(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置、通信装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240701BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240701BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B41J29/38
G06F3/12 305
G06F3/12 357
G06F3/12 392
H04N1/00 C
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2017254234
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-12-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】金田 健
(72)【発明者】
【氏名】金本 好司
(72)【発明者】
【氏名】飯田 利彦
(72)【発明者】
【氏名】金井 康頼
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】殿川 雅也
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-73304(JP,A)
【文献】特開2007-272602(JP,A)
【文献】特開2001-154817(JP,A)
【文献】特開2009-217516(JP,A)
【文献】特開2012-147335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
複数の印刷設定値の第1の組と前記第1の組を識別する第1の識別情報とをゲストユーザの識別情報と対応づけて記憶し、複数の印刷設定値の第2の組と前記第2の組を識別するための第2の識別情報とをユーザ個人のユーザ識別情報と対応づけて記憶する記憶手段と、
情報処理装置から、第1の取得要求を受信する受信手段と、
受信した前記第1の取得要求に応じて、
前記第1の組及び前記第1の識別情報を送信する送信手段と、を有し、
前記送信手段は、前記情報処理装置が送信した前記ユーザ識別情報と対応づけされた
前記第2の組及び前記第2の識別情報を取得するための第2の取得要求に応じて、ユーザ認証画面を前記情報処理装置に表示させるための要求を送信し、前記
ユーザ認証画面を介した認証が成功した後に前記情報処理装置から受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された
前記第2の組及び前記第2の識別情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユーザ認証画面が表示された後に受信した前記ユーザ識別情報は、前記情報処理装置に入力されたユーザ識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記ユーザ認証画面が表示された後に受信した前記ユーザ識別情報と異なるユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された第3の識別情報を前記情報処理装置に送信しないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送信手段は、受信した前記第1の取得要求に応じて、前記第1の識別情報と前記第1の識別情報と対応づけて記憶される前記第1の組とを前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ゲストユーザの識別情報と対応づけて記憶される前記第1の組と前記第1の識別情報は、前記画像形成装置の管理者により設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記受信手段は、
前記認証が成功した後に前記情報処理装置から送信された第3の取得要求であって、前記ユーザ識別情報を含む前記第3の取得要求を受信し、
前記送信手段は、前記受信手段が受信した前記第3の取得要求への応答として、
前記第2の組及び前記第2の識別情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の識別情報は、ユーザにより設定された前記印刷設定値の組の名称であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記受信手段は、前記第1の取得要求を受信した後に、前記第2の取得要求を受信することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数の印刷設定値の第1の組と前記第1の組を識別する第1の識別情報とをゲストユーザの識別情報と対応づけて記憶し、複数の印刷設定値の第2の組と前記第2の組を識別するための第2の識別情報とをユーザ個人のユーザ識別情報と対応づけて記憶する記憶手段を有する画像形成装置の制御方法であって、
情報処理装置から、第1の取得要求を受信する第1の受信工程と、
受信した前記第1の取得要求に応じて、
前記第1の組及び前記第1の識別情報を送信する第1の送信工程と、
前記情報処理装置から、前記ユーザ識別情報と対応づけされた
前記第2の組及び前記第2の識別情報を取得するための第2の取得要求を受信する第2の受信工程と、
前記第2の取得要求に応じて、ユーザ認証画面を前記情報処理装置に表示させるための要求を送信する第2の送信工程と、
前記
ユーザ認証画面を介した認証が成功した後に前記情報処理装置から受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された
前記第2の組及び前記第2の識別情報を前記情報処理装置に送信する第3の送信工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
前記第3の送信工程において、前記ユーザ認証画面が表示された後に受信した前記ユーザ識別情報と異なるユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された第3の識別情報を前記情報処理装置に送信しないことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
前記第1の送信工程において、前記第1の識別情報と前記第1の識別情報と対応づけて記憶される前記第1の組とを前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
前記第2の受信工程は、前記第1の受信工程が実行された後に実行される工程であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
画像形成装置と情報処理装置で構成される印刷システムであって、
前記画像形成装置は、
複数の印刷設定値の第1の組と前記第1の組を識別する第1の識別情報とをゲストユーザの識別情報と対応づけて記憶し、複数の印刷設定値の第2の組と前記第2の組を識別するための第2の識別情報とをユーザ個人のユーザ識別情報と対応づけて記憶する記憶手段と、
前記情報処理装置から、第1の取得要求を受信する受信手段と、
受信した前記第1の取得要求に応じて、前記第1の識別情報と前記第1の組を送信する第1の送信手段と、を有し、
前記第1の送信手段は、前記情報処理装置が送信した前記ユーザ識別情報と対応づけされた
前記第2の組及び前記第2の識別情報を取得するための第2の取得要求に応じて、ユーザ認証画面を前記情報処理装置に表示させるための要求を送信し、前記
ユーザ認証画面を介した認証が成功した後に前記情報処理装置から受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された
前記第2の組及び前記第2の識別情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
送信された前記ユーザ認証画面を前記情報処理装置に表示させるための前記要求に基づき、前記ユーザ認証画面を表示させる表示制御手段と、
前記ユーザ認証画面に入力された前記ユーザ識別情報を前記画像形成装置に送信する第2の送信手段と、を有
し、
前記表示制御手段は前記画像形成装置から送信された前記第2の識別情報を選択可能な印刷設定画面を表示し、前記第2の識別情報が選択されたとき、前記第2の組が示す印刷設定値を前記印刷設定画面に反映することを特徴とする印刷システム。
【請求項14】
請求項9に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを受信して画像を形成する画像形成装置、通信装置、制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークを介して通信装置から印刷データを受信し、当該受信した印刷データに基づきシートに画像を形成する画像形成装置が知られている。また、個々の画像形成装置を使用するために設計されたプリンタドライバ(又はプリントアプリケーション)を使用して画像形成装置に送信する印刷データを生成することも従来から知られている。
【0003】
また、近年、個々の画像形成装置を使用するために設計されたプリンタドライバ(又はプリントアプリケーション)を介さずに印刷データを生成することが知られている。例えば、通信装置のオペレーティングシステム(OS)の機能として提供される汎用のプリントクライアントやクラウド上のプリントサーバなどが提供する汎用のプリントクライアントによって印刷データを生成し、画像形成装置に送信する手段が知られている。このような汎用のプリントクライアントでは、画像形成装置に印刷を実行させるためのネットワークプロトコル(IPP:Internet Printing Protocol)に基づいて印刷を行う仕組みが実装されている。このプロトコルに従い画像形成装置と通信装置が通信を行うことで印刷処理を実現する。
【0004】
例えば特許文献1には、通信装置の画面で画像を選択して印刷を指示すると近くにある画像形成装置を検索し、検索した画像形成装置の一覧を表示することが開示されている。また、選択された画像形成装置が対応するプロトコル情報に基づいて画像データの送信に適したプロトコルを選択して印刷用の画像データを送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、IPPの仕様を策定するPWG(Printer Working Groap)では、IPPに基づくプリントクライアントにおいてユーザの利便性を高めるために、印刷プリセットという機能が考えられている。PWGによって仕様策定中の印刷プリセット(IPP Presets)は、印刷設定項目ならびに印刷設定値の組の集合に名称を付与したものである。印刷プリセットを使用すると、例えば、両面、カラー設定、ステイプルの設定等、個々の印刷設定を一括して印刷設定に反映することができるためユーザの利便性が高い。
【0007】
ここで、これらの印刷プリセットを画像形成装置の記憶領域などに予め記憶しておき、画像形成装置と連携するプリントクライアントに提供することが考えられる。
【0008】
ところで、ユーザの好みやユーザが従事する業務などにより、当該ユーザによって好ましい印刷プリセットが異なることが考えられる。ここで、各ユーザの利便性を高めるために、各ユーザが使用したい印刷プリセットを画像形成装置内に記憶すると、画像形成装置が記憶する印刷プリセットの量が膨大となってしまう恐れがある。この場合において、プリントクライアントに画像形成装置が記憶するすべての印刷プリセットを提供すると、多数の印刷プリセットの中からユーザが所望する印刷プリセットを見つけることが困難となる懸念がある。
【0009】
一方、画像形成装置に登録できる印刷プリセットの数に上限を設けることで設定が煩雑とならないように運用することも考えられるが、この場合、登録できる印刷プリセットが少なくなり、ユーザが所望する印刷プリセットを網羅できないといった問題がある。
【0010】
本発明は上述の課題の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明は、ユーザと印刷プリセットの対応情報を記憶することにより、プリントクライアントを利用する通信装置に対してユーザが使用する印刷プリセットを適切に通知できる仕組みを提供することを目的の1つとする。また、本発明の別の目的は、認証されたユーザによる操作に基づいて、適切に印刷プリセットを登録できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の少なくとも1つの目的を達成するために本発明の画像形成装置は、画像形成装置であって、複数の印刷設定値の第1の組と前記第1の組を識別する第1の識別情報とをゲストユーザの識別情報と対応づけて記憶し、複数の印刷設定値の第2の組と前記第2の組を識別するための第2の識別情報とをユーザ個人のユーザ識別情報と対応づけて記憶する記憶手段と、情報処理装置から、第1の取得要求を受信する受信手段と、受信した前記第1の取得要求に応じて、前記第1の組及び前記第1の識別情報を送信する送信手段と、を有し、前記送信手段は、前記情報処理装置が送信した前記ユーザ識別情報と対応づけされた前記第2の組及び前記第2の識別情報を取得するための第2の取得要求に応じて、ユーザ認証画面を前記情報処理装置に表示させるための要求を送信し、前記ユーザ認証画面を介した認証が成功した後に前記情報処理装置から受信した前記ユーザ識別情報と対応づけて前記記憶手段に記憶された前記第2の組及び前記第2の識別情報を前記情報処理装置に送信することを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザと印刷プリセットの対応情報を記憶することにより、プリントクライアントを利用する通信装置に対してユーザが使用する印刷プリセットを適切に通知できるようになる。また、本発明の1つの側面としては、認証されたユーザによる操作に基づいて、適切に印刷プリセットを登録できる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】MFP101のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】MFP101のソフトウェア構成の一例を説明する図である。
【
図4】通信装置102のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】画像形成システムにおける処理手順の一例を説明するシーケンス図である。
【
図6】画像形成システムにおける処理手順の一例を説明するシーケンス図である。
【
図7】MFP101に記憶される設定情報の一例を説明する図である。
【
図8】属性情報を取得するリクエスト及びレスポンスの一例を説明する図である。
【
図9】通信装置102が生成する印刷データの一例を説明する図である。
【
図10】通信装置102の操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図11】通信装置102の操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図12】通信装置102の操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図13】通信装置102の制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図14】通信装置102の制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図15】通信装置102の制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図16】MFP101の制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図17】MFP101の制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図18】MFP101の制御の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
<第1の実施形態>
まず
図1を用いて、本発明に係る画像形成システムの構成を説明する。本実施形態に係る画像形成システムは、通信装置102a~c、MFP(Multi Function Peripheral)101、AP(アクセスポイント)103を含む。ネットワーク100上には、MFP101、AP103、通信装置102cが互いに通信可能に接続されている。本実施形態では画像形成装置の一例としてMFP101を説明する。また、通信装置の一例として、通信装置102a~102b、及び、通信装置102cを説明する。本実施形態では、一例として、通信装置102aがタブレット端末、通信装置102bがスマートフォンなどの携帯端末、通信装置102cがPC(Personal Computer)である場合を示している。
【0016】
通信装置102a~bはAP103を介してネットワーク100上のMFP101と互いに通信することができる。通信装置102cはLANケーブルを介してネットワーク100に接続され、ネットワーク100上のMFP101等の装置と互いに通信することができる。なお、本実施形態では、画像形成システムの一例として上記の構成を説明するが、これに限定されるものではない。1つ以上の通信装置と画像形成装置とがネットワークを介して通信可能に接続されていればよい。なお、AP103を介した通信は例えばIEEE802.11シリーズに準拠する無線通信である。更に、通信装置102とMFP101がWi-Fi Direct(登録商標)や、Wi-Fi Aware(登録商標)などのアドホックネットワークを介したダイレクト無線通信で相互通信することもできる。
【0017】
まず、MFP101について説明する。MFP101は原稿上の画像を読み取る読取機能、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。MFP101は、ネットワークを介して受信した印刷データに基づく印刷処理を実行することができる。
【0018】
図2は、MFP101のハードウェア構成を示すブロック図である。MFP101はシート上の画像を読み取る読取機能、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。他にもMFP101は、画像を外部の通信装置に送信するファイル送信機能などを有している。
【0019】
なお、本実施形態では画像形成装置の一例としてMFP101を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、読取機能を有さないSFP(Single Function Peripheral)等の印刷装置であってもよい。
【0020】
CPU(Central Processing Unit)111を含む制御部110は、MFP101全体の動作を制御する。CPU111は、ROM(Read Only Memory)112又はストレージ114に記憶された制御プログラムを読み出して、印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。ROM112は、CPU111で実行可能な制御プログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)113は、CPU111の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ114は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。本実施形態ではストレージ114としてHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を想定しているが、HDDの代わりにSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを用いるようにしても良い。このように、CPU111、ROM112、RAM113等のハードウェアは、いわゆるコンピュータを構成している。
【0021】
なお、本実施形態のMFP101では、1つのCPU111が1つのメモリ(RAM113)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のCPU、RAM、ROM、及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行することもできる。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0022】
操作部インタフェース(I/F)115は、操作部116と制御部110を接続する。操作部116には、タッチパネル機能を有する液晶表示部や各種ハードキーなどが備えられ、情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。
【0023】
読取部I/F117は、読取部118と制御部110を接続する。読取部118は原稿を読み取って、読取画像を生成する。なお、生成された読取画像はストレージ114又はRAM113に格納されるものとする。読取部118によって生成された読取画像は通信装置に送信されたり、シート上への画像の印刷に用いられたりする。
【0024】
画像処理部124は、ネットワークを介して受信した印刷データを展開し印刷画像を生成するRIP(Raster Image Processor)を備えている。また、画像処理部124は、画像の解像度変換や補正処理を行うこともできる。なお、本実施形態では、画像処理部124がハードウェア回路(ASIC又はFPGAなど)で実現されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、MFP101が画像処理用途向けのプロセッサを備え、当該画像処理用途向けのプロセッサが画像処理プログラムを実行することにより画像処理や、印刷データの展開処理を実現してもよい。この場合、画像処理用のプロセッサとCPU111が協働して後述するフローチャートを実現するものとする。更には、画像処理を行うためのプログラムをCPU111が実行し、画像処理や印刷データの展開処理を行うように構成することもできる。また、これらのいずれかの組み合わせにより画像処理を行うようにしてもよい。
【0025】
印刷部I/F119は、印刷部120と制御部110を接続する。画像処理部124によって印刷データを解析して生成された印刷画像は印刷部I/F119を介して制御部110から印刷部120に転送される。印刷部120は制御部110を介して制御コマンド及び印刷画像を受信し、当該画像に基づいて給紙カセット(不図示)から給送されたシートに画像を印刷する。なお、印刷部120の印刷方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。また、熱転写方式などその他の印刷方式を適用することもできる。シート処理部I/F121は、制御部110とシート処理部122を接続する。シート処理部122はCPU111からの制御コマンドを受信し、その制御コマンドに従って印刷部120により印刷されたシートに後処理を施す。例えば、複数のシートを揃える、シートにパンチ穴を開ける、複数のシートを綴じる、などの後処理を実行する。また、シート処理部122が備える後処理の機能や後処理の能力は、予め(例えば、MFP101の起動時など)シート処理部I/F121を介して制御部110に通知され、ストレージ114又はRAM113に格納される。
【0026】
また、制御部110は、通信部I/F123を介してネットワーク100に接続される。通信部I/F123は、ネットワーク100上の通信装置に画像や情報を送信したり、ネットワーク100上の通信装置から印刷データや情報を受信したりする。
【0027】
続けて、通信装置102のハードウェア構成について
図3を用いて説明する。
図3は、通信装置102のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
制御部130に含まれるCPU131は、ROM132又はストレージ134に記憶された制御プログラムを読み出して、通信装置102を制御する。
【0029】
制御部130は、バスに接続されたCPU131、ROM132、RAM133、ストレージ134、通信部I/F143、操作部I/F135を含む。
【0030】
CPU131は制御部130全体の動作を制御する中央演算装置(プロセッサ)である。RAM133は揮発性メモリであり、ワークエリア、ROM132及びストレージ134に格納された各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。
【0031】
ROM132は不揮発性メモリであり、通信装置のブートプログラムなどが格納されている。ストレージ134はRAM133と比較して大容量な不揮発性のフラッシュメモリである。ストレージ134には、通信装置102の制御用プログラムが格納されている。また、通信装置102全体を制御するためのOS(Operating System)やIPP(Internet Printing Protocol)に準拠するプリントクライアントもストレージ134に格納されている。
【0032】
CPU131はRAM133上に展開したOSのプログラムやプリントクライアントのプログラムを実行し、通信装置の制御を行う。このように、CPU131、ROM132、RAM133等のハードウェアは、いわゆるコンピュータを構成している。
【0033】
なお、通信装置102は、1つのCPU131が後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば、複数のプロセッサが協働して後述するフローチャートに示す各処理を実行するようにすることもできる。
【0034】
操作部I/F135は、操作部136と制御部130を接続する。操作部136は、ユーザのタッチ操作を検出可能なタッチパネルと、各種画面を表示する表示パネルを備えている。操作部136は、情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。操作部136には、OSやプリントクライアントが提供する各種画面が表示される。また、ユーザは操作部136に指などのオブジェクトを用いてタッチ操作を行うことで、通信装置102に所望の操作指示を入力することができる。また操作部136には、ハードウェアキーが備えられていてもよい。この場合ユーザはハードウェアキーを押下して通信装置102に操作指示を入力することもできる。
【0035】
通信部I/F143は、通信装置と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信装置がタブレット端末102a、スマートフォン102bの場合AP103を介してネットワーク100上の通信装置とデータの送受信を行うことができる。なお、通信装置がPC102cの場合、LANケーブルを介してネットワーク100上の通信装置とデータの送受信を行うよう構成されていてもよい。
【0036】
前述したように各通信装置102はプリントクライアントの機能を実現するプログラム(プリントクライアントアプリケーションのプログラムとも呼ぶ)を保持している。当該プリントクライアントの機能を実現するプログラムは図示省略のアプリケーションサーバを介して通信装置102にインストールされたり、OSの基本機能としてプリントクライアントの機能を実現するプログラムが組み込まれていたりするものとする。
【0037】
<MFP101のソフトウェア構成>
図4は本実施例におけるMFP101のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
MFP101は、Webサーバ機能を提供するWebサーバ416とWebサーバ上で動作してなんらかのサービスを提供するWebサービス(414、415)を有している。
【0039】
Webサーバ416はHTTP(HyperText Transfer Protocol)通信でHTTPリクエストを受信し、リクエストで指定されたWebサービスにリクエストを割り振り、Webサービスにサービスを提供させる。Webサーバ416は、リクエストに含まれるポート番号やURL(Uniform Resourse Locater)に基づき割り振り先のWebサービスを決定するものとする。
【0040】
IPPサービス414は、IPPに準拠するWebベースの印刷サービスを通信装置などの外部端末に提供するWebサービスである。IPPサービス414は、MFP101の属性情報(MFP101の印刷能力、後処理能力を示す情報や、印刷プリセット)を通信装置に通知したり、通信装置からIPPに準拠する印刷データを受信して印刷ジョブ生成部402に送信したりする機能を有する。また、IPPサービス414は、IPPに準拠するプリントクライアントから印刷プリセットの登録要求を受け付け、設定記憶部403に印刷プリセットを登録する機能を有する(印刷プリセットに関する詳細は後述する)。
【0041】
リモートUIサービス415は、MFP101の機器設定及び管理を外部のWebブラウザを介して実行するリモートユーザインタフェース機能を提供するWebサービスである。通信装置102cのWebブラウザなどからリモートUIサービス415を利用することで、管理者等のユーザはMFP101の多種多様な機器設定をPCなどのディスプレイ上で確認したり、変更したりすることができる。本実施形態では、WebブラウザからリモートUIサービス415にアクセスすることで、少なくともIPPに関する設定変更や印刷プリセット(IPP Presets)に関する設定変更を行うことができるものとする。
【0042】
UI制御部401は、操作部116に表示する画面を制御する。例えば、UI制御部401は、ジョブ制御部408から処理中の印刷ジョブの状態に関する情報を取得し、印刷ジョブの処理状況を操作部116上に表示する。また、UI制御部401は印刷プリセットの登録及び管理を行う画面を操作部116上に表示することもできる。
【0043】
印刷ジョブ生成部402はIPPサービス414経由で受信した印刷データに基づきジョブ制御部408に新規ジョブを登録し印刷処理の開始を要求する。また、印刷ジョブ生成部402は受信した印刷データをデータ受信制御部406に転送する。
【0044】
印刷ジョブ生成部402により印刷ジョブが生成されると、ジョブ属性保存部409に印刷ジョブの属性が記憶される。
【0045】
ユーザ情報保存部404は、ユーザに関する情報を記憶する。ユーザに関する情報はユーザを認証するために使用する認証情報(ユーザIDやパスワードなどのクレデンシャル)や、ユーザ毎にMFP101で利用できる機能を制限する機能情報を含む。
【0046】
印刷プリセット保存部405はMFP101に保存された印刷プリセットの管理、更新、参照、保存の機能を提供する。IPPサービス414やリモートUIサービス415は、印刷プリセット保存部405に保存されている印刷プリセットを参照又は更新したり、新たな印刷プリセットを登録したりすることができる。
【0047】
データ受信制御部406は印刷ジョブ生成部402が受信した印刷データのバッファ領域であり、印刷ジョブ毎に受信データをストレージ114に一時保存する。ジョブ制御部408は、特定の印刷ジョブの実行準備が整ったことに従って、PDL解析部407に当該特定の印刷ジョブのPDL解析処理を指示する。PDL解析部407は、当該特定の印刷ジョブに対応する印刷データをデータ受信制御部406に要求する。データ受信制御部406は当該特定の印刷ジョブに対応する印刷データをPDL解析部407に転送する。
【0048】
PDL解析部407は、ジョブ属性保存部409に保存された特定の印刷ジョブの属性情報(例えば、部数、Nup、カラーモード、後処理の設定など)と、当該特定の印刷ジョブに対応する印刷データに基づき中間データを生成する。生成された中間データは、RIP制御部412に転送される。RIP制御部412は、画像処理部124が有するRIPと協働して中間データをラスターイメージに変換する。印刷制御部410はRIP制御部412により生成されたラスターイメージを取得し、CMYKに色分解した印刷画像をエンジン制御部413に転送する。エンジン制御部413は、印刷部120や、シート処理部122と協働して、CMYK別の印刷画像に基づきシートに画像を形成したり、画像形成済みのシートにステイプルなどの後処理を実行したりする。
【0049】
<印刷プリセット>
続けて、印刷プリセットについて説明する。IPPに基づくプリントクライアントにおけるユーザの利便性を高めるために、印刷プリセットがPWG(Printer Working Groap)で考えられている。PWGによって仕様策定中の印刷プリセット(IPP Presets)は、印刷設定項目ならびに印刷設定値の組の集合に名称を付与したものである。印刷プリセットを使用すると、例えば、両面、カラー設定、ステイプルの設定等、個々の印刷設定の値(設定内容とも呼ぶ)を一括して印刷設定に反映することができるためユーザの利便性が高い。
【0050】
ここで、本実施形態では、これらの印刷プリセットを画像形成装置の記憶領域である印刷プリセット保存部405などに予め記憶しておき、画像形成装置と連携するプリントクライアントに提供するよう構成する。IPPに準拠するプリントクライアントは、当該印刷プリセットをMFP101から取得して、クライアント側における印刷設定に使用することができる。
【0051】
ところで、ユーザの好みやユーザが従事する業務などにより、ユーザ毎に好ましい印刷プリセットが異なることが考えられる。例えば、プレゼンテーションの配布資料を頻繁に印刷するユーザは、「A4、2in1、両面、シートの長辺の2箇所をステイプルで綴じる」などの印刷プリセットを使用したい。また例えば、図面を頻繁に印刷するユーザは「A3、モノクロ、片面、後処理を行わない」などの印刷プリセットを使用したいなど、ユーザ毎に好ましい印刷プリセットは異なる。
【0052】
ここで、各ユーザの利便性を高めるために、各ユーザが使用したい印刷プリセットを一律に画像形成装置内に記憶すると、画像形成装置が記憶する印刷プリセットの量が膨大となってしまう恐れがある。この場合、プリントクライアントに印刷プリセットを提供したとしても、多数の印刷プリセットの中からユーザが所望する印刷プリセットを見つけることが困難となる懸念がある。
【0053】
一方、画像形成装置に登録できる印刷プリセットの数に上限を設けることで設定が煩雑とならないように運用することも考えられる。しかしながら、この場合、登録できる印刷プリセットが少なくなり、ユーザが所望する印刷プリセットを網羅できないといった問題がある。
【0054】
上述の課題の少なくとも1つを鑑み、本実施形態では、ユーザと印刷プリセットの対応情報を記憶することにより、プリントクライアントを利用する通信装置に対してユーザが使用する印刷プリセットを適切に通知できる仕組みを提供する。また、本実施形態では、認証されたユーザによる操作に基づいて、適切に印刷プリセットを登録できる仕組みを提供する。
【0055】
以下、本実施形態における印刷プリセットの通知、活用、登録の仕組みについて説明する。
図5及び
図6は、通信装置102とMFP101との通信の一例を示すシーケンス図である。
【0056】
図5はプリントクライアントとの間でユーザ認証を行い、ユーザ毎にカスタマイズされた印刷プリセットを取得して使用する場合を例示するシーケンス図である。一方、
図6は、プリントクライアントとの間でユーザ認証を行わずに、共通の印刷プリセットを取得して使用する場合を例示するシーケンス図である。
【0057】
<管理者による印刷プリセットの登録>
まず、共通の印刷プリセットの登録管理について説明する。MFP101の管理者は、通信装置102cが備えるWebブラウザを介してリモートUIサービスが提供する印刷プリセットの管理画面にアクセスすることができる。管理者はWebブラウザに表示された管理画面を介して印刷プリセットに関する設定操作を行う(500)。通信装置102cは、500でなされた設定操作に基づいて印刷プリセットを更新又は登録するリクエストを送信する(501)。
【0058】
印刷プリセットを更新又は登録するリクエストを受信したMFP101のリモートUIサービス415は、印刷プリセット保存部405が管理する印刷プリセットを更新したり、保存部405に印刷プリセットを新規登録したりする(502)。
【0059】
続いて、
図10を用いて、リモートUIサービス415を使用した印刷プリセットの管理について説明する。
図10は、リモートUIサービス415が提供するWebページに基づき、通信装置102の操作部136に表示される画面の一例を示す図である。
図10(A)~(C)では、図示省略のログイン画面を介して管理権限を有するユーザのログイン認証が行われた後の設定画面を例示している。管理者権限を有するユーザはリモートUIサービス415が提供する画面を介して様々な機器設定を行うことができる。
図10(A)及び(B)はMFP101のネットワーク設定に属するIPP印刷に関する設定画面を例示している。本実施形態では、IPP印刷に関する設定画面から印刷プリセットの登録画面に遷移できるように画面を構成している。
【0060】
図10(A)は、MFP101の機器設定としてIPP印刷を使用しない設定がなされている場合における設定画面である。表示アイテム1002は、印刷プリセットの登録画面に遷移するためのキーである。IPP印刷を使用しない設定がなされている場合においては、IPPで使用する印刷プリセットを登録する必要がないため、グレーアウトで表示するよう構成している。また、プリンタ名やDescriptionなどのインプットフィールドについても入力を受け付けないように構成している。
【0061】
なお、IPP印刷を使用しない設定がなされている場合における、Webページの形態はこれに限定されるものではない。例えば、1002に相当する表示アイテムや、「Manage Presets」のラベル及び説明を含まないWebページを提供するようにしてもよい。
【0062】
また、ユーザは、表示アイテム1001のチェックボックスを選択することにより、IPP印刷を行うか否かの設定を変更することができる。リモートUIサービス415は、ユーザによる変更指示によって発生したHTTPリクエストを受信すると、
図10(B)に示す画面に対応するWebページを通信装置102cに返す。また、リモートUIサービス415は、MFP101の機器設定を変更する。具体的には、IPP印刷を使用しない(IPP印刷を許可しない)設定からIPP印刷を使用する設定に変更する。
【0063】
通信装置102cのWebブラウザは、HTTPリクエストのレスポンスとして受信したWebページに基づいて
図10(B)に例示する画面を描画する。この処理により、MFP101のIPP印刷を使用する設定がONになされたことに連動して、IPPの印刷プリセットの登録を行うための表示アイテムが利用可能になる。この処理は、印刷プリセットの設定が行えることをより強調することができるという効果がある。
【0064】
なお、本実施形態では、
図10(A)から
図10(B)への画面遷移をリモートUIサービス415と連携して実現する場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、通信装置102のWebブラウザ上でスクリプトを実行させ、表示アイテム1002を表示するか表示アイテム1003を表示するかを動的に切り替えるようにすることもできる。
図10(B)の表示アイテム1003は、印刷プリセットの登録画面に遷移するためのキーである。
図10(B)に例示しているように、表示アイテム1003は通常状態(グレーアウトしていない状態)で表示される。リモートUIサービス415は、表示アイテム1003がユーザにより選択されたことに応じて発生したHTTPリクエストを受信すると、
図10(C)に示す管理画面に対応するWebページを通信装置102cに返す。
図10(C)には、印刷プリセットの名称を示す領域1004と、当該印刷プリセットを編集するためのボタン1005及び、当該印刷プリセットを削除するためのボタン1006が表示される。管理者は
図10(C)の管理画面を介して、MFP101で共通で使用される印刷プリセットを登録することができる。例えば、印刷コストを下げるために「2in1、両面、モノクロ」で印刷するといった印刷プリセットを事前登録し、ユーザに使用を促すことができる。なお、
図10(C)では明示していないが、管理者は管理画面を介して認証ユーザによって登録された印刷プリセットを登録、編集、削除することもできるものとする。
【0065】
図10で説明した登録処理で登録された印刷プリセットは、印刷プリセット保存部405に記憶される。
図7(A)~(C)は印刷プリセット保存部405が記憶する情報とユーザの関係を説明するための図である。設定項目701は、印刷プリセットを構成する各設定項目を示している。また属性値702は、個々の印刷プリセットを示す属性値を示している。
【0066】
本実施形態では、名称703と印刷プリセットを構成する設定項目706に加えて、ユーザが使用する印刷プリセットを決定づけるための識別情報を格納するための項目704及び項目705を有している。項目704は、印刷プリセットが共通、すなわち標準プリセットであるのか、個人用プリセットであるのかの識別をするための情報を格納するフィールドであり、「標準」又は「ユーザ」が格納される。また、項目705は、印刷プリセットの所有者を識別するためのフィールドであり、印刷プリセットの所有者が格納される。標準プリセットは、いずれのユーザでも参照が可能なため、項目705には「Guest」が格納される。一方、個人用プリセットにはユーザを識別するための識別情報が格納される。これらの項目704及び705を使用してプリントクライアントに通知すべき印刷プリセットを絞り込むことができる。
【0067】
なお、本実施形態では、個人用プリセットに関連付けてユーザの識別子(ユーザID)を登録することで印刷プリセットの所有者を特定する場合を例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、複数のユーザをグループに紐付けて管理している場合、当該グループ単位で印刷プリセットを記憶するようにしてもよい。この変形例について
図7(B)、(C)を用いて説明する。
図7(C)は、MFP101においてユーザ認証を行う場合に使用するユーザDBの項目を例示するものである。ここでは、ユーザIDが「Suzuki」のユーザは、「Accounting」グループに属しており、ユーザIDが「Tanaka」、「Sato」のユーザは「Sales」グループに属している場合を例示している。なお、ユーザDBはMFP101が記憶していてもよいし、図示省略の認証サーバが有していても良い。認証サーバがユーザDBを有する構成の場合は、認証サーバにユーザの認証を依頼するものとする。
【0068】
変形例では、
図7(B)に示すように個人用プリセットとグループの識別子707を関連付けて登録する。このような形式でユーザとユーザが使用する印刷プリセットを関連付けるようにすると、個人用プリセットに比べてカスタマイズの粒度は下がるが、グループ毎に印刷プリセットを共有できるという利点がある。同じグループに属するユーザは同様の業務に関わるケースが多い。例えば、「Sales」グループに属するユーザは、顧客に提示するプレゼンテーションの配布資料などを頻繁に印刷するケースがあることが容易に想到される。このように、グループ間で印刷プリセットを共有するように変更してもよい。更に、グループに印刷プリセットを関連付けるか、ユーザに印刷プリセットを関連付けるかをMFP101の機器設定として事前設定できるようにすることもできる。これらの機器設定はストレージ114等に記憶される。この場合、MFP101はストレージに記憶された設定に応じて、ユーザ毎に個人用プリセットを登録するか、グループ単位でグループ用プリセットを登録するかを使用環境に応じて異ならせることができる。
【0069】
このように、印刷プリセット保存部405は、ユーザを識別する情報に基づいて印刷プリセットを参照できる形式で情報を記憶する。データ構造はリレーショナルデータベースを採用してもよいし、NoSQLを採用することもできる。
【0070】
<印刷プリセットの取得>
図5の説明に戻り、プリントクライアントとの連携処理について説明する。通信装置102のユーザは、通信装置102の操作部136を介してプリントクライアントを起動するユーザ操作を行う(503)。プリントクライアントを起動するユーザ操作を受け付けた通信装置102は、周囲の画像形成装置などのプリンタを探索する探索要求をブロードキャストする(504)。例えば、探索要求はmDNS(Multicast Domain Name Service)などを使用することができる。なお、本動作はプリンタが登録されていない場合の処理を示している。使用可能なプリンタが事前登録されているケースにおいては、519の印刷設定画面に遷移する。
【0071】
探索要求を受信したMFP101は、検索に対する応答を送信する(505)。MFP101などのプリンタからの応答を受信した通信装置102は、プリンタの属性情報であって、プリンタの所有する能力や、共通で使用できる印刷プリセットなどを含むプリンタの属性情報を取得するためのリクエストを送信する(506)。なお、複数のプリンタが見つかった場合や、プリンタを確認する目的で図示省略の選択画面を表示し、当該選択画面を介して選択されたプリンタに対してリクエストを送信するよう構成にしてもよい。
【0072】
ここでは、通信装置102は、IPPで規定されているGet-Printer-Attributesコマンドを使用して、MFP101に取得リクエストを送信するものとする。以降説明の簡略化のためにプリンタの所有する能力や共通で使用できる印刷プリセットなどを含むプリンタの属性情報を属性情報(共通)、共通の属性情報などと呼ぶものとする。なお、MFP101は、共通の属性情報としてゲストユーザ向けに機能制限された能力情報を通知するようにしてもよい。
【0073】
プリンタの属性情報を取得するためのリクエストであるGet-Printer-Attributesを受信したMFP101は、当該リクエストのレスポンスとして、MFP101の属性情報を送信する(507)。当該取得リクエストに基づいて取得される属性情報について
図8を用いて説明する。
図8(A)は、取得リクエストで送信される情報801と、当該取得リクエストのレスポンスとして得られる属性情報802の一例を示している。
【0074】
属性情報802には、MFP101の印刷や後処理の能力を示す能力情報と、標準で使用されるプリセット情報804が含まれる。MFP101は、自身の有する能力情報(例えば、サポートするカラーモード、用紙、後処理など)に基づき能力情報を生成する。更に、能力情報には、ユーザ毎の機能制限やカスタマイズをサポートするか否かの情報が含まれる。MFP101は、MFPの機器設定としてユーザ認証機能を使用する設定がなされている場合は当該ユーザ毎の機能制限やカスタマイズを行うためのオペレーションをサポートしていることを能力情報に記載する。一方、ユーザ認証機能を使用しない設定がなされている場合は、当該オペレーションをサポートしていることを能力情報に記載しないよう制御する。例えば、当該ユーザ毎の機能制限やカスタマイズを行うためのオペレーションは「Get-User-Printer-Attributes」である。
【0075】
また、印刷プリセット保存部405に保存された印刷プリセットに基づいて、共通で使用される印刷プリセットの一覧を含むプリセット情報804を生成する。MFP101は、当該生成した能力情報と、プリセット情報を含む属性情報(共通)802を通信装置102に送信する。
【0076】
図5の説明に戻り、属性情報(共通)を受信した通信装置102は、プリンタの属性情報を更新する(508)。この処理により、通信装置102のプリントクライアントはプリンタの能力にあった印刷設定画面を表示したり、受信したゲスト用の印刷プリセットを活用したりできる状態となる。
【0077】
以降のシーケンスでは、「Get-User-Printer-Attributes」をサポートするという応答が返ってきた場合の制御を説明する。なお、「Get-User-Printer-Attributes」をサポートしないという応答が返ってきた場合、通信装置102は、509乃至518の処理をスキップし、印刷設定のシーケンス(519以降の処理)に進むものとする。
【0078】
続いて、通信装置102は、ユーザ毎の機能制限やユーザ毎のカスタマイズ情報を含むプリンタの属性情報を取得するリクエストをMFP101に対して送信する(509)。ここでは、PWGで仕様策定が進められているGet-User-Printer-Attributesコマンドを使用して、MFP101にユーザ毎の機能制限やカスタマイズ情報を含むプリンタの属性情報を取得する取得リクエストを送信するものとする。以降説明の簡略化のためにユーザ毎の機能制限やカスタマイズ情報を含むプリンタの属性情報を属性情報(個人)、個人の属性情報などと呼ぶものとする。
【0079】
属性情報(個人)の取得リクエストを受信したMFP101は、HTTPによるユーザ認証要求を送信する。例えば、認証要求は公知のBASIC認証やDigest認証を用いるものとする。この際、通信路上を流れるデータをTLSなどで暗号化する(IPPSを利用する)ようにしてもよい。なお、MFP101と通信装置との間で認証セッションが確立している場合は、510~515の処理はスキップされるものとする。MFP101は、RAM113又はストレージ114にセッションを管理するセッションIDに紐付いたセッション変数としてユーザIDを一時的に記憶する。この処理により当該セッションIDを含むリクエストがいずれのユーザから送られてきたものであるか特定することができる。また、当該セッションIDに基づきいずれのユーザの機能制限やカスタマイズ情報を送るべきか特定することができる。即ち、本実施形態において、通信装置102から受信したリクエストに含まれるセッションIDはユーザを識別する識別情報として利用される。
【0080】
認証要求を受信した通信装置102は、認証画面を表示する(511)。認証画面について
図11の画面を例に説明する。
図11(A)~(D)はPCである通信装置102cのプリントクライアントが提供する画面の一例を示すものである。また、
図11(A)の画面は511で表示される認証画面の一例を示している。ダイアログ1101は、ユーザ情報を入力するためのダイアログである。
【0081】
個人用にカスタマイズされた印刷プリセットや、個人向けの機能制限を反映したいユーザは、認証情報(ユーザ名及びパスワード)を入力フィールド1102及び1103に入力し、OKボタン1104を押下する(512)。また、ゲストユーザの権限でMFP101を使用できれば良いユーザは、ゲストキー1105又はキャンセルキーを押下する。
【0082】
認証情報の入力が受け付けられ、OKボタンの押下されたことを検知した通信装置102は、当該認証情報をMFP101に送信する(513)。認証情報を受信したMFP101は当該受信した認証情報に基づき認証処理を実行する(514)。ここでは、ユーザIDが「Suzuki」であるユーザの認証が成功したものとして説明する。
【0083】
認証が成功するとMFP101は、認証がOKであること、セッションID、ユーザIDを通信装置102に送信する(515)。以降セッションが有効に管理されている期間は、セッションIDを使用して通信装置のユーザを特定することができるようになる。通信端末102は、受信したユーザID、セッションIDをストレージ134等に記憶する。
【0084】
続けて、通信装置102は、識別情報を含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストをMFP101に対して送信する(516)。
【0085】
なお、本実施形態では、Digest認証又はBASIC認証を使用してユーザ認証を行う場合を例示したがこれに限定されるものではない。Oauthなどを使用してプリントクライアントにアクセストークンを付与するようにしてもよい。この場合、アクセストークンを含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストがMFP101に対して送信されるものとする。
【0086】
識別情報(セッションID)を含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストを受信したMFP101は、識別情報に基づき当該取得リクエストを送信したユーザを特定する。更に、当該ユーザの機能制限情報や、当該ユーザが使用できる個人用の印刷プリセットに基づきプリセット情報を含む属性情報(個人)を生成する。最後に、当該生成した属性情報(個人)を516で送信されたリクエストに対するレスポンスとして通信装置102に送信する(517)。
【0087】
属性情報(個人)の取得リクエストに基づいて取得される属性情報について
図8(B)を用いて説明する。
図8(B)は、当該属性情報(個人)の取得リクエストで送信される情報805と、当該取得リクエストのレスポンスとして得られる属性情報806の一例を示すものである。805では図示を省略しているが当該取得リクエスト(HTTPリクエスト)の拡張ヘッダには識別情報としてのセッションIDが含まれている。情報808は、512~515の処理で認証されたユーザである「Suzuki」に対応付けられた印刷プリセットを示すプリセット情報である。具体的には、
図7(A)、(B)で説明した「My preset-1」、「My preset-2」、「My Preset-3」が付加されている。なお、本実施形態では、このタイミングにおいては共通のプリセット情報を含まない属性情報806を送信するよう制御しているがこれに限定されるものではない。属性情報806に個人用のプリセット情報に加えて、共通のプリセット情報を含めて送信するようにしてもよい。
【0088】
続いて、属性情報(個人)を受信した通信装置102は、プリントクライアントのデフォルト設定を更新する。また、使用できる印刷プリセットを更新する(518)。
【0089】
以上の一連の流れによりユーザ毎の属性情報やユーザ毎にカスタマイズされた印刷プリセットをプリントクライアントの設定に反映することができる。
【0090】
一連の初期設定が完了すると、通信装置102は、印刷設定画面を表示する。
図11(B)の画面は初期設定が完了した後の印刷設定画面の一例を示している。
【0091】
<プリントクライアントを介した印刷プリセットの登録>
リスト1106は、印刷プリセットに関する設定を行うために使用する表示アイテムである。ユーザは、リスト1106に表示される選択肢を利用することでMFP101へ対する印刷プリセットの新規登録、更新、印刷プリセットの再取得、プリントクライアント内への印刷プリセットの新規登録などの操作を行うことができる。
【0092】
図11(C)は
図11(B)において、リスト1106が選択されたことに応じて操作部136に表示される画面の一例を示すものである。
【0093】
領域1107に表示されるプルダウンリストには印刷プリセット関連の機能の一覧が表示される。以下、各々の印刷プリセット関連の機能について説明する。
【0094】
選択肢1108は、通信装置102cにおけるIPP印刷設定時に、デフォルトで選択される印刷プリセットを設定するための選択肢である。選択肢1109は、前回使用した印刷プリセットを再セットするための選択肢である。
【0095】
また、本実施形態では、頻繁に使用される印刷プリセットについて、印刷プリセットを選択する際に深い階層を辿らずに短手番で選択するための仕組みを有している。選択肢1110は頻繁に使用される印刷プリセットを簡単にセットするためのショートカットキーである。なお、本実施形態では選択肢が1つである場合を例示しているがこれに限定されず、頻繁に使用される印刷プリセットを複数(例えば、3つなど)表示するようにしてもよい。この場合、プリセット名称が分かるよう選択肢のラベルにプリセット名称を使用するものとする。
【0096】
選択肢1111は、現在の印刷設定に基づいて印刷プリセットを生成し、プリントクライアント内部に登録する場合に使用する選択肢である。選択肢1112は、選択肢1111とは異なり、現在の印刷設定状態を通信先のプリンタ(例えばMFP101)に登録する場合に使用する選択肢である。選択肢1111や1112が選択されたことを検知すると新たなプリセット名称を入力する画面である
図11(D)に遷移する。
図11(D)の画面にはプリセット名称を入力する入力フィールド1117が表示され、ユーザはプリセット名称を設定することができる。OKキーが押下されると印刷プリセットの登録処理が行われる(詳細は後述する)。
【0097】
選択肢1113は、現在利用できるすべての印刷プリセットを表示するための選択肢である。ここですべての印刷プリセットとは、ローカル(プリントクライアント)に保存された印刷プリセットと、MFP101などのプリンタから取得された印刷プリセットを含むものとする。選択肢1114は、印刷プリセットを新規に作成する場合に使用する選択肢である。この場合、例えば図示省略の設定ウィザードなどを介して印刷プリセットを新規に作成することができる。
【0098】
選択肢1115は、共有プリセットを再取得する場合に使用する選択誌である。選択肢1115が選択されると、通信装置102は、
図5で説明した506~508に似た処理を実行し、印刷プリセットの更新処理を行う。選択肢1115に基づく処理と、506~508の処理との差異は、取得した印刷プリセットのみを更新し、プリンタの能力情報は更新しない点である。
【0099】
選択肢1116は、MFP101に保持されている個人用プリセットを再取得する場合に使用する選択肢である。選択肢1116が選択されると、通信装置102は、
図5で説明した509~518の処理を行い印刷プリセットの更新処理を行う。
【0100】
図5の説明に戻り、印刷プリセットの登録処理について説明する。ユーザは
図11(B)等の画面を介して印刷プリセットの登録操作を行う(520)。通信装置102は、MFP101へ印刷プリセットを登録するユーザ操作がなされたことを検知すると、通信装置102は、識別情報(セッションID)を含む印刷プリセットの登録リクエストを送信する(521)。ここでは、PWGで策定中のSet-User-Printer-Attributesコマンドを使用して印刷プリセットの登録をリクエストするものとする。なお、上記記載は一例であり、ワーキンググループなどで仕様検討がなされている同目的、類似目的のコマンドであってもよい。
【0101】
印刷プリセットの登録リクエストを受信したMFP101は、登録処理を実行する(522)。ここでは、識別情報に基づき特定されたユーザに対応付けて同名の印刷プリセットが記憶されていれば、当該印刷プリセットを更新するよう制御する。また、同名の印刷プリセットがない場合は、当該ユーザに対応付けて新たな印刷プリセットを登録する。なお、
図7(B)、(C)に示したように印刷プリセットをグループに紐付ける場合には、当該ユーザが所属するグループIDに対応付けて印刷プリセットを登録するものとする。なお、作成可能な個人用プリセットの所定の上限数(例えば、5つなど)に達している場合は、印刷プリセットを登録することなくエラーを通知するようにしてもよい。上限数に達している場合の処理はこれに限定されない。例えば、登録済みの印刷プリセット名称をユーザに通知し、不要な印刷プリセットを選択させ、当該不要な印刷プリセットに代えて新たな印刷プリセットを登録するよう制御することもできる。
【0102】
MFP101は、522の登録処理が完了すると、完了通知を送信する(523)。以上説明した処理によりIPPに準拠するプリントクライアントから印刷プリセットの登録を受け付けることができる。
【0103】
<印刷プリセットの利用>
続いて、印刷プリセットの利用について説明する。ユーザは、
図11(C)のプルダウンリストや図示省略の印刷プリセットの一覧画面から印刷プリセットを選択する操作を行う(524)。選択操作を検知した通信装置102は、当該選択された印刷プリセットに対応付けて記憶された印刷設定項目ならびに印刷設定値の組み合わせに基づいて印刷設定を更新する。また、操作部136に表示する印刷設定画面にも当該印刷設定を反映する(525)。ここでは、
図7(A)又は(B)で説明した「My preset-1」が選択されたものとして説明する。
【0104】
ユーザは、
図11に示す画面を介して印刷開始の操作を行う(526)。印刷開始の操作を検知した通信装置102は、現在の設定に基づき印刷データを生成し、当該印刷データをMFP101へ送信する(527)。
図9は、「My preset-1」が選択後に印刷開始の操作が行われたことに応じて生成された印刷データの属性情報を説明するための図である。901に示すように「My preset-1」で更新された印刷設定に基づいて「カラー、両面、左上1か所を綴じる」といった印刷属性が反映された印刷データが生成される。なお、印刷プリセットが選択された後にユーザによって更なる印刷設定が行われた場合には、当該設定が反映された印刷データが生成されるものとする。なお、
図9に示すように印刷データの属性情報には、印刷を要求するユーザの名称が付加されている。この名称は、515の認証成功時に記憶したユーザIDに基づいて付加される。印刷データの属性情報に付加されたユーザIDを示す情報は、例えば、MFP101でユーザ毎の印刷枚数管理などを行う場合や、ユーザ毎に機能制限を満たす印刷データであるか検証する場合などに適宜活用される。
【0105】
続いて、MFP101は、受信した印刷データに基づく印刷を実行し(528)、実行が完了すると当該ジョブの実行結果を通信装置102に通知する(529)。
【0106】
図6のシーケンス図は、
図11(A)の画面を介してゲスト利用のユーザ操作がなされた場合の処理を説明するためのシーケンスである。603~611の処理は
図5の503~611の処理と同様であるため省略する。ゲスト権限でMFP101を使用するユーザは、
図11(A)のゲストキー1105を選択する操作を行う。ゲストキー1105を選択する操作を検知した通信装置102は、ゲスト利用が選択されたことをMFP101に通知する(613)。通知が完了すると、通信装置102は、操作部136に表示する画面をプリント設定画面に遷移させる(614)。このように、ゲスト利用が選択されるケースでは、属性情報(個人)の取得をスキップすることができる。以降の印刷シーケンスである624~629の処理は
図5の524~529の処理と同様のため省略する。
【0107】
以上、
図5及び
図6のシーケンスでは、一例としてPCである通信装置102cのプリントクライアントが提供する画面(
図11)を用いて説明した。一方、通信装置102がスマートフォンやタブレット端末のプリントクライアントは画面サイズやタッチ操作を意識して適宜画面構成を異ならせることができる。また、IPPに準拠するプリントクライアントであっても、当該クライアントの種類によって画面構成は異なる。以下、
図12を用いてスマートフォンやタブレット端末のプリントクライアントにおける画面表示の変形例について説明する。なお、
図11で説明した機能と同様の効果をもたらす表示アイテムについては説明を省略する。
【0108】
<スマートフォンやタブレット端末での画面表示>
図5のシーケンス図における処理を適宜参照して説明する。
図12(A)は通信装置のOSが提供するメニュー画面を例示している。メニュー画面は各種アプリケーション(例えばメモアプリなど)から呼び出され、当該メッセージやメール送信、プリントなどに活用するためにOSが提供する機能である。
【0109】
通信装置102は、プリントキー1201を押下する操作を検知すると、
図12(B)のプリント設定画面に遷移する。また、プリントクライアントは各種アプリケーションから受け取った印刷すべきデータに基づきプレビュー画像を生成し
図12(B)に表示する。
【0110】
図12(B)では、プリンタが選択されていない場合を例示している。通信装置102は、選択肢1202が選択されたことを検知するとプリンタの探索処理を実行する画面に遷移するとともに、504で示したプリンタ探索要求を開始する。
図12(C)は探索画面結果表示画面の一例である。
図12(C)では、MFP101から探索応答が返り、当該探索応答に含まれるMFP101のIPPプリンタ名称である「PrinterXXX」を検索結果として表示する場合を例示している。
【0111】
通信装置102は、
図12(C)の選択肢1203が選択されたことを検知すると、
図5の506以降の処理を実行する。
図12(D)の認証画面は
図11(B)と同様であるため説明を省略する。
図12(E)は、519の処理で表示する印刷設定画面の一例である。
【0112】
選択肢1206は、印刷プリセットを選択するための選択肢である。領域1207は、印刷プリセットの選択状態を示す情報などを表示する領域である。ここでは、
図12(E)では、印刷プリセットが設定されていない場合を例示している。
【0113】
通信装置102は、選択肢1206が選択されたことを検知すると、
図12(F)の印刷プリセットに関する画面に進む。スマートフォンやタブレット等の通信装置では表示領域が狭いため、ドロップダウンリストによる表示は利便性が低い。従って、設定項目毎に単一の設定画面に遷移するよう構成し、ユーザの利便性を保っている。
図12(F)の画面を介してユーザが実行する処理は
図11(C)の1107と同様であるため説明を省略する。
【0114】
なお、本実施形態では、選択肢1206が選択されたことに応じて、
図12(C)の画面に遷移する場合を例示したがこれに限定されるものではない。通信装置102は、選択肢1206が選択されたことに応じて印刷プリセットの一覧画面に遷移するようにしてもよい。これらの印刷プリセットの一覧は、使用頻度などに応じて適宜並び替えられ、ユーザによって利便性の高い選択が行えるように表示するものとする。この処理により、表示領域が狭いタブレット端末やスマートフォンなどにおいてもより簡単に、尚且つ、少ない手番で印刷プリセットを呼び出すことができるようになる。この場合、印刷プリセットの登録や再取得などの画面は他の階層の画面(例えば設定メニュー画面など)から遷移できるよう表示すればよい。
【0115】
図12(G)は印刷プリセットが設定された後の印刷設定画面を例示している。ここでは、「My preset-2」が選択された場合を例示している。領域1213には「My preset-2」が選択されたことを示す情報が表示される。印刷プリセットの選択後、更にユーザによって設定が変更された場合、その旨をユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えば、「My preset-2(Modified)」などといった表示を行うようにすればよい。
【0116】
続けて、本実施形態における印刷プリセットの通知、活用、登録を実現する制御方法に
図13~
図18のフローチャートを用いて説明する。
【0117】
<通信装置102の制御>
まず、通信装置102の動作について説明する。
図13~
図15は、通信装置102の制御を示すフローチャートである。
図13~
図15のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU131がROM132又はストレージ134に記憶された各制御モジュールを実現するためのプログラムをRAM133に読み出し、実行することにより実現される。なお、フローチャートで示す各処理は、OS310が提供する機能と、プリントクライアントを実現するためのプログラムモジュールとが協働して実現しているものとする。
【0118】
図13のフローチャートは、ユーザ操作によりプリントクライアントを起動する操作を受け付けたことに応じて実行される各処理を示している。S1301において、CPU131は、起動時処理を実行するか否かを判断する。PCなどで使用するプリントクライアントでは、プリンタを事前に登録することができる。プリンタが事前に登録済みであれば、起動時の取得処理を実行しないと判断する。起動時処理を実行すると判断した場合は、処理をS1302に進め、起動時処理を実行しないと判断した場合は、処理をS1316に進める。
【0119】
S1302において、CPU131は、通信部I/F143を介してプリンタ探索要求を送信する。S1303において、CPU131は、プリンタ探索要求の結果見つかったプリンタ(例えばMFP101)へ属性情報(共通)の取得リクエストを送信する。ここでは、CPU131は、IPPで規定されているGet-Printer-Attributesコマンドを使用して、MFP101に取得リクエストを送信するものとする。なお、
図11や
図12を用いて説明したように、複数のプリンタが見つかった場合、ユーザ操作によりプリンタが選択されたことに応じてS1302のリクエストを送信するようにしてもよい。
【0120】
S1304において、CPU131は、S1303で送信したリクエストの応答として得られた属性情報に基づき、プリンタの属性情報と印刷プリセットを更新又は新規保存する。ここで、CPU131は、受信した印刷プリセットに含まれる属性Nameの値と、属性Ownerの値が一致する印刷プリセットを既に保存していることに従って、当該保存されている印刷プリセットを新しい印刷プリセットで更新する。一方、属性Nameの値と、属性Ownerの値のいずれかが一致しないことに従って印刷プリセットを新規保存する。
【0121】
S1305において、CPU131は、S1304で受信した属性情報に基づき当該プリンタがユーザ毎の機能制限やカスタマイズをサポートしているか否かを判断する。ユーザ毎の機能制限やカスタマイズをサポートしている場合は処理をS1306に進め、ユーザ毎の機能制限やカスタマイズをサポートしていない場合は処理をS1316に進める。
【0122】
S1306において、CPU131は、相手先へのセッションが維持されているか否かを判断する。セッションが維持されている場合は、S1307~S1312の認証処理をスキップし、処理をS1314に進める。一方、CPU131は、相手先へのセッションが維持されていない場合は、処理をS1307に進める。
【0123】
S1307において、CPU131は、プリンタの属性情報(個人)の取得要求を相手先の通信装置に対して送信する。ここでは、CPU131は、PWGで仕様策定中のGet-User-Printer-Attributesなどのコマンドを使用してMFP101に取得リクエストを送信するものとする。S1306が実行されるタイミングでは、通信相手先とのセッションを確立していないため、識別情報(セッションID)を含まない取得リクエストが送信されることになる。このリクエストの応答として、MFP101等のプリンタは
図5の510で説明したユーザ認証要求を送信する。
【0124】
S1308において、CPU131は、S1307のリクエストの応答としてユーザ認証要求を受信したことに応じて、認証情報を入力するための認証画面を表示し、認証情報の入力操作を受け付ける。認証画面は、例えば、
図11(A)や
図12(D)で示したユーザ情報の入力画面である。
【0125】
S1309において、CPU131は、認証に関する指示の種類を判断する。CPU131はキャンセルキーが選択された場合は、処理をS1316に進め、ゲストキーが選択された場合は、処理をS1310に進める。またCPU131は、OKキーが選択された場合は処理をS1311に進める。
【0126】
S1310において、CPU131は、ゲスト利用であることをプリンタに通知し、処理をS1316に進める。
【0127】
S1311において、CPU131は、S1308で受け付けた認証情報をプリンタ(例えばMFP101)に送信する。認証情報を受信したMFP101は、
図5の514で説明した認証を行い通信装置102へ結果を通知する。
【0128】
S1312において、CPU131は、S1311で送信した認証情報に基づく認証結果が成功したか否かを判断する。認証が成功した場合は処理をS1314に進め、認証が成功していない場合(認証が失敗した場合)は、S1308の処理に戻り再度認証情報の入力操作を待ち受ける。なお、認証が成功した場合は、セッションの確立処理が行われる。セッションの確立処理の結果、通信装置102は、通信先のプリンタ(MFP101)からセッションIDを受信する。
【0129】
S1314において、CPU131は、識別情報(セッションID)を含む属性情報(個人)の取得要求を相手先プリンタへ送信する。S1314が実行されるタイミングでは、通信相手先とのセッションが確立されているため、HTTPの拡張ヘッダに識別情報(セッションID)を付加した取得リクエストが送信されることになる。識別情報(セッションID)を含む属性情報(個人)の取得要求を受信した相手先プリンタ(MFP101)は、当該取得リクエストに対して、
図5の517で説明したプリンタの属性情報(個人)を応答する。
【0130】
S1315において、CPU131は、S1314のリクエストの応答として得られたプリンタの属性情報(個人)に基づき属性情報及び印刷プリセットの更新処理を行う。CPU131は、受信した印刷プリセットに含まれる属性Nameの値と、属性Ownerの値が一致する印刷プリセットを既にプリントクライアント内に保存していることに従って、当該保存されている印刷プリセットを新しい印刷プリセットで更新する。一方、属性Nameの値と、属性Ownerの値のいずれかが一致しないことに従って印刷プリセットを新規保存する。
【0131】
続いて、S1316において、CPU131は、印刷設定に関する操作を受け付けたか否かを判断する。印刷設定に関する操作を受け付けた場合は処理をS1317に進め、印刷設定に関する操作を受け付けていない場合は処理をS1318に進める。なお、印刷設定に関する操作とは、印刷プリセットの選択操作や、印刷設定の変更操作(例えば、カラーからモノクロへの変更など)などである。
【0132】
S1317において、CPU131は、印刷設定処理を実行する。印刷設定処理の詳細について
図14のフローチャートを用いて説明する。S1401において、CPU131は、印刷プリセットの選択操作を受け付けたか否かを判断する。印刷プリセットの選択操作を受け付けた場合は処理をS1402に進め、印刷プリセットの選択操作を受け付けてない場合は処理をS1404に進める。
【0133】
S1402において、CPU131は、選択された印刷プリセットに基づいて印刷設定を更新する。例えば、選択された印刷プリセットが「My preset-1」の場合、印刷設定として「カラー、両面印刷、成果物の左上1か所を綴じる」といった設定が反映される。S1403において、CPU131は、現在の印刷設定に基づき表示画面を更新する。表示画面の更新が完了するとS1301の処理に進む。なお、印刷プリセットが選択される前に、既にユーザによって印刷設定がなされている場合には、現在設定されている印刷設定が破棄されることをユーザに通知するように構成してもよい。この場合、CPU131は、操作部136に介してユーザにOK又はキャンセルを問い合わせるようにする。OKが選択されたことを検知すると、S1402の印刷設定の変更を行い、キャンセルが選択されたことを検知すると、印刷プリセットに基づく設定変更を行うことなく、S1301の処理に進むようにすればよい。
【0134】
一方、S1404において、CPU131は、各種印刷設定を変更するユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。各種印刷設定を変更するユーザ操作を受け付けた場合は処理をS1405に進め、各種印刷設定を変更するユーザ操作を受け付けていない場合は処理をS1301に進める。
【0135】
S1404において、CPU131は、ユーザ操作に基づく印刷設定の変更を反映し、当該変更に応じて操作画面の表示を更新する。変更及び更新処理が完了すると処理をS1301に進める。
【0136】
図13の説明に戻り、S1318において、CPU131は、印刷プリセットの編集操作を受け付けたか否かを判断する。印刷プリセットの編集操作を受け付けた場合は処理をS1319に進め、印刷プリセットの編集操作を受け付けていない場合は、処理をS1320に進める。
【0137】
S1319において、CPU131は、印刷プリセットの編集操作に基づいて印刷プリセットの編集処理を行う。ここで、印刷プリセットの編集操作とは、
図10で説明した印刷プリセットのダウンロードや、印刷プリセットの登録操作を示している。印刷プリセットの編集操作の詳細について
図15のフローチャートを用いて説明する。
【0138】
S1501において、CPU131は、個人プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。CPU131は、個人プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けた場合は処理をS1306に進め、Get-User-Priter-Attributes等のコマンドを使用したプリンタの印刷属性(個人)の取得、反映処理を行う。一方、CPU131は、個人プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けていない場合は、処理をS1502に進める。
【0139】
S1502において、CPU131は、共通プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。共通プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けた場合は、処理をS1503に進め、共通プリセットをダウンロードするユーザ操作を受け付けていない場合は、処理をS1507に進める。
【0140】
S1503において、CPU131は、選択中のプリンタ(例えばMFP101)へプリンタの属性情報(共通)を取得するリクエストを送信する。プリンタの属性情報(共通)を取得するリクエストを受信したMFP101等のプリンタは、プリンタの属性情報(共通)を応答する。
【0141】
S1504において、CPU131は、選択中のプリンタに対応付けて記憶している属性情報が個人向けにカスタマイズされた属性情報であるか否かを判断する。個人向けにカスタマイズされた属性情報の場合は処理をS1505に進め、個人向けにカスタマイズされた属性情報でない場合は処理をS1506に進める。
【0142】
S1505において、CPU131は、受信した属性情報(共通)に含まれる印刷プリセットに基づいて、個人向けの機能制限が反映された印刷能力で使用できる印刷プリセットを抽出する。次に抽出された印刷プリセットをプリントクライアントが使用する印刷プリセットを登録又は更新する。この処理は、ユーザの権限では使用できない属性を含む印刷プリセットが設定されることを抑制する例外処理である。印刷プリセットの登録又は更新処理が完了すると、処理をS1301に進める。
【0143】
S1506において、CPU131は、受信した属性情報に基づくプリンタの属性情報及び印刷プリセットを登録又は更新する。登録又は更新が完了するとCPU131は、S1301の処理に戻る。
【0144】
一方、S1507において、CPU131は、印刷プリセットをプリンタに登録するユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。印刷プリセットをプリンタに登録するユーザ操作を受け付けた場合は処理をS1508に進め、印刷プリセットをプリンタに登録するユーザ操作を受け付けていない場合は処理をS1509に進める。
【0145】
S1508において、CPU131は、印刷設定画面を介してなされた印刷設定に基づき印刷プリセットデータを生成し、選択中のプリンタに印刷プリセットを登録する登録リクエストを送信する。当該リクエストには、識別情報(セッションID)が含まれているものとする。ここでは、PWGで策定中のSet-User-Printer-Attributesコマンドを使用して印刷プリセットの登録をリクエストする。なお、上記記載は一例であり、ワーキンググループなどで仕様検討がなされている同目的、類似目的のコマンドであってもよい。登録処理が完了すると処理をS1301へ進める。
【0146】
S1509において、CPU131は、印刷プリセットをクライアントに登録するユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。印刷プリセットをクライアントに登録するユーザ操作を受け付けた場合は処理をS1510に進め、印刷プリセットをクライアントに登録するユーザ操作を受け付けていない場合は処理をS1301に進める。
【0147】
S1510において、CPU131は、印刷設定画面を介してなされた印刷設定に基づき印刷プリセットデータを生成し、プリントクライアントが管理する印刷プリセットリストに登録する。登録処理が完了すると、CPU131は、処理をS1301に進める。
【0148】
図13の説明に戻り、S1320において、CPU131は、印刷開始指示を受け付けたか否かを判断する。印刷開始指示を受け付けた場合は、処理をS1321に進め、印刷開始指示を受け付けていない場合は、S1301に戻り、その他の操作を待つ。
【0149】
S1321において、CPU131は、印刷設定と印刷対象のデータに基づき印刷データを生成する。なお、印刷対象のデータは、プリントクライアントの起動時等にプリントアプリケーションから受け取っているものとする。
【0150】
S1322において、CPU131は、S1321において生成した印刷データを選択中のプリンタ(例えばMFP101)に送信する。S1323において、CPU131は、印刷プリセットの優先度の再決定処理を行う。この処理は
図11で示した選択肢1110の表示制御や、印刷プリセットの一覧から印刷プリセットを選択するための選択画面における表示制御に使用される。この処理によりユーザの使用頻度が高い印刷プリセットを視認性の高い領域に表示することができるようになる。
【0151】
<MFP101の制御>
続いて、MFP101の動作について説明する。
図16~
図18は、MFP101の制御を示すフローチャートである。
図16~
図18のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU111がROM112又はストレージ114に記憶された各制御モジュールを実現するためのプログラムをRAM113に読み出し、実行することにより実現される。なお、本実施形態において、印刷処理やデータの送受信処理などは各I/Fや各機能を実現するためのハードウェアと協働して実現されるものとする。また、処理の実態を担うソフトウェアモジュールを明確に示したいケースにおいてはCPUを主語とせず、当該CPU処理を実行させるための各ソフトウェアモジュールの名称を主語として記載するものとする。
【0152】
図16のフローチャートは、MFP101の電源が投入され、MFP101が通常モードで起動したことに応じて実行される各処理を示している。
【0153】
S1601において、CPU111は、通信装置102等の外部装置からプリンタの属性情報(共通)のリクエストを受信したか否かを判断する。プリンタの属性情報(共通)のリクエストを受信した場合は処理をS1602に進め、プリンタの属性情報(共通)のリクエストを受信していない場合は処理をS1605に進める。
【0154】
S1602において、CPU111は、ゲスト用のプリセットを取得する。Get-Printer-Attributes等のリクエストを受信したIPPサービス414は、印刷プリセット保存部405を参照し、カテゴリ704に「標準」が格納された印刷プリセットを取得する。
【0155】
S1603において、CPU111は、プリンタの能力情報を取得する。具体的には、IPPサービス414は、ストレージ114等に記憶された印刷部やシート処理部の能力情報を取得する。これらの能力情報には例えば、印刷能力や後処理の能力などが含まれている。なお、取得のタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、IPPサービス414の起動時に能力情報を取得し、IPPサービス414が内部的に能力情報を保持するようにしてもよい。
【0156】
S1604において、CPU111は、S1602及びS1603で取得した情報に基づき、プリンタの属性情報(共通)を作成する。続いて、CPU111は、外部装置(例えば、通信装置102)から受信したリクエストに対する応答として、外部装置に対してプリンタの属性情報(共通)を送信する。IPPサービス414は、取得したデータに基づき
図8(A)の802に示したようなプリンタの属性情報のレスポンスを生成する。生成したレスポンスはWebサーバ416を介して外部装置に送信される。送信が完了すると、CPU131は、処理をS1601に進める。
【0157】
S1605において、CPU111は、識別情報が含まれていないプリンタの属性情報(個人)のリクエストを受信したか否かを判断する。識別情報が含まれていないプリンタの属性情報(個人)のリクエストを受信した場合は、処理をS1606に進める。一方、識別情報が含まれていないプリンタの属性情報(個人)のリクエストを受信していない場合は、処理をS1611に進める。なおここでのリクエストは、Get-User-Printer-Attributes等のリクエストである。当該リクエストを受信したWebサーバ416は、自身が有効に管理しているセッションIDが含まれていない場合に識別情報が含まれていないと判断する。また、自身が有効に管理しているセッションIDが含まれている場合に識別情報が含まれていると判断する。
【0158】
S1606において、CPU111は、ユーザ認証機能を使用する機器設定であるか否かを判断する。ユーザ認証機能を使用する機器設定である場合は、処理をS1607に進め、ユーザ認証機能を使用する機器設定でない場合は、処理をS1602に進める。この処理は、MFP101がユーザ認証機能を使用しないケースを考慮するための例外処理である。
【0159】
S1607において、CPU111は、属性情報(個人)の取得リクエストを送信した通信装置へユーザ認証を要求する。S1608では、CPU111は、通信装置から認証情報を受信する。S1609では、CPU111は、認証情報に基づきユーザを認証し、認証OKであるかNGであるかを判断する。なお、認証サーバが装置外部にあるケースでは、MFP101は認証サーバに認証情報を転送し、認証の可否を問い合わせるものとする。認証の結果がOKの場合は、処理をS1610に進め、認証の結果がNGの場合は、S1607に戻り、ユーザ認証のリクエストを再送する。
【0160】
S1610において、CPU111は、相手先の通信装置へ認証成功を通知する。具体的には、Webサーバ416は、相手先の通信装置との間でセッションを確立し、認証が成功したこと及びセッションを管理するためのセッションIDを通知する。また、Webサーバ416は、当該セッションIDに関連付けるセッション変数として相手先から受信した認証情報に含まれるユーザIDを記憶する。このセッション変数はIPPサービス414からアクセス可能である。従って、IPPサービス414は受信したリクエストに含まれるセッションIDに基づきリクエストがいずれのユーザから送られてきたものであるか特定することができる。
【0161】
S1611において、CPU111は、識別情報を含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストを受信したか否かを判断する。識別情報を含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストを受信した場合は、処理をS1612に進め、識別情報を含むプリンタの属性情報(個人)の取得リクエストを受信していない場合は、処理をS1615に進める。
【0162】
S1612において、CPU111は、識別情報に対応するユーザが使用するプリセットを抽出する。具体的には、Webサーバ416とIPPサービス414は協働して識別情報(セッションID)からユーザIDを特定する。IPPサービス414は、設定記憶部403の印刷プリセット保存部405を参照し、特定したユーザIDに対応するユーザが利用する印刷プリセットを抽出する。印刷プリセットがユーザ毎に管理されている場合は、ユーザIDに基づきユーザが利用する印刷プリセットを抽出する。また、印刷プリセットがグループ毎に管理されている場合は、ユーザIDから当該ユーザが所属するグループを特定し、当該グループに対応付けて記憶された印刷プリセットを抽出する。
【0163】
S1613において、CPU111は、識別情報に対応するユーザの権限に基づいたプリンタの能力情報を取得する。具体的には、IPPサービス414は、ストレージ114等に記憶されたユーザ毎の機能制限情報を参照し、識別情報に対応するユーザの機能制限情報を取得する。
【0164】
S1614において、CPU111は、取得した情報に基づきプリンタの属性情報(個人)を作成し、相手先の通信装置に対する応答としてプリンタの属性情報(共通)を送信する。具体的には、IPPサービス414は、取得したデータに基づき
図8(B)の806に示したようなプリンタの属性情報のレスポンスを生成する。生成したレスポンスはWebサーバ416を介して外部装置に送信される。送信が完了すると、CPU131は、処理をS1601に進める。
【0165】
S1615において、CPU111は、印刷データを受信したか否かを判断する。印刷データを受信した場合は処理をS1616に進め、印刷データを受信していない場合は処理をS1618に進める。
【0166】
S1616において、CPU111は、受信した印刷データに基づき印刷処理及び印刷がなされたシートに対する後処理を実行する。これらの処理は、モジュール402、406、407、408、412、413及び、当該モジュールによって制御される各I/F及びハードウェアが協働することにより実現される。印刷処理や後処理が完了すると、CPU111は、処理をS1617に進める。
【0167】
S1617において、CPU111は、印刷データを送信した通信装置に対して印刷終了を通知し、処理をS1601に進める。
【0168】
一方、S1618において、CPU111は、リモートUIサービスへのリクエストを受信したか否かを判断する。Webサーバ416は、リモートUIサービスへのリクエストを受信した場合は処理をS1619に進め、リモートUIサービスへのリクエストを受信していない場合は処理をS1620に進める。
【0169】
S1619において、CPU111は、リモートUIサービスに関する処理を実行する。具体的な処理について
図17を用いて説明する。なお、
図17の処理はリモートUIサービス415とWebサーバ416が主体となって実行する処理である。
【0170】
S1701において、CPU111は、IPPに関する設定画面を要求するリクエストを受信したか否かを判断する。IPPに関する設定画面を要求するリクエストを受信した場合は処理をS1702に進め、IPPに関する設定画面を要求するリクエストを受信していない場合は処理をS1707に進める。
【0171】
S1702において、CPU111は、管理権限を有するユーザからのリクエストであるか判断する。管理権限を有するユーザからのリクエストである場合は、処理をS1703に進め、管理権限を有しないユーザからのリクエストである場合は、処理をS1706に進める。なお、ユーザの権限はHTTPリクエストに含まれている識別情報であるセッションIDに対応するユーザの権限を参照することで取得される。S1706において、CPU111は、相手先の通信装置に対してエラーを通知し、処理をS1601に進める。
【0172】
S1703において、CPU111は、IPP印刷を使用する設定がなされているか否かを判断する。IPP印刷を使用する設定がなされている場合は、処理をS1705に進め、IPP印刷を使用しない(IPP印刷の使用を許可しない)設定がなされている場合は、処理をS1704に進める。
【0173】
S1704において、CPU111は、相手先の通信装置へプリセット管理画面に遷移可能なIPPに関する設定画面を示すWebページを送信する。一方、S1705において、CPU111は、相手先の通信装置へプリセット管理画面へ遷移するためのボタンをグレーアウトしたIPPに関する設定画面を示すWebページを送信する。
【0174】
S1707において、CPU111は、プリセット管理画面を要求するHTTPリクエストを受信したか否かを判断する。プリセット管理画面を要求するHTTPリクエストを受信した場合は、処理をS1708に進め、プリセット管理画面を要求するHTTPリクエストを受信していない場合は、処理をS1711に進める。
【0175】
S1708において、CPU111は、IPP印刷を使用する設定がなされているか否かを判断する。IPP印刷を使用する設定がなされている場合は、処理をS1709に進め、IPP印刷を使用しない設定がなされている場合は、処理をS1706に進める。
【0176】
S1709において、CPU111は、相手先の通信装置へプリセット管理画面を示すWebページを送信する。S1710において、CPU111は、プリセット管理画面を介したユーザ操作を介して発生したプリセット登録要求を受信し、印刷プリセットを保存部405へ登録する。
【0177】
具体的には、Webサーバ416は、管理画面の入力フォームなどを介して設定された印刷設定を示すデータをHTTP通信で受信し、リモートUIサービス415に転送する。データを受信したリモートUIサービス415は当該データに基づき印刷プリセットを生成し、印刷プリセット部305に新たなプリセットを登録又は既存のプリセットの更新を行う。
【0178】
続けて、S1711において、CPU111は、その他のHTTPリクエストを受信したか否かを判断する。その他のHTTPリクエストを受信した場合は、処理をS1712に進め、その他のHTTPリクエストを受信していない場合は、処理をS1601に進める。
【0179】
S1712において、CPU111は、その他の処理を実行する。その他の処理は、例えば、MFP101の機器設定を変更する処理であったり、MFP101のファームウェアを更新する処理であったりする。例えば、CPU111は、IPP印刷を使用する設定に変更する指示を外部装置から受け付けた場合は、当該処理を実行する。その他の処理の実行が完了すると、CPU111は、処理をS1601に進める。
【0180】
図16の説明に戻り、S1620において、CPU111は、印刷プリセットを登録する登録リクエストを受信したか否かを判断する。印刷プリセットを登録する登録リクエストを受信した場合は、処理をS1621に進め、印刷プリセットを登録する登録リクエストを受信していない場合は、処理をS1622に進める。
【0181】
S1621において、CPU111は、印刷プリセットを登録する処理を行う。具体的な処理について
図18を用いて説明する。
【0182】
S1801において、CPU111は、識別情報を含む印刷プリセットの登録リクエストを受信したか否かを判断する。識別情報を含む印刷プリセットの登録リクエストを受信した場合は、処理をS1802に進める。一方、識別情報を含む印刷プリセットの登録リクエストを受信していない場合(即ち、識別情報を含まない登録リクエストを受信した場合)は、相手先の通信装置に認証エラーを通知し、S1601の処理に戻る。
【0183】
S1802において、CPU111は、登録リクエストに付加された識別情報に対応するユーザを特定する。具体的には、IPPサービス414は、Webサーバ416と協働して、登録リクエストに含まれるセッションIDからユーザIDを特定する。
【0184】
S1803において、CPU111は、登録リクエストに含まれるプリセット情報に基づいて、印刷プリセットの登録処理を行う。具体的な処理については、
図5の522で説明したため省略するが、新規登録、更新、又はエラー処理のいずれかを行う。登録処理が科料するとCPU111は、処理をS1601に進める。
【0185】
図16の説明に戻り、S1622では、CPU111は、シャットダウン指示を受け付けたか否かを判断する。シャットダウン指示を受け付けた場合は処理をS1623に進め、シャットダウン指示を受け付けていない場合は処理をS1601に進める。
【0186】
S1623において、CPU111は、MFP101のシャットダウン処理を行い、一連の処理を終了する。
【0187】
以上説明したように本実施形態では、画像形成装置であるMFP101がユーザと印刷プリセットの対応情報を記憶している。従って、プリントクライアントを利用する通信装置に対してユーザが使用する印刷プリセットを適切に通知できるようになる。また、本実施形態では、認証されたユーザによる操作に基づいて、適切に印刷プリセットを登録できる。また、本実施形態では、プリントクライアントからでも、Webブラウザからでも印刷プリセットの登録を行うことができる。また本実施形態のプリントクライアントは、MFP101などの画像形成装置が記憶する印刷プリセットを取得して使用したり、ユーザ操作によりプリントクライアント内部に登録された印刷プリセットを使用したりすることができるので利便性が高まる。このため、ユーザは基本となる印刷プリセットをMFP101から取得し、好みの印刷プリセットに改変することができ利便性が高い。
【0188】
<変形例>
なお、本実施形態では、通信端末102からのリクエストに含まれる識別情報がセッションIDやアクセストークンである場合を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、通信端末102からMFP101に送信するリクエスト内にユーザIDなどの識別情報を付加するようにしてもよい。この場合、MFP101は、受信したリクエストに含まれるユーザIDに基づきいずれのユーザの通信端末からのリクエストであるかを判断するものとする。
【0189】
また、本実施形態では、
図5に示した511、512で認証情報の入力を促すように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、IPPの認証に使用する認証情報をプリントクライアントの設定として記憶できるようにしてもよい。具体的には、プリントクライアントの設定画面を介してユーザにIPPの認証に関する認証情報を事前入力させ、ストレージ134に記憶する。また、510の認証要求を受け付けた通信装置102は、511、及び512の処理に代えて、ストレージ134に記憶された認証情報を取得し、当該認証情報をMFP101に送信するようにすればよい。
【0190】
また、本実施形態では、印刷プリセットについて例示したがこれに限定されるものではない。例えば、通信端末からMFP101にスキャンを要求する場合に使用するスキャン設定を示すプリセットや、通信端末からMFP101にコピーを要求する場合に使用するコピー設定を示すプリセットなどに適用することもできる。
【0191】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASICやFPGA)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0192】
101 MFP
102 通信装置
111 CPU
123 通信部I/F
131 CPU
143 通信部I/F