(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ファストリカバリインバースダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20240701BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20240701BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20240701BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20240701BHJP
H01L 21/322 20060101ALI20240701BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L29/91 J
H01L29/91 A
H01L29/91 D
H01L21/265 W
H01L21/322 K
H01L29/06 301D
H01L29/06 301V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018142378
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-16
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518270252
【氏名又は名称】イクシス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】IXYS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【氏名又は名称】大釜 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100221589
【氏名又は名称】中谷 俊博
(72)【発明者】
【氏名】エルマー・ウィゾツキー
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】棚田 一也
【審判官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0364760(EP,A1)
【文献】特開2013-077615(JP,A)
【文献】特開2008-172145(JP,A)
【文献】特開2005-019612(JP,A)
【文献】特開2016-111110(JP,A)
【文献】米国特許第09590033(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/06
H01L 21/329
H01L 21/322
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体上面、半導体底面、及び周側縁を有するパワー半導体デバイスダイであって、前記ダイは、
前記ダイの前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイの前記周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域は1×10
16原子/cm
3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記底側P型シリコン領域上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっているN+型シリコンコンタクト領域と、
前記ダイの前記周側縁から横向きに内側方向に広がって、かつ前記N-型シリコン領域を側方から取り囲む、P型シリコン周側壁領域であって、前記P型シリコン周側壁領域は、前記底側P型シリコン領域に接しており、それによってP型アイソレーション構造を形成し、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型シリコン周側壁領域、及び前記底側P型シリコン領域の各々は、バルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周側壁領域と、
前記ダイの前記半導体上面の一部の上に配置される上側パッシベーション層であって、前記上側パッシベーション層は前記P型シリコン周側壁領域上に配置され、かつ前記N+型シリコンコンタクト領域の周囲を取り囲む、上側パッシベーション層と、
水素イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有する水素イオンの深層であって、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記半導体底面と平行な平面に広がっている平坦な表面であり、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、水素イオンの深層と、
イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有するイオン薄層であって、前記イオン局所濃度ピーク表面は前記半導体底面と平行な面に広がっている平坦な表面であり、前記イオン局所濃度ピーク
表面は、前記底側P型シリコン領域を通って広がっているが、前記N-型シリコン領域を通っては広がっておらず、前記イオン薄層の前記イオンは、水素イオン及びヘリウムイオンからなる群から選択されるイオンである、イオン薄層と、
前記N+型シリコンコンタクト領域上に配置される上側金属と、
前記ダイの前記半導体底面に配置される底側金属電極と、を含
み、
前記半導体上面を通してイオン注入される水素イオン及びヘリウムイオンがない、パワー半導体デバイスダイ。
【請求項2】
半導体デバイスダイは少なくとも1800ボルトの逆降伏電圧を有するディスクリートダイオードデバイスである、請求項1に記載のパワー半導体デバイスダイ。
【請求項3】
(a)半導体ウェハ中に構造を形成する工程であって、前記ウェハは半導体底面及び半導体上面を有し、前記半導体ウェハからなるダイ領域があり、前記ダイ領域は4つの周側縁を有し、前記構造は、
前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイ領域の前記4つの周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域は1×10
16原子/cm
3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記ダイ領域内の前記底側P型シリコン領域上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっている、N+型シリコンコンタクト領域と、
前記N-型シリコン領域を側方から取り囲むP型シリコン周側壁領域であって、前記P型シリコン周側壁領域及び前記底側P型シリコン領域は共に、前記半導体上面から前記半導体底面まで広がっているP型アイソレーション構造の一部であり、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型シリコン周側壁領域、及び前記底側P型シリコン領域の各々はバルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周側壁領域と、を含む、形成する工程と、
(b)水素イオンの深層が形成されるように、前記半導体底面を通して水素イオンをイオン注入する工程であって、前記水素イオンの深層は水素イオン局所濃度ピーク表面について配置される分布を有し、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、イオン注入する工程と、
(c)イオン薄層が形成されるように、前記半導体底面を通してイオンをイオン注入する工程であって、前記イオン薄層は、イオン局所濃度ピーク表面について配置される分布を有し、前記イオン局所濃度
ピーク表面は
前記底側P型シリコン領域を通って広がっているが、前記N-型シリコン領域を通っては広がっておらず、前記イオン薄層の前記イオンは水素イオンおよびヘリウムイオンからなる群から選択されるイオンである、イオン注入する工程と、
(d)上側パッシベーション層が前記半導体上面の一部の上に配置されるように前記上側パッシベーション層を形成する工程と、
(e)前記N+型シリコンコンタクト領域と接触している上側金属電極を形成する工程と、
(f)前記底側P型シリコン領域と接触している底側金属電極を形成する工程と、を含む方法。
【請求項4】
工程(d)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
工程(f)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
工程(f)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
(d)で前記パッシベーション層が形成された後に前記半導体上面の大部分は前記パッシベーション層と接触しており、前記半導体上面の前記大部分を通してイオン注入される水素イオン及びヘリウムイオンがない、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイ領域は1つのPN接合を有し、前記ダイ領域はダイオード以外に半導体デバイスを含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
半導体上面、半導体底面及び周側縁を有するインバースダイオードダイであって、前記ダイは、
前記ダイの前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイの前記周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域の中央部分は1×10
16原子/cm
3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記底側P型シリコン領域の前記中央部分上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっているN+型シリコンコンタクト領域と、
P型シリコンが前記半導体上面から前記半導体底面までの全てに下向きに広がっているように、前記半導体上面から下方に広がっているP型シリコン周囲アイソレーション領域であって、前記P型シリコンは前記N-型シリコン領域の周囲を側方から取り囲む周囲アイソレーション構造を形成し、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型シリコン周囲アイソレーション領域、及び前記底側P型シリコン領域の各々は、バルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周囲アイソレーション領域と、
前記ダイの前記半導体上面の一部の上に配置される上側パッシベーション層であって、前記上側パッシベーション層は前記N+型シリコンコンタクト領域の周囲を取り囲む、上側パッシベーション層と、
水素イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有する水素イオンの深層であって、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、水素イオンの深層と、
イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有するイオン薄層であって、前記イオン局所濃度ピーク表面は
前記底側P型シリコン領域を通って広がっているが、前記N-型シリコン領域を通っては広がっておらず、前記イオン薄層の前記イオンは、水素イオン及びヘリウムイオンからなる群から選択される、イオン薄層と、
前記N+型シリコンコンタクト領域上に配置される上側金属電極と、
前記ダイの前記半導体底面に配置される底側金属電極と、を含
み、
前記底側P型シリコン領域の前記中央部分は、前記上側金属電極の直下にあり、
前記半導体上面を通してイオン注入される水素イオン及びヘリウムイオンがない、インバースダイオードダイ。
【請求項13】
前記P型シリコン周囲アイソレーション領域は、前記ダイの側端に最後まで広がっていない、請求項12に記載のインバースダイオードダイ。
【請求項14】
前記P型シリコン周囲アイソレーション領域は、前記ダイの側端に最後まで広がっている、請求項12に記載のインバースダイオードダイ。
【請求項15】
前記インバースダイオードダイは、少なくとも1800ボルトの逆降伏電圧を有するディスクリートダイオードデバイスである、請求項12に記載のインバースダイオードダイ。
【請求項16】
前記上側パッシベーション層は前記半導体上面の前記一部の上に直接配置される、請求項12に記載のインバースダイオードダイ。
【請求項17】
前記上側パッシベーション層は前記半導体上面の前記一部の上に直接配置される、請求項1に記載のパワー半導体デバイスダイ。
【請求項18】
前記上側パッシベーション層は前記半導体上面の前記一部の上に直接配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体上面を通してイオン注入される水素イオン及びヘリウムイオンがない、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、インバースダイオードデバイス(inverse diode devices)及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い逆降伏電圧性能を有する、商業的に利用可能なパワーダイオードのほとんど全ての種類は、N-型底側カソード(N-type bottomside cathodes)を有する。まれな例外として、イクシス社、カルフォルニア州、ミルピタス、バックアイドライブ1590、から商業的に利用可能な、いわゆる「インバースダイオード」又は「リバースダイオード(reverse diode)」がある。これらの普通ではないダイオードは、P型周側壁(又は周囲のサイドウォール:peripheral sidewall)拡散領域だけではなく底側P型アノード領域も含む、P型アイソレーション構造(P type isolation structures)を有する。これらのダイオードは高い逆降伏電圧を有するだけではなく、それらは典型的に優れたダイナミックロバスト性も示す。この「インバースダイオード」技術を、より低い逆回復時間(reverse recovery times)を有する、いわゆる「ファストダイオード」に拡張する試みがなされている。ダイオードの逆回復時間は、文献及びデータシートでは、Trrと表記される。米国特許第8,716,745号に記載されるように、N-型エピタキシャルシリコン層はP型ウェハの上で成長した。その結果インバースダイオードは優れた安定性と高い逆降伏電圧を有すると想定され、一方でそれと同時に、同じ逆降伏特性を有する標準のダイオードと比較して、より薄いN-型層を有する。インバースダイオード構造及びP型アイソレーション構造に関する追加の情報については、1)Kelberlauらにより2005年8月30日に出願され、「順阻止デバイス及び逆阻止デバイスの製造方法」と題された、米国特許第7,442,630号、2)N.Zommerにより1995年7月31日に出願され、「逆阻止IGBTの製造方法」と題された、米国特許第5,698,454号、3)シュプリンガー社、ベルリン、ハイデルベルク、により公開されたJ.Lutzらによる「半導体パワーデバイス」の146-147頁(2011年)、4)イクシス社、米国、95035、カルフォルニア州、ミルピタス、により公開された「ダイオードチップ」と題されたデータシート、DWN17-18、5)Wisotzkiらにより2005年11月20日に出願され、「高電圧デバイス用トレンチ分離拡散」と題された、米国特許第9,590,033号、6)Mochizukiらにより1980年7月10日に出願され、「アルミニウム拡散半導体基板を有する半導体デバイスの製造方法」と題された、米国特許第4,351,677号、7)Greenにより2000年8月16日に出願され、「新規の同心周囲区域配列(Arrangement of Concentric Perimeter Zones)を有するサイリスタ」と題された、米国特許第6,507,050号、8)Kelberlauらにより2002年3月13日に出願され、「順阻止デバイス及び逆阻止デバイス」と題された、米国特許第6,936,908号、9)Neidigにより2005年3月14日に出願され、「プレーナ技術におけるパワー半導体部品」と題された、米国特許第7,030,426号、10)Veerammaらにより2003年8月27日に出願され、「パワーデバイスのための降伏電圧」と題された、米国特許第8,093,652号、11)イクシスセミコンダクター有限会社、ドイツ、D-68623、ラムパートハイム、エディソン通り15、による「プレーナ型のFRED、整流ダイオード及びサイリスタチップ」と題された2004年の記載、を参照。
【0003】
インバースダイオードダイ(又はインバースダイオードチップ:inverse diode die)は、高い逆降伏電圧を有し、高い逆電圧からほぼこの降伏電圧に回復するときに短い逆回復時間Trrを有し、また、ハードコミュテーションの用途での長期使用にわたって逆降伏電圧の安定性に関して丈夫(rugged)でもある。インバースダイオードダイはバルクシリコンウェハ材料からなる底側P型アノード領域を有し、また、バルクシリコンウェハ材料からなるそれの上に、N-型ドリフト領域も有する。その構造中にエピタキシャルシリコンはない。底側P型アノード領域のP型ドーパント濃度は、インバースダイオードにとって比較的低い。P型ドーパント濃度は8×1017原子/cm3未満である。N+型シリコンのコンタクト領域は、ダイ(又はチップ:die)の半導体上面からN-型ドリフト領域内まで下方に広がっている。P型シリコン周側壁領域(又はP型シリコン周囲サイドウォール領域:P type silicon peripheral sidewall region)は、ダイの4つの周側縁から横方向に内側方向に広がっている。このP型シリコン周側壁領域は、P型シリコン周側壁領域が底側P型シリコン領域と接するように、N-型ドリフト領域を取り囲む。P型シリコン周囲側面領域(P type silicon peripheral side region)は深く、半導体上面から底側P型アノード領域上部までの全てに下向きに広がっている。ダイの4つの周側縁は、全体的にP型シリコンである。P型シリコン周側壁領域及び底側P型シリコン領域は、共にP型アイソレーション構造を形成する。P型シリコン周側壁領域のP型ドーパントは、アルミニウム又はホウ素でもよい。
【0004】
上側パッシベーション層は、この上側パッシベーション層が中央のN+型シリコンのコンタクト領域の周囲を取り囲むように、ダイの半導体上面の一部の上に配置される。このパッシベーションはバルクウェハ材料上に配置され、エピタキシャルシリコン上ではない。金属カソード電極は、ダイの上側にあるN+型シリコンコンタクト領域上部に配置され、金属アノード電極はダイの底側にある底側P型アノード領域の底部に配置される。
【0005】
また、インバースダイオードは、水素イオンの深層(又は深い水素イオン層:deep layer of hydrogen ions)も有する。この水素イオンの深層は水素イオン局所濃度ピーク表面(又は水素イオン局所濃度がピークとなる表面:hydrogen ion local concentration peak surface)のあたりに分布を有する。水素イオン局所濃度ピーク表面は、半導体底面の面と平行な面に広がっている平坦な表面である。水素イオン局所濃度ピーク表面は、N-型シリコン領域を通って広がっているが、底側P型シリコン領域を通っては広がっていない。一実施形態では、水素イオン局所濃度ピーク表面は、底側P型アノード領域上部とN+型コンタクト領域の底部との間の約中間に配置される。さらに、インバースダイオードはまた、注入イオン薄層(又は浅い注入イオン層:shallow layer of implanted ions)も有する。この薄層(又は浅い層:shallow layer)のイオンは水素イオン又はヘリウムイオンでもよい。このイオン薄層(又は浅いイオン層:shallow layer of ions)は、イオン局所濃度ピーク表面(又はイオン局所濃度がピークとなる表面:ion local concentration peak surface)のあたりに分布を有する。イオン局所濃度ピーク表面は、ダイの半導体底面の面と平行な面に広がっている平坦な表面である。イオン局所濃度ピーク表面は、底側P型シリコン領域を通って広がっているが、N-型シリコン領域を通っては広がっていない。インバースダイオードの製造の間、ダイの半導体上面を通してイオン注入はない。
【0006】
さらなる詳細及び実施形態及び技術は以下の詳細な説明で記載される。この概要は本発明を規定すると主張していない。本発明は請求項によって規定される。
【0007】
添付の図面では、同様の数字は同様の構成を示し、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、1つの新規態様に係るファストリカバリインバースダイオードデバイスダイ1の側面断面図である。
【0009】
【
図2】
図2は、
図1のファストリカバリインバースダイオードデバイス1の様々な部分についての様々な詳細と特性を記載する表である。
【0010】
【
図3】
図3は、1つの新規態様に係る製造方法100のフローチャートである。
【0011】
【
図4】
図4は、
図1で示される新規インバースダイオードで使用されうるP型アイソレーション構造と代替可能なP型アイソレーション構造の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
ここで、本発明の背景の例及びいくつかの実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の明細書及び請求項において、第1の物体が第2の物体の「上に(over)」又は「上に(on)」配置されると言うとき、第1の物体は直接第2の物体の上に存在し得るか、又は第1と第2の物体の間に介在物が存在し得ると理解されるべきである。同様に、「上部に(top)」、「上側に(topside)」、「上向きに(up)」、「上方に(upward)」、「下向きに(down)」、「下方に(downward)」、「垂直に(vertically)」、「横向きに(laterally)」、「側面に(side)」、「下に(under)」、「底部に(bottom)」及び「底側に(bottomside)」などの用語は、本明細書では、記載されている構造の異なる部分の間の相対的な方向を記載するのに使用され、記載されている全体構造は実際に3次元空間の何らかの方向を向き得ると理解されるべきである。明細書において、処理がウェハの底部に行われると記載されるとき、例えば、ドーパントが上方に拡散するように言われているときなど、ウェハはこれらの処理工程中に上下逆さまの方向を向いていてもよく、上部から規則正しく処理されてもよい、と理解される。
【0013】
図1は1つの新規態様に係るファストリカバリインバースダイオードデバイスダイ1の側面断面図である。ダイ1はディスクリートダイオードデバイスである。ダイ1は長方形の上部表面、長方形の底部表面及び4つの周側縁を有する。側端2及び3の2つは、側面断面図に示される。特に、底側P型シリコン領域4は、ダイの半導体底面5から上方に広がっており、またダイの周側縁2及び3に向かって横向きに、外向きに広がってもいる。底側P型シリコン領域4は、8×10
17原子/cm
3未満の比較的低いP型ドーパント濃度を有する。
【0014】
図1に示すように、N-型シリコン領域6は、底側P型シリコン領域4上に配置される。このN-型シリコン領域6は、N-ドリフト領域とも称されるが、インバースダイオードの主なPN接合は底側P型シリコン領域4の上部とN-型シリコン領域6の底部との間の接合であるので、インバースダイオードのカソードである。N+型シリコンコンタクト領域7は、半導体上面8からN-型シリコン領域6内まで下向きに広がっている。
【0015】
また、ダイは、それが中央のN-型シリコン領域6の周囲を取り囲むように、ダイの4つの周側縁から横向きに、内向きに広がっている、P型シリコン周側壁領域9も有する。P型シリコン周側壁領域9は、底側P型シリコン領域4と接しており、また、半導体上面8まで広がってもいる。P型周囲領域9とP型底側領域4の組み合わせは、いわゆる「P型アイソレーション構造」である(また、「P型アイソレーション領域」又は「P型分離拡散構造」又は「P型分離拡散領域」と呼ばれることもある)。この構造のP型シリコンは、N-ドリフトシリコン領域6の、底面を底部からだけではなく、両方の周囲を側面からも、完全に囲む。
【0016】
底側P型シリコン領域4とP型シリコン周側壁領域9はここで結合すると理解されているが、底側P型シリコン領域4は、ダイの周側縁に向かって外向きに広がっていると言われている。P型シリコン周側壁領域9からのドーパントの混合に起因して、P型ドーパント濃度は、領域9の周囲部分でより高くあり得るが、底側P型シリコン領域4は8×1017原子/cm3未満のP型ドーパント濃度を有すると言われている。この8×1017原子/cm3の濃度は、カソード電極11直下の領域4の中央部分における半導体底面5の近くのシリコン体積中で測定される。
【0017】
重要なことに、
図1の構造にエピタキシャルシリコンはない。重要なことに、領域4、6、7及び9の全てはバルクシリコン材料であり、同じシリコンウェハの領域である。
【0018】
上側パッシベーション層10は、図のように、半導体上面8の一部の上に配置される。上側パッシベーション層10は、図のように、P型シリコン周側壁領域9の上部表面を覆い、N+型シリコンコンタクト領域7の周囲を取り囲む。
図1の符号15は、シリコン/パッシベーション界面を識別する。上側金属電極11は、N+型シリコンコンタクト領域7上に配置される。この上側電極11は、カソード電極又はダイオードデバイスのカソード端子である。底側金属電極12は、ダイの半導体底面5に配置される。この底側金属電極12は、ダイ端部2からダイ端部3まで半導体底面5を全て横切って広がっている。底側金属電極12も底側P型領域4も、上側金属電極11及びN+型コンタクト領域7よりも広い。底側金属電極12はアノード電極であるか、又はダイオードデバイスのアノード端子である。
【0019】
さらに、ダイ1は水素イオンの深層を含む。この深層は、水素イオン局所濃度ピーク表面13のあたりに、垂直の次元において分布を有する。この水素イオン局所濃度ピーク表面13は平面に配置される。この平面は、半導体底面5の平面に平行である。水素イオン局所濃度ピーク表面13は、N-型シリコン領域6を通して広がっているが、底側P型シリコン領域4の部分を通しては少しも広がっていない。水素イオン局所濃度ピーク表面13の水平面は、底側P型シリコン領域4の上部とN+型シリコンコンタクト領域7の底部との間の約中間に配置される。
図1の例では、これは約110ミクロンの深さ(半導体底面から測定)である。
【0020】
さらに、ダイ1はイオン薄層を含む。これらのイオンは、例えば、水素イオン(プロトン)又はヘリウムイオンのどちらかであり得る。本例では、それらは水素イオンである。このイオン薄層は、イオン局所濃度ピーク表面14のあたりに垂直の次元において分布を有する。このイオン局所濃度ピーク表面14は平面に配置される。この平面は半導体底面5の平面に平行である。イオン局所濃度ピーク表面14は底側P型シリコン領域4を通して広がっているが、N-型シリコン領域6の部分を通しては少しも広がっていない。
図1の例では、イオン局所濃度ピーク表面14は約35ミクロンの深さ(半導体底面から測定)にある。
【0021】
重要なことに、ダイオードデバイスのバルクシリコンは、シリコンの再結合中心を生み出すのに使用される種類の高エネルギーの電子は照射されない。また、バルクシリコンを通してパッシベーション層界面15へのイオン注入(水素又はヘリウム)はない。上側からイオン注入はない。水素イオンの注入は構造の底側からのみ起こる。米国特許第8,716,745号の
図5のダイオード500はよい安定性を有すると想定されたが、実際には、デバイスは所望の降伏電圧安定性に関して、丈夫ではないことが判明した。当初、デバイスは、高い逆降伏電圧性能を実際に有した。しかしながら、この種のデバイスは徐々に使用されるにつれて、デバイスのいくつかは、逆降伏電圧性能の低下を示した。この性能低下は、少なくとも部分的には、エピタキシャルシリコンの上部のシリコンとパッシベーション層との界面の品質に起因すると考えられている。さらに、もし、PN接合の近傍において電荷キャリア寿命を短くするために、高エネルギーの電子照射が再結合中心を生み出すために使用された場合、その後、シリコン/パッシベーション界面はさらにダメージを受け得た。電子照射処理中に導入された高エネルギーの電子は、ウェハの全体を通る。このように、他の電子がシリコン/パッシベーション界面などにある構造の他の部分にダメージを与えることなく、ちょうど局所的な再結合中心を引き起こすようにウェハは電子照射され得ない。1つの新規態様によれば、
図1のダイオードデバイスダイ1はエピタキシャルシリコンを有さず、パッシベーション界面までエピタキシャルシリコンを有さず、電子照射にさらされず、上側から(水素イオン注入又はヘリウムイオン注入などの)イオン注入にさらされない。
【0022】
深いイオン注入の意図する目的は、シリコン中で再結合中心及び電荷キャリアトラップを生み出すことであり、それによって電荷キャリアの寿命を短くする。深い水素注入の領域におけるN-型シリコン領域6中の多数キャリア電荷の寿命は3マイクロ秒よりも短い。
【0023】
浅いイオン注入の意図する目的は、底側P型シリコン領域4からN-型シリコン領域6内までの電荷キャリア注入効率を低減することである。また、P型シリコン領域4の電荷キャリア注入効率も、幾分か非常にわずかにドープされたP型アノードを使用することによって、幾分か低下する。底側P型シリコン領域4のP型ドーパント濃度は8×10
17原子/cm
3未満である。従って、N-型シリコン領域6へのP型シリコン領域4の多数電荷キャリア注入効率は、従来のインバースダイオードと比較して幾分か低下する。この領域4の出発原料は、非結晶ウェハ基板材料のN-型ウェハである。底側P型シリコン領域4は、このウェハの底部からドープすることによって形成される。その結果、底側P型シリコン領域4も、約1×10
15原子/cm
3のN型ドーパントのバックグラウンド濃度を有する。金又は白金などの重金属は存在せず、キャリアライフタイムキラー(又はキャリア寿命キラー: carrier lifetime killers)として
図1の構造に使用されない。従って、そのような重金属原子に起因する順方向の電圧降下に伴う増加は起きない。
図1のファストリカバリインバースダイオードが高周波スイッチング用途で使用されるとき、及びダイオードが順方向電圧条件から逆阻止条件に転換するとき、PN接合にある空乏領域のサイズが大きくなる時間がある。ダイオードがその逆電圧条件における阻止電流の流れを始動するために、(高い逆電圧の状況における空乏領域の拡大に起因する)いわゆるダイオード回復電荷が、除去されなければならない。それは、電子と正孔の再結合によって、又は、逆回復電流I
rの流れによってのみ、除去されうる。大きい逆回復電流I
rは望まれていない。逆回復電流の最大値はI
rrで示される。また、この逆回復電流の、それが減衰するときの、最大変化率は、あまり大きくあるべきではない。浅い及び深いイオン注入は、その最大変化率がより小さくなるように、逆回復電流のサージ電流(surge)をなだらかにするのに役立つだけでなく、(阻止を始動するためにダイオードから除去されなければならない)電荷の大きさを減らすのに役立つ。結果として、逆回復時間T
rrはより短くなる。
【0024】
図1のインバースダイオードデバイスは、少なくとも1800ボルトの非常に高い逆降伏電圧を有する。順方向電圧条件から約900ボルトの逆電圧条件に転換するとき、ダイオードの逆回復時間T
rrは約200ナノ秒である。従って、
図1のダイオードは「ファストダイオード」又は「ファストリカバリダイオード」と言われる。これは、ダイオードデバイスが使用されるにつれて、時間と共にその高い逆降伏電圧性能を維持することに関して、デバイスの耐久性を低下させることなく達成される。
図1のダイオードは、それが高い逆電圧条件下、150℃、1000時間のHTRBテストにさらされるときでさえ、その1800ボルトの逆降伏電圧を維持する。従って、1800ボルトの逆降伏電圧は「安定」であると言われている。
【0025】
図2は、
図1のファストリカバリインバースダイオードデバイスの様々な部分について、様々な詳細及び性能を記載する表である。H+の深い注入はイオンビーム装置を用いて行われる。注入量は2×10
12イオン/cm
2である。注入深さは110ミクロンである。注入量は比較的低く、そのため、注入の間の底部シリコン表面の温度は、イオン注入プロセスの間常に、有利なことに低い。一例では、浅いイオン注入はH+イオン注入でもある。この注入は、H+の深い注入で使用されるものと同じ装置を用いて行われる。注入量は2×10
12イオン/cm
2である。注入深さは35ミクロンである。
【0026】
両方のイオン注入の工程は、上側パッシベーション後と、上側及び底側金属化後に発生する。イオン注入後、ウェハはダイシングされ、試験され、パッケージングされ、再度試験される。
【0027】
図3は1つの新規態様に係る製造方法100のフローチャートである。構造はウェハ中に形成される(工程101)。ウェハは半導体底面及び半導体上面を有する。ウェハのダイ領域は4つの周側縁を有する。構造は、底側P型シリコン領域、N-型シリコン領域、N+型シリコンコンタクト領域及びP型シリコン周側壁領域を含む。ダイ領域内のこれらの半導体領域は、
図1で示されるように表示される。製造プロセス中のこの時点で、ウェハはダイシングもパッシベーション処理又は金属化処理もされなかったが、ダイ領域内の構造は
図1に示される構造を有する。次に、
図1に関連して上述の水素イオンの深層を形成するために、水素イオンは半導体底面を通して注入される(工程102)。次に、
図1に関連して上述のイオン薄層を形成するために、イオン(水素又はヘリウム)は半導体底面を通して注入される(工程103)。パッシベーション層は半導体上面上に形成される(工程104)。上側金属電極及び底側金属電極は形成される(工程105)。ダイ領域がインバースダイオードデバイスダイになるように、ウェハはその後ダイシングされる(工程106)。インバースダイオードデバイスダイは
図1に示される構造を有する。製造方法100では、深いイオン注入は浅いイオン注入の前後どちらでも行われ得る。ウェハのドープ領域はイオン注入工程の前後で形成され得る。また、パッシベーション層もイオン注入工程の前後で形成され得る。また、金属電極の形成も、イオン注入工程の前後どちらかで行われ得る。しかしながら、パッシベーション工程前後でイオン注入工程が行われるかどうかに関わらず、シリコン/パッシベーション界面15でのシリコンを通してのイオン注入はない。
【0028】
別の実施形態では、インバースダイオードダイは、1)イオン薄層がない、及び2)底側P型シリコン領域4のP型ドーパント濃度が1×10
16原子/cm
3未満でさらに低い、ことを除いて、
図1に関連して上述のような構造を有する。水素イオンの深層は構造の底側から注入されるのが好ましいが、別の例では構造の上側から注入される。領域4のP型シリコンの低い1×10
16原子/cm
3のドーピングにより、領域4はいわゆる「トランスペアレントエミッタ(又は透明エミッタ: transparent emitter)となる。
【0029】
別の実施形態では、インバースダイオードダイは、1)イオン薄層がない、2)水素イオンの深層がない、3)底側P型シリコン領域4のP型ドーパント濃度が1×10
16原子/cm
3未満でさらに低い、4)構造が電子照射される、ことを除いて、
図1に関連する上述のような構造を有する。電子は、それらが領域6のN-型シリコン中であらゆる場所に再結合サイトを作り出すように十分に高いエネルギーを有する。構造は上側、又は底側のどちらかから照射され得る。
【0030】
別の実施形態では、インバースダイオードダイは、1)水素イオンの深層がない、及び2)構造は電子照射される、ことを除いて、
図1に関連する上述のような構造を有する。電子は、それらが領域6のN-型シリコン中であらゆる場所に再結合サイトを作り出すように十分に高いエネルギーを有する。構造は上側、又は底側のどちらかから照射され得る。
【0031】
ある特定の実施形態は、説明目的のために上記に記載されているが、この特許文献の教示は、一般的適用性を有し、上述の特定の実施形態に限定されない。インバースダイオードの例は、ダイの4つの周側縁に横向きに最後まで広がっているP型シリコン周側壁領域9を有すると上述に記載されているが、他の実施形態では、P型シリコン周囲領域はダイの側端に最後まで広がっている必要はない。一例では、周囲分離構造は、Wisotzkiらにより2015年11月20日に出願され、「高電圧デバイス用トレンチ分離拡散」と題された、米国特許第9,590,033号に記載されている。
図4は本構造を示す。符号21はダイの側端を特定する。ダイの側端のいくつかの部分はN-型シリコンであるにも関わらず、トレンチアイソレーション構造は、半導体上面17から半導体底面19にあるP型領域18までの全てに下向きに広がっている、P型周囲アイソレーション領域16を有する。従って、周囲P型シリコンはN-型中央ドリフト領域20の周囲を側方から全体的に取り囲む。米国特許第9,590,033号の全保護対象は、参照により本明細書に組み込まれる。従って、記載された実施形態の様々な変更、適応、及び様々な特徴の組み合わせは、請求項に記載されるような発明の範囲から除外されることなく実施され得る。
【0032】
本発明は以下の態様を含む。
【0033】
(態様1)
半導体上面、半導体底面、及び周側縁を有するパワー半導体デバイスダイであって、前記ダイは
前記ダイの前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイの前記周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域は8×1017原子/cm3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記底側P型シリコン領域上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっているN+型シリコンコンタクト領域と、
前記ダイの前記周側縁から横向きに内側方向に広がって、かつ前記N-型シリコン領域を側方から取り囲む、P型シリコン周側壁領域であって、前記P型シリコン周側壁領域は、前記底側P型シリコン領域に接しており、それによってP型アイソレーション構造を形成し、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型シリコン周側壁領域、及び底側P型シリコン領域の各々はバルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周側壁領域と、
前記ダイの前記半導体上面の一部の上に配置される上側パッシベーション層であって、前記上側パッシベーション層は前記P型シリコン周側壁領域上に配置され、かつ前記N+型シリコンコンタクト領域の周囲を取り囲む、上側パッシベーション層と、
水素イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有する水素イオンの深層であって、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記半導体底面と平行な平面に広がっている平坦な表面であり、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、水素イオンの深層と、
イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有するイオン薄層であって、前記イオン局所濃度ピーク表面は前記半導体底面と平行な面に広がっている平坦な表面であり、前記イオン局所濃度ピークは前記底側P型シリコン領域を通って広がっているが、前記N-型シリコン領域を通っては広がっておらず、前記イオン薄層の前記イオンは、水素イオン及びヘリウムイオンからなる群から選択されるイオンである、イオン薄層と、
前記N+型シリコンコンタクト領域上に配置される上側金属と、
前記ダイの前記半導体底面に配置される底側金属電極と、を含む、パワー半導体デバイスダイ。
【0034】
(態様2)
前記底側P型シリコン領域の前記P型ドーパント濃度は1×1016原子/cm3未満である、態様1に記載のパワー半導体デバイスダイ。
【0035】
(態様3)
半導体デバイスダイは少なくとも1800ボルトの逆降伏電圧を有するディスクリートダイオードデバイスである、態様1に記載のパワー半導体デバイスダイ。
【0036】
(態様4)
(a)半導体ウェハ中に構造を形成する工程であって、前記ウェハは半導体底面及び半導体上面を有し、前記半導体ウェハからなるダイ領域があり、前記ダイ領域は4つの周側縁を有し、前記構造は、
前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイ領域の前記4つの周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域は8×1017原子/cm3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記ダイ領域内の前記底側P型シリコン領域上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっている、N+型シリコンコンタクト領域と、
前記N-型シリコン領域を側方から取り囲むP型シリコン周側壁領域であって、前記P型シリコン周側壁領域及び前記底側P型シリコン領域は共に、前記半導体上面から前記半導体底面まで広がっているP型アイソレーション構造の一部であり、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型シリコン周側壁領域、及び前記底側P型シリコン領域の各々はバルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周側壁領域と、を含む、形成する工程と、
(b)水素イオンの深層が形成されるように、前記半導体底面を通して水素イオンをイオン注入する工程であって、前記水素イオンの深層は水素イオン局所濃度ピーク表面について配置される分布を有し、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、イオン注入する工程と、
(c)イオン薄層が形成されるように、前記半導体底面を通してイオンをイオン注入する工程であって、前記イオン薄層は、イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有し、前記イオン局所濃度表面は前記水素イオンの深層と前記半導体底面の間に配置され、前記イオン薄層の前記イオンは水素イオンおよびヘリウムイオンからなる群から選択されるイオンである、イオン注入する工程と、
(d)前記ダイの前記半導体上面の一部の上に配置される、上側パッシベーション層を形成する工程と、
(e)前記N+型シリコンコンタクト領域と接触している上側金属電極を形成する工程と、
(f)前記底側P型シリコン領域と接触している底側金属電極を形成する工程と、を含む方法。
【0037】
(態様5)
工程(d)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0038】
(態様6)
工程(d)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0039】
(態様7)
工程(f)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0040】
(態様8)
工程(f)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0041】
(態様9)
工程(a)の後に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0042】
(態様10)
工程(a)の前に工程(b)及び工程(c)が行われる、態様4に記載の方法。
【0043】
(態様11)
(d)で前記パッシベーション層が形成された後に前記半導体上面の大部分は前記パッシベーション層と接触しており、前記半導体上面の前記大部分を通してイオン注入されるイオンがない、態様4に記載の方法。
【0044】
(態様12)
前記ダイ領域は1つのPN接合を有し、前記ダイ領域はダイオード以外に半導体デバイスを含まない、態様4に記載の方法。
【0045】
(態様13)
半導体上面、半導体底面及び周側縁を有するインバースダイオードダイであって、前記ダイは、
前記ダイの前記半導体底面から上方に広がって、前記ダイの前記周側縁に向かって横向きに外側方向にも広がっている底側P型シリコン領域であって、前記底側P型シリコン領域の中央部分は8×1017原子/cm3未満のP型ドーパント濃度を有する、底側P型シリコン領域と、
前記底側P型シリコン領域の前記中央部分上に配置されるN-型シリコン領域と、
前記半導体上面から前記N-型シリコン領域内まで下方に広がっているN+型シリコンコンタクト領域と、
P型シリコンが前記半導体上面から前記半導体底面までの全てに下向きに広がっているように、前記半導体上面から下方に広がっているP型シリコン周囲アイソレーション領域であって、前記P型シリコンは前記N-型シリコン領域の周囲を側方から取り囲む周囲アイソレーション構造を形成し、前記N-型シリコン領域、前記N+型シリコンコンタクト領域、前記P型周囲アイソレーション構造、及び前記底側P型シリコン領域の各々は、バルクシリコンウェハ材料からなる、P型シリコン周囲アイソレーション構造と、
前記ダイの前記半導体上面の一部の上に配置される上側パッシベーション層であって、前記上側パッシベーション層は前記N+型シリコンコンタクト領域の周囲を取り囲む、上側パッシベーション層と、
水素イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有する水素イオンの深層であって、前記水素イオン局所濃度ピーク表面は前記N-型シリコン領域を通って広がっているが、前記底側P型シリコン領域を通っては広がっていない、水素イオンの深層と、
イオン局所濃度ピーク表面に配置される分布を有するイオン薄層であって、前記イオン局所濃度ピーク表面は前記水素イオンの深層と前記半導体底面の間に配置され、前記イオン薄層の前記イオンは、水素イオン及びヘリウムイオンからなる群から選択される、イオン薄層と、
前記N+型シリコンコンタクト領域上に配置される上側金属電極と、
前記ダイの前記半導体底面に配置される底側金属電極と、を含むインバースダイオードダイ。
【0046】
(態様14)
前記ダイの前記周側縁の前記シリコンのいくつかはN型シリコンである、態様13に記載のインバースダイオードダイ。
【0047】
(態様15)
前記ダイの前記周側縁の前記シリコンの部分にN型シリコンがない、態様13に記載のインバースダイオードダイ。
【0048】
(態様16)
前記底側P型シリコン領域の前記中央部分の前記P型ドーパント濃度は1×1016原子/cm3未満である、態様13に記載のインバースダイオードダイ。
【0049】
(態様17)
前記インバースダイオードダイは、少なくとも1800ボルトの逆降伏電圧を有するディスクリートダイオードデバイスである、態様13に記載のインバースダイオードダイ。