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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20240701BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018227881
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020092156
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】山本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】平川 裕之
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】秋田 将行
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238830(JP,A)
【文献】特開2006-156704(JP,A)
【文献】特開2017-69539(JP,A)
【文献】特開2001-185763(JP,A)
【文献】特開2011-222603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子と、
互いに離隔している第1リードおよび第2リードと、
前記第1および第2リードと一体化されている樹脂成形体と、を備え、
前記樹脂成形体は、開口形状を規定する光反射用の内壁面と光反射用の部分底面とを有する開口部を有し、
前記第1リードは、前記樹脂成形体の前記開口部に臨んで当該開口部の底面の一部をなす第1露出面を有し、且つ、前記開口部とは反対の側は、内壁面より外側に相当する部位が前記樹脂成形体に保持され、前記保持された部分より内側は露出して第2露出面を形成し
前記第2リードは、前記樹脂成形体の前記開口部の前記部分底面上に位置して前記開口部に臨む第3露出面を有し、当該第3露出面は、前記第1および第2リードの離隔方向に直交する方向において、前記第1露出面の第2リード側の端縁より小さく、
前記光半導体素子は、前記第1リードの前記第1露出面に搭載され、且つ前記第2リードの前記第3露出面にボンディングワイヤを介して接続されており、
前記第3露出面の面積は、前記第1露出面の面積の25%以下であり、
前記第3露出面は、前記底面の周辺部から底面内部に突き出て配置されている、光半導体装置。
【請求項2】
前記開口部は、円形の開口形状を有する、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記第1および第2リードの離隔方向に延びた開口形状を有する、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記内壁面によって規定される幅広領域と、幅狭領域と、当該幅広領域および幅狭領域の間の幅漸変領域とを含んでこれらが前記第1および第2リードの離隔方向に並ぶ開口形状を有し、
前記幅広領域は、前記離隔方向に延び、且つ、開口部における第1リード側に位置し、
前記幅狭領域は、前記離隔方向に直交する方向において幅広領域よりも狭く、且つ、開口部における第2リード側に位置する、請求項3に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記樹脂成形体の前記開口部の前記幅漸変領域において前記内壁面は内側湾曲面を有する、請求項4に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記第1および第2リードは、それぞれ、前記樹脂成形体から外部に延出している電極部を有する、請求項1から5のいずれか一つに記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードなど光半導体素子を備える光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードなど光半導体素子を備える光半導体装置は、電球や蛍光灯、ネオン管、ハロゲンランプなど他の光源と比較して、寿命が長いことや、動作が安定していること、応答速度が速いことなどの特長を有する。このような光半導体装置については、様々な用途において実用化が進んでいる。例えば、照明用途(家庭・オフィスの一般屋内照明や街路灯など)、表示用途(交通信号機など)、光源用途(液晶テレビのバックライトなど)、および通信用途(赤外線リモコンなど)においてである。このような光半導体装置については、例えば下記の特許文献1~3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-140207号公報
【文献】特開2008-252135号公報
【文献】特開2017-76701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14から図16は、従来型の光半導体装置の一例である光半導体装置Yを表す。光半導体装置Yは、いわゆるモールドアレイパッケージ(MAP)の形態で形成されるものであって、樹脂成形体110と、一組のリード120,130と、発光ダイオードであるLED素子140と、透明樹脂部150とを備える。
【0005】
樹脂成形体110は、リード120,130を伴ういわゆるインサート成形によってリード120,130を保持する形態に成形された樹脂体であり、傾斜面111によって開口形状が規定される開口部112を有する。樹脂成形体110における少なくとも傾斜面111には、所定の態様によって光反射性が付与されている。リード120は、開口部112に臨む露出面121を有し、且つ、開口部112とは反対側で装置外に露出する露出面122を有する。リード130は、開口部112に臨む露出面131を有し、且つ、開口部112とは反対側で装置外に露出する露出面132を有する。リード120,130の露出面121,131は、光半導体装置Yにおける外部接続用の一対の端子をなす。LED素子140は、その図15中の上面側と下面側にそれぞれ電極部(図示せず)を有し、且つ、開口部112内の露出面121上に搭載されてリード120に対して電気的かつ機械的に接続されている。これとともに、LED素子140は、リード130の露出面131に対してボンディングワイヤWを介して電気的に接続されている。透明樹脂部150は、樹脂成形体110の開口部112に充填されて硬化された透明樹脂体であり、開口部112内のLED素子140等を封止している。
【0006】
このような構成の光半導体装置YにおいてLED素子140から光が発せられる場合、その光は開口部112内での反射を経て又は反射を経ずに透明樹脂部150を通過して開口部112外に出射される。
【0007】
樹脂成形体(光半導体装置Yでは樹脂成形体110)とリード部材(光半導体装置Yではリード120,130)とが一体成形されてなる部位を備える光半導体装置においては、樹脂成形体とリード部材との間に有意な熱膨張率差がある。そのため、従来、光半導体装置の製造過程や実装過程では、前記の熱膨張率差に起因して光半導体装置内の各所に内部応力が発生し、それが当該装置の反りなど歪みを生じさせることがある。光半導体装置における反りなど歪みは、樹脂成形体からのリード部材の部分的離脱などの構造的劣化、ひいては特性的劣化の原因となりうる。
【0008】
一方、光半導体装置においては、従来、用途に応じた充分な明るさを得られない場合がある。
【0009】
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、反りなど歪みを抑制しつつ高い光利用効率を実現するのに適した光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、光半導体装置が提供される。この光半導体装置は、光半導体素子と、互いに離隔している第1リードおよび第2リードと、これらリードと一体化されている樹脂成形体とを備える。
【0011】
樹脂成形体は、例えばインサート成形により、第1および第2リードを部分的に内部に取り込みつつ成形された樹脂体である。これとともに、樹脂成形体は、光反射用の内壁面と光反射用の部分底面とを伴うリフレクタ開口部である開口部を有する(部分底面は開口部の底面の一部をなす)。リフレクタ開口部の内壁面は、好ましくは、開口部における底面から開口端にかけて開口形状が広がるように、傾斜している。
【0012】
第1リードは、樹脂成形体の開口部に臨んで当該開口部の底面の一部をなす第1露出面を有し、且つ、当該開口部とは反対の側にて露出している第2露出面を有する。第1リードの第1露出面に光半導体素子は搭載されている。また、第1リードは、好ましくは、樹脂成形体から外部に延出している電極部を有する。このような態様で、第1リードは樹脂成形体によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0013】
第2リードは、樹脂成形体の開口部の部分底面上に位置して開口部に臨む第3露出面を有する。部分底面上の第3露出面(第2リードの一部)は、第1および第2リードの離隔方向に直交する方向において、部分底面上の第1露出面(第1リードの一部)における第2リード側の端縁より小さい。この第3露出面に対し、第1リードの第1露出面上の光半導体素子はボンディングワイヤを介して接続されている。また、第2リードは、好ましくは、樹脂成形体から外部に延出している電極部を有する。このような態様で、第2リードは樹脂成形体によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0014】
以上のような構成を有する光半導体装置において、第2リードの第3露出面は、上述のように、第1および第2リードの離隔方向に直交する方向において第1リードの第1露出面の第2リード側端縁より小さい。第2リードの第3露出面は、両リードの離隔方向に直交する方向(幅方向)において、第1リードの第1露出面の第2リード側端縁よりも幅が狭いのである。このような構成は、本光半導体装置において反りなど歪みを抑制するうえで好適である。その理由は次のとおりである。
【0015】
樹脂成形体とリード部材とが一体成形されてなる部位を備える光半導体装置においては、樹脂成形体とリード部材との間に有意な熱膨張率差がある。そのため、実際上は、当該リード部材ないしその面積が大きいほど(例えば、樹脂成形体とリード部材との一体物に占めるリード部材の割合が所定範囲内にて大きいほど)、光半導体装置の製造過程や実装過程を経て当該光半導体装置に生ずる内部応力が大きい傾向にある。この内部応力は、製造される光半導体装置において、反りなど歪みの原因となりうる。本発明の光半導体装置における、第2リードの第3露出面が第1リードの第1露出面よりも上述のように幅狭であるという構成は、当該第3露出面およびこれを含む第2リードを小面積化ないし小型化して、光半導体装置に生ずる内部応力を低減するうえで好適であり、従って、当該装置の反りなど歪みを抑制するうえで好適なのである。
【0016】
また、本光半導体装置において、第2リードの第3露出面(第2リードがリフレクタ開口部に臨む部分)は、上述のように、リフレクタ開口部内で樹脂成形体の一部である部分底面上に位置する。すなわち、第2リードにおける第3露出面とは反対側の面は、樹脂成形体に覆われて当該樹脂成形体に密着している。このような構成は、第3露出面領域を含む第2リードの変形を抑制するうえで好適であり、従って、本光半導体装置の反りなど歪みを抑制するうえで好適である。
【0017】
加えて、本光半導体装置における上記リフレクタ開口部の底面では、上述のように、第1および第2リードの離隔方向に直交する方向(幅方向)において、第2リードの第3露出面(開口部の部分底面上に位置する)は、第1リードの第1露出面よりも、幅狭である。樹脂成形体の一部である部分底面における、リフレクタ開口部に直に臨む領域は、当該開口部の底面において、第2リードの第3露出面周りに広がる。このような構成は、樹脂成形体の一部である部分底面についてリフレクタ開口部に直に臨む領域の面積を確保するうえで好適である。部分底面の当該面積が大きいほど、リフレクタ開口部内で光反射機能を担う樹脂表面の総面積は大きく、従って、開口部内にある光半導体素子から光が発せられる場合に開口部内での反射を経て開口部外に出射する光の量は多い傾向にある。すなわち、樹脂成形体の一部である部分底面についてリフレクタ開口部に直に臨む領域の面積が大きいほど、本光半導体装置における光の利用効率は高くなるのである。
【0018】
以上のように、本発明の光半導体装置は、反りなど歪みを抑制しつつ、高い光利用効率を実現するのに適する。光半導体装置において、その反りなど歪みの抑制は、高い発光信頼性の確保に資する。光半導体装置において、高い光利用効率の実現は、高いエネルギー効率の確保に資する。したがって、本光半導体装置は、発光信頼性が高く且つエネルギー効率の良い発光デバイスとして設計するのに適する。
【0019】
本光半導体装置において、第3露出面の面積は、第1露出面の面積の好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。このような構成は、第3露出面およびこれを含む第2リードを小面積化ないし小型化して、本光半導体装置に生ずる内部応力を低減するうえで好適であり、従って、当該装置の反りなど歪みを抑制するうえで好適である。これとともに、当該構成は、樹脂成形体の一部である部分底面についてリフレクタ開口部に直に臨む領域の面積を確保するうえで好適であり、ひいては、本光半導体装置において高い光利用効率を実現するうえで好適である。
【0020】
本光半導体装置において、樹脂成形体の開口部(リフレクタ開口部)は、真円など円形の開口形状を有してもよいし、第1および第2リードの離隔方向に延びた開口形状を有してもよい。そのように延びた開口形状としては、例えば、楕円形および角丸長方形が挙げられる。
【0021】
本光半導体装置において、樹脂成形体の開口部(リフレクタ開口部)が上述のように延びた開口形状を有する場合、当該開口部は、好ましくは、上記内壁面によって規定される幅広領域と、幅狭領域と、当該幅広領域および幅狭領域の間の幅漸変領域とを含んでこれらが第1および第2リードの離隔方向に並ぶ開口形状を有する(第1リードの第1露出面上の光半導体素子は、例えば幅広領域内に位置する)。より好ましくは、樹脂成形体の開口部の幅漸変領域において、開口部の内壁面は内側湾曲面を有する。これら構成は、高い光利用効率の実現に資する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一の実施形態に係る光半導体装置の斜視図である。
図2図1に示す光半導体装置の平面図である。
図3図2に示す光半導体装置における線III-IIIに沿った断面図である。
図4図2に示す光半導体装置における線IV-IVに沿った断面図である。
図5図1に示す光半導体装置の裏面図である。
図6】リフレクタ開口部の開口形状のバリエーションを表す。
図7図1に示す光半導体装置の変形例の一断面図である。
図8図1に示す光半導体装置の変形例の一断面図である。
図9】本発明の一の実施形態に係る光半導体装置の平面図である。
図10図9に示す光半導体装置における線X-Xに沿った断面図である。
図11図9に示す光半導体装置における線XI-XIに沿った一部省略断面図である。
図12図9に示す光半導体装置の変形例の一断面図である。
図13図9に示す光半導体装置の変形例の一断面図である。
図14】従来型の一の光半導体装置の平面図である。
図15図14に示す光半導体装置における線XV-XVに沿った断面図である。
図16図14に示す光半導体装置の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から図5は、本発明の一の実施形態に係る光半導体装置X1を表す。図1は光半導体装置X1の斜視図であり、図2は光半導体装置X1の平面図である。図3は、図2の線III-IIIに沿った光半導体装置X1の断面図であり、図4は、図2の線IV-IVに沿った光半導体装置X1の断面図である。図5は光半導体装置X1の裏面図である。
【0024】
光半導体装置X1は、光半導体素子Eと、樹脂成形体10と、互いに離隔しているリード20,30と、透明樹脂部40とを備える。光半導体装置X1は、本実施形態では、いわゆるモールドアレイパッケージ(MAP)の形態で形成されるものである。
【0025】
光半導体素子Eは、発光機能を有する素子であって、本実施形態では具体的には発光ダイオード(LED)素子である。LED素子を構成するための半導体材料としては、例えば、GaAlAs、AlInGaP、InGaN、GaP、GaAs、およびGaAsPが挙げられる。また、本実施形態では、光半導体素子Eは、その図2中の上面側と下面側にそれぞれ電極部(図示せず)を有する。
【0026】
樹脂成形体10は、例えばインサート成形により、リード20,30を部分的に内部に取り込みつつ成形された樹脂体である。これとともに、樹脂成形体10は、光反射用の内壁面11と光反射用の部分底面12とを伴うリフレクタ開口部である開口部10Aを有する(部分底面12は、開口部10Aの底面の一部をなす)。開口部10Aの内壁面11は、開口部10Aの開口形状を規定し、本実施形態では、開口部10Aにおける底面から開口端にかけて開口形状が広がるように、傾斜している。また、樹脂成形体10における開口部10A側の所定の箇所(例えば図2に示す平面視において、リード20よりもリード30に近い箇所)には、いわゆるカソードマークとしての切り欠き(図示せず)が形成されていてもよい。このような樹脂成形体10は、例えば、白色顔料を含有する熱硬化性樹脂組成物よりなる。その熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂に配合される白色顔料としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、および酸化ジルコニウムが挙げられる。樹脂成形体10形成用の樹脂材料の市販品としては、例えば、株式会社ダイセル製の「AEW-700」が挙げられる。
【0027】
リード20(第1リード)は、図1および図2に示すように、樹脂成形体10の開口部10Aに臨んで開口部10Aの底面の一部をなす露出面21(第1露出面)を有し、且つ、開口部10Aとは反対の側にて露出している露出面22(第2露出面)を有する。上述の光半導体素子Eは、ハンダ材料や導電性接着剤など導電性接合材料を介してリード20の露出面21に搭載されて、リード20に対して電気的かつ機械的に接続されている。光半導体装置X1の発光駆動時に光半導体素子Eから発せられる熱の一部は、リード20の露出面21,22を介して装置外に放出されうる。リード20はこのような放熱機能をも担う。また、リード20は、樹脂成形体10から外部に延出している電極部20aを有する。樹脂成形体10からの電極部20aの延出長さは、例えば0.1~2mmである。このような態様で、リード20は樹脂成形体10によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0028】
リード30(第2リード)は、図1および図2に示すように、樹脂成形体10の開口部10Aの部分底面12上に位置して開口部10Aに臨む露出面31(第3露出面)を有する。部分底面12上の露出面31(リード30の一部)は、リード20,30の離隔方向D1に直交する方向D2において、部分底面12上の露出面21(リード20の一部)におけるリード30側の端縁21a(図2では太線で表す)より小さい。この露出面31に対し、リード20の露出面21上の光半導体素子EはボンディングワイヤWを介して電気的に接続されている。また、リード30は、樹脂成形体10から外部に延出している電極部30aを有する。樹脂成形体10からの電極部30aの延出長さは、例えば0.1~2mmである。このような態様で、リード30は樹脂成形体10によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0029】
リード20,30は、それぞれ、導電性を有する金属材料よりなる。リード用の金属材料としては、例えば、Cu、Cu合金、および42%Ni-Fe合金が挙げられる。また、リード20,30の厚さは、それぞれ、例えば0.1~0.3mmである。このようなリード20,30は、例えば、金属プレートに対するエッチング加工や打ち抜き加工を経て形成することができる。リード20,30の表面は、Agめっき処理など所定のめっき処理が施されていてもよい。
【0030】
透明樹脂部40は、樹脂成形体10の開口部10Aに充填されて硬化された透明樹脂体であり、透明性を有する半導体用封止材料よりなる。そのような封止材料としては、例えば、エポキシ系封止材およびシリコーン系封止材が挙げられる。エポキシ系封止材の市販品としては、例えば、株式会社ダイセル製の「CELVENUS W0973」および「CELVENUS W0925」が挙げられる。シリコーン系封止材の市販品としては、例えば、株式会社ダイセル製の「CELVENUS A2045」および「CELVENUS A0246」が挙げられる。
【0031】
このような光半導体素子Xは、例えば次のようないわゆるラインモールド方式で製造される。まず、所定のリードフレームを用意する。このリードフレームは、平面視矩形の枠体と、その枠体内に一列に並ぶ光半導体装置形成区域ごとの、所定のパターン形状を有するパターン部とを有する。パターン部は、上述のリード20,30をなすこととなるリード部、リード部と枠体とを連結する連結部、および、リード部間を連結する連結部を含む。このようなリードフレームは、例えばエッチング加工によって作製することが可能である。次に、リードフレームの光半導体装置形成区域ごとに上述の樹脂成形体10を形成する。具体的には、リードフレームにおける複数の光半導体装置形成区域にわたって複数の樹脂成形体10を一括的に成形するための成形面を有する一組の金型について前記リードフレームを介在させつつ型締めした後、所定の温度条件および圧力条件の下、樹脂成形体10形成用の上述の白色顔料含有の熱硬化性樹脂組成物を、金型内に供給して成形する(インサート成形)。これにより、各光半導体装置形成区域に、上述の開口部10Aを伴う樹脂成形体10が形成される。成形法としては、例えばトランスファ成形やインジェクション成形が採用される。この成形工程の後、各光半導体装置形成区域の開口部10Aにおいて、リード20の上述の露出面21に対する導電性接合材料を介しての光半導体素子Eのマウント、当該光半導体素子Eとリード30の上述の露出面31とのワイヤボンディング、および、上述の透明樹脂部40の例えばポッティングによる形成を経る。次に、光半導体装置形成区域ごとに、リードフレームにおけるパターン部の上述の連結部を切断してリード20,30の分離を行い、光半導体装置X1を単離する。例えば以上のようにして、光半導体装置X1を製造することができる。
【0032】
光半導体装置X1の駆動時には、リード20,30を介して光半導体素子Eに所定の電力が供給され、これによって当該光半導体素子Eが発光する。光半導体素子Eからの出射光の一部は樹脂成形体10の開口部10A内での反射を経て、光半導体素子Eからの出射光の他の一部は開口部10A内での反射を経ずに、透明樹脂部40を通過して開口部10A外に出射される。
【0033】
以上のような光半導体装置X1において、リード30の露出面31は、上述のように、リード20,30の離隔方向D1に直交する方向D2においてリード20の露出面21の端縁21a(図2では太線で表す)より小さい。リード30の露出面31は、両リード20,の離隔方向D1に直交する方向D2(幅方向)において、露出面21のリード30側の端縁21aよりも幅が狭いのである。このような構成は、光半導体装置X1において反りなど歪みを抑制するうえで好適である。その理由は次のとおりである。
【0034】
樹脂成形体とリード部材とが一体成形されてなる部位を備える光半導体装置においては、樹脂成形体とリード部材との間に有意な熱膨張率差がある。そのため、実際上は、当該リード部材ないしその面積が大きいほど(例えば、樹脂成形体とリード部材との一体物に占めるリード部材の割合が所定範囲内にて大きいほど)、光半導体装置の製造過程や実装過程を経て当該光半導体装置に生ずる内部応力が大きい傾向にある。この内部応力は、製造される光半導体装置において、反りなど歪みの原因となりうる。上述の光半導体装置X1における、リード30の露出面31がリード20の露出面21よりも上述のように幅狭であるという構成は、当該露出面31およびこれを含むリード30を小面積化ないし小型化して、光半導体装置X1に生ずる内部応力を低減するうえで好適であり、従って、光半導体装置X1の反りなど歪みを抑制するうえで好適なのである。
【0035】
また、光半導体装置X1において、リード30の露出面31(リード30がリフレクタ開口部である開口部10Aに臨む部分)は、上述のように、開口部10A内で樹脂成形体10の一部である部分底面12上に位置する。すなわち、リード30における露出面31とは反対側の面は、樹脂成形体10に覆われて当該樹脂成形体10に密着している。このような構成は、露出面31領域を含むリード30の変形を抑制するうえで好適であり、従って、光半導体装置X1の反りなど歪みを抑制するうえで好適である。
【0036】
加えて、光半導体装置X1における開口部10A(リフレクタ開口部)の底面では、上述のように、リード20,30の離隔方向D1に直交する方向D2(幅方向)において、リード30の露出面31(開口部10Aの部分底面12上に位置する)は、リード20の露出面21よりも、幅狭である。樹脂成形体10の一部である部分底面12における、開口部10Aに直に臨む領域は、開口部10Aの底面において、図2によく表れているように、リード30の露出面31周りに広がる。このような構成は、樹脂成形体10の一部である部分底面12について開口部10Aに直に臨む領域の面積を確保するうえで好適である。部分底面12の当該面積が大きいほど、開口部10A(リフレクタ開口部)内で光反射機能を担う樹脂表面の総面積は大きく、従って、開口部10A内にある光半導体素子Eから光が発せられる場合に開口部10A内での反射を経て開口部10A外に出射する光の量は多い傾向にある。すなわち、樹脂成形体10の一部である部分底面12について開口部10Aに直に臨む領域の面積が大きいほど、光半導体装置X1における光の利用効率は高くなるのである。
【0037】
以上のように、本実施形態の光半導体装置X1は、反りなど歪みを抑制しつつ、高い光利用効率を実現するのに適する。光半導体装置X1において、その反りなど歪みの抑制は、高い発光信頼性の確保に資する。光半導体装置X1において、高い光利用効率の実現は、高いエネルギー効率の確保に資する。したがって、光半導体装置X1は、発光信頼性が高く且つエネルギー効率の良い発光デバイスとして設計するのに適する。
【0038】
光半導体装置X1において、リード30における開口部10A内での露出面31の面積は、リード20における開口部10A内での露出面21の面積の好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。このような構成は、露出面31およびこれを含むリード30を小面積化ないし小型化して、光半導体装置X1に生ずる内部応力を低減するうえで好適であり、従って、光半導体装置X1の反りなど歪みを抑制するうえで好適である。これとともに、当該構成は、樹脂成形体10の一部である部分底面12について開口部10Aに直に臨む領域の面積を確保するうえで好適であり、ひいては、光半導体装置X1において高い光利用効率を実現するうえで好適である。
【0039】
光半導体装置X1において、樹脂成形体10の開口部10A(リフレクタ開口部)は、円形の開口形状を有してもよいし、リード20,30の離隔方向D1に延びた開口形状を有してもよい。開口部10Aに関するそのように延びた開口形状としては、例えば図6(a)に示すような楕円形、および、例えば図6(b)に示すような角丸長方形が、挙げられる。
【0040】
光半導体装置X1において、リード20,30ないしその電極部20a,30aは、図7に示すように、樹脂成形体10の開口部10Aとは反対の側に折り曲げられた屈曲形状を有していてもよい。このような構成によると、光半導体装置X1が搭載される実装基板上において、当該実装基板の有する配線パターン(電極パッド部を含む)の構成によっては、光半導体装置X1と電極パッド部とを例えばハンダ付けによって電気的に接続しやすい場合がある。
【0041】
光半導体装置X1においては、光半導体素子Eとして、一面上に二つの電極部を有するLED素子が採用されてもよい。そのようなLED素子を構成するための半導体材料としては、例えばInGaNが挙げられる。そのような光半導体素子Eを備える光半導体装置X1では、図8に示すように、樹脂成形体10の開口部10A内にてリード20に接合されている光半導体素子E(その図8中の上面側に二つの電極部(図示せず)を有する)は、リード20の露出面21に対してボンディングワイヤWを介して電気的に接続されるとともに、リード30の露出面31に対して別のボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0042】
図9から図11は、本発明の一の実施形態に係る光半導体装置X2を表す。図9は光半導体装置X2の平面図であり、図10は、図9の線X-Xに沿った光半導体装置X2の断面図であり、図11は、図9の線XI-XIに沿った光半導体装置X2の一部省略断面図である。
【0043】
光半導体装置X2は、光半導体素子Eと、樹脂成形体10と、互いに離隔しているリード20,30と、透明樹脂部40とを備える。光半導体装置X2は、リード20,30の離隔方向D1に延びた全体形状を有する点で光半導体装置X1と異なる。これとともに、光半導体装置X2は、樹脂成形体10の形状が光半導体装置X1とは異なる。
【0044】
光半導体装置X2の樹脂成形体10は、リード20,30を部分的に内部に取り込みつつ成形された樹脂体であって、光反射用の内壁面11と光反射用の部分底面12とを伴うリフレクタ開口部である開口部10Bを有する(部分底面12は、開口部10Bの底面の一部をなす)。開口部10Bの内壁面11は、開口部10Bの開口形状を規定し、本実施形態では、開口部10Bにおける底面から開口端にかけて開口形状が広がるように、傾斜している。また、リード20,30の離隔方向D1における樹脂成形体10の長さL1は、例えば2.5~4mmである。長さL1に直交する方向における樹脂成形体10の長さは、例えば1.8~2.5mmである。
【0045】
開口部10Bは、具体的には、内壁面11によって規定される幅広領域R1と、幅狭領域R2と、これらの間の幅漸変領域R3とを含んでこれら3領域がリード20,30の離隔方向に並ぶ開口形状を有する。幅漸変領域R3において内壁面11は内側湾曲面11aを有する。
【0046】
開口部10Bの幅広領域R1は、上記の離隔方向D1に延び、且つ、開口部10Bにおけるリード20(第1リード)側に位置する。また、樹脂成形体10において幅広領域R1を囲む部分の図9および図11に示す厚さT1は、例えば0.1~0.4mmである。
【0047】
開口部10Bの幅狭領域R2は、上記の離隔方向D1に直交する方向D2(幅方向)において幅広領域R1よりも狭く、且つ、開口部10Bにおけるリード30(第2リード)側に位置する。樹脂成形体10において幅広領域R2を囲む部分の図9および図11に示す厚さT2は、例えば0.2~0.8mmであり、好ましくは1.1T1~5T1である。また、幅狭領域R2の長さL2は、例えば0.4~1.4mmであり、好ましくは0.1L1~0.5L1である。
【0048】
リード20(第1リード)は、樹脂成形体10の開口部10Bに臨んで開口部10Bの底面の一部をなす露出面21(第1露出面)を有し、且つ、開口部10Bとは反対の側にて露出している露出面22(第2露出面)を有する。露出面21は、本実施形態では、開口部10Bの幅広領域R1と幅漸変領域R3と幅狭領域R2の一部とにわたって臨んでいる。光半導体素子Eは、開口部10Bの幅広領域R1内において、ハンダ材料や導電性接着剤など導電性接合材料を介してリード20の露出面21に搭載されて、リード20に対して電気的かつ機械的に接続されている。また、リード20は、樹脂成形体10から外部に延出している電極部20aを有する。このような態様で、リード20は樹脂成形体10によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0049】
リード30(第2リード)は、樹脂成形体10の開口部10Bの部分底面12上に位置して開口部10Bに臨む露出面31(第3露出面)を有する。部分底面12上の露出面31(リード30の一部)は、リード20,30の離隔方向D1に直交する方向D2において、部分底面12上の露出面21(リード20の一部)におけるリード30側の端縁21a(図9では太線で表す)より小さい。この露出面31に対し、リード20の露出面21上の光半導体素子EはボンディングワイヤWを介して接続されている。また、リード30は、樹脂成形体10から外部に延出している電極部30aを有する。このような態様で、リード30は樹脂成形体10によって部分的に被覆されつつ保持されている。
【0050】
光半導体素子Eに関するその他の点、樹脂成形体10に関するその他の点、リード20,30に関するその他の点、および透明樹脂部40については、光半導体装置X2は、光半導体装置X1に関して上述したのと同様である。
【0051】
光半導体装置X2の駆動時には、リード20,30を介して光半導体素子Eに所定の電力が供給され、これによって当該光半導体素子Eが発光する。光半導体素子Eからの出射光の一部は樹脂成形体10の開口部10B内での反射を経て、光半導体素子Eからの出射光の他の一部は開口部10B内での反射を経ずに、透明樹脂部40を通過して開口部10B外に出射される。
【0052】
このような光半導体装置X2によると、光半導体装置X1に関して上述したのと同様の技術的効果を享受することができる。すなわち、光半導体装置X2は、光半導体装置X1と同様に、反りなど歪みを抑制しつつ、高い光利用効率を実現するのに適する。
【0053】
加えて、光半導体装置X2では、上述のように、樹脂成形体10の幅狭領域R2の上記長さL2が好ましくは0.1L1~0.5L1であり、且つ樹脂成形体10の上記厚さT2が好ましくは1.1T1~5T1である。このような構成は、所定サイズ内において樹脂成形体10とリード20,30との密着面積を確保して、リード20,30の変形を抑制するうえで好適であり、従って、光半導体装置X2の反りなど歪みを抑制するうえで好適である。
【0054】
更に加えて、光半導体装置X2では、上述のように、樹脂成形体10の開口部10Bが、リード20,30の離隔方向D1に並ぶ幅広領域R1と、幅漸変領域R3と、幅狭領域R2とを含む開口形状を有する。また、樹脂成形体10の開口部10Bの幅漸変領域R3において、開口部10Bの内壁面11は上述のように内側湾曲面11aを有する。これら構成は、高い光利用効率を実現するうえで好適である。光半導体装置X2の発光駆動時に光半導体素子Eから発せられた光の一部が内側湾曲面11aによって開口部10B外へ効果的に反射され、内側湾曲面11aが開口部10B外への反射光量の増大に寄与するからである。
【0055】
光半導体装置X2において、リード20,30ないしその電極部20a,30aは、図12に示すように、樹脂成形体10の開口部10Bとは反対の側に折り曲げられた屈曲形状を有していてもよい。このような構成によると、光半導体装置X2が搭載される実装基板上において、当該実装基板の有する配線パターン(電極パッド部を含む)の構成によっては、光半導体装置X2と電極パッド部とを例えばハンダ付けによって電気的に接続しやすい場合がある。
【0056】
光半導体装置X2においては、光半導体素子Eとして、一面上に二つの電極部を有するLED素子が採用されてもよい。そのようなLED素子を構成するための半導体材料としては、例えばInGaNが挙げられる。そのような光半導体素子Eを備える光半導体装置X2では、図13に示すように、樹脂成形体10の開口部10B内にてリード20上に搭載されている光半導体素子E(その図13中の上面側に二つの電極部(図示せず)を有する)は、リード20の露出面21に対してボンディングワイヤWを介して電気的に接続されるとともに、リード30の露出面31に対して別のボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【符号の説明】
【0057】
X1,X2 光半導体装置
E 光半導体素子
10 樹脂成形体
10A,10B 開口部
11 内壁面
11a 内側湾曲面
12 部分底面
R1 幅広領域
R2 幅狭領域
R3 幅漸変領域
20 リード(第1リード)
30 リード(第2リード)
21 露出面(第1露出面)
22 露出面(第2露出面)
31 露出面(第3露出面)
20a,30a 電極部
40 透明樹脂部
W ボンディングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
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