚さと大きく変わらず、具体的には、3~200μm厚さ、詳細には5~40μm、より詳細には8~20μmの厚さで形成できる。
【0038】
従来には、リチウムフリー電池でこのような金属集電基材が負極集電体として使用された。
【0039】
しかし、前記で説明した通り、このような金属集電基材のみを負極集電体として使用する場合、充放電によりリチウムを電着する場合、電着密度が低いリチウム層が形成され、電解液副反応が激しくなり、はやい寿命特性の退化が起きる問題があった。これは、前記金属集電基材として使用される金属の比表面積が少なく、リチウムと親和性が少ないためリチウムが電着される際に粗く電着されるからである。
【0040】
かかる問題を解決するために、本実施例によれば、前記金属集電基材上に薄い層として、グレインバウンダリー(grain boundary)を有する金属層を形成することによって、比表面積を増加させて抵抗を減少させ、以後充放電によりリチウムが電着される場合、電着密度が高いリチウム層を形成できる。
【0041】
一方、これと同時に、前記金属層と前記金属集電基材の間に伝導性層を形成する場合、より高い電子伝導性を確保してグレインバウンダリーを有する前記金属層の形成による電子伝導性の低下を防止できるだけでなく、前記金属層と前記金属集電基材の結着力を高めることができる。
【0042】
前記伝導性層はプライマー層、伝導性高分子層、または伝導性エポキシ層であり得る。前記プライマー層は、伝導性物質および結着材を含み得る。
【0043】
前記伝導性物質は、前記金属集電基材と前記金属層を電気的に接続して導電性を維持する成分であれば特に制限されない。例えば、前記伝導性物質は天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバ、カーボンナノファイバ、アルミニウム、ニッケル、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含み得る。
【0044】
前記結着材は集電体上に伝導性物質を固定し、コーティング膜を形成し、前記金属集電基材と前記金属層の間の結合を企てるためのものであり、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose;CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropylcellulose;HPC)、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(Ethlylene Propylene Diene Monomer;EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエン、フッ素ゴムからなる群より選ばれる1種以上を含み得る。
【0045】
前記プライマー層が伝導性物質と結着材を共に含む場合、前記伝導性物質と前記結着材の重量比は1:99~99:1、好ましくは3:7~7:3であり得る。
【0046】
前記範囲未満の場合、伝導性物質の含有量が少なすぎて内部抵抗の増加によって電池の作動特性が低下し、逆に前記範囲を超える場合、結着材の含有量が少なすぎて十分な結着力を得ることができない。
【0047】
前記プライマー層を形成する方法は当業界で通常用いられるコーティング膜形成方法を用いることができる。例えば、グラビア(gravure)コート、スロットダイ(slot die)コート、スピンコート、スプレーコート、バーコート、沈積コートのような湿式コート法;熱蒸着(thermal evaporation)、電子ビーム蒸着(E-beam evaporation)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)、スパッタリング(Sputtering)のような乾式コート法などの方法を用いることができる。
【0048】
前記伝導性高分子層は伝導性高分子として通常知られている高分子を含み得、例えば、伝導性高分子層はポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、およびポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選ばれる1種以上の伝導性高分子を含み得る。
【0049】
前記伝導性高分子層は伝導性高分子溶融液またはこれらを溶媒に溶解した混合溶液を製造し、前記プライマー層のコーティング方法で説明したような多様な湿式コート法により形成できる。この際、前記伝導性高分子を溶媒に混合する場合、前記溶媒は極性の有機溶媒であり得、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、m-クレゾール、テトラヒドロフラン(THF)、およびジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。
【0050】
一方、前記伝導性高分子層は高分子自体が結着力を発揮するので、別途の結着材などが必要でない。
【0051】
ただし、より堅固な結着のために前記プライマー層に開示したような結着材をさらに含み得、この際、その含有量は伝導性高分子層全体重量を基準として0.1~10重量%で含まれ得る。
【0052】
または、前記伝導性エポキシ層は伝導性充填剤、およびバインダを含み得る。
【0053】
具体的には、前記伝導性エポキシ層は伝導性充填剤とバインダを混合して接着剤として使用する。
【0054】
前記伝導性充填剤は、金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛および複合粉末からなる群より選ばれる1種以上であり得る。
【0055】
前記バインダは、伝導性充填剤を結着させる成分として、限定されないが、例えば、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコン系、ポリイミド系、フェノール系、ポリエステル系高分子材料、複合高分子樹脂および低融点ガラスからなる群より選ばれる1種以上であり得る。
【0056】
一方、前記伝導性エポキシ層は、どのように製造されるかによって、常温乾燥型、常温硬化型、熱硬化型、高温焼成型、UV硬化型などに区分される。前記常温乾燥型は、アクリル系などのバインダと溶剤に伝導性充填剤を含ませて、常温で乾燥させることによって形成でき、常温硬化型は、2液型で反応性が高い硬化剤をさらに含んで、伝導性充填剤とバインダが含まれている溶剤を硬化させて形成できる。
【0057】
また、熱硬化型はエポキシ系のバインダを主に使用して伝導性充填剤を含む溶剤に熱を加えることによって形成でき、高温焼成型は高温で熱処理して硬化させ、UV硬化型はUVを照射することによって硬化させて形成できる。
【0058】
この際、前記伝導性充填剤とバインダも、1:99~99:1の重量比、詳細には7:3~3:7の重量比で含まれ得る。
【0059】
前記範囲を外れて、伝導性充填剤が過度に少なく含まれると、伝導性が低下して抵抗が増加し、バインダが過度に少なく含まれると、伝導性充填剤の結着力を得ることができず好ましくない。
【0060】
一方、前記金属層は、実際の比表面積を高めることによってリチウムの電着密度を高める役割をすることができる。前記金属層は、金属粉末層、金属ワイヤ層、またはこれらが混合された混合層を含むが、前記金属層は例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウム-カドミウム合金、Mg、Ca、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の物質がグレインバウンダリーを有する形態であり得る。この時、前記金属粉末層の金属粉末または前記金属ワイヤ層の金属ワイヤの直径は0.01μm~30μmであり得る。
【0061】
前記範囲を外れて直径が過度に小さい形態は製造することが難しく、前記範囲を外れて直径が過度に大きいと、比表面積増加の効果が微小であるため、好ましくない。
【0062】
また、前記金属ワイヤのアスペクト比(ワイヤの長さ/ワイヤの直径)は3以上であり得る。より詳細には3以上~2000以下であり得る。
【0063】
一方、前記混合層は、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属粉末と、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属ワイヤを含み得る。または前記混合層はMg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群より選ばれる1種以上の金属粉末と、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群より選ばれる1種以上の金属ワイヤを含み得る。
【0064】
この際、前記金属粉末と金属ワイヤの混合される時の含有量は限定されず、重量を基準として1:99~99:1、詳細には8:2~2:8、より詳細には3:7~7:3であり得る。
【0065】
すなわち、前記混合層は前記金属粉末と、前記金属ワイヤの形態が混合された形態であり得る。前述したMg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、PおよびHgからなる群に属する物質は、Liと合金される金属で比表面積増加効果と金属の一部が合金される効果がさらに加わり、より高い電着密度を有するリチウム層を形成できる。
【0066】
前記金属粉末層、前記金属ワイヤ層、または前記混合層は、製造方法において限定されないが、例えば、前記金属粉末または前記金属ワイヤを分散させた分散液を伝導性層にコーティング、乾燥させて製造できる。
【0067】
また、詳細には、前記金属層は金属の堅固な結合のために、前記金属粉末、および/または金属ワイヤの他に前記プライマー層で説明したような結着材をさらに含み得る。
【0068】
このように、グレインバウンダリーを有する金属層を含む場合、負極集電体の比表面積が増加して充放電によって発生するリチウムイオンが電着できるサイト(site)が増加し、電着密度が向上したリチウム層が得られる。
【0069】
このような、前記金属層は、具体的には0.1μm~40μmの厚さを有し、詳細には1μm~30μm、より詳細には1μm~20μmの厚さを有することができる。
【0070】
前記範囲を外れて過度に厚く形成される場合、体積が増加してエネルギー密度が減少し、過度に薄く形成される場合、本願が意図した効果としてリチウム層の電着密度向上効果を得ることができないため、好ましくない。
【0071】
同様に、前記伝導性層は0.1μm~20μm、詳細には1μm~10μm、より詳細には1μm~5μmの厚さを有することができる。
【0072】
前記範囲を外れて過度に厚く形成されると、全体的な負極集電体の厚さが増加して好ましくなく、過度に薄く形成されると、伝導性回復の効果を発揮できないため好ましくない。
【0073】
本実施例によるリチウムフリー電池用負極集電体は、伝導性層および金属層の総厚さが0.1μm~60μmの範囲であり得る。詳細には、総厚さが0.2μm~60μmの範囲であるか、その総厚さが2μm~20μmの範囲であり得る。
【0074】
前記範囲を外れて、過度に薄い場合、本願が所望するリチウム層の電着密度向上効果を得ることが難しく、過度に厚い場合、全体的な負極集電体の厚さが増加してエネルギー密度が減少するため好ましくない。
【0075】
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記負極集電体;正極集電体の少なくとも一面に活物質を含む正極合剤が塗布されている構造の正極;前記負極集電体と前記正極の間に介在する分離膜を含む電極組立体が提供される。
【0076】
本実施例によれば、リチウムフリー電池は、最初の電極組立体の製造の際前記負極集電体を負極として使用するので、電極組立体で負極は負極集電体からなる。
【0077】
以後、前記負極集電体は、以後製造されるリチウムフリー電池の充電によって正極からリチウムの伝達を受けて集電体上にリチウム層を形成し、これを活物質として使用する。
【0078】
一方、前記正極は、正極集電体の少なくとも一面に活物質を含む正極合剤が塗布されている構造である。
【0079】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチール表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。また、前記正極集電体は通常3~500μmの厚さを有することができ、前記集電体表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えばフィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用できる。
【0080】
前記活物質としての正極活物質は、例えば、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLi一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などで構成されるが、これらだけに限定されるものではない。
【0081】
前記正極合剤は先立って説明した正極活物質と共に、導電材およびバインダをさらに含み得る。
【0082】
前記導電材は通常正極合剤層の全体重量を基準として0.1~30重量%、詳細には1~10重量%、より詳細には1~5重量%で添加される。このような導電材は当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用できる。
【0083】
前記バインダは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に助力する成分として、通常正極合剤層の全体重量を基準として0.1~30重量%、詳細には1~10重量%、より詳細には1~5重量%で添加される。このようなバインダの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0084】
前記分離膜は、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。分離膜の気孔直径は一般に0.01~10μmであり、厚さは一般に5~300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性および疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合は固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0085】
ひいては、本発明のまた他の一実施形態によれば、正極、負極、分離膜、およびリチウム非水系電解質を含むリチウムフリー電池であって、前記負極は、前述した本実施例による負極集電体と、前記負極集電体上に形成されたリチウム層を含む、リチウムフリー電池が提供される。
【0086】
この時、前記リチウム層は前記から引き続き説明した通り、以後、リチウムフリー電池の充電によって負極集電体上に形成されるものであり得る。
【0087】
より具体的には、前記リチウムフリー電池は負極集電体、正極、分離膜を含む電極組立体をリチウム非水系電解質と共に電池ケースに内蔵した後、密封してこれを活性化して製造される。
【0088】
この時、前記活性化過程中に充電によって正極からイオン化されて非水系電解質に存在するLiイオンが本発明による負極集電体と電気化学的に反応し、負極集電体の表面にリチウム層が析出され、このようなリチウム層を負極活物質として使用する。
【0089】
前記リチウム非水系電解質は、一般にリチウム塩、および非水系溶媒を含む。非水系溶媒としては非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらだけに限定されるものではない。
【0090】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(furan)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
【0091】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用できる。
【0092】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N-LiI-LiOH、LiSiO4、LiSiO4-LiI-LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4-LiI-LiOH、Li3PO4-Li2S-SiS2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用できる。
【0093】
前記リチウム塩は前記非水系電解質に溶解しやすい物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミド系塩などが使用できる。
【0094】
また、非水系電解液には充放電特性、難燃性などの改善を目的に、例えば、ピリジン、トリメチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもできる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含めることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含めることもでき、フルオロエチレンカーボネート(FEC:Fluoro-Ethylene Carbonate)、プロペンスルトン(PRS:Propene sultone)などをさらに含めることができる。
【0095】
前記電池ケースは電極組立体を内蔵できる構造であれば限定されない。従来の当業界に知られているパウチ型電池ケース、金属缶からなる角型または円筒型の電池ケースであり得る。
【0096】
以下、本発明の好ましい実施例、これと比較される比較例、これらを評価する実験例を記載する。しかし、前記実施例は本記載を例示するだけであり、本記載の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明白であり、このような変形および修正が添付された特許請求の範囲に属するのは勿論である。
【0097】
<実施例1>
リチウム遷移金属酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2)を正極活物質として使用し、バインダとしてPVdFおよび導電材としてSuper-Pを使用し、正極活物質:バインダ:導電材を重量比で96:2:2になるようにNMPに添加した活物質スラリーを片面当たり4mAh/cm2でAl箔にコーティング、空気雰囲気下130℃の乾燥器で乾燥した後、圧延して正極を製造した。
【0098】
負極は15μmの銅箔の一面にグラフェン(Graphene) 1wt%/PVDF 2.5wt%/H-NBR 2.5wt%/NMP 94wt%のグラフェン(Graphene)分散溶液をコーティング/乾燥して3μm厚さのプライマー層を製作してその上に銅金属粉末(平均直径(D50):3μm)、およびバインダ(PVDF)を重量を基準として9:1でNMP溶媒下で混合した金属層スラリー(固形分率=50%)をコーティング、乾燥して7μm厚さの金属層を形成して負極として収得した。
【0099】
前記正極と負極に厚さ20μmのSRS分離膜をスタッキング(Stacking)方式を用いて組み立て、組み立てられた電池をアルミニウムパウチ型電池ケースに内蔵し、3.5MのLiFSIが溶けている体積比3:7のフルオロエチレンカーボネート(FEC)とエチルメチルカーボネート(EMC)溶液を注入した後、電池ケースを密封してモノセルを製作した。
【0100】
<実施例2>
前記実施例1で、Zn粉末(粒子直径(D50):3μm)、およびバインダ(PVDF)を混ぜて製作した金属層スラリーをコーティング、乾燥して7μm厚さの金属層を形成したことを除いては、実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0101】
<実施例3>
前記実施例1で、銅金属粉末(平均直径(D50):3μm)およびシリコン粉末(平均直径(D50):3μm)が重量を基準として5:5で混合された混合物、およびバインダ(PVDF)を混ぜて製作した金属層スラリーをコーティング、乾燥して7μm厚さの金属層を形成したことを除いては、実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0102】
<実施例4>
前記実施例1で、銅金属ワイヤ(平均直径(D50):500nm、アスペクト比:10)およびシリコン粉末(平均直径(D50):3μm)が重量を基準として5:5で混合された混合物、およびバインダ(PVDF)を混ぜて製作した金属層スラリーをコーティング、乾燥して7μm厚さの金属層を形成したことを除いては、実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0103】
<実施例5>
前記実施例1で、15μm銅箔上に銀95wt%/アクリル系バインダ5wt%のスラリーをコーティング/乾燥して伝導性エポキシ層を形成してその上に銅金属粉末(平均直径(D50):3μm)、およびバインダ(PVDF)を重量を基準として9:1でNMP溶媒下で混合した金属層スラリー(固形分率=50%)をコーティング、乾燥して7μm厚さの金属層を形成して負極として収得したことを除いては、実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0104】
<比較例1>
前記実施例1で、負極上に位置するプライマー層および金属層を除いて15μm厚さのCu箔(foil)そのままを負極として適用したことを除いては実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0105】
<比較例2>
前記実施例1で、負極上に位置する金属層を除いて15μm厚さのCu箔(foil)上に3μmのプライマー層だけをコートした負極をそのまま適用したことを除いては実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0106】
<比較例3>
前記実施例1で、15μm銅箔上にプライマー層の代わりにAgを20nmの厚さで真空蒸着して伝導性層を製作して前記伝導性層上に金属層を適用したことを除いては実施例1と同じ方法でモノセルを製作した。
【0107】
<実験例1>
実施例1~5および比較例1~3で製造された電池を下記のような条件で充電した後、電池を分解して負極に形成されたリチウム層の厚さと電着密度を求めて下記表1に示した。
【0108】
充電(Charge): 0.2C, CC/CV, 4.25V, 1/20Cカットオフ(cut-off)
【0109】
前記電着層の厚さは任意の二つの地点を選択してその厚さの平均を求め、電着層の電着密度は析出質量および析出体積を計算して密度を数値化した。
【0110】
【0111】
前記表1を参照すると、本願実施例1~5による金属層を含む場合、リチウム層のその厚さが薄く、密度が向上することからより細かく形成されることに対して、金属層がない場合(比較例1、比較例2)は電着密度が非常に低いことが分かる。
【0112】
また、実施例1~3と実施例4を比較すると、金属粉末と金属ワイヤを混合した形態が最も優れたリチウム層の電着密度を有することが分かる。
【0113】
<実験例2>
実施例1~5および比較例1~3の電池を0.2Cで充放電して1回放電容量を測定し、下記のような条件で充放電をさらに実施した後、1回放電容量に対して150回の放電容量維持率を計算してその結果を下記表2に示した。
【0114】
充電(Charge): 0.2C, CC/CV, 4.25V, 1/20Cカットオフ(cut-off)
放電(Discharge): 0.5C, CC, 3.0 V, カットオフ(cut-off)
【0115】
【0116】
前記表2を参照すると、実施例1から5の場合にリチウム層の密度が高くなり寿命特性に優れることを確認することができた。このような結果から、金属層は負極の抵抗を低下させながらも電着密度を高める役割をすることが確認され、そのため寿命が改善されるものと見られる。
【0117】
また、実施例5と比較例3を比較してみれば、伝導性層としてAg金属を薄い厚さで電着することに比べて、金属粒子形態で含む伝導性エポキシ層で形成することが寿命特性にはるかに有利であることが分かる。
【0118】
これは、薄い厚さでAg金属箔膜を形成した場合、Liの充放電過程で形態保持が難しく、消耗して伝導性層の役割をするのに限界があったからであると把握される。
【0119】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上で説明した通り、本発明の一実施例による負極集電体が、金属集電基材の少なくとも一面に伝導性層と、グレインバウンダリーを有する金属層を含んだ形態で、リチウムフリー電池の負極として使用される場合、充放電によるリチウム電着が均一に行われ、それから形成されるリチウム層の電着密度を高める効果がある。
【0121】
また、そのため、前記負極集電体を含むリチウムフリー電池の電解液副反応を最小化して寿命特性を向上させることができる。