(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】管理装置、車両提示方法、プログラム及び配車管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240701BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240701BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240701BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240701BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q10/02
G08G1/00 D
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2020027190
(22)【出願日】2020-02-20
(62)【分割の表示】P 2019195807の分割
【原出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】待鳥 了
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 隼弥
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴敬
(72)【発明者】
【氏名】王 汝佳
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530730(JP,A)
【文献】特開2015-122108(JP,A)
【文献】特開2004-302942(JP,A)
【文献】特開2015-158830(JP,A)
【文献】特開2014-006890(JP,A)
【文献】特開2013-097608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/40
G08G 1/123
G06Q 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客を輸送する車両の配車を管理する管理装置であって、
前記車両を利用するユーザ
による目的地の入力の有無に応じて特定対象の前記車両の範囲が変動する場合において、前記ユーザが使用するユーザ端末から迎車地及び
前記目的地のうちの前記迎車地のみが入力されて要求された場合に、
特定対象の前記車両の範囲が相対的に狭い第1範囲において前記車両を特定し、前記ユーザ端末から前記迎車地及び前記目的地が入力されて要求された場合に、
特定対象
の前記車両の範囲が
相対的に広い第2範囲において前記車両を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記車両である特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、
を有する管理装置。
【請求項2】
前記車両の位置を示す位置情報を取得する取得部をさらに有し、
前記提示部は、前記特定車両に関する情報として、前記特定車両に対応する前記位置情報を前記ユーザ端末に提示する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記特定車両に関する情報として、前記特定車両が前記迎車地に到着する予定時間帯を前記ユーザ端末に提示する、
請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
一の前記車両である第1車両に対して迎車の要求を通知し、前記第1車両のドライバーからの第1回答が迎車の要求を受け付けることを示す場合、前記第1車両の配車を確定させ、前記第1回答が迎車の要求を受け付けないことを示す場合、前記第1車両以外の他の前記車両である第2車両に対して迎車の要求を通知し、前記第2車両のドライバーからの第2回答が迎車の要求を受け付けることを示す場合、前記第2車両の配車を確定させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記特定部が前記第1範囲において前記特定車両を特定した場合において、前記特定車両の台数及び前記特定車両が前記迎車地に到着する予定時刻のうちの少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に前記目的地の入力を促すためのメッセージを提示する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項6】
旅客を輸送する車両の配車を管理するコンピュータが実行する、
前記車両を利用するユーザ
による目的地の入力の有無に応じて特定対象の前記車両の範囲が変動する場合において、前記ユーザが使用するユーザ端末から迎車地及び
前記目的地のうちの前記迎車地のみが入力されて要求された場合に、
特定対象の前記車両の範囲が相対的に狭い第1範囲において前記車両を特定し、前記ユーザ端末から前記迎車地及び前記目的地が入力されて要求された場合に、
特定対象
の前記車両の範囲が
相対的に広い第2範囲において前記車両を特定するステップと、
特定した前記車両である特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示するステップと、
を有する車両提示方法。
【請求項7】
旅客を輸送する車両の配車を管理するコンピュータを、
前記車両を利用するユーザ
による目的地の入力の有無に応じて特定対象の前記車両の範囲が変動する場合において、前記ユーザが使用するユーザ端末から迎車地及び
前記目的地のうちの前記迎車地のみが入力されて要求された場合に、
特定対象の前記車両の範囲が相対的に狭い第1範囲において前記車両を特定し、前記ユーザ端末から前記迎車地及び前記目的地が入力されて要求された場合に、
特定対象
の前記車両の範囲が
相対的に広い第2範囲において前記車両を特定する特定部、及び
前記特定部が特定した前記車両である特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示する提示部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
旅客を輸送する車両を利用するユーザが使用するユーザ端末と、配車を管理する管理装置とを有する配車管理システムであって、
前記ユーザ端末は、迎車地及び目的地のうちの少なくとも前記迎車地を入力して前記管理装置に要求する要求部を有し、
前記管理装置は、
前記ユーザによる前記目的地の入力の有無に応じて特定対象の前記車両の範囲が変動する場合において、前記ユーザ端末から
前記迎車地及び
前記目的地のうちの前記迎車地のみが入力されて要求された場合に、
特定対象の前記車両の範囲が相対的に狭い第1範囲において前記車両を特定し、前記ユーザ端末から前記迎車地及び前記目的地が入力されて要求された場合に、
特定対象
の前記車両の範囲が
相対的に広い第2範囲において前記車両を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記車両である特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、
を有する配車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅客を輸送する車両の配車を管理する配車管理システム、管理装置及び車両提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーを利用する利用者によるタクシーの予約を受け付けるシステムが知られている。特許文献1には、利用者が入力した配車日時、配車場所及び運転者情報に基づいて配車する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような情報に基づいて特定された車両が、配車場所(以下、「迎車地」という)の近くに存在しない場合、利用者はタクシーを利用するまでに長い時間を要してしまうという問題があった。そのため、上記のような情報以外の情報を用いて迎車地の近くに存在する車両を特定し、特定した当該車両を提示することが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、迎車地の近くに存在する車両を提示することができる配車管理システム、管理装置及び車両提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる配車管理システムは、旅客を輸送する車両を利用するユーザが使用するユーザ端末と、配車を管理する管理装置とを有する配車管理システムであって、前記ユーザ端末は、前記ユーザの迎車地において迎車可能な前記車両に関する情報の提示を前記管理装置に要求する要求部を有し、前記管理装置は、前記ユーザによって目的地が入力されなかった場合に、前記迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定する第1特定部と、前記ユーザによって目的地が入力された場合に、前記第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両、及び前記目的地を含み、前記第1営業エリアとは異なる営業エリアである第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定する第2特定部と、特定された前記車両である一以上の特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、を有する。
【0007】
前記第1特定部は、前記第1営業エリアにおいて営業を許可された前記一以上の車両のうち、前記迎車地から所定の距離までの間に存在する前記一以上の車両を特定してもよいし、前記第2特定部は、前記第1営業エリアにおいて営業を許可された前記一以上の車両のうち、前記迎車地から所定の距離までの間に存在する前記一以上の車両と、前記第2営業エリアにおいて営業を許可された前記一以上の車両のうち、前記迎車地から所定の距離までの間に存在する前記一以上の車両とを特定してもよい。
【0008】
前記提示部は、前記第1特定部が特定した前記車両の台数が所定の台数以下である場合に、前記ユーザに前記目的地の入力を促すためのメッセージを提示してもよいし、前記要求部は、前記メッセージが提示された後に前記ユーザが前記目的地を入力すると、前記迎車地から当該目的地までの経路を輸送可能な前記車両の提示を前記管理装置に要求してもよい。
【0009】
前記提示部は、前記第1特定部が特定した前記一以上の車両のいずれにおいても前記迎車地に到着する予定時刻が現在時刻から所定の期間を経過したときの時刻よりも遅い場合に、前記ユーザに前記目的地の入力を促すためのメッセージを提示してもよいし、前記要求部は、前記メッセージが提示された後に前記ユーザが前記目的地を入力すると、前記迎車地から当該目的地までの経路を輸送可能な前記車両の提示を前記管理装置に要求してもよい。
【0010】
前記配車管理システムは、前記車両のドライバーが使用する車両端末をさらに有してもよいし、前記要求部は、提示された前記一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を前記管理装置に要求してもよいし、前記管理装置は、前記一以上の特定車両の中から一の前記特定車両を選択する車両選択部と、前記車両選択部が前記一の特定車両を選択すると、前記ユーザから迎車の要求を受けたことを示す迎車要求情報を、前記一の前記特定車両に対応する前記車両端末に通知し、かつ前記車両選択部によって選択された前記一の特定車両が、前記第2特定部によって特定された前記第2営業エリアにおいて営業を許可された前記車両である場合、迎車を要求した前記ユーザの前記目的地が前記第2営業エリア内であることを示す付加情報をさらに通知する通知部と、をさらに有してもよい。
【0011】
前記車両端末は、前記ユーザから受けた迎車の要求を受け付けるか否かを回答する回答部をさらに有してもよいし、前記提示部は、前記回答部による前記回答が前記ユーザから受けた迎車の要求を受け付けることを示す場合、迎車の要求を受け付けた前記特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示してもよいし、前記車両選択部は、前記回答部による前記回答が前記ユーザから受けた迎車の要求を受け付けないことを示す場合、前記一以上の特定車両の中から前記一の特定車両以外の他の前記特定車両を選択してもよい。
【0012】
前記管理装置は、旅客を輸送するサービスを提供する事業者ごとに、当該事業者を識別するための事業者識別情報と、当該事業者が営業を許可されていない営業不許可エリアから当該事業者が営業を許可された営業許可エリアまでの輸送を受け付けるか否かを示す輸送可否情報とを関連付けて記憶する記憶部をさらに有してもよいし、前記第2特定部は、前記第2営業エリアにおいて営業可能な前記一以上の車両のうち、前記記憶部において前記営業不許可エリアから前記営業許可エリアまでの輸送を受け付けることを示す前記輸送可否情報に関連付けて記憶されている前記事業者識別情報によって示される前記事業者が運用する前記一以上の車両を特定してもよい。
【0013】
本発明の第2の態様にかかる管理装置は、旅客を輸送する車両を利用するユーザが使用するユーザ端末から前記ユーザの迎車地において迎車可能な前記車両に関する情報の提示の要求を受け付ける要求受付部と、前記ユーザによって目的地が入力されなかった場合に、前記迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定する第1特定部と、前記ユーザによって目的地が入力された場合に、前記第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両、及び前記目的地を含み、前記第1営業エリアとは異なる営業エリアである第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定する第2特定部と、特定された前記車両である一以上の特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、を有する。
【0014】
本発明の第3の態様にかかる車両提示方法は、コンピュータが実行する、旅客を輸送する車両を利用するユーザが使用するユーザ端末から前記ユーザの迎車地において迎車可能な前記車両に関する情報の提示の要求を受け付けるステップと、前記ユーザによって目的地が入力されなかった場合に、前記迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定するステップと、前記ユーザによって目的地が入力された場合に、前記第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両、及び前記目的地を含み、前記第1営業エリアとは異なる営業エリアである第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の前記車両を特定するステップと、特定された前記車両である一以上の特定車両に関する情報を前記ユーザ端末に提示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一例として、迎車地の近くに存在する車両を提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】配車管理システムの概要を説明するための図である。
【
図4】車両端末の表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。
【
図6】車両管理データベースの構成の一例を示す図である。
【
図7】専用アプリの表示画面の一例を示す図である。
【
図8】専用アプリの表示画面の一例を示す図である。
【
図9】車両端末の表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。
【
図10】配車管理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[配車管理システムSの概要]
図1は、配車管理システムSの概要を説明するための図である。配車管理システムSは、旅客を輸送する車両V(例えばタクシー)を利用する利用者(以下、「ユーザU」という)に配車サービスを提供するために用いられるシステムである。配車サービスは、ユーザUの要求に応じて、当該ユーザUが指定した迎車地の周囲に存在する車両Vを配車するサービスである。配車管理システムSは、ユーザ端末1と、車両端末2と、管理装置3とを有する。
【0018】
ユーザ端末1は、ユーザUが使用する端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット等である。ユーザ端末1には、配車サービスをユーザUに提供するための専用のアプリケーションプログラム(以下、「専用アプリ」という)がインストールされている。
【0019】
車両端末2は、車両のドライバーが使用する端末であり、例えばモバイル端末(スマートフォン又はタブレット等)又はカーナビゲーション等である。管理装置3は、配車を管理する装置であり、例えばサーバである。
【0020】
車両Vを用いて旅客を輸送する輸送サービスを提供する事業者は、法の要請により、当該法を運用する官公庁に許可された営業エリア内で営業する(輸送サービスを提供する)必要があり、具体的には、利用者を乗車させる乗車地(迎車地)及び利用者を降車させる降車地(目的地)のうちのいずれか一方が事業者の営業エリア内である必要がある。車両Vが、営業エリア外の目的地まで利用者を輸送した後において、当該目的地から営業エリアに戻るまでの経路で営業する場合、新たな利用者の目的地が営業エリア外であると上記法の要請に反するため、ドライバーは、新たな利用者を乗車させる前に目的地が営業エリア内であるかを確認する必要がある。ドライバーは、このような確認を行うことが手間であるため、上記経路において営業しない場合があった。
【0021】
しかしながら、営業エリアがそれぞれ異なる迎車地及び目的地を指定する新たな利用者に上記のような車両Vを配車させることには、様々なメリットがある。例えば、新たな利用者においては、迎車地の周囲に存在する車両Vの数が多いほど、車両Vを利用するまでの時間が早くなる蓋然性が高くなったり、目的地を含む営業エリアに詳しいドライバーが運転する車両Vを利用することによりスムーズに移動し得たりするというメリットがある。また、営業エリア以外のエリアから営業エリア内に戻る車両Vにとっては、移動しなければならない経路において営業することができるというメリットがある。そこで、配車管理システムSは、ユーザUの迎車地の周囲における車両Vの存在の状況に応じて、ユーザUの迎車地の営業エリアとは異なる他の営業エリアにおいて営業を許可された車両Vを提示する。
【0022】
図1に示す例において、まず、ユーザUが、ユーザ端末1において専用アプリを起動させるための操作を行うと、ユーザ端末1は、専用アプリの表示画面を表示させる。専用アプリの表示画面は、迎車地及び目的地の入力が可能な状態で表示されており、ユーザUが専用アプリの表示画面において少なくとも迎車地を入力すると、ユーザ端末1は、入力された迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を管理装置3に要求する(
図1の(1))。
【0023】
管理装置3は、ユーザUによる目的地の入力の有無に応じて、迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両V、又は第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両V及び目的地を含む第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する(
図1の(2))。第2営業エリアは、第1営業エリアとは異なるエリアである。
【0024】
管理装置3は、特定した車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する(
図1の(3))。一以上の特定車両に関する情報は、例えば、車両Vの位置を示す位置情報と、車両Vが迎車地に到着する予定時間帯とを含む。車両Vが迎車地に到着する予定時間帯は、一以上の特定車両のうち、最も早く迎車地に到着する車両Vの予定時間帯であってもよいし、一以上の特定車両において最も早く迎車地に到着する車両Vの予定時刻から最も遅く迎車地に到着する車両Vの予定時刻までの予定時間帯であってもよい。
【0025】
専用アプリの表示画面において、提示された一以上の特定車両に関する情報が表示された後に、ユーザUが、迎車を要求するための操作を行うと、ユーザ端末1は、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を管理装置3に要求する(
図1の(4))。そして、管理装置3は、ユーザ端末1から迎車の要求を受け付けると、ユーザUから迎車の要求を受けたことを示す迎車要求情報を、一以上の特定車両の中から選択した一の特定車両に対応する車両端末2に通知する(
図1の(5))。
【0026】
その後、車両Vが迎車地に到着すると、ユーザUは、車両Vを利用する。このようにすることで、配車管理システムSは、迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vに加えて、目的地を含む第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両VをユーザUに提示することができる。その結果、配車管理システムSは、迎車地の近くに存在する車両VをユーザUに提示することができる。
以下、ユーザ端末1、車両端末2及び管理装置3の構成について説明する。
【0027】
[ユーザ端末1の構成]
図2は、ユーザ端末1の構成を示す図である。ユーザ端末1は、通信部11と、表示部12と、操作部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
【0028】
通信部11は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えば無線LAN(Local Area Network)コントローラを含んで構成されている。表示部12は、ディスプレイである。操作部13は、ユーザUの操作を受け付ける入力デバイスであり、例えば、表示部12に重ねて設けられたタッチパネルである。
【0029】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶している。
【0030】
制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部151及び要求部152として機能する。
【0031】
表示制御部151は、車両Vを利用するための要求をしたり、管理装置3から提示された情報を表示したりするための専用アプリの表示画面を表示部12に表示させる。専用アプリの表示画面の詳細については後述する。
【0032】
要求部152は、通信部11を介して、ユーザUの迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を管理装置3に要求する。具体的には、表示部12に表示された専用アプリの表示画面において、ユーザUが操作部13を介して迎車地を入力すると、通信部11を介して、入力された迎車地を示す迎車地情報を管理装置3に送信することにより、迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を管理装置3に要求する。
【0033】
また、表示部12に表示された専用アプリの表示画面において、ユーザUが操作部13を介して目的地をさらに入力すると、要求部152は、通信部11を介して、入力された目的地を示す目的地情報を管理装置3に送信することにより、迎車地から当該目的地までの経路を輸送可能な車両Vの提示を管理装置3に要求する。
【0034】
また、要求部152は、迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を要求した後に管理装置3が提示した一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を管理装置3に要求する。例えば、専用アプリの表示画面において、一以上の特定車両に関する情報として提示された車両Vが迎車地に到着する予定時間帯が表示された後に、ユーザUが操作部13を介して迎車を要求する操作を行った場合、要求部152は、通信部11を介して、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を管理装置3に要求する。
【0035】
[車両端末2]
図3は、車両端末2の構成を示す図である。車両端末2は、通信部21と、位置情報取得部22と、表示部23と、操作部24と、記憶部25と、制御部26とを有する。通信部21は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えば無線LANコントローラを含んで構成されている。
【0036】
位置情報取得部22は、衛星測位システムを用いて車両端末2の位置、すなわち車両Vの位置を測定することにより、車両Vの位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部22は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機であり、GPS受信機が受信した測位信号によって示されるGPS衛星の位置を用いて車両Vの位置を測定する。位置情報取得部22は、例えば、所定の間隔(例えば1分ごと)で位置情報を取得する。
【0037】
表示部23は、ディスプレイである。操作部24は、車両Vのドライバーの操作を受け付ける入力デバイスであり、例えば、表示部23に重ねて設けられたタッチパネルである。
【0038】
記憶部25は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部25は、制御部26が実行するプログラムを記憶している。制御部26は、例えば、CPUである。制御部26は、記憶部25に記憶されたプログラムを実行することにより、送信部261、表示制御部262及び回答部263として機能する。
【0039】
送信部261は、通信部21を介して、位置情報取得部22が取得した位置情報を管理装置3に送信する。送信部261は、例えば、通信部21を介して、位置情報取得部22が位置情報を取得するごとに、当該位置情報を管理装置3に送信する。
【0040】
表示制御部262は、管理装置3から送信された情報を表示部23に表示させる。表示制御部262は、例えば、管理装置3から送信された情報として、ユーザUから迎車の要求を受けたことを示す迎車要求情報が表示された表示画面を表示部23に表示させる。
【0041】
回答部263は、通信部21を介して、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けるか否かを管理装置3に回答する。具体的には、回答部263は、表示部23に表示された表示画面において車両Vのドライバーが入力した、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けるか否かを示す回答情報を管理装置3に送信することにより回答する。
【0042】
図4は、表示部23に表示された表示画面の一例を示す図である。
図4に示す表示画面には、迎車要求情報としてユーザUから迎車の要求を受けたことを示すメッセージM1と、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付ける回答をするための了解ボタンB1と、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けない回答をするためのキャンセルボタンB2とが表示されている。
【0043】
図4に示す例において、車両Vのドライバーが了解ボタンB1を押下する操作を行うと、回答部263は、通信部21を介して、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けることを示す回答情報を管理装置3に送信する。一方、車両VのドライバーがキャンセルボタンB2を押下する操作を行うと、回答部263は、通信部21を介して、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けないことを示す回答情報を管理装置3に送信する。
【0044】
[管理装置3の構成]
図5は、管理装置3の構成を示す図である。管理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信部31は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLANコントローラを含んで構成されている。
【0045】
記憶部32は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、官公庁が営業エリアとして許可するエリアの一覧を示すエリア一覧情報が記憶されている。また、記憶部32は、車両Vに関する情報を管理する車両管理データベースを記憶している。
【0046】
図6は、車両管理データベースの構成の一例を示す図である。
図6に示す車両管理データベースは、輸送サービスを提供する事業者ごとに、事業者識別情報と、エリア情報と、輸送可否情報と、車両識別情報とを関連付けて記憶している。
【0047】
事業者識別情報は、事業者を識別するための情報であり、例えば、事業者の名称又は識別番号である。エリア情報は、事業者が官公庁から営業を許可された営業許可エリアを示す情報である。輸送可否情報は、事業者が営業を許可されていないエリア、すなわち営業許可エリア以外のエリアである営業不許可エリアから営業許可エリアまでの輸送を受け付けるか否かを示す情報である。事業者識別情報に関連付けられている車両識別情報が示す車両Vは、事業者が運用する車両V、すなわち事業者が輸送サービスを提供するために用いる車両Vである。なお、車両管理データベースは、車両V(車両識別情報)ごとに輸送可否情報を記憶してもよい。
【0048】
図5に戻り、制御部33は、例えば、CPUである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331、受付部332、特定部333、提示部336、車両選択部337及び通知部338として機能する。
【0049】
取得部331は、通信部31を介して、車両端末2から位置情報を取得する。取得部331は、取得した位置情報を、車両端末2に対応する車両Vを識別するための車両識別情報に関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0050】
受付部332は、通信部31を介して、迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示の要求をユーザ端末1から受け付ける要求受付部として機能する。具体的には、受付部332は、通信部31を介して、ユーザ端末1から迎車地を示す迎車地情報を取得することにより、ユーザUによる迎車地における迎車の要求を受け付ける。受付部332は、通信部31を介して、ユーザ端末1から目的地を示す目的地情報をさらに取得してもよい。また、受付部332は、要求受付部として、通信部31を介して、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車の要求をユーザ端末1から受け付ける。
【0051】
受付部332は、通信部31を介して、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けるか否かの回答を車両端末2から受け付ける回答受付部としても機能する。具体的には、受付部332は、通信部31を介して、回答情報を車両端末2から取得することにより、回答を受け付ける。
【0052】
特定部333は、受付部332が取得した迎車地情報によって示される迎車地においてユーザUを迎車可能な一以上の車両Vを特定することにより、特定処理を実行する。特定部333が実行する特定処理の詳細については後述する。
【0053】
提示部336は、通信部31を介して、特定された車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。提示部336が提示する情報の詳細については後述する。
【0054】
車両選択部337は、受付部332が、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車の要求をユーザ端末1から受け付けると、一以上の特定車両の中から一の特定車両を選択する。車両選択部337は、例えば、一以上の特定車両うち、最も早く迎車地に到着する一の特定車両を選択する。車両選択部337は、一以上の特定車両のうち、迎車地に最も近い一の特定車両を選択してもよい。車両選択部337は、一以上の特定車両のうち、初乗り料金が最も安い一の特定車両を選択してもよい。受付部332が目的地情報を取得した場合、車両選択部337は、迎車地から目的地までの輸送にかかる運賃が最も安い一の特定車両を選択してもよい。
【0055】
通知部338は、車両選択部337が一の特定車両を選択すると、ユーザUから迎車の要求を受けたことを示す迎車要求情報を、当該一の特定車両に対応する車両端末2に通知する。通知部338は、例えば、迎車要求情報を車両端末2に通知することにより、
図4に示すような表示画面を車両端末2に表示させる。
【0056】
管理装置3は、ユーザUから受けた迎車の要求を受け付けるか否かの回答結果に応じて、配車を確定させる。車両端末2の回答部263による回答、すなわち受付部332が車両端末2から取得した回答情報がユーザUから受けた迎車の要求を受け付けることを示す場合、提示部336は、迎車の要求を受け付けた特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示することにより、配車を確定させる。提示部336は、例えば、迎車の要求を受け付けた特定車両に関する情報として、当該特定車両の位置及び当該特定車両の連絡先等を専用アプリの表示画面に表示させる。
【0057】
一方、受付部332が車両端末2から取得した回答情報がユーザUから受けた迎車の要求を受け付けないことを示す場合、車両選択部337は、一以上の特定車両の中から一の特定車両以外の他の特定車両を選択する。その後、通知部338は、迎車要求情報を、選択された他の特定車両に対応する車両端末2に通知する。管理装置3は、配車が確定するまで、受付部332による回答情報の取得から通知部338による迎車要求情報の通知までの処理を繰り返し実行する。このようにすることで、管理装置3は、選択された車両Vのドライバーの要望を考慮して配車を確定させることができる。
【0058】
[特定処理]
続いて、特定部333が実行する特定処理について説明する。上述のとおり、特定部333は、受付部332が取得した迎車地情報によって示される迎車地においてユーザUを迎車可能な一以上の車両Vを特定する。特定部333は、第1特定部334と、第2特定部335とを有する。
【0059】
第1特定部334は、ユーザUによって目的地が入力されなかった場合に、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する。第1営業エリアは、受付部332が取得した迎車地情報によって示される迎車地を含む営業エリアである。第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vは、車両管理データベースにおいて迎車地を含む営業許可エリアを示すエリア情報に関連付けて記憶されている一以上の車両識別情報それぞれが示す車両Vである。
【0060】
具体的には、第1特定部334は、受付部332が迎車地情報を取得した場合に、当該迎車地情報が示す迎車地に対応する第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する。より具体的には、第1特定部334は、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地から所定の距離までの間に存在する一以上の車両Vを特定する。所定の距離は、例えば、予め管理装置3に設定されている。
【0061】
第1特定部334は、例えば、車両管理データベースにおいて迎車地を含む営業許可エリアを示すエリア情報に関連付けられている車両識別情報が示す車両Vであり、かつ記憶部32において迎車地から所定の距離までの間に含まれる車両Vの位置を示す位置情報に関連付けられている車両識別情報が示す車両Vを特定する。このようにすることで、管理装置3は、迎車地の周囲に存在する車両Vを特定することができる。
【0062】
なお、第1特定部334は、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地までの移動にかかる移動時間が所定の時間以内である一以上の車両Vを特定してもよい。所定の時間は、予め管理装置3に設定されている。第1特定部334は、例えば、車両管理データベースにおいて迎車地を含む営業エリアに関連付けられている車両識別情報が示す車両Vであり、かつ記憶部32において迎車地までの移動にかかる移動時間が所定の時間以内である車両Vの位置を示す位置情報に関連付けられている車両識別情報が示す車両Vを特定する。
【0063】
提示部336は、第1特定部334が一以上の車両Vを特定すると、通信部31を介して、特定された車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。具体的には、提示部336は、通信部31を介して、一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に送信することにより、一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。
【0064】
図7は、専用アプリの表示画面の一例を示す図である。
図7(a)に示す専用アプリの表示画面は、ユーザ端末1において専用アプリが起動したときに表示された画面である。
図7(a)に示す専用アプリの表示画面には、ユーザUが迎車地を入力するための表示欄D1と、ユーザUが表示欄D1で入力した迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を要求するための提示要求ボタンB3とが表示されている。地点P1は、ユーザ端末1の現在地を示す地点である。地点P2は、迎車地を示す地点であり、例えば、専用アプリの表示画面の中央に固定して表示される。ユーザUは、表示欄D1に表示された地図をスライドさせて、迎車地として希望する地点を地点P2に合わせる操作を行うことにより、迎車地を入力する。
【0065】
図7(a)に示す例において、ユーザUが提示要求ボタンB3を押下する操作を行うと、まず、ユーザ端末1の要求部152は、通信部11を介して、ユーザUが入力した迎車地を示す迎車地情報を管理装置3に送信する。管理装置3の受付部332がユーザ端末1から迎車地情報を取得すると、第1特定部334は、当該迎車地情報が示す迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する。そして、提示部336は、通信部31を介して、第1特定部334が特定した一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に送信することにより、
図7(b)に示すような専用アプリの表示画面をユーザ端末1に表示させる。
【0066】
図7(b)に示す専用アプリの表示画面には、第1特定部334が特定した一以上の特定車両に関する情報として、表示欄D1において、一以上の特定車両が迎車地に到着する予定時間帯が表示された情報表示項目I1と、特定車両である車両V1の現在地とが表示されている。また、
図7(b)に示す専用アプリの表示画面には、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を要求するための迎車要求ボタンB4が表示されている。ユーザUが迎車要求ボタンB4を押下すると、ユーザ端末1の要求部152は、通信部11を介して、提示された一以上の特定車両に関する情報に基づく迎車を管理装置3に要求する。
【0067】
図5に戻り、第2特定部335は、ユーザUによって目的地が入力された場合に、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両V、及び第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する。第2営業エリアは、受付部332がさらに取得した目的地情報によって示される目的地を含む営業エリアであって、第1営業エリアとは異なる営業エリアである。第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vは、車両管理データベースにおいて目的地を含む営業許可エリアを示すエリア情報に関連付けて記憶されている一以上の車両識別情報それぞれが示す車両Vである。
【0068】
具体的には、第2特定部335は、記憶部32に記憶されているエリア一覧情報を参照し、迎車地を含む営業エリアと目的地を含む営業エリアとが異なる場合に、迎車地に対応する第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vと、目的地に対応する第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vとを特定する。
【0069】
より具体的には、第2特定部335は、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地から所定の距離までの間に存在する一以上の車両Vと、第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地から所定の距離までの間に存在する一以上の車両Vとを特定する。すなわち、管理装置3は、迎車地情報及び目的地情報に基づいて車両Vを特定することにより、迎車地情報のみに基づいて車両Vを特定するよりも多くの車両Vを特定することができる。
【0070】
なお、第2特定部335は、第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地に到着する時間が所定の時間以内である一以上の車両Vと、第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vのうち、迎車地に到着する時間が所定の時間以内である一以上の車両Vとを特定してもよい。
【0071】
第2特定部335は、事業者ごとに設定された営業不許可エリアへの迎車の可否に応じて、第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定してもよい。具体的には、第2特定部335は、第2営業エリアにおいて営業可能な一以上の車両Vのうち、車両管理データベースにおいて営業不許可エリアから営業許可エリアまでの輸送を受け付けることを示す輸送可否情報に関連付けて記憶されている事業者識別情報によって示される事業者が運用する一以上の車両Vを特定する。「事業者識別情報によって示される事業者が運用する一以上の車両V」は、車両管理データベースにおいて車両識別情報に関連付けて記憶されている一以上の車両識別情報それぞれが示す車両Vである。このようにすることで、管理装置3は、ユーザUによる迎車の要求を受け付ける蓋然性が高い車両Vを特定することができる。
【0072】
なお、車両管理データベースにおいて、車両Vごとに輸送可否情報が記憶されている場合、第2特定部335は、第2営業エリアにおいて営業可能な一以上の車両Vのうち、車両管理データベースにおいて営業不許可エリアから営業許可エリアまでの輸送を受け付けることを示す輸送可否情報に関連付けて記憶されている一以上の車両識別情報それぞれが示す車両Vを特定してもよい。
【0073】
提示部336は、第2特定部335が一以上の車両Vを特定すると、通信部31を介して、一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。
図8は、専用アプリの表示画面の一例を示す図である。
図8(a)に示す専用アプリの表示画面は、ユーザUが迎車地を入力した後に表示された画面である。
図8(a)に示す専用アプリの表示画面には、ユーザUが目的地を入力するための表示欄D2がさらに表示されている。
【0074】
図8(a)に示す例において、ユーザUが目的地を入力すると、まず、ユーザUの要求部152は、通信部11を介して、ユーザUが入力した目的地を示す目的地情報を管理装置3に送信する。管理装置3の受付部332がユーザ端末1から目的地情報を取得すると、第2特定部335は、迎車地情報が示す迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vと、当該目的地情報に示される目的地を含む第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vとを特定する。そして、提示部336は、通信部31を介して、第2特定部335が特定した一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に送信することにより、
図8(b)に示すような専用アプリの表示画面をユーザ端末1に表示させる。
【0075】
図8(b)に示す専用アプリの表示画面には、第2特定部335が特定した一以上の特定車両に関する情報として、表示欄D1において、一以上の特定車両が迎車地に到着する予定時間が表示された情報表示項目I1と、特定車両である車両V1、V2、V3それぞれの現在地と、ユーザUが入力した目的地を表示した情報表示項目I2とが表示されている。
図8(b)に示す専用アプリの表示画面に表示された車両V2、V3は、それぞれ第2営業エリアにおいて営業を許可された車両Vである。
【0076】
提示部336は、第1特定部334が特定した一以上の特定車両に関する情報によって示される迎車地の周囲における車両Vの存在の状況に応じて、
図8(a)に示す表示欄D2をユーザ端末1に表示させることにより、目的地を入力することをユーザUに提示してもよい。提示部336は、例えば、迎車地の周囲に存在する車両Vの数が少ない場合に、目的地を入力することをユーザUに提示する。
【0077】
具体的には、まず、提示部336は、第1特定部334が特定した車両Vの台数が所定の台数以下である場合に、通信部31を介して、ユーザUに目的地の入力を促すための推奨メッセージ(例えば、「目的地を入力すると、タクシーが呼びやすくなります。」等)をユーザ端末1に送信することにより、目的地を入力することをユーザUに提示する。所定の台数は、予め管理装置3に設定されている。そして、ユーザ端末1の表示制御部151は、専用アプリの表示画面において、管理装置3が送信した推奨メッセージとともに、目的地を入力するための入力項目を表示した表示欄D2を表示させる。
【0078】
その後、ユーザ端末1の要求部152は、推奨メッセージが提示された後にユーザUが目的地を入力(例えば入力項目にテキスト入力)すると、通信部11を介して、入力された目的地を示す目的地情報を管理装置3に送信することにより、迎車地から当該目的地までの経路を輸送可能な車両Vの提示を管理装置3に要求する。
【0079】
提示部336は、迎車地の周囲に存在する車両Vが迎車地に到着する時刻が遅い場合に、目的地を入力することをユーザUに提示してもよい。具体的には、提示部336は、第1特定部334が特定した一以上の車両Vのいずれにおいても迎車地に到着する予定時刻が現在時刻から所定の期間を経過したときの時刻よりも遅い場合に、推奨メッセージをユーザ端末1に提示する。このように、管理装置3は、迎車地の周囲の状況に応じて目的地を入力することをユーザUに提示することにより、より多くの特定車両に関する情報をユーザUに提示することができる。
【0080】
上記において、ユーザ端末1の表示制御部151が、目的地を入力させるために表示欄D2を専用アプリの表示画面に表示させる例を説明したが、これに限らない。例えば、ユーザ端末1の表示制御部151は、迎車地の入力と同じようにように、ユーザUが地図をスライドさせて、目的地として希望する地点を、画面の中央に固定して表示させた目的地を示す地点に合わせる操作を行うことにより目的地を入力することが可能な態様で専用アプリの表示画面を表示させる。ユーザ端末1の表示制御部151は、ユーザUが過去の配車履歴の中から1つの目的地を選択することが可能な態様で専用アプリの表示画面を表示させてもよい。
【0081】
通知部338は、車両選択部337によって選択された一の特定車両が、第2特定部335によって特定された、第2営業エリアにおいて営業を許可された車両Vである場合、迎車を要求したユーザUの目的地が第2営業エリア内であることを示す付加情報をさらに通知してもよい。
【0082】
図9は、車両端末2の表示部23に表示された表示画面の一例を示す図である。
図9に示す表示画面には、付加情報として、迎車を要求したユーザUの目的地が第2営業エリア内であることを示すメッセージM2がさらに表示されている。通知部338は、例えば、迎車要求情報及び付加情報を車両端末2に通知することにより、
図9に示すような表示画面を車両端末2に表示させる。このようにすることで、管理装置3は、ユーザUからの迎車の要求を受け付ける動機付けを、営業エリア以外のエリアを走行している車両Vのドライバーに提供することができる。
【0083】
[配車管理システムSの処理]
続いて、配車管理システムSの処理の流れについて説明する。
図10は、配車管理システムSの処理の流れを示すシーケンス図である。本処理は、ユーザUが、ユーザ端末1で起動された専用アプリの表示画面において、迎車地を入力したことを契機として開始する(S1)。ユーザ端末1の要求部152は、通信部11を介して、入力された迎車地を示す迎車地情報を管理装置3に送信することにより、迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を管理装置3に要求する(S2)。
【0084】
管理装置3の受付部332がユーザ端末1から迎車地情報を取得すると、第1特定部334は、当該迎車地情報によって示される迎車地に対応する第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する(S3)。提示部336は、第1特定部334が特定した車両Vの台数が所定の台数以下であるか否かを判定する(S4)。
【0085】
提示部336は、第1特定部334が特定した車両Vの台数が所定の台数を超えると判定した場合(S4においてNOの場合)、処理をS10に進める。一方、提示部336は、第1特定部334が特定した車両Vの台数が所定の台数以下であると判定した場合(S4においてYESの場合)、通信部31を介して、ユーザUに目的地の入力を促すための推奨メッセージをユーザ端末1に送信することにより、目的地を入力することをユーザUに提示する(S5)。
【0086】
ユーザUが、専用アプリの表示画面において目的地を入力すると、ユーザ端末1の要求部152は、通信部11を介して、入力された目的地を示す目的地情報を管理装置3に送信することにより、迎車地から当該目的地までの経路を輸送可能な車両Vの提示を管理装置3に要求する(S6、S7)。
【0087】
管理装置3の第2特定部335は、受付部332がユーザ端末1から目的地情報をさらに取得すると、記憶部32に記憶されているエリア一覧情報を参照し、受付部332が取得した迎車地情報によって示される迎車地を含む営業エリアと、受付部332がさらに取得した目的地情報によって示される目的地を含む営業エリアとが同じであるか否かを判定する(S8)。第2特定部335は、迎車地を含む営業エリアと目的地を含む営業エリアとが同じであると判定した場合(S8においてYESの場合)、処理をS10に進める。
【0088】
一方、第2特定部335は、迎車地を含む営業エリアと目的地を含む営業エリアとが同じではないと判定した場合(S8においてNOの場合)、迎車地に対応する第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両V、及び目的地に対応する第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vを特定する(S9)。
【0089】
そして、提示部336は、通信部31を介して、特定された車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する(S10)。具体的には、提示部336は、S4において第1特定部334が特定した車両Vの台数が所定の台数を超えると判定された場合、又はS8において迎車地を含む営業エリアと目的地を含む営業エリアとが同じであると判定された場合、第1特定部334が特定した車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。一方、提示部336は、S8において迎車地を含む営業エリアと目的地を含む営業エリアとが同じではないと判定された場合、第2特定部335が特定した車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。
【0090】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、配車管理システムSは、ユーザ端末1が、ユーザの迎車地において迎車可能な車両Vに関する情報の提示を要求すると、管理装置3が、目的地の入力の有無に応じて、迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両V、又は迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vと、目的地を含む第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vとを特定し、特定した車両Vである一以上の特定車両に関する情報をユーザ端末1に提示する。このようにすることで、配車管理システムSは、迎車地を含む第1営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両Vに加えて、目的地を含む第2営業エリアにおいて営業を許可された一以上の車両VをユーザUに提示することができる。その結果、配車管理システムSは、迎車地の近くに存在する車両VをユーザUに提示することができる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0092】
1 ユーザ端末
11 通信部
12 表示部
13 操作部
14 記憶部
15 制御部
151 表示制御部
152 要求部
2 車両端末
21 通信部
22 位置情報取得部
23 表示部
24 操作部
25 記憶部
26 制御部
261 送信部
262 表示制御部
263 回答部
3 管理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 受付部
333 特定部
336 提示部
337 車両選択部
338 通知部
S 配車管理システム
U ユーザ
V 車両