(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 9/37 20200101AFI20240701BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240701BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240701BHJP
G07C 9/00 20200101ALI20240701BHJP
【FI】
G07C9/37
G06T7/00 660B
G06T7/60 110
G07C9/00
(21)【出願番号】P 2020190444
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 智春
(72)【発明者】
【氏名】加茂 麻由
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼上 斉
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219913(JP,A)
【文献】特開2014-092998(JP,A)
【文献】特開2005-234947(JP,A)
【文献】特開2019-061665(JP,A)
【文献】特開2008-287658(JP,A)
【文献】特開2019-210136(JP,A)
【文献】特開2011-215787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/37
G06T 7/00
G06T 7/60
G07C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の乗り口に設けられた第1カメラから、前記乗り物に乗車する人物が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得された複数の前記乗車者撮像画像の中に、同じ人物が重複して撮像された前記乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記重複画像が含まれていると判定された場合に複数の前記乗車者撮像画像から前記重複画像を除外し、前記重複画像が除外された前記乗車者撮像画像を含む乗車者情報を出力する出力部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記乗り物の降り口に設けられた第2カメラから、前記乗り物から降車する人物が撮像された降車者撮像画像を取得する第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記降車者撮像画像を含む降車者情報と前記出力部によって出力された前記乗車者情報とに基づいて前記乗り物の乗客数を算出する算出部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部によって前記重複画像が含まれていると判定されたときの撮像状況を示す撮像状況情報に基づいて、前記第1カメラの撮像に関する設定を行う設定部
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、
所定時間内に撮像された複数の前記乗車者撮像画像において特徴点が類似する人物の前記乗車者撮像画像が含まれる場合、当該乗車者撮像画像は前記重複画像であると推定し、複数の前記乗車者撮像画像の中に前記重複画像が含まれていると判定すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
乗り物の乗り口に設けられた第1カメラから、前記乗り物に乗車する人物が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程によって取得された複数の前記乗車者撮像画像の中に、同じ人物が重複して撮像された前記乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記重複画像が含まれていると判定された場合に複数の前記乗車者撮像画像から前記重複画像を除外し、前記重複画像が除外された前記乗車者撮像画像を含む乗車者情報を出力する出力工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばバスなどの乗り物において、乗降した乗客の人数を算出する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、乗り口および降り口にそれぞれカメラが設置され、かかるカメラによって撮像された乗客の撮像画像を用いて乗客の人数(乗客数)を算出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、乗り物の乗客数を精度よく算出するという点で、さらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、乗り物の乗客数を精度よく算出することができる情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、第1取得部と、判定部と、出力部とを備える。第1取得部は、乗り物の乗り口に設けられた第1カメラから、前記乗り物に乗車する人物が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する。判定部は、前記第1取得部によって取得された複数の前記乗車者撮像画像の中に、同じ人物が重複して撮像された前記乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する。出力部は、前記判定部によって前記重複画像が含まれていると判定された場合に複数の前記乗車者撮像画像から前記重複画像を除外し、前記重複画像が除外された前記乗車者撮像画像を含む乗車者情報を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗り物の乗客数を精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、バス端末装置を備えた情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、乗り口端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、撮像人物情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、撮像状況情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、降り口端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、情報処理システムが実行する処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置および情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<情報処理装置による情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【0011】
実施形態に係る情報処理方法は、例えば乗り物の乗客数の算出などを行うことができる。なお、以下では乗り物の一例としてバス1を挙げて説明するが、乗り物の種類はこれに限定されるものではない。すなわち、乗り物は、例えば鉄道車両や航空機、船舶などその他の種類の乗り物であってもよい。
【0012】
図1に示すように、バス1には、バス端末装置10が搭載され、かかるバス端末装置10が情報処理装置として機能する。具体的に説明すると、バス端末装置10は、乗り口端末装置10aと、降り口端末装置10bとを備える。
【0013】
乗り口端末装置10aは、バス1の乗り口2aに設置される。乗り口端末装置10aは、第1カメラ11aを備える。例えば、第1カメラ11aは、バス1の乗り口2aであって、かつ、バス1の中(バス車内)に設けられ、バス1に乗車する人物である乗車者の乗車者撮像画像を撮像する。乗り口端末装置10aは、かかる乗車者撮像画像から顔情報が検出されることで、乗車者を検知することができる。
【0014】
降り口端末装置10bは、バス1の降り口2bに設置される。降り口端末装置10bは、第2カメラ11bを備える。例えば、第2カメラ11bは、バス1の降り口2bであって、かつ、バス1の中(バス車内)に設けられ、バス1から降車する人物である降車者の降車者撮像画像を撮像する。降り口端末装置10bは、かかる降車者撮像画像から顔情報が検出されることで、降車者を検知することができる。
【0015】
そして、バス端末装置10は、乗り口端末装置10aによって検知された乗車者に関する乗車者情報と降り口端末装置10bによって検知された降車者に関する降車者情報とに基づき、乗客数の算出を行うことができる。なお、乗客数の算出については、後に詳説する。
【0016】
ところで、従来技術に係る乗り口端末装置10aにおいては、乗車者撮像画像から顔情報が検出されている間は同じ乗車者として検知し、乗車者撮像画像から次の顔情報が検出されると、次に乗車してきた乗車者として検知するように構成される。
【0017】
しかしながら、上記のように構成される乗り口端末装置10aにあっては、同じ乗車者を複数人(例えば2人)の乗車者として検知することがある。例えば、
図1の上段に示すように、同じ乗車者Pに対して、乗車者撮像画像A1~A3が、乗車者撮像画像A1、A2、A3の順で撮像されたものとする。ここで、乗車者撮像画像A2にあっては、例えば逆光などによって乗車者Pの顔が暗くなって、乗り口端末装置10aが乗車者撮像画像A2から顔情報を検出できなかったものとする。
【0018】
このような場合、乗り口端末装置10aにおいては、乗車者撮像画像A1から顔情報が検出された後、乗車者撮像画像A2から顔情報が検出されず、その後の乗車者撮像画像A3から次の顔情報が検出される。すなわち、顔情報の検出が一旦途切れるため、乗り口端末装置10aは、2つの顔情報として検出し、同じ乗車者Pであるにも関わらず、2人の乗車者として検知することがある。そのため、乗り口端末装置10aによって検知される乗車者の人数が実際の乗車者の人数と一致せず、結果としてバス1の乗客数を精度よく算出することができないおそれがあった。
【0019】
なお、上記した顔情報の検出の途切れは、上記した逆光の他に、例えば乗車者が顔の向きを変化させたときや、乗車者が体勢を変化させたときなどにも起こりうる。顔の向きの変化の一例としては、雨の日に乗車者が傘をたたむために、顔を一旦横や後ろに向けるなどの変化であり、乗車者が顔の向きを変化させることで乗車者の顔が一時的に乗車者撮像画像に写らなくなる。また、体勢の変化の一例としては、荷物を持った高齢者である乗車者が荷物を前方に置くために屈むような姿勢になった後、元の姿勢に戻るなどの変化であり、乗車者が体勢を変化させることで乗車者の顔が一時的に乗車者撮像画像に写らなくなる。
【0020】
そこで、本実施形態に係るバス端末装置(情報処理装置)10にあっては、上記した顔情報の検出の途切れが生じた場合であっても、バス1の乗客数を精度よく算出することができるような構成とした。
【0021】
具体的には、バス端末装置10の乗り口端末装置10aは、先ず、第1カメラ11aから、バス1に乗車する人物(乗車者)が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する(ステップS1)。
【0022】
次いで、乗り口端末装置10aは、複数の乗車者撮像画像の中に、同じ人物(乗車者)が重複して撮像された乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。
【0023】
例えば、乗り口端末装置10aは、複数の乗車者撮像画像から乗車者の顔情報(詳しくは顔の特徴点情報(後述))や、乗車者の性別や年齢などの属性情報を検出し、検出された顔情報や属性情報を比較する。そして、乗り口端末装置10aは、乗車者の顔情報や属性情報が同一または類似する場合、かかる乗車者が撮像された乗車者撮像画像を、同じ乗車者が重複して撮像された重複画像であると推定し、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていると判定する。
【0024】
次いで、乗り口端末装置10aは、重複画像が含まれていると判定された場合に複数の乗車者撮像画像から重複画像を除外し、重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む乗車者情報を降り口端末装置10bへ出力する(ステップS3)。
【0025】
このように、本実施形態にあっては、重複画像を除外することで、同じ乗車者を複数人(例えば2人)の乗車者として検知したことを示すような乗車者情報を降り口端末装置10bに出力してしまうことを防止することができる。言い換えると、本実施形態にあっては、重複画像を除外することで、実際に乗車した乗車者に即した乗車者情報、すなわち正確な乗車者情報を降り口端末装置10bへ出力することができる。
【0026】
これにより、本実施形態に係る降り口端末装置10bは、乗り口端末装置10aから出力された乗車者情報等に基づいて、バス1の乗客数を精度よく算出することができる。具体的には、降り口端末装置10bは、第2カメラ11bから、乗り物から降車する人物(降車者)が撮像された降車者撮像画像を取得する(ステップS4)。
【0027】
降り口端末装置10bは、降車者撮像画像を含む降車者情報と、乗り口端末装置10aから出力された乗車者情報とに基づいてバス1の乗客数を算出する(ステップS5)。例えば、降り口端末装置10bは、乗車者情報に乗車者の顔情報や属性情報が新たに登録されたときに乗車者の人数を1人加算する、正確には、バス1の現在の乗客数をカウントする乗降カウンタ33b(後述する
図7参照)をインクリメントする。
【0028】
そして、降り口端末装置10bは、降車者撮像画像から降車者の顔情報や属性情報を検出する。降り口端末装置10bは、検出された降車者の顔情報や属性情報が、乗車者の顔情報や属性情報と一致あるいは略一致する場合、当該顔情報や属性情報の乗客がバス1から降車したと推定し、乗車者の人数からかかる降車者の人数を減算して得た値をバス1の現在の乗客数として算出する。正確には、降り口端末装置10bは、降車者の顔情報や属性情報が乗車者の顔情報や属性情報と一致あるいは略一致する場合、乗降カウンタ33b(
図7参照)をデクリメントする。
【0029】
このように、本実施形態に係る乗り口端末装置10aは、重複画像を除外することで、正確な乗車者情報を降り口端末装置10bへ出力することができ、降り口端末装置10bでは、かかる乗車者情報等を用いることで、バス1の乗客数を精度よく算出することができる。
【0030】
<情報処理システムの構成>
次に、実施形態に係るバス端末装置(情報処理装置)10を備えた情報処理システムの構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、バス端末装置10を備えた情報処理システム100の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図2に示すように、情報処理システム100は、上記したバス端末装置10と、管理サーバ200と、バス事業者端末装置300と、ユーザ端末装置400とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0032】
バス端末装置10は、上記したように、乗り口端末装置10aおよび降り口端末装置10bを備える。乗り口端末装置10aと降り口端末装置10bとは、例えばWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を介して通信可能に接続されるが、これに限られず、近距離無線通信に加えて、あるいは代えて通信ネットワークNなどを介して通信可能に接続されてもよい。なお、乗り口端末装置10aの詳細な構成については、
図3等を用いて後述する。また、降り口端末装置10bの詳細な構成については、
図7等を用いて後述する。
【0033】
管理サーバ200は、バス端末装置10から送信される乗車者情報や降車者情報、バス1の乗客数の情報を含む乗客情報などを管理するサーバ装置である。管理サーバ200は、乗客情報などをバス事業者端末装置300へ提供することができる。また、管理サーバ200は、バス1の乗客数の情報に基づいてバス1の混雑度を算出し、算出された混雑度を示す混雑度情報をユーザ端末装置400へ提供することができる。なお、管理サーバ200の詳細な構成については、
図9を用いて後述する。
【0034】
バス事業者端末装置300は、バス1を運行するバス事業者が使用する端末装置である。バス事業者端末装置300としては、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。かかるバス事業者端末装置300には、管理サーバ200から乗客情報などが送信されて表示される。これにより、バス事業者は、例えば乗客情報などに応じたバス1の運行計画を立てることが可能になる。
【0035】
ユーザ端末装置400は、バス1を利用するユーザ、正確にはバス1をこれから利用するユーザが使用する端末装置である。なお、ユーザ端末装置400としては、例えばスマートフォンやタブレット端末、PCなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。かかるユーザ端末装置400には、管理サーバ200からバス1の混雑度情報が送信されて表示される。これにより、ユーザは、例えばバス1の混雑度を乗車前に確認することが可能になる。なお、
図2では、図示の簡略化のため、ユーザ端末装置400を2つ示したが、これに限られず、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0036】
<乗り口端末装置の構成>
次いで、乗り口端末装置10aの構成について
図3等を参照して説明する。
図3は、乗り口端末装置10aの構成例を示すブロック図である。なお、
図3を含む各ブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0037】
換言すれば、
図3等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0038】
図3に示すように、乗り口端末装置10aは、第1カメラ11aと、測位部12aと、制御部20aと、記憶部30aとを備える。なお、乗り口端末装置10aとしては、スマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
第1カメラ11aは、例えばレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えるカメラである。第1カメラ11aは、バス1の乗り口2a(
図1参照)であって、かつ、バス1の中(バス車内)に設けられる。詳しくは、第1カメラ11aは、少なくとも乗り口2aから乗車する乗車者(乗客)の顔を含む範囲をバス車内から撮像可能な位置に設けられる。第1カメラ11aは、乗車者の乗車者撮像画像を撮像し、撮像された乗車者撮像画像を制御部20aへ出力する。
【0040】
なお、図示は省略するが、第1カメラ11aは、被写体である乗車者に対して光を照射する照明部を備えてもよい。また、第1カメラ11aは、バス車内から撮像する撮像範囲が可変となるように構成されてもよいし、撮像方向が可変となるように構成されてもよい。これら照明部や撮像範囲、撮像方向の設定については、後述する。
【0041】
測位部12aは、バス1の位置情報(例えば、緯度および経度)を取得する。例えば、測位部12aは、GPS(Global Positioning System)衛星から送出される電波を受信し、受信した電波に基づいてバス1の位置情報を取得し、取得された位置情報を制御部20aへ出力する。なお、測位部12aは、バス1が停留所に停止しているときに取得されたバス1の位置情報を、バス1が停止している停留所の位置情報として出力してもよい。
【0042】
制御部20aは、取得部21aと、検出部22aと、判定部23aと、登録部24aと、出力部25aと、設定部26aとを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0043】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20aの取得部21a、検出部22a、判定部23a、登録部24a、出力部25aおよび設定部26aとして機能する。
【0044】
また、制御部20aの取得部21a、検出部22a、判定部23a、登録部24a、出力部25aおよび設定部26aの少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0045】
また、記憶部30aは、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30aには、撮像人物情報31a、乗車者情報32a、撮像状況情報33aおよび各種プログラムなどが記憶される。
【0046】
撮像人物情報31aは、第1カメラ11aによって撮像された乗車者撮像画像に写った人物に関する情報である。言い換えると、撮像人物情報31aは、乗車者撮像画像から顔情報が検出された人物(乗車者)全員に関する情報である。従って、上記したような顔情報の検出の途切れが生じた場合、乗り口端末装置10aは、同じ乗車者を複数人の乗車者として検知することから、撮像人物情報31aには、同じ乗車者に関する情報が複数含まれることとなる。
【0047】
ここで、
図4を用いて、撮像人物情報31aについて説明する。
図4は、撮像人物情報31aの一例を示す図である。
図4に示すように、撮像人物情報31aには、「人物ID」、「乗車者画像」、「特徴点」、「性別」、「年齢」、「年齢層」および「マスクの有無」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0048】
「人物ID」は、乗車者撮像画像に写った人物(乗車者)を識別する識別情報である。「乗車者画像」は、乗車者撮像画像の情報である。なお、
図4に示す例では、便宜上、「乗車者画像」を「画像E01」といったように抽象的な記載とするが、「画像E01」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0049】
「特徴点」は、乗車者撮像画像に写った乗車者の顔の特徴点情報であり、顔情報の一例である。特徴点情報には、例えば乗車者撮像画像に写った乗車者の顔における目(目頭、目尻など)、鼻や口などの特徴点の位置などが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0050】
「性別」は、乗車者撮像画像に写った乗車者の性別を示す情報である。「年齢」は、乗車者撮像画像に写った乗車者の年齢を示す情報であり、「年齢層」は、かかる乗車者の年齢層を示す情報である。「マスクの有無」は、乗車者撮像画像に写った乗車者がマスクを着用しているか否かを示す情報である。なお、上記した性別や年齢、年齢層およびマスクの有無などの情報は、乗車者の属性情報の一例である。
【0051】
図4に示す例では、人物ID「D01」で識別される乗車者のデータは、乗車者画像が「画像E01」、特徴点が「特徴点F01」、性別が「男性」、年齢が「年齢G01」、年齢層が「大人」、マスクの有無が「無し」であることを示している。また、人物ID「D02」で識別される乗車者のデータは、乗車者画像が「画像E02」、特徴点が「特徴点F01」、性別が「男性」、年齢が「年齢G01」、年齢層が「大人」、マスクの有無が「無し」であることを示している。
【0052】
ここで、人物ID「D02」で識別される乗車者は、特徴点、性別、年齢、年齢層およびマスクの有無が、人物ID「D01」で識別される乗車者の特徴点等と同じである。従って、
図4では、人物ID「D01」で識別される乗車者に関する情報と、人物ID「D02」で識別される乗車者に関する情報は、同じ乗車者に関する情報であることを示している。
【0053】
図3の説明に戻ると、乗車者情報32aは、乗車者に関する情報である。詳しくは、乗車者情報32aは、同じ人物(乗車者)が重複して撮像された乗車者撮像画像である重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む、乗車者に関する情報である。
【0054】
ここで、
図5を用いて、乗車者情報32aについて説明する。
図5は、乗車者情報32aの一例を示す図である。
図5に示すように、乗車者情報32aには、「乗車者ID」、「乗車者画像」、「特徴点」、「性別」、「年齢」、「年齢層」、「マスクの有無」および「乗車した停留所」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0055】
「乗車者ID」は、乗車者を識別する識別情報である。「乗車者画像」、「特徴点」、「性別」、「年齢」および「マスクの有無」は、撮像人物情報31aと同様であるため、説明を省略する。「乗車した停留所」は、乗車者が乗車した停留所を示す情報である。
【0056】
図5に示す例では、乗車者ID「P01」で識別される乗車者のデータは、乗車者画像が「画像E01」、特徴点が「特徴点F01」、性別が「男性」、年齢が「年齢G01」、年齢層が「大人」、マスクの有無が「無し」、乗車した停留所が「停留所H01」であることを示している。
【0057】
図3の説明に戻ると、撮像状況情報33aは、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていると判定されたときの撮像状況を示す情報である。言い換えると、撮像状況情報33aは、重複画像が含まれる原因である顔情報の検出の途切れが発生したときの撮像状況を示す情報である。なお、かかる撮像状況情報33aに基づいて、例えば第1カメラ11aの照明部の設定を変えたりすることで、顔情報の検出の途切れの発生を抑制することができるが、これについては後述する。
【0058】
ここで、
図6を用いて、撮像状況情報33aについて説明する。
図6は、撮像状況情報33aの一例を示す図である。
図6に示すように、撮像状況情報33aには、「状況ID」、「停留所」、「日時」、「バスの向き」、「天候」、「重複画像の人物の属性」および「推定状況」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0059】
「状況ID」は、撮像状況情報を識別する識別情報である。「停留所」は、重複画像が含まれている乗車者撮像画像が撮像された停留所を示す情報である。「日時」、「バスの向き」および「天候」はそれぞれ、重複画像が含まれている乗車者撮像画像が撮像されたときの日時を示す情報、バス1の向きを示す情報、および、天候を示す情報である。
【0060】
「重複画像の人物の属性」は、重複画像に写っている人物(乗車者)の属性を示す情報である。「推定状況」は、重複画像が含まれている乗車者撮像画像が撮像されたときの撮像状況として推定された推定状況を示す情報である。なお、「推定状況」には、上記した逆光、乗車者の顔向きの変化、および、乗車者の体勢の変化などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
図6に示す例では、状況ID「K01」で識別される撮像状況のデータは、停留所が「停留所H01」、日時が「日時L01」、バスの向きが「方角M01」、天候が「晴れ」、重複画像の人物の属性が「属性N01」、推定状況が「逆光」であることを示している。すなわち、状況ID「K01」の撮像状況のデータは、日時、バスの向きや天候などの各情報に基づいて、停留所H01においてバス1の乗り口2aが逆光になり易い状況であったと推定されたことを示している。
【0062】
また、状況ID「K02」で識別される撮像状況のデータは、停留所が「停留所H02」、日時が「日時L02」、バスの向きが「方角M02」、天候が「雨」、重複画像の人物の属性が「属性N02」、推定状況が「顔向きの変化」であることを示している。すなわち、状況ID「K02」の撮像状況のデータは、天候などの各情報に基づいて、停留所H02において乗車者が傘をたたむために顔の向きを変化させ易い状況であったと推定されたことを示している。
【0063】
また、状況ID「K03」で識別される撮像状況のデータは、停留所が「停留所H03」、日時が「日時L03」、バスの向きが「方角M03」、天候が「曇り」、重複画像の人物の属性が「属性N03」、推定状況が「体勢の変化」であることを示している。ここで、属性N03には、年齢層が「高齢者」であることを示す情報が含まれるものとする。従って、状況ID「K03」の撮像状況のデータは、重複画像の人物の属性などの各情報に基づいて、停留所H03において高齢者である乗車者が荷物を前方に置くために屈むような姿勢になった後、元の姿勢に戻るなどの体勢の変化が起こり易い状況であったと推定されたことを示している。
【0064】
図3の説明に戻ると、制御部20aの取得部21aは、第1カメラ11aから、バス1に乗車する人物(乗車者)が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する。例えば、取得部21aは、バス1が停留所で停止しているときに乗車者撮像画像を取得するが、取得のタイミングはこれに限定されるものではない。取得部21aは、取得された複数の乗車者撮像画像を検出部22aへ出力する。なお、取得部21aは、第1取得部の一例である。
【0065】
検出部22aは、複数の乗車者撮像画像から乗車者の顔情報(詳しくは顔の特徴点情報)を検出する。例えば、検出部22aは、乗車者撮像画像から、目(目頭、目尻など)、鼻や口、輪郭などの特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置を特徴点情報として検出する。
【0066】
検出部22aは、乗車者撮像画像から乗車者の性別や年齢、年齢層、マスクの有無などの属性情報を検出する。なお、特徴点情報および属性情報の検出手法は、任意に設定可能である。検出部22aは、検出された特徴点情報および属性情報を乗車者撮像画像とともに、記憶部30aに撮像人物情報31a(
図4参照)として記憶させる。
【0067】
判定部23aは、記憶部30aの撮像人物情報31aにアクセスし、複数の乗車者撮像画像の中に、同じ人物が重複して撮像された乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する。例えば、判定部23aは、バス1が停留所を出発して次の停留所に到着するまでの間に判定処理を実行するが、判定のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0068】
判定部23aは、複数の乗車者撮像画像同士で乗車者の顔の特徴点情報や属性情報を比較する。判定部23aは、乗車者の顔の特徴点情報や属性情報が同一または類似する場合、かかる乗車者が撮像された乗車者撮像画像を重複画像であると推定し、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていると判定する。
【0069】
図4の例で説明すると、人物ID「D02」で識別される乗車者は、特徴点、性別、年齢、年齢層およびマスクの有無が、人物ID「D01」で識別される乗車者の特徴点等と同じである。そのため、判定部23aは、人物ID「D02」の乗車者が撮像された「画像E02」を重複画像であると推定し、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像(ここでは画像E02)が含まれていると判定する。
【0070】
図3の説明を続けると、判定部23aは、複数の乗車者撮像画像同士で乗車者の顔の特徴点情報や属性情報を比較して、特徴点情報や属性情報が同一または類似ではない場合、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていないと判定する。
【0071】
また、判定部23aは、所定時間内に撮像された複数の乗車者撮像画像において特徴点情報(あるいは属性情報)が類似する人物の乗車者撮像画像が含まれる場合、かかる乗車者撮像画像は重複画像であると推定し、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていると判定してもよい。逆に言えば、判定部23aは、所定時間以上の間隔をあけて撮像された複数の乗車者撮像画像において特徴点情報等が類似する人物の乗車者撮像画像が含まれる場合、かかる乗車者撮像画像は重複画像ではないと推定し、複数の乗車者撮像画像の中に重複画像が含まれていないと判定してもよい。
【0072】
ここで、所定時間は、複数(例えば2つ)の乗車者撮像画像の撮像時間間隔が、逆光や顔の向きの変化、体勢の変化などによって同じ乗車者の顔情報の検出が途切れたとは推定しにくいような、十分に長い時間に設定されるが、これに限定されるものではない。また、本明細書において「類似」とは、2つの乗車者撮像画像において、特徴点や属性の差分(例えば顔における目の位置の差分)が所定の閾値以下であることを意味する。かかる閾値は、同一ではないが、同じような特徴点(あるいは属性)であると判定できるような値に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0073】
これにより、判定部23aは、重複画像の有無を精度よく判定することができる。すなわち、例えば所定時間内に撮像された複数の乗車者撮像画像において特徴点等が類似する場合、同じ乗車者の顔情報の検出の途切れが発生した可能性が比較的高いため、判定部23aは重複画像が含まれていると判定する。一方、例えば所定時間以上の間隔をあけて撮像された複数の乗車者撮像画像において特徴点等が類似する場合、同じ乗車者の顔情報の検出の途切れが発生した可能性は比較的低く、複数の乗車者撮像画像にそれぞれ写った乗車者は、類似した特徴点等を有する別々の乗車者である可能性が高い。このような場合、判定部23aは重複画像が含まれていないと判定する。これにより、本実施形態に係る判定部23aは、類似した特徴点等を有する別々の乗車者が乗車者撮像画像に写っているような場合であっても、重複画像の有無を精度よく判定することができる。
【0074】
判定部23aは、判定結果を登録部24aに出力する。また、判定部23aは、重複画像が含まれていると判定した場合、当該判定をした重複画像が撮像されたときの撮像状況を示す情報を、記憶部30aに撮像状況情報33a(
図6参照)として記憶させる。
【0075】
登録部24aは、重複画像が含まれているという判定結果の場合、複数の乗車者撮像画像から重複画像を除外し、重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む各種の情報を記憶部30aに乗車者情報32a(
図5参照)として登録する。このとき、登録部24aは、測位部12aのバス1の位置情報に基づいて、乗車者撮像画像が撮像された停留所、すなわち、乗車者が乗車した停留所の情報を乗車者情報32aに付加してもよい。
【0076】
なお、登録部24aは、重複画像が含まれているという判定結果のとき、言い換えると、複数の乗車者撮像画像に同じ乗車者の乗車者撮像画像が含まれているときにおいて、同じ乗車者の属性情報が変化していた場合、変化後の属性情報を乗車者情報32aに登録(更新)してもよい。一例としては、
図4にかっこ書きで示すように、撮像人物情報31aの人物ID「D01」「D02」で示される同じ乗車者の「マスクの有無」(属性情報)が「無し」から「有り」に変化しているときは、乗車者が、乗車者画像E01が撮像された後で、乗車者画像E02が撮像される前にマスクを着用したことを意味している。従って、登録部24aは、
図5にかっこ書きで示すように、人物ID「D01」「D02」の乗車者と同じ、乗車者ID「P01」で示される乗車者の「マスクの有無」(属性情報)を、変化後の「有り」で登録(更新)してもよい。これにより、乗車者情報32aの属性情報を、現在の乗車者に即した情報に更新することができる。
【0077】
なお、上記では、乗車者の属性情報が変化していた場合に、変化後の属性情報を登録するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば属性情報に、属性情報の確度を示す情報が付加されている場合、登録部24aは、同じ乗車者の属性情報のうち、確度が高い方の属性情報を乗車者情報32aに登録してもよい。なお、上記した確度は、例えば検出された特徴点の多寡や、撮像画像の鮮明度合いなど種々の情報に基づいて算出することができるが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、登録部24aは、重複画像が含まれていないという判定結果の場合、複数の乗車者撮像画像をそのまま含む乗車者情報32aを記憶部30aに登録する。
【0079】
出力部25aは、記憶部30aにアクセスし、乗車者情報32aを降り口端末装置10bへ出力する。例えば、出力部25aは、重複画像が含まれていると判定された場合、重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む乗車者情報32aを降り口端末装置10bへ出力する。
【0080】
これにより、本実施形態に係る乗り口端末装置10aにあっては、重複画像を除外することで、実際に乗車した乗車者に即した乗車者情報32a、すなわち正確な乗車者情報32aを降り口端末装置10bへ出力することができる。
【0081】
なお、出力部25aは、バス1が停留所を出発して判定部23aでの判定処理等が完了してから次の停留所に到着するまでの間に出力処理を実行するが、出力のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0082】
設定部26aは、第1カメラ11aの撮像に関する設定を行う。第1カメラ11aの撮像に関する設定には、例えば照明部を制御して被写体である乗車者に対して光を照射する設定、第1カメラ11aのバス車内から撮像する撮像範囲を変更する設定、第1カメラ11aの撮像方向を変更する設定などが含まれるが、これらに限られず、上記した設定の一部が含まれてもよいし、上記以外の撮像に関する設定が含まれてもよい。
【0083】
設定部26aは、撮像状況情報33a(
図6参照)に基づいて、第1カメラ11aの撮像に関する設定を行う。これにより、顔情報の検出の途切れの発生を抑制することができ、よって同じ乗車者を2人の乗車者として検知してしまうことを抑制することができる。
【0084】
これについて、
図6を参照しつつ説明すると、設定部26aは、撮像状況情報33aに基づき、例えば日時L01にバス1の向きが方角M01で、天候が晴れの条件を満たした場合、停留所H01においてバス1の乗り口2aが逆光になり易い状況となることを推定することができる(状況ID「K01」参照)。そこで、設定部26aは、例えば照明部を予め制御して被写体である乗車者に対して光を照射する設定を行うことで、乗車者の顔が暗くなりにくくなり、よって逆光による顔情報の検出の途切れの発生を抑制することができる、すなわち、同じ乗車者を2人の乗車者として検知してしまうことを抑制することができる。
【0085】
また、設定部26aは、撮像状況情報33aに基づき、例えば天候が雨の条件を満たした場合、停留所H02において乗車者が傘をたたむために顔の向きを変化させ易い状況となることを推定することができる(状況ID「K02」参照)。そこで、設定部26aは、例えば第1カメラ11aの撮像範囲を予め広げる設定を行ったり、第1カメラ11aの撮像方向を予め変更する設定を行ったりすることで、顔の向きの変化による顔情報の検出の途切れの発生を抑制することができる、すなわち、同じ乗車者を2人の乗車者として検知してしまうことを抑制することができる。
【0086】
また、設定部26aは、撮像状況情報33aに基づき、例えば停留所H03では年齢層が高齢者であることを示す属性N03を有する乗車者が乗車することが多く、乗車者が荷物を前方に置くなどで体勢の変化が起こり易い状況となることを推定することができる(状況ID「K03」参照)。そこで、設定部26aは、例えば第1カメラ11aの撮像範囲を予め広げる設定を行ったり、第1カメラ11aの撮像方向を予め変更する設定を行ったりすることで、体勢の変化による顔情報の検出の途切れの発生を抑制することができる、すなわち、同じ乗車者を2人の乗車者として検知してしまうことを抑制することができる。
【0087】
<降り口端末装置の構成>
次いで、降り口端末装置10bの構成について
図7等を参照して説明する。
図7は、降り口端末装置10bの構成例を示すブロック図である。
【0088】
図7に示すように、降り口端末装置10bは、第2カメラ11bと、測位部12bと、制御部20bと、記憶部30bとを備える。なお、降り口端末装置10bとしては、スマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0089】
第2カメラ11bは、例えばレンズと、CCDやCMOSなどの撮像素子とを備えるカメラである。第2カメラ11bは、バス1の降り口2b(
図1参照)であって、かつ、バス1の中(バス車内)に設けられる。詳しくは、第2カメラ11bは、少なくとも降り口2bから降車する降車者(乗客)の顔を含む範囲をバス車内から撮像可能な位置に設けられる。第2カメラ11bは、降車者の降車者撮像画像を撮像し、撮像された降車者撮像画像を制御部20bへ出力する。
【0090】
測位部12bは、例えばGPS衛星から送出される電波に基づいてバス1の位置情報を取得し、取得された位置情報を制御部20bへ出力する。なお、測位部12bは、バス1が停留所に停止しているときに取得されたバス1の位置情報を、バス1が停止している停留所の位置情報として出力してもよい。
【0091】
制御部20bは、取得部21bと、検出部22bと、登録部23bと、照合部24bと、算出部25bと、送信部26bとを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0092】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20bの取得部21b、検出部22b、登録部23b、照合部24b、算出部25bおよび送信部26bとして機能する。
【0093】
また、制御部20bの取得部21b、検出部22b、登録部23b、照合部24b、算出部25bおよび送信部26bの少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0094】
また、記憶部30bは、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30bには、乗車者情報31b、降車者情報32b、乗降カウンタ33bおよび各種プログラムなどが記憶される。
【0095】
乗車者情報31bは、乗り口端末装置10aから出力された乗車者情報32aと同じ情報であるため、ここでの説明を省略する(
図5参照)。
【0096】
降車者情報32bは、降車者に関する情報である。ここで、
図8を用いて、降車者情報32bについて説明する。
図8は、降車者情報32bの一例を示す図である。
図8に示すように、降車者情報32bには、「降車者ID」、「降車者画像」、「特徴点」、「性別」、「年齢」、「年齢層」、「マスクの有無」、「降車した停留所」および「照合結果」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0097】
「降車者ID」は、降車者を識別する識別情報である。「降車者画像」は、降車者撮像画像の情報である。「特徴点」は、顔の特徴点情報である。かかる特徴点情報には、例えば降車者撮像画像に写った降車者の顔における目、鼻や口などの特徴点の位置などが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0098】
「性別」は、降車者撮像画像に写った降車者の性別を示す情報である。「年齢」は、降車者撮像画像に写った降車者の年齢を示す情報であり、「年齢層」は、かかる降車者の年齢層を示す情報である。「マスクの有無」は、降車者撮像画像に写った降車者がマスクを着用しているか否かを示す情報である。
【0099】
「降車した停留所」は、降車者が乗車した停留所を示す情報である。「照合結果」は、後述する照合部24bによって乗車者情報31bと降車者情報32bとが照合されたときの照合結果を示す情報である。「照合結果」には、例えば降車者情報32bと一致した乗車者情報31bの乗車者IDに関する情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0100】
図8に示す例では、降車者ID「Q01」で識別される降車者のデータは、降車者画像が「画像E11」、特徴点が「特徴点F01」、性別が「男性」、年齢が「年齢G01」、年齢層が「大人」、マスクの有無が「無し」、降車した停留所が「停留所H11」、照合結果が「乗車者ID[P01]と一致」であることを示している。
【0101】
図7の説明に戻ると、乗降カウンタ33bは、バス1の現在の乗客数をカウントするカウンタである。
【0102】
制御部20bの取得部21bは、第2カメラ11bから、バス1から降車する人物(降車者)が撮像された降車者撮像画像を取得する。例えば、取得部21bは、バス1が停留所で停止しているときに降車者撮像画像を取得するが、取得のタイミングはこれに限定されるものではない。取得部21bは、取得された降車者撮像画像を検出部22bへ出力する。なお、取得部21bは、第2取得部の一例である。
【0103】
また、取得部21bは、乗り口端末装置10aから出力された乗車者情報を取得し、記憶部30bに乗車者情報31b(
図5参照)として登録する。
【0104】
検出部22bは、降車者撮像画像から降車者の顔情報(詳しくは顔の特徴点情報)を検出する。例えば、検出部22bは、降車者撮像画像から、目、鼻や口、輪郭などの特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置を特徴点情報として検出する。
【0105】
検出部22bは、降車者撮像画像から降車者の性別や年齢、年齢層、マスクの有無などの属性情報を検出する。検出部22bは、検出された特徴点情報および属性情報を降車者撮像画像とともに、登録部23bへ出力する。
【0106】
登録部23bは、降車者撮像画像、特徴点情報および属性情報を含む各種の情報を記憶部30bに降車者情報32b(
図8参照)として登録する。このとき、登録部23bは、測位部12bのバス1の位置情報に基づいて、降車者撮像画像が撮像された停留所、すなわち、降車者が降車した停留所の情報を降車者情報32bに付加してもよい。
【0107】
照合部24bは、乗車者情報31bと降車者情報32bとを照合する。例えば、照合部24bは、記憶部30bの乗車者情報31bと降車者情報32bにアクセスし、降車者の特徴点情報や属性情報が、乗車者の特徴点情報や属性情報と一致あるいは略一致するか否かの照合を行う。照合部24bは、降車者の特徴点情報等が乗車者の特徴点情報等と一致あるいは略一致する場合、かかる照合結果を、降車者情報32b(
図8参照)の「照合結果」に登録する。ここでは、照合部24bは、降車者ID「Q01」の降車者の特徴点情報や属性情報が、乗車者ID「P01」の情報の特徴点情報や属性情報と一致したことを示している。
【0108】
算出部25bは、乗車者情報31bと降車者情報32bとに基づいてバス1の乗客数を算出する。例えば、算出部25bは、乗車者情報31bに乗車者の顔情報や属性情報が新たに登録されたときに乗車者の人数を1人加算する、詳しくは乗降カウンタ33bをインクリメントする。
【0109】
また、算出部25bは、降車者情報32bに、乗車者の特徴点情報や属性情報と一致あるいは略一致する降車者の情報が登録された場合に、かかる特徴点情報等の乗客がバス1から降車したと推定し、乗車者の人数から降車者を1人減算して得た値をバス1の現在の乗客数として算出する、詳しくは乗降カウンタ33bをデクリメントする。
【0110】
このように、算出部25bは、重複画像が除外された正確な乗車者情報31bを用いることから、バス1の乗客数を精度よく算出することができる。なお、算出部25bは、バス1が停留所を出発して次の停留所に到着するまでの間に算出処理を実行するが、算出のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0111】
送信部26bは、乗車者情報31bや降車者情報32bの一部あるいは全部と、乗降カウンタ33bの値であるバス1の乗客数の情報とを含む乗客情報を、管理サーバ200へ送信する。
【0112】
なお、送信部26bは、バス1が停留所を出発して算出部25bでの算出処理等が完了してから次の停留所に到着するまでの間に送信処理を実行するが、送信のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0113】
<管理サーバの構成>
次いで、管理サーバ200の構成について
図9を参照して説明する。
図9は、管理サーバ200の構成例を示すブロック図である。
【0114】
図9に示すように、管理サーバ200は、通信部201と、制御部210と、記憶部220とを備える。通信部201は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、バス端末装置10やバス事業者端末装置300、ユーザ端末装置400等との間で情報の送受信を行う。
【0115】
制御部210は、取得部211と、混雑度算出部212と、提供部213とを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0116】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部210の取得部211、混雑度算出部212および提供部213として機能する。
【0117】
また、制御部210の取得部211、混雑度算出部212および提供部213の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0118】
また、記憶部220は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部220には、乗客情報221、バス情報222および各種プログラムなどが記憶される。
【0119】
乗客情報221は、降り口端末装置10bから送信された、バス1の乗客に関する情報である。乗客情報221には、上記したように、乗車者情報31bや降車者情報32bの一部あるいは全部と、乗降カウンタ33bの値であるバス1の乗客数の情報とが含まれる。
【0120】
バス情報222は、バス1に関する情報である。バス情報222には、例えばバス1の定員を示す定員情報などが含まれるが、これに限られず、バス1の運行計画情報などその他の情報が含まれてもよい。なお、バス情報222は、予め記憶部220に記憶されるが、これに限定されるものではなく、例えばバス事業者端末装置300など外部端末から送信されて記憶部220に記憶されてもよい。
【0121】
制御部210の取得部211は、降り口端末装置10bから送信された情報を取得し、取得された情報を記憶部220に乗客情報221として記憶させる。
【0122】
混雑度算出部212は、バス1の混雑度、詳しくはバス1の現在の混雑度を算出する。混雑度は、バス1の混雑状況の度合いを示す指標値であり、例えばバス1の定員に対する乗客数等に応じた数段階のレベルで示される値である。
【0123】
例えば、混雑度算出部212は、乗客情報221に含まれるバス1の現在の乗客数の情報と、バス情報222に含まれるバス1の定員情報とに基づいて、バス1の現在の混雑度を算出する。混雑度算出部212は、算出された混雑度を示す混雑度情報を提供部213へ出力する。
【0124】
提供部213は、かかる混雑度情報を通信部201を介して、例えばユーザ端末装置400やバス事業者端末装置300へ提供することができる。また、提供部213は、乗客情報221を通信部201を介して、例えばバス事業者端末装置300へ提供することができる。
【0125】
<実施形態に係る情報処理システムの制御処理>
次に、実施形態に係るバス端末装置10を含む情報処理システム100が実行する処理手順について、
図10を用いて説明する。
図10は、実施形態に係るバス端末装置10を含む情報処理システム100が実行する処理シーケンスの一例を示す図である。
【0126】
図10に示すように、先ず乗り口端末装置10aは、乗車者撮像画像を複数取得する(ステップS10)。次いで、乗り口端末装置10aは、複数の乗車者撮像画像の中に、重複画像が含まれているか否かを判定する(ステップS11)。
【0127】
次いで、乗り口端末装置10aは、重複画像が含まれているか否かの判定結果に基づいて、乗車者情報を記憶部30aに登録する(ステップS12)。例えば、乗り口端末装置10aは、重複画像が含まれているという判定結果の場合、複数の乗車者撮像画像から重複画像を除外し、重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む乗車者情報を記憶部30aに登録する。
【0128】
そして、乗り口端末装置10aは、例えば重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む乗車者情報を降り口端末装置10bへ出力する(ステップS13)。
【0129】
降り口端末装置10bは、降車者撮像画像を取得する(ステップS14)。次いで、降り口端末装置10bは、降車者撮像画像を含む降車者情報を記憶部30bに登録する(ステップS15)。ここで、記憶部30bには、以前の処理で乗り口端末装置10aから出力された乗車者情報が登録されているものとする。
【0130】
次いで、降り口端末装置10bは、乗車者情報と降車者情報とを照合する(ステップS16)。例えば、降り口端末装置10bは、降車者情報における降車者の特徴点情報や属性情報が、乗車者情報における乗車者の特徴点情報や属性情報と一致あるいは略一致するか否かの照合を行う。
【0131】
降り口端末装置10bは、乗車者情報、降車者情報および照合結果などに基づいて、バス1の乗客数を算出する(ステップS17)。また、降り口端末装置10bは、乗り口端末装置10aから乗車者情報が新たに出力された場合、記憶部30bの乗車者情報を更新する(ステップS18)。
【0132】
そして、降り口端末装置10bは、乗車者情報や降車者情報、バス1の乗客数などを含む乗客情報を管理サーバ200へ送信する(ステップS19)。
【0133】
管理サーバ200は、バス1の乗客数の情報などに基づいてバス1の混雑度を算出する(ステップS20)。そして、管理サーバ200は、混雑度情報や乗客情報などを、バス事業者端末装置300やユーザ端末装置400へ提供する(ステップS21)。
【0134】
上述してきたように、実施形態に係るバス端末装置10(情報処理装置の一例)は、取得部21a(第1取得部の一例)と、判定部23aと、出力部25aとを備える。取得部21aは、バス1の乗り口2aに設けられた第1カメラ11aから、バス1に乗車する人物が撮像された乗車者撮像画像を複数取得する。判定部23aは、取得部21aによって取得された複数の乗車者撮像画像の中に、同じ人物が重複して撮像された乗車者撮像画像である重複画像が含まれているか否かを判定する。出力部25aは、判定部23aによって重複画像が含まれていると判定された場合に複数の乗車者撮像画像から重複画像を除外し、重複画像が除外された乗車者撮像画像を含む乗車者情報を出力する。これにより、実施形態にあっては、乗り物の乗客数を精度よく算出することができる。
【0135】
なお、上記では、乗り口端末装置10a、降り口端末装置10bおよび管理サーバ200がそれぞれ、各種の処理を行うようにしたが、各種の処理が行われる装置は、上記に限定されるものではない。
【0136】
すなわち、乗り口端末装置10aで行われる処理の一部あるいは全部が、降り口端末装置10bあるいは管理サーバ200で行われるようにしてもよい。また、降り口端末装置10bで行われる処理の一部あるいは全部が、乗り口端末装置10aあるいは管理サーバ200で行われるようにしてもよい。また、管理サーバ200で行われる処理の一部あるいは全部が、乗り口端末装置10aあるいは降り口端末装置10bで行われるようにしてもよい。
【0137】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 バス
10 バス端末装置
10a 乗り口端末装置
10b 降り口端末装置
11a 第1カメラ
11b 第2カメラ
21a 取得部
23a 判定部
25a 出力部
100 情報処理システム
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