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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/88 20060101AFI20240701BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65G47/88 D
B65G47/46 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020146540
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041380
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】白濱 龍
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246141(JP,A)
【文献】特開2001-294306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に下降傾斜し、部品を搭載した搬送台を重力により部品供給エリアに搬送する傾斜搬入部と、前記傾斜搬入部の直下に設けられて他方側に下降傾斜し、前記部品供給エリアで前記部品が取り出された空の搬送台を重力により反部品供給エリア側に搬送する傾斜返送部と、を備えた部品供給装置において、
前記傾斜返送部を搬送されている搬送台とその搬送方向で係合可能な係合位置と、前記傾斜返送部を搬送されている搬送台とその搬送方向で係合しない非係合位置の二位置間を搬送台の搬送方向に沿って角度変位可能なストッパ部材を備え、このストッパ部材は、付勢部材によって前記係合位置側に常時付勢されていることにより、前記係合位置を基準として搬送台の搬送方向に沿って角度変位可能であり
前記付勢部材は、前記係合位置に位置する前記ストッパ部材に対して前記傾斜返送部を返送されている搬送台がその搬送方向で係合したときに前記ストッパ部材が前記非係合位置側に自動的に角度変位しない付勢力を前記ストッパ部材に付与しており、
前記係合位置に位置する前記ストッパ部材に対して搬送台が係合したとき、この搬送台は、その一部を前記傾斜返送部の反部品供給エリア側端部の外側に突出させた状態で一時停止し、
一時停止中の前記搬送台のうち前記傾斜返送部の反部品供給エリア側端部の外側に突出した部分を、前記部品供給装置を挟んで前記部品供給エリアとは反対側で作業する作業者が、前記傾斜返送部の反部品供給エリア側端部の外側で把持可能としたことを特徴とする部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、例えば、自動車用のトランスミッションの組立ラインで組立作業に従事する組立作業者に対して部品を供給するために利用される部品供給装置が開示されている。詳細には、一方側に下降傾斜し、部品を搭載した搬送台を重力(自重)により部品供給エリア側に搬送する傾斜搬入部と、傾斜搬入部の下方に設けられて他方側に下降傾斜し、搬送台を重力により反部品供給エリア側に搬送する傾斜返送部とを備え、部品供給エリアに、部品を保持する部品保持部と、搬送台を傾斜返送部に自由落下させる開口部とが設けられた部品供給装置である。
【0003】
上記の構成を有する部品供給装置によれば、部品を搭載した搬送台が部品供給エリアに搬入されると、搬送台に搭載された部品は部品保持部で保持される一方、部品が取り出された空の搬送台は開口部を介して自動的に傾斜返送部に払い出される。そのため、組立作業者による空の搬送台の払い出し作業(傾斜搬入部から傾斜返送部への移載作業)等は不要となる。また、組立作業者は、搬送台が傾斜返送部を搬送されている間に、部品保持部で保持された部品を組付対象に対して組み付けることができるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-246141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、特許文献1に記載された部品供給装置は、組立作業者の作業負担軽減および作業効率向上を併せて達成し得る有益なものであるが、特に傾斜返送部の下流端に返送された搬送台(空の搬送台)の回収作業性に難があるとの指摘がある。
【0006】
具体的に説明すると、特許文献1の部品供給装置は、同文献の図2図4-5等に記載されているように、傾斜搬入部の上流端の直下に傾斜返送部の下流端が設けられた二段構造である関係上、空の搬送台の回収作業は、作業者(詳細には、組立作業者に供給する部品の準備、空の搬送台の回収などを行う、組立作業者とは別の部品供給作業者)が傾斜搬入部の上流端と傾斜返送部の下流端との間に画成される取出口に手を入れて空の搬送台を取り出すことにより行われる。但し、組立ラインにおける部品供給作業や組立作業の作業効率を高めるべく、部品供給装置には極力コンパクトなものが採用される。そのため、取出口に対して部品供給作業者の手をスムーズに出し入れすることが難しく、空の搬送台の回収作業に手間取る場合がある。
【0007】
このような問題は、例えば、以下の(1)又は(2)の対策を講じることによって解消することができるとも考えられる。
(1)傾斜搬入部と傾斜返送部の高さ方向の離間距離を拡大し、取出口の開口寸法を拡大する。
(2)傾斜返送部の水平方向に対する傾斜角を大きくし、空の搬送台が自動的に部品供給装置の外側に排出されるようにする。
しかしながら、上記(1)(2)の対策は、何れも部品供給装置の大型化を招来する。部品供給装置が大型化すると、ラインレイアウト(各種装置、備品等の配置態様)等を変更する必要が生じるため、上記の対策を安易に採用することはできない。また、上記(2)の対策を講じた場合には、部品供給装置の外側に排出された搬送台が床面等に衝突することで変形・破損等し、搬送台を再使用できなくなるおそれがある。
【0008】
係る実情に鑑み、本発明は、装置を大型化することなく、空の搬送台を効率良くかつ適切に回収することのできる部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために創案された本発明は、一方側に下降傾斜し、部品を搭載した搬送台を重力により部品供給エリアに搬送する傾斜搬入部と、傾斜搬入部の直下に設けられて他方側に下降傾斜し、部品供給エリアで上記部品が取り出された空の搬送台を重力により反部品供給エリア側に搬送する傾斜返送部と、を備えた部品供給装置において、傾斜返送部を搬送されている搬送台とその搬送方向で係合可能な係合位置を基準として搬送台の搬送方向に沿って角度変位可能なストッパ部材を備え、係合位置に位置するストッパ部材に対して搬送台が係合したとき、この搬送台は、その一部を傾斜返送部の反部品供給エリア側端部の外側に突出させた状態で一時停止することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る部品供給装置においては、係合位置に位置するストッパ部材に対して傾斜返送部を搬送されている搬送台(空の搬送台)がその搬送方向で係合したとき、この搬送台は、その一部を傾斜搬送部の反部品供給エリア側端部(傾斜返送部の下流側端部)の外側に突出させた状態で一時停止する。この場合、反部品供給エリア側で作業する部品供給作業者は、傾斜搬入部の上流側端部と傾斜返送部の下流側端部の間に画成される開口部に手を入れることなく、傾斜返送部の下流側端部の外側で上記搬送台(一時停止している空の搬送台)を把持することができる。そして、ストッパ部材は、上記係合位置を基準として搬送台の搬送方向に沿って角度変位可能であることから、例えば、部品供給作業者が把持した搬送台に対して傾斜返送部の下流側方向への引張力を付与すれば、搬送台を落下等させることなく傾斜返送部(部品供給装置)から取り出すことができる。そのため、部品供給装置を大型化等せずとも、空の搬送台を効率良くかつ適切に回収することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上より、本発明に係る部品供給装置によれば、装置全体のサイズを変更することなく、空の搬送台の回収作業を効率良く実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る部品供給装置の概略側面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3図2の平面図(図2を上側から見た図)である。
図4図2のIV-IV線矢視断面図である。
図5図2のV-V線矢視断面図である。
図6図1に示す部品供給装置の使用状態を示す側面図である。
図7図6の平面図(図6を上側から見た図)である。
図8図1に示す部品供給装置の使用状態を示す側面図である。
図9】(a)図は、傾斜返送部の下流側端部の平面図、(b)図は、(a)図の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面(図1図9)に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る部品供給装置1の概略側面図である。この部品供給装置1は、例えば、当該装置1の一方側(図1の紙面右側)で自動車用のトランスミッションの組立作業に従事する組立作業者に対し、当該装置1の他方側(図1の紙面左側)で組立作業者とは別の作業者(部品供給作業者)が準備したトルクコンバータ等の部品2を供給するために使用される。
【0015】
部品供給装置1は、一方側に下降傾斜した傾斜搬入部10と、傾斜搬入部10の下流側に設けられた部品供給エリア20と、傾斜搬入部10の下方に設けられて他方側に下降傾斜した傾斜返送部30とを備える。以下では、方向性を説明する上での便宜から、部品供給装置1の全長方向(図1の紙面左右方向)を「L方向」と、また、部品供給装置1の幅方向(図1の紙面と直交する方向)を「W方向」とも言う。
【0016】
傾斜搬入部10は、部品2が搭載された搬送台3を重力により部品供給エリア20に搬送する部位である。本実施形態の傾斜搬入部10は、図2図4に示すように、W方向に延びる水平軸回りに回転可能な複数のローラ(フリーローラ)11をL方向に沿って整列配置したローラコンベアで構成される。傾斜搬入部10は、ローラ11の上方で、かつローラ11の軸方向外側に配置された一対のガイド部12を有している。このガイド部12により、傾斜搬入部10を搬送されている搬送台3のW方向での位置決めがなされる。ローラ11は、床面上に設置された図示外の枠体により水平軸回りに回転自在に支持され、ガイド部12は枠体に固定されている。
【0017】
図2および図3に示すように、部品供給エリア20は、傾斜搬入部10を構成するガイド部12の延長線上に配置された一対の支持部材21と、部品2に対して組立作業者側から当接するストッパ22と、一対の支持部材21とストッパ22とで画成される矩形状の開口部23とを備える。図示例の支持部材21は、図5に示すように、部品2を下方側から接触支持可能な垂直部21aと、図示外の枠体に固定された水平部21bとを一体に有する断面L字状の部材で構成される。開口部23は、部品供給エリア20に到達した搬送台3をスムーズに通過(自由落下)させ得るような大きさの開口寸法を有する。つまり、開口部23のL方向寸法XおよびW方向寸法Y(図3参照)は、それぞれ、搬送台3のL方向寸法X1(図6参照)およびW方向寸法Y1(図5参照)よりも大きく設定される。
【0018】
傾斜返送部30は、図8に示すように、部品供給エリア20で部品2が取り出されて保持されることにより空になった搬送台3を、部品供給装置1を挟んで部品供給エリア20とは反対側(反部品供給エリア20側)に搬送する部位である。本実施形態の傾斜返送部30は、傾斜搬入部10と同様に、W方向に延びる水平軸回りに回転可能な複数のローラ(フリーローラ)31をL方向に沿って整列配置したローラコンベアで構成される(図2等を参照)。図5に示すように、傾斜返送部30は、ローラ31の上方で、かつローラ31の軸方向外側に配置された一対のガイド部32を有している。このガイド部32により、傾斜返送部30を搬送されている搬送台3のW方向での位置決めがなされる。ローラ31は、図示外の枠体により水平軸回りに回転自在に支持され、ガイド部32は枠体に固定されている。以上の構成を有する傾斜返送部30の上流側(部品供給エリア20側)端部は、部品供給エリア20の直下に位置し、傾斜返送部30の下流側(反部品供給エリア20側)端部は、傾斜搬入部10の上流側端部の直下に位置している。
【0019】
図6に示すように、搬送台3は、搬送すべき部品2を搭載する部品搭載面4を有する。部品搭載面4のW方向寸法は部品2のW方向寸法よりも小さく設定され(図4参照)、部品搭載面4のL方向寸法は部品2のL方向寸法と略同寸に設定されている(図6参照)。搬送台3の部品供給エリア20側の端部には、上方に突出した滑落防止部5が設けられている。滑落防止部5は、搬送台3が傾斜搬入部10を搬送されているときに部品搭載面4に搭載された部品2と搬送台3の搬送方向で係合し、搬送台3からの部品2の滑落を防止する。
【0020】
本実施形態の部品供給装置1の基本的な構成は以上のとおりであり、組立作業者に対する部品2の供給、並びに部品供給作業者に対する搬送台3の返送は以下のように行われる。
【0021】
図6および図7は、部品供給エリア20に部品2(2A)が到達し、傾斜搬入部10に複数の部品2(2B,2C)がストックされた状態を示している。部品供給エリア20に到達した部品2Aは、一対の支持部材21の垂直部21a上に載置されることにより、部品供給エリア20で保持される(図5を併せて参照)。部品2Aのうち傾斜搬入部10の下流側端部はストッパ22に当接し、部品2Aのうち傾斜搬入部10の上流側端部は後続の搬送台3(部品2Bを搭載した搬送台3)に当接している。さらに、部品2Cを搭載した搬送台3は、傾斜搬入部10の上流側から部品2Bおよびこれを搭載した搬送台3に当接している。つまり、部品2(2B,2C)をそれぞれ搭載した傾斜搬入部10に位置する2台の搬送台3は、重力により部品供給エリア20側に移動しようとするが、部品供給エリア20で保持された部品2Aと当接することで移動が規制され、傾斜搬入部10にストックされている。
【0022】
組立作業者が部品供給エリア20で保持されている部品2Aを取り出すと、後続の2台の搬送台3が重力により部品供給エリア20側に移動する。そして、図8に示すように、部品2Bを搭載した搬送台3が部品供給エリア20に搬入されると、この搬送台3は開口部23を介して自由落下し(同図中の白抜き矢印を参照)、傾斜返送部30の上流側端部に移載される。一方、部品2Bは、ストッパ22に当接した状態で一対の支持部材21上に載置される。傾斜返送部30に移載された空の搬送台3は、重力により傾斜返送部3の下流側(反部品供給エリア20側)に自動的に搬送される(同図中に示す矢印Dを参照)。傾斜返送部30の下流側端部に到達した空の搬送台3は、部品供給作業者によって回収され、その後、部品搭載面4上に部品2が搭載された上で再度傾斜搬入部10に投入される。
【0023】
本実施形態の部品供給装置1は、傾斜返送部30を搬送される空の搬送台3の回収作業を効率良く実施可能とした点に主たる特徴がある。以下、本実施形態の部品供給装置1で採用している特徴的構成について、図9を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図9(a)(b)に示すように、部品供給装置1は、重力により傾斜返送部30を搬送されている空の搬送台3が傾斜返送部30の下流側端部の外側に自動的に排出されるのを規制するストッパ機構40を有する。本実施形態のストッパ機構40は、主に、棒状部材からなるストッパ部材41と、ストッパ部材41を回転(角度変位)可能に支持した支持部材44と、第1および第2の規制部材45,46とを備える。
【0025】
支持部材44は、部品供給装置1の枠体を構成する鉛直方向に延びた支柱(ここでは丸棒)6に対して回転可能に取り付けられた円筒状のスリーブ部42と、スリーブ部42に対して直交する方向(水平方向)に延び、ストッパ部材41を固定的に支持した支持部43とを有する。係る構成により、ストッパ部材41は垂直軸(支柱6)回りに回転可能となっている。
【0026】
ストッパ部材41は、これを支持した支持部材44が垂直軸回りに回転することにより、傾斜返送部30を搬送されている搬送台3(に設けられた滑落防止部5)とその搬送方向Dで係合可能な係合位置と、搬送台3と係合(当接)しない非係合位置の二位置間を搬送台3の搬送方向Dに沿って角度変位する。本実施形態のストッパ機構40は、上記二位置間を角度変位可能なストッパ部材41を常時係合位置側に付勢した付勢部材(図示省略)を備えている。これにより、ストッパ部材41は、係合位置を基準として角度変位する。ストッパ部材41を支持した支持部材44(支柱6)は、係合位置に位置するストッパ部材41に対して搬送台3が係合したときに、搬送台3の一部(下流側端部)が傾斜返送部30の反部品供給エリア20側端部(下流側端部)の外側に突出するように配置位置が調整されている。
【0027】
本実施形態の「係合位置」は、支持部材44の上流側に配置された第1の規制部材45に対してストッパ部材41(あるいはこれを支持した支持部材44の支持部43)が当接する位置として定義付けられる。図示例では、搬送台3の搬送方向Dに対してストッパ部材41の中心線がなす角度が90°になるときが係合位置である。また、本実施形態の「非係合位置」は、支持部材44の下流側に配置された第2の規制部材46に対してストッパ部材41(あるいはこれを支持した支持部材44の支持部43)が当接する位置として定義付けられる。図示例では、搬送台3の搬送方向Dに対してストッパ部材41の中心線がなす角度が概ね170°となるときが非係合位置である。
【0028】
上記のとおり、ストッパ機構40は、係合位置と非係合位置の二位置間を移動(角度変位)可能なストッパ部材41を常時係合位置側に付勢した図示外の付勢部材を備える。付勢部材としては、係合位置に位置するストッパ部材41に対して搬送台3がその搬送方向Dで係合したときにストッパ部材41が非係合位置側に自動的に回転(角度変位)しない程度の付勢力をストッパ部材41に対して付与できるものが選択使用される。そのため、後述する部品供給作業者による搬送台3の回収作業が実施されない限り、ストッパ部材41は係合位置に位置し、当該位置よりも傾斜返送部30の下流側に搬送台3が自動的に搬送されるのを規制する。
【0029】
なお、付勢部材としては、例えば、一本の鋼線を螺旋状に巻回したコイルスプリングを使用することができる。この場合、コイルスプリングのコイル部を支持部材44のスリーブ部42に取り付けた後、コイル部から巻き出した鋼線の一方側を第1の規制部材45を介して支持部材44の支持部43に取り付け固定すると共に、コイル部から巻き出した鋼線の他方側を第2の規制部材46に取り付け固定すれば、コイルスプリングを付勢部材として機能させることができる。
【0030】
部品供給装置1が上記構成のストッパ機構40(ストッパ部材41)を有することにより、傾斜返送部30を搬送されてくる空の搬送台3は、突起状の滑落防止部5が係合位置に位置するストッパ部材41と搬送台3の搬送方向Dで係合する。このとき、ストッパ部材41を常時係合位置側に付勢した付勢部材が設けられていること、また、ストッパ部材41を支持した支持部材44(支柱6)の配置位置が上記態様で調整されていることにより、係合位置に位置するストッパ部材41と係合した搬送台3は、その一部(反部品供給エリア20側の一部領域)を傾斜返送部30の反部品供給エリア20側端部の外側に突出させた状態で一時停止する。部品供給作業者が、一時停止中の搬送台3のうち傾斜返送部30の外側に突出した部分を把持してから、この搬送台3に対して付勢部材の付勢力を上回るような下流側方向への引張力を付与すると、ストッパ部材41を非係合位置側に角度変位させながら搬送台3を傾斜返送部30の下流側に移動させることができる。そして、ストッパ部材41が非係合位置(付近)にまで角度変位すると、ストッパ部材41と搬送台3の係合状態が完全に解消されるので、搬送台3が傾斜返送部3(部品供給装置1)から取り出される。
【0031】
搬送台3が傾斜返送部30から取り出されると、搬送台3を介してストッパ部材41に付与されていた上記引張力が解放されるので、ストッパ部材41は、付勢部材の付勢力によって即座に係合位置側に角度変位する。このため、上記のような付勢部材を設けておけば、傾斜返送部30上に空の搬送台3が複数連ねて配置されている場合でも、各搬送台3を傾斜返送部30(部品供給装置1)から落下させることなく適切に回収することができる。
【0032】
以上のことから、本実施形態の部品供給装置1によれば、部品供給エリア20とは反対側で作業する部品供給作業者は、傾斜搬入部10の上流側端部と傾斜返送部30の下流側端部の間に画成される開口部に手を入れることなく、また、搬送台3を落下等させることなく、空の搬送台3を傾斜返送部30(部品供給装置1)から取り出すことができる。そのため、部品供給装置1を大型化等せずとも、空の搬送台3を効率良くかつ適切に回収することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態に係る部品供給装置1について説明を行ったが、本発明は、以上で説明した実施形態に限定適用されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
【0034】
例えば、以上で説明した実施形態では、傾斜搬入部10および傾斜返送部30の双方をローラコンベアで構成したが、傾斜搬入部10および傾斜返送部30は搬送台3を重力により下流側に搬送(自動搬送)し得るものであれば、ローラコンベア以外のもので構成しても構わない。従って、傾斜搬入部10および傾斜返送部30の何れか一方又は双方には、例えば上面(搬送台3と接触する面)が平滑な平面に形成され、搬送台3を滑落させるものを採用しても構わない。
【0035】
また、以上で説明した実施形態では、垂直軸(支柱6)回りに回転(角度変位)する棒状部材からなるストッパ部材41を採用したが、ストッパ部材41としては水平軸回りに回転(角度変位)可能な板状部材を採用することも可能である。また、ストッパ機構40に設けるべき付勢部材としては、係合位置と非係合位置の二位置間を移動するストッパ部材41を常時係合位置側に付勢するという機能を有する限りにおいて、前述したコイルスプリング以外のもの(例えば、エアダンパー)を採用しても構わない。但し、ストッパ機構40の簡素化(設備投資の抑制)を図る上では、前述したコイルスプリングが最適である。
【0036】
また、以上で説明した実施形態では、1個の部品2を搭載可能な搬送台3を採用したが、2個以上の部品2を搭載可能な搬送台3を搬送する部品供給装置1に本発明を適用することも可能である。
【0037】
また、本発明に係る部品供給装置1は、以上で説明した自動車用のトランスミッションの組立ラインのみならず、部品供給装置1の一方側(部品供給エリア20側)で作業する作業者に対し、部品供給装置1の他方側(反部品供給エリア20側)で部品供給作業者が準備した部品2を供給する必要があるその他の製造ラインで使用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 部品供給装置
2 部品
3 搬送台
5 突出部
10 傾斜搬入部
20 部品供給エリア
30 傾斜返送部
40 ストッパ機構
41 ストッパ部材
44 支持部材
D 搬送台の搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9