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特許7512144多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20240701BHJP
   C08J 9/24 20060101ALI20240701BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240701BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240701BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
A47C27/14 A
C08J9/24 CER
C08J9/24 CEZ
B29C64/129
B29C44/00 Z
B29K105:04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020155769
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049528
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】家永 諭
(72)【発明者】
【氏名】篠原 寿充
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佳之
(72)【発明者】
【氏名】山口 由紀子
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0197368(US,A1)
【文献】特開2017-056879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体であって、
前記多孔質構造体は、そのほぼ全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
を備えており、
前記多孔質構造体は、クッション材に用いられるものであり、
前記多孔質構造体は、それぞれ前記多孔質構造体の外表面に開口しないとともに前記多孔質構造体のセル孔とは異なる複数の空洞部を有しており、
前記複数の空洞部は、複数の第1空洞部を含んでおり、
前記複数の第1空洞部は、前記クッション材の所定荷重入力方向の投影面において前記複数の第1空洞部の外縁によって囲まれる第1領域の中心に近い前記第1空洞部ほど、大きな体積を有するように、配置されており、
前記多孔質構造体のうち、前記投影面において前記第1領域と重複する部分は、前記投影面において前記第1領域の中心に近い前記骨部ほど、断面積が小さいように、構成されている、多孔質構造体。
【請求項2】
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体であって、
前記多孔質構造体は、そのほぼ全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
を備えており、
前記多孔質構造体は、クッション材に用いられるものであり、
前記多孔質構造体は、それぞれ前記多孔質構造体の外表面に開口しないとともに前記多孔質構造体のセル孔とは異なる複数の空洞部を有しており、
前記複数の空洞部は、複数の第1空洞部を含んでおり、
前記複数の第1空洞部は、前記クッション材の所定荷重入力方向の投影面において前記複数の第1空洞部の外縁によって囲まれる第1領域の中心に近い前記第1空洞部ほど、大きな体積を有するように、配置されており、
前記複数の空洞部は、複数の第2空洞部をさらに含んでおり、
前記複数の第2空洞部は、前記投影面において前記複数の第2空洞部の外縁によって囲まれる第2領域の中心に近い前記第2空洞部ほど、大きな体積を有するように、配置されており、
前記投影面において、前記第1領域と前記第2領域とは重複していない、多孔質構造体。
【請求項3】
前記投影面において、前記第1領域は、前記クッション材の左右方向の中心と重複するように配置されている、請求項に記載の多孔質構造体。
【請求項4】
前記多孔質構造体は、着座用のクッション材に用いられるものであり、
前記投影面において、前記第1領域は、前記クッション材のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分と重複するように配置されている、請求項1又は2に記載の多孔質構造体。
【請求項5】
前記多孔質構造体のうち、前記投影面において前記第2領域と重複する部分は、前記投影面において前記第2領域の中心に近い前記骨部ほど、断面積が小さいように、構成されている、請求項に記載の多孔質構造体。
【請求項6】
前記多孔質構造体は、着座用のクッション材に用いられるものであり、
前記投影面において、前記第1領域及び前記第2領域は、前記クッション材のうち着座者の一対の座骨の直下の部分と重複するように配置されている、請求項又はに記載の多孔質構造体。
【請求項7】
各前記空洞部の体積は、前記セル孔の体積よりも大きい、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
【請求項8】
前記多孔質構造体は、車両用シートパッドに用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
【請求項9】
前記多孔質構造体は、3Dプリンタによって造形されたものである、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
【請求項10】
3Dプリンタを用いて、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質構造体を製造する、多孔質構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クッション性のある多孔質構造体(例えば、ウレタンフォーム)は、例えば金型成形等において、化学反応により発泡させる工程を経て、製造されている。
一方、近年、3Dプリンタによってクッション性のある多孔質構造体を容易に製造することが可能な、多孔質構造体が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/235544号公報
【文献】WO2019/235547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の多孔質構造体においては、ユーザのぐらつきを抑える性能(以下、「耐ぐらつき性能」ともいう。)に関し、向上の余地があった。
【0005】
本発明は、耐ぐらつき性能を向上できる多孔質構造体、及び、耐ぐらつき性能を向上できる多孔質構造体を得ることができる多孔質構造体の製造方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多孔質構造体は、
可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体であって、
前記多孔質構造体は、そのほぼ全体にわたって、骨格部を備えており、
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の結合部と、
を備えており、
前記多孔質構造体は、クッション材に用いられるものであり、
前記多孔質構造体は、それぞれ前記多孔質構造体の外表面に開口しないとともに前記多孔質構造体のセル孔とは異なる複数の空洞部を有しており、
前記複数の空洞部は、複数の第1空洞部を含んでおり、
前記複数の第1空洞部は、前記クッション材の所定荷重入力方向の投影面において前記複数の第1空洞部の外縁によって囲まれる第1領域の中心に近い前記第1空洞部ほど、大きな体積を有するように、配置されている。
本発明の多孔質構造体によれば、耐ぐらつき性能を向上できる。
【0007】
前記多孔質構造体のうち、前記投影面において前記第1領域と重複する部分は、前記投影面において前記第1領域の中心に近い前記骨部ほど、断面積が小さいように、構成されていると、好適である。
これにより、耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
【0008】
前記投影面において、前記第1領域は、前記クッション材の左右方向の中心と重複するように配置されていてもよい。
【0009】
前記多孔質構造体は、着座用のクッション材に用いられるものであり、
前記投影面において、前記第1領域は、前記クッション材のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分と重複するように配置されていてもよい。
【0010】
前記複数の空洞部は、複数の第2空洞部をさらに含んでおり、
前記複数の第2空洞部は、前記投影面において前記複数の第2空洞部の外縁によって囲まれる第2領域の中心に近い前記第2空洞部ほど、大きな体積を有するように、配置されており、
前記投影面において、前記第1領域と前記第2領域とは重複していないようにされてもよい。
【0011】
前記多孔質構造体のうち、前記投影面において前記第2領域と重複する部分は、前記投影面において前記第2領域の中心に近い前記骨部ほど、断面積が小さいように、構成されていると、好適である。
これにより、耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
【0012】
前記多孔質構造体は、着座用のクッション材に用いられるものであり、
前記投影面において、前記第1領域及び前記第2領域は、前記クッション材のうち着座者の一対の座骨の直下の部分と重複するように配置されていてもよい。
【0013】
各前記空洞部の体積は、前記セル孔の体積よりも大きいと、好適である。
これにより、耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
【0014】
前記多孔質構造体は、車両用シートパッドに用いられると、好適である。
【0015】
前記多孔質構造体は、3Dプリンタによって造形されたものであると、好適である。
【0016】
本発明の多孔質構造体の製造方法は、
3Dプリンタを用いて、上記の多孔質構造体を製造するものである。
本発明の多孔質構造体の製造方法によれば、耐ぐらつき性能を向上できる多孔質構造体を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐ぐらつき性能を向上できる多孔質構造体、及び、耐ぐらつき性能を向上できる多孔質構造体を得ることができる多孔質構造体の製造方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体を備えることができるクッション材の一例を備えた、車両用シートを示す、斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材の所定荷重入力方向の投影面を示す図である。
図3図2のクッション材を、図2のD-D線に沿って所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、D-D断面図である。
図4図3のB部を拡大して示す、B部拡大図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材を、所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材を、所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材の所定荷重入力方向の投影面を示す図である。
図8図7のクッション材を、図7のE-E線に沿って所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、E-E断面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材の所定荷重入力方向の投影面を示す図である。
図10図9のクッション材を、図9のF-F線に沿って所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、F-F断面図である。
図11】本発明の第6実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材を、所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、断面図である。
図12】本発明の第7実施形態に係る多孔質構造体を備えたクッション材を、所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、断面図である。
図13】本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体を製造するために用いることができる、本発明の一実施形態に係る多孔質構造体の製造方法を説明するための図面である。
図14】本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体に備えられることができるセル構造の一例を示す、斜視図である。
図15図14の多孔質構造体を、図14のA矢印の方向から観たときの様子を示す、A矢視図である。
図16図14の多孔質構造体のセル区画部を示す、斜視図である。
図17図16に対応する図面であり、セル区画部の一変形例を説明するための図面である。
図18】本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体に備えられることができるセル構造の他の例を示す、平面図である。
図19図19(a)は、外力が加わっていない状態における図18の多孔質構造体の骨部を示す斜視図であり、図19(b)は、外力が加わっている状態における図18(a)の骨部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法は、任意の用途のクッション材に用いられることができるが、例えば任意の乗り物用シートパッドに用いられると好適であり、特に、車両用シートパッドに用いられると好適なものである。
【0020】
以下、本発明に係る多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0021】
〔多孔質構造体、及び、多孔質構造体を備えたクッション材〕
本明細書で説明する各実施形態の多孔質構造体1は、任意の用途のクッション材に用いられることができるが、例えば任意の乗り物用シートパッドに用いられると好適であり、特に、車両用シートパッドに用いられると好適なものである。本明細書で説明する各実施形態の多孔質構造体1は、クッション材302の全体を構成してもよいし、クッション材302の一部のみを構成してもよい。
クッション材302は、ユーザから所定荷重入力方向IDに荷重が入力されるように構成されている。本明細書において、「所定荷重入力方向ID」とは、クッション材302に対してユーザからの主な荷重が入力される方向として予め設定されたものである。
【0022】
以下では、多孔質構造体1が、クッション材302の一例である車両用シートパッド(以下、単に「シートパッド」ともいう。)に用いられる場合について、図1図12を参照しつつ、説明する。ただし、本明細書で説明する各実施形態の多孔質構造体1は、車両用シートパッド以外のクッション材302にも同様に用いられることができる。
【0023】
図1は、本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体1を備えることができるクッション材302の一例を備えた、車両用シート300を示している。
図1に破線で示すように、車両用シート300は、着座者が着座するためのクッションパッド310と、着座者の背中を支持するためのバックパッド320と、を備えている。クッションパッド310とバックパッド320とは、それぞれ、クッション材302から構成されている。クッションパッド310は、着座用のクッション材302である。本例において、クッション材302は、車両用シートパッド(シートパッド)として構成されている。車両用シート300は、クッションパッド310及びバックパッド320のそれぞれを構成するクッション材302に加え、例えば、クッション材302の表側(着座者側)を覆う表皮330と、クッションパッド310を下側から支持するフレーム(図示せず)と、バックパッド320の裏側に設置されるフレーム(図示せず)と、バックパッド320の上側に設置され、着座者の頭部を支持するためのヘッドレスト340と、を備えることができる。表皮330は、例えば、通気性のよい材料(布等)から構成される。図1の例において、クッションパッド310とバックパッド320とは、互いに別体に構成されているが、互いに一体に構成されてもよい。
また、図1の例において、ヘッドレスト340は、バックパッド320とは別体に構成されているが、ヘッドレスト340は、バックパッド320と一体に構成されてもよい。
本明細書では、図1に表記するとおり、車両用シート300(ひいてはクッション材302)に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
【0024】
クッションパッド310は、着座者の臀部及び大腿部を下側から支持するように構成されたメインパッド部311と、メインパッド部311の左右両側に位置し、メインパッド部311よりも上側へ盛り上がり、着座者を左右両側から支持するように構成された、一対のサイドパッド部312と、メインパッド部311の後側に位置し、バックパッド320と対向するように構成された、バックパッド対向部313と、を有している。
【0025】
バックパッド320は、着座者の背中を後側から支持するように構成されたメインパッド部321と、メインパッド部321の左右両側に位置し、メインパッド部321よりも前側へ盛り上がり、着座者を左右両側から支持するように構成された、一対のサイドパッド部322と、を有している。
【0026】
本明細書において、「クッション材302の延在方向LD」とは、クッション材302の左右方向及び厚さ方向TDに対して垂直な方向であり、クッションパッド310の場合は前後方向を指しており(図1)、バックパッド320の場合はバックパッド320のメインパッド部321の下面から上面までにわたってメインパッド部321が延在する方向を指している(図1)。
また、「クッション材302の厚さ方向TD」とは、クッションパッド310の場合、上下方向を指しており(図1)、バックパッド320の場合、バックパッド320のメインパッド部321の着座者側の面(表面)FSから裏面BSまでにわたってメインパッド部321が延在する方向である(図1)。
また、クッション材302の「着座者側の面(表面)FS」は、クッションパッド310の場合は上面を指しており(図1)、バックパッド320の場合は前面を指している(図1)。クッション材302の「裏面BS」は、クッション材302の着座者側の面FSとは反対側の面であり、クッションパッド310の場合は下面を指しており(図1)、バックパッド320の場合は後面を指している(図1)。クッション材302の「側面SS」は、クッション材302の着座者側の面FSと裏面BSとの間の面であり、クッションパッド310の場合は前面、後面、左面及び右面のうちいずれかを指しており(図1)、バックパッド320の場合は下面、上面、左面及び右面のうちいずれかを指している(図1)。
【0027】
クッション材302の所定荷重入力方向IDは、クッションパッド310及びバックパッド320のいずれの場合においても、クッション材302の厚さ方向TDと一致する。
【0028】
図2図4は、本発明の第1実施形態に係る多孔質構造体1を備えたクッション材302を示している。図2図4に示すクッション材302は、クッションパッド310として構成されている。本実施形態の多孔質構造体1は、クッション材302の全体を構成している。図2は、第1実施形態に係る多孔質構造体1を備えたクッション材302の所定荷重入力方向IDの投影面Pを示す図である。以下では、クッション材302の所定荷重入力方向IDの投影面Pを、単に「投影面P」ともいう。図3は、図2のクッション材を、図2のD-D線に沿って所定荷重入力方向に切断したときの断面により示す、D-D断面図である。図2のD-D線は、左右方向に平行である。図4図3のB部を拡大して示す、B部拡大図である。
【0029】
多孔質構造体1は、多数のセル孔C(図4図15)を有している。後述するように、多孔質構造体1は、そのほぼ全体にわたって、骨格部2を備えており、骨格部2は、複数の骨部2Bと、それぞれ複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する、複数の結合部2Jと、を備えている(図4図15)。多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。
ここで、「可撓性のある樹脂」とは、外力が加わると変形することができる樹脂を指しており、例えば、エラストマー系の樹脂が好適であり、ポリウレタンがより好適である。ゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムが挙げられる。多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されているので、ユーザからの外力の付加・解除に応じて、圧縮・復元変形が可能であるので、クッション性を有することができる。
多孔質構造体1は、後に図13を参照しながら述べるように、3Dプリンタを用いて製造されたものであると好適である。
多孔質構造体1の好適なセル構造については、後に図14図19を参照しながら詳しく説明する。
【0030】
多孔質構造体1は、後に図13を参照しつつ述べるように、3Dプリンタによって造形されたものであると、好適である。
3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、製造が簡単になり、かつ、所期したとおりの構成が得られる。また、今後の3Dプリンタの技術進歩により、将来的に、3Dプリンタによる製造を、より短時間かつ低コストで、実現できるようになることが期待できる。また、3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、様々な要求特性に対応した多孔質構造体1の構成を、簡単かつ所期したとおりに実現できる。
なお、多孔質構造体1を3Dプリンタを用いて製造する場合は、多孔質構造体1を構成する材料として、可撓性のある樹脂又はゴムが好適であり、例えば、光硬化性ポリウレタン(特に紫外線硬化性ポリウレタン)を原料とする樹脂を使用することができる。光硬化性ポリウレタン(特に紫外線硬化性ポリウレタン)としては、ウレタンアクリレートもしくはウレタンメタクリレートを原料とする樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えばUS4337130に記載されたものが挙げられる。
【0031】
図2図4に示すように、多孔質構造体1は、複数の空洞部6を有している。これらの空洞部6は、それぞれ、多孔質構造体1の内部にあり、多孔質構造体1の外表面に開口していない。また、これらの空洞部6は、それぞれ、多孔質構造体1のセル孔Cとは異なる。後述するように、多孔質構造体1のセル孔Cは、セル区画部21によって区画されるものである(図4)。一方、空洞部6は、図4に例示するように、セル区画部21によって区画されておらず、1つ又は複数のセル区画部21の一部又は全部が存在しないことによって形成される空洞部分である。
【0032】
図2図3に示すように、多孔質構造体1が有する複数の空洞部6は、複数の第1空洞部61を含んでいる。本実施形態において、多孔質構造体1が有する複数の空洞部6は、複数の第1空洞部61のみを含んでいる。
これら複数の第1空洞部61は、当該複数の第1空洞部61の外縁E1によって囲まれる第1領域A1内にある。第1領域A1内には、第1空洞部61以外の空洞部6は存在しない。
ここで、「複数の第1空洞部61の外縁E1」とは、当該複数の第1空洞部61をひとまとめに囲むとともに、当該複数の第1空洞部61を一群として観たときに当該複数の第1空洞部61のうち最も外側に位置する各第1空洞部61に接触するような、仮想面を指す。
これら複数の第1空洞部61は、体積が不均一である。そして、これら複数の第1空洞部61は、投影面P(図2)において第1領域A1の中心A1Cに近い第1空洞部61ほど、大きな体積を有するように、配置されている。
ここで、「第1領域A1の中心A1C」とは、第1領域A1の重心(幾何学的中心)を指す。
また、「投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに近い第1空洞部61ほど、大きな体積を有する」とは、投影面Pにおいて第1領域Aの中心A1Cを中心とする各径方向のそれぞれに沿って観たときに、当該中心A1Cに近い第1空洞部61ほど、大きな体積を有していること、すなわち、投影面Pにおいて当該径方向に沿って複数の第1空洞部61が配列されている場合に、当該複数の第1空洞部61の体積が、当該中心A1Cに向かうにつれて徐々に増大していることを指す。本明細書において、「徐々に増大」とは、一部で一定となることなく連続的に増大する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の第1空洞部61どうしは、体積が異なる。)に限られず、一部で一定となることで階段状に増大する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の第1空洞部61のうち一部の一対の第1空洞部61どうしは、体積が同じとなる。)も含む。
【0033】
第1実施形態においては、上述のように、多孔質構造体1が複数の空洞部6を有しており、複数の空洞部6は、複数の第1空洞部61を含んでおり、これら複数の第1空洞部61は、投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに近い第1空洞部61ほど、大きな体積を有するように、配置されている。このため、クッション材302は、投影面Pにおいて第1領域A1の中心側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分よりも、撓みやすくなる。よって、ユーザがクッション材302に対して所定荷重入力方向IDに荷重を掛けたとき、クッション材302は、投影面Pにおいて第1領域A1の中心側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分よりも、撓む(凹む)ようになる。それにより、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分によってホールドされるので、ぐらつきが抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能を向上できる。このことは、多孔質構造体1が、使用時に振動が入力されるようなクッション材、例えば、任意の乗り物用シートパッド、特には、車両用シートパッドに用いられる場合に、特に好適なことである。
また、本実施形態によれば、複数の空洞部6は、それぞれ多孔質構造体1の外表面に開口しておらず、ひいては、クッション材302の表面に開口していないため、クッション材302の表面のタッチ感に影響を与えることが無い。よって、空洞部6の存在によってユーザに違和感を与えるのを回避できる。
【0034】
以下に説明する第2実施形態~第7実施形態の多孔質構造体1においても、多孔質構造体1が複数の空洞部6を有しており、これら複数の空洞部6は、複数の第1空洞部61を含んでおり、これら複数の第1空洞部61は、投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに近い第1空洞部61ほど、大きな体積を有するように、配置されており、ひいては、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
本明細書で説明する各実施形態において、各第1空洞部61の形状は、それぞれ、任意でよく、例えば、図2図3に示すような球形状、楕円体形状、多面体形状(直方体等)等でもよい。各第1空洞部61の形状どうしは、図3の例のように同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
本明細書で説明する各実施形態において、所定荷重入力方向ID(ひいては厚さ方向TD)における各第1空洞部61の中心の位置は、それぞれ、任意でよい。所定荷重入力方向ID(ひいては厚さ方向TD)における各第1空洞部61の中心の位置どうしは、図3の例のように同じでもよいし、異なっていてもよい。
ここで、「空洞部6(第1空洞部61、後述の第2空洞部62)の中心」とは、空洞部6の重心(幾何学的中心)を指す。
【0037】
本明細書で説明する各実施形態においては、図2図3の例のように、投影面Pにおいて複数の第1空洞部61どうしが重複していない(すなわち、所定荷重入力方向IDに沿って複数の第1空洞部61が配列されていない)ようにされてもよい。
あるいは、本明細書で説明する各実施形態においては、投影面Pにおいて複数の第1空洞部61どうしが重複していてもよい。
【0038】
本明細書で説明する各実施形態においては、図3に示す第1実施形態や図10に示す第5実施形態のように、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第1領域A1と重複する部分G1を構成する複数の骨部2Bの断面積が、均一であってもよい。ここで、骨部2Bの断面積は、後述するように、骨部2Bの骨格線O(図15)に垂直な断面の断面積を指す。この場合、当該部分G1のうち、複数の第1空洞部61以外の部分(ひいては、セル構造)の密度が、均一となる。この場合、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第1領域A1と重複しない部分を構成する複数の骨部2Bの断面積は、投影面Pにおいて第1領域A1と重複する部分G1を構成する複数の骨部2Bの断面積と、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
本明細書で説明する各実施形態においては、図5に示す第2実施形態や図11に示す第6実施形態のように、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第1領域A1と重複する部分G1を構成する複数の骨部2Bの断面積が、不均一であってもよい。
この場合、図5に示す第2実施形態や図11に示す第6実施形態のように、多孔質構造体1のうち、投影面Pにおいて第1領域A1と重複する部分G1は、投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さいように、構成されていると、好適である。これにより、クッション材302は、投影面Pにおいて第1領域A1の中央側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分よりも、さらに撓みやすくなる。それにより、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分によって、よりしっかりとホールドされるので、ぐらつきがさらに抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
ここで、「投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さい」とは、投影面Pにおいて第1領域Aの中心A1Cを中心とする各径方向のそれぞれに沿って観たときに、当該中心A1Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さいこと、すなわち、投影面Pにおいて当該径方向に沿って配列された複数の骨部2Bの断面積が、当該中心A1Cに向かうにつれて徐々に減少していることを指す。本明細書において、「徐々に減少」とは、一部で一定となることなく連続的に減少する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の骨部2Bどうしは、断面積が異なる。)に限られず、一部で一定となることで階段状に減少する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の骨部2Bのうち一部の一対の骨部2Bどうしは、断面積が同じとなる。)も含む。
また、この場合、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第1領域A1と重複する部分G1を構成する複数の骨部2Bの断面積は、それぞれ、骨部2Bの全体にわたって均一でもよいし、あるいは、骨部2Bの全体にわたって不均一でもよく、例えば、骨部2Bの延在方向に沿って(すなわち骨部2Bの骨格線Oに沿って)、投影面Pにおいて第1領域A1の中心A1Cに向かうにつれて、徐々に減少していてもよい。
【0040】
本明細書で説明する各実施形態においては、図3図5図10図11に示す各実施形態のように、多孔質構造体1が、クッション材302の全体を構成してもよい。
あるいは、本明細書で説明する各実施形態においては、図3図5図10図11に示す各実施形態のように、多孔質構造体1が、図6図8図12に示す各実施形態のように、多孔質構造体1が、クッション材302の一部のみを構成してもよい。これにより、多孔質構造体1の大きさを小さくすることができ、ひいては、比較的小型の3Dプリンタによっても製造することが可能になる。その場合、クッション材302のうち、多孔質構造体1によって構成された部分以外の部分(以下、「本体部351」という。)については、例えば金型成形又はスラブ成形等において化学反応により発泡させる工程を経て製造されることにより、上述したような従来の一般的な多孔質構造体(発泡体)で構成するとよい。この場合、例えば、本体部351は、図6図8図12に示す各実施形態のように、1つ又は複数の凹部350を備え、各凹部350内に多孔質構造体1が収容されてもよい。図6及び図12の各実施形態においては、本体部351が凹部350を1つ備え、この凹部350内に1つの多孔質構造体1が収容されている。図8の実施形態においては、本体部351が凹部350を2つ備え、各凹部350内に多孔質構造体1が1つずつ(計2つ)収容されている。
あるいは、本明細書で説明する各実施形態においては、図示は省略するが、クッション材302が、複数の多孔質構造体1のみから構成されてもよい。これによっても、多孔質構造体1の大きさを小さくすることができ、ひいては、比較的小型の3Dプリンタによっても製造することが可能になる。
【0041】
本明細書で説明する各実施形態においては、図2図12に示す各実施形態のように、クッション材302がクッションパッド310として構成されている場合、投影面Pにおいて、第1領域A1は、メインパッド部311と重複していると、好適であり、メインパッド部311のみと重複していると、より好適である。ただし、投影面Pにおいて、第1領域A1は、サイドパッド部312と重複していてもよい。
【0042】
本明細書で説明する各実施形態においては、図示は省略するが、クッション材302はバックパッド320(図1)として構成されてもよい。この場合、投影面Pにおいて、第1領域A1は、メインパッド部321と重複していると、好適であり、メインパッド部321のみと重複していると、より好適である。ただし、投影面Pにおいて、第1領域A1は、サイドパッド部322と重複していてもよい。
【0043】
本明細書で説明する各実施形態においては、図2図3図5図6に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第1領域A1は、クッション材302の左右方向の中心302C(図2)と重複するように配置されていてもよい。これにより、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分によって、左右両側でより均等にホールドされるので、ぐらつきがより効果的に抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
この場合、投影面Pにおいて、第1領域A1の中心A1Cは、図2に示す実施形態のようにクッション材302の左右方向の中心302Cと重複するように配置されていると好適であるが、クッション材302の左右方向の中心302Cから離れた位置に配置されてもよい。
【0044】
本明細書で説明する各実施形態においては、図7図12に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第1領域A1は、クッション材302のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分303と重複するように配置されていてもよい。この場合、多孔質構造体1は、着座用のクッション材302(例えば、クッションパッド310)に用いられる。これによって、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第1領域A1の外周側部分と重複する部分によって、座骨がホールドされるので、ぐらつきがより効果的に抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
この場合、図7図12に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第1領域A1は、クッション材302の左右方向の中心302Cと重複しないように配置されていると、好適である。
図7図8の実施形態においては、クッション材302が2つの多孔質構造体1を備えており、投影面Pにおいて、一方の多孔質構造体1の第1領域A1が、クッション材302のうち着座者の左側の座骨の直下の部分303と重複するように配置されており、他方の多孔質構造体1の第1領域A1が、クッション材302のうち着座者の右側の座骨の直下の部分303と重複するように配置されている。
図7及び図9に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第1領域A1の中心A1Cは、クッション材302のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分303の中心と重複するように配置されていると、好適である。
本明細書において、投影面Pにおいてクッション材302のうち着座者の一対の座骨の直下の部分303は、クッション材302の着座部(例えば、クッションパッド310のメインパッド部311)に、JIS D 4607に規定される3Dマネキン(自動車室内寸法測定用三次元座位人体模型(3DM-JM 50))を着座させた際、投影面Pにおいて、クッション材302にかけられる座圧の最も高い一対の部分であるものとする。
【0045】
本明細書で説明する各実施形態においては、図9図12の各実施形態のように、多孔質構造体1が備える複数の空洞部6は、複数の第2空洞部62をさらに含んでもよい。
これら複数の第2空洞部62は、当該複数の第2空洞部62の外縁E2によって囲まれる第2領域A2内にある。第2領域A2内には、第2空洞部62以外の空洞部6は存在しない。投影面Pにおいて、第1領域A1と第2領域A2とは重複していないようにされる。
ここで、「複数の第2空洞部62の外縁E2」とは、当該複数の第2空洞部62をひとまとめに囲むとともに、当該複数の第2空洞部62を一群として観たときに当該複数の第2空洞部62のうち最も外側に位置する各第2空洞部62に接触するような、仮想面を指す。
これら複数の第2空洞部62は、体積が不均一である。そして、これら複数の第2空洞部62は、投影面Pにおいて第2領域A2の中心A2Cに近い第2空洞部62ほど、大きな体積を有するように、配置されている。
このような構成により、クッション材302は、投影面Pにおいて第2領域A2の中心側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第2領域A2の外周側部分と重複する部分よりも、撓みやすくなる。よって、ユーザがクッション材302に対して所定荷重入力方向IDに荷重を掛けたとき、クッション材302は、投影面Pにおいて第2領域A2の中心側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第2領域A2の外周側部分と重複する部分よりも、撓む(凹む)ようになる。それにより、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第2領域A2の外周側部分と重複する部分によってホールドされるので、ぐらつきが抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能を向上できる。
ここで、「第2領域A2の中心A2C」とは、第2領域A2の重心(幾何学的中心)を指す。
また、「投影面Pにおいて第2領域A2の中心A2Cに近い第2空洞部62ほど、大きな体積を有する」とは、投影面Pにおいて第2領域Aの中心A2Cを中心とする各径方向のそれぞれに沿って観たときに、当該中心A2Cに近い第2空洞部62ほど、大きな体積を有していること、すなわち、投影面Pにおいて当該径方向に沿って複数の第2空洞部62が配列されている場合に、当該複数の第2空洞部62の体積が、当該中心A2Cに向かうにつれて徐々に増大していることを指す。ここで、「徐々に増大」とは、一部で一定となることなく連続的に増大する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の第2空洞部62どうしは、体積が異なる。)に限られず、一部で一定となることで階段状に増大する場合(この場合、投影面Pにおいて当該径方向に隣り合う各一対の第2空洞部62のうち一部の一対の第2空洞部62どうしは、体積が同じとなる。)も含む。
【0046】
本明細書で説明する各実施形態において、各第2空洞部62の形状は、それぞれ、任意でよく、例えば、図9図12に示すような球形状、楕円体形状、多面体形状(直方体等)等でもよい。各第2空洞部62の形状どうしは、図9図12の各例のように同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
本明細書で説明する各実施形態において、所定荷重入力方向ID(ひいては厚さ方向TD)における各第2空洞部62の中心の位置は、それぞれ、任意でよい。所定荷重入力方向ID(ひいては厚さ方向TD)における各第2空洞部62の中心の位置どうしは、図9図12の各例のように同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
本明細書で説明する各実施形態においては、図9図12の各例のように、投影面Pにおいて複数の第2空洞部62どうしが重複していない(すなわち、所定荷重入力方向IDに沿って複数の第2空洞部62が配列されていない)ようにされてもよい。
あるいは、本明細書で説明する各実施形態においては、投影面Pにおいて複数の第2空洞部62どうしが重複していてもよい。
【0049】
本明細書で説明する各実施形態においては、図10に示す第5実施形態のように、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第2領域A2と重複する部分G2を構成する複数の骨部2Bの断面積が、均一であってもよい。この場合、当該部分G2のうち、複数の第2空洞部62以外の部分(ひいては、セル構造)の密度が、均一となる。この場合、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第2領域A2と重複しない部分を構成する複数の骨部2Bの断面積は、投影面Pにおいて第2領域A2と重複する部分G2を構成する複数の骨部2Bの断面積と、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
本明細書で説明する各実施形態においては、図11に示す第6実施形態のように、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第2領域A2と重複する部分G2を構成する複数の骨部2Bの断面積が、不均一であってもよい。
この場合、図11に示す第6実施形態のように、多孔質構造体1のうち、投影面Pにおいて第2領域A2と重複する部分G2は、投影面Pにおいて第2領域A2の中心A2Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さいように、構成されていると、好適である。これにより、クッション材302は、投影面Pにおいて第2領域A2の中央側部分と重複する部分が、投影面Pにおいて第2領域A2の外周側部分と重複する部分よりも、さらに撓みやすくなる。それにより、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第2領域A2の外周側部分と重複する部分によって、よりしっかりとホールドされるので、ぐらつきがさらに抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
ここで、「投影面Pにおいて第2領域A2の中心A2Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さい」とは、投影面Pにおいて第2領域Aの中心A2Cを中心とする各径方向のそれぞれに沿って観たときに、当該中心A2Cに近い骨部2Bほど、断面積が小さいこと、すなわち、投影面Pにおいて当該径方向に沿って配列された複数の骨部2Bの断面積が、当該中心A2Cに向かうにつれて徐々に減少していることを指す。
また、この場合、多孔質構造体1のうち投影面Pにおいて第2領域A2と重複する部分G2を構成する複数の骨部2Bの断面積は、それぞれ、骨部2Bの全体にわたって均一でもよいし、あるいは、骨部2Bの全体にわたって不均一でもよく、例えば、骨部2Bの延在方向に沿って(すなわち骨部2Bの骨格線Oに沿って)、投影面Pにおいて第2領域A2の中心A2Cに向かうにつれて、徐々に減少していてもよい。
【0051】
本明細書で説明する各実施形態においては、図9図12に示す各実施形態のように、クッション材302がクッションパッド310として構成されている場合、投影面Pにおいて、第2領域A2は、メインパッド部311と重複していると、好適であり、メインパッド部311のみと重複していると、より好適である。ただし、投影面Pにおいて、第2領域A2は、サイドパッド部312と重複していてもよい。
【0052】
本明細書で説明する各実施形態においては、図示は省略するが、クッション材302はバックパッド320(図1)として構成されてもよい。この場合、投影面Pにおいて、第2領域A2は、メインパッド部321と重複していると、好適であり、メインパッド部321のみと重複していると、より好適である。ただし、投影面Pにおいて、第2領域A2は、サイドパッド部322と重複していてもよい。
【0053】
本明細書で説明する各実施形態においては、図9図12に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第2領域A2は、クッション材302のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分303と重複するように配置されていてもよい。この場合、図9図12に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第1領域A1及び第2領域A2は、クッション材302のうち着座者の一対の座骨の直下の部分303と重複するように配置されていると、好適である。この場合、多孔質構造体1は、着座用のクッション材302(例えば、クッションパッド310)に用いられる。これによって、ユーザは、クッション材302のうち投影面Pにおいて第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれの外周側部分と重複する部分によって、一対の座骨がホールドされるので、ぐらつきがより効果的に抑えられる。このようにして、多孔質構造体1の耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
この場合、図9図12に示す各実施形態のように、投影面Pにおいて、第2領域A2は、クッション材302の左右方向の中心302Cと重複しないように配置されていると、好適である。
図9図12の各実施形態においては、投影面Pにおいて、第2領域A2が、クッション材302のうち着座者の左側の座骨の直下の部分303と重複するように配置されており、第1領域A1が、クッション材302のうち着座者の右側の座骨の直下の部分303と重複するように配置されている。
図9に示す実施形態のように、投影面Pにおいて、第2領域A2の中心A1Cは、クッション材302のうち着座者のいずれか一方の座骨の直下の部分303の中心と重複するように配置されていると、好適である。
【0054】
本明細書で説明する各実施形態においては、多孔質構造体1が備える各空洞部6の体積は、セル孔C(図4)の体積よりも大きいと、好適である。これにより、耐ぐらつき性能をさらに向上できる。
ただし、多孔質構造体1が備える複数の空洞部6のうち一部又は全ての空洞部6の体積は、セル孔Cの体積以下であってもよい。
【0055】
〔多孔質構造体の製造方法〕
つぎに、図13を参照しつつ、本発明の多孔質構造体1の製造方法を例示説明する。以下に説明する方法は、多孔質構造体1を3Dプリンタを用いて製造する方法であり、本明細書で説明する任意の実施形態の多孔質構造体1を製造するために好適に用いることができる。図13は、図3の多孔質構造体1を製造する様子を示している。
まず、事前に、コンピュータを用いて、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(例えば、3次元CADデータ)を作成する。
つぎに、コンピュータを用いて、上記3次元形状データを、3D造形用データ500に変換する。3D造形用データ500は、3Dプリンタ400の造形部420が造形を行う際に3Dプリンタ400の制御部410に読み込まれるものであり、制御部410が、造形部420に、多孔質構造体1を、造形させるように構成されている。3D造形用データ500は、例えば、多孔質構造体1の各層の2次元形状を表すスライスデータを含む。
つぎに、3Dプリンタ400によって多孔質構造体1の造形を行う。3Dプリンタ400は、例えば、光造形方式、粉末焼結積層方式、熱溶融積層方式(FDM方式)、インクジェット方式等、任意の造形方式を用いて造形を行ってよい。生産性の観点からは、光造形方式が好適である。図13では、光造形方式によって造形を行う様子を示している。
3Dプリンタ400は、例えば、CPU等によって構成された制御部410と、制御部410による制御に従って造形を行う造形部420と、造形される造形物(すなわち、多孔質構造体1)を載せるための支持台430と、液体樹脂LR、支持台430及び造形物が収容される収容体440と、を備える。造形部420は、本例のように光造形方式を用いる場合、紫外線レーザ光LLを照射するように構成されたレーザ照射器421を有する。収容体440には、液体樹脂LRが充填されている。液体樹脂LRは、レーザ照射器421から照射される紫外線レーザ光LLが当たると、硬化し、可撓性のある樹脂となる。
このように構成された3Dプリンタ400は、まず、制御部410が、3D造形用データ500を読み込み、読み込んだ3D造形用データ500に含まれる3次元形状に基づいて、造形部420に紫外線レーザ光LLを照射するよう制御しながら、各層を順次造形していく。
3Dプリンタ400による造形が完了した後は、造形物を収容体440から取り出す。それにより、最終的に、造形物として、多孔質構造体1が得られる。
3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、複数の空洞部6を備えた多孔質構造体1を、1つの工程で、簡単かつ精度良く、所期したとおりに実現できる。
なお、多孔質構造体1を樹脂で構成する場合、3Dプリンタ400による造形が完了した後に、造形物としての多孔質構造体1を、オーブンの中で加熱してもよい。その場合、多孔質構造体1を構成する各層どうしの結合を強化し、それにより多孔質構造体1の異方性を低減できるので、多孔質構造体1のクッション性をさらに向上できる。
また、多孔質構造体1をゴムで構成する場合、3Dプリンタ400による造形が完了した後に、造形物としての多孔質構造体1を加硫してもよい。
【0056】
〔多孔質構造体のセル構造〕
つぎに、図14図19を参照しつつ、上述した多孔質構造体1のうち空洞部6以外の部分(セル構造)について、詳しく説明する。なお、以下に説明する多孔質構造体1のセル構造は、本明細書で説明する任意の実施形態に係る多孔質構造体1に用いることができる。
なお、図14図17では、多孔質構造体1の向きを理解しやすくするために、多孔質構造体1に固定されたXYZ直交座標系の向きを表示している。
【0057】
図14図15では、多孔質構造体1のうち、略直方体の外形状を有する一部分を、それぞれ別々の角度から観ている。図14は、多孔質構造体1の当該部分を示す、斜視図である。図15は、図14の多孔質構造体1の当該部分をA矢印の方向(Y方向)から観た様子を示すA矢視図である。
【0058】
多孔質構造体1は、3Dプリンタによって造形されたものである。3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、従来のように化学反応により発泡させる工程を経る場合に比べ、製造が簡単になり、かつ、所期したとおりの構成が得られる。また、今後の3Dプリンタの技術進歩により、将来的に、3Dプリンタによる製造を、より短時間かつ低コストで、実現できるようになることが期待できる。また、3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、様々な要求特性に対応した多孔質構造体1の構成を、簡単かつ所期したとおりに実現できる。
【0059】
多孔質構造体1は、上述のとおり、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。
なお、3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂から構成されている場合のほうが、ゴムから構成されている場合よりも、好適である。
また、3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1は、その全体が、同じ組成の材料から構成されていると、好適である。ただし、多孔質構造体1は、部位によって異なる組成の材料から構成されてもよい。
【0060】
上述したように、多孔質構造体1は、3Dプリンタによって造形されたものである。多孔質構造体1は、その全体が一体に構成されている。
多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。より具体的に、多孔質構造体1は、多孔質構造体1の骨格をなす骨格部2を備えている。骨格部2は、多数のセル孔Cを区画している。骨格部2は、多孔質構造体1のほぼ全体にわたって存在しており、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されている。本例において、多孔質構造体1のうち、骨格部2以外の部分は、空隙であり、言い換えれば、多孔質構造体1は、骨格部2のみからなる。
【0061】
図14図16に示すように、多孔質構造体1の骨格部2は、複数の骨部2Bと、複数の結合部2Jと、から構成されており、骨格部2の全体が一体に構成されている。本例において、各骨部2Bは、それぞれ柱状に構成されており、また、本例では、それぞれ直線状に延在している。各結合部2Jは、それぞれ、互いに異なる方向に延在する複数(例えば、4つ)の骨部2Bの延在方向の端部2Beどうしが互いに隣接する箇所で、これらの端部2Beどうしを結合している。
図14図16には、多孔質構造体1の一部分に、骨格部2の骨格線Oを1点鎖線により示している。骨格部2の骨格線Oは、各骨部2Bの骨格線Oと、各結合部2Jの骨格線Oと、からなる。骨部2Bの骨格線Oは、骨部2Bの中心軸線である。結合部2Jの骨格線Oは、当該結合部2Jに結合された各骨部2Bの中心軸線をそれぞれ当該結合部2J内へ滑らかに延長させて互いに連結させてなる、延長線部分である。骨部2Bの中心軸線は、骨部2Bの延在方向の各点における、骨部2Bの延在方向に垂直な断面において骨部2Bのなす形状の重心点どうしを、結んでなる線である。
骨部2Bの延在方向は、骨部2Bの骨格線O(骨格線Oのうち、骨部2Bに対応する部分。以下同じ。)の延在方向である。
多孔質構造体1は、そのほぼ全体にわたって骨格部2を備えているので、通気性を確保しつつ、外力の付加・解除に応じた圧縮・復元変形が可能であるので、クッション材としての特性が良好になる。また、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち、一部又は全部の骨部2Bが、湾曲しながら延在してもよい。この場合、一部又は全部の骨部2Bが湾曲していることで、荷重の入力時において、骨部2Bひいては多孔質構造体1の急激な形状変化を防ぎ、局所的な座屈を抑制することができる。
【0062】
本例では、骨格部2を構成する各骨部2Bが、それぞれほぼ同じ形状及び長さを有している。ただし、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bの形状及び/又は長さは、それぞれ同じでなくてもよく、例えば、一部の骨部2Bの形状及び/又は長さが他の骨部2Bとは異なっていてもよい。この場合、骨格部2のうちの特定の部分の骨部2Bの形状及び/又は長さを他の部分とは異ならせることで、意図的に異なる機械特性を得ることができる。
【0063】
本例において、各骨部2Bの幅W0(図14)及び断面積は、骨部2Bの全長にわたって一定である(すなわち、骨部2Bの延在方向に沿って均一である)。
ここで、骨部2Bの断面積は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。また、骨部2Bの幅W0(図14)は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。
ただし、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの幅W0及び/又は断面積が、骨部2Bの延在方向に沿って不均一でもよい。例えば、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの幅W0が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの断面積が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。
【0064】
本明細書で説明する各例において、骨格部2の構造の簡単化、ひいては、3Dプリンタによる多孔質構造体1の製造のし易さの観点からは、骨部2Bの幅W0(図14)は、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。幅W0が0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
一方、骨格部2の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨部2Bの幅W0は、2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0065】
本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、それぞれ柱状であるとともに、それぞれの断面形状が、円形(真円形)である。
これにより、骨格部2の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、骨格部2の耐久性を向上できる。
なお、各骨部2Bの断面形状は、それぞれ、骨部2Bの中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
例えば、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bは、それぞれの断面形状が、多角形(正三角形、正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、真円形以外の円形(楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
【0066】
本明細書で説明する各例において、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合(VB×100/VS [%])は、3~10%であると、好適である。この構成により、骨格部2に外力が付加されたときに骨格部2に生じる反力、ひいては、骨格部2の硬さ(ひいては多孔質構造体1の硬さ)を、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものにすることができる。
ここで、「骨格部2の見かけの体積VS」とは、骨格部2の外縁(外輪郭)によって囲まれた内部空間の全体(骨格部2の占める体積と、後述の膜3(図17)が設けられる場合は膜3の占める体積と、空隙の占める体積との合計)の体積を指している。
骨格部2を構成する材料を同じとして考えたとき、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が高いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は硬くなる。また、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が低いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は柔らかくなる。
骨格部2に外力が付加されたときに骨格部2に生じる反力、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の硬さを、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものにする観点からは、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が、4~8%であると、より好適である。
なお、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合を調整する方法としては、任意の方法を用いてよいが、例えば、骨格部2を構成する一部又は全部の骨部2Bの太さ(断面積)、及び/又は、骨格部2を構成する一部又は全部の結合部Jの大きさ(断面積)を、調整する方法が挙げられる。
【0067】
本明細書で説明する各例において、多孔質構造体1の25%硬度は、60~500Nが好適であり、100~450Nがより好適である。ここで、多孔質構造体1の25%硬度(N)は、インストロン型圧縮試験機を用いて、23℃、相対湿度50%の環境にて、多孔質構造体を25%圧縮するのに要する荷重(N)を測定して得られる測定値であるものとする。これにより、多孔質構造体1の硬さを、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、良好なものとすることができる。
【0068】
図14図16に示すように、本例において、骨格部2は、セル孔Cを内部に区画するセル区画部21を複数(セル孔Cの数だけ)有している。
図16は、1つのセル区画部21を単独で示している。本例の骨格部2は、多数のセル区画部21がX、Y、Zの各方向に連なった構造を有している。
図14図16に示すように、各セル区画部21は、それぞれ、複数(本例では、14つ)の環状部211を有している。各環状部211は、それぞれ、環状に構成されており、それぞれの環状の内周側縁部2111によって、平坦な仮想面V1を区画している。仮想面V1は、環状部211の内周側縁部2111によって区画された、仮想平面(すなわち、仮想閉平面)である。セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれの内周側縁部2111によって区画する仮想面V1どうしが交差しないように互いに連結されている。
セル孔Cは、セル区画部21を構成する複数の環状部211と、これら複数の環状部211がそれぞれ区画する複数の仮想面V1とによって、区画されている。概略的に言えば、環状部211は、セル孔Cのなす立体形状の辺を区画する部分であり、仮想面V1は、セル孔Cのなす立体形状の構成面を区画する部分である。
各環状部211は、それぞれ、複数の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数の結合部2Jと、から構成されている。
互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分は、これら一対の環状部211に共有される、1つの骨部2Bと、その両側の一対の結合部2Jと、から構成されている。すなわち、各骨部2B及び各結合部2Jは、それぞれに隣接する複数の環状部211によって共有されている。
各仮想面V1は、それぞれ、仮想面V1の一方側の面(仮想面V1の表面)によって、ある1つのセル孔Cの一部を区画しているとともに、当該仮想面V1の他方側の面(仮想面V1の裏面)によって、別のセル孔Cの一部を区画している。言い換えれば、各仮想面V1は、それぞれ、その表裏両側の面によって別々のセル孔Cの一部を区画している。さらに言い換えれば、各仮想面V1は、当該仮想面V1に隣接する一対のセル孔C(すなわち、当該仮想面V1を間に挟んだ一対のセル孔C)によって共有されている。
また、各環状部211は、それぞれ、当該環状部211に隣接する一対のセル区画部21(すなわち、当該環状部211を間に挟んだ一対のセル区画部21)によって共有されている。言い換えれば、各環状部211は、それぞれ、互いに隣接する一対のセル区画部21のそれぞれの一部を構成している。
図14図15の例において、多孔質構造体1における一部の仮想面V1は、後述の膜3(図17)によって覆われておらず、開放されており、すなわち、開口を構成している。このため、当該仮想面V1を通じて、セル孔Cどうしが連通され、セル孔C間の通気が、可能にされている。これにより、骨格部2の通気性を向上できるとともに、外力の付加・解除に応じた骨格部2の圧縮・復元変形がし易くなる。
【0069】
図16に示すように、本例において、各セル区画部21の骨格線Oは、多面体の形状をなしており、それにより、各セル孔Cが、略多面体の形状をなしている。より具体的に、図14図16の例において、各セル区画部21の骨格線Oは、ケルビン14面体(切頂8面体)の形状をなしており、それにより、各セル孔Cが、略ケルビン14面体(切頂8面体)の形状をなしている。ケルビン14面体(切頂8面体)は、6つの正4角形の構成面と8つの正6角形の構成面とから構成される、多面体である。骨格部2を構成するセル孔Cは、概略的に言えば、骨格部2の外縁(外輪郭)により囲まれた内部空間を空間充填するように(すなわち、各セル孔Cが無駄な隙間無く敷き詰められるように、さらに言い換えれば、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくするように)、規則性をもって配列されている。
本例のように、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル孔Cの形状)を多面体とすることにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になり、より多くのセル孔Cを骨格部2の内部に形成することができる。また、これにより、外力の付加・解除に応じた骨格部2(ひいては、多孔質構造体1)の圧縮・復元変形の挙動が、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、より良好になる。
セル区画部21の骨格線Oのなす多面体形状(ひいては、セル孔Cのなす多面体形状)としては、本例に限らず、任意のものが可能である。例えば、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cのなす形状)を略4面体、略8面体又は略12面体とした場合も、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点から好適である。また、骨格部2の一部または全部のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部のセル孔Cのなす形状)は、略多面体以外の立体形状(例えば、球、楕円体、円柱等)でもよい。また、骨格部2は、セル区画部21として、骨格線Oの形状が同じである1種類のセル区画部21のみを有していてもよいし、あるいは、骨格線Oの形状が異なる複数種類のセル区画部21を有していてもよい。同様に、骨格部2は、セル孔Cとして、同じ形状からなる1種類のセル孔Cのみを有していてもよいし、あるいは、形状の異なる複数種類のセル孔Cを有していてもよい。なお、本例のように、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cの形状)を略ケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、他の形状に比べて、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等のクッション材の特性を、最も再現し易い。
【0070】
図14図16に示すように、本例において、セル区画部21を構成する複数(本例では、14つ)の環状部211は、それぞれ、1つ又は複数(本例では、6つ)の小環状部211Sと、1つ又は複数(本例では、8つ)の大環状部211Lと、を含んでいる。各小環状部211Sは、それぞれ、その環状の内周側縁部2111によって、平坦な小仮想面V1Sを区画している。各大環状部211Lは、それぞれ、その環状の内周側縁部2111によって、平坦かつ小仮想面V1Sよりも面積の大きな大仮想面V1Lを区画している。小仮想面V1S、大仮想面V1Lは、それぞれ、仮想平面(すなわち、仮想閉平面)である。
図16から判るように、本例において、大環状部211Lは、その骨格線Oが正6角形をなしており、それに伴い、大仮想面V1Lも、略正6角形をなしている。また、本例において、小環状部211Sは、その骨格線Oが正4角形をなしており、それに伴い、小仮想面V1Sも、略正4角形をなしている。このように、本例において、小仮想面V1Sと大仮想面V1Lとは、面積だけでなく、形状も異なる。
各大環状部211Lは、それぞれ、複数(本例では、6つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、6つ)の結合部2Jと、から構成されている。各小環状部211Sは、それぞれ、複数(本例では、4つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、4つ)の結合部2Jと、から構成されている。
そして、図14図16の例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ、ケルビン14面体(切頂8面体)をなしている。上述のように、ケルビン14面体(切頂8面体)は、6つの正4角形の構成面と8つの正6角形の構成面とから構成される、多面体である。これに伴い、各セル区画部21によって区画されるセル孔Cも、略ケルビン14面体をなしている。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、空間充填するように互いに連なっている。すなわち、複数のセル区画部21の骨格線Oどうしの間には、隙間がない。
【0071】
このように、本例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ多面体(本例では、ケルビン14面体)をなしており、それに伴い、セル孔Cが略多面体(本例では、略ケルビン14面体)をなしているため、多孔質構造体1を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になり、より多くのセル孔Cを多孔質構造体1の内部に形成することができる。また、これにより、外力の付加・解除に応じた多孔質構造体1の圧縮・復元変形の挙動が、クッション材として、例えばシートパッド(特には車両用のシートパッド)として、より良好になる。なお、セル孔C間の隙間(間隔)とは、セル孔Cを区画する骨格部2の肉部分(骨部2Bや結合部2J)に相当する。
また、本例において、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、空間充填するように互いに連なっているので、多孔質構造体1を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になる。よって、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
【0072】
セル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)としては、各図の例に限らず、任意のものが可能である。
例えば、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、空間充填できる(隙間無く配置できる)ようなものであると好適である。これにより、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oを、空間充填するように互いに連ならせることができるので、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。この場合、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oがなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、本例のように1種類の多面体のみを含んでいてもよいし、あるいは、複数種類の多面体を含んでいてもよい。ここで、多面体に関し、「種類」とは、形状(構成面の数や形状)を指しており、具体的には、形状(構成面の数や形状)が異なる2つの多面体については2種類の多面体として扱うが、形状は同じであり寸法のみが異なる2つの多面体については同じ種類の多面体として扱うことを意味する。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体が、空間充填できるとともに1種類の多面体のみを含む場合の当該多面体の例としては、ケルビン14面体の他に、正3角柱、正6角柱、立方体、直方体、菱形12面体等が挙げられる。なお、各図の例のように、セル区画部21の骨格線Oの形状をケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、他の形状に比べて、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等のクッション材の特性を、最も再現し易い。また、セル区画部21の骨格線Oの形状をケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、X-Y-Zそれぞれの方向に等しい機械特性を得ることができる。骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体が、空間充填できるとともに複数種類の多面体を含む場合の当該多面体の例としては、正4面体と正8面体との組み合わせ、正4面体と切頂4面体との組み合わせ、正8面体と切頂6面体との組み合わせ等が挙げられる。なお、これらは、2種類の多面体の組み合わせの例であるが、3種類以上の多面体の組み合わせも可能である。
また、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oのなす多面体(ひいては、セル孔Cのなす略多面体)は、例えば、任意の正多面体(全ての面が合同な正多角形で、全ての頂点において接する面の数が等しい凸多面体)、半正多面体(全ての面が正多角形で、全ての頂点形状が合同(頂点に集まる正多角形の種類と順序が同じ)な凸多面体のうち、正多面体以外)、角柱、角錐等が可能である。
また、骨格部2を構成する複数のセル区画部21のうちの一部又は全部のセル区画部21の骨格線Oは、多面体以外の立体形状(例えば、球、楕円体、円柱等)をなしていてもよい。ひいては、骨格部2を構成する複数のセル孔Cのうちの一部又は全部のセル孔Cは、略多面体以外の略立体形状(例えば、略球、略楕円体、略円柱等)をなしていてもよい。
【0073】
セル区画部21を構成する複数の環状部211が、大きさの異なる小環状部211Sと大環状部211Lとを含むことにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になる。また、本例のように、小環状部211Sと大環状部211Lとの形状が異なる場合、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をさらに小さくすることが可能になる。
ただし、セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれ、大きさ及び/又は形状が互いに同じでもよい。セル区画部21を構成する各環状部211の大きさ及び形状が同じである場合、X、Y、Zのそれぞれの方向に等しい機械特性を得ることができる。
【0074】
本例のように、セル区画部21を構成する各環状部211のうち、一部又は全部(本例では全部)の環状部211の骨格線O(ひいては、セル区画部21を構成する各仮想面V1のうち、一部又は全部(本例では全部)の仮想面V1)が、略多角形状をなすことにより、骨格部2を構成するセル孔Cどうしの間隔をより小さくすることが可能になる。また、外力の付加・解除に応じた骨格部2の圧縮・復元変形の挙動が、シートパッドとして、特には車両用のシートパッドとして、より良好になる。また、環状部211の形状(ひいては仮想面V1の形状)がシンプルになるので、製造性や特性の調整のし易さを向上できる。なお、骨格部2を構成する各環状部211のうち、少なくとも1つの環状部211(ひいては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうち、少なくとも1つの仮想面V1)が、この構成を満たしている場合は、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
なお、骨格部2を構成する各環状部211のうち、少なくとも1つの環状部211の骨格線O(ひいては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうち、少なくとも1つの仮想面V1)が、本例のような略正6角形、略正4角形以外の任意の略多角形状、あるいは、略多角形状以外の平面形状(例えば、円(真円、楕円等))をなしてもよい。環状部211の骨格線Oの形状(ひいては仮想面V1の形状)が円(真円、楕円等)である場合は、環状部211の形状(ひいては仮想面V1の形状)がシンプルになるので、製造性や特性の調整のし易さを向上できるとともに、より均質な機械特性が得られる。例えば、環状部211の骨格線Oの形状(ひいては仮想面V1の形状)が、荷重が掛かる方向に対して略垂直な方向に長い楕円(横長の楕円)である場合は、荷重が掛かる方向に略平行な方向に長い楕円(縦長の楕円)である場合に比べて、環状部211が、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)が、荷重の入力に対して変形し易くなる(柔らかくなる)。
【0075】
本例において、骨格部2は、直径が5mm以上のセル孔Cを少なくとも1つ有すると、好適である。これにより、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造が実現し易くなる。骨格部2の各セル孔Cの直径が5mm未満であると、骨格部2の構造が複雑になりすぎる結果、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(CADデータ等)、あるいは、その3次元形状データに基づき生成される3D造形用データを、コンピュータ上で生成するのが難しくなるおそれがある。
なお、従来の多孔質構造体は、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、直径が5mm以上のセル孔Cを形成することは容易でなかった。
また、骨格部2が直径5mm以上のセル孔Cを有することにより、骨格部2の通気性や変形し易さを向上しやすくなる。
このような観点から、骨格部2を構成する全てのセル孔Cの直径が、それぞれ、5mm以上であると、好適である。
セル孔Cの直径が大きくなるほど、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造が実現し易くなり、また、通気性や変形し易さを向上しやすくなる。このような観点から、骨格部2は、少なくとも1つ(好適には全部)のセル孔Cの直径が、より好適には8mm以上、さらに好適には10mm以上であるとよい。
一方、骨格部2のセル孔Cが大きすぎると、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の外縁(外輪郭)形状をきれいに(滑らかに)形成するのが難しくなり、多孔質構造体1の形状精度が低下し外観が悪化するおそれがある。また、クッション材(例えばシートパッド、特には車両用のシートパッド)としての特性も、十分に良好でなくなるおそれがある。よって、外観やクッション材(例えばシートパッド、特には車両用のシートパッド)としての特性を向上させる観点から、骨格部2の各セル孔Cの直径は、好適には30mm未満、より好適には25mm以下、さらに好適には20mm以下であるとよい。
なお、多孔質構造体1は、上記の直径の数値範囲を満たすセル孔Cを多く有するほど、上記の各効果が得られやすくなる。この観点からは、多孔質構造体1を構成する各セル孔Cの直径が、上記の少なくともいずれか1つの数値範囲を満たすと、好適である。同様に、多孔質構造体1を構成する各セル孔Cの直径の平均値が、上記の少なくともいずれか1つの数値範囲を満たすと、より好適である。
なお、セル孔Cの直径は、本例のようにセル孔Cが厳密な球形状とは異なる形状をなす場合、セル孔Cの外接球の直径を指す。
【0076】
骨格部2のセル孔Cが小さすぎると、骨格部2の構造が複雑になりすぎる結果、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(CADデータ等)、あるいは、その3次元形状データに基づき生成される3D造形用データを、コンピュータ上で生成するのが難しくなるおそれがあるため、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造がしにくくなる。3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造を容易にする観点から、骨格部2を構成する各セル孔Cのうち、最小の直径を有するセル孔Cの直径が、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。最小の直径を有するセル孔Cの直径が、0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
【0077】
図17は、多孔質構造体1のセル区画部21の一変形例を説明するための図面であり、図16に対応する図面である。本明細書で説明する各例において、多孔質構造体1は、図17に示す変形例のように、骨格部2に加えて、1つ又は複数の膜3を備えていてもよい。
膜3は、環状部211の環状の内周側縁部2111によって区画された仮想面V1上を延在しており、それにより、当該環状部211によって区画された仮想面V1を覆っている。図17の例の多孔質構造体1においては、骨格部2を構成する各仮想面V1のうちの少なくとも1つが、膜3で覆われている。膜3は、骨格部2と同じ材料からなり、骨格部2と一体に構成されている。図17の例において、膜3は、平坦に構成されている。ただし、膜3は、非平坦(例えば、湾曲状(曲面状))に構成されてもよい。
膜3は、骨部2Bの幅W0(図14)よりも小さな厚さを有すると、好適である。
膜3によって、仮想面V1を間に挟んだ2つのセル孔Cどうしが、仮想面V1を通じた連通がなくなり、仮想面V1を介した通気ができなくなるため、ひいては、多孔質構造体1の全体としての通気性が低下する。多孔質構造体1を構成する各仮想面V1のうち、膜3で覆われたものの数を調整することにより、多孔質構造体1の全体としての通気性を調整でき、要求に応じて様々な通気性レベルを実現可能である。多孔質構造体1の圧縮・復元変形や、多孔質構造体1と粘性流体Fとの相互作用を促進する観点から、多孔質構造体1を構成する各仮想面V1の全てが膜3で覆われているのは好ましくなく、言い換えれば、多孔質構造体1を構成する各仮想面V1のうち少なくとも1つが膜3で覆われておらず開放されていることが好ましく、多孔質構造体1を構成するすべての仮想面V1が膜3で覆われておらず開放されていることがより好ましい。
なお、従来の多孔質構造体は、上述のとおり、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、各セルどうしを連通する連通孔における膜を、所期したとおりの位置及び個数で形成することは難しかった。本例のように、多孔質構造体1を3Dプリンタで製造する場合は、3Dプリンタに読み込まれる3D造形用データに、予め膜3の情報も含めることで、確実に、所期したとおりの位置及び個数で膜3を形成することが可能である。
骨格部2を構成する各小仮想面V1Sのうちの少なくとも1つが、膜3で覆われていてもよい。かつ/又は、骨格部2を構成する各大仮想面V1Lのうちの少なくとも1つが、膜3で覆われていてもよい。
【0078】
つぎに、図18図19を参照しつつ、本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体1に備えられることができる多孔質構造体1の他の例について、図14図16の例とは異なる点を中心に、説明する。
図18図19の例においては、多孔質構造体1の骨格部2の骨部2Bの構成のみが、図14図16の例とは異なる。
多孔質構造体1は、上述した膜3(図17)を備えていてもよいし備えていなくてもよい。
図18の例においても、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれケルビン14面体をなしており、それに伴い、セル孔Cが略ケルビン14面体をなしている。ただし、図14図16の例の説明で述べたとおり、図18の例においても、骨格部2を構成する複数のセル区画部21の骨格線Oは、それぞれ任意の形状をなしてよく、それに伴い、セル孔Cも任意の形状をなしてよい。
【0079】
図18は、本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体1に備えられることができる多孔質構造体1の他の例を示す、平面図であり、図15に対応する図面である。図19は、本例の骨部2Bを、単独で示している。図19(a)は骨部2Bに外力が加わっていない自然状態を示しており、図19(b)は骨部2Bに外力が加わった状態を示している。図18及び図19には、骨部2Bの中心軸線(骨格線O)を示している。
図18及び図19(a)に示すように、骨格部2の各骨部2Bは、それぞれ、断面積を一定に保ちつつ延在する、骨一定部2B1と、骨一定部2B1の延在方向の両側において、断面積を徐々に変化させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在する、一対の骨変化部2B2と、から構成されている。本例において、各骨変化部2B2は、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在している。なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていても、同様の効果が得られる。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨一定部2B1の一方側の端部のみに骨変化部2B2を有し、骨一定部2B1の他方側の端部が直接結合部2Jに結合されていてもよく、その場合も、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
ここで、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の断面積は、それぞれ、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
本例では、多孔質構造体1を構成する各骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2とからなり、骨変化部2B2が、骨一定部2B1から結合部2Jに向かうにつれて断面積が徐々に増大するので、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界の近傍部分で、骨一定部2B1に向かって細くなるようにくびれた形状をなしている。そのため、外力が加わる際に、骨部2Bが、そのくびれた部分や骨一定部2B1の中間部分で座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等の挙動及び特性が得られる。また、これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、より柔らかい感触を与えるようになる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
【0080】
本例のように、骨部2Bが、その少なくとも一部分において骨一定部2B1を有している場合、骨部2Bのいずれか一方側(好ましくは両側)の端2B21の断面積A1(図19(a))に対する、骨一定部2B1の断面積A0(図19(a))の比A0/A1は、
0.15≦A0/A1≦2.0
を満たしていると、好適である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として、柔らかすぎず、硬すぎず、ほどよい硬さにすることができる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、ほどよい硬さの感触を与えるようになる。比A0/A1が小さいほど、多孔質構造体1の表面のタッチ感が、より柔らかくなる。比A0/A1が0.15未満である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が柔らかくなりすぎて、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがあり、また、3Dプリンタによる製造がしにくくなるため、製造性の面で好ましくない。比A0/A1が2.0超である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が硬くなりすぎて、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがある。
なお、比A0/A1は、0.5以上であると、より好適である。
より具体的に、図18図19の例では、骨部2Bが骨一定部2B1とその両側に連続する一対の骨変化部2B2とを有しており、各骨変化部2B2が、それぞれ、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在しており、比A0/A1が1.0未満である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、シートパッド(特には車両用シートパッド)の特性として、比較的柔らかくすることができる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0081】
なお、図18図19の例に代えて、骨変化部2B2は、断面積を徐々に減少させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在していてもよい。この場合、骨一定部2B1は、骨変化部2B2よりも、断面積が大きく(太く)なる。これにより、外力が加わる際に、骨一定部2B1が変形しにくくなり、代わりに、比較的座屈しやすい箇所が骨変化部2B2(特に、結合部2J側の部分)となり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しにくくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより硬くなり、また、高硬度の機械特性が得られる。よって、例えば、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、より硬い感触を与えるようになる。このような挙動は、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでは得ることは容易でない。このような構成により、硬めの感触を好むユーザに対応できる。このような硬い感触は、例えば、素早い加減速や斜線変更を行うようなスポーツ車のシートパッドにおける、着座者に好まれるものである。
そして、骨変化部2B2が、断面積を徐々に減少させつつ、骨一定部2B1から結合部2Jまで延在している場合、比A0/A1は、1.0超となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0082】
なお、第1実施形態において上述した図14図16の例において、骨部2Bは、骨変化部2B2を有さずに、骨一定部2B1のみからなるものである。この場合、骨部2Bの断面積は、その全長にわたって一定になる。そして、外力が加わる際における多孔質構造体1の表面のタッチ感は、中程度の硬さになる。このような構成により、中程度の硬さの感触を好むユーザに対応できる。また、高級車やスポーツ車など、あらゆる車種のシートパッドに好適に適用できる。
この場合、比A0/A1は、1.0となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0083】
図18図19の例に戻り、本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨一定部2B1が、骨変化部2B2及び結合部2Jよりも、断面積が小さい。より具体的には、骨一定部2B1の断面積は、骨変化部2B2及び結合部2Jのそれぞれのどの部分(ただし、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界部分を除く)の断面積よりも、小さい。すなわち、骨一定部2B1は、骨格部2の中で最も断面積が小さい(細い)部分である。これにより、上述したことと同様に、外力が加わる際に、骨一定部2B1が変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
なお、結合部2Jの断面積は、結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0084】
同様に、図18図19の例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨一定部2B1が、骨変化部2B2及び結合部2Jよりも、幅が小さい。より具体的には、骨一定部2B1の幅は、骨変化部2B2及び結合部2Jのそれぞれのどの部分(ただし、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界部分を除く)の幅よりも、小さい。すなわち、骨一定部2B1は、骨格部2の中で最も幅が小さい(細い)部分である。これによっても、外力が加わる際に骨一定部2B1が変形しやすくなり、それにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2、結合部2Jの幅は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2、結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。結合部2Jの骨格線Oは、骨格線Oのうち、結合部2Jに対応する部分である。図19(a)には、参考のため、骨一定部2B1の幅W0と、骨変化部2B2の幅W1とを、示している。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0085】
上述した各例において、多孔質構造体1の構造の簡単化、ひいては、3Dプリンタの製造のし易さの観点からは、骨一定部2B1の幅W0(図19)は、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適である。幅W0が0.05mm以上の場合、高性能な3Dプリンタの解像度で造形可能であり、0.10mm以上の場合、高性能な3Dプリンタだけでなく汎用の3Dプリンタの解像度でも造形可能である。
一方、多孔質構造体1の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨一定部2B1の幅W0(図19)は、0.05mm以上2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0086】
図19に示すように、本例において、骨格部2を構成する各骨部2Bは、骨変化部2B2が、その側面に、1又は複数(本例では、3つ)の傾斜面2B23を有しており、この傾斜面2B23は、骨変化部2B2の延在方向に対して傾斜(90°未満で傾斜)しているとともに、骨一定部2B1から結合部2Jに向かうにつれて、幅W2が徐々に増大している。
これによっても、外力が加わる際に、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界近傍におけるくびれた部分で、座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
ここで、骨変化部2B2の延在方向は、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)の延在方向である。また、骨変化部2B2の傾斜面2B23の幅W2は、骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、傾斜面2B23の幅を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
【0087】
図18図19の例において、骨格部2を構成する各骨部2Bにおいて、それぞれ柱状であるとともに、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が、正三角形である。
これにより、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、多孔質構造体1の耐久性を向上できる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2の断面形状は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bにおいて、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が、正三角形以外の多角形(正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、円形(真円形、楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が互いに異なるものでもよい。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の多孔質構造体、及び、多孔質構造体の製造方法は、任意の用途のクッション材に用いられることができるが、例えば任意の乗り物用シートパッドに用いられると好適であり、特に、車両用シートパッドに用いられると好適なものである。
【符号の説明】
【0089】
1:多孔質構造体、
2:骨格部、 2B:骨部、 2Be:骨部の端部、 2B1:骨一定部、 2B2:骨変化部、 2B21:骨変化部の結合部側の端、 2B22:骨変化部の骨一定部側の端、 2B23:骨変化部の傾斜面、 2J:結合部、 21:セル区画部、 211:環状部、 211L:大環状部、 211S:小環状部、 2111:環状部の内周側縁部、
3:膜、
6:空洞部、 61:第1空洞部、 62:第2空洞部、 A1:第1領域、 A2:第2領域、 A1C:第1領域の中心、 A2C:第2領域の中心、 E1:複数の第1空洞部の外縁、 E2:複数の第2空洞部の外縁、 G1:投影面において第1領域と重複する部分、 G2:投影面において第2領域と重複する部分、
C:セル孔、 O:骨格線、 V1:仮想面、 V1L:大仮想面、 V1S:小仮想面
ID:所定荷重入力方向、 P:所定荷重入力方向の投影面、
300:車両用シート、
302:クッション材(シートパッド)、 302C:左右方向の中心、
303:座骨の直下の部分、
310:クッションパッド、 311:メインパッド部(着座部)、 312:サイドパッド部、 313:バックパッド対向部、
320:バックパッド、 321:メインパッド部、 322:サイドパッド部、
330:表皮、
340:ヘッドレスト、
350:凹部、 351:本体部、
FS:着座者側の面(表面)、 SS:側面、 BS:裏面、 TD:厚さ方向、 LD:延在方向、
400:3Dプリンタ、 410:制御部、 420:造形部、 421:レーザ照射器、 430:支持台、 440:収容体、 LL:紫外線レーザ光、 LR:液体樹脂、 500:3D造形用データ
図1
図2
図3
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図5
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