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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】除毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20240701BHJP
   A61Q 9/00 20060101ALI20240701BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q9/00
A61K8/34
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020052510
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151959
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 亜紗子
(72)【発明者】
【氏名】小川 綾乃
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0004128(US,A1)
【文献】特開平11-000549(JP,A)
【文献】特開2002-104944(JP,A)
【文献】特表2012-510982(JP,A)
【文献】特開2001-247431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0205514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0309308(US,A1)
【文献】国際公開第2013/072675(WO,A2)
【文献】米国特許第6306380(US,B1)
【文献】韓国公開特許第2001-0003152(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分Aと、下記成分Bとを含み、
前記成分Aのチオグリコール酸構造換算での含有量の、前記成分Bの含有量に対する質量比が、2.0以上である、除毛剤組成物。
成分A:チオグリコール酸及び/又はその塩
成分B:下記式(1)で表される化合物
【化1】

前記式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1以上、5以下のアルキル基を表し、nは、2以上、5以下の整数を表す。
【請求項2】
前記成分Bの含有量が、0.02質量%以上である、請求項1に記載の除毛剤組成物。
【請求項3】
前記成分Aのチオグリコール酸構造換算での含有量が、0.5質量%以上、10.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の除毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チオグリコール酸及び/又はその塩を除毛成分として含む除毛剤組成物が広く用いられている。この除毛剤組成物では、チオグリコール酸及び/又はその塩が、体毛を構成するケラチンのジスルフィド結合を還元することにより、除毛効果が発揮される。
【0003】
下記の特許文献1には、チオグリコール酸又はチオグリコール酸塩と、シリコーン油とを含む除毛剤が開示されている。
【0004】
下記の特許文献2には、ケラチン還元性化合物と、チオ尿素とを含有する除毛剤組成物、並びに、ケラチン還元性化合物と、尿素及び/又はチオ尿素と、不溶性粒子とを含有する除毛剤組成物が開示されている。また、特許文献2の明細書には、上記除毛剤組成物に配合可能な任意成分として、式(III):R(OC2tOHで表される化合物(式(III)中、Rは炭素数3以上のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アルコキシフェニル基、ナフチル基又はアルコキシナフチル基を示し、sは0又は1、tは0~3の整数を示す。)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-246372号公報
【文献】特開2002-187828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のような従来の除毛剤組成物では、除毛力を十分に高めることができないことがある。
【0007】
上記特許文献2に記載の除毛剤組成物では、ケラチン還元性化合物と、尿素及び/又はチオ尿素とが配合されているため、除毛力をある程度高めることができる。しかしながら、尿素及びチオ尿素は、保存中に析出したり、水の存在下、高温環境下において分解されてアンモニアを発生したりすることがある。したがって、尿素又はチオ尿素が配合された除毛剤組成物では、保存安定性が低下しやすい。また、上記特許文献2には、除毛剤組成物に配合可能な任意成分として、式(III)で表される特定の化合物が記載されているにすぎない。
【0008】
本発明の目的は、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができる除毛剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記成分(A)と、下記成分(B)とを含み、前記成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量の、前記成分(B)の含有量に対する質量比が、2.0以上である、除毛剤組成物を提供する。
【0010】
成分(A):チオグリコール酸及び/又はその塩
成分(B):下記式(1)で表される化合物
【0011】
【化1】
【0012】
前記式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1以上、5以下のアルキル基を表し、nは、2以上、5以下の整数を表す。
【0013】
本発明の除毛剤組成物では、前記成分(B)の含有量が、0.02質量%以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の除毛剤組成物では、前記成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量が、0.5質量%以上、10.0質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の除毛剤組成物は、特定の成分(A)と特定の成分(B)とを含むので、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の除毛剤組成物は、チオグリコール酸及び/又はその塩と、下記式(1)で表される化合物とを含む。
【0018】
【化2】
【0019】
上記式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1以上、5以下のアルキル基を表し、nは、2以上、5以下の整数を表す。
【0020】
本明細書においては、上記「チオグリコール酸及び/又はその塩」を「成分(A)」と記載することがある。
【0021】
本明細書においては、上記「式(1)で表される化合物」を「成分(B)」と記載することがある。
【0022】
本発明の除毛剤組成物は、成分(A)と成分(B)とを含むので、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができる。
【0023】
本発明者らは、成分(A)を含む除毛剤組成物において、成分(B)を配合することにより、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができることを見出した。すなわち、本発明者らは、成分(A)と成分(B)とを組み合わせることにより、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができることを見出した。本発明の除毛剤組成物が、除毛力及び保存安定性を高めるメカニズムとしては、以下が推定される。
【0024】
体毛への浸透性に優れる成分(B)が体毛に浸透し、体毛を構成するケラチンのαヘリックスのピッチを広げる。αヘリックスのピッチが広がることにより、成分(A)がケラチンの内部にまで良好に浸透し、ケラチンのジスルフィド結合が良好に還元される。また、成分(B)は、水の存在下及び高温環境下においても、分解したり、析出したりしにくく、安定性の高い化合物である。その結果、本発明の除毛剤組成物では、除毛力を高めることができ、かつ、保存安定性を高めることができる。
【0025】
本発明の除毛剤組成物は、成分(A)と、成分(B)とを少なくとも含む。本発明の除毛剤組成物は、成分(A)及び成分(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0026】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0027】
以下、本発明の除毛剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0028】
(成分(A))
成分(A)は、チオグリコール酸及び/又はその塩である。成分(A)は、除毛成分である。本発明の除毛剤組成物は、成分(A)として、チオグリコール酸を含んでいてもよく、チオグリコール酸塩を含んでいてもよく、チオグリコール酸とチオグリコール酸塩との双方を含んでいてもよい。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0029】
上記チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、及びチオグリコール酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0030】
本発明の除毛剤組成物100質量%中、成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量が上記下限以上であると、除毛力をより一層高めることができる。成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量が上記上限以下であると、除毛力を高め、かつ皮膚刺激を小さくすることができる。
【0031】
上記チオグリコール酸構造換算での含有量は、成分(A)がチオグリコール酸である場合には、チオグリコール酸の含有量を意味し、成分(A)がチオグリコール酸塩である場合には、下記式で表される含有量を意味する。また、上記チオグリコール酸構造換算での含有量は、成分(A)がチオグリコール酸とチオグリコール酸塩との双方を含む場合には、チオグリコール酸の含有量と下記式で表される含有量との合計を意味する。
【0032】
チオグリコール酸塩のチオグリコール酸構造換算での含有量(質量%)=チオグリコール酸塩の含有量(質量%)×(チオグリコール酸の分子量/チオグリコール酸塩の分子量)
【0033】
成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量の、成分(B)の含有量に対する質量比(成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量/成分(B)の含有量)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下である。上記質量比(成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量/成分(B)の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、除毛力をより一層高めることができ、また、保存安定性をより一層高めることができる。
【0034】
(成分(B))
成分(B)は、下記式(1)で表される化合物である。成分(B)は、成分(A)による除毛力を高めることができる除毛促進成分である。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
【化3】
【0036】
上記式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1以上、5以下のアルキル基を表し、nは、2以上、5以下の整数を表す。
【0037】
上記炭素数1以上、5以下のアルキル基は、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐構造を有するアルキル基であってもよい。
【0038】
上記式(1)中、Rは、炭素数1又は2のアルキル基であることが好ましい。すなわち、上記式(1)中、Rは、メチル基又はエチル基であることが好ましい。この場合には、除毛力をより一層高めることができ、また、保存安定性をより一層高めることができる。
【0039】
上記式(1)中、nは、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。この場合には、除毛促進効果がより一層効果的に発揮され、除毛力がより一層効果的に高められる。また、保存安定性をより一層高めることができる。
【0040】
本発明の除毛剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは10.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上であると、除毛促進効果がより一層効果的に発揮され、除毛力がより一層効果的に高められる。成分(B)の含有量が上記上限以下であると、除毛力を高め、かつ皮膚刺激を小さくすることができる。
【0041】
(他の成分)
本発明の除毛剤組成物は、上述した成分(A)及び成分(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール、高級アルコール、低級アルコール、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、油脂、増粘剤、アルカリ剤、清涼剤、防腐剤、抗酸化剤、金属封鎖剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。上記他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
<ノニオン界面活性剤>
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、エチレンオキシドの平均付加モル数が5~50であるポリオキシエチレンセチルエーテル、エチレンオキシドの平均付加モル数が5~50であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びエチレンオキシドの平均付加モル数が5~50であるポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。
【0044】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン基の平均付加モル数が30~80であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0045】
<アニオン界面活性剤>
上記アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、及びセチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、及びベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩等が挙げられる。
【0046】
<両性界面活性剤>
上記両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、及びN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
【0047】
<多価アルコール>
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及び1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0048】
<高級アルコール>
上記高級アルコールとしては、炭素数16~22のアルコールが挙げられる。上記炭素数16~22のアルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0049】
<低級アルコール>
上記低級アルコールとしては、エタノール等が挙げられる。
【0050】
<炭化水素油>
上記炭化水素油としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、及び流動パラフィン等が挙げられる。
【0051】
<エステル油>
上記エステル油としては、カプリン酸グリセリル等のカプリン酸エステル、カプリル酸グリセリル等のカプリル酸エステル、2-エチルヘキサン酸セチル、及びイソノナン酸イソノニル等が挙げられる。
【0052】
<シリコーン油>
上記シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0053】
<油脂>
上記油脂としては、例えば、オリーブ油、コメヌカ油、ヒマシ油、ヤシ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、及びアボカド油等が挙げられる。
【0054】
<増粘剤>
上記増粘剤としては、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記カルボキシビニルポリマーは、アルキル変性カルボキシビニルポリマーであってもよい。
【0055】
<アルカリ剤>
本発明の除毛剤組成物は、アルカリ剤を含むことが好ましい。
【0056】
上記アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0057】
本発明の除毛剤組成物100質量%中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。上記アルカリ剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、除毛剤組成物のpHを好適な範囲内に調整しやすくなり、除毛力をより一層高めることができる。
【0058】
<清涼剤>
上記清涼剤としては、l-メントール、1,8-シネオール、及びカンファ等が挙げられる。
【0059】
<防腐剤>
上記防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、及びフェノキシエタノール等が挙げられる。
【0060】
<水>
本発明の除毛剤組成物は、水を含むことが好ましい。上記水は精製水であることが好ましい。
【0061】
本発明の除毛剤組成物中の水の含有量は、他の成分の含有量によって適宜調整することができる。本発明の除毛剤組成物100質量%中、水の含有量は、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは65.0質量%以上、好ましくは96.0質量%以下、より好ましくは90.0質量%以下である。
【0062】
(除毛剤組成物の他の詳細)
本発明の除毛剤組成物の性状は、特に限定されない。本発明の除毛剤組成物の性状は、液状であってもよく、乳液状であってもよく、クリーム状であってもよく、ジェル状であってもよく、ペースト状であってもよい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、本発明の除毛剤組成物の性状は、乳液状、ジェル状又はクリーム状であることが好ましく、クリーム状であることがより好ましい。本発明の除毛剤組成物は、乳液状除毛剤組成物、ジェル状除毛剤組成物又はクリーム状除毛剤組成物であることが好ましく、クリーム状除毛剤組成物であることがより好ましい。
【0063】
また、本発明の除毛剤組成物は、エアゾール型除毛剤に用いられるエアゾール除毛剤組成物であってもよい。上記エアゾール除毛剤組成物は、エアゾールフォーム除毛剤組成物であることが好ましい。本発明の除毛剤組成物がエアゾール除毛剤組成物である場合には、エアゾール容器と、エアゾール除毛剤組成物と、噴射剤とを備え、上記エアゾール容器内に、上記エアゾール除毛剤組成物と上記噴射剤とが充填されているエアゾール除毛剤の形態で、本発明の除毛剤組成物を用いることができる。
【0064】
本発明の除毛剤組成物のpHは、好ましくは11.0以上、より好ましくは11.5以上、好ましくは13.5以下、より好ましくは13.0以下である。上記pHが上記下限以上及び上記上限以下であると、除毛力をより一層高めることができ、また、保存安定性をより一層高めることができる。
【0065】
本発明の除毛剤組成物の製造方法として、公知の除毛剤組成物の製造方法を採用することができる。本発明の除毛剤組成物の製造方法としては、各成分をパドルミキサー等で撹拌して均一化する方法等が挙げられる。
【0066】
本発明の除毛剤組成物は、特に限定されないが、例えば、容器に収容された形態で用いることができる。本発明の除毛剤組成物の性状が乳液状又はクリーム状である場合には、上記容器は、チューブ容器であることが好ましい。
【実施例
【0067】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例5,6,9,10は参考例である。
【0068】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0069】
(成分(A))
チオグリコール酸カルシウム
【0070】
(成分(B))
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(上記式(1)中、R:エチル基、n:2)(東京化成工業社製、商品名「Diethylene Glycol Monoethyl Ether」)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(上記式(1)中、R:メチル基、n:2)(東京化成工業社製、商品名「Diethylene Glycol Monomethyl Ether」)
ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(上記式(1)中、R:プロピル基、n:2)(東京化成工業社製、商品名「Diethylene Glycol Monopropyl Ether」)
ジエチレングリコール(上記式(1)中、R:水素原子、n:2)
【0071】
(成分(B)に相当しない成分)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(東京化成工業社製、商品名「Diethylene Glycol Diethyl Ether」)
ポリエチレングリコール200(三洋化成工業社製、商品名「PEG-200」)
ポリエチレングリコール400(三洋化成工業社製、商品名「PEG-400」)
ポリエチレングリコール20000(青木油脂工業社製、商品名「ブラウノン PEG-20000S」)
モノエチレングリコールモノエチルエーテル(上記式(1)中、R:エチル基、n:1)(東京化成工業社製、商品名「2-Ethoxyethanol」)
尿素
【0072】
(他の成分)
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数20)(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL BC-20」)
ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数10)(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL BC-10」)
ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数5)(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL BC-5」)
流動パラフィン(Sonneborn社製、商品名「CARNATION」)
セトステアリルアルコール(花王社製、商品名「カルコール6850」)
水酸化ナトリウム
キサンタンガム(DSP五協フード&ケミカル社製、商品名「エコーガムT」)
精製水
【0073】
(実施例1~14及び比較例1~8)
下記の表1~3に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、除毛剤組成物を調製した。なお、表中の配合量は、純分の配合量で示した。
【0074】
実施例1~13及び比較例1~8で得られた除毛剤組成物の性状はいずれも乳液状であった。実施例14で得られた除毛剤組成物の性状はクリーム状であった。
【0075】
(評価)
(試験例1:除毛力)
約0.08μmの毛径を有する毛髪を選び、該毛髪を3本まとめて、長さ15cmの試験毛束を作製した。また、2000μL用のピペットチップを用意した。ピペットチップの大径側及び小径側から試験毛束がはみ出すように、ピペットチップの内側に試験毛束を配置した。ピペットチップの小径側の出口をクリップで留めた。ピペットチップの大径側からはみ出た試験毛束を固定し、小径側からはみ出た試験毛束の先端に重さ45gの重りを取り付け、ピペットチップの小径側を下側に、かつ大径側を上側の状態で保持した。ピペットチップの大径側からピペットチップの内側に、得られた除毛剤組成物2mLを充填した。除毛剤組成物を充填してから、45gの荷重が負荷された状態の試験毛束が切断されるまでの時間を測定した。
【0076】
上記の操作を繰り返し8回行い、試験毛束が切断されるまでの平均時間を算出した。
【0077】
<除毛力の評価基準>
○○:試験毛束が切断されるまでの平均時間が250秒以内
○:試験毛束が切断されるまでの平均時間が250秒を超え300秒以内
×:試験毛束が切断されるまでの平均時間が300秒を超える
【0078】
(試験例2:保存安定性)
得られた除毛剤組成物を、50℃の恒温槽中に3日間保存した後、除毛剤組成物の性状(析出の有無)を観察した。下記の基準で保存安定性を判定した。なお、評価は専門パネル3名で行い、3名が協議して評価結果を決定した。
【0079】
<保存安定性の評価基準>
○:析出がない
×:析出がある
【0080】
組成及び結果を下記の表1~3に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
以下に、本発明の除毛剤の処方例を示す。
【0085】
(処方例1:乳液状除毛剤組成物)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.) 1.0質量%
流動パラフィン 1.5質量%
キサンタンガム 0.15質量%
グリセリン 3.0質量%
セトステアリルノール 1.0質量%
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 1.5質量%
チオグリコール酸カルシウム 8.0質量%
水酸化ナトリウム 1.0質量%
香料 0.2質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0086】
(処方例2:乳液状除毛剤組成物)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 4.0質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.) 1.5質量%
流動パラフィン 6.0質量%
スクワラン 2.0質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
1,3-ブチレングリコール 2.0質量%
セタノール 2.0質量%
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量%
チオグリコール酸カルシウム 7.5質量%
水酸化ナトリウム 1.0質量%
香料 0.25質量%
シア脂 0.5質量%
アロエエキス 0.1質量%
メリッサエキス 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0087】
(処方例3:エアゾール型除毛剤)
(原液:エアゾール型除毛剤組成物)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.5質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.) 0.5質量%
デシルグルコシド 2.0質量%
スクワラン 0.5質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
プロピレングリコール 2.0質量%
グリセリン 5.0質量%
セタノール 1.0質量%
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量%
チオグリコール酸カルシウム 7.5質量%
尿素 4.0質量%
水酸化ナトリウム 1.0質量%
香料 0.25質量%
シア脂 0.1質量%
アロエエキス 0.1質量%
メリッサエキス 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
(噴射剤)
LPG 100.0質量%
(エアゾール型除毛剤)
原液:噴射剤=94:6(質量比)