(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ターゲットの照明およびイメージングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 90/30 20160101AFI20240701BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240701BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240701BHJP
F21W 131/205 20060101ALN20240701BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240701BHJP
【FI】
A61B90/30
F21S2/00 350
F21S2/00 610
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21W131:205
F21Y115:30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020128414
(22)【出願日】2020-07-29
(62)【分割の表示】P 2018516161の分割
【原出願日】2016-11-10
【審査請求日】2020-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, フレドリック, アレン
(72)【発明者】
【氏名】ランプレヒト, アントン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】オトシグ, レスリー ミュロン
(72)【発明者】
【氏名】ウエストウィック, ポール ロアルド
(72)【発明者】
【氏名】ズルカフライ, ムハマド ナシール アル-ディン ビン
(72)【発明者】
【氏名】マリー, ギャビン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】タイナン, アダム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン, ジェームス エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, グレゴリー ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーン, イサベル
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】安井 寿儀
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/176375(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/164774(WO,A1)
【文献】特開2000-230903(JP,A)
【文献】特開2014-196953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 90/30
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットを撮像するプロセッサであって、前記プロセッサは期間内に、
環境光のもとにある前記ターゲットを照らすための励起パルスを生成するために
近赤外光源を起動することと、
環境光のもとにある前記ターゲットを照らすための白色パルスを、前記白色パルスが前記励起パルスと重ならず、かつ、前記白色パルスが前記期間内に少なくとも二回生成されるように生成するために白色光源を起動することと、
前記期間のうちの蛍光露光時間の間、前記ターゲットからの光にイメージセンサを曝すことであって、前記蛍光露光時間の間に前記励起パルスが生成される、ことと、
前記期間のうちの可視露光時間の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサを曝すことであって、前記可視露光時間の間に少なくともひとつの白色パルスが生成される、ことと、
前記イメージセンサからの出力を検出することと、
前記出力への環境光の影響の補正を行うことと、
前記出力への前記環境光の前記影響の補正によって得られた結果のイメージを出力することと、を行い、
環境光の前記影響の補正を行うために、前記プロセッサは、
前記蛍光露光時間のある割合の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサのセンサ画素行の第1集合を曝すことと、
前記蛍光露光時間全体の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサのセンサ画素行の第2集合を曝すことと、を行い、
前記ある割合は、0よりも大きく1よりも小さい、プロセッサ。
【請求項2】
前記ある割合は1/2である請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項3】
前記プロセッサは、以下の式を用いて蛍光信号Fを決定するためのものである請求項2に記載のプロセッサ。
F=2*Exp2-Exp1
ここで、Exp1はセンサ画素行の前記第
2集合の信号出力であり、Exp2はセンサ画素行の前記第
1集合の信号出力である。
【請求項4】
前記蛍光露光時間に前記ある割合を乗算したものは前記励起パルスの継続期間と等しい請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項5】
前記可視露光時間は前記少なくともひとつの白色パルスの幅よりも長い請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項6】
前記可視露光時間は前記期間内のひとつの白色パルスについてのものである請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項7】
前記可視露光時間は前記期間内の二つの白色パルスについてのものである請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項8】
環境光の前記影響の補正を行うために、前記プロセッサは、
前記期間のうち前記励起パルス及び前記少なくともひとつの白色パルスが生成されないバックグラウンド露光時間の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサを曝すことを行う請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項9】
期間内にターゲットを撮像するイメージングシステムの作動方法であって、
前記イメージングシステムのプロセッサ
が、環境光のもとにある前記ターゲットを照らすための励起パルスを生成する
ために近赤外光源を起動することと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、環境光のもとにある前記ターゲットを照らすための白色パルスを、前記白色パルスが前記励起パルスと重ならず、かつ、前記白色パルスが前記期間内に少なくとも二回生成されるように生成する
ために白色光源を起動することと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、前記期間のうちの蛍光露光時間の間、前記ターゲットからの光にイメージセンサを曝すことであって、前記蛍光露光時間の間に前記励起パルスが生成される、ことと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、前記期間のうちの可視露光時間の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサを曝すことであって、前記可視露光時間の間に少なくともひとつの白色パルスが生成される、ことと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、前記イメージセンサからの出力を検出することと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、前記出力への環境光の影響の補正を行うことと、
前記イメージングシステムの前記プロセッサ
が、前記出力への前記環境光の前記影響の補正によって得られた結果のイメージを出力することと、を含み、
環境光の前記影響の補正を行うことは、
前記蛍光露光時間のある割合の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサのセンサ画素行の第1集合を曝すことと、
前記蛍光露光時間全体の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサのセンサ画素行の第2集合を曝すことと、を含み、
前記ある割合は、0よりも大きく1よりも小さい、方法。
【請求項10】
環境光の補正を行うことは、
前記期間のうち前記励起パルス及び前記少なくともひとつの白色パルスが生成されないバックグラウンド露光時間の間、前記ターゲットからの光に前記イメージセンサを曝すことを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記励起パルスを生成することは、一様でアナモルフィックな照明を前記ターゲットに提供することを含む請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
一様でアナモルフィックな照明を前記ターゲットに提供することは、少なくとも二つの照明ポートからの照明を重ね合わせることを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光露光時間の間前記イメージセンサを曝すことは、前記蛍光露光時間中、前記イメージセンサの上流に波長依存開口を提供することを含み、前記波長依存開口は中央領域の外側の可視光を遮るものである請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記波長依存開口は、可視光と前記励起パルスにより励起された蛍光との両方について、センサ面において実質的に同様な被写界深度を生じさせるよう構成される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リンパイメージングのための、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
血流イメージング、組織灌流イメージング、またはそれらの組み合わせのための、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのリファレンス
本願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR ILLUMINATION AND FMAGING OF A TARGET」というタイトルの2015年11月13日に提出された米国特許仮出願第62/255,024号の優先権の利益を享受する。その出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は主に照明およびイメージングの分野に関する。本開示は特にターゲット物質の照明およびイメージングに関する。
【背景技術】
【0003】
照明は、例えば自己充足的照明を伴うブロードバンドイメージングシステムなどのイメージングシステムの重要なコンポーネントである。医療イメージングなどのイメージングシステムの多くのアプリケーションにおいて、イメージング視野の一様なフルフィールド照明を得つつ、十分に強いイメージング信号を生じさせるのに十分な強度の照明を提供することは困難である。イメージング視野にマッチするよう照明プロファイルを適合させることは照明の省電力化の一方法であり、一方、複数の照明ポートを用いることで視野に亘って一様な照明を提供してもよい。イメージングシステムにおける従来の照明投影は、イメージング視野にマッチさせるためのアナモルフィック投影を特徴としうるが、多くの場合、単一の照明ポートのみを特徴とし、近い作業距離用には構成されていない。単一ポート照明システムでは、例えば人の解剖学的構造や他の生体物質などの複雑な形を照らす場合、実質的に影になり視認性に欠ける領域が生じる。手術野イメージングおよび照明デバイスの既存のデザインは、イメージング光学系を囲むリング光などの複数の照明ポートを用いることで影領域を最小化している。しかしながら、これらのデザインは視野の外側の照明を無駄にしており、作業距離の範囲に亘る視野の一様な照明を達成できていない。
【発明の概要】
【0004】
ひとつ以上の実施の形態は、ターゲットを撮像するためのイメージング視野を有するイメージングシステムで用いられる照明モジュールであって、前記ターゲットにおける第1照明分布を有する第1光ビームを出力することで前記ターゲットを照らす第1照明ポートと、前記ターゲットにおける第2照明分布を有する第2光ビームを出力することで前記ターゲットを照らす第2照明ポートと、を含む照明モジュールを指向する。前記第2照明分布が前記ターゲットにおいて前記第1照明分布と実質的に似ており、前記第2照明ポートが前記第1照明ポートから離間しており、前記第1および第2照明分布が前記ターゲットに対して同時に提供され、かつ、前記ターゲットにおいて重なり合っており、前記第1および第2ポートからの前記照明が前記イメージング視野と同じアスペクト比および視野カバレッジにマッチされてもよい。
【0005】
前記第1および第2照明ポートからの光はそれぞれ重なりあうことで、ターゲット視野上に一様な照明を提供してもよい。
【0006】
照明モジュールは、異なる視野を通じて前記第1および第2照明ポートを同時に操舵するステアリングドライバを含んでもよい。
【0007】
前記第1および第2照明ポートのそれぞれは、少なくともひとつの固定レンズと操舵可能ハウジングと前記操舵可能ハウジングに取り付けられた少なくともひとつのレンズとを有するレンズモジュールを含んでもよく、前記操舵可能ハウジングは前記ステアリングドライバと通信する。
【0008】
照明モジュールは、前記第1および第2照明ポートならびに前記ステアリングドライバを収容する筐体を含んでもよい。
【0009】
前記筐体はハンドヘルド筐体であってもよく、前記ステアリングドライバを制御するための活性化デバイスを含む制御面を含んでもよい。
【0010】
前記第1および第2照明分布のそれぞれは矩形照明分布であってもよい。
【0011】
前記第1および第2照明ポートのそれぞれは、二組の円柱レンズを有するレンズモジュールを含んでもよい。
【0012】
前記第1および第2照明ポートは前記矩形照明分布の長手寸法正中線から対称的にオフセットしていてもよい。
【0013】
ひとつ以上の実施の形態は、イメージング視野を有するイメージングデバイスを指向し、前記イメージングデバイスは、ターゲットにおける第1照明分布を有する第1の光を出力することで前記ターゲットを照らす第1照明ポートと、前記ターゲットにおける第2照明分布を有する第2の光を出力することで前記ターゲットを照らす第2照明ポートであって、前記第2照明分布が前記ターゲットにおいて前記第1照明分布と実質的に似ており、前記第2照明ポートが前記第1照明ポートから離間しており、前記第1および第2照明分布が前記ターゲットに対して同時に提供され、かつ、前記ターゲットにおいて重なり合っており、前記第1および第2ポートからの前記照明が前記イメージング視野と同じアスペクト比および視野にマッチされる、第2照明ポートと、前記ターゲットからの光を検出するセンサと、を含む。
【0014】
イメージングデバイスは、前記第1および第2照明ポートならびに前記センサを収容する筐体を含んでもよい。
【0015】
イメージングデバイスは、異なる視野を通じて前記第1および第2照明ポートを同時に操舵するステアリングドライバを含んでもよい。
【0016】
イメージングデバイスは、前記センサに光を集束させるイメージング要素を含んでもよく、前記ステアリングドライバは前記第1および第2照明ポートの操舵と同期して前記イメージング要素を動かすためのものである。
【0017】
前記ステアリングドライバは前記筐体内にあってもよく、前記筐体は前記ステアリングドライバを制御するための活性化デバイスを含む制御面を含んでもよい。
【0018】
前記筐体は、一方の手で前記制御面を制御し複数の向きからの前記ターゲットの照明を制御することを可能にするフォームファクタを有するハンドヘルド筐体を有してもよい。
【0019】
イメージングデバイスは、前記第1および第2照明ポートへ光を出力する照明源であって、前記照明源が前記筐体の外側にある、照明源を含んでもよい。
【0020】
前記照明源は前記第1および第2照明ポートへ可視光および/または励起光を出力してもよい。
【0021】
前記センサは、前記ターゲットからの光であって可視光および励起光による照明により生じた光を検出するための単一のセンサであってもよい。
【0022】
イメージングデバイスは前記センサの上流に波長依存開口を含んでもよく、前記波長依存開口は中央領域の外側の可視光を遮るものである。
【0023】
イメージングデバイスは前記筐体の外側にあるビデオプロセッサボックスを含んでもよい。
【0024】
照明源はビデオプロセッサボックスと一体化されていてもよい。
【0025】
ひとつ以上の実施の形態は、ターゲットを調べる方法を指向し、該方法は、前記ターゲットにおける第1照明分布を有する第1光出力および前記ターゲットにおける第2照明分布を有する第2光出力で前記ターゲットを同時に照らすことであって、前記第2照明分布が前記第1照明分布と実質的に似ており、前記第1および第2照明分布が前記ターゲットにおいて重なり合っており、前記ターゲット上での前記照明がイメージング視野と同じアスペクト比および視野カバレッジにマッチされる、照らすこと、を含む。
【0026】
方法は、異なる視野を通じて前記第1および第2光出力を同時に操舵することを含んでもよい。
【0027】
方法は、前記ターゲットからの光を受けることと、イメージング要素を用いてセンサ上に光を集束させることであって、前記イメージング要素が前記第1および第2光出力の同時操舵と同期して動かされる、集束させることと、を含んでもよい。
【0028】
ひとつ以上の実施の形態はイメージングデバイスで用いられるドレープを指向し、該ドレープは、前記イメージングデバイスを包むバリア材と、前記バリア材における開口を定義するドレープウインドウフレームと、前記バリア材における前記開口内にあるドレープレンズと、前記ドレープウインドウフレームと一体化されたインタフェースであって、前記ドレープレンズを前記イメージングデバイスのウインドウフレームに固定するインタフェースと、を含む。
【0029】
前記ドレープは前記イメージングデバイスの前記ウインドウフレームに挿入可能であってもよい。
【0030】
前記インタフェースは、前記ドレープウインドウフレームの対向する側のそれぞれに対称的に組み込まれた二つのクランプを含んでもよい。
【0031】
前記二つのクランプは前記ドレープウインドウフレームの上部および下部にある。
【0032】
ひとつ以上の実施の形態は、ターゲットを撮像するプロセッサを指向する。該プロセッサは期間内に、励起光源を起動することで、前記ターゲットを照らすための励起パルスを生成することと、白色光源を起動することで前記ターゲットを照らすための白色パルスを、前記白色パルスが前記励起パルスと重ならず、かつ、前記白色パルスが前記期間内に少なくとも二回生成されるように、生成することと、前記励起パルス中に、蛍光露光時間の間、イメージセンサを曝すことと、少なくともひとつの白色パルス中に、可視露光時間の間、前記イメージセンサを曝すことと、前記イメージセンサからの出力を検出することと、環境光の補正を行うことと、結果として得られるイメージを出力することと、を行う。
【0033】
環境光の補正を行うために、前記プロセッサは、センサ画素行の第1集合についての前記蛍光露光時間のある割合の間、前記イメージセンサのセンサ画素行の第1集合を曝すことと、前記蛍光露光時間全体の間、前記イメージセンサのセンサ画素行の第2集合を曝すことと、を行ってもよく、前記第1および第2集合は互いに異なる少なくともひとつの色を検出するためのものである。
【0034】
前記ある割合は1/2であってもよい。
【0035】
前記プロセッサは、以下の式を用いて前記蛍光信号Fを決定してもよい。
F=2*Exp2 - Exp1
ここで、Exp1は蛍光露光時間の前記ある割合の間の信号出力であり、Exp2は前記蛍光露光時間全体の間の信号出力である。
【0036】
前記露光時間の前記ある割合は前記励起パルスの幅と等しくてもよい。
【0037】
前記可視露光時間は前記少なくともひとつの白色パルスの幅よりも長くてもよい。
【0038】
前記可視露光時間は前記期間内のひとつの白色パルスについてのものであってもよい。
【0039】
前記可視露光時間は前記期間内の二つの白色パルスについてのものであってもよい。
【0040】
環境光の補正を行うために、プロセッサは、ターゲットが前記期間内に少なくとも一度照らされることがない場合、バックグラウンド露光時間の間、前記イメージセンサを曝してもよい。
【0041】
ひとつ以上の実施の形態は、ターゲットを撮像するための方法を指向する。該方法は期間内に、前記ターゲットを照らすための励起パルスを生成することと、前記ターゲットを照らすための白色パルスを、前記白色パルスが前記励起パルスと重ならず、かつ、前記白色パルスが前記期間内に少なくとも二回生成されるように、生成することと、前記励起パルス中に、蛍光露光時間の間、イメージセンサを曝すことと、少なくともひとつの白色パルス中に、可視露光時間の間、前記イメージセンサを曝すことと、前記イメージセンサからの出力を検出することと、環境光の補正を行うことと、結果として得られるイメージを出力することと、を含む。
【0042】
環境光の補正を行うことは、前記蛍光露光時間のある割合の間、前記イメージセンサのセンサ画素行の第1集合を曝すことと、前記蛍光露光時間全体の間、前記イメージセンサのセンサ画素行の第2集合を曝すことと、を含んでもよく、前記第1および第2集合は互いに異なる少なくともひとつの色を検出するためのものである。
【0043】
環境光の補正を行うことは、ターゲットが前記期間内に少なくとも一度照らされることがない場合、バックグラウンド露光時間の間、前記イメージセンサを曝すことを含んでもよい。
【0044】
前記励起パルスを生成することは、一様でアナモルフィックな照明を前記ターゲットに提供することを含んでもよい。
【0045】
一様でアナモルフィックな照明を前記ターゲットに提供することは、少なくとも二つの照明ポートからの照明を重ね合わせることを含む。
【0046】
ひとつ以上の実施の形態は、イメージに蛍光強度を表示させる方法を指向する。該方法は、前記イメージの領域をカバーするターゲットレチクルを表示させることと、前記ターゲットレチクル内の正規化蛍光強度を算出することと、前記ターゲットに関連付けられたディスプレイ領域に前記正規化蛍光強度を表示させることと、を含む。
【0047】
前記ディスプレイ領域は前記ターゲット上に投影されてもよい。
【0048】
前記正規化蛍光強度は単一の数値および/または正規化蛍光強度の履歴プロットを含んでもよい。
【0049】
ひとつ以上の実施の形態はキットを指向する。該キットは、互いに離間している少なくとも二つの照明ポートを含む照明モジュールであって、第1および第2照明分布がターゲットに同時に提供され、かつ、前記ターゲットにおいて重なり合うものである、照明モジュールと、前記ターゲットからの光を検出するセンサを含むイメージングモジュールと、を含む。
【0050】
キットは、前記照明モジュールと前記イメージングモジュールとを囲む筐体を含んでもよい。
【0051】
ひとつ以上の実施の形態は、例えば本明細書に記載のイメージングデバイスおよび方法で用いられる蛍光イメージング剤などのイメージング剤を指向する。ひとつ以上の実施の形態では、その使用は、血流イメージング、組織灌流イメージング、リンパイメージング、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、それらは侵襲的手術、最低侵襲的手術、非侵襲的手術、またはそれらの組み合わせ中に生じてもよい。蛍光イメージング剤は本明細書で説明されるキットに含まれてもよい。蛍光イメージング剤はICGのみを含んでもよく、またはICGが他のイメージング剤と組み合わされてもよい。
【0052】
ひとつ以上の実施の形態では、前記侵襲的手術は、心臓関連手術または再建手術を含んでもよい。前記心臓関連手術は、心臓冠動脈バイパス(CABG)手術を含んでもよく、それはオンポンプおよび/またはオフポンプであってもよい。
【0053】
ひとつ以上の実施の形態では、前記最低侵襲的手術または前記非侵襲的手術は、傷治療手術を含んでもよい。
【0054】
ひとつ以上の実施の形態では、前記リンパイメージングは、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組み合わせの特定を含んでもよい。前記リンパイメージングは前記女性の生殖システムに関してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
例示的な実施の形態を添付の図面を参照して詳細に説明することにより、特徴が当業者に明らかになるであろう。
【0056】
【
図1】実施の形態に係る、照明およびイメージングのためのシステムの模式図を示す。
【0057】
【
図2】実施の形態に係る、照明モジュールの模式図を示す。
【0058】
【
図3A】
図3Aおよび3Bはそれぞれ、実施の形態に係る、操舵可能ハウジング内の例示的なレンズモジュールの模式的な側面図および平面図を示す。
【
図3B】
図3Aおよび3Bはそれぞれ、実施の形態に係る、操舵可能ハウジング内の例示的なレンズモジュールの模式的な側面図および平面図を示す。
【0059】
【
図4A】実施の形態に係る、イメージングシステムの合焦および照明システムの操舵の同期のためのリンケージの模式図を示す。
【0060】
【
図4B】
図4Bおよび4Cはそれぞれ、実施の形態に係る、イメージングシステムの合焦および照明システムの操舵の同期のためのリンケージの、下面図および上面図を示す。
【
図4C】
図4Bおよび4Cはそれぞれ、実施の形態に係る、イメージングシステムの合焦および照明システムの操舵の同期のためのリンケージの、下面図および上面図を示す。
【0061】
【
図5A】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、実施の形態に係る、遠い作業距離および近い作業距離におけるリンケージの下面図を示す。
【
図5B】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、実施の形態に係る、遠い作業距離および近い作業距離におけるリンケージの下面図を示す。
【0062】
【
図6A】
図6Aおよび6Bは、実施の形態に係る、照明およびイメージングシステムの斜視上面図および斜視下面図を示す。
【
図6B】
図6Aおよび6Bは、実施の形態に係る、照明およびイメージングシステムの斜視上面図および斜視下面図を示す。
【0063】
【0064】
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、システムを例示的な異なる位置で利用可能なときのその異なる位置の斜視図を示す。
【
図8B】
図8Aおよび8Bは、システムを例示的な異なる位置で利用可能なときのその異なる位置の斜視図を示す。
【0065】
【
図9】実施の形態に係るシステムで用いられるドレープを示す。
【0066】
【0067】
【
図11A】実施の形態に係る、可視照明および励起照明についてのタイミング図を示す。
【0068】
【
図11B】実施の形態に係る、可視照明および励起照明についてのタイミング図を示す。
【0069】
【
図11C】実施の形態に係る、可視照明および励起照明についてのタイミング図を示す。
【0070】
【
図11D】実施の形態に係る、可視照明および励起照明についてのタイミング図を示す。
【0071】
【
図12A】
図12Aから12Cは、実施の形態に係る、画素レイアウトおよび内挿スキームを示す。
【
図12B】
図12Aから12Cは、実施の形態に係る、画素レイアウトおよび内挿スキームを示す。
【
図12C】
図12Aから12Cは、実施の形態に係る、画素レイアウトおよび内挿スキームを示す。
【0072】
【
図13A】
図13Aから13Cはそれぞれ、非正規化蛍光強度、高い相対正規化蛍光強度、中程度の相対正規化蛍光強度の領域上にターゲットレチクルが置かれた場合のディスプレイ方法出力の実施の形態の図を示す。
【
図13B】
図13Aから13Cはそれぞれ、非正規化蛍光強度、高い相対正規化蛍光強度、中程度の相対正規化蛍光強度の領域上にターゲットレチクルが置かれた場合のディスプレイ方法出力の実施の形態の図を示す。
【
図13C】
図13Aから13Cはそれぞれ、非正規化蛍光強度、高い相対正規化蛍光強度、中程度の相対正規化蛍光強度の領域上にターゲットレチクルが置かれた場合のディスプレイ方法出力の実施の形態の図を示す。
【0073】
【
図13D】ディスプレイ上の正規化蛍光強度値の信号時間履歴プロットを含むディスプレイ方法出力の実施の形態の図を示す。
【0074】
【
図14】正規化蛍光強度を表示するディスプレイ方法出力の実施の形態を特徴付ける、解剖学的蛍光イメージングファントムの記録イメージを示す。
【0075】
【
図15】
図1に示される照明のためのシステムの例示的な照明源の例示的な光源を示す。
【0076】
【
図16】
図1の蛍光イメージングシステムの例示的なイメージングモジュールであってカメラモジュールを含むイメージングモジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下に添付の図面を参照して例示的な実施の形態をより十分に説明するが、例示的な実施の形態は異なる態様で実現されうるものであり、本明細書で説明されるものに限定されるとみなされるべきではない。むしろ、これらの実施の形態は、本開示が完全であり、当業者に例示的な実装を十分に伝えるように提供される。種々のデバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤が本明細書で説明される。デバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤の少なくとも二つのバリエーションが説明されるが、他のバリエーションは、本明細書で説明されるデバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤の態様を任意の適切なやり方で組み合わせたものであって説明される態様のうちの全てまたはいくつかの組み合わせを有するものを含みうる。
【0078】
総じて、対応するかまたは同様な参照符号が、図面を通じて、同じまたは対応する部材を参照するために可能な場面で使用されるであろう。
【0079】
空間的に相対的な語、例えば「の下」、「の下方」、「より低い」、「の上」、「の上方」など、は、本明細書において、図に示される、ある要素またはフィーチャと他の要素またはフィーチャとの関係の説明を容易にするために用いられてもよい。空間的に相対的な語が、図に示される配置構成に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる配置構成をも包含することを意図していることは理解されるであろう。例えば、図のデバイスが裏返された場合、他の要素またはフィーチャ「より下」や「より下方」として説明される要素は、今度は該他の要素またはフィーチャ「の上」に配置されることとなるであろう。したがって、例示的な語である「より下」は、上方および下方の両方の配置を包含しうる。デバイスはそうでないよう(90度回転や他の配置構成など)に配置構成されてもよく、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述子はそれにしたがい解釈されてもよい。
【0080】
図1は、実施の形態に係る、照明およびイメージングシステム10の模式図を示す。
図1に示されるように、システム10は、照明モジュール11と、イメージングモジュール13と、ビデオプロセッサ/照明器(VPI)14と、を含んでもよい。VPI14は、照明モジュール11に照明を提供するための照明源15と、制御信号を送信すると共に照明モジュール11によって出力された光によって照らされたターゲット12からの光であってイメージングモジュール13によって検出された光についてのデータを受信するプロセッサアセンブリ16と、を含んでもよい。照明源15は、調査対象の特性およびターゲット12の材質に依存して、例えば白色(RGB)光やターゲット12に蛍光を誘起するための励起光などの、異なる波長帯領域での光を出力してもよい。異なる波長帯での光は、照明源によって同時にまたは順番に出力されてもよい。照明およびイメージングシステム10は、例えば、手術を容易化するために用いられてもよい。ターゲット12は複雑な形状を有するターゲットであってもよい。例えば、組織や解剖学的構造や、照明時に影を作り出す輪郭及び形状を伴う他のオブジェクトを含む生体物である。VPI14は、結果として得られるイメージおよび関連情報を記録し、処理し、表示させてもよい。
【0081】
図2は、実施の形態に係る、
図1の照明モジュール11の模式的斜視図を示す。
図2に示されるように、照明モジュール11は、VPIボックス14に含まれていてもよい照明源23から、例えば矩形ターゲットフィールド24へと照明を導く少なくとも二つの照明ポートを含んでもよい。各照明ポートは、ターゲット材12(
図1に示される)において例えば実質的にまたは完全に光が重なり合うように、ターゲットフィールド24上に照明を提供するためのものである。二つより多い照明ポートが用いられてもよい。照明分布はターゲットにおいて実質的に同様かつ実質的に重なり合い、これによりターゲット12の一様な照明が提供される。少なくとも二つの照明ポートを用いることによって、解剖学的形状に起因する影の影響を低減し、ターゲットフィールド24上に一様な照明を提供することを助けることができる。照明モジュール11から矩形ターゲットフィールド24へと照明を導くことによって、照明領域と矩形イメージング視野とをマッチングすることができ、これにより一様な照明を提供することを助けることができ、また、無駄な照明を低減することによって照明モジュールの効率を高めることができる。照明フィールドとイメージング視野とのマッチングはまた、現在撮像されている解剖学的領域の位置および広がりの役に立つ目安を提供する。
【0082】
ある実施の形態では、光パイプを用いることで、一様な照明プロファイルを生じさせるための照明光の混合を達成することができる。光パイプによる照明光の混合によって、光源の構造が照明プロファイルに及ぼす影響を除去することができる。そのような影響は、除去されない場合は、照明プロファイルの一様性に悪影響を及ぼしうる。例えば、光パイプを用いて光ファイバ光ガイドから出力される照明光を混合することによって、照明プロファイルから、個々の光ファイバの構造のイメージを除去することができる。ある実施の形態では、矩形光パイプを用いることで、照明パワーを保存しつつ照明プロファイルと矩形イメージング視野とをマッチングしてもよい。ある実施の形態では、光学ガラス材N-SF11などの、可視光および近赤外光の両方についての屈折率が高い光パイプ材が用いられると、照明パワー伝送の効率を高めることができる。
【0083】
ある実施の形態によると、イメージング視野のアスペクト比にマッチするアスペクト比を伴う(例えば、両方のアスペクト比が16:9である)矩形光パイプを、回転対称照明光学要素と連携して用いてもよい。
【0084】
ある実施の形態によると、イメージング視野とは異なるアスペクト比を伴う(例えば、正方形光パイプに対して16:9イメージング視野アスペクト比)矩形光パイプを、円柱照明光学要素と連携して用いてもよい。円柱光学要素を用いることで、イメージング視野のアスペクト比にマッチするよう矩形照明プロファイルの一方のまたは両方の寸法を個別に適合させることができる。
【0085】
作業距離の範囲および照明の一様性についての所望のシステム要件に依存して、照明を矩形イメージング視野にマッチさせるための種々のアプローチを用いることができる。例えば、作業距離の範囲および照明の一様性についての高度の要求を伴うアプリケーションは、照明とイメージング視野とを十分にマッチさせるために動的に操舵される照明光学系の使用を必要とし得る一方、より低い要求を伴うアプリケーションには、照明と視野とをマッチさせるための固定照明光学系が用いられてもよい。
【0086】
ある実施の形態では、照明を操舵するために、ドライバがひとつ以上の照明光学要素を回転させてもよい。
【0087】
ある実施の形態では、照明を操舵するために、ドライバがひとつ以上の照明光学要素をイメージング光軸に対して垂直に移動させてもよい。
【0088】
ある実施の形態では、ひとつ以上の照明光学要素は、関連するイメージングシステムの生来的な歪みに対応するために、照明プロファイルにいくらかの歪みを提供するよう構成されてもよい。
【0089】
ある実施の形態では、指定された作業距離の範囲に亘るイメージング視野の一様な照明は、照明光学系の固定位置および向きで達成可能である。照明光学系のイメージング光軸からのオフセット距離は、照明光学系の向きと共に、指定された作業距離の範囲内のある作業距離における照明プロファイルとイメージング視野とのマッチングを最適化しつつ指定された範囲内の他の作業距離における照明プロファイルとイメージング視野との実質的なマッチングを維持するように、設定されてもよい。
【0090】
図2に示されるように、各照明ポートは、レンズモジュール20と、照明光源23へと接続する接続ケーブル22と、接続ケーブル22の大きな開口数をレンズモジュール20のより小さい開口数へと適合させる光パイプ21と、を含んでもよい。レンズモジュール20は、後に詳述されるように、操舵可能であってもよい。あるシナリオでは、操舵なしでも許容可能なパフォーマンスを達成することができる。言い換えると、少なくとも二つの照明ポートを用いるイメージングシステムの視野であって、各ポートが照明の勾配をその視野に生成し、オブジェクト面におけるその和の照明光束が照明フィールドの各ポイントでほぼ同じである視野、とマッチする矩形フォームファクタを有する照明を提供する(例えば、イメージング視野に亘って一様な照明を提供する)照明モジュールおよびそれを備えるイメージングデバイスだけで十分であってもよい。
【0091】
図3Aおよび3Bはそれぞれ、レンズモジュール20の側面図および平面図を示す。レンズモジュール20は、操舵可能レンズハウジング30に取り付けられたレンズを含んでもよい。本明細書で用いられる場合、レンズは、屈折要素により実装されるか回折要素によって実装されるかにかかわらず、光学パワーを有する任意の光学要素である。図示を簡単化するため、レンズモジュールを囲むカバー(
図2参照)などの理解のために本質的ではない他の要素は図示されない。
【0092】
本明細書に示される特定の例では、レンズは、一対の水平軸円柱レンズ31-32と、一対の垂直軸円柱レンズ33-34と、を含んでもよい。照明光を意図する出力光軸に揃えることができるプリズム要素35も示されている。特に、ある実施の形態によると、デバイスをよりコンパクトにするために、プリズム要素35は光パイプ21によって導入された角度を補正してもよい。各レンズ要素31-35の取り付けデザインは、照明光学系の倍率およびフォーカスの調整を可能としてもよい。この実施の形態によると、操舵可能レンズハウジング30は三つの円柱レンズ31、33、34およびプリズムレンズ要素35を、例えばグループとしてまとめて、収容し操舵する。このレンズの例は単に説明のためのものであり、レンズモジュール20のレンズは適宜変更されてもよい。
【0093】
この特定の実施の形態では、操舵可能ハウジング30のベース部分は、例えばハウジング孔37に挿入されたピン46(
図6B参照)を用いて、ピボットポイント36の周りで、それぞれ後に詳述される固定筐体フレーム90(
図6A参照)および機械的リンケージ40(
図4Aから4C参照)に、ピンされる。一方、レンズ32は筐体90に堅く接続される(すなわち、ハウジング30には接続されない)(
図6B参照)。
【0094】
図4Aは、リンケージ40の種々のコンポーネントにより提供される運動方向を示す模式図である。リンケージ40は、ドライブカム41と、照明カム45a、45b(各照明ポートにつきひとつ)と、イメージングカム43と、を含んでもよい。ドライブカム41はユーザから入力を受け(
図6参照)、その入力を、対応するハウジング30およびピン46を介して、対応する照明カム45a、45bに取り付けられたレンズモジュール20a、20bの同期的な動きに変換し、また、カムフォロワピンを介して、イメージングカム43に取り付けられたイメージングレンズ51およびイメージングセンサ52(
図5Aおよび5B参照)の同期的な動きに変換する。ここで、イメージングレンズ51は単一の視野レンズとして描かれているが、ターゲット20からの光をイメージングセンサ52上に集束させるための追加的および/または代替的レンズを用いてもよい。各ポートはそれ自身の関連照明カム45Aおよび45Bを有しており、ここではそれらはターゲット12からの光を受けるための入力ウインドウの左右にあるものとして描かれている。
【0095】
特に、ドライブカム41の移動はイメージングカム43をx軸に沿って移動させ、次いで、そのようなイメージングカム43の移動はイメージングカム43がイメージングレンズ51およびイメージングセンサ52をz軸に沿って移動させることおよび照明カム45a、45bを移動させることを引き起こし、次いで、そのような照明カム45a、45bの移動は対応するレンズモジュール20a、20bを対応するピボットポイント36の周りで同時に操舵し、その結果、レンズモジュール20a、20bの操舵は、ターゲットからの光のセンサ52上への適切な集束を保証するイメージングレンズ51とイメージングセンサ52との位置調整と同期的に行われる。あるいはまた、イメージングカム43はイメージングレンズ51のみをz軸に沿って移動させてもよく、またはターゲットからの光のセンサ52上への適切な集束を保証するためにイメージング光学要素の任意の他の組み合わせを移動させてもよい。
【0096】
図4Bは、実施の形態に係る、リンケージ40の底面図を示し、
図4Cはリンケージ40の上面図を示す。ドライブカム41は二つのドライブパーツ41aおよび41bと、操舵が含まれる場合は、第3ドライブパーツ41cと、を含んでもよく、それら全てはここでは堅く取り付けられることにより剛体的ドライブカム41を形成しているように描かれている。同様に、イメージングカム43は二つのイメージングパーツ43aおよび43bを含んでもよい。ドライブカム41は第1ドライブパーツ41aを介してユーザから(制御面62を介して)入力を受け、ドライブパーツ41b内のカムフォロワピンを介してイメージングカム43を移動させる。その結果、イメージングカムパーツ43aはセンサ52を移動させ、イメージングカムパーツ43bはイメージングレンズ51を移動させる。リンケージに操舵が含まれる場合、第3ドライブパーツ41cは、照明カムパーツ45aおよび45bを移動させることによって、照明カムパーツ45aおよび45bのそれぞれに関連付けられたピン46(
図6B参照)を用いてレンズモジュール20a、20bを同時に操舵する(回転させる)。ピン46は、照明カム45a、45bのそれぞれのスロット49およびレンズモジュール20a、20bの対応するハウジング孔37を通じて挿入されてもよい。ドライブパーツ41cはレンズモジュール20a、20bを同時に、それら両方が依然としてターゲット12のターゲット視野において互いと同じ視野を照らすように、操舵する。
【0097】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、実施の形態に係る、遠い作業距離および近い作業距離における、レンズモジュール20a、20b、イメージング視野レンズ51およびセンサ52と組み合わされたリンケージの下面図を示す。それらの図に示されるように、リンケージ40は、二つのサンプル作業距離照明操舵セッティングにおいて、照明源の操舵をイメージングシステムの合焦と同期させる。
図5A-5Bは、ユーザ入力から得られる二つの合焦位置における、レンズモジュール20a、20b(ピボットピン37の周りで回転する)ならびにレンズ51およびセンサ52(イメージングシステムの光軸55に沿っておよびz軸に沿って移動する)の位置を示す。
【0098】
図5Aおよび5Bに示されるように、運動中の摩擦を最小化または低減するために、リンケージ機構40内で軸方向に動く各部材は、二つの固定転がり要素47およびひとつのバネ付勢転がり要素48によってガイドされてもよい。リンケージ40はまた、ドライブカム入力接続ポイント42を含んでもよい。
【0099】
図6Aおよび6Bは、実施の形態に係る、デバイス10の斜視上面図および斜視底面上面図を示す。
図6Aおよび6Bでは、照明モジュール11およびイメージングモジュール13は筐体90に取り付けられている。筐体90の上部は明確性のために取り除かれている。また、ドライブカム入力接続ポイント42を介してユーザ入力からの動きをドライブカム41の動きに変換するフォーカス駆動機構70が示されている。
【0100】
図6Aに見られるように、イメージングモジュール13の光軸55はイメージングモジュールの中心を通り、またレンズモジュール20a、20bはイメージング光軸55に対して対称に配置される。ターゲット12からの結像されるべき光は、光軸55に沿って進み、レンズ51およびセンサ52に入射する。波長依存開口53は、可視光および蛍光、例えば近赤外(NIR)光、の全ての透過を許すより小さな中央開口と、可視光を遮るが蛍光の透過を許すより大きな環囲開口と、を含み、レンズ51の上流に設けられてもよい。
【0101】
図6Bおよび4A-4Bを参照すると、ピン46は、ハウジング30のハウジング孔37を介して、レンズモジュール20と、リンケージ40のスロット49とを繋ぐ。また、ピボットポイントピン44は、レンズモジュール20を筐体90に繋ぐ。
【0102】
図7は、照明モジュール11およびイメージングモジュール13を囲む人間工学的筐体60の実施の形態を示す。人間工学的筐体60は、異なる利用モード/設定で把持されるようデザインされている。例えば、走査イメージング姿勢における前方イメージングのためのピストルスタイルのグリップ(
図8A)であり、また、上からのイメージング姿勢において下向きにイメージングする際に用いられる垂直方向グリップ(
図8B)である。
図7に示されるように、筐体60は、制御面62と、グリップディテール64と、ウインドウフレーム68と、ノーズピース66と、を含む。人間工学的筐体60は光ガイドケーブル67およびデータケーブル65を介してVPIボックス14と接続可能であり、光がその光ガイドケーブル67を通って照明ポート20a、20bに提供される。データケーブル65は電力、センサデータおよび任意の他の(非光)接続を伝える。
【0103】
制御面62は、リンケージ40を制御するためのフォーカスボタン63a(作業距離を減らす)および63b(作業距離を増やす)を含む。制御面62上の他のボタンはプログラム可能であってもよく、種々の他の機能、例えば励起レーザ電源オン/オフ、ディスプレイモード選択、白色光イメージングのホワイトバランス、スクリーンショットの保存などのために用いられてもよい。フォーカスボタンに対して代替的にまたは追加的に、筐体に近接センサが設けられ、リンケージ40を自動的に調整するために用いられてもよい。
【0104】
図8Aに見られる通り、イメージングウインドウが前方を向くように筐体60を持つ場合、親指は制御面62上に置かれ、オペレータの手の他の指はグリップディテール64の底部の周りに緩く巻かれている。
図8Bに見られる通り、イメージングウインドウが下を向くように筐体60を持つ場合、グリップディテール64は親指と人差し指との間にあり、指は制御面62上の制御ボタンやスイッチにアクセスするよう巻き回される。グリップディテール64は、垂直方向グリップにおいて手首の上でデバイスの重さの部分的なサポートを提供するよう形作られる。この場合、筐体60は緩くぶら下がり、筐体60をきつく握る必要がなくなる。したがって、筐体60は複数の姿勢においてひとつの手で操作可能である。種々の他の実施の形態では、筐体60はサポート(例えば、移動可能サポート)上で支持されてもよい。
【0105】
ウインドウフレーム68(
図9も参照)は、筐体60の異なるウインドウを規定する。言い換えると、ウインドウフレーム68は、二つのレンズモジュール20a、20bに対応するウインドウ68a、68bを規定すると共に、ターゲットからの光であってセンサ52に入射すべき光のための入力ウインドウとして機能するウインドウ68cを規定する。
【0106】
図9に示されるように、筐体60はドレープ80と協働して用いられてもよい。ドレープ80は手術中の使用に適した手術ドレープであってもよい。ドレープは、ドレープ材81と、ドレープレンズ82と、ドレープレンズを囲むドレープウインドウフレーム83と、ドレープウインドウフレーム83と一体化されたインターロックインタフェース84と、を含む。ドレープ材81は、筐体60内のデバイスを包み、また必要に応じて他の任意のものをカバーするためのものである。ドレープウインドウフレーム83は筐体ノーズピース66の形状に従っており、この場合、ドレープウインドウフレーム83は、ウインドウ68aから68cを邪魔することなく筐体ノーズピース66に挿入されてもよい。ドレープ80は、ドレープレンズ82がイメージングおよび照明ウインドウフレーム68と例えば0.5mm内で同一平面内となることを保証することによって、反射およびイメージゴーストを最小化するよう設計される。ドレープ80はインターロックインタフェース84を用いてもよい。これは筐体ノーズピース66の内側の面上の凹部に嵌まることでそれと同一平面となるよう係止されてもよい。
【0107】
筐体ノーズピース66の内側の面または外側の面上でひとつ以上のインターロックインタフェース84を用いることで、ウインドウフレーム68に対してドレープレンズ82がしっかり密に嵌まることを確かにしてもよい。示される特定の実施の形態では、二つのインタフェース84が用いられており、ひとつはドレープウインドウフレーム83の上部、もうひとつは下部にあり、それぞれ筐体ノーズピース66の内側の面に係合する。
【0108】
図10Aから10Cは、照明リング(
図10A)、一対の固定アナモルフィック投影照明源(
図10B)、および実施の形態に係る一対の操舵アナモルフィック投影照明源(
図10C)についての、矩形イメージング視野(輪郭)に対する典型的な照明分布(塗り)を示しており、それぞれ10cm(左列)、15cm(中央列)、および20cm(右列)の作業距離のものが示される。
図10Aは、陰影を最小化するための照明ポートのリングの使用を示すが、照明とイメージング視野とのマッチングを行っておらず、全ての作業距離において一様な照明は提供されていない(例えば、距離にしたがい分布が変わる)
図10Bは、固定された二つの照明源(例えば、円柱レンズや加工されたディフューザを特徴とする照明レンズ構成を用いる)からのアナモルフィック投影を示しており、したがって、それらは固定の作業距離、例えば15cm、におけるイメージング視野とマッチする一様な照明のために良く較正されているが、他の距離においてはそれが大きいか小さいかに関わらず、同等な一様性はなく、マッチングも不良である。上述の通り、そのような照明は多くの場合、それ自体で許容可能である。
図10Cは、実施の形態に係る、作業距離(およびイメージング焦点)を変えるときに、照明を操舵することによって、一様な照明を良好に維持し、かつ、照明を視野へ良好に制限する能力を示す。
【0109】
上述の通り、用いられる照明は、白色光と、ターゲットからの近赤外(NIR)光を励起するための例えばレーザからの蛍光励起照明と、の両方を含んでもよい。しかしながら、環境光がターゲットからの光と干渉する可能性がある。
【0110】
図11Aは、白色光(RGB)および蛍光励起(レーザ)照明のタイミング図、並びに単一のセンサで蛍光信号からの環境部屋光の減算を可能とするよう構成される可視(VIS)およびNIR蛍光(FL)イメージングセンサ露光を示す。本明細書で用いられる場合、白色パルスは白色光(RGB)がターゲットを照らすことを示し、励起パルスはレーザがターゲットを照らすことを示す。
【0111】
偶数(Exp1)および奇数(Exp2)センサピクセル行の露光が、異なる露光時間でインターリーブされているように示されており、これにより、環境部屋光信号成分の評価の分離が促進される。そのようなインターリーブ化露光読み出しモードは、CMOSIS CMV2000センサで提供される「High Dynamic Range Interleaved Read-out」モードなどのように、あるイメージングセンサで提供される。
【0112】
80Hzで白色光照明をパルス出力すると、点滅光の周波数が、人の目で知覚可能な周波数またはてんかん発作をトリガしうる周波数を超える。可視光イメージ露光は、RGB照明よりも例えば2倍長くてもよい。これにより、60Hzの露光フレームレートと80HzのRGB照明パルスとの間の重複が確保される。可視露光中に取得された余分な環境光は無視されてもよい。RGB照明パルスおよびターゲット12からの信号の強度の方がはるかに強いからである。
【0113】
NIR蛍光イメージ露光時間Exp1およびExp2をそれぞれ1/2フレーム周期分、1/4フレーム周期分、取得するようセットしつつ、2フレームおきに最後の1/4フレームのみにおいて励起レーザを駆動することによって、偶数行(Exp1)はNIR蛍光の1/4フレームに加えて環境部屋光の1/2フレームを記録し、一方、奇数行(Exp2)はNIR蛍光の1/4フレームおよび環境部屋光の1/4フレームを記録する。各可視またはNIR蛍光フレーム内でこれらの断片露光を行うことで、そうでなければ環境部屋光減算のためにフレームシーケンスに挿入される追加的な露光フレームによって生じうる動きの乱れを最小化できる。
【0114】
そのような取得デザインでは、環境部屋光のイメージ信号への寄与の評価は、Exp1センサ行(Exp2画素位置に合うよう内挿される)からNIR蛍光イメージのExp2センサ行を減じることによって分離可能であり、これにより環境部屋光信号の1/4フレームの評価が生じる。環境部屋光信号の1/4フレームの評価は次いでNIR蛍光イメージのExp2センサ行から減じられ、その結果環境部屋光の1/4フレームが除去されたNIR蛍光信号の評価が生じる。照明および露光の制御はVPIボックス14によって行われてもよい。
【0115】
ある実施の形態では、上述の部屋光減算方法は、ベイヤーパターンカラーセンサの使用を許容するために変えられてもよい。
図12Aは、カラーセンサ画素のベイヤーパターン配列を示す。そこでは、偶数センサ行および奇数センサ行は異なるフィルタ配列を有し(例えば、偶数センサ行には赤画素がなく、奇数センサ行には青画素がない)、そのため偶数行で記録された環境光は、同じ期間中に奇数行に至った環境光のよい評価とはならないであろう。しかしながら、個々全ての行は緑画素信号を含み、それはまたNIR蛍光にも感度を有する。緑画素のみを用いることで、および、緑画素信号から他の画素位置への二次元内挿を行うことで、環境光信号成分の評価を得ることができ、したがって、NIR光イメージおよび可視光イメージのそれぞれについて、NIR蛍光成分の評価および可視光成分の評価を得ることができる。
【0116】
所与の位置でのNIR信号値を計算するために、その位置の近くのExp1(偶数行)およびExp2(奇数行)の緑画素値を計算し、それらの値のうちの一方または両方は内挿される必要がある。
図12Bは例を示しており、そこでは、赤画素位置において、Exp1(偶数行)の緑値の最良の評価は直上および直下の緑値の平均であり、一方、Exp2(奇数行)の緑値の最良の評価はすぐ左およびすぐ右の緑値の平均である。
【0117】
以下の数学的例は、環境部屋光減算方法の実施の形態を説明するのに役に立つ。A=1/4フレーム周期中における入射環境光、およびF=1/4フレーム周期中における入射蛍光、とするとき、
Exp 1 = 2A + F
Exp 2 = A + F
Fについて解くと、
F = 2*Exp2 - Exp1
【0118】
図11Aに示される特定の例では、検出周期は3フレームであり、白色光パルスおよび励起パルスは同じ継続期間または幅を有するが、異なる周波数を有し、可視光は2フレーム、例えば最初の二つのフレーム、の間に検出され、蛍光は二つの異なる露光時間でひとつのフレーム、例えば三番目または最後フレーム、の間に検出される。図に示されるように、可視露光時間は白色光パルスの継続時間の二倍であってもよく、第1蛍光露光時間は励起パルスの継続時間と等しくてもよく、第2蛍光露光時間は励起パルスよりも例えば2倍長いパルスであってもよい。さらに、可視露光は白色光パルスとは異なる周波数を有してもよい。例えば、可視露光は個々全ての白色光パルスに伴って生じなくてもよく、一方、蛍光露光は励起パルスと同じ周波数を有してもよい。
【0119】
以下に、代替的なタイミングおよび露光ダイアグラムを説明する。そこでは、共通露光継続時間の間全てアクティブである行を有するセンサが用いられてもよいが、依然として、単一のセンサを用いて環境光が補償される。例えば、ターゲットが照らされていないときに、センサによって背景光が直接検出されてもよい。パルス、暴露および検出についての他の変形例は当業者には明らかであろう。
【0120】
図11Bは、白色光(RGB)および蛍光励起(レーザ)照明の代替的なタイミング図、並びに単一のセンサで蛍光信号からの環境部屋光の減算を可能とするよう構成される可視(VIS)およびNIR蛍光(FL)イメージングセンサ露光を示す。可視光の露光および蛍光の露光が、環境光に起因する背景(BG)イメージ信号を取得するための露光と共に、シーケンスで示されている。上述の通り、白色光照明は80Hzでパルス出力されてもよい。蛍光励起照明は20Hzでパルス出力されてもよく、パルス継続時間または幅は、白色光パルス継続時間の例えば二倍まで増やされてもよく、これにより対応する蛍光露光をより長くすることができる。グローバルシャッターを伴うイメージングセンサを用いる場合、各センサ露光は、イメージングフレームの終端において、読み出し周期で終わらなければならない。環境光背景イメージ信号を取得するための露光は、パルス化白色光も励起光もないときに、フレームの終わりの部分で行われてもよい。
図11Bの例に示されるように、ビデオを60Hzのフレームレートで取得する場合、白色光照明パルス幅として1/4フレーム継続時間を用いてもよく、このとき、白色光照明パルスの終わりがフレームの終わりと揃うフレームにおいて1/4フレーム継続時間の可視光露光が生じる。
【0121】
ひとつ以上の背景露光中に記録されたスケール済みイメージ信号を、各蛍光露光イメージから減じることで、蛍光イメージから環境光の寄与を除去してもよい。例えば、1/4フレーム継続時間の背景露光からのイメージ信号を二倍にスケールアップして、1/2フレーム継続時間の蛍光露光からの後続イメージ信号から減じてもよい。他の例として、1/2フレーム継続時間の蛍光露光のイメージ信号の前の1/4フレーム継続時間の背景露光のイメージ信号と、蛍光露光に続く第2の1/4フレーム背景イメージ信号と、の両方を蛍光イメージ信号から減じてもよい。第1背景露光および第2背景露光からのイメージ信号のスケーリングは、第1露光時点および第2露光時点からの画素値の内挿により、中間時点に対応する画素値を予測することを含んでもよい。
【0122】
より高いビデオフレーム取得レートを可能にする高速読み出しを伴うイメージングセンサを用いることで、所与の白色光パルス周波数についての照明および露光タイミングスキーム内で、追加的な露光期間を割り当てることが可能となる。例えば、上述のような80Hzのの白色光照明パルスを維持しつつ、120Hzなどのより高いビデオフレーム取得レートを伴うセンサを用いることで、60Hzなどのより遅いビデオフレーム取得レートを用いる場合と比べて、所与の期間内で、白色光露光、環境背景露光、または蛍光露光を追加することができる。
【0123】
図11Bに示される特定の例では、検出周期は3フレームであり、励起パルスは白色光パルスの幅の二倍の幅を有し、可視光はひとつのフレーム、例えば最初のフレーム、の間に検出され、背景光はひとつのフレーム、例えば二番目のフレーム、の間に検出され、蛍光はひとつのフレーム、例えば三番目または最後フレーム、の間に検出される。ここで、可視露光時間は白色光パルスの継続時間と等しくてもよく、蛍光露光時間は白色光パルスの継続時間と等しくてもよく、蛍光露光時間は励起パルスの継続時間と等しくてもよい。さらに、可視露光は白色光パルスとは異なる周波数を有してもよい。例えば、可視露光は個々全ての白色光パルスに伴って生じなくてもよく、一方、蛍光露光は励起パルスと同じ周波数を有してもよい。最後に、蛍光露光は期間内にただ一度のみ生じてもよい。
【0124】
図11Cは、白色光(RGB)および蛍光励起(レーザ)照明の代替的なタイミング図、並びに120Hzのビデオフレーム取得レートを伴う単一のセンサで蛍光信号からの環境部屋光の減算を可能とするよう構成される可視(VIS)およびNIR蛍光(FL)イメージングセンサ露光を示す。80Hzの白色光パルス周波数が用いられ、白色光照明パルス幅として1/2フレーム継続時間を用いてもよく、このとき、白色光照明パルスの終わりがフレームの終わりと揃うフレームにおいて1/2フレーム継続時間の可視光露光が生じる。蛍光励起照明は40Hzでパルス出力され、パルス継続期間は1フレームであるように示されており、これにより、対応する蛍光露光の周波数を高めることができる。環境光背景イメージ信号を取得するための露光は、パルス化白色光も励起光もないときに、フレームの終わりの部分で行われてもよい。例えば、この例示的な実施の形態に示されるように、蛍光露光とその次の白色光露光との間のフレームにおいて1/2フレーム継続期間の露光が生じてもよい。
【0125】
図11Cに示される特定の例では、検出周期は3フレームであり、励起パルスは白色光パルスの幅の二倍の幅を有し、可視光はひとつのフレーム、例えば二番目のフレーム、の間に検出され、背景光はひとつのフレーム、例えば最初のフレーム、の間に検出され、蛍光はひとつのフレーム、例えば三番目または最後フレーム、の間に検出される。ここで、可視露光時間は白色光パルスの継続時間と等しくてもよく、背景露光時間は白色光パルスの継続時間と等しくてもよく、蛍光露光時間は励起パルスの継続時間と等しくてもよい。さらに、可視露光は白色光パルスとは異なる周波数を有してもよい。例えば、可視露光は個々全ての白色光パルスに伴って生じなくてもよく、一方、蛍光露光は励起パルスと同じ周波数を有してもよい。最後に、蛍光露光は期間内にただ一度のみ生じてもよい。
【0126】
用いられる蛍光励起光の強度に依存して、励起光パルスの継続時間や周波数を制限する安全への配慮が存在しうる。適用される励起光強度を低減するためのひとつのアプローチは、励起光パルスの継続時間および対応する蛍光露光を低減することである。追加的にまたは代替的に、励起光パルス(および対応する蛍光露光)の周波数を低減してもよく、そうでなければ蛍光露光のために用いられるはずの読み出し期間を代わりに背景露光のために用いることで、環境光の測定を改善してもよい。
【0127】
図11Dは、白色光(RGB)および蛍光励起(レーザ)照明の代替的なタイミング図、並びに120Hzのビデオフレーム取得レートを伴う単一のセンサで蛍光信号からの環境部屋光の減算を可能とするよう構成される可視(VIS)およびNIR蛍光(FL)イメージングセンサ露光を示す。80Hzの白色光パルス周波数が用いられ、白色光照明パルス幅として1/2フレーム継続時間を用いてもよく、このとき、白色光照明パルスの終わりがフレームの終わりと揃うフレームにおいて1/2フレーム継続時間の可視光露光が生じる。蛍光励起照明は20Hzでパルス出力され、パルス継続期間は1フレームであるように示される。環境光背景イメージ信号を取得するための露光は、パルス化白色光も励起光もないときに、フレームの終わりの部分で行われてもよい。例えば、この例示的な実施の形態に示されるように、蛍光露光とその次の第1白色光露光との間のフレームにおいて1/2フレーム継続期間の背景露光が生じてもよく、また、第1白色光露光とその次の第2白色光露光との間のフレームにおいて1フレーム継続期間の第1背景露光および1/2フレーム継続期間の第2背景露光の両方が生じてもよい。
【0128】
図11Dに示される特定の例では、検出周期は6フレームであり、励起パルスは白色光パルスの幅の二倍の幅を有し、可視光は2フレーム、例えば二番目および五番目のフレーム、の間に検出され、背景光は3フレーム、例えば最初、三番目および四番目のフレーム、の間に検出され、蛍光はひとつのフレーム、例えば六番目または最後フレーム、の間に検出される。ここで、可視露光時間は白色光パルスの継続時間と等しくてもよく、背景露光時間は白色光パルスの継続時間と等しいかその二倍であってもよく、蛍光露光時間は励起パルスの継続時間と等しくてもよい。さらに、可視露光は白色光パルスとは異なる周波数を有してもよい。例えば、可視露光は個々全ての白色光パルスに伴って生じなくてもよく(例えば、期間内に二回だけ)、一方、蛍光露光は励起パルスと同じ周波数を有してもよい。最後に、背景露光は期間内に三回生じ、その総継続時間は白色光パルスの継続時間の四倍であってもよい。
【0129】
上述のような環境部屋光補償方法のパフォーマンスを改善するために、可視光およびNIR光の全ての透過を許すより小さな中央開口と可視光を遮るがNIR光の透過を許すより大きな環囲開口とを含む波長依存開口(例えば、
図6Aの要素55)を用いてもよい。そのような波長依存開口を用いることで、可視光信号に対してより大きな割合でNIR信号を収集することができ、これにより、環境部屋光成分の評価および除去のためのイメージ信号減算のパフォーマンスを改善することができる。波長依存開口はまた、可視光およびNIR光の両方を遮るより大きな第3開口であって、他のより小さな開口を囲む第3開口を特徴としてもよい。例として、波長依存開口はフィルム開口を備えてもよい。可視光の透過をブロックするがNIR光の透過を許す物質のフィルム(例えば、プラスチックまたはガラスフィルム)は、可視光およびNIR光の両方の透過を許す中央開口(例えば、孔)を有する。そのようなフィルム開口は、反射を通じて可視光の透過をブロックする物質、および/または吸収を通じて可視光の透過をブロックする物質を含んでもよい。他の例として、波長依存開口は、単一の基板上へのマスクされた薄膜形成により形成されたダイクロイック開口を備えてもよい。可視光およびNIR光の透過を許す薄膜はより小さい中央開口に形成され、可視光の透過をブロックするがNIR光の透過を許す第2薄膜はより大きな環囲開口に形成為れる。波長依存開口のより小さな中央開口およびより大きな環囲開口のそれぞれの開口サイズは、イメージングシステムによる撮像の際に可視光の被写界深度およびNIR光の被写界深度が実質的に同様になるように、設定されてもよい。ひとつ以上の波長依存フィルタは、デバイス全体に亘って異なる位置に置かれてもよい。そこでは、可視信号の拒絶とNIR信号の通過とが最適化されてもよい。例えば、そのような波長依存フィルタをレンズ51の直前においてもよい。他の例として、ひとつ以上の波長依存フィルタをイメージングレンズの瞳面においてもよい。
【0130】
撮像されている視野内の領域の周りにターゲットレチクルを表示し、正規化蛍光強度をその領域内に計算して表示すると、例えば異なる領域の蛍光信号をより容易に比較するために、便利であろう。測定された蛍光強度値の正規化は、複数のイメージおよび対応する値の意味のある比較を可能とする。測定された蛍光強度の作業距離(例えば、撮像されている解剖学的構造とイメージングシステムとの距離)による変動を補正するために、正規化された蛍光強度値は、測定された蛍光強度値とターゲットレチクル領域内の反射光値との間の比に基づいてもよい。
【0131】
ターゲットレチクル領域内の正規化蛍光強度値の数値表現はイメージフレームに、またはイメージフレームの近くに、表示されてもよい。これにより、ターゲットレチクルを撮像されている解剖学的構造上の異なる位置に向けたときの値の比較がより容易となる。例えば、数値表現は、ターゲットレチクル領域内の全てのイメージ画素に亘る、正規化蛍光強度値の平均値であってもよい。
【0132】
追加的にまたは代替的に、ターゲットレチクル領域内の正規化蛍光強度値の数値表現の時間履歴プロットはイメージフレームに、またはイメージフレームの近くに、表示されてもよい。これにより、ターゲットレチクルを撮像されている解剖学的構造上の異なる位置に、または、一連の時点に亘る同じ位置に、向けたときの値の比較がより容易となる。そのような時間履歴プロットは、ユーザが、解剖学的関心領域に亘って走査し、相対正規化蛍光強度プロファイルプロットを見ることによって、撮像された組織表面における蛍光プロファイルを評価するのをさらに助けることができる。
【0133】
図13Aは、ディスプレイ方法の実施の形態から出力されるサンプルディスプレイの図を示す。ターゲットレチクル125は撮像されている解剖学的構造120の蛍光強度が無い領域122の上に位置し、蛍光強度の数値表現126はターゲットレチクル125の近くに表示される。
図13Bは、他のサンプルディスプレイ出力の図を示す。ターゲットレチクル125は高い相対正規化蛍光強度の領域124の上に位置し、対応する比較的高い蛍光強度の数値表現126を示している。
図13Cは、他のサンプルディスプレイ出力の図を示す。ターゲットレチクル125は中程度の相対正規化蛍光強度の領域124の上に位置し、対応する比較的中程度の蛍光強度の数値表現126を示している。
図13Dは、サンプルディスプレイ出力の図を示す。ターゲットレチクル125は中程度の相対正規化蛍光強度の領域124の上に位置し、正規化蛍光強度の数値表現の時間履歴プロット128を示している。このプロット128は、ゼロ相対正規化蛍光強度の領域、高い相対正規化蛍光強度の領域および中程度の相対正規化蛍光強度の領域を順にイメージングしたことと整合している。ターゲット上に数値表現および/または履歴プロットを表示することに対して代替的にまたは追加的に、例えばデバイス自身または他のディスプレイ上のターゲットレチクルに関連付けられたディスプレイ領域がこの情報を表示してもよい。
【0134】
図14は、正規化蛍光強度を表示するディスプレイ方法出力の実施の形態を特徴付ける、解剖学的蛍光イメージングファントムの記録イメージを示す。特に、ターゲット110は実施の形態にしたがい励起光により照らされ、ターゲットレチクル115は蛍光強度の領域112の上に位置する。ターゲットレチクル115の数値表現は、ターゲットレチクル115に関連付けられた領域116に表示される。レチクル115の異なる位置のイメージングに起因する正規化蛍光強度の数値表現の時間履歴プロット118が表示されてもよい。
【0135】
そのようなディスプレイ方法は種々の蛍光イメージングシステムにおいて役に立つものであろう。そのような種々の蛍光イメージングシステムは、内視鏡または腹腔鏡蛍光イメージングシステムや、オープンフィールド蛍光イメージングシステムやそれらの組み合わせを含む。蛍光強度値のそのような正規化および表示は、イメージングセッション内の種々の時点からのイメージデータ間での相対蛍光強度の定量的比較の役に立ちうる。適切に標準化された蛍光剤投与およびイメージングプロトコル並びにイメージングデバイスの標準化された較正と組み合わせることで、蛍光強度値のそのような正規化および表示は、さらに、異なるイメージングセッションからのイメージデータ間での相対蛍光強度の定量的比較の役に立ちうる。
【0136】
例
【0137】
イメージデータの取得のための蛍光医療イメージングシステム
【0138】
ある実施の形態では、対象の照明およびイメージングのためのシステムは、例えば蛍光医療イメージングデータを取得するための蛍光医療イメージングシステムなどの医療イメージングシステムと共に用いられるか、またはそれのコンポーネントとして用いられてもよい。そのような蛍光医療イメージングシステムの例は、
図1に模式的に示される蛍光イメージングシステム10である。この実施の形態では、蛍光イメージングシステム10は、蛍光イメージング剤が組織を通過するのを取得する蛍光信号強度データ(例えば、イメージ、ビデオ)の時系列を取得するよう構成される。
【0139】
蛍光イメージングシステム10(
図1)は、対象の組織を照らすことで対象の組織における(例えば、血中の)蛍光イメージング剤17からの蛍光放射を誘導する照明源15および照明モジュール11と、蛍光放射からの蛍光イメージの時系列を取得するよう構成されたイメージングモジュール13と、本明細書に記載された種々の実施の形態にしたがい蛍光イメージ(蛍光信号強度データ)の取得された時系列を用いるよう構成されたプロセッサアセンブリ16と、を備える。
【0140】
種々の実施の形態では、照明源15(
図1)は例えば光源200(
図15)を備え、該光源200は、蛍光イメージング剤17を励起するのに適切な強度および波長を有する励起光を生成するよう構成された蛍光励起源を含む。
図15の光源200は、蛍光イメージング剤17(不図示)を励起するための励起光を提供するよう構成されたレーザダイオード202(例えば、これは例えばひとつ以上のファイバ結合ダイオードレーザを含んでもよい)を備える。種々の実施の形態において用いられ得る励起光の他のソースの例は、ひとつ以上のLED、アークランプ、または組織内(例えば、血液内)の蛍光イメージング剤17を励起するのに十分な強度および適切な波長の他の照明技術を含む。例えば、血中の蛍光イメージング剤17の励起(該蛍光イメージング剤17は近赤外線励起特性を伴う蛍光色素)は、DILAS Diode Laser Co, Germanyから入手可能なひとつ以上の793nm、伝導冷却、シングルバー、ファイバ結合レーザダイオードモジュールを用いて実行されてもよい。
【0141】
種々の実施の形態では、
図15の光源200からの光出力を光学要素(例えば、ひとつ以上の光学要素)を通じて投影することで、組織の関心領域を照らすのに用いられている出力を形成しかつ導いてもよい。形成光学系は、イメージングモジュール13の視野の実質的全体に亘る平坦なフィールドが得られるように、ひとつ以上のレンズ、光ガイド、および/または回折要素を含んでもよい。特定の実施の形態では、蛍光励起源は、蛍光イメージング剤17(例えば、ICG)の最大吸収に近い波長で放射するよう選択される。例えば、
図15の光源200の実施の形態を参照すると、レーザダイオード202からの出力204はひとつ以上の収束レンズ206を通過し、例えばNewport Corporation, USAから普通に取得可能なライトパイプなどの均質化ライトパイプ208を通過する。最後に、光は、例えばNewport Corporation, USAから取得可能なすりガラス回折要素などの光学回折要素214(例えば、ひとつ以上の光学ディフューザ)を通過する。レーザダイオード202自身への電力は、例えばLumina Power Inc., USAから取得可能な大電流レーザドライバなどによって提供されてもよい。レーザは、オプションで、イメージ取得プロセス中、パルスモードで動作してもよい。本実施の形態では、ソリッドステートフォトダイオード212などの光学センサは光源200に組み込まれ、光源200によって生成される照明強度を、種々の光学要素からの散乱や拡散反射を介してサンプルする。種々の実施の形態では、追加的な照明源を用いることで、関心領域の上でモジュールを整列させ位置決めするときのガイドを提供してもよい。種々の実施の形態では、
図15に示される光源200のコンポーネントのうちの少なくともひとつは、照明源15を備えるおよび/または照明モジュール11を備えるコンポーネントであってもよい。
【0142】
図1を再度参照すると、種々の実施の形態では、イメージングモジュール13は例えば蛍光イメージングシステム10のコンポーネントであってもよく、蛍光イメージング剤17からの蛍光放射から蛍光イメージの時系列(例えば、ビデオ)を取得するよう構成されてもよい。
図16を参照すると、カメラモジュール250を備えるイメージングモジュール13の例示的な実施の形態が示される。
図16に示されるように、カメラモジュール250は、蛍光放射を少なくともひとつの二次元ソリッドステートイメージセンサを含むイメージセンサアセンブリ264上に集束させるためのイメージングオプティクスのシステム(例えば、フロント要素254、排除フィルタ256、ダイクロイック260およびリア要素262)を用いることで、組織内(例えば、血液中)(不図示)の蛍光イメージング剤17からの蛍光放射252のイメージを取得してもよい。排除フィルタ256は、例えば、励起光に対応する波長帯を排除するために用いられるノッチフィルタであってもよい。ダイクロイック260は、例えば、入来光波長スペクトルのある部分集合を選択的に通過させ、残りの波長を排除のために光路から離れるようまたは別個のイメージセンサに向けて再方向付けするのに用いられるダイクロイックミラーであってもよい。ソリッドステートイメージセンサは、電荷結合デバイス(CCD)、CMOSセンサ、CIDまたは同様の二次元センサ技術であってもよい。イメージセンサアセンブリ264によって変換された光信号から得られる電荷は、カメラモジュール250内の適切な読み出しおよび増幅エレクトロニクスによって、デジタルビデオ信号およびアナログビデオ信号の両方を含む電子ビデオ信号に変換される。
【0143】
ある実施の形態によると、ICG蛍光イメージング用のNIR互換光学系と共に、約800 nm +/- 10 nmの励起波長および> 820 nmの放射波長が用いられる。当業者であれば、他のイメージング剤用に、他の励起波長および放射波長が用いられうることを理解するであろう。
【0144】
図1に戻り、種々の実施の形態では、プロセッサアセンブリ16は例えば以下を含む。
・種々の処理動作を行うよう構成されたプロセッサモジュール(不図示)であって、処理動作がコンピュータ可読媒体に保持されるインストラクションを実行することを含み、インストラクションが本明細書で説明されたシステムのうちのひとつ以上に本明細書で説明された方法および技術を実行させる、プロセッサモジュール
・動作からのデータを記録し保持するための、また、ある実施の形態ではプロセッサモジュールによって実行可能なインストラクションを保持するためのデータストレージモジュール(不図示)であって、該インストラクションは本明細書で開示された方法および技術を実装するためのものである、データストレージモジュール。
【0145】
種々の実施の形態では、プロセッサモジュールは、例えばタブレットやラップトップやデスクトップやネットワークコンピュータや専用スタンドアローンマイクロプロセッサなどの任意のコンピュータまたは計算手段を含む。入力は、例えば、
図16に示されるカメラモジュール250のイメージセンサ264から、
図15の光源200のソリッドステートフォトダイオードから、およびフットスイッチまたは遠隔制御などの外部制御ハードウエアのいずれかから、取得される。出力は、レーザダイオードドライバおよび光学アライメント器に提供される。種々の実施の形態では、プロセッサアセンブリ16(
図1)は、内部メモリ(例えば、ハードディスクやフラッシュメモリ)などの実体的非一時的コンピュータ可読媒体に入力データ(例えば、イメージデータ)の時系列を保存する能力を伴うデータ格納モジュールを有してもよく、それによりデータの記録および処理が可能となる。種々の実施の形態では、プロセッサモジュールは内部クロックを有してもよく、これにより種々の要素の制御が可能となり、また照明およびセンサシャッタの正しいタイミングが保証される。種々の他の実施の形態では、プロセッサモジュールはユーザ入力と出力のグラフィカル表示とを提供してもよい。蛍光イメージングシステムはオプションで、ビデオディスプレイ(不図示)を備えてもよい。このビデオディスプレイは、イメージが取得されているときにまたは記録された後の再生においてイメージを表示し、または上述したようにさらに方法の種々の段階において生成されたデータを可視化してもよい。
【0146】
動作中、および
図1、15および16の例示的な実施の形態を引き続き参照し、対象の関心解剖学的エリアが照明モジュール11およびイメージングモジュール13の両方の下に置かれるようなイメージング位置に対象を配置する。その結果、関心領域の実質的に全体に亘って実質的に一様な照明フィールドが生成される。種々の実施の形態では、対象に蛍光イメージング剤17を投与する前に、背景除去のために関心エリアのイメージが取得されてもよい。例えば、これを行うために、
図1の蛍光イメージングシステム10のオペレータは、遠隔スイッチまたはフットコントロールを押し込むことで、またはプロセッサアセンブリ16に接続されたキーボード(不図示)を介して、蛍光イメージの時系列(例えば、ビデオ)の取得を始めてもよい。その結果、照明源15がオンされ、プロセッサアセンブリ16は、イメージ取得アセンブリ13によって提供される蛍光イメージデータの記録を開始する。上述のパルスモードの代わりに、ある実施の形態では、照明源15がイメージ取得シーケンス中連続的にオンとなる放射源を備えうることは理解されるであろう。実施の形態のパルスモードで動作する場合、カメラモジュール250(
図16)のイメージセンサ264は、光源200(
図15)のダイオードレーザ202によって生成されるレーザパルスに続く蛍光放射を集めるように同期される。このようにすることで、最大の蛍光放射強度が記録され、信号対ノイズ比は最適化される。この実施の形態では、蛍光イメージング剤17は対象に投与され、動脈流を介して関心エリアに運ばれる。蛍光イメージの時系列の取得は、例えば、蛍光イメージング剤17の投与の後すぐに開始され、関心エリアの実質的に全体からの蛍光イメージの時系列は蛍光イメージング剤17の入来を通じて取得される。関心領域からの蛍光放射は、カメラモジュール250の収集光学系によって集められる。残留雰囲気励起光および反射励起光は、カメラモジュール250の後続の光学要素(例えば、
図16の光学要素256であってこれはフィルタであってもよい)によって減衰する。その結果、蛍光放射はイメージセンサアセンブリ264によって、他のソースからの光との最小の干渉を伴って、取得されうる。
【0147】
種々の実施の形態において、プロセッサはイメージングシステムと通信するか、またはイメージングシステムのコンポーネントである。種々の実施の形態に係るプログラムコード手段または他のコンピュータ可読インストラクションを任意の適切なプログラミング言語で記述可能および/または保持可能であり、かつ、多くの形態でプロセッサに提供可能である。そのような多くの形態は、例えば、書き込み不可保持媒体(例えば、ROMやCD-ROMディスクなどのリードオンリーメモリデバイス)に恒久的に保持される情報や、書き込み可能保持媒体(例えば、ハードドライブ)に変更可能に保持される情報や、一時的媒体(例えば、信号)を介してプロセッサに渡される情報や、ローカルエリアネットワーク、インターネットなどの公衆ネットワーク、または電子的インストラクションを保持するのに適切な任意のタイプの媒体などの通信媒体を通じてプロセッサに運ばれる情報、を含むがそれらに限定されない。種々の実施の形態では、実体的非一時的コンピュータ可読媒体は全てのコンピュータ可読媒体を含む。ある実施の形態では、本明細書で説明された方法または技術のうちのひとつ以上を実行するためのコンピュータ可読インストラクションはそれだけで、非一時的コンピュータ可読媒体に保持されてもよい。
【0148】
ある実施の形態では、照明およびイメージングシステムは、医療イメージングデータを取得する蛍光医療イメージングシステム10などの医療イメージングシステムのコンポーネントであってもよい。照明およびイメージングシステムが上述の蛍光イメージングシステムなどのイメージングシステムのコンポーネントである実施の形態では、医療イメージングシステムの光源、照明モジュール、イメージングモジュールおよびプロセッサは、照明およびイメージングシステムのカメラアセンブリおよびプロセッサとして機能してもよい。当業者であれば、行われるイメージングのタイプに依存して、上述のもののような照明および/またはイメージングシステムでの使用のために、蛍光イメージングシステム以外のイメージングシステムを用いてもよいことを理解するであろう。
【0149】
イメージデータを生成する際に用いられる例示的なイメージング剤
【0150】
ある実施の形態によると、蛍光医療イメージングアプリケーションにおいて、イメージング剤は、インドシアニングリーン(ICG)色素などの蛍光イメージング剤である。ICGは対象に投与されると、血液タンパクと結合し血液と共に組織内を循環する。蛍光イメージング剤(例えば、ICG)は、(例えば、静脈または動脈への)ボラース投与として、イメージングに適した濃度で、対象に投与されてもよい。この場合、ボラースは血管系を循環し、毛細血管系を通過する。複数の蛍光イメージング剤が用いられる他の実施の形態では、そのような複数の薬剤は同時に(例えば、単一のボラースで)投与されてもよいし、順番に(例えば、別個のボラースで)投与されてもよい。ある実施の形態では、蛍光イメージング剤はカテーテルによって投与されてもよい。ある実施の形態では、蛍光イメージング剤は、蛍光イメージング剤から生じる信号強度の測定を行う前一時間以内に、対象に投与されてもよい。例えば、蛍光イメージング剤は、測定を行う前三十分以内に対象に投与されてもよい。さらに他の実施の形態では、蛍光イメージング剤は、測定を行う少なくとも三十秒前に投与されてもよい。さらに他の実施の形態では、蛍光イメージング剤は、測定を行うのと同時に投与されてもよい。
【0151】
ある実施の形態によると、蛍光イメージング剤は、所望の循環血中濃度を達成するために種々の濃度で投与されてもよい。例えば、蛍光イメージング剤がICGである実施の形態では、それが約2.5mg/mLの濃度で投与されることで、約5μMから約10μMの循環血中濃度が達成されてもよい。種々の実施の形態では、蛍光イメージング剤の投与についての上限濃度は、蛍光イメージング剤が循環血液中で臨床毒性となる濃度であり、下限濃度は、蛍光イメージング剤を検出するために血液と共に循環する蛍光イメージング剤から生じる信号強度データを取得するための装置の限界である。種々の他の実施の形態では、蛍光イメージング剤の投与についての上限濃度は、蛍光イメージング剤が自己失活となる濃度である。例えば、ICGの循環濃度は約2μMから約10mMの範囲であってもよい。したがって、ある態様では、方法は、対象へのイメージング剤(例えば、蛍光イメージング剤)の投与ステップと、種々の実施の形態にしたがい信号強度データ(例えば、ビデオ)を処理する前の信号強度データ取得ステップと、を含む。他の態様では、方法はイメージング剤の対象への投与ステップを除いてもよい。
【0152】
ある実施の形態によると、蛍光イメージングアプリケーションにおいて蛍光イメージデータを生成するのに用いられる適切な蛍光イメージング剤は、血液と共に循環可能(例えば、リポタンパクや血中の血漿血清などの血液成分と共に循環可能な蛍光色素)であり、かつ、組織の血管系(すなわち、大血管および毛細血管)を通過し、かつ、適切な光エネルギ(例えば、励起光エネルギや吸光エネルギ)に曝されると信号強度が生じるイメージング剤である。種々の実施の形態では、蛍光イメージング剤は、蛍光色素、その類似物、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。蛍光色素は非毒性蛍光色素を含む。ある実施の形態では、蛍光色素は、近赤外線スペクトルにおいて最適に蛍光を発する。ある実施の形態では、蛍光色素はトリカルボシアニン色素であるかそれを含む。所定の実施の形態では、蛍光色素はインドシアニングリーン(ICG)やメチレンブルーやそれらの組み合わせであるか、それを含む。他の実施の形態では、蛍光色素は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレサミン、ローズベンガル、トリパン青、フルオロゴールド、またはそれらの組み合わせであって各色素にとって適切な励起光波長を用いて励起可能なものであるか、それを含む。ある実施の形態では、蛍光色素の類似物または誘導体が用いられてもよい。例えば、蛍光色素類似物または誘導体は、化学的に変更されたが、適切な波長の光エネルギに曝された場合に蛍光を発する能力を維持する蛍光色素を含む。
【0153】
種々の実施の形態では、蛍光イメージング剤は凍結乾燥粉末、固体、または液体として提供されてもよい。ある実施の形態では、蛍光イメージング剤はバイアル(例えば、無菌バイアル)で提供されてもよく、バイアルは、無菌注射器で無菌流体を調製することにより適切な濃度での再構成を可能としてもよい。再構成は適切なキャリアや希釈剤を用いて行われてもよい。例えば、蛍光イメージング剤は、投与の直前に水性希釈剤で再構成されてもよい。種々の実施の形態では、溶液中で蛍光イメージング剤を維持するであろう任意の希釈剤またはキャリアが用いられてもよい。一例として、ICGは水で再構成可能である。ある実施の形態では、蛍光イメージング剤が再構成されると、それは追加的な希釈剤およびキャリアと混合されうる。ある実施の形態では、例えば溶解性、安定性、イメージング特性、またはそれらの組み合わせを強化するために、蛍光イメージング剤を他の分子、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、合成高分子、糖など)と複合化してもよい。トリスアミノメタン、HCl、NaOH、リン酸緩衝剤、および/またはHEPESを含む追加的な緩衝剤を追加してもよい。
【0154】
当業者であれば、上で蛍光イメージング剤が詳細に説明されたが、光学イメージングモダリティに依存して、本明細書で説明されるシステム、方法および技術との関連で他のイメージング剤を用いてもよいことを理解するであろう。
【0155】
ある実施の形態では、本明細書で説明される方法およびシステムと組み合わせて用いられる蛍光イメージング剤は、血流イメージング、組織灌流イメージング、リンパイメージング、またはそれらの組み合わせのため用いられてもよく、それらは侵襲的手術、最低侵襲的手術、非侵襲的手術、またはそれらの組み合わせ中に行われてもよい。血流および組織灌流を含みうる侵襲的手術の例は、心臓関連手術(例えば、CABGオンポンプまたはオフポンプ)や再建手術を含む。非侵襲的または最小侵襲手術の例は、傷(例えば、褥瘡などの慢性傷)の治療および/または管理を含む。 リンパイメージングの例は、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組み合わせの特定を含む。ある変形例では、そのようなリンパイメージングは女性の生殖システム(例えば、子宮、子宮頸部、外陰)に関してもよい。ある実施の形態では、蛍光イメージング剤は、リンパ的イメージングに影響を及ぼすのに十分な濃度かつ適切な態様で、投与されてもよい。
【0156】
組織灌流は単位組織体積ごとの微小循環性血流に関連しており、そこでは灌流対象の組織の毛細血管床へ酸素および栄養が提供され、そこから老廃物が除去される。組織灌流は、血管内の血流に関連するがそれとは別個の現象である。血管を通じた定量化血流は、フローを定義するターム(すなわち、体積/時間)で、またはスピードを定義するターム(すなわち、距離/時間)で、表現されてもよい。組織血液灌流は組織体積内における小動脈、細管、細静脈などの毛細血管を通る血液の動きを定義する。定量化組織血液灌流は、組織を通過する血流のタームで、すなわち、体積/時間/組織体積(または、組織質量)のタームで、表現される。灌流は栄養性血管(例えば、キャピラリとして知られている毛細血管)に関連付けられる。この栄養性血管は、より大きな径の非栄養性血管ではなく、血液と組織との間の代謝物の交換に関連付けられた血管を含む。ある実施の形態では、ターゲット組織の定量化は、ターゲット組織に関するパラメータまたは量、例えばレート、サイズ、体積、時間、距離/時間、および/または体積/時間、および/または変化量、を計算するか決定することを含んでもよい。それは前述のパラメータまたは量のうちの任意のひとつ以上に関する。しかしながら、より大きな径の血管を通じた血液の動きと比べて、個々のキャピラリを通じた血液の動きは大いに不規則でありうる。これは主に血管運動のためであり、血管拍での自発振動は赤血球の動きにおける脈動として現れる。
【0157】
まとめると、ひとつ以上の実施の形態は、作業距離の変化を許容しつつ、フラットな照明フィールドを提供し、かつ、照明フィールドをターゲットイメージングフィールドにマッチさせることができる。したがって、正確な定量的イメージングアプリケーションが可能となる。ターゲットからの光をセンサに集束させるイメージング要素は、照明フィールドの操舵と同期して動かされてもよい。追加的にまたは代替的に、ドレープレンズとデバイスのウインドウフレームとの間の密な嵌合を確かにするドレープを用いてもよい。追加的にまたは代替的に、ひとつ以上の実施の形態は、単一のセンサならびに照明および露光または検出の制御されたタイミングを用いることで、結像されるべき光から環境光を減じることができる。追加的にまたは代替的に、ひとつ以上の実施の形態は、イメージフレームのターゲットレチクル領域内で測定された正規化蛍光強度の表示を可能としてもよい。
【0158】
これに対して、照明及びイメージングデバイスが照明をターゲットイメージング視野に合わせない場合、または、フラット、すなわち一様または実質的に均一な照明フィールドを提供しない場合、照明及び画質は悪化するであろう。非一様な照明フィールドは、特にハンドヘルドイメージングデバイスにおいて様々な作業距離で用いられた場合、邪魔で不正確なイメージング乱れを引き起こしうる。また、イメージング視野外の余分な光はデバイスの効率を低下させ、デバイスを位置決めする際にユーザの邪魔となり得る。
【0159】
本明細書で説明される方法およびプロセスは、コンピュータやプロセッサやマネジャーやコントローラによって、またはハードウエアや他の回路で実行されるコードまたはインストラクションによって実行されてもよい。方法(またはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラの動作)の基礎をなすアルゴリズムが詳細に説明されたので、方法の実施の形態の動作を実装するためのコードまたはインストラクションはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラを、本明細書で説明される方法を実行するための専用プロセッサへと変換してもよい。
【0160】
また、他の実施の形態は、上述のコードまたはインストラクションを保持するための、例えば非一時的コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、揮発性もしくは不揮発性メモリまたは他のストレージデバイスであってもよく、それはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラに取り外し可能または固定的に結合されていてもよく、コンピュータ、プロセッサまたはコントローラは本明細書で説明された方法の実施の形態を実行するためにコードまたはインストラクションを実行するものである。
【0161】
例示的な実施の形態が本明細書で開示され、具体的な用語が用いられたが、それらは概括的なものおよび説明的なものとしてのみ使用され、かつそのようなものとして解釈されるべきであって、限定を目的としていない。ある例では、本願の出願時点の当業者には明らかであるように、特定の実施の形態との関連で説明された特徴、特性、および/または要素は単体で用いられてもよく、またはそうでないと特に断らない限り、他の実施の形態との関連で説明された特徴、特性、および/または要素との組み合わせで用いられてもよい。したがって、以下で規定される本発明の精神および範囲から逸脱すること無く、形態や詳細の種々の変更がなされうることは、当業者には理解されるであろう。
【0162】
詳述された種々の実施の形態と関連して本開示が説明されたが、示された詳細に限定されることを意図したものではない。本開示の範囲から外れることなく様々な変更や構造変形がなされうるからである。本開示の範囲から逸脱すること無く、説明された実施の形態の形態やコンポーネント配置やステップや詳細や動作順序の種々の変更を行うことができ、また本開示の他の実施の形態をなすこともでき、それらのものは本開示に触れた当業者には明らかであろう。したがって、添付の請求項は本開示の範囲に入るので、添付の請求項がそのような変形例および実施の形態をカバーすることが想定されている。簡潔明瞭な記載をするために、本明細書では特徴は同じまたは異なる実施の形態の一部として説明された。しかしながら、本開示の範囲は、説明された特徴の全てまたはいくつかの組み合わせを有する実施の形態を含むことが理解されよう。「例えば」および「など」という用語およびそれらの文法的等価物について、そうでないと明記されない限り、「および非限定的に」というフレーズが次に続くものとして理解される。本明細書で用いられるように、「a」、「an」及び「the」という単数形はコンテキストがそうでないと明示的に述べない限り複数の指示物を含む。