(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】複数列多段式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20240701BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/42 F
(21)【出願番号】P 2020162930
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和夫
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-047925(JP,A)
【文献】特開平09-245297(JP,A)
【文献】特開2018-067275(JP,A)
【文献】特開平08-209968(JP,A)
【文献】特開2005-115713(JP,A)
【文献】特開2001-065184(JP,A)
【文献】特開2003-253904(JP,A)
【文献】特開2004-197354(JP,A)
【文献】特開2008-150922(JP,A)
【文献】特開2009-191573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
G06Q 50/10
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列・多段の格納スペースにパレットを備え、前記格納スペースの所定段を乗入れ部とし、該乗入れ部の前記パレットを列数より1台少なくするとともに該乗入れ部のパレットを横行させるようにし、他の段のパレットを同一列で昇降させるようにした複数列多段式駐車装置であって、
前記各パレットに予め番号が付与され、前記パレットの番号と前記パレットに入庫可能な車両の制限条件とが関連付けられてなるパレット制限情報を記憶する記憶部と、
入庫する車両が前記乗入れ部の前記パレットに乗り入れられたときに、前記車両のナンバープレートを撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された前記ナンバープレートの自動車登録番号を認識し、この自動車登録番号から当該車両の諸元を取得する諸元データ取得部と、
前記諸元データ取得部で取得された前記車両の諸元と、前記パレット制限情報によって前記乗り入れられた前記パレットと関連付けられた前記制限条件とに基づいて、入庫の適否の判定を行う判定部と、
を備えた複数列多段式駐車装置。
【請求項2】
前記記憶部は、契約利用者の識別情報と1つまたは複数の前記パレットの番号とが関連付けられてなる契約パレット情報をさらに記憶し、
前記判定部は、
前記乗り入れられた前記パレットの番号が、前記契約パレット情報によって前記契約利用者と関連付けられる前記パレットの番号である場合には適正な入庫であると判定を行い、
前記乗り入れられた前記パレットの番号が、前記契約パレット情報によって前記契約利用者と関連付けられる前記パレットの番号ではない場合には不適正な入庫であると判定を行うよう構成された、
請求項1に記載の複数列多段式駐車装置。
【請求項3】
予め契約利用者の車両の自動車登録番号と車両の諸元とが関連付けられてなる車両諸元情報を前記記憶部に記憶し、
前記諸元データ取得部は、
前記カメラで撮影された前記ナンバープレートの自動車登録番号に関する前記車両諸元情報が前記記憶部に記憶されている場合は、前記車両諸元情報によって前記自動車登録番号と関連付けられた前記車両の諸元を取得して前記判定部に送り、前記記憶部に記憶されていない場合に、外部サーバに前記自動車登録番号の照会を行って、前記外部サーバから前記自動車登録番号に対応する車両の諸元を取得して前記判定部に送り、
前記判定部は、
前記諸元データ取得部で取得された前記車両の諸元が、前記パレット制限情報によって前記乗り入れられた前記パレットと関連付けられた前記制限条件を満足する場合には適正な入庫であると判定を行い、満足しない場合には不適正な入庫であると判定を行うよう構成された、
請求項1または2に記載の複数列多段式駐車装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記車両が乗入れられた前記パレットの番号が、契約利用者の契約している前記パレットの呼出し操作に応じて前記車両の入庫用として前記乗入れ部に配置されている前記パレットの番号ではない場合に、不適正な入庫であると判定を行うよう構成された、
請求項1~3のいずれかに記載の複数列多段式駐車装置。
【請求項5】
前記判定部において不適正な入庫であると判定が行われたときに警報を発する警報器をさらに備えた、
請求項1~4のいずれかに記載の複数列多段式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数列、複数段にパレットが備えられた複数列多段式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットを昇降・横行させる複数列多段式駐車装置がマンション等に併設されている。例えば、地上2段、地下1段の3段式で、各段(各階)に3列の格納スペースを有し、地上1階が各パレットに対して入出庫を行う乗入れ部となる駐車装置がある。この駐車装置の場合、地上2階(上段格納スペース)と地上1階(中段格納スペース)との間で昇降する3台の上段パレットと、地上1階(中段格納スペース)を横行する2台の中段パレットと、地下1階(下段格納スペース)と地上1階(中段格納スペース)との間で昇降する3台の下段パレットとが備えられている。そして、地上1階の前面には昇降式のフェンスが配設されている。
【0003】
このような駐車装置においては、常時はフェンスが下降位置にあって中段格納スペースの全列前面を封鎖している。そして、入出庫のためにパレットの呼び操作が行われると、フェンスが下降状態のまま、必要に応じて上・下段パレットの昇降及び中段パレットの横行により呼びパレットが中段格納スペースに配置され、その後、フェンスが上昇して開き、呼びパレットへの車両の乗り込み(入庫)、或いは乗り出し(出庫)が行われる。
【0004】
ところで、上・中・下段パレットは、基本的形状が同じであるため、利用者は容易に見分けが付かない。入庫時には、利用者はパレットに付されたパレット番号で認識することはできるが、通常、呼びパレットがどの列に配置されているかについてはあまり関心を示さない。また、一般的に待機状態においては、ピットへの人の不慮の落下防止のため、乗入れ部である中段格納スペースの全列ともパレットを配置して空きスペースを形成しないようにしている。
【0005】
従って、待機状態においては、乗入れ部の中段格納スペースに、2台の中段パレットと上段パレット又は下段パレットの1台が配置されている。利用者が入庫のための呼び操作を行う時点では、駐車装置内はフェンスで封鎖され、どのようなパレット配置になっているかは利用者には判らず(関心すらもたない)、駐車装置において必要に応じて各パレットの移動動作が行われる。
【0006】
例えば、駐車契約によってパレットごとに契約利用者が特定されている場合、上・下段パレットの契約利用者は、列が変わるということは有りえず、いつも同じ駐車列での入出庫ゆえ、余程の勘違い以外は他人のパレットに誤入庫する可能性は低い。しかし、中段パレットの契約利用者は、中段パレットが横行移動を行うため、間違って他人のパレットに誤入庫する危険性が高い。他人のパレットに誤入庫すれば、当該他人は入庫することができず、契約利用者間のトラブルにも発展する。
【0007】
また、上記のような駐車装置において、低車高車(セダン普通車や低車高の軽自動車等)と、高車高車(ハイルーフ車、ミドルルーフ車、及び高車高の軽自動車等)とのように、車高の異なる車両を、それぞれ異なる階の格納スペースに格納するものがある。例えば、地下1階を低車高車専用(高車高車は格納不可)とし、地上1階と地上2階に高車高車を格納できるようにしたものがある。
【0008】
このような駐車装置において、例えば、中段パレット(高車高車用のパレット)の契約利用者が、高車高車を乗入れ部に配置された下段パレットに誤入庫してしまうことがある。しかし、誤入庫した時点では誤入庫と気付かず、フェンスを閉じてしまう。この場合、次の利用者の操作により、上記誤入庫の下段パレットが下降して地下1階に格納されると、搭載された高車高車のルーフが地上1階の乗入れ部にはみ出た状態となり、そのまま空いた乗入れ部に中段パレットが横行又は上段パレットが下降してくると、上記はみ出た高車高車のルーフにパレットが接触して車損事故を招くことになる。
【0009】
この種の誤入庫を防止するために、特許文献1では、乗入れ部の各列に上下動可能な規制板を設けている。この規制板は、降下位置において、高車高車の進入を阻止し、上昇位置において、高車高車の進入を許容するようになっている。そして、高車高車用の上・中段パレットへの入庫時には、乗入れ部の前面のフェンスの上昇時に、乗入れを許容する列の規制板をフェンスに係合させて上昇させ、高車高車の入庫を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1の構成では、乗入れ部の各列に規制板が必要となり、さらに各規制板を上下動させるための機構が必要となるので、駐車装置の構造が複雑化する。また、低車高車の利用者が出入りする際、規制板が邪魔になる虞もある。
【0012】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、駐車装置の構造の複雑化を回避し、かつ、誤入庫を防止することができる複数列多段式駐車装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る複数列多段式駐車装置は、複数列・多段の格納スペースにパレットを備え、前記格納スペースの所定段を乗入れ部とし、該乗入れ部の前記パレットを列数より1台少なくするとともに該乗入れ部のパレットを横行させるようにし、他の段のパレットを同一列で昇降させるようにした複数列多段式駐車装置であって、前記各パレットに予め番号が付与され、前記パレットの番号と前記パレットに入庫可能な車両の制限条件とが関連付けられてなるパレット制限情報を記憶する記憶部と、入庫する車両が前記乗入れ部の前記パレットに乗り入れられたときに、前記車両のナンバープレートを撮影するカメラと、前記カメラで撮影された前記ナンバープレートの自動車登録番号を認識し、この自動車登録番号から当該車両の諸元を取得する諸元データ取得部と、前記諸元データ取得部で取得された前記車両の諸元と、前記パレット制限情報によって前記乗り入れられた前記パレットと関連付けられた前記制限条件とに基づいて、入庫の適否の判定を行う判定部と、を備えている。
【0014】
この構成によれば、入庫する車両が乗入れ部のパレットに乗り入れられると、判定部によって入庫の適否の判定が行われるので、誤入庫を防止することができる。また、従来例で述べた規制板を上下動させるような構造ではないので、規制板により車両を損傷することや駐車装置の構造の複雑化を回避することができる。
【0015】
また、前記記憶部は、契約利用者の識別情報と1つまたは複数の前記パレットの番号とが関連付けられてなる契約パレット情報をさらに記憶し、前記判定部は、前記乗り入れられた前記パレットの番号が、前記契約パレット情報によって前記契約利用者と関連付けられる前記パレットの番号である場合には適正な入庫であると判定を行い、前記乗り入れられた前記パレットの番号が、前記契約パレット情報によって前記契約利用者と関連付けられる前記パレットの番号ではない場合には不適正な入庫であると判定を行うよう構成されていてもよい。また、前記判定部は、前記乗り入れられた前記パレットの番号が、前記契約利用者の入庫用に制御装置が乗入れ部に配置した前記パレットの番号である場合や、前記乗り入れられた位置が、前記契約利用者の入庫用に制御装置がパレットを配置した位置である場合に適正な入庫であると判定を行い、そうでない場合に不適正な入庫であると判定を行うよう構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、契約利用者が契約していないパレットに車両を乗り入れたときに、不適正な入庫(誤入庫)であると判定されるので、このような誤入庫を防止し、契約利用者間でのトラブルを回避することができる。
【0017】
また、予め契約利用者の車両の自動車登録番号と車両の諸元とが関連付けられてなる車両諸元情報を前記記憶部に記憶し、前記諸元データ取得部は、前記カメラで撮影された前記ナンバープレートの自動車登録番号に関する前記車両諸元情報が前記記憶部に記憶されている場合は、前記車両諸元情報によって前記自動車登録番号と関連付けられた前記車両の諸元を取得して前記判定部に送り、前記記憶部に記憶されていない場合に、外部サーバに前記自動車登録番号の照会を行って、前記外部サーバから前記自動車登録番号に対応する車両の諸元を取得して前記判定部に送り、前記判定部は、前記諸元データ取得部で取得された前記車両の諸元が、前記パレット制限情報によって前記乗り入れられた前記パレットと関連付けられた前記制限条件を満足する場合には適正な入庫であると判定を行い、満足しない場合には不適正な入庫であると判定を行うよう構成されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、契約利用者が代車等の車両をパレットに乗り入れたときに、当該車両が乗り入れられたパレットに対して予め定められた入庫可能な車両の規格(制限条件)を満足しない場合に不適正な入庫(誤入庫)であると判定されるので、このような誤入庫を防止し、車損事故等の発生を回避することができる。
【0019】
また、前記判定部は、前記車両が乗入れられた前記パレットの番号が、契約利用者の契約している前記パレットの呼出し操作に応じて前記車両の入庫用として前記乗入れ部に配置されている前記パレットの番号ではない場合に、不適正な入庫であると判定を行うよう構成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、入庫の際に、契約利用者がパレットの呼出し操作を行い、契約していないパレットに車両を乗り入れたときに、不適正な入庫であると判定されるので、契約利用者間でのトラブルを回避することができる。
【0021】
また、前記判定部において不適正な入庫であると判定が行われたときに警報を発する警報器をさらに備えていてもよい。これにより、契約利用者に不適正な入庫(誤入庫)であることを知らせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上に説明した構成を有し、駐車装置の構造の複雑化を回避し、かつ、誤入庫を防止することができる複数列多段式駐車装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態の複数列多段式駐車装置の一例を示す全体概略正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す複数列多段式駐車装置における制御ブロック図である。
【
図4】
図4は、車両入庫時における
図1に示す駐車装置の制御方法の概略の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4の入庫の適否判定処理ステップの詳細例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0025】
(実施形態)
図1は、本実施形態の複数列多段式駐車装置の一例を示す全体概略正面図であり、
図2は、
図1に示すA-A矢視平面図であり、
図3は、
図1に示す複数列多段式駐車装置における制御ブロック図である。本実施形態では、ピット格納式の3段3列昇降横行式の複数列多段式駐車装置を例にし、中段が乗入れ部となった例を説明する。また、
図1に示す駐車装置において、正面に向った状態で、右方向、左方向を決めている。また、同駐車装置において、入口側を前側、奥側を後側とする。
【0026】
図1に示すように、この複数列多段式駐車装置1は、複数本の支柱2及び横梁3、縦梁4により枠組みされた枠組体5を骨格として構築され、上下に3段、左右に3列の格納スペース6~8が形成されている。上段は高車高車Hの格納が可能な上段格納スペース6、中段は高車高車Hの格納が可能な中段格納スペース7、下段は高車高車Hの格納が不可で低車高車Lを格納する下段格納スペース8となっている。これら格納スペース6~8のうち、上段及び中段格納スペース6,7は地上に設けられ、下段格納スペース8は地下に掘削して形成されたピット9内に設けられている。なお、低車高車Lは、セダン普通車や低車高の軽自動車を含み、高車高車Hはハイルーフ車、ミドルルーフ車、高車高の軽自動車を含むものとする。
【0027】
上段格納スペース6には3台の上段パレット10が横方向に並設され、下段格納スペース8には3台の下段パレット11が左右方向に並設され、中段格納スペース7には1台少ない2台の中段パレット12が左側横行位置で左右方向に並設されている。この中段格納スペース7の右端に形成される空スペース13には、番号(3)の上段パレット10が下降して配置されている。各パレット10~12には、
図1中に(1)~(8)で示されるように番号(パレット番号)が決められている。
【0028】
中段パレット12は、横行駆動部14(
図2)によって中段格納スペース7で左右方向に横行可能なようになっている。上段パレット10は、昇降駆動部15によって駆動される昇降用チェーン16によって上段格納スペース6と中段格納スペース7との間で昇降可能となっている。下段パレット11は、昇降駆動部15によって駆動される昇降用チェーン17によって下段格納スペース8と中段格納スペース7との間で昇降可能となっている。このような中段パレット12の横行機構及び上段パレット10,下段パレット11の昇降機構は、公知の技術を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0029】
本例では、地上階の3つの中段格納スペース7が乗入れ部20となっており、入出庫車両である高車高車H及び低車高車Lは、この乗入れ部20から中段格納スペース7に位置する各空パレット10~12に入出庫される。なお、各パレット10~12の所定位置には、車両を定位置に停車させるための車止め27(
図2)が設けられている。
【0030】
本例では、駐車契約によってパレットごとに利用者との契約がなされており、契約利用者が車両を入出庫する場合に、車両を入出庫する対象となる契約したパレット(呼びパレット)が乗入れ部20にない場合には、横行駆動部14及び昇降駆動部15の動作によって、呼びパレットが乗入れ部20に移動させられる。例えば、パレット番号(1)~(8)の各パレット10~12が
図1の配置状態から、番号(1)の上段パレットが呼びパレットの場合は、番号(3)のパレットをその真上の上段格納スペース6へ上昇させた後、番号(4)、(5)の各パレットを1列分右へ移動(横行)させ、番号(1)のパレットをその真下の中段格納スペース7(乗入れ部20)へ下降させる。また、例えば、番号(7)の下段パレットが呼びパレットの場合は、番号(3)のパレットをその真上の上段格納スペース6へ上昇させた後、番号(5)のパレットを1列分右へ移動(横行)させ、番号(7)のパレットをその真上の中段格納スペース7(乗入れ部20)へ上昇させる。また、例えば、番号(8)の下段パレットが呼びパレットの場合は、番号(3)のパレットをその真上の上段格納スペース6へ上昇させ、番号(8)のパレットをその真上の中段格納スペース7(乗入れ部20)へ上昇させる。番号(2)や番号(6)のパレットが呼びパレットの場合も、同様にして中段格納スペース7(乗入れ部20)へ移動させることができる。
【0031】
また、乗入れ部20の前部には、フェンス21が上下方向に開閉可能に設けられている。このフェンス21の開閉動作により、中段格納スペース7と道路等の外部とが連通又は遮断されるようになっている。フェンス21は、縦梁4の上部に設けられたフェンス開閉駆動部55によって駆動するバランスチェーン56によって開閉させられる。このバランスチェーン56の端部には、カウンタウエイト57が設けられている。さらに、上記枠組体5の乗入れ部20側における右側の支柱2には、操作盤30が配設されている。
【0032】
図2に示すように、駐車装置1の乗入れ部20には、枠組体5の周囲に前部デッキ22と左右の側部デッキ23と後部デッキ24とが設けられてピット9との隙間が塞がれている。駐車装置1の前部には上記フェンス21が設けられ、後部デッキ24には、上記昇降用チェーン17が通過する開口25が設けられている。また、各中段パレット12には、横行駆動部14が設けられている。
【0033】
また、後部デッキ24には、制御装置26及びナンバー認識判定装置50が設けられている。さらに、後部デッキ24には、乗入れ部20である中段格納スペース7の各列に対して、入庫車両のナンバープレートを撮影するためのカメラ51と、車両の入庫(パレットへの乗入れ)を検知するための物体検知センサ等からなる車両検知器52とが、適宜の位置に設置されている。
【0034】
また、乗入れ部20には、上記フェンス21の前側で人や車両の出入を検知する光電検知器PH1と、乗入れ部20に配置されたパレット10~12の前部において車の前部はみ出しを検知する光電検知器PH2と、乗入れ部20に配置されたパレット10~12の後部において車の後部はみ出しを検知する光電検知器PH3とが設けられている。
【0035】
次に、
図3に示すように、操作盤30には、下部に電源のON・OFF切換えを行う電源キースイッチ31が設けられている。この電源キースイッチ31には、契約利用者に貸与されたキー32を挿入するためのキー孔33が設けられている。また、操作盤30の上部には、契約利用者が暗証番号もしくはパレット番号を入力するためのテンキー34が設けられ、このテンキー34の上方には、契約利用者が入力した暗証番号またはパレット番号(1~8)に応じたパレット10~12の呼番号を表示するディスプレイ35が設けられている。
【0036】
また、テンキー34の下方には、契約利用者が暗証番号もしくはパレット番号を入力して呼番号を確認した後に装置を稼働させるためのスタート釦36が設けられ、その下方には上記フェンス21を開閉するためのフェンス開釦37及びフェンス閉釦38が設けられている。これらフェンス開釦37及びフェンス閉釦38の近傍には、フェンス開表示ランプ39とフェンス閉表示ランプ40とがそれぞれ設けられている。表示ランプ39,40は、状態に応じて「点灯」「点滅」「消灯」の各状態となる。これらの釦37,38の下方には、案内放送スピーカ等の警報器42が設けられている。この警報器42によって、警報の音声出力が行われる。さらに、上記ディスプレイ35の上方には、稼働中に何らかの異常が発生した場合に稼働を停止させるための非常停止釦41が設けられている。
【0037】
また、上記電源キースイッチ31は、キー孔33に差し込んで電源「入」側に回したキー32が、入出庫後にフェンス21を完全に閉じるまでは抜き出すことができない構造となっている。つまり、入出庫作業中はキー32をキー孔33から抜くことができないようにインターロック機構を働かせている。本実施形態では、全てのパレット10~12に設けられた位置検知器(例えば、リミットスイッチ)19の検知情報によって各パレット10~12が所定位置に確実に停止していること、及びフェンス21が完全に閉じた位置に停止していること、の2つの条件を充足したことを制御装置26が認識したときに、キー32を電源「切」側へ回してキー孔33から抜き出すことができるようになっている。本例では、契約利用者がキー32をキー孔33に差し込んで電源「入」側に回すと、電源キースイッチ31がONし、駐車装置1を運転するための操作盤30のテンキー34及びスタート釦36等の操作が可能になる。
【0038】
なお、操作盤30の上記構成は一例であり、上記構成に限られない。例えば、テンキー34、ディスプレイ35、スタート釦36、フェンス開釦37、フェンス閉釦38及び表示ランプ39,40に代えて、ディスプレイ35よりも大きな画面のタッチパネル付きディスプレイを備え、このタッチパネル付きディスプレイで、上記の各部(34~40)の機能を実現できるようにしてもよい。
【0039】
操作盤30は、制御装置26に接続されており、相互に信号の送受信が可能である。また、制御装置26には、パレットの位置検知器19及び光電検知器PH1~PH3等からの信号が受信される。制御装置26は、例えば、マイクロコントローラ等で構成され、CPU等の演算処理部と、ROMおよびRAM等を含みCPUが実行する制御プログラム及び種々のデータ等を記憶する記憶部とを有しており、CPUが制御プログラムを実行することにより、操作盤30、横行駆動部14、昇降駆動部15及びフェンス開閉駆動部55等を制御する。
【0040】
なお、横行駆動部14、昇降駆動部15及び位置検知器19はそれぞれ複数備えられているが、
図3では、省略して1個しか図示していない。また、乗入れ部20の各列に対応して設けられたカメラ51及び車両検知器52も、
図3では、省略して1個しか図示していない。
【0041】
ナンバー認識判定装置50は、例えば、マイクロコントローラ等で構成され、制御装置26と接続され、相互に情報の送受信が可能である。なお、ナンバー認識判定装置50は、その機能の一部または全部が制御装置26に組み込まれて構成されていてもよい。
【0042】
ナンバー認識判定装置50の記憶部50mには、予め、契約利用者ごとに、契約利用者が駐車装置1に駐車する車両の自動車登録番号と当該車両の諸元(車高、車長、車幅等)とが関連付けられてなる車両諸元情報が記憶されている。さらに、記憶部50mには、予め、各パレットに対して予め定められた入庫可能(乗入れ可能)な車両の規格の制限条件(最大車高、最大車長、最大車幅等)であるパレット制限情報が記憶されている。
【0043】
ナンバー認識判定装置50は、諸元データ取得部および判定部の機能も有する。ナンバー認識判定装置50の諸元データ取得部は、インターネット等の外部通信網100を介して外部サーバ101との通信が可能に構成されている。この外部サーバ101は、自動車登録情報(車検証に記載された情報)を提供する登録情報提供機関のサーバである。本例では、諸元データ取得部が自動車登録番号を外部サーバ101へ送信すると、外部サーバ101から上記自動車登録番号の車両の諸元(車高、車長、車幅等)の情報(自動車登録情報の一部)が諸元データ取得部へ送信される。
【0044】
ナンバー認識判定装置50は、各車両検知器52からの車両検知信号を受け取ると、各カメラ51の撮影のタイミングを制御するとともに、カメラ51の撮影画像データを取得する。そして、取得したカメラ51の撮影画像データに対してOCR等の文字認識処理を行い、撮影されたナンバープレートの自動車登録番号を認識することができる。そして、ナンバー認識判定装置50の諸元データ取得部は、記憶部50mの車両諸元情報を参照し、上記認識した自動車登録番号に関連付けられた諸元を確認(把握)することができる。
【0045】
また、ナンバー認識判定装置50の諸元データ取得部は、上記認識した自動車登録番号に関する車両諸元情報が記憶部50mに記憶されていない場合には、上記認識した自動車登録番号を外部通信網100を介して外部サーバ101へ送信し、この送信した自動車登録番号の車両の諸元の情報を外部通信網100を介して外部サーバ101から受信することができる。このように、諸元データ取得部は、外部サーバ101に自動車登録番号の照会を行って、その自動車登録番号の車両の諸元の情報を取得することができる。
【0046】
次に、駐車装置1の利用方法の一例について説明する。
図4は、車両入庫時における駐車装置1の制御方法の概略の一例を示すフローチャートである。この制御方法は、制御装置26及びナンバー認識判定装置50により実行される。
【0047】
なお、本例では、契約利用者ごとに、契約利用者の暗証番号等の契約利用者識別情報と契約された1つのパレットの番号とが関連付けられてなる契約パレット情報が予め制御装置26に記憶されている。なお、この契約パレット情報と、記憶部50mに記憶されるとした車両諸元情報およびパレット制限情報とは、別途、記憶装置に記憶しておいて、制御装置26及びナンバー認識判定装置50から参照できるようにしてもよい。
【0048】
また、制御装置26は、各パレット10~12がどの位置にあるか(各番号のパレットが9つの格納スペースのうちどの格納スペースにあるか)というパレット位置情報を常時把握して記憶するとともに、そのパレット位置情報をナンバー認識判定装置50へ随時送信するようにしている。
【0049】
この駐車装置1に車両を入庫する際には、例えば、
図4に示すように、契約利用者(以下、単に「利用者」ともいう)は、操作盤30にて、キー32をキー孔33に差し込んで電源「入」側に回して電源「入」操作を行った後、テンキー34を操作して例えば暗証番号を入力し、スタート釦36を押してパレット呼出し操作を行うと、制御装置26は、契約パレット情報に基づいて暗証番号と関連付けられた番号のパレット(呼びパレット)の呼出し処理を行う(ステップS1)。この呼出し処理では、呼びパレットが乗入れ部20(3つの中段格納スペース7のいずれか)に配置されていない場合に、横行駆動部14及び昇降駆動部15を制御して呼びパレットを乗入れ部20へ移動させ、呼びパレットが乗入れ部20に配置されている場合には、その状態を維持する。なお、上記のパレット呼出し操作において、暗証番号に代えて、契約しているパレットの番号を入力する構成の場合には、上記契約パレット情報は不要である。
【0050】
そして、制御装置26は呼びパレットが乗入れ部20に配置された状態になると、操作盤30のフェンス開表示ランプ39を点滅させ、利用者にフェンス21を開けて入庫可能であることを知らせる。利用者がフェンス開釦37を押してフェンス開操作を行うと、制御装置26はフェンス開閉駆動部55を制御してフェンス21を上昇させて開く(ステップS2)。
【0051】
フェンス21が開くと、制御装置26は、乗入れ部20の各列に位置するパレット番号をナンバー認識判定装置50に送信し、利用者は、車両を後進走行によって乗入れ部20に配置されているパレットに乗り入れる。車両がパレットに乗り入れられると、ナンバー認識判定装置50がステップS3の入庫の適否判定処理を行う。
【0052】
図5は、
図4のステップS3の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0053】
上記のように車両が後進走行によって乗入れ部20のパレットに乗り入れられると、車両検知器52によって車両が検知される。この車両検知信号がナンバー認識判定装置50に入力されると、ナンバー認識判定装置50は、車両が乗入れられたパレット(入庫パレット)と呼びだしたパレット(呼びパレット)が同じであるか否かを判定する(ステップS10)。
【0054】
ここで、制御装置26は、入庫のためのパレット呼出し操作があるたびに、ナンバー認識判定装置50へ呼びだしたパレットの番号を送信するようにしており、ナンバー認識判定装置50は、乗入れ部20の車両が検知された列に配置されたパレット番号を特定し、当該パレット番号が利用者の呼びだしたパレット番号でない場合は不適正な入庫であると判定し、この判定結果を制御装置26へ送信する(ステップS18)。当該パレット番号が利用者の呼びだしたパレット番号である場合は次のステップS11に移る。ここで、車両が検知された列に配置されたパレットのパレット番号が利用者の契約パレットでない場合に不適正な入庫と判定しても良いし、車両が検知された列と利用者が呼びだしたパレットが配置された列とが一致しない場合に不適正な入庫と判定しても良い。
【0055】
次のステップS11では、車両を検知した車両検知器52と同じ列に配置されたカメラ51に入庫車両のナンバープレートの撮影を開始させ、1枚以上の静止画を撮影させ、その撮影画像データをカメラ51から取得する。ここで、カメラ51は、例えばフェンスが開いている間撮影を継続し、その撮影画像の変化から車両の乗り入れを検知することで前記車両検知器52の代わりとしても良い。そして、車両の乗り入れが検知された場合にのみ、カメラ51から1枚以上のナンバー認識用静止画像をナンバー認識判定装置50に送るように構成されていても良い。
【0056】
次に、ナンバー認識判定装置50は、カメラ51から取得した撮影画像データに対してOCR技術等を用いた処理によって文字認識を行い、撮影されたナンバープレートの自動車登録番号を認識する(ステップS12)。
【0057】
次に、ナンバー認識判定装置50は、車両諸元情報を参照し、上記認識した自動車登録番号に関する車両諸元情報が記憶部50mに記憶されているか否か(存在するか否か)を確認する(ステップS13)。
【0058】
ナンバー認識判定装置50は、上記認識した自動車登録番号に関する車両諸元情報が記憶されている場合には、車両が乗入れられたパレット(入庫パレット)の制限条件を上記認識した自動車登録番号に車両諸元情報で関連付けられる入庫車両の諸元が満足するか否かを判定する(ステップS14)。
【0059】
ナンバー認識判定装置50は、ステップS14でYesの場合、すなわち、上記認識した自動車登録番号と車両諸元情報で関連付けられる入庫車両の諸元が入庫パレットの制限条件を満足する場合は、適正な入庫であると判定し、この判定結果を制御装置26へ送信する(ステップS15)。
【0060】
一方、ステップS14でNoの場合、すなわち、上記認識した自動車登録番号と車両諸元情報で関連付けられる入庫車両の諸元が入庫パレットにおける制限条件を満足しない場合は、不適正な入庫であると判定し、この判定結果を制御装置26へ送信する(ステップS17)。
【0061】
また、ナンバー認識判定装置50は、ステップS13において、ステップS12で認識した自動車登録番号に関する車両諸元情報が記憶部50mに記憶されていない場合には、外部通信網100を介して外部サーバ101に上記認識した自動車登録番号の照会を行って、その自動車登録番号の車両(入庫車両)の諸元の情報を外部サーバ101から取得する(ステップS16)。このように車両諸元情報が記憶部50mに記憶されていない場合は、契約利用者が契約時に自動車登録番号を申告した車両が車検(自動車継続検査)などの検査や修理等に出されており、上記申告した車両以外の代車などの車両を利用している場合である。
【0062】
そして、制御装置26は、ステップS3によるナンバー認識判定装置50の判定結果を受信し、判定結果が、適正な入庫である場合には(ステップS4でYes)、操作盤30のフェンス閉表示ランプ40を点滅させ、利用者にフェンス21を閉めることを知らせる。利用者がフェンス閉釦38を押してフェンス閉操作を行うと、制御装置26はフェンス開閉駆動部55を制御してフェンス21を下降させて閉じる(ステップS5)。この後、利用者は、操作盤30のキースイッチ31のキー32を電源「切」側に回し、キー32を抜き取り(電源「切」操作)、退場する。
【0063】
一方、制御装置26は、ナンバー認識判定装置50の判定結果が、不適正な入庫である場合には(ステップS4でNo)、不適正対応処理を行う(ステップS6)。この不適正対応処理では、制御装置26は、警報器42に誤入庫(不適正な入庫)であることを知らせる警報を出力させるとともに、乗り入れたパレット上から車両を外へ出さない限り、操作盤30の操作を無効とし、例えばフェンス21を閉じることができなくなり、また、キー32をキー孔33から抜くことができなくなる。ここで、警報器42から警報を出力させる際、誤入庫である旨を報知するだけでなく、判定結果がステップS18の場合には、車両が呼び出したパレットと異なるパレットに乗入れられている旨を報知するようにしてもよいし、判定結果がステップS17の場合には、車両サイズが規格オーバーである旨を報知するようにしてもよい。
【0064】
警報器42から警報が出力されると、利用者は、入庫(パレットへの乗入れ)をやりなおすか、入庫した車両を出庫させてフェンス21を閉じて退場する(入庫をキャンセル)。入庫をやりなおした(再入庫)場合には、ステップS3からの処理が再び行われる。
【0065】
上記において、ナンバー認識判定装置50は、ステップS10で、車両が乗入れられた入庫パレットの番号が、例えば契約パレット情報に基づいて呼び出された呼びパレットの番号と一致するか否かを判断し、一致する場合に、ステップS11以降の処理を行うようにしたが、一致する場合には適正な入庫であると判定するようにしてもよい。なお、上記の例のように、一致する場合にステップS11以降の処理を行うことによって、パレットに乗り入れた車両が契約時に申告された車両であるか否かの確認等を行うことができる。
【0066】
なお、カメラ51及びナンバー認識判定装置50を設けずに、乗入れ部20の各列に車両検知器52のみを設け、車両検知器52の検知信号を制御装置26へ入力し、制御装置26が、車両検知器52によって入庫車両がパレットに乗入れられたことを検知したときにそのパレットの番号が、呼びパレットの番号と一致するか否かを判断し、一致する場合には、適正な入庫であると判定し、一致しない場合(異なる場合)には、他人が契約したパレットへの乗入れによる不適正な入庫であると判定を行うように構成することも可能である。ただし、この場合、利用者が代車等の契約時に申告していない車両を利用した場合に、その車両サイズが規格オーバーであることを検出することはできない。
【0067】
なお、本実施形態では、乗入れ部20の各列(各中段格納スペース7)に対応して、静止画撮影用カメラ51及び車両検知器52を設けているが、これらに代えて動画撮影用カメラを各列に対応して設けてもよい。この場合、ナンバー認識判定装置50は、例えば、制御装置26からの制御信号に基づいて、乗入れ部20の各列のうち車両が入庫されていない列の動画撮影用カメラに、所定のタイミング(例えばフェンス21を開いてから光電検知器PH1,PH2が検知状態になったときのタイミング)で撮影を開始させ、車両がパレットへ乗り入れられると撮影を終了させる。この撮影を終了させるタイミングは、例えば、光電検知器PH1,PH2が検知状態から非検知状態に変化した時点としてもよい。そして、この場合、ナンバー認識判定装置50は、動画撮影用カメラの撮影画像データから静止画データを切り出して、静止画撮影用カメラ51の場合と同様、撮影されたナンバープレートの自動車登録番号を認識するようにし、動画撮影用カメラで撮影した動画データに基づき、乗入れ部20のどの列に車両が乗り入れられたのかをナンバー認識判定装置50や制御装置26で判定するようにしてもよい。
【0068】
本実施形態では、契約利用者が契約していないパレット(又は、呼びだしたパレットと異なるパレット)に車両を乗り入れたときに、不適正な入庫(誤入庫)であると判定(ステップS18)されるので、このような誤入庫を防止し、契約利用者間でのトラブルを回避することができる。また、契約利用者が代車等の車両をパレットに乗り入れたときに、当該車両が乗り入れられたパレットに対して予め定められた入庫可能な車両の規格(制限条件)を満足しない場合に不適正な入庫(車両サイズの規格オーバーによる誤入庫)であると判定(ステップS17)されるので、このような誤入庫を防止し、車損事故等の発生を回避することができる。
【0069】
また、本実施形態では、静止画撮影用カメラ51及び車両検知器52とナンバー認識判定装置50とを設けているが(または動画撮影用カメラとナンバー認識判定装置50とを設けているが)、従来例で述べた規制板を上下動させるような構造ではないので、駐車装置の構造の複雑化を回避することができる。
【0070】
また、本実施形態では、既設の複数列多段式駐車装置に、例えば、静止画撮影用カメラ51及び車両検知器52とナンバー認識判定装置50とを設けて、または動画撮影用カメラとナンバー認識判定装置50とを設けて、本実施形態の複数列多段式駐車装置1を構成することができるので、既設の複数列多段式駐車装置を本実施形態の複数列多段式駐車装置1に改造することが容易である。
【0071】
なお、本実施形態では、各パレットが個別に契約されている場合について説明したが、各契約利用者に対して、低車高車用のパレット、高車高車用のパレットというように車両の種類に応じたパレットが契約されている場合でもよい。この場合、低車高車用(または高車高車用)のパレットが契約されているときには、契約パレット情報には、契約利用者の暗証番号等の契約利用者識別情報と、複数の低車高車用(または高車高車用)のパレットの番号とが関連付けられて記憶される。
【0072】
また、本実施形態では、格納スペースおよびパレットが低車高車用と高車高車用とに区分されている駐車装置について説明したが、区分されていない駐車装置でもよい。この場合でも、例えば、各パレットが個別に契約されている場合には、誤入庫を防止し、契約利用者間のトラブルや車損事故等の発生を回避することができる。
【0073】
また、上記のように、格納スペースおよびパレットが低車高車用と高車高車用とに区分されていない駐車装置において、各パレットが個別に契約されていない場合、すなわち、どのパレットを使用してもよい場合には、例えば、各契約利用者の契約利用者識別情報が全てのパレットの番号と関連付けられているとみなして契約パレット情報を作成することができ、
図5に示された入庫の可否判定処理を行うことができる。
【0074】
また、上記のように、格納スペースおよびパレットが低車高車用と高車高車用とに区分されていない駐車装置において、各パレットが個別に契約されていない場合、車両諸元情報に代えて、各契約利用者の申告車両の自動車登録番号の情報のみからなる契約車両情報を用いて、
図5に示された入庫の可否判定処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップS13において、車両諸元情報に代えて契約車両情報を用いて、ステップS12で認識した自動車登録番号が契約車両情報に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には適正な入庫であると判定し、記憶されていない場合にはステップS16の処理を行うようにすればよく、例えば代車等が使用された場合に、車両サイズの規格オーバーによる誤入庫の検出(ステップS17)を行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、格納スペースが3列3段式の駐車装置で説明したが、乗入れ部となるパレットが横行する段があり、複数の列数および段数を有する駐車装置であればよい。
【0076】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、駐車装置の構造の複雑化を回避し、かつ、誤入庫を防止することができる複数列多段式駐車装置等として有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 複数列多段式駐車装置
6 上段格納スペース
7 中段格納スペース
8 下段格納スペース
10~12 パレット
20 乗入れ部
42 警報器
50 ナンバー認識判定装置
50m 記憶部
51 カメラ
52 車両検知器
101 外部サーバ