(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電子モジュールの製造方法、電子モジュール、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20240701BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240701BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H05K3/34 507C
H05K3/34 504B
H01L21/60 311S
H01L23/12 F
(21)【出願番号】P 2019201679
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 光利
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-334906(JP,A)
【文献】特開2018-137301(JP,A)
【文献】特開2015-127356(JP,A)
【文献】特開平08-055938(JP,A)
【文献】特開2015-179711(JP,A)
【文献】特開2000-323624(JP,A)
【文献】特開2007-324418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H01L 21/60
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ粉末、及び未硬化の熱硬化性樹脂である第1樹脂を含有するペースト
と、未硬化の樹脂である第2樹脂
とが接触しないように、電子部品及び/又は配線板に前記ペーストを供給し、かつ前記電子部品及び/又は前記配線板に前記第2樹脂を供給し、
前記電子部品と前記配線板とで前記ペースト及び前記第2樹脂を挟むように前記電子部品及び前記配線板の一方を他方に載置し、
前記第2樹脂を硬化させて、前記電子部品と前記配線板とを接合する第2樹脂部を形成し、
前記第2樹脂部を形成した後、はんだ融点以上の温度に前記ペーストを加熱して前記はんだ粉末を溶融させ、
前記はんだ融点よりも低い温度で溶融はんだを凝固させて、前記電子部品と前記配線板とを接合するはんだ部を形成し、
前記はんだ部を形成した後、前記第1樹脂を硬化させて、前記はんだ部に接する第1樹脂部を形成する、
ことを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第2樹脂は、前記第1樹脂とは異なる未硬化の熱硬化性樹脂であり、前記ペーストを前記はんだ融点まで昇温させる過程で硬化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第2樹脂は、未硬化の光硬化性樹脂であり、
前記電子部品及び前記配線板の一方を他方に載置する前に、前記電子部品及び/又は前記配線板に供給された前記第2樹脂に光を照射し、
前記第2樹脂が硬化する前に前記電子部品及び前記配線板の一方を他方に載置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記電子部品及び/又は前記配線板に供給された前記第2樹脂の総体積が、前記電子部品及び/又は前記配線板に供給された前記ペーストの総体積よりも少ない、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記電子部品及び/又は前記配線板に供給された前記第2樹脂の高さが、前記電子部品及び/又は前記配線板に供給された前記ペーストの高さ以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第2樹脂の粘度は、室温で10,000Pa・S以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記電子部品が、撮像素子を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項8】
配線板と、
半導体素子及びインタポーザを含む電子部品と、
平面視して前記インタポーザの中央を囲むように配列され、前記配線板と前記インタポーザとを接合する複数のはんだ部と、
前記平面視して前記インタポーザの中央を囲むように配置され、前記複数のはんだ部と接する、電気絶縁性を持つアンダーフィル部と、
前記インタポーザと前記配線板とを接合する、前記アンダーフィル部と異なる材料を有する、電気絶縁性を持
ち、前記アンダーフィル部の内側の第1領域に前記はんだ部および前記アンダーフィル部と離れて配置される第1接合部と、を備える、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項9】
前記第1接合部のビッカース硬度が、前記アンダーフィル部のビッカース硬度よりも高い、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記第1接合部が複数、設けられている、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の電子モジュール。
【請求項11】
前記第1接合部の総体積が、前記アンダーフィル部の総体積よりも少ない、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項12】
前記第1接合部は、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂の硬化物である、
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項13】
前記インタポーザと前記配線板とを接合する、電気絶縁性を
持ち、前記アンダーフィル部の外側の第2領域に前記はんだ部および前記アンダーフィル部と離れて配置される第2接合部と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項14】
前記第2接合部のビッカース硬度が、前記アンダーフィル部のビッカース硬度よりも高い、
ことを特徴とする請求項13に記載の電子モジュール。
【請求項15】
前記第2接合部が複数、設けられている、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の電子モジュール。
【請求項16】
前記第1接合部及び前記第2接合部の総体積が、前記アンダーフィル部の総体積よりも少ない、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項17】
前記第2接合部は、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂の硬化物である、
ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記半導体素子は、撮像素子である、
ことを特徴とする請求項8乃至17のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項19】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられた、請求項8乃至18のいずれか1項に記載の電子モジュールと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例である撮像装置は、イメージセンサなどの電子部品を有する電子モジュールを備えている。撮像装置の小型化及び高性能化に伴い、電子部品も小型化及び高性能化している。電子部品には、小型化が可能であり、かつ多数の端子を配列可能な、LGA(Land Grid Array)、LCC(Leadless Chip Carrier)等の半導体パッケージが多く採用されている。
【0003】
これらの電子部品は、端子となるランドが主面に配置されるため、リード端子が不要であり、電子モジュールの小型化が可能である。電子部品のランドと配線板のランドとは、はんだで接合されるが、電子部品の高性能化に伴い、電子部品の動作時の発熱量が増加しているため、熱膨張による電子部品と配線板と変形量の差により、はんだに応力がかかり、はんだが断線することがあった。また、はんだには、熱に対する耐性のみならず、落下衝撃に対する耐性も求められている。
【0004】
特許文献1には、はんだ粉末と未硬化の熱硬化性樹脂とを含むペーストを用いて電子部品を配線板に実装する製造方法が記載されている。この種のペーストは、はんだ融点以上に加熱することで溶融はんだが凝集し、溶融はんだと未硬化の熱硬化性樹脂とに分離される。未硬化の熱硬化性樹脂は、はんだの周囲に分離され、加熱による硬化反応によって硬化する。熱硬化性樹脂が硬化した硬化物ではんだを覆うことで、はんだにかかる応力を分散させ、はんだの断線を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のペーストを用いる製造方法では、配線板と電子部品とをはんだで接合する加熱工程時に、加熱によって配線板及び/又は電子部品に反りが生じ、はんだの接合不良が生じることがあった。
【0007】
本発明は、電子モジュールにおける接合の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様によれば、電子モジュールの製造方法は、はんだ粉末、及び未硬化の熱硬化性樹脂である第1樹脂を含有するペーストと、未硬化の樹脂である第2樹脂とが接触しないように、電子部品及び/又は配線板に前記ペーストを供給し、かつ前記電子部品及び/又は前記配線板に前記第2樹脂を供給し、前記電子部品と前記配線板とで前記ペースト及び前記第2樹脂を挟むように前記電子部品及び前記配線板の一方を他方に載置し、前記第2樹脂を硬化させて、前記電子部品と前記配線板とを接合する第2樹脂部を形成し、前記第2樹脂部を形成した後、はんだ融点以上の温度に前記ペーストを加熱して前記はんだ粉末を溶融させ、前記はんだ融点よりも低い温度で溶融はんだを凝固させて、前記電子部品と前記配線板とを接合するはんだ部を形成し、前記はんだ部を形成した後、前記第1樹脂を硬化させて、前記はんだ部に接する第1樹脂部を形成する、ことを特徴とする。
本開示の第2態様によれば、配線板と、半導体素子及びインタポーザを含む電子部品と、平面視して前記インタポーザの中央を囲むように配列され、前記配線板と前記インタポーザとを接合する複数のはんだ部と、前記平面視して前記インタポーザの中央を囲むように配置され、前記複数のはんだ部と接する、電気絶縁性を持つアンダーフィル部と、前記インタポーザと前記配線板とを接合する、前記アンダーフィル部と異なる材料を有する、電気絶縁性を持ち、前記アンダーフィル部の内側の第1領域に前記はんだ部および前記アンダーフィル部と離れて配置される第1接合部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子モジュールにおける接合の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る電子機器一例であるデジタルカメラの説明図である。
【
図2】(a)は、第1実施形態に係る電子モジュールの一例である撮像モジュールの平面図である。(b)は、第1実施形態に係る撮像モジュールの断面図である。
【
図3】(a)~(d)は、第1実施形態に係る撮像モジュールの製造方法の説明図である。
【
図4】(a)~(d)は、第1実施形態に係る撮像モジュールの製造方法の説明図である。
【
図5】第1実施形態に係る撮像モジュールの製造方法の加熱工程の説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る撮像モジュールの断面図である。
【
図7】(a)~(c)は、第2実施形態に係る撮像モジュールの製造方法の一部の説明図である。
【
図8】(a)は、第3実施形態に係る撮像モジュールの平面図である。(b)は、第3実施形態に係る撮像モジュールの断面図である。
【
図9】(a)及び(b)は、変形例の撮像モジュールの説明図である。
【
図10】(a)及び(b)は、変形例の撮像モジュールの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電子機器の一例としての撮像装置であるデジタルカメラ600の説明図である。デジタルカメラ600は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体601を備える。レンズを含むレンズユニット602がカメラ本体601に着脱可能となっている。レンズユニット602は、レンズ鏡筒である。カメラ本体601は、筐体611と、筐体611の内部に設けられた、撮像モジュール300及び処理モジュール700と、を備えている。撮像モジュール300は、電子モジュールの一例である。撮像モジュール300と処理モジュール700とはケーブル950で電気的に接続されている。
【0013】
撮像モジュール300は、電子部品の一例であるイメージセンサ105と、イメージセンサ105が実装された配線板100と、を有する。配線板100は、プリント配線板であり、リジッド基板である。イメージセンサ105は、半導体装置の一例である半導体パッケージで構成されている。イメージセンサ105は、半導体素子の一例である撮像素子111と、撮像素子111が実装されたインタポーザ112とを有する。インタポーザ112は、パッケージ基板である。
【0014】
イメージセンサ105は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。イメージセンサ105は、レンズユニット602を介して入射した光を電気信号に変換する機能を有する。
【0015】
処理モジュール700は、画像処理装置800と、画像処理装置800が実装された配線板900と、を有する。画像処理装置800は、半導体パッケージで構成された電子部品である。配線板900は、プリント配線板であり、リジッド基板である。画像処理装置800は、例えばデジタルシグナルプロセッサである。画像処理装置800は、イメージセンサ105から電気信号を取得し、取得した電気信号を補正する処理を行い、画像データを生成する機能を有する。
【0016】
図2(a)は、第1実施形態に係る撮像モジュール300の平面図である。
図2(a)は、撮像モジュール300を平面視した図、即ち配線板100においてイメージセンサ105が実装された実装面に垂直なZ方向に撮像モジュール300を見た図を示している。
図2(a)では、イメージセンサ105を破線で示し、イメージセンサ105を透視した撮像モジュール300を模式的に図示している。
図2(b)は、第1実施形態に係る撮像モジュール300の断面図である。
図2(b)には、
図2(a)のIIB-IIB線で撮像モジュール300を切断した際の撮像モジュール300の断面を模式的に図示している。
【0017】
イメージセンサ105は、LGAの半導体パッケージである。なお、イメージセンサ105はBGA(Ball Grid Array)又はLCCの半導体パッケージであってもよい。イメージセンサ105のインタポーザ112は、絶縁基板113と、絶縁基板113の主面2001に配置された複数のランド116と、を有する。撮像素子111は、絶縁基板113における主面2001とは反対側の主面2002に配置されている。Z方向は、主面2002に垂直な方向でもある。各ランド116は、導電性を有する金属、例えば銅の基体の表面にNi及びAuをメッキして形成されたパッドである。各ランド116は、例えば信号ランド、電源ランド、グラウンドランド、又はダミーランドである。絶縁基板113は、例えばアルミナ等のセラミックで形成されたセラミック基板である。Z方向に見た各ランド116の形状は、特に限定するものではないが、第1実施形態では円形状又は四角形状である。
【0018】
配線板100は、絶縁基板101と、絶縁基板101の主面1001に配置された複数のランド102と、を有する。Z方向は、主面1001に垂直な方向でもある。各ランド102は、導電性を有する金属、例えば銅で形成されたパッドである。各ランド102は、例えば信号ランド、電源ランド、グラウンドランド、又はダミーランドである。絶縁基板101は、エポキシ樹脂等の絶縁材料で形成されている。
【0019】
主面1001上には、ソルダーレジスト膜103が設けられている。ソルダーレジスト膜103には、ランド102に対応する位置にランド102を露出させる開口が形成されている。Z方向に見た各ランド102の形状は、特に限定するものではないが、第1実施形態では円形状又は四角形状である。各ランド102とソルダーレジスト膜103との関係は、SMD(Solder Mask Defined)でもNSMD(Non-Solder Mask Defined)でもよい。
【0020】
配線板100の主面1001と、イメージセンサ105の主面2001とは、Z方向に互いに対向している。Z方向は、主面2001の面外方向でもある。主面2001に沿う、互いに直交するX方向及びY方向、即ちXY方向は、主面2001の面内方向である。撮像モジュール300は、イメージセンサ105と配線板100とを電気的及び機械的に接合する複数のはんだ部109を備える。各はんだ部109は、互いに対向するランド116とランド102とを電気的及び機械的に接合している。
【0021】
撮像モジュール300は、イメージセンサ105と配線板100との間に配置され、イメージセンサ105と配線板100とを機械的に接合するアンダーフィル部110を備える。アンダーフィル部110は、電気絶縁性を有する絶縁体である樹脂で形成されている。アンダーフィル部110は、樹脂を含む第1樹脂部である。
【0022】
複数のはんだ部109の各々は、一体に形成されたアンダーフィル部110に接している。各はんだ部109がアンダーフィル部110に接することにより、イメージセンサ105の駆動時に発生する熱によって生じる熱応力を、各はんだ部109のみならず、アンダーフィル部110にも分散させることができる。イメージセンサ105の主面2001の面積は、例えば900mm2以上である。このような大きなイメージセンサ105が配線板100に実装されていても、熱応力によるはんだ部109の断線を抑制することができる。
【0023】
アンダーフィル部110において、好ましいビッカース硬度は17Hv以上である。アンダーフィル部110のビッカース硬度が17Hv以上であれば、各はんだ部109の接合強度を十分に確保することができる。
【0024】
Z方向に見たときのイメージセンサ105の外形は、四角形である。Z方向に見たときのイメージセンサ105の外形は、インタポーザ112の外形、即ち絶縁基板113の外形でもある。Z方向に見て、配線板100は、イメージセンサ105よりも大きい。Z方向に見て、イメージセンサ105の全部は、配線板100と重なっている。複数のはんだ部109は、Z方向に見て、イメージセンサ105と重なる位置であって、イメージセンサ105の中央C1、即ちインタポーザ112の中央C1を囲むように配列されている。具体的には、複数のはんだ部109は、Z方向に見て、インタポーザ112の中央C1を含む矩形領域を囲むように配列されている。中央C1は、Z方向に見てイメージセンサ105の主面2001の面積重心の位置であり、
図2(b)では、Z方向に延びる一点鎖線の仮想直線で示す。
【0025】
アンダーフィル部110は、各はんだ部109と接触するように複数のはんだ部109の間に配置され、Z方向に見て、中央C1を囲むように配置されている。これにより、アンダーフィル部110の内側には、中央C1を含む、アンダーフィル部110のない領域R1がある。領域R1は、第1領域である。領域R1は、Z方向に見て、イメージセンサ105のインタポーザ112と重なる位置に形成されている。また、アンダーフィル部110の外側であって、Z方向に見てイメージセンサ105のインタポーザ112と重なる位置には、アンダーフィル部110のない領域R2がある。領域R2は、第2領域である。
【0026】
撮像モジュール300は、イメージセンサ105のインタポーザ112と配線板100との間に配置された、インタポーザ112と配線板100とを機械的に接合する少なくとも1つの接合部を備える。第1実施形態では、少なくとも1つの接合部は、複数の接合部128である。
図2(a)の例では、5つの接合部128がある。各接合部128は、電気絶縁性を有する絶縁体である樹脂で形成されている。各接合部128は、樹脂を含む第2樹脂部である。第1実施形態では、各接合部128は、熱硬化性樹脂を硬化させた硬化物である。
【0027】
各接合部128は、イメージセンサ105の主面2001と配線板100のソルダーレジスト膜103とを接合している。各接合部128は、撮像モジュール300の製造過程において、イメージセンサ105と配線板100との間隔の変動を抑制する部材として機能する。
【0028】
複数の接合部128は、各々同じ樹脂材で形成されている。複数の接合部128のうち、少なくとも1つは、Z方向に見て領域R1に配置されている。複数の接合部128は、Z方向に見て、領域R1に配置された1つの接合部128
1と、領域R2に配置された複数の接合部128
2と、を含む。
図2(a)の例では、4つの接合部128
2がある。接合部128
1は、第1接合部であり、各接合部128
2は、第2接合部である。接合部128
1は、Z方向に見て、中央C1と重なる位置に配置されるのが好ましい。
【0029】
なお、各接合部128は、イメージセンサ105の絶縁基板113の主面2001と配線板100のソルダーレジスト膜103とを接合しているが、これに限定するものではない。例えば、複数の接合部128のうちいずれかは、配線板100の主面1001又はランド102と、ランド116とを接合するようにしてもよい。
【0030】
各接合部128のビッカース硬度は、イメージセンサ105と配線板100との間隔を保持し、製造過程の加熱工程ではんだ部109に加わる応力を緩和するために、20Hv以上であるのが好ましい。また、撮像モジュール300に温度衝撃や落下衝撃が加わった際に、はんだ部109に加わる応力を低減させるため、アンダーフィル部110より接合部128の方が硬い方が好ましい。仮にアンダーフィル部より接合部の方が軟らかいと接合部による衝撃緩和効果が小さく、アンダーフィル部とはんだ部に掛かる衝撃が大きくなるためである。即ち、各接合部128のビッカース硬度は、アンダーフィル部110のビッカース硬度よりも高いのが好ましい。換言すると、アンダーフィル部110のビッカース硬度は、各接合部128のビッカース硬度よりも低いのが好ましい。
【0031】
次に、撮像モジュール300の製造方法について説明する。
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、及び
図4(d)は、第1実施形態に係る撮像モジュール300の製造方法の説明図である。
【0032】
図3(a)は、撮像モジュール300の製造に用いる部材を用意する工程S1を示す図である。工程S1において、
図3(a)に示すように、配線板100を用意しておく。なお、
図3(a)には図示していないが、この工程S1において、イメージセンサ105も用意しておく。
【0033】
図3(b)は、各ランド102上にペースト104を供給する工程S2を示す図である。工程S2において、
図3(b)に示すように、各ランド102上にペースト104を供給する。ペースト104は、はんだ粉末120と、及び未硬化の熱硬化性樹脂である第1樹脂121とを含む。第1樹脂121は、樹脂主材と、硬化剤とを含有する。ペースト104は、はんだ接合に用いられるフラックス成分を更に含有していてもよい。ペースト104は、例えばスクリーン印刷又はディスペンサーで、各ランド102上に塗布される。
図3(b)に図示するように、ランド102においてソルダーレジスト膜103から露出する部分の全体を覆うようにペースト104をランド102上に供給する。第1樹脂121としての熱硬化性樹脂は、加熱によって、一旦軟化した後、徐々に硬化するものであってもよいし、軟化せずに徐々に硬化するものであってもよい。
【0034】
なお、いわゆるオフセット印刷のように、ランド102においてソルダーレジスト膜103から露出する部分の一部を覆うようにペースト104をランド102上に供給してもよい。また、各ランド102上にペースト104を供給する代わりに、各ランド116上にペースト104を供給するようにしてもよい。また、複数のランド102のうちの一部又は全部と複数のランド116のうちの一部又は全部にペースト104を供給するようにしてもよい。即ち、後の
図3(d)の工程S4で各ランド102と各ランド116との間にペースト104が挟まれるように、イメージセンサ105及び/又は配線板100上にペースト104を供給すればよい。
【0035】
図3(c)は、未硬化の樹脂である第2樹脂122を供給する工程S3を示す図である。工程S3において、
図3(c)に示すように、配線板100上に第2樹脂122を供給する。なお、
図3(c)では、第2樹脂122が、1箇所だけ供給されているように図示されているが、
図2(a)に示す複数の接合部128を形成しようとする複数箇所に供給される。
【0036】
第2樹脂122は、未硬化の樹脂であり、
図2(b)に示す接合部128の前駆体である。第2樹脂122は、第1樹脂121と異なる未硬化の熱硬化性樹脂である。同じ温度条件で加熱した際の第2樹脂122の硬化開始温度は、第1樹脂121の硬化開始温度より低い。または、同じ温度条件で加熱した際に同じ硬化開始温度でも、同じ温度条件で加熱した際の第2樹脂122の硬化速度は、第1樹脂121の硬化速度よりも速い。第2樹脂122は、樹脂主材と、第1樹脂121に含有される硬化剤とは異なる種類の硬化剤と、を含有する。または、硬化剤の含有率を変えて、硬化速度を変えてもよい。第2樹脂122の樹脂主材は、第1樹脂121の樹脂主材と同じ種類でも異なる種類でもよい。
【0037】
第2樹脂122は、配線板100上のペースト104と接触しないように、配線板100においてペースト104を供給した場所以外にディスペンサーで塗布される。第1実施形態では第2樹脂122は、ソルダーレジスト膜103上に供給される。工程S3の後の工程で第2樹脂122がイメージセンサ105と接触しやすいように、工程S3における第2樹脂122のZ方向の高さH2は、ペースト104のZ方向の高さH1以上とするのが好ましい。高さH1,H2は、第1実施形態では、配線板100のソルダーレジスト膜103の表面を基準とする。第2樹脂122の粘度は、室温(23℃±2℃)で10,000Pa・S以上であるのが好ましい。これにより、第2樹脂122が配線板100上で広がるのが防止され、高さH2を高さH1以上とすることができる。
【0038】
なお、第2樹脂122は、イメージセンサ105の主面2001に供給されてもよい。この場合、第2樹脂122は、ディスペンサー又はスクリーン印刷等で主面2001に供給されてもよい。即ち、イメージセンサ105及び/又は配線板100上に第2樹脂122を供給すればよい。ペースト104及び第2樹脂122がイメージセンサ105に供給される場合は、高さH1,H2は、主面2001が基準となる。また、工程S2と工程S3の順番は、逆であってもよいし、同時であってもよい。
【0039】
図3(d)は、ペースト104及び第2樹脂122が供給された配線板100上にイメージセンサ105を載置する工程S4を示す図である。この工程S4において、イメージセンサ105は、不図示のマウンターを用いて、配線板100上に載置される。このとき、イメージセンサ105の各ランド116が、配線板100の各ランド102上のペースト104と接触するように、イメージセンサ105が位置決めされる。この工程S4により、第2樹脂122がイメージセンサ105の絶縁基板113の主面2001に接触する。そして、イメージセンサ105と配線板100との間には、ペースト104と第2樹脂122とが挟み込まれる。即ち、イメージセンサ105と配線板100とでペースト104及び第2樹脂122を挟むようにイメージセンサ105を配線板100に載置する。
【0040】
なお、工程S4において、配線板100上にイメージセンサ105を載置する場合について説明したが、逆であってもよく、イメージセンサ105上に配線板100を載置するようにしてもよい。即ち、イメージセンサ105及び配線板100の一方を他方に載置すればよい。
【0041】
工程S4の後、ペースト104及び第2樹脂122を挟んだ状態のイメージセンサ105及び配線板100を、加熱炉の一例である不図示のリフロー炉の内部に搬送する。
【0042】
リフロー炉の内部に搬送されたペースト104、第2樹脂122、イメージセンサ105及び配線板100は、リフロー炉の内部の雰囲気により加熱される。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示す工程S5-1、S5-2、S5-3、S5-4は、一連の加熱工程の一部を時系列順に図示したものである。
【0043】
加熱を開始する、即ちリフロー炉内の雰囲気の昇温を開始すると、第2樹脂122は、リフロー炉内の雰囲気により加熱されて昇温し、硬化反応が開始する。そして、リフロー炉内の雰囲気温度Tがはんだ融点T
Mに近づくようにリフロー炉内の雰囲気温度Tを更に上昇させることで、第2樹脂122における硬化反応、即ち架橋反応を促進させる。はんだ融点T
Mは、はんだ粉末120の融点である。
図4(a)は、リフロー炉内の雰囲気温度Tをはんだ融点T
Mまで上昇させる途中の工程S5-1を示している。
図3(d)に示す第2樹脂122は、硬化反応が進んで、
図4(a)に示す中間体126となる。リフロー炉内の雰囲気温度Tがはんだ融点T
Mに近づくようにリフロー炉内の雰囲気温度Tを更に上昇させることで、中間体126が硬化して接合部128となる。このように、ペースト104をはんだ融点T
Mまで昇温させる過程で、第2樹脂122を硬化させる。第2樹脂122が熱硬化することで、接合部128が形成される。
【0044】
図4(b)は、リフロー炉内の雰囲気温度Tをはんだ融点T
Mよりも高いピーク温度T
Pまで上昇させる工程S5-2を示している。この工程S5-2によってペースト104がはんだ融点T
Mよりも高いピーク温度T
Pまで加熱される。これにより、はんだ粉末120が溶融し、凝集することで、溶融はんだ107と、第1樹脂121とに分離される。接合部128は、硬化率が50%以上のほぼ固相状態にある。溶融はんだ107は、液相状態にある。第1樹脂121は、硬化率が50%未満の液相状態にある。なお、ピーク温度T
Pは、第1樹脂121の硬化反応が過剰に進まないように、適宜、設定すればよい。第1実施形態において、第1樹脂121が硬化する、即ち硬化物になるとは、第1樹脂121の硬化率が50%以上となることをいう。同様に、第2樹脂122が硬化する、即ち硬化物になるとは、第2樹脂122の硬化率が50%以上となることをいう。
【0045】
接合部128は、イメージセンサ105の主面2001と配線板100のソルダーレジスト膜103とを接合する柱となり、イメージセンサ105と配線板100との間隔を保持する。工程S5-2中、接合部128によってイメージセンサ105と配線板100との間隔が保持されるので、後に形成されるはんだ部109におけるショート及びオープンなどの接合不良を防止することができる。このため、製造される撮像モジュール300における接合の信頼性が向上する。
【0046】
また、工程S5-2中、接合部128によって、イメージセンサ105と配線板100との間隔がXY方向においてほぼ一定に保持されるので、毛細管現象による第1樹脂121の流動が抑制される。これにより、第1樹脂121を、溶融はんだ107の周囲に留まらせることができる。
【0047】
図4(c)は、溶融はんだ107を凝固させる工程S5-3を示した図である。工程S5-2の後、工程S5-3では、溶融はんだ107を、ピーク温度T
Pからはんだ融点T
Mよりも低い温度まで冷却することにより、溶融はんだ107を凝固させる。リフロー炉において溶融はんだ107をはんだ融点T
Mよりも低い温度の雰囲気に晒すことにより、溶融はんだ107が凝固し、イメージセンサ105と配線板100とを電気的及び機械的に接合するはんだ部109が形成される。はんだ部109は、固相状態である。
【0048】
ここで、工程S5-3における第1樹脂121は、
図4(b)の工程S5-2と比べ、架橋反応が進んでいるが、未だ流動性が高く、硬化率が50%よりも低い状態である。工程S5-3中、接合部128によって、イメージセンサ105及び配線板100の反りが抑制される、即ちイメージセンサ105と配線板100との間隔がXY方向においてほぼ一定に保持される。これにより、毛細管現象による第1樹脂121の流動が抑制され、第1樹脂121を、はんだ部109の周囲に留まらせることができる。
【0049】
図4(d)は、第1樹脂121を硬化させる工程S5-4を示す図である。工程S5-3の後、工程S5-4において第1樹脂121をはんだ融点T
Mよりも低い温度の雰囲気で更に加熱することで、第1樹脂121の硬化率が更に高まり、硬化反応が進んで第1樹脂121の硬化物からなるアンダーフィル部110が形成される。第1樹脂121を熱硬化させることで形成されたアンダーフィル部110は、固相状態である。はんだ部109の周囲に留まらせた第1樹脂121を硬化させることで、アンダーフィル部110ではんだ部109が覆われ、はんだ部109がアンダーフィル部110によって補強される。このため、撮像モジュール300における接合の信頼性が向上する。
【0050】
工程S5-4は、工程S5-1~S5-3で用いた同じリフロー炉で行うことができる。なお、リフロー炉には、イメージセンサ105が載置された配線板100が次々と搬送されてくる。生産性の観点から、リフロー炉において工程S5-4の時間を十分に確保できない場合は、バッチ炉など別の加熱炉で第1樹脂121を熱硬化させてもよい。以上の製造方法により撮像モジュール300が製造される。
【0051】
ここで、
図2(a)に示す接合部128
1及び128
2は、加熱工程でイメージセンサ105と配線板100との間隔を保持するための補助的な役割を担うためのものである。よって、接合部128
1及び128
2の総体積は、アンダーフィル部110の総体積よりも少ないのが好ましい。即ち、
図3(c)の工程S3で配線板100に供給される第2樹脂122の総体積は、
図3(b)の工程S2で配線板100に供給されるペースト104の総体積よりも少ないのが好ましい。
【0052】
第1樹脂121及び第2樹脂122の硬化率の評価方法について説明する。第1樹脂121及び第2樹脂122の硬化率は、例えば剛体振り子型物性試験機、即ち粘弾性試験機から得られる計測結果から評価することができる。具体的には、樹脂の硬化率の変化に伴って変化する剛体振り子の自由減衰振動の周期から、樹脂の硬化率を算出することができる。剛体振り子型物性試験機は、汎用のもの、例えばA&D社製のRPT-3000Wを用いることができる。
【0053】
次に、加熱工程におけるリフロー炉の内部の雰囲気の温度プロファイルと、剛体振り子の振動周期プロファイルについて説明する。
図5は、第1実施形態に係る加熱工程における温度プロファイルP0及び剛体振り子の振動周期プロファイルP1~P3の説明図である。
図5において、温度プロファイルP0を一点鎖線で示す。また、
図5には、各樹脂121,122に対する剛体振り子の振動周期プロファイルP1,P2を、温度プロファイルP0と重ねて図示している。第1樹脂121に対する剛体振り子の振動周期プロファイルP1を細い実線、第2樹脂122に対する剛体振り子の振動周期プロファイルP2を太い実線で示す。なお、
図5において、はんだに対する剛体振り子の振動周期プロファイルP3を二点鎖線で示す。
図5において、横軸は時間、縦軸は配線板100の温度、又は剛体振り子の振動周期である。以下、
図5に示すプロファイルP0,P1,P2,P3を参照しながら説明する。
【0054】
図3(d)に示す工程S4が完了すると、イメージセンサ105が載置された配線板100は、不図示のリフロー炉に搬送される。
図5において、時間領域Aは、イメージセンサ105が載置された配線板100をリフロー炉に搬送してから加熱を開始するまでの状態を示しており、温度は室温(23℃±2℃)付近で一定である。
【0055】
時間領域Aにおいては、温度が室温(23℃±2℃)付近で一定であり、各樹脂121,122の硬化率が変動しないため、各樹脂121,122において、剛体振り子の振動周期はT0で一定である。各樹脂121,122は、未硬化の液相状態であり、流動性が高い。
【0056】
次に、時間領域Bにおいてリフロー炉の内部の温度を上昇させ、配線板100の温度がはんだ融点TMに達するように配線板100を加熱する。この時間領域Bにおける加熱速度は、特に限定されないが、例えば、2.5℃/秒以下であることが好ましい。加熱速度を2.5℃/秒を超えて速くし過ぎると、温度のオーバーシュートが生じやすくなる。また、加熱速度を2.5℃/秒を超えて速くし過ぎると、配線板100のXY方向の温度分布差、及び配線板100の表面裏面の温度分布差も大きくなり、配線板100の反りが大きくなるおそれがある。加熱速度を遅くし過ぎると、スループットが低下するため、0.5℃/秒以上であることが好ましい。
【0057】
時間領域Bにおいて、加熱温度の上昇に伴い、第2樹脂122が硬化反応を開始して
図4(a)に示す中間体126である半硬化体となる。第2樹脂122の硬化反応が進むことによって、イメージセンサ105の主面2001と配線板100のソルダーレジスト膜103とが接合されていく。
【0058】
時間領域Bにおいては、第2樹脂122の硬化反応が進むため、剛体振り子の振動周期は、短くなる。第2樹脂122は、硬化反応が進むに連れて流動性が小さくなる傾向にある。よって、第2樹脂122の振動周期は、初期の周期T0が最も長い。この周期T0のときの第2樹脂122の硬化率を0%とする。第2樹脂122は、時間領域Bの間に振動周期が周期T3まで短くなり、硬化率が80%まで達している。時間領域Bの終了時点に到達するまでに、第2樹脂122の硬化率が50%以上となり、第2樹脂部である接合部128が形成される。
【0059】
一方、時間領域Bにおいて、ペースト104中の第1樹脂121は、徐々に硬化反応が進むが、剛体振り子の振動周期は初期の周期T0に対してやや短くなる程度である。すなわち、第1樹脂121の流動性がやや小さくなる傾向にある。
【0060】
時間領域Bにおいて、加熱速度が0.5~2.5℃/秒であっても、配線板100及びイメージセンサ105の各々は、温度分布の差によって反ろうとする応力が発生する。しかし、配線板100及びイメージセンサ105は、ほぼ固相状態の接合部128で接合されているため、配線板100及びイメージセンサ105の反りが抑制され、配線板100とイメージセンサ105との間隔がXY方向においてほぼ一定に保持される。
【0061】
第2樹脂122の硬化率が50%以上であれば、ほぼ固体状態の接合部128が形成されている。接合部128により配線板100及びイメージセンサ105を接合している接合力は、配線板100及びイメージセンサ105が反ろうとする力よりも強い。そのため、複数の接合部128により、配線板100とイメージセンサ105との間隔がXY方向においてほぼ一定に保持される。接合部128の接合力を強くするという観点において、より好ましい第2樹脂122の硬化率は80%以上である。なお、時間領域Bでは、ペースト104に含まれている第1樹脂121は、硬化率が50%未満であり、未硬化の状態のままである。
【0062】
次に、時間領域Cにおいて、リフロー炉内の温度を更に上昇させ、配線板100の温度がはんだ融点TMからピーク温度TPに達するように配線板100を加熱する。これにより、ペースト104中のはんだ粉末120が溶融して凝集し、溶融はんだ107と第1樹脂121とに分離する。
【0063】
ピーク温度TPは、後の時間領域Dにおいて溶融はんだ107が凝固する前に第1樹脂121が硬化しないように設定すればよい。ピーク温度TPは、はんだ融点TMの1.25倍以下であることが好ましい。
【0064】
時間領域Cにおける加熱速度は、時間領域Bにおける加熱速度よりも遅いのが好ましく、例えば0.1℃/秒以上1.0℃/以下が好ましい。時間領域Cの加熱速度を時間領域Bの加熱速度よりも遅くすることで、はんだ粉末120がゆっくりと溶融し、ランド102上に隙間なく溶融はんだ107が濡れ拡がる。
【0065】
時間領域Cにおいて、第1樹脂121の一部は、架橋反応、即ち硬化反応が始まっているが、このとき、剛体振り子の振動周期は、最も長い周期T1に達する。この周期T1における第1樹脂121の硬化率を0%とする。即ち、第1樹脂121は、一旦、加熱前の状態の時よりも粘度が低下して流動性が高まり、その後、架橋反応によって徐々に流動性が低下する。
【0066】
一方、時間領域Cにおいて、第2樹脂122は、さらに硬化反応が進む。第2樹脂122のガラス転移点がはんだ融点TMよりも低く、時間領域B,Cの間に剛体振り子の振動周期が周期T3から上昇することがあるが、はんだが凝固するまで配線板100とイメージセンサ105との間隔を保持できる接合力が維持できればよい。
【0067】
なお、溶融はんだ107は液相状態である。第1樹脂121の硬化率は10%以下であり、第1樹脂121は液相状態である。第1樹脂121が液相状態であるため、第1樹脂121は毛細管現象によって間隔のより狭い方に流動しやすくなる。しかし、時間領域Cにおいて、配線板100及びイメージセンサ105は、固相状態の接合部128で接合されて、間隔がほぼ一定に保持されている。そのため、液相状態の第1樹脂121が毛細管現象によって流動するのが防止される。これにより、後に溶融はんだ107が凝固することによって形成されるはんだ部109をアンダーフィル部110で十分に覆うことができる。
【0068】
時間領域Cにおいてはんだ粉末120が溶融する際に、ペースト104中に含まれるフラックスにより、はんだ粉末120を覆う酸化膜が還元され、除去される。
【0069】
次に、時間領域Dにおいてリフロー炉の温度を下降させ、配線板100の温度がピーク温度TPからはんだ融点TMよりも低い温度に低下するように、配線板100を冷却する。はんだ融点TMよりも低い温度で溶融はんだ107を冷却することにより、溶融はんだ107が凝固し、ランド102とランド116とが電気的及び機械的にはんだ部109で接合される。
【0070】
時間領域Dにおける冷却速度は、特に限定されないが、時間領域Cの加熱速度よりも速いのが好ましく、例えば0.5℃/秒以上2.0℃/以下が好ましい。時間領域Dにおける冷却速度が時間領域Cの加熱速度の2倍以上であれば、より好ましい。
【0071】
時間領域Dにおいては、第1樹脂121の架橋反応が更に進み、第1樹脂121の硬化率、即ち硬度は、徐々に上がっていく。時間領域C,Dにおける第1樹脂121の硬化率は、50%未満が好ましい。すなわち、第1実施形態では、時間領域Cと時間領域Dの合計時間を第1樹脂121が硬化する時間よりも短くし、第1樹脂121が硬化する前に、溶融はんだ107を凝固させている。
【0072】
時間領域C,Dにおいて、溶融はんだ107は、凝集すると同時に水及び二酸化炭素等のガスが発生する。発生したガスは第1樹脂121においてボイドを形成し、そのボイドを形成するガスは膨張する。少なくともはんだ融点TM以上の温度では、はんだは溶融状態を維持する。
【0073】
時間領域C,Dにおいて、第1樹脂121の流動性が高いので、溶融はんだ107の凝集により発生したガスは、第1樹脂121においてボイドとなって第1樹脂121を破り、外気へと抜ける。しかし、破れた第1樹脂121は流動性が高いため、破れた箇所がすぐに塞がる。このため、第1樹脂121から溶融はんだ107の流出は生じない。また、第1樹脂121の流動性が高いので、仮に溶融はんだ107の集合体から一部分が分離しても、その一部分が溶融はんだ107の集合体に再度凝集することができる。なお、溶融はんだ107が凝固する過程で発生したガスは、はんだ部109の内部に閉じ込められる。
【0074】
時間領域Dでは、第1樹脂121の架橋反応が更に進み、第1樹脂121に対する剛体振り子の振動周期が、周期T1よりも短くなる。ただし、時間領域Dにおいては、溶融はんだ107と第1樹脂121との相互作用があるため、第1樹脂121に対する剛体振り子の振動周期は、後の時間領域Eにおいても更に短くなる。
【0075】
第1樹脂121において高い流動性を維持するという観点で、時間領域Dにおける第1樹脂121の硬化率が30%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましい。
【0076】
続いて、時間領域Eにおいて、リフロー炉の温度を、はんだ融点TMよりも低い温度にさらに低下させている。時間領域Eにおいては、はんだは凝固した状態であり、第1樹脂121は、架橋反応が更に進んで硬化率が徐々に高くなる。時間領域Eにおいては、はんだが凝固した状態であるため、はんだと第1樹脂121との相互作用は生じない。そのため、第1樹脂121の架橋反応とともに、第1樹脂121に対する剛体振り子の振動周期は時間領域Dにおける周期よりも短くなる。時間領域Eにおける第1樹脂121の硬化率は、40%以下であるのが好ましく、20%以下であるのがより好ましい。
【0077】
続いて、時間領域Fにおいてリフロー炉の内部の温度を、はんだ融点TMよりも低く、かつ第1樹脂121及び第2樹脂122が架橋反応する温度以上の温度に一定に保持する。これにより、配線板100の温度がはんだ融点TMよりも低い温度となり、第1樹脂121及び第2樹脂122の架橋反応が進行する。
【0078】
このように、時間領域Fにおいて各樹脂121,122の加熱を継続することで、各樹脂121,122を本硬化させる。第1樹脂121が本硬化するとは、第1樹脂121の硬化率が90%以上となることをいう。同様に、第2樹脂122が本硬化するとは、第2樹脂122の硬化率が90%以上となることをいう。
【0079】
時間領域Fにおいて、リフロー炉の内部の温度を、はんだ融点TMよりも低い一定の温度に維持することにより、第1樹脂121及び第2樹脂122の架橋反応が進み続ける。このため、各樹脂121,122に対する剛体振り子の振動周期は、時間領域Eにおける周期よりも短くなる。そして、最終的には架橋反応が完了するとともに、剛体振り子の振動周期は周期T2で一定となる。この状態においては、各樹脂121,122は、完全な固相状態である。そのため、このときの硬化率を100%とする。
【0080】
第1樹脂121を本硬化させて形成されたアンダーフィル部110、及び第2樹脂122を本硬化させて形成された接合部128の各々のビッカース硬度は、17Hv以上である。アンダーフィル部110及び接合部128の各々のビッカース硬度が17Hv以上であれば、接合強度としては十分である。
【0081】
接合部128のビッカース硬度は、アンダーフィル部110のビッカース硬度よりも高いのが好ましく、20Hv以上であるのが好ましい。時間領域Fにおいて、第1樹脂121を短時間で本硬化させるには、リフロー炉の内部の温度、即ち配線板100の温度を、はんだ融点TMの0.8倍以上0.95倍以下とするのが好ましい。
【0082】
なお、時間領域Fにおいてリフロー炉の温度を一定に保持しているが、リフロー炉の温度が変化してもよい。ただし、十分な時間をかけて一定の温度で第1樹脂121の架橋反応を進めることにより、反応ムラを抑制することができる。また、配線板100及びイメージセンサ105が大きい場合、配線板100及びイメージセンサ105における温度分布が不均一となりやすいため、加熱工程の途中でプリヒートを行って温度分布が均一となるようにしてもよい。
【0083】
また、剛体振り子型の粘弾性試験機を用いた樹脂の硬化率の算出方法を例示して説明したが、これに限定するものではない。例えば、示差走査熱量計(DSC)又はナノインデンター等の装置を用いて樹脂の硬化率を算出するようにしてもよい。
【0084】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る電子モジュールの一例である撮像モジュール、及びその製造方法について説明する。
図6は、第2実施形態に係る撮像モジュール300Aの断面図である。
図7(a)~
図7(c)は、第2実施形態に係る撮像モジュール300Aの製造方法の一部の説明図である。第2実施形態では、
図6に示す接合部128Aを構成する樹脂材料が、第1実施形態の接合部128と異なる。即ち、第2実施形態では、製造過程で供給する
図7(a)に示す第2樹脂122Aの材料が、第1実施形態の第2樹脂122と異なる。第2実施形態では、第1実施形態で説明した製造方法と一部が異なり、それ以外は同じである。また、撮像モジュール300Aにおいて、接合部128A以外の構成は、第1実施形態の撮像モジュール300と同様であり、同様の構成については、同一符号を付している。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分については説明を省略する。なお、第2実施形態における接合部128Aの数及び配置は、第1実施形態の接合部128の数及び配置と同様である。
【0085】
図7(a)に示す工程S3A-1は、第1実施形態で説明した
図3(c)に示す工程S3に対応する。工程S3では、配線板100に供給される第2樹脂122が未硬化の熱硬化性樹脂である場合について説明したが、第2実施形態では、工程S3A-1で配線板100に供給される第2樹脂122Aは、未硬化の光硬化性樹脂である。即ち、第2実施形態では、接合部128Aは、光硬化性樹脂を硬化させた硬化物である。第2実施形態では、光硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂(以下、UV硬化性樹脂という)である場合について説明する。
【0086】
接合部128Aの前駆体である第2樹脂122Aは、遅延性のUV硬化性樹脂である。遅延性とは、UV光を照射した後、数秒から数分後に硬化反応が進むこと、又はUV光を照射した後、付与される熱がトリガーとなって硬化反応が進むことをいう。第2実施形態では、第2樹脂122Aは、遅延性のUV硬化性樹脂のうち、UV光を照射した後、はんだ融点TMよりも低い温度、例えば40℃程度の熱が加わると硬化反応が発現するUV硬化性樹脂である。
【0087】
図7(a)に示す工程S3A-1で配線板100上に第2樹脂122Aを供給する。第2樹脂122AのZ方向の高さH2は、ペースト104のZ方向の高さH1よりも高いのが好ましい。また、第2樹脂122Aの粘度は、室温(23℃±2℃)で10,000Pa・S以上であるのが好ましい。
【0088】
工程S3A-1で配線板100上に第2樹脂122Aを供給した後、配線板100上にイメージセンサ105を載置する前に、
図7(b)に示す工程S3A-2で配線板100上に供給した第2樹脂122Aに光源10によってUV光を照射する。そして、
図7(c)の工程S4Aにおいて、第2樹脂122Aが硬化する前に、イメージセンサ105を配線板100上に載置し、イメージセンサ105が載置された配線板100をリフロー炉に搬送する。そして、
図5に示す時間領域Bにおいてペースト104をはんだ融点T
Mに向かって昇温する過程で、第2樹脂122Aが硬化し、
図6に示す接合部128Aが形成される。
【0089】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、各接合部128Aがイメージセンサ105と配線板100との間隔をXY方向でほぼ一定に保持するように機能するため、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。即ち、はんだ部109におけるショート及びオープン等の接合不良を防止することができ、撮像モジュール300Aにおける接合の信頼性を向上させることができる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る撮像モジュールについて説明する。
図8(a)は、第3実施形態に係る撮像モジュールの平面図である。
図8(b)は、第3実施形態に係る撮像モジュールの断面図である。第3実施形態に係る電子機器の一例であるデジタルカメラにおいて、撮像モジュールの構成が、第1実施形態と異なる。第3実施形態のデジタルカメラにおいて、撮像モジュール以外の構成は、第1実施形態と同様である。したがって、第3実施形態では、第1実施形態と異なる撮像モジュールについてのみ説明し、それ以外の構成については、説明を省略する。また、製造方法も、第1又は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
第3実施形態の撮像モジュール300Bは、フルサイズの撮像モジュールである。撮像モジュール300Bは、配線板100Bと、イメージセンサ105Bとを有する。イメージセンサ105Bの構成は、第1実施形態のイメージセンサ105の構成とほぼ同じであるが、ランドの配列が異なる。同様に、配線板100Bの構成は、第1実施形態の配線板100の構成とほぼ同じであるが、ランドの配列が異なる。なお、
図8(a)は、撮像モジュール300Bを平面視した図、即ち配線板100Bにおいてイメージセンサ105Bが実装された実装面に垂直なZ方向に撮像モジュール300Bを見た図を示している。
図8(a)では、イメージセンサ105Bを破線で示し、イメージセンサ105Bを透視した撮像モジュール300Bを模式的に図示している。
図8(b)は、第3実施形態に係る撮像モジュール300Bの断面図である。
図8(b)には、
図8(a)のVIIIB-VIIIB線で撮像モジュール300Bを切断した際の撮像モジュール300Bの断面を模式的に図示している。
【0092】
第3実施形態のイメージセンサ105Bは、LCCの半導体パッケージである。イメージセンサ105Bは、撮像素子111Bと、インタポーザ112Bとを有する。インタポーザ112Bは、絶縁基板113Bと、絶縁基板113Bの主面2001Bに配置された複数のランド116Bと、を有する。イメージセンサ105BがLCCの半導体パッケージであるので、複数のランド116Bは、インタポーザ112Bの外周縁に配置されている。撮像素子111Bは、絶縁基板113Bにおける主面2001Bとは反対側の主面2002Bに配置されている。各ランド116Bは、導電性を有する金属、例えば銅の基体の表面にNi及びAuをメッキして形成されたパッドである。各ランド116Bは、例えば信号ランド、電源ランド、グラウンドランド、又はダミーランドである。絶縁基板113Bは、例えばアルミナ等のセラミックで形成されたセラミック基板である。Z方向に見た各ランド116Bの形状は、特に限定するものではないが、第3実施形態では四角形状である。
【0093】
配線板100Bは、絶縁基板101Bと、絶縁基板101Bの主面1001Bに配置された複数のランド102Bと、を有する。各ランド102Bは、導電性を有する金属、例えば銅で形成されたパッドである。各ランド102Bは、例えば信号ランド、電源ランド、グラウンドランド、又はダミーランドである。絶縁基板101Bは、エポキシ樹脂等の絶縁材料で形成されている。
【0094】
主面1001B上には、ソルダーレジスト膜103Bが設けられている。ソルダーレジスト膜103Bには、ランド102Bに対応する位置にランド102Bを露出させる開口が形成されている。Z方向に見た各ランド102Bの形状は、特に限定するものではないが、第3実施形態では四角形状である。各ランド102Bとソルダーレジスト膜103Bとの関係は、SMDでもNSMDでもよい。
【0095】
撮像モジュール300Bは、
図1の筐体611に設けられた不図示のプレートに位置決め固定される。イメージセンサ105Bは、不図示のプレートの爪部がはんだ付けされるランド119Bを有する。配線板100Bには、ランド119Bに対向する位置に、ランド119Bよりも大きい開口114Bが形成されている。不図示のプレートの爪部が、開口114Bを通じてランド119Bにはんだ付けされる。
【0096】
配線板100Bの主面1001Bと、イメージセンサ105Bの主面2001Bとは、互いに対向している。撮像モジュール300Bは、イメージセンサ105Bと配線板100Bとを電気的及び機械的に接合する複数のはんだ部109Bを備える。各はんだ部109Bは、互いに対向するランド116Bとランド102Bとを電気的及び機械的に接合している。
【0097】
撮像モジュール300Bは、イメージセンサ105Bと配線板100Bとの間に配置され、イメージセンサ105Bと配線板100Bとを機械的に接合するアンダーフィル部110Bを備える。アンダーフィル部110Bは、電気絶縁性を有する絶縁体である樹脂で形成されている。アンダーフィル部110Bは、樹脂を含む第1樹脂部である。
【0098】
複数のはんだ部109Bの各々は、一体に形成されたアンダーフィル部110Bに接している。各はんだ部109Bがアンダーフィル部110Bに接することにより、イメージセンサ105Bの駆動時に発生する熱によって生じる熱応力を、各はんだ部109Bのみならず、アンダーフィル部110Bにも分散させることができる。イメージセンサ105Bは、フルサイズの大きなものである。大きなイメージセンサ105Bが配線板100Bに実装されていても、熱応力によるはんだ部109Bの断線を抑制することができる。
【0099】
アンダーフィル部110Bにおいて、好ましいビッカース硬度は17Hv以上である。アンダーフィル部110Bのビッカース硬度が17Hv以上であれば、各はんだ部109Bの接合強度を十分に確保することができる。
【0100】
Z方向に見たときのイメージセンサ105Bの外形は、四角形である。Z方向に見たときのイメージセンサ105Bの外形は、インタポーザ112Bの外形、即ち絶縁基板113Bの外形でもある。Z方向に見て、配線板100Bは、イメージセンサ105Bよりも大きい。Z方向に見て、イメージセンサ105Bの全部は、配線板100Bと重なっている。複数のはんだ部109Bは、Z方向に見て、イメージセンサ105Bの中央C2、即ちインタポーザ112Bの中央C2を囲むように配列されている。具体的には、複数のはんだ部109Bは、Z方向に見て、インタポーザ112Bの中央C2を含む矩形領域を囲むように配列されている。中央C2は、Z方向に見てイメージセンサ105Bの主面2001Bの面積重心の位置であり、図8(b)では、Z方向に延びる一点鎖線の仮想直線で示す。イメージセンサ105Bは、LCCの半導体パッケージであるので、この矩形領域の面積は、LGAの半導体パッケージである第1実施形態のイメージセンサ105の場合の矩形領域の面積よりも広い。
【0101】
アンダーフィル部110Bは、各はんだ部109
Bと接触するように複数のはんだ部109
Bの間に配置され、Z方向に見て、中央C2を囲むように配置されている。これにより、アンダーフィル部110Bの内側には、中央C2を含む、アンダーフィル部110Bのない領域R1Bがある。領域R1Bは、第1領域である。領域R1Bは、Z方向に見て、イメージセンサ105Bのインタポーザ112Bと重なる位置に形成されている。Z方向に見た
図8(a)に示す領域R1Bの面積は、Z方向に見た
図2(a)に示す領域R1の面積よりも広い。
【0102】
撮像モジュール300Bは、イメージセンサ105Bのインタポーザ112Bと配線板100Bとの間に配置された、インタポーザ112Bと配線板100Bとを機械的に接合する少なくとも1つの接合部を備える。第3実施形態では、少なくとも1つの接合部は、複数、例えば9つの接合部128Bである。各接合部128Bは、電気絶縁性を有する絶縁体である樹脂で形成されている。各接合部128Bは、樹脂を含む第2樹脂部である。
【0103】
各接合部128Bは、イメージセンサ105Bの主面2001Bと配線板100Bのソルダーレジスト膜103Bとを接合している。各接合部128Bは、撮像モジュール300Bの製造過程において、イメージセンサ105Bと配線板100Bとの間隔の変動を抑制する部材として機能する。
【0104】
複数の接合部128Bは、各々同じ樹脂材で形成されている。複数の接合部128Bのうち、少なくとも1つ、第3実施形態では全部が、Z方向に見て領域R1Bに配置されている。よって、複数の接合部128Bは、Z方向に見て、領域R1Bに配置された複数の接合部128B1で構成されている。各接合部128B1は、第1接合部である。複数の接合部128B1のうちの1つは、Z方向に見て、中央C2と重なる位置に配置されるのが好ましい。
【0105】
なお、各接合部128Bは、イメージセンサ105Bの絶縁基板113Bの主面2001Bと配線板100Bのソルダーレジスト膜103Bとを接合しているが、これに限定するものではない。例えば、複数の接合部128Bのうちいずれかは、配線板100Bの主面1001B又はランド102Bと、ランド116Bとを接合するようにしてもよい。
【0106】
各接合部128Bのビッカース硬度は、イメージセンサ105Bと配線板100Bとの間隔を保持し、製造過程の加熱工程ではんだ部109Bに加わる応力を緩和するために、20Hv以上であるのが好ましい。即ち、各接合部128Bのビッカース硬度は、アンダーフィル部110Bのビッカース硬度よりも高いのが好ましい。換言すると、アンダーフィル部110Bのビッカース硬度は、各接合部128Bのビッカース硬度よりも低いのが好ましい。
【0107】
第3実施形態における撮像モジュール300Bの製造方法は、第1又は第2実施形態の製造方法と同様であり、説明を省略する。ここで、
図8(a)に示す接合部128B
1は、加熱工程でイメージセンサ105Bと配線板100Bとの間隔を保持するための補助的な役割を担うためのものである。よって、接合部128B
1の総体積は、アンダーフィル部110Bの総体積よりも少ないのが好ましい。即ち、製造過程において、配線板100Bに供給される第2樹脂の総体積は、配線板100Bに供給されるペーストの総体積よりも少ないのが好ましい。
【0108】
第3実施形態においても、第1又は第2実施形態と同様、各接合部128Bがイメージセンサ105Bと配線板100Bとの間隔をXY方向でほぼ一定に保持するように機能するため、第1又は第2実施形態と同様の作用効果を奏する。即ち、はんだ部109Bにおけるショート及びオープン等の接合不良を防止することができ、撮像モジュール300Bにおける接合の信頼性を向上させることができる。
【0109】
[変形例]
第1実施形態では、撮像モジュール300が、少なくとも1つの接合部として、領域R1に配置された1つの接合部128
1と、領域R2に配置された複数の接合部128
2を有する場合について説明したが、これに限定するものではない。また、第3実施形態では、撮像モジュール300Bが、少なくとも1つの接合部として、領域R1Bに配置された複数の接合部128B
1を有する場合について説明したが、これに限定するものではない。以下、第1実施形態で説明した撮像モジュール300の変形例について説明する。
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)、
図10(b)に、第1実施形態の撮像モジュール300の変形例を示す。
【0110】
図9(a)に示す変形例の撮像モジュール300は、1つの接合部128のみ有している。
図9(a)に示すように、接合部128は、領域R1に配置された接合部128
1である。即ち、
図9(a)に示す変形例の撮像モジュール300は、少なくとも1つの接合部として、領域R1に配置された1つの接合部128
1を有している。
【0111】
図9(b)に示す変形例の撮像モジュール300は、2つの接合部128を有している。
図9(b)に示すように、2つの接合部128のうち、1つは、領域R1に配置された接合部128
1であり、1つは、領域R2に配置された接合部128
2である。即ち、
図9(b)に示す変形例の撮像モジュール300は、少なくとも1つの接合部として、領域R1に配置された1つの接合部128
1と、領域R2に配置された1つの接合部128
2とを有している。
【0112】
図10(a)に示す変形例の撮像モジュール300は、3つ以上の接合部128を有している。
図10(a)に示すように、3つ以上の接合部128のうち、2つ以上は、領域R1に配置された接合部128
1であり、1つは、領域R2に配置された接合部128
2である。即ち、
図10(a)に示す変形例の撮像モジュール300は、少なくとも1つの接合部として、領域R1に配置された複数の接合部128
1と、領域R2に配置された1つの接合部128
2とを有している。
【0113】
図10(b)に示す変形例の撮像モジュール300は、4つ以上の接合部128を有している。
図10(b)に示すように、4つ以上の接合部128のうち、2つ以上は、領域R1に配置された接合部128
1であり、2つ以上は、領域R2に配置された接合部128
2である。即ち、
図10(b)に示す変形例の撮像モジュール300は、少なくとも1つの接合部として、領域R1に配置された複数の接合部128
1と、領域R2に配置された複数の接合部128
2とを有している。
【0114】
以上、第1~第3実施形態、及び変形例に示すように、撮像モジュールが、少なくとも1つの接合部を有し、少なくとも1つの接合部のうち、少なくとも1つが、アンダーフィル部の内側の第1領域に配置されていればよい。
【0115】
[実施例]
以下、上述の実施形態の具体的な実施例について説明する。
【0116】
[実施例1]
実施例1では、第1実施形態の製造方法で第1実施形態の撮像モジュール300を製造した場合について説明する。以下、
図2(a)、
図2(b)、
図3(a)~
図3(d)、
図4(a)~
図4(d)、及び
図5を参照しながら説明する。
【0117】
まず、撮像モジュール300を製造するのに用意した配線板100及びイメージセンサ105について説明する。
【0118】
配線板100の絶縁基板101には、FR-4を使用した。絶縁基板101の外形のサイズを約50.0mm×約50.0mmとした。また、各ランド102の材質を銅とした。各ランド102の直径を1.0mmとした。グリッド状に配列された複数のランド102のピッチを、1.6mmとした。また、ソルダーレジスト膜103の厚さを約0.02mmとした。なお、配線板100の裏面側には不図示のコンデンサや抵抗器などの電子部品が実装されているものとした。
【0119】
イメージセンサ105は、LGAのパッケージとした。イメージセンサ105の絶縁基板113の材質をアルミナセラミックとした。各ランド116の基体の材質を銅とした。この基体の表面にAu及びNiをメッキした。
【0120】
イメージセンサ105の主面2001の面積を900mm2とした。複数のランド116の数を300個とした。複数のランド116の総面積を150mm2とした。全てのランド116のうち、最内周に位置する複数のランド116で囲まれた矩形領域の面積を180mm2とした。
【0121】
図3(b)に示す工程S2では、配線板100の各ランド102上に、各ランド102を覆うように、ペースト104をスクリーン印刷した。スクリーン印刷には、厚さ0.02mmの印刷版を使用した。
【0122】
ペースト104に含まれる第1樹脂121である熱硬化性樹脂には、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂と、これと反応する硬化剤とを含んだものを用いた。また、ペースト104に含まれるはんだ粉末120の合金組成は、融点が139℃であるスズ-58ビスマスの共晶とした。はんだ粉末120の平均粒子径は40μmであった。ペースト104におけるはんだ粉末120の添加量は、40vol%であった。ペースト104の残部には、第1樹脂121と、微量のフラックス成分とが含まれていた。
【0123】
図3(c)に示す工程S3では、ディスペンサーを用いて、接合部128の前駆体である第2樹脂122を、Φ2mmの大きさで、ランド102と接触しないように、配線板100上の5箇所に塗布した。5箇所のうち1箇所は、Z方向に見て、配線板100上に搭載したイメージセンサ105の重心の位置とした。5箇所のうち4箇所は、Z方向に見て、イメージセンサ105を配線板100上に載置した際にイメージセンサ105と重なる位置であって、イメージセンサ105のコーナー部近傍となる位置とした。塗布した第2樹脂122の高さH2は、ペースト104の高さH1以上とした。第2樹脂122として、約70℃以上で硬化反応する熱硬化性樹脂を用いた。工程S3で配線板100に供給した第2樹脂122の総体積は、工程S2で配線板100に供給したペースト104の総体積よりも少なくした。
【0124】
図3(d)に示す工程S4では、マウンターを用いて、各ランド116が各ランド102と対向するようイメージセンサ105を位置決めし、ペースト104及び第2樹脂122が供給された配線板100の上にイメージセンサ105を載置した。
【0125】
イメージセンサ105が載置された配線板100をリフロー炉に搬送し、イメージセンサ105及び配線板100を加熱した。この加熱工程における温度プロファイルは、
図5に示す温度プロファイルP0とした。
【0126】
図5の時間領域Bにおけるリフロー炉内の昇温速度を1℃/秒とした。リフロー炉内の温度が約70℃となった時、第2樹脂122の硬化率が80%となり、接合部128が形成された。以降、配線板100とイメージセンサ105の間隔は、各接合部128によってXY方向においてほぼ一定に保持された。
【0127】
引き続き、時間領域Cにおいて、配線板100の温度がはんだ融点T
Mよりも高い160℃であるピーク温度T
Pとなるように、イメージセンサ105及び配線板100を加熱し、ペースト104中のはんだを溶融させた。はんだ融点T
Mは139℃であるので、ピーク温度T
Pははんだ融点T
Mの1.15倍ということになる。時間領域Cにおいて、
図4(b)に示すように、ペースト104中
のはんだ
粉末120が溶融して凝集し、溶融はんだ107と熱硬化性樹脂である第1樹脂121とに分離した。時間領域Cにおけるリフロー炉内の昇温速度を0.5℃/秒とした。接合部128によって配線板100とイメージセンサ105との間隔がほぼ一定に保持されているため、第1樹脂121は、毛細管現象によって流動することなく、溶融はんだ107の周囲に留まっていた。
【0128】
溶融はんだ107と第1樹脂121とに分離した後、時間領域Dにおいて、配線板100の温度がピーク温度T
Pからはんだ融点T
Mまで冷却し、溶融はんだ107を凝固させ、
図4(c)に示すようにはんだ部109を形成した。時間領域Dにおける降温速度を2℃/秒とした。時間領域C及び時間領域Dにおいて、第1樹脂121の最大の硬化率は10%であった。よって、第1樹脂121の硬化率が50%に達して硬化する前に、はんだの凝固が完了したことになる。
【0129】
続いて、時間領域Eにおいて、時間領域Dと同じ降温速度で冷却を続け、120℃まで冷却し、20分間、120℃の温度を一定に保持し、第1樹脂121を本硬化させ、
図4(d)に示す撮像モジュール300を得た。
【0130】
[実施例2]
実施例2では、第2実施形態の製造方法で第2実施形態の撮像モジュール300Aを製造した場合について説明する。以下、
図6、及び
図7(a)~
図7(c)を参照しながら説明する。なお、実施例2において用意した配線板100、イメージセンサ105、及びペースト104は、実施例1と同様のものとした。
【0131】
図7(a)の工程S3A-1において配線板100上に塗布した第2樹脂122Aは、遅延性のUV硬化性樹脂とした。遅延性のUV硬化性樹脂としては、UV硬化性のエポキシ系樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、光重合開始材、接着補助剤、粘度調整剤等を含有し、UV光を照射した後、40℃程度の熱が加わると硬化反応が発現するものを用いた。
図7(b)の工程S3A-2において、イメージセンサ105を配線板100上に載置する前に、配線板100上に塗布した第2樹脂122Aに、照度300mW/cm
2
のUV光を、2.5秒間に亘って照射した。
【0132】
その後、
図7(c)に示すようにイメージセンサ105を配線板100上に載置し、イメージセンサ105が載置された配線板100をリフロー炉に搬送し、イメージセンサ105及び配線板100を加熱した。この加熱工程における温度プロファイルは、実施例1と同様、
図5に示す温度プロファイルP0とした。なお、温度プロファイルP0中の時間領域Bにおいて、第2樹脂122Aは、温度40℃付近から硬化反応が進み、約70℃の時には硬化率80%となった。
【0133】
以上、実施例1と同様の温度プロファイルP0で加熱することにより、実施例2の撮像モジュール300Aを得た。
【0134】
[実施例3]
実施例3では、第3実施形態の製造方法で第3実施形態の撮像モジュール300Bを製造した場合について説明する。以下、
図8(a)及び
図8(b)を参照しながら説明する。まず、撮像モジュール300Bを製造するのに用意した配線板100B及びイメージセンサ105Bについて説明する。
【0135】
配線板100Bの絶縁基板101Bには、FR-4を使用した。絶縁基板101Bの外形のサイズを約66.0mm×約45.0mmとした。また、各ランド102Bの材質を銅とした。各ランド102Bのサイズを2.4mm×0.76mmとした。複数のランド102Bの数を142個とした。グリッド状に配列された複数のランド102Bのピッチを、1.0mmとした。また、ソルダーレジスト膜103Bの厚さを約0.02mmとした。
【0136】
イメージセンサ105Bは、LCCのパッケージとした。イメージセンサ105Bの絶縁基板113Bの材質をアルミナセラミックとした。各ランド116Bの基体の材質を銅とした。この基体の表面にAu及びNiをメッキした。
【0137】
ランド116Bは、L字形状に形成されており、絶縁基板113Bの底面側と側壁面側と跨って設けられている。ランド116Bにおける底面側の部分を、1.8mm×0.6mmとした。ランド116Bにおける側壁面側の部分を、1.0mm×0.6mmとした。複数のランド116Bのピッチは、1.0mmであった。ランド119Bのサイズを、約7mm×約4mmとした。
【0138】
実施例2と同じ製造方法により、実施例3のフルサイズの撮像モジュール300Bを得た。実施例3では、9つの接合部128Bを、領域R1Bに形成した。9つの接合部128Bのうち1つは、配線板100B上に搭載したイメージセンサ105Bの重心付近に配置した。9つの接合部128Bのうち8つは、領域R1Bのコーナー部を含む端部に間隔をあけて配置した。
【0139】
接合部128Bを9箇所に配置することで、フルサイズのようなサイズの大きい撮像モジュール300Bにおいて、配線板100Bの反りを効果的に抑制することができる。これにより、配線板100Bとイメージセンサ105Bとの間隔を面内方向のいずれの位置においても一定に保持することができる。
【0140】
[実施例1~3の撮像モジュールの評価]
まず、実施例1~3の接合部のビッカース硬度とアンダーフィル部のビッカース硬度について評価した。実施例1の撮像モジュール300におけるアンダーフィル部110及び接合部128のビッカース硬度の評価方法について説明する。まず、撮像モジュール300を分解し、アンダーフィル部110及び5つの接合部128を取り出した。取り出したアンダーフィル部110について10箇所のビッカース硬度を測定し、複数の測定値を取得した。同様に、5つの接合部128の1つ1つについて、10箇所のビッカース硬度を測定し、複数の測定値を取得した。測定機としては、ビッカース硬度試験機(ミツトヨ社製、微小硬さ試験機HM-102)を使用した。試験力は、0.01Nとした。アンダーフィル部110に対する複数の測定値の平均値をアンダーフィル部110のビッカース硬度とした。各接合部128に対する複数の測定値の平均値を各接合部128のビッカース硬度とした。実施例2の撮像モジュール300A及び実施例3の撮像モジュール300Bについても同様の方法でビッカース硬度を測定した。
【0141】
実施例1の接合部128のビッカース硬度及びアンダーフィル部110のビッカース硬度は、ともに17Hvであった。実施例2の接合部128Aのビッカース硬度は、23Hvであった。実施例2のアンダーフィル部110のビッカース硬度は、20Hvであった。実施例3の接合部128Bのビッカース硬度は、23Hvであった。実施例3のアンダーフィル部110Bのビッカース硬度は、20Hvであった。
【0142】
外観検査を目視により行った。外観検査では、実施例1~3のいずれのはんだ部も、熱硬化性樹脂が硬化した硬化物で覆われて補強されていた。実施例1~3の各撮像モジュールにおいて、イメージセンサを配線板から引き剥がして分解した後の外観検査でも、イメージセンサの主面に熱硬化性樹脂が接着され、はんだ部が補強されていることを確認した。
【0143】
実施例1の撮像モジュール300のはんだ部109の状態、実施例2の撮像モジュール300Aのはんだ部109の状態、及び実施例3の撮像モジュール300Bのはんだ部109Bを、X線透過装置で観察した。実施例1のはんだ部109、実施例2のはんだ部109、及び実施例3のはんだ部109Bは、いずれも、樹脂を破って流出した様子もなく、はんだが繋がってショートしていることもなく、電気的な異常もなかった。
【0144】
実施例1~3のいずれにおいても、第1樹脂を本硬化させる工程をはんだ融点以下で行ったため、イメージセンサの熱変形量は少なく、内蔵する撮像素子の光学性能を十分に保証できるものであった。
【0145】
[比較例1]
比較例1では、実施例1の接合部128を省略した撮像モジュールを製造した。比較例1の撮像モジュールにおいて、接合部128が設けられていない点以外は、実施例1の撮像モジュール300と同様であり、また、製造工程も、第2樹脂122を配線板100に供給する工程を省略すること以外、実施例1と同様とした。
【0146】
[比較例2]
比較例2では、実施例3の接合部128Bを省略した撮像モジュールを製造した。比較例2の撮像モジュールにおいて、接合部128Bが設けられていない点以外は、実施例3の撮像モジュール300Bと同様であり、また、製造工程も、第2樹脂122Bを配線板100Bに供給する工程を省略すること以外、実施例3と同様とした。
【0147】
[比較例3]
比較例3では、実施例3と同様のイメージセンサ105B及び配線板100Bを用い、第2樹脂に、100℃付近から硬化を開始する熱硬化性樹脂を用いて、実施例3と同じ製造工程で撮像モジュールを製造した。
【0148】
比較例3において加熱工程時に第2樹脂の硬化率を評価したところ、
図5に示す時間領域Bにおいて、硬化率が10%程度、時間領域Dに達した時点でも硬化率が30%以下で、第2樹脂はほぼ液相状態であった。時間領域E及び時間領域Fを経ることで、第2樹脂の硬化率は90%以上となった。
【0149】
[比較例1~3の撮像モジュールの評価]
比較例1~3の撮像モジュールを評価した。比較例1,2では、接合部はない。比較例3の接合部のビッカース硬度は、5Hvであった。
【0150】
比較例1~3の各撮像モジュールのはんだ部の状態を、X線透過装置で観察した。比較例1~3の各撮像モジュールでは、複数の箇所において、隣接するはんだ同士がブリッジしているのが確認され、電気チェックによる検査においても導通不良が確認された。特に比較例3では、他の比較例1,2と比較しても、隣接するはんだ同士のブリッジが多かった。
【0151】
また比較例1~3では、はんだ部の周囲に熱硬化性樹脂の硬化物が存在していない箇所が多く確認された。比較例3では、接合部の樹脂とアンダーフィル部の樹脂とが混ざり合い、
図8(a)に示すランド119B上にまで流動していた。そのため位置合わせのための不図示のプレートを、ランド119Bにはんだ付けすることができなかった。
【0152】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【0153】
上述の実施形態では、電子モジュールが撮像モジュールであり、電子部品がイメージセンサである場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、
図1に示す処理モジュール700についても本発明は適用可能である。この場合、処理モジュール700が電子モジュールであり、画像処理装置800が電子部品である。また、電子部品が、例えばメモリIC(Integrated Circuit)や電源ICなどの半導体装置であっても、本発明は適用可能である。また、電子部品が、LGA、LCC、BGAの複数の外部端子を有し、複数の外部端子が中央部を囲むように中央部を避けて配列されていれば、半導体装置以外の電子部品にも本発明は適用可能である。
【0154】
また、上述の実施形態では、電子機器の一例としてデジタルカメラについて説明したが、これに限定するものではない。例えば、モバイル通信機器、画像形成装置などのあらゆる電子機器に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
100…配線板、105…イメージセンサ(電子部品)、109…はんだ部、110…アンダーフィル部(第1樹脂部)、112…インタポーザ、300…撮像モジュール(電子モジュール)、1281…接合部(第2樹脂部、第1接合部)、1282…接合部(第2樹脂部、第2接合部)