(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】高周波美容器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/06 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
A61N1/06
(21)【出願番号】P 2020033996
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 岩男
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-544399(JP,A)
【文献】特開2012-065693(JP,A)
【文献】特開2016-187732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0155963(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1941863(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/06
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容施術を施すべき肌の部位に接触可能な電極ヘッドを備え、前記電極ヘッドが第一の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第一の高周波電極と、第一の周波数とは異なる第二の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第二の高周波電極を備え
、
前記電極ヘッドは、略円形の基板を備え、
前記基板は、一対の前記第一の高周波電極(10A、10B)と、他の一対の前記第一の高周波電極(10C、10D)とが、前記基板の中心に対して点対称に配置され、かつ、一対の前記第二の高周波電極(11A、11B)と、他の一対の前記第二の高周波電極(11C、11D)とが、前記基板の中心に対して点対称に配置され、さらに、
一対の前記第一の高周波電極(10A、10B)及び他の一対の前記第一の高周波電極(10C、10D)と、一対の前記第二の高周波電極(11A、11B)及び他の一対の前記第二の高周波電極(11C、11D)とが、前記基板の中心を通り、その表面に平行な直線に対して、非対称に配置されるよう構成され、前記第一の周波数と前記第二の周波数の高周波を同時出力するよう構成されたことで、前記基板の外縁で囲まれる領域内に、前記一対の第一の高周波電極から出力された高周波と、前記一対の第二の高周波電極から出力された高周波とが互いに共振する共振領域が複数形成されるよう構成されたことを特徴とする高周波美容器。
【請求項2】
前記第一の周波数および前記第二の周波数が、数10KHzないし数10MHzの周波数から選択されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波美容器。
【請求項3】
前記第一の周波数および前記第二の周波数が、500KHzないし3MHzの周波数から選択されていることを特徴とする請求項2に記載の高周波美容器。
【請求項4】
前記第一の周波数が1MHzに設定され、前記第二の周波数が800KHzに設定されていることを特徴とする請求項3に記載の高周波美容器。
【請求項5】
前記第一の周波数が1MHzに設定され、前記第二の周波数が1.1MHzに設定されていることを特徴とする請求項3に記載の高周波美容器。
【請求項6】
前記電極ヘッドに、2組の一対の第一の高周波電極が設けられ、2組の一対の第二の高周波電極が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の高周波美容器。
【請求項7】
前記電極ヘッドに、前記第一の高周波電極および前記第二の高周波電極が5mmの高さを有するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の高周波美容器。
【請求項8】
さらに、前記電極ヘッドに、少なくとも一対のEMS電極が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の高周波美容器。
【請求項9】
前記電極ヘッドに、2組の一対のEMS電極が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の高周波美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波を人の肌に照射する美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波を肌に照射して、脂肪の奥の皮下細胞まで到達させ、体内の水分や組織の分子を振動させて、脂肪を溶解させる高周波美容器が知られている。
【0003】
たとえば、特開2016-187732号公報には、同心円状に配置された一対の電極を備えた高周波美容器が開示されている。
【0004】
また、特許第5872741号公報は、第1の電極群41と第2の電極群42よりなる複数の電極を備え、第1の電極群41と第2の電極群42との間で通電と通電休止の状態を交互に入れ替えることによって、使用者の肌に「叩くような」体感を生じさせることができる高周波美容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6212608号公報
【文献】特許第5872741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された高周波美容器によれば、一対の電極が同心円状に配置され、電極間の距離が略同一であるから、一対の電極間に一様に高周波電流を流すことができ、人の肌に広範囲に、かつ、均等に高周波電流を流すことができ、したがって、高周波により肌が局所的に加熱されるという従来の高周波美容器における問題を解消することが可能になる。
【0007】
また、特許文献2においては、使用者の肌に「叩くような」体感を生じさせることができ、さらに、高周波によって、人の肌に温熱効果を与えることができるから、「脂肪燃焼」と「新陳代謝」を促進させることが可能になる。
【0008】
しかしながら、従来の高周波美容器においては、高周波の出力を高くする上で、限界があり、高周波の温熱効果を十分に向上させることが困難であった。
【0009】
したがって、本発明は、高周波の温熱効果を十分に向上させることができる高周波美容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のかかる目的は、美容施術を施すべき肌の部位に接触可能な電極ヘッドを備え、前記電極ヘッドが第一の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第一の高周波電極と、第一の周波数とは異なる第二の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第二の高周波電極を備えたことを特徴とする高周波美容器によって達成される。
【0011】
本発明によれば、電極ヘッドが、第一の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第一の高周波電極と、第一の周波数とは異なる第二の周波数の高周波を出力する少なくとも一対の第二の高周波電極を備えているから、それぞれから、同時に、高周波を出力して、第一の周波数の高周波と第二の周波数の高周波とを共振させることによって、一対の高周波電極から出力される高周波を美容施術すべき肌の部位に照射した場合に比して、より大きな出力の高周波を照射することができ、したがって、高周波の温熱効果を十分に向上させ、高周波による脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0012】
また、第一の周波数の高周波と、第二の周波数の高周波が共振して得られた高周波の波形においてピークが現れる周期は、第一の周波数の高周波の波形においてピークが現れる周期とも、第二の周波数の高周波の波形においてピークが現れる周期とも異なり、第一の周波数の高周波の波形における隣り合ったピーク値は同一であり、第二の周波数の高周波の波形における隣り合ったピーク値は同一であるが、第一の周波数の高周波と、第二の周波数の高周波が共振して得られた高周波の波形における隣り合ったピーク値は異なり、その値は変動するから、本発明によれば、美容施術を施すべき身体の部位に加わる高周波に強弱をつけることができ、脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0013】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第一の周波数および前記第二の周波数が、数10KHzないし数10MHzの周波数から選択されている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第一の周波数および前記第二の周波数が、500KHzないし3MHzの周波数から選択されている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第一の周波数が1MHzに設定され、前記第二の周波数が800KHzに設定されている。
【0016】
本発明のさらに別の好ましい実施態様においては、前記第一の周波数が1MHzに設定され、前記第二の周波数が1.1MHzに設定されている。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記電極ヘッドに、2組の一対の第一の高周波電極および2組の一対の第二の高周波電極が設けられている。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記電極ヘッドに、前記第一の高周波電極および前記第二の高周波電極が3mmないし10mmの高さを有するように設けられている。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、電極ヘッドに、第一の高周波電極および第二の高周波電極が3mmないし10mmの高さを有するように設けられているから、電極ヘッドを、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てて、第一の高周波電極および第二の高周波電極の間に脂肪を入り込ませることができ、したがって、燃焼すべき脂肪に直接高周波を通電させることができるから、皮膚表面にしか高周波を通電できなかった従来の高周波痩身器に比して、脂肪燃焼の効果を大幅に向上させることが可能になるとともに、電極ヘッドを、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てた状態で、高周波痩身器を移動させ、回転させることによって、電極間に入り込んだ脂肪をマッサージすることができ、マッサージ効果をより一層向上させることが可能になる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、さらに、前記電極ヘッドに、少なくとも一対のEMS電極が設けられている。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記電極ヘッドに、2組の一対のEMS電極が設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高周波の温熱効果を十分に向上させることができる高周波美容器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる高周波痩身器の略斜視図であり、斜め上方から見た略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる高周波痩身器の略斜視図であり、斜め下方から見た略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された高周波痩身器の電極部の略正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された高周波痩身器の操作盤の略正面図である。
【
図5】
図5は、本実施態様にかかる高周波痩身器のブロックダイアグラムである。
【
図6】
図6は、2組の一対の第一の高周波電極の出力シーケンスを示すグラフである。
【
図7】
図7は、2組の一対の第二の高周波電極の出力シーケンスを示すグラフである。
【
図8】
図8は、2組の一対の第一の高周波電極から1MHzの周波数の高周波を出力させ、2組の一対の第二の高周波電極から800KHzの周波数の高周波を出力させたときに、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波が共振して得られた高周波の共振波形を、1MHzの周波数の高周波の波形および800KHzの周波数の高周波の波形とともに描いたグラフである。
【
図9】
図9は、2組の一対の第一の高周波電極から1MHzの周波数の高周波を出力させ、2組の一対の第二の高周波電極から1.1MHzの周波数の高周波を出力させたときに、1MHzの周波数の高周波と1.1MHzの周波数の高周波が共振して得られた高周波の共振波形を、1MHzの周波数の高周波の波形および1.1MHzの周波数の高周波の波形とともに描いたグラフである。
【
図10】
図10は、2組の一対の第一の高周波電極の出力シーケンスの他の実施態様を示すグラフである。
【
図11】
図11は、2組の一対の第二の高周波電極の出力シーケンスの他の実施態様を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に検討を加える。
【0025】
図1および
図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる高周波痩身器の略斜視図であり、
図1は、斜め上方から見た略斜視図、
図2は斜め下方から見た略斜視図である。
【0026】
本発明の好ましい実施態様にかかる高周波痩身器1は、腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位を対象とし、それらの部位における皮下脂肪を減少させるように構成されている。
【0027】
図1および
図2に示されるように、本発明の好ましい実施態様にかかる高周波痩身器1は、ハンディタイプの高周波痩身器1であり、高周波痩身器1を立てた状態で置いたときに上方に位置する上方自由端部の断面積が大きく、上方自由端部から下方端部に向かって、徐々に断面積が減少するように形成された略円錐状の第一の本体2と、第一の本体2の下方端部に接続された略球状の第二の本体3を備えている。
【0028】
図1に示されるように、第一の本体2の上端部には操作盤4が設けられ、
図2に示されるように、第二の本体3の下端部には、電極ヘッド6が設けられている。
【0029】
【0030】
図3に示されるように、電極ヘッド6は略円形の基板7を有している。
【0031】
電極ヘッド6の基板7には、略半球状をなし、1MHzの高周波を出力する一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dと、略半球状をなし、800KHzの高周波を出力する一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dと、略半円柱状をなし、5Hzの低周波を出力する一対の第一のEMS電極12A、12Bと、略半円柱状をなし、10Hzの低周波を出力する一対の第二のEMS電極13A、13Bが設けられている。
【0032】
本実施態様においては、略半球状の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび略半球状の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dの半径は10mmに設定されている。
【0033】
第一のEMS電極12A、12Bおよび第二のEMS電極13A、13Bは、円柱は中心軸を通る面で切り取った略半円柱状をなしている。
【0034】
図3に示されるように、1MHzの高周波を出力する一対の第一の高周波電極10A、10Bと1MHzの高周波を出力する一対の第一の高周波電極10C、10Dとは、基板7の中心に対して点対称に配置され、800KHzの高周波を出力する一対の第二の高周波電極11A、11Bと800KHzの高周波を出力する一対の第二の高周波電極11C、11Dとは、基板7の中心に対して点対称に配置されている。
【0035】
また、
図3に示されるように、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dと、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dとは、基板7の中心を通り、基板7の表面に平行な直線に対して、非対称に配置されている。
【0036】
本実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dならびに一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dはいずれも、基板7の表面から約5mm突出するように形成されている。一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bもまた、基板7の表面から5mm突出するように形成されている。
【0037】
一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bは、低周波を筋肉に直接作用させ、筋肉に刺激を与え、筋肉を収縮させるものであり、低周波は離れた筋肉にも届くので、
図3に示されるように、基板7の外周部近傍に配置されている。
【0038】
また、本実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10B間の距離、一対の第一の高周波電極10C、10D間の距離、一対の第二の高周波電極11A、11Bの間の距離および一対の第二の高周波電極11C、11Dの間の距離は、15mmに設定されている。
【0039】
【0040】
図4に示されるように、操作盤4は、電源スイッチ20を備え、本実施態様においては、電源スイッチ20を0.5秒間にわたって押すと、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10D、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dならびに一対の第一のEMS電極13A、13Bおよび一対の第二のEMS電極13C,13Dがオンされるように構成されている。
【0041】
図4において、参照番号21A、21Bで示されているのは、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C,10Dならびに一対の第二の高周波電極11A,11Bおよび一対の第二の高周波電極11C,11Dから出力される高周波の出力レベルを設定する出力レベル設定ボタンであり、ボタン21Aは、これらの高周波電極から出力される高周波の出力レベルを高いレベルに設定するために押圧される出力レベル設定ボタンであり、ボタン21Bは、これらの高周波電極から出力される高周波の出力レベルを低いレベルに設定するために押圧される出力レベル設定ボタンである。
【0042】
また、
図4において、参照番号22A、22Bで示されているのは、一対の第一のEMS電極13A,13Bおよび一対の第二のEMS電極13C,13Dから出力される低周波の出力レベルを設定する出力レベル設定ボタンであり、ボタン22Aは、これらのEMS電極から出力される低周波の出力レベルを高いレベルに設定するために押圧される出力レベル設定ボタンであり、ボタン22Bは、これらのEMS電極から出力される低周波の出力レベルを低いレベルに設定するために押圧される出力レベル設定ボタンである。
【0043】
操作盤4には、液晶ディスプレイ装置5が設けられ、液晶ディスプレイ装置5には、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力されている高周波の出力レベルを表示する高周波レベルウィンド5Aと、第一のEMS電極12A、12B、13A、13Bから出力されている低周波の出力レベルを表示するEMSレベルウィンド5Bと、美容施術が完了するまでの動作時間を表示するカウントダウンタイムウィンド5Cが設けられている。
【0044】
高周波の出力レベルは、出力レベル設定ボタン21Aまたは21Bによって設定され、EMS電極から出力される低周波の出力レベルは、出力レベル設定ボタ22A、22Bによって設定することができる。
【0045】
一方、美容施術を施す時間は、本実施態様においては、電源スイッチ20を0.5秒間にわたって押して、高周波痩身器1を起動させたときに、自動的に600秒に設定されるように構成されており、カウントダウンタイムウィンド5Cには、美容施術が完了するまでの動作時間が表示される。
【0046】
図5は、本実施態様にかかる高周波痩身器1のブロックダイアグラムである。
【0047】
図5に示されるように、本実施態様にかかる高周波痩身器1は、高周波痩身器1全体の動作を制御するコントロールユニット30と、高周波痩身器1の制御プログラムを格納するROM31、各種データを格納するRAM32と、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dをオン・オフする第一の高周波出力回路33と、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dをオン・オフする第二の高周波出力回路34と、一対のEMS電極12A、12Bおよび一対のEMS電極13A、13Bをオン・オフするEMS出力回路35と、電源スイッチ20と、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dならびに一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dの出力を設定する出力設定ボタン21A、21Bと、一対の第一のEMS電極13A,13Bおよび一対の第二のEMS電極13C,13Dの出力を設定する出力設定ボタン22A、22Bと、液晶表示装置(LCD)5と、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力されている高周波の出力レベルを表示する高周波レベルウィンド5Aと、第一のEMS電極12A、12B、13A、13Bから出力されている低周波の出力レベルを表示するEMSレベルウィンド5Bと、美容施術が完了するまでの動作時間を表示するカウントダウンタイムウィンド5Cを備えている。
【0048】
以上のように構成された本実施態様にかかる高周波痩身器1は、以下のようにして、美容施術を施すべき身体の部位の皮下脂肪を減少させるために使用される。
【0049】
まず、使用者によって、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位にジェルが塗布され、その後、高周波痩身器1の本体2が把持され、電極ヘッド6が美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位に押し当てられる。
【0050】
次いで、使用者によって、電源スイッチ20が0.5秒以上にわたって押圧される。
【0051】
電源スイッチ20が0.5秒以上にわたって押圧されると、高周波痩身器1が起動され、高周波痩身器1が起動されると、使用者によって、出力レベル設定ボタン21A、21Bが操作されて、高周波電極10A、10B、10C、10D、11A,11B、11C、11Dから、美容施術を施すべき身体の部位に照射すべき高周波の出力レベルが設定され、さらに、出力レベル設定ボタン22A,22Bが操作されて、EMS電極12A、12B,13A、13Dから、美容施術を施すべき身体の部位に照射すべき低周波の出力レベルが設定される。
【0052】
本実施態様においては、あらかじめ、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベル、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10ならびに第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベル、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20の組み合わせとして、Lv1、Lv2およびLv3の3セットの照射パターンが決定されて、RAM32に格納されており、使用者は、出力レベル設定ボタン21A、21Bを操作して、3セットの照射パターンのうち、いずれかのセットを選択することができる。
【0053】
本実施態様においては、第一の照射パターンLv1は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが91.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが124.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.3秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.7秒に設定されている。
【0054】
また、第二の照射パターンLv2は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが107.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが148.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.8秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.2秒に設定されている。
【0055】
一方、第三の照射パターンLv3は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが132.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが182.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.95秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.05秒に設定されている。
【0056】
したがって、使用者は、出力レベル設定ボタン21A,21Bを操作して、照射パターンLv1、Lv2およびLv3の中から、1つの照射パターンを選択することにより、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベル、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベル、これらをオンする時間T1,T2およびこれらのオフする時間T10,T20を設定することができる。
【0057】
本実施態様においては、使用者は強い刺激を受けることを希望しているため、出力レベル設定ボタン21A,21Bが操作され、高周波の出力レベルが最も高い第三の照射パターンLv3が選択されている。
【0058】
ここに、本実施態様においては、高周波痩身器1が起動されたときに、美容施術を施す動作時間が600秒になるように設定されており、カウントダウンタイムウィンド5Cに600秒という数字が表示され、時間経過とともに、この数字が減少していくように、すなわち、カウントダウンするように構成されている。
【0059】
高周波痩身器1が起動されると、電源スイッチ20から駆動信号がコントロールユニット30に出力される。
【0060】
コントロールユニット30は、電源スイッチ20から駆動信号を受けると、ROM31にアクセスして、制御プログラムを読み取り、読み取った制御プログラムにしたがって、第一の高周波出力回路33、第二の高周波出力回路34およびEMS出力回路35を制御し、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10D、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dならびに一対のEMS電極12A、12Bおよび一対のEMS電極13A、13Bがオン・オフ制御される。
【0061】
図6は、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dの出力シーケンスを示すグラフであり、
図7は、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dの出力シーケンスを示すグラフである。
【0062】
図6に示されるように、コントロールユニット30は、0.95秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに132.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフし、0.95秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに132.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフし、0.95秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに132.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって通電をオフし0.95秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに132.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフするというサイクルが繰り返されるように、第一の高周波出力回路33を制御する。
【0063】
また、
図7に示されるように、コントロールユニット30は、0.95秒にわたって、一対の第二の高周波電極11A、11Bに、182.0Vの交流電圧が印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフし、0.95秒にわたって、一対の第二の高周波電極11C、11Dに182.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフし、0.95秒にわたり、一対の第二の高周波電極11A、11Bに182.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって通電をオフし、0.95秒にわたって、一対の第二の高周波電極11C、11Dに182Vの交流電圧を印加して通電し、0.05秒間にわたって、通電をオフするというサイクルが繰り返されるように、第二の高周波出力回路34を制御する。
【0064】
こうして、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dに周期的に132.0Vの交流電圧が印加され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dに周期的に182.0Vの交流電圧が印加されると、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから1MHzの周波数の高周波が出力され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから800KHzの周波数の高周波が出力される。
【0065】
図6および
図7に示されるように、高周波は、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから、同時に出力される。
【0066】
その結果、
図3において、第一のEMS電極12A,12Bの基板7の中心側に位置する楕円状領域15および第二のEMS電極13A、13Bの基板7の中心側に位置する楕円状領域15において、一対の第一の高周波電極10A、10Bから出力された1MHzの高周波と、一対の第二の高周波電極11A、11Bから出力された800KHzの高周波とが互いに共振する。
【0067】
図8は、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから1MHzの周波数の高周波を出力させ、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから800KHzの周波数の高周波を出力させたときに、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波が共振して得られた高周波の共振波形を、1MHzの周波数の高周波の波形および800KHzの周波数の高周波の波形とともに、描いたグラフである。
【0068】
図8において、曲線Aで示されるのは、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから出力された1MHzの周波数の高周波の出力波形で、曲線Bで示されるのは、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから出力された800KHzの周波数の高周波の出力波形であり、曲線Cは、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波とが共振して得られた高周波の共振波形を示している。
【0069】
図8に示されるように、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波が共振して得られた曲線Cで示される高周波の共振波形は、1MHzの周波数の高周波の波形(曲線A)のピーク値および800KHzの周波数の高周波の波形(曲線B)のピーク値のいずれよりも高いピーク値を有している。したがって、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位に、2組の一対の高周波電極から出力される同じ周波数の高周波を照射した場合に比して、より大きな出力の高周波を照射することができるから、2組の一対の高周波電極から同じ周波数の高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0070】
また、
図8に示されるように、一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dから出力されるのは1MHzの周波数の高周波であり、一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力されるのは800KHzの周波数の高周波であって、互いに周期を異にしているから、1MHzの高周波と800KHzの高周波とで、ピークが生じる周期は異なり、その結果、共振波形において、出力のピークは現れる周期は、1MHzの高周波の波形において、ピークが現れる周期とも、800KHzの高周波の波形において、ピークが現れる周期とも異なる。
【0071】
さらに、
図8に示されるように、1MHzの高周波の波形においても、800KHzの高周波の波形においても、隣り合ったピークにおける出力値は同一であるが、共振波形においては、隣り合ったピークにおける出力値は同一にはならない。
【0072】
よって、共振波形において、ピークが発生する周期は、1MHzの高周波の出力波形において、ピークが現れる周期とも、800KHzの高周波の出力波形において、ピークが現れる周期とも異なり、そのピーク値も変動するから、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に加わる高周波に強弱をつけることができ、したがって、2組の一対の高周波電極から出力される高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0073】
また、本実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dも、一対の第二の高周波電極11A,11Bおよび一対の第二の高周波電極11C,11Dはいずれも、基板7の表面から5mm突出するように形成されているから、電極ヘッド6を、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てることによって、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A,11B、11C、11Dを脂肪内に押し込み、電極間に脂肪を入り込ませることができる。したがって、燃焼すべき脂肪に直接高周波を通電させることができるから、皮膚表面にしか高周波を通電できなかった従来の高周波痩身器に比して、脂肪燃焼の効果を大幅に向上させることができる。さらには、電極ヘッド6を、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てた状態で、高周波痩身器を略線形に移動させ、回転させることによって、電極間に入り込んだ脂肪をマッサージすることができ、マッサージ効果をより一層向上させることが可能になる。
【0074】
一方、電源スイッチ20から駆動信号を受けると、コントロールユニット30は、ROM31に格納された制御プログラムを読み取って、読み取った制御プログラムにしたがって、第一の高周波出力回路33および第二の高周波出力回路34とともに、EMS出力回路35を制御し、通常のEMS美容機器と同様にして、一対のEMS電極12A、12Bおよび一対のEMS電極13A、13Bをオン・オフ制御する。
【0075】
その結果、第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bから、美容施術を施すべき部位に向けて、低周波が出力され、低周波が筋肉に直接作用し、筋肉が刺激されて、収縮する。
【0076】
こうして、電源スイッチ20を押圧してから、所定の時間(本実施態様においては600秒)が経過すると、使用者によって、電源スイッチ20がオフされ、高周波照射による脂肪燃焼処理およびEMS照射による筋肉収縮処理が完了する。
【0077】
本実施態様によれば、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の高周波電極10C、10Dから、1MHzの周波数の高周波を出力し、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから800KHzの周波数の高周波を出力することによって、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波が共振するから、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位に、2組の一対の高周波電極から出力される高周波を照射した場合に比して、より大きな出力の高周波を照射することができ、したがって、2組の一対の高周波電極から出力される高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0078】
また、本実施態様によれば、1MHzの周波数の高周波と800KHzの周波数の高周波を共振させて得られる高周波の共振波形において、ピークが発生する周期は、1MHzの高周波の出力波形において、ピークが現れる周期とも、800KHzの高周波の出力波形において、ピークが現れる周期とも異なり、そのピーク値も変動するから、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に加わる高周波に強弱をつけることができ、したがって、2組の一対の高周波電極から出力される同じ周波数の高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、効果的に脂肪燃焼効果を向上させることが可能になる。
【0079】
さらに、本実施態様によれば、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dも、一対の第二の高周波電極11A,11Bおよび一対の第二の高周波電極11C,11Dはいずれも、基板7の表面から5mm突出するように形成されているから、電極ヘッド6を、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てて、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A,11B、11C、11Dを脂肪内に押し込み、電極間に脂肪を入り込ませることができ、したがって、燃焼すべき脂肪に直接高周波を通電させることができるから、皮膚表面にしか高周波を通電できなかった従来の高周波痩身器に比して、脂肪燃焼の効果を大幅に向上させることが可能になるとともに、電極ヘッド6を、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し当てた状態で、高周波痩身器を移動させ、回転させることによって、電極間に入り込んだ脂肪をマッサージすることができ、マッサージ効果をより一層向上させることが可能になる。
【0080】
本発明の別の好ましい実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10B,10C、10Dから周波数が1MHzの高周波が出力され、一対の第二の高周波電極から周波数が1.1MHzの高周波が出力されるように構成されている。
【0081】
この実施態様においても、1MHzの周波数の高周波を出力する一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dは、
図6に示された出力シーケンスにしたがって、出力制御され、1.1MHzの周波数の高周波を出力する一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dは、
図7に示された出力シーケンスにしたがって、出力制御される。
【0082】
その結果、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから1MHzの周波数の高周波が出力され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから1.1MHzの周波数の高周波が出力されると、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから1MHzの周波数の高周波が出力され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから800KHzの周波数の高周波が出力された場合と同様に、
図3の楕円状領域15内で、1MHzと1.1MHzの高周波が共振を起こす。
【0083】
図9は、2組の一対の第一の高周波電極から1MHzの周波数の高周波を出力させ、2組の一対の第二の高周波電極から1.1MHzの周波数の高周波を出力させたときに、1MHzの周波数の高周波と1.1MHzの周波数の高周波が共振して得られた高周波の共振波形を、1MHzの周波数の高周波の波形および1.1MHzの周波数の高周波の波形とともに描いたグラフである。
【0084】
図9において、曲線Aで示されるのは、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから出力された1MHzの周波数の高周波の出力波形で、曲線Dで示されるのは、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから出力された1.1MHzの周波数の高周波の出力波形であり、曲線Eは、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と1.1MHzの周波数の高周波とが共振して得られた高周波の共振波形を示している。
【0085】
図9に示されるように、
図3の楕円状領域15内で、1MHzの周波数の高周波と1.1MHzの周波数の高周波が共振して得られた曲線Eで示される高周波の共振波形は、1MHzの周波数の高周波の波形(曲線A)のピーク値および1.1MHzの周波数の高周波の波形(曲線D)のピーク値よりも高いピーク値を有している。したがって、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき腹、二の腕、太腿、尻などの身体の部位に、2組の一対の高周波電極から出力される同じ周波数の高周波を照射した場合に比して、より大きな出力の高周波を照射することができるから、2組の一対の高周波電極から同じ周波数の高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、脂肪燃焼効果を大幅に向上させることが可能になる。
【0086】
また、
図9に示されるように、一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dから出力されるのは1MHzの周波数の高周波であり、一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力されるのは1.1MHzの周波数の高周波であって、互いに周期を異にしているから、1MHzの高周波と1.1MHzの高周波とで、ピークが生じる周期は異なり、その結果、共振波形において、出力のピークは現れる周期は、1MHzの高周波の波形において、ピークが現れる周期とも、1.1MHzの高周波の波形において、ピークが現れる周期とも異なる。
【0087】
さらに、
図9に示されるように、1MHzの高周波の波形Aにおいても、1.1MHzの高周波の波形Dにおいても、隣り合ったピークにおける出力値は同一であるが、共振波形Eにおいては、隣り合ったピークにおける出力値は同一にはならない。
【0088】
よって、共振波形Eにおいて、ピークが発生する周期は、1MHzの高周波の出力波形Aにおいて、ピークが現れる周期とも、1.1MHzの高周波の出力波形Dにおいて、ピークが現れる周期とも異なり、そのピーク値も変動するから、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に加わる高周波に強弱をつけることができ、したがって、2組の一対の高周波電極から出力される高周波を、美容施術を施し、脂肪を燃焼すべき身体の部位に照射する場合に比して、脂肪燃焼効果を効果的に向上させることが可能になる。
【0089】
本発明の他の好ましい実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dは、
図10に示された出力シーケンスにしたがって出力制御され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dは、
図11に示された出力シーケンスにしたがって出力制御される。
【0090】
本実施態様においても、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベル、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10ならびに第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベル、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20の組み合わせとして、Lv1、Lv2およびLv3の3セットの照射パターンが決定されて、RAM32に格納されており、使用者は、出力レベル設定ボタン21A、21Bを操作して、3セットの照射パターンのうち、いずれかのセットを選択することができる。
【0091】
本実施態様において、第一の照射パターンLv1は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが91.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが124.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.15秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.35秒に設定されている。
【0092】
また、第二の照射パターンLv2は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが100.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが140.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.25秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.25秒に設定されている。
【0093】
一方、第三の照射パターンLv3は、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベルが120.0Vに、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベルが160.0Vに設定され、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオンする時間T1および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオンする時間T2がいずれも0.47秒に、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dをオフする時間T10および第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dをオフする時間T20がいずれも0.03秒に設定されている。
【0094】
したがって、使用者は、出力レベル設定ボタン21A,21Bを操作して、照射パターンLv1、Lv2およびLv3の中から、1つの照射パターンを選択することにより、第一の高周波電極10A、10B,10C,10Dから出力される高周波の出力レベル、第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の出力レベル、これらをオンする時間T1,T2およびこれらのオフする時間T10,T20を設定することができる。
【0095】
本実施態様においても、使用者は強い刺激を受けることを希望しているため、出力レベル設定ボタン21A,21Bが操作され、出力レベルセットLv3が選択される。
【0096】
本実施態様においては、コントロールユニット30によって、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dは、
図10に示された出力シーケンスにしたがって出力制御される。
【0097】
すなわち、コントロールユニット30は、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに120.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに120.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに120.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに120.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフするというサイクルが繰り返されるように、第一の高周波出力回路33を制御する。
【0098】
また、本実施態様においては、コントロールユニット30によって、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dは、
図11に示された出力シーケンスにしたがって出力制御される。
【0099】
すなわち、コントロールユニット30は、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに160.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに160.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10A、10Bに160.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって通電をオフし、0.47秒にわたって、一対の第一の高周波電極10C、10Dに160.0Vの交流電圧を印加して通電し、0.03秒間にわたって、通電をオフするというサイクルが繰り返されるように、第二の高周波出力回路34を制御する。
【0100】
こうして、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dに周期的に120.0Vの交流電圧が印加され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dに周期的に160.0Vの交流電圧が印加されると、一対の第一の高周波電極10A、10Bおよび一対の第一の高周波電極10C、10Dから1MHzの周波数の高周波が出力され、一対の第二の高周波電極11A、11Bおよび一対の第二の高周波電極11C、11Dから800KHzの周波数の高周波が出力される。
【0101】
その結果、出力シーケンスとして、
図6および
図7を用いたのと同様に、
図3の楕円状領域15内で、一対の第一の高周波電極10A、10Bから出力された1MHzの高周波と、一対の第二の高周波電極11A、11Bから出力された800KHzの高周波とが互いに共振し、
図8に曲線Cで示されるのと同様な共振波形を有する高周波が得られ、脂肪燃焼効果を効果的に向上させることが可能になる。
【0102】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0103】
たとえば、
図1ないし
図8に示された実施態様においては、1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、800KHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dを用いており、
図9に示された実施態様においては、1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、1.1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dを用いているが、それぞれ、2組の一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、2組の一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dを用いることは必ずしも必要でなく、それぞれ、少なくとも一対の第一の高周波電極と一対の第二の高周波電極が用いられればよい。
【0104】
また、
図1ないし
図8に示された実施態様においては、1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、800KHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dを用い、
図9に示された実施態様においては、1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、1.1MHzの周波数の高周波を出力する2組の一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dを用いているが、一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の周波数と、一対の第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dから出力される高周波の周波数が異なり、かつ、共振した高周波を、美容施術を施すべき部位に効率的に照射可能であれば、第一の高周波電極および第二の高周波電極から出力される高周波の周波数はとくに限定されず、数10KHzないし数10MHzの高周波から選択することができ、好ましくは、500KHzないし3MHzの高周波から選択することができる。
【0105】
さらに、前記実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10B、一対の第一の高周波電極10C、10Dおよび一対の第二の高周波電極11A、11B、一対の第二の高周波電極11C、11Dが、基板7の表面から5mm突出するように形成され、一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bもまた、基板7の表面から5mm突出するように形成されているが、電極ヘッド6を、脂肪を燃焼すべき身体の部位に押し付けたとき、第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dの間ならびに一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bの間に、脂肪が入り込むような高さを有するように、これらが形成されていればよく、一対の第一の高周波電極10A、10B、一対の第一の高周波電極10C、10Dおよび一対の第二の高周波電極11A、11B、一対の第二の高周波電極11C、11Dならびに一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bを、基板7の表面から5mm突出するように形成することは必ずしも必要でなく、これらは、好ましくは、基板7の表面から3mmないし10mmの高さに形成される。
【0106】
また、前記実施態様においては、略半球状をなした第一の高周波電極も第二の高周波電極の径は10mmに設定されているが、第一の高周波電極も第二の高周波電極の径はとくに限定されず、好ましくは、10mm±2mmに設定される。
【0107】
さらに、前記実施態様においては、一対の第一の高周波電極10A、10B間の距離、一対の第一の高周波電極10C、10D間の距離、一対の第二の高周波電極11A、11Bの間の距離および一対の第二の高周波電極11C、11Dの間の距離は、15mmに設定されているが、これらは特に限定されるものではなく、好ましくは、15mm±5mmに設定される。
【0108】
また、前記実施態様においては、略半球状をなした第一の高周波電極10A、10B、10C、10Dおよび第二の高周波電極11A、11B、11C、11Dが用いられているが、第一の高周波電極も第二の高周波電極が略半球状をなしていることは必ずしも必要がない。
【0109】
さらに、前記実施態様においては、第一のEMS電極12A、12Bも、第二のEMS電極13A、13Bも、略半円柱状に形成されているが、これらを略半円柱状に形成することは必ずしも必要でない。
【0110】
また、前記実施態様においては、電極ヘッド6に、2組の一対の高周波電極10A、10B、10C、10Dと、2組の一対の高周波電極11A、11B、11C、11Dに加えて、一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bが設けられているが、一対の第一のEMS電極12A、12Bおよび一対の第二のEMS電極13A、13Bを電極ヘッド6に設けることは必ずしも必要でない。
【0111】
さらに、前記実施態様においては、美容施術を施す時間は、本実施態様においては、電源スイッチ20を0.5秒間にわたって押して、高周波痩身器1を起動させたときに、自動的に600秒に設定されるように構成されているが、美容施術を施す時間が、自動的に600秒に設定されることはもちろん、自動的に所定の時間に設定されることは必ずしも必要でなく、使用者によって任意に設定可能に構成することもできる。
【符号の説明】
【0112】
1 高周波痩身器
2 第一の本体
3 第二の本体
4 操作盤
5 液晶表示装置(LCD)
5A 高周波レベルウィンド
5B EMSレベルウィンド
5C カウントダウンタイムウィンド
6 電極ヘッド
7 基板
10A 第一の高周波電極
10B 第一の高周波電極
10C 第一の高周波電極
10D 第一の高周波電極
11A 第二の高周波電極
11B 第二の高周波電極
11C 第二の高周波電極
11D 第二の高周波電極
12A 第一のEMS電極
12B 第一のEMS電極
13A 第二のEMS電極
13B 第二のEMS電極
15 楕円状領域
20 電源スイッチ
21A 出力設定ボタン
21B 出力設定ボタン
22A 出力設定ボタン
22B 出力設定ボタン
30 コントロールユニット
31 ROM
32 RAM
33 第一の高周波出力回路33
34 第二の高周波出力回路
35 EMS出力回路
A 1MHzの高周波の波形曲線
B 800KHzの高周波の波形曲線
C 共振した高周波の波形曲線
D 1.1MHzの高周波の波形曲線
E 共振した高周波の波形曲線