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特許7512023ファブリックパネル、シアーファブリック、および建築的特徴用の被覆物、および関連するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ファブリックパネル、シアーファブリック、および建築的特徴用の被覆物、および関連するシステム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/382 20060101AFI20240701BHJP
   E06B 9/303 20060101ALI20240701BHJP
   E06B 9/34 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
E06B9/382
E06B9/303
E06B9/34
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019160252
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2020041404
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】62/728,352
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512330721
【氏名又は名称】ハンター ダグラス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ラーン
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ジー.スウィスツ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル,ビー.コルソン
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0119485(US,A1)
【文献】特開平5-231078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0230064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
D03D 1/00 - 27/18
D04B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面シアーファブリックを有するファブリックパネルであって、前記外面シアーファブリックは、
5から35までのデニールを有する複数の糸であって、各々がダイアモンド状の開口を形成する複数の斜め構造を形成するように構成されている複数の糸を備え、前記外面シアーファブリックは、約75パーセント(75%)以上のオープン性因子を有する、
ファブリックパネル。
【請求項2】
前記外面シアーファブリックが、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられると前記流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有する、請求項1に記載のファブリックパネル。
【請求項3】
前記流れ方向(MD)に前記0.03重量ポンドが加えられると前記外面シアーファブリックの前記伸び率のばらつきは、前記流れ方向(MD)において平均して0.100%未満である、請求項2に記載のファブリックパネル。
【請求項4】
前記外面シアーファブリックが、流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられると前記流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満の伸び率を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項5】
前記流れ方向(MD)に前記2重量ポンドが加えられると前記外面シアーファブリックの前記伸び率のばらつきは、前記流れ方向(MD)において平均して0.38%未満である、請求項4に記載のファブリックパネル。
【請求項6】
前記伸び率が、少なくとも部分的に前記複数の糸の前記デニールによって付与される、請求項~5のいずれか1項によるファブリックパネル。
【請求項7】
前記外面シアーファブリックが、流れ方向(MD)において平均して10重量ポンドより大きな最大破壊荷重を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項8】
前記外面シアーファブリックが、流れ方向(MD)において平均して5.5重量ポンドより大きなトラペゾイド引裂荷重を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項9】
前記複数の斜め構造を形成する前記複数の糸が、ポリエステルを含み、前記ダイアモンド状の開口が、幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmの寸法を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項10】
建築的特徴用のファブリックパネルであって、
高さおよび幅を有する前部垂直支持部材と、
高さおよび幅を有する後部垂直支持部材であって、前記後部垂直支持部材は、前記前部垂直支持部材に実質的に平行し、前記前部垂直支持部材に対して横方向に移動可能である、後部垂直支持部材と、
前記前部垂直支持部材から前記後部垂直支持部材に延在する複数の羽根と
を備え、
前記前部および前記後部垂直支持部材の両方は、前記羽根の移動および角度方向を制御し、
前記前部または後部垂直支持部材の少なくとも一方は、各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造を形成するように複数の糸から編まれたシアーファブリックであり、前記複数の糸の各々は、25以上のデニールを有する、
ファブリックパネル。
【請求項11】
前記複数の糸が、25から35までのデニールを有する、請求項10に記載のファブリックパネル。
【請求項12】
前記複数の糸が、30のデニールを有する、請求項10に記載のファブリックパネル。
【請求項13】
前記編まれたシアーファブリックが、約65パーセント(65%)以上のオープン性因子を有する、請求項10~12のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項14】
前記編まれたシアーファブリックが、約80パーセント(80%)以上のオープン性因子を有する、請求項13に記載のファブリックパネル。
【請求項15】
前記編まれたシアーファブリックが、前記後部垂直支持部材を形成し、前記前部垂直支持部材が、織られたシアーファブリックであり、前記後部垂直支持部材のオープン性因子が、前記前部垂直支持部材のオープン性因子より大きい、請求項10~14のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項16】
前記編まれたシアーファブリックが、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられると前記流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有し、前記伸び率のばらつきは、前記流れ方向(MD)に前記0.03重量ポンドが加えられると平均して0.100%未満である、請求項10~15のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項17】
前記編まれたシアーファブリックが、流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられると前記流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満の伸び率を有し、前記伸び率のばらつきは、前記流れ方向(MD)に前記2重量ポンドが加えられると平均して0.38%未満である、請求項10~16のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項18】
前記編まれたシアーファブリックが、流れ方向(MD)において約10重量ポンドより大きな最大破壊荷重を有する、請求項10~17のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【請求項19】
前記編まれたシアーファブリックが、流れ方向(MD)において平均して約5.50重量ポンドより大きなトラペゾイド引裂荷重を有する、請求項10~18のいずれか1項に記載のファブリックパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓、戸口、アーチ道などを含み得る建築的特徴用のシアーファブリック、柔軟なファブリックパネルおよび/または被覆物、および関連するシステムに関する。より詳細には、本開示は、光透過およびビュースルー制御性を提供する1つ以上の概ね垂直な支持部材を有する建築的特徴用のファブリックパネルおよび/または被覆物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築的特徴用の現在の被覆物は、概ね水平な実質的に柔軟な羽根要素を支持する概ね垂直な前部および後部シートを通常用いるHunter Douglasによるブランド名Silhouette(登録商標)で販売されている、その特許の全体が本明細書中に参照によって援用される米国特許第5,313,999号に記載されるようなシアーシェーディングを含む。垂直な支持シートは、一般に柔軟なシアーファブリックである。垂直な支持シートは、実質的に水平な柔軟な羽根とともに、柔軟なまたは柔らかい光制御窓被覆物またはパネルを形成する。Silhouette(登録商標)の柔軟性は、柔軟な光制御パネルをローラの周りに巻くかつ広げることによってその動作を可能にし、ロールアップタイプの被覆物と称され得る。通常、シアーパネルは、クリアなまたは染められた白またはオフホワイトであり、それらの強度および持続性の要件を考慮して、落ち着いた、多少白濁したビュースルー(「ビュースルー」)をもたらす材料からなる。落ち着いた、白濁したビュースルーは、被覆物を通って透過されている光を柔らかくするのに望ましいが、直射日光では、そうしたシアー材料を通る完全なビューは、幾分制限され得る。
【0003】
Silhouette(登録商標)における羽根は、単層の材料およびファブリックであり、特定の方位において、これらの単層の羽根は、互いに影を生成する。2013年3月14日に出願されかつ「調整された羽根セットを有する建築的な開口用の被覆物」と題された、その全体が本明細書中に参照によって援用される米国公開特許出願第2014/0138037号は、特定の位置および方位において、部屋に面したシート上の影を柔らかくまたは低減させ得る、概ね垂直な支持部材またはシートによって支持される2層の概ね水平な羽根を有する柔軟なロールアップタイプの窓被覆物を開示する。2016年10月28に出願されかつ「建築的特徴用の被覆物、関連するシステム、および製造法」と題された、その全体が参照によって本明細書中に援用される米国公開特許出願第2018/0119485号は、光透過およびビュースルー制御性を提供するものであり、特定の位置および方位において、美的観点から望ましくない場合がありまたロールアップの際問題を引き起こし得る垂直な支持部材の1つまたは両方におけるしわあるいはひだあるいは折り目の形成を生じさせ得る、1つ以上の概ね垂直な支持部材に結合された概ね水平の柔軟な羽根要素を有する建築的特徴用のパネルおよび/または被覆物を開示する。
【0004】
ビュースルー特性を提供しまた望ましい審美的な外観も有する光制御窓パネルを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、当業者を対象とする。建築的なファブリックパネル、シアーファブリック、および被覆物の目的および利点は、以下の図面、明細書、および特許請求の範囲に記載され、それらから明らかとなろう。開示の要約は、パネル、シアーファブリック、および被覆物の理解を助けるために、開示または発明を限定する意図なく提供される。開示の様々な態様および特徴の各々は、場合によっては別々に、または、場合によっては開示の他の態様および特徴、および/あるいは一般の建築用窓被覆物と組み合わせて、有利に用いられ得ることを理解すべきである。よって、開示は実施形態の点から提示されるが、任意の実施形態の個々の態様は別々にまたはその実施形態あるいは任意の他の実施形態の態様および特徴と組み合わせて利用することができることを理解すべきである。本開示にしたがって、変形例および変更例が、建築的なファブリックパネル、シアーファブリック、または被覆物に対してなされて、異なる効果を達成し得る。
【0006】
本開示は、ファブリックパネルに用いる改良されたシアーファブリックを特徴付ける。シアーファブリックは、約25から35までのデニールを含む約25以上のデニールの複数の糸を含み、複数の糸は、各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造を形成するように構成されており、シアーファブリックは、約75パーセント(75%)以上のオープン性因子を有する。オープン性因子のパーセンテージは、測定誤差範囲の正常範囲内にあることが当業者に理解されるであろう。実施形態では、シアーファブリックは、チュールシアーファブリックである。1つ以上の実施形態におけるシアーファブリックは、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有し、伸び率のばらつきは流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられたとき平均して0.100%未満である。シアーファブリックは、加えてまたは代替として、態様において、流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満、好ましくは約3.0%以下の伸び率を有し、伸び率のばらつきは流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられたとき平均して0.38%未満である。任意選択的に、シアーファブリックは、流れ方向(MD)において平均して10重量ポンドより大きい最大破壊荷重を有する。シアーファブリックは、代替としてまたは加えて、実施形態において、流れ方向(MD)において平均して5.5重量ポンドより大きいトラペゾイド引裂荷重を有する。
【0007】
さらなる態様における斜め構造を形成する複数の糸は、ポリエステルを備え、ダイアモンド状の開口は、幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmの寸法を有する。特定の実施形態におけるファブリックパネルは、高さおよび幅を有する外面前部垂直支持部材と;高さおよび幅を有する外面後部垂直支持部材であって、後部垂直支持部材は、パネルが重力の影響下にあるとき前部垂直支持部材に実質的に平行し、後部垂直支持部材は、前部垂直支持部材に対して横方向に移動可能である、外面後部垂直支持部材と;前部垂直支持部材から後部垂直支持部材に延在する複数の羽根とを有し、前部垂直支持部材および後部垂直支持部材は、複数のスラットの少なくとも1つにねじりを伴って取り付けられるように構成される。
【0008】
本開示は、しわ、ひだ、折り目などの形成を防ぐ、窓、戸口、アーチ道などを含み得る建築的特徴用の改良されたファブリックパネルおよび/または被覆物を特徴付ける。実施形態では、被覆物は柔軟なパネルを含む。実施形態における柔軟なパネルは、高さおよび幅を有する前部垂直支持部材と;高さおよび幅を有する後部垂直支持部材であって、後部垂直支持部材は、前部垂直支持部材に実質的に平行し、前部垂直支持部材に対して横方向に移動可能である、後部垂直支持部材と;前部垂直支持部材から後部垂直支持部材に延在する複数の羽根とを含み、前部および後部垂直支持部材の両方が、羽根の移動および角度方向を制御し、前部または後部垂直支持部材の少なくとも1つが、各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造を形成するような複数の糸から編まれたシアーファブリックであり、複数の糸の各々は、約25以上のデニールを有する。実施形態におけるシアーファブリックは、チュールシアーファブリックである。さらなる態様では、複数の糸は、約25から約35までのデニールを有し、特定の態様では、約30デニールを有する。実施形態による編まれたシアーファブリックは、約65パーセント(65%)以上のオープン性因子を有し、特定の実施形態では、約80パーセント(80%)以上のオープン性因子を有する。オープン性因子のパーセンテージは、測定誤差範囲の正常範囲内にあることが当業者に理解されるだろう。さらなる実施形態における編まれたシアーファブリックは、後部垂直支持部材を形成し、前部垂直支持部材は、織られたシアーファブリックであり、後部垂直支持部材のオープン性因子は、前部垂直支持部材のオープン性因子よりも大きい。
【0009】
1つ以上の実施形態における編まれたシアーファブリックは、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有する。実施形態による流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられたときの編まれたシアーファブリックの伸び率のばらつきは、流れ方向(MD)において平均して約0.100%未満である。加えてまたは代替として、編まれたシアーファブリックは、2重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満、好ましくは約3%以下の伸び率を有する。実施形態による流れ方向(MD)に2.0重量ポンドが加えられたときの編まれたシアーファブリックの伸び率のばらつきは、流れ方向において平均して0.38%未満である。さらなる実施形態では、編まれたシアーファブリックは、流れ方向(MD)において約10重量ポンドより大きい最大破壊荷重を有する。別の実施形態による編まれたシアーファブリックは、加えてまたは代替として、流れ方向(MD)において平均して約5.50重量ポンドより大きいトラペゾイド引裂荷重を有する。流れ方向(MD)に力が加えられるときの伸び率、流れ方向(MD)における最大破壊荷重、および流れ方向(MD)におけるトラペゾイド引裂荷重は、1つ以上の実施形態において、全体的にまたは少なくとも部分的に、約25から約35までのデニール、ある実施形態では、約30デニールを有するシアーファブリックを形成する複数の糸によるものである。
【0010】
パネルを形成する編まれたシアーファブリックは、ポリエステルを備える糸から編まれ、態様によると、ダイアモンド状の開口は、幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmの寸法を有する。実施形態における前部および後部垂直支持部材の第1の端部は、ローラに取り付けられ、さらなる態様では、前部または後部垂直支持部材の少なくとも1つの第2の端部は、エンドレールに取り付けられる。特定の実施形態によれば、前部垂直支持部材および後部垂直支持部材は、複数のスラットの少なくとも1つにねじりを伴って取り付けられる。
【0011】
別の実施形態によれば、建築的特徴用の柔軟なパネルが開示される。柔軟なパネルは、高さおよび幅を有する前部垂直支持部材と;高さおよび幅を有する後部垂直支持部材であって、後部垂直支持部材は、前部垂直支持部材に実質的に平行し、前部垂直支持部材に対して横方向に移動可能である、後部垂直支持部材と;前部垂直支持部材から後部垂直支持部材に延在する複数の羽根とを含み、前部および後部垂直支持部材の両方は、羽根の移動および角度方向を制御し、前部または後部垂直支持部材の少なくとも1つは、各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造を形成するように複数の糸から編まれたシアーファブリックであり、編まれたシアーファブリックは、約75パーセント(75%)以上のオープン性因子、および流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満、好ましくは、約3%以下の伸び率を有し、伸び率のばらつきは、流れ方向(MD)に2重量ポンドが加えられたとき平均して0.38%未満である。態様では、複数の糸は、約25から35までのデニール、特定の実施形態では、約30デニールを有する。1つ以上の実施形態における編まれたシアーファブリックは、後部垂直支持部材を形成し、前部垂直支持部材は、織られたシアーファブリックであり、後部垂直支持部材のオープン性因子は、前部垂直支持部材のオープン性因子より大きい。態様では、編まれたシアーファブリックは、チュールシアーファブリックである。
【0012】
編まれたシアーファブリックは、加えてまたは代替として、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有し、伸び率のばらつきは、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられたとき流れ方向(MD)において平均して0.100%未満である。1つ以上の実施形態における編まれたシアーファブリックの最大破壊荷重は、流れ方向(MD)において約10重量ポンドよりも大きい。編まれたシアーファブリックは、実施形態において、流れ方向(MD)において平均して約5.50重量ポンドより大きいトラペゾイド引裂荷重を有する。実施形態における編まれたシアーファブリックは、チュールシアーファブリックである。態様における編まれたシアーファブリックを形成する複数の糸は、ポリエステルから形成されかつそれを備え、1つ以上の実施形態におけるダイアモンド状の開口は、幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmの寸法を有する。
【0013】
本開示は、しわ、ひだ、折り目などの形成を防ぐ、窓、戸口、アーチ道などを含み得る建築的特徴用の改良された被覆物を特徴付ける。実施形態では、被覆物は、柔軟なパネルを含む。実施形態における柔軟なパネルは、高さおよび幅を有する前部垂直支持部材と、高さおよび幅を有する後部垂直支持部材であって、後部垂直支持部材は、前部シートに実質的に平行し、前部垂直支持部材に対して動作可能に結合されかつ横方向に移動可能である、後部垂直支持部材と、前部垂直支持部材と後部垂直支持部材の間に延在する複数の概ね水平な羽根とを含む。前部および後部支持部材の両方は、羽根の移動および角度方向を制御し得る。実施形態では、前部または後部垂直支持部材の1つは、チュールシアーファブリックである。
【0014】
実施形態では、建築的特徴用の被覆物に用いられるチュールシアーファブリックは、75パーセント(75%)より大きいオープン性因子を有し、流れ方向に0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して0.70%未満の伸び率を有する。さらなる別の実施形態では、建築的特徴用の被覆物に用いられるチュールシアーファブリックは、75パーセント(75%)より大きなオープン性因子を有し、2.0重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して5.0%未満の伸び率を有する。チュールシアーファブリックは、少なくとも65%くらいの高さのおよび86%くらいの高さのオープン性因子、好ましくは80%より大きなオープン性因子を有する。実施形態では、75パーセント(75%)より大きなオープン性因子を有する、建築的特徴用の被覆物に用いられる約25から約35までのデニールの糸から編まれたチュールシアーファブリックが開示される。態様では、チュールシアーファブリックは、ダイアモンド状の開口を有し、開口は、10.7mmくらいの大きさの幅および14.1mmくらいの大きさの長さを有する。実施形態におけるチュールニットファブリックは、暗色(例えば黒色)であり、異なるシアーファブリック(例えば、絡み織シアー)と組み合わせられて、光制御ファブリックパネルを作成する。任意選択的に、異なるシアーファブリックもまた暗色(例えば黒色)である。
【0015】
加えて、本開示は、この出願において様々な詳細レベルで記載され、クレームされた主題の範囲に関する限定が、この概要に要素、構成要素などが含まれることまたは含まれないことのいずれかにより意図されるものではない。場合によっては、開示の理解に必要ではないまたは他の詳細の理解を難しくする詳細は省略されていてもよい。クレームされた主題は本明細書中に例示された特定の実施形態または構成に必ずしも限定されないことを理解すべきである。
【0016】
本明細書中に開示されたような建築的な被覆物の様々な態様、特徴、および実施形態は、提供された図面と併せて閲読されるとより良く理解されるだろう。建築的な被覆物の態様、特徴、および/または様々な実施形態の例示のために、実施形態は図面の中で提供されるが、特許請求の範囲は、示された正確な構成、構造、サブアセンブリ、特徴、実施形態、態様、およびデバイスに限定されるべきではなく、示された構成、構造、サブアセンブリ、特徴、実施形態、態様、およびデバイスは、単独で、または他の構成、構造、サブアセンブリ、特徴、実施形態、態様、およびデバイスと組み合わせて用いられ得る。図面は必ずしも縮尺通りではなく、特許請求の範囲を限定することをいかようにも意図せず、単に、建築的な被覆物の様々な実施形態、態様、および特徴を例示かつ説明するために当業者に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】建築的な被覆物の実施形態の側面斜視図である。
図2】概ね水平な羽根が開構成にある完全展開位置における建築的な開口用の被覆物の一実施形態の斜視図である。
図3図2の被覆物の正面図である。
図4】多層の羽根が閉められたまたはしまわれた構成にある完全展開位置における図2の被覆物の斜視図である。
図5】格納位置における図2の被覆物の斜視図である。
図6】羽根が部分的に閉位置にある被覆物の実施形態の側面図である。
図7】羽根が閉位置にある図6の被覆物の側面図である。
図8】多層の羽根が開構成にある建築的な開口用の被覆物の異なる実施形態の側面図である。
図9】羽根が開から閉に移行する際の、図8のパネルの側面図である。
図10】20デニールの糸のチュールファブリックサンプルの例示的な顕微鏡画像である。
図11】30デニールの糸のチュールファブリックサンプルの例示的な顕微鏡画像である。
図12】流れ方向(MD)において0.03重量ポンドを用いて30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われた伸びおよび変形試験の結果の図である。
図13】横方向(CD)において0.03重量ポンドを用いて30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われた伸びおよび変形試験の結果の図である。
図14】流れ方向(MD)において2重量ポンドを用いて30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われた伸びおよび変形試験の結果の図である。
図15】横方向(CD)において2重量ポンドを用いて30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われた伸びおよび変形試験の結果の図である。
図16】流れ方向(MD)における最大破壊荷重を判定するための30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われたカットストリップ試験の結果の図である。
図17】横方向(CD)における最大破壊荷重を判定するための30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われたカットストリップ試験の結果の図である。
図18】流れ方向(MD)における平均引裂荷重を判定するための30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われたトラペゾイド引裂試験の結果の図である。
図19】横方向(CD)における平均引裂荷重を判定するための30デニールの糸のチュールファブリックサンプルに対して行われたトラペゾイド引裂試験の結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、建築的な被覆物、その動作方法、および製造方法の理解を提供するために多くの詳細が記載される。しかしながら、建築的な被覆物、その動作および製造方法の異なるかつ多数の実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実施され得、特許請求の範囲および発明は、本明細書中に具体的に記載かつ示される実施形態、サブアセンブリ、または指定された特徴あるいは詳細に限定されるべきではないことが、当業者によって理解されるだろう。本明細書中に提供された説明は、当分野および当状況下の当業者を対象としており、よく知られている方法、手続き、製造技術、構成要素、およびアセンブリは、建築的な被覆物の他の態様または特徴を曖昧にしないために、詳細に記載されていない。
【0019】
よって、本明細書中の図に一般に記載かつ例示された、実施形態の構成要素、態様、特徴、要素、およびサブアセンブリは、記載された実施形態に加えて多様な異なる構成で構成かつ設計することができることが容易に理解されるだろう。被覆物は、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく具体的な環境および動作要件に具体的に適合され得る、形式、構造、構成、比率、材料、および構成要素の多数の追加、代替、または修正をもって用いられ得ることが理解されよう。以下の説明は、単なる例として意図され、建築的な被覆物の特定の選択された実施形態を単に例示する。例えば、建築的な被覆物は、光およびビュースルーを制御するための窓被覆物としてのその使用を具体的に参照して、例において示されかつ記載されるが、被覆物は、他にも同じように適用されるだろうことを理解すべきである。加えて、多くの例における詳細な説明は、一般に、シート、具体的にはシアーシートとして記載された1つ以上の概ね垂直な支持部材から形成された被覆物を対象とするが、開示および教示は、例えばテープ、ストリップ、シート、パネル、およびそれらの組み合わせなどの垂直の支持部材を形成する他の材料へも適用されることが理解されるだろう。さらに、いくつかの実施形態および例は、好ましくは多層の通気性のある羽根を形成する多層の羽根の使用を含む、本明細書中で羽根またはスラットと称される水平光制御要素を開示するが、開示および教示は、光を制御する「羽根」または「スラット」を含まない通気性のあるまたは通気性のない被覆物に加えて、通気性のある羽根および/または単層の羽根を有する被覆物に適用されることが理解されるだろう。本明細書に添付された特許請求の範囲は、クレームされた発明を記載し、被覆物、パネル、および/またはファブリックの実施形態、要素、および/または特徴を除外するようにより狭く解釈されるという明確な記載が別途ない限り、建築的な被覆物、柔軟な、好ましくはファブリック、パネル、場合によってはシアーファブリックを網羅すると広く解釈されるべきである。
【0020】
本出願全体にわたって、参照番号は、被覆物の一般要素または特徴を示すのに用いられる。同一の参照番号は、形式、形状、構造などが同一ではないが類似の機能または利益を提供する要素または特徴を示すのに用いられ得る。追加の参照文字(番号とは異なり、文字、プライム、または上付き文字などの)は、類似の要素または特徴を互いから区別するのに用いられ得る。説明をしやすくするために、開示は、被覆物の構成要素の必ずしも全てに言及またはリスト化しないこと、および、文脈で別途記載されない限り、要素、部材、または構造への単数形の参照、例えば概ね垂直な支持部材、水平羽根要素、またはストリップあるいは羽根への単数形の参照は1つ以上のそうした要素への参照であり得ることを理解すべきである。
【0021】
建築的な被覆物の様々な実施形態の以下の説明では、あらゆる方角の参照(例えば、近位、遠位、上部、下部、上方、下方、左、右、横方向、長手方向、前部、後部、背部、上部、底部、上、下、垂直、水平、半径方向、軸方向、内部、外部、時計周り、および反時計周り)は、特許請求の範囲で別途記載されない限り、本開示の読み手の理解を助けるために単なる識別目的で用いられ、特にこの開示における位置、方位、または使用に関して限定を生じさせるものではないことが理解されるだろう。一実施形態に関して記載された特徴は、通常、明確に記載されるか否かに関わらず、別の実施形態に適用され得る。
【0022】
接続の言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された、および連結された)は広く解釈されるものであり、別途記載されない限り、要素の集合間の中間部材および要素間の相対的な移動を含み得る。かくして、接続の言及は、2つの要素が直接接続されかつ互いに対して固定関係にあることを必ずしも意味しない。識別の言及(例えば、一次の、二次の、第1の、第2の、第3の、第4のなど)は、重要度または優先度の含意を意図するものではなく、1つの特徴を別の特徴から区別するのに用いられる。図面は、単なる例示目的であり、図面に反映された寸法、位置、順序、および相対的なサイズは変わり得る。
【0023】
本明細書中で用いられる不織ファブリックに関して、「流れ方向」または「MD」という用語は、例えば市販の不織ファブリック作成機器上で不織ファブリックが作成されるときに連続ストランドまたはフィラメントが支持体上に置かれる方向を指す。同様に、「横方向」または「CD」という用語は、流れ方向に垂直な方向を指す。ファブリックに対して、用語は、ファブリックを作成するのに用いられるフィラメントに対するファブリックの対応する方向を指す。不織ファブリックの機械特性は、試験サンプルが試験中にどのように方位付けられる次第で異なり得るので、これらの方向は本明細書中で区別される。例えば、不織ファブリックの引張特性は、構成繊維の方位および他のプロセス関連の要因により、流れ方向と横方向で異なる。
【0024】
被覆物の好ましい実施形態の一般動作
本開示は、例えば、窓、ドア枠、アーチ道などを含む建築的特徴用の被覆物に関する。被覆物は、特に、窓に審美的な外観、ならびに望ましいシェーディングおよびプライバシーを提供するのに有用である。実施形態における被覆物は、一般に、1つ以上の柔軟な、移動可能な、概ね垂直な前部および/または後部支持部材の間を延在する1つ以上の柔軟な、移動可能な、概ね水平の羽根要素を含む柔軟なサブアセンブリまたはパネルを備える。本明細書中で羽根またはスラットとも称される概ね水平な羽根要素は、好ましくは、ファブリックから形成され、かつ、概ね垂直な支持部材と異なる光透過性または半透明性を有し、羽根および支持部材は一体となって、被覆物を通してのビュースルーおよび光透過を制御する。例えば積み重ねによって開くかつ閉まる通気性のあるアコーディオンスタイルのシェードなどの他のタイプおよびスタイルの被覆物が検討され、教示および開示は、ロールアップスタイルの被覆物に限定されない。
【0025】
実施形態における1つ以上の概ね垂直な支持部材は、ファブリックから形成され、実施形態において、互いに対して実質的に平行し、実施形態において、折れ線、折り目などを有さなくてもよい。概ね垂直な支持部材は、例えば、シート、パネル、テープ、ストリップなど、およびこれらの要素の組み合わせを含み得る。各垂直な支持部材は、単一のまたは複数のピース(複数可)の材料から形成され得、実質的に平坦かつ平面であり得る。垂直な支持部材は、高さ(長さ)、幅、および厚さを有し、それらの厚さ(それらの高さおよび幅に概ね垂直)は、比較的薄くあり得、垂直な支持部材は、一般に、それらのそれぞれの長さ(高さ)および/または幅よりもかなり薄い材料からなる。「長さ」とも称される垂直な支持部材の「高さ」は、一般にかつ通常、被覆物またはパネルの高さまたは垂直寸法に相当しかつ関連し、垂直な支持部材の幅は、一般にかつ通常、被覆物またはパネルの幅、および建築的な開口の幅に相当する。垂直な支持部材の幅は、羽根要素の長さ延在してもよくまたはしなくてもよい。一実施形態では、前部および/または後部垂直支持部材の高さおよび幅は、パネルの高さおよび幅と実質的に同じである。参照しやすくするために、かつ、開示を限定する意図なしに、1つ以上の垂直な支持部材は、開示においてシートと称されることもあり、1つ以上の実施形態において、1つ以上の前部および後部垂直支持部材は、シートから形成される。
【0026】
前部および後部の概ね垂直な支持部材、ならびに羽根要素は、実質的に任意のタイプの材料であり得、以下に限定するものではないが、編物、織物、非織物などを含むテキスタイル、ファブリック、およびフィルムなどの柔軟な材料から形成されることが好ましい。参照しやすくするために、支持部材を含むサブアセンブリは、光制御パネル、サブアセンブリ、または略して「パネル」と称される。1つの例示的な実施形態では、概ね1つ以上の垂直な支持部材は、概ね柔軟な、柔らかい材料からなり、被覆物用の概ね柔軟なサブアセンブリまたはパネルを形成する。
【0027】
加えて、垂直な支持部材は、半透明から実質的に透明またはクリアと様々な光透過性を有するのが好ましい。一実施形態では、前部および/または後部支持部材の少なくとも1つ、好ましくは両方が、シアーであり、かつ/または、光がそれを通過することを可能とする材料である。
【0028】
図1~9の例示的な実施形態を全体的に参照すると、一実施形態における被覆物100は、一般に、ヘッドレール102と、ヘッドレールと関連するローラ126と、光制御パネル104と、ボトムレールまたは重り110と、被覆物を動作させ(例えば、ローラを回転させる機構)かつパネルを通して光が遮断または透過される量、質、および方法、ならびにパネルの審美的な外観および見た目を制御する制御機構106とを含む。一実施形態では、ヘッドチューブまたはローラ126は、パネル104の上端170を支持しかつそれに接続され、ボトムレール110は、パネル104の底端175に接続される。実施形態では、パネルは、前部および/または後部垂直支持部材の1つを有し得、好ましくは、前部および後部垂直支持部材を有する。一実施形態では、前部および後部垂直支持部材は、ローラに直接的にまたは間接的に、好ましくは、前部および後部垂直支持部材の互いに対する横方向移動を提供するためにローラの外周に沿って異なる水平延在位置で結合される。ヘッドレール102は、ローラ126を支持し得、パネルは、建築的な開口上をローラ126に接続され得、したがって、ヘッドレール102は、建築的な開口の上面の形状および寸法(例えば幅)に概ね相当し得る。パネル104は、概ね垂直な前部支持部材118と概ね垂直な後部支持部材120の間に延在する概ね水平な羽根112を含む。羽根112は、前部および後部支持部材118、120からかつその間に延在し、そしてそれらに結合され得、羽根の少なくとも中間部分が実質的に水平でありかつ前部および後部支持部材に概ね直交する第1のすなわち開位置と、羽根の少なくとも中間部分が実質的に垂直でありかつ前部および後部支持部材に概ね平行する第2のすなわち閉位置の間を移動し得る。実施形態では、概ね垂直な支持部材118、120は、羽根要素が開位置にあろうと閉位置にあろうと互いに対して実質的に平行であり、概ね垂直な支持部材は、折れ線、折り目などを有さない。
【0029】
被覆物100は、開口における被覆物の高さ、ひいてはそれを通して透過される光の性質と質、ビュースルー特徴、ならびにパネル104の形状および審美的な性質を制御するために光制御パネル104の格納および展開を制御する制御機構106を含み得る。制御機構106はまた、やはりそれを通して透過される光の性質と質、ビュースルー特徴、ならびにパネル104の形状および審美的な魅力に影響するであろう、支持部材118、120に対しての水平羽根要素112の角度方向も制御し得る。図1~9に例示されたロールアップタイプの窓被覆物では、制御機構106は、ローラ126を回転させることが好ましい。特に、制御機構106は、光制御パネル104を格納もしくは展開するために、または、光制御パネル104の羽根112を角度的に方位付けるために、ローラ126を回転させる。光制御パネルは、パネルがローラの周りに完全に巻き付けられた完全格納位置と、パネルが、ローラから完全にほどかれ、垂直支持部材が互いに対して概ね平行かつ隣接し羽根が支持部材の間に位置しかつ実質的に垂直に垂直支持部材に対して平行に方位付けられた状態で、開口において展開する完全展開位置(図4を参照)の間を移動し得る。一例では、制御機構106は、ローラを回転させるためのコード108を含み得、かつ/または、プーリ109、直接駆動構成、歯車列、および/またはクラッチ機構を含み得る。ローラ126の回転を制御するためのシステムまたは機構は、ユーザによって手動で、または、遠隔制御といった、予めプログラミングされたもしくはプログラム可能なソフトウェア制御ユニットを介して制御され得る電気モータを含み得る。制御機構は、現在知られているものおよび将来開発される制御機構を含む任意の所望の制御機構を含み得る。加えて、上述の制御機構は、ロールアップタイプの被覆物用のローラまたは機構を回転させることを主に対象とするが、パネル104の移動を制御するために、例えば積み重ねて折り畳む構成の、かつ/またはボトムレールを持ち上げる機構といった、現在知られているまたは後に開発される他の構成および機構が代わりに用いられ得ることが理解されるであろう。
【0030】
参照しやすくするために、例えば窓被覆物として用いられる際、窓の開口の外部101に面する概ね垂直な支持部材120は、後部支持部材またはシートと称され、窓の開口の内部111に面する概ね垂直な支持部材118は、前部支持部材またはシート118と称される。羽根112の角度方向および移動は、垂直支持部材の間を延在しかつそれらに結合される羽根112を有するロールアップタイプの被覆物において、支持部材の相対的な移動によって達成される。前部および後部支持部材118、120は、ローラ126から広げられると一体となって垂直に移動して(図4)、窓の開口において展開し得る。窓被覆物が完全に展開しローラ126から広げられた後で(図5に示す)、ローラ126のさらなる回転により、前部支持部材118および/または後部支持部材120は互いから離れるように横方向すなわち水平方向に移動し、前部および後部支持部材118、120は相対的に垂直に対向する方向にさらに移動する(図6および7そして8および9)。窓被覆物の羽根は、パネルを通って透過される光の量および/または被覆物を通しての視認性に影響を与えるように、羽根を異なる角度方位または方向に方位付けかつそれらを異なる方向および方位に動作または移動するように構成するために、様々な形で垂直の支持部材の間を延在し得る。シェーディング方位を図6および7に示し、プライバシー方位を図8および9に示す。プライバシー方位では、窓の下にいて見上げている人が、羽根112が彼らのビュースルーを遮断することにより、室内を見ることを遮断し得る。当業者はまた、ロールアップタイプの被覆物における羽根112の角度方向および相対的移動を含む光制御およびビュースルー特徴は、一般に、支持部材がローラの後側115から延在するかそれとも前側119から延在するかによってかつ/またはローラの回転方向によって影響され得ることを理解し得る。
【0031】
前部および後部支持部材118、120の材料および設計は、パネル104の設計の独立した態様である。一実施形態では、前部および後部支持部材は、部分的にまたは全体的に、シアー、より好ましくはシアーファブリックから形成され得る。シアーは、光およびビュースルーを許容する開口を有する材料である。材料、例えばシアーのオープン性は、例えば材料におけるオープンな空間の割合を測定するそのオープン性因子により測定され得、60%のオープン性因子(「OF」)は、40%の材料および60%の穴またはオープンな空間を有する。オープン性因子OFが高くなると、材料によって提供されるシアーは増しビュースルーは良好となる。オープン性因子を測定する1つの方法は、糸の面積および/またはオープンな面積を測定しかつ材料を有さない面積のパーセンテージを計算することである。一例では、デジタル顕微鏡または高解像度カメラを用いて、材料の画像をキャプチャし得、画像を用いて、ファブリック、糸、または材料を有さないパーセンテージを計算する。Moticデジタル顕微鏡およびMotic Image Plus 2.0ソフトウェアを用いて、様々な材料のオープン性因子を測定し得る。
【0032】
審美的な理由により、約1パーセント(1%)きざみで60パーセント(60%)くらいの小ささから86パーセント(86%)くらいの高さまでのより高いオープン性因子を有する支持部材が好ましい。この明細書に開示されたパーセンテージ範囲は測定誤差の正常範囲内にあることが当業者にとって理解されるだろう。
【0033】
特定の実施形態では、オープン性因子は、約65パーセント(65%)から約80パーセント(80%)まで、約70パーセント(70%)から約75パーセント(75%)まで、約80パーセント(80%)から約85パーセント(85%)までなどである。特に、約1パーセント(1%)きざみで、好ましくは60パーセント(60%)より大きな、より好ましくは65パーセント(65%)より大きな、70パーセント(70%)より大きな、より好ましくは75パーセント(75%)より大きな、かつ/または80パーセント(80%)以上より大きな高いオープン性因子を有する支持部材が審美的な理由により好まれ得る。実施形態では、より高いオープン性因子に寄与し得る、異なるより細い(より薄い)糸が用いられ得る。暗色または黒色の糸を用いることは、被覆物の材料が日光で劣化されない場合があり材料がその強度を保つというさらなる理由によって有利であり得る。
【0034】
シアー、部分的なシアーとして形成された2つの支持部材を有するまたは垂直な支持部材として多数の開口を有するパネル104を構成する際、強度、耐久性、伸長性(伸び)、UV劣化、およびモアレ光干渉などの要素は、許容可能な被覆物100の設計においてあらゆる要素である。モアレは、2つのシアー材料が互いと重なり光がそれらを通って透過するときの光干渉の結果として生じ得る。垂直な支持部材として前部および後部シアーを有する被覆物において生じ得る光干渉アーチファクトであるモアレは、被覆物、特に、光がそれを通過する窓用被覆物などを製造する際に、回避されるまたは少なくとも最小化かつ低減されることが好ましい。
【0035】
モアレを低減させる1つの方法は、前部支持部材および後部支持部材に異なるシアーファブリックを用いること、ならびに/または、糸、および格子間間隔、および接続点が整列しないようにまたはほとんど整列しないように、シアーファブリックを選択、処理、および/または構成することである。
【0036】
パネル104の一実施形態では、直交格子ファブリックを前部支持部材118として用い得る。例えば、捩み織またはガーゼ織シアーファブリックを前部支持部材118に用い得る。捩み織シアーファブリックでは、経糸は対で用いられ、共にねじられて緯糸を適所に捕捉し、糸が滑らないようにし、それはそれら糸の間隔を変える。捩み織シアーファブリックは、糸のより広い間隔、および良好なビュースルーを提供する細い糸を用いて非常に糸目の粗い織りを可能にする。一実施形態では、前部支持部材に対する捩み織は、インチ当たり約21本(ypi)の横方向密度(交差糸は共にねじられた2本の糸である)、および約25ypiの流れ方向密度を有する。一実施形態では、前部支持部材に対する捩み織は、幅約7.3mm(対の経糸の間の距離)および長さ約4.1mm(緯糸の間の距離)の寸法を有する矩形開口を有する。他の横方向および流れ方向の密度の値が検討され、例示的な値は、糸のデニール次第で、約15から約30の横方向のypiおよび約15から約30の流れ方向のypiの範囲にあるだろう。別の実施形態では、前部支持部材に対するファブリックは、22の経糸のypiおよび22の対の緯糸のypiを有する、捩み織または平織りである。好ましくは、前部支持部材は、約60パーセント(60%)くらいの小ささから約85パーセント(85%)くらいの高さまでのオープン性因子を有し、それは、約1パーセント(1%)きざみで変わり得る。特定の実施形態では、オープン性因子は、約65パーセント(65%)から約80パーセント(80%)まで、約70パーセント(70%)から約75パーセント(75%)まで、約80パーセント(80%)から約85パーセント(85%)までなどである。好ましくは、前部支持部材は、60パーセント(60%)より大きな、より好ましくは約65パーセント(65%)より大きな、より好ましくは、約75パーセント(75%)、約80パーセント(80%)、および約85(85%)を含む約70パーセント(70%)以上のオープン性因子を有するシアーファブリックである。捩み織シアーファブリックは、実施形態では、約16から約24まで、約18から約22までの範囲の、好ましくは約20デニールの経糸のデニールを有するモノフィラメントまたはマルチフィラメント糸からなり得る。緯糸のデニールは、実施形態では、約45デニールくらいの小ささから約55デニールくらいの高さ、好ましくは約50デニールであり得る。被覆物に用いる捩み織シアーファブリックの例は、20デニールの経糸および50デニールのフィリングまたは緯糸を有するEnglebert Steigerの捩み織ファブリックである。Englebert Steigerの捩み織シアーファブリックは、好ましくは、約65パーセント(65%)より大きなオープン性因子を有する。垂直格子を有する捩み織シアーファブリックが前部垂直支持部材として用いられるとして論じてきたが、捩み織シアーファブリックは、後部垂直支持部材として用いられ得、好ましくはシアー材料を含む他の材料が前部垂直支持部材として用いられ得ることが理解されるだろう。
【0037】
さらに、異なるファブリック、例えば、斜め格子ファブリックが後部支持部材120に用いられ得る。実施形態における後部支持部材は、各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造を形成するように編まれたシアーファブリックである。すなわち、シアーファブリックを形成する複数の糸は、複数の糸の間においてダイアモンド状の開口を有する斜め格子構造を形成する。特定の実施形態における斜め格子構造は、ニットチュールシアーファブリックである。例えば各々がダイアモンド状の開口を有する複数の斜め構造および/またはオープン性因子といった同様の性質を有する他のファブリックは、この開示の範囲内にある。チュールファブリックは、約25から約30ゲージの経編機、好ましくは28(28)ゲージの経編機で作られ得る。28(28)ゲージの経編機では、インチ当たり28(28)の経糸が編機に送られ、フィル糸は経編機で用いられない。例示的な実施形態では、後部支持部材用のチュールファブリックは、横(幅)方向において約25~30ゲージ(糸)、好ましくは28ゲージ(糸)であり、流れ方向においてインチ当たり約10コースである。後部支持部材は、約1パーセント(1%)きざみで変わり得る約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を有することが好ましいシアーファブリックである。一実施形態では、後部支持部材は、好ましくは、約60パーセント(60%)より大きな、より好ましくは65パーセント(65%)より大きな、より好ましくは、75パーセント(75%)より大きな、約80パーセント(80%)以上、および約85パーセント(85%)を含む70パーセント(70%)以上より大きなオープン性因子を有する。すなわち、約60パーセント(60%)くらいの低さから約86パーセント(86%)くらいの高さまでの範囲のオープン性因子を有する前部および後部支持部材が、所望の結果を生じさせている。一実施形態では、チュールシアーファブリックは、75パーセント(75%)より大きくかつ90パーセント(90%)より小さな、より好ましくは約80パーセント(80%)と約86パーセント(86%)の間のオープン性因子を有し得る。この開示は、約1パーセント(1%)きざみの約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約86パーセント(86%)くらいの高さのオープン性因子を記載するが、他のオープン性因子がこの開示の範囲内にあり、パネル104に対する様々な設計上の検討(例えば、遮光および/または所望のビュースルー特徴)に基づいて選択され得る。ダイアモンド状の開口を有する斜め格子シアーファブリック、特に、ニットチュールシアーファブリックを、後部垂直支持部材に用いられるとして開示してきたが、例えばニットチュールシアーファブリックといった斜め格子シアーファブリックが前部垂直支持部材に用いられ得、かつ、好ましくはシアー材料を含む他の材料が後部垂直支持部材に用いられ得ることが理解され得る。
【0038】
実施形態では、後部支持部材120は、前部支持部材118のオープン性因子より大きなオープン性因子を有する。
【0039】
実施形態では、前部および/または後部支持部材は、約1パーセント(1%)きざみで約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を有し、かつ、0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有するシアーファブリック(好ましくはチュールニットファブリック)であり得る。好ましくは、チュールファブリックは、0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して0.65%以下の伸び、0.60%以下の伸び、0.55%以下の伸び、または0.50%以下の伸びである伸び率を有する。好ましくは、オープン性因子は、約60パーセント(60%)より大きく、より好ましくは65パーセント(65%)より大きく、より好ましくは、75パーセント(75%)より大きく、約80パーセント(80%)以上、および約85パーセント(85%)を含む70パーセント(70%)以上より大きくあり得る。そうしたファブリックの伸びのばらつきは、実施形態では、流れ方向(MD)に0.03重量ポンドが加えられたとき平均して約0.100%未満である。
【0040】
別の実施形態では、前部および/または後部支持部材は、約1パーセント(1%)きざみで約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を有し、かつ、流れ方向(MD)に2.0重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約5.0%未満、好ましくは約3.0%未満の伸び率を有するシアーファブリック(好ましくはチュールニットファブリック)であり得る。好ましくは、チュールファブリックは、流れ方向(MD)に2.0重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、および約3.0%以下の伸び率を有する。好ましくは、オープン性因子は、約60パーセント(60%)より大きく、より好ましくは65パーセント(65%)より大きく、より好ましくは、75パーセント(75%)より大きく、約80パーセント(80%)以上、および約85パーセント(85%)を含む70パーセント(70%)以上より大きくあり得る。流れ方向(MD)におけるそうしたファブリックの伸びのばらつきは、実施形態では、流れ方向(MD)に2.0重量ポンドが加えられたとき平均して約0.38%未満である。
【0041】
実施形態では、前部および/または後部支持部材は、約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を有し、かつ、流れ方向(MD)において平均して約10重量ポンドより大きな最大破壊荷重を有するシアーファブリック(好ましくはチュールニットファブリック)であり得る。好ましくは、チュールファブリックは、平均して約12重量ポンドより大きな、約14重量ポンドより大きな、または約16重量ポンドより大きな最大破壊荷重を有する。好ましくは、オープン性因子は、約1パーセント(1%)きざみで、約60パーセント(60%)より大きく、より好ましくは65パーセント(65%)より大きく、より好ましくは、75パーセント(75%)より大きく、約80パーセント(80%)以上、および約85パーセント(85%)を含む70パーセント(70%)より大きくあり得る。
【0042】
実施形態では、前部および/または後部支持部材は、約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を有し、かつ、流れ方向(MD)において平均して約5.50重量ポンドより大きなトラペゾイド引裂荷重を有するシアーファブリック(好ましくはチュールニットファブリック)であり得る。好ましくは、チュールファブリックは、平均して約6重量ポンドより大きな、約6.5重量ポンドより大きな、または約7重量ポンドより大きなトラペゾイド引裂荷重を有する。好ましくは、オープン性因子は、約1パーセント(1%)きざみで、約60パーセント(60%)より大きく、より好ましくは65パーセント(65%)より大きく、より好ましくは、75パーセント(75%)より大きく、約80パーセント(80%)以上、および約85パーセント(85%)を含む70パーセント(70%)以上より大きくあり得る。
【0043】
2013年3月14日に出願されかつ「調整された羽根セットを有する建築的な開口用の被覆物」と題された、その全体が参照によって本明細書中に援用される米国公開特許出願第2014/0138037号は、20デニールの糸で形成された光制御パネルの後部支持部材120を形成するためのチュールファブリックを記載した。しかしながら、20デニールの糸のニットチュールファブリックの使用は、経時的に伸びをもたらし得、それは、「ひだ」と称されることもあるしわまたは折り目の形成を容易にしまたは生じさせ得る。その影響は、審美的に快適ではない場合があり、光制御パネルのロールアップの際に問題を生じさせ得る。この開示は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る、約25くらいの低さから約35くらいの高さまでのデニールの糸を含む、好ましくは30デニールの糸である、約25以上のデニールの糸から形成され得るチュールファブリックの使用を記載する。実施形態では、チュールファブリックは、オープン性因子が少なくとも65%であるように選択された例えば30デニールの糸といった、25より大きなデニールの糸から形成され得る。本明細書中で用いられる「デニール」は、測定単位、すなわち、ファブリックの作成に用いられる個々の糸またはフィラメントの厚さを規定しかつ繊維の細さを指す線質量密度(g/9000m)である。高いデニール数を有するファブリックは、厚く、頑健で、かつ柔軟性がなく、低いデニール数を有するファブリックは、薄く、柔軟で、柔らかく、かつ滑らかである。高いデニール数の糸を用いることは、ファブリックのオープン性因子に悪影響を及ぼすと見込まれるだろう。約25くらいの低さから約35くらいの高さのデニールを含む、好ましくは30デニールの糸である、約25以上のデニールの糸を用いると、驚くほどかつ予想外に、光制御パネルにおいてシアーを通しての所望の視認性(オープン性因子)を保ちつつ、望ましくないしわまたはひだまたは折り目の形成を低減かつ/または防ぐ。30デニールの糸は、かなり低い伸び(伸長性)を有しかつその寸法および形状を保ち、そのビュースルー(オープン性因子)への影響は皆無かそれに近いものとなり、サンプルごとの荷重下のファブリックの伸びの一致性、すなわち、荷重下の伸びの量の標準偏差は、大幅に向上する。伸びおよびひだの形成を防ぐ一方約60パーセント(60%)くらいの低さおよび約85パーセント(85%)くらいの高さのオープン性因子を達成するために、25~35デニールの糸のチュールファブリックが選択され、異なるオープン性因子に対するデニールの他の範囲がこの開示の範囲内にあることが当業者に理解されるだろう。
【0044】
30デニールのポリエステル糸のチュールファブリックの様々な物性が試験され、同一のプロセスを用いて編まれかつ同一の仕上げプロセス(以下に記述する)を受けた20デニールのポリエステル糸のチュールファブリックの物性と比較された。30デニールの糸のチュールファブリックは、20デニールの糸のチュールファブリックよりもオープン性がたった約2%から約3%少ない、より具体的には例においてオープン性が約2.7%少ないオープン性因子を有するが、予想外に、経時的な折り目またはしわまたはひだの形成および/または伸び(または他の変形)を低減または防ぐ30デニールの糸のチュールファブリックの様々な他の特性は、20デニールの糸のチュールファブリックの特性と著しく異なることが予想外に分かった。絡み織の前部パネルと組み合わせての、被覆物100の後部パネルに用いられるチュールファブリックに対する、約25デニールくらいの低さから約35デニールくらいの高さまでのデニールの糸の値、より具体的には約30デニールの糸は、特有であり、伸張性または伸びが著しく低い、寸法的に安定したファブリックという予想外な結果を達成し、それは、比較可能な20デニールの糸のニットチュールファブリックと比較したときにビュースルー(オープン性因子)を犠牲にせずに、見苦しいしわまたは折り目またはひだの形成を低減または排除する。
【0045】
例えば、0.03重量ポンドを用いて、目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機でMDに引っ張られると、30デニールの糸のチュールファブリックは、20デニールの糸のチュールファブリックと比較して、平均して約35%から約37%まで、より具体的には約36%少なく伸びる。重要なことに、30デニールの糸のチュールファブリックの伸びは、経時的にまたは0.03重量ポンドを加えることを繰り返すと、20デニールの糸のチュールファブリックと比較して著しく安定しかつ約73%低いばらつきで伸び試験において一致することが分かった。2重量ポンドを用いて、目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機でMDに引っ張られると、30デニールの糸のチュールファブリックは、20デニールの糸のチュールファブリックと比較して平均して約40%から約44%まで、より具体的には約42%少なく伸びる。30デニールの糸のチュールファブリックの伸びは、経時的にまたは2重量ポンドを加えることを繰り返すと、20デニールの糸のチュールファブリックと比較してMDにおいて平均して約36%から38%低くばらつき、より具体的には約37%低くばらつくことが分かった。30デニールの糸のチュールファブリックは、より低い伸びおよびかなり多い一致した伸び量を有し、荷重を加えたときにその寸法および形状をずっと良好に保ちそこまで伸びないことから、製造可能性に対して有利である。30デニールのチュールファブリック対20デニールのチュールファブリックの伸び率の標準偏差の差は、パネルの製造時、より良い公差を許容する。このことは、見苦しいしわまたは「ひだ」が少ない、予想外に良好なかつ改善された光制御パネルをもたらす。
【0046】
さらに、30デニールの糸のチュールファブリックは、20デニールの糸のチュールファブリックよりも強い。より薄く低いデニールの糸(例えば20デニールの糸)は、強度および耐摩耗性がより低くあり得、かくして、織る際、編む際、または他の構成の際、ならびに通常の使用の際、応力およびひずみにより破壊の影響を受けやすくなり得る。したがって、より高いデニールの糸(例えば25~35デニールの糸)の使用は、糸を、製造および使用の際のそうした応力およびひずみから保護することを助け得る。これは、30デニールの糸のファブリックの増大した引裂抵抗性および増大した最大破壊荷重から明らかである。連続的に増大させて張力を加えたときの30デニールの糸のチュールファブリックの最大破壊荷重および伸び、ファブリックの強度測定値は、MDにおいて、20デニールの糸のチュールファブリックよりも平均して約72%から約74%まで、より具体的には約73%大きいことが分かった。最後に、30デニールの糸のチュールファブリックはまた、20デニールの糸のチュールファブリックと比較して、MDにおいて、引裂に対してより大きい抵抗性を有する。例えば、平均して30デニールの糸のチュールファブリックは、MDにおいて引裂に対して約42%から約44%、より具体的には平均して約43%大きい抵抗性を有する。
【0047】
30デニールの糸と20デニールの糸のチュールファブリックの伸張特性の上記のパーセンテージの差は例示的であり、他の値がこの開示の範囲内にある。好ましいファブリックは、所望のオープン性因子を有し、また、製造ならびに使用の際、伸び、ひだ、および引裂に抵抗性を有するものである。
【0048】
図10および11は、矢印「MD」が流れ方向を示す、MOTIC DIGITAL(商標)のMicroscope Model #DM143のそれぞれ20デニールのモノフィラメント糸のチュールファブリック(1001)および30デニールのモノフィラメント糸のチュールファブリック(1101)の代表的なニット構造を表す。両サンプルは、28ゲージ編機を用いて準備され、その後、両サンプルは、約20ゲージまで伸長させられた。MOTIC DIGITAL(商標)のMicroscope Model ♯DM143を用いて、20デニールの糸および30デニールの糸のチュールファブリックのオープン性の割合を判定した。20デニールの糸のチュールファブリックのオープン性のパーセンテージは、約83.62%と判定され、30デニールの糸のチュールファブリックのオープン性のパーセンテージは、約81.32%と判定された。2つのチュールニットシアーファブリックのオープン性因子の差は、たったの約2%から3%であり、裸眼で容易に明白なものではない。実施形態では、この開示において試験された30デニールの糸のチュールファブリックは、80%を超えるオープン性因子を有する。
【0049】
実施形態では、MD方向に0.03重量ポンドを用いて目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機で引っ張られたときの30デニールの糸のチュールファブリックは、平均して約0.45%の伸び率を有し、最小伸びは約0.37%であり、最大伸びは約0.49%である。0.03重量ポンドを用いてMD方向に試験している伸び率の標準偏差は、0.051lbsであった。2重量ポンドを用いて目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機で引っ張られたときの30デニールの糸のチュールファブリックは、MD方向において平均して約3%の伸び率を有し、最小伸びは約2.8%であり、最大伸びは約3.5%である。MD方向に2重量ポンドを用いて試験している伸び率の標準偏差は、0.297lbsであった。30デニールの糸のチュールファブリックは、MD方向において、平均して約13.58lbfの最大破壊荷重を有し、最小破壊荷重は約11.72lbfであり、最大破壊荷重は約14.98lbfであり、付随する平均の伸びは約0.78インチであり、最小伸びは約.664インチであり、最大伸びは約0.876インチである。MD方向における最大破壊荷重でのMD方向における30デニールのチュールファブリックの伸び率は、平均して15パーセント(15%)以下である。30デニールの糸のチュールファブリックは、MDにおいて平均して約6.583lbfのトラペゾイド引裂荷重下で裂け、最小引裂荷重は約5.823lbfであり、最大引裂荷重は約7.436lbfである。シアーファブリックを形成する糸のデニールが、少なくとも部分的に、流れ方向(MD)に力を加えたときの流れ方向(MD)において向上した伸び、ならびに流れ方向(MD)に力を加えたときの流れ方向(MD)における伸びの向上したばらつき(例えば標準偏差)を付与すると考えられる。シアーファブリックを形成する糸のデニールが、少なくとも部分的に、流れ方向(MD)において向上した最大破壊荷重およびトラペゾイド引裂荷重を付与するとも考えられる。
【0050】
実施形態では、0.03重量ポンドを用いて目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機でCD方向に引っ張られたときの30デニールの糸のチュールファブリックは、約4.5%の平均伸び率を有し、最小伸び率は約4.0%であり、最大伸び率は約5.2%である。0.03重量ポンドを用いてCD方向において試験している伸び率の標準偏差は、0.455lbsであった。2重量ポンドを用いて目盛り付きのINSTRON(商標)の引張試験機でCD方向に引っ張られたときの30デニールの糸のチュールファブリックは、平均して約90%の伸び率を有し、最小伸びは約85%であり、最大伸びは約95%である。2重量ポンドを用いてCD方向において試験している伸び率の標準偏差は、3.555lbsであった。30デニールの糸のチュールファブリックは、CD方向において、平均して5.1lbfの最大破壊荷重を有し、最小破壊荷重は4.34lbfであり、最大破壊荷重は約6.02lbfである(付随する伸びは、平均して約3.8インチであり、最小伸びは約3.5インチであり、最大伸びは約4.0インチである)。CD方向における最大破壊荷重でのCD方向における30デニールのチュールファブリックの伸び率は、平均して、MD方向における伸び率よりもかなり高く、平均して約60~65%である。30デニールの糸のチュールファブリックは、CD方向において平均して約6.1lbfのトラペゾイド引裂荷重下で裂け、最小引裂荷重は約5.4lbfであり、最大引裂荷重は約7.1lbfである。
【0051】
実施形態では、チュールシアーファブリックは、0.03重量ポンドが加えられると流れ方向(MD)において平均して約0.70%未満の伸び率を有し、MDにおけるチュールシアーファブリックの伸びのばらつきは、平均して約0.100%未満である。チュールシアーファブリックは、2重量ポンドが加えられるとMDにおいて平均して約5.0%未満、好ましくは約3.0%未満の伸び率を有し、流れ方向におけるチュールシアーファブリックの伸びのばらつきは、平均して0.38%未満である。チュールシアーファブリックは、MDにおいて約10重量ポンドより大きな最大破壊荷重を有し(伸びは、最大破壊荷重が加えられたとき平均して約0.65インチくらいの低さから約0.85インチくらいの高さまでになる)、かつ、流れ方向(MD)において平均して約5.50重量ポンド未満のトラペゾイド引裂荷重を有する。
【0052】
ファブリックチュールサンプルの試験
30デニールの糸のチュールファブリックの様々な試験が以下に記載かつ報告される。各試験は、MDおよびCDにおいてファブリックの5つのサンプルに対して行われた。チュールファブリックサンプルの各々は、28ゲージ機で、30デニールのモノフィラメント、ポリエステル糸で編まれ、その後、ファブリックは、約20ゲージまで伸長された。
【0053】
伸びおよび変形
この試験は、具体的な重量で伸長かつ保持されたときの材料の伸びを判定するために行われる。予め決められたサイズのサンプルファブリックピースが、INSTRON(商標)のModel 4444の引張試験機に搭載され、定常荷重がサンプルファブリックに加えられる。試験を行うのに、ロードセルおよび0.75’’鋸歯状ウェッジグリップが用いられた。MDにおいて試験している伸びは、光制御パネルにおけるチュールファブリックに加えられる荷重をシミュレーションする。
【0054】
まず、0.03重量ポンド(lbf)を用いて伸びが試験された。試験は、3.0”のグリップ距離で一定のクロスヘッド速度1.5インチ/分で実行された。ファブリックサンプルのサイズは、1.0”×6.0”であった。伸びおよび変形試験の結果を、30デニールの糸のファブリックに対して、MDに対して表1(a)および図12に示し、CDに対して表1(b)および図13に示す。
【表1】
【0055】
2lb荷重を用いてやはり30デニールのチュールファブリックサンプルの伸びが試験された。試験は、1.0”のグリップ距離で一定のクロスヘッド速度12.0インチ/分で実行された。ファブリックサンプルのサイズは、1.0”×2.5”であった。伸びおよび変形試験の結果を、30デニールの糸のファブリックに対して、MDに対して表2(a)および図14に、CDに対して表2(b)および図15に示す。
【表2】
【0056】
カットストリップ引張試験
INSTROM(商標)のModel 4444の引張試験機において、連続的に増大する張力が一定の速度率でサンプルファブリックに加えられるときの最大破壊荷重および伸びを判定するために、カットストリップ引張試験が行われた。この試験は、ファブリックの強度を測定するために用いられる。ファブリックサンプルのサイズは、1.0”×6.0”であり、試験は、3.0”のグリップ距離で一定のクロスヘッド速度12.0インチ/分で実行された。引張試験用のINSTROM(商標)の試験機のグリッパが、ファブリックサンプルを、MD方向およびCD方向の試験の両方に対して、1.0”の幅に沿ってグリップする。引張試験の結果は、30デニールの糸のファブリックに対して、MDに対して表3(a)および図16に、CDに対して表3(b)および図17に示す。
【表3】
【0057】
トラペゾイド引裂
トラペゾイド引裂試験は、荷重を連続的に増大させファブリックサンプルの平均引裂荷重を判定するために行われた。この試験は、被検査物の長さに平行に連続的に増大する荷重を加えたときの材料または材料(複数)の引裂強度の測定であった。個々の繊維が多かれ少なかれランダムに方位付けられかつ加えられた荷重の方向にいくらかの再方位付けが可能である不織ファブリックにおいて、さらなる再方位付けへの抵抗性が1つ以上の繊維を同時に断裂させるのに必要な力より大きいときに、最大トラペゾイド引裂強度に達する。被検査物の測定された引裂強度は、連続的な引裂および/または毛玉の形成へのファブリックの抵抗性に関する情報を提供する。INSTROM(商標)のModel 4444の引張試験機が用いられ、試験は、1.0”のグリップ距離で一定のクロスヘッド速度12.0インチ/分で実行された。サンプルのサイズは、3.0”×6.0”であった。引裂試験の結果を、30デニールの糸のファブリックに対して、MDに対して表4(a)および図18に、CDに対して表4(b)および図19に示す。
【表4】
【0058】
30デニールの糸のチュールファブリックは、20デニールの糸のファブリックと比較して、実質的に同一のオープン性因子を維持しつつその形状および構造を維持すること、ならびに、ファブリック伸長およびしわ形成に影響する特徴においてはるかに良好なばらつきを驚くほどに提供することにおいて、予想外に良好であった。
【0059】
チュールは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る、約25デニールから約35デニールまでのデニールの糸、好ましくは30デニールの糸から形成され得る。チュールファブリックは、例えば、30/1または30/12の糸のいずれかでつくられ得、30/12は、12フィラメントを有する30デニールの糸であり、30/1は、単一またはモノフィラメントを有する30デニールの糸である。30/1のモノフィラメント糸は、やや小さ目の全体直径を有し、かくして、シアーに形成されると、30/12よりも良好なビュースルーおよびオープン性因子を有し、好ましい選択であり得る。糸、好ましくは30デニールの糸は、ポリエステルからつくられる。
【0060】
例えば25~30ゲージの経編機、25~30ゲージのチュールファブリックを作成するために1つおきに針が除かれた50~60ゲージの編機を用いて、または、チュールファブリックがより大きなゲージの編機でつくられファブリックが30デニールの糸で約20ゲージのファブリックまで伸長することによって仕上げられた、非常にオープンな格子構造で作られたチュールシアーファブリックは、絡み織面シアーとのモアレまたは干渉パターンを回避または低減しつつ良好なビュースルーを提供し得る。チュールは、インチ当たり28の経糸が編機に送られ、フィル糸は経編機で用いられない28ゲージの経編機でつくられ得る。実施形態におけるファブリックは、横(幅)方向においてインチ当たり28未満のゲージ(糸)(例えば、インチ当たり20ゲージの糸)が存在するように、仕上げプロセスにおいて引き出される。例示的な実施形態では、後部支持部材に対するチュールは、横(幅)方向において約20ゲージ(糸)および流れ方向において約10コース(インチ当たりのコース)である。代替実施形態では、30デニールの糸を有するチュールファブリックは、20ゲージのチュールの斜め構造のファブリックを作るために仕上げプロセスの際に引っ張ることなく20ゲージの編機で、または16ゲージのチュールの斜め構造のファブリックを作るために1つおきに針が除かれた32ゲージの編機などで編まれ得る。実施形態では、後部支持部材に対する30デニールの糸を有するチュールファブリックは、28ゲージの編機で準備され、約20ゲージのファブリックまで伸長することによって仕上げられ、ここではオープン性因子は、約80%以上であり、開口は、幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmの寸法を有する。
【0061】
一実施形態では、暗色(例えば、灰色または黒色)の30デニールの糸、好ましくはポリエステル糸からつくられた後部の28(28)ゲージの斜め格子ニットシアーファブリック、好ましくはチュールシアーファブリックは、横方向に15~30ypiおよび流れ(緯)方向に15~30ypiを有する20デニールの糸からつくられたSteigerの絡み織の前部シアーと組み合わせて用いられる。一実施形態では、幅約7.3mmおよび長さ4.1mmの矩形の開口を有するSteigerの絡み織の前部シアーは、約20ゲージのファブリックまで伸長することによって仕上げられる28ゲージの編機で準備される、開口が幅約10.7mmおよび長さ約14.1mmである30デニールのモノフィラメント糸からつくられるチュールの後部シアーと対になる。絡み織ファブリックおよびチュールシアーファブリックは、両方暗色(例えば、灰色または黒色)であり得、かつ/または、ファブリックの一方は、より明るく(例えば、灰色対黒色)あるいは明色(例えばベージュまたは白色)であり得る。任意選択的に、後部支持部材のファブリックは、絡み織ファブリックであり得、かつ、前部支持部材は、ニットチュールファブリックであり得る。シアーファブリック、特に絡み織およびチュールニットは、通気性のない羽根、多層の通気性のある羽根、およびそれらの組み合わせとともに用いられ得る。
【0062】
実施形態では、前部支持部材は、約65パーセント(65%)以上くらいの低さのオープン性因子を有し得、さらに、15~25デニールの経糸、好ましくは20デニールの糸、および約45~55デニールの緯糸からなるSteigerの絡み織であり得、横方向(経糸)および流れ(緯糸)方向に約15~30ypiを有し得る。一実施形態における被覆物は、前部または後部垂直支持部材の一方に対して約80パーセント(80%)以上のオープン性因子を有する、約25デニールから約35デニールの糸、好ましくは30デニールの糸からつくられるチュールシアー、および前部または後部垂直支持部材の他方に対して約65パーセント(65%)以上のオープン性因子を有する絡み織シアーファブリックを有し、態様において、少なくとも後部支持部材は、任意選択的に、前部支持部材よりも暗く、暗色または黒色であり得る。例えば、暗色の垂直支持部材は、溶液染色、分散染色、またはカーボンブラックで溶液染色および分散染色の両方がなされ得る。一態様では、1つ以上の支持部材は、暗色であり得、カーボンブラックの顔料で着色された材料、好ましくはポリエステルでつくられ得る。一実施形態では、前部垂直支持部材は、白色、オフホワイト、かつクリア、かつ/またはチタン顔料で着色され得、またはその逆である。高いオープン性因子および暗色を有する垂直支持部材を有することによって、ビュースルーを増大させ得、羽根要素の改良された視認性が、特定の実施形態において達成され得る。
【0063】
一実施形態では、パネルは、各々が60(60%)より大きいオープン性因子を有する前部垂直支持部材および後部垂直支持部材から形成され得、パネルはさらに、通気性のない羽根、多層の通気性のある羽根、または両方の羽根タイプの混合を有し得る。一実施形態では、後部支持部材は、オープン性因子が約75パーセント(75%)以上の黒色のシアーであり得、さらに、例えば20ゲージのシアーまで伸長することによって仕上げられる28ゲージのチュールといった約16から約28ゲージのチュールニットファブリックであり得る。チュールは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る、25デニールから35デニールの糸、好ましくは30デニールの糸で形成され得る。一実施形態では、前部支持部材は、約65パーセント(65%)以上のオープン性因子を有し得、さらに、Steigerの絡み織であり得、横方向(経糸)に約15~30ypiおよび流れ(緯糸)方向に45~55ypiを有し得る。65パーセント(65%)より大きいオープン性因子を有するチュールおよびSteigerの絡み織シアーは、プライバシーまたはシェーディング方位に構成された単層の通気性のない羽根とともに用いられ得る。一実施形態では、全て通気性のない羽根、全て多層の通気性のある羽根、または通気性のない羽根および通気性のある羽根の組み合わせを有する被覆物は、前部または後部垂直支持部材の一方に対して約80パーセント(80%)以上のオープン性因子を有する30デニールの糸のチュールシアー、および前部または後部垂直支持部材の他方に対して約65パーセント(65%)以上のオープン性因子を有する絡み織ファブリックを有し得、少なくとも後部支持部材は、暗色または黒色であり得る。
【0064】
当業者は、建築的な被覆物は多くに適用され、様々な形で実装され得、したがって前述の実施形態および例によって限定されないことを理解するだろう。本明細書中に記載された異なる実施形態の任意の数の特徴は、単一の実施形態に組み合され得る。本明細書中に記載された特徴に加えて特徴を有するまたは記載された特徴の全てより少ない特徴を有し得る代替の実施形態が可能である。機能はまた、全体的にまたは部分的に、複数の構成要素間に、現在知られているまたはこれから知られる形で分散され得る。
【0065】
前述の理由により、開示は、現在利用可能な窓被覆物の審美性を、伸びおよび見苦しいしわの形成を低減することによって向上させる可能性を有する刷新的なファブリックの設計を提供することが明らかである。本明細書中に開示されたファブリックは、様々な形で修正され得、様々な技術的適用で適用され得る。例えば、論述の大半が、後部パネルとしての図1~9の被覆物100における30デニールの糸のファブリックの使用を対象としているが、このファブリックは、例えば前部パネルとしても用いられ得る。
【0066】
広い発明の概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対して変形がなされ得ることが当業者によって理解されるだろう。したがって、この発明は開示された特定の実施形態に限定されず、発明の趣旨および範囲内の変形を網羅することが意図されると理解される。発明の基本的特徴を例示的な実施形態に示しかつ記載してきたが、建築的な被覆物の開示された実施形態の形式および詳細における省略、置換、および変形が、発明の趣旨から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるだろう。さらに、発明の範囲は、当業者によって理解されるように、本明細書中に記載された構成要素に対する、従来知られている、かつ将来開発される変更例および変形例を網羅する。
【0067】
特許請求の範囲では、「備える/備えている(comprises/comprising)」という用語は、他の要素、特徴、またはステップの存在を除外するものではない。さらに、個別にリスト化されていても、複数の手段、要素、または方法ステップは、例えば単一のユニット、要素、またはピースによって実装され得る。加えて、個別の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、有利に組み合わされ得、それらの異なる請求項における個別の包含は、特徴の組み合わせが実行可能かつ/または有利ではないことをほのめかすものではない。加えて、単一の参照は、複数を除外しない。「a」、「an」、「第1の(first)」、「第2の(second)」などという用語は、複数を排除するものではない。開示および/または特許請求の範囲における参照記号または文字は、単に分類例として提供されるものであり、特許請求の範囲を限定すると決して解釈されない。
【0068】
前述の説明は、広範に適用される。本明細書中に開示された概念は、本明細書中に記載かつ描写されたことに加えて、多くのタイプの被覆物パネルまたはシェードに適用し得ることを理解すべきである。同様に、本明細書中に開示された概念は、本明細書中に記載かつ描写された被覆物に加えて、多くのタイプの被覆物に適用し得ることを理解すべきである。例えば、概念は、トップレール、またはハンドルアセンブリを通して移動可能な任意の他のレールに等しく適用し得る。任意の実施形態の論述は、単に例示を意味するものであり、特許請求の範囲を含む開示の範囲がこれらの実施形態に限定されると示唆する意図はない。言い換えれば、開示の例示的な実施形態を本明細書中で詳細に記載してきたが、発明の概念はそれ以外にも多様に具現化かつ採用され得ること、および添付の特許請求の範囲は、先行技術による限定を除いて、そうした変形を含むと解釈されることを意図することが理解されよう。
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