(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】容器用キャップ、及び容器用キャップの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20240701BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65D47/36 200
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2020080794
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051616(JP,A)
【文献】特開2020-001804(JP,A)
【文献】特開平06-064046(JP,A)
【文献】実開昭56-045608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/36
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の収容空間を有する容器本体に装着可能な容器用キャップであって、
前記収容空間からの内容物を注出する注出口を有し、前記容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、
前記注出口を覆う開閉可能な蓋体と、
前記注出口の径方向内側に弱化部を介して連なり前記注出口を閉塞する栓体と
を備え、
前記蓋体の天壁には、該天壁を貫通する蓋体開口と、該蓋体開口の上部に連なり該蓋体開口よりも拡幅して形成された蓋体凹所とが設けられ、
前記栓体において径方向外側に突出する突出部が前記蓋体凹所に入り込むことによって、前記栓体が前記蓋体開口の周縁部に係合しており、
前記蓋体開口の周縁部を形成する環状突部の上面には、前記突出部との係合を強めるための凸部及び/又は凹部である係合凹凸部が形成されていることを特徴とする容器用キャップ。
【請求項2】
前記栓体は、前記弱化部に連なり前記注出口を閉塞する閉塞部と、該閉塞部から上方に立設され前記蓋体開口に係合する立設部とを有し、
前記立設部の上部には、径方向外側に突出し前記蓋体開口にアンダーカット係合する前記突出部が設けられている、請求項1に記載の容器用キャップ。
【請求項3】
前記立設部は、基台部と、該基台部の上方に連なり、該基台部よりも幅狭に形成された先端部とを備え、前記天壁における前記蓋体開口の周縁部を形成する環状突部が前記突出部と前記基台部の上部との間に嵌合することにより、前記栓体が前記蓋体開口の周縁部と係合する、請求項2に記載の容器用キャップ。
【請求項4】
前記係合凹凸部は、径方向内側においてより上方に突出する略ステップ形状を備える、請求項1に記載の容器用キャップ。
【請求項5】
前記係合凹凸部は、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜部を備える、請求項1に記載の容器用キャップ。
【請求項6】
前記係合凹凸部は、周方向に凹凸が繰り返される、請求項1に記載の容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する容器本体の口部に装着し内容物を注出させる容器用キャップ、及び容器用キャップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品調味料などの液体、粉体又は粒体等を収容する容器としては、内容物を収容する容器本体と、内容物を注出させる注出口を有する容器用キャップとを備えた容器が知られている。例えば、特許文献1には、注出口が設けられたキャップ本体と、キャップ本体にねじ係合により開閉自在に取り付けられる上蓋とを備え、注出口には、密封栓及び密封栓を開栓するためのプルリングが設けられたキャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のキャップにおいては、上蓋を開けた後にプルリングを引っ張って密封栓を除去する作業が必要となり、手間がかかると共に力の弱い利用者にとって密封栓の除去作業がしづらい場合があり、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、未使用状態における密封性を確保しつつ、簡単な操作で開栓することが可能な容器用キャップ、及び容器用キャップの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の容器用キャップは、
内容物の収容空間を有する容器本体に装着可能な容器用キャップであって、
前記収容空間からの内容物を注出する注出口を有し、前記容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、
前記注出口を覆う開閉可能な蓋体と、
前記注出口の径方向内側に弱化部を介して連なり前記注出口を閉塞する栓体と
を備え、
前記蓋体の天壁には、該天壁を貫通する蓋体開口と、該蓋体開口の上部に連なり該蓋体開口よりも拡幅して形成された蓋体凹所とが設けられ、
前記栓体において径方向外側に突出する突出部が前記蓋体凹所に入り込むことによって、前記栓体が前記蓋体開口の周縁部に係合しており、
前記蓋体開口の周縁部を形成する環状突部の上面には、前記突出部との係合を強めるための凸部及び/又は凹部である係合凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記栓体は、前記弱化部に連なり前記注出口を閉塞する閉塞部と、該閉塞部から上方に立設され前記蓋体開口に係合する立設部とを有し、前記立設部の上部には、径方向外側に突出し前記蓋体開口にアンダーカット係合する前記突出部が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記立設部は、基台部と、該基台部の上方に連なり、該基台部よりも幅狭に形成された先端部とを備え、前記天壁における前記蓋体開口の周縁部を形成する環状突部が前記突出部と前記基台部の上部との間に嵌合することにより、前記栓体が前記蓋体開口の周縁部と係合することが好ましい。
【0010】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記係合凹凸部は、径方向内側においてより上方に突出する略ステップ形状を備えることが好ましい。
【0011】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記係合凹凸部は、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜部を備えることが好ましい。
【0012】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記係合凹凸部は、周方向に凹凸が繰り返されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、未使用状態における密封性を確保しつつ、簡単な操作で開栓することが可能な容器用キャップ、及び容器用キャップの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器用キャップを容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る容器用キャップ(蓋体を除く)の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る容器用キャップにおいて、蓋体を開放することで栓体が容器用キャップから引きちぎられ、注出口が開放された状態を示す正面断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの製造方法の実施手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る容器用キャップにおいて、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第1変形例を容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第1変形例において、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第2変形例を容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第2変形例において、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第3変形例を容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第3変形例において、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第4変形例を容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第4変形例において、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第5変形例を容器本体に取り付けた、未使用状態の容器を示す正面断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る容器用キャップの第5変形例において、栓体を蓋体に係合させる工程を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である容器用キャップ1が、これに適合する容器本体2に装着された状態を示す。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、後述する蓋体50が位置する側を上方(
図1における上側)とし、容器本体2が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、径方向外側とは、
図1における容器用キャップ1の中心軸線O1を通り中心軸線O1に垂直な直線に沿って中心軸線O1とは反対側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線O1に向かう方向を意味するものとする。本実施形態に係る容器用キャップ1は、キャップ本体10と、蓋体50とを備えている。
【0018】
まず、容器本体2について説明する。本実施形態で用いられる容器本体2は、筒状の口部4と、口部4の下端に連なる図示しない胴部と、胴部の下端を閉塞する底部とを備えている。本実施形態において容器本体2は、合成樹脂素材により形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって形作っている。そして、容器本体2を構成する材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等を用いており、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって容器本体2を形成する場合には、容器本体2を構成する材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いてもよい。
【0019】
図1に示すように、容器本体2は、その内側に内容物を収容する収容空間Sを備えている。
【0020】
図1に示すように、口部4の外周面には、後述するキャップ本体10の外周壁11に設けた係合突壁11aにアンダーカット係合させるための環状凸部4aを設けている。また、口部4の内周面には後述するキャップ本体10に設けられるシール壁16が嵌合する。このように、容器本体2は、口部4が外周壁11とシール壁16との間で挟持されると共に環状凸部4aが係合突壁11aにアンダーカット係合することによりキャップ本体10を強固に固定することができる。
【0021】
次に、容器用キャップ1を構成するキャップ本体10について説明する。キャップ本体10は、口部4を取り囲む外周壁11を備えていて、外周壁11の内周面には、口部4の環状凸部4aにアンダーカット係合する係合突壁11aが形成されている。また、外周壁11の上部内周側には内周壁12が設けられており、内周壁12の内側には頂壁13が一体に連結されている。頂壁13の上面には、内容物を注出する注出口14aを画定する注出筒14が設けられている。頂壁13の外周端には係合リング13b及び係合突起13aが設けられ、蓋体50を閉じる時に蓋体50の蓋体周壁53の内周面に設けられた蓋体突起57が係合突起13aにアンダーカット係合して蓋体50をキャップ本体10に対して固定する。外周壁11は、
図1に示すように、蓋体50とヒンジ部40を介して一体に連結されている。ヒンジ部40は、キャップ本体10に対して後述する蓋体50を開閉可能に結合している。
【0022】
本実施形態では、後述する蓋体50の天壁52の下面に設けられた内筒54が注出筒14の内周面に当接することにより、蓋体50の閉塞時において注出口14aは液密にシールされている。
【0023】
外周壁11と内周壁12との間には、
図1に示すようにスリット溝12gが形成されている。また、外周壁11と内周壁12とは、
図1及び
図2に示すように、第1弱化部12c1、第2弱化部12c2及び第3弱化部12c3及び定常連結部12fを介して連結されている。
図2から分かるように、第1弱化部12c1よりも第2弱化部12c2の方が径方向の幅が大きく、第2弱化部12c2よりも第3弱化部12c3の方が径方向の幅が更に大きくなっている。
【0024】
外周壁11は、
図2に示すように、周方向におけるヒンジ部40近傍の1箇所に切り欠き部12ctを有している。この切り欠き部12ctは、
図2に示すように平面視でV字形状を有しており、下端部に薄肉の底壁を残して切り込まれている。係合突壁11aの切り欠き部12ctに対応する位置には、図示しない内周切込み部が縦方向に設けられ、縦方向弱化部が形成される。切り欠き部12ctの端面から内周側の第1弱化部12c1(スリット)を起点として周方向にスリット溝12gが設けられ、端面を始点として、約345°に亘って延びている。このような構成により、利用者は、蓋体50を開放し、蓋体50を把持して径方向外側に引っ張ることで、ヒンジ部40近傍に設けられた切り欠き部12ctを起点として第1弱化部12c1の一端を切断し、第1弱化部12c1、第2弱化部12c2、第3弱化部12c3の順に切断していくことができる。これによって、利用者は、キャップ本体10から定常連結部12f近傍を除く外周壁11の殆ど全ての部分を容易に分断して径方向外側に引き離すことができる。従って、外周壁11とシール壁16による口部4の挟持を解除して、容器用キャップ1を容器本体2から容易に分別することができる。
【0025】
ここでは、第1弱化部12c1から第2弱化部12c2を経由して第3弱化部12c3までを切断する例を挙げて説明したが、
図2の例では、第1弱化部12c1と第2弱化部12c2を切断することにより外周壁11の2分の1以上をキャップ本体10から分断することができる。従って、第1弱化部12c1と第2弱化部12c2のみを切断した状態で外周壁11を径方向外側に引っ張りながら容器用キャップ1を容器本体2から取り外すこともできる。
【0026】
注出筒14の内周面には、
図1及び
図2に示すように、隔壁15hが一体形成されており、注出口14aを閉塞する栓体15が弱化部15bを介して隔壁15hに連なっている。
図1に示す、弱化部15bが破断していない容器の未使用状態において栓体15は注出口14aを閉塞している。そして、弱化部15bの破断の有無を確認することによって、容器用キャップ1を装着した容器が未開封であるか否かを判断することができる。つまり、本実施形態において、弱化部15bは未開封保証機能を有している。この弱化部15bは、利用者が未使用状態の容器の蓋体50を開放する際に所定の力を作用させることにより破断させることができる程度の断面積を有している。
【0027】
栓体15は、
図1及び
図2に示すように、弱化部15bに連なり、注出口14aを閉塞する平板状の閉塞部15fと、閉塞部15fから上方に向けて立設された立設部15cとを備えている。立設部15cは、略有頂筒状形状を有しており、閉塞部15fに連なる基台部15c1と、基台部15c1の上方に連なり基台部15c1よりも幅狭に形成された先端部15c2とを備えている。先端部15c2は、その上部において径方向外側に突出する突出部15aを備えている。この突出部15aが後述する蓋体50側の蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cにアンダーカット係合することで栓体15は、蓋体50に強固に固定されている。このとき、
図1に示すように、環状突部52cは、突出部15aと基台部15c1の上部との間に嵌合している。
【0028】
また、立設部15cにおけるヒンジ部40側の側部には、上下方向に延びる引張リブ15eが設けられている。この引張リブ15eは、
図1に示す、弱化部15bが破断していない容器の未使用状態から蓋体50を持ち上げて開放する際に、栓体15が蓋体50と共に持ち上げられる際の上向きの引っ張り力をヒンジ部40側の弱化部15bに伝える役割を果たしている。また、立設部15cにおける側部(ヒンジ部40側)に引張リブ15eを設けることによって、蓋体50を開放する際に、切れ始めている弱化部15b付近に応力が集中するため、弱化部15bを破断させ易くなる。この引張リブ15eにより、
図1の状態から蓋体50を持ち上げた時に、ヒンジ部40側の弱化部15bを容易に切断することができる。
【0029】
蓋体50は、
図1に示すように、キャップ本体10の外周壁11の上端部に対してヒンジ部40を介して連結されており、ヒンジ部40を折り曲げることによって注出筒14を覆い隠すことができる。また、蓋体50の周壁(蓋体周壁53)の内面には蓋体突起57が設けられている。蓋体50を閉めたときに蓋体突起57が係合リング13bの係合突起13aにアンダーカット係合して蓋体50はキャップ本体10に固定される。
【0030】
蓋体50における立設部15cに対応する(水平方向)位置には、天壁52を貫通する蓋体開口52aが設けられている。そして蓋体開口52aの周縁部に形成された環状突部52cには、立設部15c(先端部15c2)の上部から径方向外側に突出する突出部15aがアンダーカット係合し固定されている。すなわち、
図1に示すように、蓋体開口52aの上部には、蓋体開口52aよりも拡幅して形成された蓋体凹所52b(
図5参照)が形成されており、上述の突出部15aがこの蓋体凹所52bに入り込むことによって、栓体15が蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cに係合している。環状突部52cと突出部15aとの係合は、
図1に示すように互いの当接面が略水平面をなす係合であり、後述する栓体係合冶具70(
図5参照)を用いて両者が係合するように栓体15を形成した後は、解除不能な強固な係合となる。より具体的には、弱化部15bを破断させるのに必要な引張り力よりも大きな押圧力で立設部15cを押圧しないと、環状突部52cと突出部15aとの係合が解除できないようにされている。
【0031】
本実施形態では、突出部15aの下面が天壁52の環状突部52cの上面に当接すると共に、突出部15aの外側面が蓋体凹所52bの外周端に当接する。このような構成によって、栓体15と注出筒14とを連結する弱化部15bが破断した後においても、天壁52と立設部15cとが少なくとも2つの面で液密にシールされているので、内容物が注出筒14の外側に漏れ出すことを効果的に抑制することができる。
【0032】
特に、本実施形態では、蓋体開口52aの周縁部である環状突部52cが突出部15aと基台部15c1の上部との間に嵌合する構成としているので、弱化部15bが破断した後においても、栓体15が蓋体50の天壁52に対して上方にも下方にも動きにくく構成されている。従って、天壁52と立設部15cとの間のシール効果を持続させることができる。
【0033】
更に、本実施形態では、突出部15aが蓋体凹所52b内に入り込むことで栓体15と蓋体50とを係合させているため、栓体15が蓋体50の天壁52から上方にはみ出すことがない。従って、蓋体50の外観を損ねないようにすることができる。
【0034】
容器用キャップ1及び蓋体50の材料には、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。しかし、この態様には限定されず、容器用キャップ1及び蓋体50の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の他のポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)(ランダムPP、ブロックPP、ホモPP)等の合成樹脂材料を用いることができる。
【0035】
初めて容器本体2内の内容物を使用するにあたっては、
図1の状態から利用者が蓋体50の摘み部51を指で摘みながらヒンジ部40周りに
図1の時計回りに蓋体50を回転して開放させる。このとき、栓体15は既に蓋体50に強固に係合固定されているため、利用者が所定以上の力で蓋体50を開放することにより、栓体15と注出筒14とを繋ぐ弱化部15bが切断され、
図3に示すように、栓体15が蓋体50と一体化した状態で注出筒14から離間する。これによって、注出口14aは開放され、利用者が内容物を利用可能な状態となる。従って、未使用状態において栓体15により密封性を確保しつつ、蓋体50を摘んで引き上げるという簡単な操作で開栓することが可能となる。この蓋体50を引き上げる操作は、プルリングを引っ張って開栓する操作よりも指にかかる負荷が少なく利用者が操作し易いと言える。
【0036】
また、利用者は、
図3のように未開封保証機能を有する弱化部15bが破断したことを視認することで容器が開封されたことを認識することができる。
【0037】
栓体15の閉塞部15fの下面には、
図1に示すように、弱化部15bに近接する外周部に、下方に向けて径方向外側に延びる変形可能な羽部15jが設けられている。羽部15jの先端部は、弱化部15bの径方向位置を超えて径方向外側に延びるように設けられている。本実施形態では、羽部15jは外側に湾曲するように設けられており、折り曲げやすくなっている。
【0038】
このような構成によって、弱化部15bを破断して開栓した後に、蓋体50を閉じたときに、羽部15jが隔壁15hの上部に当接しながら折れ曲がり、開栓によって生じた弱化部15b部分の隙間を塞ぐことができる。
【0039】
次に、栓体15の突出部15aを蓋体50の環状突部52cに係合させて
図1に示す未使用状態の容器用キャップ1を製造する手順について
図4及び
図5を用いて説明する。
【0040】
まず、製造者は、
図5に示すように、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の容器用キャップ1を準備する(
図4のステップS101)。初期状態の容器用キャップ1は、立設部15cに未だ突出部15aが形成されておらず、立設部15cの先端部15c2の上部は、
図5に示すように、略円錐台形状を有する上壁形成材15g1となっている。
図5に示すように、ヒンジ部40を折り返すことによって蓋体50が注出口14aを覆う位置まで移動させ、上壁形成材15g1の上部が蓋体開口52aを貫通して上方に突出した状態とした後、容器用キャップ1を
図5に示す栓体係合冶具70にセットする(
図4のステップS102)。
【0041】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図5に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する(
図4のステップS103)。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。そして蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図1に示す上壁部15g2となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、径方向外側に突出する突出部15aとして形成される(
図4のステップS104)。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図1に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0042】
図5に示す栓体係合冶具70によって、栓体15を熱成形して蓋体50に係合固定した後、キャップ本体10を内容物が充填された容器本体2の口部4に装着することによって、
図1に示す未使用状態の容器が完成する。
(第1変形例)
【0043】
次に、本実施形態の第1変形例である容器用キャップ101について
図6及び
図7を用いて説明する。なお、この第1変形例は、本実施形態と比較して、環状突部52cの上面に、突出部15aとの係合を強めるための係合凹凸部52c1が設けられている他は、本実施形態の構成と近似している。従って、ここでは、本実施形態との差異点を中心に説明する。
【0044】
第1変形例に係る環状突部52cの上面は、径方向内側に向かって僅かに上方に傾斜している。そして、環状突部52cの上面に形成される係合凹凸部52c1は、
図6に示すように、環状突部52cの径方向内側端において上方に向けて突出しており、略ステップ形状を備えている。なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面において、「ステップ形状」とは、水平方向位置に対する高さ位置をステップ関数を用いて表すことができる、いわゆる階段形状である。また、係合凹凸部52c1は、水平方向又は鉛直方向に対して多少の傾きを持つ面を有していてもよく略ステップ形状であってよい。そして、後述するように、環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52bには、溶融した上壁形成材15g1が入り込んで係合凹凸部52c1と相補的な形状を有する突出部15aが形成されている。このような構成によって、第1変形例に係る係合凹凸部52c1と突出部15aは、本実施形態に係る構成と比較して、係合凹凸部52c1と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c1と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。特に、第1変形例では、係合凹凸部52c1が、環状突部52cの径方向内側端において上方に突出しているので、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を更に増やして接着強度を高めることができる。
【0045】
図7は、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の第1変形例に係る容器用キャップ101を栓体係合冶具70にセットした状態を示している。
【0046】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図7に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。そして蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図6に示す上壁部15g2となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、係合凹凸部52c1と相補的な形状をなす突出部15aとして形成される。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図6に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0047】
第1変形例では、突出部15aの下面と環状突部52cの上面との間において、係合凹凸部52c1と突出部15aとの間の互いに相補的な形状によって、シール性を高めることができる他、両者の接着強度を高めることができる。
(第2変形例)
【0048】
次に、本実施形態の第2変形例である容器用キャップ102について
図8及び
図9を用いて説明する。なお、この第2変形例は、本実施形態と比較して、環状突部52cの上面に、突出部15aとの係合を強めるための係合凹凸部52c2が設けられている他は、本実施形態の構成と近似している。従って、ここでは、本実施形態との差異点を中心に説明する。
【0049】
第2変形例に係る環状突部52cの上面は、径方向内側に向かって僅かに上方に傾斜している。そして、環状突部52cの上面に形成される係合凹凸部52c2は、
図8に示すように、環状突部52cの径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるような略ステップ形状を備えている。すなわち、第2変形例に係る係合凹凸部52c2は、環状突部52cの径方向内側端において上方に突出する内側凸部52p1と、内側凸部52p1の径方向外側に隣接して設けられた外側凸部52p2とを備えている。そして、外側凸部52p2は、内側凸部52p1よりも突出高さが低く、段差が設けられている。なお、係合凹凸部52c2は、水平方向又は鉛直方向に対して多少の傾きを持つ面を有していてもよく略ステップ形状であってよい。また、外側凸部52p2は、周方向に間欠的に設けられており、凹凸が繰り返されるように構成されている。なお、外側凸部52p2は、周方向に間欠的に設けられている必要はなく、環状に形成されていてもよい。そして、後述するように、環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52bには、溶融した上壁形成材15g1が入り込んで係合凹凸部52c2と相補的な形状を有する突出部15aが形成されている。このような構成によって、第2変形例に係る係合凹凸部52c2と突出部15aは、本実施形態に係る構成と比較して、係合凹凸部52c2と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c2と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。特に、第2変形例では、係合凹凸部52c2が、径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるようにステップ状に構成されていることに加えて外側凸部52p2が周方向に間欠的に設けられることにより凹凸が繰り返されるように構成されている。従って、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
【0050】
図9は、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の第2変形例に係る容器用キャップ102を栓体係合冶具70にセットした状態を示している。
【0051】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図9に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。そして蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図8に示す上壁部15g2となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、係合凹凸部52c2と相補的な形状をなす突出部15aとして形成される。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図8に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0052】
第2変形例では、係合凹凸部52c2が、径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるようにステップ状に構成されていることに加えて外側凸部52p2が周方向に間欠的に設けられることで凹凸が繰り返されるように構成されている。従って、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
(第3変形例)
【0053】
次に、本実施形態の第3変形例である容器用キャップ103について
図10及び
図11を用いて説明する。なお、この第3変形例は、本実施形態と比較して、環状突部52cの上面に、突出部15aとの係合を強めるための係合凹凸部52c3が設けられている他は、本実施形態の構成と近似している。従って、ここでは、本実施形態との差異点を中心に説明する。
【0054】
第3変形例に係る環状突部52cの上面は、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜部として構成されている。そして、後述するように、環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52bには、溶融した上壁形成材15g1が入り込んで係合凹凸部52c3と相補的な形状を有する突出部15aが形成されている。このような構成によって、第3変形例に係る係合凹凸部52c3と突出部15aは、本実施形態に係る構成と比較して、係合凹凸部52c3と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c3と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。特に、第3変形例では、係合凹凸部52c3が、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜面として構成されているので、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
【0055】
図11は、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の第3変形例に係る容器用キャップ103を栓体係合冶具70にセットした状態を示している。
【0056】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図11に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。そして蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図10に示す上壁部15g2となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、係合凹凸部52c3と相補的な形状をなす突出部15aとして形成される。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図10に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0057】
第3変形例では、係合凹凸部52c3が、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜面を有する山形形状として構成されているので、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
(第4変形例)
【0058】
次に、本実施形態の第4変形例である容器用キャップ104について
図12及び
図13を用いて説明する。なお、この第4変形例は、本実施形態と比較して、環状突部52cの上面に、突出部15aとの係合を強めるための係合凹凸部52c4が設けられている他は、本実施形態の構成と近似している。従って、ここでは、本実施形態との差異点を中心に説明する。
【0059】
第4変形例に係る環状突部52cの上面には、径方向内側端から上方に向かって突出する柱部と柱部の上端から更に径方向外側に延びるアーム部とを備えたフック状の係合凹凸部52c4が形成されている。そして、後述するように、環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52bには、溶融した上壁形成材15g1が入り込んで係合凹凸部52c4と相補的な形状を有する突出部15aが形成されている。このような構成によって、第4変形例に係る係合凹凸部52c4と突出部15aは、本実施形態に係る構成と比較して、係合凹凸部52c4と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c4と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。特に、第4変形例では、係合凹凸部52c4が、径方向内側端から上方に向かって突出する柱部と柱部の上端から更に径方向外側に延びるアーム部とを備えたフック状に構成されているので、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
【0060】
図13は、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の第4変形例に係る容器用キャップ104を栓体係合冶具70にセットした状態を示している。
【0061】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図13に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。第4変形例に係る初期状態の容器用キャップ104は、係合凹凸部52c4が環状突部52cの径方向内周端から上方に延びる凸部として構成されており、凸部の上端部が天壁52の上面を越えて上方に延在している。従って、初期状態の係合凹凸部52c4も上側冶具71からの熱によって径方向外側に折り曲げられる。そして、上壁形成材15g1及び係合凹凸部52c4の上端部は蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図10に示す上壁部15g2及び係合凹凸部52c4となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、係合凹凸部52c4と相補的な形状をなす突出部15aとして形成される。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図12に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0062】
第4変形例では、係合凹凸部52c4が、径方向内側端から上方に向かって突出する柱部と柱部の上端から更に径方向外側に延びるアーム部とを備えたフック状に構成されているので、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
(第5変形例)
【0063】
次に、本実施形態の第5変形例である容器用キャップ105について
図14及び
図15を用いて説明する。なお、この第5変形例は、本実施形態と比較して、環状突部52cの上面に、突出部15aとの係合を強めるための係合凹凸部52c5が設けられている他は、本実施形態の構成と近似している。従って、ここでは、本実施形態との差異点を中心に説明する。
【0064】
第5変形例に係る環状突部52cの上面に形成される係合凹凸部52c5は、
図14に示すように、環状突部52cの径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるような略ステップ形状を備えている。すなわち、第5変形例に係る係合凹凸部52c5は、環状突部52cの径方向内側端において上方に突出する内側凸部52p3と、内側凸部52p3の径方向外側に隣接して設けられた外側凸部52p4とを備えている。そして、外側凸部52p4は、内側凸部52p3よりも突出高さが低く、段差が設けられている。なお、係合凹凸部52c5は、水平方向又は鉛直方向に対して多少の傾きを持つ面を有していてもよく略ステップ形状であってよい。また、外側凸部52p4は、周方向に間欠的に設けられており、凹凸が繰り返されるように構成されている。そして、第5変形例では、第2変形例とは異なり、外側凸部52p4が蓋体凹所52bの外周端の側壁に連なるように設けられている。なお、外側凸部52p4は、周方向に間欠的に設けられている必要はなく、環状に形成されていてもよい。そして、後述するように、環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52bには、溶融した上壁形成材15g1が入り込んで係合凹凸部52c5と相補的な形状を有する突出部15aが形成されている。このような構成によって、第5変形例に係る係合凹凸部52c5と突出部15aは、本実施形態に係る構成と比較して、係合凹凸部52c5と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c5と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。特に、第5変形例では、係合凹凸部52c5が、径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるようにステップ状に構成されていることに加えて外側凸部52p4が周方向に間欠的に設けられることにより凹凸が繰り返されるように構成されている。従って、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
【0065】
図15は、射出成形等によって形成された、栓体15を蓋体50に係合させる前の初期状態の第5変形例に係る容器用キャップ105を栓体係合冶具70にセットした状態を示している。
【0066】
栓体15の閉塞部15fを栓体係合冶具70の下側冶具73で支持した状態で、
図15に示す栓体係合冶具70の上側冶具71(加熱板)で立設部15cの上壁形成材15g1を上方から押圧しながら加熱する。これによって、上側冶具71によって加熱された上壁形成材15g1は、上側冶具71からの熱によって溶けて径方向外側に押し広げられる。そして蓋体50の天壁52の上面と略同一高さになるまで変形し、
図14に示す上壁部15g2となる。また、上壁形成材15g1の側部は環状突部52cの上方に設けられた蓋体凹所52b内に入り込み、係合凹凸部52c5と相補的な形状をなす突出部15aとして形成される。これによって、栓体15の立設部15c(突出部15a)が蓋体凹所52bに入り込み、蓋体開口52aの周縁部の環状突部52cとアンダーカット係合する。また、
図14に示すように、天壁52の環状突部52cが突出部15aと基台部15c1との間に嵌合するので、栓体15は、蓋体開口52aから上方及び下方のいずれにも抜け出し不能に固定される。
【0067】
第5変形例では、係合凹凸部52c5が、径方向内側に向かって上方に突出する凸部の高さが高くなるようにステップ状に構成されていることに加えて外側凸部52p4が周方向に間欠的に設けられることで凹凸が繰り返されるように構成されている。従って、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を増やすと共に、環状突部52cと突出部15aとの接触面積も増やして接着強度及びシール性を高めることができる。
【0068】
以上述べたように、本実施形態は、内容物の収容空間Sを有する容器本体2に装着可能な容器用キャップ1であって、収容空間Sからの内容物を注出する注出口14aを有し、容器本体2の口部4に装着されるキャップ本体10と、注出口14aを覆う開閉可能な蓋体50と、注出口14aの径方向内側に弱化部15bを介して連なり注出口14aを閉塞する栓体15とを備え、蓋体50の天壁52には、天壁52を貫通する蓋体開口52aと、蓋体開口52aの上部に連なり蓋体開口52aよりも拡幅して形成された蓋体凹所52bとが設けられ、栓体15において径方向外側に突出する突出部15aが蓋体凹所52bに入り込むことによって、栓体15が蓋体開口52aの周縁部に係合するように構成した。このような構成の採用によって、未使用状態の容器用キャップ1において、注出筒14に弱化部15bを介して連なると共に注出口14aを閉塞する栓体15が蓋体50に固定され、蓋体50を摘んでヒンジ部40周りに回すことにより栓体15を蓋体50と共に移動させて注出口14aを容易に開放状態とすることができる。従って、未使用状態において栓体15により密封性を確保しつつ、蓋体50を摘んで引き上げるという簡単な操作で開栓することが可能となる。そして利用者は、弱化部15bが破断した状態から容器用キャップ1が未使用ではないことを認識することができる。従って、簡素な構成で容器用キャップ1に未開封保証機能を持たせることが可能となる。また、本実施形態では、突出部15aが天壁52に形成した蓋体凹所52b内に入り込むことで栓体15と蓋体50とを係合させているため、栓体15が蓋体50の天壁52から上方にはみ出すことがない。従って、蓋体50の外観を損ねないようにすることができる。
【0069】
また、本実施形態では、栓体15は、弱化部15bに連なり注出口14aを閉塞する閉塞部14fと、閉塞部14fから上方に立設され蓋体開口52aに係合する立設部15cとを有し、立設部15cの上部には、径方向外側に突出し蓋体開口52aにアンダーカット係合する突出部15aが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、弱化部15bの高さ位置を立設部15cの高さ分だけ注出筒14の下部に配置することができるので、内容物を注出筒14から注出させる際の流れを安定化させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、立設部15cは、基台部15c1と、基台部15c1の上方に連なり、基台部15c1よりも幅狭に形成された先端部15c2とを備え、天壁52における蓋体開口52aの周縁部を形成する環状突部52cが突出部15aと基台部15c1の上部との間に嵌合することにより、栓体15が蓋体開口52aの周縁部と係合するように構成した。このような構成の採用によって、栓体15の立設部15cを蓋体50の天壁52に強固に係合させることができると共に、栓体15と蓋体50とのシール性を高めることができる。また、弱化部15bが破断した後においても、栓体15が蓋体50の天壁52に対して上方にも下方にも動きにくく構成されているため、天壁52と立設部15cとの間のシール効果を持続させることができる。また、内容物を容器本体2に高温充填する場合、シャワー水などによって内容物を冷却するが、容器本体2に本実施形態に係る容器用キャップ1を装着した場合、シャワー水などが外部からキャップ内に侵入することを抑制することが出来る。
【0071】
また、本実施形態の変形例では、蓋体開口52aの周縁部を形成する環状突部52cの上面には、突出部15aとの係合を強めるための凸部及び/又は凹部である係合凹凸部52c1~52c5が形成されるように構成した。このような構成の採用によって、係合凹凸部52c1~52c5と突出部15aに設けられた凸部及び凹部が互いに入り組むことで環状突部52cに対して突出部15aを抜けづらくすることができる。また、係合凹凸部52c1~52c5と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高め、両者間のシール性を高めることができる。
【0072】
また、本実施形態の変形例では、係合凹凸部52c1、52c2、52c5は、径方向内側においてより上方に突出する略ステップ形状を備えるように構成した。このような構成の採用によって、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を更に増やして接着強度を高めることができる。
【0073】
また、本実施形態の第3変形例では、係合凹凸部52c3は、径方向内側に向かって上方に傾斜する傾斜部を備えるように構成した。このような構成の採用によって、環状突部52cと立設部15cとの接触面積を更に増やして接着強度を高めることができる。
【0074】
また、本実施形態の第2変形例及び5変形例では、係合凹凸部52c2,52c5は、周方向に凹凸が繰り返されるように構成した。このような構成の採用によって、係合凹凸部52c2,52c5と突出部15aの相補的な形状により接触面積を増やしているので、環状突部52cに対する突出部15aの接着強度を高めることができる。
【0075】
また、本実施形態は、内容物の収容空間Sを有する容器本体2に装着可能な容器用キャップ1の製造方法であって、容器用キャップ1は、収容空間Sからの内容物を注出する注出口14aを有し、容器本体2の口部4に装着されるキャップ本体10と、注出口14aを覆う開閉可能な蓋体50と、注出口14aの周縁部に弱化部15bを介して連なり注出口14aを閉塞する栓体15とを備え、蓋体50の天壁52には、天壁52を貫通する蓋体開口52aと、蓋体開口52aの上部に連なり蓋体開口52aよりも拡幅形成された蓋体凹所52bとが設けられ、栓体15において径方向外側に突出する突出部15aを形成し、突出部15aを蓋体凹所52bに入り込ませることによって、栓体15を蓋体開口52aの周縁部に係合させるステップを含むように構成した。このような構成の採用によって、未使用状態の容器用キャップ1において、注出筒14に弱化部15bを介して連なると共に注出口14aを閉塞する栓体15が蓋体50に固定され、蓋体50を摘んでヒンジ部40周りに回すことにより栓体15を蓋体50と共に移動させて注出口14aを容易に開放状態とすることができる。従って、未使用状態において栓体15により密封性を確保しつつ、蓋体50を摘んで引き上げるという簡単な操作で開栓することが可能となる。そして利用者は、弱化部15bが破断した状態から容器用キャップ1が未使用ではないことを認識することができる。従って、簡素な構成で容器用キャップ1に未開封保証機能を持たせることが可能となる。特に本実施形態では、上記製造方法の採用によって、突出部15aの下面が天壁52の環状突部52cの上面に当接すると共に、突出部15aの側面が蓋体凹所52bの外周端に当接する。このような構成によって、栓体15と注出筒14とを連結する弱化部15bが破断した後においても、天壁52と立設部15cとが少なくとも2つの面で液密にシールされているので、内容物が注出筒14の外側に漏れ出すことを効果的に抑制することができる。また、本実施形態では、突出部15aが天壁52に形成した蓋体凹所52b内に入り込むことで栓体15と蓋体50とを係合させているため、栓体15が蓋体50の天壁52から上方にはみ出すことがない。従って、蓋体50の外観を損ねないようにすることができる。
【0076】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0077】
例えば、本実施形態では、蓋体50がヒンジ部40によりキャップ本体10に連結され、蓋体50がキャップ本体10にアンダーカット係合するように構成したが、この態様には限定されない。蓋体50は、例えばねじ係合によってキャップ本体10に装着されるように構成してもよい。この場合、注出口14a及び栓体15の中心軸線と、係合ねじの中心軸線とが概ね一致していることが好ましい。
【0078】
また、本実施形態では、立設部15cの上部に一体形成された突出部15aが蓋体開口52aの周縁部にアンダーカット係合するように構成したが、この態様には限定されない。突出部15aは、立設部15cに連結された別部材であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1,101,102,103,104,105 容器用キャップ
2 容器本体
4 口部
4a 環状凸部
10 キャップ本体
11 外周壁
11a 係合突壁
12 内周壁
12c1 第1弱化部
12c2 第2弱化部
12c3 第3弱化部
12ct 切り欠き部
12f 定常連結部
12g スリット溝
13 頂壁
13a 係合突起
13b 係合リング
14 注出筒
14a 注出口
14f 閉塞部
15 栓体
15a 突出部
15b 弱化部
15c 立設部
15c1 基台部
15c2 先端部
15e リブ
15f 閉塞部
15g1 上壁形成材
15g2 上壁部
15h 隔壁
15j 羽部
16 シール壁
40 ヒンジ部
50 蓋体
51 摘み部
52 天壁
52a 蓋体開口
52b 蓋体凹所
52c 環状突部
52c1,52c2,52c3,52c4,52c5 係合凹凸部
52p1,52p3 内側凸部
52p2,52p4 外側凸部
53 蓋体周壁
54 内筒
57 蓋体突起
60 シール部材
70 栓体係合冶具
71 上側冶具
73 下側冶具
O1 中心軸線
S 収容空間