(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】取付装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240701BHJP
B60S 1/02 20060101ALI20240701BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240701BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
B60S1/02 400A
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2020025232
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武司
(72)【発明者】
【氏名】日置 貴之
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022520(WO,A1)
【文献】特開2017-185896(JP,A)
【文献】特表2015-509458(JP,A)
【文献】特開2019-089438(JP,A)
【文献】特開2019-119321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00- 1/68
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、
前記透過板と前記センサとの間に固定され、前記透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共に前記センサを前記透過板側に露出させる窓部が前記凹部の開口部を向くように前記凹部に形成され、前記凹部は前記開口部から前記窓部に向かって前記透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、
前記凹部において前記対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、
前記対向面に沿って拡がるように配置され、前記加熱部から伝導される熱を前記対向面に沿って伝導させる伝導部と
を備え、
前記伝導部は、表面が露出するように前記凹部に埋め込まれ、前記伝導部で伝導された熱が前記透過板に向かって放熱される取付装置。
【請求項2】
透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、
前記透過板と前記センサとの間に固定され、前記透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共に前記センサを前記透過板側に露出させる窓部が前記凹部の開口部を向くように前記凹部に形成され、前記凹部は前記開口部から前記窓部に向かって前記透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、
前記凹部において前記対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、
前記対向面に沿って拡がるように配置され、前記加熱部から伝導される熱を前記対向面に沿って伝導させる伝導部と
を備え、
前記伝導部は、放熱方向に前記透過板から最も離れた領域が厚く形成され、前記伝導部で伝導された熱が前記透過板に向かって放熱される取付装置。
【請求項3】
透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、
前記透過板と前記センサとの間に固定され、前記透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共に前記センサを前記透過板側に露出させる窓部が前記凹部の開口部を向くように前記凹部に形成され、前記凹部は前記開口部から前記窓部に向かって前記透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、
前記凹部において前記対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、
前記対向面に沿って拡がるように配置され、前記加熱部から伝導される熱を前記対向面に沿って伝導させる伝導部と
を備え、
前記伝導部は、縁部近傍が厚く形成され、前記伝導部で伝導された熱が前記透過板に向かって放熱される取付装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記対向面から前記透過板に向かって立ち上がる側面を有し、
前記伝導部は、前記側面に沿ってさらに拡がるように配置される請求項1
~3のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項5】
前記透過板は、車両のフロントガラスであり、
前記センサは、前記フロントガラスの前記他方の表面側を撮像する撮像部である請求項1~
4のいずれか一項に記載の取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車両にカメラなどのセンサを取り付ける取付装置が実用化されている。取付装置は、車両のフロントガラスに対して車室側にカメラを固定するように設けられ、その固定されたカメラによりフロントガラスを介して車外側を撮像することができる。
ここで、例えば車室と車外との温度差の影響によりフロントガラスが曇る場合があり、フロントガラスの曇りによりカメラで明確に撮像できないおそれがあった。
【0003】
そこで、フロントガラスの曇りを除去する技術として、例えば、特許文献1には、フロントガラスにおけるカメラ装置の前方に位置する部分の曇りを抑制する車載カメラ装置が提案されている。この車載カメラ装置は、フロントガラスを加熱するように熱線を配置することにより、フロントガラスの曇りを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車載カメラ装置は、カメラとフロントガラスとの間に熱線が配置されるため、カメラでの撮像を熱線が妨げて、カメラの撮像精度を低下させるおそれがある。
【0006】
本開示は、センサの検出精度の低下を抑制する取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る取付装置は、透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、透過板とセンサとの間に固定され、透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共にセンサを透過板側に露出させる窓部が凹部の開口部を向くように凹部に形成され、凹部は開口部から窓部に向かって透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、凹部において対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、対向面に沿って拡がるように配置され、加熱部から伝導される熱を対向面に沿って伝導させる伝導部とを備え、伝導部は、表面が露出するように凹部に埋め込まれ、伝導部で伝導された熱が透過板に向かって放熱されるものである。
本開示に係る取付装置は、透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、透過板とセンサとの間に固定され、透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共にセンサを透過板側に露出させる窓部が凹部の開口部を向くように凹部に形成され、凹部は開口部から窓部に向かって透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、凹部において対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、対向面に沿って拡がるように配置され、加熱部から伝導される熱を対向面に沿って伝導させる伝導部とを備え、伝導部は、放熱方向に透過板から最も離れた領域が厚く形成され、伝導部で伝導された熱が透過板に向かって放熱されるものである。
本開示に係る取付装置は、透過板の一方の表面側から透過する透過波を検出可能に他方の表面側にセンサを取り付ける取付装置であって、透過板とセンサとの間に固定され、透過板から離れる方向に窪んだ凹部が形成されると共にセンサを透過板側に露出させる窓部が凹部の開口部を向くように凹部に形成され、凹部は開口部から窓部に向かって透過板に対向しつつ離れるように形成された対向面を有する支持部と、凹部において対向面の反対側の裏面に配置された加熱部と、対向面に沿って拡がるように配置され、加熱部から伝導される熱を対向面に沿って伝導させる伝導部とを備え、伝導部は、縁部近傍が厚く形成され、伝導部で伝導された熱が透過板に向かって放熱されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、センサの検出精度の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る取付装置を備えたセンサ装置の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態2の伝導部の構成を示す図である。
【
図5】実施の形態2の変形例に係る伝導部の構成を示す図である。
【
図6】実施の形態3の伝導部の構成を示す図である。
【
図7】実施の形態4の伝導部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係る取付装置を備えたセンサ装置の構成を示す。センサ装置は、取付装置1と、撮像部2と、温度測定部3と、制御部4と、電源5とを有する。
【0012】
取付装置1は、車両のフロントガラスFにおいて車外の表面Fa側から透過する透過光を検出可能に、車室内の表面Fb側に撮像部2を取り付けるためのもので、支持部6と、加熱部7と、伝導部8とを有する。
【0013】
支持部6は、フロントガラスFと撮像部2との間に配置され、固定部9aおよび9bと、凹部10とを有する。支持部6は、例えば、耐熱性を有する合成樹脂から構成することができる。また、支持部6は、撮像部2の撮像に影響しない色で形成、例えば黒色で形成することができる。
【0014】
固定部9aは、支持部6の上縁部に配置され、フロントガラスFの表面Fbに当接するように平板状に形成されている。固定部9aは、例えば、粘着剤を介してフロントガラスFに固定される。
固定部9bは、支持部6の下縁部に配置され、フロントガラスFの表面Fbに当接するように平板状に形成されている。固定部9bは、例えば、粘着剤を介してフロントガラスFに固定される。
【0015】
凹部10は、固定部9aと固定部9bとの間に配置され、フロントガラスFから離れる方向、すなわち車室側に窪むように形成されている。また、凹部10には、その上部を貫通して、撮像部2をフロントガラスF側に露出させる窓部11が、凹部10の開口部12を向くように形成されている。また、凹部10は、開口部12から窓部11に向かってフロントガラスFに対向しつつ徐々に離れるように形成された対向面10aと、対向面10aの反対側に配置された裏面10bとを有する。また、凹部10は、対向面10aからフロントガラスFに向かって立ち上がる側面10cを有し、この側面10cの上部に窓部11が形成されている。
これにより、凹部10は、撮像部2の正面に撮像部2の撮像範囲に応じた検出空間Sを形成する。
【0016】
加熱部7は、凹部10の裏面10bに沿って配置され、裏面10b側から凹部10を加熱する。
伝導部8は、凹部10を介して加熱部7から伝導される熱を対向面10aに沿って伝導させるもので、平板状に一様な厚みで形成され、凹部10の対向面10aに沿って拡がるように配置されている。また、伝導部8は、対向面10aに沿って伝導させた熱をフロントガラスFに向かって検出空間Sに放熱する。伝導部8は、熱伝導率が高い材料から構成され、例えばアルミニウムおよび銅などから構成することができる。また、伝導部8は、撮像部2の撮像に影響しない色で形成、例えば黒色で塗装することができる。
【0017】
撮像部2は、フロントガラスFを透過する透過光を検出して車外を撮像するもので、フロントガラスFとの間で支持部6を挟むように配置され、そのレンズ部分が凹部10に形成された窓部11からフロントガラスF側に露出している。撮像部2は、例えばカメラなどから構成することができる。
また、撮像部2は、支持部6に保持部2aで保持されている。保持部2aは、支持部6の裏面10bから窓部11に向かって延びるように配置され、一端部が支持部6の裏面10bに固定されると共に他端部が撮像部2に固定されている。
【0018】
温度測定部3は、車外の温度を測定するもので、例えば温度計などから構成することができる。
電源5は、加熱部7に給電して加熱部7を加熱させるものである。
【0019】
制御部4は、温度測定部3で測定された温度に基づいて電源5のオンとオフを切り換えて、加熱部7によるフロントガラスFの加熱を制御する。
【0020】
次に、支持部6の構成について詳細に説明する。
【0021】
図2に、支持部6の対向面10a側の構成を示す。
凹部10は、対向面10aからフロントガラスFに向かって立ち上がる3つの側面10c,10dおよび10eを有する。側面10cは、対向面10aの奥部と固定部9aとの間を接続するように配置されている。側面10dは、撮像部2が撮像する検出方向D1を向いて右側に配置され、側面10cから検出方向D1に向かって右側に拡がるように形成されている。側面10eは、検出方向D1を向いて左側に配置され、側面10cから検出方向D1に向かって左側に拡がるように形成されている。すなわち、側面10dと側面10eは、窓部11側から検出方向D1に向かって左右方向D2に徐々に離れるように形成されている。
【0022】
側面10dの上縁部には、フロントガラスFの表面Fbに当接する固定部9cが配置されている。また、側面10eの上縁部には、フロントガラスFの表面Fbに当接する固定部9dが配置されている。すなわち、固定部9a~9dは、凹部10の開口部12を囲むように配置されている。固定部9cおよび9dは、例えば、粘着剤を介してフロントガラスFに固定される。
【0023】
対向面10aは、側面10dおよび10eの形状に応じて、側面10cから固定部9bに向かって左右方向D2に徐々に拡がり、台形状を有するように形成されている。ここで、対向面10a、側面10dおよび10eの左右方向D2の拡がりは、撮像部2の検出範囲の拡がりに応じて設定されており、これにより所定の検出空間Sが形成されることになる。
また、伝導部8が、対向面10a上に配置され、対向面10aに沿って窓部11側から検出方向D1に向かって左右方向D2に徐々に拡がるように形成されている。すなわち、伝導部8は、対向面10aに応じた台形状を有し、対向面10aのほぼ全面を覆うように形成されている。
【0024】
図3に、支持部6の裏面10b側の構成を示す。
支持部6の裏面10bには、加熱部7が配置されている。ここで、支持部6の裏面10bには、撮像部2を保持する保持部2aが固定領域Rに固定されるものとする。このため、加熱部7は、固定領域Rを避けるような形状で配置されている。
加熱部7は、その全面にわたるように電熱線7aが配置され、その電熱線7aの一対の端子に電源5が接続されている。電熱線7aは、電源5からの通電により加熱するように所定の抵抗を有する。
【0025】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
【0026】
まず、
図1に示すように、保持部2aを介して支持部6に固定された撮像部2が、窓部11からフロントガラスF側に露出するように配置され、フロントガラスFを介して車外を撮像する。
【0027】
このとき、
図2に示すように、支持部6は、凹部10を囲むように配置された固定部9a~9dでフロントガラスFに固定されている。このため、撮像部2を強固に支持することができる。
また、凹部10の対向面10a、側面10dおよび10eは、窓部11側から撮像部2の検出方向D1に向かって左右方向D2に拡がるように配置され、これにより撮像部2の撮像範囲に応じた検出空間Sが形成される。この検出空間Sにより、撮像部2は、撮像範囲を阻害されることなく、車外の様子を確実に撮像することができる。
【0028】
ここで、車外の温度が低下すると、フロントガラスFが曇って撮像部2の撮像を妨げるおそれがある。そこで、温度測定部3が車外の温度を測定し、その温度を制御部4に出力する。制御部4は、温度測定部3で測定された温度が所定の値以下か否かを判定し、所定の値以下の場合には、電源5をオンにする。
【0029】
これにより、
図3に示すように、電源5から加熱部7の電熱線7aに通電されて、加熱部7が凹部10の裏面10bを加熱する。加熱部7の熱は、凹部10の裏面10b側から対向面10a側に伝導されて、伝導部8に入力される。そして、伝導部8が、加熱部7から伝導された熱を、対向面10aに沿って伝導させると共にフロントガラスFに向かって検出空間Sに放熱する。これにより、検出空間Sに放熱された熱がフロントガラスFを温めてフロントガラスFの曇りを除去することができる。
【0030】
このとき、伝導部8は、対向面10aに沿って拡がるように配置されている。一方、加熱部7は、保持部2aが固定される固定領域Rを避けるように配置されている。支持部6の裏面10b側は、保持部2aだけでなく、様々な機器が配置されるため、加熱部7は、固定領域Rに限らず、例えば狭い範囲に配置されるなど、様々な制約を受けることになる。すなわち、加熱部7は、裏面10b側に配置することで配線などの設置が容易になる一方、その設置範囲が制限されるおそれがある。
このように、加熱部7が、裏面10bの一部を避けて配置される場合に、伝導部8を除いて加熱部7の熱をそのまま検出空間Sに放熱すると、フロントガラスFの曇りが部分的に残り、撮像部2の撮像を妨げて撮像精度が低下するおそれがある。
【0031】
そこで、
図2に示すように、伝導部8を対向面10aに沿って拡がるように配置することにより、加熱部7から伝導された熱を対向面10aに沿って広く一様に伝導させる。これにより、フロントガラスFの曇りを広い範囲で除去して、撮像部2の撮像精度、すなわち検出精度の低下を抑制することができる。
【0032】
また、伝導部8は、対向面10aの全面を覆うように配置されている。これにより、フロントガラスFにおいて検出空間Sに対応する部分全体、すなわち撮像部2の検出範囲全体の曇りを除去することができ、撮像部2の撮像精度の低下を確実に抑制することができる。
【0033】
一方、制御部4は、温度測定部3で測定された温度が所定の値より高い場合には、電源5をオフにする。
このようにして、制御部4が、温度測定部3で測定された温度に基づいて加熱部7による加熱を制御することにより、フロントガラスFの曇りを抑制して、撮像部2の撮像精度を維持することができる。
【0034】
本実施の形態では、伝導部8が、対向面10aに沿って拡がるように配置されるため、加熱部7から伝導される熱を対向面10aに沿って一様に伝導させることができる。これにより、フロントガラスFの曇りを広い範囲で除去することができ、撮像部2の撮像精度の低下を抑制することができる。
【0035】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0036】
上記の実施の形態1では、伝導部8は、対向面10a上に配置されたが、対向面10aに沿って配置されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、
図4に示すように、実施の形態1の伝導部8に換えて伝導部21を配置することができる。
【0037】
伝導部21は、凹部10の対向面10aに沿って拡がると共に表面が検出空間Sに露出するように凹部10に埋め込まれて配置されている。ここで、伝導部21は、その表面が凹部10の対向面10aと同一面上に位置するように配置されている。
【0038】
これにより、伝導部21が、加熱部7から伝導された熱を対向面10aに沿って広く一様に伝導させるため、フロントガラスFの曇りを広い範囲で除去することができ、撮像部2の撮像精度の低下を抑制することができる。
また、伝導部21は、表面が露出するように凹部10に埋め込まれるため、支持部6の強度を維持しつつ対向面10aからの突出量を抑制することができる。このとき、伝導部21は、その表面が凹部10の対向面10aと同一面上に位置するように配置されるため、対向面10aからの突出をなくすことができる。
【0039】
本実施の形態によれば、伝導部21は、表面が露出するように凹部10に埋め込まれるため、支持部6の強度を維持しつつ対向面10aからの突出量を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、伝導部21は、表面が露出するように配置されたが、対向面10aに沿って拡がるように配置されていればよく、これに限られるものではない。例えば、
図5に示すように、伝導部21は、対向面10aに沿って拡がるように、その表面まで凹部10内に完全に埋め込むこともできる。このとき、伝導部21は、裏面10bまでの距離と比較して、対向面10aまでの距離が小さくなるように埋め込まれる。
【0040】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0041】
上記の実施の形態1および2では、伝導部は、対向面10aのみに沿って拡がるように配置されたが、対向面10aに沿って拡がるように配置されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、
図6に示すように、実施の形態1の伝導部8に換えて伝導部31を配置することができる。
【0042】
伝導部31は、底部31aと、3つの側壁部31b~31dとを有する。底部31aは、板形状を有し、凹部10の対向面10aに沿って対向面10a全体に拡がるように配置される。側壁部31bは、板形状を有し、凹部10の側面10cに沿って側面10c全体に拡がるように配置される。側壁部31cは、板形状を有し、凹部10の側面10dに沿って側面10d全体に拡がるように配置される。側壁部31dは、板形状を有し、凹部10の側面10eに沿って側面10e全体に拡がるように配置される。この底部31aおよび側壁部31b~31dは、その縁部において互いに一体に接続されている。
【0043】
これにより、伝導部31の底部31aが、加熱部7から伝導された熱を凹部10の対向面10aに沿って広く一様に伝導させる。そして、側壁部31b~31dが、底部31aで伝導された熱を凹部10の側面10c~10eに沿って一様に伝導させる。このように、伝導部31が、加熱部7から伝導された熱を対向面10aおよび側面10c~10eに沿って伝導させるため、検出空間S全体を温めることができ、フロントガラスFの曇りを容易に除去することができる。これにより、撮像部2の撮像精度の低下を確実に抑制することができる。
【0044】
本実施の形態によれば、伝導部31は、底部31aが凹部10の対向面10aに沿って拡がるように配置されると共に側壁部31b~31dが凹部10の側面10c~10eに沿って拡がるように配置されている。このため、検出空間S全体を温めることができ、撮像部2の撮像精度の低下を確実に抑制することができる。
【0045】
(実施の形態4)
以下、本開示の実施の形態4について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~3との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~3との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
上記の実施の形態1~3では、伝導部は、一様な厚みで形成されたが、対向面10aに沿って拡がるように配置されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、
図7に示すように、実施の形態1の伝導部8に換えて伝導部41を配置することができる。
【0047】
伝導部41は、対向面10aから上方を向いた放熱方向D3にフロントガラスFから最も離れた離間領域F1が放熱方向D3に離間領域F1よりフロントガラスFに近い領域、例えば中間領域F2と比較して厚く形成されている。さらに、伝導部41は、4つの縁部のうち最も長く形成された固定部9b側の縁部領域F3を縁部から離れた領域、例えば中間領域F2と比較して厚く形成されている。
【0048】
これにより、伝導部41が、加熱部7から伝導された熱を凹部10の対向面10aに沿って広く伝導させる。このとき、伝導部41の離間領域F1および縁部領域F3は、中間領域F2と比較して厚く形成されている。
【0049】
一般的に、伝導部41からフロントガラスFまでの距離が放熱方向D3に遠いほど、伝導部41から放熱された熱が検出空間Sを伝わる間に冷やされるため、フロントガラスFの曇りを除去することが困難となる。
また、フロントガラスFにおいて伝導部41の縁部に対応する部分は、その外側から外気により冷やされるため、フロントガラスFの曇りを除去することが困難となる。特に、フロントガラスFにおいて縁部領域F3に対応する部分は、左右方向D2に長く形成されているため、フロントガラスFの曇りを除去することがより困難となる。
【0050】
そこで、伝導部41の離間領域F1を厚く形成する。これにより、伝導部41は、離間領域F1からの放熱量が向上するため、フロントガラスFにおいて伝導部41からの距離が遠い部分の曇りを確実に除去することができる。
【0051】
さらに、伝導部41の縁部領域F3を厚く形成する。これにより、伝導部41は、縁部領域F3からの放熱量が向上するため、フロントガラスFにおいて外気で冷やされ易い部分の曇りを確実に除去することができる。このとき、縁部領域F3は、伝導部41において最も長く形成された縁部近傍に設定されているため、フロントガラスFにおいて外気で最も冷やされ易い部分の曇りを確実に除去することができる。
なお、本実施の形態では、伝導部41は、縁部領域F3を厚く形成したが、縁部近傍を厚く形成すればよく、これに限られるものではない。
【0052】
本実施の形態によれば、伝導部41は、放熱方向D3にフロントガラスFから最も離れた離間領域F1を厚く形成するため、フロントガラスFの曇りを確実に除去することができる。また、伝導部41は、縁部近傍を厚く形成するため、フロントガラスFの曇りを確実に除去することができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態1~4では、伝導部は、板状に形成されたが、凹部10の対向面10aに沿って拡がるように配置されていればよく、板状に限られるものではない。例えば、伝導部は、網目形状に形成することもできる。
【0054】
また、上記の実施の形態1~4では、取付装置1は、透過光を検出する撮像部2を取り付けたが、フロントガラスFを透過する透過波を検出するセンサを取り付けることができればよく、撮像部2に限られるものではない。例えば、取付装置1は、レーザーレーダ、ミリ波レーダおよび超音波センサなどのセンサを取り付けるように構成することもできる。
なお、透過波は、所定の周波数を有するもので、例えば可視光、紫外線、赤外線、ミリ波および超音波などが挙げられる。
【0055】
また、上記の実施の形態1~4では、取付装置1は、フロントガラスFに対して撮像部2を取り付けたが、透過光を透過する透過板に撮像部2を取り付ければよく、フロントガラスFに限られるものではない。
また、上記の実施の形態1~4では、支持部6は、フロントガラスFに直接的に固定されたが、フロントガラスFと撮像部2との間に固定されていればよく、これに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示に係る取付装置は、透過板に対してセンサを取り付ける装置に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 取付装置
2 撮像部
2a 保持部
3 温度測定部
4 制御部
5 電源
6 支持部
7 加熱部
7a 電熱線
8,21,31,41 伝導部
31a 底部
31b~31d 側壁部
9a~9d 固定部
10 凹部
10a 対向面
10b 裏面
10c~10e 側面
11 窓部
12 開口部
F フロントガラス
Fa,Fb 表面
S 検出空間
D1 検出方向
D2 左右方向
D3 放熱方向
R 固定領域
F1 離間領域
F2 中間領域
F3 縁部領域