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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20240701BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20240701BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20240701BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20240701BHJP
   F21S 41/162 20180101ALI20240701BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240701BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240701BHJP
   F21S 41/155 20180101ALI20240701BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20240701BHJP
   F21S 45/40 20180101ALI20240701BHJP
   F21V 29/15 20150101ALI20240701BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240701BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240701BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20240701BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240701BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20240701BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240701BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240701BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240701BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240701BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20240701BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S45/00
F21S41/141
F21S41/16
F21S41/162
F21V23/04 500
F21V23/00 110
F21S41/155
F21S45/50
F21S45/40
F21V29/15 100
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W102:10
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W102:30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020123771
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020336
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】匂坂 優美
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/203177(WO,A1)
【文献】特開2000-236462(JP,A)
【文献】特開2018-026305(JP,A)
【文献】特開2002-160579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 45/00
F21S 41/141
F21S 41/16
F21S 41/162
F21V 23/04
F21V 23/00
F21S 41/155
F21S 45/50
F21S 45/40
F21V 29/15
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/20
F21Y 115/30
F21W 102/10
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/00
F21W 102/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外面の一部を形成可能であり、第一収容室を区画する第一透光カバーと、
前記外面の一部を形成可能であり、第二収容室を区画する第二透光カバーと、
前記第一収容室と前記第二収容室を仕切る仕切り壁と、
前記第一収容室に配置されており、前記第一透光カバーを通じて前記移動体の外部を照明する灯具と、
前記第二収容室に配置されており、前記第二透光カバーを通じて前記移動体の外部の情報を検出するセンサと、
を備えており、
前記第一透光カバーと前記第二透光カバーの少なくとも一方は、前記仕切り壁に対して着脱可能とされており
前記第一透光カバーは、第一封止部材で前記第一収容室を封止しており、
前記第二透光カバーは、前記第一封止部材と異なる第二封止部材で前記第二収容室を封止しており、
前記第一封止部材は、前記第二封止部材よりも水密性が高い、
照明装置。
【請求項2】
前記第一透光カバーと前記第二透光カバーは、連続する前記外面の一部を形成可能に配置されている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第一収容室と前記第二収容室を区画する共通のハウジングを備えており、
前記仕切り壁は、前記ハウジングの一部である、
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記仕切り壁は、断熱材料で形成された部分を含んでいる、
請求項1からのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記センサは、非可視光を用いて前記情報を検出するように構成されており、
前記第二透光カバーにおける可視光の透過率は、前記第一透光カバーにおける可視光の透過率よりも低い、
請求項1からのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記センサは、前記移動体の少なくとも前方を含む領域の情報を検出するように構成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載される照明装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例としての車両の外部の情報を検出するためのセンサの一例として、レーダを開示している。レーダは、車両の外部を照明する照明装置内に収容されている。すなわち、レーダは、収容空間を区画するとともに照明光の通過を許容する透光カバーによって覆われている。透光カバーは、車両の外面の一部を形成するとともに、レーダが外部の情報を検出するための検出光の通過を許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-106199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、灯具とセンサを内蔵している照明装置の保守作業性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、照明装置であって、
移動体の外面の一部を形成可能であり、第一収容室を区画する第一透光カバーと、
前記外面の一部を形成可能であり、第二収容室を区画する第二透光カバーと、
前記第一収容室と前記第二収容室を仕切る仕切り壁と、
前記第一収容室に配置されており、前記第一透光カバーを通じて前記移動体の外部を照明する灯具と、
前記第二収容室に配置されており、前記第二透光カバーを通じて前記移動体の外部の情報を検出するセンサと、
を備えており、
前記第一透光カバーと前記第二透光カバーの少なくとも一方は、前記仕切り壁に対して着脱可能とされている。
【0006】
このような構成によれば、灯具とセンサを内蔵している照明装置において、移動体の外面の一部を形成する第一透光カバーのみを取り外せば、灯具の修理や交換などの保守作業を遂行できる。同様にして第二透光カバーのみを取り外せば、センサの保守作業を遂行できる。灯具とセンサの一方に対する保守作業が他方に与える影響や、他方から受ける制約を抑制できるので、灯具とセンサを内蔵している照明装置の保守作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る前照灯装置の構成の一例を示している。
図2図1の前照灯装置が搭載される車両を例示している。
図3図1の前照灯装置の外観を例示している。
図4図1の前照灯装置の構成の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0009】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。
【0010】
図1は、一実施形態に係る左前照灯装置10の構成の一例を示している。左前照灯装置10は、図2に例示される車両20の左前部に搭載されるように構成されている。左前部は、車両20の左右方向における中央よりも左側、かつ車両20の前後方向における中央よりも前側に位置している。左前照灯装置10は、車両20の少なくとも前方を照明する光を出射する装置である。左前照灯装置10は、照明装置の一例である。車両20は、移動体の一例である。
【0011】
図示を省略するが、左前照灯装置10と左右対称の構成を有する右前照灯装置が、車両20の右前部に搭載される。左前部は、車両20の左右方向における中央よりも右側、かつ車両20の前後方向における中央よりも前側に位置している。右前照灯装置もまた、照明装置の一例である。
【0012】
図1に例示されるように、左前照灯装置10は、第一透光カバー111を備えている。第一透光カバー111は、第一収容室121の一部を区画している。図2に例示されるように、第一透光カバー111は、車両20の外面の一部を形成している。
【0013】
図1に例示されるように、左前照灯装置10は、第二透光カバー112を備えている。第二透光カバー112は、第二収容室122の一部を区画している。図2に例示されるように、第二透光カバー112は、車両20の外面の一部を形成している。
【0014】
図1に例示されるように、左前照灯装置10は、仕切り壁13を備えている。仕切り壁13は、第一収容室121と第二収容室122を仕切っている。
【0015】
左前照灯装置10は、ハウジング14を備えている。ハウジング14の第一部分141は、第一透光カバー111とともに第一収容室121を区画している。ハウジング14の第二部分142は、第二透光カバー112とともに第二収容室122を区画している。
【0016】
具体的には、第一透光カバー111は、第一取付部111aと第二取付部111bを有している。第一取付部111aは、仕切り壁13における第一取付部131に取り付けられるように構成されている。第二取付部111bは、ハウジング14の第一部分141における取付部141aに取り付けられるように構成されている。第一透光カバー111の第一取付部111aと第二取付部111bが第一取付部131と取付部141aに取り付けられることにより、第一収容室121が区画される。
【0017】
同様に、第二透光カバー112は、第一取付部112aと第二取付部112bを有している。第一取付部112aは、仕切り壁13における第二取付部132に取り付けられるように構成されている。第二取付部112bは、ハウジング14の第二部分142における取付部142aに取り付けられるように構成されている。第二透光カバー112の第一取付部112aと第二取付部112bが第二取付部132と取付部142aに取り付けられることにより、第二収容室122が区画される。
【0018】
左前照灯装置10は、灯具15を備えている。灯具15は、第一収容室121に収容されている。灯具15は、車両20の少なくとも前方を含む領域を可視光で照明する装置である。車両20の少なくとも前方を含む領域は、車両20の外部の一例である。第一透光カバー111は、灯具15から出射された可視光の通過を許容する。
【0019】
したがって、灯具15は、可視光を出射する光源を備えている。光源は、ランプ光源であってもよいし、半導体発光素子であってもよい。ランプ光源の例としては、ハロゲンランプや白熱灯などが挙げられる。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、EL素子などが挙げられる。
【0020】
左前照灯装置10は、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ16を備えている。LiDARセンサ16は、第二収容室122に収容されている。LiDARセンサ16は、車両20の少なくとも前方を含む領域に向けて赤外光を出射する構成、および当該赤外光が当該領域内に位置する物体に反射されることにより生じる戻り赤外光を検出する構成を備えている。赤外光は、非可視光の一例である。第二透光カバー112は、赤外光の通過を許容する。
【0021】
LiDARセンサ16は、例えば、赤外光を出射したタイミングから戻り赤外光を検出するまでの時間に基づいて、当該戻り赤外光に関連付けられた物体までの距離情報を取得できる。また、赤外光の出射方向を変化させながら戻り赤外光が得られた方向を距離情報と関連付けて集積することにより、戻り赤外光に関連付けられた物体の形状に係る情報を取得できる。すなわち、LiDARセンサ16は、赤外光を用いて車両20の少なくとも前方を含む領域の情報を取得する装置である。
【0022】
本実施形態においては、第二透光カバー112が取り外し可能とされている。一例として、第二透光カバー112の第一取付部112aと第二取付部112bは、それぞれホットメルト接着剤17を介して仕切り壁13の第二取付部132とハウジング14の第二部分142における取付部142aに取り付けられうる。ホットメルト接着剤17は、加熱により固化状態から溶融状態に戻る特性を有しているので、第二透光カバー112の第一取付部112aと第二取付部112bを適宜に加熱することによって仕切り壁13およびハウジング14に対する接着状態を解除できる。
【0023】
このような構成によれば、灯具15とLiDARセンサ16を内蔵している左前照灯装置10において、LiDARセンサ16が収容されている第二収容室122を区画している第二透光カバー112のみを取り外せば、LiDARセンサ16の修理や交換などの保守作業を遂行できる。LiDARセンサ16の保守作業が灯具15に与える影響や、LiDARセンサ16の保守作業が灯具15から受ける制約を抑制できるので、灯具15とLiDARセンサ16を内蔵している左前照灯装置10の保守作業性を高めることが可能である。
【0024】
本実施形態においては、第一透光カバー111と第二透光カバー112は、連続する車両20の外面の一部を形成している。図3は、このように構成された左前照灯装置10を前方から見た外観を例示している。
【0025】
このような構成によれば、第一透光カバー111と第二透光カバー112が分離可能であることにより高い保守作業性を確保しつつも、第一透光カバー111と第二透光カバー112が一体であるかのような外観を提供できる。したがって、構造の連続性や一体性を美観とみなす商品価値への対応が可能となる。
【0026】
しかしながら、図4に例示されるように、第一透光カバー111と第二透光カバー112が仕切り壁13により分離された外観を提供しうる構成もまた採用されうる。
【0027】
図1に例示されるように、第一透光カバー111の第一取付部111aと第二取付部111bは、それぞれ接着剤18を介して仕切り壁13の第一取付部131とハウジング14の第一部分141における取付部141aに取り付けられうる。接着剤18は、少なくともホットメルト接着剤17が溶融する温度でも固化状態を維持しうる特性を有している。換言すると、接着剤18は、ホットメルト接着剤17よりも高い水密性を有している。この場合、接着剤18は、第一封止部材の一例である。接着剤18とは異なるホットメルト接着剤17は、第二封止部材の一例である。
【0028】
灯具15が収容されている空間には高い水密性が要求されることが一般的である。上記のような構成によれば、LiDARセンサ16に対する保守作業性を高めつつも、灯具15に係る水密性の要求に応えることができる。
【0029】
第一収容室121に係る水密性の条件を満足できるのであれば、第一収容室121を封止する手法と第二収容室122を封止する手法の各々は、適宜に選択されうる。例えば、第一透光カバー111がホットメルト接着剤17を介して第一収容室121を封止し、第二透光カバー112がガスケットを介して第二収容室122を封止する構成も採用されうる。
【0030】
図1に例示されるように、第一収容室121と第二収容室122は、共通のハウジング14により区画されうる。仕切り壁13は、ハウジング14の一部として設けられうる。
【0031】
このような構成によれば、灯具15が収容されている第一収容室121の水密性の低下を抑制できるだけでなく、第二収容室122に収容されたLiDARセンサ16に灯具15から生じる熱が与える影響も抑制できる。
【0032】
しかしながら、図4に例示されるように、仕切り壁13は、ハウジング14とは別体として設けられてもよい。
【0033】
図1に例示されるように、仕切り壁13は、断熱部材133を含むように構成されうる。断熱部材133を形成している断熱材料は、灯具15とLiDARセンサ16の一方から発生した熱が他方の動作へ与える影響を抑制しうるように選定される。仕切り壁13自体が当該断熱材料によって形成されてもよい。
【0034】
このような構成によれば、灯具15とLiDARセンサ16の一方から発生した熱が他方の動作へ与える影響を効率的に抑制できるので、左前照灯装置10の大型化を抑制できる。
【0035】
前述のように、LiDARセンサ16は、赤外光を用いて車両20の外部の情報を検出する。この場合、第二透光カバー112における可視光の透過率を、第一透光カバー111における可視光の透過率よりも低くしうる。
【0036】
このような構成によれば、左前照灯装置10の外観において、第二収容室122に収容されたLiDARセンサ16の視認性を低下させることができる。これにより、LiDARセンサ16のステルス性と左前照灯装置10の新規な外観意匠の少なくとも一方を、商品価値として提供できる。
【0037】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更や改良がなされうる。
【0038】
第二透光カバー112に加えてあるいは代えて、灯具15が収容されている第一収容室121を区画している第一透光カバー111が取り外し可能とされうる。この場合、第一透光カバー111のみを取り外せば、灯具15の修理や交換などの保守作業を遂行できる。灯具15の保守作業がLiDARセンサ16に与える影響や、灯具15の保守作業がLiDARセンサ16から受ける制約を抑制できるので、灯具15とLiDARセンサ16を内蔵している左前照灯装置10の保守作業性を高めることが可能である。
【0039】
LiDARセンサ16に加えてあるいは代えて、車両20の少なくとも前方を含む領域の情報を検出するために、可視光カメラ、赤外線カメラ、ミリ波レーダの少なくとも一つが第二収容室122に収容されうる。可視光カメラ、赤外線カメラ、およびミリ波レーダの各々は、センサの一例である。赤外線カメラとミリ波レーダは、非可視光を用いて情報を検出するセンサの一例である。
【0040】
車両20の外面の一部を形成する第一透光カバー111と第二透光カバー112の少なくとも一方が仕切り壁13から取り外し可能である構成は、前照灯装置以外の照明装置にも適用されうる。第一収容室121に収容されうる灯具の例としては、車幅灯、方向指示灯、霧灯、制動灯、尾灯などが挙げられる。
【0041】
上記のような照明装置が搭載される移動体は、車両20に限られない。その他の移動体の例としては、鉄道、飛行体、航空機、船舶などが挙げられる。当該照明装置が搭載される移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10:左前照灯装置、111:第一透光カバー、112:第二透光カバー、121:第一収容室、122:第二収容室、13:仕切り壁、14:ハウジング、15:灯具、16:LiDARセンサ、17:ホットメルト接着剤、18:接着剤、20:車両
図1
図2
図3
図4