(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】クッション体、及び、クッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20240701BHJP
C08J 9/24 20060101ALI20240701BHJP
B29C 64/129 20170101ALI20240701BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240701BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20240701BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20240701BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240701BHJP
B29K 7/00 20060101ALN20240701BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
A47C27/14 A
C08J9/24 CER
C08J9/24 CEZ
B29C64/129
B29C44/00 Z
A47C27/08 Z
A47C27/00 A
B60N2/90
A47C27/00 Z
B29K7:00
B29K105:04
(21)【出願番号】P 2020155767
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】山口 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 寿充
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佳之
(72)【発明者】
【氏名】家永 諭
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/116685(WO,A1)
【文献】特開2020-090080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された、多孔質構造体と、
空間を内部に区画する、袋体と、
を備え、
前記袋体は、前記多孔質構造体の内部に位置しているとともに、前記多孔質構造体と一体に構成されており、
前記多孔質構造体は、その全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
から構成されて
おり、
前記袋体は、前記袋体の内部の流体が前記袋体の外部に流出できないように、構成されている、クッション体。
【請求項2】
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された、多孔質構造体と、
空間を内部に区画する、袋体と、
を備え、
前記袋体は、前記多孔質構造体の内部に位置しているとともに、前記多孔質構造体と一体に構成されており、
前記多孔質構造体は、その全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
から構成されており、
前記袋体は、1つ又は複数の貫通穴又はスリットを有している、クッション体。
【請求項3】
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された、多孔質構造体と、
空間を内部に区画する、袋体と、
を備え、
前記袋体は、前記多孔質構造体の内部に位置しているとともに、前記多孔質構造体と一体に構成されており、
前記多孔質構造体は、その全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
から構成されており、
前記袋体の一部のみが、前記多孔質構造体によって覆われていない、クッション体。
【請求項4】
前記多孔質構造体と前記袋体とは、同じ材料から構成されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載のクッション体。
【請求項5】
前記袋体が区画する前記空間は、前記多孔質構造体のセル孔よりも大きい、請求項1
~4のいずれか一項に記載のクッション体。
【請求項6】
前記袋体の全体が、前記多孔質構造体によって覆われている、請求項1
又は2に記載のクッション体。
【請求項7】
前記クッション体は、シートパッドに用いられる、請求項1~
6のいずれか一項に記載のクッション体。
【請求項8】
前記クッション体は、3Dプリンタによって造形されたものである、請求項1~
7のいずれか一項に記載のクッション体。
【請求項9】
3Dプリンタを用いて、請求項1~
7のいずれか一項に記載のクッション体を製造する、クッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション体、及び、クッション体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クッション性のある多孔質構造体(例えば、ウレタンフォーム)は、例えば金型成形等において、化学反応により発泡させる工程を経て、製造されている。
一方、近年、3Dプリンタによってクッション性のある多孔質構造体を容易に製造することが可能な、多孔質構造体が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/235544号公報
【文献】WO2019/235547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の発明者らは、上述のような多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性が得られるようなクッション体を鋭意検討し、本発明をするに至った。
【0005】
本発明は、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることが可能なクッション体、及び、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることが可能なクッション体を得ることができるクッション体の製造方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクッション体は、
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された、多孔質構造体と、
空間を内部に区画する、袋体と、
を備え、
前記袋体は、前記多孔質構造体の内部に位置しているとともに、前記多孔質構造体と一体に構成されており、
前記多孔質構造体は、その全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
から構成されている。
本発明のクッション体によれば、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることができる。
【0007】
前記多孔質構造体と前記袋体とは、同じ材料から構成されていると、好適である。
これにより、クッション体を3Dプリンタにより製造しやすくなる。
【0008】
前記袋体が区画する前記空間は、前記多孔質構造体のセル孔よりも大きいと、好適である。
これにより、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性がさらに得やすくなる。
【0009】
前記袋体は、前記袋体の内部の流体が前記袋体の外部に流出できないように、構成されていてもよい。
【0010】
前記袋体は、1つ又は複数の貫通穴又はスリットを有していてもよい。
【0011】
前記袋体の全体が、前記多孔質構造体によって覆われていてもよい。
【0012】
前記袋体の一部のみが、前記多孔質構造体によって覆われていなくてもよい。
【0013】
本発明のクッション体において、
前記クッション体は、シートパッドに用いられると、好適である。
【0014】
本発明のクッション体において、
前記クッション体は、3Dプリンタによって造形されたものであると、好適である。
【0015】
本発明のクッション体の製造方法は、
3Dプリンタを用いて、上記のクッション体を製造する。
本発明のクッション体の製造方法によれば、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることが可能なクッション体を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることが可能なクッション体、及び、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得ることが可能なクッション体を得ることができるクッション体の製造方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るクッション体を示す、断面図である。
【
図2】
図1のB部を拡大して示すB部拡大図である。
【
図3】本発明の任意の実施形態に係るクッション体に備えられることができる袋体の一例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の任意の実施形態に係るクッション体に備えられることができる袋体の第1変形例を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の任意の実施形態に係るクッション体に備えられることができる袋体の第2変形例を、荷重が入力されていない状態で示す、斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の袋体を、荷重が入力されている状態で示す、斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るクッション体を示す、断面図である。
【
図7】本発明の任意の実施形態に係るクッション体を備えることができるシートパッドの一例を示す、断面図である。
【
図8】本発明の任意の実施形態に係るクッション体を備えることができるシートパッドの他の例を示す、断面図である。
【
図9】本発明の任意の実施形態に係るクッション体を製造するために用いることができる、本発明の一実施形態に係るクッション体の製造方法を説明するための図面である。
【
図10】本発明の任意の実施形態に係るクッション体に備えられることができる多孔質構造体の一例の一部を示す、斜視図である。
【
図11】
図10の多孔質構造体を、
図10のA矢印の方向から観たときの様子を示す、A矢視図である。
【
図12】
図10の多孔質構造体のセル区画部を示す、斜視図である。
【
図13】
図12に対応する図面であり、セル区画部の一変形例を説明するための図面である。
【
図14】本発明の任意の実施形態に係るクッション体に備えられることができる多孔質構造体の他の例の一部を示す、平面図である。
【
図15】
図15(a)は、外力が加わっていない状態における
図14の多孔質構造体の骨部を示す斜視図であり、
図15(b)は、外力が加わっている状態における
図14(a)の骨部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のクッション体、及び、クッション体の製造方法は、任意の用途のクッション体に用いられることができるが、例えば任意の乗り物用シート及び任意のシートパッド(乗り物用シートパッド)に用いられると好適であり、特に、車両用シート及び車両用シートパッドに用いられると好適なものである。
【0019】
以下、本発明に係るクッション体、及び、クッション体の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0020】
〔クッション体〕
以下、本発明の様々な実施形態に係るクッション体5について、
図1~
図6を参照しつつ、説明する。
図1~
図2は、本発明の第1実施形態に係るクッション体5を説明するための図面である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るクッション体5を、荷重が入力されていない状態で示す、斜視図である。
図2は、
図1のB部を拡大して示すB部拡大図である。
図1~
図2に示すように、本実施形態のクッション体5は、多孔質構造体1と、袋体6と、を備えている。
【0021】
多孔質構造体1は、多数のセル孔C(
図2)を有している。多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。
ここで、「可撓性のある樹脂」とは、外力が加わると変形することができる樹脂を指しており、例えば、エラストマー系の樹脂が好適であり、ポリウレタンがより好適である。ゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムが挙げられる。多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されているので、ユーザからの外力の付加・解除に応じて、圧縮・復元変形が可能であるので、クッション性を有することができる。
多孔質構造体1は、後に
図9を参照しながら述べるように、3Dプリンタを用いて製造されたものであると好適である。
多孔質構造体1の好適なセル構造については、後に
図10~
図15を参照しながら詳しく説明する。
【0022】
袋体6は、後に
図9を参照しながら述べるように、3Dプリンタを用いて製造されたものであると好適である。
【0023】
袋体6は、空間61を内部に区画している(
図1)。
袋体6は、多孔質構造体1の内部に位置している。すなわち、袋体6は、その少なくとも一部(
図1の例では、全体)が、多孔質構造体1によって覆われている。
袋体6は、多孔質構造体1と一体に構成されている。これにより、袋体6は、多孔質構造体1と一緒に3Dプリンタによって造形されることができるので、クッション体5が製造しやすくなる。また、これにより、クッション体5に振動が入力されたときに、袋体6が、多孔質構造体1の圧縮・復元変形に、密接に追従するように変形及び/又は変位することができる。
【0024】
袋体6の内部には、流体が充填されている。
袋体6の内部に充填される流体としては、任意の流体とすることができるが、例えば、大気(空気)等の気体、又は、水若しくはエチレングリコール等の液体が好適である。
袋体6の内部には、多孔質構造体1が配置されていない。
【0025】
袋体6は、流体が透過できないような材料で構成されている。
袋体6は、可撓性がある(すなわち、外力が加わると変形することができる)ように構成されると、好適である。
袋体6を構成する材料は、非伸縮性であってもよいし、あるいは、伸縮性を有していてもよい。
【0026】
上述のように構成された第1実施形態のクッション体5の作用効果を説明する。
本実施形態のクッション体5によれば、クッション体5が、可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体1と、空間61を内部に区画する袋体6と、を備えており、袋体6は、多孔質構造体1の内部に位置しているとともに、多孔質構造体1と一体に構成されているため、クッション体5に振動が入力された時に生じる、多孔質構造体1の圧縮・復元変形に伴う袋体6と多孔質構造体1との相互作用により、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性(具体的には振動減衰特性(特には粘性減衰特性))を得ることが可能となる。したがって、従来では得るのが難しかったような動的特性を備えたクッション体5を提供することが可能となる。このことは、例えば
図7~
図8を参照しつつ後述するように、クッション体5が、使用時に振動が入力されるようなシートパッド(乗り物用シートパッド、例えば車両用シートパッド)に用いられる場合に、特に好適なことある。
【0027】
袋体6は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されていると好適である。袋体6は、多孔質構造体1と同じ材料(組成)から構成されているとより好適である。これにより、クッション体5を3Dプリンタにより製造しやすくなる。ただし、袋体6は、多孔質構造体1とは異なる材料(組成)から構成されてもよい。また、袋体6は、樹脂やゴム以外の材料から構成されてもよい。
【0028】
本明細書で説明する各実施形態において、袋体6が区画する空間61は、
図1及び
図2に示すように、多孔質構造体1のセル孔Cよりも大きいと、好適である。より具体的に、本明細書で説明する各実施形態において、袋体6が区画する空間61の体積は、多孔質構造体1のセル孔Cの体積の平均値よりも大きいと、好適である。
これにより、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性がさらに得やすくなる。
同様の観点から、本明細書で説明する各実施形態において、袋体6が区画する空間61の体積は、多孔質構造体1のセル孔Cの体積の平均値の10倍以上であるとより好適であり、多孔質構造体1のセル孔Cの体積の平均値の20倍以上であるとさらに好適である。
【0029】
本明細書で説明する各実施形態において、袋体6は、
図3に示すように、貫通穴やスリットを有しておらず、それにより、袋体6の内部の流体が袋体6の外部に流出できないように、構成されていてもよい。この場合、クッション体5の弾性率が高くなる。
【0030】
本明細書で説明する各実施形態において、袋体6は、
図4に示すように、1つ又は複数の貫通穴62を有していてもよい。貫通穴62は、袋体6を貫通している。これにより、袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気が、貫通穴62を介して、可能にされる。ひいては、クッション体5に振動が入力された時に生じる、多孔質構造体1の圧縮・復元変形に伴う袋体6と多孔質構造体1との相互作用に加えて、袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気により、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性(具体的には振動減衰特性(特には粘性減衰特性))を得ることが可能となる。
袋体6に設けられた貫通穴62の数や大きさを調整することにより、要求に応じて、様々な動的特性(具体的には振動減衰特性(特には粘性減衰特性))を実現可能である。貫通穴62の数が多くなるほど、また、貫通穴62が大きくなるほど、クッション体5の振動減衰特性が減少し、振動入力時においてより跳ねやすくなる。
貫通穴62の形状は、
図4に示すような円形(真円形、楕円形等)に限られず、多角形(正三角形、正三角形以外の三角形、四角形等)等、任意でよい。
多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得やすくする観点から、各貫通穴62の面積は、それぞれ、袋体6の全体面積(各貫通穴62の面積を含む)の20%以下であると好適であり、10%以下であるとより好適である。袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気を十分に得る観点から、各貫通穴62の面積は、それぞれ、袋体6の全体面積(各貫通穴62の面積を含む)の0.1%以上であると好適であり、1%以上であるとより好適である。
多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性を得やすくする観点から、各貫通穴62の面積の合計は、袋体6の全体面積(各貫通穴62の面積を含む)の50%以下であると好適であり、30%以下であるとより好適である。袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気を十分に得る観点から、各貫通穴62の面積の合計は、袋体6の全体面積(各貫通穴62の面積を含む)の1%以上であると好適であり、5%以上であるとより好適である。
【0031】
本明細書で説明する各実施形態において、袋体6は、
図5に示すように、1つ又は複数のスリット63を有していてもよい。
図5(a)は荷重が加わっていない状態の袋体6を示しており、
図5(b)は荷重が矢印の方向に加わっている状態の袋体6を示している。スリット63は、袋体6を貫通している。
なお、本明細書において、「貫通穴62」は、クッション体5(ひいては袋体6)に荷重が加わっていない状態において開口している穴を指す。一方、本明細書において、「スリット63」は、クッション体5(ひいては袋体6)に荷重が加わっていない状態において閉口している切れ込みを指す。
スリット63は、クッション体5に荷重が加わっていない状態においては、閉口している(
図5(a))が、クッション体5に荷重が加わった状態になると、開口することができる(
図5(b))。これにより、袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気が、スリット63を介して、可能にされる。ひいては、クッション体5に振動が入力された時に生じる、多孔質構造体1の圧縮・復元変形に伴う袋体6と多孔質構造体1との相互作用に加えて、袋体6の内部の空間61と多孔質構造体1のセル孔Cとの間の通気により、多孔質構造体のみから得られる動的特性とは異なる動的特性(具体的には振動減衰特性(特には粘性減衰特性))を得ることが可能となる。
袋体6に設けられたスリット63の数や延在長さを調整することにより、要求に応じて、様々な動的特性(具体的には振動減衰特性(特には粘性減衰特性))を実現可能である。スリット63の数が多くなるほど、また、スリット63が長くなるほど、クッション体5の振動減衰特性が減少し、振動入力時においてより跳ねやすくなる。
スリット63の形状は、
図5に示すような直線形状に限られず、湾曲線形状、波形状、ギザギザ形状等、任意でよい。
クッション体5が袋体6にスリット63を有する場合、クッション体5は、スリット63の延在方向がクッション体5の所定の荷重入力方向に対して略平行になるように指向されていると、好適である。これにより、クッション体5に対して当該所定の荷重入力方向に荷重が入力された際に、スリット63が開口しやすくなる。ここで、クッション体5の「所定の荷重入力方向」とは、クッション体5において、ユーザからの荷重が入力される方向であり、例えば、シートパッド(例えば車両用シートパッド)の場合、厚さ方向である。また、ここで、スリット63の「延在方向」とは、スリット63が非直線形状(例えば湾曲線形状、波形状、ギザギザ形状等)である場合、スリット63の両端どうしを結んだ直線の延在方向を指すものとする。
【0032】
なお、袋体6は、1つ又は複数の貫通穴62と1つ又は複数のスリット63との両方を有していてもよい。
【0033】
本明細書で説明する各実施形態においては、
図1に示すように、袋体6の全体が、多孔質構造体1によって覆われていてもよい。
あるいは、本明細書で説明する各実施形態においては、
図6に示すように、袋体6の一部のみが、多孔質構造体1によって覆われていなくてもよい。この場合、袋体6の当該一部のみが、多孔質構造体1の外部に露出することとなる。
【0034】
図1~
図6に示す各例において、多孔質構造体1及び袋体6は、それぞれ、略直方体形状をなしているが、これらはそれぞれ任意の形状をなしてよい。
【0035】
本明細書で説明する各実施形態に係るクッション体5は、後に
図9を参照しつつ述べるように、3Dプリンタによって造形されたものであると、好適である。
3Dプリンタを用いてクッション体5を製造することにより、製造が簡単になり、かつ、所期したとおりの構成が得られる。また、今後の3Dプリンタの技術進歩により、将来的に、3Dプリンタによる製造を、より短時間かつ低コストで、実現できるようになることが期待できる。また、3Dプリンタを用いてクッション体5を製造することにより、様々な要求特性に対応したクッション体5の構成を、簡単かつ所期したとおりに実現できる。
なお、クッション体5を3Dプリンタを用いて製造する場合は、クッション体5を構成する材料として、可撓性のある樹脂又はゴムが好適であり、例えば、光硬化性ポリウレタン(特に紫外線硬化性ポリウレタン)を原料とする樹脂を使用することができる。光硬化性ポリウレタン(特に紫外線硬化性ポリウレタン)としては、ウレタンアクリレートもしくはウレタンメタクリレートを原料とする樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えばUS4337130に記載されたものが挙げられる。
【0036】
〔クッション体を備えたシートパッド〕
上述のように、本発明の各実施形態に係るクッション体5は、シートパッド(乗り物用シートパッド。特には車両用シートパッド。)に用いられることができる。
以下、
図7~
図8を参照しつつ、本発明の任意の実施形態に係るクッション体5を備え得るシートパッド302の例について説明する。
図7は、本発明の様々な実施形態に係るクッション体5を備えることができるシートパッド302(車両用シートパッド)の一例を、概略的に示す、断面図である。
図8は、本発明の様々な実施形態に係るクッション体5を備えることができるシートパッド302(車両用シートパッド)の他の例を、概略的に示す、断面図である。
本明細書では、シートパッド302に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
図7及び
図8は、それぞれ、シートパッド302を左右方向に切断したときの断面を示している。
図7及び
図8の各例において、シートパッド302は、着座者が着座するためのクッションパッドとして構成されてもよいし、あるいは、着座者の背中を支持するためのバックパッドとして構成されてもよい。
シートパッド302は、メインパッド部311と、メインパッド部311の左右両側に位置する一対のサイドパッド部312と、を有している。シートパッド302がクッションパッドとして構成されている場合、メインパッド部311は、着座者の臀部及び大腿部を下側から支持するように構成される。シートパッド302がクッションパッドとして構成されている場合、シートパッド302の厚さ方向は、上下方向となる。シートパッド302がバックパッドとして構成されている場合、メインパッド部311は、着座者の背中を後側から支持するように構成される。シートパッド302がバックパッドとして構成されている場合、シートパッド302の厚さ方向は、バックパッドのメインパッド部311の着座者側の面(表面)FSから裏面BSまでにわたってメインパッド部311が延在する方向である
また、シートパッド302の着座者側の面(表面)FSは、クッションパッドの場合は上面であり、バックパッドの場合は前面である。シートパッド302の裏面BSは、シートパッド302の着座者側の面FSとは反対側の面であり、クッションパッドの場合は下面であり、バックパッドの場合は後面である。シートパッド302の側面SSは、シートパッド302の着座者側の面FSと裏面BSとの間の面であり、クッションパッドの場合は前面、後面、左面及び右面のうちいずれかであり、バックパッドの場合は下面、上面、左面及び右面のうちいずれかである。
図7の例において、シートパッド302は、本発明の任意の実施形態に係るクッション体5と、本体部314と、を備えている。本体部314は、当該クッション体5の一部又は全部を収容する凹部313を有しており、例えば金型成形又はスラブ成形等において化学反応により発泡させる工程を経て製造された多孔質構造体(発泡体)からなる。
図7の例において、凹部313と、クッション体5のうち凹部313の内部に収容される部分とは、互いに適合するような形状にされている限り、それぞれ、任意の形状をなしてよく、例えば、それぞれ、
図7の例のように略直方体形状をなしてよい。
図7の例のように、クッション体5がシートパッド302の一部のみを構成することにより、仮にクッション体5がシートパッド302の全部を構成する場合(
図8)に比べて、クッション体5の大きさを小さくすることができ、ひいては、クッション体5を比較的小型の3Dプリンタによっても製造することが可能になる。
図7の例において、クッション体5は、シートパッド302の任意の部分を構成してよい。クッション体5は、シートパッド302のメインパッド部311の少なくとも一部を構成していると、好適である。
図8の例において、シートパッド302は、本発明の任意の実施形態に係るクッション体5のみから構成されている。
図8の例において、クッション体5は、シートパッドの形状をなしている。
【0037】
〔クッション体の製造方法〕
つぎに、
図9を参照しつつ、本発明のクッション体5の製造方法を例示説明する。以下に説明する方法は、クッション体5を3Dプリンタを用いて製造する方法であり、本明細書で説明する任意の実施形態のクッション体5を製造するために好適に用いることができる。
図9は、
図1のクッション体5を製造する様子を示している。
まず、事前に、コンピュータを用いて、クッション体5の3次元形状を表す3次元形状データ(例えば、3次元CADデータ)を作成する。
つぎに、コンピュータを用いて、上記3次元形状データを、3D造形用データ500に変換する。3D造形用データ500は、3Dプリンタ400の造形部420が造形を行う際に3Dプリンタ400の制御部410に読み込まれるものであり、制御部410が、造形部420に、クッション体5を、造形させるように構成されている。3D造形用データ500は、例えば、クッション体5の各層の2次元形状を表すスライスデータを含む。
つぎに、3Dプリンタ400によってクッション体5の造形を行う。3Dプリンタ400は、例えば、光造形方式、粉末焼結積層方式、熱溶融積層方式(FDM方式)、インクジェット方式等、任意の造形方式を用いて造形を行ってよい。生産性の観点からは、光造形方式が好適である。
図9では、光造形方式によって造形を行う様子を示している。
3Dプリンタ400は、例えば、CPU等によって構成された制御部410と、制御部410による制御に従って造形を行う造形部420と、造形される造形物(すなわち、クッション体5)を載せるための支持台430と、液体樹脂LR、支持台430及び造形物が収容される収容体440と、を備える。造形部420は、本例のように光造形方式を用いる場合、紫外線レーザ光LLを照射するように構成されたレーザ照射器421を有する。収容体440には、液体樹脂LRが充填されている。液体樹脂LRは、レーザ照射器421から照射される紫外線レーザ光LLが当たると、硬化し、可撓性のある樹脂となる。
このように構成された3Dプリンタ400は、まず、制御部410が、3D造形用データ500を読み込み、読み込んだ3D造形用データ500に含まれる3次元形状に基づいて、造形部420に紫外線レーザ光LLを照射するよう制御しながら、各層を順次造形していく。
3Dプリンタ400による造形が完了した後は、造形物を収容体440から取り出す。それにより、最終的に、造形物として、クッション体5が得られる。
3Dプリンタを用いてクッション体5を製造することにより、多孔質構造体1及び袋体6を備えたクッション体5を、1つの工程で、簡単かつ精度良く、所期したとおりに実現できる。
なお、クッション体5を樹脂で構成する場合、3Dプリンタ400による造形が完了した後に、造形物としてのクッション体5を、オーブンの中で加熱してもよい。その場合、クッション体5を構成する各層どうしの結合を強化し、それによりクッション体5の異方性を低減できるので、クッション体5のクッション性をさらに向上できる。
また、クッション体5をゴムで構成する場合、3Dプリンタ400による造形が完了した後に、造形物としてのクッション体5を加硫してもよい。
【0038】
〔多孔質構造体〕
つぎに、
図10~
図15を参照しつつ、上述した多孔質構造体1について、詳しく説明する。なお、以下に説明する多孔質構造体1は、本明細書で説明する任意の実施形態に係るクッション体5に用いることができる。
なお、
図10~
図13では、多孔質構造体1の向きを理解しやすくするために、多孔質構造体1に固定されたXYZ直交座標系の向きを表示している。
【0039】
図10~
図11では、多孔質構造体1のうち、略直方体の外形状を有する一部分を、それぞれ別々の角度から観ている。
図10は、多孔質構造体1の当該部分を示す、斜視図である。
図11は、
図10の多孔質構造体1の当該部分をA矢印の方向(Y方向)から観た様子を示すA矢視図である。
【0040】
多孔質構造体1は、3Dプリンタによって造形されたものである。3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、従来のように化学反応により発泡させる工程を経る場合に比べ、製造が簡単になり、かつ、所期したとおりの構成が得られる。また、今後の3Dプリンタの技術進歩により、将来的に、3Dプリンタによる製造を、より短時間かつ低コストで、実現できるようになることが期待できる。また、3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、様々な要求特性に対応した多孔質構造体1の構成を、簡単かつ所期したとおりに実現できる。
【0041】
多孔質構造体1は、上述のとおり、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。
なお、3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂から構成されている場合のほうが、ゴムから構成されている場合よりも、好適である。
また、3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1は、その全体が、同じ組成の材料から構成されていると、好適である。ただし、多孔質構造体1は、部位によって異なる組成の材料から構成されてもよい。
【0042】
上述したように、多孔質構造体1は、3Dプリンタによって造形されたものである。多孔質構造体1は、その全体が一体に構成されている。
多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。より具体的に、多孔質構造体1は、多孔質構造体1の骨格をなす骨格部2を備えている。骨格部2は、多数のセル孔Cを区画している。骨格部2は、多孔質構造体1のほぼ全体にわたって存在しており、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。本例において、多孔質構造体1のうち、骨格部2以外の部分は、空隙であり、言い換えれば、多孔質構造体1は、骨格部2のみからなる。
【0043】
図10~
図12に示すように、多孔質構造体1の骨格部2は、複数の骨部2Bと、複数の結合部2Jと、から構成されており、骨格部2の全体が一体に構成されている。本例において、各骨部2Bは、それぞれ柱状に構成されており、また、本例では、それぞれ直線状に延在している。各結合部2Jは、それぞれ、互いに異なる方向に延在する複数(例えば、4つ)の骨部2Bの延在方向の端部2Beどうしが互いに隣接する箇所で、これらの端部2Beどうしを結合している。
図10~
図12には、多孔質構造体1の一部分に、骨格部2の骨格線Oを1点鎖線により示している。骨格部2の骨格線Oは、各骨部2Bの骨格線Oと、各結合部2Jの骨格線Oと、からなる。骨部2Bの骨格線Oは、骨部2Bの中心軸線である。結合部2Jの骨格線Oは、当該結合部2Jに結合された各骨部2Bの中心軸線をそれぞれ当該結合部2J内へ滑らかに延長させて互いに連結させてなる、延長線部分である。骨部2Bの中心軸線は、骨部2Bの延在方向の各点における、骨部2Bの延在方向に垂直な断面において骨部2Bのなす形状の重心点どうしを、結んでなる線である。
骨部2Bの延在方向は、骨部2Bの骨格線O(骨格線Oのうち、骨部2Bに対応する部分。以下同じ。)の延在方向である。
多孔質構造体1は、そのほぼ全体にわたって骨格部2を備えているので、通気性を確保しつつ、外力の付加・解除に応じた圧縮・復元変形が可能であるので、クッション材としての特性が良好になる。また、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち、一部又は全部の骨部2Bが、湾曲しながら延在してもよい。この場合、一部又は全部の骨部2Bが湾曲していることで、荷重の入力時において、骨部2Bひいては多孔質構造体1の急激な形状変化を防ぎ、局所的な座屈を抑制することができる。
【0044】
本例では、骨格部2を構成する各骨部2Bが、それぞれほぼ同じ形状及び長さを有している。ただし、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bの形状及び/又は長さは、それぞれ同じでなくてもよく、例えば、一部の骨部2Bの形状及び/又は長さが他の骨部2Bとは異なっていてもよい。この場合、骨格部2のうちの特定の部分の骨部2Bの形状及び/又は長さを他の部分とは異ならせることで、意図的に異なる機械特性を得ることができる。
【0045】
本例において、各骨部2Bの幅W0(
図10)及び断面積は、骨部2Bの全長にわたって一定である(すなわち、骨部2Bの延在方向に沿って均一である)。
ここで、骨部2Bの断面積は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。また、骨部2Bの幅W0(
図10)は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。
ただし、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの幅W0及び/又は断面積が、骨部2Bの延在方向に沿って不均一でもよい。例えば、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの幅W0が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの断面積が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。また、本明細書において、「徐々に変化(増大又は減少)」とは、途中で一定となることなく常に滑らかに変化(増大又は減少)することを指す。
【0046】
本明細書で説明する各例において、骨格部2の構造の簡単化、ひいては、3Dプリンタによる多孔質構造体1の製造のし易さの観点からは、骨部2Bの幅W0(
図10)は、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。幅W0が0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
一方、骨格部2の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨部2Bの幅W0は、2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0047】
本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、それぞれ柱状であるとともに、それぞれの断面形状が、円形(真円形)である。
これにより、骨格部2の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、骨格部2の耐久性を向上できる。
なお、各骨部2Bの断面形状は、それぞれ、骨部2Bの中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
例えば、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bは、それぞれの断面形状が、多角形(正三角形、正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、真円形以外の円形(楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
【0048】
本明細書で説明する各例において、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合(VB×100/VS [%])は、3~10%であると、好適である。この構成により、骨格部2に外力が付加されたときに骨格部2に生じる反力、ひいては、骨格部2の硬さ(ひいては多孔質構造体1の硬さ)を、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものにすることができる。
ここで、「骨格部2の見かけの体積VS」とは、骨格部2の外縁(外輪郭)によって囲まれた内部空間の全体(骨格部2の占める体積と、後述の膜3(
図13)が設けられる場合は膜3の占める体積と、空隙の占める体積との合計)の体積を指している。
骨格部2を構成する材料を同じとして考えたとき、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が高いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は硬くなる。また、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が低いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は柔らかくなる。
骨格部2に外力が付加されたときに骨格部2に生じる反力、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の硬さを、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものにする観点からは、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が、4~8%であると、より好適である。
なお、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合を調整する方法としては、任意の方法を用いてよいが、例えば、骨格部2を構成する一部又は全部の骨部2Bの太さ(断面積)、及び/又は、骨格部2を構成する一部又は全部の結合部Jの大きさ(断面積)を、調整する方法が挙げられる。
【0049】
本明細書で説明する各例において、多孔質構造体1の25%硬度は、60~500Nが好適であり、100~450Nがより好適である。ここで、多孔質構造体1の25%硬度(N)は、インストロン型圧縮試験機を用いて、23℃、相対湿度50%の環境にて、多孔質構造体を25%圧縮するのに要する荷重(N)を測定して得られる測定値であるものとする。これにより、多孔質構造体1の硬さを、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものとすることができる。
【0050】
図10~
図12に示すように、本例において、骨格部2は、セル孔Cを内部に区画するセル区画部21を複数(セル孔Cの数だけ)有している。
図12は、1つのセル区画部21を単独で示している。本例の骨格部2は、多数のセル区画部21がX、Y、Zの各方向に連なった構造を有している。
図10~
図12に示すように、各セル区画部21は、それぞれ、複数(本例では、14つ)の環状部211を有している。各環状部211は、それぞれ、環状に構成されており、それぞれの環状の内周側縁部2111によって、平坦な仮想面V1を区画している。仮想面V1は、環状部211の内周側縁部2111によって区画された、仮想平面(すなわち、仮想閉平面)である。セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれの内周側縁部2111によって区画する仮想面V1どうしが交差しないように互いに連結されている。
セル孔Cは、セル区画部21を構成する複数の環状部211と、これら複数の環状部211がそれぞれ区画する複数の仮想面V1とによって、区画されている。概略的に言えば、環状部211は、セル孔Cのなす立体形状の辺を区画する部分であり、仮想面V1は、セル孔Cのなす立体形状の構成面を区画する部分である。
各環状部211は、それぞれ、複数の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数の結合部2Jと、から構成されている。
互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分は、これら一対の環状部211に共有される、1つの骨部2Bと、その両側の一対の結合部2Jと、から構成されている。すなわち、各骨部2B及び各結合部2Jは、それぞれに隣接する複数の環状部211によって共有されている。
各仮想面V1は、それぞれ、仮想面V1の一方側の面(仮想面V1の表面)によって、ある1つのセル孔Cの一部を区画しているとともに、当該仮想面V1の他方側の面(仮想面V1の裏面)によって、別のセル孔Cの一部を区画している。言い換えれば、各仮想面V1は、それぞれ、その表裏両側の面によって別々のセル孔Cの一部を区画している。さらに言い換えれば、各仮想面V1は、当該仮想面V1に隣接する一対のセル孔C(すなわち、当該仮想面V1を間に挟んだ一対のセル孔C)によって共有されている。
また、各環状部211は、それぞれ、当該環状部211に隣接する一対のセル区画部21(すなわち、当該環状部211を間に挟んだ一対のセル区画部21)によって共有されている。言い換えれば、各環状部211は、それぞれ、互いに隣接する一対のセル区画部21のそれぞれの一部を構成している。
図10~
図11の例において、多孔質構造体1における一部の仮想面V1は、後述の膜3(
図13)によって覆われておらず、開放されており、すなわち、開口を構成している。このため、当該仮想面V1を通じて、セル孔Cどうしが連通され、セル孔C間の通気が、可能にされている。これにより、骨格部2の通気性を向上できるとともに、外力の付加・解除に応じた骨格部2の圧縮・復元変形がし易くなる。
【0051】
図12に示すように、本例において、各セル区画部21の骨格線Oは、多面体の形状をなしており、それにより、各セル孔Cが、略多面体の形状をなしている。より具体的に、
図10~
図12の例において、各セル区画部21の骨格線Oは、ケルビン14面体(切頂8面体)の形状をなしており、それにより、各セル孔Cが、略ケルビン14面体(切頂8面体)の形状をなしている。ケルビン14面体(切頂8面体)は、6つの正4角形の構成面と8つの正6角形の構成面とから構成される、多面体である。骨格部2を構成するセル孔Cは、概略的に言えば、骨格部2の外縁(外輪郭)により囲まれた内部空間を空間充填するように(すなわち、各セル孔Cが無駄な隙間無く敷き詰められるように、さらに言い換えれば、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくするように)、規則性をもって配列されている。
本例のように、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル孔Cの形状)を多面体とすることにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になり、より多くのセル孔Cを骨格部2の内部に形成することができる。また、これにより、外力の付加・解除に応じた骨格部2(ひいては、多孔質構造体1)の圧縮・復元変形の挙動が、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、より良好になる。
セル区画部21の骨格線Oのなす多面体形状(ひいては、セル孔Cのなす多面体形状)としては、本例に限らず、任意のものが可能である。例えば、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cのなす形状)を略4面体、略8面体又は略12面体とした場合も、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点から好適である。また、骨格部2の一部または全部のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部のセル孔Cのなす形状)は、略多面体以外の立体形状(例えば、球、楕円体、円柱等)でもよい。また、骨格部2は、セル区画部21として、骨格線Oの形状が同じである1種類のセル区画部21のみを有していてもよいし、あるいは、骨格線Oの形状が異なる複数種類のセル区画部21を有していてもよい。同様に、骨格部2は、セル孔Cとして、同じ形状からなる1種類のセル孔Cのみを有していてもよいし、あるいは、形状の異なる複数種類のセル孔Cを有していてもよい。なお、本例のように、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cの形状)を略ケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、他の形状に比べて、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等のクッション材の特性を、最も再現し易い。
【0052】
図10~
図12に示すように、本例において、セル区画部21を構成する複数(本例では、14つ)の環状部211は、それぞれ、1つ又は複数(本例では、6つ)の小環状部211Sと、1つ又は複数(本例では、8つ)の大環状部211Lと、を含んでいる。各小環状部211Sは、それぞれ、その環状の内周側縁部2111によって、平坦な小仮想面V1Sを区画している。各大環状部211Lは、それぞれ、その環状の内周側縁部2111によって、平坦かつ小仮想面V1Sよりも面積の大きな大仮想面V1Lを区画している。小仮想面V1S、大仮想面V1Lは、それぞれ、仮想平面(すなわち、仮想閉平面)である。
図12から判るように、本例において、大環状部211Lは、その骨格線Oが正6角形をなしており、それに伴い、大仮想面V1Lも、略正6角形をなしている。また、本例において、小環状部211Sは、その骨格線Oが正4角形をなしており、それに伴い、小仮想面V1Sも、略正4角形をなしている。このように、本例において、小仮想面V1Sと大仮想面V1Lとは、面積だけでなく、形状も異なる。
各大環状部211Lは、それぞれ、複数(本例では、6つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、6つ)の結合部2Jと、から構成されている。各小環状部211Sは、それぞれ、複数(本例では、4つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、4つ)の結合部2Jと、から構成されている。
そして、
図10~
図12の例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ、ケルビン14面体(切頂8面体)をなしている。上述のように、ケルビン14面体(切頂8面体)は、6つの正4角形の構成面と8つの正6角形の構成面とから構成される、多面体である。これに伴い、各セル区画部21によって区画されるセル孔Cも、略ケルビン14面体をなしている。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、空間充填するように互いに連なっている。すなわち、複数のセル区画部21の骨格線Oどうしの間には、隙間がない。
【0053】
このように、本例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ多面体(本例では、ケルビン14面体)をなしており、それに伴い、セル孔Cが略多面体(本例では、略ケルビン14面体)をなしているため、多孔質構造体1を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になり、より多くのセル孔Cを多孔質構造体1の内部に形成することができる。また、これにより、外力の付加・解除に応じた多孔質構造体1の圧縮・復元変形の挙動が、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、より良好になる。なお、セル孔C間の隙間(間隔)とは、セル孔Cを区画する骨格部2の肉部分(骨部2Bや結合部2J)に相当する。
また、本例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、空間充填するように互いに連なっているので、多孔質構造体1を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になる。よって、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
【0054】
セル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)としては、各図の例に限らず、任意のものが可能である。
例えば、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、空間充填できる(隙間無く配置できる)ようなものであると好適である。これにより、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oを、空間充填するように互いに連ならせることができるので、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。この場合、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oがなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、本例のように1種類の多面体のみを含んでいてもよいし、あるいは、複数種類の多面体を含んでいてもよい。ここで、多面体に関し、「種類」とは、形状(構成面の数や形状)を指しており、具体的には、形状(構成面の数や形状)が異なる2つの多面体については2種類の多面体として扱うが、形状は同じであり寸法のみが異なる2つの多面体については同じ種類の多面体として扱うことを意味する。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体が、空間充填できるとともに1種類の多面体のみを含む場合の当該多面体の例としては、ケルビン14面体の他に、正3角柱、正6角柱、立方体、直方体、菱形12面体等が挙げられる。なお、各図の例のように、セル区画部21の骨格線Oの形状をケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、他の形状に比べて、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等のクッション材の特性を、最も再現し易い。また、セル区画部21の骨格線Oの形状をケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、X-Y-Zそれぞれの方向に等しい機械特性を得ることができる。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体が、空間充填できるとともに複数種類の多面体を含む場合の当該多面体の例としては、正4面体と正8面体との組み合わせ、正4面体と切頂4面体との組み合わせ、正8面体と切頂6面体との組み合わせ等が挙げられる。なお、これらは、2種類の多面体の組み合わせの例であるが、3種類以上の多面体の組み合わせも可能である。
また、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、例えば、任意の正多面体(全ての面が合同な正多角形で、全ての頂点において接する面の数が等しい凸多面体)、半正多面体(全ての面が正多角形で、全ての頂点形状が合同(頂点に集まる正多角形の種類と順序が同じ)な凸多面体のうち、正多面体以外)、角柱、角錐等が可能である。
また、骨格部2を構成する複数のセル区画部21のうちの一部又は全部のセル区画部21の骨格線Oは、多面体以外の立体形状(例えば、球、楕円体、円柱等)をなしていてもよい。ひいては、骨格部2を構成する複数のセル孔Cのうちの一部又は全部のセル孔Cは、略多面体以外の略立体形状(例えば、略球、略楕円体、略円柱等)をなしていてもよい。
【0055】
セル区画部21を構成する複数の環状部211が、大きさの異なる小環状部211Sと大環状部211Lとを含むことにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になる。また、本例のように、小環状部211Sと大環状部211Lとの形状が異なる場合、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をさらに小さくすることが可能になる。
ただし、セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれ、大きさ及び/又は形状が互いに同じでもよい。セル区画部21を構成する各環状部211の大きさ及び形状が同じである場合、X、Y、Zのそれぞれの方向に等しい機械特性を得ることができる。
【0056】
本例のように、セル区画部21を構成する各環状部211のうち、一部又は全部(本例では全部)の環状部211の骨格線O(ひいては、セル区画部21を構成する各仮想面V1のうち、一部又は全部(本例では全部)の仮想面V1)が、略多角形状をなすことにより、骨格部2を構成するセル孔Cどうしの間隔をより小さくすることが可能になる。また、外力の付加・解除に応じた骨格部2の圧縮・復元変形の挙動が、シートパッドとして、特には車両用のシートパッドとして、より良好になる。また、環状部211の形状(ひいては仮想面V1の形状)がシンプルになるので、製造性や特性の調整のし易さを向上できる。なお、骨格部2を構成する各環状部211のうち、少なくとも1つの環状部211(ひいては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうち、少なくとも1つの仮想面V1)が、この構成を満たしている場合は、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
なお、骨格部2を構成する各環状部211のうち、少なくとも1つの環状部211の骨格線O(ひいては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうち、少なくとも1つの仮想面V1)が、本例のような略正6角形、略正4角形以外の任意の略多角形状、あるいは、略多角形状以外の平面形状(例えば、円(真円、楕円等))をなしてもよい。環状部211の骨格線Oの形状(ひいては仮想面V1の形状)が円(真円、楕円等)である場合は、環状部211の形状(ひいては仮想面V1の形状)がシンプルになるので、製造性や特性の調整のし易さを向上できるとともに、より均質な機械特性が得られる。例えば、環状部211の骨格線Oの形状(ひいては仮想面V1の形状)が、荷重が掛かる方向に対して略垂直な方向に長い楕円(横長の楕円)である場合は、荷重が掛かる方向に略平行な方向に長い楕円(縦長の楕円)である場合に比べて、環状部211が、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)が、荷重の入力に対して変形し易くなる(柔らかくなる)。
【0057】
本例において、骨格部2は、直径が5mm以上のセル孔Cを少なくとも1つ有すると、好適である。これにより、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造が実現し易くなる。骨格部2の各セル孔Cの直径が5mm未満であると、骨格部2の構造が複雑になりすぎる結果、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(CADデータ等)、あるいは、その3次元形状データに基づき生成される3D造形用データを、コンピュータ上で生成するのが難しくなるおそれがある。
なお、従来の多孔質構造体は、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、直径が5mm以上のセル孔Cを形成することは容易でなかった。
また、骨格部2が直径5mm以上のセル孔Cを有することにより、骨格部2の通気性や変形し易さを向上しやすくなる。
このような観点から、骨格部2を構成する全てのセル孔Cの直径が、それぞれ、5mm以上であると、好適である。
セル孔Cの直径が大きくなるほど、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造が実現し易くなり、また、通気性や変形し易さを向上しやすくなる。このような観点から、骨格部2は、少なくとも1つ(好適には全部)のセル孔Cの直径が、より好適には8mm以上、さらに好適には10mm以上であるとよい。
一方、骨格部2のセル孔Cが大きすぎると、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の外縁(外輪郭)形状をきれいに(滑らかに)形成するのが難しくなり、クッション体5の形状精度が低下し外観が悪化するおそれがある。また、クッション材(例えばシートパッド、特には車両用のシートパッド)としての特性も、十分に良好でなくなるおそれがある。よって、外観やクッション材(例えばシートパッド、特には車両用のシートパッド)としての特性を向上させる観点から、骨格部2の各セル孔Cの直径は、好適には30mm未満、より好適には25mm以下、さらに好適には20mm以下であるとよい。
なお、多孔質構造体1は、上記の直径の数値範囲を満たすセル孔Cを多く有するほど、上記の各効果が得られやすくなる。この観点からは、多孔質構造体1を構成する各セル孔Cの直径が、上記の少なくともいずれか1つの数値範囲を満たすと、好適である。同様に、多孔質構造体1を構成する各セル孔Cの直径の平均値が、上記の少なくともいずれか1つの数値範囲を満たすと、より好適である。
なお、セル孔Cの直径は、本例のようにセル孔Cが厳密な球形状とは異なる形状をなす場合、セル孔Cの外接球の直径を指す。
【0058】
骨格部2のセル孔Cが小さすぎると、骨格部2の構造が複雑になりすぎる結果、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(CADデータ等)、あるいは、その3次元形状データに基づき生成される3D造形用データを、コンピュータ上で生成するのが難しくなるおそれがあるため、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造がしにくくなる。3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造を容易にする観点から、骨格部2を構成する各セル孔Cのうち、最小の直径を有するセル孔Cの直径が、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。最小の直径を有するセル孔Cの直径が、0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
【0059】
図13は、多孔質構造体1のセル区画部21の一変形例を説明するための図面であり、
図12に対応する図面である。本明細書で説明する各例において、多孔質構造体1は、
図13に示す変形例のように、骨格部2に加えて、1つ又は複数の膜3を備えていてもよい。
膜3は、環状部211の環状の内周側縁部2111によって区画された仮想面V1上を延在しており、それにより、当該環状部211によって区画された仮想面V1を覆っている。
図13の例の多孔質構造体1においては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうちの少なくとも1つが、膜3で覆われている。膜3は、骨格部2と同じ材料からなり、骨格部2と一体に構成されている。
図13の例において、膜3は、平坦に構成されている。ただし、膜3は、非平坦(例えば、湾曲状(曲面状))に構成されてもよい。
膜3は、骨部2Bの幅W0(
図10)よりも小さな厚さを有すると、好適である。
膜3によって、仮想面V1を間に挟んだ2つのセル孔Cどうしが、仮想面V1を通じた連通がなくなり、仮想面V1を介した通気ができなくなるため、ひいては、多孔質構造体1の全体としての通気性が低下する。多孔質構造体1を構成する各仮想面V1のうち、膜3で覆われたものの数を調整することにより、多孔質構造体1の全体としての通気性を調整でき、要求に応じて様々な通気性レベルを実現可能である。多孔質構造体1の圧縮・復元変形や、多孔質構造体1と粘性流体Fとの相互作用を促進する観点から、多孔質構造体1を構成する各仮想面V1の全てが膜3で覆われているのは好ましくなく、言い換えれば、多孔質構造体1を構成する各仮想面V1のうち少なくとも1つが膜3で覆われておらず開放されていることが好ましく、多孔質構造体1を構成するすべての仮想面V1が膜3で覆われておらず開放されていることがより好ましい。
なお、従来の多孔質構造体は、上述のとおり、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、各セルどうしを連通する連通孔における膜を、所期したとおりの位置及び個数で形成することは難しかった。本例のように、多孔質構造体1を3Dプリンタで製造する場合は、3Dプリンタに読み込まれる3D造形用データに、予め膜3の情報も含めることで、確実に、所期したとおりの位置及び個数で膜3を形成することが可能である。
骨格部2を構成する各小仮想面V1Sのうちの少なくとも1つが、膜3で覆われていてもよい。かつ/又は、骨格部2を構成する各大仮想面V1Lのうちの少なくとも1つが、膜3で覆われていてもよい。
【0060】
つぎに、
図14~
図15を参照しつつ、本発明の任意の実施形態に係るクッション体5に備えられることができる多孔質構造体1の他の例について、
図10~
図12の例とは異なる点を中心に、説明する。
図14~
図15の例においては、多孔質構造体1の骨格部2の骨部2Bの構成のみが、
図10~
図12の例とは異なる。
多孔質構造体1は、上述した膜3(
図13)を備えていてもよいし備えていなくてもよい。
図14の例においても、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれケルビン14面体をなしており、それに伴い、セル孔Cが略ケルビン14面体をなしている。ただし、
図10~
図12の例の説明で述べたとおり、
図14の例においても、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ任意の形状をなしてよく、それに伴い、セル孔Cも任意の形状をなしてよい。
【0061】
図14は、本発明の任意の実施形態に係るクッション体5に備えられることができる多孔質構造体1の他の例を示す、平面図であり、
図11に対応する図面である。
図15は、本例の骨部2Bを、単独で示している。
図15(a)は骨部2Bに外力が加わっていない自然状態を示しており、
図15(b)は骨部2Bに外力が加わった状態を示している。
図14及び
図15には、骨部2Bの中心軸線(骨格線O)を示している。
図14及び
図15(a)に示すように、骨格部2の各骨部2Bは、それぞれ、断面積を一定に保ちつつ延在する、骨一定部2B1と、骨一定部2B1の延在方向の両側において、断面積を徐々に変化させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在する、一対の骨変化部2B2と、から構成されている。本例において、各骨変化部2B2は、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在している。なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていても、同様の効果が得られる。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨一定部2B1の一方側の端部のみに骨変化部2B2を有し、骨一定部2B1の他方側の端部が直接結合部2Jに結合されていてもよく、その場合も、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
ここで、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の断面積は、それぞれ、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
本例では、多孔質構造体1を構成する各骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2とからなり、骨変化部2B2が、骨一定部2B1から結合部2Jに向かうにつれて断面積が徐々に増大するので、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界の近傍部分で、骨一定部2B1に向かって細くなるようにくびれた形状をなしている。そのため、外力が加わる際に、骨部2Bが、そのくびれた部分や骨一定部2B1の中間部分で座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等の挙動及び特性が得られる。また、これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、より柔らかい感触を与えるようになる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
【0062】
本例のように、骨部2Bが、その少なくとも一部分において骨一定部2B1を有している場合、骨部2Bのいずれか一方側(好ましくは両側)の端2B21の断面積A1(
図15(a))に対する、骨一定部2B1の断面積A0(
図15(a))の比A0/A1は、
0.15≦A0/A1≦2.0
を満たしていると、好適である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として、柔らかすぎず、硬すぎず、ほどよい硬さにすることができる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、ほどよい硬さの感触を与えるようになる。比A0/A1が小さいほど、多孔質構造体1の表面のタッチ感が、より柔らかくなる。比A0/A1が0.15未満である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が柔らかくなりすぎて、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがあり、また、3Dプリンタによる製造がしにくくなるため、製造性の面で好ましくない。比A0/A1が2.0超である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が硬くなりすぎて、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがある。
なお、比A0/A1は、0.5以上であると、より好適である。
より具体的に、
図14~
図15の例では、骨部2Bが骨一定部2B1とその両側に連続する一対の骨変化部2B2とを有しており、各骨変化部2B2が、それぞれ、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在しており、比A0/A1が1.0未満である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として、比較的柔らかくすることができる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0063】
なお、
図14~
図15の例に代えて、骨変化部2B2は、断面積を徐々に減少させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在していてもよい。この場合、骨一定部2B1は、骨変化部2B2よりも、断面積が大きく(太く)なる。これにより、外力が加わる際に、骨一定部2B1が変形しにくくなり、代わりに、比較的座屈しやすい箇所が骨変化部2B2(特に、結合部2J側の部分)となり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しにくくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより硬くなり、また、高硬度の機械特性が得られる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、より硬い感触を与えるようになる。このような挙動は、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでは得ることは容易でない。このような構成により、硬めの感触を好むユーザに対応できる。このような硬い感触は、例えば、素早い加減速や斜線変更を行うようなスポーツ車のシートパッドにおける、着座者に好まれるものである。
そして、骨変化部2B2が、断面積を徐々に減少させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在している場合、比A0/A1は、1.0超となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0064】
なお、第1実施形態において上述した
図10~
図12の例において、骨部2Bは、骨変化部2B2を有さずに、骨一定部2B1のみからなるものである。この場合、骨部2Bの断面積は、その全長にわたって一定になる。そして、外力が加わる際における多孔質構造体1の表面のタッチ感は、中程度の硬さになる。このような構成により、中程度の硬さの感触を好むユーザに対応できる。また、高級車やスポーツ車など、あらゆる車種のシートパッドに好適に適用できる。
この場合、比A0/A1は、1.0となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0065】
図14~
図15の例に戻り、本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨一定部2B1が、骨変化部2B2及び結合部2Jよりも、断面積が小さい。より具体的には、骨一定部2B1の断面積は、骨変化部2B2及び結合部2Jのそれぞれのどの部分(ただし、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界部分を除く)の断面積よりも、小さい。すなわち、骨一定部2B1は、骨格部2の中で最も断面積が小さい(細い)部分である。これにより、上述したことと同様に、外力が加わる際に、骨一定部2B1が変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
なお、結合部2Jの断面積は、結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0066】
同様に、
図14~
図15の例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨一定部2B1が、骨変化部2B2及び結合部2Jよりも、幅が小さい。より具体的には、骨一定部2B1の幅は、骨変化部2B2及び結合部2Jのそれぞれのどの部分(ただし、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界部分を除く)の幅よりも、小さい。すなわち、骨一定部2B1は、骨格部2の中で最も幅が小さい(細い)部分である。これによっても、外力が加わる際に骨一定部2B1が変形しやすくなり、それにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2、結合部2Jの幅は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2、結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。結合部2Jの骨格線Oは、骨格線Oのうち、結合部2Jに対応する部分である。
図15(a)には、参考のため、骨一定部2B1の幅W0と、骨変化部2B2の幅W1とを、示している。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0067】
上述した各例において、多孔質構造体1の構造の簡単化、ひいては、3Dプリンタの製造のし易さの観点からは、骨一定部2B1の幅W0(
図15)は、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。幅W0が0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
一方、多孔質構造体1の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨一定部2B1の幅W0(
図15)は、0.05mm以上2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0068】
図15に示すように、本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨変化部2B2が、その側面に、1又は複数(本例では、3つ)の傾斜面2B23を有しており、この傾斜面2B23は、骨変化部2B2の延在方向に対して傾斜(90°未満で傾斜)しているとともに、骨一定部2B1から結合部2Jに向かうにつれて、幅W2が徐々に増大している。
これによっても、外力が加わる際に、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界近傍におけるくびれた部分で、座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
ここで、骨変化部2B2の延在方向は、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)の延在方向である。また、骨変化部2B2の傾斜面2B23の幅W2は、骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、傾斜面2B23の幅を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0069】
図14~
図15の例において、骨格部2を構成する各骨部2Bにおいて、それぞれ柱状であるとともに、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が、正三角形である。
これにより、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、多孔質構造体1の耐久性を向上できる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2の断面形状は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bにおいて、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が、正三角形以外の多角形(正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、円形(真円形、楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が互いに異なるものでもよい。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のクッション体、及び、クッション体の製造方法は、任意の用途のクッション体に用いられることができるが、例えば任意の乗り物用シート及び任意のシートパッド(乗り物用シートパッド)に用いられると好適であり、特に、車両用シート及び車両用シートパッドに用いられると好適なものである。
【符号の説明】
【0071】
5:クッション体、
6:袋体、 61:空間、 62:貫通穴、 63:スリット、
1:多孔質構造体、
2:骨格部、 2B:骨部、 2Be:骨部の端部、 2B1:骨一定部、 2B2:骨変化部、 2B21:骨変化部の結合部側の端、 2B22:骨変化部の骨一定部側の端、 2B23:骨変化部の傾斜面、 2J:結合部、 21:セル区画部、 211:環状部、 211L:大環状部、 211S:小環状部、 2111:環状部の内周側縁部、
3:膜、
C:セル孔、 O:骨格線、 V1:仮想面、 V1L:大仮想面、 V1S:小仮想面
302:シートパッド、
311:メインパッド部、 312:サイドパッド部、 313:凹部、 314:本体部、
FS:着座者側の面(表面)、 SS:側面、 BS:裏面、
400:3Dプリンタ、 410:制御部、 420:造形部、 421:レーザ照射器、 430:支持台、 440:収容体、 LL:紫外線レーザ光、 LR:液体樹脂、 500:3D造形用データ