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特許7512132平坦化装置、平坦化方法、物品の製造方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】平坦化装置、平坦化方法、物品の製造方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240701BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240701BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240701BHJP
   B05C 11/02 20060101ALI20240701BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L21/30 578
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
B05C5/00 101
B05C11/02
H01L21/68 P
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020146867
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041583
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智彦
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077671(JP,A)
【文献】特開2019-140394(JP,A)
【文献】特開2020-004877(JP,A)
【文献】特開2014-080000(JP,A)
【文献】特表2012-532448(JP,A)
【文献】特開2019-201180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
B05C 5/00
B05C 11/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を基板とモールドとで挟んだ状態で、前記モールドの前記組成物と接していない側の表面にガスを吹き付け、前記組成物の厚みのムラを矯正する膜厚矯正手段と、
前記基板上の組成物を硬化させて基板上に平坦な膜を生成する硬化手段と、
を有することを特徴とする平坦化装置。
【請求項2】
前記膜厚矯正手段は、前記モールドを保持するモールド保持部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項3】
前記モールドの中央部を圧力によりを凸状に変形させる変形手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項4】
前記変形手段によって前記モールドの中央部を圧力により基板に向けて凸状に変形させた状態で、前記基板上に塗布した組成物に接触させた後、前記組成物を前記基板の面に沿って広げて、前記組成物を前記基板と前記モールドとで挟んだ状態とする制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載の平坦化装置。
【請求項5】
前記膜厚矯正手段は、前記組成物の厚みのムラに応じて前記モールドの前記表面に対して吹き付けるガスの供給を調整することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項6】
前記膜厚矯正手段は、前記組成物の厚みのムラを内側から外側に向かって順に矯正することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項7】
前記膜厚矯正手段は、複数のガス供給口を有し、当該複数のガス供給口から前記表面にガスを吹き付けることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項8】
前記複数のガス供給口が設けられている面は平面であることを特徴とする請求項7に記載の平坦化装置。
【請求項9】
前記複数のガス供給口が設けられている面は曲面を有することを特徴とする請求項7に記載の平坦化装置。
【請求項10】
前記曲面は同心円状の曲面を含むことを特徴とする請求項9に記載の平坦化装置。
【請求項11】
前記膜厚矯正手段は、前記組成物の塗布量に応じて前記モールドの前記表面に対して吹き付けるガスの圧力を変更することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項12】
前記膜厚矯正手段は、吹き付けるガスの圧力または流量を検出することによって前記組成物の厚みのムラの矯正状態を判断することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項13】
前記組成物を基板と前記モールドとで挟んだ後の前記モールドの前記表面の形状に関する情報を取得する取得部を有し、前記取得部により取得された前記モールドの前記表面の形状に関する情報に基づき、前記膜厚矯正手段は前記モールドに加える前記ガスの圧力を制御することを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項14】
前記膜厚矯正手段は前記モールドの裏面に吹き付ける前記ガスの圧力を印加する場所と印加するガスの圧力と前記圧力を印加する時間と印加する場所の順番の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項15】
前記組成物は液状有機材料を含むことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項16】
組成物を平坦化するためのモールドを保持するモールド保持部を有する平坦化装置を制御する平坦化方法において、
前記組成物を基板と前記モールドとで挟んだ状態とする工程と、
前記組成物を前記基板と前記モールドとで挟んだ状態とした後、前記モールドの前記組成物と接していない表面にガスを吹き付け、前記組成物の厚みのムラを矯正する膜厚矯正工程と、を有することを特徴とする平坦化方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の前記平坦化装置を用いて基板を平坦化する平坦化工程と、
前記平坦化工程で平坦化された基板にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記パターン形成工程によりパターンが形成された前記基板を現像する現像工程と、を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか1項に記載の前記平坦化装置の各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造分野等における平坦化装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィ技術に加えて、基板上の未硬化の液状有機材料(組成物)をモールド(型)で成形して硬化させ、基板上に液状有機材料のパターンを形成する微細加工技術が注目されている。かかる技術は、インプリント技術と呼ばれ、基板上に数ナノメートルオーダーの微細なパターンを形成することができる。
【0003】
インプリント技術の1つとして、例えば、光硬化法がある。光硬化法を採用したインプリント装置は、基板上(ショット領域)に供給された光硬化性の液状有機材料をモールドで成形し、例えば紫外光を照射して液状有機材料を硬化させ、硬化した液状有機材料からモールドを引き離すことで、基板上にパターンを形成する。
【0004】
また、近年では、インプリント装置の技術を用いて基板を平坦化する技術が提案されている(特許文献1参照)。基板の平坦化技術に関しては、一般的には、既存の塗布装置(スピンコーター)を用いて基板上に塗布膜を形成することで基板の段差を平坦化する技術が知られているが、基板の段差をナノスケールで平坦化するには不十分である。一方、特許文献1に開示された技術は、基板の段差に基づいて液状有機材料を滴下し、滴下した液状有機材料にスーパーストレートと呼ばれる平坦化用のモールドを接触させた状態で液状有機材料を硬化することで平坦化の精度向上を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許9529274明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のPAINT(Programmable Inkjetting of Thinfilms)には、基板上に塗布する液状有機材料の密度を調整することで、平坦な基板に自由曲面の生成を行う方法が記載されている。
特許文献1には、曲げたスーパーストレートを降下させることにより、外向きに広がって液滴を結合させる手法の記載がある。一方、平坦化装置ではスーパーストレートを基板側に向かって押し付けながら、基板上に塗布した液状有機材料の液滴を外向きに結合させることが、ガスのトラップを防ぎ且つ平坦化のスループットを向上するのに必要である。
【0007】
しかしながら、基板とほぼ同径のスーパーストレートの曲率を変えずに外周部まで押し付けることは極めて困難であり、例えば外周部への押し付けが足りない場合に液状有機材料が局所的に厚い厚みのムラを持ってしまう。
そこで、本発明は、高い精度の平坦化膜を形成することが可能な平坦化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての平坦化装置は、
組成物を基板とモールドとで挟んだ状態で、前記モールドの前記組成物と接していない側の表面にガスを吹き付け、前記組成物の厚みのムラを矯正する膜厚矯正手段と、
前記基板上の組成物を硬化させて基板上に平坦な膜を生成する硬化手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い精度の平坦化膜を形成することが可能な平坦化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1の平坦化装置の構成を示す概略図である。
図2】平坦化処理のプラナリゼーションヘッドの概要を説明するための図である。
図3】平坦化処理の工程を説明する図である。
図4】平坦化処理の課題を説明する図である。
図5】実施例1の膜厚矯正機構の構成例を示す図である。
図6】実施例1の膜厚矯正工程を示すフローチャートである。
図7】実施例2の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。
図8】実施例3の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。
図9】実施例4の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略ないし簡略化する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の平坦化装置の構成を示す概略図である。
本実施例の平坦化装置100は、スーパーストレート(平坦化のためのモールド)108を用いて基板上の組成物としての液状有機材料を成形して平坦化する成形装置から成る。ここでスーパーストレート108は液状有機材料(組成物)に接触して平坦化するためのモールドとして機能している。
【0013】
平坦化装置100は、基板上の液状有機材料とスーパーストレートとを接触させた状態で液状有機材料を例えば紫外光で硬化させ、硬化した液状有機材料からスーパーストレートを引き離すことで基板上に液状有機材料の平坦面を形成する。なお、液状有機材料を例えば熱によって硬化させるようにしても良い。
【0014】
平坦化装置100は、図1に示すように、基板チャック2と、基板ステージ104と、ベース定盤4と、支柱5と、天板6と、ガイドバー8と、支柱10と、スーパーストレートチャック118(モールド保持部)と、ヘッド13と、アライメント棚14とを有する。
【0015】
スーパーストレート108は、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、硬化サファイアなどの材料で構成されるが、これらの材料に限定されない。
【0016】
実施例1においては、スーパーストレート108はUV(紫外)光を容易に透過させることが出来る。スーパーストレートチャック118は、真空チャック、ピン型チャック、溝形チャック、静電チャック、電磁チャックなどチャック機能を有するものであれば良い。
【0017】
実施例1ではスーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108同様に、UV光を容易に透過させることが出来る材料で構成されている。平坦化装置100は、更に、供給部20と、オフアクシスアライメント(OA)スコープ21と、基板搬送部22と、アライメントスコープ23を有する。また、光源24と、ステージ駆動部31と、スーパーストレート搬送部32と、洗浄部33と、入力部34と、制御部200を有する。
ここでは、水平面をXY平面とし、鉛直方向をZ軸方向とするようにXYZ座標系が定義されている。
【0018】
図1を参照するに、基板102は、搬送ハンドなどを含む基板搬送部22によって、平坦化装置100の外部から搬入され、基板チャック2に保持される。基板ステージ104は、ベース定盤4に支持され、基板チャック2に保持された基板102を所定の位置に位置決めするために、X軸方向及びY軸方向に駆動される。
【0019】
ステージ駆動部31は、例えば、リニアモータやエアシリンダなどを含み、基板ステージ104を少なくともX軸方向及びY軸方向に駆動する(移動させる)が、基板ステージ104を2軸以上の方向(例えば、6軸方向)に駆動する機能を有していてもよい。また、ステージ駆動部31は、回転機構を含み、基板チャック2又は基板ステージ104をZ軸方向に平行な軸周りに回転駆動する(回転させる)機能を有していてもよい。
【0020】
スーパーストレート108は、搬送ハンドなどを含むスーパーストレート搬送部32によって、平坦化装置100の外部から搬入され、スーパーストレートチャック118に保持される。スーパーストレート108は、例えば、円形又は四角形の外形を有し、基板上の液状有機材料に接触して基板102の表面形状に倣う平面部108aを含む。
【0021】
本実施例では、スーパーストレート108は、基板102と同等又は若干大きい。ガス制御部40はスーパーストレートチャック118に真空を供給しスーパーストレートを吸着保持する。また、ガス制御部40は空気などの気体(ガス)の供給を制御し、スーパーストレート保持部がスーパーストレートを吸着保持可能な範囲でガスを供給または吸引する。
【0022】
スーパーストレートチャック118は、ヘッド13に支持され、スーパーストレート108のZ軸周りの傾きを補正する機能を有する。スーパーストレートチャック118及びヘッド13のそれぞれは、光源24からコリメータレンズを介して照射される光(紫外線)を通過させる開口(不図示)を含む。
【0023】
また、スーパーストレートチャック118又はヘッド13には、基板上の液状有機材料に対するスーパーストレート108の押し付け力(押印力)を計測するためのロードセル(不図示)が配置されている。前述のガスはガス温度制御部41により温度が制御される。または基板102の雰囲気と熱交換することで雰囲気温度に合わせる。
【0024】
ベース定盤4には、天板6を支持する支柱5が配置されている。ガイドバー8は、天板6に懸架され、アライメント棚14を貫通し、ヘッド13を固定している。アライメント棚14は、支柱10を介して天板6に懸架される。アライメント棚14には、ガイドバー8が貫通している。
【0025】
また、アライメント棚14には、例えば、斜入射像ずれ方式を用いて、基板チャック2に保持された基板102の高さ(平坦度)を計測するための高さ計測系(不図示)が配置されている。
アライメントスコープ23は、基板ステージ104に設けられた基準マークと、スーパーストレート108に設けられたアライメントマークとを観察するための光学系及び撮像系を含む。但し、スーパーストレート108にアライメントマークが設けられていない場合には、アライメントスコープ23がなくてもよい。
【0026】
アライメントスコープ23は、基板ステージ104に設けられた基準マークと、スーパーストレート108に設けられたアライメントマークとの相対的な位置を計測し、その位置ずれを補正するアライメントに用いられる。
供給部20は、アライメント棚14に支持される。供給部20は、基板102に未硬化の液状有機材料を吐出する吐出口(ノズル)を含むディスペンサで構成され、基板上に液状有機材料を供給(塗布)する。
【0027】
供給部20は、例えば、ピエゾジェット方式やマイクロソレノイド方式などを採用し、基板上に1pL(ピコリットル)程度の微小な容積の液状有機材料を2次元状に分散して供給することができる。
また、供給部20における吐出口の数は、限定されるものではなく、1つ(シングルノズル)であってもよいし、100を超えてもよい(即ち、リニアノズルアレイでもよいし、複数のリニアノズルアレイを組み合わせてもよい)。
【0028】
OAスコープ21は、アライメント棚14に支持される。OAスコープ21は、基板102の複数のショット領域毎に設けられたアライメントマークを検出し、複数のショット領域のそれぞれの位置を決定するグローバルアライメント処理に用いられる。
アライメントスコープ23によってスーパーストレート108と基板ステージ104との位置関係を求め、OAスコープ21によって基板ステージ104と基板102との位置関係を求める。それによりスーパーストレート108と基板102との相対的なアライメントを行うことができる。
【0029】
洗浄部33は、スーパーストレート108がスーパーストレートチャック118に保持された状態で、スーパーストレート108を洗浄する(クリーニングする)。洗浄部33は、本実施例では、基板上の硬化した液状有機材料からスーパーストレート108を引き離した状態で、スーパーストレート108の、特に平面部108aに付着した液状有機材料を除去する。
【0030】
洗浄部33は、例えば、スーパーストレート108に付着した液状有機材料を拭き取ってもよいし、UV照射、ウェット洗浄、ドライプラズマ洗浄などを用いてスーパーストレート108に付着した液状有機材料を除去してもよい。
制御部200は、コンピュータとしてのCPUやメモリなどを含み、制御部200はメモリに記憶されたコンピュータプログラムに基づき平坦化装置100全体の各種動作を実行させる制御手段として機能する。
【0031】
ここで、平坦化処理とは、スーパーストレート108の平面部108aを基板上に供給された液状有機材料に接触させて平面部108aを基板102の表面形状に倣わせることで液状有機材料を平坦化する処理である。
なお、平坦化処理は、一般的には、ロット単位で、即ち、同一のロットに含まれる複数の基板のそれぞれに対して行われる。
【0032】
次に図2は平坦化処理のプラナリゼーションヘッドの概要を説明するための図であり、図2(A)、図2(B)を用いてスーパーストレートチャック118の構成について説明する。スーパーストレートチャック118は、中央ゾーン301と、中央ゾーン301の周りの一連の複数のリングゾーン303とを含む。リングゾーン303は、スーパーストレートチャック118の縁、最外周のリングゾーン303bと、中央ゾーン301とリングゾーン303bとの間に位置する複数のリングゾーン303aを配置する。
【0033】
複数のリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118の表面から突出する一連のランド307によって区切られる。図2(A)および図2(B)に示すように、ランド307は、中央ゾーン301の周りに形成されてもよい。リングゾーン303の各々において、少なくとも一つのポート(孔)305が、スーパーストレートチャック118を介して接続するように形成されている。そして、圧力源が、スーパーストレートチャック118によって保持されたスーパーストレートにポート(孔)305を介して正圧または負圧、例えば真空を加えることを可能にする。
【0034】
図2(B)は、スーパーストレートチャック118の3B-3B断面図を示す。ランド307は、スーパーストレートチャック118の表面から高さをもって突出している。ランド307は、最外周のリングゾーン303bを囲む周辺ランド307bと、中央ゾーン301とリングゾーン030aとの間の一連の複数の内側ランド307aとを含む。
図2(B)に示すように、内側ランド307aの高さはほぼ同じであるが、周辺ランド307bの高さは内側ランド307aの高さよりも低くしてある。
【0035】
スーパーストレートチャック118の中央ゾーン301は円形キャビティの形態であって、圧力源(不図示)は、関連するチャネル308およびポート305を通して空気またはガスの圧力を加える。それによって、保持されたスーパーストレート108の中央部分を基板方向(z軸の下方)に向けて凸状に変形させることができる。ここで上記圧力源はモールドの中央部を圧力によりを凸状に変形させる変形手段として機能している。
【0036】
真空等の負圧をかける場合も同様に、同じチャネルおよびポートを介して中央ゾーン301に印加する。スーパーストレートチャック118の中央ゾーン301は、保持されたスーパーストレート108の中央部分と合わせる。
同様に、周辺リングゾーン303bは、保持されたスーパーストレート108の周辺または周辺に位置合わせする。周囲のリングゾーン303(303a、303b)にも同様に、圧力または真空を加えるためのチャネル308およびポート305がそれぞれ設けられている。
【0037】
図3は平坦化処理の工程を説明する図であり、図3(A)から図3(E)を参照して、基板102の上に塗布した液状有機材料(液状樹脂材料)124の液滴を接触させ、拡散させ、融合させるプロセスを説明する。図3(A)に示すように、スーパーストレート108が液状有機材料124と接触する前に、ポート305を介してスーパーストレートチャック118の中央ゾーン301に正圧(矢印Pで示す)を印加する。それによってスーパーストレートチャック118で保持したスーパーストレート108の中央部分を液状有機材料124に向けて凸に変形させる。
【0038】
圧力Pは、図3(A)に示されるように、所定の範囲で初期たわみを制御し、スーパーストレート108の中央部の凸形状が所定の曲率を維持するように、中央ゾーン301に加える。その間、リングゾーン303内のポート305を介して、負圧、好ましくは真空の吸着力Vがスーパーストレート108に加えられ、スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118に吸着保持する。
【0039】
次に、スーパーストレート108を、図4(B)に示すように、基板上に離散的に供給された液状有機材料124の小滴と最初に接触させる。
次いで、中央ゾーン301に近接する内側リングゾーン303aから真空の吸引力(V)を順次弱めて解放(停止)することによって、スーパーストレート108の撓みが、中央部分から半径方向外方に延びるようにする。
【0040】
このようにして、液状有機材料124の小滴は、スーパーストレート108の中央から外側に向けて徐々に接触し、拡がり、融合されて、基板102に貼り合わせが半径方向外方に進行し、液状有機材料124のフィルム層を形成する。
複数のリングゾーン303aから順次真空の吸引力が解除(停止)されると、中央ゾーン301を介して加えられる圧力Pは所望の値に維持される。圧力Pはまた、真空の吸引力が解放(停止)された内側リングゾーン303a内のチャネル308およびポート305を介してスーパーストレート108に印加されてもよい。
【0041】
図3(C)に示される実施例では、圧力Pが連続的に印加された状態で、中央ゾーン301に最も近い三つの内側リング303aから真空が中央から順に連続的に解放されている。ヘッド13は、この連続的な真空解放および加圧中に下方に移動されてもよい。
その後、スーパーストレート108の撓みは、最外周のリングゾーン303bを介して印加された真空の吸着力Vを維持したまま、全ての内側リングゾーン303aから真空が解除されるまで、半径方向外側に順次、さらに進む。各内側リングゾーン303aについては、真空が解除されると代わりに圧力Pが加えられる。
【0042】
図3(D)に示されるように、真空がすべての内側リングゾーン303aから解放されたとき、スーパーストレート108は、基板102に貼り合わされる。しかし、スーパーストレート108の周辺部は、最外周のリングゾーン303bを介して印加される真空の吸着力Vによって、スーパーストレートチャック118によって吸着保持されたままである。
このように、図3(D)の状態では、スーパーストレート108の縁部は、基板102
の周囲に分配された液状有機材料124の最終的な拡散および合流のために、図中上方向に湾曲した状態のままである。
【0043】
さらに、内側ランド307aよりも低い周辺ランド307bは、そのような曲率の維持を容易にする。
さらに、図3(E)において、それまで最外周のリングゾーン303bを通して加えられていた真空の吸着力Vは解放される。これによって、スーパーストレート108はスーパーストレートチャック118から完全に解放される。
【0044】
このように完全に解放するのには複数の利点がある。第1に、湾曲した状態で保持されていた最外周のリングゾーン303bからスーパーストレート108の周辺に印加されていた真空吸着力を解放している。従って、残りの液状有機材料124の液滴の拡散および合流は、同じ中心から周辺の半径方向の端まで完了することができる。
【0045】
これにより、空気またはガスのトラッピングを最小化し、結果としてトラッピングにより生じる非充填欠陥を最小化する。具体的には、内側ランド307aに対して周辺ランド307bを凹ませているので、真空吸着力の解放(停止)の前にスーパーストレート108が所望の曲率を維持することが可能となる。
第2に、スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118から完全に解放することによって、スーパーストレートチャック118に起因するスーパーストレート108の過剰拘束が解消される。それによって、そのような過剰拘束に起因して生じ得る局所的な不均一な平坦化が低減される。
【0046】
第3に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を完全に解放することにより、チャックの非平坦性誤差または変動がスーパーストレート108に伝達されにくくなり、これにより、局所的な非均一平坦化変動も低減される。こうして液状有機材料124を精度よく均一に平坦化した液状の平坦化層114が得られる。
スーパーストレート108が解放された状態で、光源24から照射される光ビームを適用して、液状有機材料124を硬化させ、最終的な平坦化層を形成する。本実施例では、光ビームのサイズは、スーパーストレート108の直径を参照して調節または制御する。また光ビームは、所定の角度で基板に入射するように制御する。
【0047】
硬化中に基板ステージ104をXY方向に動かし、基板102に照射する光ビームの位置を変更することも可能である。硬化プロセスの後、スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118によって再保持され、スーパーストレート108は基板102から分離される。
【0048】
しかしながら、図3に示した上述の押印工程を経てもナノメートルオーダーの平坦化には達しない場合がある。
図4は平坦化処理の課題を説明する図であり、例えば、図4(A)に示すように、スーパーストレート108の端部はスーパーストレートチャック118による下方方向への押し込み動作が少ない分、厚みが増しやすい。
【0049】
時間経過によってこの厚みを均一化することも可能であるが、スループットの制約になり得る。また、図4(B)に示すように、押印工程時にスーパーストレート108に与えた応力により、スーパーストレートの中央部付近が盛り上がる場合もある。このような平坦化層114の厚みのムラをさらに低減するための方法を次に述べる。
【0050】
図5は実施例1の膜厚矯正機構の構成例を示す図である。本実施例の膜厚矯正機構400はスーパーストレート108に対して非接触式であって、図5(A)に示すように、厚矯正機構400の所定の面(下面)に同心円状に複数の吹き出しノズル(ガス供給口)を有する。複数の吹き出しノズルは、中央部の吹き出しノズル403と、周辺部の吹き出しノズル404を有する。吹き出しノズルのサイズや数は図5の例に限定されるものではない。
中央部と周辺部の間にさらに複数の吹き出しノズルを設けても良い。
【0051】
図5(B)は、膜厚矯正機構400の5C-5C面の断面図である。周辺部の吹き出しノズル404に配管401が接続されている。配管401を通して、数kPaから数百kPaのガスを供給することが出来る。
中央部の吹き出しノズル403には同様に配管402からガスを供給することが出来る。ガスを供給するタイミング、圧力は配管401と配管402で異ならせることができる。配管401にはセンサ408が配置される。同様に配管402にはセンサ409が配置される。これらのセンサは圧力センサと流量センサの一方または両方を用いることができ、高精度の圧力制御を可能にしている。
【0052】
図5(C)に膜厚矯正機構400の利用形態を示す。図5(C)に示すように、スーパーストレート108に対して複数の吹き出しノズルからガス407を吹き出し、圧力分布を調整することによってスーパーストレート108を平坦化することで平坦化層114の厚みのムラを低減する。
すなわち、図3(E)において、形成された液状有機材料124の液状の平坦化層114を生成後、液状有機材料124に光を照射して硬化させる前に、基板ステージ104をXY方向に移動させる。そして、図5(C)のように膜厚矯正機構400のZ方向下部に位置合わせする。
【0053】
膜厚矯正機構400は、膜厚矯正機構400を不図示のZ方向に駆動するための駆動機構を有する。そして駆動機構によって膜厚矯正機構400とスーパーストレート108のギャップを狭め、ガス407を吹き出しノズル403、404から吹き出す。それによって、ガスの圧力でスーパーストレート108の上面から下側に向かって押す力で液状の平坦化層114の厚みのムラを低減する。即ち、組成物を基板とモールドとで挟んだ状態で、前記モールドの前記組成物と接していない側の表面(即ち裏面)にガスを吹き付け、前記組成物の厚みのムラを矯正する。
【0054】
ここで、膜厚矯正機構400とスーパーストレート108のギャップに応じて、定圧でガス407を供給した場合、ガスの流量が変化する。例えば、平坦化層114の一部(同心円状)が厚い場合、膜厚矯正機構400とのギャップが狭まり、抵抗が増すため流量は少なくなる。この流量をモニタすることでギャップを簡易的に測定することが出来る。また、図5の構成において、膜厚矯正機構400に、ガスを供給する配管のほかに、ガスを排出する配管と吸引ノズルを設けることもできる。
【0055】
こうすることで、周囲の影響を軽減しつつ吹き出しノズルの近傍のギャップをより正確に知ることが可能となる。また、図5(C)に示すように、変位センサ410を設け、スーパーストレート108の表面(即ちモールド表面)の高さや形状を測定してもよい。その場合、スーパーストレート108の全域、または、基板中心を通る直線を測定するようにしてもよい。
【0056】
なお、上記の測定を行う測定装置は平坦化装置内部に設けても良いし平坦化装置の外部に設けてもよい。平坦化装置は上記のモールドの表面の形状に関する情報を測定装置から取得する取得部を有し、取得部で取得されたモールド表面の形状に関する情報に基づき、ガスを供給して力を加えるノズルを選択したり、ガスの圧力または流量を調整制御したりする。なお、上記測定装置によるモールドの表面の形状に関する情報は基板毎に測定しても良いし、基板のロット毎に測定してもよい。モールドの表面の形状(組成物の厚みのムラ)は下地層の特性や平坦化装置の特性に依存し、ロット毎に類似した特性を有する場合が多いためである。
【0057】
図6は実施例1の膜厚矯正工程を示すフローチャートであり、図6を用いて膜厚矯正工程のフローを説明する。なお、図6に示すフローは制御部200がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを処理することによって実行される。
まず、基板102の上に供給部20から未硬化の液状有機材料124を吐出し塗布する(ステップS501)。
【0058】
次に、図3(A)のように、スーパーストレートチャック118の中央ゾーン301に圧力源から圧力を加えスーパーストレート108の中央部を凸に変形させる(ステップS502)。
次に、図3(B)のように、スーパーストレート108の中央部を凸に変形させた状態でスーパーストレート108を液状有機材料124に向かって下げて、液状有機材料に接触させる(ステップS503)。
【0059】
次に、図3(C)、(D)のように、スーパーストレート108を中央ゾーンから最外周に向かって凸状態で順次変形させていくことによって組成物を前記基板の面に沿って広げる。それによって、前記組成物を前記基板と前記モールドで挟んだ状態とする(ステップS504)。
【0060】
次に、図3(E)のように、スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118の最外周のリングゾーン303bの真空の吸着力Vを開放し離す(ステップS505)。
次に、スーパーストレート108と基板102で平坦化層114を挟んだ状態にしたまま、基板ステージ104を膜厚矯正機構400の下へ送り込む(ステップS506)。
【0061】
次に膜厚矯正機構400の中央部の吹き出しノズル403から吹き出すガスの供給圧力が一定圧になるようにセンサ408の出力を元に不図示のガス圧調整機構によりガス供給圧を調整する。その際、組成物の塗布量に応じて前記モールドの組成物と接していない側の表面に吹き付ける前記ガスの圧力を変更する。そしてガス供給圧を調整しながら、図5(C)のように、膜厚矯正機構400をスーパーストレート108に向かって降ろす(ステップS507)。なお、ここでガスを吹き付けるとは、負圧のガスを供給するものを含む。
【0062】
膜厚の矯正のためのガス供給は事前に取得した実験結果から決めたデータに基づき所定の圧力で所定の時間だけ行う。すなわち、モールドに対する前記ガスの供給を組成物の厚みのムラに関するデータに応じて変更する。なお、その際、モールドに対する前記ガスの供給によって組成物の厚みのムラを内側から外側に向かって順に矯正する。
【0063】
また、ガスの圧力を制御する際に、モールドに加える前記ガスの圧力を印加する場所と印加するガスの圧力と前記圧力を印加する時間と印加する場所の順番の少なくとも1つを制御する。
別な手法としては、供給するガスの圧力またはセンサ408の流量が所定の流量まで増加したことを検出することで、組成物の厚みのムラの矯正状態を判断し、膜厚矯正完了と判断するようにしてもよい。
【0064】
次に、膜厚矯正機構400の中央ノズルから供給したガスを止めるとともに、周辺ノズルからセンサ409の出力値が一定となるように不図示のガス圧調整機構により調圧しながらガスを供給する(ステップS508)。
ここで、ステップS507、S508の処理は、モールドにガスを吹き付けて圧力を加え、組成物としての組成物の厚みのムラを矯正する膜厚矯正手段として機能している。なお、前述のように、ガスを吹き付ける、とは負圧のガスを供給するものを含む。
【0065】
次に、周辺ノズルから供給していたガスの供給を停止する。膜厚矯正のためのガス停止の判断は中央部の吹き出しノズル403からのガス停止と同様の手法で判断する。また、膜厚矯正機構400を上昇させる(ステップS509)。
次に、基板ステージ104を動かし、光ビーム照射位置へ移動させ光ビームを、スーパーストレート108を介して照射し平坦化層114を硬化させる(ステップS510)。ここで、ステップS510の処理は、組成物を前記基板と前記モールドで挟んだ状態とした後に、前記基板上の組成物を硬化させて基板上に平坦な膜を生成する硬化手段として機能している。
【0066】
最後に、スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118から解放(離型)する。(ステップS511)
以上が平坦化処理である。
なお、ステップS507とステップS508を組み合わせて、中央ノズルと周辺ノズルの両方からガスの供給を開始しても良いし、その逆でも良い。
【実施例2】
【0067】
次に、図7は実施例2の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。本実施例の膜厚矯正機構430と図5の膜厚矯正機構400との差は、スーパーストレート108と対向する面を平面ではなく、同心円状に凹凸のある曲面を有する点である。
平坦化層114の厚みのムラは再現性が高く、かつ同心円状のムラを有する場合が多い。従って事前の実験結果から、厚みのムラ特性に合わせた、同心円状の曲面を含む膜厚矯正機構430を作成する。
【0068】
即ち、実施例2の膜厚矯正機構430は、平坦化層114の厚みのムラにおいて、厚い部分と膜厚矯正機構430の対抗する面とのギャップが他の面より小さくなるようにしている点にある。これによってガスによる圧力をより効果的に作用させることが可能であり、ガスの消費量の削減や膜厚矯正に要する時間の短縮化が可能となる。なお、ノズルの数、位置は図7の例に限定されない。
【実施例3】
【0069】
次に、図8は実施例3の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。実施例1、2と共通な部分の説明は省く。
図8に示すように、実施例3では、膜厚矯正機構400または430の上部に光源450を組み合わせるとともに、膜厚矯正機構400または430に光透過性を持たせた点に特徴を有する。
【0070】
光源450としてはUVを照射するLEDチップ451が並べられ、LEDチップ451から発したUV光452は、膜厚矯正機構400または430を透過して平坦化層114を照射し硬化させる。
平坦化層114の厚みムラを矯正後にUV光452にて平坦化層114を硬化する。これによって基板ステージ104の移動に必要な時間の節約が可能でスループットを向上することが出来る。
【実施例4】
【0071】
次に、図9は実施例4の膜厚矯正機構の構成を示す概略図である。実施例4においては、実施例1の膜厚矯正機構400の機能を、図1のスーパーストレートチャック118に持たせるように構成する。即ち、本実施例では膜厚矯正手段は、モールドを保持するモールド保持部に設ける。ただし、図2(A)に示すスーパーストレートチャック118の構成では、ガスを供給するポート305が偏在し、且つ数が少ない。
【0072】
従って、図9(A)に示す実施例4のスーパーストレートチャック兼膜厚矯正機構においては、ゾーン内に所定の角度毎にガスを供給するためのポートを多数設けている。しかも外周に近いゾーンではポートの間隔が広がらないように数を増やしている。なおポート以外にスリット等を設けたり、ガスを吹き出したときにゾーン面内が均一な圧力となるように抵抗部材を追加したりしてもよい。
【0073】
図9(B)は上記のスーパーストレートチャック兼膜厚矯正機構を多数の層を積層して製造する場合の各層の例を3B-3B断面について示している。また、図9(C)は図9(B)の各層を積層した状態を示している。このように複数の層を積層して製造することによって、図9(A)のような構成を容易に製造することが可能となる。
(物品の製造方法に係る実施形態)
【0074】
本実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。
物品としてのデバイス(半導体デバイス、磁気記憶媒体、液晶表示素子等)の製造方法について説明する。
【0075】
かかる製造方法は、成形装置を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板等)の表面に型のパターンを形成する工程(パターン形成工程)を含んでも良い。ここでパターン形成工程の前後に本実施例の平坦化工程を行う。また、基板は母材単体であるものに限らず多層構造のものを含んでも良い。
【0076】
また、基板に塗布された感光剤に露光装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)や、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程を含むものであっても良い。
かかる製造方法は、上記パターン形成工程の前または後に、基板を処理する工程を更に含む。
【0077】
例えば処理工程は、パターンの残膜を除去する工程を含みうる。また、当該パターンをマスクとして基板をエッチングする工程と、基板からチップを切り出す工程(ダイシング)と、フレームにチップを配置して電気的に接続する工程(ボンディング)、樹脂で封止をする工程(モールド)といった周知の工程を含みうる。
本実施例の平坦化装置や平坦化方法を用いた物品の製造方法は、従来に比べて、平坦化層の平坦度が高いので、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0078】
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
なお、本実施例における制御の一部または全部を上述した実施例の機能を実現するコンピュータプログラムをネットワーク又は各種記憶媒体を介して平坦化装置に供給するようにしてもよい。そしてその平坦化装置におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【符号の説明】
【0079】
400 膜厚矯正機構
401 配管
402 配管
403 中央部の吹き出しノズル
404 周辺部の吹き出しノズル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9