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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】能動型騒音制御システム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G10K11/178 140
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020115475
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013122
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】田地 良輔
(72)【発明者】
【氏名】梶川 嘉延
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012917(JP,A)
【文献】特開平07-044181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0211526(US,A1)
【文献】特開2018-072770(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106748(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/232400(WO,A1)
【文献】特開平06-059682(JP,A)
【文献】特開平08-190388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音を低減する能動型騒音制御システムであって、
複数の騒音制御システムと、制御部とを有し、
前記各騒音制御システムは、
騒音制御系統を1または複数有し、
各騒音制御系統は、騒音キャンセル音を出力するスピーカと、エラー信号を検出するマイクと、騒音キャンセル位置に対応した補助フィルタと、適応フィルタとを有し、
各騒音制御系統の補助フィルタは、当該補助フィルタが対応する騒音キャンセル位置とマイクとの位置の差が補償されるように当該マイクで検出したエラー信号を補正する補正信号を、騒音を表す騒音信号から生成し、
各騒音制御系統の適応フィルタは、当該騒音制御系統と同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の補助フィルタで生成された補正信号で補正した各エラー信号を用いた適応動作を行って、前記騒音信号から前記騒音キャンセル音を生成し、
前記各騒音制御システムの各騒音制御系統のスピーカは相互に異なる位置に配置されており、
前記制御部は、異なる騒音制御システムの適応フィルタの適応動作が同時に行われず、同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作が同時に行われるように、各騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作を代わる代わる実行させ
かつ、
前記複数の騒音制御システムとして、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの2つの騒音制御システムを有し、
前記各騒音制御システムは、第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との2つの騒音制御系統を有し、
当該能動型騒音制御システムは自動車に搭載されており、
前記第1の騒音制御系統の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置は、前記自動車の所定の座席に着座する標準的な人体の右耳の位置であり、
前記第2の騒音制御系統の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置は、前記自動車の所定の座席に着座する標準的な人体の左耳の位置であることを特徴とする能動型騒音制御システム。
【請求項2】
騒音を低減する能動型騒音制御システムであって、
複数の騒音制御システムと、制御部とを有し、
前記各騒音制御システムは、
騒音制御系統を1または複数有し、
各騒音制御系統は、騒音キャンセル音を出力するスピーカと、エラー信号を検出するマイクと、騒音キャンセル位置に対応した補助フィルタと、適応フィルタとを有し、
各騒音制御系統の補助フィルタは、当該補助フィルタが対応する騒音キャンセル位置とマイクとの位置の差が補償されるように当該マイクで検出したエラー信号を補正する補正信号を、騒音を表す騒音信号から生成し、
各騒音制御系統の適応フィルタは、当該騒音制御系統と同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の補助フィルタで生成された補正信号で補正した各エラー信号を用いた適応動作を行って、前記騒音信号から前記騒音キャンセル音を生成し、
前記各騒音制御システムの各騒音制御系統のスピーカは相互に異なる位置に配置されており、
前記制御部は、異なる騒音制御システムの適応フィルタの適応動作が同時に行われず、同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作が同時に行われるように、各騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作を代わる代わる実行させ、
かつ、
前記複数の騒音制御システムとして、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの2つの騒音制御システムを有し、
当該能動型騒音制御システムは、自動車に搭載され、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減するものであり、
第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの各騒音制御系統は、相互に異なる騒音キャンセル位置に対応する複数の補助フィルタと、複数の補助フィルタのうちの一つの補助フィルタが生成した補正信号を前記エラー信号の補正に用いる補正信号として選択するセレクタとを有し、
前記制御部は、各騒音制御系統について、前記座席に着座したユーザの頭部の位置に整合する騒音キャンセル位置に対応する補助フィルタが生成した補正信号を前記セレクタに選択させることを特徴とする騒音制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の能動型騒音制御システムであって、
前記所定の座席に着座したユーザの頭部の位置を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部が検出したユーザの頭部の位置が、前記第1の騒音制御システムのスピーカに近い第1の領域内にあるときよりも、当該第1の領域よりも前記第2の騒音制御システムのスピーカに近い第2の領域内にあるときの方が、前記第2の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作の実行期間が長くなり、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作の実行期間が短くなるように、各騒音制御システムの適応フィルタの適応動作を代わる代わる実行させることを特徴とする能動型騒音制御システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の能動型騒音制御システムであって、
前記所定の座席に着座したユーザの頭部の位置を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部が検出したユーザの頭部の位置が、前記第1の騒音制御システムのスピーカに近い第1の領域内にあるときよりも、当該第1の領域よりも前記第2の騒音制御システムのスピーカに近い第2の領域内にあるときの方が、前記第2の騒音制御システムの適応フィルタの、当該適応フィルタの適応動作における当該適応フィルタの伝達関数更新のゲインを定めるステップサイズが大きくなり、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタのステップサイズが小さくなるように、各適応フィルタのステップサイズを制御することを特徴とする能動型騒音制御システム。
【請求項5】
請求項3記載の能動型騒音制御システムであって、
前記制御部は、前記検出部が検出したユーザの頭部の位置が、前記第1の領域内にあるときよりも、前記第2の領域内にあるときの方が、前記第2の騒音制御システムの適応フィルタの、当該適応フィルタの適応動作における当該適応フィルタの伝達関数更新のゲインを定めるステップサイズが大きくなり、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタのステップサイズが小さくなるように、各適応フィルタのステップサイズを制御することを特徴とする能動型騒音制御システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の能動型騒音制御システムであって、
前記第1の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統のスピーカは前記所定の座席に配置され、前記第2の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統のスピーカは前記所定の座席の前方の前記自動車の車室の天井に配置されていることを特徴とする能動型騒音制御システム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載の能動型騒音制御システムであって、
前記第1の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との各騒音制御系の補助フィルタには、所定の標準的な環境下において、前記第2の騒音制御システムのスピーカからの騒音キャンセル音の出力を停止させた状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数が予め設定されており、
前記第2の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との各騒音制御系統の補助フィルタには、前記標準的な環境下において、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作を停止させ、当該適応フィルタの伝達関数を所定の伝達関数に固定した状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数が予め設定されていることを特徴とする能動型騒音制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音を打ち消す騒音キャンセル音を放射することにより騒音を低減する能動型騒音制御(ANC;Active Noise Control)の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
騒音を打ち消す騒音キャンセル音を放射することにより騒音を低減する能動型騒音制御の技術としては、騒音キャンセル位置の近傍に配置したマイクロフォンとスピーカと、騒音源の出力信号もしくは当該出力信号を疑似した信号に、スピーカからマイクロフォンまでの伝達関数を模擬する伝達関数を施す伝達関数模擬フィルタと、伝達関数模擬フィルタの出力から、スピーカから出力する騒音キャンセル音を生成する適応フィルタとを設け、適応フィルタの伝達関数を、マイクロフォンの出力を補助フィルタを用いて補正した信号をエラー信号として適応的に設定する技術が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
ここで、この技術では、補助フィルタには、予め学習した、騒音源から騒音キャンセル位置までの伝達関数と騒音源からマイクロフォンまでの伝達関数の差と、スピーカから騒音キャンセル位置までの伝達関数とスピーカからマイクロフォンまでの伝達関数の差を補正する伝達関数が設定されており、このような補助フィルタを用いることにより、マイクロフォンの位置と異なる騒音キャンセル位置において、騒音をキャンセルすることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-72770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
座席近くに騒音キャンセル音を放射するスピーカを配置して、座席に座ったユーザに聞こえる騒音をキャンセルする場合、ユーザの姿勢変化等があると、騒音キャンセル音の回折や、騒音キャンセル音の距離減衰の変化が生じ、ユーザに聞こえる騒音を良好にキャンセルすることができなくなることがある。
【0006】
そこで、スピーカとマイクロフォンのセットを複数セット、異なる位置に配置して、ユーザの耳が移動しても当該耳の位置に騒音キャンセル音が良好に届くようにすることが考えられるが、このようにすると各スピーカから各マイクロフォンへの伝達パスが多く複雑になるため、必要となる伝達関数模擬フィルタの数が増大する。また、DSP(Digital Signal Processor)の信号処理によって伝達関数模擬フィルタを構築する場合においてはDSPの処理負荷が過大となる。
【0007】
そこで、本発明は、比較的少ない処理によって、ユーザの姿勢変化等が生じても騒音を良好にキャンセルできる能動型騒音制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、騒音を低減する能動型騒音制御システムに、複数の騒音制御システムと、制御部とを設けたものである。ここで、前記各騒音制御システムは、騒音制御系統を1または複数有する。また、各騒音制御系統は、騒音キャンセル音を出力するスピーカと、エラー信号を検出するマイクと、騒音キャンセル位置に対応した補助フィルタと、適応フィルタとを有する。また、各騒音制御系統の補助フィルタは、当該補助フィルタが対応する騒音キャンセル位置とマイクとの位置の差が補償されるように当該マイクで検出したエラー信号を補正する補正信号を、騒音を表す騒音信号から生成し、各騒音制御系統の適応フィルタは、当該騒音制御系統と同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の補助フィルタで生成された補正信号で補正した各エラー信号を用いた適応動作を行って、前記騒音信号から前記騒音キャンセル音を生成する。また、前記各騒音制御システムの各騒音制御系統のスピーカは相互に異なる位置に配置されている。そして、前記制御部は、異なる騒音制御システムの適応フィルタの適応動作が同時に行われず、同じ騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作が同時に行われるように、各騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作を代わる代わる実行させる。
【0009】
ここで、このような能動型騒音制御システムには、前記複数の騒音制御システムとして、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの2つの騒音制御システムを備えてもよい。そして、前記第1の騒音制御システムの各騒音制御系統の補助フィルタに、所定の標準的な環境下において、前記第2の騒音制御システムの各騒音制御系統のスピーカからの騒音キャンセル音の出力を停止させた状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数を予め設定し、前記第2の騒音制御システムの各騒音制御系統の補助フィルタには、前記標準的な環境下において、前記第1の騒音制御システムの各騒音制御系統の適応フィルタの適応動作を停止させ、当該適応フィルタの伝達関数を所定の伝達関数に固定した状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数が予め設定するようにしてよい。
【0010】
または、このような能動型騒音制御システムには、前記複数の騒音制御システムとして、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの2つの騒音制御システムを備え、前記各騒音制御システム、第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との2つの騒音制御系統を設けてもよい。そして、当該能動型騒音制御システムを自動車に搭載し、前記第1の騒音制御系統の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置を、前記自動車の所定の座席に着座する標準的な人体の右耳の位置とし、前記第2の騒音制御系統の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置を、前記自動車の所定の座席に着座する標準的な人体の左耳の位置としてもよい。
【0011】
または、このような能動型騒音制御システムには、前記複数の騒音制御システムとして、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの2つの騒音制御システムを備えてもよい。そして、当該能動型騒音制御システムを自動車に搭載し、当該能動型騒音制御システムによって、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減するものとし、第1の騒音制御システムと第2の騒音制御システムの各騒音制御系統に、相互に異なる騒音キャンセル位置に対応する複数の補助フィルタと、複数の補助フィルタのうちの一つの補助フィルタが生成した補正信号を前記エラー信号の補正に用いる補正信号として選択するセレクタとを備え、前記制御部において、各騒音制御系統について、前記座席に着座したユーザの頭部の位置に整合する騒音キャンセル位置に対応する補助フィルタが生成した補正信号を前記セレクタに選択させるようにしてもよい。
【0012】
以上のような能動型騒音制御システムによれば、スピーカの位置が異なる複数の騒音制御システムを用いているので、ユーザの姿勢変化等によりいずれかの騒音制御システムの騒音キャンセル音の回折や騒音キャンセル音の距離減衰の変化が生じた場合でも、ユーザに聞こえる騒音を良好にキャンセルすることができる。
【0013】
また、各騒音制御システムの各々において、他の騒音制御システムとの間のパスを考慮しない適応動作を交互に行うだけの比較的簡易な構成、処理によって、騒音制御システム間の適応動作の干渉を排して、ユーザに聞こえる騒音がキャンセルされるように、適正に各騒音制御システムを適応させることができる。
【0014】
ここで、以上のように第1の騒音制御システムと前記第2の騒音制御システムを設け、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減する場合には、能動型騒音制御システムに、前記所定の座席に着座したユーザの頭部の位置を検出する検出部を設け、前記制御部において、前記検出部が検出したユーザの頭部の位置が、前記第1の騒音制御システムのスピーカに近い第1の領域内にあるときよりも、当該第1の領域よりも前記第2の騒音制御システムのスピーカに近い第2の領域内にあるときの方が、前記第2の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作の実行期間が長くなり、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作の実行期間が短くなるように、各騒音制御システムの適応フィルタの適応動作を代わる代わる実行させるようにしてもよい。
【0015】
また、以上のように第1の騒音制御システムと前記第2の騒音制御システムを設け、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減する場合には、前記所定の座席に着座したユーザの頭部の位置を検出する検出部を設け、前記制御部において、前記検出部が検出したユーザの頭部の位置が、前記第1の騒音制御システムのスピーカに近い第1の領域内にあるときよりも、当該第1の領域よりも前記第2の騒音制御システムのスピーカに近い第2の領域内にあるときの方が、前記第2の騒音制御システムの適応フィルタの、当該適応フィルタの適応動作における当該適応フィルタの伝達関数更新のゲインを定めるステップサイズが大きくなり、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタのステップサイズが小さくなるように、各適応フィルタのステップサイズを制御するようにしてもよい。
【0016】
これらのようにすることにより、複数の騒音制御システムのうちの、ユーザに聞こえる騒音のキャンセルにより有効な騒音制御システムの適応を、より適正かつ速やかに行うことができるようになる。
【0017】
また、以上のように第1の騒音制御システムと前記第2の騒音制御システムを設け、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減する場合には、前記第1の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統のスピーカは前記所定の座席に配置し、前記第2の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統のスピーカは前記所定の座席の前方の前記自動車の車室の天井に配置するようにしてもよい。
【0018】
また、以上のように第1の騒音制御システムと前記第2の騒音制御システムを設け、前記自動車の所定の座席に着座したユーザに聞こえる騒音を低減する場合には、前記第1の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との各騒音制御系の補助フィルタには、所定の標準的な環境下において、前記第2の騒音制御システムのスピーカからの騒音キャンセル音の出力を停止させた状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数を予め設定し、前記第2の騒音制御システムの第1の騒音制御系統と第2の騒音制御系統との各騒音制御系統の補助フィルタには、前記標準的な環境下において、前記第1の騒音制御システムの適応フィルタの適応動作を停止させ、当該適応フィルタの伝達関数を所定の伝達関数に固定した状態で、当該騒音制御系統のマイクと当該の補助フィルタに対応する騒音キャンセル位置との位置の差が補償されるように当該マイクが検出したエラー信号を補正する補正信号を前記騒音信号から生成する伝達関数が予め設定するようにしてよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、比較的少ない処理によって、ユーザの姿勢変化等が生じても騒音を良好にキャンセルできる能動型騒音制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムのスピーカとマイクの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る信号処理ブロックの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る補助フィルタの伝達関数の第1段階の学習の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る学習用マイクの配置例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る補助フィルタの伝達関数の第2段階の学習の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムの適応動作を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムの他の適応動作を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムの他の構成例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る能動型騒音制御システムの他の構成例における学習用マイクの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る能動型騒音制御システムの構成を示す。
図示するように、能動型騒音制御システムは、第1騒音制御システム1と、第2騒音制御システム2、コントローラ3を備えている。
ここで、本実施形態に係る能動型騒音制御システムは、自動車に搭載されるシステムであり、自動車の騒音キャンセルの対象とする座席に着座したユーザの標準的な右耳の位置を第1キャンセルポイント、ユーザの標準的な左耳の位置を第2キャンセルポイントとして、2つのキャンセルポイントのそれぞれにおいて騒音源の発生する騒音をキャンセルするシステムである。
【0022】
第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2は、同様の構成を備えており、それぞれ、信号処理ブロック11、第1スピーカ12、第1マイク13、第2スピーカ14、第2マイク15を備えている。
【0023】
ただし、図2a、bに示すように、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2では、マイク、スピーカの配置が異なっており、第1騒音制御システム1の第1スピーカ12と第1マイク13は、騒音キャンセルの対象とする座席(図では運転席)のヘッドレストの、当該座席に着座したユーザの右耳の標準的な位置の近傍となる位置に配置し、第1騒音制御システム1の第2スピーカ14と第2マイク15は、騒音キャンセルの対象とする座席のヘッドレストの、当該座席に着座したユーザの左耳の標準的な位置の近傍となる位置に配置する。
【0024】
また、第2騒音制御システム2の第1スピーカ12は、自動車の車室の天井の、騒音キャンセルの対象とする座席に着座したユーザの右耳の標準的な位置の前上方の位置に配置し、第2騒音制御システム2の第2スピーカ14は、車室の天井の、騒音キャンセルの対象とする座席に着座したユーザの左耳の標準的な位置の前上方の位置に配置する。また、第2騒音制御システム2の第1マイク13は、ユーザの前方の天井の、第1スピーカ12の右側の、第1スピーカ12よりも騒音キャンセルの対象とする座席よりの位置に配置し、第2騒音制御システム2の第2マイク15はユーザの前方の、天井の第2スピーカ14の左側の、第2スピーカ14よりも騒音キャンセルの対象とする座席よりの位置に配置する。
【0025】
なお、第2騒音制御システム2の第1スピーカ12、第2スピーカ14としては、比較的距離減衰の小さい超指向性のパラメトリックスピーカを用いるようにしてもよい。
図1に戻り、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2において、信号処理ブロック11は、それぞれ、騒音源の発生する騒音を表す騒音信号x(n)と、第1マイク13でピックアップした音声信号である第1マイクエラー信号err1(n)と、第2マイク15でピックアップした音声信号である第2マイクエラー信号err2(n)とを用いて、第1キャンセル信号CA1(n)を生成し第1スピーカ12から出力すると共に、第2キャンセル信号CA2(n)を生成し第2スピーカ14から出力する。
【0026】
そして、第1騒音制御システム1の第1スピーカ12から出力される第1キャンセル信号CA1(n)と第1騒音制御システム1の第2スピーカ14から出力される第2キャンセル信号CA2(n)と、第2騒音制御システム2の第1スピーカ12から出力される第1キャンセル信号CA1(n)と第2騒音制御システム2の第2スピーカ14から出力される第2キャンセル信号CA2(n)によって、第1キャンセルポイントと第2キャンセルポイントにおいて騒音源の発生する騒音がキャンセルされる。
【0027】
次に、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11と第2騒音制御システム2の信号処理ブロック11は同様の構成を備えている。そして、図3に示すように、信号処理ブロック11は、主として、第1キャンセル信号CA1(n)の生成に関わる処理を行う第1系信号処理部111と、主として、第2キャンセル信号CA2(n)の生成に関わる処理を行う第2系信号処理部112とを備えている。
【0028】
そして、第1系信号処理部111は、予め伝達関数H1(z)が設定された第1系補助フィルタ1111、第1系可変フィルタ1112、第1系適応アルゴリズム実行部1113、予め伝達関数S11^(z)が設定された第1系第1推定フィルタ1114、予め伝達関数S21^(z)が設定された第1系第2推定フィルタ1115、第1系減算器1116を備えている。
【0029】
このような第1系信号処理部111の構成において、入力した騒音信号x(n)は、第1系可変フィルタ1112を通って第1キャンセル信号CA1(n)として第1スピーカ12に出力される。
【0030】
また、入力した騒音信号x(n)は第1系補助フィルタ1111を通って第1系減算器1116に送られ、第1系減算器1116は第1マイク13でピックアップした第1マイクエラー信号err1(n)から第1系補助フィルタ1111の出力を減算し、エラーe1として、第1系適応アルゴリズム実行部1113と、第2系信号処理部112に出力する。
【0031】
次に、第1系可変フィルタ1112と第1系適応アルゴリズム実行部1113と第1系第1推定フィルタ1114と第1系第2推定フィルタ1115はMultiple Error Filtered-X適応フィルタを構成している。第1系第1推定フィルタ1114には、実測等により算定した第1系信号処理部111から第1マイク13までの伝達関数S11(z)の推定伝達特性S11^(z)が予め設定されており、第1系第1推定フィルタ1114は、伝達特性S11^(z)を入力した騒音信号x(n)に畳み込んで、第1系適応アルゴリズム実行部1113に入力する。また、第1系第2推定フィルタ1115には、実測等により算定した第1系信号処理部111から第2マイク15までの伝達関数を表す伝達特性S21(z)の推定伝達特性S21^(z)が予め設定されており、第1系第2推定フィルタ1115は、伝達特性S21^(z)を入力した騒音信号x(n)に畳み込んで、第1系適応アルゴリズム実行部1113に入力する。
【0032】
そして、第1系適応アルゴリズム実行部1113は、第1系第1推定フィルタ1114で伝達関数S11^(z)が畳み込まれた騒音信号x(n)と、第1系第2推定フィルタ1115で伝達関数S21^(z)が畳み込まれた騒音信号x(n)と、第1系減算器1116から出力されるエラーe1と、第2系信号処理部112から出力されるエラーe2を入力として、NLMSなどの適応アルゴリズムを実行し、エラーe1、エラーe2が0となるように第1系可変フィルタ1112の係数を更新し、伝達関数W1(z)を適応させる。
【0033】
ここで、第1系適応アルゴリズム実行部1113の第1系可変フィルタ1112の係数更新の更新の大きさを定めるステップサイズは、コントローラ3から制御することができる。
【0034】
第2系信号処理部112も第1系信号処理部111と同様の構成を備えており、第2系信号処理部112は予め伝達関数H2(z)が設定された第2系補助フィルタ1121、第2系可変フィルタ1122、第2系適応アルゴリズム実行部1123、予め伝達関数S22^(z)が設定された第2系第1推定フィルタ1124、予め伝達関数S12^(z)が設定された第2系第2推定フィルタ1125、第2系減算器1126を備えている。
【0035】
このような第2系信号処理部112の構成において、入力した騒音信号x(n)は、第2系可変フィルタ1122を通って第2キャンセル信号CA2(n)として第2スピーカ14に出力される。
【0036】
また、入力した騒音信号x(n)は第2系補助フィルタ1121を通って第2系減算器1126に送られ、第2系減算器1126は第2マイク15でピックアップした第1マイクエラー信号err2(n)から第2系補助フィルタ1121の出力を減算し、エラーe2として、第2系適応アルゴリズム実行部1123と第1系信号処理部111に出力する。
【0037】
次に、第2系可変フィルタ1122と第2系適応アルゴリズム実行部1123と第2系第1推定フィルタ1124と第2系第2推定フィルタ1125はMultiple Error Filtered-X適応フィルタを構成している。第2系第1推定フィルタ1124には、実測等により算定した第2系信号処理部112から第2マイク15までの伝達関数S22(z)の推定伝達特性S22^(z)が予め設定されており、第2系第1推定フィルタ1124は、伝達特性S22^(z)を入力した騒音信号x(n)に畳み込んで、第2系適応アルゴリズム実行部1123に入力する。また、第2系第2推定フィルタ1125には、実測等により算定した第2系信号処理部112から第1マイク13までの伝達関数を表す伝達特性S12(z)の推定伝達特性S12^(z)が予め設定されており、第2系第2推定フィルタ1125は、伝達特性S12^(z)を入力した騒音信号x(n)に畳み込んで、第2系適応アルゴリズム実行部1123に入力する。
【0038】
そして、第2系適応アルゴリズム実行部1123は、第2系第1推定フィルタ1124で伝達関数S22^(z)が畳み込まれた騒音信号x(n)と、第2系第2推定フィルタ1125で伝達関数S12^(z)が畳み込まれた騒音信号x(n)と、減算器から出力されるエラーe2と、第1系信号処理部111から出力されるエラーe1を入力として、NLMSなどの適応アルゴリズムを実行し、エラーe1、エラーe2が0となるように第2系可変フィルタ1122の係数を更新し伝達関数W2(z)を適応させる。
【0039】
ここで、第2系適応アルゴリズム実行部1123の第2系可変フィルタ1122の係数更新の更新の大きさを定めるステップサイズは、コントローラ3から制御することができる。
【0040】
ここで、第1系信号処理部111の第1系補助フィルタ1111に設定されている伝達関数H1(z)と、第2系信号処理部112の第2系補助フィルタ1121に設定されている伝達関数H2(z)は、予め学習して設定した伝達関数である。
【0041】
以下、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)の学習について説明する。
【0042】
この学習は、第1騒音制御システム1の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)を学習して設定し、その後に、第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)を学習して設定することにより行う。
【0043】
まず、第1騒音制御システム1の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)の学習は、第2騒音制御システム2の動作を停止させた状態、すなわち、第2騒音制御システム2の第1スピーカ12と第2スピーカ14から音が出力されていない状態で、第1段階の学習処理と第2段階の学習処理を実行することによって行われる。
【0044】
第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理では、図4に示すように、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11を第1段階学習処理ブロック4に置き換えた構成において行う。
【0045】
また、第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理は、騒音キャンセルの対象とする座席に着座した標準的なユーザの右耳の位置である第1キャンセルポイントに配置した第1学習用マイク51、騒音キャンセルの対象とする座席に着座した標準的なユーザの左耳の位置である第2キャンセルポイントに配置した第2学習用マイク52を第1段階学習処理ブロック4に接続して行う。
【0046】
第1学習用マイク51と第2学習用マイク52の配置は、たとえば、図5a、bに示すように、騒音キャンセルの対象とする座席に着座させたダミー人形50の右耳の位置に第1学習用マイク51を設置し、ダミー人形50の左耳の位置に第1学習用マイク51を設置すること等により行う。
【0047】
図4に戻り、第1段階学習処理ブロック4は、第1系第1段階学習処理部41と第2系第1段階学習処理部42を備えている。
そして、第1系第1段階学習処理部41は、図3に示した信号処理ブロック11の第1系信号処理部111から、第1系補助フィルタ1111、第1系減算器1116を取り除き、第1系第1推定フィルタ1114に代えて、第1系第1段階学習処理部41から第1学習用マイク51までの伝達関数Sv11(z)の推定伝達関数Sv11^(z)を設定した第1系第1学習用推定フィルタ411を設け、第1系第2推定フィルタ1115に代えて、第1系第1段階学習処理部41から第2学習用マイク52までの伝達関数Sv21(z)の推定伝達関数Sv21^(z)を設定した第1系第2学習用推定フィルタ412を設け、第1学習用マイク51の出力と第2学習用マイク52の出力の双方をエラーとして第1系適応アルゴリズム実行部1113に入力した構成を備えている。
【0048】
また、第2系第1段階学習処理部42は、図3に示した信号処理ブロック11の第2系信号処理部112から、第2系補助フィルタ1121、第2系減算器1126を取り除き、第2系第1推定フィルタ1124に代えて、第2系第1段階学習処理部42から第2学習用マイク52までの伝達関数Sv22(z)の推定伝達関数Sv22^(z)を設定した第2系第1学習用推定フィルタ421を設け、第2系第2推定フィルタ1125に代えて、第2系第1段階学習処理部42から第1学習用マイク51までの伝達関数Sv12(z)の推定伝達関数Sv12^(z)を設定した第2系第2学習用推定フィルタ422を設け、第1学習用マイク51の出力と第2学習用マイク52の出力の双方をエラーとして第2系適応アルゴリズム実行部1123に入力した構成を備えている。
【0049】
そして、このような構成において、第1系適応アルゴリズム実行部1113による適応動作によって第1系可変フィルタ1112の伝達関数W1(z)を収束安定させ、第2系適応アルゴリズム実行部1123による適応動作によって第2系可変フィルタ1122の伝達関数W2(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数W1(z)とW2(z)を第1段階の学習処理の結果として得る。
【0050】
次に、第1騒音制御システム1の第2段階の学習処理では、図6に示すように、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11を第2段階学習処理ブロック6に置き換えた構成において行う。
【0051】
第2段階学習処理ブロック6は、第1系第2段階学習処理部61と第2系第2段階学習処理部62とを備えている。
そして、第1系第2段階学習処理部61は、第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W1(z)を伝達関数として設定した第1系固定フィルタ611と、第1系第2段階学習用可変フィルタ612と、第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613と、第1系第2段階減算器614を備えている。
【0052】
また、第2系第2段階学習処理部62は、第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W2(z)を伝達関数として設定した第2系固定フィルタ621と、第2系第2段階学習用可変フィルタ622と、第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623と、第2系第2段階減算器624を備えている。
【0053】
第1系第2段階学習処理部61に入力した騒音信号x(n)は、第1系固定フィルタ611を通って第1スピーカ12に出力され、第2系第2段階学習処理部62に入力した騒音信号x(n)は、第1系固定フィルタ611を通って第2スピーカ14に出力される。
【0054】
また、第1系第2段階学習処理部61に入力した騒音信号x(n)は第1系第2段階学習用可変フィルタ612を通って第1系第2段階減算器614に送られ、第1系第2段階減算器614は第1マイク13でピックアップした信号から第1系第2段階学習用可変フィルタ612の出力を減算し、エラーとして、第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613と、第2系第2段階学習処理部62の第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623に出力する。
【0055】
また、第2系第2段階学習処理部62に入力した騒音信号x(n)は第2系第2段階学習用可変フィルタ622を通って第2系第2段階減算器624に送られ、第2系第2段階減算器624は第2マイク15でピックアップした信号から第2系第2段階学習用可変フィルタ622の出力を減算し、エラーとして、第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623と、第1系第2段階学習処理部61の第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613に出力する。
【0056】
そして、第1系第2段階学習処理部61の第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613は、第1系第2段階減算器614と第2系第2段階減算器624から入力するエラーが0となるように第1系第2段階学習用可変フィルタ612の伝達関数H1(z)を更新し、第2系第2段階学習処理部62の第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623は、第1系第2段階減算器614と第2系第2段階減算器624から入力するエラーが0となるように第2系第2段階学習用可変フィルタ622の伝達関数H2(z)を更新する。
【0057】
そして、このような構成において、第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613による適応動作によって第1系第2段階学習用可変フィルタ612の伝達関数H1(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数H1(z)を、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11の第1系信号処理部111の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)として設定すると共に、第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623による適応動作によって第2系第2段階学習用可変フィルタ622の伝達関数H2(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数H2(z)を、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11の第2系信号処理部112の第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)として設定する。
【0058】
次に、第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)の学習は、上述のように第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)を学習して設定した第1騒音制御システム1の第1系可変フィルタ1112に、第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W1(z)を設定し、第1騒音制御システム1の第2系可変フィルタ1122に、第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W2(z)を設定する共に、第1騒音制御システム1の第1系信号処理部111の第1系適応アルゴリズム実行部1113にステップサイズとして0を設定することなどにより第1系可変フィルタ1112の係数更新を停止すると共に、第1騒音制御システム1の第2系信号処理部112の第2系適応アルゴリズム実行部1123にステップサイズとして0を設定することなどにより第2系可変フィルタ1122の係数更新を停止させた状態で行う。
【0059】
すなわち、第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)の学習は、第1騒音制御システム1の第1系可変フィルタ1112の伝達関数W1を、第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W1(z)に固定し、第1騒音制御システム1の第2系可変フィルタ1122の伝達関数W2を、第1騒音制御システム1の第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W2(z)に固定した状態で、第1騒音制御システム1を稼働させながら行う。
【0060】
第2騒音制御システム2の第1段階の学習処理では、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11を図4に示した第1段階学習処理ブロック4に置き換えた構成において、第1系適応アルゴリズム実行部1113による適応動作によって第1系可変フィルタ1112の伝達関数W1(z)を収束安定させ、第2系適応アルゴリズム実行部1123による適応動作によって第2系可変フィルタ1122の伝達関数W2(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数W1(z)とW2(z)を第1段階の学習処理の結果として得る。
【0061】
また、第2騒音制御システム2の第2段階の学習処理では、第1騒音制御システム1の信号処理ブロック11を図6に示した第2段階学習処理ブロック6に置き換え、第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W1(z)を第1系固定フィルタ611に設定し、第1段階の学習処理の結果として得た伝達関数W2(z)を第2系固定フィルタ621に設定した構成において、第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部613による適応動作によって第1系第2段階学習用可変フィルタ612の伝達関数H1(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数H1(z)を、第2騒音制御システム2の信号処理ブロック11の第1系信号処理部111の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)として設定すると共に、第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部623による適応動作によって第2系第2段階学習用可変フィルタ622の伝達関数H2(z)を収束安定させ、収束安定した伝達関数H2(z)を、第2騒音制御システム2の信号処理ブロック11の第2系信号処理部112の第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)として設定する。
【0062】
ここで、このようにして設定された第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)は、第1騒音制御システム1から騒音キャンセル音が出力されている状態において、ユーザの標準的な右耳の位置である第1キャンセルポイント、ユーザの標準的な左耳の位置である第2キャンセルポイントにおいて、ユーザに聞こえる騒音をキャンセルする騒音キャンセル音を、第2騒音制御システム2に出力させる伝達関数となる。
【0063】
以上、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の第1系補助フィルタ1111の伝達関数H1(z)と第2系補助フィルタ1121の伝達関数H2(z)の学習について説明した。
【0064】
次に、能動型騒音制御システムの実働時に、コントローラ3が行う制御について説明する。
コントローラ3は、図7aに示すように、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123において第1系可変フィルタ1112と第2系可変フィルタ1122の適応動作(係数更新)を実行し、第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の第1系可変フィルタ1112と第2系可変フィルタ1122の適応動作(係数更新)を停止した第1の状態と、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の第1系可変フィルタ1112と第2系可変フィルタ1122の適応動作(係数更新)を停止し、第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123において第1系可変フィルタ1112と第2系可変フィルタ1122の適応動作(係数更新)を実行する第2の状態との間で、能動型騒音制御システムの状態が所定期間毎に交互に切り替わるように、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123と第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の動作を制御する。
【0065】
なお、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123、第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の適応動作(係数更新)の停止は、たとえば、コントローラ3からステップサイズとして0を設定することにより制御することができ、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123、第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の適応動作(係数更新)の実行は、たとえば、コントローラ3からステップサイズとして正の所定値を設定することにより制御することができる。
【0066】
このように、第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の適応動作と、第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123の適応動作とを交互に行うことにより、第1騒音制御システム1の適応動作と第2騒音制御システム2の適応動作との干渉を排して、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2のそれぞれにおいて適正な適応を行うことができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2との、スピーカの位置が異なる2つの騒音制御システムを用いているので、ユーザの姿勢変化等により一方の騒音制御システムの騒音キャンセル音の回折や騒音キャンセル音の距離減衰の変化が生じた場合でも、ユーザに聞こえる騒音を良好にキャンセルすることができる。
【0068】
また、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2との2つの騒音制御システムの各々において、他方の騒音制御システムとの間のパスを考慮しない適応動作を交互に行うだけの比較的簡易な構成、処理によって、ユーザに聞こえる騒音がキャンセルされるように、適正に各騒音制御システムを適応させることができる。
【0069】
ところで、以上の能動型騒音制御システムは、当該能動型騒音制御システムに図8a1に示す近赤外線カメラ8等によりドライバーの頭部の位置等の状態を検知するドライバーモニタリングシステム(Driver Monitoring System:DMS)を設け、コントローラ3において、ドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部の位置に応じて、能動型騒音制御システムの適応動作を制御するようにしてもよい。
【0070】
すなわち、図8a1のように、ドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14の近くにあるときには、図8a2に示すように、上述した第1騒音制御システム1において適応動作を実行し第2騒音制御システム2において適応動作を停止する第1の状態と、上述した第1騒音制御システム1において適応動作を停止し第2騒音制御システム2において適応動作を実行する第2の状態とを交互に繰り返す動作を、第1の状態である各期間の長さが第2の状態である各期間の長さより大きくなるように、コントローラ3において、能動型騒音制御システムの適応動作を制御する。
【0071】
また、図8b1に示すように、ドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14から前方に離れた位置にあるときには、図8b2に示すように、上述した第1騒音制御システム1において適応動作を実行し第2騒音制御システム2において適応動作を停止する第1の状態と、上述した第1騒音制御システム1において適応動作を停止し第2騒音制御システム2において適応動作を実行する第2の状態とを交互に繰り返す動作を、第2の状態である各期間の長さが第1の状態である各期間の長さより大きくなるように、コントローラ3において、能動型騒音制御システムの適応動作を制御する。
【0072】
なお、このように能動型騒音制御システムの適応動作を制御する場合には、ユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14から前方に離れるほど、第2の状態である各期間の長さが長くなり、第1の状態である各期間の長さが短くなるように能動型騒音制御システムの適応動作を制御することが好ましい。
【0073】
または、コントローラ3は、上述した第1騒音制御システム1において適応動作を実行し第2騒音制御システム2において適応動作を停止する第1の状態と、第1騒音制御システム1において適応動作を停止し第2騒音制御システム2において適応動作を実行する第2の状態とを交互に所定期間毎に切替つつ、ドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14の近くにあるときには、第1の状態であるときに第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズを、第2の状態であるときに第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズよりも大きくし、ユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14から前方に離れた位置にあるときには、第2の状態であるときに第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズを、第1の状態であるときに第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズよりも大きくする制御を行うようにしてもよい。
【0074】
なお、このように能動型騒音制御システムの適応動作を制御する場合には、ユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14から前方に離れるほど、第2の状態であるときに第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズが大きくなり、第1の状態であるときに第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズが小さくなるように制御することが好ましい。
【0075】
または、コントローラ3は、ユーザの頭部が第1騒音制御システム1の第1スピーカ12、第2スピーカ14から前方に離れるほど、第2の状態である各期間の長さが長くなり、第2の状態であるときに第2騒音制御システム2の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズが大きくなり、第1の状態である各期間の長さが短くなり、第1の状態であるときに第1騒音制御システム1の第1系適応アルゴリズム実行部1113と第2系適応アルゴリズム実行部1123に設定するステップサイズが小さくなるように、第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えるようにしてもよい。
【0076】
以上のように、ユーザの頭部の位置に応じて、第1騒音制御システム1の適応動作と第2騒音制御システム2の適応動作を行わせることにより、第1騒音制御システム1の適応動作と第2騒音制御システム2のうちの、ユーザに聞こえる騒音のキャンセルにより有効な方の騒音制御システムの適応を、より適正かつ速やかに行うことができるようになる。
【0077】
また、以上の実施形態における能動型騒音制御システムは、第1騒音制御システム1の第1系信号処理部111と第2系信号処理部112、第2騒音制御システム2の第1系信号処理部111と第2系信号処理部112の各々に補助フィルタを複数設け、上述したドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部の位置に応じて補助フィルタを切り替えるようにしてもよい。
【0078】
すなわち、この場合には、図9に示すように、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の双方の第1系信号処理部111にn個(但し、nは2以上の整数)の第1系補助フィルタ1111と、コントローラ3の制御に従ってn個の第1系補助フィルタ1111の出力のうちの一つの第1系補助フィルタ1111の出力を第1系減算器1116に出力する第1系セレクタ1117を設け、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の双方の第2系信号処理部112にn個の第2系補助フィルタ1121と、コントローラ3の制御に従ってn個の第2系補助フィルタ1121の出力のうちの一つの第2系補助フィルタ1121の出力を第2系減算器1126に出力する第2系セレクタ1127を設ける。
【0079】
第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の双方の第1系信号処理部111のi番目の第1系補助フィルタ1111と、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の双方の第2系信号処理部112のi番目の第2系補助フィルタ1121とは、予め設定したn個のキャンセル対象頭部位置のうちi番目のキャンセル対象頭部位置に対応している。
【0080】
各キャンセル対象頭部位置は、予め設定した、騒音キャンセルの対象とする座席に着座したユーザの頭部が位置し得る位置である。
図10は、このようなキャンセル対象頭部位置の例を示しており、この例では、キャンセル対象頭部位置の数を3とし、図10aに示すように騒音キャンセルの対象とする座席の位置が標準的な前後方向位置よりも距離D前方の位置に設定されているときのユーザの頭部の標準的な位置を1番目のキャンセル対象頭部位置とし、図10bに示すように騒音キャンセルの対象とする座席の位置が標準的な前後方向位置に設定されているときのユーザの頭部の標準的な位置を2番目のキャンセル対象頭部位置とし、図10cに示すように騒音キャンセルの対象とする座席の位置が標準的な前後方向位置よりも距離D後方の位置に設定されているときのユーザの頭部の標準的な位置を3番目のキャンセル対象頭部位置としている。
【0081】
そして、1騒音制御システムと第2騒音制御システム2の双方の第1系信号処理部111のi番目の第1系補助フィルタ1111と、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の双方の第2系信号処理部112のi番目の第2系補助フィルタ1121の伝達関数の学習を、第1段階の学習処理を、図10に示すように、i番目のキャンセル対象頭部位置に頭部があるときの標準的なユーザの右耳の位置に第1学習用マイク51を配置し、i番目のキャンセル対象頭部位置に頭部があるときの標準的なユーザの左耳の位置に第2学習用マイク52を配置して行うことを除き、上述した実施形態における学習と同様に行う。
【0082】
そして、コントローラ3は、ドライバーモニタリングシステムで検出したユーザの頭部の位置に最も近いキャンセル対象頭部位置を算定し、算定したキャンセル対象頭部位置が変化したときに、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の第1系信号処理部111の第1系セレクタ1117に、算定したキャンセル対象頭部位置に対応する第1系補助フィルタ1111の出力に第1系減算器1116に送る出力を切り替えさせ、第1騒音制御システム1と第2騒音制御システム2の第2系信号処理部112の第2系セレクタ1127に、算定したキャンセル対象頭部位置に対応する第2系補助フィルタ1121の出力に第2系減算器1126に送る出力を切り替えさせる。
【0083】
ここで、以上の実施形態において、能動型騒音制御システムに入力する騒音信号x(n)は、騒音源が出力するオーディオ信号や、騒音源の騒音を別途設けた騒音マイクでピックアップした音声信号や、別途設けた模擬音生成装置で生成した各騒音源の騒音を模擬する信号であってもよい。
【0084】
すなわち、たとえば、エンジンを騒音源をする場合には、別途騒音マイクでピックアップしたエンジン音を騒音信号x(n)としたり、別途設けた模擬音生成装置で生成したエンジン音を模擬した模擬音を騒音信号x(n)とするようにしてよい。
【0085】
また、以上の実施形態は、騒音源が一つのみである場合について示したが、以上の実施形態は、信号処理ブロック11の構成を各騒音源の各キャンセルポイントへの伝搬を考慮するように拡張することにより、騒音源が複数存在する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…第1騒音制御システム、2…第2騒音制御システム、3…コントローラ、4…第1段階学習処理ブロック、6…第2段階学習処理ブロック、8…近赤外線カメラ、11…信号処理ブロック、12…第1スピーカ、13…第1マイク、14…第2スピーカ、15…第2マイク、41…第1系第1段階学習処理部、42…第2系第1段階学習処理部、50…ダミー人形、51…第1学習用マイク、52…第2学習用マイク、61…第1系第2段階学習処理部、62…第2系第2段階学習処理部、111…第1系信号処理部、112…第2系信号処理部、411…第1系第1学習用推定フィルタ、412…第1系第2学習用推定フィルタ、421…第2系第1学習用推定フィルタ、422…第2系第2学習用推定フィルタ、611…第1系固定フィルタ、612…第1系第2段階学習用可変フィルタ、613…第1系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部、614…第1系第2段階減算器、621…第2系固定フィルタ、622…第2系第2段階学習用可変フィルタ、623…第2系第2段階学習用適応アルゴリズム実行部、624…第2系第2段階減算器、1111…第1系補助フィルタ、1112…第1系可変フィルタ、1113…第1系適応アルゴリズム実行部、1114…第1系第1推定フィルタ、1115…第1系第2推定フィルタ、1116…第1系減算器、1117…第1系セレクタ、1121…第2系補助フィルタ、1122…第2系可変フィルタ、1123…第2系適応アルゴリズム実行部、1124…第2系第1推定フィルタ、1125…第2系第2推定フィルタ、1126…第2系減算器、1127…第2系セレクタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10