(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】医療器具の較正
(51)【国際特許分類】
A61B 1/05 20060101AFI20240701BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61B1/05
A61B1/00 650
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020067394
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174444(WO,A1)
【文献】特開2014-097391(JP,A)
【文献】特開2014-119474(JP,A)
【文献】特開2015-047249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 13/00 -18/18
A61F 2/01
A61F 2/82 - 2/97
A61M 25/00 -29/04
A61M 35/00 -36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
A61N 7/00 - 7/02
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
較正装置であって、
治具本体と、
カメラと、
偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップと、
前記治具本体内に配置され、前記カメラを内部に受容して把持するように構成されている下部溝と、
前記治具本体内で前記下部溝の上方に配置され、前記細長いストリップを前記カメラの上方に、かつ前記カメラに対して固定された関係で位置決めするように、前記細長いストリップを内部に受容して把持するように構成されている上部溝であって、前記下部溝よりも広い、上部溝と、
前記治具本体内に配置され、前記カメラの端部を前記細長いストリップの端部と位置合わせするように構成されている、位置合わせ要素と、を備える、装置。
【請求項2】
前記下部溝が、0.5mm~2mmの範囲の幅、及び0.5mm~2mmの範囲の高さを有し、前記上部溝が、1mm~6mmの範囲の幅を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下部溝が、第1の幅を有する第1のセクションと、前記第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2のセクションと、を含み、前記第1のセクションは、前記カメラを内部に受容して把持するように構成され、前記第2のセクションは、前記カメラから延在する接続部及びワイヤを受容するように構成され、前記第1の幅は0.5mm~2mmの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記位置合わせ要素が、前記下部溝内に配置され、少なくとも前記上部溝内まで上方に延在する、位置合わせポストを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記上部溝が、前記下部溝の上方で中央に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記上部溝が、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記治具本体が、前記下部溝から延在して前記治具本体の側面で出る、前記カメラから延在するワイヤを内部に受容するように構成された少なくとも1つの側溝を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記下部溝及び前記上部溝の表面が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記細長いストリップが、ニチノールを含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月4日に出願されたAlgawiらの米国特許仮出願第62/829,517号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医療器具に関し、具体的には、排他的にではないが、医療器具の組み立てに関する。
【背景技術】
【0003】
医療器具、例えば、以下に限定されないが、カテーテル、探り針、及び耳鼻咽喉科用ツールなどの他の器具は、生体の体内で画像を取り込むための小型カメラを含み得る。有用なデータを提供するために、画像取込装置は、多くの場合、初期使用前に医療器具が組み立てられた後に較正される必要がある。
【0004】
Liuらの米国特許公開第2013/0281821号は、内視鏡及び撮像ユニットを用いる外科用ナビゲーションシステムについて記載している。内視鏡は、解剖学的領域内の内視鏡の1つ又は2つ以上の位置を示す電磁感知信号を生成するための、内視鏡の作業チャネル内の電磁追跡装置と、解剖学的領域の内視鏡画像を生成するための内視鏡の撮像チャネル内の内視鏡カメラと、を含む。撮像ユニットは、解剖学的領域内の較正部位の術前スキャン画像と、解剖学的領域内の較正部位の1つ又は2つ以上の内視鏡画像との間の画像位置合わせの関数として、電磁追跡装置及び内視鏡カメラの術中較正を実行する。
【0005】
Tenneyらの米国特許第9,188,973号は、第1のカメラシステムの座標系と第2のカメラシステムの座標系との間のマッピングを決定し、又はロボットの座標系とカメラシステムの座標系との間の変換を決定し、及び/又はロボットの座標系において、カメラの座標系におけるツールの位置に基づいて、ロボットのアームから延在するツールを位置決めするシステム及び方法を記載している。開示されるシステム及び方法は、1つ又は2つ以上の画像に見出される特徴の座標に由来する変換を使用することができる。変換は、様々な座標系を相互関係させ、毛髪採取及び/又は移植のための画像誘導ロボットシステムなどのロボットシステムを含むカメラシステムの較正を容易にするために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態によれば、較正装置が提供され、較正装置は、治具本体と、カメラと、偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップと、治具本体内に配置され、かつカメラを内部に受容して把持するように構成された下部溝と、治具本体内で下部溝の上方に配置され、細長いストリップをカメラの上方に、かつカメラに対して固定された関係で位置決めするように細長いストリップを内部に受容して把持するように構成された上部溝であって、下部溝よりも広い、上部溝と、治具本体内に配置され、かつカメラの端部と細長いストリップの端部とを位置合わせするように構成された位置合わせ要素と、を含む。
【0007】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝は、0.5mm~2mmの範囲の幅、及び0.5mm~2mmの範囲の高さを有し、上部溝は、1mm~6mmの範囲の幅を有する。
【0008】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝は、第1の幅を有する第1のセクションと、第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2のセクションと、を含み、第1のセクションは、カメラを内部に受容して把持するように構成され、第2のセクションは、カメラから延在する接続部及びワイヤを受容するように構成され、第1の幅は0.5mm~2mmの範囲である。
【0009】
更に、本開示の実施形態によれば、位置合わせ要素は、下部溝内に配置され、少なくとも上部溝内まで上方に延在する位置合わせポストを含む。
【0010】
更に、本開示の実施形態によれば、上部溝は、下部溝の上方で中央に配置されている。
【0011】
更に、本開示の実施形態によれば、上部溝は、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する。
【0012】
また更に、本開示の実施形態によれば、治具本体は、下部溝から延在して治具本体の側面で出る、カメラから延在するワイヤを内部に受容するように構成された少なくとも1つの側溝を含む。
【0013】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝及び上部溝の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)又はポリオキシメチレン(Polyoxymethylene、POM)を含む。
【0014】
更に、本開示の実施形態によれば、細長いストリップはニチノールを含む。
【0015】
本開示の別の実施形態によれば、医療器具組み立て方法が提供され、医療器具組み立て方法は、治具本体の下部溝が内部にカメラを把持するように、カメラの端部が治具本体の位置合わせ要素に当接する状態で、下部溝にカメラを配置することと、治具本体の上部溝が、偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップを、カメラの上方に、かつカメラに対して固定された関係で把持するように、細長いストリップの端部が位置合わせ要素に当接する状態で、上部溝内に細長いストリップを配置することであって、上部溝が下部溝よりも広い、配置することと、カメラと細長いストリップとの間に接着剤を塗布して、カメラと細長いストリップとを機械的に接続することと、接続したカメラ及び細長いストリップを治具本体から取り外すことと、医療器具に、接続したカメラ及び細長いストリップを配置することと、を含む。
【0016】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝は、0.5mm~2mmの範囲の幅、及び0.5mm~2mmの範囲の高さを有し、上部溝は、1mm~6mmの範囲の幅を有する。
【0017】
また更に、本開示の実施形態によれば、細長いストリップは、孔を含み、この塗布は、孔を通して接着剤を塗布することによって行われる。
【0018】
更に、本開示の実施形態によれば、方法は、カメラから延在するワイヤを、下部溝から延在して治具本体の側面で出る、治具本体の少なくとも1つの側溝内に配置することを含む。
【0019】
更に、本開示の実施形態によれば、細長いストリップはニチノールを含む。
【0020】
更に、本開示の実施形態によれば、方法は、医療器具内の発光ダイオードを使い捨てにすることを含む。
【0021】
また更に、本開示の実施形態によれば、方法は、医療器具内の少なくとも1つの灌注チューブを使い捨てにすることを含む。
【0022】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝は、第1の幅を有する第1のセクションと、第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2のセクションと、を含み、第1のセクションは、カメラを内部に受容して把持するように構成され、第2のセクションは、カメラから延在する接続部及びワイヤを受容するように構成され、第1の幅は0.5mm~2mmの範囲である。
【0023】
更に、本開示の実施形態によれば、位置合わせ要素は、下部溝内に配置され、少なくとも上部溝内まで上方に延在する位置合わせポストを含む。
【0024】
更に、本開示の実施形態によれば、上部溝は、下部溝の上方に中央に配置されている。
【0025】
また更に、本開示の実施形態によれば、上部溝は、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する。
【0026】
更に、本開示の実施形態によれば、下部溝及び上部溝の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の実施形態による、構築された処置用の医療器具の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、構築された処置用の較正装置の概略図である。
【
図3】カメラが内部に配置された、
図2の較正装置の概略図である。
【
図4】カメラの上部上に配置された細長いストリップを有する、
図3の較正装置の概略図である。
【
図5】
図1の医療器具を組み立てる方法における例示的なステップを含むフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
概論
前述したように、医療器具、例えば、カテーテル、探り針、及び耳鼻咽喉科用ツールなどの他の医療器具は、生体の体内で画像を取り込むための小型カメラを含み得るが、これらに限定されない。有用なデータを提供するために、画像撮像装置は、多くの場合、医療器具が組み立てられた後、かつ初期使用前に較正される必要がある。較正プロセスは、時間がかかっても、高価であってもよい。場合によっては、組み立て後の較正を実行することは、非常に困難であり得るか、又は不可能でさえあり得る。
【0029】
本発明の実施形態は、治具本体を含む較正装置を使用して、カメラを有する医療器具を、効率的かつ正確に組み立てる(及び当技術分野において既知の方法と比較してコストが低減された)方法を提供する。この方法では、カメラが取り込んだフレームが、同じ方法や較正装置で接続された他のカメラやストリップが取り込んだフレームと(設定された較正限界内で)ほぼ同じになるように、カメラを所与の精度内で事前定義された方向及び相対的な位置で、概ね偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップに機械的に接続することが可能である。カメラストリップの組み合わせのうちの1つが較正されると、その後のカメラストリップの組み合わせは、一般的に、更なる較正を必要としないか、又はより少ない較正で済む。細長いストリップは、以下により詳細に記載される医療器具のカメラ及び他の近位構成要素に基部を提供する。カメラ(及び、必要に応じて他の構成要素)を有する細長いストリップは、ガイドワイヤ内に配置される。ガイドワイヤ内の細長いストリップの位置決めは、医療器具が偏向され得る方向を決定する。
【0030】
治具本体は、カメラ、カメラワイヤ、及び細長いストリップをその中に挿入するための様々な溝を含む。いくつかの実施形態では、溝は、カメラと細長いストリップとの間の結果として生じる接続が、所望の接続配向及び位置の約0.1%又は1ミクロンまで正確であるように、サイズ決め及び配置される。他の実施形態では、精度は、例えば、1%又は10ミクロンであり得るが、これらに限定されない。
【0031】
治具本体内の下部溝は、カメラを内部に受容して把持する。下部溝は、第1のセクションと、第1のセクションよりも広い第2のセクションとを含む。それは、カメラを内部に受容して把持する第1のセクションである。第2のセクションは、カメラから延在する接続部及びワイヤを受容する。いくつかの実施形態では、第1のセクションの幅は、第1のセクションが把持することを意図するカメラの寸法に応じて、0.5mm~2mmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、下部溝は、内部に配置されるカメラの寸法に応じて、0.5mm~2mmの範囲の高さを有する。幅及び高さ寸法は、上記の例示的な値に限定されるものではなく、任意の好適な値であってもよい。
【0032】
治具本体は、下部溝から延在して治具本体の1つの側面(又は複数の側面)で出る少なくとも1つの側溝を含む。側溝は、湾曲していても直線状であってもよく、カメラから延在するワイヤを内部に受容してもよい。
【0033】
上部溝は、治具本体内で下部溝の上方に配置され、通常は治具本体の端部まで続く。上部溝は、細長いストリップをカメラの上方に、かつカメラに対して固定された関係で位置決めするように、細長いストリップをその中に受容して把持する。上部溝は、下部溝よりも広く、細長いストリップがカメラより概ね広いという事実を反映する。上部溝は、細長いストリップの幅に応じて任意の好適な幅を有してもよいが、一実施形態では、上部溝は、1mm~6mmの範囲の幅を有する。上部溝は、細長いストリップの厚さに等しいか、又はそれより大きい任意の好適な高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、上部溝は、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する。いくつかの実施形態では、上部溝は、下部溝の上方に中央に配置される。しかし、他の実施形態では、上部溝は、細長いストリップに対するカメラの所望の接続配向及び位置に応じて、中心から外れた位置合わせで配置されてもよい。上述のように、細長いストリップは、偏向可能かつ弾力性があり、ニチノールを含んでもよい。
【0034】
治具本体は、治具本体内に配置される位置合わせ要素を含み、カメラの端部を細長いストリップの端部と位置合わせするために使用される。いくつかの実施形態では、位置合わせ要素は、下部溝内に配置され、少なくとも上部溝内まで上方に延在する位置合わせポストを含む。
【0035】
カメラ及び細長いストリップが治具本体内に好適に配置されると、接着剤が塗布されて、カメラを細長いストリップと機械的に接続する。カメラ及び/又は細長いストリップが治具本体に接着剤で付着するようになることを防止するために、下部溝、上部溝、及び場合によっては、治具体の他の部分の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)などの非粘着性表面を含む。いくつかの実施形態では、治具本体は、PTFE又はPOMなどの非粘着性材料で全体的に形成される。
【0036】
医療機器を組み立てる方法は、治具本体の下部溝がカメラをそこに把持するように、カメラの端部を治具本体の位置合わせ要素に当接させた状態で、下部溝にカメラを配置することと、カメラから延在するワイヤを治具本体の側溝に配置することと、を含む。方法はまた、治具本体の上部溝が細長いストリップを上方に、カメラに対して固定された関係で把持するように、細長いストリップの端部が位置合わせ要素に当接する状態で、細長いストリップを上部溝内に配置することを含む。この方法はまた、カメラと細長いストリップとの間に接着剤を塗布して、カメラを細長いストリップと機械的に接続することを含む。いくつかの実施形態では、細長いストリップは孔を含み、接着剤は孔を通して塗布される。接着剤が、細長いストリップをカメラと十分に機械的に接続する時間を有すると、この方法は、接続されたカメラ及び細長いストリップを治具本体から取り外すことと、接続されたカメラ及び細長いストリップを医療器具内に配置することと、を含む。いくつかの実施形態では、発光ダイオード及び/又は少なくとも1つの灌注チューブが医療器具内に配置される。
【0037】
システムの説明
ここで、
図1を参照するが、
図1は、本発明の実施形態により、構成された処置用の医療器具10の概略図である。医療器具10は、ガイドワイヤ20、例えば、その中に保持されている圧縮コイル、細長いストリップ14(
図1では細長いストリップ14の端部のみが見える)上に取り付けられたカメラ12、1つ又は2つ以上の発光ダイオード16、及び1つ又は2つ以上の灌注チューブ18を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ20は、好適なシース(図示せず)内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、医療器具10は、発光ダイオード16及び/又は灌注チューブ18を省いてもよい。他の実施形態では、カメラ12及び細長いストリップ14、並びに必要に応じて、発光ダイオード16及び/又は灌注チューブ18は、ガイドワイヤ20を含んでいてもいなくてもよい、任意の好適な医療器具内に配置されてもよい。医療器具は、単なる例として、医療用探り針、又はカテーテル、又は耳鼻咽喉科用ツールなどの任意の好適な医療器具であってもよい。細長いストリップ14は、医療器具10のカメラ12及び他の近位構成要素(例えば、発光ダイオード16及び灌注チューブ18)に基部を提供する。ガイドワイヤ20内の細長いストリップ14の位置決めは、医療器具10が偏向され得る方向を決定する。
【0038】
次に、
図2~
図4を参照する。
図2は、本発明の実施形態による、構築された処置用の較正装置30の概略図である。
図3は、カメラ12が内部に配置された、
図2の較正装置30の概略図である。
図4は、カメラ12の上部上に配置された細長いストリップ14を有する、
図3の較正装置30の概略図である。
【0039】
較正装置30は、治具本体32と、下部溝34と、上部溝36と、治具本体32内に配置された2つの側溝38とを含む。いくつかの実施形態では、下部溝34及び上部溝36は、治具本体32の一方の端部から他方の端部まで直線経路をたどる。
【0040】
下部溝34は、第1のセクション40及び第2のセクション42を含む。第2のセクション42の幅は、第1のセクション40の幅よりも広い。第1のセクション40は、
図3に示すように、カメラ12を内部に受容して把持するように構成されている。第2のセクションは、
図3にも示されるように、カメラ12から延在する接続部44(簡略化のためにいくつかの標識のみ)、及びワイヤ46を受容するように構成されている。第1のセクション40の幅及び高さは、カメラ12と細長いストリップ14との間の位置決めの精度が較正要件内にあることを確実にするために、カメラ12を内部に受容して把持するようにサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、カメラ12の幅と第1のセクション40の幅との間の間隙は、数ミクロンほどである。いくつかの実施形態では、下部溝34の第1のセクション40は、0.5mm~2mmの範囲の幅、例えば、1mmの幅を有する。下部溝34の第1のセクション40の幅は、カメラ12のサイズ及び較正要件に応じて任意の好適な幅であってもよい。いくつかの実施形態では、下部溝34の高さは、0.5mm~2mmの範囲、例えば、1mmであってもよい。下部溝34の高さ(深さ)は、カメラ12のサイズ及び較正要件に応じて任意の好適な高さであってもよい。
【0041】
側溝38は、下部溝34から離れて延在して、治具本体32の両側で出る。側溝38は、
図3に示すように、カメラ12から延在するワイヤ46を内部に受容するように構成されている。側溝38は、ワイヤ46を細長いストリップ14から離して保持するのを助け、カメラ12と細長いストリップ14との間の正しい位置に干渉することがある、ワイヤ46が細長いストリップ14上に上向きの圧力を印加することを防止する。更に、側溝38内にワイヤ46を配置することは、下部溝34の第1のセクション40内のカメラ12を安定化させるのを助け、下部溝34内のカメラ12の前方又は後方への移動を防止する。
【0042】
上部溝36は、治具本体32内で、下部溝34の上方に配置されている。上部溝36は、
図4に示すように、細長いストリップ14をカメラ12の上方に、かつカメラ12に対して固定された関係で位置決めするように、細長いストリップ14をその中に受容して把持するように構成されている。
【0043】
上部溝36は、下部溝34よりも概ね広い。いくつかの実施形態では、上部溝36は、下部溝34の上方に中央に配置される。他の実施形態では、上部溝36は、下部溝34の上方に中央から外れて配置されてもよい。
【0044】
下部溝34及び上部溝36は、細長いストリップ14をその上に置くためのT字形状の断面及び側面レッジ52を有する単一の溝として見ることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、上部溝36は、細長いストリップ14の幅に応じて、1mm~6mmの範囲の幅、例えば3mmの幅を有する。他の実施形態では、上部溝36は、細長いストリップ14の幅及び較正要件に応じて、任意の好適な幅を有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、上部溝36は、0.05mm~0.15mmの範囲の高さ(深さ)、例えば、0.08mmの高さ(深さ)を有する。上部溝36の高さは、細長いストリップ14の厚さに応じて設定されてもよい。他の実施形態では、上部溝36の高さは、細長いストリップ14の厚さに応じて設定されない。
【0047】
細長いストリップ14は、治具本体32よりも長くてもよい。そのような場合、上部溝36は、治具本体32の少なくとも一方の端部まで延在して、細長いストリップ14が治具本体32から離れて延在することを可能にする。
【0048】
較正装置30はまた、治具本体32内に配置され、カメラ12の端部を細長いストリップ14の端部と位置合わせするように構成された位置合わせ要素48を含む。いくつかの実施形態では、位置合わせ要素48は、下部溝34内に配置され、少なくとも上部溝36内まで上方に延在する位置合わせポストを含む。
【0049】
図5を参照してより詳細に記載されるように、カメラ12及び細長いストリップ14は、接着剤を使用して一緒に機械的に接続される。カメラ12及び/又は細長いストリップ14が接着剤で治具本体32に付着するようになるのを防止するために、下部溝34及び上部溝36の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)、又は任意の他の好適な非粘着性材料などの非粘着性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、治具体32は、PTFE又はPOMなどの非粘着性材料から全体的に形成される。治具体32は、任意の好適なサイズであってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、細長いストリップ14は、接着剤を挿入するための孔50を内部に含む。細長いストリップ14は、細長いストリップ14が偏向可能かつ弾力性があるように、任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長いストリップ14は、全体的にニチノールから形成されるか、又は部分的にニチノールを含む。
【0051】
ここで、
図1の医療器具10を組み立てる方法における例示的なステップを含むフロー
図60である、
図5を参照する。
図1~
図5もまた参照する。医療器具10を組み立てる方法は、以下のステップを含んでもよい。いくつかのステップは、以下に記載されるものとは異なる順序で行われてもよい。
【0052】
方法は、下部溝34がそこにあるカメラ12を把持するように、カメラ12の端部が治具本体32の位置合わせ要素48に当接する状態で、カメラ12を治具本体32の下部溝34内に配置すること(ブロック62)を含む。
【0053】
方法はまた、カメラ12から延在するカメラワイヤ46を、下部溝34から延在して治具本体32の側面で出る治具本体32の側溝(複数可)38内に配置すること(ブロック64)を含む。
【0054】
方法はまた、治具本体32の上部溝36が、偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップ14を、カメラ12の上方に、かつカメラ12に対して固定された関係で把持するように、細長いストリップ14の端部が位置合わせ要素48に当接する状態で、上部溝36内に細長いストリップ14を配置すること(ブロック66)を含む。
【0055】
方法はまた、カメラ12と細長いストリップ14とを機械的に接続するために、カメラ12と細長いストリップ14との間に接着剤を塗布すること(ブロック68)を含む。いくつかの実施形態では、細長いストリップ14は孔50を含み、接着剤は孔50を通して塗布される。
【0056】
方法はまた、接続されたカメラ12及び細長いストリップ14を治具本体32から取り外すこと(ブロック70)と、接続されたカメラ12及び細長いストリップ14、並びに必要に応じて発光ダイオード16及び/又は灌注チューブ18を、医療器具10内に配置すること(ブロック72)、とを含む。
【0057】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせとして提供されてもよい。
【0058】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上に特に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 較正装置であって、
治具本体と、
カメラと、
偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップと、
前記治具本体内に配置され、前記カメラを内部に受容して把持するように構成されている下部溝と、
前記治具本体内で前記下部溝の上方に配置され、前記細長いストリップを前記カメラの上方に、かつ前記カメラに対して固定された関係で位置決めするように、前記細長いストリップを内部に受容して把持するように構成されている上部溝であって、前記下部溝よりも広い、上部溝と、
前記治具本体内に配置され、前記カメラの端部を前記細長いストリップの端部と位置合わせするように構成されている、位置合わせ要素と、を備える、装置。
(2) 前記下部溝が、0.5mm~2mmの範囲の幅、及び0.5mm~2mmの範囲の高さを有し、前記上部溝が、1mm~6mmの範囲の幅を有する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記下部溝が、第1の幅を有する第1のセクションと、前記第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2のセクションと、を含み、前記第1のセクションは、前記カメラを内部に受容して把持するように構成され、前記第2のセクションは、前記カメラから延在する接続部及びワイヤを受容するように構成され、前記第1の幅は0.5mm~2mmの範囲である、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記位置合わせ要素が、前記下部溝内に配置され、少なくとも前記上部溝内まで上方に延在する、位置合わせポストを含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記上部溝が、前記下部溝の上方で中央に配置されている、実施態様1に記載の装置。
【0060】
(6) 前記上部溝が、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記治具本体が、前記下部溝から延在して前記治具本体の側面で出る、前記カメラから延在するワイヤを内部に受容するように構成された少なくとも1つの側溝を含む、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記下部溝及び前記上部溝の表面が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記細長いストリップが、ニチノールを含む、実施態様1に記載の装置。
(10) 医療器具組み立て方法であって、
治具本体の下部溝がカメラを内部に把持するように、前記カメラの端部が前記治具本体の位置合わせ要素に当接する状態で、前記下部溝に前記カメラを配置することと、
前記治具本体の上部溝が、偏向可能かつ弾力性のある細長いストリップを、前記カメラの上方に、かつ前記カメラに対して固定された関係で把持するように、前記細長いストリップの端部が前記位置合わせ要素に当接する状態で、前記上部溝内に前記細長いストリップを配置することであって、前記上部溝が前記下部溝よりも広い、配置することと、
前記カメラと前記細長いストリップとの間に接着剤を塗布して、前記カメラを前記細長いストリップと機械的に接続することと、
接続された前記カメラ及び細長いストリップを前記治具本体から取り外すことと、
前記接続されたカメラ及び細長いストリップを医療器具内に配置することと、を含む、方法。
【0061】
(11) 前記下部溝が、0.5mm~2mmの範囲の幅、及び0.5mm~2mmの範囲の高さを有し、前記上部溝が、1mm~6mmの範囲の幅を有する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記細長いストリップが孔を備え、前記塗布することが、前記孔を通して前記接着剤を塗布することによって行われる、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記カメラから延在するワイヤを、前記下部溝から延在して前記治具本体の側面で出る、前記治具本体の少なくとも1つの側溝内に配置することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記細長いストリップがニチノールを含む、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記医療器具内に発光ダイオードを配置することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
【0062】
(16) 前記医療器具内に少なくとも1つの灌注チューブを配置することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(17) 前記下部溝が、第1の幅を有する第1のセクションと、前記第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2のセクションと、を含み、前記第1のセクションは、前記カメラを内部に受容して把持するように構成され、前記第2のセクションは、前記カメラから延在する接続部及びワイヤを受容するように構成され、前記第1の幅は0.5mm~2mmの範囲である、実施態様10に記載の方法。
(18) 前記位置合わせ要素が、前記下部溝内に配置され、少なくとも前記上部溝内まで上方に延在する、位置合わせポストを含む、実施態様10に記載の方法。
(19) 前記上部溝が、前記下部溝の上方で中央に配置される、実施態様10に記載の方法。
(20) 前記上部溝が、0.05mm~0.15mmの範囲の高さを有する、実施態様10に記載の方法。
【0063】
(21) 前記下部溝及び前記上部溝の表面が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリオキシメチレン(POM)を含む、実施態様10に記載の方法。