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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240701BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20240701BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02M3/00 C
H02M3/00 W
B60R16/02 645C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020186134
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075387
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒田 勝利
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0293012(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0006956(US,A1)
【文献】特開2007-288846(JP,A)
【文献】特開2016-045858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02M 3/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側が第1電源線を介して電源に接続され、出力側が第1給電線を介して第1負荷に接続される第1DCDCコンバータが設けられた第1給電経路と、
入力側が第2電源線を介して電源に接続され、出力側が第2給電線を介して第2負荷に接続される第2DCDCコンバータが設けられた第2給電経路と、
前記第1電源線と前記第2電源線とを接続する補助経路と、
前記第2電源線から分岐した第3電源線が入力側に接続され、出力側が前記第1給電線および前記第2給電線のいずれかに切替可能に接続される第3DCDCコンバータが設けられた第3給電経路と、
前記第1給電経路および前記第2給電経路のいずれかに異常が発生した場合に、前記第3給電経路を異常が発生した給電経路へ接続する制御を行う制御装置と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第3DCDCコンバータと前記第2給電線との間にトランジスタが設けられ、
前記制御装置は、
前記第2給電経路に異常が発生した場合、当該トランジスタをオンすることで、前記第3給電経路を前記第2給電線へ接続すること
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第3DCDCコンバータと前記第1給電線との間にトランジスタが設けられ、
前記制御装置は、
前記第1給電経路に異常が発生した場合、当該トランジスタをオンすることで、前記第3給電経路を前記第1給電線へ接続すること
を特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に搭載された電源から複数の給電経路に分岐して複数の機器へ電力を供給する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-238609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の給電経路において異常が発生した場合に、各機器へ電力を安定して供給できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各機器へ安定して電力を供給することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電源装置は、第1給電経路と、第2給電経路と、補助経路と、第3給電経路と、制御装置とを備える。前記第1給電経路は、入力側が第1電源線を介して電源に接続され、出力側が第1給電線を介して第1負荷に接続される第1DCDCコンバータが設けられる。前記第2給電経路は、入力側が第2電源線を介して電源に接続され、出力側が第2給電線を介して第2負荷に接続される第2DCDCコンバータが設けられる。前記補助経路は、前記第1電源線と前記第2電源線とを接続する。前記第3給電経路は、前記第2電源線から分岐した第3電源線が入力側に接続され、出力側が前記第1給電線および前記第2給電線のいずれかに切替可能に接続される第3DCDCコンバータが設けられる。前記制御装置は、前記第1給電経路および前記第2給電経路のいずれかに異常が発生した場合に、前記第3給電経路を異常が発生した給電経路へ接続する制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各機器へ安定して電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電源装置を含むエンジン制御システムの構成を示す図である。
図2図2は、電源装置の動作例を示す図である。
図3図3は、電源装置の動作例を示す図である。
図4図4は、電源装置の動作例を示す図である。
図5図5は、電源装置の動作例を示す図である。
図6図6は、電源装置の動作例を示す図である。
図7図7は、電源装置の動作例を示す図である。
図8図8は、電源装置の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電源装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る電源装置の回路構成について説明する。図1は、実施形態に係る電源装置を含むエンジン制御システムの構成を示す図である。図1に示すように、エンジン制御システムSは、電源装置1と、エンジン制御マイコン100と、電源200とを備える。
【0011】
電源200は、例えば、車両に搭載される鉛バッテリである。電源200は、正極側にヒューズF1、ヒューズF2およびスイッチSW1が順に直列で接続される。
【0012】
エンジン制御マイコン100は、複数のセンサ300に接続され、かかるセンサ300の入力情報に基づいて、エンジンの燃料噴射量や排気ガスの再利用等の制御を行うECU(Electronic Control Unit)である。
【0013】
図1に示すように、エンジン制御マイコン100は、検出回路110と、信号制御回路120と、制御回路130と、電位検出回路140と、信号出力タイミング回路150と、RAM(Random access memory)160と、を備える。
【0014】
エンジン制御マイコン100は、電位検出回路140で検出したセンサ300の電位を制御回路130へ入力した入力情報に基づいて制御回路130が演算し、演算結果のデータをRAM160に保存するとともに、エンジンを制御するエンジン制御信号や、EGR(Exhaust Gas Recirculation)を制御するEGR制御信号を出力する。
【0015】
また、エンジン制御マイコン100の検出回路110は、電源装置1から入力される電圧に基づいて、電源装置1の異常を検出し、検出結果を信号制御回路120へ出力する。信号制御回路120は、検出回路110から入力される情報や、制御回路130から入力される情報に基づいて、電源装置1が備える複数の給電経路を切り替える制御を行う。
【0016】
信号出力タイミング回路150は、信号制御回路120から入力される情報に基づいて、グローランプ400の点灯制御や、エンジンの燃料噴射タイミングを示すタイミング制御信号の出力を行う。
【0017】
電源装置1は、電源200に接続され、電源200からエンジン制御マイコン100および複数のセンサ300へ電力を供給する。具体的には、電源装置1は、3つの入力端子T1,T2,T3それぞれから電源200に接続される。
【0018】
入力端子T1は、スイッチSW1の3つある接続点のうちの1つに接続され、入力端子T2は、2つのヒューズF1,F2の間に接続され、入力端子T3は、スイッチSW1の3つある接続点のうちの1つに接続される。
【0019】
図1に示すように、電源装置1は、第1給電経路に設けられるセンサ用DCDCコンバータ2(第1DCDCコンバータ)と、第2給電経路に設けられるマイコン用DCDCコンバータ3(第2DCDCコンバータ)と、第3給電経路に設けられる共用DCDCコンバータ4(第3DCDCコンバータ)とを備える。
【0020】
センサ用DCDCコンバータ2は、入力側が第1電源線L10を介して入力端子T1(すなわち、電源200)に接続される。また、第1電源線L10には、入力端子T1からセンサ用DCDCコンバータ2に向かう方向を順方向とする逆流防止用のダイオードD1が設けられる。
【0021】
また、センサ用DCDCコンバータ2は、出力側が第1給電線L11を介して複数のセンサ300(第1負荷)に接続される。つまり、第1給電経路は、入力端子T1から第1電源線L10、センサ用DCDCコンバータ2および第1給電線L11により構成される経路である。また、第1給電線L11には、トランジスタTr1およびトランジスタTr2が直列に設けられる。
【0022】
具体的には、トランジスタTr1は、コレクタがセンサ用DCDCコンバータ2に接続され、エミッタがトランジスタTr2のコレクタに接続される。また、トランジスタTr1のベースは、抵抗R1およびNOT回路N1を介して信号制御回路120に接続される(Vout2)。
【0023】
トランジスタTr2は、エミッタが複数のセンサ300およびエンジン制御マイコン100(Vin1)それぞれに接続される。また、トランジスタTr2のベースは、抵抗R2およびNOT回路N2を介してエンジン制御マイコン100に接続される(Vin1)。
【0024】
マイコン用DCDCコンバータ3は、入力側が第2電源線L20を介して入力端子T2(すなわち、電源200)に接続される。また、マイコン用DCDCコンバータ3は、出力側が第2給電線L21を介してエンジン制御マイコン100(第2負荷)に接続される。つまり、第2給電経路は、入力端子T2から第2電源線L20、マイコン用DCDCコンバータ3および第2給電線L21により構成される経路である。
【0025】
また、第2給電線L21には、トランジスタTr5が設けられる。具体的には、トランジスタTr5は、コレクタがマイコン用DCDCコンバータ3に接続され、エミッタがエンジン制御マイコン100(VDDおよびVin3)およびトランジスタTr6のコレクタに接続される。
【0026】
また、トランジスタTr5のベースは、抵抗R4およびNOT回路N3を介してエンジン制御マイコン100(Vout3)および抵抗R5に接続される。
【0027】
なお、第1電源線L10および第2電源線L20は補助経路L30によって接続される。補助経路L30には、第1電源線L10から第2電源線L20へ向かう方向を順方向となる逆流防止用のダイオードD2が設けられる。
【0028】
共用DCDCコンバータ4は、第2電源線L20から分岐した第3電源線L31が入力側に接続され、出力側が第3給電線L32を介して第2給電線L21に接続されることで、エンジン制御マイコン100(VDD)に接続される。また、第3給電線L32には、トランジスタTr4が設けられる。
【0029】
具体的には、トランジスタTr4は、コレクタが共用DCDCコンバータ4に接続され、エミッタがエンジン制御マイコン100に接続される。また、トランジスタTr4のベースは、抵抗R5を介してエンジン制御マイコン100(Vout3)およびNOT回路N3に接続される。
【0030】
また、共用DCDCコンバータ4の出力側は、第4給電線L33を介して第1給電線L11に接続されることで、複数のセンサ300に接続される。つまり、第3給電経路は、入力端子T2から第2電源線L20から分岐した第3電源線L31、共用DCDCコンバータ4および第3給電線L32(または第4給電線L33)により構成される経路である。また、第4給電線L33には、トランジスタTr3が設けられる。
【0031】
具体的には、トランジスタTr3は、コレクタが共用DCDCコンバータ4に接続され、エミッタが第1給電線L11に接続される。また、トランジスタTr3のベースは、抵抗R3を介してエンジン制御マイコン100(Vout2)およびNOT回路N1に接続される。
【0032】
また、電源装置1の入力端子T3には、抵抗R6を介してトランジスタTr6のベースが接続される。トランジスタTr6は、コレクタがエンジン制御マイコン100およびトランジスタTr4,Tr5に接続され、エミッタが抵抗R7を介して接地されるとともに、エンジン制御マイコン100(Vin4)に接続される。
【0033】
なお、詳細は、後述するが、共用DCDCコンバータ4は、3つのトランジスタTr2,Tr3,Tr4のスイッチングにより、出力側が第1給電線L11に通電するか、第2給電線L21に通電するかが切り替えられる。すなわち、共用DCDCコンバータ4は、出力側が第1給電線L11および第2給電線L21のいずれかに切替可能に接続(通電)される。
【0034】
次に、図2図8を用いて、電源装置1の動作例について説明する。図2図8は、電源装置1の動作例を示す図である。なお、以下では、エンジン制御マイコン100がトランジスタTr1~Tr6のスイッチングを制御する場合を例に挙げて説明するが、不図示の制御装置がエンジン制御マイコン100の指示に従ってトランジスタTr1~Tr6のスイッチングを制御するようにしてもよい。
【0035】
まず、図2を用いて、通常時の電源装置1の動作例について説明する。電源装置1は、通常時、すなわち、異常が生じていない場合、第1給電経路により複数のセンサ300へ電力を供給し、第2給電経路によりエンジン制御マイコン100へ電力を供給する。
【0036】
具体的には、電源装置1は、エンジン制御マイコン100の信号制御回路120からLowのVout1信号を出力することで、NOT回路N2でLowからHighのVout1信号に変換されてトランジスタTr2のベースに印加されることでオンする。
【0037】
また、電源装置1は、エンジン制御マイコン100の信号制御回路120からLowのVout2信号を出力することで、LowのVout2信号がトランジスタTr3のベースに印加されることでオフされる。また、信号制御回路120から出力されたLowのVout2信号は、NOT回路N1でLowからHighのVout2信号に変換されてトランジスタTr1のベースに印加されることでオンされる。
【0038】
この結果、入力端子T1から入力される電源200の電圧は、第1電源線L10、センサ用DCDCコンバータ2および第1給電線L11の経路により通電することで、複数のセンサ300に電力が供給される。
【0039】
また、入力端子T2から入力される電源200の電圧は、第2電源線L20、マイコン用DCDCコンバータ3および第2給電線L21の経路により通電することで、エンジン制御マイコン100に電力が供給される。
【0040】
次に、図3図8を用いて、電源装置1の異常発生時の動作例について説明する。詳細は図3図8を用いて説明するが、エンジン制御マイコン100は、第1給電経路および第2給電経路のいずれかに異常が発生した場合に、第3給電経路を異常が発生した給電経路へ接続する制御を行う。まず、図3を用いて、入力端子T2と電源200との間の接続不良(ケーブル断線等)時、すなわち、第2給電経路の異常時の動作例を説明する。
【0041】
図3に示すように、入力端子T2と電源200との接続不良時には、入力端子T2には電源200の電圧が入力されなくなるため、図2に示した通常時では、エンジン制御マイコン100に電力供給ができなくなってしまい、RAM160のデータ等が消失してしまうおそれがある。
【0042】
そこで、図3に示すように、電源装置1は、入力端子T1に入力される電源200の電圧をエンジン制御マイコン100へ入力する。具体的には、電源装置1は、かかる場合、入力端子T1に入力される電源200の電圧が第1電源線L10から補助経路L30を通ってマイコン用DCDCコンバータ3に入力されることとなる。
【0043】
この結果、マイコン用DCDCコンバータ3は、第2給電線L21を介してエンジン制御マイコン100に電力が供給される(VDD)。すなわち、本実施形態で示した電源装置1の回路構成により、入力端子T2から電源200の電圧が入力されない場合には、トランジスタTr1~Tr6のスイッチングをすることなく自動で給電経路が切り替わる。
【0044】
これにより、入力端子T2に電源200の電圧が入力されない異常が発生した場合であっても、エンジン制御マイコン100に安定して電力を供給することができる。
【0045】
次に、図4を用いて、第2給電経路の異常であるマイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合の動作例について説明する。図4に示すように、マイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合、検出回路110で検出される電圧Vin3は、所定値未満に低下することとなる。
【0046】
そのため、信号制御回路120は、電圧Vin3が所定値未満まで低下したことを検出回路110から受信した場合、図4に示すように、共用DCDCコンバータ4から第3給電線L32を通って電源電圧VDDが入力されるようにする。
【0047】
具体的には、信号制御回路120は、Vout3信号をLowからHighに切り替える。この結果、HighのVout3信号は、NOT回路N3によってLowのVout3信号に変換されることで、トランジスタTr5をオフする。
【0048】
また、HighのVout3信号は、トランジスタTr4のベースに印加されることで、トランジスタTr4をオンする。この結果、電源電圧VDDへの給電経路が、マイコン用DCDCコンバータ3を通る経路から共用DCDCコンバータ4を通る経路に切り替わる。換言すれば、エンジン制御マイコン100は、第2給電経路が異常である場合、第3給電経路を第2給電線L21へ接続することで、電源電圧VDDへ電力を供給する。
【0049】
これにより、マイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合であっても、エンジン制御マイコン100に安定して電力を供給することができる。
【0050】
次に、図5を用いて、第1給電経路の異常である入力端子T1と電源200との接続不良時の動作例について説明する。図5に示すように、入力端子T1と電源200の接続不良が発生した場合、入力端子T1に電源200の電圧が入力されないため、検出回路110で検出される電圧Vin2は、所定値未満に低下することとなる。
【0051】
そのため、信号制御回路120は、電圧Vin2が所定値未満まで低下したことを検出回路110から受信した場合、図5に示すように、入力端子T2に入力される電圧をセンサ300およびエンジン制御マイコン100それぞれに入力するようにする。
【0052】
具体的には、信号制御回路120は、Vout2信号をLowからHighに切り替える。この結果、HighのVout2信号は、NOT回路N1によってLowのVout2信号に変換されることで、トランジスタTr1をオフする。
【0053】
また、HighのVout2信号は、トランジスタTr3のベースに印加されることで、トランジスタTr3をオンする。この結果、センサ300への給電経路が、センサ用DCDCコンバータ2を通る経路から共用DCDCコンバータ4を通る経路に切り替わる。
【0054】
これにより、入力端子T1および電源200の接続不良時であっても、センサ300に安定して電力を供給することができる。
【0055】
次に、図6を用いて、第1給電経路の異常であるセンサ用DCDCコンバータ2が故障した場合の動作例について説明する。図6に示すように、センサ用DCDCコンバータ2が故障した場合、検出回路110で検出される電圧Vin1は、所定値未満に低下することとなる。
【0056】
そのため、信号制御回路120は、電圧Vin1が所定値未満まで低下したことを検出回路110から受信した場合、図6に示すように、入力端子T2に入力される電圧をセンサ300およびエンジン制御マイコン100それぞれに入力するようにする。
【0057】
具体的には、信号制御回路120は、Vout2信号をLowからHighに切り替える。この結果、HighのVout2信号は、NOT回路N1によってLowのVout2信号に変換されることで、トランジスタTr1をオフする。
【0058】
また、HighのVout2信号は、トランジスタTr3のベースに印加されることで、トランジスタTr3をオンする。この結果、センサ300への給電経路が、センサ用DCDCコンバータ2を通る経路から共用DCDCコンバータ4を通る経路に切り替わる。換言すれば、エンジン制御マイコン100は、第1給電経路が異常である場合、第3給電経路を第1給電線L11へ接続することで、センサ300へ電力を供給する。
【0059】
これにより、センサ用DCDCコンバータ2が故障した場合であっても、センサ300に安定して電力を供給することができる。
【0060】
次に、図7および図8を用いて、駐車時、すなわち、エンジン停止時の動作例について説明する。車両が駐車時には、RAM160のデータを保持するためにエンジン制御マイコン100へ電力を供給する必要がある。一方、駐車時は、スイッチSW1をオフして入力端子T1への電圧の入力を停止するとともに、信号制御回路120から出力されるVout1信号をLowからHighに切り替える。これにより、LowのVout1信号がNOT回路N2によりLowのVout1信号に変換されることでトランジスタTr2がオフし、センサ300への電力供給が停止される。
【0061】
図7では、駐車時における通常時(異常が無い場合)の動作例について説明する。図7に示すように、通常時には、入力端子T2に入力される電源200の電圧は、マイコン用DCDCコンバータ3から第2給電線L21を介して電源電圧VDDとしてエンジン制御マイコン100に入力される。
【0062】
具体的には、信号制御回路120は、LowのVout2信号およびLowのVout3信号を出力することで、トランジスタTr3をオフし、トランジスタTr5をオンする。これにより、入力端子T2に入力された電源200の電圧は、マイコン用DCDCコンバータ3を介して電源電圧VDDとしてエンジン制御マイコン100へ入力される。
【0063】
次に、図8を用いて、マイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合の動作例について説明する。駐車時においてマイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合、検出回路110で検出される電圧Vin3は、所定値未満まで低下することとなる。
【0064】
そのため、信号制御回路120は、電圧Vin3が所定値未満まで低下したことを検出回路110から受信した場合、図8に示すように、入力端子T2に入力される電圧を、共用DCDCコンバータ4を介してエンジン制御マイコン100の電源電圧VDDとして入力するようにする。
【0065】
具体的には、信号制御回路120は、Vout3信号をLowからHighに切り替える。この結果、HighのVout3信号は、NOT回路N3によってLowのVout3信号に変換されることで、トランジスタTr5をオフする。
【0066】
また、HighのVout3信号は、トランジスタTr4のベースに印加されることで、トランジスタTr4をオンする。この結果、エンジン制御マイコン100への給電経路が、マイコン用DCDCコンバータ3を通る経路から共用DCDCコンバータ4を通る経路に切り替わる。換言すれば、エンジン制御マイコン100は、第2給電経路が異常である場合、第3給電経路を第2給電線L21へ接続することで、電源電圧VDDへ電力を供給する。
【0067】
これにより、駐車時にマイコン用DCDCコンバータ3が故障した場合であっても、エンジン制御マイコン100に安定して電力を供給することができる。
【0068】
上述してきたように、実施形態に係る電源装置1は、第1給電経路と、第2給電経路と、補助経路と、第3給電経路と、制御装置(エンジン制御マイコン100)とを備える。第1給電経路は、入力側が第1電源線L10を介して電源200に接続され、出力側が第1給電線L11を介して第1負荷(センサ300)に接続される第1DCDCコンバータ(センサ用DCDCコンバータ2)が設けられる。第2給電経路は、入力側が第2電源線L20を介して電源200に接続され、出力側が第2給電線L21を介して第2負荷(エンジン制御マイコン100)に接続される第2DCDCコンバータ(マイコン用DCDCコンバータ3)が設けられる。補助経路L30は、第1電源線L10と第2電源線L20とを接続する。第3給電経路は、第2電源線L20から分岐した第3電源線L31が入力側に接続され、出力側が第1給電線L11および第2給電線L21のいずれかに切替可能に接続される第3DCDCコンバータ(共用DCDCコンバータ4)が設けられる。制御装置は、第1給電経路および第2給電経路のいずれかに異常が発生した場合に、第3給電経路を異常が発生した給電経路へ接続する制御を行う。これにより、各機器(センサ300およびエンジン制御マイコン100)へ安定して電力を供給することができる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、電源装置1が車載の制御装置(エンジン制御マイコン100)に適用される場合を示したが、車載の制御装置に限らず、任意の制御装置に適用可能である。
【0070】
他の任意の制御装置の中でも、特に、電源がオフ時に制御装置のRAMに電源供給してメモリ保持する機能を備えた制御装置に適用されることが有効である。
【0071】
また、上述した実施形態では、センサ用DCDCコンバータ2がエンジン制御マイコン100に入力するセンサ300への電源供給に用いる場合を示したが、センサ300に限らず、各種負荷(例えば、制御装置が制御するアクチュエータ等の負荷)に電源供給する構成であってもよい。
【0072】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 電源装置
2 センサ用DCDCコンバータ
3 マイコン用DCDCコンバータ
4 共用DCDCコンバータ
100 エンジン制御マイコン
110 検出回路
120 信号制御回路
130 制御回路
140 電位検出回路
150 信号出力タイミング回路
160 RAM
200 電源
300 センサ
400 グローランプ
D1 ダイオード
D2 ダイオード
F1、F2 ヒューズ
L10 第1電源線
L11 第1給電線
L20 第2電源線
L21 第2給電線
L30 補助経路
L31 第3電源線
L32 第3給電線
L33 第4給電線
N1~N3 NOT回路
R1~R7 抵抗
S エンジン制御システム
SW1 スイッチ
T1~T3 入力端子
Tr1~Tr6 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8