(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240701BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2020091329
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大介
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158961(JP,A)
【文献】特開2020-064176(JP,A)
【文献】特開2012-068656(JP,A)
【文献】特開2020-134684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、
前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPと、を有し、
前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkW、前記レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量をmP、望遠端における開放状態のFナンバーをFnoT
、広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの間隔をDW、広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの空気間隔の総和をDWAとするとき、
1.00<LW/fW<5.00
0.00<BkW/LW<0.14
0.00<mN/fN<0.80
0.80<mP/mN<2.50
0.00<FnoT<4.00
0.00<DWA/DW<0.50
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの間隔をDW、広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの最大空気間隔をDWAMとするとき、
0.00<DWAM/DW<0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項
1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
望遠端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLT、望遠端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの間隔をDTとするとき
0.35<DT/LT<1.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1
または2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
0.00<|mP/LW|<0.40
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
0.00<|mN/LW|<0.30
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をfTとするとき、
1.00<|fT/fN|<4.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの間隔をDWとするとき、
1.00<|DW/fN|<3.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記レンズlnの広角端における横倍率をβWN、望遠端における横倍率をβTNとするとき、
1.10<βTN/βWN<2.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記レンズlnの物体側の曲率半径をR1N、像側の曲率半径をR2Nとするとき、
0.00<|R1N/R2N|<0.35
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記レンズlnの屈折率をndN、アッベ数をνdNとするとき、
1.45<ndN<1.60
65.0<νdN<100.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記レンズlnの物体側面および像側面はそれぞれ、非球面形状を有することを特徴とする請求項1乃至1
0のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、前記第1レンズ群は物体側へ移動し、
広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第1レンズ群の移動量をM1とするとき、
0.10<|M1/LW|<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至1
1のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記レンズ群LPの焦点距離をfPとするとき、
0.10<fP/LW<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至1
2のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項14】
広角端における前記絞りから前記像面までの間隔をLSPとするとき、
0.50<LSP/LW<0.90
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至1
3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記レンズ群LPは、光軸と交差する方向に移動する負の屈折力のシフトレンズを有し、
前記シフトレンズの焦点距離をfS、前記レンズ群LPの焦点距離をfPとするとき、
1.00<|fS/fP|<4.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至1
4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項16】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、
前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPと、を有し、
前記レンズ群LPは、光軸と交差する方向に移動する負の屈折力のシフトレンズを有し、
前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkW、前記レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量をmP、前記シフトレンズの焦点距離をfS、前記レンズ群LPの焦点距離をfPとするとき、
1.00<LW/fW<5.00
0.00<BkW/LW<0.14
0.00<mN/fN<0.80
0.80<mP/mN<2.50
1.00<|fS/fP|<4.00
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項17】
前記シフトレンズは、正レンズと負レンズの2枚の接合レンズからなることを特徴とする請求項1
5または1
6に記載のズームレンズ。
【請求項18】
前記絞りよりも物体側に配置された負の屈折力のフォーカスレンズ群Lfの焦点距離をfF、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をfTとするとき、
0.30<|fF/fT|<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至1
7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項19】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、
前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPと、を有し、
前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkW、前記レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量をmP、前記絞りよりも物体側に配置された負の屈折力のフォーカスレンズ群Lfの焦点距離をfF、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をfTとするとき、
1.00<LW/fW<5.00
0.00<BkW/LW<0.14
0.00<mN/fN<0.80
0.80<mP/mN<2.50
0.30<|fF/fT|<0.80
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項20】
前記第1レンズ群は、正レンズと負レンズの2枚の接合レンズからなることを特徴とする請求項1乃至
19のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項21】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、正レンズと負レンズの2枚の接合レンズからなり、
前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPと、を有し、
前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkW、前記レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量をmPとするとき、
1.00<LW/fW<5.00
0.00<BkW/LW<0.14
0.00<mN/fN<0.80
0.80<mP/mN<2.50
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項22】
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、負レンズ、および正レンズを含む4枚以下のレンズから構成されることを特徴とする請求項1乃至2
1のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項23】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、
前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPと、を有し、
前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、負レンズ、および正レンズを含む4枚以下のレンズから構成され、
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkW、前記レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量をmP、望遠端における開放状態のFナンバーをFnoT、
1.00<LW/fW<5.00
0.00<BkW/LW<0.14
0.00<mN/fN<0.80
0.80<mP/mN<2.50
0.00<FnoT<4.00
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか一項に記載のズームレンズと、該ズームレンズにより形成される像を受光する光電変換素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大口径比化しながら高い光学性能を有するズームレンズが求められている。
【0003】
特許文献1には、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、および、負の屈折力の第4レンズ群から構成されたズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたズームレンズにおいて、望遠端のFナンバーを明るくしようとすると、絞りの近傍のレンズが径方向へ大型化してしまう。また、望遠端での大口径化のために絞りの近傍のレンズ枚数を増加させようとすると、変倍に必要な第4レンズ群の移動量が確保できない。
【0006】
そこで本発明は、大口径かつ小型であって高い光学性能を有するズームレンズおよび撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、および、少なくとも一つレンズ群を有する後群からなるズームレンズであって、前記後群は、絞りと、該絞りの像側に隣接して配置され、該後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPとを有し、前記後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されており、広角端から望遠端へのズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、前記レンズ群LPおよび前記後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動し、広角端における前記ズームレンズの焦点距離fW、広角端における前記ズームレンズの最物体側面から像面までの間隔LW、広角端におけるバックフォーカスBkW、前記レンズlnの焦点距離fN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズlnの移動量mN、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記レンズ群LPの移動量mP、望遠端における開放状態のFナンバーをFnoT、広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの間隔をDW、広角端における前記レンズ群LPの最物体側面から前記レンズlnの像側面までの空気間隔の総和をDWAは、所定の条件式を満足する。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大口径かつ小型であって高い光学性能を有するズームレンズおよび撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1におけるズームレンズの断面図である。
【
図2】実施例1における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図3】実施例2におけるズームレンズの断面図である。
【
図4】実施例2における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図5】実施例3におけるズームレンズの断面図である。
【
図6】実施例3における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図7】実施例4におけるズームレンズの断面図である。
【
図8】実施例4における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図9】実施例5におけるズームレンズの断面図である。
【
図10】実施例5における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図11】実施例6におけるズームレンズの断面図である。
【
図12】実施例6における広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズの収差図である。
【
図13】各実施例における撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<実施例1>
図1は、実施例1におけるズームレンズ1aの断面図である。
図2(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1aの収差図である。ズームレンズ1aは、変倍比3.92倍、開口比2.90~2.90程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側に移動し、第3レンズ群L3は物体側に移動し、絞り(開口絞り)SPを含む第4レンズ群L4は物体側に移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。Gは水晶ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどのガラスブロックである。IPはCCDセンサやCMOSセンサなどの撮像素子(光電変換素子)の感光面が位置する像面である。なお
図1において、左方が被写体側(前方)で、右方が像側(後方)である。この点は、他の実施例に関する断面図でも同様である。
【0013】
図2(a)~(c)の球面収差図において、FnoはFナンバーであり、d線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図において、Sはサジタル像面、Mはメリディオナル像面を示している。歪曲収差図において、d線に対する歪曲収差量を示している。色収差図において、g線における倍率色収差量を示している。なお、ωは撮像半画角(°)である。これらの点は、他の実施例に関する収差図でも同様である。
【0014】
<実施例2>
図3は、実施例2におけるズームレンズ1bの断面図である。
図4(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1bの収差図である。ズームレンズ1bは、変倍比2.75倍、開口比2.06~3.50程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側に移動し、第3レンズ群L3は物体側に移動し、絞りSPを含む第4レンズ群L4は物体側に移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。
【0015】
<実施例3>
図5は、実施例3におけるズームレンズ1cの断面図である。
図6(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1cの収差図である。ズームレンズ1cは、変倍比2.75倍、開口比2.90~2.90程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側に移動し、絞りSPを含む第3レンズ群L3は物体側へ移動する。
【0016】
<実施例4>
図7は、実施例4におけるズームレンズ1dの断面図である。
図8(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1dの収差図である。ズームレンズ1dは、変倍比3.92倍、開口比2.90~3.50程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は像側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、絞りSPを含む第3レンズ群L3は物体側へ移動し、第4レンズ群L4は物体側へ移動する。
【0017】
<実施例5>
図9は、実施例5におけるズームレンズ1eの断面図である。
図10(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1eの収差図である。ズームレンズ1eは、変倍比2.75倍、開口比2.90~2.90程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第3レンズ群L3は物体側へ移動し、絞りSPを含む第4レンズ群L4は物体側へ移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。
【0018】
<実施例6>
図11は、実施例6におけるズームレンズ1fの断面図である。
図12(a)~(c)はそれぞれ、広角端、中間ズーム位置、望遠端でのズームレンズ1fの収差図である。ズームレンズ1fは、変倍比2.75倍、開口比2.90~2.90程度の光学系である。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第3レンズ群L3は物体側へ移動し、絞りSPを含む第4レンズ群L4は物体側へ移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。
【0019】
次に、各実施例のズームレンズ1a~1fにおいて、大口径でありながら光学全長を短縮し、小型化を実現しつつも、高性能であるズームレンズを得るために必要な条件について説明する。
【0020】
各実施例のズームレンズ1a~1fは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、および、少なくとも一つのレンズ群(L3~L5の少なくとも一つ)を有する後群からなるズームレンズである。後群は、絞りSPと、絞りSPの像側に隣接して配置され、後群における正の屈折力のレンズ群のうち最も物体側に配置される正の屈折力のレンズ群LPとを有する。後群のうち最も像側には、負の屈折力のレンズlnが配置されている。ズーミングにおいて、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、レンズ群LPおよび後群の最も像側に配置されたレンズ群は物体側へ移動する。すなわち広角端から望遠端へのズーミングに際してレンズlnは物体側へ移動する。このような構成において、以下の条件式(1)~(4)を満足すれば、各実施例の効果を得ることができる。
【0021】
広角端におけるズームレンズの焦点距離をfW、広角端におけるズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLW、広角端におけるバックフォーカスをBkWとする。また、レンズlnの焦点距離をfN、広角端から望遠端へのズーミングにおけるレンズlnの移動量をmN、広角端から望遠端へのズーミングにおけるレンズ群LPの移動量をmPとする。なお移動量mN、mPの符号はそれぞれ、広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときを負、広角端に比べて望遠端において像側に位置するときを正とする。このとき、以下の条件式(1)~(4)を満足する。
【0022】
1.00<LW/fW<5.00 ・・・(1)
0.00<BkW/LW<0.14 ・・・(2)
0.00<mN/fN<0.80 ・・・(3)
0.80<mP/mN<2.50 ・・・(4)
条件式(1)は、広角端の光学全長と広角端の焦点距離を規定した条件式であり、広角端における光学全長を規定している。条件式(1)の上限値を超えて数値が大きくなると、広角端における光学全長が大きくなるため好ましくない。または、広角端の焦点距離が広角になるため、正の屈折力の第1レンズ群L1から始まる構成が困難となり、好ましくない。一方、条件式(1)の下限値を超えて数値が小さくなると、広角端における光学全長が小さくなる方向であるが、光学全長が小さくなりすぎ、光学系の仕様を満たすことができなくなる、または広角端の焦点距離が望遠側になるため、好ましくない。
【0023】
条件式(2)は、広角端における光学全長と、広角端におけるバックフォーカスを規定した条件式である。条件式(2)の上限値を超えて数値が大きくなると、広角端の光学全長に対するバックフォーカスの比率が長くなるため、光学全長を短くしようとすると、レンズを配置できる間隔が短くなるため大口径化が困難になるため好ましくない。一方、条件式(2)の下限値を超えて数値が小さくなると、小型大口径化には有利な方向であるが、バックフォーカス間隔が確保できなくなるため好ましくない。
【0024】
条件式(3)は、最像側のレンズlnの焦点距離と、ズーミングに際して物体側に移動する移動量を規定した条件式である。条件式(3)の上限値を超えて数値が大きくなると、ズーミングにおける移動量が大きくなることを意味しており、大口径による像面変動を良好に補正することができないため、好ましくない。一方、条件式(3)の下限値を超えて数値が小さくなると、ズーミングにおける移動量が小さくなるため、望遠端の光学全長を短くしつつ、所定の倍率を確保することが困難となるため好ましくない。
【0025】
条件式(4)は、ズーミングに際して物体側へ移動するレンズ群LPの移動量と物体側へ移動する最像側のレンズlnの移動量の比を規定した条件式である。条件式(4)の上限値を超えてレンズ群LPの移動量が大きくなると、大口径である望遠端におけるレンズ群LPの径方向が大型化するため、好ましくない。一方、条件式(4)の下限値を超えてレンズ群LPの移動量が小さくなると、望遠端におけるレンズ群LPの径方向の大きさは抑えられるが、大口径仕様にてレンズを多く使用しているため、望遠端においてレンズ同時が干渉するため好ましくない。
【0026】
各実施例において、好ましくは、条件式(1)~(4)の数値範囲を以下の条件式(1a)~(4a)のように設定する。
【0027】
3.00<LW/fW<4.90 ・・・(1a)
0.020<BkW/LW<0.135 ・・・(2a)
0.03<mN/fN<0.78 ・・・(3a)
0.90<mP/mN<2.30 ・・・(4a)
より好ましくは、条件式(1)~(4)の数値範囲を以下の条件式(1b)~(4b)のように設定することで、各条件式が意味する効果をより高めることができる。
【0028】
3.50<LW/fW<4.85 ・・・(1b)
0.030<BkW/LW<0.132 ・・・(2b)
0.39<mN/fN<0.75 ・・・(3b)
0.99<mP/mN<2.20 ・・・(4b)
広角端におけるレンズ群LPの最物体側面からレンズlnの像側面までの間隔をDW、広角端におけるレンズ群LPの最物体側面からレンズlnの像側面までの空気間隔の総和をDWAとする。広角端におけるレンズ群LPの最物体側面からレンズlnの像側面までの最大空気間隔をDWAMとする。望遠端におけるズームレンズの最物体側面から像面までの間隔をLT、望遠端におけるレンズ群LPの最物体側面からレンズlnの像側面までの間隔をDTとする。望遠端における開放状態のFナンバーをFnoTとする。望遠端におけるズームレンズの焦点距離をfTとする。レンズlnの広角端における横倍率をβWN、望遠端における横倍率をβTNとする。レンズlnの物体側の曲率半径をR1N、像側の曲率半径をR2Nとする。レンズlnの屈折率をndN、アッベ数をνdNとする。広角端から望遠端へのズーミングにおいて第1レンズ群L1が物体側へ移動する移動量をM1とする。レンズ群LPの焦点距離をfPとする。広角端における絞りSPから像面までの間隔をLSPとする。シフトレンズLsの焦点距離をfS、レンズ群LPの焦点距離をfP、フォーカスレンズ群Lfの焦点距離をfFとする。このとき各実施例において、好ましくは、以下の条件式(5)~(21)の少なくとも一つを満足する。
【0029】
0.00<DWA/DW<0.50 ・・・(5)
0.00<DWAM/DW<0.20 ・・・(6)
0.35<DT/LT<1.00 ・・・(7)
1.00<FnoT<4.00 ・・・(8)
0.00<|mP/LW|<0.40 ・・・(9)
0.00<|mN/LW|<0.30 ・・・(10)
1.00<|fT/fN|<4.00 ・・・(11)
1.00<|DW/fN|<3.00 ・・・(12)
1.10<βTN/βWN<2.00 ・・・(13)
0.00<|R1N/R2N|<0.35 ・・・(14)
1.45<ndN<1.60 ・・・(15)
65.0<νdN<100.0 ・・・(16)
0.10<|M1/LW|<0.50 ・・・(17)
0.10<fP/LW<0.50 ・・・(18)
0.50<LSP/LW<0.90 ・・・(19)
1.00<|fS/fP|<4.00 ・・・(20)
0.30<|fF/fT|<0.80 ・・・(21)
条件式(5)は、広角端におけるレンズ群LPの最も物体側面から最も像側面までの間隔における、空気間隔の総和の比率を規定した条件式である。条件式(5)の上限値を超えて空気間隔の総和が大きくなると、大口径高性能化に必要なレンズ枚数が足りず、高性能化を実現できなくなるため好ましくない。一方、条件式(5)の下限値を超えて空気間隔の総和が小さくなると、高性能化には有利となるが、レンズが干渉するため好ましくない。
【0030】
条件式(6)は、広角端におけるレンズ群LPの最も物体側面から最も像側面までの間隔における、空気間隔の最大空気間隔を規定した条件式である。条件式(6)の上限値を超えて最大空気間隔が大きくなると、大口径高性能化に必要なレンズ枚数が足りず、高性能化を実現できなくなるため好ましくない。一方、条件式(6)の下限値を超えて最大空気間隔が小さくなると、高性能化には有利となるが、レンズが干渉するため好ましくない。
【0031】
条件式(7)は、望遠端における光学全長と、望遠端におけるレンズ群LPの最も物体側面から最も像側面までの間隔の比率を規定した条件式である。条件式(7)の上限値を超えると望遠端における所定の変倍比を確保することが困難となるため好ましくない。または、望遠端の全長を長くしないと光学性能を確保できなくなるため、好ましくない。一方、条件式(7)の下限値を超えると望遠端における光学全長が大きくなりすぎるため小型化を実現することができず好ましくない。または、望遠端の大口径を実現するためのレンズ枚数が少なくなるため好ましくない。
【0032】
条件式(8)は、望遠端のFナンバーを規定した条件式である。条件式(8)の上限値を超えると、暗くなりすぎ、狙いの大口径のFナンバーを満足することができず好ましくない。一方、条件式(8)の下限値を超えてFナンバーが小さくなると大口径となりすぎ、レンズ枚数が増加し、大型化するため好ましくない。
【0033】
条件式(9)は、ズーミングにおけるレンズ群LPの物体側への移動量と広角端の光学全長を規定した条件式である。条件式(9)の上限値を超えてレンズ群LPの移動量が大きくなると、望遠端における光学全長が大きくなり、望遠端の大口化を実現するためにはレンズ群LPのレンズ径が大きくなってしまい好ましくない。一方、条件式(9)の下限値を超えてレンズ群LPの移動量が小さくなると、小型大口径化には有利であるが、所定のズーム倍率の確保が困難となるため、好ましくない。
【0034】
条件式(10)は、ズーミングにおける最像側のレンズlnの物体側への移動量と広角端の光学全長を規定した条件式である。条件式(10)の上限値を超えて最像側のレンズlnの物体側への移動量が大きくなると、望遠端において、所定の変倍比の確保はでき、望遠端の光学全長への短縮には有利であるが、望遠端においてレンズ同士が干渉するため好ましくない。また、干渉を防ぐためにレンズ枚数を削減すると、望遠端の大口径化を実現できなくなり好ましくない。
【0035】
条件式(11)は、望遠端の焦点距離と最像側のレンズlnの焦点距離の比を規定した条件式である。条件式(11)の上限値を超えて望遠端の焦点距離が長くなると、高倍率化の方向であるため光学仕様としては魅力が出るが、レンズが大型化してしまうため好ましくない。あるいはレンズlnの屈折力が強くなりすぎるため、撮像素子への入射角度が強くなりすぎ、好ましくない。一方、条件式(11)の下限値を超えて望遠端の焦点距離が短くなると、所定の仕様を満たすことができず、好ましくない。また、レンズlnの屈折力が弱くなりすぎるため、光学全長の短縮効果が弱くなり、広角端の光学全長が長くなるため好ましくない。
【0036】
条件式(12)は、広角端におけるレンズ群LPの最も物体側面から最像側レンズlnの像側面までの間隔と望遠端の焦点距離と最像側のレンズlnの焦点距離の比を規定した条件である。大口径化における収差補正は主にレンズ群LPの最も物体側面から最像側レンズlnの像側面までの間隔内のレンズにおいて補正している。条件式(12)の上限値を超えてレンズ群LPの最も物体側面から最像側レンズlnの像側面までの間隔が大きくなると、レンズ枚数を配置することができるため大口径化には有利となるが、大型化してしまうため好ましくない。一方、条件式(12)の下限値を超えて、最も物体側面から最像側レンズlnの像側面までの間隔が小さくなると、レンズ枚数を配置が困難となり、大口径化の実現ができなくなるため好ましくない。
【0037】
条件式(13)は、最像側のレンズlnの広角端における横倍率と、望遠端における横倍率の比を規定した条件式である。条件式(13)の上限値を超えて大きくなると、ズーミングにおいてレンズlnよりも物体側の変倍分担を低減できるため、小型化あるいは高性能化を狙えるためよいが、レンズlnの移動量が大きくなる方向となり、大口径化が困難となるため好ましくない。一方、条件式(13)の下限値を超えて小さくなると、ズーミングにおけるレンズlnよりも物体側の変倍分担が大きくなるため、望遠端における光学全長が大きくなり好ましくない。
【0038】
条件式(14)は、最像側のレンズlnの形状を規定した条件式である。条件式(14)の上限値を超えて物体側面の曲率半径が大きくなると、広角端においてアンダー側の非点収差が発生するために好ましくない。一方、条件式(14)の下限値を超えて物体側面の曲率半径が小さくなると、広角端においてオーバー側の非点収差が発生するため好ましくない。
【0039】
条件式(15)、(16)は、最像側のレンズlnの屈折率とアッベ数を規定した条件式である。条件式(15)の上限値を超えて屈折率が高くなるとアッベ数が(16)の下限値を超える方向となり、広角端における倍率色収差補正不足となり好ましくない。一方、条件式(15)の下限値を超えて屈折率が低くなると、アッベ数が(16)の上限値を超える方向となり、広角端における倍率色収差補正過剰となるため好ましくない。
【0040】
条件式(17)は、ズーミングにおける第1レンズ群L1の物体側への移動量と広角端における光学全長を規定した条件式である。条件式(17)の上限値を超えて第1レンズ群の移動量が大きくなると、第1レンズ群L1のレンズ径が望遠端の軸外光線に決まることになり、レンズ径の増大と望遠端のレンズ全長が大きくなるため、好ましくない。一方、条件式(17)の下限値を超えて第1レンズ群L1の移動量が小さくなると、小型化には有利となるが、第1レンズ群L1よりも像側のレンズ群の移動量が制約される。このとき変倍比を確保しようとすると、各レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、ズーミングにおける球面収差変動や像面湾曲変動が大きくなるため、好ましくない。
【0041】
条件式(18)は、レンズ群LPの焦点距離を規定した条件式である。条件式(18)の上限値を超えてレンズ群LPの屈折力が弱くなると、大口径の球面変動には有利となるが、屈折力が弱くなる分移動量が大きくなり、望遠端のレンズ群LPのレンズ径が大きくなるため好ましくない。一方、条件式(18)の下限値を超えてレンズ群LPお屈折力が強くなると、小型化には有利であるが、ズーミングにおける球面収差変動が大きくなるため好ましくない。
【0042】
条件式(19)は、広角端における絞りSPの位置を規定した条件式である。望遠端の大口径化における高性能化を実現するために多くのレンズ枚数が必要となる。広角端において、レンズ間隔が最短化する構成となっているが、レンズ枚数が多いため、レンズ群LPの物体側に隣接して配置した絞りから像面にかけてはある程度レンズ厚みがある構成となる。条件式(19)の上限値を超えて広角端における絞りから像面までの間隔が長くなると、高性能化に必要なレンズ枚数は配置できるが、広角端におけるレンズ全長が大きくなるため好ましくない。一方、条件式(19)の下限値を超えて広角端における絞りから像面までの間隔が短くなると、小型化には有利となるが、高性能化を実現することができなくなるため、好ましくない。
【0043】
条件式(20)は、防振時に光軸OAと交差する方向に移動するシフトレンズLsの焦点距離を規定した条件式である。条件式(20)の上限値を超えてシフトレンズLsの焦点距離が長くなると、防振に必要なシフト量が大きくなり、メカ構造を含めたレンズの大型化となるため、好ましくない。一方、条件式(20)の下限値を超えてシフトレンズLsの焦点距離が短くなると、シフト量は小さくなるため、小型化には有利となるが、組立によるシフトレンズLsの倒れの敏感度が大きくなり、要求精度が高くなるため、好ましくない。
【0044】
条件式(21)は、フォーカスレンズ群Lfの焦点距離を規定した条件式である。条件式(21)の上限値を超えてフォーカスレンズ群Lfの焦点距離が長くなると、フォーカシングに必要な移動量を確保することが困難となり、確保するには大型化してしまうため、好ましくない。一方、条件式(21)の下限値を超えてフォーカスレンズ群Lfの焦点距離が短くなると、小型化には有効であるが、組立によるLf群の倒れの敏感度が大きくなり、要求精度が高くなるため、好ましくない。
【0045】
各実施例において、好ましくは、条件式(5)~(21)の数値範囲をそれぞれ以下の条件式(5a)~(21a)のように設定する。
【0046】
0.15<DWA/DW<0.40 ・・・(5a)
0.03<DWAM/DW<0.15 ・・・(6a)
0.39<DT/LT<0.70 ・・・(7a)
2.00<FnoT<3.80 ・・・(8a)
0.10<mP/LW<0.30 ・・・(9a)
0.05<mN/LW<0.25 ・・・(10a)
1.50<|fT/fN|<3.80 ・・・(11a)
1.30<DW/fN<2.50 ・・・(12a)
1.15<βTN/βWN<1.80 ・・・(13a)
0.02<|R1N/R2N|<0.32 ・・・(14a)
1.49<ndN<1.56 ・・・(15a)
75.0<νdN<90.0 ・・・(16a)
0.20<M1/LW<0.45 ・・・(17a)
0.13<fP/LW<0.45 ・・・(18a)
0.55<LSP/LW<0.70 ・・・(19a)
1.05<|fS/fP|<3.90 ・・・(20a)
0.35<|fF/fT|<0.70 ・・・(21a)
より好ましくは、条件式(5)~(21)の数値範囲をそれぞれ以下の条件式(5b)~(21b)のように設定することで、各条件式が意味する効果をより高めることができる。
【0047】
0.20<DWA/DW<0.32 ・・・(5b)
0.05<DWAM/DW<0.14 ・・・(6b)
0.40<DT/LT<0.55 ・・・(7b)
2.80<FnoT<3.60 ・・・(8b)
0.15<|mP/LW|<0.27 ・・・(9b)
0.10<|mN/LW|<0.21 ・・・(10b)
1.60<|fT/fN|<3.50 ・・・(11b)
1.40<|DW/fN|<2.30 ・・・(12b)
1.20<βTN/βWN<1.65 ・・・(13b)
0.004<|R1N/R2N|<0.29 ・・・(14b)
1.495<ndN<1.510 ・・・(15b)
80.0<νdN<85.0 ・・・(16b)
0.23<|M1/LW|<0.43 ・・・(17b)
0.15<fP/LW<0.40 ・・・(18b)
0.15<LSP/LW<0.65 ・・・(19b)
1.10<|fS/fP|<3.80 ・・・(20b)
0.38<|fF/fT|<0.67 ・・・(21b)
各実施例によれば、以上のように各要素を構成することにより、大口径でありながら、光学全長が短く、高性能な小型なズームレンズを実現することが可能とる。
【0048】
実施例1、2、5、6のズームレンズ1a、1b、1e、1fはそれぞれ、5つのレンズ群から構成されている。すなわち各ズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、絞り(開口絞り)SPを含む正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5からなる。ここで屈折力とは、光学的パワー、すなわち焦点距離の逆数に相当する。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第3レンズ群L3は物体側へ移動し、第4レンズ群L4は物体側へ移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。ズーミングに際し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は広がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は狭まり、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との間隔は広がるように移動する。このように隣り合うレンズ群の間隔が変化することにより、各ズームレンズは変倍している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、および第5レンズ群L5が物体側へ移動することにより、広角端における各ズームレンズの光学全長を短縮化することができる。
【0049】
絞りSPは、第4レンズ群L4の最物体側に配置し、広角端において第1レンズ群L1の最物体側面との間隔を狭めることにより、広角端にて大きくなる第1レンズ群の径を小型化することができる。
【0050】
第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、物体側に位置するように移動することで、広角端における光学全長を短縮しつつ、大きな変倍比が得られるようにしている。第1レンズ群L1の最物体側面の径は、広角側の軸外光線で決まり、広角化するほど前玉径が大きく小型化が困難となる。そのため、広角端にて光学全長を短くし、第1レンズ群L1と絞りSPの位置を近づけ、ズーミングに際し、第1レンズ群L1を物体側に移動することで望遠端のズーム倍率を稼ぐ構成とすると、第1レンズ群L1の径を小さくすることができる。また、広角端において歪曲収差をある程度許容した電子収差補正前提の構成とすれば、広角端における最軸外光線の像面上の結像位置を低く設定できるため、第1レンズL1の径を小さくすることが可能となり、小型化を図ることができる。また、第1レンズ群L1を2枚の接合レンズとすることで、色収差を補正しつつも光軸上の厚みを薄くできるため、第1レンズ群L1の径の小型化を実現している。
【0051】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第2レンズ群L2が物体側に位置するように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が広がるように移動させることにより、変倍効果を持たせている。また、ズーミング際し、広角端に比べ望遠端において第3レンズ群L3が物体側に位置するように第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が狭まる移動させることにより、ズーミングにおける像面の変動を良好にしている。また、第3レンズ群L3にてフォーカシングを行う構成としている。第3レンズ群L3は、フォーカスレンズ群Lfに相当する。第3レンズ群L3に関する実線の曲線faと点線の曲線fbは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う移動軌跡である。また望遠端において、無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合には、矢印fcに示す如く第3レンズ群L3を前方に繰出すことで行っている。フォーカシングにおいて第3レンズ群L3は前方(物体側)へ移動するため、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3はフォーカシングによるレンズ同士の干渉を回避するための間隔を有し、ズーミングにおける像面を良好に補正するために別軌跡としている。
【0052】
また、カメラの電源OFF時にて沈胴する際には第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の空気間隔を短縮して、光学全長を短縮することも可能である。また、小型化を実現するため、フォーカスレンズ群Lfは1枚の負レンズとしている。1枚の負レンズとすることにより、レンズを軽量化できるため、フォーカスに駆動に必要なメカ構造を小型化にできる。
【0053】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第4レンズ群L4が物体側に位置するように第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔が狭まるように移動させることにより、第4レンズ群L4に大きな変倍効果を持たせている。第4レンズ群L4は、物体側から像側へ順に、絞りSP、および、正の屈折力のレンズ群LPから構成されている。負の屈折力の第3レンズ群L3から発散してきた軸上光線をより発散させないように、絞りSPの像側に隣接して強い正の屈折力を配置することで、第4レンズ群L4の径方向の小型化を実現している。
【0054】
絞りSPの近傍において軸外光線は光軸上を通過するため、軸上光線と同じ位置を通過し、収差補正のためにレンズ枚数が必要となる。また、絞り近傍は軸上光線が最も広くなるため、大口径であるほど収差補正のためレンズ枚数は必要になる。枚数増加による小型化を実現するため、レンズ群LP内のレンズ同士の空気間隔を狭めつつ、絞りSPからレンズ群LPの最像側面までの間隔を狭めることで、レンズ群LPの径の小型化を図っている。また、レンズ群LPは、光軸OAと垂直に移動する、負の屈折力のシフトレンズ(防振レンズ群)Lsを有する。
【0055】
絞りSPから像側へ離れるほど軸上光線幅は像面に向かってが小さくなるが、軸外光線は絞りSPにて光軸上を通過した後像面の最周辺に向かって進むため、像面に近づくほどレンズ周辺部を通しレンズ光線有効範囲が広がっていく。絞りSPよりも像側において、軸上光線と軸外光線のそれぞれの径方向が大きくならない位置にシフトレンズLsを配置することにより、レンズ径を小さくすることができる。また、絞りSPの像側に隣接したレンズは、軸上光線を屈折させるため強い正の屈折力を有するが、正の屈折力と焦点距離が異符号となる負の屈折力のシフトレンズLsを配置することにより、屈折力の強い防振レンズ群を実現することができる。
【0056】
屈折力が強いほど、光軸OAと垂直方向へ移動するシフト移動量を短縮できるため小型化に有効である。屈折力が強く径方向に小型化可能な配置のレンズを防振レンズ群とすることで、絞りSP周辺部のメカ構造から離れた位置にシフト群を配置することができる。このため、シフトレンズLs周辺部のメカ構造を配置可能であり、絞りSP近傍のメカ構造との干渉を避ける構造が実現でき、カメラとしての小型化を実現できる。また、小型化の実現とシフトによる倍率色収差変動を低減するために、シフト群は正レンズと負レンズの接合レンズとしている。
【0057】
第5レンズ群L5を像側近傍に配置することにより、広角端における最物体側面から像面までの光学全長の短縮をしている。第5レンズ群L5は、最も像側に配置された、強い負の屈折力のレンズ(最終レンズ)lnを有する。最も像側に強い負の屈折力のレンズlnを配置することで、後側主点を物体側に配置することができる。そのため、結像点と最終レンズの間隔を短縮できる短いバックフォーカスの構成とできるため、光学全長を短縮できる。
【0058】
また、強い負の屈折力のレンズlnをズーミングに際して物体側へ移動することにより、レンズlnは広角端から望遠端にかけて横倍率の絶対値が大きくなるため、レンズlnよりも物体側に配置されたレンズ群の変倍効果を弱めることができる。第5レンズ群L5よりも物体側のレンズ群の移動量を短縮できるため、望遠端の小型化を実現できる。レンズlnは、物体側に強い凹面を向けた形状としている。レンズlnの中心よりも像面部にかけてレンズ厚が厚くなる形状とすることで、広角端における像面湾曲の補正を行っている。
【0059】
またズーミングにおいて、第4レンズ群L4は、第5レンズ群L5との間隔が広がるように移動させている。ズーミングにおいて、第4レンズ群L4は第5レンズ群L5との間隔が広がるように移動することで、ズーミングにおける像面変動を補正している。このように、大口径仕様においてはレンズ枚数が必要になるが、広角端において、レンズ群LPの最も物体側の面からレンズlnの像側面までの間隔を短縮しつつも、バックフォーカスを短くすることで、大口径仕様でありながら、広角端の光学全長を短縮している。
【0060】
実施例3のズームレンズ1cは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、および、絞りSPを含む正の屈折力の第3レンズ群L3から構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第3レンズ群L3は物体側へ移動する。ズーミングに際し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は広がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まる方向に移動することにより変倍している。広角端から望遠端に際して、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、および、第3レンズ群L3は、物体側へ移動することにより、広角端における光学全長の短縮を図っている。
【0061】
絞りSPは、第3レンズ群L3の最物体側に配置されており、広角端において第1レンズ群L1の最物体側面との間隔を狭めることにより、広角端にて大きくなる第1レンズ群L1の径の小型化を図っている。
【0062】
第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、物体側に位置するように移動させることで、広角端における光学全長を短縮しつつ、大きな変倍比が得られるようにしている。第1レンズ群L1の最物体側面の径は、広角側の軸外光線で決まり、広角化するほど前玉径が大きく小型化が困難となる。そのため、広角端にて光学全長を短くし、第1レンズ群L1と絞りSPの位置を近づけ、ズーミングに際し、第1レンズ群L1を物体側に移動することで望遠端のズーム倍率を稼ぐ構成とすると、第1レンズ群L1の径を小さくすることができる。
【0063】
また、広角端において歪曲収差をある程度許容した電子収差補正前提の構成とすれば、広角端における最軸外光線の像面上の結像位置を低く設定できるため、第1レンズL1の径を小さくすることが可能となり、小型化を図ることができる。また、第1レンズ群L1を2枚の接合レンズとすることで、色収差を補正しつつも光軸上の厚みを薄くできるため、第1レンズ群径の小型化を実現している。
【0064】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第2レンズ群L2が物体側に位置するように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が広がるように移動させることにより、変倍効果を持たせている。また、第2レンズ群の最像側のレンズにてフォーカシングを行う構成としている。第2レンズ群L2の最像側レンズ群は、フォーカスレンズ群Lfに相当する。フォーカスレンズ群Lfに関する実線の曲線faと点線の曲線fbは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う移動軌跡である。
【0065】
また望遠端において、無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合には、矢印fcに示す如くLfを前方に繰出すことで行っている。フォーカシングにおいて、フォーカスレンズ群Lfは前方(物体側)へ移動するため、第2レンズ群L2のフォーカスレンズ群Lfよりも物体側のレンズとのフォーカシングによるレンズ同士の干渉を回避するための間隔を有している。
【0066】
また、カメラの電源OFF時にて沈胴する際には、第2レンズ群L2とフォーカスレンズ群Lfとの空気間隔を短縮して、光学全長を短縮することも可能である。また、小型化を実現するため、フォーカスレンズ群Lfは1枚の負レンズとしている。1枚の負レンズとすることにより、レンズを軽量化できるため、フォーカスに駆動に必要なメカ構造を小型化することができる。
【0067】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第3レンズ群L3が物体側に位置するように第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が狭まるように移動させることにより、第3レンズ群L3に大きな変倍効果を持たせている。第3レンズ群L3は、物体側から、絞りSP、および正の屈折力のレンズ群LPから構成されている。負の屈折力の第2レンズ群L2から発散してきた軸上光線をより発散させないように、絞りSPの像側に隣接して強い正の屈折力のレンズ群LPを配置することで、第3レンズ群L3の径方向の小型化を実現している。
【0068】
絞りSPの近傍において軸外光線は光軸上を通過するため、軸上光線と同じ位置を通過し、収差補正のためにレンズ枚数が必要となる。また、絞りSPの近傍は軸上光線が最も広くなるため、大口径であるほど収差補正のためレンズ枚数は必要になる。枚数増加による小型化を実現するため、レンズ群LP内のレンズ同士の空気間隔を狭めつつ、絞りSPからレンズ群LPの最像側面までの間隔を狭めることで、レンズ群LPの径の小型化を図っている。また、負の屈折力のシフトレンズLsは、光軸OSと垂直に移動する防振レンズ群である。
【0069】
絞りSPから像側へ離れるほど軸上光線幅は像面に向かってが小さくなるが、軸外光線は絞りSPにて光軸上を通過した後像面の最周辺に向かって進むため、像面に近づくほどレンズ周辺部を通しレンズ光線有効範囲が広がっていく。絞りSPよりも像側において、軸上光線と軸外光線のそれぞれの径方向が大きくならない位置にシフトレンズLsを配置することでレンズ径を小さくできる。
【0070】
また、絞りSPの像側に隣接したレンズは、軸上光線を屈折させるために強い正の屈折力を有するが、正の屈折力と焦点距離が異符号となる負の屈折力のシフトレンズLsを配置することにより、屈折力の強いレンズ群を防振レンズ群とすることができる。屈折力が強いほど、光軸OAと垂直方向へ移動するシフト移動量を短縮できるため小型化に有効である。屈折力が強く径方向へ小型化できる配置のレンズを防振レンズ群とすることで、絞りSP周辺部のメカ構造から離れた位置にシフト群を配置できる。このため、シフトレンズLs周辺部のメカ構造を配置可能であり、絞りSP近傍のメカ構造との干渉を避ける構造が実現でき、カメラとしての小型化を実現することができる。
【0071】
また、小型化の実現とシフトによる倍率色収差変動を低減するため、シフトレンズLsは正レンズと負レンズとの接合レンズとしている。第3レンズ群L3は、最も像側に強い負の屈折力のレンズlnを配置している。最も像側に強い屈折力の負レンズを配置することで、後側主点を物体側に配置することができる。そのため、結像点と最終レンズの間隔を短縮できる短いバックフォーカスの構成とできるため、光学全長を短縮できる。
【0072】
また、強い負の屈折力のレンズlnをズーミングに際して物体側へ移動することにより、レンズlnは広角端から望遠端にかけて横倍率の絶対値が大きくなるため、レンズlnよりも物体側に配置されたレンズ群の変倍効果を弱めることができる。第3レンズ群L3よりも物体側のレンズ群の移動量を短縮できるため、望遠端の小型化を実現できる。レンズlnは物体側に強い凹面を向けた形状としている。レンズlnの中心よりも像面部にかけてレンズ厚が厚くなる形状とすることで、像面湾曲の補正を行っている。このように、大口径仕様においてはレンズ枚数が必要になるが、広角端において、レンズ群LPの最も物体側の面からレンズlnの像側面までの間隔を短縮しつつも、バックフォーカスを短くすることで、大口径仕様でありながら、広角端の光学全長を短縮している。
【0073】
実施例4のズームレンズ1dは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、絞りSPを含む正の屈折力の第3レンズ群L3、および、負の屈折力の第4レンズ群L4の4つのレンズ群から構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側へ移動し、第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第3レンズ群L3は物体側へ移動し、第4レンズ群L4は物体側へ移動する。ズーミングに際し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は広がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は広がるように移動することにより変倍している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、および第4レンズ群L4が物体側に移動することにより、広角端における光学全長の短縮を図っている。絞りSPは、第3レンズ群L3の最物体側に配置され、広角端において第1レンズ群L1の最物体側面との間隔を狭めることにより、広角端にて大きくなる第1レンズ群径の小型化を図っている。
【0074】
第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、物体側に位置するように移動させることで、広角端における光学全長を短縮しつつ、大きな変倍比が得られるようにしている。第1レンズ群L1の最物体側面の径は、広角側の軸外光線で決まり、広角化するほど前玉径が大きく小型化が困難となる。そのため、広角端にて光学全長を短くし、第1レンズ群L1と絞りSPの位置を近づけ、ズーミングに際し、第1レンズ群L1を物体側に移動することで望遠端のズーム倍率を稼ぐ構成とすると、第1レンズ群L1の径を小さくできる。
【0075】
また、広角端において歪曲収差をある程度許容した電子収差補正前提の構成とすれば、広角端における最軸外光線の像面上の結像位置を低く設定できるため、第1レンズL1の径を小さくすることが可能となり、小型化を図ることができる。また、第1レンズ群L1を2枚の接合レンズとすることで、色収差を補正しつつも光軸上の厚みを薄くできるため、第1レンズ群径の小型化を実現している。
【0076】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第2レンズ群L2が物体側に位置するように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が広がるように移動させることにより、変倍効果を持たせている。また、第2レンズ群L2にてフォーカシングを行う構成としている。第2レンズ群L2は、フォーカスレンズ群Lfに相当する。第2レンズ群L2に関する実線の曲線faと点線の曲線fbは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う移動軌跡である。また望遠端において、無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合、矢印fcに示す如く第2レンズ群L2を前方に繰出すことで行っている。フォーカシングにおいて、第2レンズ群L2は前方(物体側)へ移動するため、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2はフォーカシングによるレンズ同士の干渉を回避するための間隔を有している。また、カメラの電源OFF時にて沈胴する際には第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の空気間隔を短縮して、光学全長を短縮することも可能である。
【0077】
また、ズーミングに際し、広角端に比べ望遠端において第3レンズ群L3が物体側に位置するように第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が狭まるように移動させることにより、第3レンズ群L3に大きな変倍効果を持たせている。第3レンズ群L3は、物体側から像側へ順に、絞りSP、および、正の屈折力のレンズ群LPから構成されている。負の屈折力の第2レンズ群L2から発散してきた軸上光線をより発散させないように、絞りSPの像側に隣接して強い正の屈折力を配置することで、第3レンズ群L3の径方向の小型化を実現している。
【0078】
絞りSPの近傍において軸外光線は光軸上を通過するため、軸上光線と同じ位置を通過し、収差補正のためにレンズ枚数が必要となる。また、絞りSPの近傍は軸上光線が最も広くなるため、大口径であるほど収差補正のためレンズ枚数は必要になる。枚数増加による小型化を実現するためにレンズ群LP内のレンズ同士の空気間隔を狭めつつ、絞りSPからレンズ群LPの最像側面までの間隔を狭めることでレンズ群LPの径の小型化を図っている。また、負の屈折力のシフトレンズLsは、光軸OAと垂直に移動する防振レンズ群である。
【0079】
絞りSPから像側へ離れるほど軸上光線幅は像面に向かってが小さくなるが、軸外光線は絞りSPにて光軸上を通過した後像面の最周辺に向かって進むため、像面に近づくほどレンズ周辺部を通しレンズ光線有効範囲が広がっていく。絞りSPよりも像側において、軸上光線と軸外光線のそれぞれの径方向が大きくならない位置にシフトレンズLsを配置することにより、レンズ径を小さくすることができる。また、絞りSPの像側に隣接したレンズは、軸上光線を屈折させるために強い正の屈折力を有するが、正の屈折力と焦点距離が異符号となる負の屈折力のシフトレンズLsを配置することにより、屈折力の強いレンズ群を防振レンズ群とすることができる。屈折力が強いほど、光軸と垂直方向へ移動するシフト移動量を短縮できるため小型化に有効である。屈折力が強く径方向へ小型化できる配置のレンズを防振レンズ群とすることで、絞りSP周辺部のメカ構造から離れた位置にシフト群を配置できる。このため、シフトレンズLs周辺部のメカ構造を配置可能であり、絞りSP近傍のメカ構造との干渉を避ける構造が実現でき、カメラとしての小型化を実現できる。また、小型化の実現とシフトによる倍率色収差変動を低減するために、シフトレンズLsは正レンズと負レンズの接合レンズからなる。
【0080】
第4レンズ群L4を像側近傍に配置することにより、広角端における最物体側面から像面までの光学全長の短縮をしている。第4レンズ群L4は最も像側に強い負の屈折力のレンズlnを配置している。最も像側に強い屈折力の負レンズを配置することで、後側主点を物体側に配置することができる。そのため、結像点と最終レンズの間隔を短縮できる短いバックフォーカスの構成とできるため、光学全長を短縮できる。また、強い負の屈折力のレンズlnをズーミングに際して物体側へ移動することにより、lnは広角端から望遠端にかけて横倍率の絶対値が大きくなるため、レンズlnよりも物体側に配置されたレンズ群の変倍効果を弱めることができる。第4レンズ群L4よりも物体側のレンズ群の移動量を短縮できるため、望遠端の小型化を実現できる。レンズlnは物体側に強い凹面を向けた形状としている。レンズlnの中心よりも像面部にかけてレンズ厚が厚くなる形状とすることで、像面湾曲の補正を行っている。
【0081】
また、ズーミングにおいて、第3レンズ群L3は第4レンズ群L4との間隔が広がるように移動させている。ズーミングにおいて、第3レンズ群L3は第4レンズ群L4との間隔が広がるように移動することで、ズーミングにおける像面変動を補正している。このように、大口径仕様においてはレンズ枚数が必要になるが、広角端において、レンズ群LPの最も物体側の面からレンズlnの像側面までの間隔を短縮しつつも、バックフォーカスを短くすることで、大口径仕様でありながら、広角端の光学全長を短縮している。
【0082】
各実施例において、正の屈折力の第1レンズ群L1は、負レンズと正レンズの2枚のレンズを接合した構成であることが好ましい。第1レンズ群L1を正レンズ1枚にて構成すると小型化には有利であるが、広角端における倍率色収差の補正が困難になり、3枚構成にすると収差補正には有利となるが大型化する。負レンズと正レンズの2枚で構成することにより、広角端における倍率色収差を良好に補正し、第1レンズ群L1の径の小型化が可能になる。
【0083】
負の屈折力の第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に、第1の負レンズ、第2の負レンズ、第3の正レンズを含む4枚以下のレンズから構成されることが好ましい。広角端の焦点距離は銀塩換算の25mm相当よりも広角であることを想定しており、広角端の軸外光線を絞りに導くために物体側から第1の負レンズ、第2の負レンズの構成で軸外光線を分割して屈折させる配置にすることが好ましい。像面湾曲、非点収差を良好に補正できる。また、第3の正レンズを配置することで、広角端の倍率色収を補正することができる。また、第3の正レンズの像側には像側に凸面を向けたメニスカス形状の負の屈折力のレンズを配置させることが好ましい。像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズとすることで、第2レンズ群L2の物体側からの第1の負レンズ、第2の負レンズ、第3の正レンズからの軸上光線の発散光線を、さらに負の屈折力で分割することで、球面収差を良好に補正できる。
【0084】
フォーカスレンズ群Lfは、実施例1、2、5、6において負の屈折力の第3レンズ群L3、実施例3において第2レンズ群L2の最像側に配置したレンズ、実施例4において第2レンズ群L2である。フォーカスレンズ群Lfは、絞りSPよりも物体側の絞り近傍に配置されていることが好ましい。絞り近傍に配置することにより、レンズ径を小型化できる。絞りSPよりも物体側において軸外光線は絞り中心に向かって進み、フォーカスレンズ群Lfにおける軸外光線束はフォーカスレンズの周辺部を通過する。フォーカスレンズ群Lfの形状を物体側に凹面を向けた形状とすることで、フォーカレンズ群Lfに入射するレンズの急激な屈折を抑え、フォーカスによる移動時の変化に対しても屈折の変化を少なく設定できる。また、フォーカスレンズ群Lfの焦点距離を適切に設定することで、フォーカシングの移動量を少なくすることができるため、フォーカス移動時の性能変動を少なくすることができる。
【0085】
正の屈折力のレンズ群LPは、最も物体側に強い屈折力の1枚の正レンズを配置し、両面の形状を非球面形状とすることで、球面収差やコマ収差を良好に補正している。絞りSPの直後のレンズで大口径を実現する場合、望遠端において最もレンズ径が大きくなり、両面非球面にすることで1枚のレンズでありながら収差補正に寄与できる。また、1枚の正レンズの像側には。負レンズと正レンズの接合レンズを配置している。最も軸上光線の光線側が広がるレンズ群LPにおいて、物体側から正レンズ、負レンズ、正レンズのトリプレット構成とすることにより、球面収差、コマ収差を良好に補正している。
【0086】
以下、実施例1~6にそれぞれ対応する数値実施例1~6を示す。各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)である。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。最も像側の2面は、フェースプレート等のガラス材である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数である。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)、g線(波長435.8nm)における屈折率をNd、NF、NC、Ngとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0087】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例のズームレンズが無限遠物体に焦点を合わせたときの値である。バックフォーカスBFは、最終レンズ面から像面までの空気換算の距離である。レンズ全長は、第1レンズ面から最終レンズ面までの距離にバックフォーカスを加えた値である。また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、B、C、D、E、Fを各次数の非球面係数とするとき、以下の式(A)で表される。
【0088】
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2]+Bh4+Ch6+Dh8+Eh10+Fh12 ・・・(A)
なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0089】
また、前述の各条件式と各実施例との関係を表1に示す。
【0090】
(数値実施例1)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 69.511 1.20 1.98612 16.5
2 48.524 6.18 1.76385 48.5
3 4760.216 (可変)
4 1200.245 1.00 1.77250 49.6
5 24.608 4.63
6* 166.035 1.40 1.85135 40.1
7* 33.916 0.09
8 32.672 3.30 1.95906 17.5
9 118.464 (可変)
10 -26.662 0.80 1.77250 49.6
11 -72.919 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 29.670 8.52 1.76802 49.2
14* -77.496 0.20
15 33.035 0.80 2.05090 26.9
16 19.859 13.12 1.43875 94.7
17 -51.497 0.30
18 243.992 5.61 1.43875 94.7
19 -29.478 0.80 1.62230 53.2
20 -42.502 2.05
21 -54.086 0.80 1.69680 55.5
22 19.636 3.97 1.49700 81.5
23* 52.888 3.82
24 33.500 3.44 1.67270 32.1
25 -208.472 (可変)
26 27.472 0.80 2.05090 26.9
27 20.777 2.78
28 42.787 12.48 1.49700 81.5
29 -15.636 0.80 1.75500 52.3
30 -30.903 3.84
31* -14.910 1.40 1.49700 81.5
32 -2857.905 (可変)
33 ∞ 1.30 1.51633 64.1
34 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.33984e-006 A 6= 9.74339e-009 A 8=-1.18910e-011 A10= 6.56106e-015
第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.29912e-006 A 6= 7.63421e-009 A 8=-1.45141e-011 A10=-5.36247e-015
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-6.13932e-006 A 6= 3.45992e-009 A 8=-2.93829e-012
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 8.33235e-006
第23面
K = 0.00000e+000 A 4=-2.06374e-006 A 6= 2.83505e-009 A 8= 1.95422e-012
第31面
K =-3.83558e-001 A 4= 4.81522e-005 A 6= 3.00594e-009 A 8= 1.90716e-010
各種データ
ズーム比 3.92
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 48.69 97.00
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
半画角 37.60 23.96 12.57
レンズ全長 119.56 132.86 152.43
BF 5.30 10.90 19.16
d 3 0.50 13.25 25.13
d 9 12.38 9.79 6.72
d11 16.61 7.21 1.01
d25 0.63 7.56 16.27
d32 3.94 9.55 17.81
d34 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 105.36
2 4 -33.89
3 10 -54.82
4 12 27.18
5 26 -41.07
6 33 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -167.73
2 2 64.14
3 4 -32.53
4 6 -50.31
5 8 46.17
6 10 -54.82
7 13 28.94
8 15 -48.90
9 16 34.61
10 18 60.32
11 19 -158.32
12 21 -20.58
13 22 60.44
14 24 43.15
15 26 -86.43
16 28 24.80
17 29 -42.89
18 31 -30.16
19 33 0.00
(数値実施例2)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 80.299 1.20 1.95906 17.5
2 52.146 5.38 1.76385 48.5
3 -983.570 (可変)
4 123.475 1.00 1.77250 49.6
5 21.588 6.13
6* -117.061 1.40 1.61881 63.9
7* 41.586 0.20
8 41.262 2.31 1.95906 17.5
9 183.635 (可変)
10 -21.981 0.80 1.77250 49.6
11 -61.849 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 22.425 6.60 1.76802 49.2
14* -61.326 0.20
15 46.301 0.80 2.00330 28.3
16 14.291 8.32 1.59522 67.7
17 -68.038 1.35
18 -82.353 0.80 1.59201 67.0
19 16.263 4.17 1.54814 45.8
20* 68.194 2.83
21 38.381 2.69 1.88300 40.8
22 -111.775 (可変)
23 32.515 0.80 1.72825 28.5
24 19.989 3.95
25 50.396 10.48 1.49700 81.5
26 -14.468 0.80 1.91082 35.3
27 -23.192 2.01
28* -14.819 1.40 1.49700 81.5
29 -128.058 (可変)
30 ∞ 1.30 1.51633 64.1
31 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4=-3.48771e-006 A 6= 5.89719e-008 A 8=-3.57314e-010 A10= 6.54295e-013
第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-4.67634e-006 A 6= 7.74442e-008 A 8=-5.30743e-010 A10= 1.09468e-012
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.06741e-005 A 6= 1.13438e-008 A 8=-1.01332e-011
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.61939e-005
第20面
K = 0.00000e+000 A 4=-6.62586e-006 A 6=-3.83397e-009 A 8=-2.02718e-011
第28面
K =-2.67941e-001 A 4= 2.34572e-005 A 6= 6.97194e-008 A 8= 8.70386e-011
各種データ
ズーム比 2.75
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 40.75 67.96
Fナンバー 2.06 3.50 3.50
半画角 37.60 27.97 17.66
レンズ全長 105.84 115.84 131.74
BF 13.77 21.03 28.47
d 3 0.50 9.98 22.59
d 9 13.74 9.46 5.84
d11 8.64 4.25 1.01
d22 3.55 5.49 8.20
d29 12.41 19.67 27.12
d31 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 111.37
2 4 -31.45
3 10 -44.53
4 12 21.61
5 23 -43.70
6 30 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -158.39
2 2 64.98
3 4 -34.01
4 6 -49.42
5 8 55.05
6 10 -44.53
7 13 22.14
8 15 -20.86
9 16 20.62
10 18 -22.87
11 19 37.88
12 21 32.63
13 23 -73.22
14 25 23.90
15 26 -44.16
16 28 -33.86
17 30 0.00
(数値実施例3)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 61.499 1.20 1.98612 16.5
2 43.509 4.82 1.76385 48.5
3 475.315 (可変)
4 89.608 1.00 1.77250 49.6
5 19.396 6.17
6* -33.594 1.40 1.51742 52.4
7* 51.673 0.20
8 41.849 3.10 2.00272 19.3
9 -97.420 5.07
10 -22.642 0.80 1.90043 37.4
11 -84.842 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 19.843 8.23 1.76802 49.2
14* -59.726 0.20
15 40.923 0.80 2.00330 28.3
16 12.333 11.06 1.59522 67.7
17 -128.534 3.13
18* 57.655 4.03 1.84666 23.8
19 -37.669 0.80 2.00100 29.1
20 33.377 1.59
21 29.510 6.33 1.88300 40.8
22 -215.135 1.22
23 32.745 0.80 1.59282 68.6
24 20.126 3.12
25 58.150 8.49 1.49700 81.5
26 -18.251 0.80 1.78800 47.4
27 -47.112 5.36
28* -16.466 1.40 1.49700 81.5
29 -225.236 (可変)
30 ∞ 1.30 1.51633 64.1
31 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4= 7.65229e-006 A 6=-5.54076e-008 A 8= 3.38762e-010 A10=-9.99233e-013
第7面
K = 0.00000e+000 A 4= 6.09635e-008 A 6=-7.33240e-008 A 8= 5.84045e-010 A10=-2.69199e-012
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.35770e-005 A 6= 1.59346e-008 A 8=-5.30058e-011
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 2.07001e-005
第18面
K = 0.00000e+000 A 4= 5.47482e-006 A 6=-6.81174e-009 A 8= 4.14433e-011
第28面
K = 6.66827e-002 A 4= 2.75451e-005 A 6= 1.62895e-009 A 8= 4.24682e-010
各種データ
ズーム比 2.75
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 40.96 67.96
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
半画角 37.60 27.84 17.66
レンズ全長 93.83 105.51 121.76
BF 3.29 10.64 20.42
d 3 0.58 9.75 19.69
d11 8.85 4.01 0.53
d29 1.93 9.28 19.06
d31 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 106.02
2 4 -17.06
3 12 14.75
4 30 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -156.00
2 2 62.40
3 4 -32.24
4 6 -39.13
5 8 29.52
6 10 -34.51
7 13 20.31
8 15 -17.85
9 16 19.48
10 18 27.44
11 19 -17.58
12 21 29.75
13 23 -90.22
14 25 29.02
15 26 -38.28
16 28 -35.82
17 30 0.00
(数値実施例4)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 73.880 1.20 1.80809 22.8
2 41.334 6.56 1.76385 48.5
3 529.246 (可変)
4 181.515 1.00 1.77250 49.6
5 22.126 5.15
6* -67.000 1.40 1.59201 67.0
7* 44.894 0.20
8 43.011 3.34 1.89286 20.4
9 -91.232 4.62
10 -21.357 0.80 1.88300 40.8
11 -59.863 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 19.418 7.94 1.76802 49.2
14* -63.299 0.20
15 32.405 0.80 2.00330 28.3
16 11.614 9.19 1.59522 67.7
17 45.017 0.86
18 119.528 2.50 1.43875 94.7
19 -66.847 1.65
20* 82.556 3.80 1.89286 20.4
21 -25.268 0.80 2.00069 25.5
22 37.700 2.46
23 26.765 4.64 1.58144 40.8
24 -107.336 (可変)
25 28.030 0.80 1.88300 40.8
26 20.977 2.67
27 45.635 5.03 1.49700 81.5
28 -38.854 0.80 1.75500 52.3
29 -51.374 7.42
30* -13.421 1.40 1.49700 81.5
31 -318.501 (可変)
32 ∞ 1.30 1.51633 64.1 45.00
33 ∞ (可変) 45.00
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4= 6.73668e-006 A 6= 5.84515e-009 A 8= 4.27548e-011 A10=-3.54954e-013
第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-2.58788e-006 A 6=-1.49228e-008 A 8= 1.55071e-010 A10=-1.46403e-012
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.26693e-005 A 6= 1.27555e-008 A 8=-4.89508e-011
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 2.23126e-005
第20面
K = 0.00000e+000 A 4= 5.64912e-006 A 6=-1.02156e-008 A 8= 6.91955e-011
第30面
K =-2.36690e-001 A 4= 3.32882e-005 A 6= 2.39122e-008 A 8= 4.22704e-010
各種データ
ズーム比 3.92
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 48.16 97.00
Fナンバー 2.90 3.50 3.50
半画角 37.60 24.19 12.57
像高 19.04 21.64 21.64
レンズ全長 98.44 114.37 139.82
BF 3.88 12.29 24.26
d 3 3.06 16.18 33.21
d11 12.97 5.48 0.48
d24 1.30 3.20 4.64
d31 2.52 10.93 22.90
d33 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 117.71
2 4 -18.33
3 12 22.71
4 25 -41.18
5 32 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -118.06
2 2 58.36
3 4 -32.71
4 6 -45.20
5 8 33.13
6 10 -37.97
7 13 20.19
8 15 -18.40
9 16 23.85
10 18 98.11
11 20 22.03
12 21 -15.02
13 23 37.32
14 25 -99.71
15 27 43.08
16 28 -217.13
17 30 -28.23
18 32 0.00
(数値実施例5)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 102.862 1.20 1.80809 22.8
2 43.158 5.32 1.76385 48.5
3 -378.346 (可変)
4 426.169 1.00 1.77250 49.6
5 23.400 4.79
6* -85.782 1.40 1.59201 67.0
7* 54.270 0.20
8 50.747 2.30 1.94595 18.0
9 -625.925 (可変)
10 -21.368 0.80 1.74400 44.8
11 -66.251 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 21.703 8.40 1.76802 49.2
14* -72.447 0.20
15 39.095 0.80 2.00330 28.3
16 13.551 11.85 1.59522 67.7
17 -74.757 0.98
18* -187.704 5.70 1.64769 33.8
19 -18.275 0.80 1.67003 47.2
20 50.378 4.21
21 32.514 3.06 1.95375 32.3
22 -659.177 (可変)
23 26.362 0.80 2.00330 28.3
24 18.503 2.53
25 42.432 9.16 1.49700 81.5
26 -16.105 0.80 2.00272 19.3
27 -22.168 2.40
28* -14.878 1.40 1.49700 81.5
29 306.823 (可変)
30 ∞ 1.30 1.51633 64.1
31 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4= 2.73259e-006 A 6= 3.85409e-008 A 8=-2.99006e-010 A10= 5.03913e-013
第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-3.14661e-007 A 6= 2.92501e-008 A 8=-3.50238e-010 A10= 6.08983e-013
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-8.30970e-006 A 6= 4.91710e-009 A 8=-8.59859e-012
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.84423e-005
第18面
K = 0.00000e+000 A 4= 4.63904e-006 A 6=-8.68020e-009 A 8= 4.06614e-011
第28面
K =-1.84508e-001 A 4= 2.51232e-005 A 6= 6.65653e-008 A 8= 8.12760e-011
各種データ
ズーム比 2.75
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 40.70 67.96
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
半画角 37.60 27.99 17.66
レンズ全長 105.23 114.26 130.69
BF 11.72 18.83 28.71
d 3 0.50 9.06 19.62
d 9 11.57 7.88 5.37
d11 9.49 4.21 0.40
d22 1.86 4.19 6.50
d29 10.36 17.47 27.35
d31 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 113.60
2 4 -35.85
3 10 -42.72
4 12 23.32
5 23 -41.01
6 30 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -92.85
2 2 50.99
3 4 -32.09
4 6 -55.94
5 8 49.71
6 10 -42.72
7 13 22.62
8 15 -21.00
9 16 20.29
10 18 30.85
11 19 -19.92
12 21 32.56
13 23 -65.19
14 25 24.78
15 26 -62.88
16 28 -28.51
17 30 0.00
(数値実施例6)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 65.879 1.20 1.98612 16.5
2 47.413 7.31 1.76385 48.5
3 1229.471 (可変)
4 204.034 1.00 1.77250 49.6
5 24.870 3.96
6* 80.054 1.40 1.80139 45.5
7* 24.068 0.20
8 24.906 2.75 1.98612 16.5
9 43.479 (可変)
10 -21.847 0.80 1.59282 68.6
11 -70.151 (可変)
12(絞り) ∞ 0.00
13* 26.765 8.50 1.76802 49.2
14* -64.111 0.20
15 37.616 0.80 2.05090 26.9
16 18.847 12.38 1.43875 94.7
17 -37.848 5.59
18 -86.838 0.80 1.59282 68.6
19 18.671 5.82 1.51823 58.9
20* 74.766 4.21
21 39.223 3.12 1.78590 44.2
22 -1129.490 (可変)
23 33.506 0.80 1.74077 27.8
24 22.855 2.62
25 53.151 9.45 1.49700 81.5
26 -17.529 0.80 1.78800 47.4
27 -30.268 3.98
28* -14.566 1.40 1.49700 81.5
29 -52.029 (可変)
30 ∞ 1.30 1.51633 64.1
31 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 4=-8.99104e-006 A 6= 7.58209e-008 A 8=-2.27723e-010 A10= 2.67414e-013
第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.18101e-005 A 6= 8.13265e-008 A 8=-2.46277e-010 A10= 2.26362e-013
第13面
K = 0.00000e+000 A 4=-9.44116e-006 A 6= 5.76443e-009 A 8=-8.31328e-012
第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 9.88725e-006
第20面
K = 0.00000e+000 A 4=-5.77962e-006 A 6=-9.35745e-011 A 8=-2.60803e-011
第28面
K =-4.19244e-001 A 4= 2.44964e-005 A 6= 2.50714e-008 A 8= 7.87147e-011
各種データ
ズーム比 3.90
広角 中間 望遠
焦点距離 24.84 49.28 96.95
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
半画角 37.47 23.70 12.58
レンズ全長 119.57 132.75 158.12
BF 10.39 15.81 26.91
d 3 0.50 15.46 28.73
d 9 15.12 7.95 8.48
d11 13.80 7.01 0.50
d22 0.67 7.42 14.42
d29 9.03 14.45 25.55
d31 0.50 0.50 0.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 102.73
2 4 -28.94
3 10 -53.85
4 12 26.89
5 23 -67.78
6 30 ∞
単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -177.25
2 2 64.39
3 4 -36.75
4 6 -43.43
5 8 55.08
6 10 -53.85
7 13 25.63
8 15 -36.74
9 16 30.72
10 18 -25.85
11 19 46.38
12 21 48.29
13 23 -100.26
14 25 27.75
15 26 -54.36
16 28 -41.21
17 30 0.00
【0091】
【0092】
[撮像装置]
次に、
図13を参照して、各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)について説明する。
図13は、撮像装置の概略図である。
図13において、20はカメラ本体、21は実施例1乃至6で説明したズームレンズ1a~1fのいずれかにより構成された撮像光学系である。22はカメラ本体20に内蔵され、撮像光学系21によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。カメラ本体20は、クイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。
【0093】
以上のように、各実施例は、各要素を設定することにより、大口径でありながら光学全長が小型であり、優れた光学性能を有するズームレンズを実現することができる。また各実施例のズームレンズは、レンズ面に効果的に非球面を導入し、屈折力を適切に設定することによって軸外諸収差、特に非点収差や歪曲収差、および広角高変倍化した際の球面収差やコマ収差を効果的に補正することができる。また各実施例のズームレンズを撮像装置に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置を実現することができる。なお各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラだけでなく、ビデオカメラなどの他の撮像装置にも適用可能である。
【0094】
各実施例によれば、大口径かつ小型であって高い光学性能を有するズームレンズおよび撮像装置を提供することができる。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1a~1f ズームレンズ
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群(後群)
L4 第4レンズ群(後群)
L5 第5レンズ群(後群)
LP レンズ群
ln レンズ