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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020123839
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020377
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】本間 荘一
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0279958(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0103376(US,A1)
【文献】特開2019-009440(JP,A)
【文献】特開2001-148403(JP,A)
【文献】特開平05-335377(JP,A)
【文献】特開2015-115568(JP,A)
【文献】特開平11-121531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体チップの前記第1面側に金属バンプを形成し、
配線基板に設けられたパッドの上に前記金属バンプを配置し、
前記半導体チップの前記第2面側から、前記金属バンプを溶融する第1光を照射し、
その後前記第1光の照射を止めるもしくは弱めて、溶融した前記金属バンプを凝固点以下にし、
前記半導体チップを前記配線基板の方向に加圧しながら、前記半導体チップの前記第2面側から、前記金属バンプを溶融する第2光を照射し、
その後前記第2光の照射を止めるもしくは弱めて、溶融した前記金属バンプを凝固点以下にする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記加圧の後に前記第2光を照射し、前記加圧を止めるとともに前記第2光の照射を止めるもしくは弱める、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記加圧とともに前記第2光を照射し、前記加圧を止めるとともに前記第2光の照射を止めるもしくは弱める、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記加圧の後に前記第2光を照射し、前記第2光の照射を止めたもしくは弱めた後に前記加圧を止める、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属バンプを前記パッドの上に配置する前に、少なくとも前記パッド及び前記金属バンプのいずれかの上にフラックスを形成する、請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1光の波長は850nm以上1100nm以下であり、
前記第2光の波長は850nm以上1100nm以下である、請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2光の強度は前記第1光の強度よりも大きい、請求項1乃至6のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
平面視において、前記半導体チップと重ならない領域の少なくとも一部の前記配線基板を覆う第1マスクを前記配線基板の前記半導体チップ側に配置し、前記第1マスクを介して前記第1光を照射し、
平面視において、前記半導体チップと重ならない領域の少なくとも一部の前記配線基板を覆う第2マスクを前記配線基板の前記半導体チップ側に配置し、前記第2マスクを介して前記第2光を照射する、請求項1乃至7のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1マスク及び前記第2マスクは、前記半導体チップの前記第2面側に配置される、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1マスク及び前記第2マスクは、前記半導体チップの前記第2面よりも前記配線基板側に配置される、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体チップを前記配線基板の方向に加圧するときに、前記加圧に伴って動く前記半導体チップの位置を保持する、請求項1乃至10のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置としてのNAND型フラッシュメモリを用いた半導体パッケージが知られている。このような半導体パッケージの一例として、配線基板に設けられたパッドに対してフリップチップボンディングによってICチップ(半導体チップ)を実装しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2019/0279958号明細書
【文献】米国特許第10497665号明細書
【文献】特開2004-276098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信頼性が高い半導体装置を実現すること。又は、位置精度が高い高価な装置を用いることなく、フリップチップボンディングの高精度な位置合わせを行うことができ、さらにICチップの反りによる影響を抑制することができるICチップの実装方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体チップの前記第1面側に金属バンプを形成し、配線基板に設けられたパッドの上に前記金属バンプを配置し、前記半導体チップの前記第2面側から、前記金属バンプを溶融する第1光を照射し、その後前記第1光の照射を止めるもしくは弱めて、溶融した前記金属バンプを凝固点以下にし、前記半導体チップを前記配線基板の方向に加圧しながら、前記半導体チップの前記第2面側から、前記金属バンプを溶融する第2光を照射し、その後前記第2光の照射を止めるもしくは弱めて、溶融した前記金属バンプを凝固点以下にする。
【0006】
一実施形態に係る半導体装置は、第1金属バンプ及び前記第1金属バンプよりも平面視において外側に設けられた第2金属バンプが設けられた半導体チップと、前記第1金属バンプに接続された第1パッド及び前記第2金属バンプに接続された第2パッドを備えた配線基板と、を有し、前記第1金属バンプと前記第1パッドとの間には、前記第1金属バンプの材料及び前記第1パッドの材料を含む第1化合物層が存在し、前記第2金属バンプと前記第2パッドとの間には、前記第2金属バンプの材料及び前記第2パッドの材料を含む第2化合物層が存在し、前記第1化合物層の厚さと前記第2化合物層の厚さは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
図2】一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。
図3】一実施形態に係る半導体装置の半導体チップ及び配線基板の構成を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る半導体装置の半導体チップと配線基板との接続構造を示す部分拡大断面図である。
図5】一実施形態に係る半導体装置の配線基板を示す断面図である。
図6】一実施形態に係る半導体装置の半導体チップを示す断面図である。
図7】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図12】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図13】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図14】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図15】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図16】一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、光照射によって金属バンプとパッドとを接続する方法を示すタイミングチャートである。
図17】一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、光照射によって金属バンプとパッドとを接続する方法を示すタイミングチャートである。
図18】一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、光照射によって金属バンプとパッドとを接続する方法を示すタイミングチャートである。
図19】一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、光照射によって金属バンプとパッドとを接続する方法を示すタイミングチャートである。
図20】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図21】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図22】一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る半導体装置を図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号又は同一符号の後にアルファベットが追加された符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定されない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0009】
本発明の各実施の形態において、配線基板から半導体チップに向かう方向を上方という。逆に、半導体チップから配線基板に向かう方向を下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、配線基板と半導体チップとの上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で、例えば配線基板上の半導体チップという表現は、上記のように配線基板と半導体チップとの上下関係を説明しているに過ぎず、配線基板と半導体チップとの間に他の部材が配置されていてもよい。
【0010】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0011】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0012】
〈第1実施形態〉
[半導体装置10の構成]
図1は、一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。図2は、一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。本実施形態による半導体装置10として、NAND型フラッシュメモリを用いた半導体パッケージの一例を説明するが、この構成に限定されない。本実施形態は、半導体チップを配線基板上にフリップチップ接続によって実装される装置に適用することができる。半導体装置10は、半導体チップ100、配線基板200、スペーサ300、積層メモリチップ400、ボンディングワイヤ500、及び樹脂層600を有する。半導体チップ100及び配線基板200の詳細な構成は後述する。
【0013】
スペーサ300は、絶縁層301を介して配線基板200の上に接着されている。図2に示すように、スペーサ300は、半導体チップ100の外周に、半導体チップ100を囲むように設けられている。図1に示すように、スペーサ300の上面は半導体チップ100の上面とほぼ同じ高さに位置している。スペーサ300として、シリコン、ガラス、セラミック、絶縁基板、金属板等の材料が用いられる。絶縁層301として、例えばDAF(Die Attach Film)が用いられる。スペーサ300上に、スペーサ300と積層メモリチップ400との密着性を向上させるために、有機膜が形成されていてもよい。当該有機膜や絶縁層301として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、PBO(Poly Benz Oxazole)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの単体、複合、積層の有機膜が用いられる。
【0014】
積層メモリチップ400は、半導体チップ100及びスペーサ300の各々の上に固定されている。積層メモリチップ400は、絶縁層410、430及びメモリセル420を有する。半導体チップ100及びスペーサ300の上に絶縁層410が設けられ、絶縁層410の上にメモリセル420及び絶縁層430が交互に積層されている。つまり、積層メモリチップ400は、複数のメモリセル420が3次元配置された立体型メモリセルアレイである。なお、各メモリセル420は、上部のメモリセル420が下部のメモリセル420の一部を露出するように位置をずらしながら積層される。絶縁層410、430として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、PBO(Poly Benz Oxazole)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの単体、複合、積層の有機膜が用いられる。積層メモリチップ400は、貫通電極(TSV;Through Silicon Via)を備えたメモリセル420やインターポーザを複数垂直に積層したものであってもよい。
【0015】
ボンディングワイヤ500は、積層メモリチップ400の上面に設けられた接続パッド(図示せず)と配線基板200の接続パッド201とを電気的に接続し、積層メモリチップ400の上面に設けられた接続パッド同士を接続する。樹脂層600は、半導体チップ100、積層メモリチップ400、及びボンディングワイヤ500等の配線基板200上に設けられた構造体を被覆し保護する。樹脂層600として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、PBO(Poly Benz Oxazole)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの単体、複合、積層の有機材料が用いられる。図1ではスペーサを介して積層メモリチップ400が配線基板200上に搭載された構造を例示したが、半導体装置10は、フリップチップされたチップを樹脂で覆うFOD(Film on Device)構造を用いて、その構造の上にメモリセル420を積層した構造であってもよい。
【0016】
図3は、一実施形態に係る半導体装置の半導体チップ及び配線基板の構成を示す断面図である。図4は、一実施形態に係る半導体装置の半導体チップと配線基板との接続構造を示す部分拡大断面図である。
【0017】
図3及び図4に示すように、半導体チップ100は第1面101及び第2面102を有する。半導体チップ100は、半導体基板110、パッド120、及び金属バンプ130を有する。パッド120及び金属バンプ130は半導体チップ100の第1面101側に設けられている。半導体基板110の第1面101側にはトランジスタ、容量、及び抵抗などの機能素子が設けられている。これらの機能素子は、配線によって互いに接続されている。配線は複数の導電層と複数の絶縁層を含み、各層の厚さ方向に隣接する導電層はそれらの間の絶縁層によって離隔されている。絶縁層には開口が設けられており、当該開口において、厚さ方向に隣接する導電層が接続される。
【0018】
半導体基板110の厚さの一例としては、10μm以上100μm以下、又は20μm以上70μm以下である。半導体基板110の第1面101側に露出された配線上にパッド120が設けられている。パッド120上に金属バンプ130が設けられている。パッド120は金属バンプ130を介して後述するパッド240に接続されている。金属バンプ130によって両パッド間の電気的な接続、及び両パッド間の相対的な位置関係が確保される。
【0019】
半導体基板110として、シリコン基板、ガリウム砒素(GaAs)基板、及び炭化シリコン(SiC)基板等が用いられる。パッド120として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、錫(Sn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の導電性材料が用いられる。パッド120は、上記の材料の単層、積層、又は合金層である。金属バンプ130として、はんだ(錫を主成分とした合金)等の導電性材料が用いられる。例えば、Sn、Ag、Cu、Ni、Au、Pd、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、コバルト(Co)の単層、積層、合金である。ただし、これらの材料は一例であり、上記の材料に限定されない。
【0020】
配線基板200は、コア材210、配線層220、絶縁層230、及びパッド240を有する。配線基板200の厚さは一例として、30μm以上1000μm以下、又は50μm以上200μm以下である。配線層220はコア材210の上方及び下方に設けられている。絶縁層230は配線層220の上方に設けられている。配線層220は複数の導電層221と複数の絶縁層223を含む。各層の厚さ方向に隣接する導電層221はそれらの間の絶縁層223によって離隔されている。絶縁層223には開口225が設けられており、当該開口225において、厚さ方向に隣接する導電層221が接続される。配線層220に含まれる複数の導電層221のうち、最も半導体チップ100に近い導電層221にパッド240が接続されている。また、半導体チップ100と配線基板200との間にはアンダーフィル250が設けられている。図示されていないが、配線基板の200の下方にさらに絶縁層230が形成されていてもよい。配線基板200の下にパッド240が形成されていてもよい。
【0021】
コア材210として、ガラスエポキシ樹脂又はセラミック(アルミナ系、AlN系)等の絶縁材料が用いられる。導電層221として、Cu、Al、Ti、W、Ta、Ag、Au、Mo等の導電性材料が用いられる。導電層221は、上記の材料の単層、積層、又は合金層である。絶縁層223、230として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)等の無機絶縁層、又は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シロキサン樹脂、フェノール樹脂、PBO(Poly Benz Oxazole)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の有機絶縁層が用いられる。絶縁層223、230は、上記の材料の単層、複合、積層である。なお、絶縁層230をソルダレジストという場合がある。パッド240として、Cu、Ni、Au、Sn、Ag、Pd、Ti、Cr、Mo、TiN、CrN等の導電性材料が用いられる。パッド240は、上記の材料の単層、積層、又は合金層である。ただし、これらの材料は一例であり、上記の材料に限定されない。また、コア材210として、インターポーザのように、シリコンやガラスをベースにした基板が用いられてもよい。
【0022】
[半導体装置10の製造方法]
図5図15を用いて半導体装置10の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、配線基板200の導電層221及び絶縁層223を省略して図示した。図5に示すように、配線基板200を準備する。コア材210の上方にはパッド240及び絶縁層230が設けられている。図6に示すように、半導体チップ100を準備する。半導体チップ100の下面側(第1面101側)にはパッド120及び金属バンプ130が設けられている。金属バンプ130の先端(下端)にはフラックス140が形成されている。半導体チップ100は実装装置のハンドリング部材700に固定される。なお、フラックス140はパッド240上に形成されていてもよい。
【0023】
図7に示すように、金属バンプ130がパッド240に接するように、又は、金属バンプ130上のフラックス140がパッド240に接するように半導体チップ100を配線基板200上に配置する。図7において、少なくともパッド240と金属バンプ130とが接している、又はパッド240と金属バンプ130上のフラックス140とが接していればよいため、半導体チップ100を配線基板200上に配置する際は、相対的に精度の低いアライメント装置及びアライメント方法を用いることができる。
【0024】
図8に示すように、半導体チップ100の上面側(第2面102側)から、金属バンプ130を溶融するための第1光150を照射する。なお、第1光150(又は後述する第2光160)は、半導体基板110を透過し、パッド120及び金属バンプ130の両方に照射される場合と、パッド120には照射されるが、主にパッド120によって吸収されて金属バンプ130に照射されない場合とがあるが、説明の便宜上、第1光150(又は第2光160)をパッド120及び金属バンプ130に照射する、と表現する。
【0025】
第1光150の照射条件は、第1光150の照射による加熱によって金属バンプ130の温度が金属バンプ130の融点を超えるような条件である。第1光150を照射する際には、半導体チップ100の第2面102側には、半導体チップ100の動きを制限する他の部材は設けられていない。本実施形態では、第1光150としてレーザ光が用いられる。当該レーザ光の波長は、600nm以上1300nm以下、750nm以上1200nm以下、又は850nm以上1100nm以下である。600nm未満では半導体チップ内での光の吸収が大きくなり、半導体チップへのダメージが懸念される。1300nm超える波長では、実効的なエネルギーが小さくなるため、接続部の温度が上がりにくくなる。また、当該レーザ光の照射時間は0.1秒以上60秒以下、0.5秒以上30秒以下、又は1秒以上15秒以下である。0.1秒未満では温度が上がりにくく、60秒を超える時間ではスループットが長くなる問題がある。上記の波長のレーザ光を第1光150として用いることで、レーザ光のエネルギーが半導体基板110に吸収されることを抑制することができ、当該レーザ光のエネルギーを金属バンプ130の加熱に効率よく利用することができる。
【0026】
なお、第1光150の照射によって金属バンプ130が溶融すればよいため、第1光150として上記のレーザ光以外の光を用いることができる。例えば、第1光150としてランプ光を用いてもよい。また、第1光150として用いられるレーザ光の波長は上記の波長に限定されない。
【0027】
上記のように、第1光150によって金属バンプ130が溶融すると、金属バンプ130は流動性を示すため、溶融した金属バンプ130の表面張力によって半導体チップ100が適正な位置に移動する。具体的には、半導体チップ100は、半導体チップ100のパッド120が配線基板200のパッド240に対面する位置に移動する。このように、第1光150によって金属バンプ130を溶融することで、自己整合的な位置合わせ(セルフアライン)が行われる。なお、第1光150の照射によって、半導体チップ100に設けられた複数の金属バンプ130の全てが溶融する必要はなく、少なくとも複数の金属バンプ130のうち2つ以上の金属バンプ130が溶融すればよい。なお、第1光150の照射によってフラックス140の一部は揮発する。
【0028】
上記のセルフアラインが行われた後に、図9に示すように、第1光150の照射が止められるもしくは弱められる。第1光150の照射停止もしくは弱めることにより、金属バンプ130が放熱し、少なくとも溶融した金属バンプ130の温度が金属バンプ130の凝固点以下になるまで続く。金属バンプ130の温度が凝固点以下になることで、溶融していた金属バンプ130は固化し、上記のようにセルフアラインによって移動した位置で半導体チップ100の位置が固定される。なお、第1光150の照射を止めるもしくは弱める場合、光源の出力を調整してもよく、第1光150の光路上に遮蔽板もしくは減衰器等を設けてもよい。
【0029】
図10に示すように、半導体チップ100の第2面102側に支持部材310が配置される。支持部材310は透光性を有する部材である。具体的には、支持部材310は、少なくとも後述する第2光160を透過する部材である。例えば、支持部材310として、ガラス、石英、耐熱性のプラスティックなどを用いることができる。なお、第2光160の波長に対する支持部材310の透過率は80%以上、90%以上、又は95%以上である。80%未満では効率よく、温度を上げることができない。支持部材310は、半導体チップ100の第2面102に接し、半導体チップ100を配線基板200方向に加圧する。
【0030】
図11に示すように、支持部材310によって半導体チップ100が加圧された状態で、半導体チップ100の上面側(第2面102側)、つまり支持部材310の上方から、金属バンプ130を溶融するための第2光160を照射する。第2光160の照射条件は、第2光160の照射による加熱によって金属バンプ130の温度が金属バンプ130の融点を超えるような条件である。本実施形態では、第2光160としてレーザ光が用いられる。当該レーザ光の波長は、600nm以上1300nm以下、750nm以上1200nm以下、又は850nm以上1100nm以下である。600nm未満では半導体チップ内での光の吸収が大きくなり、半導体チップへのダメージが懸念される。1300nm超える波長では、実効的なエネルギーが小さくなるため、接続部の温度が上がりにくくなる。また、当該レーザ光の照射時間は0.1秒以上60秒以下、0.5秒以上30秒以下、又は1秒以上15秒以下である。0.1秒未満では温度が上がりにくく、60秒を超える時間ではスループットが長くなる問題がある。上記の波長のレーザ光を第2光160として用いることで、レーザ光のエネルギーが半導体基板110に吸収されることを抑制することができ、当該レーザ光のエネルギーを金属バンプ130の加熱に効率よく利用することができる。なお、第2光160の照射エネルギー(強度)は第1光150の照射エネルギー(強度)よりも大きくてもよい。
【0031】
なお、第2光160の照射によって金属バンプ130が溶融すればよいため、第2光160として上記のレーザ光以外の光を用いることができる。例えば、第2光160としてランプ光を用いてもよい。また、第2光160として用いられるレーザ光の波長は上記の波長に限定されない。
【0032】
図8及び図9に示すように、セルフアライン目的でパッド120及び金属バンプ130に対して第1光150を照射する場合、例えば上記のように半導体基板110が薄いと半導体チップ100が反ってしまうことがある。半導体チップ100が反った状態で、図8の方法を用いて第1光150を照射した場合、パッド240と金属バンプ130(又はフラックス140)とが接触していない箇所があると、第1光150によって金属バンプ130が溶融しても金属バンプ130とパッド240とが接続されない。しかし、図11に示すように、半導体チップ100の第2面102側から支持部材310で半導体チップ100を下方に加圧することで、半導体チップ100の反りを矯正することができる。したがって、強制的にパッド240と金属バンプ130とを接触させることができる。この状態で第2光160が照射されるため、仮に第1光150の照射時に金属バンプ130とパッド240とが接続されていない箇所があっても、第2光160の照射によって金属バンプ130とパッド240とを接続させることができる。
【0033】
なお、上記の例では、支持部材310が半導体チップ100の第2面102に接した状態で、半導体チップ100を加圧する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、半導体チップ100と支持部材310との間に他の部材が設けられていてもよい。例えば、半導体チップ100の第2面102側の構造が破損することを避けるために、半導体チップ100と支持部材310との間に緩衝部材が設けられてもよい。当該緩衝部材として、半導体基板110及び支持部材310の各々よりも軟らかい(ヤング率が小さい)部材が用いられてもよい。
【0034】
上記の例では、支持部材310だけを介して第1光150及び第2光160が照射される方法を例示したが、この方法に限定されない。例えば、図12に示すように、支持部材310Aの上に開口321Aが形成されたマスク320Aが配置された状態で、第2光160Aが照射されてもよい。マスク320Aは第2光160Aを透過しない部材である。又は、マスク320Aは、配線基板200Aに対して第2光160Aによる影響が及ばない程度まで第2光160Aを減衰させる部材である。
【0035】
マスク320Aは、平面視において半導体チップ100Aよりも外側の第2光160Aを遮蔽する。つまり、平面視において、マスク320Aに形成された開口321Aは半導体チップ100Aと重なる。同様に、平面視において、マスク320Aは配線基板200Aのうち半導体チップ100Aと重ならない領域を覆う。ただし、平面視において開口321Aは少なくとも金属バンプ130Aと重なればよい。上記の構成によると、平面視において半導体チップ100Aから露出された配線基板200Aが第2光160Aの照射によって加熱されることを抑制することができる。なお、マスク320Aは、配線基板200Aのうち、少なくとも第2光160Aの影響を受けて特性に変化が発生してしまう配線基板200Aを覆う。つまり、配線基板200Aの一部は、半導体チップ100A及びマスク320Aの両方から露出されていてもよい。
【0036】
上記のマスク320Aは、第2光160Aを照射する工程だけでなく、第1光を照射する工程で用いられてもよい。
【0037】
上記の例では半導体チップ100A側(半導体チップ100Aの第2面102A側)にマスク320Aを配置した例を示したが、図13に示すように、配線基板200A側(半導体チップ100Aの第2面102Aよりも配線基板200A側)にマスク320Aを配置してもよい。又は、図12の様に半導体チップ100A側、及び図13の様に配線基板200A側の両方にマスクを配置してもよい。
【0038】
図11の例では、半導体チップ100の第2面102の全体が支持部材310に接する構成を例示したが、この構成に限定されない。図14に示すように、開口311Bが設けられた支持部材310Bを用いて半導体チップ100Bを加圧してもよい。平面視において開口311Bは金属バンプ130Bと重なる。複数の金属バンプ130B毎に複数の開口311Bが設けられていてもよく、複数の金属バンプ130Bを一括で開口する1つの開口311Bが設けられていてもよい。後者の場合、半導体チップ100Bの外周部だけが支持部材310Bと接する。上記の構成の場合、支持部材310Bとして第2光160を透過しない部材が用いられてもよい。例えば、図12のマスク320Aのように、支持部材310Bは、配線基板200Bに対して第2光160Bによる影響が及ばない程度まで第2光160Bを減衰させる部材であってもよい。
【0039】
上記の支持部材310Bは、第2光160Bを照射する工程だけでなく、第1光を照射する工程で用いられてもよい。
【0040】
上記のように第2光160の照射によって金属バンプ130を溶融した後に、第2光160の照射が止められるもしくは弱められる。第2光160の照射停止もしくは弱めることにより、金属バンプ130が放熱し、少なくとも溶融した金属バンプ130の温度が金属バンプ130の凝固点以下になるまで続く。金属バンプ130の温度が凝固点以下になることで、溶融した金属バンプ130は固化し、図15に示すように金属バンプ130とパッド240とが接続された構造が得られる。なお、第2光160の照射を止めるもしくは弱める場合、光源の出力を調整してもよく、第2光160の光路上に遮蔽板もしくは減衰器等を設けてもよい。
【0041】
第2光160の照射によって金属バンプ130とパッド240とが接続された後、洗浄工程によってフラックス140の残渣が除去され、半導体チップ100と配線基板200との間にアンダーフィル250が形成される。アンダーフィル250として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、PBO(Poly Benz Oxazole)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの単体、複合、積層の有機材料が用いられる。そして、配線基板200、半導体チップ100、及びアンダーフィル250を覆う樹脂層600が形成される。
【0042】
上記の製造方法では、第1光150をパッド120及び金属バンプ130に照射する際に、第1光150が支持部材310を介さずにパッド120及び金属バンプ130に照射される方法を例示したが、この方法に限定されない。例えば、半導体チップ100の上方において、半導体チップ100に接しない状態で支持部材310を配置し、当該支持部材310を透過して第1光150がパッド120及び金属バンプ130に照射されてもよい。上記のように半導体チップ100と支持部材310の間に緩衝部材をおいた場合、支持部材310及び当該緩衝部材を透過して第1光150がパッド120及び金属バンプ130に照射されてもよい。
【0043】
[第1光150及び第2光160の照射方法]
図16を用いて、第1光150及び第2光160の照射方法について説明する。図16は、一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、光照射によって金属バンプとパッドとを接続する方法を示すタイミングチャートである。図16の横軸は時間を示し、縦軸は光強度、荷重、又は温度を示す。図16には、第1光150及び第2光160の強度を示す第1グラフ810、支持部材310によって半導体チップ100が配線基板200に向かって押される圧力を示す第2グラフ820、及び金属バンプ130の温度を示す第3グラフ830が表示されている。
【0044】
図16に示すように、時間T11で第1光150をパッド120及び金属バンプ130に照射する。金属バンプ130が第1光150のエネルギーを吸収することで、金属バンプ130の温度が上昇し、当該温度が金属バンプ130の融点を超えると、金属バンプ130が溶融する。この金属バンプ130の溶融によって半導体チップ100のセルフアラインが行われる。当該セルフアラインが行われた後に、時間T12で第1光150の照射を止めるもしくは弱める。第1光150の照射を止めるもしくは弱めると、金属バンプ130の放熱によって金属バンプ130の温度が徐々に低下する。そして、金属バンプ130の温度が金属バンプ130の凝固点以下になると、溶融していた金属バンプ130が固化し、上記のセルフアラインによって決定された位置で半導体チップ100が固定される。
【0045】
続いて、時間T13で、支持部材310を用いて半導体チップ100を配線基板200の方向に加圧する。この加圧によって、金属バンプ130とパッド240とが強制的に接触させられる。そして、時間T14で第2光160をパッド120及び金属バンプ130に照射する。金属バンプ130が第2光160のエネルギーを吸収することで、金属バンプ130の温度が上昇し、当該温度が金属バンプ130の融点を超えると、金属バンプ130が再度溶融する。その後、時間T15で第2光160の照射を止めるもしくは弱める。第2光160の照射を止めるもしくは弱めると、金属バンプ130の放熱によって金属バンプ130の温度が徐々に低下し、溶融していた金属バンプ130が固化する。なお、本実施形態では時間T15で第2光160の照射を止めるもしくは弱めるとともに支持部材310による半導体チップ100の加圧も止める。なお、第2光160の強度は第1光150の強度よりも大きい。
【0046】
上記のように、仮に半導体チップ100の半導体基板110が反っており、第1光150の照射では金属バンプ130がパッド240に接続されなかった箇所があった場合であっても、第2光160の照射の際には半導体チップ100は支持部材310によって加圧されている。そのため、第2光160の照射によって、当該箇所の金属バンプ130はパッド240と接した状態で溶融する。その結果、上記のような箇所であっても、金属バンプ130とパッド240とを接続することができる。第2光160の照射の前に、フラックス140を再度半導体チップ100と配線基板200との間に塗布してもよい。
【0047】
[第1光150及び第2光160の照射方法の変形例]
上記の例では、支持部材310によって半導体チップ100が加圧された後に第2光160の照射が行われた例を示したが、図17に示すように、半導体チップ100が加圧されるタイミング(T13)と第2光160の照射のタイミング(T14)とが同じであってもよい。図17に示すようなタイミングで加圧及び第2光160の照射を行うことで、処理時間を短縮することができる。
【0048】
又は、図18に示すように、半導体チップ100が加圧(T13)された後に第2光160の照射が開始(T14)され、第2光160の照射が停止(T15)もしくは弱めた後に半導体チップ100の加圧が終了(T16)してもよい。図18に示すようなタイミングで加圧及び第2光160の照射を行うことで、より確実に金属バンプ130をパッド240に接続させることができる。
【0049】
図16図18の例では、支持部材310を加圧する力の大きさを制御する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図19に示すように、加圧に伴って動く支持部材310及び半導体チップ100の位置(高さ)を保持する制御を行ってもよい。図19に示す第4グラフ840は、支持部材310及び半導体チップ100の位置(高さ)を示す。図19に示すように、時間T13において半導体チップ100を支持部材310で加圧して配線基板200の方向(図19における下方)に移動し、時間T16まで支持部材310及び半導体チップ100の位置(高さ)を保持する。その間に第2光160の照射をすることで上記と同様の効果が得られる。支持部材310とともに半導体チップ100の位置(高さ)が保持されるため、半導体チップ100と配線基板200間のギャップを一定に保持することができる。
【0050】
以上のように、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、位置精度が高い高価な装置を用いることなく、フリップチップボンディングの高精度な位置合わせを行うことができ、さらにICチップの反りによる影響を抑制することができるICチップの実装方法を提供することができる。
【0051】
〈第2実施形態〉
図20図22を用いて、第2実施形態に係る半導体装置10C及びその製造方法について説明する。第2実施形態に係る半導体装置10Cは、第1実施形態に係る半導体装置10と類似しているが、パッド120C、金属バンプ130C、及びパッド240Cが、平面視における半導体チップ100Cの内側及び外側の両方に設けられている点において半導体装置10と相違する。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、主に第1実施形態と異なる構成について説明する。図20図22は、一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0052】
図20に示すように、パッド120Cは第1パッド121C及び第2パッド123Cを含む。金属バンプ130Cは、第1金属バンプ131C及び第2金属バンプ133Cを含む。パッド240Cは、第1パッド241C及び第2パッド243Cを含む。第1金属バンプ131Cは第1パッド121C上に設けられている。第2金属バンプ133Cは第2パッド123C上に設けられている。第1金属バンプ131Cは第1パッド241Cに接続される。第2金属バンプ133Cは第2パッド243Cに接続される。半導体チップ100Cの平面視において、第1パッド121C、第1金属バンプ131C、及び第1パッド241Cは、第2パッド123C、第2金属バンプ133C、及び第2パッド243Cよりも内側に設けられている。換言すると、第2パッド123C、第2金属バンプ133C、及び第2パッド243Cは半導体チップ100Cの外周付近に設けられている。例えば、半導体チップ100Cが矩形の場合、第2パッド123C、第2金属バンプ133C、及び第2パッド243Cは半導体チップ100Cの角部に設けられている。
【0053】
図20の工程は、第1実施形態の図8に示す工程と同じ工程である。ただし、図20では、図8とは異なり、第1光150Cは半導体チップ100Cから離隔された(半導体チップ100Cと接しない)支持部材310Cを透過してパッド120C及び金属バンプ130Cに照射される。半導体チップ100Cは、半導体基板110Cの上に絶縁層及び導電層が積層された積層構造である。上記のように、半導体基板110Cの板厚が薄いと半導体基板110Cの剛性が低下するため、半導体基板110Cの上に積層された絶縁層及び導電層の合成応力によって半導体チップ100Cが反ってしまう場合がある。本実施形態では、半導体基板110Cの板厚が10μm以上100μm以下、又は20μm以上70μm以下であり、上記の合成応力によって半導体チップ100Cが反ってしまう例を示した。図20の例では、上記の合成応力が圧縮応力であり、半導体チップ100Cが下方に向かって凸形状に湾曲した例を示した。
【0054】
図20に示すように、本実施形態において第1光150Cを照射する際に、半導体チップ100Cの反りに起因して、第1金属バンプ131Cは第1パッド241Cに接しているが、第2金属バンプ133Cは第2パッド243Cに接していない。この状態で、第1光150Cが照射されると、第1金属バンプ131C及び第2金属バンプ133Cは第1光150Cの照射エネルギーによって溶融するが、互いに接触している第1金属バンプ131C及び第1パッド241Cに基づいてセルフアラインが行われる。当該セルフアラインの後に第1光150Cの照射を止めるもしくは弱めることで、当該セルフアラインが行われた位置で第1金属バンプ131Cが固化するため、配線基板200Cに対する半導体チップ100Cの位置が固定される。
【0055】
図20の下部に、第1パッド121C、第1金属バンプ131C、及び第1パッド241Cの部分拡大図を示す。当該部分拡大図は、上記の第1光150Cの照射によって第1金属バンプ131Cが溶融し、第1パッド241Cに接続された状態を示す図である。図20の部分拡大図に示すように、第1金属バンプ131Cと第1パッド241Cとの間に第1化合物層251Cが形成されている。第1化合物層251Cは、第1光150Cの照射によって発生した熱によって第1金属バンプ131Cと第1パッド241Cとが合金化することで形成される。つまり、第1化合物層251Cは、第1金属バンプ131Cの材料及び第1パッド241Cの材料を含む層である。具体的には、第1化合物層251Cは、例えばNi及びSnを含む合金、又はCu及びSnを含む合金である。
【0056】
図21の工程は、第1実施形態の図10に示す工程と同じ工程である。支持部材310Cによって半導体チップ100Cが配線基板200Cの方向に加圧されることで、半導体チップ100Cの反りが矯正される。つまり、半導体チップ100Cの外周部が支持部材310Cによって配線基板200Cの方向に押しつけられる。その結果、第2パッド123C及び第2金属バンプ133Cが第2パッド243Cに向かって押しつけられ、図21に示すように第2金属バンプ133Cが第2パッド243Cに接触する。
【0057】
続いて、図22に示すように、図21の状態のまま(支持部材310Cによって半導体チップ100Cが加圧された状態で)第2光160Cをパッド120C及び金属バンプ130Cに照射する。第1金属バンプ131Cは既に第1パッド241Cに接続(固定)されており、第2金属バンプ133Cは支持部材310Cの加圧によって第2パッド243Cに接している。したがって、第2光160Cの照射によって第1金属バンプ131C及び第2金属バンプ133Cの各々が溶融して、それぞれ第1パッド241C及び第2パッド243Cと接続される。その後、第2光160Cの照射を止めるもしくは弱めることで、第1金属バンプ131C及び第2金属バンプ133Cの各々が固化する。その結果、第1金属バンプ131Cが第1パッド241Cに接続され、第2金属バンプ133Cが第2パッド243Cに接続される。
【0058】
図22の下部に、第1パッド121C、第1金属バンプ131C、及び第1パッド241Cの第1部分拡大図、及び第2パッド123C、第2金属バンプ133C、及び第2パッド243Cの第2部分拡大図を示す。第1部分拡大図は、図20に示す部分拡大図と類似しているが、第2光160Cの照射によって第1化合物層251Cの反応がさらに進むため、図20に比べて第1化合物層251Cの厚さが大きい。第2部分拡大図は、第2光160Cの照射によって第2金属バンプ133Cが溶融し、第2パッド243Cに接続された状態を示す図である。第2部分拡大図に示すように、第2金属バンプ133Cと第2パッド243Cとの間に第2化合物層253Cが形成されている。第2化合物層253Cは、第2光160Cの照射によって発生した熱によって第2金属バンプ133Cと第2パッド243Cとが合金化することで形成される。つまり、第2化合物層253Cは、第2金属バンプ133Cの材料及び第2パッド243Cの材料を含む層である。具体的には、第2化合物層253Cは第1化合物層251Cと同様に、例えばNi及びSnを含む合金、又はCu及びSnを含む合金である。
【0059】
図22の第1部分拡大図及び第2部分拡大図に示すように、第1化合物層251Cの厚さは、第2化合物層253Cの厚さよりも大きい。これは、第1化合物層251Cが第1光150Cの照射及び第2光160Cの照射の2回の光照射によって形成されたことに起因する。なお、上記の化合物層は金属バンプ及びパッドよりも脆弱である場合がある。このような場合、半導体チップ100Cの内側よりも外側の方が化合物層の厚さが小さいことで、当該化合物層に起因する破断を抑制することができる。
【0060】
上記の例では、半導体チップ100Cが下方に向かって凸形状に湾曲しているため、第1化合物層251Cの厚さが第2化合物層253Cの厚さよりも大きいが、この構成に限定されない。
【0061】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の半導体装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0062】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0063】
10:半導体装置、 100:半導体チップ、 101:第1面、 102:第2面、 110:半導体基板、 120C:パッド、 121C:第1パッド、 123C:第2パッド、 130:金属バンプ、 131C:第1金属バンプ、 133C:第2金属バンプ、 140:フラックス、 150:第1光、 160:第2光、 200:配線基板、 201:接続パッド、 210:コア材、 220:配線層、 221:導電層、 223、230:絶縁層、 225:開口、 240:パッド、 241C:第1パッド、 243C:第2パッド、 250:アンダーフィル、 251C:第1化合物層、 253C:第2化合物層、 300:スペーサ、 301:絶縁層、 310:支持部材、 311B:開口、 320A:マスク、 321A:開口、 400:積層メモリチップ、 410、430:絶縁層、 420:メモリセル、 500:ボンディングワイヤ、 600:樹脂層、 700:ハンドリング部材、 810:第1グラフ、 820:第2グラフ、 830:第3グラフ、 840:第4グラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22