(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】管集合体
(51)【国際特許分類】
F16L 9/19 20060101AFI20240701BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F16L9/19 B
B29C65/02
(21)【出願番号】P 2020159583
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019179367
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若松 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川西 康之
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-034461(JP,A)
【文献】特開2002-267052(JP,A)
【文献】特開2019-143818(JP,A)
【文献】特開2009-207744(JP,A)
【文献】特開平08-159346(JP,A)
【文献】実開昭62-030079(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 9/19
B29C 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の内層と、前記内層よりも外側に配された筒状の外層と、を有する複数の複層管が集合して一体化されてなる管集合体であって、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
複数の前記複層管のうちで隣接する前記複層管同士は、前記外層同士が溶着されており、
前記内層は、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を含有する管集合体。
【請求項2】
筒状の内層と、前記内層よりも外側に配された筒状の外層と、を有する複数の複層管が集合して一体化されてなる管集合体であって、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
複数の前記複層管のうちで隣接する前記複層管同士は、前記外層同士が溶着されており、
前記内層は、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を含有し、
前記熱可塑性樹脂は、融点が50℃以上180℃以下である管集合体。
【請求項3】
筒状の内層と、前記内層よりも外側に配された筒状の外層と、を有する複数の複層管が集合して一体化されてなる管集合体であって、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
複数の前記複層管のうちで隣接する前記複層管同士は、前記外層同士が溶着されており、
前記内層は、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を含有し、
前記外層の厚みは、0.05mm以上0.50mm以下である管集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管集合体、管集合体の製造方法、複層管、シューソール、樹脂成形体、マット、及びシートに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の樹脂管が集合した管集合体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管集合体は、例えば、樹脂管群を接着することで製造可能と考えられる。ところが、樹脂は、一般的に接着剤に対して濡れ性が低く、接着しにくい。もちろん、接着効果を上げるためにプライマーを塗布したり、プラズマ処理などの前処理を行うことも可能である。しかし、前処理をすると、工程が増え、製造管理の難易度及びコストが上がる。
また、接着剤の代わりにホットメルトフィルムを用いることも考えられるが、接着剤と同様の課題がある。
また、樹脂管群を熱で溶かして溶着することも考えられるが、樹脂の種類によっては熱で溶けないため溶着できない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、接着剤を用いず、かつ簡素な工程で製造可能な管集合体を提供することを目的の一つとする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕筒状の内層と、前記内層よりも外側に配された筒状の外層と、を有する複数の複層管が集合して一体化されてなる管集合体であって、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
複数の前記複層管のうちで隣接する前記複層管同士は、前記外層同士が溶着されている管集合体。
【発明の効果】
【0006】
本開示の管集合体は、内層と外層を有する複層管が複数集合し、一体化されてなる。複層管の外層は、熱可塑性樹脂を含有しており、隣接する複層管同士は、外層同士が溶着されている。この構成の管集合体は、接着剤が用いられていないから、簡素な工程で製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】管集合体の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】管集合体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】管集合体の製造方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】管集合体の製造方法の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図7】シューソールの第1実施形態を示す斜視図である。
【
図8】シューソールの第2実施形態を示す斜視図である。
【
図9】シューソールの第2実施形態の一部を示す断面図である。
【
図10】シューソールの第3実施形態を示す斜視図である。
【
図13】樹脂成形体に内蔵された管集合体の断面図である。
【
図14】樹脂成形体に内蔵された管集合体の断面図である。
【
図19】ソーラー温水システムの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕前記熱可塑性樹脂は、融点が50℃以上180℃以下である〔1〕に記載の管集合体。
〔3〕前記熱可塑性樹脂は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、TPEE(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、及びウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)からなる群より選択される1種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の管集合体。
〔4〕前記外層の厚みは、0.05mm以上0.50mm以下である〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の管集合体。
〔5〕前記内層は、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を含有する〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の管集合体。
〔6〕筒状の内層と、前記内層よりも外側に配され、熱可塑性樹脂を含有する筒状の外層と、を複層押出して、複層管を形成する押出工程と、
前記複層管を複数並べて、隣接する前記複層管のそれぞれの前記外層同士が接する状態で前記複層管を固定した上で、加熱して、前記複層管の複数を一体化させて管集合体とする加熱工程と、
を少なくとも備えた管集合体の製造方法。
〔7〕前記熱可塑性樹脂は、融点が50℃以上180℃以下である〔6〕に記載の管集合体の製造方法。
〔8〕前記加熱工程における加熱温度は、前記熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度である〔6〕又は〔7〕に記載の管集合体の製造方法。
〔9〕前記加熱工程では、前記複層管に心棒を挿入することで、隣接する前記複層管のそれぞれの前記外層同士が接する状態で前記複層管を固定する〔6〕~〔8〕のいずれか一項に記載の管集合体の製造方法。
〔10〕筒状の内層と、前記内層よりも外側に配された筒状の外層と、を有する複層管であって、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
曲げられて外層同士が溶着されている部位が存在している複層管。
〔11〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の管集合体及び〔10〕に記載の複層管の少なくともいずれか一方を含んで構成されるシューソール。
〔12〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の管集合体及び〔10〕に記載の複層管の少なくともいずれか一方を内蔵した樹脂成形体。
〔13〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の管集合体及び〔10〕に記載の複層管の少なくともいずれか一方を含んで構成されるマット。
〔14〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の管集合体を含んで構成されるシートであって、
隣接する前記複層管の隣接する端部同士が、接続管によって繋げられて、連続した流路が形成されているシート。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、"x~y"という範囲を示す表記は、特に断りが無い限り、当該範囲にxとyが入るものとする。
【0009】
1.管集合体1
(1)全体の構成
管集合体1は、筒状の内層3と、内層3よりも外側に配された筒状の外層5と、を有する複数の複層管7が集合して一体化されてなる(
図1~
図3参照)。外層5は、熱可塑性樹脂を含有する。複数の複層管7のうちで隣接する複層管7同士は、外層5同士が溶着されている。
【0010】
(2)複層管7
複層管7は、
図1に示されるように内層3及び外層5を有する。なお、複層管7は、内層3と外層5との間に中間層を有していてもよい。
複層管7の内径は、特に限定されず、管集合体1の用途等により適宜選択することができる。内径は、例えば、2.0mm~10.0mmが好ましく、4.0mm~8.0mmがより好ましい。
複層管7の外径は、特に限定されず、管集合体1の用途等により適宜選択することができる。外径は、例えば、内径よりも0.5mm~5.0mm大きいことが好ましく、0.5mm~2.5mm大きいことがより好ましい。
【0011】
(2.1)内層3
複層管7の内層3の厚みは特に限定されず、管集合体1の用途等により適宜選択することができる。例えば、内層3の厚みは、複層管7の強度を十分に保つという観点から、0.1mm~3.0mmが好ましく、0.5mm~2.0mmがより好ましい。
内層3の構成は特に限定されない。内層3は、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を含有することが好ましい。
融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂としては、例えば、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂(シラン架橋性樹脂)が架橋した樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリエーテルスルホンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。これらの樹脂の中でも、加工時の温度範囲の制約がないという観点から、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂(シラン架橋性樹脂)など架橋した樹脂が好ましい。
【0012】
内層3に含有される、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂のショアA硬度は、40~95が好ましく、60~90がより好ましく、65~75が更に好ましい。ショアA硬度は、ショア硬度計(デュロメータータイプA)を用いてASTM D-2240によって測定できる。
【0013】
ここで、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂(シラン変性熱可塑性樹脂)について詳細に説明する。
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂は、ポリマー中の活性シラン基が水と反応し架橋して架橋構造を形成する樹脂である。
【0014】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂は、一般に用いられるものであれば、特に限定されない。架橋性シラン変性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンのシラン変性物、ポリプロピレンのシラン変性物、エチレン-酢酸ビニル共重合体のシラン変性物、ポリスチレンのシラン変性物等が好適な例として示される。
【0015】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂を不飽和シラン化合物でグラフト変性して製造される。
この不飽和シラン化合物としては、一般式R1SiR2
mY3-mで表されるものが好ましい。
この式中、R1は、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル等のシクロアルケニル基や、γ-クロロエチル基、γ-ブロモエチル基等のハロゲン化アルキル基、グリシジル基、アミノ基、メタクリル基等の有機官能基を示す。
R2は脂肪族飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が挙げられる。また、mは0、1又は2を示す。
Yは加水分解可能な有機基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオノキシ基、アルキル基、又はアリールアミノ基等が挙げられ、mが0又は1のとき、Y同士は同一であっても異なっていてもよい。
【0016】
上記一般式で表わされる不飽和シラン化合物として好ましくは、一般式CH2=CHSi(OA)3で表されるものが挙げられる。
この式中、Aはアルキル基又はアシル基であって、炭素数が1~8、中でも1~4のものが好ましく、このような好適なA基をもつ不飽和シラン化合物としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
上記架橋性シラン変性熱可塑性樹脂が、メトキシ基を有する場合は、メトキシ基と水とが接触して加水分解し水酸基となる。この水酸基と他の分子の水酸基が反応してSi-O-Si結合となり、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂同士が架橋する。この際、シラン架橋触媒を併用することが好ましい。
【0018】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂の架橋後のゲル分率は、特に限定されない。ゲル分率は、通常60~85%の範囲である。
ここでいう樹脂の架橋度を示すゲル分率は、JIS K 6769準拠による。
【0019】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されない。ポリエチレンのシラン変性物においては、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、190℃・2.16kg荷重で測定した値として、0.1~10g/10分であることが好ましい。
ポリプロピレンのシラン変性物においては、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、230℃・2.16kg荷重で測定した値として、0.1~10g/10分であることが好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体のシラン変性物においては、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、230℃・2.16kg荷重で測定した値として、0.1~10g/10分であることが好ましい。
ポリスチレンのシラン変性物においては、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、230℃・2.16kg荷重で測定した値として、0.1~10g/10分であることが好ましい。
【0020】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂には、シラン架橋触媒を添加することが好ましく、シラン架橋触媒は架橋性シラン変性熱可塑性樹脂同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン酸鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0021】
架橋性シラン変性熱可塑性樹脂には、必要に応じ、所望の物性を損なわない範囲内で、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂に通常用いられる添加成分、例えば強化剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、充填剤(炭酸カルシウム、木粉)等を添加することができる。
【0022】
なお、内層3における、融点が200℃以上300℃以下の樹脂、及び融点を有さない樹脂の合計含有量は70重量%~100重量%であることが好ましい。
【0023】
(2.2)外層5
複層管7の外層5の厚みは特に限定されず、管集合体1の用途等により適宜選択することができる。例えば、外層5の厚みは、0.05mm~0.50mmが好ましく、0.10mm~0.30mmがより好ましい。複層管7の機械的強度は、一般的に内層3の機械的特性に依存している場合が多い。この場合には、複層管7の機械的強度を確保するためには、外層5の影響を極力受けたくない。外層5の厚みを上記範囲とすると、複層管7の機械的強度に与える外層5の影響を極力小さくし、かつ複層管7同士の十分な溶着強度を担保できる。このように考えると、内層3の厚みは外層5の厚みよりも厚い方が好ましい。但し、内層3の硬度が外層5の硬度に比べ十分高い場合は、必ずしも内層3が外層5よりも厚い必要はない。
外層5に含有される熱可塑性樹脂は、融点が50℃以上180℃以下であることが好ましい。融点を180℃以下とすることで、熱可塑性樹脂を十分に溶融させて、複層管7同士の十分な溶着強度を担保できる。また、融点を50℃以上とすることで、管集合体1の耐熱性を担保できる。
熱可塑性樹脂は、具体的には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、TPEE(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、及びウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。流通量が多く安価で選択できる硬度、流動性の範囲が広いという観点から、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好ましい。
【0024】
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体を用いることができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンに由来する構造単位と炭素原子数4~10個のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンに由来する構造単位とを有する共重合体である。エチレン-α-オレフィン共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
【0025】
エチレン-α-オレフィン共重合体に用いられる炭素原子数4~10個のα-オレフィンとして、具体的には、1-オクテン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、環状構造を有するα-オレフィン等が挙げられ、好ましくは1-オクテン、1-ブテンが用いられる。
【0026】
エチレン-α-オレフィン共重合体に含有される炭素原子数4~10個のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは1~49重量%であり、より好ましくは1~30重量%であり、更に好ましくは1~20重量%である(エチレン-α-オレフィン共重合体の全体の重量を100重量%とする)。
【0027】
エチレン-α-オレフィン共重合体として、具体的には、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0028】
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製のエンゲージ(ENGAGE 商標)、ダウ・ケミカル日本株式会社製のインフューズ(INFUSE 商標)等を例示できる。
【0029】
外層5に含有される熱可塑性樹脂のショアA硬度は、40~95が好ましく、60~90がより好ましく、65~75が更に好ましい。ショアA硬度は、ショア硬度計(デュロメータータイプA)を用いてASTM D-2240によって測定できる。
【0030】
外層5に含有される熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されない。
内層3にポリエチレンのシラン変性物の架橋した樹脂を採用した場合には、外層5に含有される熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、ポリエチレンのシラン変性物のメルトフローレート(MFR)と同等とすることが好ましい。すなわち、外層5に含有される熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、190℃・2.16kg荷重で測定した値として、0.1~10g/10分であることが好ましい。このように、両者のメルトフローレートを揃えることで、後述する製造方法において、複層押出(共押出)する際に、内層3及び外層5が合わさった状態でスムーズに押し出される。
【0031】
なお、外層5は、熱可塑性樹脂を70重量%~100重量%含有することが好ましい。
【0032】
(3)管集合体1の効果
管集合体1では、隣接する複層管7の外層5同士が溶着されている。この構成の管集合体1は、接着剤が用いられていないから、簡素な工程で製造可能である。
複層管7の大きさ、本数を適宜変更することで、管集合体1を幅広い用途に適用できる。
外層5の材質を変えることで、すべり特性、耐摩耗性、テープ粘着性等の各種の機能を管集合体1に付与することができる。
外層5の厚みを変えることで複層管7同士の接着部の強度を調整できる。例えば、接着部で柔軟性(フレキシブル性)が要求される場合には、外層5の厚みを薄くすることで実現可能となる。
管集合体1では、熱処理時の温度と時間により、複層管7同士の接着の度合いを調整できる。例えば、複層管7同士を敢えて弱く接着しておき、後から複層管7同士を引きはがして使う用途にも対応できる。
管集合体1は、外層5同士が溶着され、この溶着は熱処理により達成できるから、接着剤やホットメルトフィルムを使う場合よりも、製造工程が簡素であり、自動化しやすい。また、製造工程が簡素であるので、接着剤の塗布量等の違いによる品質のばらつきが生じにくく、品質が安定する。また、製造工程が簡素であるので、製造装置を作製しやすく、製造装置のメンテナンスも容易である。
【0033】
2.管集合体1の製造方法
管集合体1の製造方法は、特に限定されない。以下、管集合体1の製造方法の好適な例を説明する。
(1)製造方法の第1例
(1.1)製造方法の概要
管集合体1は、筒状の内層3と、内層3よりも外側に配され、熱可塑性樹脂を含有する筒状の外層5と、を複層押出して、複層管7を形成する押出工程と、
複層管7を複数並べて、隣接する複層管7のそれぞれの外層5同士が接する状態で複層管7を固定した上で、加熱して、複層管7の複数を一体化させて管集合体1とする加熱工程と、
を少なくとも備える管集合体1の製造方法によって好適に製造できる。
管集合体1の製造方法の説明においては、既述の「1.管集合体1」の欄における「(1)全体の構成」「(2)複層管7」「(2.1)内層3」「(2.2)外層5」の説明をそのまま適用する。内層3及び外層5の材質も「(2.1)内層3」「(2.2)外層5」の欄の説明をそのまま適用する。
【0034】
(1.2)押出工程
押出工程は、筒状の内層3と、内層3よりも外側に配され、熱可塑性樹脂を含有する筒状の外層5と、を複層押出(共押出)して、複層管7を形成する工程である。
押出工程では、例えば、次の構造を有するダイス(図示しない)が用いられる。このダイスは、少なくとも円環状の内層流路と、円環状の外層流路を有している。ダイスは、内層流路に内層用樹脂を供給するための第1供給口と、外層流路に外層用樹脂を供給するための第2供給口とを備えている。第1供給口に、押出機からなる樹脂供給装置から内層用樹脂が供給され、第2供給口に、押出機からなる樹脂供給装置から外層用樹脂が供給される。
各供給口(第1供給口、第2供給口)に供給された各樹脂(内層用樹脂、外層用樹脂)は内層流路と外層流路を流動し、合流点で合流、積層し、更に下流に形成される円環状の合流路を経て円筒状積層体としてダイス出口から押し出される。この円筒状積層体は、そのまま複層管7として使用できる。また、円筒状積層体を引取り機により伸張して、縮径、及び層厚を減少しながらフォーマーを介して冷却賦形部に進入させ、水冷等の手段により軸心の径にサイジングされ複層管7としてもよい。
【0035】
(1.3)加熱工程
加熱工程は、複層管7を複数並べて、隣接する複層管7のそれぞれの外層5同士が接する状態で複層管7を固定した上で、加熱して、複層管7を一体化させる工程である。
【0036】
加熱工程の第1例について、
図4を参照しつつ説明する。複層管7を複数並べる(
図4(A)参照)。この際に、隣接する複層管7のそれぞれの外層5同士が接するようにする。
そして、隣接する複層管7のそれぞれの外層5同士が接する状態で複層管7を固定した上で、加熱する(
図4(B)参照)。この際に、外層5同士が接した状態で複層管7を固定する手段は特に限定されない。固定する手段としては、例えば、各複層管7の底部8を固定する底固定部11と、並べた状態で両側端に位置する複層管7の外側面10を固定する側固定部13とを少なくとも有する固定器具15を用いてもよい。また、加熱の際には、隣接する複層管7のそれぞれの外層5を圧縮して弾性変形させた状態で、複数の複層管7を固定することが好ましい。このようにすると、隣接する複層管7の外層5同士が密着し、接触面積が増加するので、隣接する複層管7の接着強度が高まる。
【0037】
加熱工程における加熱温度は、隣接する複層管7の外層5を十分に溶着させるため、熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度であることが好ましい。
加熱温度は、外層5の加熱溶融が容易という観点から、熱可塑性樹脂の融点よりも、10℃~150℃高いことが好ましく、60℃~100℃高いことがより好ましく、80℃~100℃高いことが更に好ましい。
【0038】
(1.4)その他の工程
上述の押出工程と加熱工程を経て、管集合体1が製造されるが(
図4(C)参照)、加熱工程の後に、冷却工程(任意工程)を備えていてもよい。冷却方法は特に限定されない。
なお、加熱工程において、隣接する複層管7のそれぞれの外層5を圧縮変形させた状態で、複数の複層管7を固定することが好ましいことを既に説明した。この場合であっても、内層3に架橋性シラン変性熱可塑性樹脂を用いた場合には、架橋性シラン変性熱可塑性樹脂の形状記憶性(復元特性)により、完成した管集合体1における複層管7の形状は元の形状に復元する。
図4(A)(B)(C)は、形状が復元することを模式的に示している。すなわち、
図4(A)には、熱処理前の円筒形の複層管7が示されている。
図4(B)では、複層管7が固定器具15にセットされて、図面横方向から潰されて縦長に変形した様子が示されている。
図4(C)では、
図4(B)の状態から、複層管7の形状が復元して元の形状(
図4(A)の形状)に戻った様子が示されている。
【0039】
(2)製造方法の第2例
次に、製造方法の第2例について、
図5を参照しつつ説明する。製造方法の第2例では、加熱工程において、複層管7に心棒21(例えば丸棒)を挿入することが第1例と異なる。その他の構成については、第1例と略同一であり、略同じ構成には同符号を付けて、構造、作用、及び効果の説明は省略する。
第2例の加熱工程について、
図5を参照しつつ説明する。心棒21を挿入した状態の複層管7を複数用意する(
図5(A)参照)。そして、
図5(B)に示されるように、隣接する複層管7のそれぞれの外層5同士が接する状態となるように、心棒21を固定具(図示せず。例えば、枠体)に固定する。この状態で、複層管7を加熱する。加熱の際には、隣接する複層管7のそれぞれの外層5を圧縮して弾性変形させた状態となっていることが好ましい。このようにすると、隣接する複層管7の外層5同士が密着し、接触面積が増加するので、隣接する複層管7の接着強度が高まる。
以上のようにして、管集合体1が製造される(
図5(C)参照)。
なお、複層管7と固定具の不要な接着を防止する観点から、固定具は、複層管7と非接触であることが好ましい。
また、心棒21の直径は、複層管7の内径よりも小さければ特に限定されない。心棒21の直径は、複層管7の内径よりも5%~20%小さい寸法、すなわち、心棒21の直径は、複層管7の内径の80%~95%の寸法であることが好ましい。
ここで、心棒21の直径を、複層管7の内径の80%~95%とすることが好ましい理由を説明する。心棒21の直径が複層管7の内径よりも小さければ、心棒21の外周面と複層管7の内周面との間にスペースSができる(
図5(A)参照)。そして、このスペースSを利用して、複層管7を弾性変形できる(
図5(B)の中央の3つの複層管7参照)。複層管7を変形させる際に、心棒21の直径が複層管7の内径95%よりも大きいと、スペースSが小さすぎて、複層管7の変形度合いが小さくなりすぎる。その結果、加熱工程における外層5同士の密着度合いが不十分となるおそれがある。他方、心棒21の直径が複層管7の内径の80%よりも小さいと、スペースSが大きすぎて、複層管7の過度の変形が許容されてしまう。従って、複層管7に必要にしてかつ十分な変形を与えるという観点から、心棒21の直径は、複層管7の内径の80%~95%の寸法であることが好ましい。
【0040】
(3)管集合体1の製造方法の効果
本例の製造方法では、接着剤を用いずに、簡素な工程で管集合体1を製造できる。
【0041】
3.複層管7
複層管7は、
図6に例示されるように、筒状の内層3と、内層3よりも外側に配された筒状の外層5と、を有する。外層5は、熱可塑性樹脂を含有する。複層管7は、曲げられており、外層5同士が溶着されている部位が存在している。
「内層3」「外層5」「熱可塑性樹脂」については、「1.管集合体1」の欄における説明をそのまま適用し、その記載は省略する。すなわち、「1.管集合体1」の項目で説明した「内層3」「外層5」「熱可塑性樹脂」をそのまま適用する。
本項における複層管7の一例では
図6に示されるように、複層管7が蛇行するように曲げられて外層5同士が向き合う部位において、外層5同士が溶着されている。複層管7の曲げられ方は特に限定されない。複層管7が、例えば渦巻き状に曲げられていてもよい。また、複層管7は、曲げられて例えばコイル状等の立体的な形態となっていてもよい。
【0042】
4.シューソール22
シューソール22は、「1.管集合体1」の欄で説明した管集合体1及び「4.複層管7」の欄で説明した複層管7の少なくともいずれか一方を含んで構成される。
シューソール22は、靴用のアウトソール、ミッドソールのいずれにも適用できる。シューソール22は、例えば、管集合体1をシューソール22の形状に打ち抜き加工することで製造できる。この加工では、サイズに応じた複数種の刃を用いることで様々なサイズに対応できる。
シューソール22の一例である第1実施形態のシューソール22Aを
図7に示す。
シューソール22の一例である第2実施形態のシューソール22Bを
図8に示す。シューソール22Bを構成する複層管7に複数種(2種以上)を用いることで、シューソール22Bの反力を部位毎に調整できる。
図8では、硬度の異なる複数種の複層管7A,7B,7Cが組み合わされて、反力を調整した一例が模式的に示されている。ここでは、複層管7A,7B,7Cの3種を用いた例を示したが、2種以上であれば特に限定されない。このシューソール22Bの機能を
図9で模式的に説明すると、例えば、複層管7Aを複層管7Cよりも柔らかくすることで、部位毎に適切な反力を与えることができる。この態様では、複層管7に複数種を用いることで、使用者に応じてシューソール22Bをカスタマイズできる。
シューソール22の一例である第3実施形態のシューソール22Cを
図10に示す。
シューソール22Cでは、外径の異なる複数種(2種以上)の複層管7D,7E,7Fを用いることで、より立体的なソールとされている。ここでは、複層管7D,7E,7Fの3種を用いた例を示したが、2種以上であれば特に限定されない。
また、シューソール22Cでは、複層管7に通気孔9を設けることで、通気性を確保している。通気孔9の個数、大きさ等は、使用者等に応じて適宜選定することができる。
【0043】
5.樹脂成形体31
樹脂成形体31の一例を
図11,12に示す。樹脂成形体31は、「1.管集合体1」の欄で説明した管集合体1及び「4.複層管7」の欄で説明した複層管7の少なくともいずれか一方を内蔵している。なお、以下の記載において、「1.管集合体1」の欄で説明した『管集合体1』及び「3.複層管7」の欄で説明した『複層管7』をまとめて、「管集合体1等」ともいう。
樹脂成形体31は、例えば、金型内に挿入した管集合体1等の周りに樹脂材を注入して管集合体1等と樹脂を一体化するインサート成形によって製造できる。樹脂の種類としては、例えば、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)樹脂、TPU(熱可塑性ポリウレタン)樹脂、スチレン系合成ゴム、熱可塑性ポリエステル樹脂等が好適に用いられる。樹脂材の形態としては、特に限定されず、例えば発泡ビーズであってもよい。
樹脂成形体31の用途は、特に限定されず、
図11,12に示されるように、シューソールであってもよい。
図13,14には、樹脂成形体31に内蔵された管集合体1等が模式的に示されている。複層管7の内部は、樹脂33が充填されていても空洞であってもよい。
図13では、複層管7の内部に樹脂33が充填されている様子が示されている。
図14では、複層管7の内部が空洞である様子が示されている。
図13の複層管7は、例えば樹脂33がインサート成形の際に複層管7の内部に侵入することで形成される。
図14の複層管7は、例えばインサート成形で用いる樹脂材を発泡ビーズとすることで形成される。
樹脂成形体31では、特性の異なる管集合体1等を樹脂成形体31に内蔵させることで、樹脂成形体31の反発弾性及びクッション性の少なくとも一方をコントロールできる。また、複層管7自体の材質を変えること、複層管7の内部構造を変えること、等によって、管集合体1等の特性をコントロールできる。
【0044】
6.マット41
マット41は、管集合体1等を含んで構成される。
図15に示すように、マット41は、管集合体1等から構成されていてもよい。また、マット41は、管集合体1等以外の部材を備えていてもよい。
マット41は、例えば、介護用マット、レジャー用マットとして使用される。複層管7の内層3に、融点が200℃以上300℃以下である樹脂、又は融点を有さない樹脂を用いた場合には、低歪性のマット41となり、へたりにくい。
図15のマット41は、円形チューブたる複層管7が集合したシートである。よって、マット41に荷重が掛かった際に、圧力分散して潰れにくい特性を有している。
図16に示すように、複層管7に通気孔9を設けることができる。このようにすると、複層管7内の空洞と通気孔9とが連なるから、湿気が空洞を通して排出され、蒸れを防止できる。
図16の矢印は、気体の流れを模式的に示している。
図15のマット41は、巻いてコンパクトに収納できる。
【0045】
7.シート51
図17,18に例示されるように、シート51は、管集合体1を含んで構成される。シート51では、隣接する複層管7の隣接する端部同士が、接続管53によって繋げられて、連続した流路が形成されている。流路内には、気体や液体が流れる。
図18の矢印は、流路内の流体の流れを模式的に示している。
複層管7の外層5を暗色(例えば黒色)にした場合には、シート51が太陽光を吸収し、シート51自体が加熱される。流路内に水等の液体を通すことで、シート51が熱交換シートとして機能する。複層管7の内径を調整することで、熱交換効率をコントロールできる。
複層管7の内層3及び外層5を樹脂とすると、シート51が可撓性を有する。よって、この場合には、シート51をモータや設備等の発熱部材に、直接貼り付けたり、直接巻き付けたりできる。このようにすると、シート51を発熱部材に直接接触できるから、発熱部材の冷却効率が高まる。
シート51の流路に流す、液体、気体の温度は、特に限定されない。シート51の流路に温水、冷水のいずれを流してもよい。冷水を流すと、シート51は冷却用途に使用できる。温水を流すと、シート51は加熱用途に使用できる。
シート51の具体的な使用態様の一例を
図19に示す。
図19は、ソーラー温水システム60の一例を示している。ソーラー温水システム60は、ソーラーパネル55と、その背面に設置されたシート51と、を備えている。
複層管7の外層5には、黒色のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好適に採用される。
このソーラー温水システム60では、ソーラーパネル55を透過した太陽光がシート51を温める。太陽光は、
図19において矢印で示されている。
ソーラー温水システム60を用いることで、電気給湯器における光熱費を削減できる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0047】
1.複層管7の作製
表1に示されているように、外層の異なる複層管7A、複層管7B、複層管7Cの3種を複層押出にて作製した。複層管7A、複層管7B、複層管7Cは、いずれも下記寸法の円筒形である。
内径:φ6.4mm
外径:φ8.0mm
外層厚み:0.1mm~0.3mm
L寸(長さ):200mm
【0048】
内層3には、表1に示すように、下記特性の架橋性シラン変性熱可塑性樹脂を架橋させた架橋ポリオレフィンを用いた。
・架橋性シラン変性熱可塑性樹脂
MFR(190℃、2.16kg、ASTM D 1238):5.0g/10分
ショアA硬度:75
【0049】
外層5には、表1に示す下記の3種の熱可塑性樹脂を用いた。外層5に用いた樹脂は、内層3の樹脂と硬度が近い樹脂を選択した。
なお、外層5に用いた樹脂は、内層3の樹脂とMFRが近い。このため、複層押出において、内層3に対する外層5の追従性がよく、外層5がほぼ均一な厚みに形成された。
・INFUSE(TM)9500(ダウ・ケミカル社製):エチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂
MFR(190℃、2.16kg、ASTM D 1238):5g/10分
ショアA硬度:69
・ENGAGE(TM)7256(ダウ・ケミカル社製):エチレン/ブテンポリオレフィンエラストマー
MFR(190℃、2.16kg、ASTM D 1238):2.5g/10分
ショアA硬度:84
・ENGAGE(TM)8200(ダウ・ケミカル社製):エチレン/オクテンポリオレフィンエラストマー
MFR(190℃、2.16kg、ASTM D 1238):5g/10分
ショアA硬度:66
【0050】
【0051】
2.管集合体1の作製及び評価
隣接する複層管7Aの外層5同士が接する状態で複層管7Aを複数並べて、治具にて固定した。そして、複層管7Aを治具ごと、200℃の恒温槽に入れて、3分間~10分間放置し、複層管7Aを恒温槽から取り出して、複層管7A同士の接着の状態を評価した。
複層管7B、複層管7Cの場合も、複層管7Aと同様にして管集合体1を作製し、評価した。
【0052】
3.試験結果
試験結果を表2に示す。表2の結果から、外層材の融点の違いにより接着完了(溶着完了)までにかかる時間が異なったが、最終的には、いずれの複層管7であっても、接着可能(溶着可能)であることが確認された。
【0053】
【符号の説明】
【0054】
1 …管集合体
3 …内層
5 …外層
7 …複層管
8 …底部
9 …通気孔
10…外側面
11…底固定部
13…側固定部
15…固定器具
21…心棒
22…シューソール
31…樹脂成形体
41…マット
51…シート
53…接続管
55…ソーラーパネル
60…ソーラー温水システム