(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240701BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G03G21/00 376
G03G21/00 386
H04N1/00 350
H04N1/00 002A
(21)【出願番号】P 2020049103
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-03-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 澄斗
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-092034(JP,A)
【文献】特開2019-135530(JP,A)
【文献】特開2005-051559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、
シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、
画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、
前記点灯手段と異なる位置に設けられた他の点灯手段と、を有し、
前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯
し、
前記他の点灯手段は、前記読取手段が前記テストパターンを前記原稿台読みによって読み取る場合、前記原稿台に前記テストパターンの形成された前記シートが載置される前から点灯することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、
シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、
画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、を有し、
前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯し、
前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合の前記点灯手段の点灯は、原稿を読み取る際に前記検知手段により前記トレイ上の前記原稿が検知される場合の前記点灯手段の点灯と異なることを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項3】
シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、
シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、
画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、を有し、
前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯し、
前記点灯手段は、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、該テストパターンの前記流し読みの開始が指示された後に点灯を停止することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項4】
前記テストパターンを前記読取手段が読み取るために前記原稿台読みと前記流し読みとのいずれを実行するかをユーザ指示情報に基づき選択する選択手段をさらに有することを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリブレーション機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、以下のような画像形成プロセスによりシートに画像を形成する。まず、画像形成装置は、感光体の表面を一様に帯電する。画像形成装置は、画像信号に基づいて、表面が一様に帯電された感光体の表面を照射することで、感光体の表面に静電潜像を形成する。画像形成装置は、静電潜像をトナー等の現像剤により現像することで感光体の表面に現像剤像を形成する。画像形成装置は、この現像剤像をシートに転写、定着させることで、シート上に画像を形成する。カラー画像を形成する場合には、画像形成装置は、複数の色の現像剤像を個々に形成し、重畳することでカラー画像を生成する。
【0003】
このような画像形成装置がシートに形成する画像の濃度や色合いは、様々な要因によって変動する。例えば、気温や湿度などの環境条件の変化や、画像形成装置の部品の経時変化により、画像形成装置により形成される画像の濃度が変化する。そのため、画像形成装置は、画像の濃度を目標濃度に制御するためのキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、シートに画像濃度検出用のテストパターンを形成したテストチャートが用いられる。テストチャートのテストパターンを画像読取装置で読み取ることで、テストパターンの画像濃度が得られる。この画像濃度が目標濃度となるように、画像濃度を調整するためのパラメータ等の画像形成条件が調整される。このようなパラメータにより画像信号を補正することで、環境条件の変化が部品の経時変化が生じた場合であっても、安定した濃度・階調特性が確保される。特許文献1に記載の画像形成装置は、テストチャートを読み取るために自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を用いてテストチャートを搬送させる。これによりキャリブレーションを行う際のユーザの作業負荷が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置は、ADFの他に、原稿台に載置されたテストチャートからテストパターンを読み取ることも可能である。そのためにユーザは、キャリブレーションの際に、ADFを用いればよいのか、或いは原稿台を用いればよいのかの判断を迷う可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザがキャリブレーション時の操作を迷わずに行えるような画像形成装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、前記点灯手段と異なる位置に設けられた他の点灯手段と、を有し、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯し、前記他の点灯手段は、前記読取手段が前記テストパターンを前記原稿台読みによって読み取る場合、前記原稿台に前記テストパターンの形成された前記シートが載置される前から点灯することを特徴とする。
他の態様では、本発明の画像形成装置は、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、を有し、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯し、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合の前記点灯手段の点灯は、原稿を読み取る際に前記検知手段により前記トレイ上の前記原稿が検知される場合の前記点灯手段の点灯と異なることを特徴とする。
他の態様では、本発明の画像形成装置は、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートが排紙される排紙トレイと、前記トレイに載置されたシートの有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果がシートが有ることを示す場合に点灯する点灯手段と、を備える搬送手段と、シートが載置される原稿台を有し、前記原稿台に載置されたシート上の画像を読み取る原稿台読みと、前記搬送部により前記トレイからシートを搬送させて当該シート上の画像を読み取る流し読みとを行う読取手段と、画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にテストパターンをシートに形成させ、前記読取手段による前記テストパターンの読取結果に基づいて前記画像形成条件を生成する制御手段と、を有し、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、前記点灯手段は、前記検知手段の検知結果にかかわらず、前記テストパターンの形成された前記シートが前記トレイに載置される前から点灯し、前記点灯手段は、前記読取手段が前記テストパターンを前記流し読みによって読み取る場合、該テストパターンの前記流し読みの開始が指示された後に点灯を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザがキャリブレーション時の操作を迷わずに行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】(a)、(b)は、ディスプレイに表示される画面の例示図。
【
図12】(a)、(b)は、ディスプレイに表示される画面の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0011】
(画像形成装置)
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成図である。画像形成装置100は、原稿(シート)から画像を読み取る画像読取装置であるリーダ200と、シートに画像を形成するプリンタ300と、操作部400と、を備える。リーダ200は、ドキュメントスキャナ215と自動原稿搬送装置(以下、「ADF」という。)220と、を備える。プリンタ300の上にドキュメントスキャナ215が設けられ、ドキュメントスキャナ215の上にADF220が設けられる。リーダ200は、原稿101にプリントされた画像を読み取り、読み取った画像を表す画像信号をプリンタ300へ送信する。プリンタ300は、リーダ200から取得した画像信号に基づいて、シートへの画像形成処理を行うことができる。操作部400は、ユーザインタフェースであり、入力装置及び出力装置を備える。入力装置は、例えば入力キー、テンキー、スタートキー、ストップキー等の各種キーボタンやタッチパネル等である。操作部400によりユーザ指示情報が入力される。出力装置は、例えばディスプレイやスピーカである。
【0012】
リーダ200は、ADF220の原稿トレイ501から給送される原稿や、ドキュメントスキャナ215のADF220側に設けられる原稿台102上に載置された原稿101を読み取る。原稿台102は、板状のガラス等の透過部材である。ドキュメントスキャナ215は、内部にリーダ画像処理部108を備える。リーダ画像処理部108は、原稿101を読み取ることで生成された電気信号を画像信号に変換してプリンタ300へ送信する。
【0013】
ドキュメントスキャナ215は、原稿台102上に基準白色板106を備える。リーダ200は、原稿101を読み取る前に基準白色板106を読み取って、いわゆるシェーディング補正を行う。ドキュメントスキャナ215は、第1ミラーユニット104a、第2ミラーユニット104b、レンズ115、及び画像センサ105を備える。第1ミラーユニット104aは、光源103を有している、第1ミラーユニット及び第2ミラーユニット104bは、矢印K1方向に移動可能である。原稿台102上の原稿101を読み取る場合、第1ミラーユニット104aは、矢印K1方向に移動しながら光源103により原稿101に光を照射する。原稿101による反射光は、画像センサ105に受光される。画像センサ105は、RGBフィルタを有する複数の光電変換素子(受光素子)を含み、反射光を1ラインずつ電気信号に変換する読取センサである。画像センサ105には、CCDセンサやCMOSセンサを用いることができる。リーダ画像処理部108は、画像センサ105から電気信号を取得し、この電気信号を画像信号(輝度信号)に変換する。ドキュメントスキャナ215の詳細は後述する。
【0014】
プリンタ300は、内部にプリンタ制御部109を備える。プリンタ制御部109は、ドキュメントスキャナ215のリーダ画像処理部108から画像信号(輝度信号)を取得する。プリンタ制御部109は、取得した画像信号に基づいてシートに画像を形成する。プリンタ300は、画像形成のために、画像形成部120、130、140、150、露光器110、転写ベルト111、及び定着器114を備える。
【0015】
画像形成部120、130、140、150は、それぞれ形成する画像の色が異なるのみであり、同様の構成で同様の動作を行う。画像形成部120は、イエロー(Y)の画像を形成する。画像形成部130は、マゼンタ(M)の画像を形成する。画像形成部140は、シアン(C)の画像を形成する。画像形成部150は、ブラック(K)の画像を形成する。ここでは画像形成部120の構成について説明し、他の画像形成部130、140、150の構成については説明を省略する。
【0016】
画像形成部120は、感光ドラム121、帯電器122、現像器123、転写ブレード124、及び表面電位計125を備える。感光ドラム121は、表面に感光層を有するドラム形状の感光体である。感光ドラム121は、図中時計回り方向に回転する。帯電器122は、回転中の感光ドラム121の表面を所定の電位で一様に帯電させる。感光ドラム121は、帯電した表面が露光器110によりレーザビームで走査されることで、表面に静電潜像が形成される。現像器123は、静電潜像を対応する色(ここではイエロー)の現像剤(例えばトナー)により現像して、感光ドラム121の表面にトナー像を形成する。
【0017】
なお、露光器110は、プリンタ制御部109により制御されて、レーザビームを感光ドラム121に照射する。露光器110は、感光ドラム121上をY方向に走査する。そのためにY方向が主走査方向となる。プリンタ制御部109は、画像信号に基づくPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)信号により、露光器110から出射されるレーザビームを変調する。
【0018】
転写ブレード124は、感光ドラム121との間に転写ベルト111を挟んで配置される。転写ベルト111は、給紙カセット152から給紙されたシートを搬送する。転写ブレード124は、放電を行うことで、感光ドラム121に形成されたトナー像を転写ベルト111で搬送されるシートに転写する。これによりシートにイエローのトナー像が形成される。
【0019】
同様に画像形成部130の感光ドラム131にはマゼンタのトナー像が形成され、画像形成部140の感光ドラム141にはシアンのトナー像が形成され、画像形成部150の感光ドラム151にはブラックのトナー像が形成される。感光ドラム131に形成されたマゼンタのトナー像は、シート上のイエローのトナー像に重畳するように転写される。感光ドラム141に形成されたシアンのトナー像は、シート上のイエロー及びマゼンタのトナー像に重畳するように転写される。感光ドラム151に形成されたブラックのトナー像は、シート上のイエロー、マゼンタ、及びシアンのトナー像に重畳するように転写される。各色のトナー像が重畳して転写されることで、シートにはフルカラーのトナー像が形成される。
【0020】
フルカラーのトナー像が形成されたシートは、転写ベルト111により定着器114へ搬送される。定着器114は、シートに、転写されたトナー像を定着させる。定着器114は、例えばトナー像を加熱溶融して加圧することで、シートにトナー像を定着させる。以上によりシートに画像が形成される。画像が形成されたシートは、プリンタ300の機外に排出される。
【0021】
なお、各画像形成部120、130、140、150の表面電位計125、135、145、155は、感光ドラム121、131、141、151の表面電位を計測する。表面電位計125、135、145、155による計測結果に応じて、コントラスト電位が調整される。
【0022】
本実施形態では、ADF220はランプ156を備える。また、ドキュメントスキャナ215はランプ157を備える。ADF220は、原稿トレイ501にシートの有無を検知するためのセンサが設けられている。ADF220のランプ156は、該センサの検知結果が原稿トレイ501にシートが載置されたことを示す検知状態である場合に点灯する。ランプ156は該センサの検知結果が原稿トレイ501にシートが載置されていないことを示す非検知状態である場合に消灯する。ランプ156、157は、キャリブレーション時に、キャリブレーションに用いるテストチャートが載置(セット)される場合に点灯する。本実施形態のランプ156は、キャリブレーション時に、センサの検知結果にかかわらず点灯される。
【0023】
(リーダ画像処理部)
図2は、リーダ画像処理部108の説明図である。リーダ画像処理部108は、AFE(Analog Front End)回路基板201及びリーダコントローラ回路基板210を備える。AFE回路基板201は、アナログ画像処理部202及びA/D変換部203を備える。リーダコントローラ回路基板210は、シェーディング処理部212及びCPU(Central Processing Unit)211を備える。CPU211は、所定のコンピュータプログラムを実行することで、リーダ200の動作を制御する。
【0024】
リーダ画像処理部108は、AFE回路基板201により、画像センサ105から出力される電気信号を取得する。電気信号は、例えば画像センサ105が受光した光の光量に応じたアナログ信号である。AFE回路基板201は、アナログ画像処理部202によりゲイン調整等のアナログ処理を行う。アナログ処理後の電気信号は、A/D変換部203によりデジタル信号に変換される。
【0025】
リーダコントローラ回路基板210のシェーディング処理部212は、A/D変換部203により生成されたデジタル信号を取得する。シェーディング処理部212は、CPU211の制御により、デジタル信号に対してシェーディング補正を行い、画像信号を生成する。画像信号は、プリンタ制御部109へ送信される。画像信号は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各輝度情報を含む。
【0026】
(プリンタ制御部)
図3は、プリンタ制御部109の説明図である。プリンタ制御部109は、CPU301により動作が制御される。CPU301は、メモリ302に格納される制御プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御し、シートへの画像形成処理を行う主制御部である。メモリ302は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)であり、制御プログラムや各種のデータが格納される。CPU301及びメモリ302は、プリンタ300に設けられる。
【0027】
プリンタ制御部109は、リーダ200又はサーバ500等から画像信号を取得する。サーバ500は、プリンタ300とは別に設けられ、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してプリンタ300に接続される外部装置である。画像信号は、R、G、Bの各階調数が8ビットで表される。プリンタ制御部109は、色処理部303、階調制御部311、ディザ処理部307、PWM部308、及びレーザドライバ309を備える。プリンタ制御部109は、R、G、Bの各画像信号をPWM信号に変換して、露光器110に設けられる半導体レーザ310の発光制御を行う。
【0028】
R、G、Bの画像信号は、色処理部303に入力される。色処理部303は、プリンタ300の出力特性が理想的であった場合に所望の出力結果(画像)が得られるように、入力された画像信号に対して画像処理及び色処理を行う。色処理部303は、画像信号の階調数を、精度向上のために8ビットから10ビットに拡張する。色処理部303は、ルックアップテーブルであるLUTid304を備える。LUTid304は、画像信号に含まれる輝度情報を濃度情報に変換する輝度-濃度変換テーブルである。色処理部303は、LUTid304により、R、G、Bの各画像信号の輝度情報を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像信号の濃度情報に変換する。Y、M、C、Kの画像信号は、階調制御部311に入力される。
【0029】
階調制御部311は、UCR(Under Color Remove)部305及びルックアップテーブルであるLUTa306を備える。階調制御部311は、プリンタ300の実際の出力特性に合わせて所望の出力結果(画像)が得られるように、Y、M、C、Kの画像信号の階調補正を行う。UCR部305は、各画素における画像信号の積算値を規制することで、画像信号レベルの総和を制限する。総和が規定値を超えた場合、UCR部305は、所定量のC、M、Yの画像信号をKの画像信号に置き換える下色除去処理(UCR)を行い、画像信号レベルの総和を低下させる。画像信号レベルの総和の規制は、プリンタ300による画像形成時のトナー載り量を規制してプリンタ300の動作の適正化するために行われる。本実施形態のプリンタ300の動作の適正化とは、トナー載り量が規定値を超えることで発生する画像不良等を防止することである。LUTa306は、濃度特性を補正するための10ビットの変換テーブルであり、例えばプリンタ300のγ特性の変更に用いられる。本実施形態では、キャリブレーションにより調整される画像形成条件としてLUTaを例に説明する。階調補正後のY、M、C、Kの画像信号は、ディザ処理部307に入力される。
【0030】
ディザ処理部307は、階調補正後のY、M、C、Kの各10ビットの画像信号にディザ処理を行い、4ビットの信号に変換する中間調処理(ディザ処理)を行う。PWM部308は、ディザ処理後の信号にパルス幅変調を行い、露光器110の制御信号であるPWM信号を生成する。PWM信号は、レーザドライバ309に入力される。レーザドライバ309は、PWM信号に応じて半導体レーザ310の発光制御を行う。
【0031】
(ドキュメントスキャナ)
図4は、ドキュメントスキャナ215の説明図である。上述した通り、ドキュメントスキャナ215は、筐体内に、第1ミラーユニット104a、第2ミラーユニット104b、レンズ115、及び画像センサ105を備える。また、ドキュメントスキャナ215は、モータ116及びホームポジションセンサ412を備える。第1ミラーユニット104aは、光源103及び第1ミラー107aを備える。第2ミラーユニット104bは、第2ミラー107b及び第3ミラー107cを備える。第1ミラーユニット104a及び第2ミラーユニット104bは、モータ116により駆動されて
図1のK1方向に移動する。このような構成のドキュメントスキャナ215は、操作部400により画像読取が指示されることで、動作を開始する。
【0032】
ドキュメントスキャナ215は、ADF220により搬送される原稿101を読み取る第1読取モードと、原稿台102上に載置された原稿101を読み取る第2読取モードとにより、画像読取を行うことができる。第1読取モードは「流し読み」や「ADF読み」と呼ばれることがある。第2読取モードは「固定読み」や「原稿台読み」と呼ばれることがある。
【0033】
第1読取モードと第2読取モードとのいずれの読取モードであっても、ドキュメントスキャナ215が画像を読み取る動作自体は同じである。画像読取を開始すると、ドキュメントスキャナ215は、モータ116により、第1ミラーユニット104a及び第2ミラーユニット104bを、一旦、ホームポジションセンサ412の検知位置であるホームポジションに移動させる。その後、ドキュメントスキャナ215は、光源103を点灯して、原稿101の読取面(画像が印刷されている面)に光を照射する。第1ミラー107a、第2ミラー107b、及び第3ミラー107cは、原稿101に照射された光の反射光(画像光)を偏向してレンズ115に導く。レンズ115は画像光を画像センサ105の受光面上に結像させる。画像センサ105は画像光に基づいて電気信号を生成する。
【0034】
上記の通り第1ミラーユニット104aと第2ミラーユニット104bとは、同じモータ116により駆動されて矢印K1方向に移動する。動滑車の応用により、第1ミラーユニット104aが移動する速度Vは、第2ミラーユニット104bが移動する速度の半分(V/2)とされる。第1ミラーユニット104a及び第2ミラーユニット104bが移動しながら原稿101に光を照射することで、原稿101の全面の画像が読み取られる。
【0035】
(ADF)
図5は、ADF220の外観斜視図である。
図6は、ADF220の内部構成図である。ADF220は、原稿積載部601、原稿給紙部614、原稿搬送部615、及び原稿反転部608を備える。
【0036】
原稿積載部601は、原稿トレイ501を有している。原稿トレイ501は、積載面に1枚以上の原稿101が積載可能である。原稿トレイ501は、給紙部として機能する。原稿積載部601には、原稿101が原稿トレイ501に積載されることで点灯する原稿インジケータ503が設けられる。そのために原稿トレイ501に載置された原稿を検知する不図示の原稿検知センサが、後述するピックアップローラ602と給紙ローラ603との間に配置される。原稿トレイ501に積載される原稿101は、原稿給紙部614により1枚ずつ原稿台102上へ搬送され、原稿台102上を通過して原稿反転部608により排紙トレイ617へ排出される。
【0037】
原稿給紙部614は、ピックアップローラ602、給紙ローラ603、及びレジストローラ対604が、原稿101の搬送経路に沿って設けられる。ピックアップローラ602は、回転可能であり且つ上下動可能なローラである。ピックアップローラ602は、給紙時に、原稿トレイ501に積載された原稿束のうち最上位の原稿上に下降して接触する。この際、原稿トレイ501の原稿束が載置される中板が上昇して、原稿束を給紙ローラ603に押圧する。ピックアップローラ602が最上位の原稿に接触した後に、ピックアップローラ602及び給紙ローラ603は、図中、CW(Clock Wise:時計回り)方向に回転し原稿の搬送を開始する。
【0038】
ピックアップローラ602及び給紙ローラ603は、摩擦分離方式により原稿101を1枚ずつ給送する。例えばピックアップローラ602により最上位の原稿と一緒に給紙されようとする2枚目以降の原稿は、摩擦片により制止し、原稿積載部601にとどまる。1枚ずつ搬送される原稿は、原稿の搬送方向で給紙ローラ603の下流側に設けられる不図示の分離センサにより検知される。給紙ローラ603は、ピックアップローラ602により搬送されてきた原稿101をレジストローラ対604へ搬送する。
【0039】
レジストローラ対604は、原稿101の先端の到達時には停止している。原稿101の先端がレジストローラ対604に衝突した後も給紙ローラ603は原稿101の搬送を継続する。これにより原稿101はループを形成する。ループの形成により、原稿101の搬送方向に対する斜行が補正される。レジストローラ対604は、斜行補正後に回転を開始して、原稿101を原稿搬送部615へ搬送する。
【0040】
原稿搬送部615は、搬送ベルト605、駆動ローラ606、従動ローラ607、及び複数の押圧コロ616を備える。原稿搬送部615は、搬送ベルト605を用いて原稿101を搬送する。搬送ベルト605は、駆動ローラ606及び従動ローラ607に張架されている。さらに搬送ベルト605は、押圧コロ616によって原稿台102方向へ押圧されている。搬送ベルト605は、搬送ベルト605と原稿台102との間に進入してきた原稿101を、摩擦力により搬送する。これにより原稿101は、原稿台102上を搬送される。
【0041】
原稿101が原稿台102上の所定位置に到達すると、搬送ベルト605は停止する。原稿101は、停止状態でドキュメントスキャナ215により画像が読み取られる。画像の読取後に、搬送ベルト605は、原稿101を原稿反転部608に搬送する。後続の原稿がある場合、後続原稿は、搬送ベルト605により先行する原稿と同様に所定位置まで搬送されて停止し、画像が読み取られる。後続原稿が読み取られる間、先行する原稿は、原稿反転部608により表裏反転され、排紙トレイ617へ排出される。
【0042】
原稿反転部608は、反転ローラ609、搬送ローラ対610、反転フラッパ611、排紙フラッパ613、及び反転コロ612を備える。反転ローラ609及び搬送ローラ対610は、不図示の駆動モータにより駆動される。この駆動モータは、正逆回転が可能である。原稿搬送部615とは別の駆動モータを用いることで、原稿反転部608は原稿搬送部615に対して独立して動作可能である。
【0043】
原稿搬送部615の搬送ベルト605により搬送されてきた原稿101は、原稿反転部608に進入するときに、反転フラッパ611により掬い上げられて反転ローラ609へ搬送される。反転フラッパ611は、原稿反転部608の原稿の入口付近で原稿の進行を規制しており、不図示のソレノイドの制御により図示の姿勢をとって原稿を掬い上げる。原稿101は、CCW(Counter Clock Wise:逆時計回り)方向に回転する反転ローラ609と、これに対向する反転コロ612とにより挟持されて、搬送ローラ対610へ搬送される。原稿101の後端が排紙フラッパ613を通過すると、排紙フラッパ613がCW方向に回転する。また、反転ローラ609もCWに回転する。これにより、原稿101はスイッチバック搬送されて、排紙積載部320の排紙トレイ617へ排出される。
【0044】
(キャリブレーション動作)
本実施形態では、キャリブレーション時に第1読取モード(ADF読み)及び第2読取モード(原稿台読み)で動作可能な画像形成装置100において、ADF読みがデフォルトで設定されている場合について説明する。画像形成装置100は、キャリブレーションの実行時にシートにテストパターンを形成したテストチャートを出力した後に、ADF220のランプ156を点灯する。これによりユーザは、テストチャートをセットする場所を確認することができ、処理時の迷いを減らして、負荷が軽減される。
【0045】
所望の濃度、階調特性を得るためのキャリブレーションは、γ補正を行う補正回路であるLUTa306を制御することで行われる。
図7は、階調特性を補正するために画像信号が変換される様子を説明する4限チャート図である。
【0046】
第I象限は、原稿に形成された原稿画像の濃度を表す原稿濃度を濃度信号に変換する、リーダ200の読取特性を表す。なお、原稿濃度を濃度信号へ変換する特性は、読取モード(ADF読み、原稿台読み)により異なる場合もある。第II象限は、濃度信号を、半導体レーザ310から出力されるレーザビームの光量を表すレーザ出力信号に変換する、階調制御部311(LUTa306)の変換特性を表す。第III象限は、レーザ出力信号を、シートに形成される画像の濃度を表す出力濃度に変換する、プリンタ300の記録特性を表す。第IV象限は、原稿濃度とシートに形成した画像の記録濃度との関係を表す。この関係は、画像形成装置100全体の階調再現特性を表す。
【0047】
本実施形態のプリンタ300は、第IV象限の階調特性をリニアにするために、第III象限のプリンタ300の記録特性がリニアではない分を、第II象限の階調制御部311の変換特性によって補正する。LUTa306は、階調制御部311による処理を行わないでテストチャートを作成した場合に得られる第III象限の特性の入力と出力とを入れ替えて作成される。本実施形態では、出力階調数が256階調(8ビット)であるが、階調制御部311は10ビットのデジタル信号を処理するために、階調制御部311では1024階調である。
【0048】
(階調補正)
階調補正は、プリンタ300により形成された画像の濃度や色味の再現性が低下した場合に行われる。階調補正は、プリンタ300で形成した階調補正用のテストチャートをリーダ200により読み取り、その読取結果に基づいて濃度特性(γ特性)を補正するためのLUTaを作成することで行われる。
【0049】
図8は、階調補正処理を表すフローチャートである。
図9は、階調補正に用いるテストチャートの例示図である。
図10は、階調補正処理中に操作部400のディスプレイに表示される画面の例示図である。
【0050】
CPU301は、プリンタ300により
図9に例示する階調補正用のテストチャートを作成する(S1)。プリンタ300の給紙カセットには、事前に所定サイズのシートが収納される。CPU301は、
図10(a)に例示する案内画面を操作部400のディスプレイに表示する。案内画面には、メッセージ「キャリブレーションを実行するためプリントします。」及びテストチャートの作成を指示する「プリント」ボタンが表示される。操作部400により「プリント」ボタンが押下されることで、CPU301は、テストチャートを作成するための画像信号(テストパターン)の濃度信号を色処理部303へ送信する。色処理部303で処理された濃度信号は、階調制御部311を介してディザ処理部307へ送信される。このとき、LUTa306は使用されない。つまりUCR部305から出力される濃度信号YMCKは、LUTa306を迂回してディザ処理部307へ入力される。このようにLUTa306を迂回した濃度信号YMCKに応じたテストパターンがシートに印刷されて、テストチャートが作成される。
【0051】
図9に示すように、テストチャート801a、801bは、それぞれY、M、C、Kの各色について10階調からなるテストパターンを含んでいる。10階調のテストパターンは、例えば、各色10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の濃度信号により形成される。ディザ処理部307は、複数の中間調処理を適用可能である。例えば、ディザ処理部307は、低線数のスクリーン(160lpi(line per inch)~180lpi)と高線数のスクリーン(250lpi~300lpi)とを有している。テストチャート801aは、低線数のスクリーンを適用されたテストチャートである。テストチャート801bは、高線数のスクリーンを適用されたテストチャートである。なお、階調画像を低線数のスクリーンで、文字等の線画像は高線数のスクリーンで作成してもよい。スクリーン線数の違いで階調特性が大きく異なる場合には、スクリーン線数に応じて階調レベルを設定するのがより好ましい。プリンタ300が3種類以上の線数で画像を形成できる能力を有している場合、テストチャートの種類も3種類以上とされてもよい。ここでは、説明の便宜上、階調補正を行う際に形成されるテストチャートの枚数を1枚としている。
【0052】
テストチャートを作成したCPU301は、テストチャートをセットする側の装置のランプを点灯する(S2)。本実施形態では、ADF読みがデフォルトで設定されているために、CPU301は、ADF220のランプ156を点灯する。なお、原稿台読みの場合には、CPU301は、ドキュメントスキャナ215のランプ157を点灯する。CPU301は、ランプの点灯により、テストチャートをセットする装置をユーザに指示する。ユーザは、指示された装置(場所)にテストチャートをセットする。
【0053】
なお、ADF220がランプ156を有しない構成であれば、CPU301は、原稿インジケータ503を点灯してユーザにテストチャートをセットする装置を指示してもよい。また、ランプ156、157の点灯の他に、CPU301は、音によりテストチャートをセットする装置を指示してもよい。当然、ランプ156、157の点灯と音とが併用されてもよい。
【0054】
ランプ156、157は、連続点灯、点滅、通常とは異なるパターンによる点灯等の、キャリブレーション時に特有の点滅パターンに設定されてもよい。ランプ156、157の色をキャリブレーション時と通常時とで異なる色としてもよい。また、ランプ156、157の光量を上げることで、ユーザの認知性を向上させることもできる。
【0055】
テストチャートのセット場所を指示したCPU301は、リーダ200によりテストチャートを読み取る(S3)。CPU301は、テストチャートのセット場所を指示した後に、テストチャートの読み取り指示の入力画面を操作部400のディスプレイに表示する。
図10(b)は、このような入力画面を例示する。入力画面には、メッセージ「テストチャートを読み取るため、ADFへセットしてください。」及び読み取りを指示する「読み取り」ボタンが表示される。操作部400により「読み取り」ボタンが押下されることで、CPU301は、ADF220によりテストチャートの搬送を開始し、ドキュメントスキャナ215によりテストチャートを読み取る。
【0056】
CPU301は、読取結果(輝度信号)に基づいてテストパターンの濃度信号を取得する(S4)。CPU301は、色処理部303のLUTid304を用いて、輝度信号を濃度信号に変換する。これにより、10階調の画像のそれぞれについての濃度信号が得られる。
【0057】
CPU301は、テストパターンを生成するために使用された濃度信号と、テストチャートの読取結果から得られた濃度信号とに基づいて、LUTaを作成する(S5)。CPU301は、作成したLUTaをメモリ302に格納する。この段階で、CPU301は、
図7のIII象限に示したプリンタ300の記録特性を得ることができる。CPU301は、この記録特性における入力と出力とを入れ換えることにより、このプリンタ300のLUTaを決定し、階調制御部311に設定する。LUTaを計算で求めるにはデータが不足している。本来であれば、256階調必要であるが、10階調分だけしか階調パッチを形成していないためである。そこで、CPU301は、不足しているデータを補間することで、必要なデータを作成する。このようなキャリブレーションによって、目標濃度に対して線型となる階調特性を実現することができる。以上のようにして階調補正処理が行われる。
【0058】
以上のような本実施形態では、ADF読みと原稿台読みとが可能な画像形成装置100において、ユーザにテストチャートをセットする場所を指示することで、ユーザの判断の迷いを低減する。これにより画像形成装置100は、ユーザの作業負荷を低減してキャリブレーションを実行することが可能となる。
【0059】
(変形例)
読取モードがADF読みと原稿台読みとでユーザに選択可能な場合の階調補正について説明する。
図11は、この場合の階調補正処理を表すフローチャートである。
図12は、階調補正処理中に操作部400のディスプレイに表示される画面の例示図である。この例では、ADF読みと原稿台読みとで、異なるテストパターンによりテストチャートが作成される。
【0060】
ユーザ指示情報に基づいて階調補正が実行される場合、CPU301は、読取方式をユーザに選択させるために、
図12(a)に示す案内画面を操作部400のディスプレイに表示する(S11)。
図12(a)に示す案内画面には、読取方式の選択をユーザに促すメッセージと、ADF読み又は原稿台読みを選択可能なボタンとが表示される。ユーザは、この案内画面によりADF読みと原稿台読みとのいずれかを選択する。CPU301は、操作部400から入力されたユーザ指示情報に基づいて読取モードを選択する選択手段として機能する。
【0061】
ADF読みが選択された場合(S11:ADF)、CPU301は、ADF220のランプ156の点灯を開始する(S12)。さらにCPU301は
図12(b)に例示する案内画面を操作部400のディスプレイに表示させる。
図12(b)に例示する案内画面は
図10(a)に示す案内画面と同じである。
【0062】
次に、
図12(b)の案内画面においてプリントを開始するためのボタンがユーザによって押された場合、CPU301はADF読み用のテストパターンをシートに印刷するためにプリンタ300を制御する(S13)。ADF読み用のテストパターンにより作成されたテストチャートがプリンタ300から出力されると、CPU301は、操作部400のディスプレイに、テストチャートの読み取りを開始するためのボタンを表示させる。このとき、ランプ156が点灯しているために、ユーザはテストチャートをADF220の原稿トレイ501に載置することを認識可能である。さらに、操作部400のディスプレイには、ADF220の原稿トレイ501へテストチャートを載置することを促すためのガイダンスが表示されてもよい。
【0063】
読み取りを開始するためのボタンがユーザによって押された場合、CPU301は、原稿トレイ501上のテストチャートを読取位置へ搬送するためにADF220を制御してテストチャートを読み取る(S14)。ここで、読み取りを開始するためのボタンがユーザによって押された後、CPU301はADF220のランプ156の点灯を停止する。次いで、CPU301は、読取結果(輝度信号)に基づいてテストパターンの濃度信号を取得する(S15)。CPU301は、取得した輝度信号を色処理部303のLUTid304に基づいて濃度信号に変換する。これにより、10階調の画像のそれぞれについての濃度信号が得られる。CPU301は、テストパターンを生成するために使用された濃度信号と、テストチャートの読取結果から得られた濃度信号とに基づいて、LUTaを作成し(S16)、階調補正処理を終了する。
【0064】
S11の処理で原稿台読みが選択された場合(S11:原稿台)、CPU301はドキュメントスキャナ215のランプ157の点灯を開始する(S17)。さらにCPU301は
図12(b)に例示する案内画面を操作部400のディスプレイに表示させる。
図12(b)に例示する案内画面は
図10(a)に示す案内画面と同じである。
【0065】
次に、
図12(b)の案内画面においてプリントを開始するためのボタンがユーザによって押された場合、CPU301は原稿台読み用のテストパターンをシートに印刷するためにプリンタ300を制御する(S18)。原稿台読み用のテストパターンにより作成されたテストチャートがプリンタ300から出力されると、CPU301は、操作部400のディスプレイに、テストチャートの読取を開始するためのボタンを表示させる。このとき、ランプ157が点灯しているのために、ユーザはテストチャートを原稿台102に載置することを認識可能である。さらに、操作部400のディスプレイには、原稿台102へテストチャートを載置することを促すためのガイダンスが表示されてもよい。
【0066】
読み取りを開始するためのボタンがユーザによって押された場合、CPU301は原稿台102上のテストチャートを読み取る(S19)。ここで、読み取りを開始するためのボタンがユーザによって押された後、CPU301はドキュメントスキャナ215のランプ157の点灯を停止する。次いで、CPU301は、読取結果(輝度信号)に基づいてテストパターンの濃度信号を取得する(S20)。CPU301は、取得した輝度信号を色処理部303のLUTid304に基づいて濃度信号に変換する。これにより、10階調の画像のそれぞれについての濃度信号が得られる。CPU301は、テストパターンを生成するために使用された濃度信号と、テストチャートの読取結果から得られた濃度信号とに基づいて、LUTaを作成し(S21)、階調補正処理を終了する。
【0067】
また、ランプ156の点灯を開始するタイミングは、ADF読みがユーザによって選択されたときに限定されず、例えば、テストチャートが原稿トレイ501に載置される前であってもよい。同様に、ランプ157の点灯を開始するタイミングは、原稿台読みがユーザによって選択されたときに限定されず、例えば、テストチャートが原稿台102に載置される前であってもよい。また、ランプ156及びランプ157は、例えば、LUTaが作成されるまで点灯し続けていてもよい。
【0068】
なおADF220がランプ156を有しない構成であれば、CPU301は、原稿インジケータ503を点灯してユーザにテストチャートをセットする装置を指示してもよい。ドキュメントスキャナ215がランプ157を有しない構成であれば、CPU301は、光源103を点灯してユーザにテストチャートをセットする装置を指示してもよい。
【0069】
また、ランプ156、157の点灯の他に、CPU301は、音によりテストチャートをセットする装置を指示してもよい。この場合、例えば、「原稿台にセットしてください」もしくは「ADFにセットしてください」といった設定された装置の名称と指示とが音声により出力される。当然、ランプ156、157の点灯と音とが併用されてもよい。
ランプ156、157は、連続点灯、点滅、通常とは異なるパターンによる点灯等の、キャリブレーション時に特有の点滅パターンに設定されてもよい。ランプ156、157の色をキャリブレーション時と通常時とで異なる色としてもよい。また、ランプ156、157の光量を上げることで、ユーザの認知性を向上させることもできる。
【0070】
以上のような本実施形態では、ADF読みと原稿台読みとが可能な画像形成装置100において、ユーザによるADF読みと原稿台読みとを選択可能とした。画像形成装置100は、ユーザの選択に応じてテストチャートをセットする場所をユーザに指示することでユーザの判断の迷いを低減する。これにより画像形成装置100は、ユーザの作業負荷を低減してキャリブレーションを実行することが可能となる。