(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】パッケージとパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B65D75/62 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020062184
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512265652
【氏名又は名称】サートリウス・ビオヒット・リキッド・ハンドリング・オイ
【氏名又は名称原語表記】SARTORIUS BIOHIT LIQUID HANDLING OY
【住所又は居所原語表記】LAIPPATIE 1, FI‐00880 HELSINKI, FINLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クイトゥネン,トゥオマス
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502885(JP,A)
【文献】特表平06-505948(JP,A)
【文献】特開2001-018987(JP,A)
【文献】特開2006-131284(JP,A)
【文献】特表平08-503911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージであって、
第1縁部および第2縁部を合わせるべく長手方向に沿って折り畳まれた単数または複数の可撓性フィルム材から成るシートであって、前記第1縁部および第2縁部は互いにシールされて長手リアシームを形成する、シートと、
折り畳まれた前記シートの第1端部、及び折り畳まれた前記シートにおける前記第1端部に対して反対側の端部に位置する第2端部であって、前記第1端部が第1エンドシームによってシールされ且つ前記第2端部が第2エンドシームによってシールされて単数または複数の物品のための空間を形成し、前記空間は、シールされた前記第1端部及び第2端部と、折り畳まれた前記シートから形成された側壁とによって画定される、第1端部及び第2端部と、
前記第1エンドシーム及び第2エンドシームの少なくとも一つに設けられる開封開始ポイントであって、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って延出する開口を形成するべく前記可撓性フィルム材の引き裂きを開始するためのポイントを提供するように構成されている、開封開始ポイントと、
引き裂き力付与時に、前記開封開始ポイントから開始される引き裂きを、前記パッケージの長手方向に沿って、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って案内するように構成された少なくとも一つの引き裂き制御要素と、を備え、
前記少なくとも一つの引き裂き制御要素は
、前記可撓性フィルム
材、又は、折り畳まれた若しくは折り畳み可能なシートに用いられる材料に形成され、
前記引き裂き制御要素は、同じ又は異なるフィルム材料の追加のストリップを追加することなく、且つ、接着剤またはその他の添加物を使用することなく、前記シートに形成され、
前記引き裂き制御要素は、前記引き裂き制御要素に向けられ、且つ前記
長手リアシームから離間する方向に向けられる
前記引き裂き力の向きを前記引き裂き制御要素に沿う方向に制御する、パッケージ。
【請求項2】
前記開封開始ポイントは、前記
長手リアシームと前記引き裂き制御要素との間に位置する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記引き裂き制御要素は、前記パッケージの長手軸心を含みかつ前記第1エンドシーム及び第2エンドシームに直交する平面に対して平行ではない方向に作用する
前記引き裂き力を制御する、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記引き裂き制御要素は、前記パッケージの長手方向に対してほぼ横断方向に向けられる
前記引き裂き力を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項5】
折り畳み可能シートを形成している、又は形成するための前記可撓性フィルム材の少なくとも一部は、少なくとも一つの引き裂き制御要素を前記可撓性フィルム
材に形成するべく
、変性処理によって変性されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項6】
折り畳み可能シートを形成している、又は形成するための前記可撓性フィルム材の少なくとも一部は、前記シート中、又は、レディパッケージ中に、少なくとも一つの制御要素を提供するべく
、シーム形成によって構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記引き裂き制御要素は、前記シートまたはその一部の長手シームである、請求項1から
6のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記シートは、長手シームによって互いに接合された可撓性フィルム材の少なくとも二つのバンドから成り、前記バンドの少なくとも一つは、他のバンドの材料と異なる材料から形成され、他のバンドの材料と異なる当該材料は
、通気性材料である、請求項1から
7のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記引き裂き制御要素は、前記シートの材料中の局所的不連続部から構成され
、当該不連続部は、熱処理、機械処理、超音波処理、UV光処理又はそれらの任意の組み合わせ
の中から選択される、前記シートの前記可撓性フィルム材の局所的処理によって形成される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記シートまたはバンドの少なくとも一部は、紙系材料
の中から選択される通気性材から成る、請求項1から
9のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記パッケージは、二つの引き裂き制御要素を有し、それにより、前記パッケージの側部全体、又は、前記パッケージの前記側壁の少なくとも一部は、開口が形成されるように、前記パッケージの引き裂き開封時に、完全に又は部分的に取り外されるように構成され、前記開口は、前記パッケージ内に配置される製品の対応の寸法よりも大きい寸法を有する、請求項1から
10のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記引き裂き制御要素
が合同であるように、前記引き裂き制御要素は、前記パッケージの両側上であって、かつ、前記リアシームの同じ側の対応する位置に位置し、前記第1エンドシーム
の同じポイントから、又は前記第1エンドシームの互いに近接する二つのポイントから延出している、請求項
11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記パッケージは、単数または複数のピペットチップラックまたはこれらラックのスタック
の中から選択される使い捨て式ラボ消耗品を収納する、請求項1から
12のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項14】
パッケージを製造する方法であって、
可撓性フィルム材のシートを長手方向に沿って折り畳んで当該シートの第1縁部と第2縁部とを合わせると共に、前記第1縁部及び第2縁部を互いにシールすることによって長手リアシームを形成する工程と、
折り畳まれた前記シートの第1端部を第1エンドシームによってシールし、且つ折り畳まれた前記シートにおける前記第1端部に対して反対側の端部に位置する、折り畳まれた前記シートの第2端部を第2エンドシームによってシールして、単数または複数の物品のための空間を形成する工程であって、前記空間は、前記シールされた第1端部及び第2端部と、折り畳まれた前記シートから形成される側壁とによって画定される工程と、
前記第1エンドシーム及び第2エンドシームの少なくとも一つに開封開始ポイントを設ける工程であって、当該開封開始ポイントは、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って延出する開口を形成するべく前記可撓性フィルム材の引き裂きを開始するためのポイントを提供するように構成されている工程と、
前記シートの単数又は複数の前記可撓性フィルム材から成り、且つ、引き裂き力付与時に、前記開封開始ポイントから開始される引き裂きを、前記パッケージの長手方向に沿って、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って案内するように構成された少なくとも一つの引き裂き制御要素を提供する工程と、を含み、
前記引き裂き制御要素は、同じ又は異なるフィルム材料の追加のストリップを追加することなく、且つ、接着剤またはその他の添加物を使用することなく、前記シートに形成され、
前記引き裂き制御要素は、引き裂き制御要素に向けられ、且つ前記
長手リアシームから離間する方向に向けられ
る前記引き裂き力の向きを前記引き裂き制御要素に沿う方向に制御する。
【請求項15】
前記引き裂き制御要素は、前記可撓性フィルム材に長手シームを作ることによって形成される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記引き裂き制御要素は、熱処理、機械処理、超音波処理、UV光処理又はそれらの任意の組み合わせ
の中から選択される、前記シートの前記可撓性フィルム材の局所的処理によって形成される、請求項
14または請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記引き裂き制御要素は、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームへと延出する長手形状を備える局所処理領域である、請求項
14から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
可撓性フィルム材の少なくとも二つの
バンドを、長手シームによって互いに接合して前記シートを形成する工程を含む、請求項
14から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記パッケージの製造にフローラッププロセスが使用され、可撓性フィルム材の少なくとも二つのバンドが長手シームによって接合されてシートが形成され、当該シートが前記フローラッププロセスに供給されて前記パッケージが製造される、請求項
14から
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
フローラッププロセスによって製造されたパッケージであって、当該パッケージの長手リアシームとは別の少なくとも一つの追加の長手シームを有し、
当該追加の長手シームは、
同じ又は異なるフィルム材料の追加のストリップを追加することなく、且つ、接着剤またはその他の添加物を使用することなく、前記パッケージに形成され、
前記長手シームに向けられ、且つ、前記長手リアシームから離間する方向に向けられる引き裂き力の向きを前記長手シームに沿う方向に制御し、前記パッケージの引き裂き開封を案内するように構成されている、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性材料で作製されたパッケージに関し、より詳細には、引き裂きによるパッケージの開封を制御するための手段を備えるパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
高度に制御された純度または滅菌レベルを必要とする製品を包装する場合、製品パッケージ自体のみならず、その製造および開封プロセスにも注意を払わなければならない。パッケージによって、物流チェーン全体を通じて製品が汚染されないように保持しなければならない。エンドユーザーは、最終的使用状況まで、汚染のリスク無くそのパッケージから製品を得る必要がある。
【0003】
通常、制御された純度レベルを必要とする製品の純度は、製品をプラスチックフィルム製のパッケージに包装することによって保証される。このようなパッケージによってパッケージ内にある製品の汚染が防止される。このようなパッケージは、例えばフローラップ、シュリンクラップ、TFFS(Thermoform-Fill-Seal:熱成形充填シール)法で製造される。フローラップ法とシュリンクラップ法では、製品の周囲に一種のバッグが形成される。TFFS法においては、所望の形状のパッケージベースを成形し、製品をこのベース上に配置し、最後にフィルムをベースにシールしてパッケージを閉じる。
【0004】
これらの方法のそれぞれには欠点がある。たとえば、シュリンクラップフィルムには、製造プロセス中に袋から空気が逃げうる穴がある。このような穴は、明らかに、製品を汚染のリスクにさらすものである。
【0005】
TFFS法では、パッケージのベースを形成することによって、面積に対するその深さなど、パッケージの寸法に制限が課される。TFFS法で製造されたパッケージは、通常、ポーチタイプのパッケージよりも多くのスペースを取る。前記ベースが硬質フィルムから形成されている場合には、包装の廃棄物も多くのスペースを必要とする。
【0006】
フローラップ法は、制御された純度および無菌レベルを必要とする製品を包装するために非常に広く使用されている方法である。この方法の主な欠点は、制御された方法でパッケージを開けることが困難であることである。通常、フローラップバッグは、シームの1つに開封開始ポイントを有し、そこからバッグの引き裂きが開始される。引き裂きは簡単に始まるが、使用される引き裂き力と方向に応じて、制御されない状態でさまざまな方向に進行する。最悪の場合、最初の引き裂き動作時に小さな角部しか外れず、バッグを引き裂いて開封するためにはさらなる試みが必要となる。
【0007】
パッケージのフィルム材料上に引き裂き用ストリップを取り付けることが知られている。これらのストリップは、通常、プラスチック材料で作られ、パッケージのフィルム材料に接着される。これらストリップは、ユーザがパッケージのシームに位置するストリップの端をつかんでフィルム材料からそのストリップを引き裂くように機能し、それによってフィルム材料もストリップの下で引き裂かれる。そのような引き裂きストリップの欠点は、当該ストリップとフィルム材料の間の接着接合部の強度が限定されることにある。特にパッケージが多層ラミネートフィルムでできており、良好なバリア性が確保されている場合は、ストリップの下のフィルム材料を引き裂くために必要な力は比較的高いため、ストリップが外れてフィルムが未開封のまま残る場合がある。
【0008】
ストリップを引き裂くことの別の欠点は、ストリップをフィルム材料に取り付けるために使用される接着剤がパッケージの内側にあることにあり、これによって製品を潜在的な汚染源にさらすことは明白である。
【0009】
特定の方向に沿って引き裂かれる傾向を有する配向プラスチックフィルム材料を使用することが知られている。このようなフィルムは、引き裂き力を所望の引き裂きラインの方向に向けることができる場合には、制御された方法で引き裂かれる。しかしながら、引き裂き力がその望ましい長手方向の引き裂きラインから逸脱すると、フィルムは引き裂きに抵抗し非常に強靭なものとなる。
【0010】
パッケージの引き裂き開封を制御するために、パッケージフィルム材料にミシン目を入れることも知られている。このようなミシン目は、それによってフィルムのバリア特性が維持されるべくフィルムの厚みの一部のみに穴が開けられるようにして、レーザによって機械的に作成することができる。これらのミシン目は、引き裂き力がミシン目に沿って方向付けられ得る場合には、引き裂きを比較的良好に制御する。しかしながら、引き裂き力がミシン目に対して横方向に向けられると、引き裂きがミシン目の所望の経路から容易に外れて、制御されなくなってしまう。
【0011】
ミシン目を有するパッケージは、均一なフィルムで作られたパッケージよりも、輸送中に加えられる機械的歪みに対して脆弱である。特に気圧の変動が問題である。というのは、気圧が低い状態では、パッケージが膨らんでミシン目で容易に裂けてしまうからである。
【0012】
フローラップパッケージが引裂き制御機構を持たない場合は、特に内容物が互いに分離した複数のパーツである時は、ユーザがパッケージの開封時にその内容物を制御下に保つことは困難である。パッケージの開封時における制御の欠如によって内容物の汚染がもたらされることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前記公知のパッケージの欠点の少なくとも一部を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの具体的施形態は、従属請求項で定義されている。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、以下のパッケージが提供される:
シートの第1縁部および第2縁部を合わせるべく長手方向に沿って折り畳まれた単数または複数の可撓性フィルム材から成るシートであって、前記第1縁部および第2縁部は互いにシールされて長手リアシームを形成する、シートと、
折り畳まれた前記シートの第1端部、及び折り畳まれた前記シートにおける前記第1端部に対して反対側の端部に位置する第2端部であって、前記第1端部が第1エンドシームによってシールされ且つ前記第2端部が第2エンドシームによってシールされて単数または複数の物品のための空間を形成し、前記空間は、シールされた前記第1端部及び第2端部と、折り畳まれた前記シートから形成された側壁とによって画定される、第1端部及び第2端部と、
前記第1エンドシーム及び第2エンドシームの少なくとも一つに設けられる開封開始ポイントであって、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って延出する開口を形成するべく前記可撓性フィルム材の引き裂きを開始するためのポイントを提供するように構成されている、開封開始ポイントと、
引き裂き力付与時に前記開封開始ポイントから開始される引き裂きを、前記パッケージの長手方向に沿って、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って案内するように構成された少なくとも一つの引き裂き制御要素と、を備え、
前記少なくとも一つの引き裂き制御要素は、折り畳まれたシート又は折り畳み可能なシートの形成に寄与する前記可撓性フィルム材中に形成され、
前記引き裂き力は、前記引き裂き制御要素に向けられ、且つ前記リアシームから離間する方向に向けられる。
【0016】
前記第1態様の種々の実施例は、以下のリストからの少なくとも一つの特徴を有することができる。
・前記開封開始ポイントは、前記リアシームと前記引き裂き制御要素との間に位置する。
・前記引き裂き力は、前記パッケージの長手軸心を含みかつ前記第1エンドシーム及び第2エンドシームに直交する平面に対して平行ではない方向に作用する。
・前記引き裂き力は、前記パッケージの長手方向に対してほぼ横断方向に向けられる。
・前記折り畳み可能シートを形成している、又は形成するための前記可撓性フィルム材の少なくとも一部は、少なくとも一つの引き裂き制御要素を前記可撓性フィルム材中に形成するべく、例えば、変性(modifying)処理によって、変性されている。
・前記折り畳み可能シートを形成している、又は形成するための前記可撓性フィルム材の少なくとも一部は、前記シート中、又は、レディパッケージ(ready package)中に、少なくとも一つの制御要素を提供(exhibit)するべく、例えば、シーム形成によって、構成されている。
・前記引き裂き制御要素は、同じ又は異なるフィルム材料の追加のストリップを追加することなく、且つ接着剤またはその他の添加物を使用することなく、前記シートに形成されている。
・前記引き裂き制御要素は、前記シートまたはその一部の長手シームである。
・前記シートは、長手シームによって互いに接合された可撓性フィルム材の少なくとも二つのバンドから成る。
・前記バンドの少なくとも一つは、他のバンドの材料と異なる材料から形成され、他のバンドの材料と異なる当該材料は、好ましくは通気性材料である。
・すべてのバンドは同じ材料から成る。
・前記引き裂き制御要素は、前記シートの材料中の局所的不連続部から構成され、好ましくは、当該不連続部は、熱処理、機械処理、超音波処理、UV光処理又はそれらの任意の組み合わせ等による前記シートの前記可撓性フィルム材の局所的処理によって形成される。
・前記シートまたはバンドの少なくとも一部は、紙系材料等の通気性材から成る。
・前記パッケージは、そのそれぞれが前記パッケージの片側にある二つの引き裂き制御要素を含み、これにより、前記パッケージの側部全体が、当該パッケージの両側から前記側壁を引き裂いて開封した時に、取り外されるように構成されている。
・前記パッケージは、二つの引き裂き制御要素を有し、それにより、前記パッケージの側部全体、又は、前記パッケージの前記側壁の少なくとも一部は、開口が形成されるように、前記パッケージの引き裂き開封時に、完全に又は部分的に取り外されるように構成され、前記開口は、前記パッケージ内に配置される製品の対応の寸法よりも大きい寸法を有する。
・前記引き裂き制御要素が実質的に合同であるように、前記引き裂き制御要素は、前記パッケージの両側上であって、かつ、前記リアシームの同じ側の対応する位置に位置し、前記第1エンドシームの実質的に同じポイントから、又は前記第1エンドシームの互いに近接する二つのポイントから延出している。
・前記形成された空間内の前記単数または複数の物品は、単数または複数のピペットチップラックやこれらのラックのスタック、等の使い捨て式ラボ消耗品である。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、前記第1態様によるパッケージを製造する以下の方法が提供される:
可撓性フィルム材のシートを長手方向に沿って折り畳んで当該シートの第1縁部と第2縁部とを合わると共に、前記第1縁部及び第2縁部を互いにシールすることによって長手リアシームを形成する工程と、
折り畳まれた前記シートの第1端部を第1エンドシームによってシールし、且つ折り畳まれた前記シートにおける前記第1端部に対して反対側の端部に位置する、折り畳まれた前記シートの第2端部を第2エンドシームによってシールして、単数または複数の物品のための空間を形成する工程であって、前記空間は、前記シールされた第1端部及び第2端部と、折り畳まれた前記シートから形成される側壁と、によって画定される工程と、
前記第1エンドシーム及び第2エンドシームの少なくとも一つに開封開始ポイントを設ける工程であって、当該開封開始ポイントは、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って延出する開口を形成するべく前記可撓性フィルム材の引き裂きを開始するためのポイントを提供するように構成されている工程と、
引き裂き力付与時に、前記開封開始ポイントから開始される引き裂きを、前記パッケージの長手方向に沿って、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って案内するように構成された少なくとも一つの引き裂き制御要素を提供する工程と、を含み、
当該少なくとも一つの引き裂き制御要素は、折り畳まれたシート又は折り畳み可能なシートの形成に寄与する前記可撓性フィルム材中に形成され、前記引き裂き力は、前記引き裂き制御要素に向けられ、且つ前記リアシームから離間する方向に向けられる。
【0018】
前記第2態様の種々の実施例は、以下のリストからの少なくとも一つの特徴を有することができる。
・前記引き裂き制御要素は、前記可撓性フィルム材に長手シームを作ることによって形成される。
・前記引き裂き制御要素は、熱処理、機械処理、超音波処理、UV光処理又はそれらの任意の組み合わせ等による、前記シートの前記可撓性フィルム材の局所的処理によって形成される。
・前記引き裂き制御要素は、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームへと延出する長手形状を備える局所処理領域である。
・前記方法は、可撓性フィルム材の少なくとも二つのハンドを、長手シームによって互いに接合して前記シートを形成する工程を有する。
・ラック内のピペットチップ等の使い捨て式ラボ消耗品が前記形成された空間に配置される。
・前記パッケージの製造にフローラッププロセスが使用され、可撓性フィルム材の少なくとも二つのパンドが前記プロセスに供給されて長手シームによって接合されて前記折り畳みシートを形成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の要旨は、引き裂きによるパッケージの開口に対して、特に、所望の引き裂きラインに対して横断するか、もしくは、少なくともその所望の引き裂きラインから逸脱する力を使用した場合における、制御を提供することにある。この制御は、パッケージフィルム材に対して、そのゾーン又はシームを包囲する領域の機械的特性とは異なる機械的特性を示す長手ゾーン又はシームを形成することによって実現される。これにより、前記ゾーン又はシームに向けて引き裂き力が付与された時に、引き裂きが、所望の引き裂きラインであるところの長手方向に沿って行われる。
【0020】
本発明は、パッケージの信頼度の高いバリア特性、特に、汚染粒子又は微生物に対するバリア、を可能にする。
【0021】
本発明によれば、容易に開封可能なパッケージが提供される。
【0022】
本発明は、特に、自動化液体取り扱い装置用のピペットチップの包装において特に有利である。そのような用途において、ユーザは、手動でチップパッケージを開封し、チップを液体取り扱い装置に投入する。本発明により、前記手動開封操作を、制御された状態で、かつ、最低の汚染リスクで、行うことが可能となる。
【0023】
本発明は、製造工程を減らし、フィルム材を節約する。本発明のパッケージの製造方法は、容易かつ迅速である。別体の引き裂きストリップを取り付ける必要はない。そのようなストリップ又は接着剤あるいは、その他の化学物質は、常に、汚染のリスクを伴うものであるが、本発明の前記手段によってそれらが今般回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図1B】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図1C】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図1D】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図1E】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図1F】本発明の実施例によるパッケージの、閉じられた状態の、斜視図である。
【
図2A】本発明の実施例によるパッケージの、当該パッケージ開封時の斜視図である。
【
図2B】本発明の実施例によるパッケージの、当該パッケージの開封時の斜視図である。
【
図2C】本発明の実施例によるパッケージの、当該パッケージの開封時の斜視図である。
【
図3A】本発明の別実施例によるパッケージの、閉じられた状態と、当該パッケージの開封時、の斜視図である。
【
図3B】本発明の別実施例によるパッケージの、閉じられた状態と、当該パッケージの開封時、の斜視図である。
【
図3C】本発明の別実施例によるパッケージの、閉じられた状態と、当該パッケージの開封時、の斜視図である。
【
図3D】本発明の別実施例によるパッケージの、閉じられた状態と、当該パッケージの開封時、の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、可撓性プラスチックパッケージ内に物品を制御された純度レベルで格納するとともに、当該パッケージを制御された状態で、かつ、前記物品の前記純度レベルに対する干渉を最小限度にして手動で開封することに対する解決手段を提供するものである。
【0026】
本発明は、前記パッケージの開封を容易にし、良好なユーザ経験を提供する。前記パッケージは、単一の引き裂き動作によって確実に開封することができ、この引き裂きの結果、前記パッケージは、所望程度にまで開封される。
【0027】
本発明は、信頼性の高いバリア特性を示すフローラップパッケージのための有利な開封機構を提供する。
【0028】
本技術の実施例は、パッケージの一部、例えば、そのコーナーのみが引き裂かれる状況の防止を提供する。有利に、この開封機構は、引き裂きが実質的に直線状の引き裂きラインに沿って一端部側シームから他端部側シームに向けて進行することを保証することができる。
【0029】
好適実施例において、前記引き裂き力の方向は、三次元空間において、パッケージの長手リアシームの方向又は長手軸心方向等の、パッケージの長手方向から偏差するか、それに対して平行ではない。例えば、前記偏差は少なくとも10度とすることができる。一実施例において、前記偏差は90度までとすることができる。
【0030】
一実施例において、前記引き裂き力の方向は、所望の引き裂きラインに対して、50度ないし90度、より好ましくは、80度ないし90度、を形成する。
【0031】
一実施例において、前記引き裂き力は、前記パッケージの長手軸心を含み、かつ、前記エンドシームに直交する平面に対して平行ではない方向に作用する。
【0032】
前記パッケージの材料は、ブラスチックフィルム、紙ベースのフィルム材、タイベック(Tyvek)、又はフローラッププロセスに適したその他任意の材料から形成することができる。好ましくは、前記パッケージ材料は、可撓性フィルムから成る。
【0033】
好ましくは、前記可撓性フィルム材自身が、パッケージの内容物を汚染から保護可能である。これにより、その他の追加の保護包装材料を使用する必要が回避される。
【0034】
好ましくは、前記シートの前記可撓性フィルム材は、加熱時においても非収縮性である。
【0035】
好ましくは、前記可撓性フィルム材は、前記パッケージの製造前において、当該材料を貫通する穴又はミシン目を持たない。このような穴又はミシン目は、輸送中にかかる機械的歪みに対して脆弱なものとなるであろう。
【0036】
好ましくは、前記可撓性フィルム材は、シュリンクラップフィルムではない。
【0037】
以下、パッケージの構造とパッケージの製造方法の一例について説明する。
【0038】
先ず、可撓性フィルム材のシートを長手方向に沿って折り畳んで当該シートの第1縁部と第2縁部とを合わせて、これら両縁部を互いにシールすることによって長手リアシームを形成する。次に、前記折り畳まれたシートの第1端部を第1エンドシームによってシールし、前記第1端部に対して前記折り畳みシートの反対側端部に位置する当該折り畳みシートの第2端部を、第2エンドシームによってシールして、単数または複数の物品のための空間を形成する。前記第1エンドシームと第2エンドシームは、水平、すなわち、前記リアシームと前記パッケージの長手軸心とに対して実質的に垂直である。前記空間は、前記シールされた第1及び第2端部と、前記折り畳みシートから形成される側壁とによって画定される。前記パッケージの前記長手側には側方シームが無く、パッケージが単にそこにおいて折り畳まれているだけである。
【0039】
前記第1及び第2エンドシームの少なくとも一つに開封開始ポイントを設け、当該開封開始ポイントは、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って延出する開口を形成するべく前記可撓性フィルム材の引き裂きを開始するためのポイントを提供するように構成されている。これにより、前記パッケージは、長手方向の引き裂きによって前記シートの一部を取り除くことによって開封されることになる。
【0040】
前記開封開始ポイントは、単数または複数の物品の回りに前記パッケージを形成する間の任意の段階に形成することができる。
【0041】
前記パッケージは、引き裂き力付与時において、前記第1エンドシームから前記第2エンドシームに向けて前記パッケージの前記側壁を横切って、前記パッケージの長手方向に沿って前記開封開始ポイントから開始される引き裂きを案内するように構成された少なくとも一つの引き裂き制御要素を有し、当該引き裂き制御要素は前記シートの前記可撓性フィルムから形成されている。
【0042】
一実施例において、前記開封開始ポイントは、ノッチまたは印刷されたマークである。
【0043】
好ましくは、前記開封開始ポイントは、引き裂きを開始するための前記第1エンドシームの好適なポイントを示す。
【0044】
一実施例において、少なくとも一つの引き裂き制御要素が、前記折り畳まれたシート又は折り畳み可能シートの形成に寄与する前記可撓性フィルム材(単数または複数)に形成されている。
【0045】
一実施例において、少なくとも一つの引き裂き制御要素が、前記シートを形成している又は形成するための、前記可撓性フィルム材(単数または複数)の一部を処理することによって形成されている。このような処理は、フィルム材の引き裂き性を変化させること、特にその引き裂き性を増加させることを含んでもよい。一実施例において、シームが形成されている。
【0046】
一実施例において、前記折り畳み可能シートを形成している又は形成するための、前記可撓性フィルム材(単数または複数)の少なくとも一部分が変性されて(modified)当該材料に少なくとも一つの引き裂き制御要素が形成される。この変性は、前記折り畳み可能シートの少なくとも一部分が変性処理を受けていることを暗に意味しうる。
【0047】
一実施例において、前記折り畳み可能シートを形成している又は形成するための前記可撓性フィルム材の少なくとも一部は、前記シートまたは前記レディパッケージ(ready package)に少なくとも一つの引き裂き制御要素を提供(exhibit)するように構成されている。この構成は、例えば、シーム形成を伴うものとすることができる。
【0048】
一実施例において、前記引き裂き制御要素(単数または複数)は、前記パッケージを形成している前記折り畳み可能シートと別体の取り付け可能要素の形態ではない。例えば、前記引き裂き制御要素は、前記折り畳み可能シートを形成している前記フィルムと別体のストリップの形態ではない。
【0049】
好ましくは、前記引き裂き制御要素は、前記シートの長手シームである。
【0050】
いくつかの実施例において、前記引き裂き制御要素は、前記可撓性フィルム材、又はその一部の長手シームである。
【0051】
他の実施例において、前記引き裂き制御要素は、前記シートの前記可撓性フィルム材の局所的処理によって形成される。前記局所的処理は、熱処理、機械的処理、超音波処理、UV光処理、又は、これらの組み合わせとすることができる。前記局所的処理は、前記可撓性フィルム材の引き裂き特性を、好ましくは、前記可撓性フィルム材を引き裂きに対してより耐性の高いものとすることによって、変化させることが可能な任意の方法を含みうる。
【0052】
いくつかの実施例において、前記引き裂き制御要素は、リボンや引き裂きストリップ等の外部材料を、前記パッケージを形成する前記シートに取り付けることなく、形成される。
【0053】
いくつかの実施例において、前記引き裂き制御要素は、パッケージを形成する前記シートに、パッケージを形成するべく折り畳み可能な材料と別体の接着剤又はその他の材料を取り付けることなく形成される。
【0054】
好適実施例において、前記開封開始ポイントは、前記リアシームと、前記引き裂き制御要素として作用する前記シーム又はゾーンとの間に位置し、前記引き裂き力は前記リアシームから離間する方向に向けられる。
【0055】
好適には、前記引き裂き制御要素は、前記パッケージを、好ましくは10:90ないし40:60の割合で二つの部分に分割するように構成される。
【0056】
好ましくは、前記パッケージの引き裂き開封の結果、当該パッケージの内容物を、当該パッケージの前記折り畳みフィルム材による障害無く、取り出すことが可能となる。したがって、前記引き裂きによって、前記パッケージ内の製品の対応の寸法よりも大きな寸法の開口部が前記パッケージの前記側壁に形成されると好都合である。
【0057】
一実施例において、可撓性フィルム材の少なくとも二つのバンドが、長手シームによって互いに接合されて前記シートが形成される。
【0058】
一実施例において、可撓性フィルム材の三つのバンドが、長手シームによって互いに接合されて前記シートが形成される。前記長手シームは、長手リアシームと、前記パッケージの各側に一つ設けられる、二つの引き裂き制御要素として作用する二つの別の長手シームと、を含む。好ましくは、前記引き裂き制御要素は、合同であって、エンドシームにおける同じポイントから延出している。
【0059】
一実施例において、可撓性フィルム材の三つのバンドが、長手シームによって互いに接合されて前記シートが形成される。好ましくは、前記中間バンドは、通気性材料から形成されるとともに、前記パッケージの開封時に引き裂かれるように構成されている。
【0060】
一実施例において、前記バンドのうちの少なくとも一つは、他のバンドの材料と異なる材料から形成されている。
【0061】
一実施例において、可撓性フィルム材の二つのハンドの間の長手シームの少なくとも一部によって引き裂き制御要素が形成される。
【0062】
いくつかの実施例において、前記シートの少なくとも一部分、例えば、前記バンドの少なくとも一つ又はその一部分は、紙系材料又はタイベック又は多孔性材料、等の通気性材料から形成されている。
【0063】
通気性パッケージまたは、通気性材料を含むパッケージは、空輸中や放射線殺菌中などにおける環境圧力および/または温度の変動時のパッケージに対する輸送歪みが減少するので、大きな利点をもたらす。
【0064】
通気性パッケージ材は、又、当該パッケージ内の製品のガス滅菌を行うことを可能にする。
【0065】
本文脈において、用語「通気性材」とは、同時に汚染粒子などがろ過されてこの通気性材を通過することが防止されながら、その通気性材を空気が通過することは可能である、ということを意味する。
【0066】
前記通気性材は、好ましくは、前記製品の純度が損なわれないような十分なろ過特性を有するものでなければならない。良好なろ過特性を備えた適当な通気性材として、タイベックと医療グレード紙、がある。
【0067】
タイベックは、それが通気性であることによって、パッケージが膨張することを防止しながら、パッケージ内の物品の汚染を防止するための十分なバリアを提供するので有利な材料である。タイベックは、HDPE繊維を含む。その多孔性繊維構造によって、当該材料は依然として良好な微生物バリアを提供しながら、滅菌に使用されるガス及び蒸気が当該材料を通過することを可能にする。
【0068】
一実施例において、ラックに収められたピペットチップなどの、使い捨て式ラボ消耗品が、前記パッケージに包装される。本発明による前記パッケージに格納することが可能なその他の消耗品として、マイクロウェルプレート、マイクロチューブ、および、純度制御パッケージを必要とするその他任意のラボ器具、がある。
【0069】
好ましくは、前記パッケージの作成のためにフローラッププロセスが使用される。
【0070】
適切な可撓性プラスチック材料には、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、およびいくつかの異なるフィルム材料を含むラミネートが含まれる。
【0071】
好適実施例において、可撓性フィルム材の少なくとも二つの細長いバンドが長手シームによって接合されてシートが形成される。その後、このシートは、フローラッププロセスに供給されてパッケージが形成される。例えば、一方のバンドは可撓性プラスチック材料で形成され、他方のバンドはタイベックなどの通気性プラスチックまたは紙系材料で形成されてもよい。
【0072】
最適には、前記引裂き制御要素は、通気性材料で作られたバンドが引き裂かれるように配置される。これは、通気性材料とパッケージの他の部分の他の可撓性フィルム材との間のシームを引裂き制御要素として使用することによって実現することができる。
【0073】
あるいは、前記通気性材料のバンド、さらには前記シートの可撓性の他の材料のバンドは、パッケージの引き裂き時に引き裂かれる。
【0074】
さらに別の代替例では、パッケージを引き裂いて開封する時にパッケージから取り外される部分は、通気性材料以外の材料から成る。
【0075】
前記通気性材料領域は、シート内において任意の形状、サイズ、または位置を有するものとすることができる。但し、前記開封開始ポイントと前記通気性材料領域は、例えば、長手シームによって、互いに分離されることが好ましい。好ましくは、前記開封開始ポイントは前記通気性材料領域の外側に位置する。その理由は、紙ベースの材料とタイベックはうまく破れず、破れたときに粉塵を生成する可能性があるためである。
【0076】
一実施例において、前記パッケージは、そのそれぞれが当該パッケージの片側に位置する、二つの引き裂き制御要素を有し、これにより、パッケージの両側から側壁を引き裂いて開くと、パッケージの片側全体が取り外されるように構成される。好ましくは、取り外される前記側は、パッケージの折り畳み可能なシートを形成する際に使用される通気性材料を含む。
【0077】
一実施例において、前記パッケージは、2つの引裂き制御要素を含み、これら2つの引裂き制御要素に沿って引き裂くと、パッケージの側壁に開口部が作り出される。好ましくは、前記開口部は、製品の妨げられない除去を可能にするために、パッケージ内部の製品の対応する寸法よりも大きい寸法を有する。側壁の取り外されたまたは部分的に取り外された部分は、好ましくは通気性材料を含むか、または通気性材料からなる。
【0078】
一実施例において、前記引裂き制御要素は、前記パッケージの両側の対応する位置に配置され、これら要素が実質的に合同となるように前記第1エンドシームの同じポイントから延出している。
【0079】
いくつかの実施例において、引き裂きの好ましい方法が、ノッチなどの開封開始ポイントの両側にある、指状のマークなどの、印刷されたマークまた複数の印刷されたマークによって示される。これにより、ユーザは、前記パッケージを最適な方法で掴み、引き裂くように案内される。
【0080】
一実施例において、前記両エンドシームの少なくとも一方は、当該エンドシームの一部又は全部に沿って、ノッチ付き状やジグザグ状の縁部などの成形縁部を有する。引き裂きを開始するための前記エンドシームの好適領域を、印刷された単数または複数のマークなどの、案内要素によって視覚的に示すことができる。その後、この案内に基づき、ユーザは、開封開始ポイントとして作用するための前記示された好適領域内に位置する特定のノッチを選択することができる。
【0081】
図1Aないし1Fは、本発明の実施例によるフローラップパッケージの閉じられた状態を図示している。当該パッケージは、折り畳まれ、その後、リアシーム11と二つのエンドシーム12、13とによって閉じられたシートから作成されている。当該シートは、二種類のフィルム材14、15を接合する長手シーム16、17が引き裂き制御要素として機能するように、これらフィルム材14、15から形成されている。
図1Bにおいては、シームとひだ(folds)との両方を含むパッケージの構造をより明白にするために、完成パッケージ(ready package)10のひだのいくつかが参照符号20によって示されている。
【0082】
図2Aないし2Cに図示されているように、ユーザが、前記リアシーム11から離間し前記長手シーム16、17に向かう方向の引き裂き力によって前記開封開始ポイント18(二つの矢印によって示されている)からパッケージ10の引き裂き開封を開始すると、引き裂きは、自然にパッケージの片側(前記フィルム材15から形成された部分)に向けて進行する。引き裂きが前記二つのフィルム材14、15の間の前記シーム16及び17にまで進むと、前記両シーム16及び17が有効な引き裂き制御及び案内要素として作用し、引き裂きは、両シーム16及び17に沿って、長手方向に、前記パッケージの反対側端部、エンドシーム13に向かって引き続き案内される。
【0083】
前記第1エンドシーム12から前記第2エンドシーム13に向けて、前記フローラップパッケージの片側全体を開封することが望ましい。前記第2フィルム材15から成る前記パッケージの部分の全体が分離された時、前記製品19は、前記第1フィルム材14によって少なくとも部分的に包囲された状態で制御可能に留まる。その後、チップラックのスタックでありうる前記製品19を、手動で容易に取り出すことができ、開封されたパッケージには、当該パッケージからの前記製品の取り出しの障害となりうるフィルムコーナー又はフィルムひだは無い。
【0084】
図3Aないし3Dは、本発明の別実施例によるパッケージの、パッケージ開封時を図示している。この実施例において、前記引き裂き制御要素はライン31、32によって示され、これら引き裂き制御要素は、例えば、周囲のフィルム材料よりも引き裂き抵抗が高い、フィルム材料のそのような局所的処理領域を含むまたは区切ることができる。この実施例において、引き裂きは、符号31及び32によって示されるラインに沿って案内される。前記両ライン31及び32の間に延出する前記可撓性フィルム材34、又は、前記両ライン31、32に隣接する少なくとも長手方向の副領域が、好ましくは、前記可撓性フィルム材33よりも引き裂き抵抗が高いものとされている。
【0085】
開示された本発明の実施形態は、本明細書に開示された特定の構造、方法工程、または材料に限定されるものではなく、関連技術の当業者によって認識されるように、それらの同等物にまで拡張されるものであることが理解される。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用されており、限定を意図するものではないことも理解される。
【0086】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施例」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での「一実施例では」または「実施例では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指しているわけではない。
【0087】
ここでの使用において、複数のアイテム、構造要素、成分要素、および/または材料は、便宜的に、共通のリストで提示され得る。ただし、これらのリストは、あたかも、リストの各メンバーが別々のユニークなメンバーとして個別に識別されているかのように解釈されなければならない。したがって、そのようなリストのいかなる個々のメンバーも、特に銘記されない限り、共通のグループにおけるそれらの提示に基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の均等物として解釈されてはならない。更に、本発明の種々の実施例及び具体例は、ここで、その種々の構成要素に対する代替物と共に参照されうるものである。そのような実施例、具体例及び代替構成は、互いの事実上の均等物として解釈されてはならず、本発明の別個で自律的な表現として解釈されなければならない。
【0088】
更に、説明した特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の実施例の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例など、多くの特定の詳細が提供されている。しかしながら、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細なしで、または他の方法、構成要材料料などを用いて実施可能であることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭化することを回避するために、周知の構造、材料、または操作は、詳細には図示又は記載されていない。
【0089】
動詞「備える(to comprise)」及び「含む(to include)」は、本文書においては、記載されていない特徴構成の存在を除外しない、又は、その存在を要件としないオープンな限定として使用されている。従属請求項に記載されている特徴は、特に銘記されない限り、互いに自由に組み合わせ可能である。更に、“一つ(a)”または“一つ(an)”、すなわち、単数形は、この文献全体を通じて、複数を除外するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、少なくとも、ピペットチップなどの制御された純度レベルを必要とする物品の包装に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 パッケージ
11 リアシーム
12、13 エンドシーム
14 第1フィルム材
15 第2フィルム材
16、17 長手シーム
18 開封開始ポイント
19 製品
20 ひだ
31、32 引き裂き制御要素
33 フィルム材
34 フィルム材