(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240701BHJP
B41J 15/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J15/00
(21)【出願番号】P 2020158629
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】山下 真祐
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130888(JP,A)
【文献】特開2014-024266(JP,A)
【文献】特開2019-119609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
15/00-15/24
29/00-29/70
G03G 13/00
15/00
21/16-21/18
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の印刷媒体を搬送する第1ローラと、前記第1ローラにより搬送される前記印刷媒体に対向する第1ヘッドと、前記第1ローラと前記第1ヘッドとを保持する第1保持部材とを有し、前記第1ヘッドからインクジェット方式で前記印刷媒体にインクを吐出する第1印刷ユニットと、
前記印刷媒体を搬送する第2ローラと、前記第2ローラにより搬送される前記印刷媒体に対向する第2ヘッドと、前記第2ローラと前記第2ヘッドとを保持する
フレームを有する第2保持部材とを有し、前記第2ヘッドからインクジェット方式で前記印刷媒体にインクを吐出する第2印刷ユニットと、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とを互いに固定する印刷ユニット固定部材と
、
前記第1保持部材に取り付けられた位置決め部材と、
前記印刷媒体が搬送される搬送方向に直交する幅方向の一方側と当該一方側の逆の他方側とのうち、前記フレームの前記他方側で前記第1保持部材に取り付けられた対向部材と、
前記幅方向に延設されて、前記他方側から前記対向部材にねじ込まれた押圧ネジと
を備え、
前記印刷ユニット固定部材による前記第1保持部材と前記第2保持部材との固定を解除することで、前記第1印刷ユニットと前記第2印刷ユニットとが互いに分離され
、
前記第2保持部材は、前記フレームから突出する被位置決め部材を有し、
前記位置決め部材と前記被位置決め部材とが当接して、前記第1印刷ユニットと前記第2印刷ユニットとが互いに位置決めされ、
平面視において、前記位置決め部材は、前記搬送方向および前記幅方向のうち少なくとも前記幅方向から前記被位置決め部材に当接し、
前記第2保持部材は、前記フレームから前記他方側に突出する被対向部材をさらに有し、
前記被位置決め部材は、前記フレームから前記一方側に突出し、
前記位置決め部材は、前記フレームの前記一方側で前記第1保持部材に取り付けられて、前記被位置決め部材に前記一方側から当接し、
前記対向部材は、前記他方側から前記被対向部材に対向し、
前記対向部材を貫通する前記押圧ネジの先端は、前記被対向部材に前記他方側から当接し、
前記対向部材は、平面視において、前記搬送方向および前記幅方向のそれぞれから前記被対向部材に対向する多方向対向部材であり、
前記多方向対向部材は、前記幅方向において前記被対向部材から離間する一方、前記搬送方向において前記被対向部材に当接する印刷装置。
【請求項2】
平面視において、前記搬送方向からは前記被対向部材に対向せずに前記幅方向から前記被対向部材に対向する単方向対向部材が前記対向部材として設けられ、
前記単方向対向部材は、前記幅方向において前記被対向部材から離間する請求項
1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷ユニット固定部材は、前記第1保持部材に前記被対向部材を締結することで、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを互いに固定する請求項
1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1保持部材に着脱可能に取り付けられる第1装着部材と、前記印刷媒体が搬送される搬送方向から前記第1装着部材に対向しつつ前記第2保持部材に着脱可能に取り付けられる第2装着部材と、当該搬送方向から前記第1装着部材にねじ込まれて先端が前記第2装着部材に当接する第1ネジと、当該搬送方向から前記第1装着部材に挿入されて頭が前記第1装着部材に係合するとともに先端が前記第2装着部材にねじ込まれた第2ネジとを有する位置調整治具をさらに備える請求項1ないし
3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1印刷ユニットおよび前記第2印刷ユニットのそれぞれからインクが吐出された前記印刷媒体を搬送する第3ローラと、前記第3ローラにより搬送される前記印刷媒体に対向する乾燥チャンバと、前記第3ローラと前記乾燥チャンバとを保持する第3保持部材とを有し、前記乾燥チャンバから前記印刷媒体に気体を噴射する乾燥ユニットと、
前記第1保持部材と前記第3保持部材とを互いに固定する乾燥ユニット固定部材と
を備え、
前記乾燥ユニット固定部材による前記第1保持部材と前記第3保持部材との固定を解除することで、前記第1印刷ユニットと前記乾燥ユニットとが互いに分離される請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローラによって搬送される印刷媒体にインクジェット方式でインクを吐出する印刷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェット方式の印刷装置は、長尺帯状の印刷媒体を搬送する複数のローラと、これらのローラによって搬送される印刷媒体に対向する複数のヘッドとを有する。そして、これら複数のヘッドからインクを吐出することで、印刷媒体に画像を印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、印刷装置が大型化する傾向にある。これに対して、印刷装置の大型化は、印刷装置の運搬を難しくして、運搬コストの上昇の要因となる。そこで、印刷装置を組み立て式に構成することが考えられる。これによって、部品毎に分解された印刷装置を運搬先で印刷装置を組み立てるといったことが可能となる。ただし、インクジェット方式の印刷装置では、ヘッドと印刷媒体との位置精度が、インクの着弾位置に大きく影響するため、印刷品質を担保するうえで重要となる。しかしながら、印刷装置の運搬先において、印刷品質にとって十分な位置精度で印刷装置を組み立てることは極めて困難であった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、印刷装置の容易な運搬と印刷品質の担保の両立を実現可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、長尺帯状の印刷媒体を搬送する第1ローラと、第1ローラにより搬送される印刷媒体に対向する第1ヘッドと、第1ローラと第1ヘッドとを保持する第1保持部材とを有し、第1ヘッドからインクジェット方式で印刷媒体にインクを吐出する第1印刷ユニットと、印刷媒体を搬送する第2ローラと、第2ローラにより搬送される印刷媒体に対向する第2ヘッドと、第2ローラと第2ヘッドとを保持する第2保持部材とを有し、第2ヘッドからインクジェット方式で印刷媒体にインクを吐出する第2印刷ユニットと、第1保持部材と第2保持部材とを互いに固定する印刷ユニット固定部材とを備え、印刷ユニット固定部材による第1保持部材と第2保持部材との固定を解除することで、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとが互いに分離される。
【0007】
このように構成された本発明では、印刷装置は2個の印刷ユニット(第1・第2印刷ユニット)を備える。これらは、印刷ユニット固定部材によって互いに固定される一方、印刷ユニット固定部材による固定を解除することで、互いに分離できる。したがって、これらを分離することで、印刷装置を容易に運搬できる。また、第1印刷ユニットは、第1ローラと、第1ローラにより搬送される印刷媒体に対向する第1ヘッドと、これらを保持する第1保持部材とを有する。つまり、インクを吐出する第1ヘッドと、吐出されたインクが着弾する印刷媒体を支持する第1ローラとは、第1保持部材によってこれらの位置関係が維持された状態で、第1印刷ユニットとしてユニット化される。したがって、第1印刷ユニットの運搬の前後で、第1ヘッドと第1ローラとの位置関係が維持される。同様に、第2印刷ユニットの運搬の前後で、第2ヘッドと第2ローラとの位置関係が維持される。そのため、印刷装置の運搬先において、第1ヘッドから吐出されたインクを、第1ローラに支持される印刷媒体に適切に着弾させることができるとともに、第2ヘッドから吐出されたインクを、第2ローラに支持される印刷媒体に適切に着弾させることができ、印刷品質の担保が可能となる。こうして、印刷装置の容易な運搬と印刷品質の担保の両立が実現可能となっている。
【0008】
また、印刷ユニット固定部材は、第1保持部材と第2保持部材とを互いに締結する締結部材であるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、締結部材を外すことで、第1保持部材と第2保持部材とを簡単に分離できるとともに、締結部材により締結することで、第1保持部材と第2保持部材とを簡単に固定できる。
【0009】
また、第1保持部材に取り付けられた位置決め部材をさらに備え、第2保持部材は、第2ローラおよび第2ヘッドを保持するフレームと、フレームから突出する被位置決め部材とを有し、位置決め部材と被位置決め部材とが当接して、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとが互いに位置決めされるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、第1印刷ユニットの第1保持部材に取り付けられた位置決め部材に、第2印刷ユニットの第2保持部材の被位置決め部材を当接させることで、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとを互いに位置決めできる。こうして、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの位置精度を担保することができ、第1印刷ユニットにより印刷した画像と、第2印刷ユニットにより印刷した画像を適切に重ね合わせることができる。
【0010】
また、印刷ユニット固定部材は、位置決め部材に当接する被位置決め部材を第1保持部材に締結することで、第1保持部材と第2保持部材とを互いに固定するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、被位置決め部材は、位置決め部材と当接して第1保持部材と第2保持部材とを相互に位置決めする機能の他、第1保持部材と第2保持部材を固定するための機能も発揮することができる。
【0011】
また、平面視において、位置決め部材は、印刷媒体が搬送される搬送方向および当該搬送方向に直交する幅方向のうち少なくとも幅方向から被位置決め部材に当接するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの幅方向への位置決めを、位置決め部材と被位置決め部材との当接によって簡単に実行できる。
【0012】
また、平面視において、搬送方向および幅方向のそれぞれから被位置決め部材に当接する多方向位置決め部材が位置決め部材として設けられるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、幅方向のみならず搬送方向における第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの位置決めを、多方向位置決め部材と被位置決め部材との当接によって簡単に実行できる。
【0013】
また、平面視において、搬送方向からは被位置決め部材に当接せずに幅方向から被位置決め部材に当接する単方向位置決め部材が位置決め部材として設けられるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの幅方向への位置決めを、単方向位置決め部材と被位置決め部材との当接によって簡単に実行できる。
【0014】
また、幅方向の一方側と当該一方側の逆の他方側とのうち、フレームの他方側で第1保持部材に取り付けられた対向部材と、幅方向に延設されて、他方側から対向部材にねじ込まれた押圧ネジとをさらに備え、第2保持部材は、フレームから他方側に突出する被対向部材をさらに有し、被位置決め部材は、フレームから一方側に突出し、位置決め部材は、フレームの一方側で第1保持部材に取り付けられて、被位置決め部材に一方側から当接し、対向部材は、他方側から被対向部材に対向し、対向部材を貫通する押圧ネジの先端は、被対向部材に他方側から当接するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、押圧ネジを一方側へ向けてねじ込んで、押圧ネジを対向部材に対して一方側に進めると、押圧ネジの先端が被対向部材を一方側に押圧する。これによって、第2保持部材を一方側に押圧して、第2保持部材の被位置決め部材を位置決め部材にしっかりと当接させることができる。その結果、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの高い位置精度を実現することができる。
【0015】
また、平面視において、搬送方向および幅方向のそれぞれから被対向部材に対向する多方向対向部材が対向部材として設けられ、多方向対向部材は、幅方向において被対向部材から離間する一方、搬送方向において被対向部材に当接するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、多方向対向部材は、幅方向において被位置決め部材を位置決め部材にしっかりと当接させる機能の他、搬送方向において被対向部材と当接することで、第1保持部材と第2保持部材とを位置決めする機能も発揮することができる。
【0016】
また、平面視において、搬送方向からは被対向部材に対向せずに幅方向から被対向部材に対向する単方向対向部材が対向部材として設けられ、単方向対向部材は、幅方向において被対向部材から離間するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、単方向対向部材は、幅方向において被位置決め部材を位置決め部材にしっかりと当接させる機能を発揮することができる。
【0017】
また、印刷ユニット固定部材は、第1保持部材に被対向部材を締結することで、第1保持部材と第2保持部材とを互いに固定するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、被対向部材は、被位置決め部材を位置決め部材にしっかりと当接させる機能の他、第1保持部材と第2保持部材とを固定するための機能も発揮することができる。
【0018】
また、第1保持部材に着脱可能に取り付けられる第1装着部材と、印刷媒体が搬送される搬送方向から第1装着部材に対向しつつ第2保持部材に着脱可能に取り付けられる第2装着部材と、当該搬送方向から第1装着部材にねじ込まれて先端が第2装着部材に当接する第1ネジと、当該搬送方向から第1装着部材に挿入されて頭が第1装着部材に係合するとともに先端が第2装着部材にねじ込まれた第2ネジとを有する位置調整治具をさらに備えるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、位置調整治具によって、搬送方向において被位置決め部材を位置決め部材にしっかりと当接させることができる。
【0019】
また、第1印刷ユニットおよび第2印刷ユニットのそれぞれからインクが吐出された印刷媒体を搬送する第3ローラと、第3ローラにより搬送される印刷媒体に対向する乾燥チャンバと、第3ローラと乾燥チャンバとを保持する第3保持部材とを有し、乾燥チャンバから印刷媒体に気体を噴射する乾燥ユニットと、第1保持部材と第3保持部材とを互いに固定する乾燥ユニット固定部材とを備え、乾燥ユニット固定部材による第1保持部材と第3保持部材との固定を解除することで、第1印刷ユニットと乾燥ユニットとが互いに分離されるように、印刷装置を構成してもよい。
【0020】
かかる構成では、第1・第2印刷ユニットとは別に乾燥ユニットが具備される。この乾燥ユニットと第1印刷ユニットとは、乾燥ユニット固定部材によって互いに固定される一方、乾燥ユニット固定部材による固定を解除することで、互いに分離できる。したがって、これらを分離することで、印刷装置を容易に運搬できる。また、乾燥ユニットは、第3ローラと、第3ローラにより搬送される印刷媒体に対向する乾燥チャンバと、これらを保持する第3保持部材とを有する。つまり、気体を噴射する乾燥チャンバと、噴射された気体が吹き付けられる印刷媒体を支持する第3ローラとは、第3保持部材によってこれらの位置関係が維持された状態で、乾燥ユニットとしてユニット化される。したがって、乾燥ユニットの運搬の前後で、乾燥チャンバと第3ローラとの位置関係が維持される。そのため、印刷装置の運搬先において、乾燥チャンバから噴射された気体を、第3ローラに支持される印刷媒体に適切に吹き付けることができる。
【0021】
本発明に係る印刷装置の運搬準備方法は、長尺帯状の印刷媒体を搬送する第1ローラおよび当該第1ローラにより搬送される印刷媒体に対向してインクジェット方式でインクを吐出する第1ヘッドを保持する第1印刷ユニットの第1保持部材に、印刷媒体を搬送する第2ローラおよび当該第2ローラにより搬送される印刷媒体に対向してインクジェット方式でインクを吐出する第2ヘッドを保持する第2印刷ユニットの第2保持部材を載置する工程と、第2保持部材に対して第1保持部材の位置を調整する工程と、第1保持部材と第2保持部材とを印刷ユニット固定部材により固定する工程と、第2保持部材の被位置決め部材に位置決め部材を当接させてから、位置決め部材を第1保持部材に固定する工程と、 第1保持部材と第2保持部材との印刷ユニット固定部材による固定を解除して、第1保持部材と第2保持部材とを分離する工程とを備える。
【0022】
本発明に係る印刷装置の組立方法は、長尺帯状の印刷媒体を搬送する第1ローラおよび当該第1ローラにより搬送される印刷媒体に対向してインクジェット方式でインクを吐出する第1ヘッドを保持する第1印刷ユニットの第1保持部材に、印刷媒体を搬送する第2ローラおよび当該第2ローラにより搬送される印刷媒体に対向してインクジェット方式でインクを吐出する第2ヘッドを保持する第2印刷ユニットの第2保持部材を載置する工程と、第1保持部材に固定された位置決め部材に第2保持部材の被位置決め部材を当接させる工程と、第1保持部材と第2保持部材とを印刷ユニット固定部材により固定する工程とを備える印刷装置の組立方法。
【0023】
このように構成された本発明(印刷装置の運搬準備方法および組立方法)では、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの位置調整をした状態で、第2印刷ユニットの被位置決め部材に当接する位置に位置決め部材が固定される。その上で、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットが分離される。したがって、第1・第2印刷ユニットを分離して運搬できるため、印刷装置を容易に運搬できる。また、第1・第2印刷ユニットのそれぞれがユニット化されている。そのため、上述した通り、運搬先で組み立てた印刷装置では、第1ヘッドから吐出されたインクを、第1ローラに支持される印刷媒体に適切に着弾させることができるとともに、第2ヘッドから吐出されたインクを、第2ローラに支持される印刷媒体に適切に着弾させることができる。こうして、印刷品質の担保が可能となっている。その結果、印刷装置の容易な運搬と印刷品質の担保の両立が実現可能となっている。しかも、第1印刷ユニットの第1保持部材に固定された位置決め部材に、第2印刷ユニットの第2保持部材の被位置決め部材を当接させることで、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとを互いに位置決めできる。こうして、第1印刷ユニットと第2印刷ユニットとの位置精度を担保することができ、第1印刷ユニットにより印刷した画像と、第2印刷ユニットにより印刷した画像を適切に重ね合わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、印刷装置の容易な運搬と印刷品質の担保の両立を実現することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る印刷装置を備える印刷システムの一例を模式的に示す正面図。
【
図2】本発明に係る印刷装置を模式的に示す正面図。
【
図3】カラー印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す斜視図。
【
図4】カラー印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す平面図。
【
図5】白印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す斜視図。
【
図6】白印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す平面図。
【
図7A】カラー印刷ユニットに白印刷ユニットを取り付ける部材を模式的に示す平面図。
【
図7B】カラー印刷ユニットに白印刷ユニットを取り付ける部材を模式的に示す平面図。
【
図7C】カラー印刷ユニットに白印刷ユニットを取り付ける部材を模式的に示す平面図。
【
図7D】カラー印刷ユニットに白印刷ユニットを取り付ける部材を模式的に示す平面図。
【
図8】乾燥ユニットのユニット筐体の部分的構成を模式的に示す斜視図。
【
図10】印刷装置を工場から納入先へ出荷する前に作業者により実行される準備作業を示すフローチャート。
【
図11】印刷装置を納入先へ納入した後に作業者により実行される組立作業を示すフローチャート。
【
図12】位置調整治具の構成を模式的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明に係る印刷装置を備える印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。同図および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。印刷システム1は、繰出ローラ11から繰り出した印刷媒体Mを巻取ローラ12で巻き取ることによりロール・トゥ・ロールで印刷媒体Mを搬送しつつ、印刷媒体Mに対して印刷および乾燥を行う。印刷媒体Mとしては、紙あるいはフィルム等の種々の素材を利用でき、印刷媒体Mは、表面M1および当該表面M1の逆側の裏面M2とを有する。印刷システム1は、繰出ローラ11と巻取ローラ12との間に、印刷装置3および乾燥装置9を備え、印刷媒体Mは、印刷装置3を通過してから乾燥装置9を通過する。
【0027】
印刷装置3は、後に詳述するように、インクジェット方式で吐出した水性インクを印刷媒体Mの表面M1に着弾させることで、印刷媒体Mの表面M1に画像を印刷する。ただし、印刷装置3で吐出するインクの種類は、水性インクに限られない。
【0028】
乾燥装置9は乾燥炉90を備え、印刷装置3から搬出されて乾燥炉90を通過する印刷媒体Mを乾燥させる。乾燥装置9は、乾燥炉90内の上段、中段および下段のそれぞれに2個ずつ配列された送風ユニット91u、91m、91lを備える。つまり、上段では、2個の送風ユニット91uがX方向に配列され、上段より下側の中段では、2個の送風ユニット91mがX方向に配列され、中段より下側の下段では、2個の送風ユニット91lがX方向に配列される。
【0029】
印刷媒体Mは、上段の2個の送風ユニット91uを通過すると、1対のローラ92によって折り返されて、中段の2個の送風ユニット91mを通過する。さらに、印刷媒体Mは、中段の2個の送風ユニット91mを通過すると、1対のエアターンバー93によって折り返されて、下段の2個の送風ユニット91lを通過する。こうして、印刷媒体Mは、上段、中段および下段で、送風ユニット91u、91m、91lをX方向に平行に通過する。この際、上段の送風ユニット91uを通過する印刷媒体Mの表面M1は上側を向き、裏面M2は下側を向く。中段の送風ユニット91mを通過する印刷媒体Mの表面M1は下側を向き、裏面M2は上側を向く。下段の送風ユニット91lを通過する印刷媒体Mの表面M1は上側を向き、裏面M2は下側を向く。また、各ローラ92は、印刷媒体Mを裏面M2側から支持しつつ印刷媒体Mを折り返し、各エアターンバー93は、印刷媒体Mを表面M1側から支持しつつ印刷媒体Mを折り返す。
【0030】
各送風ユニット91u、91m、91lは送風チャンバ94を有する。送風チャンバ94は、印刷媒体Mの搬送方向に配列された複数のノズル95を有し、60度以上の空気の風である温風をノズル95から印刷媒体Mへ噴射する。上下に配置された2個の送風チャンバ94は対を構成し、印刷媒体Mはこれらの送風チャンバ94の間を通過する。つまり、上側の送風チャンバ94はその下方を通過する印刷媒体Mに温風を噴射し、下側の送風チャンバ94はその上方を通過する印刷媒体Mに温風を噴射する。なお、上段の2個の送風ユニット91uのうち、先に印刷媒体Mが通過する印刷装置3側の送風ユニット91uでは、下側の送風チャンバ94に代えて、X方向に配列された複数のローラを設けてもよい。かかる構成では、印刷装置3から乾燥装置9に搬入されてきた印刷媒体Mの裏面M2を、複数のローラによって下側から支持することができる。
【0031】
図2は本発明に係る印刷装置を模式的に示す正面図である。
図2および以下の図では、X方向の一方側X1および他方側X2を適宜示す。ここで、一方側X1は印刷装置3から乾燥装置9へ向う側であり、他方側X2は一方側X1の反対側である。印刷装置3は、筐体31と、筐体31内に配置されたカラー印刷部32と、筐体31内においてカラー印刷部32より上方に配置された白印刷部33と、筐体31においてカラー印刷部32の上方であって白印刷部33の一方側X1に配置された乾燥部34と、筐体31内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部4とを備える。この筐体31は、カラー印刷部32、白印刷部33、乾燥部34および搬送部4の各ローラをその内部に支持する。
【0032】
カラー印刷部32は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向(他方側X2から一方側X1へ向かう方向)に配列された複数(4個)の吐出ヘッド321を有する。複数の吐出ヘッド321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部32の複数の吐出ヘッド321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0033】
白印刷部33は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一の吐出ヘッド331を有する。吐出ヘッド331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部33の吐出ヘッド331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。
【0034】
また、乾燥部34は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された送風チャンバ341を有する。送風チャンバ341は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向する複数のノズル342を有し、各ノズル342から気体(エア)を噴射する。こうして、乾燥部34の送風チャンバ341は、その下方を通過する印刷媒体Mを乾燥させる。
【0035】
筐体31の他方側X2の側壁には搬入口311が開口しており、印刷媒体Mは搬入口311から筐体31内に搬入される。これに対して、搬送部4は搬入部41を有する。搬入部41は、カラー印刷部32より下方において水平方向Xに配列された複数のローラ411を有し、搬入口311から搬入された印刷媒体Mを複数のローラ411によって支持しつつ、他方側X2から一方側X1へ向けて搬送する。
【0036】
また、搬送部4は、搬入部41の一方側X1に設けられた上昇搬送部42を有する。上昇搬送部42は、カラー印刷部32の一方側X1において鉛直方向Zに配列された複数のローラ421を有する。この上昇搬送部42は、複数のローラ421のうち下端に位置するローラ421によって、搬入部41により搬送されてきた印刷媒体Mを上側へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を一方側X1から上側に変更してから、当該印刷媒体Mを複数のローラ421によって支持しつつ上方へ搬送する。こうして、印刷媒体Mは上昇搬送部42によってカラー印刷部32の下側から上側へ搬送される。
【0037】
さらに、搬送部4は、カラー印刷部32の上方に設けられた上方搬送部43を有する。上方搬送部43は、カラー印刷部32の上方において水平方向Xに配列された複数のローラ431を有する。この上方搬送部43は、複数のローラ431のうち一方側X1の端に位置するローラ431によって、上昇搬送部42から搬送されてきた印刷媒体Mを他方側X2へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を上側から他方側X2に変更してから、当該印刷媒体Mを複数のローラ431によって支持しつつ他方側X2へ搬送する。
【0038】
また、搬送部4は、上方搬送部43の他方側X2に設けられた下降搬送部44を有する。下降搬送部44は、カラー印刷部32の他方側X2において鉛直方向Zに配列された複数のローラ441を有する。この下降搬送部44は、複数のローラ441のうち上端に位置するローラ441によって、上方搬送部43から搬送されてきた印刷媒体Mを下側へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を他方側X2から下側へ変更してから、当該印刷媒体Mをローラ441によって支持しつつ下方へ搬送する。この下降搬送部44が有する複数のローラ441のうち、上端のローラ441はカラー印刷部32の各吐出ヘッド321より上側に位置し、下端のローラ441はカラー印刷部32の各吐出ヘッド321より下側に位置する。つまり、下降搬送部44は、カラー印刷部32の上側から下側へ印刷媒体Mを搬送する。
【0039】
さらに、搬送部4は、上方搬送部43の下方で且つ下降搬送部44の一方側X1に設けられたカラー搬送部45を有する。このカラー搬送部45は、水平方向Xに配列されて、印刷媒体Mの裏面M2に接触する複数のローラ451を有し、下降搬送部44から搬送されてきた印刷媒体Mは、複数のローラ451によってカラー印刷部32の下方に支持される。このように、カラー搬送部45の複数のローラ451は、下降搬送部44から搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触することで印刷媒体Mを下方から支持しつつ、他方側X2から一方側X1へ向けて印刷媒体Mを搬送する。そして、カラー印刷部32の各吐出ヘッド321は、カラー搬送部45によってその表面M1に沿って搬送される印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出する。
【0040】
この際、カラー搬送部45によって搬送される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、当該印刷媒体Mの裏面M2は下方を向く。詳述すると、印刷媒体Mは、その表面M1が上方を向いた状態で搬入口311から搬入されて、搬入部41によって他方側X2から一方側X1へ向けて搬送される。搬入部41を通過した印刷媒体Mは、上昇搬送部42および上方搬送部43によって上下反転された状態で、上方搬送部43によって一方側X1から他方側X2へ向けて搬送される。そのため、上方搬送部43によって搬送される印刷媒体Mの表面M1は下方を向く。上方搬送部43を通過した印刷媒体Mは、下降搬送部44およびカラー搬送部45によって上下反転された状態で、カラー搬送部45によって他方側X2から一方側X1へ向けて搬送される。そのため、カラー搬送部45によって搬送される印刷媒体Mの表面M1は上方を向く。
【0041】
また、搬送部4は、印刷媒体Mの進行方向において、カラー搬送部45の上流側で印刷媒体Mに接触するローラ461、462、463を有する。ローラ461は、印刷媒体Mを駆動する駆動ローラであり、ローラ462は、当該ローラ462とローラ461との間で印刷媒体Mを挟み込むニップローラであり、ローラ463は、印刷媒体Mに付与された張力を検出する張力センサを有する従動ローラである。かかる駆動ローラ461と従動ローラ462とは、後述する印刷媒体Mに付与された張力を検出する張力センサを有する従動ローラ472と、駆動ローラ471と、駆動ローラ491とによって印刷媒体Mの張力を調整する張力調整部を構成する。すなわち、ローラ461、ローラ471、ローラ491は、ローラ463およびローラ472の張力センサが検出した張力に応じた速度でそれぞれ回転することで、搬送部4により搬送される印刷媒体Mの張力を全体に渡って所定の目標張力に調整する。これによって、適切な張力を印刷媒体に与えつつ、カラーインクや白色インクを印刷媒体に吐出できる。
【0042】
さらに、搬送部4は、カラー搬送部45から一方側X1に搬送されてきた印刷媒体Mを二度上下反転させる反転搬送部47を有する。この反転搬送部47は、カラー搬送部45の一方側X1で鉛直方向Zに配列されて、印刷媒体Mの裏面M2に接触する複数のローラ471、472を有する。複数のローラ471、472のうち、上端のローラ471は、カラー搬送部45から搬送されてきた印刷媒体Mを下側へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を一方側X1から下側へ変更し、下端のローラ472は、ローラ471から搬送されてきた印刷媒体Mを他方側X2へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を下側から他方側X2へ変更する。こうして、印刷媒体Mの裏面M2に接触するローラ471、472によって印刷媒体Mが上下反転されて、印刷媒体Mの裏面M2が上方を向くとともに、印刷媒体Mの表面M1が下方を向く。
【0043】
また、反転搬送部47は、カラー搬送部45の下方で且つローラ472の他方側X2において水平方向Xに配列されて、印刷媒体Mの裏面M2に接触する複数のローラ473を有する。これらローラ473は、ローラ472から搬送されてきた印刷媒体Mを一方側X1から他方側X2へ向けて搬送する。こうして、印刷媒体Mの裏面M2に接触する複数のローラ473によって、裏面M2が上方を向いた状態の印刷媒体Mが一方側X1から他方側X2へ向けて搬送される。
【0044】
さらに、反転搬送部47は、複数のローラ473および下降搬送部44の他方側X2で鉛直方向Zに配列されて、印刷媒体Mの裏面M2に接触する複数のローラ474、475、476を有する。複数のローラ474~476のうち、下端のローラ474は、複数のローラ473から搬送されてきた印刷媒体Mを上側へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を他方側X2から上側へ変更し、上端のローラ476は、ローラ475を経由してローラ474から搬送されてきた印刷媒体Mを一方側X1へ折り曲げることで、印刷媒体Mの進行方向を上側から一方側X1へ変更する。こうして、印刷媒体Mの裏面M2に接触するローラ474~476によって印刷媒体Mが上下反転されて、印刷媒体Mの表面M1が上方を向くとともに、印刷媒体Mの裏面M2が下方を向く。
【0045】
また、反転搬送部47は、上方搬送部43の上方で且つローラ476の一方側X1に配置されて、印刷媒体Mの裏面M2に接触するローラ477を有する。ローラ477は、ローラ476から搬送されてきた印刷媒体Mを、他方側X2から一方側X1へ向けて搬送する。こうして、印刷媒体Mの裏面M2に接触するローラ477によって、表面M1が上方を向いた状態の印刷媒体Mが他方側X2から一方側X1へ向けて搬送される。
【0046】
このように、反転搬送部47は、カラー搬送部45から搬送された印刷媒体Mを、ローラ471、472によって下方向に向けて搬送し、さらに印刷媒体Mの進行方向をローラ472によって他方側X2に変更して搬送することにより、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを上下反転させる。続いて、反転搬送部47は、複数のローラ473によって印刷媒体Mを一方側X1から他方側X2に向けて搬送し、次いで、ローラ474~476によって印刷媒体Mを上方向に向けて搬送する。さらに、反転搬送部47は、ローラ476によって印刷媒体Mの進行方向を一方側X1に変更することによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを再び上下反転させるとともに、ローラ477によって印刷媒体Mを他方側X2から一方側X1に向けて搬送する。
【0047】
こうして、反転搬送部47は、印刷媒体Mの裏面M2に接触して当該裏面M2を巻き掛けつつ回転するローラ471~477のみによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを二度上下反転させる。すなわち、反転搬送部47は、ローラやエアターンバーといった支持部材を印刷媒体Mの表面M1側に全く設けることなく、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを二度上下反転させることができる。
【0048】
また、搬送部4は、上方搬送部43の上方で且つ反転搬送部47のローラ477より一方側X1に設けられた白搬送部48を有する。この白搬送部48はローラ481を有し、反転搬送部47のローラ477から搬送されてきた印刷媒体Mは、ローラ481によって白印刷部33の下方に支持される。このように、白搬送部48のローラ481は、反転搬送部47のローラ477から搬送されてきた印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触することで印刷媒体Mを下方から支持しつつ、他方側X2から一方側X1へ向けて印刷媒体Mを搬送する。そして、白印刷部33の吐出ヘッド331は、白搬送部48によってその表面M1に沿って搬送される印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出する。
【0049】
さらに、搬送部4は、上方搬送部43より上方で且つ白搬送部48の一方側X1に設けられた搬出部49を有する。搬出部49は、印刷媒体Mを駆動するローラ491(駆動ローラ)と、ローラ491の一方側X1においてX方向に配列された複数のローラ492とを有する。これらローラ491、492は、印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触する。そして、ローラ491によって駆動される印刷媒体Mの搬送に伴って各ローラ492が回転する。これに対して、筐体31の一方側X1の側壁には搬出口312が開口しており、搬出部49の複数のローラ491、492は、他方側X2から一方側X1へ向けて印刷媒体Mを搬送することで、印刷媒体Mを搬出口312から搬出する。そして、乾燥部34の送風チャンバ341は、搬出部49によって搬送される搬送される印刷媒体Mの表面M1に上方から気体を噴射する。
【0050】
このように、印刷装置3は、カラー印刷部32によるカラーインクの吐出、白印刷部33による白インクの吐出および乾燥部34による乾燥を、この順番で印刷媒体Mに実行する。特に、印刷装置3は、カラー印刷ユニット5、白印刷ユニット6および乾燥ユニット8に分解可能に構成されている。続いては、この点について詳述する。
【0051】
カラー印刷ユニット5は、カラー印刷部32によって印刷媒体Mにカラーインクを吐出する機能を担う。このカラー印刷ユニット5はユニット筐体51を有し、カラー印刷部32はユニット筐体51に取り付けられている。白印刷ユニット6は、白印刷部33によって印刷媒体Mに白インクを吐出する機能を担う。この白印刷ユニット6はユニット筐体61を有し、白印刷部33はユニット筐体61に取り付けられている。また、乾燥ユニット8は乾燥部34によって印刷媒体Mを乾燥させる機能を担う。この乾燥ユニット8はユニット筐体81を有し、乾燥部34はユニット筐体81に取り付けられている。上述の筐体31は、これらのユニット筐体51、61、81によって構成される。
【0052】
図3はカラー印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す斜視図であり、
図4はカラー印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す平面図である。
図3および
図4および以下の図では、Y方向の一方側Y1および他方側Y2を適宜示す。ここで、一方側Y1と他方側Y2とは互いに反対を向く。これらの図に示すように、ユニット筐体51は、基台52と、基台52に載置・固定されたアウターフレーム53と、基台52に載置・固定されたインナーフレーム54とを有する。
【0053】
基台52は、Z方向からの平面視において長方形を有する平板であり、X方向に平行な2個の長辺とY方向に平行な2個の短辺を有する。また、基台52の上面52uは、X方向およびY方向に平行な平面である。
【0054】
アウターフレーム53は、基台52の長方形の4隅において上面52uから上方に立設された4本の支柱531、532を有する。これら4本の支柱531、532のうち、一方側X1の2本の支柱532は、他方側X2の2本の支柱531より長い。また、アウターフレーム53は、上面52uの一方側Y1の端において、2本の支柱531、532の間に立設された支柱533を有するとともに、上面52uの他方側Y2の端において、2本の支柱531、532の間に立設された支柱533を有する。こうして設けられた2本の支柱533はY方向に平行に並び、支柱531と同じ長さを有する。
【0055】
さらに、アウターフレーム53は、X方向に並ぶ支柱531と支柱533との上端を接続するように支柱531、533に取り付けられた載置プレート534を有する。この載置プレート534は一方側Y1および他方側Y2のそれぞれに設けられ、換言すれば、2個の載置プレート534がY方向に間隔を空けて設けられる。載置プレート534は、X方向に延設された直方体形状を有し、載置プレート534の上面534uはX方向およびY方向に平行な平面である。Z方向において、載置プレート534の厚みは、支柱532と支柱533との長さの差に相当する。したがって、載置プレート534の上面534uと、支柱532の上端とは同じ高さに位置する。
【0056】
また、アウターフレーム53は、X方向に平行に延設されたビーム535を有し、ビーム535は、載置プレート534の上面534uと、支柱532の上端とを接続する。このビーム535は、一方側Y1および他方側Y2のそれぞれに設けられ、換言すれば、2個のビーム535がY方向に間隔を空けて設けられる。Y方向において、載置プレート534はビーム535より広い。一方側Y1においては、載置プレート534の一方側Y1の端とビーム535の一方側Y1の端とが一致しており、載置プレート534は、ビーム535よりも他方側Y2(内側)に突出している。また、他方側Y2においては、載置プレート534の他方側Y2の端とビーム535の他方側Y2の端とが一致しており、載置プレート534はビーム535よりも一方側Y1(内側)に突出している。
【0057】
アウターフレーム53は、Y方向に延設された2本のビーム536、537を有する。2本のビーム536、537は、Y方向に間隔を空けて配置された2個の載置プレート534をY方向に接続する。2本のビーム536、537はX方向に間隔を空けて配置され、一方側X1のビーム537は、2個の載置プレート534の一方側X1の端を接続し、他方側X2のビーム536は2個の載置プレート534の他方側X2の端を接続する。また、アウターフレーム53は、Y方向に延設されたビーム538を有し、このビーム538は、Y方向に間隔を空けて配置された2個のビーム535の一方側X1の端を接続する。
【0058】
図4に示すように、インナーフレーム54は、Y方向に間隔を空けて対向するように配置された2個の支持プレート541を有する。支持プレート541は、Y方向に薄い平板であり、X方向に延設されている。2個の支持プレート541は、基台52の上面52uから上方に立設されており、Z方向の平面視において、アウターフレーム53の内側に位置する。
【0059】
そして、カラー印刷ユニット5は、ユニット筐体51のインナーフレーム54によってカラー印刷部32を支持する。具体的には、カラー印刷部32を構成する複数の吐出ヘッド321が、インナーフレーム54の2個の支持プレート541の間に配置されて、これら支持プレート541によって支持される。
【0060】
さらに、カラー印刷ユニット5は、搬入口311からカラー印刷部32を経由して白印刷ユニット6に到るまでの搬送部4の一部をユニット筐体51によって支持する。具体的には、搬入部41、上昇搬送部42および上方搬送部43の各ローラ411、421、431はアウターフレーム53によって回転可能に支持されている。また、下降搬送部44のローラ441のうち、最下端のローラ441以外のローラ441は、アウターフレーム53によって回転可能に支持される。さらに、反転搬送部47のローラ474、475はアウターフレーム53によって回転可能に支持される。
【0061】
一方、
図2の正面視においてインナーフレーム54に重なる各ローラは、インナーフレーム54の2個の支持プレート541の間に配置されて、2個の支持プレート541によって回転可能に支持される。具体的には、下降搬送部44のローラ441のうち、最下端のローラ441は、インナーフレーム54に支持される。また、カラー搬送部45の各ローラ451、ローラ461、462および反転搬送部47のローラ471、472、473は、インナーフレーム54に支持される。
【0062】
このようにカラー印刷ユニット5では、吐出ヘッド321と、当該吐出ヘッド321からのインクが着弾する印刷媒体Mを支持するローラ451(カラー搬送部45)とが、いずれもユニット筐体51のインナーフレーム54によって保持される。つまり、吐出ヘッド321の両側で印刷媒体Mを支持するローラ451と、当該吐出ヘッド321とがインナーフレーム54によって位置決めされている。したがって、ローラ451によって搬送される印刷媒体Mに吐出ヘッド321を的確に対向させつつ、吐出ヘッド321から印刷媒体Mにインクを吐出することができる。
【0063】
図5は白印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す斜視図であり、
図6は白印刷ユニットのユニット筐体の部分構成を模式的に示す平面図である。白印刷ユニット6のユニット筐体61は、Z方向からの平面視において長方形を有するフレーム63を有する。このフレーム63は、Y方向に間隔を空けて対向するように配置された2個の支持プレート631、632を有する。支持プレート631、632は、X方向に延設されたY方向に薄い平板であり、支持プレート631、632の下端はX方向に平行である。また、支持プレート631、632の側面631s、632sは、X方向およびZ方向に平行な平面である。2個の支持プレート631、632は、載置プレート534の上面534uから上方に立設されている。つまり、2個の支持プレート631、632のうち、一方側Y1の支持プレート631は、一方側Y1の載置プレート534に配置され、他方側Y2の支持プレート632は他方側Y2の載置プレート534に配置される。
【0064】
ユニット筐体61は、2個の支持プレート631、632を他方側X2の端で接続する2本のビーム634と、2個の支持プレート631、632を一方側X1の端で接続する2本のビーム635とを有する。2本のビーム634は間隔を空けてZ方向に配列され、2本のビーム635は間隔を空けてZ方向に配列される。また、Z方向からの平面視において、ビーム634とビーム635とはX方向に間隔を空けて配置される。
【0065】
さらに、ユニット筐体61は、フレーム63の一方側Y1において、X方向に配列された複数(2個)の被位置決め部材65を有する。被位置決め部材65は、支持プレート631、632のうち、一方側Y1の支持プレート631の一方側Y1(外側)の側面631sに固定されており、支持プレート631の側面631sから一方側Y1(外側)に突出する。被位置決め部材65の下面は、X方向およびY方向に平行な平面であり、支持プレート631の下端と同じ高さに位置する。
【0066】
また、ユニット筐体61は、フレーム63の他方側Y2において、X方向に配列された複数(2個)の被対向部材67を有する。被対向部材67は、支持プレート631、632のうち、他方側Y2の支持プレート632の他方側Y2(外側)の側面632sに固定されており、支持プレート632の側面632sから他方側Y2(外側)に突出する。被対向部材67の下面は、X方向およびY方向に平行な平面であり、支持プレート632の下端と同じ高さに位置する。
【0067】
そして、白印刷ユニット6は、ユニット筐体61のフレーム63によって白印刷部33を支持する。具体的には、白印刷部33を構成する吐出ヘッド331が、フレーム63の2個の支持プレート631、632の間に配置されて、これら支持プレート631、632によって支持される。
【0068】
さらに、白印刷ユニット6は、カラー印刷ユニット5から乾燥ユニット8に到るまでの搬送部4の一部をユニット筐体61によって支持する。具体的には、反転搬送部47のローラ476、477、白搬送部48のローラ481および搬出部49のローラ491が、フレーム63の2個の支持プレート631、632の間に配置されて、2個の支持プレート631、632によって回転可能に支持される。
【0069】
このように白印刷ユニット6では、吐出ヘッド331と、当該吐出ヘッド331からのインクが着弾する印刷媒体Mを支持するローラ477、481とが、いずれもユニット筐体61のフレーム63によって保持される。つまり、吐出ヘッド331の両側で印刷媒体Mを支持するローラ477、481と当該吐出ヘッド331とがフレーム63によって位置決めされている。したがって、ローラ477、481によって搬送される印刷媒体Mに吐出ヘッド331を的確に対向させつつ、吐出ヘッド331から印刷媒体Mにインクを吐出することができる。
【0070】
この白印刷ユニット6のユニット筐体61は、被位置決め部材65および被対向部材67を介してカラー印刷ユニット5のユニット筐体51に取り付けられる。続いては、
図7A~
図7Dを併用しつつ、この点について説明する。ここで、
図7A~
図7Dはカラー印刷ユニットに白印刷ユニットを取り付ける部材を模式的に示す平面図である。
【0071】
図7Aおよび
図7Bに示すように、被位置決め部材65は、Z方向からの平面視においてX方向に延設された長方形を有する直方体であり、X方向およびZ方向に平行な2個の側面651、652を有する。これら側面651、652のうち、他方側Y2(内側)の側面652は支持プレート631の側面631sに固定されている。さらに、被位置決め部材65は、支持プレート631の側面631sから一方側Y1(外側)に突出する端面653、654および上面655を有する。端面653、654は、Y方向およびZ方向に平行な平面であり、端面653は一方側X1を向き、端面654は他方側X2を向く。また、上面655は、X方向およびY方向に平行な平面であって上側を向く。
【0072】
被位置決め部材65には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC65が、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、被位置決め部材65は、載置プレート534の上面534uにネジC65によって締結されている。すなわち、白印刷ユニット6のユニット筐体61は、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51にネジC65によって固定されている。
【0073】
図6および
図7Aに示すように、2個の被位置決め部材65のうち、一方側X1の被位置決め部材65に対しては、位置決め部材71が設けられている。位置決め部材71は、X方向に延設された延設部711と、延設部711の一方側X1の端から他方側Y2に突出した突出部712とを有する。延設部711および突出部712はいずれも、Z方向からの平面視において長方形を有する直方体である。
【0074】
さらに、位置決め部材71は、延設部711の他方側Y2の側面に取り付けられた複数(2個)の当接部713と、突出部712の他方側X2の側面に取り付けられた当接部714とを有する。これら複数の当接部713は、X方向に配列されている。位置決め部材71の当接部713は、一方側Y1から被位置決め部材65の側面651に当接し、位置決め部材71の当接部714は、一方側X1から被位置決め部材65の端面653に当接する。
【0075】
この位置決め部材71には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC71が、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、位置決め部材71は、載置プレート534の上面534uにネジC71によって締結されている。
【0076】
図6および
図7Bに示すように、2個の被位置決め部材65のうち、他方側X2の被位置決め部材65に対しては、位置決め部材72が設けられている。位置決め部材72は、X方向に延設された延設部721を有し、延設部721は、Z方向からの平面視において長方形を有する直方体である。
【0077】
さらに、位置決め部材72は、延設部721の他方側Y2の側面に取り付けられた複数(2個)の当接部723を有する。これら複数の当接部723は、X方向に配列されている。位置決め部材72の当接部723は、一方側Y1から被位置決め部材65の側面651に当接する。
【0078】
この位置決め部材72には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC72が、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、位置決め部材72は、載置プレート534の上面534uにネジC72によって締結されている。
【0079】
図7Cおよび
図7Dに示すように、被対向部材67は、Z方向からの平面視においてX方向に延設された長方形を有する直方体であり、X方向およびZ方向に平行な2個の側面671、672を有する。これら側面671、672のうち、一方側Y1(内側)の側面672は支持プレート632の側面632sに固定されている。さらに、被対向部材67は、支持プレート632の側面632sから他方側Y2(外側)に突出する端面673、674および上面675を有する。端面673、674は、Y方向およびZ方向に平行な平面であり、端面673は一方側X1を向き、端面674は他方側X2を向く。また、上面675は、X方向およびY方向に平行な平面であって上側を向く。
【0080】
被対向部材67には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC67が、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、被対向部材67は、載置プレート534の上面534uにネジC67によって締結されている。すなわち、白印刷ユニット6のユニット筐体61は、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51にネジC67によって固定されている。
【0081】
図6および
図7Cに示すように、2個の被対向部材67のうち、一方側X1の被対向部材67に対しては、対向部材73が設けられている。対向部材73は、X方向に延設された延設部731と、延設部731の一方側X1の端から一方側Y1に突出した突出部732とを有する。延設部731および突出部732はいずれも、Z方向からの平面視において長方形を有する直方体である。
【0082】
さらに、対向部材73は、突出部732の他方側X2の側面に取り付けられた当接部734を有する。対向部材73の当接部734は、一方側X1から被対向部材67の端面673に当接する。一方、Y方向においては、対向部材73の延設部731が他方側Y2から隙間を空けて被対向部材67に対向する。また、延設部731には、ネジ穴がY方向に貫通しており、このネジ穴に他方側Y2から螺合するネジC73aの先端が延設部731から一方側Y1に突出して被対向部材67の側面671に当接する。なお、ネジC73aの頭は、延設部731より他方側Y2に位置する。
【0083】
この対向部材73には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC73bが、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、対向部材73は、載置プレート534の上面534uにネジC73bによって締結されている。
【0084】
図6および
図7Dに示すように、2個の被対向部材67のうち、他方側X2の被対向部材67に対しては、対向部材74が設けられている。対向部材74は、X方向に延設された延設部741を有し、延設部741は、Z方向からの平面視において長方形を有する直方体である。
【0085】
Y方向において、対向部材74の延設部741が他方側Y2から隙間を空けて被対向部材67に対向する。また、延設部741には、ネジ穴がY方向に貫通しており、このネジ穴に他方側Y2から螺合するネジC74aの先端が延設部741から一方側Y1に突出して被対向部材67の側面671に当接する。なお、ネジC74aの頭は、延設部741より他方側Y2に位置する。
【0086】
この対向部材74には、X方向に並ぶ複数の挿入孔がZ方向に貫通しており、各挿入孔に上方から挿入されたネジC74bが、載置プレート534の上面534uに螺合する。こうして、対向部材74は、載置プレート534の上面534uにネジC74bによって締結されている。
【0087】
かかる構成では、ネジC65によって被位置決め部材65をユニット筐体51に締結するとともに、ネジC67によって被対向部材67をユニット筐体51に締結することで、白印刷ユニット6をカラー印刷ユニット5に固定することができる。一方、ネジC65およびネジC67を取り外すことで、白印刷ユニット6とカラー印刷ユニット5との固定を解除して、白印刷ユニット6をカラー印刷ユニット5から分離できる。つまり、作業者は、ネジC65、C67を回転させることで、白印刷ユニット6とカラー印刷ユニット5との固定および分離を実行できる。
【0088】
図8は乾燥ユニットのユニット筐体の部分的構成を模式的に示す斜視図である。特に
図8では、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51に取り付けられたユニット筐体81が示されている。ユニット筐体81は、Z方向の平面視において長方形を有する2個の矩形フレーム82、83を有する。これら矩形フレーム82、83は同一の形状を有し、Z方向からの平面視において重なり合うように上下に配置されている。これらのうち、下側の矩形フレーム82は、X方向に平行な2本の長辺ビーム821と、Y方向に平行な2本の短辺ビーム822とで構成され、上側の矩形フレーム83は、X方向に平行な2本の長辺ビーム831と、Y方向に平行な2本の短辺ビーム832とで構成される。
【0089】
また、ユニット筐体81は、矩形フレーム82、83の4隅を接続する4個の支柱841を有する。各支柱841はZ方向に平行に延設され、支柱841の下端が矩形フレーム82に取り付けられ、支柱841の上端が矩形フレーム83に取り付けられる。また、ユニット筐体81は、X方向において、2本の支柱841の間に配置された2本の支柱842を有する。各支柱842はZ方向に平行に延設され、支柱842の下端が矩形フレーム82に取り付けられ。支柱842の上端が矩形フレーム83に取り付けられる。
【0090】
かかる乾燥ユニット8は、ユニット筐体81によって乾燥部34を支持する。具体的には、乾燥部34を構成する送風チャンバ341がユニット筐体81の内部に配置されて、当該ユニット筐体81(例えば2本の長辺ビーム831)によって支持される。さらに、乾燥ユニット8は、白印刷ユニット6から搬出口312に到るまでの搬送部4の一部をユニット筐体81によって支持する。具体的には、搬出部49のローラ492がユニット筐体81の内部に配置されて、当該ユニット筐体81によって回転可能に支持される。
【0091】
このように乾燥ユニット8では、送風チャンバ341と、当該送風チャンバ341からのエアが吹き付けられる印刷媒体Mを支持するローラ492とが、いずれもユニット筐体81によって支持される。つまり、送風チャンバ341(ノズル342)の両側で印刷媒体Mを支持するローラ492と、当該送風チャンバ341とがユニット筐体81によって位置決めされている。したがって、ローラ492によって搬送される印刷媒体Mに送風チャンバ341を的確に対向させつつ、送風チャンバ341から印刷媒体Mにエアを噴射することができる。
【0092】
また、乾燥ユニット8は、乾燥ユニット固定部材85によってカラー印刷ユニット5のユニット筐体51に取り付けられている。具体的には、他方側X2の短辺ビーム822の両端に対して2個の乾燥ユニット固定部材85が設けられるとともに、ビーム538の両端に対して2個の乾燥ユニット固定部材85が設けられている。こうして合計4個の乾燥ユニット固定部材85が設けられている。一方、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51の上面(ビーム535の上面)には、4個の乾燥ユニット固定部材85に対応して4個の取付プレート591が固定されている。取付プレート591の上面および下面は、X方向およびY方向に平行な平面である。また、乾燥ユニット8のユニット筐体81の下面(長辺ビーム821の下面)には、4個の乾燥ユニット固定部材85に対応して4個の取付プレート843が固定されている。取付プレート843の上面および下面は、X方向およびY方向に平行な平面である。
【0093】
乾燥ユニット固定部材85は、Z方向に平行な支柱854と、支柱854の下端に取り付けられた取付フランジ852と、支柱854の上端に取り付けられた取付フランジ853とを有する。さらに、乾燥ユニット固定部材85は、Z方向に平行なネジ851を有する(
図9参照)。そして、取付フランジ852が取付プレート591にネジ854によって締結されることで、乾燥ユニット固定部材85がカラー印刷ユニット5のユニット筐体51に取り付けられる。また、取付フランジ853が取付プレート843に図示しないネジによって締結されることで、乾燥ユニット固定部材85が乾燥ユニット8のユニット筐体81に取り付けられる。こうして、乾燥ユニット固定部材85によって、乾燥ユニット8がカラー印刷ユニット5に取り付けられる。
【0094】
かかる構成では、乾燥ユニット固定部材85によって乾燥ユニット8をカラー印刷ユニット5に固定することができる。一方、ネジ851および取付フランジ853を取付プレート843に締結するための図示しないネジを取り外して、乾燥ユニット固定部材85による固定を解除することで、乾燥ユニット8をカラー印刷ユニット5から分離できる。つまり、作業者は、ネジ854を回転させることで、乾燥ユニット8とカラー印刷ユニット5との固定および分離を実行できる。
【0095】
この際、乾燥ユニット固定部材85の取付フランジ852を取付プレート591に取り付けるにあたっては、位置調整器具77によって、取付フランジ852と取付プレート591との位置が調整される。また、乾燥ユニット固定部材85の取付フランジ853を取付フランジ843に取り付けるにあたっては、位置調整器具77によって取付フランジ853と取付プレート843との位置が調整される。ここで、位置調整器具77は、
図8に示すように、取付フランジ852および取付プレート591のX2方向側の側面とX1方向側の側面とにそれぞれ対向するように取り付けられている。また、同様に、位置調整器具77は、取付フランジ853および取付プレート843のY1方向側の側面とY2方向側の側面とにそれぞれ対抗するように取り付けられている。なお、位置調整器具77による位置調整の態様は両者で共通するため、
図9を用いて前者について説明を行う。
【0096】
図9は位置調整器具の構成を模式的に示す側面図である。この位置調整器具77は屈曲金具771を有する。この屈曲金具771は、Z方向に延設されたプレート772と、プレート772より対象物(取付フランジ852、取付プレート591)から離間するプレート773とを有する。換言すれば、屈曲金具771は、プレート772の外側の側面と、プレート773の内側の側面とを接続した構成を有し、プレート772とプレート773との境界部分で屈曲する。そして、屈曲金具771が取付フランジ852の側面に対向するとともに、屈曲金具771が取付プレート591の側面に対向する。
【0097】
また、屈曲金具771は、プレート772に水平に螺合するネジ774と、プレート773に水平に螺合するネジ775とを有する。ネジ774の先端は、取付フランジ852に螺合する一方、ネジ775の先端は、取付プレート591に当接する。かかる位置調整器具77によれば、位置調整器具77を取付フランジ852にねじ込むことで、取付フランジ852と位置調整器具77との水平方向への間隔を短くできる一方、ネジ775をプレート773にねじ込むことで、取付プレート591と位置調整器具77との距離を長くできる。こうして、作業者は、取付フランジ852および取付プレート591のX2方向側の側面とX1方向側の側面とにそれぞれ対向するように取り付けられた各位置調整器具77に対して、ネジ774、775を回転させることで、取付フランジ852と取付プレート591との位置関係を水平方向に調整できる。
【0098】
図10は印刷装置を工場から納入先へ出荷する前に作業者により実行される準備作業を示すフローチャートであり、特にカラー印刷ユニット5に対する白印刷ユニット6の位置精度を担保するための作業を示す。ステップS101では、白印刷ユニット6がカラー印刷ユニット5の上に載置される。これによって、カラー印刷ユニット5の2個の載置プレート534に、白印刷ユニット6のユニット筐体61の2個の支持プレート631と632が上方から当接する。
【0099】
ステップS102では、作業者は、カラー印刷ユニット5に対する白印刷ユニット6の位置を調整する。具体的には、被位置決め部材65の挿入孔に挿入されたネジC65を載置プレート534のネジ穴に緩く螺合させるとともに、被対向部材67の挿入穴に挿入されたネジC67を載置プレート534のネジ穴に緩く螺合させる。この状態で、作業者は、レーザ芯出し測定器によって、X方向、Y方向あるいはZ方向を示すレーザのラインをカラー印刷ユニット5および白印刷ユニット6に照射しつつ、白印刷ユニット6の位置を微調整する。具体的には、カラー印刷ユニット5のローラと白印刷ユニット6のローラとが平行になるように位置調整が実行される。かかる位置調整は、被位置決め部材65および被対向部材67の各挿入孔と、ネジC65、C67との間の隙間の範囲で実行できる。
【0100】
こうして、白印刷ユニット6がカラー印刷ユニット5に対して位置決めされると、被位置決め部材65に挿入されたネジC65が載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC65の頭が被位置決め部材65を載置プレート534に押圧して、被位置決め部材65が載置プレート534に締結される。さらに、被対向部材67に挿入されたネジC67が載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC67の頭が被対向部材67を載置プレート534に押圧して、被対向部材67が載置プレート534に締結される。これによって、白印刷ユニット6はカラー印刷ユニット5に対して位置決めされた状態で固定される(ステップS103)。
【0101】
ステップS104では、作業者は、位置決め部材71、72および対向部材73、74を載置プレート534に載置して、これらを被位置決め部材65、65および被対向部材67、67に対して位置決めする。これによって、一方側X1の被位置決め部材65に対して、位置決め部材71が一方側X1および一方側Y1から当接する(
図7A)。他方側X2の被位置決め部材65に対して、位置決め部材72が一方側Y1から当接する(
図7B)。一方側X1の被対向部材67に対して、対向部材73が一方側X1から当接するとともに、他方側Y2から隙間を空けて対向する(
図7C)。また、他方側X2の被対向部材67に対して、対向部材74が他方側Y2から隙間を空けて対向する(
図7D)。なお、ネジC73a、C74aのそれぞれは緩められた状態にある。
【0102】
ステップS105では、位置決め部材71の挿入孔に挿入されたネジC71が載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC71の頭が位置決め部材71を載置プレート534に押圧して、位置決め部材71が載置プレート534に締結される。また、位置決め部材72の挿入孔に挿入されたネジC72が載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC72の頭が位置決め部材72を載置プレート534に押圧して、位置決め部材72が載置プレート534に締結される。
【0103】
さらに、ステップS105では、対向部材73の挿入孔に挿入されたネジC73bが載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC73bの頭が対向部材73を載置プレート534に押圧して、対向部材73が載置プレート534に締結される。また、対向部材74の挿入孔に挿入されたネジC74bが載置プレート534のネジ穴にねじ込まれる。これによって、ネジC74bの頭が対向部材74を載置プレート534に押圧して、対向部材74が載置プレート534に締結される。
【0104】
こうして、位置決め部材71、72および対向部材73、74の載置プレート534での位置が固定されると、ネジC65、C67が取り外されて、白印刷ユニット6がカラー印刷ユニット5から取り外される。これによって、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とを分離した状態で、納入先まで運搬することができる。
【0105】
図11は印刷装置を納入先へ納入した後に作業者により実行される組立作業を示すフローチャートであり、特にカラー印刷ユニット5に対する白印刷ユニット6の位置精度を担保するための作業を示す。ステップS201では、カラー印刷ユニット5に白印刷ユニット6が載置される。こうして、白印刷ユニット6が載置されたカラー印刷ユニット5の載置プレート534には、位置決め部材71、72および対向部材73、74が予め固定されている(ステップS105)。そして、ステップS202では、白印刷ユニット6の各被位置決め部材65が位置決め部材71、72に突き当てられる。
【0106】
ステップS203では、作業者は位置調整治具79(
図12)が、載置プレート534に装着される。取り付ける。
図12は位置調整治具の構成を模式的に示す正面図である。位置調整治具79は、第1装着部材791と第2装着部材792とを有する。第1装着部材791は、載置プレート534の上面534uに載置される基台部791aと、基台部791aからZ方向に立設された立設部791bとを有するL形の部材である。そして、Z方向に平行なネジC791によって基台部791aが載置プレート534に締結される。
【0107】
第2装着部材792は、Z方向に延設された直方体形の部材であり、支持プレート631の側面631sに装着される。具体的には、第2装着部材792は、Y方向に平行な2本のネジC792によって支持プレート631に締結される。これによって、第2装着部材792は、側面631sから外側に突出する。
【0108】
そして、第1装着部材791の立設部791bは、側面631sから突出する第2装着部材792に対してX方向の他方側X2から対向する。また、位置調整治具79は、X方向に平行な2本のネジC794、C795を有する。ネジC794は、立設部791bをY方向に貫通する挿入孔に他方側X2から挿入され、ネジC794の先端は、第2装着部材792のネジ穴に螺合するとともに、ネジC794の頭は、立設部791bに他方側X2から係合する。また、ネジC795は、立設部791bをY方向に貫通するネジ穴に他方側X2から螺合して、ネジC795の先端は、第2装着部材792に当接する。
【0109】
したがって、作業者は、ネジC794を第2装着部材792にねじ込むことで、支持プレート631(すなわち、白印刷ユニット6)を載置プレート534(すなわち、カラー印刷ユニット5)に対して他方側X2に動かすことができる。また、ネジC795を立設部791bにねじ込むことで、支持プレート631(すなわち、白印刷ユニット6)を載置プレート534(すなわち、カラー印刷ユニット5)に対して一方側X1に動かすことができる。なお。この位置調整治具79は、2個の支持プレート631と632のそれぞれに対して設けられる。
【0110】
ステップS204では、作業者は、ネジC73aを対向部材73にねじ込むとともに、ネジC74aを対向部材74にねじ込む。これによって、白印刷ユニット6をカラー印刷ユニット5に対して一方側Y1に動かして、Y方向において被位置決め部材65を位置決め部材71にしっかりと突き当てることができる。また、ステップS205では、作業者は、ネジC795を立設部791bにねじ込む。これによって、白印刷ユニット6をカラー印刷ユニット5に対して一方側X1に動かして、X方向において被位置決め部材65を位置決め部材71にしっかりと突き当てることができるとともに、被対向部材67を対向部材73にしっかりと突き当てることができる。なお、これらステップS204、S205は交互に実行してもよい。
【0111】
ステップS204、S205を実行することで、位置決め部材71、72および対向部材73に白印刷ユニット6を突き当てて、カラー印刷ユニット5に対して白印刷ユニット6を位置決めできる。こうして位置決めが完了すると、位置調整治具79が載置プレート534から取り外される(ステップS206)。そして、ステップS207では、白印刷ユニット6がカラー印刷ユニット5に固定される。白印刷ユニット6の固定は、上述のステップS103と同じ要領で実行できる。
【0112】
以上に説明するように、印刷装置3はカラー印刷ユニット5(第1印刷ユニット)と白印刷ユニット6(第2印刷ユニット)とを備える。これらは、ネジC65、C67(印刷ユニット固定部材)によって互いに固定される一方、ネジC65、C67による固定を解除することで、互いに分離できる。したがって、これらを分離することで、印刷装置3を容易に運搬できる。また、カラー印刷ユニット5は、ローラ451(第1ローラ)と、ローラ451によって搬送される印刷媒体Mに対向する吐出ヘッド321(第1ヘッド)とを、ユニット筐体51(第1保持部材)によって保持する。つまり、インクを吐出する吐出ヘッド321と、吐出されたインクが着弾する印刷媒体Mを支持するローラ451とは、ユニット筐体51によってこれらの位置関係が維持された状態で、カラー印刷ユニット5としてユニット化される。したがって、カラー印刷ユニット5の運搬の前後で、吐出ヘッド321とローラ451との位置関係が維持される。同様に、白印刷ユニット6の運搬の前後で、吐出ヘッド331(第2ヘッド)とローラ477、481(第2ローラ)との位置関係が維持される。そのため、印刷装置3の運搬先において、吐出ヘッド321から吐出されたインクを、ローラ451に支持される印刷媒体Mに適切に着弾させることができるとともに、吐出ヘッド331から吐出されたインクを、ローラ477、481に支持される印刷媒体Mに適切に着弾させることができ、印刷品質の担保が可能となる。こうして、印刷装置3の容易な運搬と印刷品質の担保の両立が実現可能となっている。
【0113】
また、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51と白印刷ユニット6のユニット筐体61(第2保持部材)とは、ネジC65、C67(締結部材)によって互いに締結される。かかる構成では、ネジC65、C67を外すことで、ユニット筐体51とユニット筐体61とを簡単に分離できるとともに、ネジC65、C67により締結することで、ユニット筐体51とユニット筐体61とを簡単に固定できる。
【0114】
また、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51に取り付けられた位置決め部材71、72が具備されている。これに対して、白印刷ユニット6のユニット筐体61は、ローラ477、481および吐出ヘッド331を保持するフレーム63と、フレーム63から突出する被位置決め部材65とを有する。そして、位置決め部材71、72と被位置決め部材65とが当接して、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51と白印刷ユニット6のユニット筐体61とが互いに位置決めされる。かかる構成では、位置決め部材71、72と被位置決め部材65との当接によって、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とを互いに位置決めできる。こうして、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6との位置精度を担保することができ、カラー印刷ユニット5により印刷した画像と、白印刷ユニット6により印刷した画像を適切に重ね合わせることができる。
【0115】
また、ネジC65は、位置決め部材71、72に当接する被位置決め部材65をユニット筐体51に締結することで、ユニット筐体51とユニット筐体61とを互いに固定する。かかる構成では、被位置決め部材65は、位置決め部材71、72に当接してユニット筐体51とユニット筐体61とを相互に位置決めする機能の他、ユニット筐体51とユニット筐体61とを固定するための機能も発揮することができる。
【0116】
また、Z方向からの平面視において、位置決め部材71、72は、印刷媒体Mが搬送されるX方向(搬送方向)およびY方向(幅方向)のうち少なくともY方向から被位置決め部材65に当接する。かかる構成では、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とのY方向への位置決めを、位置決め部材71、72と被位置決め部材65との当接によって簡単に実行できる。
【0117】
また、Z方向からの平面視において、位置決め部材71(多方向位置決め部材)は、X方向およびY方向のそれぞれから被位置決め部材65に当接する。かかる構成では、Y方向のみならずX方向におけるカラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6との位置決めを、位置決め部材71と被位置決め部材65との当接によって簡単に実行できる。
【0118】
また、Z方向からの平面視において、位置決め部材72(単方向位置決め部材)は、X方向からは被位置決め部材65に当接せずにY方向から被位置決め部材65に当接する。かかる構成では、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とのY方向への位置決めを、位置決め部材72と被位置決め部材65との当接によって簡単に実行できる。
【0119】
これら位置決め部材71、72は、白印刷ユニット6のフレーム63一方側Y1に設けられている。これに対して、白印刷ユニット6のフレーム63の他方側Y2には、対向部材73、74と、Y方向に延設されたネジC73a、C74a(押圧ネジ)とが設けられており、ネジC73a、C74aは他方側Y2から対向部材73、74にねじ込まれている。また、白印刷ユニット6のユニット筐体61は、フレーム63から他方側Y2に突出する被対向部材67を有する。そして、対向部材73、74は、他方側Y2から被対向部材67に対向し、対向部材73、74を貫通するネジC73a、C74aの先端が、被対向部材67にY方向から当接する。かかる構成では、ネジC73a、C74aを一方側Y1へ向けてねじ込んで、ネジC73a、C74aを対向部材73、74に対して一方側Y1に進めると、ネジC73a、C74aの先端が被対向部材67を一方側Y1に押圧する。これによって、ユニット筐体61を一方側Y1に押圧して、ユニット筐体61の被位置決め部材65を位置決め部材71、72にしっかりと当接させることができる。その結果、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6との高い位置精度を実現することができる。
【0120】
また、Z方向からの平面視において、対向部材73(多方向対向部材)は、X方向およびY方向のそれぞれから被対向部材67に対向する。この対向部材73は、Y方向において被対向部材67から離間する一方、X方向において被対向部材67に当接する。かかる構成では、対向部材73は、Y方向において被位置決め部材65を位置決め部材71、72にしっかりと当接させる機能の他、X方向において被対向部材67に当接することで、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とを位置決めする機能も発揮することができる。
【0121】
また、Z方向からの平面視において、対向部材74(単方向対向部材)は、X方向においては被対向部材67に対向せずに、Y方向において被対向部材67から離間しつつ被対向部材67に対向する。かかる構成では、対向部材74は、Y方向において被位置決め部材65を位置決め部材71、72にしっかりと当接させる機能を発揮することができる。
【0122】
また、ネジC67は、ユニット筐体51に被対向部材67を締結することで、ユニット筐体51とユニット筐体61とを互いに固定する。かかる構成では、被対向部材67は、被位置決め部材65を位置決め部材71、72にしっかりと当接させる機能の他、ユニット筐体51とユニット筐体61とを固定するための機能も発揮することができる。
【0123】
また、カラー印刷ユニット5に対する白印刷ユニット6のX方向への位置決めには、位置調整治具79が使用される。この位置調整治具79は、ユニット筐体51に着脱可能に取り付けられる第1装着部材791と、X方向から第1装着部材791に対向しつつユニット筐体61に着脱可能に取り付けられる第2装着部材792とを有する。また、ネジC795(第1ネジ)が、X方向から第1装着部材791にねじ込まれており、ネジC795の先端が第2装着部材792に当接する。また、ネジC794(第2ネジ)がX方向から第1装着部材791に挿入されており、ネジC794の頭が第1装着部材791に係合するとともに、ネジC794の先端が第2装着部材792にねじ込まれている。かかる位置調整治具79を用いることで、X方向において被位置決め部材65を位置決め部材71にしっかりと当接させることができる。
【0124】
また、カラー印刷ユニット5および白印刷ユニット6のそれぞれからインクが吐出された印刷媒体Mを乾燥させる乾燥ユニット8が具備されている。この乾燥ユニット8は、印刷媒体Mを搬送するローラ492(第3ローラ)と、ローラ492により搬送される印刷媒体Mに対向する送風チャンバ341(乾燥チャンバ)と、ローラ492と送風チャンバ341とを保持するユニット筐体81(第3保持部材)とを有する。また、乾燥ユニット8のユニット筐体81と、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51とは、乾燥ユニット固定部材85によって互いに固定されており、乾燥ユニット固定部材85によるユニット筐体81とユニット筐体51との固定を解除することで、乾燥ユニット8とカラー印刷ユニット5とが互いに分離される。
【0125】
つまり、カラー印刷ユニット5および白印刷ユニット6とは別に乾燥ユニット8が具備される。この乾燥ユニット8とカラー印刷ユニット5とは、乾燥ユニット固定部材85によって互いに固定される一方、乾燥ユニット固定部材85による固定を解除することで、互いに分離できる。したがって、これらを分離することで、印刷装置3を容易に運搬できる。また、乾燥ユニット8は、ローラ492と、ローラ492により搬送される印刷媒体Mに対向する送風チャンバ341とを、ユニット筐体81によって保持する。つまり、エアを噴射する送風チャンバ341と、噴射されたエアが吹き付けられる印刷媒体Mを支持するローラ492とは、ユニット筐体81によってこれらの位置関係が維持された状態で、乾燥ユニット8としてユニット化される。したがって、乾燥ユニット8の運搬の前後で、送風チャンバ341とローラ492との位置関係が維持される。そのため、印刷装置3の運搬先において、送風チャンバ341から噴射されたエアを、ローラ492に支持される印刷媒体Mに適切に吹き付けることができる。
【0126】
また、
図10に示した運搬準備方法および
図11に示した印刷装置の組立方法によれば、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6との位置調整をした状態で、白印刷ユニット6の被位置決め部材65に当接する位置に位置決め部材71、72が固定される(ステップS105)。その上で、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6が分離される(ステップS106)。したがって、カラー印刷ユニット5および白印刷ユニット6を分離して運搬できるため、印刷装置3を容易に運搬できる。また、カラー印刷ユニット5および白印刷ユニット6のそれぞれがユニット化されている。そのため、上述した通り、運搬先で組み立てた印刷装置3では、吐出ヘッド321から吐出されたインクを、ローラ451に支持される印刷媒体Mに適切に着弾させることができるとともに、吐出ヘッド331から吐出されたインクを、ローラ477、481に支持される印刷媒体Mに適切に着弾させることができる。こうして、印刷品質の担保が可能となっている。その結果、印刷装置3の容易な運搬と印刷品質の担保の両立が実現可能となっている。しかも、カラー印刷ユニット5のユニット筐体51に固定された位置決め部材71、72に、白印刷ユニット6のユニット筐体61の被位置決め部材65を当接させることで、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6とを互いに位置決めできる(ステップS202~S205)。こうして、カラー印刷ユニット5と白印刷ユニット6との位置精度を担保することができ、カラー印刷ユニット5により印刷した画像と、白印刷ユニット6により印刷した画像を適切に重ね合わせることができる。
【0127】
以上に説明した実施形態では、印刷装置3が本発明の「印刷装置」の一例に相当し、吐出ヘッド321が本発明の「第1ヘッド」の一例に相当し、吐出ヘッド331が本発明の「第2ヘッド」の一例に相当し、送風チャンバ341が本発明の「乾燥チャンバ」の一例に相当し、ローラ451が本発明の「第1ローラ」の一例に相当し、ローラ477、481が本発明の「第2ローラ」の一例に相当し、ローラ492が本発明の「第3ローラ」の一例に相当し、カラー印刷ユニット5が本発明の「第1印刷ユニット」の一例に相当し、 ユニット筐体51が本発明の「第1保持部材」の一例に相当し、白印刷ユニット6が本発明の「第2印刷ユニット」の一例に相当し、ユニット筐体61が本発明の「第2保持部材」の一例に相当し、フレーム63が本発明の「フレーム」の一例に相当し、被位置決め部材65が本発明の「被位置決め部材」の一例に相当し、被対向部材67が本発明の「被対向部材」の一例に相当し、位置決め部材71が本発明の「多方向位置決め部材」の一例に相当し、位置決め部材72が本発明の「単方向位置決め部材」の一例に相当し、位置決め部材71、72が本発明の「位置決め部材」の一例に相当し、対向部材73が本発明の「多方向対向部材」の一例に相当し、対向部材74が本発明の「単方向対向部材」の一例に相当し、対向部材73、74が本発明の「対向部材」の一例に相当し、位置調整治具79が本発明の「位置調整治具」の一例に相当し、第1装着部材791が本発明の「第1装着部材」の一例に相当し、第2装着部材792が本発明の「第2装着部材」の一例に相当し、乾燥ユニット8が本発明の「乾燥ユニット」の一例に相当し、ユニット筐体81が本発明の「第3保持部材」の一例に相当し、乾燥ユニット固定部材85が本発明の「乾燥ユニット固定部材」の一例に相当し、ネジC65が本発明の「印刷ユニット固定部材」および「締結部材」の一例に相当し、ネジC73a、C74aが本発明の「押圧ネジ」の一例に相当し、ネジC794が本発明の「第2ネジ」の一例に相当し、ネジC795が本発明の「第1ネジ」の一例に相当し、印刷媒体Mが本発明の「印刷媒体」の一例に相当し、X方向が本発明の「搬送方向」の一例に相当し、Y方向が本発明の「幅方向」の一例に相当し、 一方側Y1が本発明の「一方側」の一例に相当し、他方側Y2が本発明の「他方側」の一例に相当する。
【0128】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、乾燥ユニット8は印刷装置3に必須ではない。
【0129】
また、被位置決め部材65あるいは被対向部材67の個数や配置を適宜変更してもよい。
【0130】
また、カラー印刷ユニット5における吐出ヘッド321の個数や、白印刷ユニット6における吐出ヘッド331の個数を適宜変更してもよい。
【0131】
また、ユニット筐体51およびユニット筐体61の具体的な構成は上記の例に限られない。
【0132】
また、印刷媒体Mを搬送する搬送部4の具体的構成は上記の例に限られない。
【0133】
また、上記では特に説明しなかったが、カラー印刷ユニット5においてインナーフレーム54を基台52に固定するにあたって、カラー印刷ユニット5に白印刷ユニット6を固定する態様が転用できる。この点について次に説明する。
【0134】
図4に示すように、基台52の上面52uには、位置決めピン521が立設されており、作業者は、インナーフレーム54を基台52の上面52uに載置する際に、インナーフレーム54を位置決めピン521に当接させることで、インナーフレーム54の位置をおおまかに調整する。
【0135】
また、インナーフレーム54(支持プレート541)の一方側Y1には、X方向に並ぶ複数の被位置決め部材65が取り付けられている。これに対応して、基台52の上面52uには、複数の位置決め部材72が固定されており、作業者は、複数の被位置決め部材65を複数の位置決め部材72にそれぞれ突き当てる。
【0136】
さらに、インナーフレーム54(支持プレート541)の他方側Y2には、X方向に並ぶ複数の被対向部材67が取り付けられている。これに対応して、基台52の上面52uには、複数の対向部材74が固定されており、作業者は、これら対向部材74に対して設けられたネジC73aをねじ込むことで、対向部材74に対向する被対向部材67を一方側Y1に押圧する。
【0137】
また、作業者は、位置調整治具79を各支持プレート541に対して装着して、位置調整治具79を操作する。これによって、インナーフレーム54の位置をX方向に調整する。かかる位置調整の完了後は、この位置調整治具79は取り外される。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、ローラによって搬送される印刷媒体にインクジェット方式でインクを吐出する印刷技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0139】
3…印刷装置
321…吐出ヘッド(第1ヘッド)
331…吐出ヘッド(第2ヘッド)
341…送風チャンバ(乾燥チャンバ)
451…ローラ(第1ローラ)
477…ローラ(第2ローラ)
481…ローラ(第2ローラ)
492…ローラ(第3ローラ)
5…カラー印刷ユニッ(第1印刷ユニット)
51…ユニット筐体(第1保持部材)
6…白印刷ユニット(第2印刷ユニット)
61…ユニット筐体(第2保持部材)
63…フレーム
65…被位置決め部材
67…被対向部材
71…位置決め部材(多方向位置決め部材)
72…位置決め部材(単方向位置決め部材)
73…対向部材(多方向対向部材)
74…対向部材(単方向対向部材)
79…位置調整治具
791…第1装着部材
792…第2装着部材
8…乾燥ユニット
81…ユニット筐体(第3保持部材)
85…乾燥ユニット固定部材
C65…ネジ(印刷ユニット固定部材)
C73a…ネジ(押圧ネジ)
C74a…ネジ(押圧ネジ)
C795…ネジ(第1ネジ)
C794…ネジ(第2ネジ)
M…印刷媒体
X…X方向(搬送方向)
Y…Y方向(幅方向)
Y1…一方側(一方側)
Y2…他方側(他方側)