(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240701BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20240701BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20240701BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240701BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240701BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/00
G08C17/00 Z
G08C15/06 F
G08C17/00 A
G06Q50/02
H04M11/00 301
H04Q9/00 311H
H04Q9/00 301Z
(21)【出願番号】P 2020064563
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 親弘
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081860(JP,A)
【文献】特開2016-161957(JP,A)
【文献】特開2019-002596(JP,A)
【文献】特開2019-092049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08C 17/00
G08C 15/06
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を計測する計測位置を変位させる駆動機構、及び前記計測位置の変位の方向を規定する案内部材を有するセンサ端末であって所定の領域内に
前記計測位置の数より少ない数で配置されて
前記物理量を計測する
前記センサ端末からゲートウェイに無線送信された前記物理量の計測値を含む第1の情報、及び前記ゲートウェイにおいて前記第1の情報が受信されたときの受信信号強度を示す第2の情報を取得する取得部と、
前記第1の情報を受信した少なくとも1つの前記ゲートウェイの位置、及び前記受信信号強度に基づいて前記第1の情報を送信した前記センサ端末の位置を特定する位置特定部と、
特定された前記センサ端末の位置、及び前記第1の情報に基づいて前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルを生成
し、特定された前記センサ端末の位置に基づいて、前記プロファイルにおいて前記計測値が得られていない空白領域を特定するプロファイル生成部と、
生成された前記プロファイル
、及び特定された前記空白領域を示す情報を出力する出力部と
、を具備
し、
前記空白領域を示す情報は、前記センサ端末の位置の変更をユーザに促す通知を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロファイル生成部は、特定された前記センサ端末の位置の時系列に基づいて、前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用するか否かを判定し、前記センサ端末の位置に所定の時間以上変化がない場合に前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用すると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルは、特定された前記センサ端末の位置、及び前記物理量の計測値を紐付けた情報である、
請求項1
又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記位置特定部は、前記センサ端末から無線送信された前記第1の情報を受信した複数のゲートウェイのうちの前記受信信号強度が最も高いゲートウェイの位置を、前記センサ端末の位置として特定する、
請求項1
から請求項
3のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記センサ端末から無線送信された前記第1の情報を受信した複数のゲートウェイの各々の位置を、当該複数のゲートウェイの各々での前記受信信号強度で重み付けしたときの重心位置を、前記センサ端末の位置として特定する、
請求項1
から請求項
3のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記位置特定部は、前記センサ端末から無線送信された前記第1の情報を受信した複数のゲートウェイの各々からの距離が前記受信信号強度に応じた距離となる位置を、前記センサ端末の位置として特定する、
請求項1
から請求項
3のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
物理量を計測する計測位置を変位させる駆動機構、及び前記計測位置の変位の方向を規定する案内部材を有し、所定の領域内に
前記計測位置の数より少ない数で配置され、
前記物理量を計測し、計測された計測値を含む第1の情報を無線送信するセンサ端末と、
前記センサ端末から無線送信された前記第1の情報を受信し、前記第1の情報を受信したときの受信信号強度を取得し、前記第1の情報とともに前記受信信号強度を示す第2の情報を出力するゲートウェイと、
前記ゲートウェイから出力された前記第1の情報及び前記第2の情報を取得し、前記第1の情報を受信した前記ゲートウェイの位置、及び前記受信信号強度に基づいて前記第1の情報を送信した前記センサ端末の位置を特定し、特定された前記センサ端末の位置、及び前記第1の情報に基づいて前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルを生成し、
特定された前記センサ端末の位置に基づいて、前記プロファイルにおいて前記計測値が得られていない空白領域を特定し、生成された前記プロファイル
、及び特定された前記空白領域を示す情報を出力するクラウドサーバと
、
前記クラウドサーバから出力された前記プロファイルを受信し、受信された前記プロファイルとともに、前記空白領域を示す情報を表示する表示端末と、を具備
し、
前記空白領域を示す情報は、前記センサ端末の位置の変更をユーザに促す通知を含む、
情報処理システム。
【請求項8】
前記クラウドサーバは、特定された前記センサ端末の位置の時系列に基づいて、前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用するか否かを判定し、前記センサ端末の位置に所定の時間以上変化がない場合に前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用すると判定する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記センサ端末は、前記物理量の計測及び前記第1の情報の無線送信を、所定の周期で繰り返す、
請求項
7又は請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記センサ端末は、前記物理量の計測及び前記第1の情報の無線送信の実行を指示するユーザの操作を受け付け、ユーザの操作を契機として、前記物理量の計測及び前記第1の情報の無線送信を実行する、
請求項
7又は請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項11】
物理量を計測する計測位置を変位させる駆動機構、及び前記計測位置の変位の方向を規定する案内部材を有するセンサ端末であって所定の領域内に
前記計測位置の数より少ない数で配置されて
前記物理量を計測する
前記センサ端末との間で無線通信可能に構成されたゲートウェイと、ネットワークを介して通信可能に接続される情報処理装置において実行される方法であって、
前記センサ端末から
前記ゲートウェイに無線送信された前記物理量の計測値を含む第1の情報、及び前記ゲートウェイにおいて前記第1の情報が受信されたときの受信信号強度を示す第2の情報を取得することと、
前記第1の情報を受信した少なくとも1つの前記ゲートウェイの位置、及び前記受信信号強度に基づいて前記第1の情報を送信した前記センサ端末の位置を特定することと、
特定された前記センサ端末の位置、及び前記第1の情報に基づいて前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルを生成することと、
特定された前記センサ端末の位置に基づいて、前記プロファイルにおいて前記計測値が得られていない空白領域を特定することと、
生成された前記プロファイル
、及び特定された前記空白領域を示す情報を出力することと
、を含
み、
前記空白領域を示す情報は、前記センサ端末の位置の変更をユーザに促す通知を含む、
情報処理方法。
【請求項12】
特定された前記センサ端末の位置の時系列に基づいて、前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用するか否かを判定し、前記センサ端末の位置に所定の時間以上変化がない場合に前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用すると判定することを含む、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
物理量を計測する計測位置を変位させる駆動機構、及び前記計測位置の変位の方向を規定する案内部材を有するセンサ端末であって所定の領域内に
前記計測位置の数より少ない数で配置されて
前記物理量を計測する
前記センサ端末からゲートウェイに無線送信された前記物理量の計測値を含む第1の情報、及び前記ゲートウェイにおいて前記第1の情報が受信されたときの受信信号強度を示す第2の情報を取得することと、
前記第1の情報を受信した少なくとも1つの前記ゲートウェイの位置、及び前記受信信号強度に基づいて前記第1の情報を送信した前記センサ端末の位置を特定することと、
特定された前記センサ端末の位置、及び前記第1の情報に基づいて前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルを生成することと、
特定された前記センサ端末の位置に基づいて、前記プロファイルにおいて前記計測値が得られていない空白領域を特定することと、
生成された前記プロファイル
、及び特定された前記空白領域を示す情報を出力することと
、をコンピュータに実行させるためのプログラム
であって、
前記空白領域を示す情報は、前記センサ端末の位置の変更をユーザに促す通知を含む、 プログラム。
【請求項14】
特定された前記センサ端末の位置の時系列に基づいて、前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用するか否かを判定し、前記センサ端末の位置に所定の時間以上変化がない場合に前記第1の情報を前記プロファイルの生成に使用すると判定することを含む、
請求項13に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニールハウスの温室などにおいては、例えば温度管理のために、その内部の温度プロファイルを作成する場合がある。また、温度に限らず、照度や湿度に関してプロファイルを作成する場合もある。各種のプロファイルは、予め登録されている各センサの位置と、各センサの出力とを紐付けることにより作成することができる。
【0003】
しかしながら、プロファイルの生成に使用するセンサ数が増加すると、センサ位置を登録するための作業時間が増加する。また、センサが移動された場合など、登録後にセンサ位置が変化した場合には、正確なプロファイルが生成できない場合があった。さらに、登録後にセンサ位置が変化した場合には、センサ位置を再登録するための作業時間が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、センサ位置を登録する作業に要する時間を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面に係る情報処理装置は、取得部と、位置特定部と、プロファイル生成部と、出力部とを備える。前記取得部は、センサ端末からゲートウェイに無線送信された物理量の計測値を含む第1の情報、及び前記ゲートウェイにおいて前記第1の情報が受信されたときの受信信号強度を示す第2の情報を取得する。前記センサ端末は、前記物理量を計測する計測位置を変位させる駆動機構、及び前記計測位置の変位の方向を規定する案内部材を有する。前記センサ端末は、所定の領域内に前記計測位置の数より少ない数で配置されて前記物理量を計測する。前記位置特定部は、前記第1の情報を受信した少なくとも1つの前記ゲートウェイの位置、及び前記受信信号強度に基づいて前記第1の情報を送信した前記センサ端末の位置を特定する。前記プロファイル生成部は、特定された前記センサ端末の位置、及び前記第1の情報に基づいて前記所定の領域内の前記物理量の空間分布を示すプロファイルを生成する。前記プロファイル生成部は、特定された前記センサ端末の位置に基づいて、前記プロファイルにおいて前記計測値が得られていない空白領域を特定する。前記出力部は、生成された前記プロファイル、及び特定された前記空白領域を示す情報を出力する。前記空白領域を示す情報は、前記センサ端末の位置の変更をユーザに促す通知を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、センサ位置を登録する作業に要する時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る複数のセンサ端末の各々により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る複数のゲートウェイの各々により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係るクラウドサーバにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る表示端末により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係るセンサ端末の別の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理システムの構成の別の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る表示端末における表示画面の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る表示端末における表示画面の別の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報処理システムの各装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムの各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を模式的に示す図である。
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
以下に説明する実施形態は、ビニールハウスの温室8などの所定の領域内の温度分布を示す温度プロファイルを生成する情報処理システム1を例示するが、これに限らない。情報処理システム1により生成されるプロファイルは、温度、湿度、照度、ノイズ(騒音)、圧力(大気圧)、風速、風向き、匂い(原因物質の物質量や濃度)などの種々の物理量の空間的な分布を示すプロファイルであってもよい。つまり、以下に説明するセンサ端末2は、温度センサに限らず、生成するプロファイルに応じた物理量を計測可能なセンサを搭載する装置である。以下の説明においては、計測対象の物理量が温度であるとする。
【0012】
ここで、各物理量の空間的な分布を示すプロファイルは、センサ端末2の位置、すなわち計測位置と、当該計測位置で計測された計測値とが紐付けられた情報を言う。なお、プロファイルは、各計測位置及び各計測位置における物理量の計測値を示す点群データであってもよいし、点群データに基づいて生成される画像データであってもよい。また、プロファイルは、計測時点の時刻を含む時系列のデータであってもよい。
【0013】
なお、以下の説明では、任意の参照符号の末尾に「a」又は「b」を付すことにより、複数の要素のうちの任意の要素を示す場合もある。
【0014】
実施形態に係る情報処理システム1は、
図1及び
図2に示すように、複数のセンサ端末2と、複数のゲートウェイ3と、アクセスポイント4と、クラウドサーバ5と、表示端末6とを備える。
【0015】
複数のセンサ端末2のうちの任意のセンサ端末2と、複数のゲートウェイ3のうちの任意のゲートウェイ3とは、通信可能に構成される。センサ端末2とゲートウェイ3との間の通信としては、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi-Fi(登録商標)、Sub-1GHz、IEEE802.15.4、LTE Cat-1等の各種の通信規格に対応した無線通信が適宜利用可能である。なお、以下の説明では、センサ端末2とゲートウェイ3との間の通信としてBLE規格の無線通信が利用される場合を例示する。
【0016】
複数のゲートウェイ3のうちの任意のゲートウェイ3と、アクセスポイント4とは、通信可能に構成される。ゲートウェイ3とアクセスポイント4との間の通信としては、BLEやWi-Fi、Sub-1GHz、IEEE802.15.4、LTE Cat-1等の各種の通信規格に対応した無線通信が適宜利用可能である。また、ゲートウェイ3とアクセスポイント4との間の通信は、有線での通信であっても構わない。なお、以下の説明では、ゲートウェイ3とアクセスポイント4との間の通信としてWi-Fi規格の無線通信(WLAN)が利用される場合を例示する。
【0017】
アクセスポイント4と、クラウドサーバ5と、表示端末6とは、ネットワーク9を介して、通信可能に接続される。ネットワーク9としては、例えばインターネット等の電気通信回線が利用可能である。アクセスポイント4と、クラウドサーバ5と、表示端末6とは、それぞれ、有線でネットワーク9に接続されてもよいし、無線でネットワーク9に接続されてもよい。これらの無線通信としては、3G,4G,5G,LTE Cat-1等の各種の通信規格に対応した無線通信が適宜利用可能である。また、アクセスポイント4と、クラウドサーバ5と、表示端末6とは、それぞれ、Wi-Fi等の無線通信と、有線通信との組合せによりネットワーク9に接続されてもよい。なお、以下の説明では、アクセスポイント4がLTE Cat-1規格の無線通信によりネットワーク9に接続される場合を例示する。
【0018】
複数のセンサ端末2(2a,2b,・・・)の各々は、
図2に示すように、通信部201及び計測部202としての機能を有する。ここで、通信部201は、送信部の一例である。通信部201は、センサ端末2を識別するための端末IDを付して、計測部202により計測された計測値を含む計測データをBLE規格の通信によりゲートウェイ3へ無線送信する。なお、計測データは、計測時刻をさらに含んでいてもよい。なお、この無線送信では、送信先のゲートウェイ3は、特定されないものとする。以下、複数のセンサ端末2の各々から無線送信される情報をセンサ情報と記載する。センサ情報は、第1の情報の一例である。計測部202は、温度を計測する。計測部202は、温度の計測値を通信部201に供給する。複数のセンサ端末2の各々は、
図1に示すように、温室8内の任意の位置に配置される。なお、複数のセンサ端末2の各々により出力される計測値は、温度を示す値に変換された計測値である場合に限らず、電圧値などの温度センサの出力(計測値)そのものであっても構わない。この場合、クラウドサーバ5などにおいて、温度センサの出力値に基づいて温度の計測値が算出されればよい。
【0019】
複数のゲートウェイ3(3a,3b,・・・)の各々は、
図2に示すように、通信部301及び強度取得部302としての機能を有する。通信部301は、センサ端末2からBLE規格の通信により無線送信されたセンサ情報を受信する。また、通信部301は、センサ情報とともに、強度取得部302により取得された受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を示す情報と、ゲートウェイ3を識別するためのゲートウェイIDとをWi-Fi規格の無線通信によりアクセスポイント4へ送信する。ここで、受信信号強度を示す情報は、第2の情報の一例である。以下、複数のゲートウェイ3の各々から無線送信される情報をゲートウェイ情報と記載する。強度取得部302は、センサ端末2からセンサ情報を受信したときのBLE規格の通信の受信信号強度を取得する。複数のゲートウェイ3は、
図1に示すように、温室8内に配置された複数のセンサ端末2からの電波を受信可能な位置に配置される。
【0020】
一例として、受信信号強度は、複数のゲートウェイ3の各々のBLE規格の通信用のアンテナにおいて、受信されたセンサ端末2からの無線通信の電波により形成される当該アンテナの主たる方向に略直交する方向での単位長さあたりの電位(電界強度)である。
【0021】
別の一例として、受信信号強度は、複数のゲートウェイ3の各々において受信されたセンサ端末2からの無線通信に関する単位時間当たりのデータ量(通信速度)に基づいて算出される。例えば、強度取得部302は、実際の通信速度、あるいは想定される最大の通信速度に対する実際の通信速度の割合を受信信号強度の値として取得する。
【0022】
なお、通信部301は、ゲートウェイIDに代えて、自装置の位置を示す位置情報を出力してもよい。この場合、自装置の位置を示す位置情報は、予め設定されて複数のゲートウェイ3の各々のメモリなどに記憶されていてもよいし、複数のゲートウェイ3の各々によりGPS(Global Positioning System)などの測位システムを用いて計測されてもよい。
【0023】
なお、
図1は、4つのゲートウェイ3が配置される場合を例示するが、これに限らない。ゲートウェイ3の数は、センサ端末2の位置特定の要求精度や温室8の大きさ、センサ端末2の無線送信の出力の大きさ(出力強度)、ゲートウェイ3の配置の制限、複数のセンサ端末2との位置関係などに応じて適宜決定される。例えば、センサ端末2の位置特定の精度を向上させたい場合には、ゲートウェイ3の数を増加させればよい。
【0024】
一例として、複数のセンサ端末2が3次元の任意の位置に配置される場合、ゲートウェイ3の数は、4つ以上の複数とすることができる。ただし、3つのゲートウェイ3が、その3つの位置により規定される平面のいずれか一方の側に複数のセンサ端末2のすべてが位置するように配置される場合、ゲートウェイ3の数を、3つとすることもできる。
【0025】
また、別の一例として、複数のセンサ端末2が2次元の任意の位置に配置される場合、ゲートウェイ3の数は、3つ以上の複数とすることができる。ただし、2つのゲートウェイ3が、その2つの位置により規定される直線のいずれか一方の側に複数のセンサ端末2のすべてが位置するように配置される場合、ゲートウェイ3の数を、2つとすることもできる。
【0026】
また、別の一例として、複数のセンサ端末2が1次元の任意の位置に配置される場合、ゲートウェイ3の数は、2つ以上の複数とすることができる。ただし、ゲートウェイ3が、その位置により規定される点のいずれか一方の側に複数のセンサ端末2のすべてが位置するように配置される場合、ゲートウェイ3の数を、1つとすることもできる。
【0027】
なお、センサ端末2の位置をゲートウェイ3における受信信号強度に基づいて特定する場合を例示したが、これに限らない。センサ端末2の位置は、如何なる方法により特定されても構わない。
【0028】
アクセスポイント4は、
図2に示すように、通信部401としての機能を有する。通信部401は、複数のゲートウェイ3からWi-Fi規格の無線通信により無線送信されたゲートウェイ情報を受信する。また、通信部401は、受信された各ゲートウェイ3からのゲートウェイ情報を、LTE Cat-1規格の無線通信により、ネットワーク9を介してクラウドサーバ5へ送信する。なお、アクセスポイント4は、インターネットゲートウェイと表現されても構わない。
【0029】
クラウドサーバ5は、
図2に示すように、通信部501、位置特定部502、プロファイル生成部503及びゲートウェイDB504としての機能を有する。ここで、クラウドサーバ5は、情報処理装置の一例である。また、通信部501は、取得部及び出力部の一例である。通信部501(取得部)は、アクセスポイント4からLTE Cat-1規格の無線通信により無線送信されたゲートウェイ情報を、ネットワーク9を介して受信する。また、通信部501(出力部)は、プロファイル生成部503により生成された温度プロファイルを出力する。具体的には、通信部501は、プロファイル生成部503により生成された温度プロファイルを、ネットワーク9を介して表示端末6へ送信する。位置特定部502は、複数のゲートウェイ3のうちのセンサ情報を受信した少なくとも1つのゲートウェイ3の位置と、当該ゲートウェイ3で取得された受信信号強度とに基づいて、そのセンサ情報を送信したセンサ端末2の位置を特定する。プロファイル生成部503は、特定されたセンサ端末2の位置と、そのセンサ端末2からのセンサ情報とに基づいて、温室8内の温度の空間分布を示す温度プロファイルを生成する。ゲートウェイDB504は、複数のゲートウェイ3の各々の位置情報を格納する。具体的には、ゲートウェイDB504においては、複数のゲートウェイ3の各々のゲートウェイIDと、そのゲートウェイ3の位置情報とが対応付けられている。
【0030】
表示端末6は、
図2に示すように、通信部601及び表示部602としての機能を有する。ここで、通信部601は、受信部の一例である。通信部601は、クラウドサーバ5から出力(送信)された温度プロファイルを、ネットワーク9を介して受信する。表示部602は、クラウドサーバ5から受信された温度プロファイルを表示する。具体的には、表示部602は、クラウドサーバ5から受信された温度プロファイルに基づいて表示画面(画像データ)を生成し、ディスプレイに出力する。
【0031】
以下、
図3~
図6を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例について説明する。
【0032】
図3は、実施形態に係る複数のセンサ端末2の各々により実行される処理の一例を示すフローチャートである。複数のセンサ端末2の各々は、所定の周期ごとに、
図3の流れを実行するとする。所定の周期は、例えば予め設定されてセンサ端末2内のメモリなどに記憶されているとする。計測部202は、温度を計測し、温度の計測値を出力する(S101)。通信部201は、計測部202から出力された計測値にセンサ端末2を識別するための端末IDを付した情報(センサ情報)を、ゲートウェイ3にBLE規格で無線送信する(S102)。このように、複数のセンサ端末2の各々は、温度の計測と、センサ情報の無線送信とを、所定の周期で繰り返す。
【0033】
なお、複数のセンサ端末2の各々は、計測を指示する制御信号を受信したことを契機として、
図3の流れを実行するように構成されていても構わない。一例として、複数のゲートウェイ3は、複数のゲートウェイ3と、アクセスポイント4と、クラウドサーバ5と、表示端末6とのうちの少なくとも1つにより生成された計測を指示する制御信号を複数のセンサ端末2に無線送信する。この計測を指示する制御信号は、所定の周期ごとに生成されてもよいし、例えば表示端末6へのユーザの入力に応じて生成されてもよい。所定の周期は、例えば予め設定されて各装置内のメモリなどに記憶されていればよい。
【0034】
図4は、実施形態に係る複数のゲートウェイ3の各々により実行される処理の一例を示すフローチャートである。通信部301は、センサ端末2から無線送信されたセンサ情報を受信したか否かを判定する(S201)。通信部301は、センサ端末2からのセンサ情報を受信するまで(S201:No)待機する。通信部301によりセンサ端末2からのセンサ情報が受信されたとき(S201:Yes)、強度取得部302は、通信部301によりセンサ端末2からセンサ情報が受信されたときの受信信号強度を取得する(S202)。通信部301は、センサ端末2からの端末IDが付されたセンサ情報に、ゲートウェイ3を識別するためのゲートウェイIDと、取得された受信信号強度を示す情報とをさらに付して、アクセスポイント4にWi-Fi規格で無線送信する(S203)。
【0035】
なお、複数のゲートウェイ3の各々は、複数のセンサ端末2からのセンサ情報を受信した場合、各センサ端末2について
図4の流れを実行する。例えば、
図2に例示する場合、ゲートウェイ3aは、2つのセンサ端末2a,2bからのセンサ情報について、
図4の流れをそれぞれ実行する。また、ゲートウェイ3bは、センサ端末2bからのセンサ情報について、
図4の流れを実行する。
【0036】
アクセスポイント4は、複数のゲートウェイ3から無線送信されたゲートウェイ情報を受信したとき、Wi-Fi規格からLTE Cat-1規格に通信プロトコルを変換し、各ゲートウェイ情報をクラウドサーバ5に転送する。
【0037】
図5は、実施形態に係るクラウドサーバ5により実行される処理の一例を示すフローチャートである。通信部501は、アクセスポイント4により転送されたゲートウェイ情報を受信したか否かを判定する(S301)。通信部501は、ゲートウェイ情報を受信するまで(S301:No)待機する。通信部501によりゲートウェイ情報が受信されたとき(S301:Yes)、位置特定部502は、ゲートウェイDB504を参照し、ゲートウェイ情報に含まれるゲートウェイIDに基づいて、ゲートウェイ3の位置情報を取得する。その後、位置特定部502は、ゲートウェイ3の位置情報と、受信信号強度とに基づいて、センサ情報を送信したセンサ端末2の位置を特定する(S302)。
【0038】
一例として、位置特定部502は、あるセンサ端末2からのセンサ情報を受信した複数のゲートウェイ3のうちの最も高い受信信号強度で当該センサ端末2からのセンサ情報を受信したゲートウェイ3の位置をセンサ端末2の位置として特定する。
【0039】
別の一例として、位置特定部502は、あるセンサ端末2からのセンサ情報を受信した複数のゲートウェイ3の各々の位置に対して各ゲートウェイ3の間での受信信号強度の強度比に応じて重み付けしたときの重心位置を、当該センサ端末2の位置として特定する。
【0040】
別の一例として、位置特定部502は、あるセンサ端末2からのセンサ情報を受信した複数のゲートウェイ3の各々から当該センサ端末2までの各距離を用いた三角測量により、センサ端末2の位置を特定する。なお、受信信号強度と各距離との関係は、センサ端末2とゲートウェイ3との間の無線通信に使用される電波の波長や設置された環境に応じて予め決定されてクラウドサーバ5のメモリなどに記憶されていればよい。
【0041】
その後、プロファイル生成部503は、特定されたセンサ端末2の位置と、当該センサ端末2からのセンサ情報とに基づいて、温室8内の温度の空間分布を示す温度プロファイルを生成する(S303)。具体的には、プロファイル生成部503は、特定されたセンサ端末2の位置と、当該センサ端末2による計測値とを紐付けることにより、温度プロファイルを生成する。通信部501は、生成された温度プロファイルを表示端末6に送信(出力)する(S304)。なお、通信部501は、温度プロファイルが生成又は更新されるごとに温度プロファイルを出力してもよいし、表示端末6からの要求を契機として温度プロファイルを出力してもよい。
【0042】
なお、
図5の流れは、ゲートウェイ情報の受信を契機として実行される場合に限らず、例えば表示端末6からの温度プロファイルの生成を指示する制御信号の受信を契機として実行されてもよい。この場合、クラウドサーバ5では、受信されたゲートウェイ情報は、内部のメモリなどに蓄積されればよい。
【0043】
また、
図5の流れが表示端末6において実行される場合もあり得る。この場合、クラウドサーバ5では、受信されたゲートウェイ情報が内部のメモリなどに蓄積される。クラウドサーバ5に蓄積されたゲートウェイ情報は、表示端末6により
図5の流れが実行されるときに読み出される。ここで、
図5の流れが表示端末6において実行される場合、すなわちクラウドサーバ5の機能の一部が搭載された表示端末6は、情報処理装置の一例である。
【0044】
また、
図5の流れが任意のゲートウェイ3やアクセスポイント4において実行されても構わない。ここで、
図5の流れが任意のゲートウェイ3やアクセスポイント4において実行される場合、すなわちクラウドサーバ5の機能の一部が搭載された任意のゲートウェイ3やアクセスポイント4は、情報処理装置の一例である。
【0045】
図6は、実施形態に係る表示端末6により実行される処理の一例を示すフローチャートである。通信部601は、クラウドサーバ5から温度プロファイルを受信したか否かを判定する(S401)。通信部601は、クラウドサーバ5から温度プロファイルを受信するまで(S401:No)待機する。通信部601によりクラウドサーバ5から温度プロファイルが受信されたとき(S401:Yes)、表示部602は、通信部601により受信された温度プロファイルを表示する(S402)。
【0046】
このように、本実施形態に係る情報処理システム1は、センサ端末2からのセンサ情報を受信するゲートウェイ3において、当該センサ情報が受信されたときの受信信号強度を取得するように構成されている。また、情報処理システム1は、当該センサ情報を受信したゲートウェイ3の位置と、当該センサ情報が受信されたときの受信信号強度とに基づいて、当該センサ情報を無線送信したセンサ端末2の位置を特定する。また、情報処理システム1は、特定されたセンサ端末2の位置と、当該センサ端末2から無線送信されたセンサ情報とを対応付けることにより、複数のセンサ端末2が配置された領域内の温度などの任意の物理量の空間分布を示すプロファイルを生成する。また、情報処理システム1は、生成されたプロファイルを出力する。
【0047】
この構成によれば、センサ端末2からのセンサ情報の無線送信を利用して当該センサ端末2の位置を特定できるため、センサ端末2からのセンサ情報、すなわちセンサ端末2による計測データと、そのセンサ端末2の位置、すなわち計測位置とを自動で対応付けることができる。したがって、その計測対象の領域(温室8)内の任意の3次元位置にセンサ端末2を配置することができる。また、複数のセンサ端末2の各々の位置を登録することなく、計測データと計測位置とを自動で対応付けできるため、複数のセンサ端末2の各々の位置(センサ位置)を登録する作業に要する時間を低減することができる。
【0048】
具体的には、本実施形態に係る情報処理システム1においては、センサ位置を登録する作業に要する時間は、複数のゲートウェイ3の各々の位置を登録する作業に要する時間である。つまり、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、複数のセンサ端末2の各々の位置を登録する作業は不要である。複数のセンサ端末2の各々の位置を登録する作業が不要であることから、センサ端末2の数が多い場合であっても、計測データと、計測位置との対応付け、すなわち紐付けに係るミスも低減できる。
【0049】
また、計測対象の領域(温室8)に応じてゲートウェイ3の各々を配置した後には、各センサ端末2の位置をその計測対象の領域(温室8)内の任意の3次元位置に任意に変更しても、センサ位置を登録する作業に要する時間は不要である。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1について説明する。
図7は、実施形態に係るセンサ端末2の別の一例を模式的に示す図である。
【0051】
以下、主として第1の実施形態との相違点について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係る複数のセンサ端末2の各々は、
図7に示すように、駆動機構23によりポール22に沿う方向にセンサ21の位置、すなわち計測部202による計測位置を変位(移動)可能に構成されている。ポール22は、計測位置の変位の方向を規定する案内部材の一例である。なお、ポール22に代えて、レールなどの他の案内部材が使用されてもよい。駆動機構23は、センサ21の位置を変位させる装置である。一例として、駆動機構23は、センサ21を移動させるモータと、モータに電力を供給するバッテリとを有する。例えば計測部202は、所定の移動パターンでセンサ21の位置をポール22に沿って移動させながら、温度を計測する。つまり、
図3の流れは、所定の移動パターンで移動するセンサ21の位置が異なるタイミング(所定の周期ごと)に実行される。所定の移動パターンは、例えば予め設定されて各センサ端末2のメモリなどに記憶されていればよい。
【0053】
なお、
図7は、センサ21の位置が上下方向に移動可能に構成されたセンサ端末2を例示するが、これに限らない。センサ端末2は、水平方向に移動可能に構成されていてもよいし、2つ以上のポール22やレールなどの案内部材に沿って少なくとも2つの方向に移動可能に構成されていても構わない。また、センサ端末2は、
図7に例示するように地上に配置される場合に限らず、温室8の上部に配置されたポールやレールなどの案内部材に取り付けられていてもよい。つまり、センサ端末2は、計測対象の領域(温室8)内でセンサ21の位置を任意に移動可能に構成されていても構わない。
【0054】
なお、センサ21の位置は、ポール22やレールなどの案内部材に沿って移動される場合に限らず、センサ端末2が自走式の移動体などに搭載されることにより移動されてもよいし、これらの組合せにより移動されてもよい。自走式の移動体は、車輪やクローラ(カタピラ)により地上を走行可能に構成された移動体であってもよいし、ドローンや飛行船のように飛翔可能に構成された移動体であってもよい。これらの移動体は、例えば予め設定されて各センサ端末2のメモリなどに記憶された所定の移動パターンに従い移動してもよいし、表示端末6などに入力されたユーザの操作に応じて移動してもよい。
【0055】
このように、本実施形態に係る情報処理システム1では、センサ端末2のセンサ位置が任意に移動される。この構成によれば、センサ端末2のセンサ位置の移動により計測位置を増加させるとともに、計測データと計測位置とを自動で対応付けすることができる。したがって、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、センサ端末2の数より多くの計測位置の計測データを取得することができるため、詳細な温度プロファイルを生成することができる。ここで、詳細なプロファイルとは、計測対象の物理量に関する空間分解能が高いプロファイルであることを意味する。また、計測位置の数を維持しつつ、センサ端末2の数を低減することもできるため、情報処理システム1の導入や維持に要するコストを削減することができる。
【0056】
また、センサ端末2のセンサ位置の移動量は、ポール22に対する滑りなどに起因して、駆動機構23による制御量とは異なる場合もある。また、センサ端末2が搭載された移動体が床面上で滑ったりして、センサ位置の制御量と移動量とが異なる場合もある。このような場合あっても、本実施形態に係る情報処理システム1は、センサ端末2からのセンサ情報の無線送信を利用して当該センサ端末2の位置を特定できるため、計測データと計測位置との対応を取ることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の別の一例を模式的に示す図である。ここでは、主として第2の実施形態との相違点について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0058】
本実施形態に係る情報処理システム1は、
図8に示すように、1つのセンサ端末2を有する。1つのセンサ端末2は、ユーザPにより保持される。ユーザPは、1つのセンサ端末2を保持した状態で、計測対象の領域(温室8)内を移動する。つまり、
図3の流れは、センサ端末2がユーザPにより移動されながら実行される。
【0059】
この構成であっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。したがって、ユーザPは、1つのセンサ端末2を保持した状態で計測対象の領域(温室8)内で移動しながら、生育状態を見回るなどの任意の作業を行いつつ、計測対象の領域(温室8)内の温度プロファイルを得ることができる。
【0060】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、複数のセンサ端末2の各々は、ユーザPが計測及び無線送信の実行を指示する操作を受け付ける操作部を有していてもよい。この場合、複数のセンサ端末2の各々は、ユーザの操作に応じた操作部からの制御信号を契機として、
図3の流れを実行するように構成されていても構わない。
【0061】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、センサ端末2の数は、少なくとも1つであってもよい。ここで、センサ端末2の数が1つである場合には、複数のゲートウェイ3の各々で受信されるセンサ情報は、当該1つのセンサ端末2から送信された情報であると一意に特定できる。したがって、センサ端末2の数が1つである場合、センサ情報は、計測部202から出力された計測値にセンサ端末2を識別するための端末IDを付した情報に限らず、計測部202から出力された計測値そのものを示す情報、すなわち端末IDを含まないセンサ情報であってもよい。ここで、計測部202から出力された計測値そのものを示すセンサ情報も、第1の情報の一例である。これらのことから、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、センサ端末2から無線送信される情報であるセンサ情報(第1の情報)は、少なくとも計測部202から出力された計測値を含む情報である。
【0062】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、温度プロファイルは、如何なる形態により表示されてもよい。
図9は、上述の各実施形態に係る表示端末6における表示画面D10の一例を模式的に示す図である。表示部602は、
図6のS402の処理において、温度プロファイルD11を含む表示画面D10をディスプレイに表示する。なお、表示部602は、3次元の温度分布を示す立体的な温度プロファイルを表示してもよい。また、表示部602は、3次元位置や計測時間の異なる2つ以上の温度プロファイルD11を比較可能に表示してもよい。
【0063】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、プロファイル生成部503は、計測データの存在しない位置の物理量を、例えば隣接する計測位置の計測データに基づいて補間することもできる。
【0064】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、プロファイル生成部503は、特定された複数のセンサ端末2の位置に基づいて、温度プロファイルにおいて計測値が得られていない空白領域を特定してもよい。空白領域は、計測データの存在しない位置及びデータを補間できない位置の少なくとも一方を含む領域である。このとき、通信部501は、例えば生成された温度プロファイルとともに、特定された空白領域を示す情報を表示端末6に送信(出力)する。
図10は、上述の各実施形態に係る表示端末6における表示画面D20の一例を模式的に示す図である。表示部602は、空白領域があるとき、例えば
図10に白ヌキのマス目で示す「データなし」の領域のように、温度プロファイルD21とともに空白領域を示す情報を表示する。表示部602は、空白領域を示す情報として、通知D22を表示端末6に表示してもよい。通知D22の表示は、空白領域について、センサ端末2の配置やセンサ端末2を保持して移動すること、当該位置において計測を指示するための操作ボタンを操作することなどをユーザに促す(通知する)表示である。通知D22の表示は、空白領域の存在をユーザに通知する表示であってもよい。この構成によれば、ユーザは、センサ端末2の位置を任意に変更したり、自身の任意の移動により計測データを収集したりする場合であっても、意図せずにプロファイルの空間分解能(品質)を損なうことなく、適切な精度のプロファイルを得ることができる。
【0065】
なお、上述の各実施形態に係る情報処理システム1において、プロファイル生成部503は、各センサ端末2の位置の時系列に基づいて、そのセンサ端末2による計測データをプロファイルの生成に使用するか否かを判定してもよい。具体的には、プロファイル生成部503は、位置特定部502により特定された各センサ端末2の位置に所定の時間以上変化がないとき、そのセンサ端末2による計測データをプロファイルの生成に使用すると判定する。この構成によれば、ユーザによりセンサ端末2の位置が計測途中で変更されたときや、センサ端末2を保持したユーザの移動が速いときなど、収集された計測データと計測位置との紐付けが不正確な状態でプロファイルが生成されることを抑止できる。
【0066】
ここで、上述の各実施形態に係る情報処理システム1の各装置(センサ端末2、ゲートウェイ3、アクセスポイント4、クラウドサーバ5及び表示端末6)のハードウェア構成について説明する。
図11は、実施形態に係る情報処理システム1の各装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。センサ端末2、ゲートウェイ3、アクセスポイント4、クラウドサーバ5及び表示端末6は、例えば、
図11に示すようなハードウェア構成の情報処理装置100により実現される。
【0067】
情報処理装置100は、例えば通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を有する。すなわち、情報処理装置100は、プロセッサ101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶デバイス104と、ネットワークインタフェース(I/F)105とを備える。プロセッサ101と、ROM102と、RAM103と、記憶デバイス104と、ネットワークI/F105とは、バスを介して通信可能に接続されている。
【0068】
プロセッサ101は、各装置それぞれの全体の動作を制御する。プロセッサ101としては、例えばCPU(Central Processing Unit)が利用されるが、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサが利用されても構わない。例えば、センサ端末2、ゲートウェイ3及びアクセスポイント4のプロセッサとしては、ASICやFPGAなどの組み込み回路が利用され得る。
【0069】
プロセッサ101は、記憶デバイス104に記憶されたプログラムをRAM103にロードして実行し、
図2に例示する各部としての機能を実現する。ROM102には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶デバイス104からRAM103にロードするスタートプログラムなどが記憶されている。
【0070】
記憶デバイス104としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、Flashメモリ等の各種の記憶媒体が利用可能である。記憶デバイス104は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、データ及び各処理で使用される閾値などのパラメータを記憶している。
【0071】
ネットワークI/F105は、外部と通信するためのインタフェース回路である。ネットワークI/F105は、各装置の対応するBLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi、Sub-1GHz、IEEE802.15.4、LTE Cat-1等の各種の通信規格に対応した無線通信用の通信回路又は有線通信用の通信回路を含む。
【0072】
センサ端末2及び表示端末6の各々は、入力I/F108と、入力デバイス109とをさらに備える。入力I/F108は、バスを介してプロセッサ101、ROM102、RAM103、記憶デバイス104及びネットワークI/F105と通信可能に接続されている。入力I/F108は、プロセッサ101の制御に従って、入力デバイス109が取得した情報をバスに出力する。センサ端末2の入力デバイス109は、温度を計測する温度センサである。温度センサとしては、熱電対やサーミスタ、測温抵抗体、放射温度計などが適宜利用可能である。あるいは、センサ端末2の入力デバイス109は、温度、湿度、照度、ノイズ(騒音)、圧力(大気圧)、風速、風向き、匂い(原因物質の物質量や濃度)などの種々の物理量のうちの少なくとも1つの物理量を計測するセンサである。また、センサ端末2の入力デバイス109は、ユーザPが計測を指示する操作を受け付ける操作部を含む場合もある。操作部としては、ボタンやレバー、スイッチ、タッチパネルなどの各種の入力装置が適宜利用可能である。表示端末6の入力デバイス109は、キーボードやマウス、タッチパネルなどのユーザによる操作情報を取得する装置である。
【0073】
表示端末6は、表示I/F106と、ディスプレイ107とをさらに備える。表示I/F106は、バスを介してプロセッサ101、ROM102、RAM103、記憶デバイス104、ネットワークI/F105及び入力I/F108と通信可能に接続されている。表示I/F106は、プロセッサ101の制御に従ってディスプレイ107に画像信号を供給する。ディスプレイ107は、供給された画像信号に応じて情報(表示画面D10)を表示する、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置である。
【0074】
実施形態に係る情報処理装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0075】
また、実施形態に係る情報処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態に係る情報処理装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また、実施形態に係るプログラムを、ROM102等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0076】
なお、情報処理装置100をセンサ端末2として機能させるためのプログラムは、通信部201及び計測部202を含むモジュール構成となっている。また、情報処理装置100をゲートウェイ3として機能させるためのプログラムは、通信部301及び強度取得部302を含むモジュール構成となっている。また、情報処理装置100をアクセスポイント4として機能させるためのプログラムは、通信部401を含むモジュール構成となっている。また、情報処理装置100をクラウドサーバ5として機能させるためのプログラムは、通信部501、位置特定部502、プロファイル生成部503及びゲートウェイDB504を含むモジュール構成となっている。また、情報処理装置100を表示端末6として機能させるためのプログラムは、通信部601及び表示部602を含むモジュール構成となっている。
【0077】
情報処理装置100は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ101が記憶デバイス104などの記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM103)上にロードされる。これにより、センサ端末2のプロセッサ101は、通信部201及び計測部202として機能する。ゲートウェイ3のプロセッサ101は、通信部301及び強度取得部302として機能する。アクセスポイント4のプロセッサ101は、通信部401として機能する。クラウドサーバ5のプロセッサ101は、通信部501、位置特定部502、プロファイル生成部503及びゲートウェイDB504として機能する。表示端末6のプロセッサ101は、通信部601及び表示部602として機能する。なお、情報処理装置100の機能構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていてもよい。
【0078】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、センサ位置を登録する作業に要する時間を低減することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
101 プロセッサ
102 ROM
103 RAM
104 記憶デバイス
105 ネットワークI/F
108 入力I/F
109 入力デバイス
106 表示I/F
107 ディスプレイ
2 センサ端末
21 センサ
22 ポール(案内部材)
23 駆動機構
201 通信部(送信部)
202 計測部
3 ゲートウェイ
301 通信部
302 強度取得部
4 アクセスポイント
401 通信部
5 クラウドサーバ(情報処理装置)
501 通信部(取得部,出力部)
502 位置特定部
503 プロファイル生成部
504 ゲートウェイDB
6 表示端末
601 通信部(受信部)
602 表示部
8 温室
9 ネットワーク
P ユーザ
D10,D20 表示画面
D11,D21 温度プロファイル
D22 通知