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特許7512133換算レート管理装置、換算レート管理方法、及び換算レート管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】換算レート管理装置、換算レート管理方法、及び換算レート管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240701BHJP
   G06Q 40/04 20120101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q40/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020148538
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042880
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾川 英輝
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-181975(JP,A)
【文献】特開2019-204307(JP,A)
【文献】特開2019-091166(JP,A)
【文献】特開2019-220108(JP,A)
【文献】特開2019-091158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備えた換算レート管理装置であって、
前記記憶部には、
基準通貨、社内レート指定する受注初期レート、TTMを指定する売上初期レートを関連づけて登録した通貨マスタと、
社内レート又はTTMを指定するレート区分、改定日、通貨、通貨レートを関連づけて登録したレートマスタと、
が格納されており、
受注伝票及び売上伝票を入力する伝票入力手段と、
外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定手段と、
を備え、
前記換算レート設定手段は、
受注伝票の場合には、受注伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから受注初期レートを取得し、取得した受注初期レート及び受注伝票の受注日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定し、
売上伝票の場合には、売上伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから売上初期レートを取得し、取得した売上初期レート及び売上伝票の売上日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定することを特徴とする換算レート管理装置。
【請求項2】
前記換算レート設定手段は、さらに、オペレータの手入力によるスポットレートの設定、又は、為替予約レートの振当ての設定が可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の換算レート管理装置。
【請求項3】
記憶部及び制御部を備えた情報処理装置が実行する換算レート管理方法であって、
前記記憶部には、
基準通貨、社内レート指定する受注初期レート、TTMを指定する売上初期レートを関連づけて登録した通貨マスタと、
社内レート又はTTMを指定するレート区分、改定日、通貨、通貨レートを関連づけて登録したレートマスタと、
が格納されており、
前記制御部において実行される、
受注伝票及び売上伝票を入力する伝票入力工程と、
外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定工程と、
を含み、
前記換算レート設定工程では、
受注伝票の場合には、受注伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから受注初期レートを取得し、取得した受注初期レート及び受注伝票の受注日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定し、
売上伝票の場合には、売上伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから売上初期レートを取得し、取得した売上初期レート及び売上伝票の売上日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定することを特徴とする換算レート管理方法。
【請求項4】
記憶部及び制御部を備えた情報処理装置に実行させるための換算レート管理プログラムであって、
前記記憶部には、
基準通貨、社内レート指定する受注初期レート、TTMを指定する売上初期レートを関連づけて登録した通貨マスタと、
社内レート又はTTMを指定するレート区分、改定日、通貨、通貨レートを関連づけて登録したレートマスタと、
が格納されており、
前記制御部に、
受注伝票及び売上伝票を入力する伝票入力工程と、
外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定工程と、
を実行させるための換算レート管理プログラムであり、
前記換算レート設定工程では、
受注伝票の場合には、受注伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから受注初期レートを取得し、取得した受注初期レート及び受注伝票の受注日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定し、
売上伝票の場合には、売上伝票の通貨をキーとして、前記通貨マスタから売上初期レートを取得し、取得した売上初期レート及び売上伝票の売上日をキーとして、前記レートマスタから換算レートを取得して設定することを特徴とする換算レート管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換算レート管理装置、換算レート管理方法、及び換算レート管理プログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、外貨建ての実績(例えば、受注・売上・発注・仕入)を登録するうえで、円貨換算が必要となる。円貨換算時には、通貨ごとに為替レートが異なる。為替レートを管理するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-159719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、伝票毎に目的に合わせて、外貨から円貨の換算レートを設定できるような仕組みを構築することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、伝票毎に目的に合わせて、外貨から円貨の換算レートを設定することが可能な換算レート管理装置、換算レート管理方法、及び棚卸高算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた換算レート管理装置であって、前記制御部は、各種伝票を入力する伝票入力手段と、外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定手段と、を備え、前記換算レート設定手段は、伝票毎に適用する換算レートを目的に合わせて設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記各種伝票は、受注伝票、売上伝票、発注伝票、及び仕入伝票の少なくとも1つであることにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記換算レート設定手段は、マスタで設定される換算レートで自動設定、オペレータの手入力によるスポットレートの設定、及び為替予約レートの振当ての3通りの設定が可能に構成されていることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記マスタでは、換算レートのレート区分を通貨別に分けて設定可能であることにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記マスタでは、各伝票毎に設定する換算レートのレート区分を設定可能であることにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記レート区分は、社内レート及びTTMを含むことにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される換算レート管理方法であって、前記制御部において実行される、各種伝票を入力する伝票入力工程と、外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定工程と、を含み、前記換算レート設定工程は、伝票毎に適用する換算レートを目的に合わせて設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための換算レート管理プログラムであって、前記制御部において、各種伝票を入力する伝票入力工程と、外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定工程と、を実行させ、前記換算レート設定工程は、伝票毎に適用する換算レートを目的に合わせて設定可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、伝票毎に目的に合わせて、外貨から円貨の換算レートを設定することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施の形態に係る換算レート管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、通貨マスタの構成例を示す図である。
図3図3は、レートマスタの構成例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態における換算レート管理装置の制御部の処理の具体例1を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態における換算レート管理装置の制御部の処理の具体例2を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態における換算レート管理装置の制御部の処理の具体例3を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態における換算レート管理装置の制御部の処理の具体例3を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態における換算レート管理装置の制御部の処理の具体例3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
基幹システムで外貨建ての実績(例えば、受注・売上・発注・仕入)を登録するうえで、円貨換算が必要となる。円貨換算時には、通貨ごとに為替レートが異なる。
【0018】
しかしながら、従来の機能では、受注~売上(発注~仕入)において、契約時のレートのみが適用可能となっており、決済時の為替差損益の振れる幅が大きく、正確な売上高や利益予測をすることに弊害があった。また、これまでは、レート区分も受注~売上で1つしか利用できず、異なる為替評価の設定ができなかった。
【0019】
具体的には、受注・発注時点では、適用すべきレートが定かではない場合がある(計上予定が未確定)。また、円貨換算の基準となる外貨レートによって、円貨換算後の金額が変動する可能性があるが、それぞれの伝票(受注・売上・発注・仕入)毎に、適用したい円貨換算レートのルールが異なることがある。
【0020】
そこで、本実施の形態では、伝票毎に目的に合わせて、外貨から円貨の換算レートを設定・保持できるような仕組みを構築した。
【0021】
具体的には、本実施の形態では、(1)伝票ごとに目的に合わせて、レートを設定・保持する機能を搭載し、(2)換算レートの取得はレートマスタより自動取得及び、手入力によるスポットレートの設定、または為替予約レートの振当ての3通りから設定可能とし、(3)受注/売上と発注/仕入で、使用する初期レート区分を通貨別に分けて設定可能とし、(4)受注~売上の登録時に、セットするレート区分をマスタ設定で切り替え可能とした。
【0022】
これにより、(1)受注時と売上時で、為替レート変動による売上高や粗利金額の推移を管理することが可能となる。(2)レート区分の使い分けにより、受注時点と売上時点の換算レート種類の初期セット・変更が可能となる。(3)売上時の為替レートに応じて、売上金額が再計算されることによって、正しい売上金額・粗利金額の把握と、決済時の為替差損益の振れる幅を抑えることができる。(4)受注から売上の入力時に、マスタ設定に応じて、自動的に受注時とは異なるレート区分を初期セットできるように制御し、異なるレート区分での運用が容易となる。
【0023】
本実施の形態の運用例としては、例えば、(1)受注伝票は、部門別・担当者別の受注実績/予実対比を見るために、円貨による集計が必要だが、為替レートの変動による影響を受けないような社内統一レートを適用したい場合がある。(2)売上・仕入伝票は、売掛金/買掛金残高としてB/Sに反映されるため、より正確な円貨換算をするために、実勢レートを適用したい場合がる。これは、正確な粗利を把握するために、売上・原価ともに実勢レートを適用したいためである。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る換算レート管理装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、換算レート管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
換算レート管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、換算レート管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
換算レート管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。換算レート管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、換算レート管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、換算レート管理装置100とサーバ200とを通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができ、入力装置112は、オペレータの操作に応じて入出力インターフェース部108を介して情報を入力する。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114で出力すること等をいい、例えば、モニタ114への表示出力やプリンタ114での印刷出力することの他、外部にデータを送信することを含む。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、通貨マスタ106aと、レートマスタ106bと、データファイル106cと、を備えている。図2は、通貨マスタ106aの構成例を示す図である。図3は、レートマスタ106bの構成例を示す図である。
【0031】
通貨マスタ106aは、図2に示すように、基準通貨、改定日、受注初期レート、売上初期レート、発注初期レート、及び仕入初期レートのデータを関連づけて登録するためのテーブル等で構成することができる。通貨マスタ106aでは、換算レートのレート区分を通貨別に分けて設定可能となっている。また、伝票毎に設定する換算レートのレート区分を設定可能となっている。レート区分は、社内レートやTTM(実勢レート)である。
【0032】
レートマスタ106bは、図3に示すように、レート区分、改定日、通貨、レートのデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0033】
データファイル106cは、各種伝票(例えば、受注伝票(以下「受注データ」と称する)、売上伝票(以下、「売上データ」と称する)、入金伝票(以下「入金データ」と称する)、発注伝票(以下、「発注データ」と称する)、及び仕入伝票(以下「仕入データ」と称する)を格納するためのファイルである。
【0034】
受注データは、受注番号、商品、受注数、受注日、外貨金額、売上予定日、円貨金額、換算レート、原価金額、及び粗利金額等のデータを含んでいてもよい。売上データは、売上番号、商品、売上数、出荷日、外貨金額、売上日、円貨金額、換算レート、原価金額、及び粗利金額にデータを含んでいてもよい。入金データは、入金番号、外貨入金額、入金日、円貨消込額、決済時レート、及び為替差損益のデータを含んでいてもよい。
【0035】
制御部102は、換算レート管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、伝票入力部102aと、換算レート設定部102bと、マスタメンテ部102cと、画面表示制御部102dとを備えている。
【0036】
伝票入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される入力画面上でのオペレータの入力装置112を介した操作に応じて、各種伝票(受注データ、売上データ、入金データ、発注データ、及び仕入データ等)を入力してデータファイル106cに格納する。
【0037】
換算レート設定部102bは、外貨から円貨への換算レートを設定するためのものであり、伝票毎に適用する換算レートを目的に合わせて設定可能に構成されている。換算レート設定部102bは、受注データ、売上データ、入金データ、発注データ、及び仕入データに適用する換算レートを設定する。この場合、換算レート設定部102bは、(1)通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される換算レートで自動設定、(2)オペレータの手入力によるスポットレートの設定、及び(3)為替予約レートの振当ての3通りの設定が可能となっている。
【0038】
マスタメンテ部102cは、モニタ114に表示されるマスタメンテ画面(不図示)上でのオペレータの入力装置112を介した操作に応じて、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bに対して、データの入力・追加・変更等の編集を行う。
【0039】
画面表示制御部102dは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、受注入力画面、売上入力画面、入金入力画面、発注入力画面、仕入入力画面、及びマスタメンテ画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0040】
[3.具体例]
図1図11を参照して、本実施の形態における換算レート管理装置100の制御部102処理の具体例を説明する。図4は、具体例1を説明するための図である。図5は、具体例2を説明するための図である。図6図8は、具体例3を説明するための図である。
以下の例では、受注と売上についての換算レートは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bの設定に従った自動設定、入金についての換算レートは、スポットレートで設定した場合を一例として説明する。
【0041】
(具体例1)
図4を参照して、具体例1を説明する。具体例1では、同一のレート区分で管理する場合を説明する。図4(A)は、受注、売上、入金までの処理フロー、並びに受注データ、売上データ、及び入金データの例を示している。図4(B)は通貨マスタ106aの登録例、図4(C)はレートマスタ106bの登録例を示している。
【0042】
図4(B)に示す通貨マスタ106aの例では、1行目は、通貨「JPY」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「社内レート」、売上初期レート「社内レート」、発注初期レート「社内レート」、仕入初期レート「社内レート」、2行目は、通貨「USD」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「TTM」、売上初期レート「TTM、発注初期レート「TTM」、仕入初期レート「TTM」、3行目は、通貨「EUR」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「TTM」、売上初期レート「TTM、発注初期レート「TTM」、仕入初期レート「TTM」となっている。
【0043】
図4(C)に示すレートマスタ106bの例では、1行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/4/1」、通貨「USD」、レート「105.00」、2行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/5/1」、通貨「USD」、レート「106.00」、3行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/6/1」、通貨「USD」、レート「107.00」となっている。
【0044】
図4(A)において、受注入力(ステップS1)を行って、受注データを入力する。例えば、受注段階では、換算レート設定部102bは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される換算レートとして「TTM」を自動設定する。これにより、受注日基準でのレート換算で円貨の売上高や粗利を把握する。具体的には、通貨「USD」をキーとして、通貨マスタ106aから受注初期レート「TTM」を取得し、レート区分「TTM」及び受注日「2020/4/1」をキーとして、レートマスタ106bから換算レート「105.00」を取得して設定する。
【0045】
受注データは、図4(A)に示す例では、受注番号「JU00001」、受注数「20 PCE」、受注日「2020/4/1」、外貨金額「$1,000」、売上予定日「2020/5/31」、円貨金額「¥105,000」、換算レート「105.00」、原価金額「¥65,000」、粗利金額「¥40,000」となっている。
【0046】
つぎに、売上入力(ステップS2)を行って、売上データを入力する。換算レート設定部102bは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される換算レートとして、「TTM」を自動設定する。これにより、売上時のレートで再度換算することで、より正確な円貨の売上高や粗利を把握することができる。具体的には、通貨「USD」をキーとして、通貨マスタ106aから売上初期レート「TTM」を取得し、レート区分「TTM」及び売上日「2020/6/1」をキーとして、レートマスタ106bから換算レート「107.00」を取得して設定する。
【0047】
売上データは、図4(A)に示す例では、売上番号「UR00001」、売上数「20 PCE」、出荷日「2020/5/31」、外貨金額「$1000」、売上日「2020/6/1」、円貨金額「¥107,000」、換算レート「107.00」、原価金額「¥65,000」、粗利金額「¥42,000」となっている。
【0048】
つづいて、入金入力(ステップS3)を行って、入金データを入力する。例えば、換算レート設定部102bは、オペレータの入力操作に応じて、スポットレート「106.80」を換算レートに設定する。
【0049】
入金データは、図4(A)に示す例では、入金番号「NY00001」、外貨入金額「$500」、入金日「2020/6/30」、円貨消込額「¥53,400」、決済時レート「106.80」、為替差損益「-¥100」となっている。
【0050】
(具体例2)
図5を参照して、具体例2を説明する。具体例2では、異なるレート区分で管理する場合を説明する。図5(A)は、受注、売上、入金までの処理フロー、並びに受注データ、売上データ、及び入金データの例を示している。図5(B)は通貨マスタ106aの登録例、図5(C)はレートマスタ106bの登録例を示している。
【0051】
図5(B)に示す通貨マスタ106aの例では、1行目は、通貨「JPY」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「社内レート」、売上初期レート「社内レート」、発注初期レート「社内レート」、仕入初期レート「社内レート」、2行目は、通貨「USD」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「社内レート」、売上初期レート「TTM」、発注初期レート「社内レート」、仕入初期レート「TTM」、3行目は、通貨「EUR」、改定日「2000/1/1」、受注初期レート「社内レート」、売上初期レート「TTM」、発注初期レート「社内レート」、仕入初期レート「TTM」となっている。
【0052】
図5(C)に示すレートマスタ106bの例では、1行目は、レート区分「社内レート」、改定日「2020/4/1」、通貨「USD」、レート「103.50」、2行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/4/1」、通貨「USD」、レート「105.00」、3行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/5/1」、通貨「USD」、レート「106.00」、4行目は、レート区分「TTM」、改定日「2020/6/1」、通貨「USD」、レート「107.00」となっている。
【0053】
図5(A)において、受注入力(ステップS11)を行って、受注データを入力する。例えば、換算レート設定部102bは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される換算レートで「社内レート」を自動設定する。これにより、受注データは年度ごとに決まった社内レートで累積していくため、年間通じての円貨ベースの予実対比の管理がし易くなる。具体的には、通貨「USD」をキーとして、通貨マスタ106aから受注初期レート「社内レート」を取得し、レート区分「社内レート」をキーとして、レートマスタ106bから換算レート「103.50」を取得して設定する。
【0054】
受注データは、図5(A)に示す例では、受注番号「JU00001」、受注数「20 PCE」、受注日「2020/4/1」、外貨金額「$1,000」、売上予定日「2020/5/31」、円貨金額「¥103,500」、換算レート「103.5(社内レートを適用)」、原価金額「¥65,000」、粗利金額「¥38,500」となっている。
【0055】
つぎに、売上入力(ステップS12)を行って、売上データを入力する。換算レート設定部102bは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される換算レートで「TTM」を自動設定する。これにより、売上データは直近の換算レートを用いて、正確な売掛・売上高と利益把握が可能となる。具体的には、通貨「USD」をキーとして、通貨マスタ106aから売上初期レート「TTM」を取得し、レート区分「TTM」及び売上日「2020/6/1」をキーとして、レートマスタ106bから換算レート「107.00」を取得して設定する。
【0056】
売上データは、図4(A)に示す例では、売上番号「UR00001」、売上数「20 PCE」、出荷日「2020/5/31」、外貨金額「$1000」、売上日「2020/6/1」、円貨金額「¥107,000」、換算レート「107.00」、原価金額「¥65,000」、粗利金額「¥42,000」となっている。
【0057】
図4(A)において、入金入力(ステップS13)を行って、入金データを入力する。例えば、換算レート設定部102bは、オペレータの入力操作に応じて、スポットレート「106.80」を換算レートに設定する。
【0058】
入金データは、図4(A)に示す例では、入金番号「NY00001」、外貨入金額「$500」、入金日「2020/6/30」、円貨消込額「¥53,400」、決済時レート「106.80」、為替差損益「-¥100」となっている。
【0059】
(具体例3)
図6図8を参照して、具体例3を説明する。具体例3では、画面表示例を説明する。具体例3の画面表示例は、具体例2と対応した内容となっている。
【0060】
図6は、受注入力画面の表示例を示す図である。受注入力画面では、受注データの入力が可能となっている。
【0061】
図6に示す受注入力画面の例では、受注番号、基準日、受注日、納期、売上予定日、得意先、基準通貨、換算レートの入力欄と、外貨情報確認画面を表示するための外貨情報ボタンを備えたヘッダエリアと、伝票の明細(商品、売上単価、売上金額、受注数、原価金額、粗利金額)を入力する明細エリアと、外貨金額と円貨金額の合計を表示するエリアとを備えている。換算レートは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される値が自動表示され、この換算レートで計算が行われる。不図示の登録ボタンを押すと、
画面のデータに応じた受注データがデータファイル106cに登録される。
【0062】
外貨情報ボタンを押すと、外貨情報確認画面が表示され、換算レートの設定を確認可能となっている。例えば、図6(B)に示す通貨マスタ106aの設定により、基準通貨「USD」についての受注初期レート「社内レート」を取得し、図6(C)に示すレートマスタ106bから受注時点「2020/4/1」の社内レート「103.50」を取得して設定する。ここでは、受注時点では年次で設定される社内レートを取得する設定となっている。
【0063】
図7は、売上入力画面の表示例を示す図である。売上入力画面では、売上データの入力が可能となっている。図7に示す受注入力画面の例では、売上番号、受注番号、基準日、出荷日、納期、売上日、得意先、基準通貨、換算レートの入力欄と、外貨情報確認画面を表示するための外貨情報ボタンを備えたヘッダエリアと、伝票の明細(商品、売上単価、売上金額、売上数、原価金額、粗利金額)を入力する明細エリアと、外貨金額と円貨金額の合計を表示するエリアとを備えている。換算レートは、通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される値が自動表示され、この換算レートで計算が行われる。不図示の登録ボタンを押すと、画面のデータに応じた売上データがデータファイル106cに登録される。
【0064】
外貨情報ボタンを押すと、外貨情報確認画面が表示され、換算レートの設定を確認可能となっている。例えば、図6(B)に示す通貨マスタ106aの設定により、基準通貨「USD」についての売上初期レート「TTM」を取得し、図6(C)に示すレートマスタ106bから売上時点「2020/6/1」のTTMレート「107.00」を取得して設定する。売上時点では直近で設定されているレートより換算する。この時点でレートの再設定が可能となり、円貨の売上・粗利が精緻になる。
【0065】
図8は、入金入力画面の表示例を示す図である。入金入力画面では、入金データの入力が可能となっている。
【0066】
図8に示す入金入力画面の例では、入金番号、基準日、入金日、請求先、基準通貨、スポットレートによる換算レートの入力欄を備えたヘッダエリアと、伝票の明細(伝票番号商品、回収予定日、売上金額、消込額)を入力する明細エリアと、請求額、消込額、円貨消込額、差損益の合計を表示するエリアとを備えている。換算レートは、オペレータが手入力し、この換算レートで計算が行われる。不図示の登録ボタンを押すと、画面のデータに応じた入金データがデータファイル106cに登録される。売上時の換算レートの円貨換算額と入金時の換算レートの円貨換算額との差額は為替差損益として認識する。
【0067】
なお、換算レートは、ここでは、スポットレートで設定しているが、入金時にも通貨マスタ106a及びレートマスタ106bで設定される値に自動設定可能である。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態では、各種伝票を入力する伝票入力部102aと、外貨から円貨への換算レートを設定する換算レート設定部102bと、換算レート設定部102bは、伝票毎に適用する換算レートを目的に合わせて設定可能に構成されていることとしたので、伝票毎に目的に合わせて、外貨から円貨の換算レートを設定することが可能になる。
【0069】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0070】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0071】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0072】
また、換算レート管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0073】
例えば、換算レート管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて換算レート管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0074】
また、このコンピュータプログラムは、換算レート管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0075】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0076】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0077】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0078】
また、換算レート管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、換算レート管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0079】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 換算レート管理装置
102 制御部
102a 伝票入力部
102b 換算レート設定部
102c マスタメンテ部
102d 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 通貨マスタ
106b レートマスタ
106c データファイル
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8