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特許7511967電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20240701BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240701BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240701BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240701BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALN20240701BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/6555
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022575255
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2022000663
(87)【国際公開番号】W WO2022158793
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0009236
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘミ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0104143(KR,A)
【文献】特開2010-067386(JP,A)
【文献】特開2012-069281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0311574(US,A1)
【文献】特開2010-097923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/653
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/613
H01M 10/6555
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、
前記電池セル積層体の前後面をカバーするバスバーフレームと、
前記バスバーフレームをカバーし、前記モジュールフレームと結合されるエンドプレートと、
を含む、電池モジュールであって
前記バスバーフレームにバスバーが装着されており、
前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間に薄膜層が位置し、
前記薄膜層は、第1温度で発熱する薄膜組成物からなり、
前記第1温度は、摂氏10度以下の温度であ電池モジュール。
【請求項2】
前記薄膜層は、前記バスバーの表面の少なくとも一部と接する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、
前記電池セル積層体の前後面をカバーするバスバーフレームと、
前記バスバーフレームをカバーし、前記モジュールフレームと結合されるエンドプレートと、
を含む、電池モジュールであって、
前記バスバーフレームにバスバーが装着されており、
前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間に薄膜層が位置し、
前記薄膜層は、第1温度で発熱し、それ以上では電気伝導体として機能する薄膜組成物からなる、電池モジュール。
【請求項4】
前記第1温度は、摂氏10度以下の温度である、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記薄膜組成物は、CTRセラミック素材物質からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記CTRセラミック素材物質は、複合バナジウム酸化物系物質、ホウ素酸化物系物質、およびリン酸系物質の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記複合バナジウム酸化物系物質は、VO、V 、V13の少なくとも1つが選択される、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記薄膜組成物は、ドーピング物質をさらに含む、請求項~7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記ドーピング物質は、Mo4+、Mo5+、Mo6+、W5+、W6、およびNb5+の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記ドーピング物質を含む前記薄膜組成物は、第2温度で発熱し、
前記第2温度は、前記第1温度より低い、請求項8又は9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年1月22日付の韓国特許出願第10-2021-0009236号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的には、外部環境の温度に応じて電池モジュール内部の熱が自動的に管理および制御される電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台あたり1個または2、3、4個の電池セルが用いられるのに対し、自動車などのような中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが用いられる。
【0005】
ここで、電池モジュールは、低温環境で露出しているほど出力性能が低下する問題がある。一例として、電池モジュールが装着されている自動車の場合、冷始動環境でバッテリ性能が低下する問題がある。一部の電池モジュールは、このような問題を解決するために、電池モジュール内に面状発熱体のような間接加熱装置を挿入または配置していた。しかし、これは電池モジュール全体の厚さおよび重量を増加させるという技術的デメリットが伴い、面状発熱体を制御するための制御手段を別途に追加することによる製造費用上昇などの経済的デメリットがあるという問題があった。これによって、低温環境でも電池モジュールの出力低下を防止しながらも、技術的または経済的デメリットを解消できる電池モジュールを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、外部環境の温度に応じて電池モジュール内部の熱が自動的に管理および制御される電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、前記電池セル積層体の前後面をカバーするバスバーフレームと、前記バスバーフレームをカバーし、前記モジュールフレームと結合されるエンドプレートとを含み、前記バスバーフレームにバスバーが装着されており、前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間に薄膜層が位置する。
【0009】
前記薄膜層は、前記バスバーの表面の少なくとも一部と接することができる。
【0010】
前記薄膜層は、第1温度で発熱する薄膜組成物からなる。
【0011】
前記第1温度は、摂氏10度以下の温度であってもよい。
【0012】
前記薄膜組成物は、CTR(Critical Temperature Resistor)セラミック素材物質からなる。
【0013】
前記CTR(Critical Temperature Resistor)セラミック素材物質は、複合バナジウム酸化物系物質、ホウ素酸化物系物質、およびリン酸系物質の少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
前記複合バナジウム酸化物系物質は、VO、V、V13の少なくとも1つが選択されてもよい。
【0015】
前記薄膜組成物は、ドーピング物質をさらに含むことができる。
【0016】
前記ドーピング物質は、Mo4+、Mo5+、Mo6+、W5+、W6+、およびNb5+の少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
前記ドーピング物質を含む前記薄膜組成物は、第2温度で発熱し、前記第2温度は、前記第1温度より低い。
【0018】
本発明の他の実施例による電池パックは、上記で説明した電池モジュールを含む。
【発明の効果】
【0019】
実施例によれば、本発明は、低温環境で適正水準の温度に昇温する薄膜層を含むことで、電池モジュールおよびこれを含む電池パックが外部環境の温度に応じて電池モジュール内部の熱を自動的に管理および制御することができる。
【0020】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例による電池モジュールを示す斜視図である。
図2図1の電池モジュールの分解斜視図である。
図3図2の電池セル積層体の一面に位置するバスバーフレームを示す図である。
図4図2の電池セル積層体の他面に位置するバスバーフレームを示す図である。
図5図1の電池モジュールにおけるエンドプレートを除去した状態での熱伝達経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0023】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0024】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0025】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0026】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0027】
以下、本発明の実施例による電池モジュールについて説明する。ただし、ここで電池モジュールの前後面のうち前面を基準として説明されるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、後面の場合にも、同一または類似の内容で説明される。
【0028】
図1は、本発明の一実施例による電池モジュールを示す斜視図である。図2は、図1の電池モジュールの分解斜視図である。
【0029】
図1および図2を参照すれば、本発明の一実施例による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120と、電池セル積層体120を収容するモジュールフレーム300、400と、電池セル積層体120の前後面をカバーするバスバーフレーム131、135と、バスバーフレーム131、135をカバーし、モジュールフレーム300、400と結合されるエンドプレート150とを含む。
【0030】
ここで、モジュールフレーム300、400は、上部面、前面および後面が開放され、底部および側部を含むU字状フレーム300と、電池セル積層体120の上部を覆う上部プレート400とを含むことができる。ただし、モジュールフレーム300、400はこれに限定されたものではなく、L字状フレームまたは前後面を除いて電池セル積層体120を囲むモノフレームのような他の形状のフレームに代替されてもよい。
【0031】
図2を参照すれば、モジュールフレーム300、400において、電池セル積層体120の下面と接するU字状フレーム300の底面に熱伝導性樹脂層310が形成されている。ここで、熱伝導性樹脂層310は、U字状フレーム300の底面上に熱伝導性樹脂が塗布されて形成される。つまり、電池セル積層体120がU字状フレーム300に装着される前に、予め塗布されている前記熱伝導性樹脂が硬化することによって熱伝導性樹脂層310が形成される。ただし、本発明の他の実施例による電池モジュール100において、熱伝導性樹脂層310は、必要に応じて省略されていてもよい。
【0032】
これによって、熱伝導性樹脂が硬化することによって、電池セル積層体120の下面とU字状フレーム300とが互いに安定的に固定できる。これとともに、熱伝導性樹脂層310は、電池セル積層体120から熱を外部に伝達して、電池セル積層体120を冷却することができる。
【0033】
モジュールフレーム300、400に収容されている電池セル積層体120は、複数の電池セル110が積層されており、電池セル110は、パウチ型電池セルであることが好ましい。電池セル110は、電極組立体を、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートのパウチケースに収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して製造される。このような電池セル110は、複数個から構成され、複数の電池セル110は、相互電気的に連結できるように積層された電池セル積層体120を形成する。
【0034】
以下、バスバーフレーム131、135について具体的に説明する。
【0035】
図3は、図2の電池セル積層体の一面に位置するバスバーフレームを示す図である。図4は、図2の電池セル積層体の他面に位置するバスバーフレームを示す図である。
【0036】
図2図4を参照すれば、バスバーフレーム131、135に少なくとも1つのバスバー141、145が装着される。ここで、バスバー141、145は、バスバーフレーム131、135に突出している電池セル積層体120の電極リードを電気的に連結して、並列に積層された電池セル積層体120が電気的に連結されている。
【0037】
一例として、バスバーフレーム131、135は、第1バスバーフレーム131および第2バスバーフレーム135を含むことができる。ここで、第1バスバーフレーム131は、電池セル積層体120の前面に位置し、第2バスバーフレーム135は、電池セル積層体の後面に位置することができる。また、バスバー141、145は、第1バスバー141および第2バスバー145を含むことができる。ここで、第1バスバー141は、第1バスバーフレーム131に装着され、第2バスバー145は、第2バスバーフレーム135に装着される。ただし、ここで、第1バスバーフレーム131および第2バスバーフレーム135の位置が互いに変わっていても同一に説明可能である。
【0038】
また、バスバーフレーム131、135とエンドプレート150との間に薄膜層133、137が位置する。より具体的には、第1バスバーフレーム131とエンドプレート150との間に第1薄膜層133が位置し、第2バスバーフレーム135とエンドプレート150との間に第2薄膜層135が位置することができる。ただし、ここで、本発明の他の実施例による電池モジュールにおいて、第1薄膜層133および第2薄膜層137の一部は省略されていてもよい。
【0039】
また、図3および図4を参照すれば、薄膜層133、137は、バスバー141、145の表面の少なくとも一部と接するか、バスバー141、145の表面の少なくとも一部にコーティングされていてもよい。より具体的には、第1薄膜層133は、第1バスバー141の表面の少なくとも一部と接するか、第1バスバー141の表面の少なくとも一部にコーティングされていてもよい。また、第2薄膜層137は、第2バスバー145の表面の少なくとも一部と接するか、第2バスバー145の表面の少なくとも一部にコーティングされていてもよい。
【0040】
これによって、本実施例による電池モジュール100において、薄膜層133、137は、バスバー141、145に直接接して、低温環境でバスバー141、145を介して電池セル110を昇温させることができ、低温環境で発生しうる電池セル110の出力低下を防止することができ、電池性能も向上できる。また、室温または高温環境では電池セル110から熱が伝達可能で、電池セル110が過度に昇温するのを防止することができる。
【0041】
一例として、薄膜層133、137は、フィルムまたはシート状に予め作製されて、バスバー141、145に付着できる。ここで、薄膜層133、137は、自体の接着力でバスバー141、145に付着するか、薄膜層133、137とバスバー141、145との間に別途の接着層が形成されて付着してもよい。他の例として、薄膜層133、137は、バスバー141、145の表面に塗布あるいはコーティングされて形成されてもよい。より具体的には、薄膜層133、137が、ゾル-ゲル(Sol-gel)、ALD(Atomic-Layer-Deposition)、CVD(Chemical Vapor Depositionition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの通常の薄膜コーティング工程により、バスバー141、145の表面にコーティングされて形成されてもよい。ただし、これに限定されるものではなく、多様な形態に薄膜層133、137が形成可能である。
【0042】
これによって、本実施例による電池モジュール100は、薄膜層133、137を含むことで、電池モジュール100の重量または厚さを増加させることなく、製造工程が簡易であり、製造費用も節減できる。
【0043】
また、薄膜層133、137は、第1温度で発熱する薄膜組成物からなる。より具体的には、薄膜層133、137は、前記第1温度で発熱し、薄膜層133、137で発生した熱はバスバー141、145を介して電池セル110に伝達されて、電池セル110が摂氏20度~摂氏50度に昇温できる。
【0044】
ここで、前記第1温度は、摂氏10度以下の温度であってもよい。より具体的には、前記第1温度は、摂氏5度以下の温度であってもよい。一例として、前記第1温度は、摂氏0度以下の温度であってもよい。
【0045】
これによって、薄膜層133、137は、上述した範囲内の温度で発熱して、薄膜層133、137と接するバスバー141、145を介して電池セル110に熱を伝達可能で、上述した範囲のような低温環境で外部熱エネルギーの投入なく電池セル110を所定の温度に自体で急激に昇温させることができる。これによって、低温環境で電池セル110の出力低下を防止し、電池性能を向上させることができる。
【0046】
薄膜層133、137が摂氏10度超過の温度で発熱する場合、電池セル110が出力が低下する程度の低温環境に露出していないにもかかわらず、薄膜層133、137から電池セル110に伝達され、これによって電池セル110が過度に加熱する恐れがある。この場合、電池セル110で発火現象が発生することもある。
【0047】
これを防止すべく、薄膜層133、137の前記薄膜組成物は、温度依存性可変抵抗発熱体物質からなる。より具体的には、前記薄膜組成物は、低温では高い電気抵抗を有し、高温では低い電気抵抗を有する物質からなる。つまり、薄膜層133、137で発生する熱は、前記薄膜組成物の抵抗熱であり得る。
【0048】
これによって、薄膜層133、137は、常温または高温の環境に露出している場合には、薄膜層133、137は発熱することなく、薄膜層133、137の電気抵抗がバスバー通電素材の水準に低く維持できる。言い換えれば、電池セル110の出力が低下する程度の低温環境に薄膜層133、137が露出していない場合には、薄膜層133、137の抵抗熱による熱エネルギーの供給/伝達が制限される。この場合には、上述したU字状フレーム300の底面上の熱伝導性樹脂層310が、電池セル110に対する冷却機能を果たすことができる。
【0049】
一例として、前記薄膜組成物は、CTR(Critical Temperature Resistor)セラミック素材物質からなる。より具体的には、前記CTR(Critical Temperature Resistor)セラミック素材物質は、相転移温度近傍で結晶構造の変化によって電気抵抗が急変する特性を有する。前記CTR(Critical Temperature Resistor)セラミック素材物質は、複合バナジウム酸化物系物質、ホウ素酸化物系物質、およびリン酸系物質の少なくとも1つを含むことができる。一例として、前記複合バナジウム酸化物系物質は、VO、V、V13の少なくとも1つが選択されてもよい。また、前記ホウ素酸化物系物質は、Bであってもよい。さらに、前記リン酸系物質は、Pであってもよい。
【0050】
これによって、本実施例による電池モジュール100において、薄膜層133、137は、低温では高い抵抗熱によって電池モジュール100内の自己発熱加熱源として作用することができ、高温では高い電気伝導性によって電気伝導体として機能することができる。
【0051】
また、薄膜層133、137において、前記薄膜組成物は、ドーピング物質をさらに含むことができる。一例として、前記ドーピング物質を含む前記薄膜組成物は、第2温度で発熱し、前記第2温度は、前記第1温度より低い。
【0052】
より具体的には、前記ドーピング物質は、+4価以上のMoおよび+5価以上のWなどの金属イオンの少なくとも1つを含むことができる。より具体的には、+4価以上のMo、+5価以上のW、および+5価以上のNbなどの金属イオンは、前記薄膜組成物の相転移温度および/または抵抗変化の幅を調節する特性を有する。一例として、前記ドーピング物質は、Mo4+、Mo5+、Mo6+、W5+、W6+、およびNb5+の少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
これによって、本実施例による電池モジュール100において、薄膜層133、137を構成する前記薄膜組成物に前記ドーピング物質を含むことが可能で、前記薄膜組成物の発熱温度および抵抗変化の程度を必要に応じて調節することができる。
【0054】
以下、本実施例による電池モジュール100における薄膜層133、137による熱伝達経路について具体的に説明する。
【0055】
図5は、図1の電池モジュールにおけるエンドプレートを除去した状態での熱伝達経路を示す図である。
【0056】
図5を参照すれば、本実施例による電池モジュール100において、低温環境ではモジュールフレーム300、400内の熱が第1方向D1に流れる。より具体的には、低温環境は、先に説明した前記第1温度以下の環境であってもよい。ここで、第1方向D1は、薄膜層133、137から電池セル積層体120に向かう方向と説明される。より具体的には、低温環境では、薄膜層133、137で発生した熱が、相対的に温度が低い電池セル積層体120に向かって第1方向D1に流れる。
【0057】
これとは逆に、室温または高温環境では、電池モジュール100内の熱が第2方向D2に流れる。ここで、第2方向D2は、電池セル積層体120から薄膜層133、137に向かう方向と説明される。より具体的には、室温または高温環境では、電池モジュール100の充放電過程で電池セル110で発生した熱が、相対的に温度が低い薄膜層133、137に向かって第2方向D2に流れる。
【0058】
これによって、本実施例による電池モジュール100は、電池モジュール100の外部環境の温度変化に応じて熱伝達経路が自動的に転換可能で、別途の制御手段が要求されないという点から、製造工程が簡易であり、製造費用も節減できる。これとともに、電池セル110の温度が所定の温度範囲で維持できる。つまり、薄膜層133、137は、低温環境で電池セル110の出力性能低下を防止することができる。これとともに、室温および高温環境では電気伝導体として機能しかつ、U字状フレーム300の底面上の熱伝導性樹脂層310を介したモジュール冷却構造が機能して、電池セル110の発火現象を防止することができる。
【0059】
本発明の他の実施例による電池パックは、上記で説明した電池モジュールを含む。一方、本実施例による電池モジュールは、1つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することができる。
【0060】
上述した電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用できる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用可能であるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0062】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
131、135:バスバーフレーム
141、145:バスバー
150:エンドプレート
300、400:モジュールフレーム
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5